(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】建設機械の制御システム及び建設機械の制御方法
(51)【国際特許分類】
F15B 11/042 20060101AFI20220511BHJP
F15B 11/08 20060101ALI20220511BHJP
F15B 11/16 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
F15B11/042
F15B11/08 A
F15B11/16 B
(21)【出願番号】P 2019512003
(86)(22)【出願日】2017-08-31
(86)【国際出願番号】 KR2017009555
(87)【国際公開番号】W WO2018044099
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2019-02-28
【審判番号】
【審判請求日】2021-01-19
(31)【優先権主張番号】10-2016-0111401
(32)【優先日】2016-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515045422
【氏名又は名称】斗山インフラコア株式会社
【氏名又は名称原語表記】DOOSAN INFRACORE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】キム チャン-ムク
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ウ-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】アン ヒョン-シク
(72)【発明者】
【氏名】キム キ-ヨン
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】関口 哲生
【審判官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特許第3767914(JP,B2)
【文献】特開2003-232303(JP,A)
【文献】特表2014-529050(JP,A)
【文献】特開昭58-113605(JP,A)
【文献】特開2009-92214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B11/00-11/22
F15B21/14
E02F9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の制御システムであって、
第1の油圧ポンプと、
前記第1の油圧ポンプに第1及び第2の並列ラインを介して各々連結された第1及び第2のアクチュエータと、
前記第1及び第2の並列ラインに各々設置され、内部に備えられたスプールの変位量によって、前記第1及び第2のアクチュエータの動作を各々制御するための第1及び第2の制御弁と、
入力された制御信号によって、前記第1及び第2の制御弁のスプールの変位量を制御するためのパイロット信号圧を、前記スプールのそれぞれに供給する第1及び第2のスプール変位調整弁と、
前記第1のアクチュエータが第3の並列ラインを介して接続された第2の油圧ポンプと、
前記第3の並列ラインに設置され、内部に備えられたスプールの変位量によって、前記第1のアクチュエータの動作を制御するための第3の制御弁と、
入力された制御信号によって、前記第3の制御弁のスプールの変位量を制御するためのパイロット信号圧を、前記スプールのそれぞれに供給する第3のスプール変位調整弁と、を含み、
前記第1のアクチュエータには、前記第1及び第2の油圧ポンプより吐出された作動油が合流されて供給され、
前記
建設機械の制御システムは、
作業者の操作信号によって、前記第1、第2及び第3のスプール変位調整弁に前記制御信号を出力し、前記第1及び第2のアクチュエータの複合動作のための操作信号を受信する時、前記第2のアクチュエータに対する操作信号による前記第2の制御弁のスプール変位量を、前記第1のアクチュエータの操作信号によって制限するように調整する制御部を更に含み、
前記第1及び第2のスプール変位調整弁は、電子比例減圧弁(EPPRV)を含み、
前記制御部は、
前記第1のアクチュエータの作動圧、および、前記第2のアクチュエータの作動圧に基づき、前記第1のアクチュエータの動作を優先させるための優先モードを行うか否かを判断する優先モード判断部と、
前記優先モードである場合、前記第2のアクチュエータについて入力されたジョイスティック変位量を、前記第1のアクチュエータのジョイスティック変位量に比例して減少された値を有する2次ジョイスティック変位量に変換するジョイスティック変位量変換部と、
前記調整された2次ジョイスティック変位量によって、前記パイロット信号圧の強さを制御するための前記制御信号を出力する出力部とを含み、
前記優先モード判断部は、前記第1のアクチュエータの作動圧が、前記第2のアクチュエータの作動圧よりも大きいとの判断に応じて、前記優先モードを行うように判断し、かつ、
前記第1の油圧ポンプの吐出圧力が既設定された圧力よりも大きいとの判断に応じて、前記優先モードを解除するように判断する、ことを特徴とする建設機械の制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2のアクチュエータの操作信号から、前記第2の制御弁のスプール変位量への転換比率を、前記第1のアクチュエータに対する操作信号の大きさに比例して減少させる制御信号を、前記第2のスプール変位調整弁に出力することを特徴とする請求項1に記載の建設機械の制御システム。
【請求項3】
前記第1のアクチュエータに対する操作信号が最大である時、前記第2のアクチュエータに対する操作信号の転換比率は、前記第2のアクチュエータの単独動作時の転換比率の50%
以上に制限されることを特徴とする請求項2に記載の建設機械の制御システム。
【請求項4】
前記優先モードである場合、前記第2の制御弁の流路面積は、前記第1のアクチュエータに対する操作信号の大きさに反比例するように制御されることを特徴とする請求項1に記載の建設機械の制御システム。
【請求項5】
前記第1及び第2の制御弁は、前記
第1の油圧ポンプに連結されたセンターバイパス流路に順次設置されることを特徴とする請求項1に記載の建設機械の制御システム。
【請求項6】
前記第1のアクチュエータは、ブームシリンダを含み、前記第2のアクチュエータは、バケットシリンダを含み、前記第1の制御弁は、ブーム制御弁を含み、前記第2の制御弁は、バケット制御弁を含むことを特徴とする請求項
5に記載の建設機械の制御システム。
【請求項7】
建設機械の制御方法であって、
