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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】紫外線殺菌装置および紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20220511BHJP
   C02F 1/32 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
A61L2/10
C02F1/32
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018023989
(22)【出願日】2018-02-14
(65)【公開番号】P2019136384
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 真人
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-506860(JP,A)
【文献】国際公開第2017/056902(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/051774(WO,A1)
【文献】特開2019-005382(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0167611(US,A1)
【文献】国際公開第2018/043292(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/074359(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10、9/20
C02F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理流路を流れる流体に対して紫外線を照射して前記流体を殺菌処理する紫外線殺菌装置であって、
前記処理流路を内部に有する流路管と、
紫外線を出射する光源と、
前記光源から出射された紫外線のうち一部の紫外線を前記処理流路に向けて外部反射させるリフレクターと、
前記光源から直接到達した紫外線前記リフレクターで反射された紫外線を前記処理流路に向けて集光させる集光レンズと、
を有
前記リフレクターは、前記光源と前記集光レンズとの間に配置されている、
紫外線殺菌装置。
【請求項2】
前記集光レンズは、前記流路管および前記光源の間に配置されており、かつ前記流路管側または前記光源側に凸レンズ面を有する、請求項1に記載の紫外線殺菌装置。
【請求項3】
前記処理流路は、直線状に形成されており、
前記光源の光軸と、前記集光レンズの第1中心軸と、前記リフレクターの第2中心軸と、前記処理流路の軸とは、一致している、
請求項1または請求項2に記載の紫外線殺菌装置。
【請求項4】
処理流路を流れる流体に対して紫外線を照射して前記流体を殺菌処理する紫外線照射装置であって、
紫外線を出射する光源と、
前記光源から出射された紫外線のうち一部の紫外線を前記処理流路に向けて外部反射させるリフレクターと、
前記光源から直接到達した紫外線前記リフレクターで反射された紫外線を前記処理流路に向けて集光させる集光レンズと、
を有
前記リフレクターは、前記光源と前記集光レンズとの間に配置されている、
外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線殺菌装置および紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線を用いて液体や気体などの流体を殺菌処理することが広く知られている。たとえば、特許文献1には、軸方向に延びる流路に対して、軸方向に向けて紫外線を照射して、流路内を流通する液体や気体を殺菌する流体殺菌装置が記載されている。
【0003】
