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特許7071264リチウム、リン、硫黄、及びヨウ素含有電解質及びカソライト組成物、電気化学装置用の電解質膜、並びにこれらの電解質及びカソライトを製造するアニーリング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】リチウム、リン、硫黄、及びヨウ素含有電解質及びカソライト組成物、電気化学装置用の電解質膜、並びにこれらの電解質及びカソライトを製造するアニーリング方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/10 20060101AFI20220511BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20220511BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20220511BHJP
   H01M 10/056 20100101ALI20220511BHJP
   H01B 1/06 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
H01B1/10
H01M10/0562
H01M10/052
H01M10/056
H01B1/06 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018528692
(86)(22)【出願日】2016-12-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-03-07
(86)【国際出願番号】 US2016064492
(87)【国際公開番号】W WO2017096088
(87)【国際公開日】2017-06-08
【審査請求日】2019-11-27
(31)【優先権主張番号】62/263,409
(32)【優先日】2015-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/321,428
(32)【優先日】2016-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515316414
【氏名又は名称】クアンタムスケイプ バテリー, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ズヘボ チェン
(72)【発明者】
【氏名】ティム ホルメ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ハドソン
(72)【発明者】
【氏名】キアン ケルマン
(72)【発明者】
【氏名】スニル マイル
(72)【発明者】
【氏名】アマル メーロトラ
(72)【発明者】
【氏名】キム ヴァン ヴァーケル
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-016423(JP,A)
【文献】国際公開第2014/162693(WO,A1)
【文献】特開2012-146512(JP,A)
【文献】特開2003-217663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/10
H01M 10/0562
H01M 10/052
H01M 10/056
H01B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LixPySzIt(式中、5≦x≦12; 1≦y≦3; 5≦z≦9、及び0.1≦t≦2)を特徴とする化合物を含み;且つ
20°±1°及び29°±1°(2Θ)に一次ピークを含むX線粉末回折(XRD)パターンを特徴とする、電解質であって、
20°±1°(2Θ)の一次ピークが、2°±1°の半値全幅(FWHM)を有し;
29°±1°(2Θ)の一次ピークが、2°±1°の半値全幅(FWHM)を有し;
該電解質が、20、25、27、29、及び45°±1°(2Θ)での反射の少なくとも1つを有するXRDパターンを特徴とし、
式中、下付き文字x、y、z、及びtは有理数であり;
該化合物が、電荷中性であり;
該XRDパターンが、Cu-Kα線を用いて得られる、前記電解質。
【請求項2】
前記電解質が、LixPySzIt(式中、5≦x≦12; 1≦y≦3; 5≦z≦9、及び0.1≦t≦2)を特徴とする化合物から基本的になり;且つ
20°±1°(2Θ)及び29°±1°(2Θ)に一次ピークを含むXRDパターンを特徴とし;
20°±1°(2Θ)の一次ピークが、2°±1°の半値全幅(FWHM)を有し;
29°±1°(2Θ)の一次ピークが、2°±1°の半値全幅(FWHM)を有し;
該電解質が、20、25、27、29、及び45°±1°(2Θ)での反射の少なくとも1つを有するXRDパターンを特徴とし、
式中、下付き文字x、y、z、及びtは有理数であり;
該化合物が、電荷中性であり;かつ
該化合物が、セミアモルファスである、請求項1記載の電解質。
【請求項3】
前記電解質がセミアモルファスである、請求項1記載の電解質。
【請求項4】
前記化合物が、LixPySzIt(式中、7.2≦x≦7.6、1.4≦y≦1.8、7.0≦z≦7.4、及び0.8≦t≦1.2である)である、請求項1記載の電解質。
【請求項5】
前記化合物が、アルジロダイト結晶構造を有さない、請求項1記載の電解質。
【請求項6】
前記化合物が、Li7.4P1.6S7.2Iである、請求項1記載の電解質。
【請求項7】
ポリマーをさらに含む、請求項1記載の電解質。
【請求項8】
LixPySzItの重量充填量が、少なくとも50%(w/w)から95%(w/w)未満である、請求項記載の電解質。
【請求項9】
LixPySzItの重量充填量が、少なくとも50%(w/w)である、請求項記載の電解質。
【請求項10】
前記ポリマーが、エポキシ、エポキシド、ポリプロピレン(PP)、アタクティックポリプロピレン(aPP)、アイソタクティブポリプロピレン(iPP)、ポリブタジエン(PBD)、ポリブタジエンラバー(PB)、架橋ポリブタジエン(cPBD)、ポリスチレン(PS)、エチレンプロピレンラバー(EPR)、エチレンペンテンコポリマー(EPC)、ポリイソブチレン(PIB)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリオレフィン、ポリエチレン-コ-ポリ-1-オクテン(PE-co-PO)、PE-コ-ポリ(メチレンシクロペンタン)(PE-co-PMCP)、ポリメチル-メタクリラート、アクリル樹脂、アクリロニトリル-ブタジエンラバー(NBR)、ポリビニルアセタアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、PVBステレオブロックポリプロピレン、ポリプロピレンポリメチルペンテンコポリマー、ポリエチレンオキシド(PEO)、PEOブロックコポリマー、ニトリル、ニトリルブタジエンラバー、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリイソプレンラバー(PI)、ポリクロロプレンラバー(CR)、ポリエチルアクリラート(PEA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、水性適合ポリマー、シリコーン、PMX-200(ポリジメチルシロキサン、PDMS)、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチルメタクリラート(PEMA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ステレオブロックポリプロピレン、ポリプロピレンカーボナート、ポリエチレン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項記載の電解質。
【請求項11】
約10nm~約100μmの膜厚を有する薄膜として形成された、請求項1記載の電解質。
【請求項12】
LiIを含む、請求項1記載の電解質。
【請求項13】
Li2Sを含む、請求項1記載の電解質。
【請求項14】
前記薄膜が、0.5μm Rt~30μm Rtの表面粗さを有する(ここで、Rtは、標本とされた表面の最大表面粗さピーク高さである)、請求項11記載の電解質。
【請求項15】
上部層及び下部層を有する二層固体電解質であって、該上部層が、請求項1記載の電解質を含み、該下部層が、実験式(1-x)(60:40 Li2S:SiS2)・(x)(Li3PO4)(式中、xは0.01~0.99である)を特徴とする化合物を含む、前記二層固体電解質。
【請求項16】
請求項1記載の電解質を含む電気化学装置。
【請求項17】
前記薄膜が、0.5μm Ra~30μm Raの表面粗さを有する(式中、Raは、標本とされた表面粗さの平均ピーク高さである)、請求項11記載の電解質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2016年4月12日に出願された米国仮特許出願第62/321,428号の優先権を主張し、2015年12月4日に出願された米国仮特許出願第62/263,409号の優先権も主張し、それらの開示を全目的のためにその全体として引用により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
(背景)
再生可能でない石油系エネルギー源の消費に基づく現在のエネルギー経済から、人間が持続可能に再生可能なエネルギーを生み出し、貯蔵し、消費する将来のエネルギー経済に移行するには、一連の技術的課題を克服しなくてはならない。とりわけ自動車運送に関して、これらの課題のうち第1で最も重要なものは、内燃機関の好適な代替品である再生可能エネルギー貯蔵装置への満たされていない要求である。特に、充電式電池及びリチウム(Li)充電式電池は、純電気自動車及びハイブリッド電気自動車などのいくつかの自動車用途における有用な代替物であるが、従来の充電式電池の高コスト及び限定された性能は、依然として電気自動車技術の主流の採用を妨げている主な障害である。固体充電式電池は、主にそれらの従来の液体電解質系に比べた場合のこれらの電池に可能なエネルギー密度(体積及び重量)の増加のため、自動車用途の次世代電池として提案されてきた。これらの固体電池のうち、リチウム金属アノードを含むものは、Li金属中のLiに対するカソード活性材料中に位置しているLiイオンの最大化された電位差のため、最高のエネルギー密度を達成すると考えられている。
【0003】
充電式Liイオン電池において、Li+イオンは、電池の放電の間負極から正極に動き、充電の間は逆方向に動く。電解質は、正極と負極を分離し、電気的に遮断すると同時に、Li+イオンが電極間を通るパイプを与える。電解質は、電池の放電の間にLi+イオンが作られるのと同時に作られる電子(例えば、Li⇔Li++e-)が、Li+イオン伝導経路の外側でそれに平行な経路により伝わることも確実にする。したがって、固体電池の極めて重要な成分は、正極と負極を電気的に遮断する電解質及び正極活性材料と完全に混合されてその中のイオン伝導性を促進するカソライトである。いくつかのLiイオン電池において第3の重要な成分は、アノード材料(すなわち、負極材料;例えば、Li金属)に積層されるか、又はそれと接触しているアノライトであって、その一面上のアノード材料とそのもう一面上の固体電解質の間の化学的に安定なバリアを与え得るアノライトである。しかし、現在利用可能な電解質、カソライト、及びアノライト材料は、Li金属アノードを含むか、又は4.2V超で稼働する固体電池内で充分に安定でないか、又は該固体電池と共に使用するのにその他の点で好適でない。
【0004】
従来の充電式電池は、有機溶媒中にリチウム塩を含む(例えば、1:1炭酸エチレン:炭酸ジエチレン中の1M LiPF6)液体系の電解質を使用する。しかし、これらの電解質は、高電圧でのガス放出及び熱暴走の間の有機溶媒の可燃性(短絡、例えば、Li-デンドライト)を含むいくつかの問題を有する。これらの液体系電解質に代わるものとして、固体スルフィド系電解質膜を有するLi電池が記載された。例えば、特定のスルフィド系電解質材料が、固体リチウム電池における使用に好適な固体電解質として知られている。例えば、(a) S. Ujiieらの文献(Solid State Ionics, 211(2012) 42-45);(b) S. Ujiieらの文献(J Solid State Electrochem.,(2013) 17:675-680);(c) Hans-Jorg Deiserothらの文献(Angew. Chem. Int. Ed., 2008, 47, 755-758);(d) Prasada Rao Rayavarapuらの文献(J Solid State Electrochem.,(2012) 16:1807-1813);(e) Shiao-Tong Kongの文献(Chem. Eur. J. 2010, 16, 2198- 2206);(f) Ezhiylmurugan Rangasamyらの文献(DOI:10.1021/ja508723m);(g) Kato, Y.らの文献(Nature Energy, Article number 16030(2016) doi:10.1038/nenergy.2016.30)を参照されたい。Viscoらの米国特許第7,390,591号などのいくつかの公報は、Li金属に界接しリチウム金属に適合する層(例えば、Li3N、Li3P、LiI、LiBr、LiCl、LiF、及びLiPON)であり1層であって、カソードに界接しカソードに適合するスルフィド系電解質(例えば、Li3PO4.Li2S.SiS2、Li2S.GeS2.Ga2S3)を含み得る層である第2層に積層された1層を含む層状の固体スルフィド系電解質を述べている。しかし、そのような固体電解質は、Li金属アノードを含む全固体電池への大規模な市場での採択に好適にしないような劣った伝導性及び化学的不安定性を有する。したがって、改善された固体スルフィド系電解質及びカソライトが必要とされている。本開示は、そのような電解質及びカソライト並びにそれを製造及び使用する方法を述べる。
【発明の概要】
【0005】
(簡単な概要)
本開示は、全般的に、リチウム充電式電池の成分に関する。例えば、単層及び多層スルフィド系Li+伝導性電解質を含む新たな固体リチウムイオン(Li+)伝導性電解質並びにカソライトが本明細書に記載される。これらの固体イオン電解質は、特定の結晶性結合、非晶性結合、及びそれらの組み合わせにより配列及び/又は結合する特定の化学組成物を有する。特定のアニーリング方法を含む、これらの固体スルフィド系Li+電解質を製造する方法も本明細書に記載される。
【0006】
一実施態様において、リチウムイオン電池中のカソライト及び電解質として使用するのに好適な固体スルフィド系リチウムイオン伝導体が本明細書に記載される。これらの固体スルフィド系リチウムイオン伝導体を製造する方法も本明細書に記載される。いくつかの例において、本明細書に述べられる特定のアニーリング方法は、これらの固体スルフィド系リチウムイオン伝導体のバルク化学組成、表面化学組成、化学構造(例えば、結合種類及び配列)、結晶性、安定性、及び伝導性、並びに他の特性に影響する。本明細書に述べられる固体電解質膜(すなわち、正極と負極のセパレーター)は、リチウム、リン(phosphorous)、及び硫黄を含む固体スルフィド系リチウムイオン伝導体を含み得る。いくつかの例において、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、又はI)も存在する。いくつかの例において、本明細書に述べられる固体電解質膜は、リチウム、リン、硫黄、及びヨウ素から基本的になる固体スルフィド系リチウムイオン伝導体を含み得る。これらの例の一部において、本明細書に述べられる固体電解質膜はセミアモルファスであり、リチウム、リン、硫黄、及びヨウ素から基本的になる固体スルフィド系リチウムイオン伝導体を含み得る。本明細書に述べられる特定の固体電解質膜は、リチウム、リン、硫黄、及びヨウ素を含むか、又はそれらから基本的になる固体スルフィド系リチウムイオン伝導体を含む。いくつかの例において、これらの固体スルフィド系リチウムイオン伝導体は、ミクロン及びナノメートルサイズの粒子として粉砕され、正極活性材料と混合されて、これらの固体スルフィド系リチウムイオン伝導体をカソライトとしてその中に有するカソード複合活性材料(active composite material)を形成する。
【0007】
第2の実施態様において、リチウム、リン、硫黄、及びヨウ素を含むか、又はそれらから基本的になる固体電解質層が本明細書に述べられる。固体電解質層の組成物は、いくつかの例において、LixPySzIt(式中、5≦x≦12; 1≦y≦3; 5≦z≦9、及び0.1≦t≦2)を特徴とする化合物を含む電解質を特徴とし得るが、この化合物は、以下の20、25、27、29、及び45±1°(2Θ)での反射の少なくとも1つを有するX線粉末回折(XRD)パターンを特徴とする。これらの化合物において、下付き文字x、y、z、及びtは有理数であり、化合物は電荷中性である。いくつかの例において、この固体電解質は、1層の多層又は二層固体電解質を含む。
【0008】
第3の実施態様において、LixPySzIt(式中、5≦x≦8; 1≦y≦3; 5≦z≦8、及び0.1≦t≦2)を特徴とし;以下の反射21、28、33、又は46(2Θ)の少なくとも1つを有さないX線粉末回折(XRD)パターンを特徴とする化合物を含む電解質が本明細書に述べられる。この化合物において、下付き文字x、y、z、及びtは、該化合物が電荷中性であるように選択される有理数である。いくつかの例において、この固体電解質は、1層の多層又は二層固体電解質を含む。
【0009】
第4の実施態様において、本明細書に述べられる電解質及びカソライト組成物を製造する方法が本明細書に述べられる。特定の実施態様において、該方法は、以下の20、25、27、29、及び45(2Θ)での反射の少なくとも1つを有するXRDパターンを特徴とするLixPySzIt(式中、5≦x≦12; 1≦y≦3; 5≦z≦9、及び0.1≦t≦2)を製造することを含み、下記工程を含む。これらの実施態様において、該方法は、硫化リチウム化合物を提供すること、硫化リン化合物を提供すること、ヨウ化リチウム化合物を提供すること、及び該硫化リチウム化合物と、該硫化リン化合物と、該ヨウ化リチウム化合物とを混合して混合物を形成することを含む。該方法は、該混合物を粉砕して粉砕された混合物を形成すること、及び該混合物を約100~約300℃の範囲内の温度で加熱することも含む。
【0010】
第5の実施態様において、本明細書に述べられる電解質及び/又はカソライト組成物を電気化学装置に使用する方法が本明細書に述べられる。
【0011】
第6の実施態様において、本明細書に述べられる電解質及び/又はカソライト組成物で構成された電解質及び/又はカソライトを有する電気化学装置が本明細書に述べられる。
【0012】