第1の油圧ポンプと、前記第1の油圧ポンプに、第1及び第2の並列ラインを介して連結された第1及び第2のアクチュエータと、前記第1及び第2の並列ラインに各々設置され、前記第1及び第2のアクチュエータの動作を各々制御するための第1及び第2の制御弁と、
入力された制御信号によって、前記第1及び第2の制御弁のスプールの変位量を制御するためのパイロット信号圧を、前記スプールのそれぞれに供給する第1及び第2のスプール変位調整弁と、前記第1のアクチュエータが第3の並列ラインを介して接続された第2の油圧ポンプと、前記第3の並列ラインに設置され、前記第1のアクチュエータの動作を制御するための第3の制御弁と、
入力された制御信号によって、前記第3の制御弁のスプールの変位量を制御するためのパイロット信号圧を、前記スプールのそれぞれに供給する第3のスプール変位調整弁と、作業者の操作信号によって、前記第1、第2及び第3のスプール変位調整弁に前記制御信号を出力し、前記第1及び第2のアクチュエータの複合動作のための操作信号を受信する時、前記第2のアクチュエータに対する操作信号による前記第2の制御弁のスプール変位量を、前記第1のアクチュエータの操作信号によって制限するように調整する制御部と、を含み、前記第1のアクチュエータには、前記第1及び第2の油圧ポンプより吐出された作動油が合流されて供給され
、前記第1及び第2のスプール変位調整弁は、電子比例減圧弁(EPPRV)を含み、油圧システムを提供し、
前記制御部が、前記第1及び第2のアクチュエータに対する作業者の操作信号を受信し、
前記制御部が、前記第1のアクチュエータの作動圧、および、前記第2のアクチュエータの作動圧に基づき、前記第1及び第2のアクチュエータのうち、前記第1のアクチュエータの動作を優先させるための優先モードの動作可否を判断し、
前記制御部が、優先モードの場合、前記第2のアクチュエータに対する操作信号による前記第2の制御弁のスプール変位量を、前記第1のアクチュエータに対する操作信号によって制限するように、前記第2の制御弁のスプール変位量を調整し、
前記制御部が、前記優先モードの動作可否を判断することは、前記第1のアクチュエータの作動圧が、前記第2のアクチュエータの作動圧よりも大きいとの判断に応じて、前記優先モードを行うように判断することを含み、
前記第1及び第2のアクチュエータに対する作業者の操作信号を受信することは、前記第1及び第2のアクチュエータに対するジョイスティック変位量を受信することを含み、
前記第2の制御弁のスプール変位量を調整することは、前記第2のアクチュエータについて入力されたジョイスティック変位量を、前記第1のアクチュエータのジョイスティック変位量に比例して減少された2次ジョイスティック変位量に変換することを含み、
前記制御方法において、さらに、
前記制御部が、前記変換された2次ジョイスティック変位量に対応するパイロット信号圧を、前記第2の制御弁のスプール変位量を制御するために、前記第2の制御弁のスプールに供給し、
前記制御部が、前記
第1の油圧ポンプの吐出圧力が、既設定された圧力を超えるとの判断に応じて、前記優先モードの実行を解除する、ことを特徴とする建設機械の制御方法。
【請求項8】
前記第2の制御弁のスプール変位量を調整することは、前記第2のアクチュエータの操作信号から、前記第2の制御弁のスプール変位量への転換比率を、前記第1のアクチュエータに対する操作信号の大きさに比例して減少させることを含むことを特徴とする請求項
7に記載の建設機械の制御方法。
【請求項9】
前記第2の制御弁のスプール変位量を調整することは、前記第1のアクチュエータに対する操作信号が最大である時、前記第2のアクチュエータに対する操作信号の転換比率を、前記第2のアクチュエータの単独動作時の転換比率の50%
以上に制限することを含むことを特徴とする請求項
8に記載の建設機械の制御方法。
【請求項10】
前記第2の制御弁のスプール変位量を調整することは、前記優先モード時の前記第2の制御弁の流路面積が、前記第1のアクチュエータに対する操作信号の大きさに反比例するように制御することを含むことを特徴とする請求項
7に記載の建設機械の制御方法。
【請求項11】
前記パイロット信号圧を前記第2の制御弁のスプールに供給することは、電子比例減圧弁を用いることを含むことを特徴とする請求項
7に記載の建設機械の制御方法。
【請求項12】
前記第1のアクチュエータは、ブームシリンダを含み、前記第2のアクチュエータは、バケットシリンダを含み、前記第1の制御弁は、ブーム制御弁を含み、前記第2の制御弁は、バケット制御弁を含むことを特徴とする請求項
7に記載の建設機械の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の制御システム及び建設機械の制御方法に関する。より詳しくは、電子比例減圧弁を用いた電子油圧式メイン制御弁を有する建設機械の制御システム、及びこれを用いた建設機械の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、建設機械において、電子比例減圧弁(EPPRV)により電子制御する電子油圧式メイン制御弁が用いられている。従来の機械油圧式メイン制御弁を有する建設機械において、作動圧が互いに異なるアクチュエータの複合動作を行うことに当たり、油圧ラインにオリフィスを設置して、これらの間の流量分配のバランスを調整することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記オリフィスが固定された面積制限により、非効率的な流量分配及び制御性の低下が発生し、アクチュエータに加えられる負荷が大きい場合は、圧力ロスによる燃費が低下するという問題点がある。
【0004】
本発明の課題は、燃費を改善し、制御性を向上させる建設機械の制御システムを提供することにある。
【0005】
本発明の他の課題は、上述した制御システムを用いた建設機械の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記本発明の課題を達成するための本発明による建設機械の制御システムは、油圧ポンプと、前記油圧ポンプに第1及び第2の並列ラインを介して各々連結され、前記油圧ポンプより吐出された作動油によって動作する第1及び第2のアクチュエータと、前記第1及び第2の並列ラインに各々設置され、内部に備えられたスプールの変位量によって、前記第1及び第2のアクチュエータの動作を各々制御するための第1及び第2の制御弁と、入力された制御信号によって、前記第1及び第2の制御弁のスプールの変位量を制御するためのパイロット信号圧を、前記スプールのそれぞれに供給する第1及び第2のスプール変位調整弁と、作業者の操作信号によって、前記第1及び第2のスプール変位調整弁に前記制御信号を出力し、前記第1及び第2のアクチュエータの複合動作のための操作信号を受信する時、前記第2のアクチュエータに対する操作信号による前記第2の制御弁のスプール変位量を、前記第1のアクチュエータの操作信号によって制限するように調整する制御部とを含むことを特徴とする。
