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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】入力内容決定装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/90 20190101AFI20220511BHJP
   G06Q 10/06 20120101ALI20220511BHJP
【FI】
G06F16/90 100
G06Q10/06 302
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2017211851
(22)【出願日】2017-11-01
(65)【公開番号】P2019086819
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2019-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】香川 元
【審査官】原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0330982(US,A1)
【文献】特開2005-301780(JP,A)
【文献】特開2002-023783(JP,A)
【文献】特表2015-501457(JP,A)
【文献】特開平06-110946(JP,A)
【文献】特開平11-149297(JP,A)
【文献】菊池 久一 外,第65回(平成15年)全国大会講演論文集(2) 人工知能と認知科学、動詞句に着目した文区間抽出手法に基づく意味構造構築手法の提案,第65回(平成15年)全国大会講演論文集(2),日本,社団法人情報処理学会,2003年03月25日,pp. 2-397~2-398
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06F 10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された自然文を要素に分割し、予め定められた各項目の仮内容データとする仮決定手段であって、仮内容データが対応づけられていない項目について、当該項目が省略可能項目と定められていれば、追加入力を促さず、当該項目が必須項目と定められていれば、追加入力を促して、当該項目についても仮内容データを対応付ける仮決定手段と、
上記仮内容データが対応付けられた各項目のうち予め自己決定処理を行うと定められている項目について、前記仮内容データが当該項目にとって適切であるかどうかを判断し、適切であれば当該仮内容データを当該項目の内容として決定し、適切でなければ追加入力を促して適切なデータを得て当該項目の内容として決定する自己決定手段と、
上記仮内容データが対応付けられた各項目のうち予めDB参照決定処理を行うと定められている項目について、当該項目の内容として可能な可能データの一覧を記録した項目内容一覧データを直接または間接的に参照し、前記仮内容データに基づいて、可能データを一つに特定できるかどうかを判断する判断手段と、
前記判断手段により可能データを一つに特定できれば、当該可能データを当該項目の内容として決定する第1決定手段と、
前記判断手段により可能データを一つに特定できなければ、前記項目内容一覧データの参照結果に基づいて、複数の可能データを候補として提示するための処理を行う候補提示手段と、
前記候補提示手段により提示された候補から操作者が選択した可能データを当該項目の内容として決定する第2決定手段と、
を備えた入力内容決定装置において、
前記仮決定手段は、予め定められた各項目に、固有表現である要素を対応づけた際、対応付けられなかった項目と残った要素が1組だけ存在する場合、両者を対応付け、
前記項目内容一覧データは、前記項目および当該項目に関連する他の項目も記録しており、
前記候補提示手段は、前記項目内容一覧データに基づいて複数の可能データを提示する際に、前記項目に関連する前記他の項目も併せて表示するよう処理することを特徴とする入力内容決定装置。
【請求項2】
請求項1の装置において、
前記候補提示手段は、前記可能データの候補が所定数を超える場合には、当該所定数を超える可能データについて前記候補として提示する処理は行わず、前記可能データを絞り込むための質問を提示し、これに対する操作者の回答に基づいて、前記可能データを所定数以下に絞り込んだ後に、決定または提示処理を行うことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかの装置において、
前記仮決定手段は、予め定められた各項目のうち仮内容データを対応付けることのできない項目があれば、当該項目の入力を促すメッセージを操作者に提示するための処理を行うことを特徴とする装置。
【請求項4】
コンピュータによって入力内容決定装置を実現するための入力内容決定プログラムであって、コンピュータを、
入力された自然文を要素に分割し、予め定められた各項目の仮内容データとする仮決定手段であって、仮内容データが対応づけられていない項目について、当該項目が省略可能項目と定められていれば、追加入力を促さず、当該項目が必須項目と定められていれば、追加入力を促して、当該項目についても仮内容データを対応付ける仮決定手段と、
上記仮内容データが対応付けられた各項目のうち予め自己決定処理を行うと定められている項目について、前記仮内容データが当該項目にとって適切であるかどうかを判断し、適切であれば当該仮内容データを当該項目の内容として決定し、適切でなければ追加入力を促して適切なデータを得て当該項目の内容として決定する自己決定手段と、
上記仮内容データが対応付けられた各項目のうち予めDB参照決定処理を行うと定められている項目について、当該項目の内容として可能な可能データの一覧を記録した項目内容一覧データを直接または間接的に参照し、前記仮内容データに基づいて、可能データを一つに特定できるかどうかを判断する判断手段と、
前記判断手段により可能データを一つに特定できれば、当該可能データを当該項目の内容として決定する第1決定手段と、
前記判断手段により可能データを一つに特定できなければ、前記項目内容一覧データの参照結果に基づいて、複数の可能データを候補として提示するための処理を行う候補提示手段と、
前記候補提示手段により提示された候補から操作者が選択した可能データを当該項目の内容として決定する第2決定手段として機能させるための入力内容決定プログラムにおいて、
前記仮決定手段は、予め定められた各項目に、固有表現である要素を対応づけた際、対応付けられなかった項目と残った要素が1組だけ存在する場合、両者を対応付け、
前記項目内容一覧データは、前記項目および当該項目に関連する他の項目も記録しており、
