(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】配線保護のための電気器具用圧力式引外し装置
(51)【国際特許分類】
H01H 77/02 20060101AFI20220511BHJP
H01H 73/02 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
H01H77/02
H01H73/02 Z
(21)【出願番号】P 2019524162
(86)(22)【出願日】2017-02-09
(86)【国際出願番号】 FR2017050292
(87)【国際公開番号】W WO2018087437
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2019-12-17
(32)【優先日】2016-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510339212
【氏名又は名称】アジェ-エレクトロ エス.アー.エス.
【氏名又は名称原語表記】HAGER-ELECTRO S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ルー,チエリ
(72)【発明者】
【氏名】ジェルシュ,ジェレミ
(72)【発明者】
【氏名】デケール,フランシス
(72)【発明者】
【氏名】シツ,チエリ
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0126316(US,A1)
【文献】特開2012-089376(JP,A)
【文献】特開2006-108106(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102009015222(DE,A1)
【文献】特表2015-507344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 77/02
H01H 73/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮断器タイプの配線保護のための電気器具用圧力式引外し装置(1)において、電気器具が遮断チャンバ(34)を含み、この遮断チャンバ(34)内で気体(G)が発生しそこから一定の流出速度で漏出する引外し装置(1)であって、ケース(3)を含みこのケース(3)の内部に、
- 上流側チャンバ(28)、
- 戻し手段(27)、
- 上流側チャンバ(28)に通じ既定の断面を有する気体(G)入口オリフィス(8)、
- 下流側チャンバ(29)、
- 休止位置と引外し位置の間で前記戻し手段(27)に対抗して回転できるアクチュエータ(2)、
を含んでおり、
前記アクチュエータ(2)が上流側チャンバ(28)と下流側チャンバ(29)の間に位置付けされ、それ自体が上流側チャンバ(28)ならびに下流側チャンバ(29)との境界を部分的に画定して
おり、
気体(G)中に存在する残留汚染粒子の回収手段を含み、
前記残留汚染粒子回収手段が、気体(G)の流出速度を低減させて粒子を捕捉するように構想された少なくとも1つのバッフル(20)からなり、
アクチュエータ(2)が、バッフル(20)の内部に挿入され得る突出部(11)を有することを特徴とする、引外し装置(1)。
【請求項2】
アクチュエータ(2)が、上流側チャンバ(28)の内部に向かって方向づけられた圧力検出表面(12)を有し、検出表面(12)が上流側チャンバ(28)の境界画定部分からなることを特徴とする、請求項1に記載の引外し装置。
【請求項3】
アクチュエータ(2)の圧力検出表面(12)が、気体(G)の入口オリフィス(8)の断面を上回っていることを特徴とする、請求項2に記載の引外し装置。
【請求項4】
上流側チャンバ(28)が入口オリフィス(8)から圧力検出表面(12)に向かって拡大していることを特徴とする、請求項3に記載の引外し装置
。
【請求項5】
前記バッフル(20)が、上流側チャンバ(28)の延長部分内に位置することを特徴とする、請求項
1~4のいずれか1つに記載の引外し装置
。
【請求項6】
前記突出部(11)の長さが、アクチュエータ(2)が引外し位置にある場合に突出部(11)が上流側チャンバ(28)の境界画定部分を構成するような形で寸法決定されていることを特徴とする、請求項
1~5のいずれか1つに記載の引外し装置。
【請求項7】
前記ケース(3)が互いに組合わされた2つのハーフシェル(3a、3b)を含むことを特徴とする、請求項1~
6のいずれか1つに記載の引外し装置。
【請求項8】
摩擦無くアクチュエータ(2)の枢動を可能にするため、アクチュエータ(2)と各ハーフシェル(3a、3b)との間に作動あそびを含むことを特徴とする、請求項
7に記載の引外し装置。
【請求項9】
前記作動あそびの中に気体(G)の漏出制限手段を含むことを特徴とする、請求項
8に記載の引外し装置。
【請求項10】
ハーフシェル(3a、3b)の各々が1つの側面を含み、アクチュエータ(2)が各々ハーフシェル(3a、3b)の側面と対面する2つの側面(25a、25b)を含み、前記気体(G)の漏出制限手段は好ましくは、対面して位置するハーフシェル(3a、3b)の側面とアクチュエータ(2)の側面(25a、25b)との間に均一に分布した粘性製品を含んでいることを特徴とする、請求項
