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特許7071295複数の生物学的容器の棚卸を行うための方法及び関連するガントリー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】複数の生物学的容器の棚卸を行うための方法及び関連するガントリー
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20220511BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B65G1/137 F
G06K7/10 268
G06K7/10 240
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018569133
(86)(22)【出願日】2016-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2016075511
(87)【国際公開番号】W WO2018001535
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2019-09-24
(31)【優先権主張番号】1656321
(32)【優先日】2016-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519001279
【氏名又は名称】バイオログ-アイディー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100210686
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-クロード モングレニエ
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-289605(JP,A)
【文献】特開2009-137761(JP,A)
【文献】中国実用新案第205176876(CN,U)
【文献】特開2005-353051(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0261976(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0017634(US,A1)
【文献】特開2008-108276(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01693807(EP,A1)
【文献】特開2014-131934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の生物学的製品の容器(16)の棚卸を行うための方法であって、それぞれの容器(16)及び/又は容器(16)を含むそれぞれの梱包物(14)には、無線通信チップを含む識別ラベルが設けられ、前記方法が、以下の工程:
棚卸を行うための装置(12)を提供する工程であって、前記装置(12)が移動方向(X)を規定するガントリー(26)を含み、前記ガントリーが2つの読取パネル(28A、28B)を備え、前記読取パネル(28A、28B)がそれぞれ少なくとも1つのアンテナ(A1、A2、B1、B2;A、B)を含み、前記アンテナ(A1、A2、B1、B2;A、B)が無線通信チップを読み取ることができる工程と、
棚卸が行われる複数の容器(16)を含む可動な受け台(10)を提供する工程と、
前記読取パネル(28A、28B)の少なくとも1つにより、それぞれの容器(16)及び/又はそれぞれの梱包物(14)の前記無線通信チップを読み取る読取工程とを含み、
前記読取パネル(28A、28B)それぞれが、互いに隣り合って配置される無線通信チップを読み取ることができる複数のアンテナ(A1、A2、B1、B2)を含み、前記読取工程が、所定の時間の間、前記アンテナ(A1、A2、B1、B2)に電流を連続的に供給することで行われ、
読取パネル(28A、28B)のアンテナ(A1、A2、B1、B2)が、ペアのアンテナ(A1、B1;A2、B2)を形成するように、別の読取パネル(28A、28B)のアンテナ(A1、A2、B1、B2)と全単射的に関連しており、各ペアのアンテナ(A1、B1;A2、B2)に印加される電流が、90°の位相シフトである方法。
【請求項2】