具体的には、特許文献1に記載の流体殺菌装置は、軸方向に延びる処理流路を区画する流路管と、流路管の一方の端部の近傍に設けられ、処理流路に向けて一方の端部から軸方向に紫外線を照射する広配向角の発光素子(LED光源)と、を有する。発光素子から照射された紫外線は、処理流路内の流体を殺菌する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-104230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、水などの液体は、紫外線を吸収する。また、紫外線発光素子から出射される紫外線は通常発散光であるため、紫外線の照度は、光源からの距離の二乗に反比例して小さくなる。このため、紫外線の照度は、発光素子から離れるにつれて低くなる。よって、液体の流速が一定の場合、紫外線が吸収されることによる影響が少ない発光素子の近くの液体は、発光素子から遠い液体と比較して殺菌されやすい。ここで、殺菌効果を高めるためには、発光素子近傍の紫外線の照度を高めることが必要である。そして、発光素子近傍の紫外線の照度を高めるためには、発光素子の数を増やすことが考えられる。しかしながら、発光素子の数を増やしてしまうと、製造コストが高くなってしまうとともに、装置が大型化してしまうおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、光源の数を増やすことなく、殺菌効果を高くできる紫外線殺菌装置および紫外線照射装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための、本発明に関する紫外線殺菌装置は、処理流路を流れる流体に対して紫外線を照射して前記流体を殺菌処理する紫外線殺菌装置であって、前記処理流路を内部に有する流路管と、紫外線を出射する光源と、前記光源から出射された紫外線のうち一部の紫外線を前記処理流路に向けて外部反射させるリフレクターと、前記光源から直接到達した紫外線前記リフレクターで反射された紫外線を前記処理流路に向けて集光させる集光レンズと、を有前記リフレクターは、前記光源と前記集光レンズとの間に配置されている
上記の課題を解決するための、本発明に関する紫外線照射装置は、処理流路を流れる流体に対して紫外線を照射して前記流体を殺菌処理する紫外線照射装置であって、紫外線を出射する光源と、前記光源から出射された紫外線のうち一部の紫外線を前記処理流路に向けて外部反射させるリフレクターと、前記光源から直接到達した紫外線と、前記リフレクターで反射された紫外線とを前記処理流路に向けて集光させる集光レンズと、を有し、前記リフレクターは、前記光源と前記集光レンズとの間に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光源の数を増やすことなく、殺菌効果を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る紫外線殺菌装置の断面図である。
図2図2A~Dは、実施の形態1に係る集光レンズの構成を示す図である。
図3図3A~Dは、実施の形態1に係るリフレクターの構成を示す図である。
図4図4A~Cは、実施の形態1に係る紫外線殺菌装置における光路図である。
図5図5は、変形例に係る紫外線殺菌装置の断面図である。
図6図6A~Dは、変形例に係るリフレクターの構成を示す図である。
図7図7A~Cは、変形例に係る紫外線殺菌装置における光路図である。
図8図8は、本発明の実施の形態2に係る紫外線殺菌装置の断面図である。
図9図9A~Dは、実施の形態2に係る集光レンズの構成を示す図である。
図10図10A~Dは、実施の形態2に係るリフレクターの構成を示す図である。
図11図11A~Cは、実施の形態2に係る紫外線殺菌装置における光路図である。
図12図12は、変形例に係る紫外線殺菌装置の断面図である。
図13図13A~Dは、変形例に係るリフレクターの構成を示す図である。
図14図14A~Cは、変形例に係る紫外線殺菌装置における光路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
[実施の形態1]
(紫外線殺菌装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る紫外線殺菌装置100の断面図である。
【0012】
図1に示されるように、紫外線殺菌装置100は、光源110と、集光レンズ120と、リフレクター130と、処理流路155を有する流路管140とを有する。光源110と、集光レンズ120と、リフレクター130とは、紫外線照射装置300として機能する。
【0013】
(光源)
光源110は、処理流路155に向けて紫外線を出射する。光源110の種類は、紫外線を出射できれば特に限定されない。光源110の種類の例には、発光ダイオード(LED)、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、レーザーダイオード(LD)が含まれる。光源110から出射される紫外線の中心波長またはピーク波長は、200nm以上350nm以下が好ましい。光源110から出射される紫外線の中心波長またはピーク波長は、殺菌効率が高い観点から、260nm以上290nm以下がより好ましい。光源110は、配向角が広いことが好ましく、たとえば明るさの強度がピーク値の50%となる方向間の角度である指向角半値幅が60°以上のLEDが好ましい。