【0007】
前記制御部は、前記第2のアクチュエータの操作信号から、前記第2の制御弁のスプール変位量への転換比率を、前記第1のアクチュエータに対する操作信号の大きさに比例して減少させる制御信号を、前記第2のスプール変位調整弁に出力する。
【0008】
前記第1のアクチュエータに対する操作信号が最大である時、前記第2のアクチュエータに対する操作信号の転換比率は、前記第2のアクチュエータの単独動作時の転換比率の少なくとも50%に制限される。
【0009】
前記第2の制御弁の流路面積は、前記第1のアクチュエータに対する操作信号の大きさに反比例するように制御される。
【0010】
前記第1及び第2のスプール変位調整弁は、電子比例減圧弁を含む。
【0011】
前記制御部は、前記操作信号として入力された前記第1及び第2のアクチュエータに対するジョイスティック変位量から、前記第1のアクチュエータの動作を優先させるための優先モードを行うか否かを判断する優先モード判断部と、前記優先モードである場合、前記第2のアクチュエータについて入力されたジョイスティック変位量を、前記第1のアクチュエータのジョイスティック変位量に比例して減少された値を有する2次ジョイスティック変位量に変換するジョイスティック変位量変換部と、前記調整された2次ジョイスティック変位量によって、前記パイロット信号圧の強さを制御するための前記制御信号を出力する出力部とを含む。
【0012】
前記優先モード判断部は、前記油圧ポンプ又は前記第1及び第2のアクチュエータの圧力が、既設定された圧力範囲を超える高負荷作業である場合、前記優先モードを解除する。
【0013】
前記第1及び第2の制御弁は、前記油圧ポンプに連結されたセンターバイパス流路に順次設置される。
【0014】
前記第1のアクチュエータは、ブームシリンダを含み、前記第2のアクチュエータは、バケットシリンダを含み、前記第1の制御弁は、ブーム制御弁を含み、前記第2の制御弁は、バケット制御弁を含む。
【0015】
前記制御部は、前記第1のアクチュエータの作動圧が、前記第2のアクチュエータの作動圧よりも大きいと、前記優先モードを行うように決められる。
【0016】
本発明の他の課題を達成するための本発明による建設機械の制御方法において、1つの油圧ポンプに、第1及び第2の並列ラインを介して連結された第1及び第2のアクチュエータと、前記第1及び第2の並列ラインに各々設置され、前記第1及び第2のアクチュエータの動作を各々制御するための第1及び第2の制御弁とを含む油圧システムを提供し、前記第1及び第2のアクチュエータに対する作業者の操作信号を受信し、前記操作信号から、前記第1及び第2のアクチュエータのうち、前記第1のアクチュエータの動作を優先させるための優先モードの動作可否を判断し、優先モードの場合、前記第2のアクチュエータに対する操作信号による前記第2の制御弁のスプール変位量を、前記第1のアクチュエータに対する操作信号によって制限するように、前記第2の制御弁のスプール変位量を調整する。
【0017】
前記第2の制御弁のスプール変位量を調整することは、前記第2のアクチュエータの操作信号から、前記第2の制御弁のスプール変位量への転換比率を、前記第1のアクチュエータに対する操作信号の大きさに比例して減少させることを含む。
【0018】
前記第2の制御弁のスプール変位量を調整することは、前記第1のアクチュエータに対する操作信号が最大である時、前記第2のアクチュエータに対する操作信号の転換比率を、前記第2のアクチュエータの単独動作時の転換比率の少なくとも50%に制限することを含む。
【0019】
前記第2の制御弁のスプール変位量を調整することは、前記優先モード時の前記第2の制御弁の流路面積が、前記第1のアクチュエータに対する操作信号の大きさに反比例するように制御することを含む。
【0020】
前記第1及び第2のアクチュエータに対する作業者の操作信号を受信することは、前記第1及び第2のアクチュエータに対するジョイスティック変位量を受信することを含み、前記第2の制御弁のスプール変位量を調整することは、前記第2のアクチュエータに対して入力されたジョイスティック変位量を、前記第1のアクチュエータに対するジョイスティック変位量に比例して減少した値を有する2次ジョイスティック変位量に変換することを含む。
【0021】
更に、前記調整された2次ジョイスティック変位量により、前記第2の制御弁のスプール変位量を制御するためのパイロット信号圧を、前記第2の制御弁のスプールに供給することを含む。
【0022】
前記パイロット信号圧を前記第2の制御弁のスプールに供給することは、電子比例減圧弁を用いることを含む。
【0023】
更に、前記油圧ポンプ又は前記第1及び第2のアクチュエータの圧力が、既設定された圧力範囲を超える高負荷作業である場合、前記優先モードを解除することを含む。
【0024】
前記第1のアクチュエータは、ブームシリンダを含み、前記第2のアクチュエータは、バケットシリンダを含み、前記第1の制御弁は、ブーム制御弁を含み、前記第2の制御弁は、バケット制御弁を含む。
【0025】
前記優先モード動作の可否を判断することにおいて、前記第1のアクチュエータでの作動圧と、前記第2のアクチュエータでの作動圧とを比較することを含む。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、作動圧が互いに異なる第1及び第2のアクチュエータの複合動作を行うことにおいて、前記第1及び第2のアクチュエータのうち、相対的に低い作動圧を有するアクチュエータに作動油が流入する制御弁の流路面積を感小させて、作動圧を上昇させ、前記第1及び第2のアクチュエータに流入される流量の分配を調節することができる。
【0027】
そこで、従来の制御システムより、複合動作時の流量分配のために設置されていたオリフィスの削除が可能であって、原価削減の効果と燃費改善の効果を得られる。また、従来のオリフィスが有している制御の限界で発生する面積による非効率的な流量分配及び圧力損失を防止することができ、アクチュエータに加えられる負荷と、ジョイスティック変位量によって可変的にメータイン(meter-in)制御を行うことで、燃費を改善し、制御性を向上することができる。
【0028】
但し、本発明の効果は、前記言及した効果に限定されることではなく、本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲で様々に拡張することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明による建設機械の制御システムを示す油圧回路図である。
【
図2】
図2は、