移動方向に前記ガントリー(26)を横断させるように前記受け台(10)を移動させる移動工程を含み、前記読取工程が前記受け台(10)の移動の間に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガントリー(26)が、移動方向に沿って延在する少なくとも1つの案内部材(34A、34B)を含む床(30)を含み、それぞれの案内部材(34A、34B)が、それぞれの読取パネル(28A、28B)と関連し、かつ、移動方向に対し横断する方向に沿ったそれぞれの読取パネル(28A、28B)から20センチメートル(cm)未満の距離で配置され、それぞれの受け台(10)が複数のキャスタ(18)を備え、少なくとも1つのキャスタ(18)が少なくとも1つの案内部材(34A、34B)と協働するように設けられている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記移動工程及び前記読取工程が、制御した雰囲気を持つ囲いの中で行われる、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記受け台(10)が、金属格子で形成された少なくとも1つの壁を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
それぞれの読取パネル(28A、28B)が、2個のアンテナ(A1、A2、B1、B2)のみを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の生物学的製品の容器の棚卸を行うための方法、及び、複数の生物学的製品の容器の棚卸を行うためのRFIDガントリーに関する。
【0002】
本発明は、容器の物流管理の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
このような容器は、例えば、血液製品(主要な血液、血漿、血小板、赤血球など)のような生物学的製品、又は細胞工学製品(幹細胞など)、又は化学療法袋のような薬袋を収納する袋である。
【0004】
容器の移動の全てにわたって、容器が比較的高温にさらされるのを最小限にすることを保証することが必須である。したがって、幾つかの生物学的製品については、容器が-4℃より高い温度にさらされる最大の時間が法律により定められている。この最大の時間は、欧州では、指令により2時間30分に設定される。
【0005】
さらに、収益性の理由のため、多くの容器が一度に操作されなければならない。
【0006】
血液製品を収容する袋の場合、当該袋が梱包物の形態で冷蔵トラックに設置されることが知られており、これらの梱包物は、時折、荷下ろしするのが簡単である集合体を形成するように寄せ集められている。そして、作業者は、作業者が押すパレットトラックにより運ばれるパレット、又はキャスタ付きキャディ、又金属格子製のキャビネットにおいて、各集合体を4℃の中間チャンバーに荷下ろしをする。この中間チャンバーにおいて、作業者は、袋上又は各セットの袋上にあるバーコードをスキャンすることで、棚卸を行う各袋又は各セットの袋の存在を確かめる。次いで、例えば、血液製品の分類又は起源に基づいて仕分けを行う。次に、各セットの袋をパレット上に積む。次に、作業者は、いわゆる検疫期間の間、血漿の場合は約-40℃の冷却チャンバー中に袋を置き、当該検疫期間は60日以上である。次いで、血漿を分割することができる。
【0007】
しかしながら、1つの集合体のために作業者により取られる時間は比較的長く、約4~5時間であり、一定の品質を保証するためにこの時間を減らして法の要求又は適正な実施に応じるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、素早く行われる複数の生物学的製品の棚卸を行うための方法についてのニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この目的は、複数の生物学的製品の容器の棚卸を行うための方法であって、それぞれの容器及び/又は容器を含むそれぞれの梱包物には、無線通信チップを含む識別ラベルが設けられ、方法が、以下の工程:
棚卸を行うための装置を提供する工程であって、装置が移動方向を規定するガントリーを含み、ガントリーが2つの読取パネルを備え、読取パネルがそれぞれ少なくとも1つのアンテナを含み、アンテナが無線通信チップを読み取ることができる工程と、
棚卸が行われる複数の容器を含む可動な受け台を提供する工程と、
移動方向にガントリーを横断させるように受け台を移動させる移動工程と、
受け台の移動の間、読取パネルの少なくとも1つにより、それぞれの容器及び/又はそれぞれの梱包物の無線通信チップを読み取る読取工程とを含む、方法により達成される。
【0010】
具体的な実施形態によれば、方法は、単独で又は任意の技術的に可能な組み合わせに従って考慮される、以下の特徴の1つ又は複数を含む。
-受け台が、移動の間、読取パネルのうちの1つから10cm未満の距離にある。