【0014】
光源110は、基板111の一方の面上に配置される。基板111は、基板111の他方の面が基体112の中央部分に取り付けられる。基体112に配置された基板111の周囲には、リフレクター130が配置される。
【0015】
(集光レンズの構成)
図2A~Dは、集光レンズ120の構成を示す図である。図2Aは、集光レンズ120の平面図であり、図2Bは、底面図であり、図2Cは、側面図であり、図2Dは、図2Aに示されるA-A線の断面図である。
【0016】
集光レンズ120は、光源110から出射された紫外線のうち、一部の紫外線(出射角度が小さい紫外線)を処理流路155に向けて集光させる。また、集光レンズ120は、光源110から出射された紫外線のうち、一部の紫外線(出射角度が大きい紫外線)であって、反射面131で反射した紫外線を処理流路155に向けて集光させる。図2A~Dに示されるように、集光レンズ120は、凸レンズ面121と、フランジ122とを有する。
【0017】
凸レンズ面121は、流路管140側または光源110側に配置されている。すなわち、凸レンズ面121は、流路管140側に配置されていてもよいし、光源110側に配置されていてもよいし、流路管140側および光源110側の両方に配置されていてもよい。本実施の形態では、流路管140側のみに凸レンズ面121が配置されており、光源110側は平面である。集光レンズ120の光源110側の平面は光源110から出射した紫外線が入射する入射面として機能し、集光レンズ120の流路管140側の凸レンズ面121は集光レンズ120の内部を進行した紫外線が出射するための出射面として機能する。
【0018】
本実施の形態では、凸レンズ面121は、第1中心軸CA1を回転軸とした円対称である。第1中心軸CA1を含む断面において、凸レンズ面121は、光源110側から流路管140側に向かうにしたがって、第1中心軸CA1に垂直な断面における径が小さくなるように形成されている。また、光源110の光軸OAと、集光レンズ120の第1中心軸CA1とは、一致していることが好ましい。
【0019】
フランジ122は、凸レンズ面121の周囲に配置されている。フランジ122は、集光レンズ120の取り扱いを簡単にする他に、リフレクター130への設置部としても機能する。
【0020】
本実施の形態では、光源110から出射された紫外線のうち、一部の紫外線は、光源110側の平面で入射して、凸レンズ面121から出射されるときに、流路管140に向けて屈折させられる。
【0021】
(リフレクターの構成)
図3A~Dは、リフレクター130の構成を示す図である。図3Aは、リフレクター130の平面図であり、図3Bは、底面図であり、図3Cは、側面図であり、図3Dは、図3Aに示されるA-A線の断面図である。
【0022】
リフレクター130は、光源110から出射された紫外線のうち、一部の紫外線(出射角度が大きな紫外線)を処理流路155に向けて反射させる。図3A~Dに示されるように、リフレクター130は、反射面131と、第1凹部132と、第2凹部133とを有する。
【0023】
反射面131は、光源110から出射され、直接到達した紫外線を処理流路155に向けて反射させる。反射面131は、第2中心軸CA2を回転軸とした円対称である。また、光源110の光軸OAと、集光レンズ120の第1中心軸CA1と、リフレクター130の第2中心軸CA2とは、一致していることが好ましい。
【0024】
第2中心軸CA2を含む断面における反射面131の形状は、特に限定されない。第2中心軸CA2を含む断面における反射面131の形状は、直線状でもよいし、第2中心軸CA2に対して凹の曲線状でもよい。本実施の形態では、第2中心軸CA2を含む断面における反射面131の形状は、直線状である。
【0025】
第1凹部132は、リフレクター130の光源110側の面に形成されている。第1凹部132の底部の中央部分は、反射面131の一方の端部に連通している。紫外線殺菌装置100において、第1凹部132内には、光源110および基板111が収容される。
【0026】
第2凹部133は、リフレクター130の流路管140側の面に形成されている。第2凹部133の底部の中央部分は、反射面131に囲まれた凹部の一方の端部に連通している。紫外線殺菌装置100において、第2凹部133には、集光レンズ120が設置される。
【0027】
リフレクター130を基体112に配置すると、光源110および基板111が第1凹部132に収容されるとともに、光源110が反射面131により取り囲まれる。