前記候補提示手段は、前記項目内容一覧データに基づいて複数の可能データを提示する際に、前記項目に関連する前記他の項目も併せて表示するよう処理することを特徴とする入力内容決定プログラム。
【請求項5】
請求項4のプログラムにおいて、
前記候補提示手段は、前記可能データの候補が所定数を超える場合には、当該所定数を超える可能データについて前記候補として提示する処理は行わず、前記可能データを絞り込むための質問を提示し、これに対する操作者の回答に基づいて、前記可能データを所定数以下に絞り込んだ後に、決定または提示処理を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
請求項4または5のいずれかのプログラムにおいて、
前記仮決定手段は、予め定められた各項目のうち仮内容データを対応付けることのできない項目があれば、当該項目の入力を促すメッセージを操作者に提示するための処理を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
入力された自然文を要素に分割し、予め定められた各項目の仮内容データとする仮決定手段であって、仮内容データが対応づけられていない項目について、当該項目が省略可能項目と定められていれば、追加入力を促さず、当該項目が必須項目と定められていれば、追加入力を促して、当該項目についても仮内容データを対応付ける仮決定手段と、
上記仮内容データが対応付けられた各項目のうち予め自己決定処理を行うと定められている項目について、前記仮内容データが当該項目にとって適切であるかどうかを判断し、適切であれば当該仮内容データを当該項目の内容として決定し、適切でなければ追加入力を促して適切なデータを得て当該項目の内容として決定する自己決定手段と、
上記仮内容データが対応付けられた各項目のうち予めDB参照決定処理を行うと定められている項目について、当該項目の内容として可能な可能データの一覧を記録した項目内容一覧データを直接または間接的に参照し、前記仮内容データに基づいて、可能データを一つに特定できるかどうかを判断する判断手段と、
前記判断手段により可能データを一つに特定できれば、当該可能データを当該項目の内容として決定する第1決定手段と、
前記判断手段により可能データを一つに特定できなければ、前記項目内容一覧データの参照結果に基づいて、複数の可能データを候補として提示するための処理を行う候補提示手段と、
前記候補提示手段により提示された候補から操作者が選択した可能データを当該項目の内容として決定する第2決定手段と、
前記仮決定手段、前記第1決定手段および前記第2決定手段によって決定された内容に基づいて、データベースの検索を行う検索手段と、
を備えた検索装置において、
前記仮決定手段は、予め定められた各項目に、固有表現である要素を対応づけた際、対応付けられなかった項目と残った要素が1組だけ存在する場合、両者を対応付け、
前記項目内容一覧データは、前記項目および当該項目に関連する他の項目も記録しており、
前記候補提示手段は、前記項目内容一覧データに基づいて複数の可能データを提示する際に、前記項目に関連する前記他の項目も併せて表示するよう処理することを特徴とする検索装置。
【請求項8】
請求項7の装置において、
前記候補提示手段は、前記可能データの候補が所定数を超える場合には、当該所定数を超える可能データについて前記候補として提示する処理は行わず、前記可能データを絞り込むための質問を提示し、これに対する操作者の回答に基づいて、前記可能データを所定数以下に絞り込んだ後に、決定または提示処理を行うことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項7または8の装置において、
前記検索手段は、前記自己決定手段、前記第1決定手段および前記第2決定手段によって決定された内容および未決定の仮内容データに基づいて、データベースの検索を行うことを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1~3、7~9のいずれかの装置において、
前記入力内容決定装置はサーバ装置として構成され、
前記仮決定手段は、当該サーバ装置と通信可能な端末装置において入力された自然文を受けて処理を行い、
前記第1決定手段は、当該端末装置において候補を提示するための処理を行うことを特徴とする装置。
【請求項11】
検索装置をコンピュータによって実現するための検索プログラムでって、コンピュータを、
入力された自然文を要素に分割し、予め定められた各項目の仮内容データとする仮決定手段であって、仮内容データが対応づけられていない項目について、当該項目が省略可能項目と定められていれば、追加入力を促さず、当該項目が必須項目と定められていれば、追加入力を促して、当該項目についても仮内容データを対応付ける仮決定手段と、
上記仮内容データが対応付けられた各項目のうち予め自己決定処理を行うと定められている項目について、前記仮内容データが当該項目にとって適切であるかどうかを判断し、適切であれば当該仮内容データを当該項目の内容として決定し、適切でなければ追加入力を促して適切なデータを得て当該項目の内容として決定する自己決定手段と、
上記仮内容データが対応付けられた各項目のうち予めDB参照決定処理を行うと定められている項目について、当該項目の内容として可能な可能データの一覧を記録した項目内容一覧データを直接または間接的に参照し、前記仮内容データに基づいて、可能データを一つに特定できるかどうかを判断する判断手段と、
前記判断手段により可能データを一つに特定できれば、当該可能データを当該項目の内容として決定する第1決定手段と、
前記判断手段により可能データを一つに特定できなければ、前記項目内容一覧データの参照結果に基づいて、複数の可能データを候補として提示するための処理を行う候補提示手段と、
前記候補提示手段により提示された候補から操作者が選択した可能データを当該項目の内容として決定する第2決定手段と、
前記仮決定手段、前記第1決定手段および前記第2決定手段によって決定された内容に基づいて、データベースの検索を行う検索手段ととして機能させるための検索プログラムにおいて、
前記仮決定手段は、予め定められた各項目に、固有表現である要素を対応づけた際、対応付けられなかった項目と残った要素が1組だけ存在する場合、両者を対応付け、
前記項目内容一覧データは、前記項目および当該項目に関連する他の項目も記録しており、
前記候補提示手段は、前記項目内容一覧データに基づいて複数の可能データを提示する際に、前記項目に関連する前記他の項目も併せて表示するよう処理することを特徴とする検索プログラム。
【請求項12】
請求項11のプログラムにおいて、
