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特許7071282硬化性シリコーン組成物およびそのアプリケーションおよび使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】硬化性シリコーン組成物およびそのアプリケーションおよび使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20220511BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
C08L83/07
C08L83/05
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2018554076
(86)(22)【出願日】2017-03-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-25
(86)【国際出願番号】 US2017024897
(87)【国際公開番号】W WO2017180329
(87)【国際公開日】2017-10-19
【審査請求日】2020-03-02
(31)【優先権主張番号】15/098,534
(32)【優先日】2016-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【氏名又は名称】西山 清春
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ドゥッタ,プラナベシュ
(72)【発明者】
【氏名】スワミー,シャシカラ,インダドハラ
(72)【発明者】
【氏名】ケンダール,アモル,ムルリドハラオ
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,マネイヴ
(72)【発明者】
【氏名】ダハーナバラン,アナンサラマン
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-069210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08G 77/00-77/62
H01L 23/28-23/30
C09J 9/00-201/10
C09D 101/00-201/10
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式を有するオルガノポリシロキサン:
【化1】

式中、RはC4~C30の環含有炭化水素基から選択される二価の有機基であり;
は、ビニル、ビニル含有基、不飽和炭化水素、不飽和環状炭化水素、アクリレート、メタクリレート、およびエポキシから独立して選択される硬化性官能基であり;
~R14は、水素、C1~C10の一価の炭化水素基、C6~C20の一価の芳香族基、およびC4~C30の一価の飽和または不飽和のシクロアルキル基から独立して選択され;
xおよびzは独立して1~30であり;
yおよびwは独立して0~30であり;そして
nは1~30であり;
(B)
【化2】

ここでR19は、C1~C20の二価の炭化水素基、C4~C20の分岐の二価の炭化水素基またはC4~C30の環含有の二価の炭化水素基から選択される二価の有機基であり;
20は、水素、アクリレート、メタクリレート、チオ―ルまたはRから選択される官能基であり、ここで少なくとも一つのR20は水素またはチオ―ルであり;
21~R32は、水素、C1~C10の一価の炭化水素基、C6~C20の一価の芳香族基、およびC4~C30の一価のシクロアルキル基から独立して選択され;
aおよびdは独立して1~30であり;
bおよびcは独立して0~30であり;そして
mは1~30であまたは
【化3】

の式で表される化合物から選択される少なくとも1つの-SiH基、少なくとも1つの-SH基、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含むシリコーン含有化合物
(C)光開始剤、熱開始剤、金属含有触媒、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される反応促進剤;
(D)任意重合防止剤;および
(E)任意1つ以上の添加剤、を含む硬化性シリコーン組成物。
【請求項2】
が、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1,1-ジエテニルシクロヘキサン;1,3-ジエテニルシクロヘキサン;ビシクロ[2.2.1]-2,5-ジエテニルヘプタン;1,4-ジ-2-プロペ-1-ニルシクロヘキサン;1,3-ジイソプロペニルベンゼン;スピロ[5.5]-3,8-ジエテニルウンデカン;1,3-ジエテニルアダマンタン;ビニルノルボルネン;3,9-ジビニル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン;ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン、スピロ[3.3]ヘプタン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、ビシクロ[4.4.0]デカン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、アダマンチル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカントリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環から選択されるC4~C30の環含有炭化水素基を含む二価の基から選択される、請求項1に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項3】
が、ビニル官能基を含むC1~C20の炭化水素ラジカル、ビニル官能基を含む一価のC4~C20の分岐の炭化水素ラジカル、またはビニル官能基を含む一価のC4~C30の環状の炭化水素ラジカルから選択される、請求項1または2に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項4】
が式X-R16-であり、式中、Xが、ビニル基(CH=CH-)、不飽和環式基、不飽和多環式基から選択される硬化性官能基であり、そしてR16が、結合または二価の炭化水素である、請求項1~3のいずれかに記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項5】
Xが、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ピネン、ボルネン、ノルピネン、ノルボルネン、スピロ[2.2]ペンテン、スピロ[2.3]ヘキセン、スピロ[2.4]ヘプテン、スピロ[2.5]オクテン、スピ[3.3]ヘプテン、スピロ[3.4]オクテン、スピロ[3.5]ノネン、スピロ[4.4]ノネン、スピロ[4.5]デセン、スピロ[5.5]ウンデセン、ビシクロ[1.1.0]ブテン、ビシクロ[2.1.0]ペンテン、ビシクロ[2.2.0]ヘキセン、ビシクロ[3.1.0]ヘキセン、ビシクロ[3.2.0]ヘプテン、ビシクロ[3.3.0]オクテン、ビシクロ[4.1.0]ヘプテン、ビシクロ[4.2.0]オクテン、ビシクロ[4.3.0]ノネン、ビシクロ[4.4.0]デセン、ビシクロ[1.1.1]ペンテン、ビシクロ[2.1.1]ヘキセン、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン、ビシクロ[2.2.2]オクテン、ビシクロ[3.1.1]ヘプテン、ビシクロ[3.2.1]オクテン、ビシクロ[3.2.2]ノネン、ビシクロ[3.3.1]ノネン、ビシクロ[3.3.2]デセン、ビシクロ[3.3.3]ウンデセン、アダマンテン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデセン環、リモネン、カンフェン、リモネンオキシド、ビニルシクロヘキシルエポキシド、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、2-ビニルアダマンタン、2-メチレンアダマンタン、ジシクロペンタジエン、(-)-ベータ-カミグレン、または4-ビニルシクロヘキシルから選択される、請求項4に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項6】
前記シリコーン含有化合物が、環状シリコーン、直鎖状シリコーン、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される、請求項1~5のいずれかに記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項7】
19が、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基;ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン、スピロ[3.3]ヘプタン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、ビシクロ[4.4.0]デカン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、アダマンチル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカントリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環から選択されるC4~C30の環含有炭化水素基を含む二価の有機基、及び、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエン、1,1-ジエテニルシクロヘキサン、1,3-ジエテニルシクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]-2,5-ジエテニルヘプタン、1,4-ジ-2-プロペ-1-ニルシクロヘキサン、1,3-ジイソプロペニルベンゼン、スピロ[5.5]-3,8-ジエテニルウンデカン、1,3-ジエテニルアダマンタン、ビニルノルボルネン、3,9-ジビニル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンがヒドロシリル化することにより生成する二価の飽和有機基、から選択される、請求項1に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項8】
前記反応促進剤が、金属含有触媒から選択される、請求項1~のいずれかに記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項9】
前記重合防止剤が、エチレン化合物、アセチレン化合物、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1~のいずれかに記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項10】
前記添加剤が、酸化防止剤、熱安定剤、接着促進剤、充填剤、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される、請求項1~のいずれかに記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項11】
前記組成物が1.45~1.51の屈折率を有する、請求項1~10のいずれかに記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項12】
前記組成物が95%以上の透明度を有する、請求項1~11のいずれかに記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項13】
前記組成物が10-1~10g/m日のMVTR、WVTR、Oの透過性を有する、請求項1~12のいずれかに記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項14】
硬化性シリコーン組成物から形成された硬化物品であって、前記硬化性シリコーン組成物が、
(A)下記一般式を有するオルガノポリシロキサン:
【化4】

式中、RはC4~C30の環含有炭化水素基から選択される二価の有機基であり;
は、ビニル、ビニル含有基、不飽和炭化水素、不飽和環状炭化水素、アクリレート、メタクリレート、およびエポキシから独立して選択される硬化性官能基であり;
~R14は、水素、C1~C10の一価の炭化水素基、C6~C20の一価の芳香族基、およびC4~C30の一価の飽和または不飽和のシクロアルキル基から独立して選択され;