【0028】
(流路管の構成)
流路管140は、殺菌処理される流体が流れる管である。流路管140は、処理流路155を流通する流体の圧力によって変形または破損しにくい材料で形成される。流路管140は、内部に処理流路155を有する流入管141と、流路管本体142と、流出管143と、入射窓144と、を有する。
【0029】
流入管141は、紫外線の照射により殺菌処理される流体を処理流路155に導入するために用いられる。流入管141は、内部に流入流路151を有する。流入管141の上流側端部は、流体を流入流路151に流入させるための流入口152である。流入管141の下流側端部は、流路管本体142の上流側端部の管壁に開口している。流入管141は、流入口152を介して図外の流体供給装置などに接続され、流体供給装置からの流体を処理流路155に導く。流入口152は、流体を流入流路151に導くためのホースを嵌め込み可能な形状を有してもよい。
【0030】
流路管本体142は、一方の端部側から他方の端部側に向けて流れる処理流路155を内部に有する。流路管本体142の形状は、流体が流れることができれば特に限定されない。また、処理流路155の形状は、直線状でもよいし、曲線状でもよい。本実施の形態では、処理流路155の形状は、直線状である。また、処理流路155の流体が流れる方向に垂直な方向の断面形状も特に限定されない。当該断面形状は、円形でもよいし、多角形でもよい。本実施の形態では、処理流路155の流体が流れる方向に垂直な方向の断面形状は、円形である。また、光源110の光軸OAと、集光レンズ120の第1中心軸CA1と、リフレクター130の第2中心軸CA2と、流路管本体142(処理流路155)の軸Aは、一致していることが好ましい。
【0031】
流路管本体142は、紫外線の反射率が高い材料から形成されていることが好ましい。流路管本体142の材料の例には、鏡面研磨されたアルミニウム(Al)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が含まれる。なお、流路管本体142の材料は、化学的に安定しかつ紫外線の反射率も高い観点から、PTFEが好ましい。流路管本体142が紫外線の反射率が高い材料から形成されると、光源110から出射される紫外線の利用効率を高くできる。
【0032】
流路管本体142は、紫外線の照射により流体を十分に殺菌処理できる大きさであればよい。たとえば、光源110の光出力が30mW/灯で1灯の場合、流路管本体142は、その内径を5cm以下にでき、流路長を2cm以上30cm以下にできる。本実施の形態では、下流側端面には入射窓144が配置されている。
【0033】
流出管143は、殺菌処理された流体を処理流路155から流出させるために用いられる。流出管143は、内部に流出流路156を有する。流出管143の上流側端部は、流路管本体142の下流側端部近傍に開口している。流出管143の下流側端部は、図外の液体貯留装置などに導くための流出口157である。流出口157は、液体貯蔵装置に接続され、処理流路155からの流体を液体貯蔵装置などに導く。流出口157は、流体を液体貯留装置に導くためのホースを嵌め込み可能な形状を有してもよい。
【0034】
入射窓144は、光源110から出射され、集光レンズ120を介して到達した紫外線を流路管140(流路管本体142)内に透過させる。入射窓144が配置される位置は、前述の機能を発揮できれば、特に限定されない。本実施の形態では、入射窓144は、流路管本体142の下流側の端部に配置されている。入射窓144は、透明板保持部161と、透明板162と、固定蓋163とを有する。透明板保持部161および固定蓋163は、これらを接合するためのネジを挿入するネジ孔などを有してもよい。
【0035】
透明板保持部161は、外壁部164と、第3凹部165と、第4凹部166とを有する。
【0036】
外壁部164は、流路管本体142を一体として形成されている。外壁部164は、透明板162を固定できる大きさおよび強度を有すればよい。
【0037】
第3凹部165は、透明板162を配置するための凹部である。第3凹部165の形状は、透明板162と相補的な形状であれば、特に限定されない。たとえば、透明板162の形状が矩形の板状であれば、第3凹部165の形状は、平面視が矩形の凹部である。また、透明板162の形状が円形の板状でれば、第3凹部165の形状は、平面視が円形の凹部である。第3凹部165の底部の中央部分には、第4凹部166が形成されている。
【0038】
