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特許7071364組織サンプルの抽出および収集のための装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】組織サンプルの抽出および収集のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/02 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
A61B10/02 110H
A61B10/02 110K
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019530745
(86)(22)【出願日】2017-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 IN2017050577
(87)【国際公開番号】W WO2018104964
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-12-07
(31)【優先権主張番号】201611041748
(32)【優先日】2016-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】519196139
【氏名又は名称】セクレタリー・デパートメント・オブ・バイオテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100210701
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 義則
(72)【発明者】
【氏名】シラジ・ショウカット・バグワン
(72)【発明者】
【氏名】プラビーン・ディーリプ・ナラワデ
(72)【発明者】
【氏名】ラシード・アハメド
(72)【発明者】
【氏名】プレマナンド・スグマラン
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-516504(JP,A)
【文献】国際公開第2008/024684(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生検用装置であって、
前記装置は、
生検用針を備えた注射ユニットと、前記注射ユニットの動作のための駆動機構とを備える、プローブユニットを備え、
前記駆動機構は、
シャフト部材であって、前記針は、前記シャフト部材に固定的に取り付けられる、シャフト部材と、
前記シャフト部材に配置されたギアラックと、
前記ギアラックと係合した第1の駆動ギアであって、前記第1の駆動ギアは、前記ギアラックを駆動して前記シャフト部材を直線方向に前進させる、第1の駆動ギアと、
前記シャフト部材の近位端に配置された移行ギアと、
前記プローブユニットに取り付けられた伝達ギアと、
前記伝達ギアと係合した第2の駆動ギアであって、前記伝達ギアは、前記移行ギアを駆動して前記針を回転させる、第2の駆動ギアと、
前記プローブユニットに取り付けられ、前記伝達ギアによって駆動される少なくとも1つの従動ギアであって、前記シャフト部材が所定の角度だけ回転を完了すると、前記ギアラックは、前記少なくとも1つの従動ギアと係合し、前記シャフト部材を前記直線方向に後退させる、少なくとも1つの従動ギアと、を備え、
前記装置は、
ドライバユニットであって、前記プローブユニットの前記駆動機構は、前記ドライバユニットに結合される、ドライバユニットを備え、
前記ドライバユニットは、
原動機であって、前記原動機は、前記針を前進させ、前記針を回転させ、前記針を後退させる、双方向順次移動のための前記駆動機構の前記第1の駆動ギアと係合することによって前記針を動作させる、原動機と、
圧力サブシステムであって、前記圧力サブシステムは、前記プローブユニットに結合される、圧力サブシステムと、を備え、
前記圧力サブシステムは、
生検のために前記プローブユニットに負圧を供給する圧力ポンプと、