前記候補提示手段は、前記可能データの候補が所定数を超える場合には、当該所定数を超える可能データについて前記候補として提示する処理は行わず、前記可能データを絞り込むための質問を提示し、これに対する操作者の回答に基づいて、前記可能データを所定数以下に絞り込んだ後に、決定または提示処理を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項11または12のプログラムにおいて、
前記検索手段は、前記自己決定手段、前記第1決定手段および前記第2決定手段によって決定された内容および未決定の仮内容データに基づいて、データベースの検索を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項4~6、11~13のいずれかのプログラムにおいて、
前記装置はサーバ装置として構成され、
前記仮決定手段は、当該サーバ装置と通信可能な端末装置において入力された自然文を受けて処理を行い、
前記第1決定手段は、当該端末装置において候補を提示するための処理を行うことを特徴とするプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入力された自然文に基づいて、入力内容を項目ごとに確定する装置や、検索を行う装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
入力された自然文を解析し、スロット(項目)に対応づけることが行われている。これにより、コンピュータに対する指示を自然文によって行うことができる。たとえば、特許文献1によれば、航空機の予約を行う際に必要な項目(出発地、到着地、便名など)をスロットとし、入力された自然文をスロットに抽出することが開示されている。
【0003】
特許文献1の装置においては、入力がなされていないスロットについて、コンピュータの側から質問を発し、ユーザに入力を促すことが行われている。これにより、対話形式にて、必要なスロットの入力を行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-23783
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の装置においては、各スロットの入力が適切なものであるかどうかの判断を行っていなかった。また、各スロットの入力が適切でない場合に、どのようにこれを適切なものとするかについても開示がなされていない。
【0006】
また、スロットが検索のための項目となっている場合には、入力された時点でこれを特定された内容として確定することは適切ではない。このような、検索を行う場合のスロットの入力をどのように処理するかについて、特許文献1では検討がなされていなかった。
【0007】
さらに、入力されたデータについてスロットへの対応づけができない場合にどのような処理を行うかについての検討がなされていなかった。
【0008】
この発明は、上記のようないずれかの問題点を解決して、各スロットへの対応づけや、スロットに対応付けられるデータの適切性の判断や、それに基づく検索を行うことのできる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の独立して適用可能ないくつかの特徴を以下に列挙する。
【0010】
(1)(2)この発明に係る入力内容決定装置は、入力された自然文を要素に分割し、予め定められた各項目の仮内容データとする仮決定手段と、上記各項目のうちの少なくとも一つの項目について、当該項目の内容として可能な可能データの一覧を記録した項目内容一覧データを直接または間接的に参照し、前記仮内容データに基づいて、可能データを一つに特定できるかどうかを判断する判断手段と、可能データを一つに特定できれば、当該可能データを当該項目の内容として決定する第1決定手段と、可能データを一つに特定できなければ、参照結果に基づいて、複数の可能データを候補として提示するための処理を行う候補提示手段と、提示された候補から操作者が選択した可能データを当該項目の内容として決定する第2決定手段とを備えている。
【0011】
したがって、項目内容一覧データを参照して、各項目の内容データが適切であるかどうかを判断し、適切な内容に訂正することができる。
【0012】
(3)この発明に係る入力内容決定装置は、候補提示手段は、複数の可能データを提示する際に、当該可能データの他の項目部分も併せて表示するよう処理することを特徴としている。
【0013】
したがって、操作者による選択が容易となる。
【0014】
(4)この発明に係る入力内容決定装置は、候補提示手段は、前記可能データの候補が所定数を超える場合には、当該所定数を超える可能データについて前記候補として提示する処理は行わず、前記可能データを絞り込むための質問を提示し、これに対する操作者の回答に基づいて、前記可能データを所定数以下に絞り込んだ後に、決定または提示処理を行うことを特徴としている。
【0015】
したがって、操作者による選択が容易となる。
【0016】
(5)この発明に係る入力内容決定装置は、仮決定手段は、予め定められた各項目に前記要素を対応づけた際、対応付けられなかった項目と要素が存在する場合、両者を対応付けることを特徴としている。
【0017】
したがって、項目に対応付けることが困難な要素についても、適切な対応づけを行うことができる。
【0018】
(6)この発明に係る入力内容決定装置は、仮決定手段は、予め定められた各項目のうち仮内容データを対応付けることのできない項目があれば、当該項目の入力を促すメッセージを操作者に提示するための処理を行うことを特徴としている。
【0019】
したがって、対話形式にて必要項目についてのデータを操作者から得ることができる。
【0020】
(7)(8)この発明に係る検索装置は、入力された自然文を要素に分割し、予め定められた各項目の仮内容データとする仮決定手段と、上記各項目のうちの少なくとも一つの項目について、当該項目の内容として可能な可能データの一覧を記録した項目内容一覧データを直接または間接的に参照し、前記仮内容データに基づいて、可能データを一つに特定できるかどうかを判断する判断手段と、可能データを一つに特定できれば、当該可能データを当該項目の内容として決定する第1決定手段と、可能データを一つに特定できなければ、参照結果に基づいて、複数の可能データを候補として提示するための処理を行う候補提示手段と、提示された候補から操作者が選択した可能データを当該項目の内容として決定する第2決定手段と、前記第1決定手段および前記第2決定手段によって決定された内容に基づいて、データベースの検索を行う検索手段とを備えている。
【0021】
したがって、項目内容一覧データを参照して、各項目の内容データが適切であるかどうかを判断し、適切な内容に訂正した上で検索を行うことができる。
