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特許7071141光投影用熱延伸性加飾フィルム及びそれを貼り付けた物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】光投影用熱延伸性加飾フィルム及びそれを貼り付けた物品
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/18 20060101AFI20220511BHJP
   B29C 51/14 20060101ALI20220511BHJP
   B29C 51/12 20060101ALI20220511BHJP
   B29C 51/10 20060101ALI20220511BHJP
   G03B 21/62 20140101ALI20220511BHJP
【FI】
B32B27/18 Z
B29C51/14
B29C51/12
B29C51/10
G03B21/62
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018020295
(22)【出願日】2018-02-07
(65)【公開番号】P2019136892
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】清水 大介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 新
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/104055(WO,A1)
【文献】特開2008-208378(JP,A)
【文献】特表2012-503076(JP,A)
【文献】国際公開第2015/145633(WO,A1)
【文献】特開2004-093848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
G03B21/132
21/56-21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾層及び接着層を含む、光投影用熱延伸性加飾フィルムであって、
装飾層及び接着層の内の少なくとも一層が、光拡散性粒子を含み、
装飾層及び接着層における単位面積当たりの前記光拡散性粒子の合計量が、2.0g/m以上であ
輝度の7/10値角が20度以上であり、又は
輝度の9/10値角が30度以上であり、又は
輝度の7/10値角が20度以上であり、かつ、輝度の9/10値角が30度以上である、光投影用熱延伸性加飾フィルム。
【請求項2】
前記光拡散性粒子は、該粒子を含まない、装飾層又は接着層の屈折率との差が0.05以上である、請求項1に記載の光投影用熱延伸性加飾フィルム。
【請求項3】
前記光拡散性粒子は、0.1~5.0μmの平均粒子径を有する、請求項1又は2に記載の光投影用熱延伸性加飾フィルム。
【請求項4】
前記光拡散性粒子が、スチレン粒子及び酸化チタン粒子の少なくとも一種を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の光投影用熱延伸性加飾フィルム。
【請求項5】
装飾層の上若しくは上方に保護層をさらに含む、並びに/又は、装飾層及び接着層の間に、光輝層、若しくは光輝層を備える支持層をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の光投影用熱延伸性加飾フィルム。
【請求項6】
リアプロジェクション用として使用される、請求項1~のいずれか一項に記載の光投影用熱延伸性加飾フィルム。
【請求項7】
車載用として使用される、請求項1~のいずれか一項に記載の光投影用熱延伸性加飾フィルム。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の光投影用熱延伸性加飾フィルムを基体部品に貼り付けた物品。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の光投影用熱延伸性加飾フィルムと基体部品とを用意する工程、及び
前記加飾フィルムを三次元被覆成形法により前記基体部品表面に適用し、前記加飾フィルムが前記基体部品表面に貼り付けられた物品を形成する工程、を含む、物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光投影用熱延伸性加飾フィルム及びそれを貼り付けた物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、多様なデザインの加飾フィルムが、自動車の内装材及びその他の幅広い分野で使用されている。一方、例えば、自動車等の分野において、近年、リアプロジェクション表示システムなどの、スクリーンに映像等を投影する光投影型の表示システムなどを搭載する試みが検討されている。
【0003】
特許文献1(特開2005-014374号公報)には、透明又は不透明の第一の合成樹脂フィルムの上面に、光輝性のある絞(凹凸)が形成され、この絞の上に1層又は複数層からなる透明の第二の合成樹脂フィルムが積層されている、自動車の内装等に使用される加飾フィルムが記載されている。
【0004】
特許文献2(特開2015-167314号公報)には、映像を拡大して投影する映像投影ユニットと、映像が投影されるスクリーンユニットと、映像信号を入力し、映像投影ユニット及びスクリーンユニットの間の動的な相対位置を基に映像信号の歪み補正を行い、映像投影ユニットに出力する映像処理基板とを備え、映像投影ユニットは、映像投影ユニットの振動又は加速度を検出した結果を映像投影ユニットセンサー信号とし、映像処理基板に出力し、スクリーンユニットは、スクリーンユニットの振動又は加速度を検出した結果をスクリーンユニットセンサー信号として映像処理基板に出力し、映像処理基板は、歪み補正回路を有し、歪み補正回路は、スクリーンユニットセンサー信号及び映像投影ユニットセンサー信号を基に動的な相対位置を算出し、映像信号の歪みを補正する、映像表示装置を搭載した輸送機関が記載されている。
【0005】
特許文献3(特開2017-074869号公報)には、助手席の車両前後方向前方に設けられ、グローブボックスを有しない助手席側インパネと、助手席側インパネの内部に格納され、引出されることで助手席側インパネの車両前後方向後方に配置されるスクリーンと、車室の天井の前端部又は助手席側のフロントピラーに設けられ、スクリーンに画像を投影するプロジェクターと、を備える車両用表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-014374号公報
【文献】特開2015-167314号公報
【文献】特開2017-074869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光投影型の表示システムで使用されるスクリーンは、一般的に、装飾性及び三次元形状への追従性を呈しないため、例えば、自動車のインストルメントパネル部に対してスクリーンを適用した場合、車内の空間デザインを損なうおそれがあった。一方で、インストルメントパネル部等に用いられている従来の加飾フィルムに光を投影した場合、輝度の極端に高いホットスポットと呼ばれる箇所が発生する場合があった。係るホットスポットは、映像の均一性、車の運転等に支障をきたすおそれがある。
