(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】管理装置、管理方法および管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20220511BHJP
【FI】
G06Q10/06
(21)【出願番号】P 2018057608
(22)【出願日】2018-03-26
【審査請求日】2020-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】598057291
【氏名又は名称】株式会社富士通エフサス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 雄一
(72)【発明者】
【氏名】安 炳和
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 一明
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-040658(JP,A)
【文献】特開2015-222526(JP,A)
【文献】特開2009-043010(JP,A)
【文献】特開2011-065264(JP,A)
【文献】特開2013-195708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の組織の第1のデータベースから第1のタイミングでユーザIDと当該ユーザIDに対応付けられるユーザ名とを取得する取得部と、
前記所定の組織の第2のデータベースに当該組織が管理する資産と対応付けて記憶されるユーザIDおよびユーザ名と、前記取得部が取得したユーザIDおよびユーザ名との差分を抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した差分に基づき、前記取得部が取得したユーザIDおよびユーザ名を加工する加工部と、
前記加工部の加工結果に基づき、前記第2のデータベースを更新する更新部と、
を備え
、
前記加工部は、前記取得部が取得した情報にユーザ名が含まれず、前記第2のデータベースに記憶される情報にユーザ名が含まれる場合、前記取得部が取得した情報に当該ユーザ名および差分の抽出に対応する日時とともに差分の種類を示す差分情報を付加する
ことを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記加工部により加工されたユーザIDおよびユーザ名と、当該ユーザIDに対応する資産と、を出力部に出力させる出力制御部をさらに備えることを特徴とする請求項
1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記取得部はさらに、前記資産の使用状況をネットワークを介して取得し、
前記抽出部は、前記取得部が取得した使用状況に基づき、所定期間中の使用率が第1の閾値以下の資産を抽出し、
前記出力制御部は、前記ユーザIDに対応する資産のうち、前記抽出部が抽出した資産を出力部に出力させることを特徴とする請求項
2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記取得部はさらに、前記資産の使用状況をネットワークを介して取得し、
前記抽出部は、前記取得部が取得した使用状況に基づき、所定期間中の使用率が第2の閾値以上の資産を抽出し、
前記出力制御部は、前記ユーザIDに対応する資産のうち、前記抽出部が抽出した資産を出力部に出力させることを特徴とする請求項
2に記載の管理装置。
【請求項5】
前記取得部はさらに、前記第1のデータベースから前記ユーザIDに対応付けられる部署を取得し、前記資産の使用状況をネットワークを介して取得し、
前記抽出部は、前記取得部が取得した部署および使用状況に基づき、所定期間中の資産の平均使用率が第1の閾値以下または第2の閾値以上である部署を抽出し、
前記出力制御部は、前記抽出部が抽出した部署を出力部に出力させることを特徴とする請求項
2に記載の管理装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記所定期間より前から使用されている資産について前記所定期間中の使用状況を取得することを特徴とする請求項
3から
5のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項7】
コンピュータに、
所定の組織の第1のデータベースから第1のタイミングでユーザIDと当該ユーザIDに対応付けられるユーザ名とを取得させ、
前記所定の組織の第2のデータベースに当該組織が管理する資産と対応付けて記憶されるユーザIDおよびユーザ名と、取得した前記ユーザIDおよび前記ユーザ名との差分を抽出させ、
抽出した前記差分に基づき、前記取得したユーザIDおよびユーザ名を加工させ、
加工結果に基づき、前記第2のデータベースを更新させる、
ことを含む各処理を実行させ
、
前記加工する処理は、取得した情報にユーザ名が含まれず、前記第2のデータベースに記憶される情報にユーザ名が含まれる場合、取得した情報に当該ユーザ名および差分の抽出に対応する日時とともに差分の種類を示す差分情報を付加する
ことを含む各処理を実行させることを特徴とする管理方法。
【請求項8】
所定の組織の第1のデータベースから第1のタイミングでユーザIDと当該ユーザIDに対応付けられるユーザ名とを取得させ、
前記所定の組織の第2のデータベースに当該組織が管理する資産と対応付けて記憶されるユーザIDおよびユーザ名と、取得した前記ユーザIDおよび前記ユーザ名との差分を抽出させ、
抽出した前記差分に基づき、前記取得したユーザIDおよびユーザ名を加工させ、
加工結果に基づき、前記第2のデータベースを更新させる、
各手順を含む処理をコンピュータに実行させ
、
前記加工する処理は、取得した情報にユーザ名が含まれず、前記第2のデータベースに記憶される情報にユーザ名が含まれる場合、取得した情報に当該ユーザ名および差分の抽出に対応する日時とともに差分の種類を示す差分情報を付加する
ことを特徴とする管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、管理方法および管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業等では、パーソナルコンピュータ(PC)等の物品を労働者に貸与して業務を遂行させる。