xおよびzは独立して1~30であり;
yおよびwは独立して0~30であり;そして
nは1~30であり;
(B)
【化5】

ここでR19は、C1~C20の二価の炭化水素基、C4~C20の分岐の二価の炭化水素基またはC4~C30の環含有の二価の炭化水素基から選択される二価の有機基であり;
20は、水素、アクリレート、メタクリレート、チオ―ルまたはRから選択される官能基であり、ここで少なくとも一つのR20は水素またはチオ―ルであり;
21~R32は、水素、C1~C10の一価の炭化水素基、C6~C20の一価の芳香族基、およびC4~C30の一価のシクロアルキル基から独立して選択され;
aおよびdは独立して1~30であり;
bおよびcは独立して0~30であり;そして
mは1~30であまたは
【化6】

の式で表される化合物から選択される少なくとも1つの-SiH基、少なくとも1つの-SH基、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含むシリコーン含有化合物
(C)光開始剤、熱開始剤および金属含有触媒から選択される反応促進剤;
(D)任意重合防止剤;
(E)任意1つ以上の添加剤、を含む、硬化物品。
【請求項15】
が、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1,1-ジエテニルシクロヘキサン;1,3-ジエテニルシクロヘキサン;ビシクロ[2.2.1]-2,5-ジエテニルヘプタン;1,4-ジ-2-プロペ-1-ニルシクロヘキサン;1,3-ジイソプロペニルベンゼン;スピロ[5.5]-3,8-ジエテニルウンデカン;1,3-ジエテニルアダマンタン;ビニルノルボルネン;3,9-ジビニル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン;ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン、スピロ[3.3]ヘプタン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、ビシクロ[4.4.0]デカン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、アダマンチル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカントリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環から選択されるC4~C30の環含有炭化水素基を含む二価の有機基から選択される、請求項14に記載の硬化物品。
【請求項16】
官能基が、ビニル官能基を含むC1~C20の炭化水素ラジカル、ビニル官能基を含む一価のC4~C20の分岐の炭化水素ラジカル、またはビニル官能基を含む一価のC4~C30の環状炭化水素ラジカルから選択される、請求項14または15に記載の硬化物品。
【請求項17】
基が、式X-R16-であり、式中、Xは硬化性官能基であり、R16が、結合または二価の炭化水素ラジカルであり、実施態様では、R16が、C1~C20のアルキレン基;C1~C10のアルキレン基;さらにはC1~C6アルキレン基でありえ、Xが、ビニル基(CH=CH-)、不飽和環式基、不飽和多環式基から選択されうる、請求項1416のいずれかに記載の硬化物品。
【請求項18】
Xが、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ピネン、ボルネン、ノルピネン、ノルボルネン、スピロ[2.2]ペンテン、スピロ[2.3]ヘキセン、スピロ[2.4]ヘプテン、スピロ[2.5]オクテン、スピロ[3.3]ヘプテン、スピロ[3.4]オクテン、スピロ[3.5]ノネン、スピロ[4.4]ノネン、スピロ[4.5]デセン、スピロ[5.5]ウンデセン、ビシクロ[1.1.0]ブテン、ビシクロ[2.1.0]ペンテン、ビシクロ[2.2.0]ヘキセン、ビシクロ[3.1.0]ヘキセン、ビシクロ[3.2.0]ヘプテン、ビシクロ[3.3.0]オクテン、ビシクロ[4.1.0]ヘプテン、ビシクロ[4.2.0]オクテン、ビシクロ[4.3.0]ノネン、ビシクロ[4.4.0]デセン、ビシクロ[1.1.1]ペンテン、ビシクロ[2.1.1]ヘキセン、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン、ビシクロ[2.2.2]オクテン、ビシクロ[3.1.1]ヘプテン、ビシクロ[3.2.1]オクテン、ビシクロ[3.2.2]ノネン、ビシクロ[3.3.1]ノネン、ビシクロ[3.3.2]デセン、ビシクロ[3.3.3]ウンデセン、アダマンテン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデセン環、リモネン、カンフェン、リモネンオキシド、ビニルシクロヘキシルエポキシド、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、2-ビニルアダマンタン、2-メチレンアダマンタン、ジシクロペンタジエン、(-)-ベータ-カミグレン、4-ビニルシクロヘキシルから選択される、請求項17に記載の硬化物品。
【請求項19】
シリコーン含有化合物が、環状シリコーン、直鎖状シリコーン、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される、請求項14~18のいずれかに記載の硬化物品。
【請求項20】
19が、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基;ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン、スピロ[3.3]ヘプタン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、ビシクロ[4.4.0]デカン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、アダマンチル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカントリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環から選択されるC4~C30の環含有基を含む二価の有機基、及び、1,1-ジエテニルシクロヘキサン、1,3-ジエテニルシクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]-2,5-ジエテニルヘプタン、1,4-ジ-2-プロペ-1-ニルシクロヘキサン、1,3-ジイソプロペニルベンゼン、スピロ[5.5]-3,8-ジエテニルウンデカン、1,3-ジエテニルアダマンタン、3,9-ジビニル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンがヒドロシリル化することにより生成する二価の飽和有機基、から選択される、請求項14に記載の硬化物品。
【請求項21】
前記反応促進剤が金属含有触媒から選択される、請求項1420のいずれかに記載の硬化物品。
【請求項22】
前記重合防止剤が、エチレン化合物またはアセチレン化合物またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1421のいずれかに記載の硬化物品。
【請求項23】
前記添加剤が、酸化防止剤、熱安定剤、接着促進剤、充填剤、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1422のいずれかに記載の硬化物品。
【請求項24】
前記物品が1.45~1.51の屈折率を有する、請求項1423のいずれかに記載の硬化物品。
【請求項25】
前記物品が95%以上の透明度を有する、請求項1424のいずれかに記載の硬化物品。
【請求項26】
前記硬化物品が、10-1~10g/m日のMVTR、WVTR、Oの透過性を有する、請求項1425のいずれかに記載の硬化物品。
【請求項27】
前記物品が、電子部品または半導体デバイスとの組み合わせにおける、LED封止材、光導波路、光学レンズ、光学結合材料、光学接着剤、光学フィルムまたはシート、積層フィルムとシートから選択される、請求項1426のいずれかに記載の硬化物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性シリコーン組成物に関する。特に本発明は、オルガノポリシロキサンを含む硬化性シリコーン組成物に関する。硬化性シリコーン組成物は、高屈折率、良好な透湿性、高い耐熱性、耐クラック性、および光学的透明度のうちの1つまたは複数を示し得る硬化材料を形成するために使用され得る。硬化性組成物は、シーラント、封止材、バリアコーティング層などを含む様々な用途に使用することができ、電子デバイスを含む様々な環境で用途を見出すことができる。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)、有機光起電力ディスプレイ(OPV)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)などの次世代フレキシブルプリント電子ディスプレイの多くは、大気中の水蒸気および酸素に対して極めて敏感であり、それが表示装置の寿命およびその広範な商品化を制限している。
【0003】
現場または湿気に敏感な有機電子デバイスで一般に利用可能な現在の封止技術は、エポキシ接着剤によって基板に固定されたゲッタ材料を有するガラス蓋である。例えば、酸化カルシウムまたは酸化バリウムのようなゲッタ材料は、パッケージに組み込まれて、樹脂硬化プロセスの任意の副産物、またはパッケージに組み込まれたもしくはエポキシシールを経て時間の経過とともに拡散する任意の残留水と反応する。ガラスは、水蒸気透過性および酸素透過が低いため、封止材またはバリア層として広く使用されてきたが、ガラス封入化技術の主な欠点は、得られるデバイスが非柔軟性および剛性になり、フレキシブルデバイスを要求するアプリケーションを満足させることができないことである。
【0004】
可撓性バリアフィルムを開発するためのいくつかの試みがなされている。これらは、交互の無機層と有機層(しばしば10層以上)の多層系を含む。そのようなシステムは、例えば、WO00/36665A1、WO01/81649A1、WO2004/089620A2、WO03/094256A2、およびWO2008/057045A1に記載されている。多層薄膜技術は良好なバリア特性を提供し、電子デバイスへの封止化の目的に役立つが、複雑な性質および薄膜製造の高いコストは、大面積および大規模製造プロセスにおいてそれらを実現可能にしない。従って、早すぎる劣化からディスプレイ装置を保護し、寿命を延ばすことができる改善されたバリア特性を有する基板を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
以下は、いくつかの態様の基本的な理解を提供するための本開示の概要を提示する。この概要は、主要または重要な要素を特定することも、実施形態または特許請求の範囲を限定することも意図していない。さらに、この概要は、本開示の他の部分においてより詳細に説明され得るいくつかの態様の簡略化された概観を提供し得る。
【0006】
様々な態様および実施形態に基づいて、本技術は、オルガノポリシロキサンを含む硬化性シリコーン組成物を提供する。オルガノポリシロキサンは、ポリシロキサンの主鎖中に有機官能基を含む。このようなオルガノポリシロキサンを含む組成物から形成された硬化材料は、比較的高い屈折率、良好な光学的透明度(例えば、低い黄変)、可撓性、耐熱性、耐クラック性および/または湿気透過性を示すことが判明した。
【0007】
様々な態様において、本発明は、薄膜可撓性封止化技術に適した硬化性組成物を提供し、これは全体的な複雑さを低減するだけでなく、大面積ディスプレイ装置を製造するために拡張可能でありかつ加工容易な高品質のバリアフィルムを提供する。
【0008】
本発明は、その態様および実施形態において、低透湿性シロキサン組成物を提供し、それは有機エレクトロルミネッセンス表示装置に使用するのに適した高い屈折率および/または改良されたバリア特性を有する硬化材料を提供することができ、それらの寿命を延ばすことができる。一態様では、本発明は、二環式化合物が末端位置に、ペンダント基として、および/またはシリコーンポリマーの骨格中に存在し得る、二環式修飾シリコーン含有化合物の硬化性組成物を提供する。二環式修飾シリコーン含有化合物を製造する方法、および組成物から硬化材料を製造する方法が開示される。
【0009】
一態様では、本発明は、
(A)下記式を有するオルガノポリシロキサン:
【化1】

ここでRは、C1~C20の二価の炭化水素、C4~C20の分岐の二価の炭化水素またはC4~C30環含有炭化水素基から選択される二価の有機基であり;
