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特許7071326未硬化の断熱及び/又は遮音性製品、並びにこの製品から得られる絶縁性ライニング
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  • 特許-未硬化の断熱及び/又は遮音性製品、並びにこの製品から得られる絶縁性ライニング 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】未硬化の断熱及び/又は遮音性製品、並びにこの製品から得られる絶縁性ライニング
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/41 20060101AFI20220511BHJP
   D06M 15/03 20060101ALI20220511BHJP
   D06M 15/55 20060101ALI20220511BHJP
   D04H 1/4218 20120101ALI20220511BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20220511BHJP
   G10K 11/162 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
D06M15/41
D06M15/03
D06M15/55
D04H1/4218
B32B5/26
G10K11/162
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019500797
(86)(22)【出願日】2017-07-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 FR2017051963
(87)【国際公開番号】W WO2018015657
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-06-19
(31)【優先権主張番号】1657002
(32)【優先日】2016-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502425053
【氏名又は名称】サン-ゴバン イゾベール
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン ティエリ
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0088938(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0123760(US,A1)
【文献】特表2005-531753(JP,A)
【文献】特表2012-514141(JP,A)
【文献】特表2014-516123(JP,A)
【文献】特表2016-512578(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104884692(CN,A)
【文献】特開2016-022681(JP,A)
【文献】特開2002-046551(JP,A)
【文献】特表2000-506944(JP,A)
【文献】特開2001-337681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H1/00-18/04
D06M13/00-15/715
B32B1/00-43/00
B60R13/01-13/08
E04B1/62-1/99
G10K11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミネラルウールをベースとし、有利にはグラスウールをベースとし、少なくとも1種のバインダによってサイジングされたミネラルウールプライを含む未硬化の断熱及び/又は遮音性製品であって、前記サイジングされたプライは、以下を有する、未硬化の断熱及び/又は遮音性製品:
-EN 822規格によって測定して、350g/m以下、好ましくは300g/m以下、又は、250g/m以下、そして場合により、200g/m以上の表面密度又は基本重量、
-5グラムで3以下のマイクロネア、好ましくは15L/分以下、さらにより好ましくは12L/分以下、そして少なくとも9L/分のマイクロネア、及び、
-10mmを超え、又は、15mm以上、又はさらには25mm以上の厚さ。
【請求項2】
ミネラルウール及びバインダの合計質量に対して8~14質量%のバインダ、好ましくは9~13質量%のバインダを含み、かつそれが熱硬化性バインダから選ばれる、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記バインダは、(i)フェノール-ホルムアルデヒド樹脂をベースとするか、(ii)ポリエポキシドをベースとするか、又は(iii)炭水化物をベースとする、熱硬化性バインダから選ばれる、請求項2に記載の製品。
【請求項4】
前記ミネラルウール繊維は、疎水性及び/又は疎油性の織布又は不織布ウェブ上に置かれている、請求項1~3のいずれか一項に記載の製品。
【請求項5】
含浸、コーティング又はヒートセットによって前記ウェブに固定された化合物に起因して、前記ウェブが、さらに、難燃性及び/又は殺菌性を有する、請求項4に記載の製品。
【請求項6】
前記ウェブは、(i)ポリエステル及び/又はビスコース繊維をベースとするか、(ii)ポリプロピレン繊維をベースとするか、又は、(iii)炭素繊維又はポリエステル強化ガラスウェブをベースとする、ポリエステル系織布ウェブ又はニードルパンチ不織布ウェブである、請求項4又は5に記載の製品。