-ガントリーが、移動方向に沿って延在する少なくとも1つの案内部材を含む床を含み、それぞれの案内部材が、それぞれの読取パネルと関連し、かつ、移動方向に対し横断する方向に沿ったそれぞれの読取パネルから20センチメートル未満の距離で配置され、それぞれの受け台が複数のキャスタを備え、少なくとも1つのキャスタが少なくとも1つの案内部材と協働するように設けられている。
-移動工程及び読取工程が、制御された雰囲気を持つ囲いの中で行われる。
-受け台が、金属格子で形成された少なくとも1つの壁を備える。
-読取パネルそれぞれが、互いに隣り合って配置される無線通信チップを読み取ることができる複数のアンテナを含み、読取工程が、所定の時間の間、アンテナに電流を連続的に供給することで行われる。
-読取パネルのアンテナが、ペアのアンテナを形成するように、別の読取パネルのアンテナと全単射的に関連している。
-各ペアのアンテナに印加される電流が、以下の条件:同位相、90°の位相シフト、及び180°の位相シフトのうちの1つを満たす。
-それぞれの読取パネルが、2個のアンテナのみを含む。
-それぞれの読取パネルが、1個のアンテナのみを含み、読取パネルのアンテナが、ペアのアンテナを形成するように、全単射的に関連している。
【0011】
本発明はまた、複数の生物学的製品の容器の棚卸を行うための装置であって、それぞれの容器及び/又は容器を備えるそれぞれの梱包物には、無線通信チップを含む識別ラベルが設けられ、棚卸を行わなければならない複数の容器が受け台の一部であり、装置が、
移動方向を規定するガントリーであって、ガントリーが2つの読取パネルを備え、読取パネルがそれぞれ少なくとも1つのアンテナを含み、アンテナが無線通信チップを読み取ることができる、ガントリーと、
移動方向に沿ってガントリーを横断させるための受け台の移動の間に、それぞれの容器及び/又はそれぞれの梱包物の無線通信チップの読取パネルのうちの少なくとも1つによって読取工程を行うようにアンテナに命令するのに適したコントローラを備えた制御端末装置と備える、装置に関する。
【0012】
本発明の他の特徴及び利点は、例としてのみ与えられかつ図面を参照してなされる本発明の実施形態の以下の説明を読むことで明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】棚卸を行わなければならない生物学的製品の容器のパレットと、棚卸を行うための装置との斜視図であり、装置はガントリーを備える。
図2】ガントリーの移動方向に沿って見た場合の図1のガントリーの図である。
図3】ガントリーの移動方向に垂直な方向に沿って見た場合の図1のガントリーの図である。
図4】ガントリーの移動方向に垂直な方向に沿って見た場合のガントリーの別の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
受け台10及び棚卸を行うための装置12が図1に示される。受け台は、輸送用組立体であり、しばしば、総称「ロール」を使用して称される。
【0015】
受け台10は、ある位置から別の位置まで梱包物14を輸送するためのものである。
【0016】
受け台10は、一組の梱包物14を収容することができる。
【0017】
受け台10が収容することができる梱包物14の数は23個以上の梱包物である。
【0018】
1つの典型的な例によれば、受け台10が収容することができる梱包物14の数は22個である。
【0019】
例として、16個の梱包物14が図1に示されている。
【0020】
各梱包物14は、平行6面体の箱の形態を取る。
【0021】
各梱包物14は、段ボール又はプラスチックで作られる。
【0022】
各梱包物14は、複数の容器16を収容することができ、各容器16は生物学的製品を含む。
【0023】
一般的に、容器16は、その使用が厳しい貯蔵制約を受ける製品を収容するための任意のタイプの袋である。
【0024】
1つの実施形態において、容器16は、血液製品(主要な血液、血漿、血小板、赤血球など)のような生物学的製品、又は細胞工学製品(人又は動物の細胞、特に人又は動物の幹細胞、人又は動物の細胞からの製品)を収納する袋である。
【0025】
別の実施形態において、容器16は、1つ又は複数の活性成分又は薬剤、例えば、化学療法袋を収容する(一般的に溶質、及び1つ又は複数の化学療法活性成分を収容する)治療調合袋又は薬袋である。
【0026】
より一般的には、容器16は、患者(人又は動物)内に注入されるための任意の製品を収容することができる。
【0027】
考慮される例によれば、各容器16は、この場合においては、血漿を収容するための袋である。
【0028】
公知の方法において、このような容器16は、PVC(ポリ塩化ビニル)、ポリカーボネート又はPEG(ポリエチレングリコール)系の、代謝作用を可能とする通気性のプラスチック材料から作られる密閉型血漿容器である。
