(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】加熱部を有する鉄道車両用端部塞ぎ板、および加熱部を有する鉄道車両用端部塞ぎ板の制御方法
(51)【国際特許分類】
B61D 49/00 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
B61D49/00 Z
(21)【出願番号】P 2018020925
(22)【出願日】2018-02-08
【審査請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】國廣 創
(72)【発明者】
【氏名】浜中 奈津季
(72)【発明者】
【氏名】奥野 満生
(72)【発明者】
【氏名】上野 有司
(72)【発明者】
【氏名】上野 雅之
(72)【発明者】
【氏名】藤井 忠
(72)【発明者】
【氏名】讃井 英人
(72)【発明者】
【氏名】岡田 日貴
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-018616(JP,A)
【文献】特開2017-128183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鉄道車両から組成された編成車両の長手方向の両端部に連結される前記鉄道車両を支持する台車の進行方向前後に備えられる加熱部を有する鉄道車両用端部塞ぎ板において、
前記加熱部を有する鉄道車両用
端部塞ぎ板は、
第1加熱部と、前記第1加熱部の高さ方向の上方に設けられた第2加熱部とを有しており、
前記第1加熱部が生じる単位面積当たりの発熱量を、前記第2加熱部が生じる単位面積当たりの発熱量より大きく
し、
前記第1加熱部に備えられる第1線状発熱体の単位長さ当たりの発熱量は、前記第2加熱部に備えられる第2線状発熱体の単位長さ当たりの発熱量より大きく、
前記第1加熱部に敷設される前記第1線状発熱体の単位面積当たりの敷設密度が、前記第2加熱部に備えられる前記第2線状発熱体の単位面積当たりの敷設密度がほぼ同じであること
を特徴とする加熱部を有する鉄道車両用端部塞ぎ板。
【請求項2】
請求項1に記載される加熱部を有する鉄道車両用
端部塞ぎ板において、
前記鉄道車両の幅方向の中央部に備えられる第2端部塞ぎ板と、
前記第2端部塞ぎ板の前記幅方向の両端部に接続する第1端部塞ぎ板と、
から構成されており、
前記第1端部塞ぎ板は、
前記第1加熱部と前記第2加熱部を有すること
を特徴とする加熱部を有する鉄道車両用端部塞ぎ板。
【請求項3】
請求項2に記載される
加熱部を有する鉄道車両用端部塞ぎ板において、
前記台車は、一対の車輪と、前記車輪を連結する車軸を有しており、
前記第1端部塞ぎ板は、
前記車輪の近傍に備えられること
を特徴とする加熱部を有する鉄道車両用端部塞ぎ板。
【請求項4】
請求項1から請求項
3のいずれかの1項に記載される加熱部を有する鉄道車両用端部塞ぎ板の制御方法において、
降雪情報に基づき、前記鉄道車両用端部塞ぎ板の加熱の要否を判断する第1ステップと、
前記編成車両の進行方向に応じて、前記台車の進行方向前後いずれの前記鉄道車両用端部塞ぎ板を加熱するか選択する第2ステップと、
前記降雪情報に基づいて、前記第2ステップで選択された前記鉄道車両用端部塞ぎ板を、加熱の強運転または弱運転のいずれで行うか選択する第3ステップと、を有しており、
前記第3ステップで弱運転が選択された場合には、前記第1加熱部に通電する第4ステップと、
前記第3ステップで強運転が選択された場合には、前記第1加熱部および前記第2加熱部に通電する第5ステップと、を有すること
を特徴とする加熱部を有する鉄道車両用端部塞ぎ板の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱部を有する鉄道車両用端部塞ぎ板、および加熱部を有する鉄道車両用端部塞ぎ板の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両が降雪地帯を走行する場合、鉄道車両の床部を構成する台枠の下方に備えられる台車や、床下機器を覆うカバー等に付した雪が成長して雪塊となることがある。鉄道車両の台枠の下方に付着した雪塊は、降雪地帯を通過した後、比較的温暖な地域を走行する際の気温上昇および走行に伴う振動等によって軌道上に落下する場合がある。高速で走行する鉄道車両から落下した雪塊は、軌道に敷設されるバラスト(砕石など)を飛散させることがある。飛散したバラストが自鉄道車両や対向する鉄道車両、さらには、軌道敷地外の沿線に被害をもたらすおそれがある。
【0003】