【請求項7】
バインダの重合温度で成形することによって、請求項1~6のいずれか一項に記載の断熱及び/又は遮音性製品から得られるライニングであって、場合により、非平面のライニングは取り付けられることが意図された支持表面の輪郭に適合している、ライニング。
【請求項8】
ISO 8301規格によって10℃で測定して42mW/(mK)以下、好ましくは40mW/(mK)以下の熱伝導率を有し、かつ/又は以下を有する、請求項7に記載のライニング:
・前記ミネラルウールプライが10mm以上の厚さを有する場合に、ISO 9053規格によって測定して28000N.s/m以上の空気流抵抗率、又は、
・前記ミネラルウールプライが15mm以上の厚さを有する場合に、ISO 9053規格によって測定して13500N.s/m以上の空気流抵抗率、又は、
・前記ミネラルウールプライが25mm以上の厚さを有する場合に、ISO 9053規格によって測定して8000N.s/m以上の空気流抵抗率。
【請求項9】
DA 49 1997規格によって測定して、1300~9000Hz、有利には1800~9000Hzで0.8以上の吸音率を有する、請求項7又は8に記載のライニング。
【請求項10】
軸X、特に垂直軸に関して回転することができる少なくとも1つのスピナー及び溶融材料のフィラメントを供給するための複数のオリフィスで貫通されている周縁バンドを含む内部遠心デバイス;フィラメントを繊維へと細くする環状バーナーの形態の高温ガス繊細化手段;並びに繊維を受け取るための吸引手段に連携された受容ベルトを含む設備を用いて、請求項1~6のいずれか一項に記載のミネラルウールをベースとし、有利にはグラスウールをベースとする未硬化の断熱及び/又は遮音性製品を製造する方法であって、前記方法は、少なくとも以下のパラメータの組み合わせを調整することからなる、製造方法
-250~750mmWC、好ましくは280~440mmWCであるバーナーの圧力、
-1350℃~1450℃であるバーナーの温度、
-最大1kgであるスピナーオリフィス当たりの1日繊維生産量、総生産量は26kg/日以下である、及び、
-38~90m/分である、受容ベルトの走行速度と前記ベルトの幅との積(P)。
【請求項11】
前記スピナーの回転速度は1500~3000回転/分であり、かつ/又は、前記スピナーの直径は200~800mm、好ましくは400mmであり、かつ/又は、前記ミネラルウール繊維は10~50cmの長さを有するロービングの形態で受容ベルト上に受容される、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記受容ベルトの走行速度は、30m/分~50m/分であり、そして前記受容ベルトの幅は700mm~1800mmである、請求項10又は11に記載の製造方法。
【請求項13】
以下を含む、請求項7~9のいずれか一項に記載のライニングの製造方法:
請求項10~12のいずれか一項に記載の断熱及び/又は遮音性製品の製造方法と、それに続いて、(i)前記製品中のバインダを軟化又は重合させるのに十分な温度に前記製品を加熱する方法、及び、(ii)前記製品を変形させ、それにより、ライニングの所望の形状に適合させる方法を同時に実施する熱圧縮工程。
【請求項14】
請求項7~9のいずれか一項に記載のライニングの、乗物における断熱及び/又は遮音材としての使用、特にエンジン又は乗物乗員室の断熱及び/又は遮音のための天井、壁又はパーティション上、屋根の下、又はさらには家電製品における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に絶縁用ライニングの製造に使用することを意図した、グラスウールなどのミネラルウールをベースとする断熱及び/又は遮音性製品に関する。これらのライニングは、乗物のエンジン又は他には乗員室の遮音及び/又は断熱を可能にする。本発明はまた、そのような製品を製造するための方法及びそのようなライニングを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン又はメラミンフォームなどの粘性損失によって音を減衰させるフォームタイプの材料から製造される遮音材は知られている。しかしながら、石油製品から誘導されるこれらのフォームは、あまり環境的に優しくなく、火災の際には非常に有毒であることが証明されている。具体的には、それらは一般にVOCと呼ばれる揮発性有機化合物を放出する。さらに、その自己支持性は、それらの乏しい剛性のために満足のいくものではない。
【0003】
現在、「グラスウール自動車グリーンマット(Glass Wool Automotive Green Mat)」の名称でサン-ゴバン イゾベール社(商標)によって販売されている範囲の製品があり、それは、約200℃で熱硬化されうるフェノール-ホルムアルデヒド樹脂タイプの熱硬化性バインダを含浸させたガラスウール層又はプライの形態であり、400~1800g/m、特に425g/mの基本重量を有する。このグラスウール層又はプライはポリエステル又はポリプロピレンでコーティングされており、そして火に対して処理されるか又は水及び油に対して耐性となるように処理される。このタイプの未硬化製品は、熱圧縮によって成形される乗物の絶縁性ライニングの製造に使用される。
【0004】
FR1429543明細書から、表面ライニングシート上に置かれた、ガラス繊維のプライ製のモールド成形要素を含む自動車の内部ルーフライニングも知られている。
【0005】