【0022】
(9)この発明に係る検索装置は、検索手段は、前記第1決定手段および前記第2決定手段によって決定された内容および未決定の仮内容データに基づいて、データベースの検索を行うことを特徴としている。
【0023】
したがって、より正確な検索を行うことができる。
【0024】
(10)この発明に係る検索装置は、入力内容決定装置はサーバ装置として構成され、前記仮決定手段は、当該サーバ装置と通信可能な端末装置において入力された自然文を受けて処理を行い、前記第1決定手段は、当該端末装置において候補を提示するための処理を行うことを特徴としている。
【0025】
したがって、操作者は端末装置を操作することで入力内容の決定を行うことができる。
【0026】
(11)(12)この発明に係る検索装置は、入力された自然文を要素に分割し、予め定められた各項目の仮内容データとする仮決定手段と、上記各項目のうちの少なくとも一つの項目について、前記仮内容データに基づいて、当該項目の内容として可能な可能データの一覧を記録した項目内容一覧データを直接または間接的に参照し、当該項目の内容となる可能データを決定する決定手段とを備えた入力内容決定装置において、前記仮決定手段は、予め定められた各項目に前記要素を対応づけた際、対応付けられなかった項目と要素が存在する場合、両者を対応付けることを特徴としている。
【0027】
したがって、項目に対応付けることが困難な要素についても、適切な対応づけを行うことができる。
【0028】
(13)(14)この発明に係る検索装置は、入力された自然文を要素に分割し、予め必須項目か省略可能項目かが定められた各項目の仮内容データとし、必須項目のうち仮内容データを対応付けることのできない項目があれば、当該項目の入力を促すメッセージを操作者に提示する仮決定手段と、必須項目および仮内容データが対応付けられた省略可能項目について、仮内容データに基づいて内容データを決定する決定手段と、必須項目および仮内容データが対応付けられた省略可能項目の内容データに基づいて、前記各項目に対応する項目を含むデータベースを検索する検索手段とを備えている。
【0029】
したがって、入力された自由文に基づいて適切な検索を行うことができる。
【0030】
(15)この発明に係る検索装置は、決定手段は、上記各項目のうちの少なくとも一つの項目について、当該項目の内容として可能な可能データの一覧を記録した項目内容一覧データを直接または間接的に参照し、前記仮内容データに基づいて、可能データを一つに特定できるかどうかを判断する判断手段と、可能データを一つに特定できれば、当該可能データを当該項目の内容として決定する第1決定手段と、可能データを一つに特定できなければ、参照結果に基づいて、複数の可能データを候補として提示するための処理を行う候補提示手段と、提示された候補から操作者が選択した可能データを当該項目の内容として決定する第2決定手段とを備えている。
【0031】
したがって、項目内容一覧データを参照して、各項目の内容データが適切であるかどうかを判断し、適切な内容に訂正した上で検索を行うことができる。
【0032】
この発明において「仮決定手段」は、実施形態においては、ステップS53がこれに対応する。
【0033】
「判断手段」は、実施形態においては、ステップS61、S62がこれに対応する。
【0034】
「第1決定手段」は、実施形態においては、ステップS64がこれに対応する。
【0035】
「候補提示手段」は、実施形態においては、ステップS63がこれに対応する。
【0036】
「第2決定手段」は、実施形態においては、ステップS64がこれに対応する。
【0037】
「検索手段」は、実施形態においては、ステップS64の後に行われる検索処理やステップS72がこれに対応する。
【0038】
「検索項目抽出手段」は、実施形態においては、ステップS70がこれに対応する。
【0039】
「決定手段」は、実施形態においては、ステップS71がこれに対応する。
【0040】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】この発明に係る一実施形態による入力内容決定装置の機能ブロック図である。
図2】入力内容決定装置をサーバ装置20として構築した場合のシステム構成図である。
図3】サーバ装置20のハードウエア構成である。
図4】端末装置30のハードウエア構成である。
図5】入力内容確定処理のフローチャートである。
図6】入力内容確定処理のフローチャートである。
図7】入力内容確定処理のフローチャートである。
図8】端末装置30における表示画面を示す図である。
図9】必要項目と固有表現との対応づけを示す図である。
図10】必要項目に対応するDBの対応を示すテーブルである。
図11】鉄道DBを示す図である。
図12】取引先DBを示す図である。
図13】候補提示画面の例である。
図14】必要項目に対するデータの対応づけを示す図である。
図15】第2の実施形態による検索装置の機能ブロック図である。
図16】検索処理のフローチャートである。
図17】検索処理のフローチャートである。
図18】必要項目に対するデータの対応づけを示す図である。
図19】会議室DBを示す図である。
図20】会議室の空き状況を抽出したデータである。
図21】社員DBを示す図である。
図22】検索結果画面の例である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
1.第1の実施形態
1.1機能ブロック図
図1に、この発明の一実施形態による入力内容決定装置の機能ブロック図を示す。仮決定手段2は、入力された自然文を形態素解析して固有表現に分割する。さらに、この固有表現を各項目(スロット)の仮内容データとして対応づける。なお、自然文の入力はテキストデータとして入力されたものであってもよいし、音声入力されたものをテキスト変換したものであってもよい。また、手書き入力されたものをテキスト変換したものであってもよい。
【0043】
自己決定手段4は、仮内容データが当該項目にとって適切であるかを、仮内容データ自体によって判断する。たとえば、入力された自由文の中に「6時」が含まれていた場合、これを時間の項目に対応付ける。ただし、これでは午前か午後かが不明であるので、「午前であるか午後であるか」の質問を表示する。「午後6時」「午前6時」であれば、適切であると判断する。このように、入力された内容データ自体によって、適切かどうかを判断するのが、自己決定手段4である。
【0044】
判断手段6は、仮内容データが当該項目にとって適切であるかを、項目内容一覧データ14を参照して判断する。項目内容データ一覧14には、当該項目のデータとして可能な可能データが示されている。したがって、判断手段6は、項目内容データ一覧の中に、仮内容データに対応するものを一つだけに特定できるかどうかによって、適切であるかどうかを判断する。