図1の建設機械の制御システムの制御部を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図2の制御部に保存されたブーム優先モード時のブームジョイスティック変位量によるバケットジョイスティック変位量制限マップを示すグラフである。
【
図4】
図4は、
図3のバケットジョイスティック変位量制限マップによるバケットジョイスティック変位量の転換比率を示すグラフである。
【
図5】
図5は、
図1におけるブーム上昇及びバケットクラウッドの複合動作信号が受信された場合の制御システムを示す油圧回路図である。
【
図6】
図6は、本発明による建設機械の制御方法を示す順序度である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳しく説明することにする。
【0031】
本発明の各図において、構造物の寸法は、本発明の明確性を図るために、実際より拡大して示している。
【0032】
本発明において、第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明することに使用されるが、前記構成要素は、前記用語によって限定してはいけない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使われる。
【0033】
本発明で使った用語は、単に、特定の実施形態を説明するために使われており、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なることを意味しなし限り、複数の表現を含む。本出願において、“含む”又は“有する”などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組合わせたことが存在することを指定することであり、1又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組合わせたものの存在、又は付加可能性を予め排除しないことと理解されるべきである。
【0034】
本文に開示されている本発明の実施形態について、特定の構造的乃至機能的な説明は、単に本発明の実施形態を説明するための目的として例示されたものであり、本発明の実施形態は、多様な形態で実施可能であり、本文に説明された実施例に限定されることと解析されてはいけない。
【0035】
すなわち、本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるところ、特定の実施形態を図面に示し、本文に詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の開示形態について限定しようとすることではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むことと理解されるべきである。
【0036】
図1は、本発明による建設機械の制御システムを示す油圧回路図である。
図2は、
図1の建設機械の制御システムの制御部を示すブロック図である。
図3は、
図2の制御部に保存されたブーム優先モード時のブームジョイスティック変位量によるバケットジョイスティック変位量制限マップを示すグラフである。
図4は、
図3のバケットジョイスティック変位量制限マップによるバケットジョイスティック変位量の転換比率を示すグラフである。
図5は、
図1におけるブーム上昇及びバケットクラウッドの複合動作信号が受信された場合の制御システムを示す油圧回路図である。
【0037】
図1乃至
図5に示しているように、建設機械の制御システムは、第1の油圧ポンプ100と、第1の油圧ポンプ100に、第1及び第2の並列ライン210、220を介して各々連結され、第1の油圧ポンプ100より吐出された作動油によって動作する第1及び第2のアクチュエータ10、20と、第1及び第2の並列ライン210、220に各々設置され、第1及び第2のアクチュエータ10、20の動作を各々制御するための第1及び第2の制御弁310、320と、入力された制御信号に比例して、第1及び第2の制御弁310、320のスプールの変位量を制御するためのパイロット信号圧を、前記スプールのそれぞれに供給する第1及び第2のスプール変位調整弁410、420と、作業者の操作信号によって、第1及び第2のスプール変位調整弁410、420に前記制御信号を各々出力し、第1及び第2のアクチュエータ10、20のいずれか1つの操作信号によって、他の1つの動作を制御するための前記スプールのスプール変位量を調整する制御部500とを含む。
【0038】
前記建設機械は、掘削機、ホイールローダー、フォークリフトなどを含む。以下では、前記建設機械が掘削機の場合について説明する。但し、これにより、本発明による制御システムが、掘削機を制御するためのものに限定することではなく、ホイールローダー、フォークリフトなどにも同様に適用可能であることを理解されるべきであるだろう。
【0039】
前記建設機械は、下部走行体、前記下部走行体上に旋回可能に搭載される上部旋回体と、前記上部旋回体に設置された運転室及びフロント作業装置とを含む。前記フロント作業装置は、ブーム、アーム、及びバケットを含む。前記ブームと前記上部フレームの間には、前記ブームの動きを制御するブームシリンダが設置される。前記ブームと前記アームの間には、前記アームの動きを制御するアームシリンダが設置される。そして、前記アームと前記バケットの間には、前記バケットの動きを制御するバケットシリンダが設置される。前記ブームシリンダ、前記アームシリンダ、及び前記バケットシリンダが伸張又は収縮することにより、前記ブーム、前記アーム、及び前記バケットは、多様な動きを具現することができ、前記フロント作業装置は、様々な作業を行うことができる。
【0040】
第1の油圧ポンプ100は、動力伝達装置を介して、エンジン(図示せず)に連結される。前記エンジンからの動力は、第1の油圧ポンプ100に伝達される。第1の油圧ポンプ100より吐出された作動油は、第1及び第2の制御弁310、320を介して、第1及び第2のアクチュエータ10、20にそれぞれ分配供給される。
【0041】
具体的に、第1及び第2の制御弁310、320は、第1のメイン油圧ライン200を介して、第1の油圧ポンプ100に連結される。第1のメイン油圧ライン200は、第1のセンターバイパスライン202、及び第1及び第2の並列ライン210、220に分岐される。第1のセンターバイパスライン202には、第1及び第2の制御弁310、320が直列に順次設置される。
【0042】