【0029】
容器16は、例えば溶接によって密閉された管を含む。密閉する前に、これらの管を使用して容器16内に血漿が挿入される。
【0030】
接着ラベルを梱包物14の外面上に接着する。この接着ラベルは、無線通信チップを含む。
【0031】
各チップは固有の識別名に対応する。
【0032】
提案される例によれば、無線通信チップはRFIDチップである。
【0033】
RFIDチップは、無線周波数アンテナ、メモリ及び任意選択でマイクロプロセッサを含む。
【0034】
各チップのメモリは、例えば、以下の情報:固有の識別名、梱包物ナンバー、注文番号、及び/又は制御データを含む。
【0035】
装置12は、受け台10の内容物、すなわち梱包物14及び/又は各梱包物に収容される容器16の棚卸を行うことができる。
【0036】
図1に示される実施形態において、受け台10は、金属格子を含むキャビネットである。
【0037】
受け台10はキャスタ18及び壁20を含む。
【0038】
キャスタ18により、作業者が受け台10を押してある場所から別の場所に輸送することが可能となる。受け台は可動式である。
【0039】
図1の例によれば、受け台は地面と接触している4個のキャスタ18を含む。3つキャスタ18のみが視認できるが、もう1つのキャスタ18は視認できるキャスタ18と長方形を形成している。
【0040】
複数の壁20は、梱包物14が配置される内部容積Vを画定する。
【0041】
図1の特定の場合では、受け台10は少なくとも6個の壁20、すなわち、支持壁22、上壁21、3つの側壁24、及び2重の前壁23を含む。
【0042】
そして、受け台10は金属格子で構成されたかごを形成する。
【0043】
2重のドア23は、梱包物14により受け台10をいっぱいにすることが可能であるように開放するように構成される。
【0044】
支持壁22は、梱包物14を支持するためのものである。
【0045】
各ドア20は金属格子により形成される。
【0046】
受け台10は、内壁と、複数のラック25、例えば10個のラックとをさらに含み、内部容積内で区画を区切っており、各区画は梱包物14を収容するためのものである。
【0047】
内部容積Vが梱包物14を有さない場合は、受け台10は空状態であり、内部容積V全体が梱包物14で満たされた場合は、受け台10は満状態である。
【0048】
受け台10が満状態である場合、受け台10は重く、典型的に200kgを超える重量となる。その結果、満状態の受け台10は作業者が輸送するのは困難である。
【0049】
代替的に、受け台10は、支持壁を形成するパレットを含み、かつ、パレットトラック又はスタッカーを使用して移動され、そして、パレットトラック又はスタッカーのキャスタは、受け台10のキャスタとしてみなされる。パレット10が収容することができる梱包物14の数は44個の梱包物である。
【0050】
代替的に、受け台10は、5つの壁、すなわち支持壁及び4つの側壁と、キャスタとを含むキャディである。各壁は金属格子で形成される。
【0051】
キャディは1.20メートル以下の高さを有する。容器16は、梱包物内に収容されることなく、キャディにより画定される内部容積V内に直接配置される。
【0052】
装置12は、ガントリー26及び少なくとも1つの制御端末27を含む。
【0053】
ガントリー26は、床20上に置かれる2つの読取パネル28を含む。
【0054】
床30は、ガントリーが設置される位置の床であるか、又はガントリーの下部により形成される。
【0055】
移動方向はガントリー26のために規定される。移動方向は図1で軸Xにより示される。
【0056】
第1の横方向はまた、下部30に垂直な方向に対応して規定される。第1の横方向は、図1において軸Zにより示される。
【0057】
第2の横方向は、ガントリー26のための移動方向に垂直、かつ、第1の横方向に垂直な方向として規定される。第2の横方向は、図1において軸Yにより示される。
【0058】
図示した実施形態において、ガントリー26はルーフ32を備える。ルーフ32は、例えば、第2の横方向に沿って延在し、2つの読取パネル28に接続する2つの角材を備える。
【0059】
表示を明確にするために、以後、第1の読取パネルは28Aで参照され、第2の読取パネルは28Bで参照される。
【0060】
第1の読取パネル28Aはひし形の形態を取る。
【0061】
第1の読取パネル28Aは、第2の横方向Yに沿った第1の寸法と、第1の横方向Zに沿った第2の寸法と、移動方向Xに沿った第3の寸法とを有する。
【0062】
図2に示されるように、第1の寸法はe1で示される。第1の寸法e1は厚みに対応する。
【0063】
第1の寸法e1は、200~400mm(ミリメートル)である。