ガラス繊維のプライは、形成された繊維が最終繊維製品の質量に対して10~26質量%の割合の、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂タイプのバインダが噴霧される、成形ラインで製造される。このようにして処理された繊維は、次に、ランダムに落下し、そして層の形に組み立てられる。製造されるガラス繊維の寸法は、広い範囲内で変えることができ、またこれは0.009mm未満の直径を有することができる。厚さ50mm及び密度16g/dm3(すなわち800g/m2)のブランクを、未硬化バインダを含有するガラス繊維のプライから切断し、硬化後厚さ6.4mmを得るようにモールド内に入れて圧縮する。8~32g/dm(すなわち400~1600g/m)又はそれ以上の範囲のブランク密度が開示されている。
【0006】
しかしながら、これらの製品は重く、一方、自動車産業は燃料消費量を減らすために乗物の重量をさらに減らすことを必要とする。
【0007】
したがって、満足できる断熱特性及び/又は遮音特性、並びに良好な機械的強度を維持しながら、より軽量である断熱及び/又は遮音性製品が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
このために、本発明は、ミネラルウール、有利にはグラスウールをベースとし、少なくとも1つのバインダによりサイジングされたミネラルウール層を含む未硬化の断熱及び/又は遮音性製品を提案し、前記サイジングされた層は
-350g/m以下、好ましくは300g/m以下、又は、250g/m以下、そして場合により、200g/m以下の表面密度又は基本重量、
-5グラムでの3以下のマイクロネア、好ましくは15L/分以下、さらにより好ましくは12L/分以下、そして少なくとも9L/分のマイクロネアを有する。5グラムでのマイクロネアは、DIN53941又はASTM D144規格に従って測定される。非常に微細な繊維の場合のL/分でのマイクロネアは、国際公開第WO2003/098209号パンフレットに記載されている方法に従って測定され、それはDIN53941規格の装置に流量計を追加することになる。
【0009】
したがって、本発明による断熱及び/又は遮音性製品は、350g/m以下の基本重量を有する既知の製品よりも軽量であり、これにより、使用される材料の量を制限することが可能になり、ライニングに転化された製品が搭載される乗物の重量を制限することも可能になる。以下に見られるように、この製品はさらに驚くほど効率的な熱及び/又は音響特性を有する。
【0010】
他の特有の特徴によれば、製品は、ミネラルウール及びバインダの混合物の全質量に対して、8~14質量%のバインダ、好ましくは9~13質量%のバインダを含み、そして熱硬化性バインダから選ばれる。
【0011】
別の特有の特徴によれば、バインダは、(i)フェノール-ホルムアルデヒド樹脂をベースとする、(ii)ポリエポキシドをベースとする、又は、(iii)炭水化物をベースとする熱硬化性バインダから選ばれる。
【0012】
別の特有の特徴によれば、ミネラルウール繊維は、疎水性及び/又は疎油性の織布又は不織布ウェブ上に置かれる。
【0013】
別の特有の特徴によれば、含浸、コーティング又はヒートセットによって前記ウェブに固定された化合物により、ウェブはさらに難燃性及び/又は殺菌性を有する。
【0014】
別の特有の特徴によれば、ウェブは、(i)ポリエステル及び/又はビスコース繊維をベースとする、(ii)ポリプロピレン繊維をベースとする、又は、(iii)炭素繊維をベースとする、ポリエステル系織布ウェブ又はニードルパンチ不織布ウェブ、あるいは、ポリエステル強化ガラスウェブである。
【0015】
別の特有の特徴によれば、製品は、10mm以上又は15mm以上又はさらには25mm以上の厚さ、及び/又は、少なくとも6週間ロールで包装した後に、10mm以上又は15mm以上又はさらには25mm以上の厚さ回復性を有するプライである。
【0016】
本発明はまた、バインダの重合温度で成形することにより本発明による断熱及び/又は遮音性製品から得られるライニングに関し、場合により、非平面ライニングは取り付けが意図された支持表面の輪郭に適合している。
【0017】
別の特有の特徴によれば、ライニングは、40mW/(m.K)以下、好ましくは38mW/(m.K)以下の熱伝導率を有し、及び/又は、
・前記ミネラルウール層が10mm以上の厚さを有する場合には、28000N.s/m以上の空気流抵抗率、又は、
・前記ミネラルウール層が15mm以上の厚さを有する場合には、13500N.s/m以上の空気流抵抗率、又は、
・前記ミネラルウール層が25mm以上の厚さを有する場合には、8000N.s/m以上の空気流抵抗率、
を有する。
【0018】
別の独特の特徴によれば、ライニングは、DA 49 1997規格に従って測定して、1300~9000Hz、有利には1800~9000Hzで0.8以上の吸音率を有する。
【0019】
本発明はまた、軸X、特に垂直軸に関して回転することができる少なくとも1つのスピナー及び溶融材料のフィラメントを供給するための複数のオリフィスで貫通されている周縁バンドを含む内部遠心デバイス、フィラメントを繊維へと細くする環状バーナーの形態の高温ガス繊細化手段、繊維を受け取るための吸引手段に連携されている受容ベルトを含む設備の援助を用いて、上記のとおりのミネラルウール、有利にはグラスウールをベースとする未硬化の断熱及び/又は遮音性製品を製造する方法に関し、前記方法は、少なくとも
-250~750mmWC、好ましくは280~440mmWCであるバーナーの圧力、
