(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】位置決めユニット及び検査装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/00 20210101AFI20220511BHJP
G02B 21/24 20060101ALI20220511BHJP
A61F 9/007 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
G02B7/00 A
G02B21/24
A61F9/007 200C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019199868
(22)【出願日】2019-11-01
【審査請求日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】10 2018 127 469.6
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509081562
【氏名又は名称】オクルス オプティクゲレーテ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファイアーターク カルシュテン
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-93433(JP,A)
【文献】特開2012-148078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/00 - 11/14
G02B 7/00
G02B 21/00 - 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学ユニット(14)を、顕微鏡レンズと検査しようとする眼の前方との間で、顕微鏡の光路において位置決めするための位置決めユニット(11)であって、
当該位置決めユニットは、
前記位置決めユニットを前記顕微鏡に連結させる接続装置(19)と、
眼底を検査する役目を果たす検眼鏡レンズ(12)を、前記光学ユニットの光学素子として、前記位置決めユニットに適合可能にさせる収納装置(35)と、
前記検眼鏡レンズを、前記顕微鏡に対して前記光路の長手方向に移動させる位置決め装置(20)と、を備え、
前記収納装置は、前記検眼鏡レンズが、前記顕微鏡の前記光路に対して直交して広がる調整平面(41)において変位可能となるような調整手段(40)を有
し、
前記収納装置(35)は、前記検眼鏡レンズ(12)の保持、及び前記検眼鏡レンズ(12)の前記位置決め装置(20)との接続のための保持手段(36)を実現し、
前記調整手段(40)は、第1の調整軸(43)を介して前記位置決め装置(20)と、第2の調整軸(44)を介して前記保持手段(36)とに連結される調整レバー(48)を有し、
前記第2の調整軸(44)は、前記調整平面(41)の方向に前記第1の調整軸(43)から離間していることを特徴とする位置決めユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の位置決めユニットにおいて、
前記調整レバー(48)は、掴み縁(47)の長手方向の端部(46)におけるプレート(42)によって実現され、
前記掴み縁(47)は、指先の間に掴まれる役目を果たすように実現されることを特徴とする位置決めユニット。
【請求項3】
請求項
1に記載の位置決めユニットにおいて、
前記調整レバーは、指先の間で掴まれる作動端部を有するように実現されることを特徴とする位置決めユニット。
【請求項4】
光学ユニット(14)を、顕微鏡レンズと検査しようとする眼の前方との間で、顕微鏡の光路において位置決めするための位置決めユニット(11)であって、
当該位置決めユニットは、
前記位置決めユニットを前記顕微鏡に連結させる接続装置(19)と、
眼底を検査する役目を果たす検眼鏡レンズ(12)を、前記光学ユニットの光学素子として、前記位置決めユニットに適合可能にさせる収納装置(35)と、
前記検眼鏡レンズを、前記顕微鏡に対して前記光路の長手方向に移動させる位置決め装置(20)と、を備え、
前記収納装置は、前記検眼鏡レンズが、前記顕微鏡の前記光路に対して直交して広がる調整平面(41)において変位可能となるような調整手段(40)を有し、