【0003】
そこで、物品と個人その他の情報との対応付けを行う様々な技術が知られている。たとえば、個人の指紋を読み取って二次元バーコード形式に変換し、当該二次元バーコードを照合対象物に貼付し、バーコードと指紋とを照合することで個人を識別する個人識別装置が知られている(特許文献1)。また、バスリセットなどのタイミングで、ネットワーク接続されたデバイスの固有情報を取得してメモリに格納し、メモリに格納されたデバイスに関する追加情報との対応関係を調査する情報処理装置が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-199157号公報
【文献】特開2001-148706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、大規模な事業体において、貸与された物品がユーザによって適切に利用されているか否かを追跡することは容易ではない。例えば、退職しているにも関わらず、その者のPCが返却されずに、そのまま使用中となっていた場合やいったん貸与されたが、ほとんど使用されていない場合など管理は容易でない。
【0006】
そこで、資産の使用状況を容易に追跡することができる管理装置、管理方法および管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の案では、管理装置は、取得部と、抽出部と、加工部と、更新部と、を備える。取得部は、所定の組織の第1のデータベースから第1のタイミングでユーザIDと当該ユーザIDに対応付けられるユーザ名とを取得する。抽出部は、所定の組織の第2のデータベースに当該組織が管理する資産と対応付けて記憶されるユーザIDおよびユーザ名と、取得部が取得したユーザIDおよびユーザ名との差分を抽出する。加工部は、抽出部が抽出した差分に基づき、取得部が取得したユーザIDおよびユーザ名を加工する。更新部は、加工部の加工結果に基づき、第2のデータベースを更新する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の1実施形態によれば、資産の使用状況を容易に追跡することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る管理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る第1のデータベースに記憶される情報の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る第2のデータベースに記憶される情報の構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る管理装置の記憶部に記憶される情報の構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る管理装置において加工の結果、得られる情報の一例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る管理装置により更新された情報の構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る管理装置における処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係る管理システムの構成の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係る管理装置における処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
【
図10】
図10は、第1~3の実施形態に係る管理プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する管理装置、管理方法および管理プログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る管理システム1の構成の一例を示す図である。第1の実施形態に係る管理システム1は、管理装置10と、第1のデータベース20と、第2のデータベース30と、を備える。また、管理システム1は、管理装置10、第1のデータベース20および第2のデータベース30を相互に通信可能に接続するネットワーク40、を備える。
【0012】
管理装置10は、第1のデータベース20および第2のデータベース30の独立性を維持しつつ、第1のデータベース20に格納される情報と、第2のデータベース30に格納される情報との連携を実現する情報処理装置である。なお、
図1では、管理装置10を独立した装置として図示するが、管理装置10は、第2のデータベース30と一体に構成してもよい。たとえば、管理装置10の機能は、第2のデータベース30に搭載されるプログラムの一部として第2のデータベース30に組み込んでもよい。
【0013】
第1のデータベース20は、第1の情報を格納するデータベースである。第1の情報はたとえば、所定の組織の人事に関する情報である。第1のデータベース20は、たとえば、企業の人事部が管理する、人事に関する情報を格納する人事データベースである。第1の情報はたとえば、企業に所属するユーザ(労働者)の氏名、所属、役職、その他の個人情報である。
【0014】
図2は、第1の実施形態に係る第1のデータベース20に記憶される情報の構成の一例を示す図である。
図2の例では、第1のデータベース20には、「ユーザID」に対応付けて、「ユーザ名」、「部署」、「役職」、「住所」等が記憶される。「ユーザID」とは、各ユーザを一意に特定するための識別子(Identifier)である。「ユーザID」はたとえば、企業において労働者に割り当てられる管理番号である。「ユーザ名」は、対応するユーザIDで特定されるユーザの氏名である。「ユーザ名」はたとえば、企業に所属する労働者の氏名である。「部署」は、対応するユーザIDで特定されるユーザが所属する部署を特定する情報である。「部署」はたとえば、システム部(
図2中、略称「SYS」で示す。)、人事部(
図2中、略称「PER」で示す。)等である。「役職」は、対応するユーザIDで特定されるユーザの役職である。「役職」はたとえば、「主査」、「課長」、「部長」等である。「住所」は、対応するユーザIDで特定されるユーザの住所である。この他、第1のデータベース20には、人事管理のために必要な任意の情報が記憶される。また、