第7の実施態様において、各層に異なる種類のスルフィド系電解質を含む多層(例えば、二層)固体電解質膜が本明細書に述べられる。いくつかの例において、1層はLixPySzIt(式中、5≦x≦12; 1≦y≦3; 5≦z≦9、及び0.1≦t≦2)を特徴とし、別な層は、本明細書で以下に定義される通りSLOPSを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
(図面の説明)
図1図1は、本明細書に述べられるアニールされたLPSI組成物が固体電解質膜として使用される、例の固体電気化学セル構成を表す。
【0014】
図2図2は、2種の粉砕期間で粉砕されたLPSIのプレアニールされた前駆体のX線回折(XRD)パターンを示す。
【0015】
図3図3は、実施例2に従って調製されたLPSIとポリマーの複合体の走査型電子顕微鏡法(SEM)画像を示す。
【0016】
図4図4は、アニール温度の関数としてのLi7.4P1.6S7.2IのXRDパターンを示す。
【0017】
図5図5は、Li7.4P1.6S7.2Iがアニールされた温度の関数としてのLi7.4P1.6S7.2Iの加圧ペレットの60℃での伝導性測定値を示す。
【0018】
図6図6は、実施例1に従って調製され190℃でアニールされたLi7.4P1.6S7.2Iの加圧ペレットのアレニウスプロットを示す。
【0019】
図7図7は、実施例1に従って調製され190℃でアニールされたLi7.4P1.6S7.2Iの加圧ペレットからなる電解質膜をその中に有する電気化学セルの2種の異なる放電速度の関数としての放電プロットを示す。
【0020】
図8図8は、実施例7に従って調製されたLi7.4P1.6S7.2Iの加圧ペレットの示差走査熱量計(DSC)測定を示す。
【0021】
図9図9は、190℃でアニールされたLi7.4P1.6S7.2Iの高分解能XRD粉末パターンを示す。
【0022】
図10図10は、粉砕された固体スルフィド系カソライトが炭素及びカソード活性材料と混合され、セルがスルフィド電解質セパレーターを含む電気化学セル中のカソードのSEM画像を示す。
【0023】
図11図11は、ゲル電解質含有カソードとリチウム金属アノードの間に配置された二重層(すなわち二層)固体電解質膜を有する例の固体電気化学セル構成を示す。
【0024】
図12図12は、リチウム金属アノードと界接するLPSIの1層及びゲル電解質含有カソードと界接するLSSの1層を有する二重層固体電解質膜を有する電気化学セルの、ラン活動量質量比容量(run active mass-specific capacity)の関数としての電圧の電気化学サイクルプロットを示す。
【0025】
図13図13は、リチウム金属アノードとゲル電解質含有カソードとの間にLPSIの1層を有する片面固体電解質膜を有する電気化学セルの、ラン活動量質量比容量の関数としての電圧の電気化学サイクルプロットを示す。
【0026】
図14図14は、Li7.4P1の加圧ペレットからなる電解質膜をその中に有する電気化学セルの、2種の異なる放電速度の関数としての放電プロットを示す。
【0027】
図15図15は、実施例1に従って調製され190℃でアニールされ、実施例10に従って試験されたLi7.4P1.6S7.2Iセパレーターを有する電気化学セルの活動量質量比容量の関数としての電圧の電気化学サイクルプロットを示す。
【0028】
図16図16は、実施例10で試験された電気化学セルの、充放電サイクルの関数としてのエネルギー(mWh)のプロットを示す。
【0029】
図17図17は、実施例10で試験された電気化学セルに使用された電気化学スタックの説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(詳細な説明)
以下の説明において、提示される概念の完全な理解を与えるために、多くの具体的な詳細が述べられる。提示される概念は、これらの具体的な詳細の一部又は全てなしに実施できる。他の場合において、周知のプロセス操作は、記載される概念を不必要に不明確にしないために詳細には説明されなかった。一部の概念は具体的な実施態様と共に説明されるが、これらの実施態様が限定的であると意図されないことが理解されるだろう。以下の説明は、当業者が本発明を実施及び使用し、それを特定の用途に組み込むことを可能にする。種々の変更並びに異なる用途での種々の使用は、当業者には明らかであり、本明細書に定義される一般原則は、広範囲の実施態様に適用できる。そのため、本明細書における本発明は、提示される実施態様に限定されるとは意図されず、本明細書に開示される原則及び新規な特徴に一致するその最も広い範囲を与えられるものとする。
【0031】
本明細書(添付される特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に開示される全特徴は、明白にそうではないと述べられていない限り、同じ、等しい、又は類似の目的にかなう別の特徴により置き換えられ得る。そのため、明白にそうではないと述べられていない限り、開示される各特徴は、一般的な一連の等しい又は類似な特徴の一例にすぎない。
【0032】
使用される場合、左、右、前、後ろ、上部、底部、前方、後方、時計回り、及び反時計回りという表示が便宜を目的として使用されるにすぎず、特定の固定された方向を示すように意図されないことに留意されたい。その代わり、それらは、物体の様々な部分の間の相対的な位置及び/又は方向を反映するように使用される。
【0033】
(定義)
本明細書で使用される通り、数、例えば、15% w/wを修飾する場合の用語「約」は、修飾された数及び任意に、その数の±10%を含むその修飾された数に関する範囲に含まれる数を指す。例えば、約15% w/wは、15% w/w並びに13.5% w/w、14% w/w、14.5% w/w、15.5% w/w、16% w/w、又は16.5% w/wを含む。例えば、「約75℃」は、75℃並びに68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、又は83℃を含む。
【0034】
本明細書で使用される通り、句「ヒ素種」は、少なくとも1つのヒ素(As)原子を含むか、又は結合しているあらゆる化合物、複合体、イオン、又は分子単位を指す。
【0035】
本明細書で使用される通り、用語「アノライト」は、負極と混合されるか、その上に層状に重ねられるか、又はそれに積層されたイオン伝導材料を指す。固体電解質層は、正極と接触する部分及び負極と接触する別な部分など、特定の組成及び特性を有する異なる部分(又は副層)を有し得る。正極と接触する部分は、カソライト又は、より具体的には、カソライト層、又はカソライト副層と称されることがある。負極と接触する電解質部分は、アノライト又は、より具体的には、アノライト層、又はアノライト副層と称されることがある。本明細書で使用される通り、用語アノライトは、Li金属と直接接触する場合に、Li金属と化学的に適合性がある材料を指す。化学的に適合性があるは、材料が、Liイオンを伝導するアノライト能力に有害な方法でLi金属と反応しないことを意味する。
【0036】
本明細書で使用される通り、「二層電解質」は、少なくとも2つの層を有する固体電解質を指す。いくつかの例において、これら少なくとも2つの層の1つは、リチウム金属と化学的に適合性がある層であり、本明細書においてアノライト層と称される。いくつかの例において、アノライト層はLPSI材料である(すなわち、互いに結合したLi、P、S、及びI原子を含む)。いくつかの例において、これら少なくとも2つの層の別な1つは、ゲル電解質(例えば、80:20~50:50 vol.% PvDF:HFP対EC:EMC)と化学的に適合性がある層であり、本明細書において電解質層と称される(本明細書において、カソライト層とも称される)。本明細書では、PvDFはポリフッ化ビニリデンであり; HFPはヘキサフルオロホスフェートであり; ECは炭酸エチレンであり; EMCは炭酸エチルメチルである。いくつかの例において、電解質層は、Si、Li、O、P、及びSを含む材料であり、本明細書においてSLOPS材料と称され、以下にさらに定義される。いくつかの例において、電解質層は、Si、Li、O、P、及びSを含む材料であり、本明細書においてSLOPS/LSS材料と称される。本明細書では、LSSは、特記されない限り、60:40モル比のLi2S:SiS2を含む。
【0037】
本明細書で使用される通り、「SLOPS」は、特記されない限り、60:40モル比のLi2S:SiS2を0.1~10 mol.%のLi3PO4と共に含む。いくつかの例において、本明細書で述べられる電解質膜は、ゲル電解質及び/又はカソードと界接するLPSIの1層を有する。いくつかの例において、本明細書で述べられる電解質膜は、リチウム金属アノードと界接するSLOPS/LSSの別な層を有する。いくつかの例において、LPSI及びSLOPS/LSSのこれらの層は、共に熱間圧接されて、少なくとも2面を有する単一の膜を形成するが、各面は独特な化学組成を特徴とし、1面はLPSIでありもう一面はSLOPS又はSLOPS/LSSである。いくつかの例において、「SLOPS」は、Li10Si4S13(50:50 Li2S:SiS2)を0.1~10 mol.%のLi3PO4と共に含む。いくつかの例において、「SLOPS」は、Li26Si7S27(65:35 Li2S:SiS2)を0.1~10 mol.%のLi3PO4と共に含む。いくつかの例において、「SLOPS」は、Li4SiS4(67:33 Li2S:SiS2)を0.1~5 mol.%のLi3PO4と共に含む。いくつかの例において、「SLOPS」は、Li14Si3S13(70:30 Li2S:SiS2)を0.1~5 mol.%のLi3PO4と共に含む。いくつかの例において、「SLOPS」は、式(1-x)(60:40 Li2S:SiS2)*(x)(Li3PO4)(式中、xは0.01~0.99である)を特徴とする。本明細書で使用される通り、「LBS-POX」は、Li2S:B2S3:Li3PO4:LiX(式中、Xはハロゲンである(X=F、Cl、Br、I))の電解質組成物を指す。該組成物は、0~30%のLiIなどのリチウムハライド及び/又は0~10%のLi3PO4によりドープされたLi3BS3又はLi5B7S13を含み得る。
【0038】
本明細書で使用される通り、「LTS」は、Li2S:SnS2:As2S5の電解質組成物を指す。
【0039】
本明細書で使用される通り、「C65」は、市販されており、Timbale carbon super C65として商業的に特定可能な炭素の源を指す。
【0040】
本明細書で使用される通り、用語、「Ra」は、標本とされた表面粗さの大きさの絶対値の算術平均である表面粗さの尺度である。表面粗さ測定は、例えば、レーザーを使用して表面粗さを測定するKeyence VK-X100装置を使用して達成できる。
【0041】
本明細書で使用される通り、用語「Rt」は、標本とされた表面粗さの大きさの最大ピーク高さである表面粗さの尺度である。
【0042】
本明細書で使用される通り、「からなる群から選択される」は、群からの単一メンバー、群からの2つ以上のメンバー、又は群からのメンバーの組み合わせを指す。A、B、及びCからなる群から選択されるメンバーには、例えば、Aのみ、Bのみ、又はCのみ、並びにA及びB、A及びC、B及びC、並びにA、B、及びCがある。
【0043】
本明細書で使用される通り、句「電気化学セル」、「バッテリーセル」、又は「スタック」は、正極及び負極、並びに正極と負極の間に配置された電解質を含む単一のセルを意味するものとする。いくつかの実施態様において、同じバッテリーセルは、1つの容器に封入された複数の正極及び/又は複数の負極を含む(例えば、コインセル、角柱型セルハウジング、ポーチ)。
【0044】
本明細書で使用される通り、「結合剤」は、別の材料の接着を支援する材料を指す。例えば、本明細書のいくつかの複合体において、スルフィド系電解質粒子は、結合剤ポリマーにより他のスルフィド系電解質粒子に接着されている。この接着は、スルフィド系電解質粒子と結合剤ポリマーの間の化学結合形成及び/又はポリマーのスルフィド系電解質粒子との絡み合い、配位、若しくは吸着から生じ得る。本発明において有用な結合剤には、ポリプロピレン(PP)、アタクティックポリプロピレン(aPP)、アイソタクティブ(isotactive)ポリプロピレン(iPP)、エチレンプロピレンラバー(EPR)、エチレンペンテンコポリマー(EPC)、ポリイソブチレン(PIB)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリオレフィン、ポリエチレン-コ-ポリ-1-オクテン(PE-co-PO)、PE-コ-ポリ(メチレンシクロペンタン)(PE-co-PMCP)、ステレオブロックポリプロピレン、ポリプロピレンポリメチルペンテンコポリマー、ポリエチレンオキシド(PEO)、PEOブロックコポリマー、シリコーンなどがあるが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書で使用される通り、用語「カソード」及び「アノード」は、電池の電極を指す。Li-二次電池における充電サイクルの間、Liイオンはカソードを離れ、電解質の中を通ってアノードに動く。充電サイクルの間、電子はカソードを離れ、外部回路を通ってアノードに動く。Li-二次電池の放電サイクルの間、Liイオンは、電解質を通り、アノードからカソードの方に移動する。放電サイクルの間、電子はアノードを離れ、外部回路を通ってカソードに動く。
【0046】
本明細書で使用される通り、句「集電体」は、外部回路を完全にするためにその中を電子が電極に又は電極から伝導し、電子が伝導する先又は元の電極と直接接触している二次電池中の成分又は層を指す。いくつかの例において、集電体は、正極又は負極に積層されている金属(例えば、Al、Cu、又はNi、スチール、これらの合金、又はこれらの組み合わせ)層である。充電及び放電の間、電子は、Liイオンの流れと逆方向に動き、電極に出入りする際に集電体の中を通過する。
【0047】
本明細書で使用される通り、句「ガラス質」は、ガラスとして特性化される材料を指す。ガラスは、ガラス転移を示す非晶質固体材料を含むが、それは、硬く比較的もろい状態から溶融又はゴム様状態への非晶質材料(又は半結晶性材料内の非晶質領域)中の可逆的転移である。
【0048】
本明細書で使用される通り、用語「非晶質」は、結晶性でないか、又は大部分の結晶相を含まない材料を指す。非晶質は、結晶性の性質、例えば、X線回折により測定される明瞭なX線回折ピークを明示しない材料を指す。非晶質材料は、少なくとも主として非晶質であり、結晶性成分より多くの非晶質成分を有するという特徴がある。実質的に非晶質は、明瞭なX線回折ピークを含まないか、又は当業者により大部分の構成成分相を非晶相として有すると認識されるブロードな反射を含むX線回折パターンを特徴とする材料を指す。実質的に非晶質である材料は、結晶性のナノサイズドメインであるが、それでもX線回折パターンにより主として非晶相にあると特性化されるナノサイズドメインを有し得る。実質的に非晶質の材料において、透過型電子顕微鏡(TEM)制限視野回折パターン(SADP)は、結晶性の領域を明示し得るが、材料の体積の大部分を非晶質としても明示するだろう。
【0049】
本明細書で使用される通り、用語「セミアモルファス」は、結晶性ドメインと非晶質ドメインの両方を含む組成物を指す。セミアモルファス材料は、ナノ結晶成分及び/又は微晶質成分の両方を非晶質成分の他に含む。セミアモルファス材料は、部分的に結晶化している材料であるか、又はいくらかの結晶性バルク及びいくらかの非晶質バルクを含む材料である。例えば、材料の結晶化温度に加熱されたが、その後に材料の全体が完全に結晶化できる前に冷却された材料は、本明細書では、セミアモルファス材料と称される。本明細書に記載されるセミアモルファス材料の例には、Li7.4P1.8S7.2Iの全て若しくは大部分が結晶化するのに要する時間より短い時間190℃でアニールされた場合のLi7.4P1.8S7.2I;又は200℃より高温だがLi7.4P1.8S7.2Iの全て若しくは大部分が完全に結晶化するのを可能にしない短い期間アニールされた場合のやはりLi7.4P1.8S7.2Iがあるが、これらに限定されない。本明細書で使用される通り、セミアモルファス材料は、最高強度の一次ピークが、少なくとも1°(2Θ)、又は少なくとも2°(2Θ)、又は少なくとも3°(2Θ)の半値全幅を有するXRD粉末パターンを特徴とし得る。
【0050】
本明細書で使用される通り、句「ナノ結晶性」は、構成要素結晶性成分がナノ寸法により分かれている材料を指す。例えば、ナノ結晶性LiIは、結晶性LiIのドメインが、異なるナノドメインの視覚コントラストの領域の特定により透過型電子顕微鏡(TEM)顕微鏡写真において測定される、およそ1~100nm、又は2~50nm、又は1~10nm、又は2~5nm、又は5~15nm、又は5~20nmなどの中央値物理的寸法を有するLiIを含む。本明細書で使用されるナノ結晶性、用語「主としてナノ結晶性」は、ナノ寸法の結晶性ドメインを材料の結晶特性に寄与する大部分の相又は大部分の成分として含む材料を指す。
【0051】
本明細書で使用される通り、用語「結晶性ドメイン」は、結晶特性を有し、結晶として物理的に秩序のある材料の部分、一部、又は成分を指す。該ドメインは、結晶性成分の境界を表す。本明細書で使用される通り、結晶性固体は、その構成原子、分子、又はイオンが、3つの空間的次元にのびる秩序のあるパターンで配列されている材料である。材料の構成要素の秩序のある部分の境界は、結晶性ドメインと称される。結晶性成分と非結晶性成分の両方を有する材料では、結晶性成分は結晶性ドメインと称される。ドメインのサイズは、所与の結晶性成分を取り囲む境界の寸法を表す。例えば、本明細書に述べられる材料のいくつかは、非晶質成分と結晶性成分の両方を有し、結晶性成分は1~20nmにわたり秩序だっている。そのような材料はナノドメイン結晶と称される。
【0052】
本明細書で使用される通り、句「ナノ寸法の」は、構成成分がナノ寸法により分けられている材料を指す。例えば、ナノ寸法のLiIは、結晶性LiI又は非晶質LiIのドメインが、異なるナノドメインの視覚コントラストの領域の特定によりTEM顕微鏡写真において測定される、およそ1~100nm、又は2~50nm、又は1~10nm、又は2~5nm、又は5~15nm、又は5~20nmなどの中央値物理的寸法を有するLiIを含む。
【0053】