は、ビニル、ビニル含有基、不飽和炭化水素、不飽和環状炭化水素、アクリレート、メタクリレート、ヒドロキシ、アルコキシおよびエポキシから独立して選択される硬化性官能基であり;
~R14は、水素、C1~C10の一価の炭化水素基、C6~C20の一価の芳香族基、およびC4~C30の一価の飽和または不飽和のシクロアルキル基から独立して選択され、
xおよびzは独立して1~30であり;
yおよびwは独立して0~30であり;そして
nは1~30であり;
(B)少なくとも1つの-SiH基、少なくとも1つの-SH基、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む化合物から選択される架橋剤;
(C)光開始剤、熱開始剤、金属含有触媒、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される反応促進剤;
(D)任意の防止剤;および
(E)任意の1つ以上の添加剤、を含む硬化性シリコーン組成物を提供する。
【0010】
硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、Rは、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1,1-ジエテニルシクロヘキサン;1,3-ジエテニルシクロヘキサン;ビシクロ[2.2.1]-2,5-ジエテニルヘプタン(ビシクロ[2.2.1]-2,5-ジエンテニルヘプタン);1,4-ジ-2-プロペ-1-ニルシクロヘキサン;1,3-ジイソプロペニルベンゼン;スピロ[5.5]-3,8-ジエテニルウンデカン;1,3-ジエテニルアマダンタン;ビニルノルボルネン;3,9-ジビニル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン;ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルネン、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン、スピロ[3.3]ヘプタン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、ビシクロ[4.4.0]デカン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、アダマンチル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカントリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環から選択されるC4~C30の環状炭化水素基を含む二価の基から選択される。
【0011】
先の実施形態のいずれかの硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、Rは、ビニル官能基を含むC1~C20の炭化水素ラジカル、ビニル官能基を含む一価のC4~C20の分岐の炭化水素ラジカル、またはビニル官能基を含む一価のC4~C30の環状炭化水素ラジカルから選択される。
【0012】
先の実施形態のいずれかの硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、Rは式X-R16-であり、ここでXは、ビニル基(CH=CH-)、不飽和環式基、不飽和多環式基から選択される硬化性官能基であり、R16は結合または一価の炭化水素である。一実施形態では、Xは、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ピネン、ボルネン、ノルピネン、ノルボルネン、スピロ[2.2]ペンテン、スピロ[2.3]ヘキセン、スピロ[2.4]ヘプテン、スピロ[2.5]オクテン、スピロ[3.3]ヘプテン、スピロ[3.4]オクテン、スピロ[3.5]ノネン、スピロ[4.4]ノネン、スピロ[4.5]デセン、スピロ[5.5]ウンデセン、ビシクロ[1.1.0]ブテン、ビシクロ[2.1.0]ペンテン、ビシクロ[2.2.0]ヘキセン、ビシクロ[3.1.0]ヘキセン、ビシクロ[3.2.0]ヘプテン、ビシクロ[3.3.0]オクテン、ビシクロ[4.1.0]ヘプテン、ビシクロ[4.2.0]オクテン、ビシクロ[4.3.0]ノネン、ビシクロ[4.4.0]デセン、ビシクロ[1.1.1]ペンテン、ビシクロ[2.1.1]ヘキセン、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン、ビシクロ[2.2.2]オクテン、ビシクロ[3.1.1]ヘプテン、ビシクロ[3.2.1]オクテン、ビシクロ[3.2.2]ノネン、ビシクロ[3.3.1]ノネン、ビシクロ[3.3.2]デセン、ビシクロ[3.3.3]ウンデセン、アダマンテン(adamantene)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデセン環、リモネン、カンフェン、リモネンオキシド、ビニルシクロヘキシルエポキシド、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、2-ビニルアダマンタン、2-メチレンアダマンタン、ジシクロペンタジエン、または(-)-ベータ-カミグレン、4-ビニルシクロヘキシルから選択される。
【0013】
先の実施形態のいずれかの硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、架橋剤(B)は、少なくとも1つの-SiH基、少なくとも1つの-SH基、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含むシリコーン含有化合物から選択される。一実施形態では、シリコーン含有化合物は、環状シリコーン、直鎖状シリコーン、分岐状シリコーン、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される。
【0014】
先の実施形態のいずれかの硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、架橋剤(B)は下記式であり、
【化2】

ここでR19はC1~C20の二価炭化水素基、C4~C20の二価の炭化水素基またはC4~C30の環含有の二価の炭化水素基から選ばれる二価の有機基であり、
20は、水素、アクリレート、メタクリレート、チオールまたはRから選択される官能基であり;
21~R32は、水素、C1~C10の一価の炭化水素基、C6~C20の一価の芳香族基、およびC4~C30の一価のシクロアルキル基から独立して選択され;
aおよびdは独立して1~30であり;
bおよびcは独立して0~30であり;そして
mは1~30である。
【0015】
一実施形態では、R19は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエン;1,1-ジエテニルシクロヘキサン;1,3-ジエテニルシクロヘキサン;ビシクロ[2.2.1]-2,5-ジエテニルヘプタン;1,4-ジ-2-プロペ-1-ニルシクロヘキサン;1,3-ジイソプロペニルベンゼン;スピロ[5.5]-3,8-ジエテニルウンデカン;1,3-ジエテニルアダマンタン;ビニルノルボルネン;3,9-ジビニル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン;ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン、スピロ[3.3]ヘプタン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、ビシクロ[4.4.0]デカン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、アダマンチル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカントリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環から選択されるC4~C30の環含有炭化水素基を含む二価の有機基から選択される。
【0016】
先の実施形態のいずれかの硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、反応促進剤は、金属含有触媒から選択される。
【0017】
先の実施形態のいずれかの硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、防止剤は、エチレン化合物、アセチレン化合物、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0018】
任意の前述の実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、添加剤は、酸化防止剤、熱安定剤、接着促進剤、充填剤、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される。
【0019】
先の実施形態のいずれかの硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、組成物は、1.45~1.51の屈折率を有する。
【0020】
先の実施形態のいずれかの硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、組成物は95%以上の透明度を有する。
【0021】
先の実施形態のいずれかの硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、組成物は、10-1~10g/m日のMVTR、WVTR、Oの透過性を有する。
【0022】
一態様では、本発明は、任意の前述の実施形態の硬化性組成物から形成された硬化物品を提供する。
【0023】
一態様では、本発明は、硬化性シリコーン組成物から形成された硬化物品を提供し、前記硬化性シリコーン組成物は、
(A)下記式を有するオルガノポリシロキサン:
【化3】

ここでRはC1~C20の二価の炭化水素、C4~C20の分岐の二価の炭化水素またはC4~C30の環含有炭化水素基から選択される二価の有機基であり;
は、ビニル、ビニル含有基、不飽和炭化水素、不飽和環状炭化水素、アクリレート、メタクリレート、ヒドロキシ、アルコキシおよびエポキシから独立して選択される硬化性官能基であり;
~R14は、水素、C1~C10の一価の炭化水素基、C6~C20の一価の芳香族基、およびC4~C30の一価の飽和または不飽和のシクロアルキル基から独立して選択され;
xおよびzは独立して1~30であり;
yおよびwは独立して0~30であり;そして
nは1~30であり;
(B)少なくとも1つの-SiH基、少なくとも1つの-SH基、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む化合物から選択される架橋剤;
(C)光開始剤、熱開始剤、金属含有触媒、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される反応促進剤;
(D)任意の防止剤;および
(E)任意の1以上の添加剤を含む。
【0024】
一実施形態では、Rは、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1,1-ジエニルシクロヘキサン;1,3-ジエテニルシクロヘキサン;ビシクロ[2.2.1]-2,5-ジエテニルヘプタン;1,4-ジ-2-プロペ-1-ニルシクロヘキサン;1,3-ジイソプロペニルベンゼン;スピロ[5.5]-3,8-ジエテニルウンデカン;1,3-ジエテニルアダマンタン;ビニルノルボルネン;3,9-ジビニル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン;ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン、スピロ[3.3]ヘプタン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、ビシクロ[4.4.0]デカン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、アダマンチル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカントリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環から選択されるC4~C30の環含有炭化水素基を含む二価の有機基から選択される。
【0025】