【0008】
本開示は、光非投影時には装飾性を呈し、光投影時にはスクリーンとして機能するとともにホットスポットを低減し得る光投影用熱延伸性加飾フィルム、及び該加飾フィルムを貼り付けた物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一実施態様によれば、装飾層及び接着層を含む、光投影用熱延伸性加飾フィルムであって、装飾層及び接着層の内の少なくとも一層が、光拡散性粒子を含み、かつ、装飾層及び接着層における単位面積当たりの光拡散性粒子の合計量が、約2.0g/m以上である、光投影用熱延伸性加飾フィルムが提供される。
【0010】
本開示の別の実施態様によれば、上記の加飾フィルムを基体部品に貼り付けた物品が提供される。
【0011】
本開示のさらに別の実施態様によれば、上記の加飾フィルムと基体部品とを用意する工程、及び係る加飾フィルムを三次元被覆成形法により基体部品表面に適用し、加飾フィルムが基体部品表面に貼り付けられた物品を形成する工程、を含む、物品の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、光非投影時には装飾性を呈し、光投影時にはスクリーンとして機能するとともにホットスポットを低減し得る光投影用熱延伸性加飾フィルム、及び該加飾フィルムを貼り付けた物品を提供することができる。
【0013】
本開示の光投影用熱延伸性加飾フィルムは、これまでスクリーンとして使用できなかった、例えば、装飾性を要するインストルメントパネル等の曲面部に対しても適用することができる。
【0014】
上述の記載は、本発明の全ての実施態様及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の一実施態様による光投影用熱延伸性加飾フィルムの断面図である。
図2】本開示の別の実施態様による光投影用熱延伸性加飾フィルムの断面図である。
図3】本開示の一実施態様による加飾フィルムの装飾層及び接着層中の光拡散性粒子の合計量に対する輝度の7/10値角に関するグラフである。
図4】本開示の一実施態様による加飾フィルムの装飾層及び接着層中の光拡散性粒子の合計量に対する輝度の9/10値角に関するグラフである。
図5】比較のための加飾フィルムにおける視野角に対する輝度値に関するグラフである。
図6】本開示の一実施態様による加飾フィルムにおける視野角に対する輝度値に関するグラフである。
図7】本開示の別の実施態様による加飾フィルムにおける視野角に対する輝度値に関するグラフである。
図8】本開示の別の実施態様による加飾フィルムにおける視野角に対する輝度値に関するグラフである。
図9】本開示の別の実施態様による加飾フィルムにおける視野角に対する輝度値に関するグラフである。
図10】本開示の別の実施態様による加飾フィルムにおける視野角に対する輝度値に関するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の第1の実施形態における光投影用熱延伸性加飾フィルム(以下、単に「加飾フィルム」と略記する場合がある。)は、装飾層及び接着層を含み、これらの装飾層及び接着層の内の少なくとも一層が、光拡散性粒子を含み、かつ、装飾層及び接着層における単位面積当たりの光拡散性粒子の合計量は、約2.0g/m以上である。加飾フィルムの装飾層及び接着層の少なくとも一層が、所定量の光拡散性粒子を含むことにより、光非投影時には装飾性を呈する一方で、光投影時にはスクリーンとして機能し、光投影部からの光によるホットスポットを低減することができる。
【0017】
第1の実施形態における光投影用熱延伸性加飾フィルムは、輝度の7/10値角を、約20度以上にすることができる。輝度の7/10値角を係る範囲にすると、ホットスポットをより低減することができる。
【0018】
第1の実施形態における光投影用熱延伸性加飾フィルムは、輝度の9/10値角を、約30度以上にすることができる。輝度の9/10値角を係る範囲にすると、ホットスポットをより低減することができる。
【0019】
第1の実施形態における光投影用熱延伸性加飾フィルムで使用される光拡散性粒子は、該粒子を含まない、装飾層又は接着層の屈折率との差を約0.05以上にすることができる。このような屈折率を有する光拡散性粒子は、光投影部からの光をより拡散させやすいため、ホットスポットをより低減することができる。
【0020】
第1の実施形態における光投影用熱延伸性加飾フィルムで使用される光拡散性粒子は、約0.1~約5.0μmの平均粒子径を有することができる。このような平均粒子径を有する光拡散性粒子は、接着層及び装飾層の平坦性に悪影響を及ぼすことなく、粒子の脱落を防止することができ、或いは、装飾性に悪影響を及ぼすことなく、光投影部からの光をより拡散させやすく、ホットスポットをより低減することができる。
【0021】
第1の実施形態における光投影用熱延伸性加飾フィルムで使用される光拡散性粒子は、スチレン粒子及び酸化チタン粒子の少なくとも一種を含むことができる。係る粒子は、光投影部からの光をより拡散させやすく、ホットスポットをより低減することができる。
【0022】
第1の実施形態における光投影用熱延伸性加飾フィルムは、装飾層の上若しくは上方に保護層をさらに含むことができ、並びに/又は、装飾層及び接着層の間に、光輝層、若しくは光輝層を備える支持層をさらに含むことができる。保護層、光輝層等をさらに適用することにより、加飾フィルムの保護性能、装飾性能をより向上させることができる。
【0023】
第1の実施形態における光投影用熱延伸性加飾フィルムは、ホットスポットを低減し得るため、リアプロジェクション用として使用することができる。
【0024】
第1の実施形態における光投影用熱延伸性加飾フィルムは、ホットスポットが低減され、運転中に支障をきたすおそれが少ないため、車載用として使用することができる。
【0025】
第2の実施形態における物品は、第1の実施形態における光投影用熱延伸性加飾フィルムを、被着体である基体部品に貼り付けたものである。本開示の加飾フィルムを適用した物品は、光非投影時には装飾性を呈する一方で、光投影時にはホットスポットの低減したスクリーンとして機能させることができる。
【0026】
第3の実施形態における物品の製造方法は、第1の実施形態における光投影用熱延伸性加飾フィルムと、被着体である基体部品とを用意する工程、及び係る加飾フィルムを三次元被覆成形法により基体部品表面に適用し、加飾フィルムが基体部品表面に貼り付けられた物品を形成する工程、を含む。係る方法によれば、光非投影時には装飾性を呈する一方で、光投影時にはホットスポットの低減したスクリーンとして機能させ得る物品を得ることができる。
【0027】
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的で、図面を参照しながらより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。図面の参照番号について、異なる図面において類似する番号が付された要素は、類似又は対応する要素であることを示す。