図2中「NA」は該当する情報が第1のデータベース20に記憶されていないことを示す。
【0015】
たとえば、
図2の例では、「ユーザID、S016762」に対応付けて、「ユーザ名、片平剛」、「部署、SYS」、「役職、主査」が記憶される。これは、ユーザID「S016762」で特定されるユーザ(労働者)の氏名は、「片平剛」であることを示す。また、「片平剛」は、システム部(SYS)に所属し、役職は「主査」であることを示す。
【0016】
第2のデータベース30は、第2の情報を格納するデータベースである。第2の情報はたとえば、所定の組織が所有または使用する資産に関する情報である。第2のデータベース20は、たとえば、企業の資産管理部が管理する資産管理データベースである。第2の情報はたとえば、所定の組織においてユーザ(労働者)に貸与され、または、各部署に配置されるパーソナルコンピュータ(PC)、プリンタ、電話機等の物件の情報である。
【0017】
図3は、第1の実施形態に係る第2のデータベース30に記憶される情報の構成の一例を示す図である。
図3の例では、第2のデータベース30には、「物件ID」に対応付けて、「ホスト名」、「ステータス」、「使用者」、「部署」が記憶される。「物件ID」は、当該組織が所有または使用する資産すなわち物件1つ1つを、一意に特定するための識別子である。「ホスト名」は、当該物件がネットワークに接続される物件である場合に、ネットワーク上で当該物件を一意に識別するための識別子である。「物件ID」と「ホスト名」とは同一であってもよい。「ステータス」は、当該物件の使用状況である。たとえば、「ステータス」が「使用中」であれば、当該物件が部署またはユーザの少なくともいずれか一方に割り当てられていることを示す。他方、「ステータス」が「在庫」であれば、当該物件はその時点ではいずれの部署またはユーザにも割り当てられておらず、在庫として管理されていることを示す。「使用者」は、当該物件が割り当てられているユーザ名を示す。
図3の例では、「使用者」は、
図2の「ユーザID」と「ユーザ名」とを含む。「部署」は、当該物件が割り当てられているユーザが所属している部署を示す。
【0018】
たとえば、
図3の例では、「物件ID、PC-0001」に対応付けて、「ホスト名、HT-0001」、「ステータス、使用中」、「使用者、片平剛(S016762)」、「部署、SYS」が記憶されている。これは、物件ID「PC-0001」で特定される物件は、ネットワーク上ではホスト名「HT-0001」として認識されることを示す。また、物件ID「PC-0001」で特定される物件は、この時点でいずれかの部署またはユーザに割り当てられていることを示す。また、物件ID「PC-0001」で特定される物件は、ユーザID「S016762」で特定されるユーザである「片平剛」に割り当てられていることを示す。また、「片平剛」は、部署「システム部(SYS)」に所属していることを示す。なお、
図2,3,4,6中、説明の便宜上、以下の説明で参照するデータ部分に網掛けを付している。
【0019】
図1に戻り、ネットワーク40は、管理装置10、第1のデータベース20および第2のデータベース30を相互に通信可能に接続する。ネットワーク40はたとえば、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワークまたはそれらの組み合わせであってよい。また、ネットワーク40は、有線ネットワーク、無線ネットワークまたはそれらの組み合わせであってよい。
【0020】
[第1の実施形態に係る管理装置10の構成の一例]
管理装置10の構成および機能の一例につき、
図1を参照してさらに説明する。管理装置10は、記憶部100、制御部110、通信部120、入力部130および出力部140を備える。
【0021】
記憶部100は、管理装置10における処理に使用される情報および処理の結果生成される情報を記憶する。記憶部100はたとえば、半導体メモリ素子や記憶装置である。半導体メモリ素子としては、VRAM(Video Random Access Memory)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ(flash memory)などが挙げられる。また、記憶装置としては、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置が挙げられる。記憶部100に記憶される情報については後述する。
【0022】
制御部110は、管理装置10の動作および機能を制御する。制御部110としてたとえば、各種の集積回路や電子回路を採用できる。また、制御部110に含まれる機能部の一部を別の集積回路や電子回路とすることもできる。たとえば、集積回路としては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)が挙げられる。また、電子回路としては、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などが挙げられる。制御部110の機能および構成については後述する。
【0023】
通信部120は、ネットワーク40を介した他の装置等との通信を実現する機能部である。通信部120はたとえば、ルータ、スイッチ、モデム、ポート等を含む。
【0024】
入力部130は、管理装置10への外部からの情報の入力を実現する機能部である。入力部130はたとえば、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクロフォンおよびそれらの周辺回路等を含む。
【0025】
出力部140は、管理装置10から外部への情報の出力を実現する機能部である。出力部140はたとえば、スクリーン、スピーカ、プリンタおよびそれらの周辺回路等を含む。
【0026】
[記憶部100に記憶される情報の一例]
記憶部100は、第1テーブル記憶部101、第2テーブル記憶部102、および第3テーブル記憶部103を有する。
図4は、第1の実施形態に係る管理装置10の記憶部100に記憶される情報の構成の一例を示す図である。
【0027】