【0045】
仮内容データが当該項目にとって適切であると判断されると、第1決定手段8は、仮内容データを当該項目のデータとして決定する。
【0046】
仮内容データが当該項目にとって適切でないと判断されると、候補提示手段10は、仮内容データに対応する複数の項目内容データを候補として提示する。操作者が、候補として提示された項目内容データから一つを選択すると、第2決定手段は、これを当該項目のデータとして決定する。以上のようにして、各項目の内容データが決定される。
【0047】
1.2システム構成およびハードウエア構成
図2に、この実施形態による入力内容決定装置をサーバ装置20として構成した場合のシステム構成を示す。サーバ装置20には、インターネットなどのネットワークを介して、端末装置30が接続されている。また、データベース50がサーバ装置20に接続されている。データベース50、端末装置30ともに、複数設けられていてもよい。この実施形態では、端末装置30としてPCを用いているが、スマートフォンやダブレットを用いてもよい。
【0048】
図3に、サーバ装置20のハードウエア構成を示す。CPU21には、メモリ22、ハードディスク23、DVD-ROMドライブ24、通信回路25が接続されている。通信回路25は、ネットワークと通信するためのものである。
【0049】
ハードディスク23には、オペレーティングシステム26、入力内容決定プログラム27が記録されている。入力内容決定プログラム27は、オペレーティングシステム26と協働してその機能を発揮するものである。これらプログラムは、DVD-ROM28に記録されていたものを、DVD-ROMドライブ24を介してハードディスク23にインストールしたものである。なお、これらプログラムは、ネットワーク上の他の装置から取得してインストールしてもよい。
【0050】
図4に、端末装置30のハードウエア構成を示す。CPU31には、メモリ32、ハードディスク33、DVD-ROMドライブ34、通信回路35、ディスプレイ39、キーボード/マウス40が接続されている。通信回路35は、ネットワークと通信するためのものである。
【0051】
ハードディスク33には、オペレーティングシステム36、ブラウザプログラム37が記録されている。ブラウザプログラム37は、オペレーティングシステム36と協働してその機能を発揮するものである。これらプログラムは、DVD-ROM38に記録されていたものを、DVD-ROMドライブ34を介してハードディスク33にインストールしたものである。
【0052】
1.3入力内容決定処理
図5~7に、サーバ装置20の入力内容決定プログラム27、端末装置30のブラウザプログラム37のフローチャートを示す。ここでは、旅費精算のための入力内容確定処理を行う場合について説明する。
【0053】
操作者は、端末装置30のキーボード/マウス40を操作して、サーバ装置20にアクセスする(ステップS1)。サーバ装置20は、これを受けてログイン画面を、端末装置30に送信する。端末装置30では、この画面に対して、操作者がユーザIDとパスワードを入力し、サーバ装置20に送信する。サーバ装置20は、ユーザIDとパスワードの組合せが、予め記録されたユーザ一覧にあれば、以後の処理を進める(ステップS2、S51)。
【0054】
サーバ装置20のCPU21(以下、サーバ装置20と省略することがある)は、図8Aに示すような旅費精算のための自由文入力画面を、通信回路25を介して、端末装置30に送信する(ステップS52)。端末装置30のCPU31(以下、端末装置30と省略することがある)は、これを受信し、ディスプレイ39に表示する(ステップS3)。
【0055】
操作者は、キーボード/マウス40を操作して、図8Aの自由文入力欄42に、精算対象の日、発駅、着駅、相手先を入力する。入力が完了し、送信ボタン44がクリックされると、端末装置30は、入力された自由文を、通信回路35を介して、サーバ装置20に送信する(ステップS4)。なお、ここで、自由文とは、項目に対応付けられずに入力されたデータをいい、人間の言葉に近い自然文だけでなく、人間の文法に則らない文も含む概念である。
【0056】
サーバ装置20は、この自由文を受信し、形態素解析を行って固有表現を抽出する(ステップS53)。この実施形態では、精算処理を行うために必要な入力項目(スロット)として、予め「年月日」「発駅」「着駅」「鉄道会社」「相手先」が設定されている。すなわち、必要項目としてこれらがハードディスク23に記録されている。これら各項目に対応付けて、固有表現を抽出する。たとえば、「年月日」の項目であれば、「日」が付された形態素を抽出する。
【0057】
また、サーバ装置20は、予めテンプレートを記録しており、このテンプレートも参照して、各項目に対応する固有表現を抽出する。たとえば、「A日にBからCに行った」というテンプレートを用意し、これにあてはまる自由文が入力されると、Aを「年月日」、Bを「発駅」、Cを「着駅」の項目に対応する固有表現とする。
【0058】
このような形態素解析や固有表現の抽出は、従来行われている方法を用いることができる。たとえば、形態素の前後の助詞を参照して、どの項目に対応する固有表現であるかを検討するようにしてもよい。
【0059】
ここでは、「水曜日に夏目商会に行ったJR京都までの電車代」との入力がなされたものとして説明を進める。サーバ装置20は、各項目に対する固有表現を図9Aに示すように抽出する。
【0060】
次に、サーバ装置20は、必要項目(スロット)に対して固有表現が対応付けられていないものがあるかどうかを判断する(ステップS55)。無ければ、ステップS57に処理を進める。ここでは、図9Aに示すように、「発駅」の項目について固有表現が対応付けられていない。したがって、サーバ装置20は、この未対応の必要項目に対する追加入力を促す画面を端末装置30に送信する(ステップS56)。
【0061】
端末装置30は、各項目に対応付けて、追加入力を促すためのデータを予め記録している。「発駅」の項目について固有表現がみいだされない場合には、図8Bに示すように、「「発駅」を入力して下さい」との追加入力を促す文字と、入力欄42が表示された画面が送信される。
【0062】
端末装置30は、この追加入力画面をディスプレイ39に表示する(ステップS5)。操作者は、これに応じて、キーボード/マウス40を操作し、「発駅」の追加入力を行う。ここでは、「大阪」が入力されたものとする。送信ボタン44がクリックされると、端末装置30は、「大阪」をサーバ装置20に送信する(ステップS6)。
【0063】
サーバ装置20は、これを受けて固有表現の抽出を行い(ステップS53)、図9Bに示すように、「発駅」の内容として「大阪」を対応付ける。これにより、未対応の項目はなくなったので、サーバ装置30は、ステップS57に処理を進める(ステップS55)。