9に記載の引外し装置。
【請求項11】
アクチュエータ(2)が、第1の端部(13a)と第2の端部(13b)を有するアームを含み、このアームには第1の端部(13a)レベルの枢動リンク(19)と第2の端部(13b)レベルの引外し用末端部(17)が備わり、前記末端部(17)が下流側チャンバ(29)内に専用に設けられた開口部(9)を通過してケース(3)からはみ出していることを特徴とする、請求項1~
10のいずれか1つに記載の引外し装置。
【請求項12】
前記戻し手段(27)が、一方ではアクチュエータ(2)、他方では下流側チャンバ(29)の表面(26)を支持とする圧縮バネを含んでいることを特徴とする、請求項1~
11のいずれか1つに記載の引外し装置。
【請求項13】
前記ケース(3)には、配線保護のための電気器具の内部での固定のため、足状部または舌状部(5)または溝(6)タイプの位置付けおよびセンタリング用手段が備わっていることを特徴とする、請求項1~
12のいずれか1つに記載の引外し装置。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれか1つに記載の引外し装置(1)を少なくとも1つ含み、前記引外し装置(1)が遮断チャンバ(34)の近傍に位置付けされていることを特徴とする、遮断チャンバ(34)を含む、遮断器タイプの配線保護のための電気器具。
【請求項15】
引外し装置(1)の入口オリフィス(8)は、遮断用気体(G)内に存在する汚染粒子を吸入しないような形で遮断チャンバ(34)との関係においてずらされており、引外し装置(1)の入口オリフィス(8)と遮断チャンバ(34)の間には流路(31)が具備されていることを特徴とする、請求項
14に記載の配線保護のための電気器具。
【請求項16】
既定の4つの位置、すなわち第1の閉鎖位置、第2の引外し位置、第3の再起動位置および第4の開放位置を取ることができるように前記少なくとも1つの引外し装置(1)との関係において枢動する形で取り付けられた制御用レバー(40)を含み、制御用レバー(40)は、アクチュエータ(2)が引外し位置にある場合引外し装置(1)のアクチュエータ(2)に支持されて、制御レバー(40)が第2の引外し位置から第3の再起動位置へと移行する際にこのアクチュエータを休止位置に戻すようになっている支持手段を含むフレーム(41)を含んでいることを特徴とする、請求項
14または
15に記載の配線保護のための電気器具。
【請求項17】
前記フレーム(41)が、2つの側面(41a、41b)を含むこと、および各側面(41a、41b)が支持手段、好ましくは張り出して取り付けられた軸(43)を含むことを特徴とする、請求項
16に記載の配線保護のための電気器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線保護のための電気器具用圧力式引外し装置に関する。本発明はまた、このような圧力式引外し装置を含む、遮断器タイプの配線保護のための電気器具にも関する。
【0002】
本発明はより詳細には、遮断器の従来の階層化による位置の保護管理の観点から、このような器具の引外し速度を増大させ、その主要な保護機能における製品の有効性、そして場合によっては同じ回路内に存在する他の遮断器との連係/選択性を改善する、「瞬時」または「反射」式引外し装置と呼ばれる引外し装置に関する。
【0003】
本発明は実際、同一回路内の他の遮断器の引外し時間との関係において、1つの遮断器の応答時間、ひいてはその機能レベルを調整することができる。
【0004】
瞬時引外し装置が設置される遮断器タイプの電気器具は、1本の配線あたり一対のそれぞれ固定したおよび可動の接点、前記配線に対する一対の接続装置、および第1の開放位置と第2の閉鎖位置との間での前記接点の制御用レバーを含む。この制御用レバーは、電気器具のケースからはみ出し、可動接点が取り付けられている接点ベースと協働する機械的ロックにより、可動接点に連結されている。
【0005】
さらに、1本の配線上で考えられる偶発的な障害の類型論にしたがった異なるタイプの引外し手段が、配線上に問題が発生した場合にロックを作動させるために具備される。
【0006】
電子引外し装置は、およそ20~30msという比較的長い反応時間を有する。したがってこのタイプの電子引外し装置はむしろ、大きい短絡電流を切断するために、配線の先頭に設置された遮断器内で使用される。
【0007】
最も高速の(10ms未満の反応時間)引外し装置は、磁気引外し装置からなる。主な欠点は、このタイプの引外し装置が比較的嵩が高く、したがって、例えば電子引外し装置に加えて先頭の遮断器内に組込むことが困難であるという点にある。したがって磁気引外し装置は好ましくは、先頭の遮断器の下流側に位置する遮断器に装備される。これらの引外し装置は、小さい短絡電流に対しより高い感応性を有し、反応閾値はおよそ1500Aである。
【0008】
最適な選択性を保証するために、本目的は、第1の電子引外し装置よりも高速で(10ms未満の反応時間)およそ6000Aの反応閾値を有していて、下流側遮断器を単独で引外しさせる、圧力式引外し装置タイプの第2の引外し装置を先頭の遮断器に装備することにある。
【背景技術】
【0009】
接点の開放の際に生成される電気アークによって作り出される超過圧を検出することを役目とする、遮断器に装備される圧力式引外し装置はすでに存在する。