第1テーブル記憶部101は、第1のデータベース20から第1のタイミングで取得されるユーザIDとユーザ名とを含む第1テーブルを記憶する。第1テーブルは、第1のデータベース20と第2のデータベース30の双方に格納される項目に関する情報を含む。第1テーブルは、ユーザIDとユーザ名以外の情報も含んでよい。第1テーブル記憶部101に記憶される情報は、第1のタイミングが到来するたびに上書きされる。第1のタイミングは特に限定されない。第1のタイミングは、たとえば、第1のデータベース20に対する他の操作が実行されていない時間帯である。また、第1のタイミングはたとえば、1日の所定の時刻である。たとえば、第1のタイミングは毎日24時等である。
【0028】
図4の(A)は、第1テーブル記憶部101に記憶される第1テーブルの構成の一例である。
図4の(A)の例では、第1テーブルは、「ユーザID」、「ユーザ名」、「部署」を含む。第1テーブルの各項目は、第1のデータベース20に記憶される情報の各項目と同様である。
【0029】
第2テーブル記憶部102は、第1のタイミングが到来した時点で第2のデータベース30に記憶されているユーザIDとユーザ名とを含む第2テーブルを記憶する。第2テーブルは、第1テーブルと同様、第1のデータベース20と第2のデータベース30の双方に格納される項目に関する情報を含む。ただし、第2テーブルは、ユーザIDとユーザ名以外の情報も含んでよい。
【0030】
図4の(B)は、第2テーブル記憶部102に記憶される第2テーブルの例である。
図4の(B)の例では、第2テーブルは、「使用者」と「部署」とを含む。第2テーブルの各項目および情報は、第2のデータベース30から取得される。
【0031】
第3テーブル記憶部103は、第1テーブルと第2テーブルとの差分を示す第3テーブルを記憶する。
図4の(C)は、第3テーブル記憶部103に記憶される第3テーブルの例である。
図4の(C)の例では、第3テーブルは、「ユーザID」、「ユーザ名」および「部署」を含む。「ユーザID」、「ユーザ名」および「部署」は、第1のデータベース20に記憶される情報と同様である。ただし、
図4の(C)の例では、第1テーブルと第2テーブルとの間で変更があった項目について変更された内容が記憶される。たとえば、
図4の(C)中、「ユーザID、S016764」に対応付けて、「ユーザ名、(第1:NA)(第2:衛府花子)」、「部署、(第1:NA)(第2:DEV)」が記憶される。これは、ユーザID「S016764」に対応付けて記憶されるユーザ名は、第1テーブルには存在しないが、第2テーブルでは「衛府花子」であることを示す。また、ユーザID「S016764」に対応付けて記憶される部署は、第1テーブルには存在しないが、第2テーブルでは「DEV(開発部)」であることを示す。
【0032】
なお、第1の実施形態では、第1テーブル、第2テーブルおよび第3テーブルは、第1のタイミングが到来するたびに更新されるものとする。
【0033】
[制御部110の機能および構成の一例]
制御部110は、取得部111、抽出部112、加工部113、更新部114および出力制御部115を有する。
【0034】
取得部111は、第1のデータベース20から第1のタイミングでユーザIDと当該ユーザIDに対応付けられるユーザ名とを取得する。取得部111が取得するユーザIDとユーザ名とは、記憶部100の第1テーブル記憶部101に記憶される。取得部111はこのほか、予め定められた項目の情報を第1のデータベース20から取得してもよい。
【0035】
抽出部112は、第2のデータベース30に資産と対応付けて記憶されるユーザIDおよびユーザ名と、取得部111が取得したユーザIDおよびユーザ名との差分を抽出する。たとえば、抽出部112は、取得部111が第1テーブルを第1テーブル記憶部101に記憶すると、第2のデータベース30から、資産と対応付けて記憶されるユーザIDおよびユーザ名を抽出し、第2テーブル記憶部102に記憶する。そして、抽出部112は、第1テーブルと第2テーブルとを比較し、抽出した差分を第3テーブル記憶部103に記憶する。
【0036】
加工部113は、第3テーブル記憶部103を参照し、抽出部112が抽出した差分に基づき、取得部111が取得したユーザIDおよびユーザ名を加工する。たとえば、加工部113は、取得部111が取得したユーザIDおよびユーザ名に、差分の種類を示す情報(以下、差分情報とも呼ぶ。)を付加する。たとえば、第2テーブルに存在する情報が第1テーブルには存在しない場合には、加工部113は、「削除」を示す情報を付加する。また、たとえば、第2テーブルに存在する情報が第1テーブルにおいて変更されている場合には、加工部113は、「変更」を示す情報を付加する。また、加工部113は、削除または変更された情報を付加する。
【0037】
図5は、第1の実施形態に係る管理装置10において加工の結果、得られる情報の一例を説明するための図である。たとえば、
図4の例においては、第2テーブルに存在する「S016764」というユーザIDに対応付けられるユーザ名「衛府花子」は、第1テーブルにおいては、「NA」となっている。そして、第3テーブルには、「ユーザID、S016764」に対応付けて、ユーザ名「(第1:NA)(第2:衛府花子)」が記憶されている。この場合、加工部113は、「衛府花子」というユーザ名が削除されたと判定し、「削除」を示す情報を「ユーザ名」に付加する。また、加工部113は、削除されたユーザ名を、「削除」を示す情報に付加する。また、加工部113は第1テーブルが記憶された日時に対応する日時、たとえば、差分の抽出に対応する日時を「ユーザ名」に付加する。たとえば、加工部113は、加工の結果、
図5に示すように、「ユーザ名」として「削除:20171203 衛府花子」を生成する。これは、第1のタイミングにおいて取得された第1のデータベース20の情報においては、第2のデータベース30に記憶されている情報と比較して「ユーザ名、衛府花子」がなくなっていることを示す。また、ユーザ名の削除という差分の抽出に対応する日時は、2017年12月3日であることを示す。加工部113は、他の項目についても同様に情報を加工することができる。
【0038】
更新部114は、加工部113の加工結果に基づき、第2のデータベース30を更新する。
【0039】
たとえば、更新部114は、
図3に示される情報を、
図5に示される情報で更新することにより、
図6に示す情報を生成する。
図6は、第1の実施形態に係る管理装置10により更新された情報の構成の一例を示す図である。
図6と
図3とを比較すると、「使用者」の欄に記憶される情報が
図3の「衛府花子(S016764)」から、
図6の「(削除:20171203 衛府花子)(S016764)」に更新されている。
【0040】