先の実施形態のいずれかの硬化物品の一実施形態では、R官能基は、ビニル官能基を含むC1~C20の炭化水素ラジカル、ビニル官能基を含む一価のC4~C20の分岐の炭化水素ラジカル、またはビニル官能基を含む一価のC4~C30の環状炭化水素ラジカルから選択される。
【0026】
先の実施形態のいずれかの硬化物品の一実施形態では、R基は、式X-R16であり、ここでXは硬化性官能基であり、R16は結合または一価炭化水素ラジカルである。実施形態において、R16は、C1~C20アルキレン基、C1~C10のアルキレン基;さらにはC1~C6アルキレン基でありえ、そしてXは、ビニル基(CH=CH-)、不飽和環式基、不飽和多環式基から選択され得る。
【0027】
一実施形態では、Xは、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ピネン、ボルネン、ノルピネン、ノルボルネン、スピロ[2.2]ペンテン、スピロ[2.3]ヘキセン、スピロ[2.4]ヘプテン、スピロ[2.5]オクテン、スピロ[3.3]ヘプテン、スピロ[3.4]オクテン、スピロ[3.5]ノネン、スピロ[4.4]ノネン、スピロ[4.5]デセン、スピロ[5.5]ウンデセン、ビシクロ[1.1.0]ブテン、ビシクロ[2.1.0]ペンテン、ビシクロ[2.2.0]ヘキセン、ビシクロ[3.1.0]ヘキセン、ビシクロ[3.2.0]ヘプテン、ビシクロ[3.3.0]オクテン、ビシクロ[4.1.0]ヘプテン、ビシクロ[4.2.0]オクテン、ビシクロ[4.3.0]ノネン、ビシクロ[4.4.0]デセン、ビシクロ[1.1.1]ペンテン、ビシクロ[2.1.1]ヘキセン、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン、ビシクロ[2.2.2]オクテン、ビシクロ[3.1.1]ヘプテン、ビシクロ[3.2.1]オクテン、ビシクロ[3.2.2]ノネン、ビシクロ[3.3.1]ノネン、ビシクロ[3.3.2]デセン、ビシクロ[3.3.3]ウンデセン、アダマンテン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデセン環、リモネン、カンフェン、リモネンオキシド、ビニルシクロヘキシルエポキシド、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、2-ビニルアダマンタン、2-メチレンアダマンタン、ジシクロペンタジエン、(-)-ベータ-カミグレン、4-ビニルシクロヘキシルから選択される。
【0028】
先の実施形態のいずれかの硬化物品の一実施形態において、架橋剤(B)は、少なくとも1つの-SiH基、少なくとも1つの-SH基、またはこれらの2以上の組み合わせを含むシリコーン含有化合物から選択される。
【0029】
一実施形態では、シリコーン含有化合物は、環状シリコーン、直鎖状シリコーン、分岐状シリコーン、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される。
【0030】
一実施形態では、直鎖状シリコーン架橋剤は、下記一般式であり:
【化4】

ここでR19はC1~C20の二価の炭化水素、C4~C20の二価の炭化水素またはC4~C30の環含有の二価の炭化水素基から選ばれる二価の有機基であり;
20は、水素、アクリレート、メタクリレート、チオールまたはRから選択される官能基であり;
21~R32は、水素、C1~C10の一価の炭化水素基、C6~C20の一価の芳香族基、およびC4~C30の一価のシクロアルキル基から独立して選択され;
aおよびdは独立して1~30であり;
bおよびcは独立して0~30であり;そして
mは1~30である。
【0031】
一実施形態では、R19は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1,1-ジエニルシクロヘキサン;1,3-ジエテニルシクロヘキサン;ビシクロ[2.2.1]-2,5-ジエテニルヘプタン;1,4-ジ-2-プロペ-1-ニルシクロヘキサン;1,3-ジイソプロペニルベンゼン;スピロ[5.5]-3,8-ジエテニルウンデカン;1,3-ジエテニルアダマンタン;3,9-ジビニル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン;ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン、スピロ[3.3]ヘプタン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、ビシクロ[4.4.0]デカン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、アダマンチル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環から選択される、C4~C30の環含有基を含む二価の有機基から選択される。
【0032】
先の実施形態のいずれかの硬化物品の一実施形態では、反応促進剤は金属含有触媒から選択される。
【0033】
先の実施形態のいずれかの硬化物品の一実施形態では、防止剤は、エチレン化合物またはアセチレン化合物またはそれらの組み合わせから選択される。
【0034】
先の実施形態のいずれかの硬化物品の一実施形態では、添加剤は、酸化防止剤、熱安定剤、接着促進剤、充填剤、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0035】
先の実施形態のいずれかの硬化物品の一実施形態では、物品は、1.45~1.51の屈折率を有する。
【0036】
先の実施形態のいずれかの硬化物品の一実施形態では、物品は95%以上の透明度を有する。
【0037】
先の実施形態のいずれかの硬化物品の一実施形態では、物品は10-1~10g/m日のMVTR、WVTR、Oの透過性を有する。
【0038】
先の実施形態のいずれかの硬化物品の一実施形態では、物品は、電子部品または半導体デバイスとの組み合わせにおける、LED封止材、光導波路、光学レンズ、光学結合材料、光学接着剤、光学フィルムまたはシート、積層フィルムとシートから選択される。
【0039】
さらに別の態様において、本発明は、先の実施形態のいずれかの硬化性シリコーン組成物を含むパーソナルケア組成物を提供する。一実施形態では、パーソナルケア組成物は、化粧品配合物、日焼け止め剤、シャンプー、コンディショナー、ローションまたはクリームから選択される。
【発明を実施するための形態】
【0040】
ここで、例示的な実施形態を参照し、その例を添付図面に示す。他の実施形態を利用することができ、構造的および機能的変更を行うことができることを理解されたい。さらに、様々な実施形態の特徴を組み合わせたり変更したりすることができる。このように、以下の説明は、説明のためだけに提示され、例示された実施形態になされ得る様々な代替および変更を決して限定するものではない。本開示では、多数の特定の詳細が主題の開示の完全な理解を提供する。本開示の態様は、必ずしも本明細書に記載された全ての態様を含むとは限らない他の実施形態で実施されてもよいことを理解されたい。
【0041】
本明細書で使用される場合、「例」および「例示的」という用語は、事例または説明を意味する。「例」または「例示的」という単語は、主要または好ましい態様または実施形態を示すものではない。文脈上他に示唆されない限り、「または」という語は排他的ではなく包括的であることを意図している。例として、語句「AはBまたはCを使用する」は、包含的置換(例えば、AはBを使用する、AはCを使用する、またはAはBおよびCの両方を使用する)を含む。別の事柄として、冠詞「a」および「an」は、文脈がそうでないことを示唆しない限り、一般に「1つまたは複数」を意味することを意図する。
【0042】
本技術は、(a)硬化性官能基を含むオルガノポリシロキサン;(b)シリルヒドリド基またはチオール基を含む架橋剤;(c)反応促進剤;(d)任意の防止剤;(e)任意の他の添加剤を含む硬化性組成物を提供する。
【0043】
オルガノポリシロキサン(a)は、主鎖の一部のケイ素原子間に有機官能基を有するシロキサンポリマーを含む。オルガノポリシロキサン(a)は、式(I)の化合物を含み、
【化5】

ここでRは、C1~C20の炭化水素、C4~C20の分岐の炭化水素、またはC4~C30の環含有炭化水素基から選択される二価の有機基であり;
は、ビニル、ビニル含有基、不飽和炭化水素、不飽和環状炭化水素、アクリレート、メタクリレート、ヒドロキシ、アルコキシおよびエポキシから独立して選択される硬化性官能基であり;
~R14は、水素、C1~C10の一価の炭化水素基、C6~C20の一価の芳香族基、およびC4~C30の一価の飽和または不飽和のシクロアルキル基から独立して選択され;
xおよびzは独立して1~30であり;
yおよびwは独立して0~30であり;そして
nは1~30である。
【0044】
は、二価のC1~C20の炭化水素基または二価のC4~C20分岐の二価の炭化水素基から選択することができる。二価の炭化水素基は、アルカンから2つの水素原子(同じ炭素から2つの水素原子または2つの異なる炭素原子から1つの水素原子のいずれか)を除去することによって形成される基である。適切な二価の炭化水素基の例としては、限定されるものではないが、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、イソプロピレン、イソブチレンなどが挙げられる。実施形態において、Rは、C1~C6の直鎖状または分岐状のアルキレンから選択される。
【0045】
はまた、二価の環状炭化水素基から選択されてもよい。本明細書で使用される「環状」または「環含有」炭化水素基は、環含有アルカンから2個の水素原子を除去することによって誘導される基を指し、ここで(i)両方の水素原子が同じ環炭素から除去されていてもよく、(ii)1個の水素原子が1つの環炭素から除去され、他の水素原子が別の環炭素から除去され、(iii)1個の水素が環炭素から除去され、そして鎖に結合した炭化水素基から1個の水素が除去され、(iv)環状基に結合した炭化水素基の同じ炭素から両方の水素原子が除去され、または(v)環式基に結合した第1の炭化水素基から1個の水素が除去され、環状基に結合した第2の炭化水素基から1個の水素が除去される。
【0046】
環含有炭化水素における環状基は、単環式炭化水素基であってもよく、多環式炭化水素基であってもよい。好適な単環式炭化水素基の例には、限定されるものではないが、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの3~12個の炭素原子を有するシクロアルキル基、またはシクロヘキセニル基などの3~12個の炭素原子を有するシクロアルケニル基を含む。実施形態において、単環式炭化水素基は、3~7個の炭素原子を有する単環式炭化水素基である。シクロペンチル基およびシクロヘキシル基が特に適している。
【0047】
多環式炭化水素基には、環構成炭化水素基および架橋環炭化水素基が含まれる。環構成炭化水素基の例としては、ビシクロヘキシル基、ペルヒドロナフタレン基等が挙げられる。架橋環式炭化水素環の例には、限定されるものではないが、二環式炭化水素環、三環式炭化水素環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、およびペルヒドロ-1,4-メタノ-5,8-メタノナフタレン環などの四環式炭化水素環が含まれる。また、架橋環式炭化水素環としては、例えば、ペルヒドロナフタレン(デカリン)、ペルヒドロアントラセン、ペルヒドロフェナントレン、ペルヒドロアセナフテン、ペルヒドロフルオレン、ペルヒドロインデン、およびペルヒドロフェナレン環等の複数の5~8員のシクロアルカン環が縮合した縮合環が挙げられる。
【0048】
基の一部であってもR基を提供してもよい4~30の好適な多環式炭化水素基の例には、これらに限定されないが、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン、スピロ[3.3]ヘプタン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、ビシクロ[4.4.0]デカン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、アダマンチル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環を含む。
【0049】
実施形態において、環含有R基は、式:R15-A-R15で表すことができ、ここでR15は結合またはC1~C10の一価の炭化水素ラジカルであり、Aは環式または多環式の炭化水素基である。環式または多環式基Aは、上述したような環式または多環式基であってもよい。R15基は、環上の同じ環炭素原子または異なる炭素原子に結合していてもよいことは理解されよう。
【0050】