前記収納装置(35)は、前記検眼鏡レンズ(12)の保持、及び前記検眼鏡レンズ(12)の前記位置決め装置(20)との接続のための保持手段(36)を実現し、
前記調整手段(40)は、偏心器を有する調整軸(44)を有し、
前記調整軸は、前記位置決め装置(20)と、前記保持手段(36)とに連結され、
前記偏心器は、前記位置決め装置(20)において又は前記保持手段において、前記調整平面(41)の方向に伸長することを特徴とする位置決めユニット。
【請求項5】
請求項
1から4のいずれか1つに記載の位置決めユニットにおいて、
前記保持手段(36)は、前記顕微鏡の前記光路と平行になるように実現される軸(38)の周りを枢動可能なように、前記位置決め装置(20)に配置されることを特徴とする位置決めユニット。
【請求項6】
請求項
1から5のいずれか1つに記載の位置決めユニットにおいて、
前記調整手段(40)は、前記位置決め装置(20)と前記保持手段(36)との間にある連結伝動装置から実現されることを特徴とする位置決めユニット。
【請求項7】
請求項
6に記載の位置決めユニットにおいて、
前記連結伝動装置は、前記検眼鏡レンズ(12)の変位の経路と前記調整手段(40)の作動経路との間で伝動を有するように実現され、
変位の当該経路は、前記作動経路よりも小さいことを特徴とする位置決めユニット。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1つに記載の位置決めユニットにおいて、
前記位置決めユニット(11)は、前記光学ユニット(14)のもう1つ別の光学素子としての縮小レンズ(13)を収納するための取付具(17)を実現することを特徴とする位置決めユニット。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか1つに記載の位置決めユニットにおいて、
前記位置決め装置(20)は設定手段(29)を備え、
前記検眼鏡レンズ(12)の位置は、前記設定手段(29)によって、前記光路の前記長手方向に設定可能となることを特徴とする位置決めユニット。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1つに記載の位置決めユニットにおいて、
前記接続装置(19)は、少なくとも1つの戻り止め手段を備えるヒンジ(21)を有するように実現され、
前記光学ユニットは、前記少なくとも1つの戻り止め手段によって、前記光路の使用の位置に及び/又は前記光路の外側の非使用の位置に繋止可能であることを特徴とする位置決めユニット。
【請求項11】
請求項1~1
0のいずれか1つに記載の位置決めユニットにおいて、
前記位置決めユニット(11)は
、プラスチック材料からなることを特徴とする位置決めユニット。
【請求項12】
請求項1~1
1のうちのいずれか1つに記載の位置決めユニット(11)を有し、かつ光学ユニット(14)を有する検査装置(10)であって、
前記光学ユニットの光学素子は、検眼鏡レンズ(12)であることを特徴とする検査装置。
【請求項13】
請求項1
2に記載の検査装置において、
前記光学ユニット(14)のもう1つ別の光学素子が、縮小レンズ(13)として実現され、
前記縮小レンズ(13)は、前記光路を適合させる役目を果たすことを特徴とする検査装置。
【請求項14】
請求項1
3に記載の検査装置(10)を有する顕微鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットを、顕微鏡レンズと検査しようとする眼の前方との間で、顕微鏡の光路において位置決めするための位置決めユニットに関する。当該位置決めユニットは、位置決めユニットを顕微鏡に連結するのを補助する接続装置を備える。当該位置決めユニットは、収納装置を備え、眼底を検査する役目を果たす検眼鏡レンズは、収納装置によって、光学ユニットの光学素子として、位置決めユニットに適合可能となる。当該位置決めユニットは、位置決め装置を備え、検眼鏡レンズは、位置決め装置によって、光路の長手方向において顕微鏡に対して移動される。また、本発明は、位置決めユニットを有する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科手術を行うための顕微鏡は、眼の前部における手術のために一般的に用いられる。