特許文献1に、鉄道車両の床下、特に、台車部に付着した氷雪を融解させるための鉄道車両用融雪装置が開示されている。この文献によれば、この鉄道車両用融雪装置は、線状ヒータとケーシングと塞ぎ板とを備え、このケーシングは、車両長手方向における車体側の第一の面と、この第一の面の反対側で塞ぎ板により塞がれる第二の面と、この第二の面側に設けられた、線状ヒータを取り付けるためのガイド溝と、を有し、線状ヒータがケーシングと塞ぎ板により覆われることを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
鉄道車両の台車においては、軌道の水平面内の曲率に追随して旋回する台車の旋回動作や、軌道の垂直面内の縦曲線に追随する台車のピッチング動作を許容するため、台車の周囲には空隙部が備えられる。この空隙部は、台車の上方に位置する鉄道車両の台枠の下面と、この下面の幅方向の両端部から垂下するととともに台車の側方を覆う側スカートと、この下面の長手(前後)方向の両端部に備えられるともに台車の長手方向の端部を覆う端部塞ぎ板とによって区画される。
【0006】
台車の前後に位置する端部塞ぎ板は、鉄道車両の走行に伴って、氷雪を含む空気の流れが衝突しやすい部位なので特に着雪量が多い。さらに、空隙部に対応する台枠の下面の長手方向の端部と側スカートの上端部と端部塞ぎ板の幅方向の端部が近接する隅部等においては、雪塊が成長しやすい。
【0007】
更に、冬季の現車実験による端部塞ぎ板へ着雪現象の観察や、風洞実験等による台車部周囲の流れ場の再現試験およびシミュレーションなどを行った結果、以下の知見が確認された。具体的には、端部塞ぎ板への着雪は、走行風によって舞い上がった雪等によるものではなく、車輪の回転によって飛散した氷雪等による堆積が支配的であること、さらに、編成車両の長手方向の中央部の鉄道車両が備える端部塞ぎ板への着雪量に比較して、編成車両の両端部に位置する鉄道車両が備える端部塞ぎ板への着雪量がより多いことなどの知見が確認された。
【0008】
そして、車輪の後方(台車の下流側)に位置するとともに軌道(線路)に近い端部塞ぎ板の表面への着雪が著しく、車輪の前方(台車の上流側)に位置する端部塞ぎ板への着雪は少ないことなどの知見も把握された。
【0009】
かかる知見に基づけば、複数の鉄道車両が組成される編成車両において、上述した端部塞ぎ板への着雪状況に応じてヒータ装置を最適に配置するとともに、より少ない消費電力で効果的かつ効率的に端部塞ぎ板への着雪を抑制する点において、更に改良すべき余地がある。
【0010】
本発明の課題は、端部塞ぎ板への着雪状況に応じて加熱部を有する端部塞ぎ板を編成に最適に配置するとともに、これら加熱部の制御方法を最適化することによって、少ない消費電力で効果的かつ効率的に端部塞ぎ板への着雪を抑制できる加熱部を有する鉄道車両用端部塞ぎ板、および加熱部を有する鉄道車両用端部塞ぎ板の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、代表的な本発明の加熱部を有する鉄道車両用端部塞ぎ板の一つは、鉄道車両を支持する台車の前後に備えられる加熱部を有する鉄道車両用端部塞ぎ板において、
前記加熱部を有する鉄道車両用端部塞ぎ板は、
第1加熱部と、前記第1加熱部の高さ方向の上方に設けられた第2加熱部とを有しており、
前記第1加熱部が生じる単位面積当たりの発熱量を、前記第2加熱部が生じる単位面積当たりの発熱量より大きくし、
前記第1加熱部に備えられる第1線状発熱体の単位長さ当たりの発熱量は、前記第2加熱部に備えられる第2線状発熱体の単位長さ当たりの発熱量より大きく、
前記第1加熱部に敷設される前記第1線状発熱体の単位面積当たりの敷設密度が、前記第2加熱部に備えられる前記第2線状発熱体の単位面積当たりの敷設密度がほぼ同じであること、により達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以上の構成を備えるため、端部塞ぎ板への着雪状況に応じて加熱部を有する端部塞ぎ板を編成に最適に配置するとともに、これら加熱部の制御方法を最適化することによって、少ない消費電力で効果的かつ効率的に端部塞ぎ板への着雪を抑制できる加熱部を有する鉄道車両用端部塞ぎ板、および加熱部を有する鉄道車両用端部塞ぎ板の制御方法を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、加熱部を有する端部塞ぎ板を備える車両から組成される編成車両の模式図(上面図)である。
【
図2】
図2は、加熱部を有する端部塞ぎ板の正面図(
図1のA-A断面図)である。
【
図3】
図3は、鉄道車両を走行可能に支持する台車の前方および後方に備えられる加熱部を有する端部塞ぎ板の断面図(
図2のB-B断面図)である。
【
図4】