処置時に、圧力を瞬間的に加えるために前記圧力ポンプによって供給される圧力を貯蔵するための圧力貯蔵室と、を備え、
前記ドライバユニットは、
生検のために変化する圧力を提供するために前記圧力サブシステムを制御するための制御サブシステムと、を備える
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
生検用装置であって、
前記装置は、
生検用針を備えた注射ユニットと、前記注射ユニットの動作のための駆動機構とを備える、プローブユニットを備え、
前記駆動機構は、
シャフト部材であって、前記針は、前記シャフト部材に固定的に取り付けられる、シャフト部材と、
前記シャフト部材に配置されたギアラックと、
前記ギアラックと係合した第1の駆動ギアであって、前記第1の駆動ギアは、前記ギアラックを駆動して前記シャフト部材を直線方向に前進させる、第1の駆動ギアと、
前記シャフト部材の近位端に配置された移行ギアと、
前記プローブユニットに取り付けられた伝達ギアと、
前記伝達ギアと係合した第2の駆動ギアであって、前記伝達ギアは、前記移行ギアを駆動して前記針を回転させる、第2の駆動ギアと、
前記プローブユニットに取り付けられ、前記伝達ギアによって駆動される少なくとも1つの従動ギアであって、前記シャフト部材が所定の角度だけ回転を完了すると、前記ギアラックは、前記少なくとも1つの従動ギアと係合し、前記シャフト部材を前記直線方向に後退させる、少なくとも1つの従動ギアと、を備え、
前記装置は、
ドライバユニットであって、前記プローブユニットの前記駆動機構は、前記ドライバユニットに結合される、ドライバユニットを備え、
前記ドライバユニットは、
原動機であって、前記原動機は、前記針を前進させ、前記針を回転させ、前記針を後退させる、双方向順次移動のための前記駆動機構の前記第1の駆動ギアと係合することによって前記針を動作させる、原動機と、
圧力サブシステムであって、前記圧力サブシステムは、前記プローブユニットに結合される、圧力サブシステムと、を備え、
前記圧力サブシステムは、
生検のために前記プローブユニットに負圧を供給する圧力ポンプと、
処置時に、圧力を瞬間的に加えるために前記圧力ポンプによって供給される圧力を貯蔵するための圧力貯蔵室と、
前記圧力貯蔵室と前記圧力ポンプとの間に結合される逆止弁であって、前記逆止弁は、前記圧力貯蔵室内に貯蔵された圧力の逆流を防止するためのものである、逆止弁と、
前記圧力貯蔵室によって前記プローブユニットに提供される圧力を制御するために前記圧力貯蔵室に結合される電磁弁と、
フィルタチャンバおよび前記プローブユニットに設けられた取り外し可能に結合された組織サンプル容器を介して、前記圧力貯蔵室から圧力を前記針の近位端に提供するためのインターフェース要素と、を備え、
前記ドライバユニットは、
生検のために変化する圧力を提供するために前記圧力サブシステムを制御するための制御サブシステムと、を備える
ことを特徴とする装置
【請求項3】
前記フィルタチャンバは、一方の端部が前記インターフェース要素に結合され、他方の端部が導管を介して前記組織サンプル容器に結合され、前記フィルタチャンバは、
一次チャンバおよび二次チャンバと、
前記フィルタチャンバ内で上下に積み重ねられている複数のフィルタ部材と、
液体不純物を吸収するためのヒドロゲルパッドを備える空の空間と、を備え、
前記フィルタチャンバ(208)を通して負圧を加えると、
前記フィルタチャンバは、前記組織サンプル容器内の前記組織サンプルから不純物を吸収し、
前記複数のフィルタ部材は、吸収された不純物を吸い取り、
前記空の空間は、残留流体不純物を排出し、
前記フィルタチャンバは、前記取り外し可能に結合された組織サンプル容器を介して前記針の近位端に圧力を伝達するための経路を提供する
ことを特徴とする請求項2に記載の装置
【請求項4】
前記組織サンプル容器は、前記プローブユニットに取り外し可能に結合されており、前記組織サンプル容器は、
前記針の近位端を収容するための入口開口部と、
前記針から組織を受け取るための第1の区画と、
前記第1の区画と第2の区画とを分離するためのプレートであって、前記プレートは、前記第1の区画から第2の区画への流体の浸透を可能にする、プレートと、