【0064】
ステップS57以下において、サーバ装置30は、各項目に対応づけられた固有表現について、項目の内容として決定できるかどうかを判断する。この実施形態では、項目によって決定の方法を2つ設けている。自己決定とDB参照決定の2つである。
【0065】
たとえば、年月日のような項目は、データベースを参照しなくとも固有表現自体によって適切であるかどうかを判断することができる。一方、鉄道会社、発駅、着駅、相手先などは、その固有表現が適切かどうかは、これらの一覧を表したデータベースを参照しなければ分からない。前者については自己決定処理を行い、後者についてはDB参照決定を行うようにしている。なお、各項目についていずれの決定処理を行うのかについては、項目ごとに、予めハードディスク23に記録されている。この実施形態では、「年月日」は自己決定処理、「鉄道会社」「発駅」「着駅」「相手先」についてはDB参照決定処理を行うように設定されている。
【0066】
サーバ装置20は、まず、「年月日」の項目について「水曜日」という固有表現が適切であるかどうかを判断する。サーバ装置20は、「年」「月」「日」についてそれぞれ数字によって特定されているかどうか、あるいは、数字を特定できるだけの情報があるかどうかを判断する。
【0067】
たとえば、「2017年10月16日」であれば、「年」「月」「日」についてそれぞれ数字によって特定されていることになる。一方、「2017年10月」であれば、「日」が特定されていないことになる。
【0068】
また、「昨日」であれば、内蔵のカレンダーを参照することで、「年」「月」「日」を特定することができる。
【0069】
図9Bに示すように、「水曜日」では年月日を特定できず不適切であるから(ステップS58)、サーバ装置20は追加入力を促す画面を送信する(ステップS59)。たとえば、図8Cに示すように、「いつの水曜日ですか?」という追加入力を促す文言と、入力欄42を含む画面を送信する。このような文言は、いずれの項目が不適切であるかによって予め準備され記録されている。なお、図8Cに代えて、3週間前ぐらいまでの水曜日の年月日を選択肢として表示する画面を送信するようにしてもよい。
【0070】
端末装置30は、この追加入力画面をディスプレイ39に表示する(ステップS7)。操作者は、これに応じて、キーボード/マウス40を操作し、「年月日」に関する追加入力を行う。ここでは、「先週です」が入力されたものとする。送信ボタン44がクリックされると、端末装置30は、「先週です」をサーバ装置20に送信する(ステップS8)。
【0071】
サーバ装置20は、これを受けて固有表現の抽出を行い、これに基づいて「年」「月」「日」を特定する(ステップS60)。たとえば、「先週です」であれば、先週の水曜日として「年」「月」「日」を特定することができる。今日が「2017年10月17日」であれば、「2017年10月11日」と特定することができる。
【0072】
以上のようにして、自己決定処理の対象となっている各項目について(ここでは「年月日」のみ)内容データが適切となれば、これら項目のデータ内容を当該データに決定する(ステップS65)。
【0073】
続いて、サーバ装置20は、DB参照をして決定する項目についてDB参照決定処理を行う。サーバ装置20は、対象とする各項目について、図10に示すように、対応DBを記録している。たとえば、「発駅」の項目については、鉄道DBの項目「駅名」に一覧が記録されていることが示されている。つまり、鉄道DBの「駅名」項目(図10においてかっこ内に示されている)には、「発駅」において取り得る可能データの一覧が示されている。
【0074】
サーバ装置20は、対象とする項目について、対応するDBの項目データを参照し、内容を一意に特定できるかどうかを判断する(ステップS61)。たとえば、図9Bの項目「鉄道会社」の固有表現「JR」について、鉄道DBの項目「会社」を参照する。
【0075】
図11に、鉄道DBの例を示す。この鉄道DBは、旅費精算に都合がいいように、利用企業が自社のために一般の鉄道DBを修正して作成したものである。一般の鉄道DBでは、JR西、JR東海などの区別がなされているが、この鉄道DBではJRに統一されている。これは、この企業では精算目的のためにはJRとしてまとめて扱うこととしているためである。
【0076】
図9Bの項目「鉄道会社」の固有表現「JR」は、鉄道DBの「会社」の項目に同一のものが存在する。したがって、固有表現「JR」は、旅費精算目的のため、一意に特定可能であり、この固有表現「JR」をそのままデータ内容として決定する(ステップS64)。
【0077】
上記と同じように、サーバ装置20は、図9Bの「大阪」「京都」についても、DB参照決定処理を行う。「大阪」「京都」についても、上記の「JR」と同じように鉄道DBにあるので、そのままデータ内容として決定する(ステップS64)。
【0078】
次に、サーバ装置20は、項目「相手先」の固有表現「夏目商会」についても、DB参照決定処理を行う。図10に示すように、取引先については、取引先DBの項目「会社名」を参照するように定められている。
【0079】
図12に、取引先DBを示す。取引先DBは、当該会社の取引先を示したデータベースである。取引先DBを参照すると、固有表現「夏目商会」に対応するデータが、「(有)夏目商会」「夏目商会(株)」「夏目商会総業」の三社あることが分かる。したがって、取引先を一意に特定することができない。
【0080】
サーバ装置20は、参照して検索された3社から選択するための画面を生成し、端末装置30に送信する(ステップS63)。図13Aに、選択画面の例を示す。
【0081】
端末装置30は、この選択画面をディスプレイ39に表示する(ステップS9)。
【0082】
操作者は、これに応じて、キーボード/マウス40を操作し、いずれかを選択するためクリックする。これにより、選択された内容がサーバ装置20に送信される(ステップS10)。(有)夏目商会が選択された場合には、これが選択された旨がサーバ装置20に送信される。サーバ装置20は、これを受けて、相手先を「(有)夏目商会」に決定する(ステップS64)。
【0083】
なお、ステップS62において、DB中に、固有表現と完全に一致するデータがあれば、当該データを決定データとすることができる。さらに、DB中に、完全一致ではないが固有表現を一部に含むデータが一つだけみいだされた場合、当該DB中に他に一致データが無いようであれば、当該データに決定する。たとえば、固有データが「安藤」であれば、図12において「安藤工業(株)」のみしかヒットしないので、これにデータ内容が決定される。
【0084】