【0010】
米国特許出願公開第2006/0077023号明細書、独国特許出願公開第102009015222号明細書、さらには国際公開第2013/121159号は、製品構想に特化した特定的な構造を有する圧力式引外し装置を開示している。したがってこれらの引外し装置は、現状のままでは、電気器具に付加するかまたは電気器具から除去することで、異なるシリーズの遮断器に適応することができない。
【0011】
米国特許出願公開第2013/0126316号明細書は、遮断器の内部により容易に組込むことのできるモジュール式引外し装置を提示している。しかしながらこの引外し装置の圧力検出表面は非常に小さく、したがって超過圧検出における感応性の問題を提起する。この問題を阻止し超過圧を最良に検知するために、引外し装置の入口オリフィスを遮断チャンバ内に直接設置し汚染した気体を捕集するが、これにより、引外し装置内部での汚染管理の問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】米国特許出願公開第2006/0077023号明細書
【文献】独国特許出願公開第102009015222号明細書
【文献】国際公開第2013/121159号
【文献】米国特許出願公開第2013/0126316号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって本発明の目的は、異なるタイプおよび直径の、配線保護のための電気器具内に容易に組込まれ、圧力の最適な検出を有する高い感応性を提供し、しかもそれと同時に引外し機構内部への汚染の進入を最大限回避する、モジュール型の圧力式引外し装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的は、遮断器タイプの配線保護のための電気器具用圧力式引外し装置において、電気器具が遮断チャンバを含み、この遮断チャンバ内で気体が発生しそこから一定の流出速度で漏出する引外し装置であって、ケースを含みこのケースの内部に、
- 上流側チャンバ、
- 戻し手段、
- 上流側チャンバに通じ既定の断面を有する気体入口オリフィス、
- 下流側チャンバ、
- 休止位置と引外し位置の間で前記戻し手段に対抗して回転できるアクチュエータ、
を含んでいる引外し装置を使用して、上述の様々な欠点を改善することにある。
【0015】
この圧力式引外し装置は、主としてアクチュエータが上流側チャンバと下流側チャンバの間に位置付けされ、それ自体が上流側チャンバならびに下流側チャンバとの境界を部分的に画定していることを特徴とする。
【0016】
本発明の主たる考え方は、ケースの内部に具備される異なるチャンバの一部を直接構成するアクチュエータを有する、簡略化されたモジュール式引外し装置を想定することからなる。アクチュエータ自体がチャンバのいくつかの壁を構成することから、ケースの構造は単純化される。これにより、ケースの体積を削減し、非常にコンパクトな引外し装置を得ることが可能になる。
【0017】
この単純化された構造のため、アクチュエータは、上流側チャンバの内部に向かって方向づけられ上流側チャンバの境界画定部分からなる圧力検出表面を有する。
【0018】
こうして、アクチュエータの圧力検出表面は、直接上流側チャンバ内に存在し、それ自体チャンバの壁を構成する。これにより、アクチュエータの圧力に対する感応性を高めることができる。
【0019】
この感応性をさらに高める目的で、アクチュエータの圧力検出表面は、気体の入口オリフィスの断面を上回っている。その結果、超過圧状態の気体は、上流側チャンバの内部で比較的広い表面に対して力を加えることになる。こうして、先行技術に比べて、上流側チャンバの内部圧力が等しいものとして、気体が押しつける表面は増大し、アクチュエータに加わる力はより高いものとなる。こうして、アクチュエータは電気器具を引外すためにより高速で枢動することができる。したがって、引外し装置のこの特定の構造により、アクチュエータの反応時間を短縮させ、この引外し装置を高品質の反射式引外し装置にすることが可能となる。
【0020】
同様にして、アクチュエータは、その圧力検出表面の広さから、上流側チャンバの内部の圧力が低い場合でも引外しを行なう能力を有する。したがって、圧力に対して非常に感応性が高い。この高い感応性により、引外し装置の活動化のために引外し装置内に大流量の気体を進入させずにおくことが可能になる。
【0021】
より厳密には、上流側チャンバは、入口オリフィスから圧力検出表面に向かって拡大する。この拡大により検出表面に向かって適正に気体を誘導して、気体の圧力の力をアクチュエータの検出表面全体にわたり均一に分布させることが可能になる。
【0022】
考えられる一構成によると、引外し装置は、気体中に存在する残留汚染粒子の回収手段を含む。汚染粒子の大部分は遮断チャンバの環境内にとどまるものの、一部の残留粒子は、引外し装置内に入り込むことに成功し得る。これらの残留粒子が引外し装置の機構の機能不良を発生させないようにするには、これらの粒子の捕集を想定する必要がある。
【0023】
このため、前記残留汚染粒子回収手段は、気体の流出速度を低減させて粒子を捕捉するように構想されたバッフルからなる。こうして、気体は、圧力検出表面と接触した後、特にこのバッフルに向かいながら、上流側チャンバから漏出しようとする。これらのバッフルは、気体の行程を減速させ、ひいては、より重い汚染粒子をバッフルの底部に落下させ、凝集させることができる。