前記第2の区画であって、前記第2の区画は、前記フィルタチャンバに結合するための導管を備える、第2の区画と、
前記組織サンプル容器を識別するための近距離無線通信(NFC)タグと、を備え、
前記取り外し可能に結合された組織サンプル容器を通して負圧を加えると、
組織サンプルチャンバは、前記針の近位端に圧力を伝達するための取り外し可能な圧力経路を提供し、
組織サンプルチャンバは、前記針の遠位端から近位端まで内腔を通って移動した抽出組織を収集する
ことを特徴とする請求項2に記載の装置
【請求項5】
前記装置は、針深さ調節器を備え、
前記針深さ調節器は、
前記針深さ調節器の第1の端部にある円形ディスクと、
前記針深さ調節器の第2の端部にあるロックアームと、を備え、
前記ロックアームは、ロック位置で前記ドライバユニットをロックし、前記針の長さを制御し、
前記ロックアームは、
磁石を備え、前記針の長さは、前記ドライバユニット内の複数の磁石センサによって前記磁石の位置に基づいて検出される
ことを特徴とする請求項2に記載の装置
【請求項6】
前記装置は、前記注射ユニットの遠位端に結合される針深さ調節器を備え、
前記針深さ調節器は、望ましくない長さの針挿入を防止または制限するために伸張および固定可能であり、
前記針深さ調節器は、
前記装置を外部装置と位置合わせするための位置合わせユニットと、
前記ドライバユニットとロックするための中央部分と、
前記中央部分に結合される半円形フラップと、を備え、
前記半円形フラップは、開閉構成を有し、前記半円形フラップは、生検中に閉じられる
ことを特徴とする請求項2に記載の装置
【請求項7】
前記制御サブシステムは、
前記圧力ポンプに命令を出して前記圧力貯蔵室内に部分真空を発生させ、
前記圧力サブシステム内の複数の圧力センサから信号を受信し、前記信号に基づいて、前記制御サブシステムは、
前記プローブユニットに提供される圧力を制御するための電磁弁と、
圧力の逆流を防ぐための逆止弁と、
前記駆動機構を作動させるための原動機と、を制御し、
前記プローブユニットの状態を受信し、前記状態は、前記プローブユニットのロック位置を備え、
前記制御サブシステムは、
ホールセンサから前記針の長さを受信する
ことを特徴とする請求項2に記載の装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本主題は、一般に、軟組織生検に関し、特に、組織サンプルの抽出および収集のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生検手順は、肝臓、前立腺、乳房、腎臓、肺などに関連する疾患などの様々な健康状態を診断し、体内の悪性または良性腫瘍などの感染性組織を識別するために体組織から組織サンプルを抽出することを含む。組織サンプルを抽出するために、外科医または医師は、最初に、身体的触診、聴診、視覚映像化、またはこれらの技術の組み合わせに基づいて生検領域の位置を特定する。
【0003】
さらに、生検装置内の針を生検領域に向かって移動させて体組織サンプルを抽出する。生検のさまざまな手順は、さまざまな体の部分または患部組織領域に使用される。例えば、切開または針生検処置は、筋肉、骨、および、肝臓や肺のような臓器などの身体領域から組織または細胞を抽出するために使用される、Menghini 吸引針、Tru-cut 針またはBioPince 針などの特別な針を含み得る。
【0004】
添付の図面を参照しながら詳細な説明を提供する。図において、参照番号の左端の数字は、その参照番号が最初に現れる図を識別する。同様の特徴および構成要素を参照するために、図面全体を通して同じ番号が使用されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本主題の一実施形態に係る、生検用の装置のブロック図である。
図2A】本主題の一実施形態に係る、生検装置の組立分解図である。
図2B】本主題の一実施形態に係る、生検装置の組立分解図である。
図2C】本主題の一実施形態に係る、ロックアーム上の磁石を示す図である。