以上のようにして、全ての必要項目についてデータ内容が決定される。これら決定されたデータは、旅費精算システムに渡されて処理される。なお、この実施形態では、旅費精算システム側において旅費を算出するようにしているので、金額の入力は不要としている。しかし、金額も入力するようにしてもよい。
【0085】
1.4その他
(1)上記実施形態では、旅費精算システムに与えるためのデータを確定するための入力内容決定装置について説明した。しかし、発注システム、発送システム、会議室予約システム、内線番号検索システムなどの入力内容を決定する場合など、入力内容の決定一般に適用することができる。
【0086】
(2)上記実施形態では、ステップS63において、DBから抽出したデータから選択するための選択画面を送信するようにしている。しかし、DBから抽出したデータが所定数(たとえば5個)を超える場合、さらに絞り込むための質問を端末装置30に送信するようにしてもよい。その質問に対する回答を受けて、データが所定数以下となれば、選択画面を送信するようにしてもよい。
【0087】
(3)上記実施形態では、図13Aに示すように、決定すべき項目に対応するDBの項目のデータを選択候補として表示している。しかし、この選択候補の他の属性(DBの他の項目のデータ)も併せて表示するようにしてもよい。たとえば、図13Bに示すように、図12の住所も併せて表示することで、会社名の選択を行いやすくなる。
【0088】
(4)上記実施形態では、決定された入力内容に基づいて、精算処理を行う場合について説明した。しかし、決定された入力内容または決定途中の入力内容に基づいて、データベースを検索する処理を行うようにしてもよい。
【0089】
(5)上記実施形態では、固有表現を抽出する処理として一般的な処理方法を用いている。しかし、これに加えて、次のような要素を加えて固有表現を抽出するようにしてもよい。
【0090】
まず、一般的な処理方法により各項目ごとに固有表現を抽出する。たとえば、図14の下段のように自然文が入力されたとき、年月日、鉄道会社、発駅、着駅まで固有表現を抽出できたとする。ただし、「相手先」だけが固有表現を抽出できなかったとする。この場合に、形態素解析して残っている「重工」をこの「相手先」の固有表現として対応付ける。これにより、「重工」を社名として検討することになり、正しく固有表現を見いだせる可能性が高くなる。
【0091】
(6)上記実施形態では、入力内容決定装置をサーバ装置として構築している。しかし、サーバ装置を用いずに、入力、表示、処理を1台のコンピュータによって行うようにしてもよい。
【0092】
(7)上記実施形態では、サーバ装置20に入力内容決定プログラム27が設けられ、端末装置30にはブラウザプログラム37が設けられている。すなわち、端末装置30の側では、入力と表示の処理のみを行っている。しかし、端末装置30側にアプリケーションを設け、サーバ装置30側で行っている処理の一部を実行するようにしてもよい。たとえば、形態素解析及び固有表現の抽出については、端末装置30のアプリケーションにて実行し、抽出された固有表現をサーバ装置20に送信して、以後の処理をサーバ装置20にて行うようにしてもよい。
【0093】
(8)上記実施形態において、さらに、各項目におけるデータの範囲を設定しておくようにしてもよい。たとえば、当該会社の業務時間が午前9時~午後9時である場合、会議室予約のための日時の項目について、9:00-21:00の範囲でのみ受付を可能とする。また、「6時」と入力された場合でも、この受付可能範囲に基づいて、自動的に午後6時であると決定することができる。
【0094】
(9)上記実施形態においては、いずれかの項目について対応する入力がないと判断すると、追加入力を促すようにしている(ステップS56)。しかし、業務内容によっては、必ずしも入力が必須でない項目も存在する。たとえば、上記の交通費清算において、乗車時間は必須項目ではないが、これを入力しても良いとの扱いをしている企業があったとする。この場合、乗車時間の項目については、対応する入力がなかったとしても、追加入力を促す必要はない。
【0095】
そこで、各項目ごとに、必須項目であるか、省略可能項目であるかを設定できるようにしてもよい。サーバ装置20は、必須項目と指定されたものについてのみ追加入力を促し、省略可能項目とされたものについては対応する入力がなくとも追加入力を促さない。
【0096】
(10)上記実施形態では、「水曜日」の入力対して、いつの水曜日かを問い合わせるようにしている。しかし、業務内容に応じて自動的に決定するようにしてもよい。
【0097】
たとえば、清算業務のような過去の事柄に対する処理であれば、今日から見て直前の「水曜日」であると自動決定する。また、会議室予約のような将来の事柄に対する処理であれば、今日から見て直近の先の「水曜日」であると自動決定する。
【0098】
(11)この実施形態およびその他の例は、その本質に反しない限り、他の実施形態およびその他の例と組み合わせて実施することが可能である。
【0099】
2.第2の実施形態
2.1機能ブロック図
図15に、第2の実施形態による検索装置の機能ブロック図を示す。仮決定手段2は、入力された自然文を形態素解析して固有表現に分割する。さらに、この固有表現を各項目(スロット)の仮内容データとして対応づける。なお、自然文の入力はテキストデータとして入力されたものであってもよいし、音声入力されたものをテキスト変換したものであってもよい。また、手書き入力されたものをテキスト変換したものであってもよい。
【0100】
この実施形態では、各項目ごとに、必須項目であるか省略可能項目であるかが定められている。必須項目は、検索のために必ず入力が必要な項目である。省略可能項目は、検索のためには必ずしも入力が必要でない項目である。
【0101】
仮決定手段2は、必須項目について対応する入力がなされていない場合には、入力を促すメッセージを提示し入力を得る。ただし、省略可能項目については、対応する入力がなくても入力を促さない。
【0102】
決定手段16は、必須項目および仮データ内容が対応付けられた省略可能項目について、仮内容データに基づいて、内容を決定する。この内容決定の構成としては、たとえば、第1の実施形態の各手段を用いることができる。
【0103】
検索手段18は、必須項目および仮データ内容が対応付けられた省略可能項目の決定された内容データに基づいて、上記各項目を含むデータベースの検索を行う。
【0104】
以上のようにして、自然文入力による検索装置を実現することができる。
【0105】
2.2システム構成およびハードウエア構成
システム構成およびハードウエア構成は、第1の実施形態と同様である。ただし、サーバ装置20には、入力内容確定プログラム27に代えて、検索プログラムが記録されている。
【0106】