本明細書で使用される通り、「LPS」は、Li、P、及びS化学構成要素を有する電解質を指す。本明細書で使用される通り、「LPSO」は、Oによりドープされているか、又はOが存在するLPSを指す。いくつかの例において、「LPSO」は、0.01~10原子%の酸素含量を有するLPS材料である。LPSは、式LixPySz(式中、0.33≦x≦0.67、0.07≦y≦0.2及び0.4≦z≦0.55)を特徴とし得る電解質材料を指す。LPSは、モル比が10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、7:3、2:1、又は1:1であるLi2S:P2S5の混合物から形成された生成物を特徴とする電解質も指す。LPSは、Li2Sの反応物又は前駆体量が95原子%であり、P2S5が5原子%であるLi2S:P2S5の混合物から形成された生成物を特徴とする電解質も指す。LPSは、Li2Sの反応物又は前駆体量が90原子%であり、P2S5が10原子%であるLi2S:P2S5の混合物から形成された生成物を特徴とする電解質も指す。LPSは、Li2Sの反応物又は前駆体量が85原子%であり、P2S5が15原子%であるLi2S:P2S5の混合物から形成された生成物を特徴とする電解質も指す。LPSは、Li2Sの反応物又は前駆体量が80原子%であり、P2S5が20原子%であるLi2S:P2S5の混合物から形成された生成物を特徴とする電解質も指す。LPSは、Li2Sの反応物又は前駆体量が75原子%であり、P2S5が25原子%であるLi2S:P2S5の混合物から形成された生成物を特徴とする電解質も指す。LPSは、Li2Sの反応物又は前駆体量が70原子%であり、P2S5が30原子%であるLi2S:P2S5の混合物から形成された生成物を特徴とする電解質も指す。LPSは、Li2Sの反応物又は前駆体量が65原子%であり、P2S5が35原子%であるLi2S:P2S5の混合物から形成された生成物を特徴とする電解質も指す。LPSは、Li2Sの反応物又は前駆体量が60原子%であり、P2S5が40原子%であるLi2S:P2S5の混合物から形成された生成物を特徴とする電解質も指す。いくつかの例において、LPSには、50:50~85:15モル比のLi2S:P2S5があるが、これに限定されない。いくつかの例において、LPSには、Li7P3S11又はLi3PS4があるが、これらに限定されない。いくつかの例において、LPSは、(100-x)Li2S*(x)P2S5(式中、15≦x≦50)を特徴とする。
【0054】
本明細書で使用される通り、「LPSI」は、LiI若しくはI2によりドープされているか、又はLiI若しくはI2をさらに含むLPSを指す。LPSIは、LixPySzIt(式中、5≦x≦12; 1≦y≦3; 5≦z≦9、及び0.1≦t≦2)を特徴とするあらゆる組成物を含む。LPSIは、Li2S:P2S5:LiIのあらゆる混合物、そのプレアニーリング、又はポストアニーリング生成物、及びあらゆるアニーリング生成物も指す。いくつかの例において、LPSIには、Li7P2S8I、Li7.4P1.6S7.2I、Li11P2S6I、又はLi6PS5Iなどの種があるが、これらに限定されない。
【0055】
本明細書で使用される通り、「LSTPS」は、リチウム(Li)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、リン(P)、及び硫黄(S)を含むLiイオン伝導性組成物を指す。例のLSTPS材料には、内容全体が引用により全体として組み込まれている、LiAMPBSC(M=Si、Ge、及び/又はSn)を使用する電池用の固体カソライト又は電解質(SOLID STATE CATHOLYTE OR ELECTROLYTE FOR BATTERY USING LiAMPBSC(M=Si, Ge, AND/OR Sn))という名称の2014年5月15日に出願され2015年6月18日に公開された米国特許出願公開第2015-0171465号又は2015年10月27日に発行された米国特許第9,172,114号に述べられている電解質及びカソライト組成物がある。
【0056】
本明細書で使用される通り、「NMC」は、リチウムイオンにインターカレートし、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、及びコバルト(Co)の1つ又は複数の酸化物を含む正極活性材料を指す。NMCの例には、米国特許第6,680,143号;同第6,677,082号;同第8,685,565号;同第8,241,791号;同第7,078,128号;若しくは同第6,964,828号、又は2009年10月13日に出願された米国特許出願公開第US2011/0250508号に述べられている正極活性材料があるが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書で使用される通り、句「ゲルマニウム種」は、少なくとも1つのゲルマニウム(Ge)原子を含むか、又は結合しているあらゆる化合物、複合体、イオン、又は分子単位を指す。
【0058】
本明細書で使用される通り、用語「カソライト」は、正極活性材料と完全に混合し、又はそれを取り囲み、又はそれと接触し、Liが活性材料に出入りするイオン性経路を提供するLiイオン伝導体を指す。本明細書に記載される実施態様により好適なカソライトには、一般名LPS、LXPS、LXPSOを有するカソライト(式中、Xは、Si、Ge、Sn、As、Al、LATSである)、又はLi充填ガーネット(Li-stuffed garnets)、又はこれらの組み合わせなどがあるが、これらに限定されない。カソライトは、当技術分野に公知である液体、ゲル、半液体、半固体、ポリマー、及び/又は固体ポリマーイオン伝導体でもあり得る。カソライトには、内容が全体として引用により組み込まれている、2014年5月15日に出願され2015年6月18日に公開された、LiAMPBSC(M=Si、Ge、及び/又はSn)を使用する電池用の固体カソライト又は電解質(SOLID STATE CATHOLYTE OR ELECTROLYTE FOR BATTERY USING LiAMPBSC(M=Si, Ge, AND/OR Sn))という名称の米国特許出願公開第2015-0171465号に述べられているカソライトがある。カソライトには、内容が全体として引用により組み込まれている、2014年10月7日に出願され2015年4月9日に公開された、Li二次電池用のガーネット材料並びにガーネット材料を製造する方法及び使用する方法(GARNET MATERIALS FOR LI SECONDARY BATTERIES AND METHODS OF MAKING AND USING GARNET MATERIALS)という名称の米国特許出願公開第2015/0099190号に述べられているカソライトがある。
【0059】
いくつかの例において、ゲルカソライト及びゲル電解質は、ハイブリッドポリマー性電解質を有する充電可能なリチウムインターカレーション電池(RECHARGEABLE LITHIUM INTERCALATION BATTERY WITH HYBRID POLYMERIC ELECTROLYTE)という名称の米国特許第5,296,318号に述べられているあらゆる好適なイオン伝導性ゲル又は液体系電解質を含む。
【0060】
本明細書で使用される通り、用語「電解質」は、イオン、例えば、Li+をその中に移動させるが、電子をその中に伝導させない材料を指す。電解質は、イオン、例えば、Li+が電解質を通って伝わるようにする一方で、二次電池のカソードとアノードを電気的に遮断するのに有用である。
【0061】
本明細書で使用される通り、句「d50直径」又は「中央値直径(d50)」は、非限定的に走査型電子顕微鏡法又は動的光散乱などの顕微鏡技術又は他の粒径分析技術により測定されたサイズの分布における中央値サイズを指す。D50は、粒子の50%が記載のサイズより小さい粒子の特性寸法(characteristic dimension)を表す。本明細書で使用される通り、「直径(d90)」は、非限定的に走査型電子顕微鏡法又は動的光散乱を含む顕微鏡技術又は他の粒径分析技術により測定されたサイズの分布におけるサイズを指す。D90は、粒子の90%が記載のサイズより小さい特性寸法を含む。本明細書で使用される通り、「直径(d10)」は、非限定的に走査型電子顕微鏡法又は動的光散乱を含む顕微鏡技術又は他の粒径分析技術により測定されたサイズの分布におけるサイズを指す。D10は、粒子の10%が記載のサイズより小さい特性寸法を含む。
【0062】
本明細書で使用される通り、用語「有理数」は、分母(例えば、q)が0に等しくないとして2つの整数(例えば、p及びq)の商又は分数(例えば、p/q)として表され得るあらゆる数を指す。例の有理数には、1、1.1、1.52、2、2.5、3、3.12、及び7があるが、これらに限定されない。
【0063】
本明細書で使用される通り、用語「一次ピーク」は、バックグラウンドより大幅に大きいピーク強度を有する強度対度(2Θ)のXRD粉末パターンのx軸上の(2Θ)位置を指す。いくつかの例において、一次ピークは、80より大きい強度値を有する図4中のピークである。一次ピークには、180より大きい強度値を有する図4中のピークがあるが、これらに限定されない。一連のXRD粉末パターンピークにおいて、一次ピークは、分析されている化合物又は相と関連する最高強度のピークである。第2の一次ピークは、2番目に高い強度のピークである。第3の一次ピークは、3番目に高い強度のピークである。いくつかの例において、一次ピークは、バックグラウンドに対するピークの強度に関して、5:1又は3:1の強度対バックグラウンド比を有する。これらの例において、バックグラウンド又はノイズレベルは、一次ピークが全くない全データ点の標準偏差である。
【0064】
本明細書で使用される通り、用語「反射」は、バックグラウンドより大きいピーク強度を有する強度対度(2Θ)のXRD粉末パターンのx軸上の位置を指す。
【0065】
本明細書で使用される通り、句「以下の反射を有する」は、材料が本明細書に述べられる分析方法に従ってXRDにより分析される場合、該材料が、度(2Θ)の関数としての強度のXRD粉末パターンのx軸上の位置での記載の反射を含むXRD粉末パターンを有するように観察される材料の特性を指す。
【0066】
本明細書で使用される通り、用語、「アルジロダイト」又は「アルジロダイト結晶」は、結晶構造又は結晶結合配置(crystal bonding arrangement)を指す。この結晶構造又は結合配置は、化学式Ag8GeS6を特徴とする硫銀ゲルマニウム鉱物である、天然鉱物アルジロダイトの結晶構造に基づいている。この結晶構造は、同形のアルジロダイト鉱物、Ag8SnS6によっても例示される。
【0067】
本明細書で使用される通り、モル比は、反対の意味が明示されない限り、記載される材料の製造に使用される反応中で一度に作られた構成要素の比率を説明する。
【0068】
本明細書で使用される通り、膜が特性化される手段である「厚さ」は、膜の上面と底面の間の距離又は中央値の測定された距離を指す。本明細書で使用される通り、上面及び底面は、最大の表面積を有する膜の面を指す。本明細書で使用される通り、句「膜厚」は、膜の上面と底面の間の距離又は中央値の測定された距離を指す。
【0069】
本明細書で使用される通り、句「活性電極材料」又は「活性材料」は、Li充電式電池としての使用に好適で、充放電サイクルの間に化学反応を受ける材料を指す。例えば、「カソード活性材料」は、Li充電式電池の放電サイクルの間に金属及びフッ化リチウムに変化する金属フッ化物を含む。例えば、「カソード活性材料」には、米国特許第6,677,082号;同第6,680,143号;同第6,660,432号;同第6,964,828号;同第7,078,128号;又は同第8,241,791号に述べられている酸化物がある。
【0070】
本明細書で使用される通り、句「アノード活性材料」は、上記に定義されるカソード活性材料を含むLi充電式電池での使用に好適なアノード材料を指す。いくつかの例において、該活性材料はリチウム金属である。本明細書に述べられる方法のいくつかにおいて、焼結温度は、アノード活性材料として使用されるリチウム金属を融解するほど充分に高い。
【0071】
本明細書で使用される通り、句「自立薄膜」は、下にある基板に接着しておらず、支持もされていない膜を指す。いくつかの例において、自立薄膜は、基板が接着されている必要も固定されている必要もなく、機械的に操作又は動かすことができる自立式の膜である。
【0072】
本明細書で使用される通り、句「SEMにより測定される多孔性」は、画像解析ソフトウェアを使用することによる密度の測定を指す。第1に、使用者又はソフトウェアが、画像の画素及び/又は領域を多孔性であると指定する。第2に、そのような領域の面積部分が合計される。最後に、SEMにより決定される多孔性部分は、画像の多孔性領域の面積部分と等しい。
【0073】
本明細書で使用される通り、句「幾何学的測定により決定される密度」は、物理的な質量及び体積測定により得られる密度の測定値を指す。密度は、測定された質量と測定された体積の比率により決定される。アルキメデス法を含む通常の技術はそのような決定に使用された。
【0074】
本明細書で使用される通り、句「LiBH4-LiNH2-LiX」は、LiBH4、LiNH2、及びLiXを含み、A・(LiBH4)・B・(LiX)・C・(LiNH2)として化学的に記載される(式中、Xは、フッ素、臭素、塩化物、ヨウ素、又はその組み合わせであり、0.1≦A≦3、0.1≦B≦4、及び0≦C≦9)三元組成物を指す。LiBH4、LiNH2、及びLiXの相対的モル比は変わり得る。例の組成物には、3LiBH4・2LiI・3LiNH2及び3LiBH4・4LiI・9LiNH2があるが、これらに限定されない。いくつかの例において、LiBH4、LiNH2、及びLiXは完全に混合されて、均一に混合された組成物が形成される。他の例において、LiBH4、LiNH2、及びLiXは、順に層状にされ、層状の薄膜が形成される。他の例において、LiBH4、LiNH2、及びLiXは、その組成が膜の厚さにわたって変わるように薄膜中で段階づけられる。例示的な組成物及び薄膜は、全内容が全目的のために全体として引用により本明細書に組み込まれる2016年10月21日に出願された米国仮特許出願第62/411,464号に述べられている。
【0075】
(組成物)
いくつかの例において、LixPySzIt(式中、5≦x≦12; 1≦y≦3; 5≦z≦12、及び0.1≦t≦2)を特徴とする化合物を含む電解質が本明細書に述べられる。これらの例において、下付き文字x、y、z、及びtは有理数であり、化合物が電荷中性であるように選択される。いくつかの例において、化合物は、以下の20、25、27、29、又は45±1°(2Θ)での反射の少なくとも1つを有するX線粉末回折(XRD)パターンを特徴とする。いくつかの例において、化合物は、少なくとも20±1°(2Θ)に反射を有するX線粉末回折(XRD)パターンを特徴とする。いくつかの例において、化合物は、少なくとも25±1°(2Θ)に反射を有するX線粉末回折(XRD)パターンを特徴とする。いくつかの例において、化合物は、少なくとも27±1°(2Θ)に反射を有するX線粉末回折(XRD)パターンを特徴とする。いくつかの例において、化合物は、少なくとも29±1°(2Θ)に反射を有するX線粉末回折(XRD)パターンを特徴とする。いくつかの例において、化合物は、少なくとも45±1°(2Θ)に反射を有するX線粉末回折(XRD)パターンを特徴とする。いくつかの例において、化合物は、少なくとも以下の反射を20、25、27、29、及び45±1°(2Θ)に有するX線粉末回折(XRD)パターンを特徴とする。いくつかの例において、化合物は、20、25、27、29、及び45(2Θ)に少なくとも以下の一次ピークを有するXRDパターンを特徴とする。
【0076】
いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、少なくとも以下の一次ピークを20、25、27、29、及び45(2Θ)に有するXRDパターンを特徴とする。いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、少なくとも以下の一次ピークを25、27、29、及び45(2Θ)に有するXRDパターンを特徴とする。いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、少なくとも以下の一次ピークを20、27、29、及び45(2Θ)に有するXRDパターンを特徴とする。いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、少なくとも以下の一次ピークを20、25、29、及び45(2Θ)に有するXRDパターンを特徴とする。いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、少なくとも以下の一次ピークを20、25、27、及び45(2Θ)に有するXRDパターンを特徴とする。いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、少なくとも以下の一次ピークを20、25、27、及び29(2Θ)に有するXRDパターンを特徴とする。いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、少なくとも以下の一次ピークを20、25、及び27(2Θ)に有するXRDパターンを特徴とする。いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、少なくとも以下の一次ピークを20、25、及び29(2Θ)に有するXRDパターンを特徴とする。いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、少なくとも以下の一次ピークを20及び25(2Θ)に有するXRDパターンを特徴とする。いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、少なくとも以下の一次ピークを20及び27(2Θ)に有するXRDパターンを特徴とする。いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、少なくとも以下の一次ピークを20及び29(2Θ)に有するXRDパターンを特徴とする。いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、少なくとも以下の一次ピークを20及び45(2Θ)に有するXRDパターンを特徴とする。いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、少なくとも以下の一次ピークを20及び45(2Θ)に有するXRDパターンを特徴とする。いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、少なくとも以下の一次ピークを29及び45(2Θ)に有するXRDパターンを特徴とする。いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、少なくとも以下の一次ピークを27及び45(2Θ)に有するXRDパターンを特徴とする。いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、少なくとも以下の一次ピークを25及び45(2Θ)に有するXRDパターンを特徴とする。
【0077】
いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、20(2Θ)での一次ピークを有するXRDパターンを特徴とする。特定の例において、20(2Θ)での一次ピークは、5°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、20(2Θ)での一次ピークは、4°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、20(2Θ)での一次ピークは、3°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、20(2Θ)での一次ピークは、2°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、20(2Θ)での一次ピークは、1°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、20(2Θ)での一次ピークは、0.5°の半値全幅(FWHM)を有する。
【0078】
いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、25(2Θ)での一次ピークを有するXRDパターンを特徴とする。特定の例において、25(2Θ)での一次ピークは、5°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、25(2Θ)での一次ピークは、4°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、25(2Θ)での一次ピークは、3°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、25(2Θ)での一次ピークは、2°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、25(2Θ)での一次ピークは、1°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、25(2Θ)での一次ピークは、0.5°の半値全幅(FWHM)を有する。
【0079】
いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、27(2Θ)での一次ピークを有するXRDパターンを特徴とする。特定の例において、27(2Θ)での一次ピークは、5°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、27(2Θ)での一次ピークは、4°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、27(2Θ)での一次ピークは、3°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、27(2Θ)での一次ピークは、2°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、27(2Θ)での一次ピークは、1°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、27(2Θ)での一次ピークは、0.5°の半値全幅(FWHM)を有する。
【0080】
いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、29(2Θ)での一次ピークを有するXRDパターンを特徴とする。特定の例において、29(2Θ)での一次ピークは、5°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、29(2Θ)での一次ピークは、4°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、29(2Θ)での一次ピークは、3°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、29(2Θ)での一次ピークは、2°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、29(2Θ)での一次ピークは、1°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、29(2Θ)での一次ピークは、0.5°の半値全幅(FWHM)を有する。
【0081】
いくつかの例において、本明細書に述べられるLPSI化合物は、45(2Θ)での一次ピークを有するXRDパターンを特徴とする。特定の例において、45(2Θ)での一次ピークは、5°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、45(2Θ)での一次ピークは、4°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、45(2Θ)での一次ピークは、3°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、45(2Θ)での一次ピークは、2°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、45(2Θ)での一次ピークは、1°±1°の半値全幅(FWHM)を有する。特定の例において、45(2Θ)での一次ピークは、0.5°の半値全幅(FWHM)を有する。
【0082】
いくつかの例において、組成物は、3°±1°度の半値全幅(FWHM)を有する29°(2Θ)での第1の主要なXRDピークを特徴とする。
【0083】
いくつかの例において、LixPySzIt(式中、5≦x≦12; 1≦y≦3; 5≦z≦12、及び0.1≦t≦2)を特徴とする化合物を含む電解質が本明細書に述べられる。これらの例のいくつかにおいて、xは、5、6、7、8、又は9である。これらの例のいくつかにおいて、xは、7、8、又は9である。これらの例のいくつかにおいて、xは、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、又は7.6である。いくつかの例において、yは、1、2、又は3である。他の例において、yは1である。他の例において、yは2である。他の例において、yは3である。いくつかの例において、zは、5、6、7、8、9、10、11、又は12である。他の例において、zは5である。他の例において、zは6である。他の例において、zは7である。他の例において、zは8である。他の例において、zは9である。他の例において、zは10である。他の例において、zは11である。他の例において、zは12である。いくつかの例において、tは、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、又は1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、又は2.0である。他の例において、tは0.1である。他の例において、tは0.2である。他の例において、tは0.3である。他の例において、tは0.4である。他の例において、tは0.5である。他の例において、tは0.6である。他の例において、tは0.7である。他の例において、tは0.8である。他の例において、tは0.9である。他の例において、tは1.0である。他の例において、tは1.1である。他の例において、tは1.2である。他の例において、tは1.3である。他の例において、tは1.4である。他の例において、tは1.5である。他の例において、tは1.6である。他の例において、tは1.7である。他の例において、tは1.8である。他の例において、tは1.9である。他の例において、tは2.0である。
【0084】
いくつかの例において、化合物は、(Li3PS4)3(LiI)、(Li3PS4)2(LiI)、(Li3PS4)(LiI)、2(Li3PS4)(LiI)、3(Li3PS4)(LiI)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを特徴とする化学式を有さない請求項記載の組成物を特徴とする。これらの例及び以下の例において、係数(coefficient numbers)は、係数の後にある括弧を修飾すると読まれるものとする。例えば、式(Li3PS4)3(LiI)は、係数「1」を(Li3PS4)の前に、係数「3」を(LiI)の前に含む。これらの係数は、括弧により定義される化学単位のそれぞれの量を指す。したがって、(Li3PS4)3(LiI)は、3化学単位の(LiI)に対して1化学単位の(Li3PS4)を含む組成物を指す。括弧内で、下付き数値は、括弧により定義される化学単位中のそれぞれの構成要素のそれぞれの量を指す。例えば、括弧(Li3PS4)は、下付き数値「3」「1」及び「4」を含む。下付き数字は、下付き文字の前にある構成要素を修飾すると読まれるものとする。そのため、(Li3PS4)の所与の化学単位内に、1つのリン原子及び4つの硫黄原子に対して3つのリチウム原子がある。
【0085】
いくつかの例において、請求項記載の組成物は、Li7P2S8I、Li6PS5F、Li6PS5Cl、Li6PS5Br、Li6PS5I、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを特徴とする化学式を有さない。いくつかの例において、請求項記載の組成物は、Li7P2S8Iを特徴とする化学式を有さない。いくつかの例において、請求項記載の組成物は、Li6PS5Fを特徴とする化学式を有さない。いくつかの例において、請求項記載の組成物は、Li6PS5Clを特徴とする化学式を有さない。いくつかの例において、請求項記載の組成物は、Li6PS5Brを特徴とする化学式を有さない。いくつかの例において、請求項記載の組成物は、Li6PS5Iを特徴とする化学式を有さない。いくつかの例において、請求項記載の組成物は、Li7P2S8I、Li6PS5F、Li6PS5Cl、Li6PS5Br、Li6PS5I、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを特徴とする化学式を有さず、該組成物は本願に記載通りにアニールされていない。いくつかの例において、請求項記載の組成物は、Li7P2S8I、Li6PS5F、Li6PS5Cl、Li6PS5Br、Li6PS5I、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを特徴とする化学式を有さず、該組成物は、主として結晶性Li7P2S8I、Li6PS5F、Li6PS5Cl、Li6PS5Br、又はLi6PS5Iから構成される。
【0086】
いくつかの例において、該化合物は、80(70L2S・30P2S5)20(LiI)、70(70L2S・30P2S5)30(LiI)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを特徴とする化学式を有さない請求項記載の組成物を特徴とする。
【0087】
いくつかの例において、該化合物は、L3PS4とLiI、Li2S、及びP2S5の固溶体を特徴とする化学式を有さない請求項記載の組成物を特徴とする。
【0088】
いくつかの例において、該化合物は、(100-X)(80L2S・20P2S5)X(LiI)(式中、Xは、0、2、5、10、15、20又は30である)を特徴とする化学式を有さない請求項記載の組成物を特徴とする。
【0089】
いくつかの例において、該化合物は、Li2S、P2S5、LiF、LiCl、LiBr、及び/若しくはLiIのいずれかの混合物又はこれらの組み合わせを含む請求項記載の組成物を特徴とする。
【0090】
いくつかの例において、該化合物は、Li7P2S8Iではないが、以下の21、28、又は33(2Θ)での反射の少なくとも1つを有するX線粉末回折(XRD)パターンを特徴とする。
【0091】
いくつかの例において、該化合物はアルジロダイトLi6PS5Iではない。いくつかの例において、該化合物は、46(2Θ)に一次XRDピークを有するアルジロダイトLi6PS5Iではない。
【0092】
(複合体)
いくつかの例において、本明細書に記載される電解質組成物は、本明細書に記載されるLPSIを含み、ポリマーをさらに含む。
【0093】
いくつかの例において、ポリマーをさらに含む組成物中のLPSIの重量充填量(weight loading)は少なくとも50%(w/w)である。いくつかの他の例において、ポリマーをさらに含む組成物中のLPSIの重量充填量は少なくとも55%(w/w)である。いくつかの例において、ポリマーをさらに含む組成物中のLPSIの重量充填量は少なくとも60%(w/w)である。いくつかの他の例において、ポリマーをさらに含む組成物中のLPSIの重量充填量は少なくとも65%(w/w)である。いくつかの例において、ポリマーをさらに含む組成物中のLPSIの重量充填量は少なくとも70%(w/w)である。いくつかの他の例において、ポリマーをさらに含む組成物中のLPSIの重量充填量は少なくとも75%(w/w)である。いくつかの例において、ポリマーをさらに含む組成物中のLPSIの重量充填量は少なくとも80%(w/w)である。いくつかの他の例において、ポリマーをさらに含む組成物中のLPSIの重量充填量は少なくとも85%(w/w)である。いくつかの例において、ポリマーをさらに含む組成物中のLPSIの重量充填量は少なくとも90%(w/w)である。いくつかの他の例において、ポリマーをさらに含む組成物中のLPSIの重量充填量は少なくとも95%(w/w)である。
【0094】
いくつかの例において、ポリマーをさらに含む組成物中のLPSIの体積充填量(volume loading)は少なくとも50%(v/v)である。いくつかの他の例において、ポリマーをさらに含む組成物中のLPSIの体積充填量は少なくとも55%(v/v)である。いくつかの例において、ポリマーをさらに含む組成物中のLPSIの体積充填量は少なくとも60%(v/v)である。いくつかの他の例において、ポリマーをさらに含む組成物中のLPSIの体積充填量は少なくとも65%(v/v)である。いくつかの例において、ポリマーをさらに含む組成物中のLPSIの体積充填量は少なくとも70%(v/v)である。いくつかの他の例において、ポリマーをさらに含む組成物中のLPSIの体積充填量は少なくとも75%(v/v)である。いくつかの例において、ポリマーをさらに含む組成物中のLPSIの体積充填量は少なくとも80%(v/v)である。いくつかの他の例において、ポリマーをさらに含む組成物中のLPSIの体積充填量は少なくとも85%(v/v)である。いくつかの例において、ポリマーをさらに含む組成物中のLPSIの体積充填量は少なくとも90%(v/v)である。いくつかの他の例において、体積充填量は少なくとも95%(v/v)である。
【0095】
いくつかの例において、LPSI組成物はポリマーをさらに含み、LiPF6から選択されるリチウム塩をさらに含む。
【0096】
いくつかの例において、LPSI組成物はポリマーをさらに含み、LiTFSI(リチウムビス-トリフルオロメタンスルホンイミド)から選択されるリチウム塩をさらに含む。
【0097】
いくつかの例において、本明細書に述べられる組成物及び方法と共に使用するのに好適なポリマーには、ポリプロピレン(PP)、アタクティックポリプロピレン(aPP)、アイソタクティブポリプロピレン(iPP)、ポリブチルジエン、ポリブタジエン(PBD)、ポリブタジエンラバー(PB)、架橋ポリブタジエン(cPBD)、ポリスチレン(PS)、エチレンプロピレンラバー(EPR)、エチレンペンテンコポリマー(EPC)、ポリイソブチレン(PIB)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリオレフィン、ポリエチレン-コ-ポリ-1-オクテン(PE-co-PO)、PE-コ-ポリ(メチレンシクロペンタン)(PE-co-PMCP)、ポリメチル-メタクリラート、アクリル樹脂、アクリロニトリル-ブタジエンラバー(NBR)、ポリビニルアセタアセタール(acetacetal)樹脂、ポリビニルブチラール(butylal)樹脂、PVBステレオブロックポリプロピレン、ポリプロピレンポリメチルペンテンコポリマー、ポリエチレンオキシド(PEO)、PEOブロックコポリマー、ニトリル、ニトリルブタジエンラバー、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリイソプレンラバー(PI)、ポリクロロプレンラバー(CR)、ポリエチルアクリラート(PEA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、水性適合(aqueous-compatible)ポリマー、シリコーン、PMX-200(ポリジメチルシロキサン、PDMS)、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチルメタクリラート(PEMA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ステレオブロックポリプロピレン、ポリプロピレンポリメチルペンテンコポリマー、ポリプロピレンカーボナート、ポリエチレン、又はこれらの組み合わせがある。
【0098】
いくつかの例において、本明細書に述べられる組成物及び方法と共に使用するのに好適なポリマーには、LPSIに付着し、結合し、接着し、又は吸着するポリマーがある。いくつかの例において、本明細書に述べられる組成物及び方法と共に使用するのに好適なポリマーには、LPSIの表面に付着し、結合し、接着し、又は吸着するポリマーがある。
【0099】
結合剤及び/又はポリマーの例は、特定の実施態様において、ニトリル、ニトリルブタジエンラバー、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、PVDF-HFP、PAN、水性適合ポリマー、アタクティックポリプロピレン(aPP)、シリコーン、ポリイソブチレン(PIB)、エチレンプロピレンラバー(EPR)、PMX-200 PDMS(ポリジメチルシロキサン/ポリシロキサン、すなわちPDMS又はシリコーン)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルブチラール(PVB)、又はポリ(ビニリデン)フルオリド-ヘキサフルオロプロピレンPVDF-HFPからも選択される。
【0100】
いくつかの例において、ポリマーは直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)である。いくつかの例において、ポリマーはポリブタジエン(PBD)である。
【0101】
いくつかの例において、ポリマーは、LPSI粒子の表面に配位又は吸着している。いくつかの例において、ポリマーは、LPSI粒子の表面に配位又は吸着している。LPSI粒子に共有結合するポリマーには、カルボン酸、エステル、エーテル、並びにヒドロキシル、アミン、ピリジン、アミド、ニトリル、ホスファート、スルホナート、チオエーテル、及びチオール官能基を有するポリマーがあるが、これらに限定されない。例のカルボン酸には、デカン酸及びペルフルオロペンタン酸があるが、これらに限定されない。例のエステルには、酢酸ドデシル、デカン酸エチル、及びペルフルオロ酪酸エチルがあるが、これらに限定されない。例のエーテルには、ジエチルエーテルがあるが、これに限定されない。ヒドロキシル、アミン、ピリジン、アミド、ニトリル、ホスファート、スルホナート、チオエーテル、及びチオール官能基を有する例のポリマーには、ドデシルアミン、フェニルプロピルピリジン、オクタンデカンアミド、ノナンニトリル、トリフェニルホスピン(triphenylphospine)オキシド、ペルフルオロブタンスルホン酸、ドデシルスルフィド、及びドデカンチオールがあるが、これらに限定されない。