仮に、第2のデータベース30に記憶される情報を第1のデータベース20に記憶される情報で単純に更新したとすると、「使用者」の欄には、「(NA)(S016764)」が記憶されることになる。また、「部署」の欄には、「NA」が記憶されることになる。この場合、更新後の第2のデータベース30に記憶される情報を参照しても、管理者は、物件ID「PC-0004」で特定される物件がどの部署の誰に割り当てられているのかを知ることができない。これに対して、加工部113により処理された情報を用いて第2のデータベース30を更新すると、管理者は、「使用者」に対応して記憶されていた「衛府花子」という情報が2017年12月3日に削除されていることを知ることができる。また、管理者は、「部署」に対応して記憶されていた「DEV」という情報が2017年12月3日に削除されていることを知ることができる。
【0041】
出力制御部115は、更新部114により更新された第2のデータベース30に記憶される情報のうち、差分が生じた情報を外部に出力する。たとえば、出力制御部115は、第2のデータベース30に記憶される情報のうち、加工部113により加工された情報に対応する部分を外部に出力する。たとえば、出力制御部115は、
図6の「物件ID、PC-0004」に対応する行の情報を出力部140に出力させる。出力制御部115は、差分が生じた情報が複数ある場合には、差分が生じた情報をリスト化して出力部140に出力させる。
【0042】
[第1の実施形態に係る管理装置の処理の流れの一例]
図7は、第1の実施形態に係る管理装置10における処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。まず、管理装置10の取得部111は第1のタイミングが到来したか否か判定する(ステップS71)。第1のタイミングが到来していないと判定すると(ステップS71、No)、取得部111はステップS71を繰り返す。他方、第1のタイミングが到来したと判定すると(ステップS71、Yes)、取得部111は、第1のデータベース20からユーザIDと当該ユーザIDに対応付けられるユーザ名と、を取得する(ステップS72)。取得部111は、取得したユーザIDおよびユーザ名を第1テーブル記憶部101に記憶する。次に、抽出部112は、資産に対応付けて第2のデータベース30に記憶されるユーザIDおよびユーザ名を抽出して第2テーブル記憶部102に記憶する。抽出部112は、第1テーブルと第2テーブルとを照合し、差分を抽出する(ステップS73)。抽出部112は抽出した差分を第3テーブル記憶部103に記憶する。次に、加工部113は、第3テーブルを参照して、差分の有無を判定する(ステップS74)。差分なしと判定した場合(ステップS74、No)、たとえば第3テーブルに情報が記憶されていないと判定した場合、加工部113はステップS76に進む。他方、差分ありと判定した場合(ステップS74、Yes)、加工部113は、ステップS72で取得した情報を加工する(ステップS75)。たとえば、加工部113は、差分に基づき、ステップS72で取得したユーザIDおよびユーザ名に差分に対応する日時を付加する。差分に対応する日時とは、差分の抽出に対応する日時である。たとえば、差分が抽出された日、または差分が抽出された日を含む資産管理上の締め日等である。また、加工部113は、差分に基づき、ステップS72で取得したユーザIDおよびユーザ名に差分情報を付加する。そして、更新部114は、加工部113により加工された情報(
図5参照)に基づき、第2のデータベース30を更新する(ステップS76)。そして、出力制御部115は、更新後の第2のデータベース30において差分情報が対応付けられた資産のリストを出力する(ステップS77)。これで、管理装置10における処理が終了する。
【0043】
[第1の実施形態の効果]
上記のように、第1の実施形態に係る管理装置は、取得部と、抽出部と、加工部と、更新部と、を備える。取得部は、所定の組織の第1のデータベースから第1のタイミングでユーザIDと当該ユーザIDに対応付けられるユーザ名とを取得する。抽出部は、所定の組織の第2のデータベースに当該組織が管理する資産と対応付けて記憶されるユーザIDおよびユーザ名と、取得部が取得したユーザIDおよびユーザ名との差分を抽出する。加工部は、抽出部が抽出した差分に基づき、取得部が取得したユーザIDおよびユーザ名を加工する。更新部は、加工部の加工結果に基づき、第2のデータベースを更新する。このため、第1の実施形態に係る管理装置は、資産の使用状況を容易に追跡することができる。たとえば、第1のデータベースが人事部が管理する人事データベースである場合、ユーザが退職すると、第1のデータベースから当該ユーザのユーザ名が削除される。この場合、第1のデータベースには所定のユーザIDに対応するユーザ名がなく、第2のデータベースには所定のユーザIDに対応するユーザ名が記憶された状態となる。かかる場合に、第1のデータベースの情報で、第2のデータベースの対応する箇所を上書きすると、資産がどのユーザに割り当てられているのかを、第2のデータベース上で特定することができない。このため、資産管理部は、資産がどこにあるのかを特定できなくなってしまう。しかし、上記の第1の実施形態のように、第1のデータベースの情報に所定の加工を施した上で、第2のデータベースに反映するようにすれば、第2のデータベース上で必要な情報を保持することができる。また、第2のデータベースに適合させた処理を実現するために第1のデータベース上の情報に影響を与えることがなく、第1のデータベース、第2のデータベースそれぞれの独立性を維持することができる。このように、第1の実施形態に係る管理装置は、第1のデータベースおよび第2のデータベース各々に格納される情報の独立性を損なうことなく、情報の変化の見える化を実現することができる。また、第1の実施形態に係る管理装置は、第1のデータベースと第2のデータベースとの間で差分が生じた部分のみ、差分の種類を特定して情報を付加する。このため、第1の実施形態に係る管理装置は、処理負荷を抑制して迅速に第2のデータベースを更新することができる。
【0044】
また、第1の実施形態に係る管理装置において、加工部は、取得部が取得した情報にユーザ名が含まれず、第2のデータベースに記憶される情報にユーザ名が含まれる場合、取得部が取得した情報に当該ユーザ名および差分の抽出に対応する日時を付加する。このため、管理装置は、第1のデータベースに記憶される情報と第2のデータベースに記憶される情報との間に差分が生じた時期を特定して記録することができる。このため、第2のデータベースに記憶される情報に基づき、いつごろから資産が余剰資産となっていたか、いつごろから不適切に使用されていたか、等を管理者が容易に推定することができる。