第1及び第2の制御弁310、320は、第1の油圧ポンプ100に互いに並列に連結された第1及び第2の並列ライン210、220に各々連結される。第1の制御弁310が切り換えられて、第1のセンターバイパスライン202が閉鎖しても、第2の制御弁320は、第2の並列ライン220によって、第1の油圧ポンプ100に連結され、第1の油圧ポンプ100より吐出された作動油を供給される。第1及び第2の制御弁310、320は、第1の油圧ポンプ100に並列に連結された第1及び第2の並列ライン210、220と連結されるので、第1及び第2の制御弁310、320が切り換えられる時、第1の油圧ポンプ100より吐出された作動油は、第1及び第2の制御弁310、320を介して、第1及び第2のアクチュエータ10、20に分配供給される。
【0043】
図面には図示していないが、第1のセンターバイパスライン202には、第3アクチュエータの動作を制御するための補助制御弁が設置されることができ、第1の油圧ポンプ100より吐出された作動油は、前記補助制御弁を介して、前記第3のアクチュエータに供給される。この場合において、第1及び第2の並列ライン210、220と同様な構造の並列ラインが、前記補助制御弁に連結される。
【0044】
第1のアクチュエータ10は、前記ブームシリンダであり、第2のアクチュエータ20は、前記バケットシリンダである。この場合において、第1の制御弁310は、ブーム制御弁であり、第2の制御弁320は、バケット制御弁である。
【0045】
第1の制御弁10、すなわち、前記ブーム制御弁は、ブームヘッド油圧ライン232及びブームロード油圧ライン234を介して、第1のアクチュエータ10、すなわち、前記ブームシリンダのブームヘッドチャンバ12及びブームロードチャンバ14に各々連結される。よって、第1の制御弁310が切り換えられて、第1の油圧ポンプ100より吐出された作動油を、ブームヘッドチャンバ12及びブームロードチャンバ14に選択的に供給することができる。
【0046】
ブームシリンダ10を駆動させる作動油は、リターン油圧ラインを介して、ドレーンタンク(T)に戻る。ブーム上昇時に、ブームロードチャンバ14からの作動油は、ブームロード油圧ライン234を介して、第1の制御弁310、すなわち、前記ブーム制御弁を介して、ドレーンタンク(T)に排出される。
【0047】
第2の制御弁320、すなわち、前記バケット制御弁は、バケットヘッド油圧ライン242及びバケットロード油圧ライン244を介して、第2のアクチュエータ、すなわち、バケットシリンダ20のバケットヘッドチャンバ22及びバケットロードチャンバ24に各々連結される。よって、第2の制御弁320が切り換えられて、第1の油圧ポンプ100より吐出された作動油を、バケットヘッドチャンバ22及びバケットロードチャンバ24に選択的に供給することができる。
【0048】
バケットシリンダ20を駆動させる作動油は、リターン油圧ラインを介して、ドレーンタンク(T)に戻る。バケットヘッドチャンバ22及びバケットロードチャンバ24からの作動油は、バケットヘッド油圧ライン242及びバケットロード油圧ライン244を介して、第2の制御弁320、すなわち、前記バケット制御弁を経て、ドレーンタンク(T)に各々排出される。
【0049】
一方、第1及び第2のアクチュエータ10、20に対する操作信号がない場合は、第1の油圧ポンプ100より吐出された作動油は、第1のセンターバイパス流路202を介して、ドレーンタンク(T)に戻る。
【0050】
パイロットポンプ400は、前記エンジンの出力軸に連結され、この場合、前記エンジンの動力を伝達されたパイロットポンプ400が駆動されて、制御油を吐出する。例えば、前記パイロットポンプは、ギヤポンプである。この場合において、前記作動油及び前記制御油は、実質的に同一の物質を含むことができる。
【0051】
パイロットポンプ400より吐出された制御油は、第1及び第2のスプール変位調整弁410、420を介して、第1及び第2の制御弁310、320のスプールにそれぞれ供給される。パイロットポンプ400より吐出された制御油は、制御流路402を介して、第1及び第2のスプール変位調整弁410、420に各々供給される。
【0052】
第1及び第2のスプール変位調整弁410、420は、入力された制御信号に比例して、第1及び第2の制御弁310、320のスプールの変位量を制御するためのパイロット信号圧を、前記スプールに各々供給することができる。
【0053】
例えば、一対の第1のスプール変位調整弁410が、第1の制御弁310のスプールの両側にそれぞれ備えられる。第1のスプール変位調整弁410より出力された第1のパイロット信号圧は、第1の制御弁310内のスプールの両側に選択的に供給されることで、第1の制御弁310が切り換えられる。第1のスプール変位調整弁410は、入力された制御信号に比例する大きさを有する第1のパイロット信号を供給する。第1の制御弁310内のスプールの移動は、前記第1のパイロット信号圧によって制御される。すなわち、前記第1のパイロット信号圧の供給方向により、前記スプールの移動方向が決められ、前記第1のパイロット信号圧の強さによって、前記スプールの変位量が決められる。
【0054】
また、一対の第2のスプール変位調整弁420が、第2の制御弁320のスプールの両側にそれぞれ備えられる。第2のスプール変位調整弁420より出力された第2のパイロット信号圧は、第2の制御弁320内のスプールの両側に選択的に供給されることで、第2の制御弁320が切り換えられる。第2のスプール変位調整弁420は、入力された制御信号に比例する大きさを有する第2のパイロット信号を供給する。第2の制御弁320内のスプールの移動は、前記第2のパイロット信号圧によって制御される。すなわち、前記第2のパイロット信号圧の供給方向により、前記スプールの移動方向が決められ、前記第2のパイロット信号圧の強さによって、前記スプールの変位量が決められる。
【0055】
前記建設機械の制御システムは、第1及び第2の制御弁310、320を有する組立体としてのメイン制御弁(Main Control Valve、MCV)を含む。前記メイン制御弁は、入力される電気信号により、制御弁内のスプールに加えられるパイロット作動油を制御する電子比例減圧弁(EPPRV)を含む電子油圧式メイン制御弁である。第1及び第2のスプール変位調整弁410、420は、電子比例減圧弁(EPPRV)を含む。
【0056】
制御部500は、操作部600より、作業者の操作量に比例する操作信号を受信し、前記操作信号に対応するように、第1及び第2のスプール変位調整弁410、420に、前記制御信号として圧力指令信号を各々出力する。前記電子比例減圧弁は、前記圧力指令信号に比例する2次圧力を、対応する前記スプールに各々出力することで、電気制御信号で前記スプールを制御する。
【0057】