図2D】本主題の一実施形態に係る、生検装置の組立図である。
図2E】本主題の一実施形態に係る、生検装置の組立図である。
図2F】本主題の一実施形態に係る、生検装置の組立図である。
図2G】本主題の一実施形態に係る、生検装置の組立図である。
図3】本主題の一実施形態に係る、ドライバユニットの断面斜視図である。
図4】本主題の一実施形態に係る、駆動機構の斜視図である。
図5】本主題の一実施形態に係る、駆動機構の上面図である。
図6】本主題の一実施形態に係る、プローブユニット内の駆動機構の分解図である。
図7A】本主題の一実施形態に係る、初期位置にあるシャフト部材を示す図である。
図7B】本主題の一実施形態に係る、変位した移行位置にあるシャフト部材を示す図である。
図7C】本主題の一実施形態に係る、最終位置にあるシャフト部材を示す図である。
図8】本主題の一実施形態に係る、プローブユニットの側断面図である。
図9】本主題の一実施形態に係る、補助容器を有するプローブユニットの底面図である。
図10A】本主題の一実施形態に係る、フィルタチャンバの底面図および断面図である。
図10B】本主題の一実施形態に係る、フィルタチャンバの底面図および断面図である。
図11】本主題の一実施形態に係る、組織サンプル容器の分解図である。
図12】本主題の一実施形態に係る、装置に結合されたドッキングユニットを示す図である。
図13】本主題の一実施形態に係る、装置内の圧力流路を示す図である。
図14】本主題の一実施形態に係る、制御サブシステムのブロック図である。
図15】本主題の一実施形態に係る、プローブユニット用の包装トレイの上面図である。
図16】本主題の一実施形態に係る、生検を実施するための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本主題は、組織サンプルの抽出および収集のための装置に関する。
【0007】
一般に、吸引針生検手順は、コア組織サンプルを得るために行われる。吸引針生検は軟組織に針を挿入することを含む。得られるサンプルの品質および量は、加えられる負圧の量ならびに針の迅速な動きに左右される。両方のパラメータは手動で制御されるので、サンプルの品質と量はかなりの程度までオペレータの技量によって決定される。
【0008】
さらに、吸引針生検では、針の直線運動のみが提供される。含まれる直線的な動きのみがあるので、組織は針の遠位端で完全には剪断されず、断片化された組織サンプルをもたらし得る。
【0009】
Tru-cut技術と呼ばれる別の技術では、スタイレットの急速な進歩とそれに続く組織サンプルを得るためのカニューレの切断がある。これは、組織が圧迫されているサンプルの診断品質を低下させる場合に、破砕アーチファクトを引き起こす可能性がある。場合によっては、サンプルの厚さが、針に付随するカニューレのノッチおよび内径によって制限されることがあるので、サンプルの量が不適切になることがある。この技術では、針が臓器表面に達するまで患者の体内に挿入され、次にスタイレットが前進してサンプルを得る。サンプルを採取する前のこの針の挿入の長さは、医師の専門知識に基づかないことが多く、サンプルの診断上の価値を大きく左右する。したがって、生検手順は多くの変数を持ち、医療従事者からかなりの量のスキルを必要とする。多くの場合、サンプルが診断に不十分または不適切である場合、この手順が繰り返される可能性があり、これがさらに臨床的リスクを増大させる。
【0010】
さらに、従来の生検装置では、従事者は、サンプルの取り扱い中、または偶発的な針刺しまたは装置の不注意な取り扱いに起因して、肝炎、血液由来疾患などの感染性疾患にかかる危険性にさらされている。さらに、安全ガイドラインに反して、使い捨て用に処方された針アセンブリが複数の患者に繰り返し使用される場合、被検者は感染症にかかる危険性もある。
【0011】
ほとんどの場合、医療従事者によって使用される生検装置は、線形作動およびサンプルの回収のために複雑なバネ仕掛けの機構を有する。さらに、真空補助生検システムでは、圧力ポンプと圧力貯蔵容器とが別々に配置され、必要に応じて外部導管を介して生検装置に圧力が伝達されるため、生検装置の操作性および携帯性が制限される。さらに、内圧ポンプを備えたいくつかの構成では、圧力ポンプによって生成された圧力を安定させることは、かなりの処置時間を要し、また処置中に装置に振動を引き起こし、患者の不快感および不安を増大させる。