【0024】
前記バッフルは、上流側チャンバの延長部分内に位置する。アクチュエータは、バッフルの内部に挿入され得る突出部を有する。前記突出部の長さは、アクチュエータが引外し位置にある場合に突出部が上流側チャンバの境界画定部分を構成するような形で寸法決定されている。実際、アクチュエータが休止位置から引外し位置まで移行する場合、その圧力検出表面は遮断チャンバの内部で位置を変える。突出部が無ければ、この位置変更がバッフルに向かう大きな開口部を創出すると考えられ、この中に気体が大量に導入されて、時にはアクチュエータがその引外し位置に到達する時間が無いうちに、上流側チャンバの内部に急速な負圧が作り出される。突出部は、一方では、引外しの間上流側チャンバ内の超過圧を保つためにバッフルに向かって開口部を制限すること、そして他方では、引外しの間アクチュエータ上に一定の圧力検出表面を保持し、位置の如何に関わらずアクチュエータ上に同じ力が加わるようにすることを可能にする。これにより、引外しにおけるより優れた一定性が可能になる。
【0025】
具体的には、前記ケースは、互いに組合せ可能な2つのハーフシェルを含む。したがって引外し装置は、電気器具に補足的機能を備え付けるために電気器具上に付け加えることのできるモジュールまたはカセットの形を呈する。
【0026】
引外し装置は、摩擦無しにアクチュエータの枢動を可能にするため、アクチュエータと各ハーフシェルとの間に作動あそびを含む。こうして、気体は、この作動あそびを介して上流側チャンバから下流側チャンバに向かって大量に漏出できることになり、これは以上で説明した通り望ましくない。これを回避するために、ハーフシェルの各々は1つの側面を含み、アクチュエータは各々ハーフシェルの側面と対面する2つの側面を含み、引外し装置は、前記作動あそびの中に気体の漏出制限手段を含み、この気体漏出制限手段は、対面して位置するハーフシェルの側面とアクチュエータの側面との間に均一に分布した粘性製品の層を含んでいる。この層により、空間を塞いで気体の大量漏洩を防ぐことができる。
【0027】
本発明の一可能性によると、アクチュエータは、第1の端部と第2の端部を有するアームを含み、このアームには第1の端部レベルの枢動リンクと第2の端部レベルの引外し用末端部が備わり、前記末端部は下流側チャンバ内に専用に設けられた開口部を通過してケースからはみ出している。この末端部は、電気器具のロックの引外し要素に最も近いところに設置されて、遮断のための反応時間を短縮するようになっている。
【0028】
前記戻し手段は、一方ではアクチュエータ、他方では下流側チャンバの表面を支持とする圧縮バネを含んでいる。この戻しバネは、付随する器具を用いた引外し装置の選択的作動の観点からみて圧力式引外し装置の活動化レベルを校正することを可能にする。
【0029】
有利には前記ケースには、配線保護のための電気器具の内部での固定のため、足状部または舌状部または溝タイプの位置付けおよびセンタリング用手段が備わっている。これにより電気器具内に引外し装置を最終段階になって取り付けることが可能になる。こうして電気器具の変形形態の管理が容易になる。
【0030】
本発明はまた、遮断チャンバを含み前述の通りの引外し装置を少なくとも1つ含む、前記引外し装置が遮断チャンバの近傍に位置付けされている遮断器タイプの配線保護のための電気器具にも関する。
【0031】
より厳密には、引外し装置の入口オリフィスは、遮断用気体内に存在する汚染粒子を吸入しないような形で遮断チャンバとの関係においてずらされており、引外し装置の入口オリフィスと遮断チャンバの間には流路が具備されている。
【0032】
接点の開放時に電気アークにより生成された気体は、遮断チャンバのデアイオンに向かって導かれる。気体中に存在する汚染粒子の大部分は、デアイオンの周りで、このチャンバ内で分散するかまたは直接気体と共に外部に向かって漏出する。これらの汚染された気体が到達することで、このとき清浄な気体に相当する流路内に存在する清浄な空気の圧縮が誘発され、この気体を引外し装置内で押して引外し装置のアームを動かすことになる。引外し装置が粘性物質によって気密化されていればいるほど、アームを動かすために必要な空気流量は少なくなり、引外し装置の上流側チャンバに到達できる汚染された気体は少なくなる。
【0033】
具体的には、上流側チャンバ内に到達する気体は、比較的清浄であり、汚染された気体は流路内で停滞し、汚染粒子はこのとき流路の壁に被着するか遮断チャンバ内に再び落下する。
【0034】
したがって、引外し装置の入口オリフィスと遮断チャンバの間のこの特殊な配設は、引外し装置内の汚染を最大限除去できるようにする。その上、粘性物質は、溶融金属からなる残留汚染粒子を高速冷却後にその場で凝固させることにより、これらの汚染粒子を捕捉する熱的慣性を有する。
【0035】
流路の入口断面は、遮断チャンバの体積に比べて比較的小さく、これにより、流路内部の気体の流量は制限され、したがって流路および引外し装置の機構の汚染量および機能不良のリスクは削減される。本発明の範囲内では、この流量制限は、引外し装置内部のアクチュエータの感応性が高いことから、不利ではない。
【0036】