【0028】
本開示において「フィルム」には「シート」と呼ばれる物品も包含される。
【0029】
本開示において、「貯蔵弾性率」とは、動的粘弾性測定装置を用いて、周波数10Hzの引っ張りモードで粘弾性測定を行ったときのせん断貯蔵弾性率G’である。
【0030】
本開示において「透明」とは、可視光領域の平均透過率が、約80%以上、好ましくは約90%以上であることを意味する。
【0031】
本開示において「半透明」とは、可視光領域の平均透過率が、約80%未満、好ましくは約75%以下であり、下地を完全に隠蔽しないことを意味する。
【0032】
本開示において「(メタ)アクリル」とはアクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とはアクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0033】
本開示において「略」とは、測定又は製造誤差などによって生じるバラつきを含むことを意味し、±約20%程度の変動が許容されることを意図する。
【0034】
本開示において「三次元被覆成形法」(TOM)とは、例えば、フィルム及び三次元形状を有する基体部品を準備する工程と、加熱装置を内部に有する真空チャンバ内にフィルム及び基体部品を配置する工程であって、フィルムが真空チャンバの内部空間を二つに分離し、分離された内部空間の一方に基体部品が配置される、工程と、フィルムを加熱装置によって加熱する工程と、基体部品が配置された内部空間とその反対側の内部空間を共に減圧雰囲気にする工程と、基体部品が配置された内部空間を減圧雰囲気にし、反対側の内部空間を加圧雰囲気又は常圧雰囲気としながら基体部品とフィルムとを接触させて、物品をフィルムによって被覆する工程とを含む成形方法をいう。
【0035】
本開示の一実施態様の光投影用熱延伸性加飾フィルムは、装飾層及び接着層を含み、これらの装飾層及び接着層の内の少なくとも一層が、光拡散性粒子を含み、かつ、装飾層及び接着層における単位面積当たりの光拡散性粒子の合計量が、約2.0g/m以上の加飾フィルムである。
【0036】
《光投影用熱延伸性加飾フィルム》
本開示の一実施態様の光投影用熱延伸性加飾フィルムの断面図を図1及び図2に示す。本開示の加飾フィルムは、ホットスポットの改善の観点から、装飾層及び接着層における単位面積当たりの光拡散性粒子の合計量を、約2.0g/m以上、約2.5g/m以上、又は約3.0g/m以上にすることが好ましい。装飾性及び輝度の低下を防止する観点から、係る合計量を、約20g/m以下、約15g/m以下、約10g/m以下、又は約8g/m以下にすることが好ましい。ここで、装飾層及び接着層の各層における単位面積当たりの光拡散性粒子の各量(g/m)は、各層における光拡散性粒子の密度(g/m)に各層の厚さ(m)を乗じた値から算出することができる。
【0037】
〈加飾フィルムの性能〉
(輝度の7/10値角)
本開示の光投影用熱延伸性加飾フィルムは、装飾層及び接着層の内の少なくとも一層が、光拡散性粒子を所定量含むため、光投影部からの光によるホットスポットを改善することができる。係るホットスポットの改善の程度は、例えば、加飾フィルムの略平坦な主要面に対して略垂直方向に配置した光投影部の中心を起点(0度)とし、加飾フィルムを通過した光投影部中心付近の光の最大輝度値に対して7/10の値となる箇所の位置(起点からの視野角)、即ち、輝度の7/10値角(以下、単に「7/10値角」という場合がある。)により定量化することができる。ここで、輝度の7/10値角としては、約20度以上、約25度以上、又は約30度以上とすることができる。輝度の7/10値角の上限値については特に限定されるものではないが、例えば、約85度以下、約80度以下、又は約75度以下とすることができる。
【0038】
(輝度の9/10値角)
ホットスポットの改善の程度は、加飾フィルムを通過した光投影部中心付近の光の最大輝度値に対して9/10の値となる箇所の位置、即ち、輝度の9/10値角(以下、単に「9/10値角」という場合がある。)を採用することでさらに定量化することができる。ここで、輝度の9/10値角としては、約30度以上、約32度以上、又は約35度以上とすることができる。輝度の9/10値角の上限値については特に限定されるものではないが、例えば、約60度以下、約57度以下、又は約55度以下とすることができる。
【0039】
〈加飾フィルムの厚さ〉
加飾フィルムの厚さ(但し、剥離ライナーが存在する場合には、該剥離ライナーの厚さを除く。)は、次のものに限定されないが、例えば、約25μm以上、約50μm以上、又は約100μm以上とすることができ、約2mm以下、約1mm以下、又は約500μm以下とすることができる。加飾フィルムの厚さを上記範囲とすることにより、複雑な形状を有する物品に対しても加飾フィルムを十分に追従させて、優れた外観を有する構造体を提供することができる。
【0040】
〈装飾層〉
本開示の加飾フィルムの装飾層としては、次のものに限定されないが、塗装色、例えば、白、黄等の淡色、赤、茶、緑、青、グレー、黒などの濃色を呈するカラー層、木目、石目、幾何学模様、皮革模様などの模様、ロゴ、絵柄などを物品に付与するパターン層、表面に凹凸形状が設けられたレリーフ(浮き彫り模様)層など、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。装飾層は、次のものに限定されないが、加飾フィルムを構成する層、例えば、保護層、光輝層、支持層又は接着層の全面若しくは一部に、直接又は接合層等を介して適用することができる。
【0041】
(カラー層)
カラー層の材料としては、次のものに限定されないが、例えば、カーボンブラック、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、赤色酸化鉄などの無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料、アゾレーキ系顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドンレッドなどのキナクリドン系顔料などの有機顔料などの顔料が、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂などのバインダー樹脂に分散された材料を使用することができる。カラー層は、係る材料を用い、例えば、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、ナイフコートなどのコーティング法により形成することができる。
【0042】
(パターン層)