【0012】
加えて、異なる臓器は、組織を摘出するために針端で異なる量の負圧を必要とするかもしれない。これにより、処置時間がさらに長くなる可能性がある。さらに、肝臓、腎臓などのように緩く束縛された軟組織臓器の場合、呼吸または患者の不安定性による外部からの動きの結果としての標的組織の局所的な内部変位は、内部出血およびサンプル抽出中の裂傷などのさらなる臨床的合併症を引き起こし得る。さらに、組織サンプルの適切な検査を実施するために、組織内に侵入する装置によって破砕または断片化されていない、完全に無傷の清浄なコアサンプルを抽出することも望ましい。
【0013】
したがって、臓器特異的生検手順を実行するための手順パラメータの自動化された正確な制御を提供することによって医師の技能依存を減少させる生検装置が必要とされている。組織サンプルの品質は、周囲の組織からの組織サンプルの完全な分離のために適切な負圧を提供することによって改善され得る。生検装置はまた、使い捨て針アセンブリの使用を制限し、そして最小の処置時間で上記の欠点を克服しながら組織サンプルを抽出し、フィルタリングしそして貯蔵するための特徴を組み入れるべきである。
【0014】
本主題は生検用の装置に関する。装置は組織サンプルの自動抽出および収集を提供する。この装置はプローブユニットとドライバユニットとを含む。ここで“ドライバユニット”とは、圧力サブシステム、原動機、制御サブシステムおよび無線モジュールを含む装置の携帯部分を指す。ここで“プローブユニット”とは、ドライバユニットに着脱可能に装着され、一回使用された後に配置されてもよいユニットを指す。プローブユニットは、注射ユニット、組織サンプル容器、フィルタリング機構および駆動機構を含む。プローブユニットの駆動機構はドライバユニットに結合されている。
【0015】
注射ユニットは生検用の針を含む。駆動機構は注射ユニットの作動用である。駆動機構はシャフト部材を含む。針はシャフト部材に固定的に取り付けられている。一実施形態では、針本体をシャフト部材内に同心円状に取り付けることができ、これは、生検処置を実行するための双方向の順次移動のために駆動機構によって作動させることができる。駆動機構は、シャフト部材を前進させ、シャフト部材を直線方向に後退させ、シャフト部材の回転運動を生じさせることである。
【0016】
注射ユニットは、組織抽出のために被検者に挿入することができるカニューレを含み得る。国際公開第WO2014091502号に記載されているような針は、遠位端、近位端、および臓器の組織サンプルを採取するための内腔を含む。針の遠位端はカニューレによって同心円状に覆われ、近位端はプローブユニットに含まれる組織サンプル容器に収容されている。カニューレと針との間に環状空間が設けられてもよい。
【0017】
駆動機構は、第1の駆動ギアと、第2の駆動ギアと、伝達ギアと、安定ギアと、少なくとも1つの従動ギアとギアラックとを含む。第2の駆動ギアは、伝達ギア、ギアラック、安定ギア、および原動機の駆動軸に係合している。原動機は、ドライバユニット内に配置された装着要素内に固定的に取り付けられてもよい。原動機は、針を前進させ、後退させ、そして回転させるために駆動機構を作動させることによって針を作動させるためのものである。一実施形態では、原動機は、第1および第2の駆動ギアを駆動するための駆動軸の回転運動を生じさせるモータであってもよく、第1の駆動ギアはさらに伝達ギアを駆動し、それにより少なくとも1つの従動ギアを駆動する。第2の駆動ギアはまたギアラックを駆動してシャフト部材の直線運動を生じさせる。動作中、シャフト部材の直線運動は、カニューレを通して針の遠位端を突出させ、それをサンプルを切断し抽出するためにそれを標的組織に挿入する。

【0018】