図4は、線状発熱体の敷設密度の差異によって高さ方向に温度勾配を付与した加熱部を有する端部塞ぎ板(両端部)の正面図であるが、上枠体は取り外した状態で示している。
【
図5】
図5は、別な実施形態にかかる、単位長さ当たりの発熱量に差異のある線状発熱体によって高さ方向に温度勾配を付与した加熱部を有する端部塞ぎ板(両端部)の正面図であるが、上枠体は取り外した状態で示している。
【
図6】
図6は、加熱部を有する端部塞ぎ板(中央部)の正面図であるが、上枠体は取り外した状態で示している。
【
図7】
図7は、鉄道車両に搭載される加熱部を有する端部塞ぎ板(中央部)の断面図(
図4のC-C断面図)である。
【
図8】
図8は、加熱部を有する端部塞ぎ板の加熱部の制御方法を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、
図8に続く、加熱部を有する端部塞ぎ板の加熱部の制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照して、本発明の実施の形態を説明する。まず、説明に供する各方向を定義する。鉄道車両の長手方向またはレール方向をX方向、鉄道車両の幅方向または枕木方向をY方向、鉄道車両の高さ方向をZ方向とし、以下、単にX方向、Y方向、Z方向と記す。
【0015】
図1は、加熱部を有する端部塞ぎ板を備える車両から組成される編成車両の模式図(上面図)である。編成車両1は、例えば16両編成に組成されており、下り方向90aの側から順に、1号車5a、2号車5b、3号車5c、4号車から13号車の図示を省略して、14号車5n、15号車5o、16号車5pが連結される。
【0016】
各号車は、下り90a側の台車20aと上り90b側の台車20bに支持される。台車20aは、下り90a側に備えられる端部塞ぎ板14aと、上り90b側に備えられる端部塞ぎ板14bとの間に備えられており、同様に、台車20bは、端部塞ぎ板15aと端部塞ぎ板15bの間に備えられる。
【0017】
例えば、冬季に降雪区間を高速で走行する16両からなる編成車両1の場合、16両編成の内の下り90a側の3両(1~3号車)と、上り90b側の3両(14~16号車)台車近傍における端部塞ぎ板14a、14b、15a、15bへの着雪量が大きい一方、編成車両1の中央部(4号車から12号車)の車両の床下の着雪量は少ないことが、営業列車における実際の着雪状況の観察や、冬季に実施した現車による走行試験などから判明している。
【0018】
そこで、本実施の形態にかかる編成車両1では、下り90a側の1~3号車、および上り90b側の14~16号車の床下に備えられる端部塞ぎ板14a、14b、15a、15bのみに、加熱部を有する端部塞ぎ板を備えることとする。一方、編成車両1の中央部の4~13号車の床下には、加熱部を有さない端部塞ぎ板(図示なし)を備えることとする。
【0019】
この構成によって、編成車両1の編成全体に渡る全号車に加熱部を有する端部塞ぎ板を備える場合に比較して、加熱部を有する端部塞ぎ板の数を少なくできるとともに、これらの製作コストを低減することができる。さらに、加熱部を有する端部塞ぎ板を、編成車両1の長手方向の両端部に位置する着雪量の多い号車にのみに備えることで、加熱部を有する端部塞ぎ板で消費される合計の消費電力を小さくすることができる。
【0020】
なお、上記の説明は、編成全体に渡って車両に加熱部を有する端部塞ぎ板を配置するのではなく、編成全体の中央部の車両には加熱部を有しない通常の端部塞ぎ板を備えるとともにその両端部の車両に、加熱部を有する端部塞ぎ板を備える編成車両を例示したものである。したがって、例えば16両の車両からなる16両編成の編成車両とすること、または、加熱部を有する端部塞ぎ板を備える鉄道車両を編成の両端部の3両のみとすること等に、本発明が限定されることはない。以下、具体的に端部塞ぎ板の構成について説明する。
【0021】
図2は、加熱部を有する端部塞ぎ板の正面図(
図1のA-A断面図)である。鉄道車両の車体10は、床面をなす台枠11と、台枠11のY方向の両端部に立設される側構体20を有する。側構体20の下端部には、機器40(
図3参照)の側方を覆う側スカート18が備えられる。車体10の床下のY方向の両端部に備えられる側スカート18の下端部には、下塞ぎ板17が備えらえる。台枠11のY方向の端部の上方には、電線樋42が備えられ、電線樋42には補助回路等の電線が載置される。
【0022】
台枠11をなす端部台枠11aと中央部台枠11bとの接続部11c(