【0045】
また、第1の実施形態に係る管理装置は、加工部により加工されたユーザIDおよびユーザ名と、当該ユーザIDに対応する資産と、を出力部に出力させる出力制御部をさらに備える。このため、管理者は、出力部から出力される情報に基づき、退職したユーザに割り当てられていた資産がどれかを推定することができる。このため、管理者は、管理装置からの出力に基づき、迅速かつ適正に資産を配置し直すことができる。また、ユーザIDに紐づけられる情報がユーザ名以外にもある場合は、管理装置は、組織の変更に伴って生じた余剰資産の迅速な発見を促すことができる。たとえば、ユーザIDに対応付けて記憶された部署名が同時に多数変更された場合などは、管理者は、管理装置の出力に基づき、組織の改編や統合などがあったものと推定して迅速な対応を取ることができる。
【0046】
[変形例]
なお、上記第1の実施形態においては、説明の便宜のため、第1テーブル、第2テーブル、第3テーブルをそれぞれ管理装置10上に記憶するものとして説明した。しかし、これに限定されず、管理装置10は、第1テーブルを記憶した後、第2のデータベースを参照しつつ、差分を抽出するように構成してもよい。すなわち、管理装置10は、第2テーブル記憶部102を備えない構成としてもよい。また、たとえば、管理装置10を第2のデータベース30と一体に構成する場合は、第1テーブル乃至第3テーブルは、第2のデータベース30内に記憶してもよい。
【0047】
また、上記第1の実施形態においては、第1のデータベースおよび第2のデータベースの例として人事データベースおよび資産管理データベースを用いて説明した。これに限らず、上記第1の実施形態に係る管理装置は、特定の情報(ユーザID等)に紐づけられる同じ情報を各々独立して管理する複数の任意のデータベース間に配置することができる。
【0048】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態においては、所定の組織が管理する資産と当該資産を利用するユーザとの対応付けを維持するための構成について説明した。特に、第1の実施形態は、所定の組織に所属していたユーザが当該組織に所属しなくなった場合に、資産が割り当てられる部署およびユーザを追跡できるように構成した。これに対して、第2の実施形態に係る管理システムはさらに、資産の具体的な使用状況の推定を可能にする。第2の実施形態に係る管理システムは、ネットワークを介して資産の使用状況に関連する情報を取得する。そして、管理システムは、取得した情報に基づき、各資産の所定期間中の使用率が所定の基準を満たす資産を出力する。
【0049】
図8は、第2の実施形態に係る管理システム2の構成の一例を示す図である。第2の実施形態に係る管理システム2の構成および機能は概ね、第1の実施形態に係る管理システム1と同様である。以下、第1の実施形態に係る管理システム1と共通の構成および機能については説明を省略する。
【0050】
管理システム2は、管理装置10Aと、第1のデータベース20と、第2のデータベース30と、を備える。管理システム2はさらに、管理装置10A、第1のデータベース20および第2のデータベース30を相互に通信可能に接続するネットワーク40を備える。管理システム2はさらに、管理装置10A、第1のデータベース20および第2のデータベース30と、ネットワーク40を介して通信可能に接続されるサーバ50を備える。
図8には一つのサーバ50を示すが、管理システム2上で管理装置10Aと接続される情報処理装置の数は特に限定されない。また、サーバ50に限らず、第1、第2のデータベース20,30に格納される情報に関連する情報を有する情報処理装置を、ネットワーク40を介して管理装置10Aに接続することができる。
【0051】
管理装置10Aは、第1の実施形態に係る管理装置10の機能に加えて、第2のデータベース30により管理される資産の使用状況をネットワーク40を介して取得する。さらに、管理装置10Aは、取得した使用状況に基づき、所定期間中の使用率が第1の閾値以下の資産を抽出する。管理装置10Aはまた、取得した使用状況に基づき、所定期間中の使用率が第2の閾値以上の資産を抽出する。管理装置10Aはまた、取得した使用状況に基づき、所定期間中の資産の平均使用率が第1の閾値以下または第2の閾値以上である部署を抽出する。管理装置10Aは、抽出した情報を出力する。
【0052】
このため、管理装置10Aの取得部111A、抽出部112Aおよび出力制御部115Aは、第1の実施形態の管理装置10の取得部111、抽出部112および出力制御部115の機能に加えて以下の機能を有する。
【0053】
取得部111Aは、資産の使用状況をネットワークを介して取得する。たとえば、取得部111Aは、ネットワーク40に接続される資産から当該資産の使用状況を取得する。たとえば、取得部111Aは、資産の電源ON、電源OFF等を取得する。取得部111Aは、直接資産から情報を取得してもよく、資産に接続されるゲートウェイやサーバ50等の装置から情報を取得してもよい。
【0054】
抽出部112Aは、取得部111Aが取得した情報に基づき、所定期間中の使用率が第1の閾値以下の資産を抽出する。たとえば、抽出部112Aは、当該組織において資産の使用が開始してから所定期間が経過している資産を抽出する。そして、抽出部112Aは、当該資産の所定期間中の使用率を、取得した情報に基づき算出する。たとえば、抽出部112Aはまず、その時点で、使用が開始してから3カ月以上経過している資産を、第2のデータベース30から抽出する。そして、抽出部112Aは、取得した情報に基づき、3カ月前からその時点までの当該資産の使用率を算出する。抽出部112Aは、そして、使用率が第1の閾値以下の資産を抽出する。たとえば、抽出部112Aは、3カ月前からその時点までの使用率が、10%以下の資産を抽出する。資産が適切に業務に使用されている場合には、当該資産の使用率は所定値を満たすと予想される。第1の閾値は、たとえば、資産が適切に業務に使用されている場合の使用率の平均値である。この場合、使用率が第1の閾値以下の資産は、適切に使用されていないと推定することができる。
【0055】