さらに、先に言及されたような“針深さ調節器”は、注射ユニットの下のドライバユニットの遠位端に取り付けられてもよい。針深さ調節器は一端に円形ディスクを有し、他端にロックアームを有する。針深さ調節器は、ある長さまで伸張可能であり、望ましくない長さの針挿入を防止または制限するために固定されてもよい。針とカニューレの挿入が行われると、円形ディスクは患者の皮膚の外側に置かれて装置の安定した動作を提供し、また装置を患者から隔離する。
【0019】
一実施形態では、針深さ調節器は、生検を行う前に腎臓および肺に関して針を視覚化するために組織抽出中に使用される、画像化装置などの他の任意の装置内で針を確実に位置合わせできる位置合わせユニットを備える。
【0020】
別の実施形態では、針深さ調節器は、乳房生検の場合のように将来の参照のために組織マーカーデリバリを可能にするために部位を決定するために使用され得る半円形フラップを備える。
【0021】
さらに、シャフト部材は、シャフト部材の直線運動のために伝達ギアと係合する移行ギアを含み得る。伝達ギアと移行ギアとの係合は、シャフト部材の回転運動を生み出す。シャフト部材の回転運動は針を回転させる。その結果、針は臓器の内側の遠位端で組織サンプルを分離し、次に組織サンプルは内腔内に引き抜かれる。
【0022】
さらに、シャフト部材が所定の角度だけ回転を完了すると、ギアラックは少なくとも1つの従動ギアと再係合する。この係合は、シャフト部材の回転運動を直線運動に変換し、シャフト部材はその元の位置に後退する。針はカニューレを通って戻り、その元の位置に引っ込む。
【0023】
一実施形態では、止血剤などの流体は、国際公開第2015025328号に記載されているように、組織サンプルの抽出中にカニューレを通して提供されてもよい。流体は容器に貯蔵されてもよく、流体の流れは駆動機構によって作動されてもよい。
【0024】
さらに、生検のために、圧力サブシステムによって、組織サンプル容器内に配置された針の近位端に圧力が加えられる。圧力サブシステムはプローブユニットに連結されている。圧力サブシステムは、生検のために負圧をプローブユニットに供給するための圧力ポンプを含む。ドライバユニット内に配置されている圧力サブシステムは、真空カップまたは真空シールなどのインターフェース要素によってプローブユニットに接続することができる。
【0025】
圧力サブシステムは、圧力ポンプによって供給された圧力を貯蔵するための圧力貯蔵室を含む。圧力サブシステムは、圧力貯蔵室内の予めプログラムされた圧力を測定するための圧力センサを含み得る。測定値に基づいて、ドライバユニットの制御サブシステムは、生検のために様々な量の圧力を供給するように圧力サブシステムを制御することである。一実施形態では、制御サブシステムは、圧力貯蔵室内の圧力を増減するように圧力ポンプを制御することができる。さらに、別の実施形態では、制御サブシステムは圧力サブシステムの電磁弁を制御して瞬間的に圧力を加え、時間の消費を減らし、そして針に加えられる圧力を維持することができる。
【0026】
負圧が加えられると、生検装置は組織の脱出および組織の抽出を助け、これにより、連続した長さの組織を内腔に入れることが可能になる。内腔内に蓄積された抽出された組織は、負圧により遠位端から近位端へ移動する。一実施形態では、組織は、プローブユニットに設けられた組織サンプル容器に移されてもよく、その後、組織サンプルの検査、保管、および/または輸送のためにプローブユニットから取り外されてもよい。別の実施形態では、同じ患者から別のサンプルを収集するために新しい組織サンプル容器をプローブユニットに設置することができる。さらに、プローブユニットは、患者からの組織サンプルの抽出および収集の後に取り外されて廃棄されてもよい。加えて、針深さ調節器はまた、ドライバユニットから取り外され、処置後に廃棄されてもよい。プローブユニットおよびドライバユニットは他の構成要素、例えば、それぞれフィルタリング機構および無線モジュールを含むことができる。
【0027】