【0102】
(電気化学セル)
一例として図1に示されるように、電気化学セルが本明細書に述べられる。いくつかの例において、これらの電気化学セルは固体セルである。図1において、「eLi」は蒸着されたLi金属を指す。図1において、HP-LPSIは熱間圧接されたLPSIを指す。図1において、NMCはニッケル-マンガンコバルト酸化物を指す。これらの固体電気化学セルのいくつかにおいて、正極と負極を分離する電解質は、スルフィド系電解質を含む。いくつかの例において、このスルフィド系電解質は、正極と負極の間に配置される単一のセパレーター膜として電気化学セルに含まれる。これらの例のいくつかにおいて、このセパレーター膜は、LixPySzIt(式中、5≦x≦12; 1≦y≦3; 5≦z≦9、及び0.1≦t≦2)を含み、以下の21、25、27、28、29、33及び/又は45±1°(2Θ)での反射の少なくとも1つを有するX線粉末回折(XRD)パターンを特徴とするLPSI材料から基本的になる。これらの組成物において、下付き文字x、y、z、及びtは有理数であり、該化合物は電荷中性である。
【0103】
いくつかの例において、セパレーター膜は2つの層を含むが、本明細書に定義される通り、1層はLPSIであり、1層はSLOPSである。特定の例において、このセパレーター中の2層のうち一方は、例えば、内容が引用により全体として組み込まれる、LiAMPBSC(M=Si、Ge、及び/又はSn)を使用する電池用の固体カソライト又は電解質(SOLID STATE CATHOLYTE OR ELECTROLYTE FOR BATTERY USING LiAMPBSC(M=Si, Ge, AND/OR Sn))という名称の2015年6月18日に公開された米国特許出願公開第2015/0171465号又は2015年10月27日に発行された米国特許第9,172,114号に記載される材料を含むLSTPS材料である。特定の例において、このセパレーター中の2層のうちのもう一方は、本明細書に記載されるSLOPS材料である。いくつかの例において、LPSI材料は、SLOPS材料と共に熱間圧接されて、二層固体電解質膜が作られる。いくつかの例において、LPSI材料は、LSS材料と共に熱間圧接されて、二層固体電解質膜が作られる。一例において、LPSI組成物はLi7.4P1.6S7.2Iであり、LSSは60:40モル比のLi2S:SiS2である。一例において、LPSI組成物はLi7.4P1.6S7.2Iであり、SLOPSは0.1 mol.%以上のLi3PO4を含む60:40モル比のLi2S:SiS2である。LPSIは、組立て前に190℃でプレアニールされる。SLOPSはアニールされない。二層セパレーターを作成するために、LPSI粉末が最初に型に加えられ、それに続いて~50,000ポンド毎平方インチ(psi)(345MPa)の圧力が加えられる。本明細書に述べられたこの圧縮されたLPSIの電解質膜の1面に、SLOPS粉末が、2:1のLPSI:SLOPS比で加えられ、それに続いて180~210°に加熱され、~100,000psi(689MPa)の圧力が5分間加えられる。二層セパレーターは放冷され、本明細書に述べられる自立膜又は電解質膜として取り除かれる。
【0104】
これらの例のいくつかにおいて、及び図1に示されるように、正極は、スラリーを集電体上にキャストすることにより調製される。スラリーはNMCカソード活性材料を含む。例のNMC材料は、米国特許第6,680,143号;同第6,677,082号;同第8,685,565号;同第8,241,791号;同第7,078,128号;及び同第6,964,828号、又は2009年10月13日に出願された米国特許出願公開第2011/0250508号に述べられる。いくつかの例において、集電体は、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、クロム(Cr)、スチール、ステンレススチール、及びこれらの組み合わせから選択される金属又は合金から選択される。これらの例のいくつかにおいて、スラリーは、小型化されたLSTPSカソライト材料を含む。いくつかの例において、LSTPSは、粉砕媒体及び溶媒中で粉砕することにより小型化される。いくつかの例において、粉砕媒体は、ジルコニア、アルミナ、酸化ランタン、又はこれらの組み合わせである。いくつかの例において、溶媒は、テトラヒドロフラン、エタノール、メタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、ドデカン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、又はアセトニトリルである。いくつかの例において、ドデシルスルフィド、ドデシルメチルスルフィド、又はシランなどの添加剤が、溶媒にさらに加えられ得る。いくつかの例において、NMCは、LSTPSと同時に粉砕される。いくつかの例において、LSTPSは粉砕されるが、NMCは粉砕されない。いくつかの例において、NMCとLSTPSの両方が粉砕されるが、別の粉砕ジャー中でである。この例に述べられている電気化学セルを調製するために、NMCは、LSTPSと5:1の重量比で、カソード上にキャストされるスラリー中に組み合わされる。いくつかの例において、スラリーは溶媒を含む。いくつかの例において、スラリーは結合剤及び伝導性添加剤としての炭素の源を含む。いくつかの例において、該炭素はC65である。他の例において、該炭素は、ケッチェンブラック、カーボンファイバー、気相成長カーボンファイバー(VGCF)、アセチレンブラック、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、活性炭、カーボンブラック、フラーレン、又はアセチレンブラックである。
【0105】
いくつかの例において、粉砕は、湿式粉砕及び/又は湿式混合を含む。これらの例のいくつかにおいて、湿式粉砕及び/又は湿式混合は、ドデカン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、プロパノール、エタノール、メタノール、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸、酢酸エチル、又はジメチルホルムアミド(DMF)から選択される溶媒の使用を含む。いくつかの例において、該溶媒はドデカンである。いくつかの例において、該溶媒はトルエンである。いくつかの例において、該溶媒はアセトニトリルである。いくつかの例において、該溶媒はTHFである。いくつかの例において、該溶媒はプロパノールである。いくつかの例において、該溶媒はエタノールである。いくつかの例において、該溶媒は酢酸である。いくつかの例において、該溶媒はメタノールである。いくつかの例において、該溶媒はヘキサンである。いくつかの例において、該溶媒はヘプタンである。いくつかの例において、該溶媒はデカンである。いくつかの例において、該溶媒は酢酸エチルである。いくつかの例において、該溶媒はDMFである。いくつかの例において、粉砕は、1:-1、1:-2、1:-3、又は1:-4の速度比で実施される。いくつかの例において、粉砕は、1~48時間実施される。
【0106】
図1に示される正極組成物を調製するために使用されるスラリーは、74 wt.% NMC、17 wt.% LSTPS、5 wt.%結合剤、3 wt.% C65炭素、及び1 wt.%ケッチェンブラックカーボンからなっていた。このスラリーにおいて、LSTPSは、5:1のNMC:LSTPS重量比でNMCと組み合わされた。
【0107】
いったん配合されると、スラリーは正極集電体上にキャストされる。いくつかの例において、スラリーがキャストされた後、スラリーが乾燥されて、LSTPS、NMC、炭素、及び/又は結合剤を溶解又は懸濁していた溶媒が除去される。
【0108】
いくつかの例において、及び図1に示されるように、12mm直径円板カソード活性材料の乾燥されたスラリーキャストは集電体上に配置される。特定の例において、集電体上の乾燥されたスラリーキャストのこの12mm直径円板は、LPSIの層と層状にされるか、LPSIの層に積層される。特定の他の例において、乾燥されたスラリーのこの12mm直径円板は集電体上にあり、LPSI及びSLOPS/LSSの二層と層状にされるか、又は積層される。これらの例において、カソード活性領域(active region)は、5:1重量比のNMC及びLSTPSを含む。いったん電気化学セルが充電され、Li金属の層が負極集電体と電解質の間にあると、Li金属はLPSI層と直接接触する。これらの例のいくつかにおいて、集電体上の乾燥されたスラリーキャストは、LPSIの層又はLPSI及びSLOPS/LSSの二層と層状にされるか、又は積層されて、生じた複合体は熱間圧接される。この熱間圧接工程において、集電体、カソード活性領域、及びLPSIの層は加熱され、圧縮される。これらの例のいくつかにおいて、これらの層の加熱は、少なくとも75、80、85、90、95、100、105、110、114、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、又は300℃である。いくつかの他の例において、これらの層の加熱は、約75、80、85、90、95、100、105、110、114、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、又は300℃である。いくつかの他の例において、これらの層の加熱は、75、80、85、90、95、100、105、110、114、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、又は300℃である。
【0109】
特定の例において、熱間圧接は、本明細書に記載される層状にされた材料及び複合体への圧力の印加を含む。圧力の印加は、一軸か、又は全三次元に均一であり得る。静圧プレス及びカレンダーは、本明細書に記載される層状にされた材料及び複合体への圧力印加に有用である。いくつかの例において、圧力の印加は、10キロポンド毎平方インチ(kPSI)(68.9MPa)、15kPSI(103MPa)、20kPSI(138MPa)、25kPSI(172MPa)、30kPSI(207MPa)、35kPSI(241MPa)、40kPSI(276MPa)、45kPSI(310MPa)、50kPSI(345MPa)、55kPSI(379MPa)、60kPSI(414MPa)、65kPSI(448MPa)、70kPSI(483MPa)、75kPSI(517MPa)、80kPSI(552MPa)、85kPSI(586MPa)、90kPSI(620MPa)、95kPSI(655MPa)、100kPSI(689MPa)、105kPSI(724MPa)、110kPSI(758MPa)、114kPSI(786MPa)、120kPSI(827MPa)、125kPSI(862MPa)、130kPSI(896MPa)、135kPSI(931MPa)、140kPSI(965MPa)、145kPSI(1000MPa)、150kPSI(1034MPa)、155kPSI(1069MPa)、160kPSI(1103MPa)、165kPSI(1138MPa)、170kPSI(1172MPa)、175kPSI(1207MPa)、180kPSI(1241MPa)、185kPSI(1276MPa)、190kPSI(1310MPa)、195kPSI(1344MPa)、200kPSI(1379MPa)、又は205kPSI(1413MPa)を印加することを含む。
【0110】
いくつかの例において、本明細書に記載される層状にされた材料及び複合体への熱間圧接の後に、Li金属は、カソード領域(すなわち正極)に直接界接していないLPSIの面に適用される。Li金属は、蒸着手段、スパッタリング、積層手段、化学結合手段、又はLi金属を堆積することが知られている他の方法により適用できる。いくつかの例において、Li金属はLPSI上にスパッタリングされる。これらの例のいくつかにおいて、10mmテフロンマスクが、LPSI上へのLi金属の蒸着又はスパッタリングの間に使用される。
【0111】
固体電解質をリチウム金属と界接させるか、又はリチウム金属を電解質に堆積し、積層し、若しくは接触させる他の方法は公知であり得て、本発明は、本明細書に記載される特定のリチウム堆積、積層、又は接触方法に限定されるべきでない。
【0112】
図11に示される通り、いくつかの例において、本明細書の開示は、二層固体電解質1103を含む電気化学スタック1110を説明する。二層固体電解質1103は、リチウム金属と化学的に適合性がある固体アノライト又は電解質である層1102を含む。図11に示される通り、電気化学スタック1100が少なくとも部分的に充電されている場合、固体電解質1103の層1102はリチウム金属アノード1101と物理的に接触している。固体電解質1103は、ゲルカソライト1105又はゲルカソライト(例えば、DC:EMC中の1M LiPF6塩を含む、80:20体積ポリマー:体積溶媒HPVD-HFPポリマー)を中に含むカソード1106と化学的に適合性がある固体電解質である層1104も含む。層1103の全厚さはおよそ1.2mmであり、正極(カソード)に向いている面はおよそ0.45mmであり、負極(アノード)に向いている面はおよそ0.75mmである。層1103の厚さは変わり得る。
【0113】
いくつかの例において、層1102は、実験式Li7.4P1.6S7.2Iを有するLPSIである。いくつかの例において、このLPSI材料は0Vまで化学的に安定である。いくつかの例において、層1112は、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、125nm、150nm、175nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、.6μm、.7μm、.8μm、.9μm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、95μm、100μm、125μm、150μm、175μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、500μmの厚さである。いくつかの例において、層1102は、円板であるか、又は円板形状であり、円板直径が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20mmである。
【0114】
いくつかの例において、層1102は、一般式x(80:20 Li2S:P2S5)*(1-x)(LiI)(式中、xは0.5~1.0である)を特徴とする。いくつかの例において、xは、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、又は1.0である。
【0115】
いくつかの例において、層1104は、実験式(1-x)(60:40Li2S:SiS2)・(x)(Li3PO4)(式中、0.01≦x≦0.10)を有するSi、Li、O、P、及びS元素を有する材料である。結晶構造は、Li2Sの結晶性部分に帰属される16.5°、27.5°、31.5°、45°、及び53.5°のピークの他に主として非晶質である。いくつかの例において、このSLOPS材料は、2Vまで化学的に安定である。いくつかの例において、層1104は、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、125nm、150nm、175nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、.6μm、.7μm、.8μm、.9μm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、95μm、100μm、125μm、150μm、175μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、500μmの厚さである。いくつかの例において、層1104は、円板であるか、又は円板形状であり、円板直径が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20mmである。
【0116】
いくつかの例において、層1104は一般式Li6Si2S7を特徴とする。
【0117】
いくつかの例において、層1104は、Li2S:SiS2の60:40混合物を特徴とする。いくつかの例において、層1104は、Li2S:SiS2の50:50混合物を特徴とする。いくつかの例において、層1104は、Li2S:SiS2の2:1混合物を特徴とする。
【0118】
いくつかの例において、層1105はゲル電解質である。いくつかの例において、ゲル電解質は、ポリマー(例えば、0.9グラムのPVDF-HFP、カイナー2801)を適切な溶媒(例えば、8.5グラムのテトラヒドロフラン、THF)に溶解させ、ある量の適切な電解質溶液(例えば、2.8グラムのEC:PC(1:1)、1M LiPF6)を加えることにより調製される。この混合物は60℃で4時間撹拌されて、ポリマーが溶解され、次いでドクターブレードを使用してガラス上にキャストされる。いったん溶媒が蒸着すると、ゲルフィルムをガラスからはずして層1105として使用できる。いくつかの例において、層1105は、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸メチレン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒を含むゲルカソライトである。いくつかの例において、層1105は、PVDF-HFP及びPANからなる群から選択されるポリマーを含むゲルカソライトである。いくつかの例において、層1105は、LiPF6、LiBOB [リチウムビス(オキサトラト(oxatlato))ボラート]、及びLFTSiからなる群から選択される塩を含むゲルカソライトである。いくつかの例において、塩の濃度は0.5 M~2Mである。いくつかの例において、他の好適なポリマーには、Arkema社のカイナー2801及びHSV 900がある。いくつかの例において、ゲル中のポリマーと溶媒の体積比は90:10である。いくつかの例において、ポリマーは分子量が約150,000 Daである。
【0119】
(アニールされたLPSIを製造する方法)
いくつかの例において、Li、P、S、及びI元素を含む電解質組成物(本明細書では「LPSI」)を製造する方法が本明細書に述べられる。いくつかの例において、該組成物は、LixPySzIt(式中、5≦x≦12; 1≦y≦3; 5≦z≦12、及び0.1≦t≦2)を含み; 以下の21、25、27、28、29、33又は45±1°(2Θ)での反射の少なくとも1つを有するX線粉末回折(XRD)パターンを特徴とする。これらの組成物において、下付き文字x、y、z、及びtは有理数であり、該化合物は電荷中性である。