配線保護のための電気器具は、既定の4つの位置、すなわち第1の閉鎖位置、第2の引外し位置、第3の再起動位置および第4の開放位置を取ることができるように前記少なくとも1つの引外し装置との関係において枢動する形で取り付けられた制御用レバーを含み、制御用レバーは、アクチュエータが引外し位置にある場合引外し装置のアクチュエータに支持されて、制御レバーが第2の引外し位置から第3の再起動位置へと移行する際にこのアクチュエータを休止位置に戻すことができそれを目的とする支持手段を含むフレームを含んでいる。
【0037】
有利には、再起動の際、支持手段は、気体による機能不良の場合に、圧力式引外し装置のアクチュエータを押圧し、摩擦を克服し、アクチュエータを休止位置まで戻す。
【0038】
前記フレームは、好ましくは2つの側面を含むことができ、各側面は支持手段、好ましくは張り出して取り付けられた軸を含むことができる。
【0039】
本発明は、添付の概略図を参照しながら、純粋に例示を目的とし非限定的な例として提供されている本発明の一実施形態についての、以下の詳細な説明の中でより良く理解され、本発明の他の目的、詳細、特徴および利点がより明確になるものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】一実施形態に係る引外し装置の第1の側方断面形状を斜視図で例示する。
【
図2】
図1の実施形態に係る引外し装置の第2の側方断面形状を斜視図で例示する。
【
図3】
図1の実施形態に係る引外し装置の分解組立斜視図である。
【
図4】
図1の実施形態に係る、アクチュエータが休止位置にある状態の引外し装置の内部を、斜視図で示す。
【
図5】戻し手段が表わされていない、
図1の実施形態に係る、アクチュエータが引外し位置にある状態の引外し装置の内部を、斜視図で示す。
【
図6】配線保護のための電気器具内への
図1の実施形態に係る引外し装置の一体化を示す。
【
図7】休止位置にある2つの圧力検出器を含む第1の閉鎖位置にある制御用レバーを有する、
図1の実施形態に係る引外し装置を含む電気器具を示す。
【
図8】引外し位置にある2つの圧力検出器を含む第1の閉鎖位置にある制御用レバーを有する、
図7の電気器具を示す。
【
図9】引外し位置にある2つの圧力検出器を含む第2の引外し位置にある制御用レバーを有する、
図7の電気器具を示す。
【
図10】休止位置にある2つの圧力検出器を含む第3の再起動位置にある制御用レバーを有する、
図7の電気器具を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1および2を参照すると、好ましい実施形態に係る圧力式引外し装置1は、ケース3からはみ出す第2の端部13bを含むアクチュエータ2を閉じ込めた、2つのハーフシェル3a、3bを含むケース3を含んでいる。ハーフシェル3a、3bおよびアクチュエータ2は、好ましくは、変形無く繰り返し高温気体Gに最良に耐えるように、ポリマー材料で構想されている。これは「ミニチュア」(miniature)とみなされる引外し装置1である。
【0042】
これら2つのハーフシェル3a、3bは、対応する形状を有し、互いに嵌合する。これらのハーフシェルは、好ましくはリベットにより互いに固定されている。すなわち、(これらの図中の引外し装置1の配置にしたがって)上部部分に3つのリベット4が具備され、下部部分に4つのリベット4が具備されている。このリベットによりケース3を効果的に閉鎖し気密化することができる。
【0043】
このように閉鎖されたこのケース3は、
図6に例示されているように、所望される選択性に応じて、配線保護のための電気器具の遮断ブロック上に付加することができる。このためケース3は、電気器具内において、電気器具のロックを起動する引外し用ロッド32の近傍に挿入される。
【0044】
ケース3は、ハーフシェル3aの外部壁3cから延在し、電気器具の制御用レバー40の近傍に位置する電気器具の固定壁の中に専用に具備された溝(図示せず)内を摺動することのできるレール6(
図1に見える)によって、電気器具内で所定の位置に置かれる。レール6は、位置付けおよび考えられるセンタリング用の手段の1つを構成し、他の等価の手段、例えば足状部なども企図可能である。
【0045】
ケース3は、電気器具のロックに属するストッパ38の下に位置付けされ得、
図6に例示されているように、引外し用ロッド32が固定されている構造体と同じ構造体の一部を成す、舌状部5を含む。有利には、行程の終りで、ケース3は電気器具内において舌状部5により所定の位置に維持される。舌状部5は、位置付けおよび考えられるセンタリング用の手段の1つを構成する。
【0046】
こうしてケース3を、単純な並進移動に続いて電気器具内に取り付けることができる。この設置は容易かつ迅速であり、すでに直ちに作動できる状態にある電気器具上に最終段階で行なわれる。したがって、電気器具の選択性レベルとしては、最後に決定可能である。
【0047】
引外し装置1は、柔軟な気密性唇状部7により境界画定された気体Gの入口オリフィス8を有する。引外し装置1が電気器具内に設置された場合、この入口オリフィス8は、
図6に例示されているように、電気器具の遮断チャンバ34に由来する気体Gの排出口に接して位置付けされた状態にある。気密性唇状部7は、この排出口と入口オリフィス8の間に気密な接合を実現できるようにする。
【0048】