【0064】
図2及び3に示されるように、第2の寸法はe2で示される。第2の寸法e2は高さに対応する。
【0065】
第2の寸法e2は、2000~3000mm(ミリメートル)である。
【0066】
図3に示されるように、第3の寸法はe3で示される。第3の寸法e3は深さに対応する。
【0067】
第3の寸法e3は、1000~2000mmである。
【0068】
第1の読取パネル28Aは、複数のアンテナA1及びA2を含む。
【0069】
図3に示されるように、第1の読取パネル28Aは2つのアンテナA1及びA2を含む。
【0070】
アンテナA1及びA2は、第1の読取パネル28Aにおいて互いに隣に位置する。
【0071】
アンテナA1及びA2は、50~150mmの距離で離間している。
【0072】
各アンテナA1及びA2は、丸い角部を有する長方形のループにより形成され、第1の横方向に沿った高さと、移動方向に沿った幅とにより特徴付けられる。
【0073】
各アンテナA1及びA2は、1500~2500mmの高さと、400~600mmの幅とを有する。
【0074】
アンテナA1及びA2は、同一の幅及び長さを有し、移動方向Xに沿って並進して重ね合わせることができる。
【0075】
各アンテナは、入力ストランド及び出力ストランドを有する。
【0076】
各アンテナA1、A2は、切替及び調整カードをさらに含む。
【0077】
一方で、カードは切り替えるために提供され、すなわち、アンテナを接続及び/又は切断するための2つの機械的電気機械的リレーを使用するために提供される。したがって、一方のリレーは、アンテナの出力ストランドに接続されるか又は切断され、他方のリレーは、アンテナの入力ストランドに接続されるか又は切断される。
【0078】
他方で、カードは、調整するために提供され、すなわち、アンテナのインピーダンスを約(50+j0)オームに適合するために提供され、j0は、以後説明される調整条件を順守するため及び平衡を提供するために選択された複素数である。
【0079】
アンテナが、調整されたインピーダンスを有さない場合、出力の一部は、本明細書でアンテナに接続される読取部でもあるソースに向けて出る。ソースに向けて出る出力が失われ、読取部を妨害することがある。
【0080】
所望のインピーダンスは、以下の条件:Za=Zs*(Zaはアンテナのインピーダンス、Zs*はソースのインピーダンスの複素共役である)を検証する。本明細書において、ソースは50+0jオームのインピーダンスを有し、したがって、アンテナの所望のインピーダンスは50+0jであり、j0=0jオームである。
【0081】
平衡にすることは、読取部及びアンテナを接続する同軸ケーブル上のコモンモード電流を最小化することである。
【0082】
金属の存在、例えば、金属格子を備える受け台10は、アンテナの分野において、アンテナのインピーダンス、したがってアンテナの性能に影響を与える。
【0083】
インピーダンスが50+0jオームに近いほど、読取パネルの性能が良化する。2つのアンテナの第1のアンテナは、自由場で、すなわち、読取パネル28A、28Bの間に金属の不存在下で調整され、第2のアンテナは、例えば金属格子のキャディ又はキャビネットからの金属の近くで調整される。したがって、2つのアンテナの存在により、金属格子を含む受け台の存在下で、かつ、金属格子がない場合も、満足いく性能を得ることが可能となる。第1の読取パネル28Aと同一の表示は、第2の読取パネル28Bに対して適用される。
【0084】
特に、第2の読取パネル28Bは2つのアンテナB1及びB2を含む。
【0085】
第1の読取パネル28AのアンテナA1、A2は、第2の移動方向Yに沿って並進して、第2の読取パネル28BのアンテナB1、B2と重ね合わせることができる。
【0086】
第1の読取パネル28AのアンテナA1、A2は、第2の読取パネル28BのアンテナB1、B2と全単射的に関連し、ペアのアンテナを形成する。
【0087】
したがって、第1の読取パネル28Aの第1のアンテナA1及び第2の読取パネル28Bの第1のアンテナB1は、第1のペアのアンテナを形成するように関連し、第1の読取パネル28Aの第2のアンテナA2及び第2の読取パネル28Bの第2のアンテナB2は、第2のペアのアンテナを形成するように関連する。
【0088】
ペアのアンテナは、RFIDチップ、特に、ガントリー10内で循環するRFIDチップを読み取ることができる。
【0089】
結果として、パネル28A及び28Bは、RFIDチップを読み取るための能力のために、「読取パネル」であるとして説明される。
【0090】
図1の例によれば、2つの読取パネル28A及び28Bは互いに向かい合っている。
【0091】
第1の距離D1は、2つの読取パネル28A及び28Bの間の距離として規定される。第1の距離D1は、第2の横方向Yに沿う距離である。