-1350℃~1450℃であるバーナーの温度、
-最大1kgであるスピナーオリフィス当たりの1日繊維生産量、総生産量は26kg/日以下である、及び、
-38~90m/分である、受容ベルトの走行速度と前記ベルトの幅との積(P)
のパラメータの組み合わせを調整することからなる。
【0020】
別の特有の特徴によれば、スピナーの回転速度は1500~3000回転/分であり、及び/又は、スピナーの直径は200~800mm、好ましくは400mmであり、及び/又は、ミネラルウール繊維は10~50cmの長さを有するロービングの形態で受容ベルト上で受け取られる。
【0021】
別の特有の特徴によれば、受容ベルトの走行速度は30m/分~50m/分であり、受容ベルトの幅は700mm~1800mmである。
【0022】
本発明はまた、上記の断熱及び/又は遮音性製品の製造方法と、それに続いて、(i)前記製品中のバインダを軟化又は重合させるのに十分な温度まで前記製品を加熱する方法、及び、(ii)前記製品を変形させ、それにより、ライニングの所望の形状に適合させる方法を同時に実施する熱圧縮工程を含む、上記のライニングの製造方法にも関する。
【0023】
本発明はまた、上記のライニングの、乗物における断熱及び/又は遮音材としての使用、特にエンジン又は乗物乗員室の断熱及び/又は遮音のための天井、壁又はパーティション上、屋根の下、又はさらには家電製品における使用に関する。
【0024】
用語「ライニング」は、本発明の目的のために、使用又は販売する準備ができており、そして本発明による絶縁性製品の転化により生じる、あらゆる完成品を意味すると理解される。それは、とりわけ、パネル、パーティション、ドアパネル、ルーフライナー、フードライナー、バッテリーライナー又は外側計器パネルであることができる。それはまた、例えば洗濯機又は食器洗い機ライナーなどの家電製品のライナーであってもよい。
【0025】
用語「ロービング」は、本発明の目的のために、数百の鉱物繊維の群を意味すると理解される。
【0026】
用語「プライ」又は「フェルト」は、本発明の目的のために、上記に規定したように、幾つかのロービングの配置を意味し、場合により、空気流に抵抗するウェブであって、前記ロービングがその上及び/又はその下に横たわるウェブを含むものと理解される。そこで、表面処理プライ又はフェルトと呼ぶことができる。
【0027】
「熱伝導率」は、本発明の目的のために、伝導による熱伝達中の材料の挙動を特性化し、1ケルビン/メートルの温度勾配下で単位表面積及び時間当たりに伝達されるエネルギー(熱量)を表す。それはλ(又はk)によって表される。ISO 8301規格に従って10℃で測定される。
【0028】
用語「基本重量」は、本発明の目的のために、表面密度を特性化する量、すなわち前記ミネラルウールの単位表面積当たりの質量を意味すると理解される。単位は、典型的には1平方メートル当たりのグラム数(g/m)である。ミネラルウールの層は、その基本重量が低いと比例してより可撓性であり、その基本重量が高いと比例してより強い。基本重量は、EN 822規格から定義される。
【0029】
単位がN.s/mである「空気流抵抗率」は、本発明の目的のために、空気の流れに対する所与の製品又は媒体の抵抗を特性化する。この抵抗は前記製品又は媒体に固有のものである。その測定に関して、当業者は、ISO 9053規格に従って周知の手順を使用する。
【0030】
「吸音率」は、本発明の目的のために、0~1.00の値を有する吸音率アルファ(α)を使用して測定される。ゼロは吸収のないこと(全反射)を表し、1.00は音の全吸収を表す。
【0031】
場合によっては、吸音率の測定のために、拡散場測定装置のDA49 1997製造業者の規格に従って、アルファキャビン又はアルファサビンが使用される。アルファキャビン拡散場吸収率は自動車業界で慣習的に使用されている。
【0032】
用語「平均」は「算術平均」を意味する。
【0033】
本発明の他の特徴、詳細及び利点は、添付の図面を参照しながら、例示として示されるが限定を意味するものではない以下の説明を読んだときにより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、300g/mの基本重量を有する本発明によるガラスフェルト、及び、425g/mの基本重量を有する先行技術によるガラスフェルトについて、D 49 1977製造業者手順に従って測定された、Hz単位の周波数の関数としての吸収係数のグラフを表す。フェルトは両方とも30mmの厚さを有する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
ミネラルウール、特にグラスウールをベースとする製品は、高温ガス流による繊細化と組み合わせた既知の内部遠心法によって得られる。遠心デバイスと繊維収集ベルトとの間の移動中に、バインダとも呼ばれる水性結合性化合物は依然として熱い繊維上で気化し、次いで、その結合性化合物は、製品をライニングに転化させる間に、約200℃の温度で熱硬化反応を経験する。
【0036】
したがって、ミネラルウールをベースとする絶縁性製品の製造は一般に、遠心法によってガラス繊維を製造する工程を含む。
【0037】
鉱物繊維を形成するための方法は、溶融ガラス流を周縁に孔の空いたバスケットを介してスピナーに導入することからなり、該スピナーは高速で回転しそしてその周囲を非常に多数のオリフィスによって孔の空いた繊維化スピナーを有し、該オリフィスを通してガラスは遠心力の影響下でフィラメントの形で吐出される。
【0038】