に適した基の例には、これらに限定されるものではないが、以下が挙げられる。
【化6】
【0051】
の二価の有機基または「アルキレン」型の基は、水素の除去に関して記載されているが、Rのためのアルキレン型基は、所望のR基を含むジエン(共役または非共役)化合物と適切なシロキサンとの触媒(例えば、Karstedt触媒)の存在下で反応させることによって誘導され、そしてシロキサン主鎖に組み込まれ得ることはシリコーン含有材料を形成する当業者には理解されるであろう。
【0052】
は、ビニル、アクリレート、メタクリレート、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシまたはエポキシから選択される硬化性官能基を含む基である。Rは、硬化性官能基を含む一価のC1~C20炭化水素ラジカル、硬化性官能基を含む一価のC4~C20の分岐の炭化水素ラジカル、または硬化性官能基を含む一価のC4~C30の環状炭化水素ラジカルから選択され得る。R基は、実施形態において、式:X-R16-で表すことができ、ここでXは硬化性官能基であり、R16は結合または一価の炭化水素ラジカルである。実施形態において、R16は、C1~C20アルキレン基;C1~C10のアルキレン基;さらにはC1~C6のアルキレン基であり得る。Xは、ビニル基(CH=CH-)、不飽和環式基、不飽和多環式基などから選択することができる。実施形態において、Xは、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ピネン、ボルネン、ノルピネン、ノルボルネン、スピロ[2.2]ペンテン、スピロ[2.3]ヘキセン、スピロ[2.4]ヘプテン、スピロ[2.5]オクテン、スピロ[3.3]ヘプテン、スピロ[3.4]オクテン、スピロ[3.5]ノネン、スピロ[4.4]ノネン、スピロ[4.5]デセン、スピロ[5.5]ウンデセン、ビシクロ[1.1.0]ブテン、ビシクロ[2.1.0]ペンテン、ビシクロ[2.2.0]ヘキセン、ビシクロ[3.1.0]ヘキセン、ビシクロ[3.2.0]ヘプテン、ビシクロ[3.3.0]オクテン、ビシクロ[4.1.0]ヘプテン、ビシクロ[4.2.0]オクテン、ビシクロ[4.3.0]ノネン、ビシクロ[4.4.0]デセン、ビシクロ[1.1.1]ペンテン、ビシクロ[2.1.1]ヘキセン、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン、ビシクロ[2.2.2]オクテン、ビシクロ[3.1.1]ヘプテン、ビシクロ[3.2.1]オクテン、ビシクロ[3.2.2]ノネン、ビシクロ[3.3.1]ノネン、ビシクロ[3.3.2]デセン、ビシクロ[3.3.3]ウンデセン、アダマンテン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデセン環、リモネン、カンフェン、リモネンオキシド、ビニルシクロヘキシルエポキシド、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、2-ビニルアダマンタン、2-メチレンアダマンタン、ジシクロペンタジエン、(-)-ベータ-カミグレン、4-ビニルシクロヘキシルなどから選択される。
【0053】
適切なRまたはX基の例には、これらに限定されるものではないが、以下が挙げられる。
【化7】
【0054】
実施形態では、ポリマーは、ケイ素原子の1つに結合した芳香族基、例えばR~R14を含む。実施形態において、ポリマー中のRおよびR11基は、芳香族基を含む。実施形態において、芳香族基はフェニル基である。いかなる特定の理論にも拘束されないが、アリール基の存在は、ケイ素原子の移動度を制限するために望ましいことがありえる。
【0055】
実施形態において、オルガノポリシロキサン(a)は、多環式基および芳香族基を含む。多環式基は、シロキサン鎖(例えば、R)および末端位置(すなわちR)に存在し得る。実施形態において、ポリマー中のRおよびR11基は、芳香族基を含む。一実施形態では、オルガノポリシロキサン(a)は、下記式の化合物である。
【化8】
【0056】
架橋剤(b)は、オルガノポリシロキサン(a)の硬化性官能基と反応する官能基を含む。実施形態において、架橋剤(b)は、Si-H基、S-H基、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む。実施形態において、架橋剤は、Si-HまたはS-H基を含む、直鎖状シリコーン、分岐状シリコーン、または環状シリコーン材料から選択される。異なる架橋剤化合物の組み合わせを所望に応じて使用することができることは理解されよう。
【0057】
実施形態において、架橋剤(b)は、シリルヒドリドから選択される。シリルヒドリドとしては、特に限定されない。実施態様において、シリルヒドリドは、式R17 SiH4-g、(R17O)SiH4-3、HSiR17 (OR173-g、R17 Si(CH(SiR17 O)SiR17 H、(R17O)Si(CH(SiR17 O)SiR17 H、Q 、R17 Si(CHSiOSiR17 (OSiR17 OSiR17 H,の化合物またはそれらの2以上の組合せから選択されることができる。R17の各存在は、独立して、C1~C18アルキル、C1~C18置換アルキルであり、ここでR17は任意にて少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、gの各存在は独立して0~3の値を有し、fは1~8の値を有し、kは0~3000の値を有し、p、u、v、rおよびeのそれぞれは、独立して0~20の値を有し、tおよびsは0~3000であってp+s+rは1~1000に等しくてシリルヒドリド中の全元素の原子価が満たされるという条件を満たす。本明細書においてMは式R18 SiO1/2の単官能性基を表し、Dは式R18 SiO2/2の二官能性基を表し、Tは式R18SiO3/2の三官能性基を表し、Qは式SiO4/2,の四官能性基を表し、MはHR18 SiO1/2を表し、TはHSiO3/2を表し、DはR18HSiO2/2を表し、R18の各存在は、独立してC1~C18アルキル、C1~C18置換アルキルであり、ここでR18は任意にて少なくとも1つのヘテロ原子を含み;hは1~8、そしてjは0~10である。
【0058】
シリルヒドリドのいくつかの非限定的な例には、メチルハイドロジェンシロキシジメチルシロキサンコポリマー、Gelest製のものを含み、例えば、HMS 501 HPM-502、HMS-992、HMS-064、ポリヒドロシルセスキオキサン、およびジメチルシロキサンまたはフェニル含有シロキサンの他のヒドリド含有コポリマーまたはホモポリマーが挙げられる。他の好適なシリルヒドリドには、商用版に通常含有されている熱ヒドロシル化触媒を含まないSYLGARD 184として存在するもの(Dow Coming, Midland, Mich から入手可能な2部型シリコーン)が挙げられる。
【化9】
【0059】
以下の構造は、フェニル官能性を有する(HDP-111-ヒドリド末端ポリフェニル(ジメチルヒドロシロキシ)シロキサン、Gelest Inc., Tullytown, Pa.から入手可能)オルガノハイドロジェンポリシロキサンの一例を示す。
【化10】
【0060】
シリルヒドリド剤の他の例としては、HQ型樹脂またはヒドリド修飾シリカQ樹脂とも称されるQ樹脂が挙げられる。これらの化合物の例としては、限定されるものではないが、900g/モルの分子量および9.5当量/kgの活性を特徴とするヒドリド修飾シリカQ樹脂である商品名MQH-9(商標)(ClariantLSM, Inc.);および500g/モルの分子量および8~9当量/kgの活性を特徴とするヒドリド修飾シリカQ樹脂であるHQM 105(商標)(Gelest,Inc);および900g/モルの分子量および8~9当量/kgの活性を特徴とするヒドリド修飾シリカQ樹脂であるHQM107(商標)(Gelest, Inc)の市販のものが挙げられる。
【0061】
適切なメルカプト官能性シロキサンの例としては、限定されるものではないが、製品、例えばShin-Etsu ChemicalCo., Ltd.製のKF-2001およびKF-2004;Gelest Inc.製のSMS-022、SMS-042およびSMS-992;United Chemical Corp.製のPS848、PS849、PS849.5、PS850、PS850.5およびPS927;MomentivePerformance Materials Inc.製のB 7610が挙げられる。
【0062】
架橋剤(b)は、下記式の化合物から選択することもでき、
【化11】

ここでR19は、C1~C20の二価の炭化水素基、C4~C20の分岐の二価の炭化水素基またはC4~C30の環含有の二価の炭化水素基から選択される二価の有機基であり;
20は、水素、アクリレート、メタクリレート、チオールまたはRから選択される官能基であり;
21~R32は、水素、C1~C10の一価の炭化水素基、C6~C20の一価の芳香族基、およびC4~C30の一価のシクロアルキル基から独立して選択され;
aおよびdは独立して1~30であり;
bおよびcは独立して0~30であり;そして
mは1~30である。
【0063】
19は、上記のR基として適切な任意の基から選択することができ、そしてR21~R32は、上記のR~R14として適切な任意の基から選択することができる。簡潔にするために、これらの群の詳細は繰り返されないこととする。
【0064】
組成物は、オルガノポリシロキサン(a)および架橋剤(b)の硬化を行うための反応促進剤(c)を含む。反応促進剤(c)は、例えば、光開始剤、熱開始剤、金属触媒、またはそれらの2つ以上の組み合わせであり得る。
【0065】
実施形態において、反応促進剤は触媒、例えばヒドロシリル化触媒を含む。有用な触媒には、反応性SiH含有部分または置換基と、炭素-炭素二重結合のような炭素-炭素結合との間のヒドロシリル化反応を触媒することができる化合物または分子が含まれる。また、1つ以上の実施形態において、これらの触媒は、反応媒体に可溶性であってもよい。触媒の種類には、第VIII族金属を含む化合物を含む遷移金属化合物が含まれる。例示的な第VIII族金属としては、パラジウム、ロジウム、ゲルマニウムおよび白金が挙げられる。例示的な触媒化合物としては、塩化白金酸、元素白金、塩化白金酸六水和物、塩化白金酸とsym-ジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体、ジクロロ-ビス(トリフェニルホスフィン)白金(II)、シス-ジクロロ-ビス(アセトニトリル)白金(II)、ジカルボニルジクロロ白金(II)、塩化白金、および酸化白金、ゼロ価の白金金属錯体、例えばKarstedt触媒、[Cp*Ru(MeCN)3]PF6、[PtCl2(シクロオクタジエン)]、キャリア(例えばアルミナ、シリカまたはカーボンブラック)上に担持された固体白金、白金-ビニルシロキサン錯体(例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)nおよびPt[(MeViSiO)4]m)、白金-ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh3)4およびPt(PBU3)4)、および白金-ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(Oph)3]4およびPt[P(Obu)3]4)が挙げられ、ここでMeはメチルを表し、Buはブチルを表し、「Vi」はビニルを表し、Phはフェニルを表し、そしてnおよびmは整数を表す。その他としては、RhCl(PPh、RhCl、Rh/Al、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl.2HO、NiCl、TiClなどが挙げられる。
【0066】
実施形態では、シロキサンの硬化を促進するための反応促進剤として光開始剤を使用することができる。光開始剤は、特定の目的または意図される用途のために所望されるように選択することができる。適切な光開始剤の例には、限定されるものではないが、ベンゾフェノン、ホスフィンオキシド、ニトロソ化合物、アクリルハライド、ヒドラゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、トリアクリルイミダゾール、ベンズイミダゾール、クロロアルキルトリアジン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、チオキサントン、カンファーキノン、アシルホスフィン、およびアセトフェノン誘導体が挙げられる。
【0067】