【0120】
本明細書に述べられる方法のいくつかにおいて、該方法はLPSIの化学的前駆体を提供することを含む。いくつかの例において、化学的前駆体には、リチウム金属、リチウム粉末、硫化リチウム、硫化リン、及びヨウ化リチウムがある。
【0121】
いくつかの例において、本明細書の開示は、LixPySzIt(式中、5≦x≦12; 1≦y≦3; 5≦z≦12、及び0.1≦t≦2)を特徴とする電解質を製造する方法を述べる。いくつかの例において、該電解質は、以下の20、25、27、29、又は45(2Θ)での反射の少なくとも1つを有するXRDパターンも特徴とする。これらの方法において、該方法は、硫化リチウム化合物を提供すること、硫化リン化合物を提供すること、ヨウ化リチウム化合物を提供することを含む。いくつかの例において、該方法は、該硫化リチウム化合物と、該硫化リン化合物と、該ヨウ化リチウム化合物とを混合して混合物を形成することを含む。いくつかの例、該方法は、該混合物を粉砕して、粉砕された混合物を形成することを含む。特定の例において、該混合物中に含まれる該化合物は、該混合物に含まれる前に粉砕され、その後に混合物として粉砕されて粉砕された混合物を形成する。いくつかの例において、該混合物が形成された後、該混合物は約100~約300℃に加熱される。約100~約300℃に加熱する前は、粉砕された混合物はLPSI前駆体と称される。
【0122】
いくつかの例において、硫化リチウム化合物は、Li2S、元素S、Li金属、又はこれらの組み合わせである。Li金属は、金属の細片、金属のブロック、金属粉末、又は金属のやすりくずとして提供され得る。いくつかの例において、硫化リン化合物は、P2S5、赤リン、白リン、リン粉末、又はP2O5、及び元素Sである。いくつかの例において、ヨウ化リチウム化合物は、LiI、I2、Li金属、又はそれらの組み合わせから選択される。いくつかの例において、該ヨウ化リチウム化合物は、ナノ結晶性、ナノ寸法、又は非晶質LiIである。いくつかの例において、該リチウム金属は、ナノ結晶性、ナノ寸法、又は非晶質である。
【0123】
いくつかの例において、該混合物は、1:1~5:1のモル比でLi2S:P2S5を含む。いくつかの他の例において、該混合物は、0.1:1~2:1のモル比でP2S5:LiIを含む。いくつかの例において、該混合物は、3.2:0.8:1のモル比でLi2S:P2S5:LiIを含む。
【0124】
いくつかの例において、粉砕工程は、該混合物が0.5μm以下のd50粒径の粒子を有するまで、該混合物を粉砕することを含む。
【0125】
いくつかの例において、粉砕工程は、該混合物が、結晶性LiIが観察されないXRDパターンを特徴とするまで、該混合物を粉砕することを含む。
【0126】
いくつかの例において、該混合物を約100~約300℃に加熱することは、該混合物を不活性雰囲気中で加熱することを含むが、該不活性雰囲気は、窒素、アルゴン、ヘリウム、キセノンガス、又はこれらの混合物から選択される。いくつかの例において、該不活性雰囲気はアルゴンである。
【0127】
本明細書の例のいずれかにおいて、混合物の加熱工程は、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、又は300℃に、2~24時間加熱することを含み得る。いくつかの例において、加熱は、150~250℃である。いくつかの例において、加熱は、1~16時間である。
【0128】
いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を150℃に1~6時間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を160℃に1~6時間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を170℃に1~6時間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を180℃に1~6時間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を190℃に1~6時間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を200℃に1~6時間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を210℃に1~6時間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を220℃に1~6時間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を230℃に1~6時間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を240℃に1~6時間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を250℃に1~6時間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を260℃に1~6時間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を270℃に1~6時間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を280℃に1~6時間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を290℃に1~6時間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を300℃に1~6時間加熱することを含む。
【0129】
いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を150℃に、LPSIを完全に結晶化させるのに要する時間未満の期間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を160℃に、LPSIを完全に結晶化させるのに要する時間未満の期間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を170℃に、LPSIを完全に結晶化させるのに要する時間未満の期間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を180℃に、LPSIを完全に結晶化させるのに要する時間未満の期間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を190℃に、LPSIを完全に結晶化させるのに要する時間未満の期間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を200℃に、LPSIを完全に結晶化させるのに要する時間未満の期間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を210℃に、LPSIを完全に結晶化させるのに要する時間未満の期間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を220℃に、LPSIを完全に結晶化させるのに要する時間未満の期間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を230℃に、LPSIを完全に結晶化させるのに要する時間未満の期間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を240℃に、LPSIを完全に結晶化させるのに要する時間未満の期間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を250℃に、LPSIを完全に結晶化させるのに要する時間未満の期間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を260℃に、LPSIを完全に結晶化させるのに要する時間未満の期間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を270℃に、LPSIを完全に結晶化させるのに要する時間未満の期間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を280℃に、LPSIを完全に結晶化させるのに要する時間未満の期間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を290℃に、LPSIを完全に結晶化させるのに要する時間未満の期間加熱することを含む。いくつかの例において、加熱又はアニーリングは、LPSI前駆体を300℃に、LPSIを完全に結晶化させるのに要する時間未満の期間加熱することを含む。例において、最低の期間は、少なくとも5又は10分である。
【0130】
いくつかの例において、LPSIがアニーリング温度に加熱された後、LPSI材料はゆっくりと冷却される。いくつかの例において、該LPSIは、毎分10°の速度で冷却される。いくつかの例において、該LPSIは、毎分9°の速度で冷却される。いくつかの例において、該LPSIは、毎分8°の速度で冷却される。いくつかの例において、該LPSIは、毎分7°の速度で冷却される。いくつかの例において、該LPSIは、毎分6°の速度で冷却される。いくつかの例において、該LPSIは、毎分5°の速度で冷却される。いくつかの例において、該LPSIは、毎分4°の速度で冷却される。いくつかの例において、該LPSIは、毎分3°の速度で冷却される。いくつかの例において、該LPSIは、毎分2°の速度で冷却される。いくつかの例において、該LPSIは、毎分1°の速度で冷却される。いくつかの例において、該LPSIは、毎分0.5°の速度で冷却される。いくつかの例において、該LPSIは、毎分0.25°の速度で冷却される。いくつかの例において、該LPSIは、毎分0.1°の速度で冷却される。いくつかの例において、該LPSIは、毎分0.01°の速度で冷却される。
【0131】
本明細書に開示される例のいくつかは、ポリマーを混合物と混合して、第2の混合物を形成することを含む。これらの例のいくつかにおいて、該方法は、該ポリマーを該混合物と混合して、第2の混合物を形成する工程の前に、該ポリマーを凍結粉砕(cryo-milling)することを含む。
【0132】
いくつかの例において、LPSI前駆体材料は、固体又は液体状態から、気体又はプラズマ状態に蒸発され、霧状にされ、又は揮発され、次いで迅速に冷却されて、本明細書に記載されるLPSI材料が形成される。例えば、LPSI材料は、2014年12月11日にWO 2014/197751として公開された、固体電池成分のフラッシュ蒸発(FLASH EVAPORATION OF SOLID STATE BATTERY COMPONENT)という名称の、2014年6月6日に出願されたPCT/US2014/041203に記載の蒸発又は気相法により調製できる。これらの特許出願のそれぞれの内容は、全目的のために、引用により本明細書にその全体として組み込まれる。
【0133】
(アニーリング)
いくつかの例において、アニーリング条件は、アニールされている(annealing)LPSI材料と接触して不活性雰囲気を使用することを含む。好適な不活性雰囲気には、100%アルゴン(Ar)、窒素(N2)、ヘリウム(He)、又はキセノン(Xe)がある。好適な不活性雰囲気には、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、ヘリウム(He)、及び/又はキセノン(Xe)の組み合わせ又は混合物がある。いくつかの例において、不活性雰囲気は100% Arである。いくつかの例において、不活性雰囲気は100% N2である。いくつかの例において、不活性雰囲気は100% Heである。いくつかの例において、不活性雰囲気は100% Xeである。いくつかの例において、内部雰囲気は、H2とAr、N2、又はXeの混合物を含む。いくつかの例において、内部雰囲気は、H2とArの混合物を含む。いくつかの例において、内部雰囲気は、H2とN2の混合物を含む。いくつかの例において、内部雰囲気は、H2とXeの混合物を含む。いくつかの例において、内部雰囲気は、H2とHeの混合物を含む。
【0134】
いくつかの例において、アニールされたLPSIは、アニールされた後に粉砕される。いくつかの例において、粉砕は、溶媒中で粉砕媒体と共に起こる。これらの例のいくつかにおいて、該溶媒は、アセトニトリル(CH3CN)、酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)、又はドデカンから選択される。これらの例のいくつかにおいて、粉砕媒体とLPSIの重量比は、5:1又は最大7:1である。特定の例において、該粉砕媒体は、ジルコニア、アルミナ、又は酸化ランタンである。
【0135】
いくつかの例において、固体電解質及び/又はカソライトは粉砕されて、減少した粒径、減少した結晶性、結晶性ドメインの減少したサイズ、又はこれらのあらゆる組み合わせを有する固体電解質又はカソライトを生み出す。いくつかの例において、電解質及びカソライトは、約0.310、3.09、2.58、4.72、0.650、.670、又は1.01μmのd50粒径に粉砕される。いくつかの例において、電解質及びカソライトは、約1.28、6.03、5.03、2.52、1.14、7.99、1.49μmのd90粒径に粉砕される。
【実施例
【0136】
(実施例)
XRD分析のために、空気に敏感なスルフィド試料を、気密性のカプトンフィルムドーム型ホルダー(dome holder)に水平に充填し、Rigaku MiniFlex II X線回折計で測定した。回折計を、1.25度発散及び散乱スリット、並びに0.3mm受光スリット、銅k-αX線管上のグラファイトモノクロメーターと共に設定した。試料を、1.00度/分の速度で0.020度のサンプリング幅で、30kV及び15mAで10度から60度までスキャンした。
【0137】
実施例1-リチウム-リン-硫黄-ヨウ素(「LPSI」)を製造する方法
【0138】
リチウム-リン-硫黄-ヨウ素(LPSI)イオン伝導体を配合するために、硫化リチウム(Li2S)、五硫化リン(P2S5)、及びヨウ化リチウム(LiI)を所定の比率で混合した。1つの試料中に、硫化リチウム(Li2S)、五硫化リン(P2S5)、及びヨウ化リチウム(LiI)を、(3~4):(0.1~1):(0.5~1.5)のモル比で、500 mlジルコニア粉砕ジャー中で、1mmジルコニア粉砕媒体と共に、7.5超の粉砕媒体:粉末質量比で混合した。該混合物を、プラネタリーミル(Retsch PM400、150mm回転半径、1:2スピード比)中で、16~36、16~32時間撹拌した。図2に示されるように、前駆体を約12~18時間粉砕すると、結晶性ヨウ化リチウム(LiI)が観察可能な前駆体混合物が生じた。やはり図2に示されるように、前駆体を約24~4-8(48)時間粉砕すると、結晶性ヨウ化リチウム(LiI)が観察可能でない前駆体混合物が生じた。
【0139】
粉砕は、所与の条件の組で、第2相の非存在下で、材料を緻密にし得る。また、粉砕はLiの均一性を増加させて、それにより、運転中に、スルフィド電解質とリチウム金属の間の界面でLi輸送及び電流密度を増加させ得る。粉砕は、測定可能な結晶性LiIドメインをアニーリング前に除去することができ、したがって、例えば、Li7P2S8I又はLi6PS5I相がない、より均質なガラス質最終製品が形成される。
【0140】
生じた粉末混合物を、80メッシュふるい(Retsch AS200)を使用して媒体から分離し、密閉したステンレススチールリアクター(すなわちアニーリングリアクター)中で、窒化ホウ素ライナーと共に、170℃、180℃、190℃、210℃、230℃、250℃、又は270℃で、2~8時間アニールした。アニーリング条件は、アルゴン雰囲気を含んでいた。
【0141】
アニーリングリアクター及び粉砕ジャーは気密性のシールを有していた。結果として、粉末アニーリング工程並びに粉末粉砕工程は、粉末がアニーリングリアクター又は粉砕ジャーに充填された雰囲気下で起こる。この例において、粉末を、アルゴンで満たされたグローブボックス中で、アニーリングリアクター及び粉砕ジャーに充填した。
【0142】
スルフィド複合体を作成するために、ポリマー(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブタジエン)を、最初に、液体窒素(SPEX)中で凍結粉砕して、微細な粉末を形成する。次いで、ポリマー粉末を、ボルテックスミキサー中で2種の10mmジルコニア粉砕媒体と共に12時間、0.1~20 wt.%のLPSI粉末と混合した。次いで、ポリマー及びLPSIを共に押し出した。ポリマー、301とLPSI粒子、302の複合体を図3に示す。
【0143】
実施例2-アニーリング温度の関数としてのLPSIの結晶性
【0144】
空気に敏感なスルフィド試料を、気密性のカプトンフィルムドーム型ホルダーに水平に充填し、発明者らのRigaku MiniFlex II X線回折計で測定した。回折計を、1.25度発散及び散乱スリット、並びに0.3mm受光スリット、銅k-αX線管上のグラファイトモノクロメーターと共に設定した。試料を、1.00度/分の速度で0.020度のサンプリング幅で、30kV及び15mAで10度から60度までスキャンした。
【0145】
図4に示されるように、異なるアニーリング温度でアニールされた実施例1の各試料を観察すると、それと関連する独特なXRDパターンを有していた。図4に示されるように、190℃でアニールされたLPSI材料は、以下の反射を20、25、27、29、及び45±1°(2Θ)に有するX線粉末回折(XRD)パターンを特徴とした。図4に示されるように、170℃でアニールされたLPSI材料は、20及び29±1°(2Θ)での反射を欠くX線粉末回折(XRD)パターンを特徴とする。図4に示されるように、210℃以上でアニールされたLPSI材料は、例えば、21、28、33、34又は46±1°(2Θ)に追加の反射を有するX線粉末回折(XRD)パターンを特徴とする。
【0146】
190℃を超える温度では、Li7P2S8I相に相当するピークが21、28、34度に発生する。また、190℃を超える温度では、Li6PS5I相に相当するピークが25、29、44、47、及び51度に発生する。
【0147】
図4に示されるように、170℃でアニールされたLPSI材料は、29及び45±1°(2Θ)での一次ピークを有するX線粉末回折(XRD)パターンを特徴とする。190℃でアニールされたLPSI材料に存在する20°(2Θ)のピークは、アニーリング温度が上昇するにつれて、強度が減少するようである。また、190℃より高温でアニールされたLPSI材料の一次ピークは、190℃より低温でアニールされたLPSI材料の一次ピークよりも狭い(すなわち、より低いFWHMを有する)。