図3は、引外し装置1の内部およびアクチュエータ2の形状をより良く視覚化できるようにする、引外し装置1の分解組立図である。
【0049】
アクチュエータ2は好ましくは、引外し装置1の内部に配置され第1の端部13aと自由な第2の端部13bとを含む枢動アームを含む。好ましくは貫通しているオリフィス14は、アームの第1の端部13a内に設けられる。ハーフシェル3a、3bが互いに組立てられてケース3を形成した時点で、ハーフシェル3bから張り出したシャフト19が、このオリフィス14の中に挿入される。したがってこのシャフト19は、枢動連結を形成するためのアクチュエータ2の枢動軸を構成する。アームの第2の端部13bは、ケース3からはみ出す引外し用末端部17を含む。この末端部17は、引外し用ロッド32と接触して電気器具の引外しを誘発することができる。
【0050】
アクチュエータ2はさらに、上部表面24a、反対側の下部表面24b、およびハーフシェル3a、3bの側面に対面して位置する2つの側面25a、25bを含む。上部表面24aは、窪み16を含み、その上には、この窪み16との関係において張り出したセンタリングピン15が配置されている。
【0051】
アクチュエータ2は、
図1、2および4に例示されているような休止位置と
図5に例示されているような引外し位置の間で可動である。アクチュエータ2のこの枢動は、ここでは圧縮螺旋バネからなる戻し手段27に対抗して行なわれるが、この例は限定的ではない。戻し手段27は、一方では、上部部分に位置するハーフシェル3bの表面26に支持される第1の端部27b、他方ではアクチュエータ2の上部表面24a上に設けられた窪み16の底面に支持される第2の端部27aを含む。窪み16から張り出すセンタリングピン15は、螺旋バネの内部に向かって延在して、この螺旋バネをセンタリングし、それを窪み16内で所定の位置に維持する。戻し手段27の校正に応じて、アクチュエータ2は、多少の差こそあれ容易に枢動し得る。
【0052】
アクチュエータ2はまた、上部表面24aと反対側の下部表面24bから延在し、互いに並置してハーフシェル3bの下部部分に専用に具備された2つのバッフル20、21内に挿入され得る2つの突出部11、10を含む。突出部11、10およびバッフル20、21は、
図5が示すように、対応する形状を有する。
【0053】
最後に、アクチュエータ2の下部表面24bは、その第1の端部13aと2つの突出部11、10の間で長手方向に延在する圧力検出表面12を有する。したがって、この検出表面12は比較的広く、アクチュエータ2の長さのほぼ半分に相当する。アクチュエータ2はさらに、この圧力検出表面12の延長部分内に位置する表面18を含み、第1の突出部11の一方の側面に対応する。
【0054】
引外し装置1は、
図4および5に例示されているように2つのチャンバ、すなわち、
- 気体Gの入口オリフィス8が通じている上流側チャンバ28、
- 気体Gが漏出するときに通る下流側チャンバ29、
を含む。
【0055】
アクチュエータ2自体が、上流側チャンバ28と下流側チャンバ29とを分離する。
【0056】
上流側チャンバ28は主として、ハーフシェル3a、3bの2つの側面、共にハーフシェル3bに属する2つの表面22、23、および、上流側チャンバ28の境界画定部で構成されることになるアクチュエータ2の検出表面12によって境界画定されている。したがって検出表面12は、上流側チャンバ28との関係において最適化されている。
【0057】
ハーフシェル3bの2つの面22、23は、入口オリフィス8を検出表面12に連結する。したがって、上流側チャンバ28は入口オリフィス8と検出表面12との間で漸進的に拡大し、この検出表面は入口オリフィス8の断面よりはるかに大きい。上流側チャンバ28のこの漸進的拡大によって、気体Gは、検出表面12に向かって誘導されながら上流側チャンバ28内にうまく分布し、検出表面12全体にわたり圧力の力を加えることができる。したがって圧力の力は、大きな表面上に分布させられ、これにより、アクチュエータ2は低い圧力レベルの場合でさえ、容易に枢動できることになる。こうして、引外し装置1の圧力/力効率は最適化される。その上、アクチュエータ2上に向かう加圧気体Gの向きにより、引外し装置1の動的な面を最適化し特にアクチュエータ2に対して「激しい衝撃(coup de belier)」現象の動的力が及ぼす効果を活用することが可能になる。
【0058】
下流側チャンバ29は、主として、ハーフシェル3a、3bの2つの側面、表面26、およびアクチュエータ2の上部表面24aによって境界画定される。このチャンバ29は、
図1および2が示す通り1つの開口部9を含み、アクチュエータ2の引外し用末端部17は、開口部9を通ってはみ出している。
【0059】
図6に例示されているように、電気アークE発生後に遮断チャンバ34に由来する気体Gは、一定の流出速度で入口オリフィス8を介して上流側チャンバ28内に入る。この気体Gは、アクチュエータ2が休止位置にある状態で、圧力検出表面12上に圧力を加える。圧力が一定の閾値を超えた場合、アクチュエータ2は、引外し位置に戻るまで、戻し手段27に対抗して枢動する。
【0060】
休止位置(
図4参照)において、アクチュエータ2の突出部11、10は、バッフル20、21内に完全に戻っている。引外し位置(