例えば、制御部500は、第1のアクチュエータ10に対する操作信号、例えば、ジョイスティック変位量を受信し、前記受信されたジョイスティック変位量に対応する制御信号、例えば、電流を生成して、第1のスプール変位調整弁410に印加する。第1のスプール変位調整弁410は、前記印加された電流の強さに比例する第1のパイロット信号圧を、第1の制御弁310のスプールに供給することで、第1の制御弁310のスプールを、前記印加された第1のパイロット信号圧の強さによって移動することができる。これによって、第1のアクチュエータ10に対する前記受信されたジョイスティック変位量は、既設定された転換比率で、第1の制御弁310のスプール変位量に転換される。
【0058】
制御部500は、第2のアクチュエータ20に対する操作信号、例えば、ジョイスティック変位量を受信し、前記受信されたジョイスティック変位量に対応する制御信号、例えば、電流を生成して、第2のスプール変位調整弁420に印加する。第2のスプール変位調整弁420は、前記印加された電流の強さに比例する第2のパイロット信号圧を、第2の制御弁320のスプールに供給することで、第2の制御弁320のスプールを、前記印加された第2のパイロット信号圧の強さによって移動することができる。これによって、第2のアクチュエータ20に対する前記受信されたジョイスティック変位量は、既設定された転換比率で、第2の制御弁320のスプール変位量に転換される。
【0059】
例えば、操作部600は、ジョイスティック、ペダルなどを含む。作業者が操作部600を操作すると、前記操作に対応する操作信号が発生する。操作部600は、前記ジョイスティック変位量(又は、角度)を測定するセンサを含む。操作部600は、前記測定された変位量に対応する電圧信号又は電流信号のような信号を出力する。制御部600は、前記操作信号を受信し、前記操作信号に対応するように、前記メイン制御弁を制御することで、前記第1及び第2のアクチュエータを作動させる。
【0060】
前記建設機械の制御システムは、第1のアクチュエータ10に作動油を供給するための第2の油圧ポンプ110と、第1のアクチュエータ10及び第2の油圧ポンプ110間の油圧ラインに設置され、第1のアクチュエータ10の動作を制御する第3の制御弁330と、入力された制御信号に比例して、第3の制御弁330のスプールの変位量を制御するためのパイロット信号圧を、前記スプールに供給する第3のスプール変位調整弁430とを更に含む。
【0061】
第2の油圧ポンプ110は、前記エンジンに連結される。第2の油圧ポンプ110より吐出された作動油は、第3の制御弁330を介して、第1のアクチュエータ10に供給される。
【0062】
具体的に、第3の制御弁330は、第2のメイン油圧ライン204を介して、第2の油圧ポンプ110に連結される。第2のメイン油圧ライン204は、第2のセンターバイパスライン204、及び第3の並列ライン230に分岐される。第2のセンターバイパスライン204には、第3の制御弁330、及び補助制御弁(図示せず)が直列に順次設置される。
【0063】
第3の制御弁330は、ブームヘッド油圧ライン232及びブームロード油圧ライン234を介して、第1のアクチュエータ10、すなわち、前記ブームシリンダのブームヘッドチャンバ12及びブームロードチャンバ14に各々連結される。第3の制御弁330が切り換えられて、第2の油圧ポンプ110より吐出された作動油を、ブームヘッドチャンバ12及びブームロードチャンバ14に選択的に供給する。これによって、第1及び第2の油圧ポンプ100、110より吐出された作動油は、第1及び第2の制御弁310、330を経て合流された後、第1のアクチュエータ10に供給される。このような合流は、第1のアクチュエータ10が高負荷状態の場合に進行する。
【0064】
第1のアクチュエータ10に対する操作信号がない場合は、第2の油圧ポンプ110より吐出された作動油は、第2のセンターバイパス流路204を介して、ドレーンタンク(T)に戻る。
【0065】
パイロットポンプ400より吐出された制御油は、第3のスプール変位調整弁430を介して、第3の制御弁330のスプールに供給される。パイロットポンプ400より吐出された制御油は、制御流路402を介して、第3のスプール変位調整弁430に供給される。
【0066】
第3のスプール変位調整弁430は、入力された制御信号に比例して、第3の制御弁330のスプールの変位量を制御するためのパイロット信号圧を、第3の制御弁330の前記スプールに供給する。
【0067】
例えば、一対の第3のスプール変位調整弁430が、第3の制御弁330のスプールの両側にそれぞれ備えられる。第3のスプール変位調整弁430より出力された第3のパイロット信号圧は、第3の制御弁330内のスプールの両側に選択的に供給されることで、第3の制御弁330が切り換えられる。第3のスプール変位調整弁430は、入力された制御信号に比例する大きさを有する第3のパイロット信号を供給する。第3の制御弁330内のスプールの移動は、前記第3のパイロット信号圧によって制御される。すなわち、前記第3のパイロット信号圧の供給方向により、前記スプールの移動方向が決められ、前記第3のパイロット信号圧の強さにより、前記スプールの変位量が決められる。
【0068】
第3のスプール変位調整弁430は、電子比例減圧バルブ(EPPRV)を含む。
【0069】
制御部500は、第1のアクチュエータ10に対する操作信号、例えば、ジョイスティック変位量を受信し、前記受信されたジョイスティック変位量に対応する制御信号、例えば、電流を生成して、第3のスプール変位調整弁430に印加する。第3のスプール変位調整弁430は、前記印加された電流の強さに比例する第3のパイロット信号圧を、第3の制御弁330のスプールに供給することで、第3の制御弁330のスプールを、前記印加された第3のパイロット信号圧の強さによって移動させることができる。これによって、第1のアクチュエータ10に対する前記受信されたジョイスティック変位量は、既設定された転換比率で、第3の制御弁330のスプール変位量に転換される。
【0070】
また、制御部500は、第1及び第2のアクチュエータ10、20の複合動作のための操作信号を受信する際、第2のアクチュエータ20に対する操作信号による第2の制御弁320のスプール変位量を、第1のアクチュエータ10の操作信号で制限するように制御することができる。制御部500は、第2のアクチュエータ20の操作信号に対する第2の制御弁320のスプール変位量の転換比率を、第1のアクチュエータ10の操作信号の大きさに比例して減少させる制御信号を、第2のスプール変位調整弁420に出力する。
【0071】
図2に示しているように、制御部500は、データ受信部510と、優先モード判断部520と、ジョイスティック変位量変換部530と、出力部540とを含む。
【0072】
データ受信部510は、操作部600よりジョイスティック変位量を受信する。データ受信部510は、ブーム、アーム、バケット、及びスイングに対する操作信号として、ジョイスティック変位量を受信する。例えば、データ受信部510は、ブームシリンダに対する操作信号として、ブームジョイスティック変位量(ブームストローク)、及びバケットシリンダに対する操作信号として、バケットジョイスティック変位量(バケットストローク)を受信する。また、データ受信部510は、第1の油圧ポンプ100及び第2の油圧ポンプ110の圧力を受信する。また、データ受信部510は、前記アクチュエータの圧力を受信する。