次に、これらのフィラメントは、バーナーによって生成され、スピナーの壁に接近して進む環状高速温度繊細化流の作用を受ける。このようにして、前記流はフィラメントを細くしそしてそれを繊維へと転化させる。
【0039】
オリフィス当たりの繊維生産量は繊維化スピナーの直径に適合し、スピナーは、おそらく200~800mm、好ましくは400mmの直径を有する。
【0040】
スピナーに到達する溶融材料の総生産量は、26トン/日未満であり、そして15トン/日を超える。好ましくは18~24トン/日である。
【0041】
スピナーの回転速度に関しては、それは1500~3000回転/分、有利には2000回転/分以上である。
【0042】
ガラスを繊維に転化させるためのこの方法は、特定数の可変パラメータをバランスさせることを必要とする。特に、バーナーの圧力及び温度、さらには繊細化ガスの速度は、繊維精製の最適化において重要な役割を果たす。
【0043】
したがって、バーナーの圧力は250~750mmWCであり、好ましくは280~440mmWCであり、それは乱流を減少させることを可能にする。バーナーの圧力が280~440mmWCであるときに、スピナーと鉱物繊維受容ベルトとの間の空間はガスがより少なく装填されている。これにより、受容ベルトの下の吸引力を減少させることができ、したがって、より厚い鉱物繊維層、特に少なくとも10mm、又は、15mm以上、又はさらには25mm以上の鉱物繊維層を得ることができる。したがって、この鉱物繊維層の熱圧縮によって得られるライニングは、良好な吸音を可能にするのに十分な厚さを有する。
【0044】
1350℃~1500℃のバーナーの温度は、有利には1450℃である。
【0045】
スピナーのオリフィス当たりの1日の繊維生産量は、1kg以下、好ましくは0.8kg以下であり、そして少なくとも0.5kgである。
【0046】
一組の繊維からなるロービングの形で自然に一緒にグループ化されて形成された繊維は、この繊細化ガス流と同伴されて受容デバイス又は受容ベルトに運ばれ、該受容デバイス又は受容ベルトは移動しており、吸引手段と組み合わされたガス透過性ベルトによって一般的に形成されている。
【0047】
同時に、繊維が受容デバイスに向かって落下している間に、バインダは繊維上に噴霧される。このようにして、繊維は、繊維化スピナーを離れていく繊維上に発射しそして前記繊維をコーティングする熱硬化型の少なくとも1種の未硬化バインダの適用によって化学的に結合される。
【0048】
この段階で、新たにサイジングされた又はバインダでコーティングされた繊維を、移動しているベルト又は受容デバイス上に堆積又は発射し、それによりプライを形成する。ロービングの形で組み合わされる繊維を受容するためのベルトの走行速度は、30~50m/分である。
【0049】
吸引の影響下で受容デバイス上に繊維が蓄積すると、繊維プライを提供し、その厚さは製造される製品の目標最終基本重量に応じて変化しうる。
【0050】
さらに、製造プロセスの間に、ミネラルウール繊維は、700mm~1800mm、好ましくは850mm~1500mmの幅にわたって受容ベルト上に受容されうる。
【0051】
有利には、ミネラルウール繊維は、10~50cm、より特定的には15~20cmの長さを有するロービングの形態で受容ベルト上に受容される。このサイズのロービングは、前記製品の長さ及び幅の両方において基本重量に関して前記ロービングの良好な分布を得るために有利である。
【0052】
この方法は、絶縁性製品の幅、すなわち移動している受容ベルトの幅において繊維を良好に分布させることを可能にする。
【0053】
さらに、本発明の本質的なパラメータは、受容ベルトの速度と前記ベルトの幅との積Pである。この積Pは、38~90m/分、好ましくは40~60m/分、又は、40~50m/分である。それは表面流速と等価であることを表す。この量は、製品の基本重量特性を規定するのに不可欠である。
【0054】
1つの実施形態によれば、繊維を受容する前に織布又は不織布ウェブを使用してもよく、それは次いで、移動ベルト上でロービングを受容する上流の移動ベルト上に配置される。それゆえ、繊維のロービングは繊維化スピナーの出口で前記ウェブ上に置かれる。次に、底部から上部に向かって、ウェブ及び鉱物繊維ロービングの層を有する、コンベア上に置かれたプライが得られる。
【0055】
最後に、搬送中に第二のウェブを配置することが考えられ、この第二のウェブは鉱物繊維を上記の第一のウェブとともに「サンドイッチ」する。次いで、コンベア上に置かれたプライは、底部から上部まで、より低い位置において、鉱物繊維ロービングの層の第一のウェブから構成され、そしてより上の位置において、第二のウェブから構成されている。
【0056】
受容デバイスの出口において、10mmより大きい、有利には15~50mmの範囲、そしてより一般的には20~30mmの範囲の厚さを有するプライは得られ、表面密度は200~350g/m2の範囲である。
【0057】
次にプライを横方向又は縦方向に切断し、巻き取りそして貯蔵することができる。使用されるときに、それは最も満足のいく方法で巻き出しされ、切断され、動かされ、取り扱われ、モールド内で位置決めされ及び/又は変形されることができる。
【0058】
繊維の繊度はそれらのマイクロネアの値によって決定されることを思い出されたい。「繊度指数」とも呼ばれる、マイクロネアの測定は、非サイジングのバットから抽出された所与の量の繊維が所与の圧力のガス、一般に空気又は窒素にさらされたときの、空気力学的圧力損失の測定によって、比表面積の姿を与える。この測定は、鉱物繊維製造装置における標準的なやり方であり、DIN53941又はASTM D 1448規格に従って実施され、そして「マイクロネア装置」と呼ばれるものを使用する。この装置は、5gでの値を与える。マイクロネアは繊維の平均直径の影響を受ける。低マイクロネアは一般に、小さい平均直径を有する繊維に対応する。等価密度では、マイクロネアの減少は空気流抵抗率の増加をもたらす。