図5参照)では、突出部11、10の自由端部のみがなおもバッフル20、21内に差し込まれている。この場合、第1の突出部11の表面18も同様に部分的に上流側チャンバ28を境界画定し、こうして、上流側チャンバ28の境界画定部分を形成する。こうして、アクチュエータ2の位置の如何に関わらず、上流側チャンバ28はつねに壁により境界画定されており、アクチュエータ2が安定した引外し位置に戻るのを妨げることになる上流側チャンバ28内のあらゆる急激な負圧を回避する目的で、気体Gの漏出のための大きな開口部を含んでいない。
【0061】
上流側チャンバ28内に存在する気体Gの体積は、このバッフル形成によりアクチュエータ2の行程全体にわたりほとんど一定であり続ける。
【0062】
したがって、気体Gによりアクチュエータ2に対して加えられる圧力の力は、アクチュエータ2の行程全体にわたりほぼ一定であり、これにより、引外しレベルの分散を低減させることが可能になる。
【0063】
突出部10、11とバッフル20、21のアセンブリは、気体Gの細い流れがバッフル20、21内を流れることができるような形で寸法決定される。これらのバッフル20、21の役割は、気体G中に存在する細かい汚染粒子を回収するために、気体Gの流出速度を低減させることにある。したがって、バッフル20、21は、考えられる汚染粒子の回収用手段である。これらの粒子はこのとき、バッフル20、21の底面に落下して凝集する。前後して2つのバッフル20、21が存在することで、粒子回収効率を倍増させることができる。
【0064】
第2のバッフル21は、下流側チャンバ29の開口部9に通じている。
【0065】
休止位置において、アクチュエータ2は、第2のバッフル21を画定する壁上にあり、このとき気体Gの細い流れはバッフル20、21内に閉じ込められた状態にとどまる。アクチュエータ2が枢動を始めると直ちに、アクチュエータは通路を解放し、2つのバッフル20、21を通過した気体の細い流れは、このとき、下流側チャンバ29の開口部9を介して外部に向かって漏出する。
【0066】
アクチュエータ2がハーフシェル3a、3bとの摩擦無く自由に枢動できるように、アクチュエータ2の側面25a、25bとハーフシェル3a、3bの間には作動あそびが具備されていることから、気体Gは同様に、この側面25a、25bに沿って漏出する傾向を有する。この作動あそびは、好ましくはおよそ0.02~0.03ミリメートルである。ところがこの漏出はまた、上流側チャンバ28内に急激な負圧を作り出す可能性もあり、これは望ましいことではない。
【0067】
この問題に対する解決法は、
図4に例示されているように、油脂などの粘性製品の集積体30を複数の場所で、アクチュエータ2の側面25a、25b上に対照的に被着させることからなる。ケース3の組立ての際に、これらの集積体は、側面25a、25bとハーフシェル3a、3bとの間の空間を塞ぐような形で、比較的均一な分布で、アクチュエータ2の側面25a、25bとハーフシェル3a、3bの側面の間に展延する。
【0068】
この粘性製品は、アクチュエータ2が制約なく枢動できるようにするために充分変形可能かつ柔軟であり、気体Gを停止させるのに充分な粘性を有する。気体Gの細い流れだけが、側面25a、25bとハーフシェル3a、3bの間にうまく入り込んで、上流側チャンバ28内に到達し、ひいては開口部9から漏出することができる。粘性製品は、考えられる漏出の制限手段の1つを構成する。
【0069】
こうして、気体Gの漏出は、専ら穏やかでゆっくりと行なわれて、圧力式引外しシステムに大きな安定性および大きな一定性を付与する。こうして、引外し装置1を通過する気体Gの流量は、作動あそびおよび粘性製品層の厚みに作用を及ぼすことによって、調節可能である。
【0070】
図6は、アクチュエータ2が休止位置にある状態で、その環境の中での引外し装置1を示している。引外し用末端部17は、反応時間を最大限短縮するため、ロックの引外し用ロッド32の下、したがってロックに最も近いところに位置している。アクチュエータ2の枢動は、引外し用ロッド32の枢動を誘発する。
【0071】
入口オリフィス8は、電気器具の固定壁33の中に設けられ電気アークEの消弧用デアイオン35がある電気アークEの遮断チャンバ34内で始まる流路31の出口に位置付けされる。電気アークEは、固定接点36と可動接点37の開口によって生成される。
【0072】
遮断チャンバ34は、接点36、37を取り囲む範囲、デアイオン35を取り囲む範囲、および流路31の入口範囲を含む。遮断チャンバは、点線で例示されているように、引外し装置1が存在する平面との関係においてずらされた平面内にある。この
図6において、遮断チャンバはいわゆる「前方」平面内にあり、引外し装置はいわゆる「後方」平面内にある。より厳密には、流路31は、以下のものを含む、
- 流路31内の気体Gの入口レベルで始まり、軸Zに沿って方向づけられている第1の区間、気体Gは前方平面から後方平面に移行しながらこの区間を流れる、
- 引外し装置1の入口オリフィス8内に通じながら流路31の気体Gの出口レベルで終結する、軸Yに沿って方向づけられている第2の区間。
【0073】
流路31は、気体Gが最も汚染されている固定接点36および可動接点37の近傍で直接始まるのではなく、デアイオン35の近傍で、汚染粒子の大部分がすでに脇に取りおかれているゾーン内で始まる。初めは流路31内に存在する空気は清浄である。電気アークEの発生後、作り出された汚染気体Gは、遮断チャンバ34の容積を満たし、このとき流路31内の清浄な空気を圧縮し、その後この空気を引外し装置1に向かって押す。したがって、引外し装置1の上流側チャンバ28内に到来しアーム2を活動化させるのは、清浄な気体Gである。