第4凹部166は、処理流路を流通してきた流体の流速を緩和して(遅くして)、液体による透明板162への衝撃を緩和する。第4凹部166の深さは、処理流路155を流通してきた流体が十分に第4凹部166中に広がることができる深さであればよい。
【0039】
固定蓋163は、透明板162を外側から固定する板状の部材である。固定蓋163の中央部分には、紫外線透過孔167が形成されている。固定蓋163を外壁部164に固定することで、外壁部164および固定蓋163の間に透明板162が固定される。
【0040】
紫外線透過孔167は、光源110から出射された紫外線を透過させる。透過された紫外線は、透明板162を介して、処理流路155に到達する。集光レンズ120と透明板162との間の距離を近づけて、集光レンズ120から出射された紫外線が空気中を伝播する間での光量の損失を抑制する観点から、紫外線透過孔167は、集光レンズ120の凸レンズ面121を内部に収容できる形状であることが好ましい。
【0041】
透明板162は、紫外線を透過可能な任意の材料で形成される。また、透明板162の内面は、処理流路155の外周の一部として機能し、流路管本体142の一方の端部から流体が外部に流れ出ることを防止する。透明板162の材料の例には、石英(SiO)、サファイア(Al)および非晶質のフッ素系樹脂などの、紫外線に対する透過率が高い材料が含まれる。
【0042】
流入口152から流入流路151を経由して処理流路155に導入された流体は、処理流路155を流れている間に、光源110から出射された紫外線を照射され、殺菌処理される。その後、殺菌処理された流体は、流出流路156を経由して流出口157から排出される。
【0043】
流体は、殺菌処理を行うべき処理流路155を流れ得る物質であればよく、たとえば、液体であれば水などとすることができる。また、上記流体は、飲用水および農業用水などを含む上水と、工場などからの排水を含む下水とを含む。
【0044】
流体の流速は、処理流路155を流れる間の紫外線の照射によって十分に殺菌される速さであればよく、たとえば、光源110の出力が30mW/灯で1灯で、流体が液体の場合、10L/min以下である。
【0045】
図4A~Cは、紫外線殺菌装置100における光路図である。図4Aは、光源110から出射され、リフレクター130を介さずに集光レンズ120で制御された光の光路図であり、図4Bは、光源110から出射され、リフレクター130で制御された光の光路図であり、図4Cは、図4Aの光路図および図4Bの光路図を合わせた光路図である。なお、図4A~Cでは、光路を示すため、光源110、集光レンズ120、リフレクター130および処理流路155のみを図示している。
【0046】
図4Aおよび図4Cに示されるように、光源110から出射された紫外線のうち、一部の紫外線(出射角度が小さな紫外線)は、リフレクター130を介さずに集光レンズ120に直接到達する。集光レンズ120に到達した紫外線は、光源110側の平面で集光レンズ120内に入射する。集光レンズ120に入射した紫外線は、処理流路155側の凸レンズ面121から外部に出射する。このとき、紫外線は、凸レンズ面121によって、光源110の光軸OA側に向けて屈折される。このように、光源110から小さな出射角度で発光された紫外線は、集光レンズ120によって光軸OAに対する角度が小さくなるように屈折される。凸レンズ面121から出射された紫外線は、透明板162を介して処理流路155に照射される。このように、処理流路155では、集光レンズ120によって集光された紫外線が照射されるため、光源110の近傍だけでなく光源110から遠い領域においてもある程度高い照度が得られる。
【0047】
一方、図4Bおよび図4Cに示されるように、他の一部の紫外線(出射角度が大きい紫外線)は、そのままでは集光レンズ120に到達できない。そこで、光源110から大きい出射角度で出射された紫外線を、リフレクター130で集光レンズ120に向けて反射させる。図4Bおよび図4Cに示されるように、光源110から出射された紫外線のうち、他の一部の紫外線(出射角度が大きい紫外線)は、リフレクター130の反射面131に到達する。反射面131に到達した紫外線は、集光レンズ120の入射面(平面)に向かって反射する。入射面に到達した紫外線は、入射面で入射して、凸レンズ面121から出射する。凸レンズ面121から出射した紫外線は、透明板162を介して処理流路155に照射される。このように、処理流路155には、出射角度が大きい紫外線も照射されるため、処理流路155内の照度はより高くなる。
【0048】
(効果)