【0148】
190°でアニールされる場合、~29°でのブロードなピークのFWHMは~3度である。210℃でアニールされた場合、29°での同じピークは~1°のFWHMを有する。この測定は、Rigaku回折計を、1.25°発散及び散乱スリット、及び0.3mm受光スリット、グラファイトモノクロメーター及び30 kV及び15 mAで運転しているCu Kα管と共に、0.02°サンプリング幅及び1°/分スキャン速度で使用して実施した。
【0149】
Bruker回折計で測定した190℃でアニールされたLPSI試料のより高い分解能のスキャンを図9に示す。
【0150】
実施例3-異なる温度でアニールされたLPSIにおけるLiイオン伝導性の測定
【0151】
LPSI組成物を、実施例1に従って調製し、170℃、180℃、190℃、210℃、230℃、250℃、270℃のいずれかで、2~8時間アニールした。アニーリング条件はアルゴン雰囲気を含んでいた。
【0152】
LPSIのペレットを調製した。電気インピーダンス分光法(EIS)を利用して、LPSI材料のインピーダンスを測定した。
【0153】
図5に示されるように、LPSI材料の伝導性は、LPSI材料がアニールされる温度の関数である。図5に示されるように、最高の伝導性が、190℃でアニールされたLPSI材料で観察された。190℃でアニールされたLPSI材料を観察すると、3~4×10-3 S/cmの伝導性を有していた。190℃超又は190℃未満の温度でアニールされたLPSI材料を観察すると、190℃でアニールされたLPSI材料よりも低いイオン伝導性を有していた。
【0154】
実施例4-異なる温度でアニールされたLPSIの活性化エネルギーの測定
【0155】
イオン伝導性を評価するために、0.3 gのLPSI粉末を、一軸プレスを使用して、200℃で65,000psi(448MPa)で加圧してペレットにした。アルミニウムホイルを加圧してペレットにすることにより電気接点を作った。定電位電気化学インピーダンス分光法測定を、BioLogic社製VSPポテンショスタットを開回路で使用し、1MHzから1Hzの25 mV振幅シグナルを30~120℃で使用して実施した。結果を図6に示す。
【0156】
実施例5-190℃でアニールされたLPSIを電気化学セル中で使用する方法
【0157】
ジルコニウム酸リチウム(LZO)によりコートされたNMC粒子を、LSTPS、結合剤、ケッチェンブラックカーボン、及びC65炭素と共に集電体上にキャストすることにより、電気化学セルを調製した。NMC及びLSTPSは、3:1~6:1の質量比で存在した。LSTPSの粒径分布を、スラリーと混合する前に、LSTPSが10μm未満のd50の粒径を有するまでドデカン/ドデシルスルフィド中で粉砕することにより減少させた。スラリーを集電体上で乾燥させると、膜が形成し、LPSIの層を乾燥させた膜に積層した。生じた膜を約100kPSI(689MPa)~300kPSI(2068MPa)で100~400℃で加圧した。この加圧した材料の12mm円板を打ち抜いた。2μmのLiを該12mm円板に、LPSI材料上に、テフロン絶縁体を有する10mmマスクを通して蒸着させた。
【0158】
次いで、図7に示されるように、電気化学セルを、0.1 mA/cm2及び0.2 mA/cm2で、4.2 Vから60℃で放電させた。電気化学セルを、実質的に図1に説明される通り積み重ねた。
【0159】
電気化学セルを、断面SEM画像として図10に示す。図10に示されるように、カソードは、LSTPSカソライト1002により囲まれているNMC粒子1001を含む。
【0160】
別の電気化学試験において、電気化学セルを、種々の速度で、C/10から10Cに(ここで、1C = 1.6 mA/cm2)、4.2 Vから60℃で放電させた。電気化学セルを、実質的に図1に説明される通り積み重ねた。結果を本明細書中で図14に示す。
【0161】
実施例6-190℃でアニールされたLPSIと公知のスルフィド-電解質との比較
【0162】
4e-3S/cmのイオン伝導性を有する190℃でアニールされたLPSI配合物が本明細書に報告される。Rangasamyらは、例えば、(J. Am. Chem. Soc. DOI:10.1021/ja508723m)、6.3e-4S/cmの室温伝導性を有する200℃でアニールされたLi7P2S8I組成物を報告した。このように、本組成物は、密接に関連したスルフィドよりも1桁以上イオン伝導性が高かった。
【0163】
Ujiieらは、例えば、(DOI:10.1007/s10008-012-1900-7)、200~300℃でアニールされた式(100-x)(0.8Li2S*0.2P2S5)xLiI(x=0、2、5、10、15、20)により記載される様々な組成物を報告した。Ujiieらのこれらの組成物は、x=5で2.7e-3S/cmの最大室温伝導性を有すると報告された。本明細書に報告される190℃でアニールされたLPSI配合物は、これらの基準物と比べて驚くほど高いイオン伝導性を有する。
【0164】
Ujiieら(DOI:10.1016/j.ssi.2012.01.017)は、式(100-x)(0.7Li2S*0.3P2S5)xLiI(x=0、1、3、5、9、20)により記載される様々な組成物も報告した。これらの組成物は220~270℃でアニールされ、x=0でアニールされたガラス-セラミックで4e-3S/cmのイオン伝導性を有するが、x>3のガラスセラミックスで2e-5S/cm未満のイオン伝導性を有し、x=20でアニールされていないガラスで5.6e-4S/cmの最大伝導性を有することが観察された。
【0165】
実施例7-Li7.4P1.6S7.2IのDSC測定及び分析
【0166】
リチウム-リン-硫黄-ヨウ素(LPSI)イオン伝導体を配合するために、硫化リチウム(Li2S)、五硫化リン(P2S5)、及びヨウ化リチウム(LiI)を所定の比率で混合した。1つの試料中に、硫化リチウム(Li2S)、五硫化リン(P2S5)、及びヨウ化リチウム(LiI)を、3.2:0.8:1のモル比で、500 mlジルコニア粉砕ジャー中で、1mmジルコニア粉砕媒体と共に、7.5を超える粉砕媒体:粉末の質量比で混合した。混合物を、プラネタリーミル(Retsch PM400、150mm回転半径、1:-2スピード比)中で、16から36、16~32時間撹拌した。
【0167】
10 mgの粉末を、DSC熱量計でのLi7.4P1.6S7.2IのDSC測定のために、るつぼに入れる。図8に示されるように、発熱が180~190℃付近で観察された。この発熱は、LPSIの結晶化事象に相当する。本明細書における190℃でアニールされたLPSI試料を、このように、このLPSIの結晶化事象の温度に近い温度又は近づく温度で、LPSIの全体を結晶化させないアニーリング期間アニールした。
【0168】
実施例8-リチウム-リン-硫黄-ヨウ素(「LPSI」)を一面に、ケイ素-リチウム-硫黄(「LSS」)をもう一面に有する二層固体電解質膜を製造する方法
【0169】
二層セパレーターを作成するために、実施例1から得て190℃でアニールされたLPSI粉末を最初に型に加え、それに続いて10,000psi(68.9MPa)を超える圧力を加えた。生じた圧縮されたLPSIのペレットの一面に、LSS粉末を、3:1~1:1のLPSI:LSS比で加え、それに続いて150~250°に加熱し、10,000psi(68.9MPa)を超える圧力を5分間加えた。該二層セパレーターを放冷し、自立膜又はペレットとして除いた。追加の詳細は以下の通りである。
【0170】
LPSI膜を実施例1に従って調製し、190℃でアニールした。
【0171】
LSS膜を、以下の粉末試薬、Li2S、及びSiS2を、この実施例の所望の処方(50:50~70:30 Li2S:SiS2)に従って秤量し、組み合わせることにより調製した。該粉末混合物を、ジルコニア粉砕媒体(~1~10mm直径の粉砕媒体)と共に適切なサイズのジルコニア粉砕ポットに加えることにより粉砕した。該ポットを大気暴露から密閉し、プラネタリーミル上に16~32時間配置した。
【0172】
LSS材料を、冷間圧接されたLPSI層に2:1のLPSI:LSS比で加え、それに続いて10,000psi(68.9MPa)を超えた圧力で180~210℃で圧縮することにより、電解質セパレーターをペレット形状因子(pellet form factor)で製造した。
【0173】
一面にLSSをもう一面にLPSIを有する二層膜が、180~210℃及び100,000psi(689MPa)でのおよそ5分間のこの熱間圧接から生じた。リチウム金属を該LPSI面上に蒸着させ、負極(すなわちアノード)を形成した。3:7の体積比の炭酸エチレン(EC)と炭酸エチルメチル(EMC)EC:EMC w/ LiPF6電解質を含む膨張したPvDFゲルを、該LSS面にキャストした。このゲルの上に、カソードを含み、LiNi0.6Mn0.2Co0.2O2及び3:7 v/v EC:EMC w/ 1.0 M LiPF6電解質も含むPVDFゲルを配置した。次いで、スタックを、電気化学試験のためにCR2032コイン電池中に配置した。
【0174】
実施例9-実施例8の二層膜を有する電気化学セルの特性化
【0175】
電気化学スタックを、実施例8に表された通り調製した。該スタックは、円板形状であり、円板直径がおよそ10mmである2μmの厚さのLi金属のアノードを含んでいた。該Li金属の上に、およそ12.7mmの直径の円板形状のLPSI層及びおよそ12.7mmの直径の円板形状のLSS層を含む実施例8の二層膜を層にした。該二層は、およそ400~800μmの厚さであった。該電解質膜の上にゲル電解質があり、それはおよそ8mmの直径であり、80:20の体積比のポリマーPvDF:HFPと溶媒EC:EMCと共にEC:EMC中の1M LiPF6を含んでいた。最後に、該スタックは、実施例8に記載の通り、~91 wt.% NMC、LiNi0.6Mn0.2Co0.2O2カソード活性粒子を、EC:EMC中の1M LiPF6ゲル中に含む10mm直径の円板のカソード活性材料を含んでいた。
【0176】
第2の電気化学スタックを、実施例1のLPSI膜を二層膜の代わりに使用した以外、実施例8に説明される通り調製した。該スタックは、円板形状の、直径10mmのLi金属のアノードを含んでいた。該Li金属の上に、およそ400~800μmの厚さで12.7mmの直径の実施例1のLPSI膜を層にした。該電解質膜の上に、およそ8mmの直径で、80:20 HPDF:HFPと共にEC:EMC中の1M LiPF6を含むゲル電解質があった。最後に、該スタックは、実施例8に記載の通り、~91 wt.% NMC、LiNi0.6Mn0.2Co0.2O2カソード活性粒子をEC:EMC中の1M LiPF6ゲル中に含む10mm直径円板のカソード活性材料を含んでいた。
【0177】
該電気化学スタックを、45℃で、4 mAh/cm2で、GITT充電/放電装置中でサイクルした。該試験は、4 mAh/cm2カソードに対して30分間C/10パルスレート(0.4 mA/cm2)を含み、それに続いて10分の休止があり、GITT試験は、Liに対して2.8~4.6 Vの電圧限界を有した。
【0178】
図12に示されるように、二層膜を有する電気化学スタックは、電気化学サイクルにわたり劣化又はデンドライト形成に対して安定であった。電気化学的電圧反応は、NMCのインターカレーション反応を反映する。~200 mAh/gの容量が達成される。
【0179】
該電気化学スタックを、50℃で、1.5 mAh/cm2で、GITT充電/放電装置中でサイクルした。該試験は、1.5 mAh/cm2カソードに対して40分間C/10パルスレート(0.15 mA/cm2)を含み、それに続いて10分間の休止があった。電気化学的電圧応答は、3.6 V超では安定でなかった。代わりに、電圧を、スルフィド又はヨウ化物酸化に特徴的な、より低い電圧に固定した(2.0~3.0 V)。したがって、図12に示される結果とは対照的に、及び図13に示されるように、LPSI膜を有する電気化学スタックは、電気化学サイクルにわたり、それほど安定でなかった。図12は、実施例8の二層膜が、固体電気化学スタック中での使用に好適であり、短絡又は有害な電気化学的性質を他の面で示さずにリチウム金属アノードによりサイクルされることを表している。
【0180】
実施例10-実施例1に従って調製し190℃でアニールしたLPSI膜を有する電気化学セルの特性化
【0181】
図17に示される電気化学スタックを有する電気化学セルを調製した。図17に表される電気化学スタックにおいて、実施例1に従って調製し190℃にアニールしたLPSI(Li7.4P1.6S7.2I)のモノリス、1702の一面に蒸着させた10mmの直径のLi金属アノード、1703があった。LPSIモノリスは直径が12.7mmであった。LPSIモノリスの上部に、8mm直径のカソード、1701を圧接した。
【0182】
該電気化学セルを、C/10(0.39mA/cm2)充電電流密度及びC/3(1.3mA/cm2 )放電電流密度(カソードサイズに対して)で、GITT充電/放電装置中で、Liに対して2.7~4.2Vで、53サイクル充放電した。該試験を45℃で実施し、22μmのLi金属が1サイクルあたり通された(passed)。
【0183】
この試験の結果を、図15(最初のサイクルの電圧対活動量質量比容量)及び図16(1サイクルあたりの放電エネルギー対サイクル数)に示す。
【0184】
本開示の実施態様の前記説明は、説明目的のために提示された;それは、網羅的にも、開示される精密な形態に特許請求の範囲を限定するようにも意図されない。当業者は、多くの改良及び変形体が上記開示に照らして可能であることを理解できる。
【0185】
本明細書に使用された言葉は、主に読みやすさ及び説明目的で選択され、本発明の主題を詳述又は限定するように選択されなかった可能性がある。したがって、本開示の範囲がこの詳細な説明により限定されず、むしろ本明細書に基づく用途に基づく(issue)あらゆる特許請求の範囲により限定されることが意図される。したがって、実施態様の開示は、以下の特許請求の範囲に述べられる本発明の範囲を限定するものではなく説明するものであることが意図される。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
Li x P y S z I t (式中、5≦x≦12; 1≦y≦3; 5≦z≦9、及び0.1≦t≦2)を特徴とし;且つ
以下の20、25、27、29、又は45±1°(2Θ)での反射の少なくとも1つを有するX線粉末回折(XRD)パターンを特徴とし;
(式中、下付き文字x、y、z、及びtは有理数である);
電荷中性である化合物を含む電解質。
(構成2)
Li x P y S z I t (式中、5≦x≦12; 1≦y≦3; 5≦z≦9、及び0.1≦t≦2)から基本的になり;且つ
以下の20、25、27、29、又は45±1°(2Θ)での反射の少なくとも1つを有するXRDパターンを特徴とし;
(式中、下付き文字x、y、z、及びtは有理数である);
前記化合物が電荷中性である、構成1記載の電解質。
(構成3)
前記組成物が、以下の20、25、27、29、及び45±1°(2Θ)での反射を有するXRDパターンを特徴とする、構成1又は2記載の電解質。
(構成4)
前記組成物が、以下の20、25、27、29、及び45±1°(2Θ)での一次ピークを有するXRDパターンを特徴とする、構成1~3のいずれか一項記載の電解質。
(構成5)
前記組成物がセミアモルファスである、構成1~4のいずれか一項記載の電解質。
(構成6)
前記組成物が
(Li 3 PS 4 )3(LiI)、(Li 3 PS 4 )2(LiI)、(Li 3 PS 4 )(LiI)、2(Li 3 PS 4 )(LiI)、3(Li 3 PS 4 )(LiI)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバー;
Li 7 P 2 S 8 I、Li 6 PS 5 F、Li 6 PS 5 Cl、Li 6 PS 5 Br、Li 6 PS 5 I、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバー;
80(70L 2 S・30P 2 S 5 )20(LiI)、70(70L 2 S・30P 2 S 5 )30(LiI)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバー;
L 3 PS 4 、LiI、Li 2 S、P 2 S 5 、及びこれらの組み合わせの固溶体からなる群から選択されるメンバー;
(100-X)(80L 2 S・20P 2 S 5 )X(LiI)(式中、Xは、0、2、5、10、15、20、又は30である);又は
Li 2 S、P 2 S 5 、LiF、LiCl、LiBr、LiIの混合物、若しくはこれらの組み合わせ
ではない、構成1~5のいずれか一項記載の電解質。
(構成7)
前記組成物がLi 7 P 2 S 8 I又はLi 6 PS 5 Iではない、構成1~6のいずれか一項記載の電解質。
(構成8)
前記組成物がアルジロダイト結晶構造を有さない、構成1~7のいずれか一項記載の電解質。
(構成9)
前記組成物がゲルマニウム(Ge)又はあらゆるゲルマニウム種を含まない、構成1~8のいずれか一項記載の電解質。
(構成10)
前記組成物がヒ素(As)又はあらゆるヒ素種を含まない、構成1~9のいずれか一項記載の電解質。
(構成11)
前記組成物がLi 7.4 P 1.6 S 7.2 Iである、構成1~10のいずれか一項記載の電解質。
(構成12)
前記組成物がLi a P b S c I d (式中、aは7.2~7.6であり、bは1.4~1.8であり、cは7.0~7.4であり、dは0.8~1.2である)であり、前記電解質が電荷中性である、構成1~10のいずれか一項記載の電解質。
(構成13)
前記組成物がLi 7.4 P 1.6 S 7.2 I±記載の下付き文字の値の5%である、構成1~10のいずれか一項記載の電解質。
(構成14)
前記組成物がLi 7 P 2 S 8 Iであり、該下付き数値が±5%変化し得る、構成1~5又は8のいずれか一項記載の電解質。
(構成15)
前記組成物がLi 7 P 2 S 8 Iであり、該下付き数値が±5%変化し得る、構成1~5又は8のいずれか一項記載の電解質。
(構成16)
ポリマーをさらに含む、構成1~15のいずれか一項記載の電解質。
(構成17)
ポリマーをさらに含む前記組成物中のLi x P y S z I t の重量充填量が少なくとも50%(w/w)だが95%(w/w)未満である、構成16記載の電解質。
(構成18)
ポリマーをさらに含む前記組成物中のLi x P y S z I t の体積充填量が少なくとも50%(v/v)である、構成17記載の電解質。
(構成19)
ポリマーをさらに含む前記組成物中のLi x P y S z I t の体積充填量が少なくとも70%(v/v)である、構成17記載の電解質。
(構成20)
ポリマーをさらに含む前記組成物中のLi x P y S z I t の体積充填量が70%~85%(v/v)である、構成17記載の電解質。