こういった外科的介入が、眼の後方においても行われる場合、眼のこの特定の領域に焦点を合わせるのを可能にする検査装置を、顕微鏡に追加する必要がある。こういった検査装置は、眼の関連後部の広角を検査するための少なくとも1つの広角レンズ又は検眼鏡レンズを備えており、当該検眼鏡レンズは、顕微鏡の前方における光路の中間画像を提供し、この中間画像は、顕微鏡の補助により焦点が合わせられることが可能である。中間画像に焦点を合わせるためには、顕微鏡の光路の長さを短縮させる必要がある。この短縮は、顕微鏡における対応する設定手段によって行うことが可能である。しかしながら、検眼鏡レンズを用いた場合と検眼鏡レンズを用いない場合との異なる画像表示の間の切替えが、眼科手術中に要求されているので、そのような顕微鏡の設定が障害となる。このことは、縮小レンズが顕微鏡レンズの前方における光路に備えられうる理由となっている。当該縮小レンズは、顕微鏡の光路を短縮する役目を果たし、かつ検眼鏡レンズと共に用いられる。これらの2つのレンズは、検査装置の位置決めユニットによって保持され、この位置決めユニットは、顕微鏡に直接固定され、かつ必要に応じて光路に配置可能であり、顕微鏡は手術中に実質的に適合させる必要はない。位置決めユニットは、一般的に、接続装置を備えており、該位置決めユニットは、この接続装置によって、顕微鏡に連結されることが可能である。また、位置決めユニットは、上記の関連レンズが単に光路の中へ枢動又は摺動可能となるように、かつ上記の関連レンズが光路から取り外し可能とするように実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検眼鏡レンズの中間画像を、可能な限り正確に顕微鏡レンズの焦点距離に適合可能とするために、一般的に、検眼鏡レンズは、顕微鏡の光路に沿って設定可能なように実現される。こういった検眼鏡レンズの長手方向の変位は、異なる方法で機械的に実現可能である。金属製のねじ切り駆動部の補助による検眼鏡レンズの長手方向の変位の他には、特に特許文献1から分かるように、位置決めユニットを主にプラスチック材料から実現し、かつダブルロッカー機構を介して検眼鏡レンズの長手方向の変位を実現している。この位置決めユニットの利点は、位置決めユニットが低コストで、例えば射出成型法で製造可能である点であり、収益性という観点から見ると、このことは、位置決めユニット及び/又は検査装置を使い捨て製品として用いることを可能にする。この場合、位置決めユニット及び検査装置の滅菌が、もはや全く必要とならない。しかしながら、ここで不利な点は、金属に対してプラスチックは、特に脆弱なロッカー・バー機構の場合、検眼鏡レンズを位置決めするために必要とされる所望の精度でもって製造することは必ずしも可能ではない点である。このように、選択したプラスチック射出成型法、射出成型金型、仕上がった位置決めユニットの保管、又は他の要因により、位置決めユニットが、張力によって型崩れする可能性があり、このことは、位置決めユニットの寸法の許容し難い偏差につながる可能性がある。
【0005】
よって、本発明はより正確な位置決めを可能とする位置決めユニット及び検査装置を提案するという目的に基づいている。
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を有する位置決めユニットと、請求項14の特徴を有する検査装置と、請求項16の特徴を有する顕微鏡とによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る位置決めユニットは、光学ユニットを、顕微鏡レンズ及び検査しようとする眼の前方の間で、顕微鏡の光路において位置決めするための位置決めユニットであって、当該位置決めユニットは、前記位置決めユニットを前記顕微鏡に連結させる接続装置と、眼底を検査する役目を果たす検眼鏡レンズを、前記光学ユニットの光学素子として、前記位置決めユニットに適合可能にさせる収納装置と、前記検眼鏡レンズを、前記顕微鏡に対して前記光路の長手方向に移動させる位置決め装置とを備え、前記収納装置は調整手段を有し、前記検眼鏡レンズは、前記調整手段によって、前記顕微鏡の前記光路に対して直交して広がる調整平面において変位可能となることを特徴とする。
【0008】