図3参照)の下方に、Y方向に沿って水平支持部15が備えられる。水平支持部15のY方向の中央部に、加熱部を有する端部塞ぎ板(第2端部塞ぎ板)34(中央部)が備えられ、水平支持部15のY方向の両端部には、加熱部を有する端部塞ぎ板34(中央部)に隣接する態様で、加熱部を有する端部塞ぎ板(第1端部塞ぎ板)32(両端部)が備えられる。このように、加熱部を有する端部塞ぎ板34、32を3枚に分割して用いることで、1人の作業者が1枚の加熱部を有する端部塞ぎ板を持ち上げることができ、作業性が高まる。
【0023】
加熱部を有する端部塞ぎ板34(中央部)および加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)の上端部には、複数のボルト孔19が備えられており、このボルト孔19に挿通したボルト(以下、ボルトについては特に図示しないものとする)を用いて、加熱部を有する端部塞ぎ板34(32)は水平支持部15に固定される。加熱部を有する端部塞ぎ板34(中央部)および加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)の下端部は、下塞ぎ板17とボルトで接続される(
図3参照)。
【0024】
図3は、鉄道車両を走行可能に支持する台車の前方および後方に備えられる加熱部を有する端部塞ぎ板の断面図(
図2のB-B断面図)である。鉄道車両の車体10は、床面をなす台枠11と、台枠11のY方向の端部に立設される側構体20(
図2参照)と、台枠11のX方向の両端部に立設される妻構体(図示なし)と、側構体20および妻構体の上端部に載置される屋根構体(図示なし)からなる鉄道車両構体と、この鉄道車両構体と、鉄道車両構体のY方向の両端部の下方に備えられるとともにレール60上を転動可能な車輪22を備える台車から構成される。一対の車輪22は、車軸23により連結されている。
【0025】
台枠11は、そのY方向の端部に備えられる端部台枠11aと、そのY方向の中央部に備えられる中央部台枠11bからなる。台車は、端部台枠11aの下方に備えられる。中央部台枠11bは、Y方向に沿って備えられる複数の隔置される横梁12と床板(図示なし)からなる。横梁12はその下端部に一体にカーテンレールを有しており、機器40などがこのカーテンレールを利用して点線で示すようにして固定される。
【0026】
中央部台枠11bからZ方向に所定の寸法だけ下がった位置に、中央部台枠11bと略平行に下塞ぎ板17が備えられる。端部台枠11aと中央部台枠11bとの接続部11cと、下塞ぎ板17のX方向の端部とは、傾斜する態様で備えられる加熱部を有する端部塞ぎ板34(32)で接続される。尚、一部の機器41は下塞ぎ板17の上面に固定される。
【0027】
冬季に降雪地区を編成車両1が高速で走行すると、車輪22の進行方向後方に位置する加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)に、回転する車輪22によって矢印94の方向に跳ね上げられて飛散する雪塊が衝突して堆積する。このため、加熱部を有する端部塞ぎ板34に堆積する雪塊80のZ方向の分布は、Z方向の上方部よりも、跳ね上げ起点に近いZ方向の下方部に多く堆雪する態様を示す。
【0028】
図4は、線状発熱体の敷設密度の差異によって高さ方向に温度勾配を付与した加熱部を有する端部塞ぎ板(両端部)の正面図であるが、上枠体は取り外した状態で示している。
加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)は、下枠体37と、下枠体37に組み合わされる上枠体38(
図7参照)からなる箱状体である。加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)は、略三角形状部32aと略正方形部32bからなる。
【0029】
略正方形部32bには、Z方向に沿って、上部加熱部32uと下部加熱部32dが備えらえる。第2加熱部である上部加熱部32uは、長方形状の上部発熱体保持部35u1を備える。第1加熱部である下部加熱部32dも、長方形状の下部発熱体保持部35d1を備える。
【0030】
さらに、上部発熱体保持部35u1及び下部発熱体保持部35d1は、Z方向に隔置される一対の梯子状の水平部35hと、水平部35hの両端部同士を接続する一対の垂直部35vからなる枠体をそれぞれ備える。垂直部35vは、Z方向に離散的に備えられるとともにボルト孔を有する複数の固定部35fを備える。固定部35fを利用して、上部発熱体保持部35u1および下部発熱体保持部35d1は、下枠体37(
図7参照)に固定される。
【0031】
上部発熱体保持部35u1は、第2線状発熱体である上部線状発熱体36u1を備え、下部発熱体保持部35d1は、第1線状発熱体である下部線状発熱体36d1を備える。上部線状発熱体36u1および下部線状発熱体36d1は、可撓性のある線状発熱体(ラインヒータ)であり、上部発熱体保持部35u1および下部発熱体保持部35d1をなす一対の水平部35hのうち、一方の水平部35hから他方の水平部35hに、Z方向に沿う態様で、たすき状に架け渡される態様(一対の水平部35hに交互に掛け回されるようにして)で、上部発熱体保持部35u1及び下部発熱体保持部35d1に保持される。