【0092】
第1の距離D1は1000mm以上である。
【0093】
第1の距離D1は1700mm以下である。
【0094】
1つの特定の例によれば、床30は、2つの案内部材34A及び34Bを含む。
【0095】
各案内部材34A及び34Bは、各々の読取パネル28A及び28Bからの第2の距離D2で位置する。第2の距離D2は、第2の横方向Yに沿う距離である。
【0096】
第2の距離D2は、アンテナA1、A2、B1及びB2がRFIDラベルを読み取ることができるように、出願人により実験的に選択された。
【0097】
また、第2の距離D2は5~20cmである。
【0098】
代替的に、受け台10の移動は、受け台10と、読取パネル28A、28Bの1つとの間の距離が10cm未満であるように行われる。この文脈において、当該距離は、読取パネル28A又は28Bに最も近い受け台10の端部間の距離として測定される。
【0099】
好ましくは、受け台10と、読取パネル28A、28Bの1つとの間の距離は5cm未満である。
【0100】
各案内部材34A及び34Bは、移動方向Xに沿って延在するレールの形態を取る。
【0101】
作業者により操作する受け台10のキャスタ18間の協働により、ラベルの無線周波数アンテナと、関連する読取パネル34A及び34Bとの間の距離が10cm未満であることが確保される。
【0102】
ガントリー26は、表示部36をさらに備える。表示部36は、ガントリー26が受け台の通過を受け入れるかどうかを示す。
【0103】
表示部36は、例えば、ガントリーにおいて受け台の循環が許可された場合は緑色、読取パネル28A、28Bが読取チップのプロセス中である場合は白色、その他の場合が赤色である光信号である。
【0104】
制御端末27は、コントローラ40及びマンマシーンインターフェイス42を備える。
【0105】
コントローラ40は、各アンテナA1、A2、B1及びB2を制御することができる。
【0106】
特に、コントローラ40は、各アンテナA1、A2、B1及びB2に固有である制御法則に従って制御された電流を注入することができる。
【0107】
本例によれば、コントローラ40は、一方ではアンテナA1及びB1、及び、他方ではアンテナA2及びB2の各ペアがいわゆるヘルムホルツ構成において交互に働くことを保証する電流に対して第1の制御法則を適用することができる。そのような主要な制御法則において、同一位相の電流が、第1のペアのアンテナの各アンテナA1及びB1に注入され、同じ値の別の電流が第2のペアのアンテナの各アンテナA2及びB2が注入される。
【0108】
各電流値は、読取パネル28A、28Bにより読み取られるラベルの数に応じた時間の間維持される。
【0109】
マンマシーンインターフェイス42は情報を表示することができる。
【0110】
マンマシーンインターフェイス42は、例えば、移動方向Xに沿ってガントリー26の各側上にスクリーン44を備え、両スクリーン又は1つの選択されたスクリーン上に情報が表示される。したがって、作業者は、作業者がガントリーの一方の側又は他方の側にいるかどうかの情報を得ることができる。
【0111】
マンマシーンインターフェイス42は、受信状態、異常、又は制御情報についての一般情報を表示することができる。
【0112】
本例によれば、スクリーンは、作業者が、例えば注文番号を示すか又は表示された情報を認証することでガントリーと相互作用できるようにタッチセンサー式であることができる。タッチセンサー式のスクリーンは手袋に対応する。
【0113】
別の例によれば、スクリーンはボタンを有する。
【0114】
代替的に、マンマシーンインターフェイス42は、移動方向Xに沿ってガントリーの単一の側上に1つのみのスクリーンを備える。
【0115】
コントローラ40は、例えば、マンマシーンインターフェイス42のスクリーン44の1つと一体化される。
【0116】
装置10の操作を、複数の容器16の棚卸を行うための方法を参照して以下で説明する。
【0117】
方法は、装置12を提供するための工程と、棚卸を行わなければならない複数の容器16を含む受け台10を提供するための工程とを含む。
【0118】
複数の容器16は、上述したように、梱包物14に分配される。
【0119】
例えば、監視は梱包物規模に基づいてなされる。
【0120】
方法はまた、移動方向Xにガントリーを横断させるように受け台10を移動させる工程を含む。
【0121】
1つの実施形態において、受け台10の少なくとも1つのキャスタ18は、移動の間、案内部材34A、34Bと協働する。
【0122】
受け台10を移動させる工程は、表示部36がガントリーにおける受け台の循環を許可している間に行われる。