【0074】
流路31を通過する矢印は、流路31および引外し装置1の上流側チャンバ28を通過する気体Gの進行を例示している。
【0075】
流路31の入口オリフィス8の断面は、先行技術のオリフィスに比べ比較的小さい。実際本発明において、引外し装置1を活動化させるために引外し装置1内に多くの気体Gを入らせる必要はない。これは、引外し装置1に対し高い感応性を付与する検出表面12の広さによるものである。流路31内に進入する気体Gの量を制限することにより、流路31および引外し装置1の機構の汚染、ならびに機能不良のリスクを制限することも可能になる。流路31の入口オリフィス8の断面は、引外し装置1の入口オリフィス8の断面にほぼ対応する。したがって、負荷損失はない。気体Gの流量のこの制限はさらに、アクチュエータ2上の静的な力を増大させることを可能にする。
【0076】
図7~10が例示するように、電気器具は、対面して配置され各々1つのアクチュエータ2を含む前述の通りの2つの圧力式引外し装置1を含むことができる。電気器具は、既定の4つの位置、すなわち第1の閉鎖位置(
図7および8)、第2の引外し位置(
図9)、第3の再起動位置(
図10)および第4の開放位置(図示せず)を採用することのできる制御用レバー40を含む。その上、制御用レバー40は、互いに間隔取りされ互いにほぼ平行である2つの側面41a、41bを有するフレーム41の上に取り付けられている。フレーム41は好ましくは、断面がU字形の格好を示す形状を有する板金金属部品である。好ましくは、制御用レバー40は、例えばクリッピングによりフレーム41の上部部分に固定される。
【0077】
フレーム41は、例えば、枢動リンクにより、2つの引外し装置1との関係において枢動するように取り付けられている。この配置により、制御用レバー40は一方の位置から他方の位置へと揺動することができる。
【0078】
側面41a、41bの各々の上に、好ましくは側面41a、41bにほぼ直交して張り出す1本の軸43が取り付けられている。制御用レバー40のフレーム41は、こうして、圧力式引外し装置1のアクチュエータ2をそれぞれ支持とすることのできる2本の軸43を含んでいる。
【0079】
より詳細には、軸43は、アクチュエータ2の上部表面24aを支持とすることができる。実際、気体Gの汚染により機能不良が発生した場合、アクチュエータ2は引外し位置で係止された状態にとどまることができる。このとき、引外し装置1の戻し手段27はもはや、アクチュエータ2を休止位置に戻すのに充分ではない。戻し手段27は引外しの閾値を調節できるようにし続けるが、もはや再起動、すなわち第2の引外し位置から第3の再起動位置への移行を可能にはしない。
【0080】
軸43はこの機能を果たすことができ、戻し手段27から機能を引き継ぐことになる。こうして再起動の際、すなわち制御用レバー40が第2の引外し位置から第3の再起動位置まで移行する場合、2本の軸43は、それぞれ2つのアクチュエータ2に支持されて、これらのアクチュエータをその休止位置に戻すことになる。軸43は、第2の引外し位置から第3の再起動位置まで移行する際にアクチュエータ2を支持とすることができかつそれを目的とするあらゆる支持手段によって代替的に置換され得る。
【0081】
図7は、引外し装置1のアクチュエータ2が休止位置にある状態の第1の閉鎖位置における制御用レバー40を例示しており、軸43は、アクチュエータ2の上部表面24aから離隔されていて、これらがその機能を果たすことを可能にしている。
【0082】
図8は、引外し装置1のアクチュエータ2が引外し位置にある状態の第1の閉鎖位置における制御用レバー40を例示しており、アクチュエータ2は、引外し用ロッド32の方向に持上げられており、各アクチュエータ2の上部表面24aと接触している。
【0083】
図9は、引外し位置にある引外し装置1のアクチュエータおよびアクチュエータ2の上部表面24aを押して休止位置に戻す軸43を伴う、第2の引外し位置における制御用レバー40を例示する。
【0084】
図10は、引外し装置1のアクチュエータ2が休止位置にある状態の第3の引外し位置における制御用レバー40を例示する。この構成は、モールドケース遮断器(Molded Case Circuit Breaker:MCCB)タイプの遮断用電気器具にとって極めて有利である。
【0085】
さらに、この解決法により、休止位置へのアクチュエータ2の復帰機能と、戻し手段27により確保される予め校正された電流レベルへの引外し機能との相関関係を不要にすることができる。
【0086】
上述の説明に関しては、サイズ、材料、形状、機能および作動、組立ておよび使用様式の変動を含めて、本発明の諸部分についての最適な寸法的関係は、当業者にとっては明確かつ明白なものとしてみなされ、図面中に例示されているものおよび明細書中に説明されているものと等価である全ての関係が、本発明中に含まれるものとみなされる。
【符号の説明】
【0087】
1 電気器具用圧力式引外し装置
2 アクチュエータ
3 ケース
8 入口オリフィス
27 戻し手段
28 上流側チャンバ
29 下流側チャンバ
34 遮断チャンバ