【0032】
本実施形態では、上部線状発熱体36u1の単位長さ当たりの発熱量は、下部線状発熱体36d1のそれと同じである。これにより、上部線状発熱体36u1と下部線状発熱体36d1に用いるラインヒータの共通化を図れる。ただし、上部発熱体保持部35u1に備えられる上部線状発熱体36u1の敷設密度を、下部発熱体保持部35d1に備えられる下部線状発熱体36d1のそれよりも小さくしている。具体的には、上部線状発熱体36u1は、水平部35hの等間隔に形成された小区画を1つおきに掛け回し、下部線状発熱体36d1は、水平部35hの隣接する小区画に掛け回している。これにより、上部加熱部32uの単位面積当たりの発熱量を、下部加熱部32dのそれより小さくすることができる。
【0033】
この構成によれば、線状発熱体の敷設密度に応じて発熱量に差が生じるので、線状発熱体の種類を増やすことなく、下部線状発熱体36d1にのみ通電した場合は勿論のこと、下部線状発熱体36d1に加えて上部線状発熱体36u1に通電した場合であっても、加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)に、下部加熱部32dから上部加熱部32uに向かって温度(発熱量)が下がる温度勾配を付与することができる。
【0034】
上述したように、加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)は、Z方向に2分割される上部加熱部32uおよび下部加熱部32dを備える。上部加熱部32u(上部線状発熱体36u1)と下部加熱部32d(下部線状発熱体36d1)とは、独立して駆動制御することができる。つまり、降雪量の多少に応じて、加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)への堆雪量が少ないと推測される場合は、下部加熱部32d(下部線状発熱体36d1)にのみ通電して少ない消費電力で融雪することができる。一方、堆雪量が多いと推測される場合は、上部加熱部32u(上部線状発熱体36u1)と下部加熱部32d(下部線状発熱体36d1)の双方に通電することで、温度分布をつけながらも高い融雪効果を発揮できる。
【0035】
図5は、別な実施の形態にかかる、単位長さ当たりの発熱量に差異のある線状発熱体によって高さ方向に温度勾配を付与した加熱部を有する端部塞ぎ板(両端部)の正面図であるが、上枠体は取り外した状態で示している。
図5に示す加熱部を有する端部塞ぎ板(両端部)の構成は、基本的に
図4に示した加熱部を有する端部塞ぎ板(両端部)と同じである。このため、
図4の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成についてのみ、
図5を参照して以下に説明する。
【0036】
図5において、単位長さ当たりの発熱量が小さい上部線状発熱体36u2(第2線状発熱体)と、単位長さ当たりの発熱量が大きい下部線状発熱体36d2(第1線状発熱体)を、それぞれ、上部発熱体保持部35u1と下部発熱体保持部35d1にほぼ同じ敷設密度で備えることによって、上部加熱部32uの単位面積当たりの発熱量を下部加熱部32dのそれより小さくしている。かかる構成によれば、上部発熱体保持部35u1と下部発熱体保持部35d1とで、線状発熱体の巻き数を等しくすることができ、製造工程が簡素化される。なお、上部線状発熱体36u2と共通のラインヒータを複数本束ねて、下部線状発熱体36d2として用いることもでき、これにより部品の共通化を図れる。
【0037】
この構成によれば、下部線状発熱体36d2にのみ通電した場合は勿論、下部線状発熱体36d2に加えて上部線状発熱体36u2に通電した場合であっても、加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)に、下部加熱部32dから上部加熱部32uに向かって温度(発熱量)が下がる温度勾配を付与することができる。
【0038】