パターン層としては、次のものに限定されないが、例えば、模様、ロゴ、絵柄などのパターンを、グラビアダイレクト印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェット印刷、レーザー印刷、スクリーン印刷などの印刷法を用いて、保護層、光輝層、支持層、接着層等に直接適用したものを採用してもよく、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、ナイフコートなどのコーティング、打ち抜き、エッチングなどにより形成された模様、ロゴ、絵柄などを有するフィルム、シートなどを使用することもできる。パターン層の材料としては、例えば、カラー層で使用した材料と同様の材料を使用することができる。
【0043】
(レリーフ層)
レリーフ層として、従来公知の方法、例えば、エンボス加工、スクラッチ加工、レーザー加工、ドライエッチング加工、又は熱プレス加工などによる凹凸形状を表面に有する熱可塑性樹脂フィルムを使用することができる。凹凸形状を有する剥離ライナー上に硬化性(メタ)アクリル樹脂などの熱硬化性又は放射線硬化性樹脂を塗布し、加熱又は放射線照射により硬化させて、剥離ライナーを取り除くことによりレリーフ層を形成することもできる。レリーフ層に用いられる熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び放射線硬化性樹脂としては、特に限定されないが、フッ素系樹脂、PET、PENなどのポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、熱可塑性エラストマー、ポリカーボネート、ポリアミド、ABS樹脂、アクリロニトリル-スチレン樹脂、ポリスチレン、塩化ビニル、ポリウレタンなどを使用することができる。レリーフ層は、カラー層で使用される顔料の少なくとも1種を含んでもよい。
【0044】
(装飾層の任意成分)
本開示の装飾層は、装飾性及び表示性等を阻害しない範囲において、任意成分として、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、界面活性剤、レベリング剤、シランカップリング剤、触媒などを含むことができる。
【0045】
(装飾層の厚さ)
装飾層の厚さは様々であってよく、次のものに限定されないが、例えば、約0.1μm以上、約1μm以上、又は約2μm以上とすることができ、約30μm以下、約25μm以下、又は約20μm以下とすることができる。
【0046】
〈接着層〉
加飾フィルムは、基体部品に加飾フィルムを貼り付けるための接着層をさらに含んでもよい。接着層として、例えば、一般に使用される(メタ)アクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ゴム系などの、溶剤型、エマルジョン型、感圧型、感熱型、熱硬化型又は紫外線硬化型の接着剤を使用することができる。接着層は、公知のコーティング法などによって適用することができる。
【0047】
(接着層の任意成分)
本開示の接着層は、装飾性及び表示性等を阻害しない範囲において、任意成分として、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、粘着付与剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、界面活性剤、レベリング剤、シランカップリング剤、触媒、顔料、染料などを含むことができる。
【0048】
(接着層の厚さ)
接着層の厚さは、次のものに限定されないが、例えば、約5μm以上、約10μm以上、又は約20μm以上とすることができ、約200μm以下、約100μm以下、又は約80μm以下とすることができる。
【0049】
〈光拡散性粒子〉
本開示の加飾フィルムの装飾層及び接着層の内の少なくとも一層は、光拡散性粒子を含む。接着層は、装飾層に比べて、一般的に厚く、より光投影部側に近いため、光拡散効率等の観点から、接着層に光拡散性粒子が含まれることがより好ましい。光拡散性粒子としては、光拡散性を呈する粒子であればいかなるものでもよく、次のものに限定されないが、例えば、該粒子を含まない、装飾層又は接着層の屈折率との差が、約0.05以上、約0.06以上、又は約0.07以上の屈折率を有する、有機系又は無機系の粒子を使用することができる。係る屈折率の差は、輝度等の観点から、約1.5以下、約1.4以下、又は約1.3以下とすることもできる。光拡散性粒子は、中実又は中空のいずれであってもよく、球状の形態、又は、板状、楕円状等の非球状の形態であってもよい。光拡散性粒子の材料としては、次のものに限定されないが、例えば、シリカ、雲母、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラス等の無機材料、スチレン等の樹脂材料などを、単独で又は2つ以上組み合わせて使用することができる。装飾層に加える観点では、カラー層などの加飾を妨げることが比較的少ない、単体としては透明性の高いスチレン又はガラス等の透明性材料が望ましい。フィルムの成形性等への悪影響を抑えつつ光拡散性粒子を多く加えることができるという観点からは小粒径のもの、例えば小粒径の酸化チタン等が望ましい。
【0050】
(光拡散性粒子の平均粒子径)
光拡散性粒子は、接着層及び装飾層における平坦性若しくは耐脱落性、又は光拡散性、即ち、ホットスポットの改善性等の観点から、例えば、約0.1μm以上、約0.2μm以上、又は約0.3μm以上の平均粒子径を有することができ、約5.0μm以下、約4μm以下、又は約3μm以下の平均粒子径を有することができ、特に1μm以下の平均粒子径のものを小粒径と呼ぶ。
【0051】
〈任意の層〉
本開示の加飾フィルムは、次のものに限定されないが、例えば、保護層、光輝層、支持層、接合層、及び剥離ライナーからなる群から選択される少なくとも一種をさらに備えることができる。
【0052】
(保護層)
本開示の加飾フィルムに適用し得る保護層の材料としては、次のものに限定されないが、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)及び(メタ)アクリル共重合体を含む(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、メチルメタクリレート-フッ化ビニリデン共重合体(PMMA/PVDF)などのフッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)及びそのアイオノマー、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体などの共重合体を、単独で又は二種以上ブレンドして使用することができる。中でも、耐薬品性及び/又は耐候性の観点から、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン、フッ素樹脂及びポリ塩化ビニルの使用が好ましく、耐擦傷性、及び/又は廃棄物として焼却したり埋め立てたりする際の環境負荷の観点から、(メタ)アクリル樹脂及びポリウレタンの使用がより好ましい。保護層は多層構造であってもよい。例えば、保護層は、上記樹脂から形成されたフィルムの積層体であってもよく、上記樹脂の多層コーティングであってもよい。保護層はその表面の全面又は一部にエンボスパターンなどの3次元凹凸形状を有してもよい。フラットに見える画像表示という観点では凹凸形状を有しないことが好ましい。一方で、凹凸形状に適した(例えば凹凸形状に沿った)画像を表示することで、よりデザイン性を高めることができ、そのような画像表示という観点では凹凸形状は好ましく、本開示のように加飾性を有するフィルムに画像を投影する利点が更に高まる。