【0059】
しかしながら、そのような装置は、繊維の特定の繊度に関して測定限界を有する。非常に細い繊維の場合には、繊度(「マイクロネア」)は、特許出願WO2003/098209に記載されている既知の技術によって、L/分で測定することができる。この特許出願は、特に、繊度指数を測定するためのデバイスを備える繊維の繊度指数を測定するためのデバイスに関し、この繊度指数測定デバイスは、一方で、複数の繊維からなるサンプルを受けるのに適する測定セルに接続された少なくとも第一のオリフィスを備え、他方、前記サンプルの両側に生じる差圧を測定するためのデバイスに接続された第二のオリフィスを備え、前記差圧測定デバイスは流体流量生成デバイスに接続されることが意図される。ここで、この繊度指数測定デバイスは、前記セルを通過する流体を測定するための少なくとも1つの体積流量計を含むことを特徴とする。このデバイスは、5gでの「マイクロネア」値と、1分当たりのリットル数(L/分)で示す「マイクロネア」値との間の対応関係を与える。
【0060】
参考までに、マイクロネア値と繊維サンプルの平均直径値との間の対応関係はこの文献WO2003/098209によって記載することができる。全体として、約12L/分のマイクロネア値は約2.5~3マイクロメートルの平均直径に対応し、約13.5L/分の値は実質的に3~3.5マイクロメートルの平均直径に対応し、そして最後に約18L/分の値は約4~5マイクロメートルの平均直径に対応する。
【0061】
上述の方法によって得ることができる本発明による絶縁性製品は、特定の数の特徴、すなわち以下の特徴を組み合わせることができる。
・ミネラルウール層の表面密度は、好ましくは300g/m以下であり、又は、250g /m以下であり、場合により、200g/m以上であることができる、及び/又は、
・ミネラルウール層のマイクロネアは、好ましくは15L/分以下であり、より一層好ましくは12L/分以下であり、そして少なくとも9L/分であることができる。
【0062】
ミネラルウール、有利にはグラスウールをベースとし、そして上記プライを形成する本発明による製品は、さらに、熱硬化性バインダから有利に選ぶことができる少なくとも1種のバインダを含む。
【0063】
熱硬化性バインダは不可逆的な重合が関与し、それにより固体の、一般的に硬い最終製品をもたらす。それは樹脂及び架橋剤を架橋することによって調製され、それらは反応体、すなわち触媒及び重合促進剤の存在下で熱の作用下で反応する。
【0064】
熱硬化性バインダとしては、(i)フェノール-ホルムアルデヒド樹脂をベースとする、(ii)ポリエポキシドをベースとする、又は、(iii)炭水化物をベースとするバインダを挙げることができる。
【0065】
フェノール-ホルムアルデヒド樹脂は、好ましくは、遊離ホルムアルデヒドの含有量が低い樹脂、特に出願WO-2008/043960及びWO-2008/043961に記載されているものから選ばれる。例えば、出願WO-2008/043960については遊離ホルムアルデヒド含有量が0.1%以下であり、出願WO-2008/043961については遊離ホルムアルデヒド含有量が0.3%以下であり、そして遊離フェノール含有量が0.5%以下である、フェノール-ホルムアルデヒド及びフェノール-ホルムアルデヒド-アミン縮合物から本質的に形成される液体樹脂が挙げられ、その含有量は液体の総質量により表される。
【0066】
用語「炭水化物」は、本出願内では、再生可能資源に由来する製品を意味すると理解される。それらは、本出願において、厳密な意味での炭水化物、すなわち、少なくとも1つのアルデヒド又はケトン基(還元性基)を有する式C(HO)の還元糖又は炭素の水和物だけでなく、アルデヒド又はケトン基が還元されたこれらの炭素水和物の水素化生成物をも包含する。したがって、還元糖、非還元糖、糖アルコール又はさらに水素化糖を挙げることができ、単糖類、二糖類、オリゴ糖類及び多糖類ならびにこれらの製品の混合物から選ばれる糖類の還元から生じるすべての生成物を包含する。
【0067】
エポキシドポリマー又は不適切に「エポキシ」ポリマーとも呼ばれるポリエポキシドは、酸無水物、フェノール又は最も頻繁にはアミン(ポリアミン、アミノアミド)に基づくことができる架橋剤である硬化剤によるエポキシドモノマーの重合によって製造される。エポキシ(又はエポキシド)樹脂は、熱の影響下で、硬化剤の存在下で不可逆的に硬化する。
【0068】
本発明による製品中のバインダの含有量は、ミネラルウール及びバインダの合計質量に対して、8~14質量%、好ましくは9~13質量%の範囲であることができる。
【0069】
ミネラルウール繊維は、疎水性及び/又は疎油性であることができる織布又は不織布ウェブ上に有利に置かれる。含浸、コーティング又はヒートセットによって前記ウェブに固定された化合物によって、さらに難燃性及び/又は殺菌性を有するようにウェブを前処理してもよい。本発明による特に有利なウェブとしては、例えば、(i)ポリエステル及び/又はビスコース繊維をベースとする、(ii)ポリプロピレン繊維をベースとする、又は(iii)炭素繊維をベースとする、ポリエステル系織布ウェブ又はニードルパンチ不織布ウェブ、あるいは、ポリエステル強化ガラスウェブを挙げることができる。
【0070】