上述したように、加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)は、Z方向に2分割される上部加熱部(第2加熱部)32uおよび下部加熱部(第1加熱部)32dを備える。上部加熱部32u(上部線状発熱体36u2)と下部加熱部32d(下部線状発熱体36d2)とは、独立して駆動制御することができる。つまり、降雪量の多少に応じて、加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)への堆雪量が少ないと推測される場合は、下部加熱部32d(下部線状発熱体36d2)にのみ通電して少ない消費電力で融雪することができる。一方、堆雪量が多いと推測される場合は、上部加熱部32u(上部線状発熱体36u1)と下部加熱部32d(下部線状発熱体36d1)の双方に通電することで、温度分布をつけながらも高い融雪効果を発揮できる。なお、上部加熱部32uおよび下部加熱部32dにおいて、敷設密度と単位面積当たりの発熱量の双方を変えてもよい。
【0039】
加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)は、まず、断熱材39を下枠体37に固定した後、この断熱材39の上面に、上部線状発熱体36u1(36u2)を備える上部発熱体保持部35u1、および、下部線状発熱体36d1(36d2)を備える下部発熱体保持部35d1を固定する。次に、同様の形状を有する上枠体38を下枠体37に嵌め込んで(嵌合して)、下枠体37に植設されたボス状の枠体保持部33を利用してボルト等の機械締結を行うことによって、
図7に示すように上枠体38を下枠体37に固定することによって組み立てられる。
【0040】
図6は、加熱部を有する端部塞ぎ板(中央部)の正面図であるが、上枠体は取り外した状態で示している。加熱部を有する端部塞ぎ板34(中央部)は、基本的に加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)と同様の構成であり、下枠体37と、下枠体37に組み合わされる上枠体38(
図7参照)からなる略正方形状の箱状体であり、その内部にZ方向に沿って2段に、略長方形状の上部加熱部34uと下部加熱部34dを備える。
【0041】
第2加熱部である上部加熱部34uは、長方形状の上部発熱体保持部35u2を備え、第1加熱部である下部加熱部34dは、長方形状の下部発熱体保持部35d2を備える。上部発熱体保持部35u2および下部発熱体保持部35d2は、Z方向に隔置される一対の梯子状の水平部35hと、水平部35hの両端部どうしを接続する一対の垂直部35vからなる枠体をそれぞれ備える。垂直部35vは、Z方向に離散的に備えられるとともにボルト孔を有する複数の固定部35fを備える。固定部35fを利用して、上部発熱体保持部35u1および下部発熱体保持部35d1は、下枠体37(
図7参照)に固定される。
【0042】
図4の実施形態と同様に、上部発熱体保持部35u2および下部発熱体保持部35d2に、単位長さ当たりの発熱量が同じ線状発熱体を、敷設密度に差を設けて備えてもよい。あるいは、
図5の実施形態と同様に、上部発熱体保持部35u2および下部発熱体保持部35d2に、単位長さ当たりの発熱量が異なる線状発熱体を同じ敷設密度で敷設してもよい。上部加熱部34uおよび下部加熱部34dにおいて、敷設密度と単位面積当たりの発熱量の双方を変えてもよい。
【0043】
これらの構成によれば、下部線状発熱体36d1にのみに通電した場合は勿論、下部線状発熱体36d1に加えて上部線状発熱体36u1に通電した場合であっても、加熱部を有する端部塞ぎ板34(中央部)に、下部加熱部34dから上部加熱部34uに向かって温度(発熱量)が下がる温度勾配を付与することができる。そして、降雪量の多少に応じて、加熱部を有する端部塞ぎ板34(中央部)への堆雪量が少ないと推測される場合は、下部加熱部34d(下部線状発熱体36d1)にのみ通電して少ない消費電力で融雪することができる。一方、堆雪量が多いと推測される場合は、上部加熱部34u(上部線状発熱体36u1)と下部加熱部34d(下部線状発熱体36d1)の双方に通電することで、温度分布をつけながらも高い融雪効果を発揮できる。
【0044】
また、加熱部を有する端部塞ぎ板34(中央部)は、車輪22の進行方向後方に位置しない(加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)よりも車輪22から離れている)ため、車輪22に巻き上げに起因する大きな雪塊80(
図7参照)の着床が殆どないこともある。このような場合には、加熱部を有する端部塞ぎ板34(中央部)から発熱体保持部(線状発熱体を含む)を取り除いて、加熱部のない通常の端部塞ぎ板(図示なし)とし、この通常の端部塞ぎ板のY方向の両端部に、加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)を配置するのみでも良い。これによりコスト低減を図れる。なお、加熱部を有する端部塞ぎ板34(中央部)を設ける場合、単一の発熱体保持部(線状発熱体を含む)を備えるようにしてもよい。