【0053】
保護層は、直接又は接合層等を介して装飾層の上若しくは上方に樹脂組成物をコーティングして形成することができる。保護層のコーティングは、加飾フィルムを被着体である基体部品に適用する前又は適用した後に実施することができる。あるいは、剥離ライナー上に樹脂組成物をコーティングして保護層フィルムを形成し、接合層を介して装飾層上にそのフィルムをラミネートすることもできる。装飾層が、剥離ライナー上に形成された保護層フィルムに対して接着性を有する場合は、接合層を介さず装飾層に保護層フィルムを直接ラミネートすることもできる。保護層フィルムは、例えば、硬化性(メタ)アクリル樹脂組成物、反応性ポリウレタン組成物などの樹脂材料を、ナイフコート、バーコート、ブレードコート、ドクターコート、ロールコート、キャストコートなどによって剥離ライナーなどにコーティングし、必要に応じて光又は加熱硬化することによって、形成することができる。
【0054】
保護層として、押出、延伸などによってあらかじめフィルム状に形成されたものを使用してもよい。このようなフィルムは接合層を介して装飾層にラミネートすることができる。あるいは、装飾層が、このようなフィルムに対して接着性を有する場合は、接合層を介さずに装飾層にフィルムを直接ラミネートすることもできる。係るフィルムとして、平坦性の高いフィルムを使用することで、より表面平坦性の高い外観を物品(構造物)に与えることができる。保護層は、他の層と多層押し出しすることによって形成することもできる。他の層として、例えば、(メタ)アクリルフィルムを使用することができる。(メタ)アクリルフィルムとして、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリアクリル酸ブチル、(メタ)アクリル共重合体、エチレン/アクリル共重合体、エチレン酢酸ビニル/アクリル共重合体などを含む樹脂をフィルム状にして用いることができる。(メタ)アクリルフィルムは、透明性及び/又は耐擦傷性に優れ、熱及び/又は光に強く、屋外で使用しても退色及び/又は光沢変化が生じにくい。加えて、可塑剤を使用せずとも成形加工性に優れ、深絞り加工できるという特性を有しており、かつ、可塑剤を使用しなくてもよいため、耐汚染性にも優れている。特にPMMAを主成分とするものが好ましい。例えば、他の層として耐擦傷性等に優れる(メタ)アクリル樹脂を用い、保護層として耐薬品性等に優れるETFE、PVDF、PMMA/PVDFなどのフッ素樹脂を用いた場合には、形成される保護層は、両層の性能を兼ね備えたものとなり得る。
【0055】
a.保護層の任意成分
本開示の保護層は、用途に応じた保護性能、装飾性及び表示性等を阻害しない範囲において、任意成分として、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、ハードコート材、光沢付与剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、界面活性剤、レベリング剤、シランカップリング剤、触媒、顔料、染料などを含むことができる。中でも、ベンゾトリアゾール、Tinuvin(商標)400(BASF社製)などの紫外線吸収剤、Tinuvin(商標)292(BASF社製)などのヒンダードアミン光安定化剤(HALS)などを用いることによって、下層に位置する装飾層などに含まれる着色材(特に紫外線などの光に対する感受性が比較的高い有機系の染料又は顔料)の、変色、退色、劣化などを有効に防止することができる。ハードコート材は、保護層中に含まれていてもよく、保護層上に別途コーティングしてハードコート層として適用されていてもよい。
【0056】
保護層は、部分的に半透明又は不透明であってもよいが、画像又は映像等の表示性等の観点から、透明であることが好ましい。保護層の透明性及び耐薬品性等の保護性能の観点から、光散乱性に寄与するような大きさの、顔料、充填剤又は上述した光拡散性粒子等は、保護層中に含まれないことが好ましい。保護層に光拡散性粒子を配合するよりも、保護層よりも光投影装置の光投影部側に近く、保護層によって保護されている装飾層及び/又は接着層に配合した方が、加飾フィルムの保護性能及び装飾性の低下を防止することができるとともに、ホットスポットをより低減させることができる。
【0057】
b.保護層の厚さ
保護層の厚さは様々であってよいが、例えば、約1μm以上、約5μm以上、又は約10μm以上であってもよく、約200μm以下、約100μm以下、又は約80μm以下であってもよい。複雑な形状の物品に対して加飾フィルムを適用する場合、保護層は薄い方が形状追従性の観点から有利であり、例えば、約100μm以下、又は約80μm以下であることが好ましい。一方、物品に対して高い耐薬品性、耐候性、耐擦傷性等の性能を付与する場合、保護層は厚い方が有利であり、例えば、約5μm以上、又は約10μm以上であることが好ましい。
【0058】
c.保護層の貯蔵弾性率
いくつかの実施態様では、保護層の貯蔵弾性率が、周波数10Hz、引っ張りモードの条件で測定したときに110℃~150℃の温度範囲で約1.0×106Pa以上、約1.5×106Pa以上、又は約2.0×106Pa以上であってもよく、約1.5×108Pa以下又は約1.3×108Pa以下であってもよい。保護層が多層構造を有する場合、保護層の貯蔵弾性率とは、個々の層の貯蔵弾性率が複合した、多層構造全体について観測される一つの値を意味する。保護層の貯蔵弾性率が上記範囲であることにより、加飾フィルムに応力、熱などが加えられたとき又は加飾フィルムが変形したときに、装飾層、光輝層等の破損を防止することができる。
【0059】
d.耐引っかき性
保護層を備える加飾フィルムの耐引っかき性は、JIS K5600-5-4に準拠した鉛筆硬度によって評価することができる。ある実施態様の加飾フィルムは、加飾フィルムの接着層をガラス板の上に適用して固定し、600mm/分の速度で保護層を引っかいたときの鉛筆硬度を6B以上、5B以上、4B以上、又は3B以上とすることができる。
【0060】
(光輝層)
光輝層は、次のものに限定されないが、加飾フィルムを構成する層、例えば、装飾層を備える保護層の装飾層の上又は以下で説明する支持層の上の全面若しくは一部に、真空蒸着、スパッタ、イオンプレーティング、めっきなどによって形成された、アルミニウム、ニッケル、金、銀、銅、白金、クロム、鉄、スズ、インジウム、チタニウム、鉛、亜鉛、ゲルマニウムなどから選択される金属、又はこれらの合金若しくは化合物を含む層であってよい。光輝層の厚さについては、要する装飾性及び輝度等に応じて適宜選択することができる。
【0061】
本開示の加飾フィルムは、光投影時にはスクリーンとしても機能し得るため、光輝層を適用する場合には、光輝層は、光投影部からの光を透過し得る層であることが好ましい。
【0062】
(支持層)