一実施形態では、光開始剤は、アシルホスフィンから選択される。アシルホスフィンは、モノ-またはビス-アシルホスフィンであり得る。好適なアシルホスフィンオキシドの例には、米国特許第6,803,392号に記載されているものが含まれ、これは参照により本明細書に組み込まれる。適切なアシルホスフィン光開始剤の具体例には、限定されるものではないが、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(DAROCUR(登録商標)TPO)、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(ESACURE(登録商標)TPO、LAMBERTIChemical Specialties、Gallarate、Italy)、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(FIRSTCURE(登録商標)HMPP、AlbemarleCorporation、Baton Rouge、LAから入手可能)、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(LUCIRIN(登録商標)TPO、BASF(Ludwigshafen、Germany)から入手可能)、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィネート(LUCIRIN(登録商標)TPO-L)、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(IRGACURE(登録商標)819、CibaSpecialty Chemicals、Tarrytown、N.Y.から入手可能)、およびビス(2,6-ジ-メトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(Ciba Spezialitaetenchemie製のα-ヒドロキシケトンと混合したIRGACURE(登録商標)1700、IRGACURE(登録商標)1800およびIRGACURE(登録商標)1850として)が挙げられる。
【0068】
α-ヒドロキシケトン光開始剤の例には、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE(登録商標)184)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン(DAROCUR(登録商標)1173)、および2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン(IRGACURE(登録商標)2959)を挙げることができ、これらはすべてCiba SpecialtyChemicals (Tarrytown, N.Y.).から入手可能である。
【0069】
α-アミノケトン光開始剤の例には、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(IRGACURE(登録商標)369)、および2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン(IRGACURE(登録商標)907)を挙げることができ、両方ともCiba SpecialtyChemicals (Tarrytown, N.Y.).から入手可能である。
【0070】
硬化性組成物は、任意にて、重合防止剤(d)を含んでいてもよい。重合防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。白金族金属触媒の成分(d)の防止剤は、有機ケイ素技術において周知である。適切な防止剤の例としては、限定されるものではないが、エチレン性不飽和アミド、芳香族不飽和アミド、アセチレン化合物、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィン系シロキサン、不飽和炭化水素ジエステル、不飽和酸の不飽和炭化水素モノエステル、共役または分離されたエン-イン物、ヒドロペルオキシド、ケトン、スルホキシド、アミン、ホスフィン、ホスファイト、亜硝酸塩、ジアジリジンなどが挙げられる。組成物に特に適した防止剤は、アルキニルアルコールおよびマレエートである。好適な重合防止剤の例としては、ジアリルマレエート、ヒドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、フェノチアジンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
組成物中に使用される成分(d)の量はさほど厳密ではなく、室温で上記白金触媒ヒドロシリル化反応を遅延させるどんな量であってもよいが、一方で中程度に高められた温度、すなわち室温より25~125℃高い温度での反応を妨げない。使用される特定の防止剤の所望の量が、白金金属含有触媒の濃度および種類、成分aおよび成分bの性質および量によることになるので、室温で特定の浴寿命を得るための具体的な量の防止剤を示唆することはできない。成分(d)の範囲は、約0重量%~約10重量%、約0.001重量%~2重量%、さらには約0.12重量%~約1重量%であってもよい。ここでは、明細書および特許請求の範囲の他の部分と同様に、数値を組み合わせて新しい代替範囲を形成することができる。一実施形態では、組成物は、いかなる防止剤成分(d)も含まないことができる。
【0072】
硬化性組成物はまた、他の添加剤(e)を含んでもよい。他の添加剤としては、これらに限定されないが、接着促進剤、酸化防止剤、充填剤、顔料、染料、充填剤処理剤、可塑剤、スペーサー、増量剤、殺生物剤、安定剤、難燃剤、表面改質剤、エージング防止添加剤、レオロジー添加剤、腐食防止剤、界面活性剤またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0073】
無機基材に対する種々の有機官能性シランおよびシロキサン接着促進剤は、組成物において有用である。適切なシランとしては、限定されるものではないが、アミノシラン、エポキシシラン、イソシアヌレートシラン、メルカプトシラン、イミドシラン、無水シラン、カルボキシレート官能化シロキサンなどが挙げられる。様々な種類の接着促進剤の組み合わせも使用することができる。このような成分は、典型的には、金属触媒ヒドロシリル化による硬化を妨げる。適切な接着促進剤としては、限定されるものではないが、種々のアミノシラン材料、例えば、Silquest(登録商標)A-1120シラン、Silquest A-1110シラン、Silquest A-2120シラン、およびSilquest A-1170シラン:エポキシシラン、例えば、SilquestA-187シラン:イソシアヌレートシラン、例えばSilquest A-597シラン:およびメルカプトシラン、例えば、Silquest A-189シラン、Silquest A-1891シラン、Silquest A-599シランが挙げられ、Momentive Performance Materialsから入手可能である。
【0074】
硬化性組成物はまた、抗酸化化合物を含んでもよい。適切な種類の抗酸化化合物の例としては、限定されるものではないが、ヒンダードアミンおよび/またはヒンダードフェノール化合物が挙げられる。
【0075】
ヒンダードアミン抗酸化化合物としては、限定されるものではないが、ヒンダードアミン系酸化防止剤(N,N’,N’’,N’’’-テトラキス-(4,6-ビス(ブチル-(N-メチル)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ジブチルアミン-1,3,5-トリアジン-N,N’-ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミン-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合生成物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールとのポリマー、[デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジル)エステル、1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドおよびオクタンの反応生成物](70%)-ポリプロピレン(30%)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、1-[2-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-4-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオンなど)が挙げられる。
【0076】
一実施形態では、抗酸化化合物はヒンダードフェノール化合物である。ヒンダードフェノールは、特定の目的または意図された用途に所望されるように選択することができる。好適なヒンダードフェノールの例としては、限定されるものではないが、モノフェノール、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2-t-ブチル-4-メトキシフェノール、3-t-ブチル-4-メトキシフェノール、および2,6-t-ブチル-4-エチルフェノール、ビスフェノール、例えば、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、および4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール);および高分子フェノール、例えば、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’-ビス(4’-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)酪酸グリコールエステル、およびトコフェロール(ビタミンE)、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオアミド)、ベンゼンプロパン酸3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシC7-C9側鎖アルキルエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、3,3’,3’’,5,5’,5’’-ヘキサン-tert-ブチル-4-a,a’,a’’-(メシチレン-2,4,6-トリル)トリ-p-クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5-ビス-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、N-フェニルベンゼンアミンと2,4,4-トリメチルペンテンとの反応生成物、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
【0077】
IRGANOX 1330は、立体障害フェノール酸化防止剤(「3,3’,3’,5,5’,5’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール」)であり、BASFから市販されている。Irganox 1010は、立体障害フェノール酸化防止剤(「ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)」)であり、BASFから市販されており、または1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼンは、ETHANOX(商標)330(AlbemarleCorporation)として市販されており、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox 1010)、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(Irganox 3114)、Irganox 3114としてトリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートである。
【0078】
硬化性組成物は、任意にて光安定剤を含んでいてもよい。光安定剤は、特に限定されず、特定の用途または意図された用途のために所望されるように選択することができる。光安定剤のための適切な材料の例としては、限定されるものではないが、2,4-ジ-tert-ブチル-6-(5-クロロベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル3-(3-(21-1-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(直鎖および分岐ドデシル)-4-メチルフェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール、オクタベンゾン、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、tinuvin 622LD、Tinuvin 144、CHIMASSORB 119FL、MARK LA-57、LA-62、LA-67、LA-63、SANDOL LS-765、LS-292、LS-2626、LS-1114、LS-744などが挙げられる。