【0123】
例えば、1つの特定の例によれば、キャスタ18は、案内部材34A、34Bと接触して配置され、そして、作業者は、キャスタ18が移動の間ずっと案内部材34A、34Bと接触するのを維持するように、受け台10を押す。
【0124】
受け台がパレットトラック又はスタッカーを使用して移動されるパレットを備える別の例によれば、パレットトラックは、案内部材34A、34Bの間で移動する。
【0125】
方法は、少なくとも1つの検出センサ、例えば、レーザーセンサ又は重量センサを使用して受け台10の通過を検出するための工程を含む。受け台の通過は、移動方向Xに沿ってガントリー26の各端部で検出される。
【0126】
受け台の通過が検出された場合、受け台10の移動の間、読取パネル28A、28Bの少なくとも1つにより、無線通信チップを読み取るための工程が行われる。
【0127】
例えば、コントローラ40は、第1のペアのアンテナに、次いで第2のペアのアンテナに交互に電流を印加することからなる第1命令法則を実行する。
【0128】
次いで、表示部36の光信号が白色になる。
【0129】
読取工程は、動的又は静的に行われ、すなわち、受け台は、読取工程の間、読取パネル28A、28Bの間で移動する。受け台は、例えば、5km/時間未満で移動する。
【0130】
そのような第1の制御法則により、受け台10の金属及び梱包物16の材料の存在に関わらず、読取パネル28A、28B間に位置したあらゆる無線通信チップを検出することを可能となることが出願人により示された。
【0131】
1つの実施形態において、読取工程は所定の時間の後に停止され、当該読取工程は、受け台を持ってくる作業者により又は事前に構成される。次いで、場合によっては、表示部36の光信号は緑色又は赤色になる。
【0132】
読取工程の間、特定されるチップがない場合、マンマシーンインターフェイス42は例えば新規の読取工程を始めることを提案する。
【0133】
制御端末27は、各々の固有の識別名のおかげで、メモリ中に、ガントリー26、並びに、対応する梱包物及び/又は容器により検出されたチップのリストを有する。
【0134】
マンマシーンインターフェイス42は、検出されたラベル、容器の監視、又は受信状態についての情報を表示する。
【0135】
マンマシーンインターフェイス42は、例えば、以下の情報:検出されたチップの数、検出されたチップの識別名、対応する容器及び/又は梱包物中の容器に収容される製品の分類、例えば、血漿の質のうち1つ又は複数を表示する。
【0136】
検証工程を行う。
【0137】
検証工程の間、収容される受け台10の適合性が検証される。例えば、梱包物の数が予想数と同じであり、かつ、容器に収容される製品の性質が収容される製品に相当する場合、受信状態が認証され、受信状態を確認するメッセージがマンマシーンインターフェイス上に表示される。そうでない場合は、対応するメッセージがマンマシーンインターフェイス42上に表示される。
【0138】
梱包物の数が予想数より少ない場合、例えば、作業者は、その数、すなわち後に収容されるために残った梱包物の残数を認証するか、新規の読取工程を開始するか、又は検出されなかったチップを手動で入力するかの選択肢を有する。
【0139】
マンマシーンインターフェイス42は、任意選択で、追加の情報を表示する。その情報は、例えば、行われた検査又は異常に関する。
【0140】
この情報は、例えば、以下の情報:
・容器及び/又は梱包物の過去及び/又は計画された行程、
・梱包物が複数の質の群であることに起因するエラー、
・検出されたRFIDチップの数と受け台の最大の含有量又は重量との間に関するエラー、
・不明のRIDチップに関するエラー、及び/又は
・例えば血漿の容器の有効期限が切れるか又は適切な温度で維持されない場合、監視が利用可能でない又は正確になされていない少なくとも1つの容器を含む梱包物に対応する検出RFIDチップに関するエラー
のうち1つ又は複数である。
【0141】
1つの実施形態において、方法は照合工程を含み、当該工程の間、検出されたRFIDチップが、対応する容器が貯蔵されることが計画される容器に対応する。前記容器は、例えば、受け台10が直接貯蔵される場合は受け台10である。
【0142】
マンマシーンインターフェイス42は、方法はそのような照合工程を含むかどうかを表示する。
【0143】
検出されたRFIDチップの少なくとも1つが別の容器に対応する場合、マンマシーンインターフェイス42上にエラーメッセージが表示される。マンマシーンインターフェイス42は、影響を受けた梱包物を示すことができ、作業者が受け台10からそれら梱包物を取り除くことができ、当該梱包物を提供された容器上に配置する。代替的に、照合の後、前記RFIDチップが新規の容器に対応する。
【0144】