本開示の加飾フィルムは、装飾層及び/又は光輝層を適用し得る支持層を備えることができる。支持層として、様々な樹脂、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含む(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体などの共重合体又はこれらの混合物が使用できる。強度、耐衝撃性などの観点から、支持層としてポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体及びポリカーボネートが有利に使用できる。支持層は、成形時の均一な伸びを提供する、及び/又は外部からの穿刺、衝撃などから物品(構造体)をより有効に保護する機能を奏することもできる。支持層には、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理などの表面処理が適用されてもよい。
【0063】
a.支持層の任意成分
本開示の支持層は、装飾性及び表示性等を阻害しない範囲において、任意成分として、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、界面活性剤、レベリング剤、シランカップリング剤、触媒、顔料、染料などを含むことができる。支持層は、部分的に半透明又は不透明であってもよいが、画像又は映像等の表示性等の観点から、透明であることが好ましく、装飾層又は光輝層における装飾性又は光輝性等への影響を考慮すると、支持層の表面は略平坦であることが好ましい。したがって、透明性、装飾性、光輝性等の観点から、光散乱性及び表面凹凸性に寄与するような大きさの、顔料、充填剤又は上述した光拡散性粒子等は、支持層中に含まれないことが好ましい。
【0064】
b.支持層の厚さ
支持層の厚さは様々であってよいが、加飾フィルムの成形性、強度、耐衝撃性等の観点から、一般に、約10μm以上、約20μm以上、又は約50μm以上とすることができ、約500μm以下、約200μm以下、又は約100μm以下とすることができる。
【0065】
c.支持層の貯蔵弾性率
いくつかの実施態様では、支持層の貯蔵弾性率が、周波数10Hz、引っ張りモードの条件で測定したときに110℃~150℃の温度範囲で約1.0×106Pa以上、約1.5×106Pa以上、又は約2.0×106Pa以上であってもよく、約1.5×108Pa以下又は約1.3×108Pa以下であってもよい。支持層の貯蔵弾性率が上記範囲であることにより、加飾フィルムに応力、熱などが加えられたとき又は加飾フィルムが変形したときに、装飾層又は光輝層の破損を防止することができる。
【0066】
支持層は単層又は多層構造であってもよい。支持層が多層構造である場合、支持層の貯蔵弾性率とは、個々の層の貯蔵弾性率が複合した、多層構造全体について観測される一つの値を意味する。
【0067】
(接合層)
加飾フィルムを構成する各層を接合するために接合層(「プライマー層」などと呼ばれる場合もある。)を用いてもよい。接合層として、例えば、一般に使用される(メタ)アクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ゴム系などの、溶剤型、エマルジョン型、感圧型、感熱型、熱硬化型又は紫外線硬化型の接着剤を使用することができる。接合層は、公知のコーティング法などによって適用することができる。
【0068】
a.接合層の任意成分
本開示の接合層は、装飾性及び表示性等を阻害しない範囲において、任意成分として、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、粘着付与剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、界面活性剤、レベリング剤、シランカップリング剤、触媒、顔料、染料などを含むことができる。
【0069】
b.接合層の厚さ
接合層の厚さは、例えば、約0.05μm以上、約0.5μm以上、又は約5μm以上とすることができ、約100μm以下、約50μm以下、又は約20μm以下とすることができる。
【0070】
(剥離ライナー)
接着層を保護するために、任意の好適な剥離ライナーを使用することができる。代表的な剥離ライナーとして、紙(例えば、クラフト紙)又はポリマー材料(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンビニルアセテート、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルなど)から調製されるものが挙げられる。剥離ライナーは、必要に応じてシリコーン含有材料又はフルオロカーボン含有材料などの剥離剤の層が適用されていてもよい。
【0071】
a.剥離ライナーの厚さ
剥離ライナーの厚さは、例えば、約5μm以上、約15μm以上又は約25μm以上とすることができ、約300μm以下、約200μm以下又は約150μm以下とすることができる。
【0072】
〈用途〉
本開示の光投影用熱延伸性加飾フィルムは、光非投影時には装飾性を呈し、光投影時にはスクリーンとしても機能する性能を有しているため、例えば、自動車、鉄道などの車両、船舶、航空機等の内装又は外装部材、家電製品、建材、ショーウインドウ、ショーケースなどに対して使用することができる。本開示の光投影用熱延伸性加飾フィルムは、ホットスポットを低減し得る性能も奏するため、自動車のインストルメントパネル(インパネ)部分等の内装部材への使用に特に適している。係る加飾フィルムを、例えば、曲面形状を有するような自動車のインパネ部分に適用した場合、従来の外観そのままに、或いは、車内の空間デザインを悪化させることなく、必要に応じてリアプロジェクション表示システムなどからの画像又は映像等の情報をインパネ部分に映し出すこともできる。
【0073】
《光投影用熱延伸性加飾フィルムの製造方法》
加飾フィルムは、例えば、表面を剥離処理したPETフィルムなどの剥離ライナーの上、又は加飾フィルムを構成する、例えば、保護層若しくは支持層の上に、装飾層又は接着層などをコーティング法等を用いて各々形成しておき、必要に応じて接合層を介して、これらを積層することにより製造することができる。あるいは、一枚の剥離ライナーの上に、コーティング工程、並びに必要に応じて乾燥及び/又は硬化工程を繰り返して、各層を順次積層することもできる。各層の材料を多層押し出しして加飾フィルムを形成することもできる。本開示の光投影用熱延伸性加飾フィルムの製造方法の一例について、図1、2を参照しながら例示的に説明するが、加飾フィルムの製造方法はこれらに限られない。
【0074】