【0079】
硬化性組成物は、約5~約98質量%;約10~約90質量%;または約20~約80質量%の量のオルガノポリシロキサン(a)を含み得る。架橋剤(b)は、約2~約25質量%;約6~約20質量%;または約6~約12質量%の量で存在し得る。反応促進剤(c)は、約0.0001~約0.2質量%;約0.0002~約0.05質量%;または約0.0005~約0.02質量%の量で存在し得る。防止剤(d)は、約0.0001~約1質量%;約0.0002~約0.6質量%;または約0.0005~約0.3質量%の量で存在し得る。接着促進剤は、約0.1~約10質量%;約0.3~約5質量%;または約0.5~約3質量%の量で存在し得る。
【0080】
硬化性組成物は、約1.45、1.5、1.55、または1.6を超える屈折率を有することができる。実施形態において、硬化性組成物は、約1.45~約1.6、または約1.5~約1.55の屈折率を有する。
【0081】
硬化性組成物は、優れた光学的透明度を示すこともできる。実施形態において、硬化性組成物は、400nm~約800nmで約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、さらには約99%以上の透明度を有する。
【0082】
本発明の硬化性有機ケイ素組成物を硬化させることにより、硬度が高く、そして優れた透明度、耐クラック性、および耐熱性を有する硬化生成物が得られる。硬化条件は特に限定されず、組成物の量によって異なるが、硬化温度は60~180℃の範囲内が好ましく、硬化時間は通常0.5~10時間の範囲内である。実施形態では、約100℃の温度、30分で硬化を達成することができる。
【0083】
硬化性組成物から形成された硬化材料はまた、様々な用途に望ましい特性を示すことができる。実施形態において、硬化性組成物は、約1.45より大きい屈折率を有することができる。実施形態において、硬化性組成物は、約1.45~約1.5の屈折率を有する。
【0084】
硬化材料はまた、優れた光学的透明度を示すことがあり得る。実施形態では、硬化材料の厚さ1mmのシートは、400nm~約800nmで約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、さらに約99%以上の透明度を有する。
【0085】
硬化材料はまた、高い熱安定性および耐クラック性を示すことがあり得る。
【0086】
硬化材料はまた、良好な透湿性(moisture vapor permeability)を示すことがあり得る。実施形態において、硬化材料の厚さ1mmのシートは、JISZ0208試験方法の下で、約10~約15g/m日の透湿性を有する。
【0087】
本発明の硬化性有機ケイ素組成物は、硬化性シリコーン材料、光学素子等の光学素子用封止材料、半導体素子等の他の電子デバイス用封止材料、電気絶縁性被覆材として有用である。光学デバイスの例には、LED、半導体レーザー、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池およびCCDのような光学素子;レンズ、結合材料、接着剤、フィルム、シート等の光学部品が挙げられる。硬化材料は、例えばLED封止材などの封止材として使用することができる。電子デバイスの例には、ダイオード、トランジスタ、IC、CPUおよびメモリ素子などの半導体素子が含まれる。
【0088】
硬化性シリコーン組成物は、限定されるものではないが、化粧品、日焼け止め、シャンプーまたはコンディショナーなどのヘア製品、ローション、クリームなどのパーソナルケア組成物に含めることができる。パーソナルケア組成物は、キャリア、顔料、フィルム形成剤、乳化剤、ビタミン、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、ワックス、油、溶媒などの様々な成分を含むことができる。
【0089】
一実施形態では、パーソナルケア製品は、0~90重量部の顔料を任意にて含むことができる。本明細書での使用に適した顔料はすべて無機および有機の染料/顔料である。これらは、通常、アルミニウム、バリウムまたはカルシウム塩またはレーキである。レーキは、固体希釈剤で伸ばされたまたは減じた顔料、または通常はアルミニウム水和物である吸着表面上の水溶性染料の沈殿によって調製される有機顔料のいずれかである。レーキはまた、酸性染料または塩基性染料からの不溶性塩の沈殿から形成される。本明細書では、カルシウムおよびバリウムレーキも使用される。適切なレーキとしては、限定されるものではないが、Red 3 アルミニウムレーキ、Red 21 アルミニウムレーキ、Red 27 アルミニウムレーキ、Red 28 アルミニウムレーキ、Red 33 アルミニウムレーキ、Yellow 5 アルミニウムレーキ、Yellow 6 アルミニウムレーキ、Yellow 10 アルミニウムレーキ、Orange 5アルミニウムレーキ およびBlue 1アルミニウムレーキ、Red 6 バリウムレーキ、Red 7 カルシウムレーキが挙げられる。パール、酸化チタン、Red 6、Red 21、Blue 1、Orange 5およびGreen 5染料、チョーク、タルク、酸化鉄およびチタン化マイカのような他の染料および顔料も組成物に含めることができる。
【0090】
パーソナルケア組成物は、従来技術で公知の0~99重量部の有機フィルム形成剤を任意に含有してもよい。フィルム形成剤は、美容上許容されるものであればどのようなものであってもよい。有用なフィルム形成剤の例には、天然ワックス、ポリエチレンポリマーなどのポリマー、PVPのコポリマー、エチレンビニルアセテート、ジメチコンガム、およびシェラック、ポリテルペンなどの樹脂が含まれる。
【0091】
パーソナルケア組成物は、場合により、遮蔽日焼け止め剤または吸収性日焼け止め剤0~50重量部を含むことができる。遮蔽日焼け止め剤は、一般に無機であり、例えば、種々の酸化セシウム、酸化クロム、酸化コバルト、酸化鉄、赤色ワセリン、シリコーンおよび他の処理された二酸化チタン、二酸化チタン、酸化亜鉛、および/または酸化ジルコニウム、BaTiO、CaTiO、SrTiOおよびSiCである。吸収性日焼け止め剤は、通常、有機種であり、特に有用である。そのような吸収性日焼け止め剤としては、限定されるものではないが、紫外線スペクトルの320~400nm領域の放射線を一般に吸収するUV-A吸収剤、例えば、アントラニル酸塩、ベンゾフェノン、およびジベンゾイルメタン;紫外線スペクトルの280~320nmの領域の放射線を一般に吸収するUV-B吸収剤、例えば、p-アミノ安息香酸誘導体、カンファー誘導体、シンナメート、およびサリチレートが挙げられる。有機日焼け止め剤の具体例には、p-アミノ安息香酸、アボベンゾンシノキセート、ジオキシベンゾン、ホモサレート、メンチルアントラニレート、オクトクリレン、オクチルメトキシシンナメート、オクチルサリチレート、オキシベンゾン、パディメート、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、スルイソベンゾン、トロラミンサリチレート、アミノ安息香酸、アミルジメチルp-アミノ安息香酸、ジエタノールアミンp-メトキシシンナメート、ジガロイルトリオレエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、エチルヘキシルp-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシルサリチレート、グリセリルアミノベンゾエート、ホモメンチルサリチレート、ホモサレート、3-イミダゾール-4-イルアクリル酸およびそのエチルエステル、メチルアントラニレート、オクチルジメチルPABA、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸およびその塩、スルイソベンゾン、トリエタノールアミンサリチレート、N,N,N-トリメチル-4-(2-オキソボルン-3-イリデンメチル)アニリニウムメチルサルフェート、アミノベンゾエート、4-イソプロピルベンジルサリチレート、2-エチルヘキシル-4-メトキシシンナメート、メチルジイソプロピルシンナメート、イソアミル4-メトキシシンナメート、ジエタノールアミン4-メトキシシンナメート、3-(4’-トリメチルアンモニウム)-ベンジリデン-ボーマン-2-オンメチルサルフェート、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホネート、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、ca-(2-オキソボルン-3-イリデン)-トリル-4-スルホン酸およびその可溶性塩、3-(4’-スルホ)ベンジリデン-ボルナン-2-オンおよびその可溶性塩、3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー、ベンゼン1,4-ジ(3-メチリデン-10-カンファースルホン)酸およびその塩、ウロカニン酸、2,4,6-トリス-(2’-エチルヘキシル-1’-オキシカルボニル)-アニリノール1,3,5-トリアジン、2-(p-(tert-ブチルアミド)アニリノール-4,6-ビス-(p-(2’-エチルヘキシル1’-オキシカルボニル)アニリノール1,3,5-トリアジン、2,4-ビス{1,4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシル-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、N-(2et4)-(2-オキソボルン-3-イリデン)メチルベンジルアクリルアミドのポリマー、1,4-ビスベンズイミダゾリル-フェニレン-3,3’,5,5’-テトラスルホン酸およびその塩、ベンザルマロネート置換ポリオルガノシロキサン、ベンゾトリアゾール置換ポリオルガノシロキサン(ドロメトリゾール トリシロキサン)、可溶化2,2’-メチレン-ビス-1,6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2-メチルジベンゾイルメタン、4-メチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’-ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4’-ジメトキシジベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2,4-ジメチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、および上述の日焼け止め剤の少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。
【0092】
パーソナルケア組成物は、限定するものではないが、カラー化粧品、日焼け止め、ヘアコンディショナー、モイスチャライザーなどとして使用するために特に配合することができる。そのような用途のための適切な形態および配合は、当業者に公知である。例えば、日焼け止め剤として使用するために配合される場合、組成物は、層状エマルジョン、マイクロエマルジョン、またはナノエマルジョンの形態であってもよい。さらに、エマルジョンは、流体単一エマルジョン、流体多重エマルジョン、硬質単一エマルジョン、または硬質多重エマルジョンであってもよい。単一エマルジョンまたは多重エマルジョンは、脂質小胞または油滴が分散の連続水性相、または脂質小胞または水滴分散の連続脂肪相を含むことができる。一実施形態では、日焼け止めアプリケーションは、連続水性相を有するエマルジョンであり、スティック、ローション、ゲル、スプレーなどの形態であってもよい。日焼け止めエマルジョンの形成に適した乳化剤には、例えば当該技術分野で公知のエトキシル化界面活性剤が挙げられ、例えば、Polysorbate-20、Laureth-7、Laureth-4、Sepigel(登録商標)305、SEPPICより入手可能、オイル、例えば、植物油および鉱物油;動物および/または合成ワックス、例えば、蜜ろう、パラフィン、米ぬかろう、カンデリラろう、カルナウバろうおよびその誘導体;および炭化水素ゲルまたはベントーンタイプのゲル、例えば、Gel SS71、Gel EA2786、Quaternium-18Bentonite、38 CE、Gel ISD VまたはGel ISD;およびオルガノシリコーン乳化剤、例えば、セチルジメチコンコポリオール-ポリグリセリル4-イソステアレート-ヘキシルラウレート(ABIL(登録商標)WE 09)、GoldschmidtChemical Corporationから入手可能、ベヘネートジメチコン、セチルジメチコンコポリオール(ABIL(登録商標)EM 90)、(ABIL(登録商標)EM97)、ラウリルメチコーンコポリオール(5200)、シクロメチコンおよびジメチコンコポリオール(DC 5225CおよびDC 3225C)、シクロペンタシロキサンおよびジメチコンコポリオール(SF 1528)が挙げられる。