【0073】
優先モード判断部520は、前記操作信号として入力された第1及び第2のアクチュエータ10、20に対するジョイスティック変位量から、第1のアクチュエータ10の動作を優先させるための優先モードを行うか否かを判断する。優先モード判断部520は、ブームジョイスティック変位量及びバケットジョイスティック変位量を受信する際、第1のアクチュエータ10での作動圧と第2のアクチュエータ20での作動圧とを比較し、第1のアクチュエータ10の作動圧が、第2のアクチュエータ20の作動圧よりも大きい場合、第1のアクチュエータ10の動作を優先させるための優先モードを行うように決めることができる。一方、優先モード判断部520は、第1の油圧ポンプ100の圧力が、既設定された圧力範囲を超える高負荷作業の場合、前記ブーム優先モードを解除することができる。
【0074】
バケットの単独動作を行う時、第1の油圧ポンプ100の吐出圧力が約80barであり、ブームの単独動作を行う時、第1の油圧ポンプ100の吐出圧力が約130barである。一方、バケットが地を掘る動作を行う時、第1の油圧ポンプ100の吐出圧力は、前記ブームの作動圧と同様な値に増加する。
【0075】
例えば、前記バケットが約80barの作動圧で動作している状態で前記ブームが動作する時(ブームとバケットの複合動作に対する操作信号が受信される時)、優先モード判断部520は、前記ブームシリンダの作動圧が、前記バケットシリンダの作動圧よりも大きい場合、ブーム優先モードを行うように決めることができる。優先モード判断部520は、第1の油圧ポンプ100の吐出圧力が、既設定された第2の圧力(例えば約180bar)以下の場合、前記ブーム優先モードを行うように決めることができる。一方、前記ブームとバケットの複合動作時に、第1の油圧ポンプ100の吐出圧力が前記第2の圧力以上である場合、優先モード判断部520は、高負荷作業と判断し、前記ブーム優先モードを解除する。また、前記バケットの単独動作時に、第1の油圧ポンプ100の吐出圧力が、既設定された第1の圧力(例えば約130bar又は180bar)以上である場合、優先モード判断部520は、高負荷作業と判断し、入力されたバケットジョイスティック変位量を調整することなく、最初入力された値に対応するように、第2のスプール変位調整弁420に、前記制御信号として圧力指令信号を各々出力する。
【0076】
ジョイスティック変位量変換部530は、前記優先モードの時、第2のアクチュエータ20に対して入力されたジョイスティック変位量を、第1のアクチュエータ10のジョイスティック変位量に比例して減少した値を有する2次ジョイスティック変位量に変換する。
【0077】
図3に示しているように、ジョイスティック変位量変換部530は、ブーム優先モードの時、変位量制限マップを用いて、入力されたバケットジョイスティック変位量(バケットストローク)から、2次バケットジョイスティック変位量(変換されたバケットストローク)を算出する。前記入力されたバケットジョイスティック変位量は、前記変位量制限マップに保存されたブームジョイスティック変位量の大きさによる既設定された割合で、前記2次バケットジョイスティック変位量に変換される。前記入力されたバケットジョイスティック変位量に対する前記2次バケットジョイスティック変位量の減少率は、ブームジョイスティック変位量(ブームストローク)の大きさに比例する。すなわち、ブームストロークが増加するほど、前記2次バケットジョイスティック変位量は、より小さくなるように変換される。
【0078】
出力部540は、前記調整された(制限された)2次ジョイスティック変位量に比例して、前記パイロット信号圧の強さを制御するための前記制御信号を出力する。出力部540は、前記調整された2次バケットジョイスティック変位量に比例する電流を生成して、第2のスプール変位調整弁420に印加する。第2のスプール変位調整弁420は、前記印加された電流の強さに比例する第2のパイロット信号圧を、前記バケット制御弁のスプールに供給することで、前記バケット制御弁のスプールを、前記印加された第2のパイロット信号圧の強さによって移動することができる。
【0079】
そこで、前記ブーム優先モード時の前記バケット制御弁の流路面積は、ブームに対する操作信号の大きさに反比例するように制御される。すなわち、前記調整された2次バケットジョイスティック変位量による前記バケット制御弁の流路面積は、バケットの単独動作時の前記バケット制御弁の流路面積よりも小さくなるように制御され、前記流路面積の減少比率は、前記ブームに対する操作信号の大きさに比例する。
【0080】
図4に示しているように、前記2次バケットジョイスティック変位量が調整されることによって、前記バケット制御弁の操作信号に対するスプール変位量も調整される。すなわち、バケット操作信号からバケット制御弁のスプール変位量への転換比率(バケット操作信号の転換比率)は、ブームストロークの大きさに比例して減少される。前記ブーム優先モードにおける前記バケット操作信号の転換比率は、バケット単独動作時の転換比率よりも小さい。例えば、ブームストロークが100%である場合、前記入力されたバケットジョイスティック変位量から前記バケット制御弁のスプール変位量への転換比率は、バケット単独動作時の転換比率の約50%に減少される。
【0081】
上述したように、前記建設機械の制御システムは、第1及び第2のアクチュエータの動作を制御する第1及び第2の制御弁、並びに入力される電気信号によって、前記第1及び第2の制御弁内のスプールに加えられるパイロット作動油を制御する電子比例減圧弁を含む電子油圧式メイン制御弁を含むことができる。前記建設機械の制御システムは、作動圧が互いに異なる第1及び第2のアクチュエータの複合動作を行う時、前記第1及び第2のアクチュエータのうち、相対的に低い作動圧を有するアクチュエータに作動油が流入される制御弁の流路面積を減少させて、作動圧を上昇させ、前記第1及び第2のアクチュエータに流入される流量の分配を調節することができる。
【0082】
そこで、従来の機械油圧式メイン制御弁を有する制御システムにおける複合動作時、流量分配のために設置されたオリフィス構造に代わって、電子油圧式メイン制御弁を有する制御システムにてこのような機能を行うことで、コスト削減の効果と燃費改善の効果を得られる。また、従来のオリフィス構造における固定したオリフィス面積による非効率的な流量の分配及び圧力損失を防止することができ、アクチュエータに加えられる負荷とジョイスティック変位量によって、可変的にメータイン制御を行うことで、燃費を改善し、制御性を向上することができる。