したがって、本主題は、自動化された携帯型の適応型生検装置を提供する。生検装置は、組織サンプルの抽出のために適切な量の圧力を補充した針の所定の制御された直線的および回転的な動きによって生検手順を実施する際に操作者を支援する。この装置は、偶発的な針刺し損傷または不適切なサンプル処理による感染の危険性を低減する。さらに、精密な閉ループおよび制御された針挿入は、サンプルの品質の悪さまたは不適切な量または大きさ、ならびに断片化によるまたはその後の手動による検査のために抽出された組織への損傷の可能性などの手動操作の欠点を軽減するのを助ける。さらに、自動化装置は取り扱いが容易であり、高度に技術に依存する生検装置の使用に起因して起こる外科的合併症の可能性を最小にする。
【0028】
図1は、本主題の一実施形態に係る、生検用の装置100、以下、生検装置100と呼ぶ、のブロック図を示す。生検装置100は、プローブユニット102とドライバユニット104とを備える。プローブユニット102は、注射ユニット106と、駆動機構108と、組織サンプル容器110と、フィルタリング機構111とを備える。ドライバユニット104は、圧力サブシステム112、原動機114、制御サブシステム116、および無線モジュール117を含み得る。プローブユニット102は、ドライバユニット104に取り外し可能に装着され、使用後に廃棄されてもよい。
【0029】
注射ユニット106は、組織抽出のために被検者に挿入することができる針およびカニューレを含む。針は、遠位端、近位端、および臓器の組織サンプルを抽出するための内腔を含む。針の遠位端はカニューレによって同心円状に覆われており、近位端は組織サンプル容器110内に収容されている。さらに、針本体は、駆動機構108によって作動させることができる中空シャフト部材内に同心円状に取り付けることができる。
【0030】
駆動機構108は、第1の駆動ギア、第2の駆動ギア、伝達ギア、安定ギア、少なくとも1つの従動ギア、およギアラックを含む。ギアラックは、シャフト部材に配置されている。第2の駆動ギアは、伝達ギアに係合し、第1の駆動ギアは、ギアラックおよび原動機114駆動軸に係合している。原動機114は、ドライバユニット104内に配置されている装着要素内に固定的に取り付けられている。原動機114は、第1の駆動ギアを駆動するための駆動軸の回転運動を生み出すモータであり得る。第1の駆動ギアは、さらに第2の駆動ギアを駆動し、次に伝達ギアおよび少なくとも1つの従動ギアを駆動する。第1の駆動ギアはまたギアラックを駆動してシャフト部材の直線運動を生じさせてシャフト部材を直線方向に前進させる。シャフト部材の直線運動は、カニューレを通して針の遠位端を突き出し、それを臓器に挿入する。

【0031】
さらに、後続の図面を参照して詳細に論じるように、シャフト部材が所定の角度、例えば180°だけ回転を完了すると、シャフト部材の直線運動のためシャフト部材の近位端に取り付けられた移行ギアが、伝達ギアと係合する。伝達ギアと移行ギアとの係合は、シャフト部材の回転運動を生み出す。したがって、伝達ギアは、移行ギアを駆動してシャフト部材の回転運動を生じさせるためのものである。シャフト部材の回転運動は針を回転させ、針は臓器の組織の一部を抽出し、それは針の内腔に蓄積される。
【0032】
さらに、シャフト部材が所定の角度、例えば、180°の回転を完了すると、ギアラックは少なくとも1つの従動ギアと係合する。ギアラックは、シャフト部材の回転運動を直線運動に変換することによって少なくとも1つの従動ギアを駆動してシャフト部材を直線方向に後退させるものである。したがって、シャフト部材はその元の位置に引っ込む。針はカニューレを通って戻り、その元の位置に引っ込む。
【0033】
一実施形態では、止血剤などの流体が、組織サンプルの抽出中にカニューレを通して提供されてもよい。後述するように、流体は容器に貯蔵されてもよく、流体の流れは駆動機構によって作動されてもよい。
【0034】
さらに、圧力サブシステム112によって、組織サンプル容器110内に配置されている針の近位端に圧力が加えられる。組織サンプルを組織サンプル容器110内に収集するために負圧を加えることができる。別の実施形態では、組織サンプル容器110が装置100の外部にあるとき、負圧を加えて組織サンプルを針に収集することができる。その結果、外部容器内の組織サンプルを移送するために正圧が加えられる。圧力サブシステム112は、真空カップまたは真空シールなどのインターフェース要素によってプローブユニット102に接続することができる。