したがって、本発明による製品は、10mm以上、又は、15mm以上、又はさらには25mm以上の厚さを有し、及び/又は、少なくとも6週間ロールで包装した後に、10mm以上、又は、15mm以上、又はさらには25mm以上の厚さ回復性を有するプライの形態であり得る。
【0071】
次いでプライを使用して、ライニングなどの成形によって複合製品を製造することができる。ライニングの形成は熱圧縮成形によって行われる。熱圧縮成形により、垂直プレス上に取り付けられたダイ及びパンチ(モールド及びカウンターモールド)の間の材料の変形及び分配によって成形品を得ることを可能になる。
【0072】
このプロセスは、モールドとカウンターモールドの原理に基づく。成形材料はモールドの下部に配置される。前記モールドの可動性上部はこれらの材料を圧縮し、キャビティを充填して成形品を形成する。閉鎖時間は、バインダが作用するのに必要な時間、特にその重合に必要な時間に依存する。
【0073】
したがって、熱圧縮プロセスは次の順序で順次に下記工程を含む。
-成形されるべき製品又はプライをモールド上に堆積させる工程、
-モールドと反対側のカウンターモールドとを組み立ててプレスを閉じる工程、ここで、前記製品又は前記プライはそれらの間に挟まれる、
-モールドとカウンターモールドを加圧し、それらを選択されたバインダに適した温度であって、制限値を含めて180~230℃の範囲に及ぶ温度に加熱して、バインダを重合させる工程、
-モールドを開き、このようにして得られた成形品又はプライをモールドから取り出す工程、及び、
-正確な寸法にトリミングするか、又は、プレフォームを使用する場合には、ばり取りをし、本発明によるライニングを得る工程。
【0074】
熱圧縮プロセスの前に、(i)プライが少なくとも1つのウェブを有するときにウェブをプライから除去すること、又は、(ii)少なくとも1つのウェブをプライに加えることが考えられる。ウェブは、アルミニウムフィルムであっても、又は標的ライニング又は標的用途の機能として選択されるいかなる他の織布又は不織布ウェブであってもよい。
【0075】
本発明によれば、同一であるか又は異なる少なくとも2つのプライを配置することも考えられる。次いで、それらは堆積工程においてモールド内で上下に配置される。
【0076】
有利には、製品を堆積させる工程、有利には表面処理プライである、すなわち少なくとも1つの織布又は不織布ウェブを含むプライである製品を堆積させる工程は、モールドの壁、すなわち雄型の場合には該モールドの外壁、又は、雌型の場合には該モールドの内壁に対向して前記製品を配置することを伴う。
【0077】
さらに、このプロセスは、前記製品又はプライとモールドとの間に位置する空気を排出する工程を含んでもよく、この工程は前記配置工程から続き、空気の前記排気は(i)前記製品上に加圧空気をスプレイし、前記製品とモールドとの間に位置する空気を追い出すこと、又は、(ii)前記空気を吸引すること、又は、(iii)前記製品に圧縮機械力を加えることによって行い、このプロセスは前記ライニングの回復とともにモールドから取り出す工程で終了する。
【0078】
モールドを加熱し、したがって製品又はプライを加熱することからなる加熱工程の間の熱処理により、熱硬化性バインダの重合を引き起こすことを可能になる。具体的には、バインダは2つの成分を架橋させることによって形成され、そのうちの一方は典型的には「樹脂」であり、触媒及び重合促進剤などの反応体の存在下で熱の作用下で反応する。形成される三次元構造は安定であり、そして熱機械的及び化学的耐性を有する。最後に、熱圧縮成形法によって処理された製品を冷却した後に、繊維間のバインダによって中実架橋が形成される。成形されたプライから生じるライニングは、このように良好な凝集性を有し、取り扱いが容易にされる。
【0079】
本発明によるライニングは、上記に規定されるような断熱及び/又は遮音性製品から製造される。このライニングは前記絶縁性製品の成形から生じる。このようにして、ライニングは、それが取り付けられることが意図されている支持表面の輪郭に適合する、場合により非平面である形状に成形される。
【0080】
有利には、本発明によるライニングは、さらに、(i)42mW/(m.K)以下、好ましくは40mW/(m.K)以下の熱伝導率を有することができ、及び/又は、(ii):
・前記ミネラルウール層が10mm以上の厚さを有する場合に、28000N.s/m 以上の空気流抵抗率、又は、
・前記ミネラルウール層が15mm以上の厚さを有する場合に、13500N.s/m以上の空気流抵抗率、又は、
・前記ミネラルウール層が25mm以上の厚さを有する場合に、8000N.s/m以上の空気流抵抗率を有することができる。
【0081】
ライニングはまた、DA 49 1997規格に従って測定して、1300~9000Hz、有利には1800~9000Hzで0.8以上の吸音率を有することができる。
【0082】
本発明によるライニングは、乗物内、天井、屋根の下、壁又はパーティションに、あるいは、洗濯機又は食器洗い機などの家電製品内で使用することが意図されうる。
【0083】
ライニングが乗物内で使用される場合に、それらは、このように、前記乗物のエンジン及び/又はこの乗物の運転室を断熱及び/又は遮音することができる。乗物は、自動車、バス、トラック、農業用乗物、ボート、航空機及び電車から選ばれる。有利には、それは自動車である。
【0084】
本発明は、フォーム、コットンプライなどの材料の幾つかの組み合わせの使用を必要としないという利点を有する。具体的には、空気流に抵抗する1つのみの適切なプライで十分である。したがって、処理時間が短縮され、生産性が向上する。
【0085】