【0083】
以下では、
図1の制御システムを用いて、建設機械を制御する方法について説明する。
【0084】
図6は、本発明による建設機械の制御方法を示すシーケンス図である。
【0085】
図1、
図2、及び
図6に示しているように、第1及び第2のアクチュエータ10、20に対する作業者の操作信号、及び第1の油圧ポンプ100の吐出圧力を受信する(S100、S120)。第1及び第2のアクチュエータ10、20によって行われる作業が、高負荷作業であるか否かを判断する(S110)。
【0086】
また、ブームシリンダに対する操作信号として、ブームジョイスティック変位量(ブームストローク)、及びバケットシリンダに対する操作信号として、バケットジョイスティック変位量(バケットストローク)を受信する。また、第1の油圧ポンプ100及び第2の油圧ポンプ110の圧力を受信する。これと異なり、前記ブームシリンダ及び前記バケットシリンダの圧力を受信することができる。
【0087】
更に、バケットが単独動作を行っている状態で、第1の油圧ポンプ100の吐出圧力を受信する。前記ポンプの吐出圧力が、既設定された第1の圧力(例えば130bar)以上の場合、高負荷作業と判断する(S110)。この場合において、バケットに対して入力されたジョイスティック変位量(バケットストローク)は変換されず、最初入力値による制御信号(電流)を、第2のスプール変位調整弁420に出力し、第2のスプール変位調整弁420は、前記印加された電流の強さに比例する第2のパイロット信号圧を、第2の制御弁320のスプールに供給することで、第2の制御弁320のスプールを、前記印加された第2のパイロット信号圧の強さによって移動させる(S152)。
【0088】
ついで、前記操作信号から、第1及び第2のアクチュエータ10、20のうち、第1のアクチュエータ10の動作を優先させる優先モードの動作可否を判断する(S130)。
【0089】
前記バケットが動作している状態で、ブームに対する操作信号が受信される時、ブーム優先モードの実行可否を決めることができる。前記ブームとバケットの複合動作に対する操作信号が受信される時、前記ブームシリンダの作動圧が、前記バケットシリンダの作動圧よりも大きい場合に、ブーム優先モードを行うように決めることができる。例えば、第1の油圧ポンプ100の吐出圧力が、第1の圧力(例えば約130bar)以上であり、既設定された第2の圧力(例えば約180bar)以下の範囲である場合、前記ブーム優先モードを行うように決めることができる。
【0090】
以後、前記優先モードである時、第2のアクチュエータ20に対して入力された操作信号を、第1のアクチュエータ10に対する操作信号により制限する(S140)。前記優先モードである場合、第2のアクチュエータ20に対して入力されたジョイスティック変位量を、第1のアクチュエータ10のジョイスティック変位量に比例して減少した値を有する2次ジョイスティック変位量に調整することができる。
【0091】
また、変位量制限マップを用いて、入力されたバケットジョイスティック変位量(バケットストローク)から、2次バケットジョイスティック変位量(変換されたバケットストローク)を算出することができる。前記入力されたバケットジョイスティック変位量は、前記変位量制限マップに保存されたブームジョイスティック変位量の大きさによる既設定された比率で、前記2次バケットジョイスティック変位量に変換される。前記入力されたバケットジョイスティック変位量に対する前記2次バケットジョイスティック変位量の減少率は、ブームジョイスティック変位量(ブームストローク)の大きさに比例する。すなわち、ブームストロークが増加するほど、前記2次バケットジョイスティック変位量は、より小さくなるように変換される。
【0092】
ついで、第2のアクチュエータ20に対する前記制限された操作信号によって、第2の制御弁320のスプールを移動させる(S150)。
【0093】
前記制限された2次バケットジョイスティック変位量(制限されたバケットストローク)による制御信号(電流)を、第2のスプール変位調整弁420に出力し、第2のスプール変位調整弁420は、前記印加された電流の強さに比例する第2のパイロット信号圧を、第2の制御弁320のスプールに供給することで、第2の制御弁320のスプールを、前記印加された第2のパイロット信号圧の強さによって移動することができる。
【0094】
前記バケットジョイスティック変位量が調整されることによって、前記バケット制御弁の操作信号に対するスプール変位量も調整される。すなわち、バケット操作信号から、バケット制御弁のスプール変位量への転換比率(バケット操作信号の転換比率)は、ブームストロークの大きさに比例して減少される。前記ブーム優先モードでの前記バケット操作信号の転換比率は、バケット単独動作時の転換比率よりも小さい。例えば、ブームストロークが100%である時、前記入力されたバケットジョイスティック変位量から、前記バケット制御弁のスプール変位量への転換比率は、バケット単独動作時の転換比率の約50%に減少される。
【0095】
上述したように、作動圧が互いに異なるブームとバケットの複合動作を行う時、相対的に低い作動圧を有するバケットに作動油が流入される制御弁の流路面積を減少させて、バケットの作動圧を上昇させ、前記ブームとバケットに流入される流量の分配を調節することができる。
【0096】
これにより、ブームとバケットに加えられる負荷とブームのジョイスティック変位量によって、可変的にバケットに対するメータイン制御を行うことで、燃費を改善し、制御性を向上することができる。
【0097】
以上では、本発明の実施形態を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更できることを理解されるだろう。
【符号の説明】
【0098】
10: 第1のアクチュエータ
12: ブームヘッドチャンバ
14: ブームロードチャンバ
20: 第2のアクチュエータ
22: バケットヘッドチャンバ
24: バケットロードチャンバ
100: 第1の油圧ポンプ
110: 第2の油圧ポンプ
200: メイン油圧ライン
202: 第1のセンターバイパスライン
204: 第2のセンターバイパスライン
210: 第1の並列ライン
220: 第2の並列ライン
230: 第3の並列ライン
232: ブームヘッド油圧ライン
234: ブームロード油圧ライン
310: 第1の制御弁
320: 第2の制御弁
330: 第3の制御弁
400: パイロットポンプ
402; 制御パス
410: 第1のスプール変位調整弁
420: 第2のスプール変位調整弁
430: 第3のスプール変位調整弁
500: 制御部
510: データ受信部
520: 優先モード判断部
530: ジョイスティック変位量変換部
540: 出力部
600: 操作部