【0045】
図7は、鉄道車両に搭載される加熱部を有する端部塞ぎ板(両端部)の断面図(
図4のC-C断面図)である。加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)は、車輪22の側に、上枠体38が面する態様で台枠11の下方に備えられる。
【0046】
鉄道車両が降雪地帯を通過する際、台車の近傍に流れ込む氷雪や、車輪22によって巻き上げられる雪塊80等は、下部線状発熱体36d1(36d2)を備える下部加熱部32d、や上部線状発熱体36u1(36u2)を備える上部加熱部32uによって加熱される上枠体38に衝突する。上枠体38は、これら加熱部32d(32u)によって十分に加熱されているため、上枠体38に衝突する雪塊等は直ちに溶け落ち、加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)に付着して成長する(厚く堆雪する)ことを抑制できる。
【0047】
加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)に備える加熱部を、Z方向に沿って上部加熱部32uと下部加熱部32dとに分割しているので、雪塊80の堆雪量(着雪量)に応じて加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)を下部のみ、あるいは下部および上部のいずれかを、選択的に通電して加熱することができる。このため、線状発熱体で消費される電気エネルギの使用量を削減できると共に、長時間の通電を避けることで線状発熱体36d1、36d2(36u1、36u2)の劣化を抑制することができる。
【0048】
図8は加熱部を有する端部塞ぎ板の加熱部の制御方法を示すフローチャートであり、
図9は、
図8から続く、加熱部を有する端部塞ぎ板の加熱部の制御方法を示すフローチャートである。
【0049】
ここでは、複数の車両から組成される編成車両1のX方向の両端部に連結される複数の車両を支持する台車のX方向の両側(前側と後側あるいは上流側と下流側)に、加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)および加熱部を有する端部塞ぎ板34(中央部)を備える例を説明する。
【0050】
加熱部を有する端部塞ぎ板に備えられる上部加熱部32u(34u)および下部加熱部32d(34d)の制御方法は、まず、
図8のステップ10(以下、ステップをSで表記する)で制御を開始する。次に、S20で、編成車両1がこれから走行する路線の降雪地区の外気温度や降雪量等の情報(降雪情報という)を、降雪地区に設置する気象情報観測器(不図示)から得る。合わせて、編成車両1の現在の位置情報(キロポスト情報)を取得する。
【0051】
S30(第1ステップ)で、該降雪情報に基づいて、上部加熱部32u(34u)および下部加熱部32d(34d)へ通電する必要の有無(加熱の要否)を判断する。S30で加熱が要(Y)と判断される場合は、S40で編成車両1の進行方向情報を取得して、S50(第2ステップ)で下り運用か否かを判断する。一方、S30で加熱は不要(N)と判断されればS200へ進み、制御フローを終了する。
【0052】
S50で下り運用(Y)と判断される場合は、該降雪情報に基づいてS60(第3ステップ)で加熱部を「強」で運転する必要があるか否かを判断する。S60で加熱部の強運転が不要(N)と判断されれば、S80(第4ステップ)で、編成車両1が下り(90a)走行時に台車20a(20b)の下流側に位置する端部塞ぎ板14b(15b)を構成する加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)、および加熱部を有する端部塞ぎ板34(中央部)の下部加熱部32d(34d)のみに通電して加熱する。
【0053】
これに対し、S60で加熱部の強運転が必要(Y)と判断されれば、S90(第5ステップ)で加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)、および加熱部を有する端部塞ぎ板34(中央部)の上部加熱部32u(34u)、および下部加熱部32d(34d)に通電して加熱する。
【0054】
一方、S50で下り運用でない(N)と判断される場合は、S70を経てS100で加熱部を「強」で運転する必要があるか否かを判断する。該降雪情報に基づいてS100で加熱部の強運転が不要(N)と判断されれば、S110(第4ステップ)で、編成車両1が上り(90b)走行時に台車20a(20b)の下流側に位置する端部塞ぎ板14a(15a)を構成する加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)、および加熱部を有する端部塞ぎ板34(中央部)の下部加熱部32d(34d)のみに通電して加熱する。