以上のように、実施の形態1に係る紫外線殺菌装置100によれば、集光レンズ120およびリフレクター130により、光源110から出射された紫外線が集光して処理流路115に向けて照射されるため、処理流路155における紫外線の照度を高めることができる。
【0049】
[変形例]
実施の形態1の変形例の紫外線殺菌装置100aについて説明する。変形例1の紫外線殺菌装置100aは、リフレクター130aの構成のみが実施の形態1に係る紫外線殺菌装置100と異なる。そこで、実施の形態1に係る紫外線殺菌装置100と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0050】
(紫外線殺菌装置の構成)
図5は、変形例に係る紫外線殺菌装置100aの断面図である。図6A~Dは、リフレクター130aの構成を示す図である。図6Aは、リフレクター130aの平面図であり、図6Bは、底面図であり、図6Cは、側面図であり、図6Dは、図6Aに示されるA-A線の断面図である。
【0051】
図5に示されるように、紫外線殺菌装置100aは、光源110と、集光レンズ120と、リフレクター130aと、流路管140とを有する。
【0052】
図6A~Dに示されるように、変形例に係るリフレクター130aは、反射面131aと、第1凹部132と、第2凹部133とを有する。
【0053】
変形例に係る反射面131aは、実施の形態1における反射面131よりも大きく形成されている。具体的には、変形例に係る反射面131aは、リフレクター131aの中心軸CA2に沿う方向において、実施の形態1における反射面131の約2倍の大きさである。第2中心軸CA2を含む断面における反射面131aの形状は、直線状である。
【0054】
図7A~Cは、紫外線殺菌装置100aにおける光路図である。図7Aは、光源110から出射され、リフレクター130aを介さずに集光レンズ120で制御された光の光路図であり、図7Bは、光源110から出射され、リフレクター130aで制御された光の光路図であり、図7Cは、図7Aの光路図および図7Bの光路図を合わせた光路図である。なお、図7A~Cでは、光路を示すため、光源110、集光レンズ120、リフレクター130aおよび処理流路155のみを図示している。
【0055】
図7Aおよび図7Cに示されるように、光源110から出射された紫外線のうち、一部の紫外線(出射角度が小さな紫外線)は、リフレクター130aを介さずに集光レンズ120に直接到達する。集光レンズ120に到達した紫外線は、光源110側の平面で集光レンズ120内に入射する。集光レンズ120に入射した紫外線は、流路管140側の凸レンズ面121から外部に出射する。このとき、紫外線は、凸レンズ面121によって、光源110の光軸OA上で集光するように屈折される。凸レンズ面121から出射された紫外線は、透明板162を介して処理流路155に照射される。このように、処理流路155では、集光レンズ120によって集光された紫外線が照射されるため、光源110の近傍だけでなく光源110から遠い領域においてもある程度高い照度が得られる。
【0056】
一方、図7Bおよび図7Cに示されるように、光源110から出射された紫外線のうち、他の一部の紫外線(出射角度が大きい紫外線)は、リフレクター130aの反射面131aに直接到達する。反射面131aに到達した出射角度の大きい紫外線は、集光レンズ210の入射面に向かって反射する。入射面に到達した紫外線は、入射面で入射して、凸レンズ面121から出射する。凸レンズ面121から出射した紫外線は、透明板162を介して処理流路155に照射される。変形例に係る紫外線殺菌装置100aでは、光源110から集光レンズ120までの光路が長いため、紫外線が第1中心軸CA1に対して小さい角度で集光レンズ120に入射する。これにより、紫外線が処理流路155の奥まで到達するため、処理流路155内の照度はよりは高くなる。
【0057】
(効果)
以上のように、実施の形態1の変形例に係る紫外線殺菌装置100aは、実施の形態1に係る紫外線殺菌装置100と同様の効果を有する。
【0058】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る紫外線殺菌装置200は、集光レンズ220周りの構成が実施の形態1に係る紫外線殺菌装置100と異なる。そこで、実施の形態1に係る紫外線殺菌装置100と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0059】
(紫外線殺菌装置の構成)
図8は、実施の形態2に係る紫外線殺菌装置200の断面図である。図8に示されるように、紫外線殺菌装置200は、光源110と、集光レンズ220と、リフレクター230と、流路管240とを有する。