このプライは、さらに、他の機能、場合によっては疎水性及び/又は疎油性機能などの累積機能も有することができ、また魅力的な外観を有することもできる。
【0086】
さらに、基本重量を低下させることによって、硬化されるべき樹脂の量もまた減少し、そしてそれゆえ、間接的に、成形/硬化サイクル時間もまた短縮され、それによってここでもまた生産性の有意な向上を可能にする。
【0087】
本発明の方法によって得られる本発明の製品の例を以下に示す。
【実施例
【0088】
例1:本発明によるグラスウールプライの製造
グラスウールプライは、直列に配置された2つの繊維化スピナーから得られ、前記繊維化スピナーはそれぞれ300mmの直径及び13150個の孔を有し、そして以下の特徴を有する製造方法を用いる。
・ガラスの生産量は10トン/日であり、スピナー孔あたりの生産量は0.76kg/日である。
・スピナーの回転速度は2500rpmである。
・バーナーの圧力は290mmWCである。
・バーナーの温度は1450℃である。
・受容ベルトの幅は1250mmである。
・受容ベルトの速度は39m/分である。
・積Pは48.75m/分に等しい。
・使用されるバインダは、全繊維+バインダ質量に対して10質量%の含有量のフェノール-ホルムアルデヒド樹脂である。
【0089】
得られたプライの厚さは約30mmである。ロービングの平均長は約200mmである。
【0090】
ここで得られる本発明による未硬化製品は以下の特徴を有する。
・基本重量は300g/mである。基本重量を測定するために、前記製品の300mm×1000mm試験片をEN822規格に従って採取し、サイジングされたガラス繊維バットの長さ方向に切断する。前記試験片のm単位の表面積を計算し、すなわち0.3mである。この試験片のグラム単位の重量を次に測定する。次に、グラム単位で測定された重量をm単位で計算された表面積で割ることによって、g/m単位での基本重量が計算される。
・DIN 53941規格により測定された繊維のマイクロネア又は繊度指数は2.9/5gである。
【0091】
このようにして得られたプライは次に、210℃で90秒間加熱された2枚のプレートの間で前記プライを圧縮することからなる硬化プロセスを受ける。
【0092】
ここで得られる本発明によるライニングは以下の特徴を有する。
・ISO 8301規格により10℃で測定した熱伝導率は40mW/m.Kである。
・EN29053(ISO9053)規格により測定した空気流抵抗率は8000 N.s.m-4である。
・DA 49 1997規格により測定した吸音率は3150Hzで0.94である。
【0093】
この製品は、本発明によらない標準的な方法で得られたグラスウールプライと比較することができる。
【0094】
比較例1:本発明によらないグラスウールプライの製造
グラスウールプライは、直列に配置された2つの繊維化スピナーから得られ、前記繊維化スピナーはそれぞれ300mmの直径及び13150個の孔を有し、そして以下の特徴を有する製造方法を用いる。
・ガラスの生産量は11.5トン/日であり、スピナー孔あたりの生産量は0.87kg/日である。
・スピナーの回転速度は2500rpmである。
・バーナーの圧力は330mmWCである。
・バーナーの温度は1430℃である。
・受容ベルトの幅は1000mmである。
・受容ベルトの速度は35m/分である。
・積Pは35m/分に等しい。
・使用されるバインダは、全繊維+バインダ質量に対して10質量%の含有量のフェノール-ホルムアルデヒド樹脂である。
【0095】
得られたプライの厚さは約30mmである。ロービングの平均長さは約350mmである。
【0096】
ここで得られる本発明によらない未硬化製品は以下の特徴を有する。
・基本重量は425g/mである。先の例1に記載した方法によって測定を行った。
・DIN 53941規格により測定された繊維のマイクロネア又は繊度指数は3.3/5gである。
【0097】
このようにして得られたプライは次に、210℃で90秒間加熱された2枚のプレートの間で前記プライを圧縮することからなる硬化プロセスを受ける。
【0098】
ここで得られた、本発明によらないライニングは、以下の特徴を有する。
・熱伝導率は、ISO 8301規格により10℃で測定して38mW/m.Kである。
・EN29053(ISO 9053)規格により測定された空気流抵抗率は5000 N.s.m-4である。
・吸音率は、DA 49 1997規格により測定して3150Hzで0.96である。
【0099】
したがって、本発明による繊維化方法は、ほとんどが繊維化スピナーの回転速度、バーナーの温度及び圧力、繊維の生産量及び受容ベルトの速度に関係する幾つかの特徴のために、それまでは存在しなかった断熱及び遮音性製品を自明でない方法で提供することを可能にした。
【0100】
本発明による製品は、市販の製品に匹敵する音響インピーダンスと、基本重量の大幅な減少にもかかわらずそれほど低下しない熱伝導率とを有し、高レベルの耐熱性、及び、大幅に減少した層の厚さで実質的に同一の音響インピーダンスを達成することを可能にする。
【0101】
最後に、本発明による製品は、その比較的低い基本重量のために、ロールの形態で貯蔵することができる薄く、可撓性がありそして軽量のシートの形態である。次いで、これらのシートにより、熱圧縮によって成形された様々な形状の剛性ライニングを製造することが可能になる。
【0102】
比較例から分かるように、本出願の出願人は絶縁性製品の基本重量を減らすことに成功した。該製品は、それゆえ、断熱特性を極めて少ししか劣化させることなく、そして前記製品の遮音特性を維持しながら、さほど重くしない。
図1