検出されたRFIDチップのリストは、例えば、貯蔵のための中央管理システムに送られ、その入力及び/又は出力はガントリーにより管理される。伝送は、例えば、専用サーバーへのイーサネット(登録商標)リンクによりなされる。
【0145】
伝送の後、リストがガントリーのコントローラ40から検出される。
【0146】
追加的に又は代替的に、梱包物14に関連して説明したように、接着ラベルが容器16の外面上に接着される。ガントリー26は、異なる容器16、例えば受け台10上の梱包物14に存在する容器を特定するために提供される。
【0147】
また、梱包物14に関連して説明したように、接着ラベルは受け台10に接着される。ガントリー26が、受け台10を特定するように提供される。
【0148】
これらの実施形態において、ガントリー26の操作モードが提供され、ガントリー26のみが、1つの対象の種類、例えば、容器16、梱包物14又は受け台10に関連するチップを処理する。
【0149】
したがって、複数の生物学的製品の容器の棚卸を行うための方法が素早く行われる。
【0150】
より一般的には、これにより梱包物16を収容する際の時間を節約することが可能となる。
【0151】
ガントリーの移動方向は関係なく、作業者が状況に応じて最も適切な方向を選択することができる。典型的に、作業者が、受け台10を押すことで動く距離を最小にする移動方向を選択する。
【0152】
また、これにより、作業者の不快な負担を減らすことが保証される。
【0153】
1つの実施形態によれば、ガントリー26は、バーコードを読み取るために提供されるセンサをさらに含み、ガントリー26は、作業者が前記センサを使用して各梱包物ラベル及び/又は容器にあるバーコードをスキャンするか、あるいは、マンマシーンインターフェイス42を使用してバーコードに対応する各々の数字を入力するダウングレードモードで操作することができる。
【0154】
1つの実施形態において、移動工程及び読取工程は、制御された雰囲気を持つ囲いの中で行われる。
【0155】
例えば、囲いは制御された温度、例えば、0~5℃、より特には4℃を有する。
【0156】
そのような場合において、装置12を使用することで得られる温度の利点は、各容器16の生物学的製品のより良好な保存を保証しようとする法令の規定をより良好に順守することがさらに可能となる。
【0157】
代替的に、第1制御法則以外の制御法則が使用される。
【0158】
例えば、各ペアのアンテナに相電流を提供する代わりに、2つの電流間で位相シフトが導入される。
【0159】
位相シフトが180°である場合、いわゆる磁気ミラー構成が得られ、移動方向Xに垂直であるように配向されるRFIDチップの読取を可能にする。
【0160】
位相シフトが90°である場合、いわゆるヘルムホルツ構成といわゆる磁気ミラー構成が交互に得られる。これにより、特に、ラベルの方向に関係なく、ラベルを読み取ることが可能となる。
【0161】
この代替実施形態において、複数の生物学的製品の容器の棚卸を行うための方法はまた、バーコードをスキャンすることで棚卸の間より早く行われる。
【0162】
図4に示される代替実施形態において、各読取パネル28A、28Bは単一のアンテナA、Bを含む。
【0163】
各アンテナA、Bはループにより形成される。各アンテナA、Bは、例えば、丸い角部を有する長方形ループの形態であり、第1の横方向Zに沿った高さと、移動方向Xに沿った幅とにより特徴付けられる。
【0164】
図示した例によれば、ループはその幅に沿って上側の中心部に開口を有する。
【0165】
高さは、例えば、1500~2500mmであり、幅は、例えば、750~1250mmである。
【0166】
2つの読取パネル28A、28BのアンテナA、Bは、同一の寸法を有し、第2の横方向Yに沿って並進して重ね合わせることができる。
【0167】
各アンテナA、Bは2つの切替調整回路を含み、その回路により、前述の実施形態での同一の読取パネルの2つのアンテナと同様な2つの異なる操作モード:「自由場」モード及び「金属近接」モードに従って、選択的に各アンテナを操作することが可能となる。
【0168】
第1の読取パネル28AのアンテナAは、ペアのアンテナを形成するように、第2の読取パネル28BのアンテナBと全単射的に関連する。
【0169】
ペアのアンテナA、Bは、前述した実施形態と同様に、RFIDチップ、特にガントリー10内を循環するRFIDチップを読み取ることができる。
【0170】
コントローラ40は、各アンテナを制御することができる。特に、コントローラ40は、各アンテナに特有の制御法則に従って制御された電流を注入することができる。
【0171】
実施方法は前述したものと同様であり、同一の利点が得られる。
図1
図2
図3
図4