剥離ライナー(図示せず)上に、グラビアインク及びグラビアコート法などを用いて装飾層(120、220)を適用し、必要に応じて乾燥及び/又は硬化工程を更に適用して積層体Aを形成する。別の剥離ライナー(図示せず)上に、PMMA等の(メタ)アクリル樹脂、PMMA/PVDF等のフッ素樹脂などを、コーティング法、単層若しくは多層押出し法などを用いて適用し、必要に応じて乾燥及び/又は硬化工程を更に適用して保護層(110、210)を備える積層体Bを形成する。積層体Aの装飾層と積層体Bの保護層とを、直接又は接合層を介し、必要に応じて加熱及び/又は加圧して貼り合わせ、積層体Cを形成する。次いで、図2に示されるような光輝層(230)を適用する場合には、積層体Cの装飾層側の剥離ライナーを除去後、光輝層(230)を、蒸着法等を用いて装飾層上に直接又は接合層を介して適用してもよく、或いは、光輝層(230)を蒸着法等を用いて支持層(240)上に直接又は接合層を介して適用して積層体Dを形成し、積層体Cの装飾層と積層体Dの光輝層とを、直接又は接合層を介し、必要に応じて加熱及び/又は加圧することによって貼り合わせてもよい。さらに、別の剥離ライナー(図示せず)上に、コーティング法などを用いて接着層(150、250)を適用し、必要に応じて乾燥及び/又は硬化工程を更に適用して積層体Fを形成する。積層体Cの装飾層、又は存在する場合は、光輝層若しくは支持層に対して、積層体Fの接着層を必要に応じて加熱及び/又は加圧して貼り合わせて、光投影用熱延伸性加飾フィルム(100、200)を形成する。
【0075】
《光投影用熱延伸性加飾フィルムを備える物品》
本開示の一実施態様によれば、加飾フィルムを基体部品に被覆した物品が提供される。例えば、インサートモールディング(IM)又は三次元被覆成形法(Three-dimensional Overlay Method:TOM)により加飾フィルムを基体部品に適用することによって、加飾フィルムを貼り付けた物品を形成することができる。別の実施態様では、基体部品となる熱可塑性材料を加飾フィルムの上に押し出すことによって、加飾フィルム及び押し出された熱可塑性材料が合体した物品を形成することができる。IM、TOM、及び押出し法は、従来公知の方法によって行うことができる。本開示の加飾フィルムは、TOM、IM、押出し法などの様々な成形技術において利用することができるが、特にTOMにおいて好適に使用することができる。
【0076】
基体部品に用いられる材料は特に制限はなく、次のものに限定されないが、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、又はそれらの混合物などを挙げることができる。基体部品は、様々な平面及び/又は3次元形状を有することができる。また、基体部品は、光を透過しやすいことが望ましい。
【0077】
成形後の加飾フィルムの最大面積伸び率は、一般に、約50%以上、約100%以上、又は約150%以上、約500%以下、約400%以下、又は約300%以下である。面積伸び率は、面積伸び率(%)=(B-A)/A(A:加飾フィルムのある部分の成形前の面積、B:加飾フィルムのAに対応する部分の成形後の面積)で定義される。例えば、加飾フィルムのある部分の面積が成形前に100cm2であって、その部分が成形後に物品の表面で250cm2となった場合は150%である。最大面積伸び率は、成形品表面全ての加飾フィルムの中で最も高い面積伸び率の箇所の値を指す。3次元形状を有する物品に平らなフィルムをTOMにより貼り付けると、例えば、最初にフィルムが基体部品に当たる部分はほとんど延伸されず面積伸び率はほぼ0%となり、最後に貼り付けられる端部では大きく延伸されて面積伸び率が200%以上になる場合がある。このように、場所によって面積伸び率が大きく異なる場合がある。フィルムが最も大きく延伸された部分に対し、基体部品に対する未追従、フィルムの破れなどの不具合が生じるか否かが成形の合否を決める。したがって、成形品全体の平均面積伸び率ではなく、最も大きく延伸された部分の面積伸び率、すなわち最大面積伸び率が成形品の合否の実質的な指標となる。最大面積伸び率は、例えば、成形前の加飾フィルムの表面全体に1mm四方のマス目を印刷しておき、成形後にその面積変化を測定する、或いは、成形前後の加飾フィルムの厚さを測定することにより確認できる。
【実施例
【0078】
《実施例1~13及び比較例1》
以下の実施例において、本開示の具体的な実施態様を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。部及びパーセントは全て、特に明記しない限り質量による。
【0079】
本実施例で使用した商品などを以下の表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
表1に示す材料を表2に示す配合割合で混合し、装飾層及び接着層を作製するためのコーティング液を各々作製した。ここで、接着層用コーティング液におけるアクリル系感圧接着剤としては、約1.49のアクリル樹脂理論屈折率となるように調整した感圧接着剤を使用した。表2における数値は全て質量%を意味する。
【0082】
【表2】
【0083】
〈実施例1〉
ポリエステル樹脂製剥離ライナー上に、装飾層用コーティング液G-3をコーティングした後、110℃で5分間加熱して乾燥させて、厚さ約6μmの装飾層を備える積層体Aを形成した。次いで、積層体Aの装飾層と、保護層としてのPMMA及びPVDFからなる厚さ約105μmの多層押出しフィルム(以下、単に「保護層」という場合がある。)とを、120℃でラミネートして積層体Bを形成した。積層体Bの剥離ライナーを除去後、係る積層体Bの装飾層と、支持層としての厚さ20μmのポリウレタンフィルム(以下、単に「支持層」という場合がある。)とを、120℃でラミネートして積層体Cを形成した。次いで、別のポリエステル樹脂製剥離ライナー上に、ナイフコーターを用いて、接着層用コーティング液T-4をコーティングした後、120℃で10分間加熱して乾燥させて、厚さ約40μmの接着層を備える積層体Dを形成した。積層体Cの支持層と、積層体Dの接着層とを、50℃でラミネートして加飾フィルムを形成した。
【0084】
〈実施例2〉
装飾層用コーティング液をG-1に変更したこと、装飾層の厚さを約8μmに変更したこと、接着層用コーティング液をT-3に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の加飾フィルムを作製した。
【0085】
〈実施例3〉
装飾層用コーティング液をG-2に変更したこと、装飾層の厚さを約8μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の加飾フィルムを作製した。
【0086】
〈実施例4〉
装飾層の厚さを約8μmに変更したこと、接着層用コーティング液をT-2に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の加飾フィルムを作製した。
【0087】
〈実施例5〉
装飾層用コーティング液をG-1に変更したこと、装飾層の厚さを約10μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の加飾フィルムを作製した。
【0088】
〈実施例6〉
装飾層用コーティング液をG-2に変更したこと、装飾層の厚さを約10μmに変更したこと、接着層用コーティング液をT-2に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6の加飾フィルムを作製した。
【0089】
〈実施例7〉
装飾層の厚さを約10μmに変更したこと、接着層用コーティング液をT-3に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7の加飾フィルムを作製した。