2.3検索処理
図16図17に、サーバ装置20の検索プログラムと端末装置30のブラウザプログラムのフローチャートを示す。この実施形態では、操作者のために、会議参加者の予定と、会議室の空きを考慮して、会議予定を決定する装置を例として説明する。
【0107】
操作者は、サーバ装置20にログインし、自由文にて会議予定を問い合わせる。たとえば、「横田課長と平田君で、明日の午後大阪で1時間の会議が可能か?」との入力を端末装置30から行う。この自由文を形態素解析し、予め定められた必要項目(スロット)に対応する固有表現を抽出する処理は、図16に示すとおりである。これは、第1の実施形態の図5と同様の処理である。
【0108】
ただし、この実施形態においては、各必要項目ごとに、必須項目か省略可能項目かが記録されている。ここでは、必要項目として、「期間」「利用時間」「参加者」「拠点」「会議室」が設定されており、「参加者」「期間」「利用時間」が必須項目、「拠点」「会議室」が省略可能項目として定められているものとする(図18A参照)。「期間」は空き検索を行う対象となる期間、「利用時間」は会議室の利用時官長である。
【0109】
ステップS55において、固有表現を対応付けることができなかった項目がある場合、図5においては、全て追加入力を促すようにしていた(ステップS56)。しかし、この実施形態では、固有表現を対応付けることができなかった項目が、必須項目であった場合にのみ、追加入力を促すようにしている(ステップS551)。したがって、省略可能項目について固有表現が対応づけられなくとも、追加入力を促す処理は行われない。
【0110】
上記のような自由文が入力されたとすると、図18Aに示すように、固有表現が対応づけられる。会議室に対応付けられる固有表現が入力されていないが、省略可能項目であるから追加入力は求めない。
【0111】
なお、参加者の項目において、操作者が「古谷俊」として表示されている。これは、操作者も会議に参加するのが通常だからである。なお、操作者の氏名などは、ログイン時のIDに紐付けて記録されている社員DBから取得することができる。
【0112】
次に、サーバ装置20および端末装置30は、必須項目および仮内容データが対応付けられた省略可能項目項目について、図6図7に示す決定処理を行う(ステップS71、S20)。すなわち、「期間」「利用時間」「参加者」「拠点」について、決定処理を行う。「期間」「利用時間」は自己決定処理、「参加者」「拠点」はDB参照決定処理を行う。
【0113】
期間は、複数日に跨がってもよいし、特定日の特定の時間帯を指定してもよい。図18Aでは、仮内容データが明日の午後となっているので、サーバ装置20は、カレンダーを参照して、2017年10月18日の13:00~17:00に決定する。時間帯の最後を17:00としたのは、予め定められた就業時間情報に基づくものである。
【0114】
次に、利用時間についての決定処理を行う。仮内容データが1時間となっており、適切であるからこのまま確定する。
【0115】
参加者を決定するためには、社員DBを参照する。たとえば、社員の中に平田が2名以上いれば、候補を提示して操作者に選択させて決定する。
【0116】
拠点を決定するためには、拠点マスタを参照する。拠点マスタには、会議室のある拠点が一覧で記録されている。たとえば、「東京」「大阪」「名古屋」・・・等と記録されている。ここでは、大阪として決定されることになる。
【0117】
会議室は仮内容データが対応付けられていない省略可能項目であるから、対応データ無しの状態とする。このようにして確定された結果を、図18Bに示す。
【0118】
続いて、サーバ装置20は、上記にて決定した内容データに基づいて、会議室DBを検索し、利用可能時間を表示する。
【0119】
まず、サーバ装置20は、「期間」「利用時間」「拠点」に基づいて、会議室予約DBを検索する。図19に会議室予約DBの一部を示す。図19において、○印が空き、×印が予約ありを意味している。「期間」の2017年10月18日は「日」の項目、「期間」の13:00-17:00および「利用時間」の1時間は、時間の項目、「拠点」は「拠点」の項目の検索条件として指定して検索を行う。なお、会議室は特定されていないので、これは検索条件としない。
【0120】
したがって、拠点「大阪」で、13:00-17:00の間に1時間以上連続して空いている時間帯のある会議室を検索することになる。これにより、たとえば、図20に示すように、大阪の各会議室の空き状況が得られたとする。
【0121】
次に、この時間帯における各参加者の予定が空いているかどうかを、社員スケジュールDBを参照して調べる。2017年10月18日の社員スケジュールDBを図21に示す。上記の会議室の空き時間帯で、3人の予定の空いている時間が、16時~17時であることが分かる。したがって、サーバ装置20は、大阪の202会議室において、16時~17時の間で会議が可能であることを見いだすことができる。
【0122】
サーバ装置20は、この結果を端末装置30に送信する(ステップS73)。ここでは、検索結果が一つだけであるから、図22Aに示すように一つの結果のみが示される。複数ある場合には、図22Bに示すように、複数の候補として、端末装置30の操作者が選択可能となるように送信される。端末装置30は、結果をディスプレイ39に表示する(ステップS21)。
【0123】
操作者は端末装置30のキーボード/マウス40を操作して、予約ボタン92をクリックして、会議室の予約をサーバ装置20に送信することができる(ステップS22)。サーバ装置20は、これを受けて、会議室の予約を行う(ステップS74)。また、各人のスケジュールにこれを登録する。
【0124】
上記のようにして、各参加者のスケジュールを参照しつつ、会議室の空き状況を検索することができる。
【0125】
2.4その他
(1)上記実施形態では、ステップS71の決定処理として、第1の実施形態における決定処理を用いている。しかし、項目に対応する内容データを決定するためのその他の決定処理を用いてもよい。
【0126】
(2)上記実施形態では、必須項目について対応する入力がなされなかった場合、入力を促す画面を表示するようにしている。しかし、入力がない場合でも入力を促すことはせずに、当該項目のデータ内容とするディフォルト値を決めておきこれを用いるようにしてもよい。たとえば、上記の例において、利用時間が未入力の場合、予めディフォルト値として定めた「1時間」をデータ内容として用いるようにしてもよい。
【0127】
(3)この実施形態およびその他の例は、その本質に反しない限り、他の実施形態およびその他の例と組み合わせて実施することが可能である。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22