位置決めユニットは、接続装置によって容易に顕微鏡に、又は顕微鏡レンズに固着されるように構成され、かつ検眼鏡レンズは、検査しようとする眼と顕微鏡レンズとの間で、前記顕微鏡レンズの前記光路において保持されることが可能である。ここで、顕微鏡レンズの主軸又は光軸が、検眼鏡レンズの中心を通過するように検眼鏡レンズを配置することが想定される。収納装置が調整手段を有し、検眼鏡レンズは、調整手段によって、光路又は顕微鏡レンズ軸に対して変位することが可能になるため、位置決めユニットを用いて、このように特に容易に、検眼鏡レンズを配置することが可能である。その後、検眼鏡レンズの中心若しくは主軸と顕微鏡レンズの光軸とが一直線に整列するまで、検眼鏡レンズは、顕微鏡レンズ軸に関し直交して広がる調整平面において位置を変えることが可能である。その後、検眼鏡レンズの再調整が調整手段によって常に可能であるので、位置決めユニットが特に寸法的に安定であるかどうかは、原則として無関係でもある。他の点において、潜在的に欠陥があると考えられ、かつ廃物となることを明言しなければならないような位置決めユニットが、使用可能となり、それによって位置決めユニットは全体として低コストで製造可能である。その上、顕微鏡の光路における検眼鏡レンズの位置修正が可能になることよって、位置決めユニットの補助により、とりわけ正確な目の画像を検査することが可能になるので、位置決めユニットの使用法を改善することが可能になる。
【0009】
前記収納装置は、前記検眼鏡レンズの保持、及び前記検眼鏡レンズの前記位置決め装置との接続のための保持手段を実現することが可能である。このように、収納装置は、位置決めユニットとは別に検眼鏡レンズを実現し、かつ位置決めユニット全体を交換する必要なしに、必要に応じて検眼鏡レンズを、例えば眼科手術中に交換することを可能にする。そしてまた、検眼鏡レンズを有する位置決めユニットを、検査装置に必要に応じて追加することは、執刀医に委ねられる。検眼鏡レンズと収納装置との標準化された接続を可能にするために、検眼鏡レンズは保持手段によって、所定の位置に保持することが可能であり、位置決めユニットの収納装置と接続した保持手段は、例えば、プラグイン接続の態様で実現される。位置決めユニットにおけるこのインターフェイスによって、異なるタイプの検眼鏡レンズが位置決めユニットに適合可能である。検眼鏡レンズが1回のみ使用されることを確実にするため、保持手段と検眼鏡レンズとが分離される時、保持手段が壊れるような保持手段の実現も想定されるかもしれない。接続エレメントはよって、保持手段において想定可能であり、当該接続エレメントは、例えば、取り外しが接続エレメントが必ず壊れるようにすることによってのみ可能なように、この部品を組み立てる際に、所定の破壊ポイントを有する、かつカチッと留まり込むような戻り止めエレメントの態様で実現される。保持手段は、プラグ収納部の態様で実現可能であり、プラグ収納部に、検眼鏡レンズのピン形状の保持ブラケットを差し込むことが可能である。
【0010】
前記保持手段は、前記顕微鏡の前記光路と平行になるように実現される軸の周りを枢動可能なように、前記位置決め装置において配置されることが可能である。このように保持手段を配置することで、顕微鏡の光路において直交して、位置決めユニットにおいて検眼鏡レンズを枢動させる、又は調整平面内に検眼鏡レンズを位置決めすることを可能にする。調整平面は、検眼鏡レンズが枢動可能な平面である。このことはまた、顕微鏡レンズに対する検眼鏡レンズの距離が、同じまま、つまり、検眼鏡レンズが枢動する間変わらないままであることを確実にする。軸は、位置決めユニット自体において又は保持手段において、ピン形状の延長部の態様で実現可能である。この延長部は、保持手段又は位置決め装置におけるベアリング凹部へと差し込むことが可能である。この場合、ピン形状の延長部はベアリング凹部と共に繋止することも可能にしており、それによって位置決め装置における保持手段の特段の固着を不要にしている。
【0011】
前記調整手段は、前記位置決め装置と前記保持手段との間にある連結伝動装置から実現されることが可能である。連結伝動装置は少なくとも1つの連結部材を提供することが可能であり、その少なくとも1つの連結部材は、検眼鏡レンズが保持手段の又は位置決め装置の軸にて枢動可能な態様で、調整平面の方向で保持手段に対して位置決め装置を配置することを可能にしている。連結部材又は連結伝動装置によって、検眼鏡レンズが枢動する、又は調整されることが可能になる。
【0012】