抽出部112Aはまた、取得部111Aが取得した情報に基づき、所定期間中の使用率が第2の閾値以上の資産を抽出する。たとえば、抽出部112Aは、その時点で、使用が開始してから3カ月以上経過している資産を、第2のデータベース30から抽出する。そして、抽出部112Aは、取得した情報に基づき、3カ月前からその時点までの当該資産の使用率を算出する。抽出部112Aは、そして、使用率が第2の閾値以上の資産を抽出する。第2の閾値はたとえば、資産が適切に業務に使用されている場合の使用率を大きく逸脱する値である。たとえば、1日24時間のうち8時間勤務の企業で使用されるPCが、1日20時間以上ログオン状態であるとする。時間外勤務を考慮してもこの値は資産が適切に業務に使用されている場合に予想される値を大きく逸脱している。この場合、使用率が第2の閾値以上の資産は、適切に使用されていないと推定することができる。
【0056】
抽出部112Aはまた、第2のデータベース30から資産を、当該資産が割り当てられる部署ごとに抽出する。そして、抽出部112Aは、当該資産の使用状況に基づき、所定期間中の資産の平均使用率が第1の閾値以下または第2の閾値以上である部署を抽出する。このように、抽出部112Aは、資産を適切に使用していないと推定される部署を抽出する。なお、第1の閾値および第2の閾値の設定手法は特に限定されない。
【0057】
出力制御部115Aは、抽出部112Aが抽出した資産および部署を出力部140に出力させる。たとえば、出力制御部115Aは、第2データベース30に差分情報と対応付けて記憶されている資産のうち、抽出部112Aにより抽出された資産を選択し、選択した資産のリストを出力部140に出力させる。出力制御部115Aは、資産の使用率が第1の閾値以下であるか、第2の閾値以上であるか、に応じて出力するリスト上の表示態様を変更するように構成してもよい(第1のアラート、第2のアラート)。また、出力制御部115Aは、平均使用率が第1の閾値以下または第2の閾値以上である部署を、使用率が第1の閾値以下または第2の閾値以上の資産の表示に重畳してリスト上に表示するように構成してもよい。
【0058】
管理装置10Aの取得部111A、抽出部112A、出力制御部115A以外の構成および機能は、第1の実施形態に係る管理装置10と同様である。
【0059】
図9は、第2の実施形態に係る管理装置における処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。第2の実施形態に係る管理装置は、
図9に示す処理と独立して、または、平行して、
図7に示す処理を実行する。
【0060】
まず、取得部111Aは、第2のデータベース30に記憶される資産の使用状況を取得する(ステップS91)。抽出部112Aは、取得した使用状況に基づき、所定期間中の各資産の使用率が第1の閾値以下か否かを判定する(ステップS92)。使用率は第1の閾値以下と判定した場合(ステップS92、Yes)、抽出部112Aは、出力するリスト中、当該資産に対応する第1のアラートを付加するよう出力制御部115Aに指示する(ステップS93)。他方、使用率は第1の閾値を上回ると判定した場合(ステップS92、No)、抽出部112Aは、次に、所定期間中の各資産の使用率が第2の閾値以上か否かを判定する(ステップS94)。使用率は第2の閾値以上と判定した場合(ステップS94、Yes)、抽出部112Aは、出力するリスト中、当該資産に対応する第2のアラートを付加するよう出力制御部115Aに指示する(ステップS95)。他方、抽出部112Aは、使用率は第2の閾値未満と判定した場合(ステップS94、No)、ステップS96に進む。そして、出力制御部115Aは、抽出部112Aの処理に基づき第1のアラートおよび第2のアラートが付加された出力リストを出力部140に出力させる(ステップS96)。これで処理が終了する。
【0061】
なお、
図9に示す処理は、
図7の処理に基づきステップS77において出力されるリストに対して第1のアラートおよび第2のアラートを付加するように構成してもよい。また、
図9に示す処理は、
図7の処理とは別個に管理装置10が実行するよう構成してもよい。また、管理装置10Aは、第1のアラートを付加する処理(ステップS92、S93)および第2のアラートを付加する処理(ステップS94、S95)のうち、一方のみを実行するように構成してもよい。また、管理装置10Aは、
図9に示す処理において、所定の部署に対応付けて第2のデータベース30に記憶されている資産のみを処理対象とするように構成してもよい。
【0062】
[第2の実施形態の効果]
このように、第2の実施形態に係る管理装置において、取得部はさらに、資産の使用状況をネットワークを介して取得する。抽出部は、取得部が取得した使用状況に基づき、所定期間中の使用率が第1の閾値以下の資産を抽出する。出力制御部は、取得部が取得したユーザIDに対応して第2のデータベースに記憶されている資産のうち、抽出部が抽出した資産を出力部に出力させる。このため、第2の実施形態に係る管理装置は、資産の使用状況を容易に追跡することができる。たとえば、第2の実施形態に係る管理装置によれば、ユーザの退職により余剰資産となった資産を発見することができるだけでなく、当該資産が実際に使用されておらず不要となっていることを管理者が知ることができる。また、第2の実施形態に係る管理装置によれば、在職中のユーザに割り当てられているにもかかわらず有効活用されていない資産を管理者が容易に発見することができる。
【0063】
また、第2の実施形態に係る管理装置において、抽出部は、取得部が取得した使用状況に基づき、所定期間中の使用率が第2の閾値以上の資産を抽出する。そして、出力制御部は、ユーザIDに対応する資産のうち、抽出部が抽出した資産を出力部に出力させる。このため、第2の実施形態に係る管理装置は、電源が投入されたまま放置されている資産等を管理者に発見させて、資産の有効活用に資することができる。また、第2の実施形態に係る管理装置は、資産が適切に管理されないまま利用されている実体等を管理者に容易に発見させることができる。たとえば、管理装置は、退職者が使用していたPCを、当該PCが配備された部署が資産管理部に報告しないまま、他のユーザが使用していることなどの発見を促すことができる。また、第2の実施形態に係る管理装置は、資産の配置が十分ではない部署等を管理者に容易に発見させることができる。
【0064】