【0090】
〈実施例8〉
装飾層の厚さを約10μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8の加飾フィルムを作製した。
【0091】
〈実施例9〉
装飾層用コーティング液をG-0に変更したこと、装飾層の厚さを約8μmに変更したこと、接着層用コーティング液をT-5に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9の加飾フィルムを作製した。
【0092】
〈実施例10〉
装飾層用コーティング液をG-0に変更したこと、装飾層の厚さを約8μmに変更したこと、接着層用コーティング液をT-6に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例10の加飾フィルムを作製した。
【0093】
〈実施例11〉
装飾層用コーティング液をG-0に変更したこと、装飾層の厚さを約8μmに変更したこと、光輝層に相当する300~700nm厚のスズ蒸着層を備える支持層を採用したこと、接着層用コーティング液をT-6に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例11の加飾フィルムを作製した。
【0094】
〈実施例12〉
装飾層用コーティング液をG-0に変更したこと、装飾層の厚さを約8μmに変更したこと、接着層用コーティング液をT-7に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例12の加飾フィルムを作製した。
【0095】
〈実施例13〉
装飾層用コーティング液をG-0に変更したこと、装飾層の厚さを約8μmに変更したこと、接着層用コーティング液をT-7に変更したこと、接着層の厚さを約60μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例13の加飾フィルムを作製した。
【0096】
〈比較例1〉
装飾層用コーティング液をG-0に変更したこと、装飾層の厚さを約8μmに変更したこと、接着層用コーティング液をT-1に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の加飾フィルムを作製した。
【0097】
<評価試験>
各加飾フィルムの特性を、以下の方法を用いて評価した。
【0098】
(視野角輝度試験)
輝度測定用カメラであるELDIM社製の「EZ Contrast」及び小型プロジェクターである3M社製の「Camcorder Projector CP45R」の光投影部との間に、加飾フィルムのサンプルを、加飾フィルムの主表面が光投影部に対して垂直となり、光投影部と加飾フィルムの間隔が約32cmとなるように配置した。得られた7/10値角、9/10値角、各視野角における輝度値に関する結果を、表3及び図3~10に示す。ここで、図5は、比較例1の構成に対応し、図6~10は、実施例8~10及び実施例12及び13に対応している。表3における光拡散性の結果は、図5~10のグラフから、ホットスポットのピーク(最大輝度に基づくピーク)が明確に確認し得るものを「不可」、ホットスポットのピークが僅かに確認し得るものを「可」、ホットスポットのピークが全く確認できなかったものを「良」として判断したものである。
【0099】
【表3】
【0100】
〈結果〉
図3からも分かるように、装飾層及び接着層における単位面積当たりの光拡散性粒子の合計量が、約2.0g/m以上であると、7/10値角が約20度以上となる傾向にあった。そして、7/10値角が20度未満である比較例1の加飾フィルムは、図5を見ても分かるように、ホットスポットの改善効果が乏しかった。一方、7/10値角が約20度以上の実施例1~13の加飾フィルムは、図6~10からも分かるように、ホットスポットを大幅に低減できることが分かった。
【0101】
図4からも分かるように、装飾層及び接着層における単位面積当たりの光拡散性粒子の合計量が、約3.0g/m以上であると、9/10値角が約30度以上となる傾向にあった。そして、9/10値角が約30度以上である実施例8及び10~13の加飾フィルムは、図6~10を比較すれば分かるように、7/10値角が約20度以上、9/10値角が約30度未満の実施例9の加飾フィルム(図7)などと比べ、ホットスポットをさらに低減し得ることが確認できた。
【0102】
本発明の基本的な原理から逸脱することなく、上記の実施態様及び実施例が様々に変更可能であることは当業者に明らかである。また、本発明の様々な改良及び変更が本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに実施できることは当業者には明らかである。
【符号の説明】
【0103】
100、200 光投影用熱延伸性加飾フィルム
110、210 保護層
120、220 装飾層
150、250 接着層
230 光輝層
240 支持層
本開示の実施態様の一部を以下の[項目1]-[項目11]に記載する。
[項目1]
装飾層及び接着層を含む、光投影用熱延伸性加飾フィルムであって、
装飾層及び接着層の内の少なくとも一層が、光拡散性粒子を含み、
装飾層及び接着層における単位面積当たりの前記光拡散性粒子の合計量が、2.0g/m 以上である、光投影用熱延伸性加飾フィルム。
[項目2]
輝度の7/10値角が、20度以上である、項目1に記載の光投影用熱延伸性加飾フィルム。
[項目3]
輝度の9/10値角が、30度以上である、項目1又は2に記載の光投影用熱延伸性加飾フィルム。
[項目4]
前記光拡散性粒子は、該粒子を含まない、装飾層又は接着層の屈折率との差が0.05以上である、項目1~3のいずれか一項に記載の光投影用熱延伸性加飾フィルム。
[項目5]
前記光拡散性粒子は、0.1~5.0μmの平均粒子径を有する、項目1~4のいずれか一項に記載の光投影用熱延伸性加飾フィルム。
[項目6]
前記光拡散性粒子が、スチレン粒子及び酸化チタン粒子の少なくとも一種を含む、項目1~5のいずれか一項に記載の光投影用熱延伸性加飾フィルム。
[項目7]
装飾層の上若しくは上方に保護層をさらに含む、並びに/又は、装飾層及び接着層の間に、光輝層、若しくは光輝層を備える支持層をさらに含む、項目1~6のいずれか一項に記載の光投影用熱延伸性加飾フィルム。
[項目8]
リアプロジェクション用として使用される、項目1~7のいずれか一項に記載の光投影用熱延伸性加飾フィルム。
[項目9]
車載用として使用される、項目1~8のいずれか一項に記載の光投影用熱延伸性加飾フィルム。
[項目10]
項目1~9のいずれか一項に記載の光投影用熱延伸性加飾フィルムを基体部品に貼り付けた物品。
[項目11]
項目1~9のいずれか一項に記載の光投影用熱延伸性加飾フィルムと基体部品とを用意する工程、及び
前記加飾フィルムを三次元被覆成形法により前記基体部品表面に適用し、前記加飾フィルムが前記基体部品表面に貼り付けられた物品を形成する工程、を含む、物品の製造方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10