前記連結伝動装置は、前記検眼鏡レンズの変位の経路と前記調整手段の作動経路との間で伝動を有するように実現可能であり、変位の当該経路は前記作動経路よりも小さい。このように、比較的大きな作動経路を用いて、変位の小さな経路を調達するとともに、結果として、特に正確に検眼鏡レンズを設定することが有利に可能になる。検眼鏡レンズのこの調整は、執刀医によって手動で行われるので、検眼鏡レンズの位置の特に正確な修正を、必要に応じて常に確保することが可能である。
【0013】
前記調整手段は、第1の調整軸を介して前記位置決め装置と、第2の調整軸を介して前記保持手段とに連結される調整レバーを提供することが可能である。前記第2の調整軸は、前記調整平面の方向に前記第1の調整軸から離間している。この場合、調整レバーは、連結部材に対応することが可能であり、この連結部材が各場合において、調整軸を介して位置決め装置と、保持手段とに連結される。第1の調整軸及び第2の調整軸は、互いに離間しているので、調整レバーの移動により、調整平面の方向における保持手段に対する位置決め装置の移動、つまり、顕微鏡の光路に対して直交した移動をもたらすことを可能にし、当該保持手段又は位置決め装置は、保持手段及び位置決め装置の間で実現される軸の周りを、互いに枢動するように構成されている。この第1及び第2の調整軸は、各場合においてピンタイプの延長部として実現され、かつアナログ的に実現される凹部又はベアリング収納部に挿入されることが可能である。それぞれのピン形状の延長部は、ベアリング収納部と共に繋止することも可能である。調整軸は、調整レバー、位置決め装置、又は保持手段において実現することが可能であり、それぞれのベアリング収納部は、位置決め装置、保持手段、又は調整レバーにおいて実現することが可能である。
【0014】
前記調整レバーは、掴み縁の長手方向の端部におけるプレートによって実現される。前記掴み縁は、指先の間に掴まれる役目を果たすように実現されることが可能である。このようにしてプレートは、保持手段と位置決め装置との間に配置される態様で実現することが可能である。プレートがその長手方向の端部にて指先で掴まれ、かつ第1の調整軸の周りでプレートを回転させることによって移動されるので、調整手段の簡易な操作が可能になる。そしてプレートは、第2の調整軸の移動、結果として調整平面における検眼鏡レンズ及び保持手段の移動をもたらす。プレートは1つのピースになるように実現されることが可能であり、かつ第1の調整軸及び第2の調整軸を提供することが可能である。
【0015】
代替として、前記調整レバーは、指先の間で掴まれる役目を果たす作動端部を有するように実現されることが可能である。作動端部は調整レバーに成形することが可能であり、又は調整レバーの延長部の態様で実現されることが可能である。
【0016】
前記調整手段は、偏心器を有する調整軸を提供することが可能である。当該調整軸は、前記位置決め装置と、前記保持手段とに連結されることが可能であり、当該偏心器は、前記位置決め装置において又は前記保持手段において、前記調整平面の前記方向に伸長することが可能である。偏心器が位置決め装置に対して又は保持手段に対して寄り掛かかっているので、偏心器は原則として調整レバーを実現し、位置決め装置及び保持手段の相対的変位を可能にしている。ここで、調整軸はピン形状の延長部として実現されることが可能であり、偏心器はこの延長部へと成形される。調整軸は位置決め装置又は保持手段におけるベアリング凹部へと挿入することが可能であり、これは偏心器が位置決め装置又は保持手段に対して寄り掛かっているかどうかで決まる。
【0017】
前記位置決めユニットは、前記光学ユニットのもう1つ別の光学素子としての縮小レンズを収納するための取付具を実現することが可能である。位置決めユニットが顕微鏡に固着される場合、取付具は顕微鏡レンズに直接的に隣接するように配置されることが可能である。
【0018】
光路の長手方向において検眼鏡レンズが可動であることは、光学ユニットを検査しようとする眼に対して適合させる、及び/又は顕微鏡の光路を、光路において位置する中間画像に適合させることを可能にし、この適合のために、顕微鏡の設定を変える必要はない。
【0019】