【0055】
これに対しS100で加熱部の強運転が必要(Y)と判断されれば、S120(第5ステップ)で加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)、および加熱部を有する端部塞ぎ板34(中央部)の上部加熱部32u(34u)、および下部加熱部32d(34d)に通電して加熱する。
【0056】
上記では、加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)および加熱部を有する端部塞ぎ板34(中央部)を備える例を説明したが、降雪の度合いによっては、加熱部を有する端部塞ぎ板34(中央部)に、加熱部を有さない通常の端部塞ぎ板を備えても良い。この場合、S80、S90、S110およびS120において、端部塞ぎ板34(中央部)に関する駆動制御は行わないものとする。
【0057】
上述した実施形態では、S20で、編成車両1がこれから走行する路線の降雪地区の外気温度や降雪量等の情報を、降雪地区に設置する気象情報観測器から得るステップを設けている。しかし、編成車両1が走行する全線が冬季に降雪地帯となることが予め分かっていれば、このS20に代えてカレンダー機能等によって、降雪が予想される冬季(例えば12月10日から3月15日など)を規定し、運行日の日付を入力することで、カレンダーと照らし合わせて、加熱部を有する端部塞ぎ板32(両端部)および加熱部を有する端部塞ぎ板34(中央部)の加熱部を制御しても良い。かかる場合、入力される運行日の日付とカレンダーが降雪情報となる。
【0058】
以上の構成によって、編成車両を組成する全号車ではなく着雪量の多い編成車両の両端部に位置する号車にのみヒータ付端部塞ぎ板を備えるので、加熱部を有する端部塞ぎ板の数の最適化による製造コストを削減できるとともに、ヒータ付端部塞ぎ板への通電に関する電力量を削減することができるので、ライフサイクルコストを小さくできる加熱部を有する端部塞ぎ板を備える編成車両を提供することができる。
【0059】
さらに、加熱部を有する端部塞ぎ板の制御方法のS20で加熱制御の可否判断を備えることによって、冬季であっても気象条件等によって加熱部を有する端部塞ぎ板への通電用要否を判断できるため、消費電力量を最適化(削減)することができる。さらに、S40によって、進行方向の下流に位置するとともに着雪の著しい加熱部を有する端部塞ぎ板のみを選択して通電することができるため、消費電力を削減することができる。
【0060】
さらに、加熱部を有する端部塞ぎ板に備えられる加熱部を高さ方向に分割した上部加熱部と下部加熱部を備え、これらを独立して運転(通電)することができる。このため、不必要な給電を抑制することによって消費電力を削減することができるので、少ない消費電力で効果的かつ効率的に端部塞ぎ板への着雪を抑制できる加熱部を有する端部塞ぎ板を備える編成車両、および加熱部の制御方法を提供することができる。
【0061】
ここでは、加熱部を有する端部塞ぎ板34(中央部)には、Z方向に2分割された上部発熱体保持部35u1を備える上部加熱部34u、および下部発熱体保持部35d1を備える下部加熱部34dが構成される例を示した。
【0062】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態における構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態における構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…編成車両、
5a…1号車、 5b…2号車、
5c…3号車、 5n…14号車、
5o…15号車、 5p…16号車、
10…車体、 11…台枠、
12…横梁、 14a,14b…端部塞ぎ板、
15a,15b…端部塞ぎ板、 16…補強、
17…下塞ぎ板、 18…側スカート、
20a,20b…台車、 22…車輪、
32…加熱部を有する端部塞ぎ板(両端部)、
32u…上部加熱部、 32d…下部加熱部、
33…枠体保持部、
34…加熱部を有する端部塞ぎ板(中央部)、
34u…上部加熱部、 34d…下部加熱部、
35u…上部発熱体保持部、 35d…下部発熱体保持部、
35f…固定部、 35h…水平部、
35v…垂直部、
36u1(36u2)…上部線状発熱体、 36d1(36d2)…下部線状発熱体、
37…下枠体、 38…上枠体、
39…断熱材、 40…機器、
60…レール、 80…堆積した雪塊、
X…長手(レール)方向、
Y…幅(枕木)方向、 Z…高さ方向、
S…ステップ