【0093】
パーソナルケア組成物は、任意に、ビタミンまたは皮膚栄養剤を含有してもよい。いくつかの適切な薬剤は、セラミド、ヒアルロン酸、パンテノール、ペプチド(銅ヘキサペプチド-3)、AHA(乳酸)、レチノール(レチニルパルミテート)-Vit.A誘導体、ビタミンC(l-アスコルビン酸)、BHA(サリチル酸)、茶(緑茶、白茶、紅茶)、大豆および他の植物誘導体、イソフラボン(グレープシードエキストラクト)、アルジルリン、アサイベリーである。
【0094】
可塑剤を配合物に加えて、得られる配合物の柔軟性および化粧品特性を改善することもできる。可塑剤は、フィルム形成剤の脆さおよびクラックを避けるためにしばしば使用され、例えば、レシチン、ポリソルベート、ジメチコンコポリオール、グリコール、クエン酸エステル、グリセリン、およびジメチコンが挙げられる。当業者は、所望の特性および意図された用途に基づいて所望の可塑剤の量を通常通り変化させることができる。
【0095】
本発明の組成物は、適用後迅速に揮発する揮発性担体などの担体に組み込むことができる。揮発性担体は、揮発性炭化水素、揮発性シリコーン、およびそれらの混合物から選択することができる。
【0096】
パーソナルケア製品に有用な炭化水素油としては、約C~約C20の鎖長を有する炭化水素油、さらにはC~C20のイソパラフィンを含む60~260℃の範囲の沸点を有するものが挙げられる。例としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソエコサン、2,2,4-トリメチルペンタン、2,3-ジメチルヘキサン、およびそれらの2つ以上の混合物が含まれる。
【0097】
適切な揮発性シリコーン流体には、式(RSiO)、ここでxは約3~約6である、に対応する3、4、および5員環構造を有するシクロメチコンが含まれる。
【0098】
以上、本明細書の例を挙げて説明した。当然のことながら、本明細書を説明する目的で構成要素または方法論の考えられるすべての組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者であれば、本明細書の多くのさらなる組み合わせおよび置換が可能であることを認識することができる。したがって、本明細書は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に入るそのような変更、修正および変形をすべて包含することが意図されている。さらに、用語「含む(includes)」が詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかで使用される限り、そのような用語は、「含む(comprising)」が請求項の移行語として使用される場合に解釈されるように、用語「含む(comprising)」と同様の態様で包括的であるように意図される。
【実施例
【0099】
本開示の態様を以下に説明することとし、以下の実施例に関してさらに理解され得る。実施例は説明のみが意図され、本明細書に開示された発明を材料、プロセスパラメータ、装置または条件に関して決して限定するものではないと理解すべきである。
【0100】
例1;成分(A-1)の調製
分子量3kDを有するノルボルネン末端封鎖フェニルメチルシリコーンノルボルニルエチルブロックコポリマー(A-1)を以下のスキームに従って合成した。
【0101】
窒素雰囲気下で還流冷却器、滴下漏斗および機械的撹拌機を備えた500mLの3つ口丸底フラスコに、100mLのトルエンおよび5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(128.7g、1.07mol)を加えた。この溶液に0.289gのKarstedt触媒(2重量%Ptの15ppm)を添加した。全体のセットアップは、反応温度を50℃に維持しながら油浴中に保持した。滴下漏斗中の3-フェニル-1,1,3,3,5-ペンタメチルトリシロキサン(257.51g、0.95mol)を1時間かけて滴下した。続いて反応温度を80℃に上げ、すべてのヒドリドが消費されるまで続けた。ヒドロシリル化重合の完了後、未反応の出発物質、揮発性化合物および溶媒を減圧下で除去した。最終生成物を黄色液体として定量的収率で得て、活性炭で脱色して無色液体として所望の生成物を定量的収率で得た(25℃での粘度:6810mPa.s;GPC:M=3.06kD;M=4.6kD;PDI=1.5)。
【化12】
【0102】
例2:成分(A-2)の調製
分子量140kDを有するノルボルネン末端封鎖フェニルメチルシリコーンノルボルネニルエチルブロックコポリマー(成分A-2)を、A-1について記載した方法と同様にして合成した。
【0103】
簡潔には、500mLの3つ口丸底フラスコに、150mLのトルエンおよび5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(94g、0.78mol)を入れた。この溶液に、0.225gのKarstedt触媒(2重量%Ptの15ppm)を添加した。滴下漏斗中の3-フェニル-1,1,3,3,5-ペンタメチルトリシロキサン(200g、0.74mol)を、反応混合物に50℃で1時間かけて滴下した。続いて反応温度を80℃に上げ、すべてのヒドリドが消費されるまで続けた。ヒドロシリル化重合の完了後、未反応の出発物質、揮発性化合物および溶媒を減圧下で除去した。最終生成物を黄色の液体として定量的収率で得て、活性炭で脱色して所望の生成物を無色液体として定量的収率で得た。(25℃での粘度:14200mPa.s;GPC:M=5.2kD;M=7.8kD;PDI=1.5)
【化13】
【0104】
例3:成分(B-1)の調製
ヒドリド末端封鎖フェニルメチルシリコーンノルボルネニルエチルブロックコポリマー(成分B)を以下のスキームに従って合成した。
【0105】
窒素雰囲気下、還流冷却器、滴下漏斗および機械的撹拌機を備えた500mLの3つ口丸底フラスコに、100mLのトルエンおよび5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(200g、1.66mol)を加えた。この溶液に、0.529gのKarstedt触媒(2重量%Ptの15ppm)を添加した。全体のセットアップを、反応温度を50℃に維持した油浴中に維持した。滴下漏斗中の3-フェニル-1,1,3,3,5-ペンタメチルトリシロキサン(506.47g、1.87mol)を1時間かけて滴下した。その後、反応温度を80℃に上昇させ、すべての5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンが消費されるまで反応を継続した。ヒドロシリル化重合の完了後、未反応の出発物質、揮発性化合物および溶媒を減圧下で除去した。最終生成物を黄色の液体として定量的収率で得て、活性炭で脱色して所望の生成物を無色液体として定量的収率で得た。コポリマーの化学構造および組成は、スペクトル分析、クロマトグラフィーおよび熱分析によって推測される。
【化14】
【0106】
例4
例1で得られたコポリマー(以下、A-1と称する)87.7質量部、硬化触媒として白金ビニルシロキサン錯体(白金濃度:1,3,5,7-テトラビニルメチルシクロシロキサン油溶液にて1.8質量%)0.025質量部、反応防止剤としてジアリルマレエート0.125質量部を混合して硬化性シリコーン組成物を調製した。次いで、得られた混合物にB-2成分(架橋剤1と称する)12.15質量部を添加した。組成物の均質な配合が達成されるまで、組成物をスピードミキサーで完全に混合した。この組成物をガラス板からなる成形型に流し込み、厚さ1mmとした後、130℃で1時間加熱して硬化生成物を得た。
【化15】
【0107】
例5
例1で得られたコポリマー(A-1)85.5質量部、硬化触媒として白金-ビニルシロキサン錯体(白金濃度:1,3,5,7-テトラビニルメチルシクロシロキサン油溶液にて1.8%)0.025質量部、および反応防止剤としてジアリルマレエート0.125を混合して硬化性シリコーン組成物を調製した。次いで、得られた混合物に架橋剤としてB-3成分14.35質量部を添加した。成分の均質な配合が達成されるまで、組成物全体がスピードミキサー中で完全に混合された。この組成物をガラス板からなる成形型に1mmの厚さで流し込み、130℃で1時間加熱して硬化生成物を得た。
【0108】
例6
例1で得られたコポリマー(A-1)86.6質量部、硬化触媒として白金-ビニルシロキサン錯体(白金濃度:1,3,5,7-テトラビニルメチルシクロシロキサン油溶液にて1.8%)0.025質量部、および反応防止剤としてジアリルマレエート0.125質量部を混合して硬化性シリコーン組成物を調製した。次いで、得られた混合物に、架橋剤として成分B-2を6.075質量部、成分B-3を7.175質量部添加した。成分の均質な配合が達成されるまで、組成物全体がスピードミキサー中で完全に混合された。この組成物をガラス板からなる成形型に1mmの厚さで流し込み、130℃で1時間加熱して硬化生成物を得た。
【0109】
例7
ジアリルマレエートを反応防止剤として3,5-ジメチルヘクス-1-イン-3-オール0.125質量部に代えた以外は例6と同様にして硬化性組成物を調製した。組成物は、上述の例に記載の手順に従って130℃で1時間硬化させた。
【0110】
例8
例2で得られたコポリマー(A-2)91.1質量部、硬化触媒として白金-ビニルシロキサン錯体(白金濃度:1,3,5,7-テトラビニルメチルシクロシロキサン油溶液で1.8%)0.025質量部、および反応防止剤としてジアリルマレエート0.125質量部を混合して硬化性シリコーン組成物を調製した。次いで、得られた混合物に、架橋剤としてB-2成分8.75質量部を添加した。成分の均質な配合が達成されるまで、組成物全体がスピードミキサー中で完全に混合された。この組成物をガラス板からなる成形型に流し込み、厚さ1mmとし、130℃で1時間加熱して硬化生成物を得た。
【0111】
例9
例7に記載の組成物と同様に、1,3,5-トリス[4-ヒドロキシ-3,5-ビス(2-メチル-2-プロパニル)ベンジル]-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン(BASF製、商品名Irganox 3114)0.1質量部をさらに加えて、硬化性組成物を調製した。上述したようにガラス板から形成された成形型にて130℃で1時間硬化させることにより、1mmの硬化シートを得た。
【0112】
例10:チオール架橋剤での硬化組成物
例1のシリコーン組成物95部、チオール架橋剤4.5部および式MDDSHM(Gelest, Inc.から入手可能なSMS-992)の光開始剤(Darcour 1173)0.5部を含み、組成物を4500mJ/cmの線量でUV線に暴露することによって硬化性シリコーン組成物を調製した。得られた硬化生成物は非常に透明と観察された。
【0113】
性能評価
例で得られた硬化シートの特性を以下の方法で評価した(1mm)。結果を表1に要約している。
【0114】
HAAKE RheoStress 600を使用して25℃で硬化性組成物の粘度を測定した。
【0115】
外観の情報を得るために、各例の硬化シートを目視検査した。
【0116】
分光光度計(Gretag Macbeth Color Eye 7000A分光光度計)により、硬化シートの透明度を測定した。
【0117】
硬化物の水蒸気透過性(WVTR)は、Yasuda Seiki Seisakusho, Ltd.製の浸透性カップテスターを用いてJIS Z 0208に従って評価した。
【0118】
例より得られた硬化生成物は無色透明であり、高い柔軟性を示した。さらにそれらは、熱および光への曝露における着色への耐性も示し、封止材およびバリア接着剤としての光電子用途への適用性を示している。
【表1】
【0119】
上記の説明は、ヒーターアセンブリの様々な非限定的な実施形態を特定するものである。当業者および本発明を製造および使用することができる者には、改変が生じ得る。開示された実施形態は、単に説明目的のためであり、本発明の範囲または特許請求の範囲に記載された主題を限定するものではない。