前記位置決め装置は設定手段を備えることが可能である。前記設定手段によって、前記検眼鏡レンズの位置が、前記光路の前記長手方向に設定可能である。このように、中間画像を合焦させるために、検眼鏡レンズの対応設定を変更すること、又は光路の長手方向の光路における検眼鏡レンズの位置を修正することが可能である。このように、検眼鏡レンズがそれぞれの所期の位置に位置決めすることが、確実に行われることを可能にし、検眼鏡レンズの設定又は位置決めは、例えば執刀医によって手動で行われる。特に簡易な実施形態において、設定手段はウォーム伝動装置又は偏心器伝動装置を有する設定ホイールから形成可能である。例えば、設定手段は、検眼鏡レンズの長手方向の調整のために、ハブに簡単に差し込まれ、かつ位置決め装置の連結伝動装置と係合することが可能な射出成型品として製造することが可能である。
【0020】
前記接続装置は、少なくとも1つの戻り止め手段を備えるヒンジを有するように実現されることが可能である。前記少なくとも1つの戻り止め手段によって、前記光学ユニットが、前記光路の使用の位置に及び/又は前記光路の外側の非使用の位置に繋止可能である。接続装置に対して位置決め装置を枢動させることを可能にするように、ヒンジが、接続装置及び位置決め装置の間で実現可能である。また、接続装置において及び位置決め装置において、戻り止め手段が実現可能であり、この戻り止め手段は、戻り止めつまみと、戻り止めつまみと係合するための戻り止め窪みとから実現可能である。戻り止めつまみ及び戻り止め窪みの各々は、接続装置又は位置決め装置に対して成形可能である。戻り止め窪みは、使用の位置又は非使用の位置において、戻り止めつまみが各場合において戻り止め窪みと係合する態様で配置されることが可能であり、このようにして光学ユニット又は位置決め装置を繋止することを可能にしている。
【0021】
前記位置決めユニットは、少なくとも主に、好ましくは完全にプラスチック材料から実現可能である。このように、位置決めユニットの部品は、例えば射出成形プロセスで低コストで製造することが可能であるため、位置決めユニットの製造コストを大幅に削減することが可能である。プラスチック材料を用いることによって達成可能なコスト削減は、位置決めユニットの再利用を全くしないこと、かつ利用後の位置決めユニットを廃棄することを可能にする。これにより、滅菌及びメンテナンスのためのコストが発生しないので、更なるコスト面の利益が生じる。位置決めユニットを1回だけ使用することによって、滅菌に関連する位置決めユニットにおける汚濁及び不具合のリスクを更に排除することも可能である。
【0022】
本発明に係る検査装置は、本発明に係る位置決めユニットと、光学ユニットとを有し、前記光学ユニットの光学素子は、検眼鏡レンズである。また、検眼鏡レンズは、1つのピースになるように実現されることが想定されてもよい。この場合、検眼鏡レンズは対応の光学的品質を有するプラスチック材料から製造可能でもある。
【0023】
前記光学ユニットのもう1つ別の光学素子が、縮小レンズとして実現可能であり、前記縮小レンズは、前記光路を適合させる役目を果たす。
【0024】
本発明に係る顕微鏡は、本発明に係る検査装置を提供する。
【0025】
顕微鏡または検査装置の他の有利な実施形態は、請求項1に従属する従属請求項に含まれる特徴の記載から生じる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は操作位置における位置決めユニットを有する検査装置の斜視図を示している。
【
図2】
図2は
図1における位置決めユニットの調整手段の分解斜視図を示している。
【
図3A】
図3Aは検眼鏡レンズの異なる位置での上方から見た図における
図1の検査装置を示している。
【
図3B】
図3Bは検眼鏡レンズの異なる位置での上方から見た図における
図1の検査装置を示している。
【
図3C】
図3Cは検眼鏡レンズの異なる位置での上方から見た図における
図1の検査装置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施形態について、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
図1及び
図2は、位置決めユニット11と、検眼鏡レンズ12と、縮小レンズ13とを有する検査装置10を示している。検眼鏡レンズ12及び縮小レンズ13は、位置決めユニット11に適合可能な光学ユニット14を形成している。検眼鏡レンズ12は、取付具15と、ピン形状の保持ブラケット16とを有するように実現される。縮小レンズ13は、位置決めユニット11の取付具17に挿入される。検眼鏡レンズ12及び縮小レンズ13は、位置決めユニット11によって、顕微鏡レンズの光軸が光学ユニット14の光軸18と一直線に整列するように、図示しない顕微鏡レンズの下に位置決め可能である。よって、顕微鏡の光路は、光学ユニット14を通って、又は光軸18に沿って伸長する。