(構成21)
ポリマーをさらに含む前記組成物中のLi x P y S z I t の体積充填量が75%~85%(v/v)である、構成17記載の電解質。
(構成22)
前記ポリマーが、エポキシ、エポキシド、ポリプロピレン(PP)、アタクティックポリプロピレン(aPP)、アイソタクティブポリプロピレン(iPP)、ポリブチルジエン、ポリブタジエン(PBD)、ポリブタジエンラバー(PB)、架橋ポリブタジエン(cPBD)、ポリスチレン(PS)、エチレンプロピレンラバー(EPR)、エチレンペンテンコポリマー(EPC)、ポリイソブチレン(PIB)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリオレフィン、ポリエチレン-コ-ポリ-1-オクテン(PE-co-PO)、PE-コ-ポリ(メチレンシクロペンタン)(PE-co-PMCP)、ポリメチル-メタクリラート、アクリル樹脂、アクリロニトリル-ブタジエンラバー(NBR)、ポリビニルアセタアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、PVBステレオブロックポリプロピレン、ポリプロピレンポリメチルペンテンコポリマー、ポリエチレンオキシド(PEO)、PEOブロックコポリマー、ニトリル、ニトリルブタジエンラバー、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリイソプレンラバー(PI)、ポリクロロプレンラバー(CR)、ポリエチルアクリラート(PEA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、水性適合ポリマー、シリコーン、PMX-200(ポリジメチルシロキサン、PDMS)、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチルメタクリラート(PEMA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ステレオブロックポリプロピレン、ポリプロピレンポリメチルペンテンコポリマー、ポリプロピレンカーボナート、ポリエチレン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、構成16~21のいずれか一項記載の電解質。
(構成23)
前記ポリマーが、前記LPSIに付着し、結合し、接着し、又は吸着する、構成16~21のいずれか一項記載の電解質。
(構成24)
前記ポリマーが前記LPSIの表面に結合している、構成16~21のいずれか一項記載の電解質。
(構成25)
前記ポリマーが約0.01~50% w/wで存在する、構成16~21のいずれか一項記載の電解質。
(構成26)
約10nm~約100μmの膜厚を有する薄膜として形成された、構成1~25のいずれか一項記載の電解質。
(構成27)
約10nm~約100ミクロンの平均モノリス厚さを有するモノリスとして形成された、構成1~24のいずれか一項記載の電解質。
(構成28)
前記膜厚が約20μm~約60μmである、構成26記載の電解質。
(構成29)
前記膜厚が、約10、20、30、40、50又は60ミクロンである、構成26記載の電解質。
(構成30)
LiIを含む、構成1~29のいずれか一項記載の電解質。
(構成31)
Li 2 Sを含む、構成1~29のいずれか一項記載の電解質。
(構成32)
約1×10 -3 S/cm以上のイオン伝導性を有する、構成1~29のいずれか一項記載の電解質。
(構成33)
Li x P y S z I t (式中、5≦x≦12; 1≦y≦3; 5≦z≦9、及び0.1≦t≦2)を特徴とする前記化合物が、SEM及び幾何学的測定により決定して、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、又は1%未満の多孔性を有する、構成1~29のいずれか一項記載の電解質。
(構成34)
Li x P y S z I t (式中、5≦x≦12; 1≦y≦3; 5≦z≦9、及び0.1≦t≦2)を特徴とする前記化合物が、SEM及び幾何学的測定により決定して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%の密度を有する、構成1~29のいずれか一項記載の電解質。
(構成35)
29°(2Θ)での第1の主要なXRDピークが3°±1°の半値全幅(FWHM)を有する、構成1~29のいずれか一項記載の電解質。
(構成36)
前記組成物がセミアモルファスである、構成1~29のいずれか一項記載の電解質。
(構成37)
Li 7.4 P 1.6 S 7.2 I又はLi 11 P 2 S 6 Iから選択される化学組成物を有する、構成1記載の電解質。
(構成38)
Li x P y S z I t (式中、5≦x≦12; 1≦y≦3; 5≦z≦9、及び0.1≦t≦2)を特徴とし;且つ
以下の反射、21、28、33、34、及び/又は46(2Θ)の少なくとも1つを有さないXRDパターンを特徴とする化合物を含む電解質(式中、x、y、z、及びtは、該組成物が電荷中性であるように選択される)。
(構成39)
構成1~38のいずれか一項記載の組成物を含む膜。
(構成40)
0.5μm Rt~30μm Rtの表面粗さを有する(式中、Rtは、標本とされた表面の最大表面粗さピーク高さである)、構成39記載の膜。
(構成41)
0.5μm Ra~30μm Raの表面粗さを有する(式中、Raは、標本とされた表面粗さの平均ピーク高さである)、構成39記載の膜。
(構成42)
1.6μm Ra~2.2μm Raの表面粗さを有する(式中、Raは、標本とされた表面粗さの平均ピーク高さである)、構成39記載の膜。
(構成43)
3.2μm Ra~3.7μm Raの表面粗さを有する、構成39記載の膜。
(構成44)
1μm Rt~28μm Rtの表面粗さを有する、構成39記載の膜。
(構成45)
Li x P y S z I t (式中、5≦x≦12; 1≦y≦3; 5≦z≦9、及び0.1≦t≦2)を特徴とし;且つ
以下の20、25、27、29、又は45(2Θ)での反射の少なくとも1つを有するXRDパターンを特徴とする電解質を製造する方法であって
以下の工程:
硫化リチウム化合物を提供する工程、
硫化リン化合物を提供する工程、
ヨウ化リチウム化合物を提供する工程、
該硫化リチウム化合物と、硫化リン化合物と、ヨウ化リチウム化合物とを混合して、混合物を形成する工程、
該混合物を粉砕して、粉砕された混合物を形成する工程;及び
該混合物を約100~約300℃に加熱する工程
を含む、前記方法。
(構成46)
前記硫化リチウム化合物がLi 2 Sから選択される、構成45記載の方法。
(構成47)
前記硫化リン化合物がP 2 S 5 から選択される、構成45記載の方法。
(構成48)
前記ヨウ化リチウム化合物がLiIから選択される、構成45記載の方法。
(構成49)
前記ヨウ化リチウム化合物が、ナノ結晶性、ナノ寸法、又は非晶質のLiIから選択される、構成45記載の方法。
(構成50)
前記混合物がLi 2 S:P 2 S 5 を1:1~5:1のモル比で含む、構成45~49のいずれか一項記載の方法。
(構成51)
前記混合物がP 2 S 5 :LiIを0.1:1~2:1のモル比で含む、構成45~49のいずれか一項記載の方法。
(構成52)
前記混合物がLi 2 S:P 2 S 5 :LiIを3.2:0.8:1のモル比で含む、構成45~49のいずれか一項記載の方法。
(構成53)
前記粉砕工程が、前記混合物が0.5μm以下のd 50 粒径の粒子を有するまで、該混合物を粉砕することを含む、構成45記載の方法。
(構成54)
前記粉砕工程が、前記混合物が0.25μm以下のd 50 粒径の粒子を有するまで、該混合物を粉砕することを含む、構成45記載の方法。
(構成55)
前記粉砕工程が、結晶性LiIが観察されないXRDパターンを前記混合物が特徴とするまで、該混合物を粉砕することを含む、構成45記載の方法。
(構成56)
前記混合物を、約100~約300℃で、窒素、アルゴン、ヘリウム、キセノンガス、又はこれらの混合物から選択される不活性雰囲気中で加熱することを含む、構成45記載の方法。
(構成57)
前記混合物を加熱することが、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、又は300℃に、2~24時間である、構成56記載の方法。
(構成58)
ポリマーを前記混合物と混合して、第2の混合物を形成することをさらに含む、構成45記載の方法。
(構成59)
前記ポリマーを前記混合物と混合して、第2の混合物を形成する前記工程の前に、該ポリマーを凍結粉砕することをさらに含む、構成58記載の方法。
(構成60)
前記加熱が150~250℃である、構成57記載の方法。
(構成61)
前記加熱が1~16時間である、構成57又は60記載の方法。
(構成62)
構成1~44のいずれか一項記載の電解質を含む電解質膜を含む電気化学装置。
(構成63)
構成1~44のいずれか一項記載の電解質から基本的になる電解質膜を含む電気化学装置。
(構成64)
正極集電体、正極活性材料領域、負極集電体、及び負極活性材料領域を含む、構成63記載の電気化学装置。
(構成65)
第2の電解質膜をさらに含む、構成63~64記載の電気化学装置。
(構成66)
前記第2の電解質膜が、LSTPS、LBS-POX、LTS、SLOPS、LiPON、LiBH 4 -LiX、LiBH 4 -LiNH 2 -LiX、又はLi 3 N(式中、Xは、F、Cl、I、又はBrから選択されるハライドである)から選択された化合物を含む、構成65記載の電気化学装置。
(構成67)
前記第2の電解質膜が、前記正極と、構成1~44のいずれか一項記載の電解質を含むか、又は該電解質から基本的になる前記電解質膜との間に配置される、構成66記載の電気化学装置。
(構成68)
前記第2の電解質膜が、SLOPS、LBS-POX、LTS、リチウム充填ガーネット、リチウムランタンチタン酸化物ペロブスカイト、アンチペロブスカイト、リシコン、チオ-リシコン、Oharaガラス、リチウム伝導性リン酸塩、リチウムアルミニウムゲルマニウムリン酸塩、又はLiPONなどのオキシドガラスから選択される、構成67記載の電気化学装置。
(構成69)
前記リチウムランタンチタン酸化物ペロブスカイトが、Li 3x La 2/3-x TiO 3 (式中、0.01≦x<2/3)から選択される、構成68記載の電気化学装置。
(構成70)
前記アンチペロブスカイトがLiOClである、構成68記載の電気化学装置。
(構成71)
前記リシコンがLiM 2 (PO 4 ) 3 (式中、Mは金属である)である、構成68記載の電気化学装置。
(構成72)
前記チオ-リシコンがLi 4-x M 1-x P x S 4 (式中、Mは、Si、Ge、Sn、又はこれらの組み合わせから選択され;式中、0≦x<4)又はLi 3.25 Ge 0.25 P 0.75 S 4 である、構成68記載の電気化学装置。
(構成73)
前記リチウム伝導性リン酸塩が、Li 1+x Al x Ti 2-x (PO 4 ) 3 (LATP)又はLi 1.5 Al 0.5 Ge 1.5 (PO 4 ) 3 (LAGP)(式中、0≦x<2)である、構成68記載の電気化学装置。
(構成74)
前記負極と、構成1~44のいずれか一項記載の電解質を含むか、又は該電解質から基本的になる前記電解質膜との間に配置されたアノライトをさらに含む、構成63~65記載の電気化学装置。
(構成75)
前記アノライトが、Li 2 S-B 2 S 5 -LiX、LiBH 4 -LiNH 2 -LiX(式中、Xは、F、Cl、Br、又はIである)から選択される、構成74記載の電気化学装置。
(構成76)
前記アノライトが、Li x S y O z N w (LISON)(式中、x、y、z、及びwは0.01~1の範囲である)から選択される、構成74記載の電気化学装置。
(構成77)
前記アノライトが、Li 0.29 S 0.28 O 0.35 N 0.09 から選択されるLISONである、構成74記載の電気化学装置。
(構成78)
前記アノライトが、LiBH 4 、LiPON、Li 3 N、Li 2 S、Li 2 O、LiI、又はこれらの組み合わせから選択される、構成74記載の電気化学装置。
(構成79)
前記アノライトが、Li 2 S-B 2 S 5 -LiX、LiBH 4 -LiNH 2 -LiX、又はLiSON(式中、Xは、F、Cl、Br、又はIである)から選択される、構成74記載の電気化学装置。
(構成80)
10nm~30μmの平均厚さを有する電解質セパレーターを含む、構成62~79のいずれか一項記載の電気化学装置。
(構成81)
10nm~20μmの平均厚さを有するアノライトを含む、構成62~80のいずれか一項記載の電気化学装置。
(構成82)
前記第2の電解質膜が、10nm~20μmの平均厚さを有する、構成65~81のいずれか一項記載の電気化学装置。
(構成83)
前記負極の厚さが10nm~40μmである、構成63~81のいずれか一項記載の電気化学装置。
(構成84)
前記正極の厚さが10nm~1mmである、構成63~83のいずれか一項記載の電気化学装置。
(構成85)
Li金属と接触している場合に化学的に安定である、構成1記載の電解質。
(構成86)
Li金属に対して1V以下まで安定である、構成1記載の電解質。
(構成87)
実質的に図4に示されるようなXRD粉末パターンを特徴とする、構成1~44のいずれか一項記載の電解質。
(構成88)
実質的に図9に示されるようなXRD粉末パターンを特徴とする、構成1~44記載の電解質。
(構成89)
実質的に図8に示されるような示差走査熱量計(DSC)サーモグラムを特徴とする、構成1~44記載の電解質。
(構成90)
実験式(1-x)(60:40 Li 2 S:SiS 2 )・(x)(Li 3 PO 4 )(式中、xは0.01~0.99である)を有するSLOPSである、構成89記載の電解質。
(構成91)
前記モノリスが、構成1~15のいずれか一項記載の電解質の一面に第2の電解質を有し、該第2の電解質が実験式(1-x)(60:40Li 2 S:SiS 2 )・(x)(Li 3 PO 4 )を有し、xが0.01~0.99であるSLOPSである、構成26記載の電解質。
(構成92)
構成1~38のいずれか一項記載の組成物を一面に、SLOPSをもう一面に含む膜。
(構成93)
円板形状並びに上面及び底面を有する二層固体電解質膜であって、該上面が、構成1~15のいずれか一項記載の電解質を含み、該底面が、実験式(1-x)(60:40 Li 2 S:SiS 2 )・(x)(Li 3 PO 4 )(式中、xは0.01~0.99である)を有するSLOPSを含む、前記二層固体電解質膜。
(構成94)
500μm未満の厚さであるか、又は400μm未満の厚さであるか、又は300μm未満の厚さであるか、又は200μm未満の厚さであるか、又は100μm未満の厚さであるか、又は75μm未満の厚さであるか、又は50μm未満の厚さであるか、又は40μm未満の厚さであるか、30μm未満の厚さであるか、又は20μm未満の厚さであるか、10μm未満の厚さであるか、又は5μm未満の厚さである、構成93記載の二層固体膜。
(構成95)
LSTPS、LiPON、又はLi 3 Nをさらに含む、構成94記載の二層固体膜。
(構成96)
前記上面が、Li x P y S z I t (式中、5≦x≦12; 1≦y≦3; 5≦z≦9、及び0.1≦t≦2)を特徴とし;且つ、以下の20、25、27、29、又は45±1°(2Θ)での反射の少なくとも1つを有するX線粉末回折(XRD)パターンを特徴とする電解質を含み;(式中、下付き文字x、y、z、及びtは有理数である);該化合物が電荷中性である、構成93記載の二層固体電解質膜。
(構成97)
構成93又は94記載の二層を含む電解質膜を含む電気化学装置。
(構成98)
構成94又は95記載の二層を含む電解質膜から基本的になる電解質膜を含む電気化学装置。
(構成99)
リチウム金属アノードを含む構成97記載の電気化学装置であって、該リチウム金属が、該電気化学装置が少なくとも部分的に充電されている場合、構成94記載の二層固体電解質膜の前記上面と接触している、構成97記載の電気化学装置。
(構成100)
リチウム金属アノードを含む構成98記載の電気化学装置であって、該リチウム金属が、該電気化学装置が少なくとも部分的に充電されている場合、構成94記載の二層固体電解質膜の前記上面と接触している、構成98記載の電気化学装置。
(構成101)
LSTPSが、リチウム、硫黄、スズ、リン、及び硫黄を含む化合物である、構成66記載の電気化学装置。
(構成102)
SLOPSが、リチウム、硫黄、酸素、リン、及び硫黄を含む化合物である、構成66記載の電気化学装置。
(構成103)
少なくともリチウム、硫黄、及びリンを含む第1のリチウムイオン伝導性セパレーター層;
該第1のリチウムイオン伝導性セパレーター層の上に層状にされた第2のリチウムイオン伝導性セパレーター層;
(ここで、該第2のリチウムイオン伝導性セパレーター層は、SLOPS、リチウム充填ガーネット、リチウムランタンチタン酸化物ペロブスカイト、アンチペロブスカイト、リシコン、チオ-リシコン、リチウム伝導性リン酸塩、リチウムアルミニウムゲルマニウムリン酸塩、又はオキシドガラスからなる群から選択される材料を含む);及び
極性溶媒及びリチウム塩を含むゲル含有カソライト
を含む電気化学装置であって、
該第2のリチウムイオン伝導性セパレーター層が、該第1のリチウムイオン伝導性セパレーター層と該ゲル含有カソライトとの間に配置され、且つそれらと直接接触しており、且つ
該第2のリチウムイオン伝導性セパレーター層が、該ゲル含有層の該極性溶媒に対して不浸透性である、前記電気化学装置。
(構成104)
少なくともリチウム、硫黄、ハロゲン、及びリンを含む第1のリチウムイオン伝導性セパレーター層;
該第1のリチウムイオン伝導性セパレーター層の上に層状にされた第2のリチウムイオン伝導性セパレーター層;
(ここで、該第2のリチウムイオン伝導性セパレーター層は、SLOPS、リチウム充填ガーネット、リチウムランタンチタン酸化物ペロブスカイト、アンチペロブスカイト、リシコン、チオ-リシコン、リチウム伝導性リン酸塩、リチウムアルミニウムゲルマニウムリン酸塩、又はオキシドガラスからなる群から選択される材料を含む);及び
固体スルフィド含有カソライト
を含む電気化学装置であって;
該第2のリチウムイオン伝導性セパレーター層が、該第1のリチウムイオン伝導性セパレーター層と該ゲル含有カソライトとの間に配置され、且つそれらと直接接触しており;且つ
該第1のリチウムイオン伝導性セパレーター層が構成1~44のいずれか一項記載の電解質を含む、前記電気化学装置。
(構成105)
前記カソライトがLXPSを含む、構成104記載の装置。
(構成106)
構成1~44のいずれか一項記載の電解質の一面に、第2の電解質をさらに含む、構成1~44のいずれか一項記載の電解質。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17