【0060】
(集光レンズの構成)
図9A~Dは、集光レンズ220の構成を示す図である。図9Aは、集光レンズ220の平面図であり、図9Bは、底面図であり、図9Cは、側面図であり、図9Dは、図9Bに示されるA-A線の断面図である。
【0061】
図9A~Dに示されるように、集光レンズ220は、凸レンズ面221と、フランジ122とを有する。第1中心軸CA1を回転軸とした円対称である。第1中心軸CA1を含む断面において、凸レンズ面221は、流路管240側から光源110側に向かうにつれて、第1中心軸CA1に垂直な方向における長さが短くなるように形成されている。本実施の形態では、凸レンズ面221が光源110側に配置されているため、凸レンズ面221が入射面として機能し、流路管240側の平面が出射面として機能する。
【0062】
また、本実施の形態では、集光レンズ220は、実施の形態1における透明板162としても機能する。実施の形態1では集光レンズ120は、リフレクター130に配置されたが、本実施の形態では、集光レンズ220は、リフレクター230と、第3凹部165との間に配置される。
【0063】
(リフレクターの構成)
図10A~Dは、リフレクター230の構成を示す図である。図10Aは、リフレクター230の平面図であり、図10Bは、底面図であり、図10Cは、側面図であり、図10Dは、図10Aに示されるA-A線の断面図である。
【0064】
リフレクター230は、反射面131と、第1凹部132と、を有する。本実施の形態では、リフレクター230は、実施の形態1における固定蓋163としても機能する。また、反射面131で囲まれた空間は、実施の形態1における紫外線透過孔167としても機能する。集光レンズ220を透明板保持部161に配置した状態でリフレクター230を外側から固定することで、外壁部164およびリフレクター230の間に集光レンズ220が固定される。また、集光レンズ220の凸レンズ面221は、反射面131に囲まれた空間に収容される。
【0065】
(流路管の構成)
流路管240は、流入管141と、流路管本体142と、流出管143と、入射窓244とを有する。入射窓244は、透明板保持部161を有する。前述したように、本実施の形態では、透明板162の機能を集光レンズ220が兼ねており、かつ固定蓋163の機能をリフレクター230が兼ねている。透明板保持部161の第3凹部165には、集光レンズ220が配置される。そして、透明板保持部161の外壁部164には、リフレクター230が固定される。
【0066】
図11A~Cは、紫外線殺菌装置200における光路図である。図11Aは、光源110から出射され、リフレクター230を介さずに集光レンズ220で制御された光の光路図であり、図11Bは、光源110から出射され、リフレクター230で制御された光の光路図であり、図11Cは、図11Aの光路図および図11Bの光路図を合わせた光路図である。なお、図11A~Cでは、光路を示すため、光源110、集光レンズ220、リフレクター230および処理流路155のみを図示している。
【0067】
図11Aおよび図11Cに示されるように、光源110から出射された紫外線のうち、一部の紫外線(出射角度が小さな紫外線)は、集光レンズ220に直接到達する。集光レンズ220に到達した紫外線は、光源110側の凸レンズ面221で集光レンズ220内に入射する。このとき、紫外線は、凸レンズ面221によって、光源110の光軸OA側に向けて屈折される。このように、光源110から所定の出射角度で発光された紫外線は、集光レンズ220によって光軸OAに対する角度が小さくなるように屈折される。集光レンズ220に入射した紫外線は、処理流路155側の平面から外部に出射する。凸レンズ面221から出射された紫外線は、処理流路155に照射される。このように、処理流路155では、集光レンズ220によって集光された紫外線が照射されるため、光源110の近傍だけでなく光源110から遠い領域においてもある程度高い照度が得られる。
【0068】
一方、図11Bおよび図11Cに示されるように、光源110から出射された紫外線のうち、他の一部の紫外線(出射角度が大きい紫外線)は、リフレクター230の反射面131に直接到達する。リフレクター230の反射面131に直接到達する。反射面131に到達した紫外線は、集光レンズ220の入射面に向かって反射する。入射面に到達した紫外線は、凸レンズ面221で入射して、平面から出射する。平面から出射した紫外線は、処理流路155に照射される。
【0069】
[変形例]