【0029】
位置決めユニット11は、接続装置19と、位置決め装置20と、該接続装置19と該位置決め装置20との間で実現される顕微鏡の光路から外すように、また光路中に入るように、位置決め装置20を光学ユニット14と共に枢動するためのヒンジ21とを備える。接続装置19は、接続装置19を図示しない顕微鏡のアダプター手段に繋げるための係合エレメント22を提供する。また、接続装置19は、位置決め装置20における戻り止め凹部25と係合可能なカム24を有する板バネ23を実現する。このように、位置決め装置20及びヒンジ21を枢動し、かつ位置決め装置20及びヒンジ21を、図示する使用位置に又は光路の外にある非使用の位置に繋止することが可能である。
【0030】
位置決め装置20は、連結部材28を介して互いに連結される第1のダブルロッカー機構26及び第2のダブルロッカー機構27から実現される。ダブルロッカー機構26、27は、変速比1対1であるとともに、このようにして、光軸18に沿って検眼鏡レンズ12を移動させることを可能にしている。この検眼鏡レンズ12の移動は、設定ホイール30と、軸31と、軸31に成形されるねじ湾曲部32とから実現される設定手段29によってもたらされる。設定ホイール30を回転させることで、ねじ湾曲部32が第1のダブルロッカー機構26のロッカー33にて回転して離れ、そしてその結果、検眼鏡レンズ12の昇降がもたらされる。
【0031】
検眼鏡レンズ12又はその保持ブラケット16を収納し、かつ適合させる収納装置35は、位置決め装置20の下端部34において配置される。収納装置35は、保持ブラケット16のための収納部37を実現する保持手段36を有し、その収納部37に保持ブラケット16が差し込まれ、そこにカチッと留まり込むことが可能になっている。また、位置決め装置2におけるベアリング凹部39に差し込まれ、かつそこでカチッと留まり込む軸38が、保持手段36にて実現される。収納装置35は更に、調整手段40を有し、調整手段40によって、検眼鏡レンズ12は、顕微鏡の光路に対して直交して広がる調整平面41において変位可能になる。調整手段40は、プレート42及び保持手段36によって実現され、当該プレート42は、第1の調整軸43及び第2の調整軸44を実現する。第1の調整軸43は、位置決め装置20において実現されるもう一つ別のベアリング凹部45に挿入され、当該第2の調整軸44は、ここでは見えていない保持手段36におけるベアリング凹部に挿入される。プレート42の第1の調整軸43周りの回転動作が、保持手段36の軸38周りの枢動をもたらすように、第1の調整軸43は、第2の調整軸44から離間している。プレート42を枢動するために、プレート42はそのそれぞれの長手方向の端部46において掴み縁47を有している。これらの掴み縁47は、指先の間に容易に掴むことが可能で、かつ優れた運動技能を用いて、プレート42を第1の調整軸43の周りで容易に回転させることを可能にしている。プレート42は、第1の調整軸43及び第2の調整軸44を用いて調整レバー48を実現し、プレート42の作動経路は、第1の調整軸43及び第2の調整軸44の補助により、検眼鏡レンズ12の変位の経路へと変えることが可能になる。ここで、検眼鏡レンズ12の正確な調整が可能となるように、変位の経路は作動経路よりも小さい。
【0032】
図3A~3Cは、縮小レンズ13の中心49に対する、検眼鏡レンズ12の可能な変位を示している。
図3Aにおいて、検眼鏡レンズ12は、縮小レンズ13に対して同芯状になるように配置されており、縮小レンズ13の中心49は、検眼鏡レンズ12の中心50と一直線に整列している。これにより、光軸18は、中心49及び中心50を通過するようになる。ここで、縮小レンズ13は、顕微鏡レンズの直下に位置するように配置できるので、縮小レンズ13を特に調整又は設定することは必要とされない。よって、位置決め装置20のあり得る寸法のバラツキを理由として、縮小レンズ13を参考にして、検眼鏡レンズ12を調整するだけでよい。
図3B及び3Cの各々は、中心49と中心50とが 一直線に整列しないように、光軸18に対して検眼鏡レンズ12又は縮小レンズ13のオフセットを示している。ここで、このオフセットはプレート42から生じており、そしてその結果、保持手段36が、軸38の周りを枢動することになる。