また、第2の実施形態に係る管理装置において、取得部はさらに、第1のデータベースからユーザIDに対応付けられる部署を取得する。そして、第2の実施形態に係る管理装置において、取得部はさらに、資産の使用状況をネットワークを介して取得する。抽出部は、取得部が取得した部署および使用状況に基づき、所定期間中の資産の平均使用率が第1の閾値以下または第2の閾値以上である部署を抽出する。出力制御部は、抽出部が抽出した部署を出力部に出力させる。このため、第2の実施形態によれば、管理装置は、管理装置からの出力により、余剰資産の多い部署を管理者に容易に発見させることができる。また、管理装置は、管理装置からの出力により、資産が不足している部署を管理者に容易に発見させることができる。また、管理装置は、管理装置からの出力により、不適正な資産配置を管理者に迅速に発見させることができる。
【0065】
また、第2の実施形態に係る管理装置において、取得部は、所定期間より前から使用している資産について所定期間中の使用状況を取得する。このため、管理装置は、使用を開始したばかりの資産等については使用状況の判定には使用しないことで、より的確な使用状況の判定を実現することができる。また、管理装置は、所定期間として、たとえばその時点から直前3カ月等の期間を設定することで、より有効性の高い情報を出力することができる。
【0066】
[第3の実施形態]
これまで開示の管理装置、管理方法および管理プログラムに関する実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0067】
[クラウドコンピューティングによる実装]
開示の管理プログラムは、クラウドシステムを構成するサーバに実装し、クラウドシステムを介して、異なるデータベース間で情報を連携させるために使用することができる。このようにすれば、多数の部署間で情報の独立性を保ちつつ、各部署が保持する情報の有効活用を図ることができる。
【0068】
[分散および統合]
図示した各装置の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。たとえば、上記実施形態において、管理装置10の機能として説明した機能は、第2のデータベース30上で動作するアプリケーションの機能として実装することができる。各機能の配置は、管理装置10および第1のデータベース20の処理能力等に基づき決定することができる。
【0069】
[管理プログラム]
また、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをサーバ等のコンピュータからタブレット端末やノート型コンピュータ等のコンピュータに配布し、サーバとコンピュータとが処理を協働して実行することによって実現することができる。そこで、以下では、
図10を用いて、上記の実施例と同様の機能を有する管理プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。
【0070】
図10は、第1~3の実施形態に係る管理プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。
図10に示すように、コンピュータ1000は、操作部1100と、ディスプレイ1200と、通信部1300とを有する。さらに、このコンピュータ1000は、CPU(Central Processing Unit)1400と、ROM(Read Only Memory)1500と、RAM(Random Access Memory)1600と、HDD(Hard Disk Drive)1700とを有する。これら1100~1700の各部はバス1800を介して接続される。
【0071】
HDD1700には、
図10に示すように、上記の第1の実施形態で示した各部と同様の機能を発揮するモジュールを実装することができる管理プログラム1700aが予め記憶される。この管理プログラム1700aについては、
図1に示した各々の各構成要素と同様、適宜統合または分離してもよい。すなわち、HDD1700に記憶される各データは、常に全てのデータがHDD1700に記憶される必要はなく、処理に必要なデータのみがHDD1700に記憶されればよい。
【0072】
そして、CPU1400が、管理プログラム1700aの各モジュールをHDD1700から読み出してRAM1600に展開する。これによって、
図10に示すように、管理プログラム1700aは、管理プロセス1600aとして機能する。この管理プロセス1600aは、HDD1700から読み出した各種データを適宜RAM1600上の自身に割り当てられた領域に展開し、この展開した各種データに基づいて各種処理を実行する。なお、管理プロセス1600aは、
図1に示した各処理部にて実行される処理を含む。また、CPU1400上で仮想的に実現される各処理部は、常に全ての処理部がCPU1400上で動作する必要はなく、必要な処理部のみが仮想的に実現されればよい。
【0073】
なお、上記の管理プログラム1700aについては、必ずしも最初からHDD1700やROM1500に記憶させておく必要はない。たとえば、コンピュータ1000に挿入されるフレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させる。または、DVD(Digital Versatile Disc)ディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させる。そして、コンピュータ1000がこれらの可搬用の物理媒体から各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。また、公衆回線、インターネット、LAN、WAN(Wide Area Network)などを介してコンピュータ1000に接続される他のコンピュータまたはサーバ装置などに各プログラムを記憶させておいてもよい。そして、コンピュータ1000がこれらから各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1,2 管理システム
10,10A 管理装置
100 記憶部
101 第1テーブル記憶部
102 第2テーブル記憶部
103 第3テーブル記憶部
110,110A 制御部
111,111A 取得部
112,112A 抽出部
113 加工部
114 更新部
115,115A 出力制御部
120 通信部
130 入力部
140 出力部
20 第1のデータベース
30 第2のデータベース
40 ネットワーク