実施の形態2の変形例の紫外線殺菌装置200aについて説明する。変形例の紫外線殺菌装置200aは、リフレクター230aの構成のみが実施の形態2に係る紫外線殺菌装置200と異なる。そこで、実施の形態2に係る紫外線殺菌装置200と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0070】
(紫外線殺菌装置の構成)
図12は、変形例に係る紫外線殺菌装置200aの断面図である。図13A~Dは、リフレクター230aの構成を示す図である。図13Aは、リフレクター230aの平面図であり、図13Bは、底面図であり、図13Cは、側面図であり、図13Dは、図13Aに示されるA-A線の断面図である。
【0071】
図12に示されるように、紫外線殺菌装置200aは、光源110と、集光レンズ220と、リフレクター230aと、流路管240とを有する。
【0072】
図13A~Dに示されるように、変形例におけるリフレクター230aは、反射板131aと、第1凹部232とを有する。
【0073】
変形例における反射板131aは、実施の形態1における反射面131よりも大きく形成されている。具体的には、変形例に係る反射板131aは、リフレクター230aの中心軸CA2に沿う方向において、実施の形態2における反射面131の約2倍の大きさである。第2中心軸CA2を含む断面における反射面131aの形状は、直線状である。
【0074】
図14A~Cは、紫外線殺菌装置200aにおける光路図である。図14Aは、光源110から出射され、リフレクター130を介さずに集光レンズ220で制御された光の光路図であり、図14Bは、光源110から出射され、リフレクター230aで制御された光の光路図であり、図14Cは、図14Aの光路図および図14Bの光路図を合わせた光路図である。なお、図14A~Cでは、光路を示すため、光源110、集光レンズ220、リフレクター230aおよび処理流路155のみを図示している。
【0075】
図14Aおよび図14Cに示されるように、光源110から出射された紫外線のうち、一部の紫外線(出射角度が小さな紫外線)は、集光レンズ220に直接到達する。集光レンズ220に到達した紫外線は、光源110側の凸レンズ面220で集光レンズ220内に入射する。このとき、紫外線は、凸レンズ面221によって、光源110の光軸OA上で集光するように屈折される。集光レンズ220に入射した紫外線は、平面から外部に出射する。平面から出射された紫外線は、処理流路155に照射される。このように、処理流路155では、集光レンズ220によって集光された紫外線が照射されるため、光源110の近傍だけでなく光源110から遠い領域においてもある程度高い照度が得られる。
【0076】
一方、図14Bおよび図14Cに示されるように、光源110から出射された紫外線のうち、他の一部の紫外線(出射角度が大きい紫外線)は、リフレクター230の反射面131aに直接到達する。反射面131aに到達した紫外線は、集光レンズ220の入射面に向かって反射する。入射面に到達した紫外線は、凸レンズ面221で入射して、平面から出射する。平面から出射した紫外線は、処理流路155に照射される。
【0077】
(効果)
以上のように、本発明によれば、実施の形態1の効果に加え、紫外線殺菌装置200、200aを構成する部品数を減らすことができる。よって、製造コストを低くできる。
【0078】
なお、光源110から出射される紫外線の照度分布をより均一にして、処理流路155内の流体をより均一に殺菌処理するため、光源110を回転させながら、処理流路155に紫外線を照射してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によれば、例えば、上水や農業用の流体などの殺菌への紫外線殺菌装置に有用である。
【符号の説明】
【0080】
100、100a、200 200a 紫外線殺菌装置
110 光源
120、220 集光レンズ
130、130a、230、230a リフレクター
140、240 流路管
111 基板
112 基体
121、221 凸レンズ面
122 フランジ
131、131a 反射面
132、232 第1凹部
133 第2凹部
141 流入管
142 流路管本体
143 流出管
144、244 入射窓
151 流入流路
152 流入口
155 処理流路
156 流出流路
157 流出口
161 透明板保持部
162 透明板
163 固定蓋
164 外壁部
165 第3凹部
166 第4凹部
167 紫外線透過孔
300 紫外線照射装置
A 軸
CA1 第1中心軸
CA2 第2中心軸
OA 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14