【0035】
通常の動作中、針の内腔に蓄積された抽出された組織は、負圧のために遠位端から近位端へ移動する。負圧は、組織の脱出および組織の抽出を助け、これにより、連続した長さの組織を内腔に入れることが可能になる。一実施形態では、抽出された組織は、例えば、後で図10Aおよび図10Bを参照して説明するように、フィルタリング機構111によって濾過することができる。
【0036】
近位端において、組織は組織サンプル容器110内に集められ得、次いで組織サンプルの検査、保管、および/または輸送のためにプローブユニット102から取り外され得る。一実施形態では、患者から別のサンプルを収集するために、新しい組織サンプル容器をプローブユニット102に設置することができる。さらに、プローブユニット102は、1人の患者からの組織サンプルの抽出および収集の後に離れて配置され得、そして異なるプローブユニットが、次の患者のために使用され得る。したがって、ドライバユニット104は、異なる患者および異なる臓器生検のために異なるプローブユニットと共に一般的に使用され得るが、プローブユニット自体は、処置ごとに切り離されて交換され、したがって交差感染の危険性を排除する。したがって、生検装置100は、生検処置中にドライバユニット104が体液と接触することがなく、容易に清掃および点検することができるようになっている。
【0037】
図2Aおよび図2Bは、本主題の一実施形態に係る、生検装置100の組み立ておよび分解図を示す。一例では、生検装置100は、肝臓などの臓器の生検に使用することができる。生検装置100は、プローブユニット102とドライバユニット104とを含み、それにより、生検装置100は、医師などのユーザによって手持ち式であり得る。
【0038】
プローブユニット102は、ドライバユニット104に取り付けられてもよく、使用後に取り外されて廃棄されてもよい。プローブユニット102は、注射ユニット106、駆動機構(この図には示されていない)、および組織サンプル容器110を含む。ドライバユニット104は主に圧力サブシステム112(図2B)を含む。制御サブシステムおよび原動機(両方ともこの図には示されていない)。さらに、ドライバユニット104は、原動機114を取り付けて囲むための装着要素202と、圧力サブシステム112の圧力ポンプ204とを含む。
【0039】
注射ユニット106は針を含み、針は中空シャフト部材の内側に固定的に取り付けられ、駆動機構(この図には示されていない)によって作動され得る。一実施形態では、注射ユニット106は、注射ユニットを覆うための外側ケーシングを含み得る。外側ケーシングは、プローブユニット102の取り扱い中に針が偶発的に刺さるのを防ぐことができる。駆動機構は、針を駆動するための原動機(この図には示されていない)によって駆動される。駆動機構は、後述するように、様々な構成要素を含む。
【0040】
一実施形態では、プローブユニット102は、出血を防ぐために針が組織サンプルを抽出する領域に流体を供給するための容器(図示せず)を含む。薬剤などの流体は、プローブユニット102の上に配置されたキャップ206を通して容器内に充填することができる。薬剤は、カニューレを通して被検者に提供されてもよく、また、後述するように、駆動機構を用いて注射されてもよい。
【0041】
さらに、圧力サブシステム112は、圧力貯蔵室208からの圧力が容易に利用可能となるように圧力を貯蔵するためにドライバユニット104の底部に設けられた圧力貯蔵室208を含む。圧力は、電源(この図には示されていない)によって電力供給される圧力ポンプ204によって発生させることができる。一実施形態では、電源は、リチウムイオン電池、リチウムポリマー、充電式電池、太陽電池、または目的を果たす他の任意の電源のうちの少なくとも1つである。
【0042】
逆止弁210は、圧力貯蔵室208と圧力ポンプ204との間に結合されて、圧力貯蔵室208に貯蔵された圧力が圧力ポンプ204に逆流するのを防止することができる。さらに、生検のために圧力貯蔵室208からプローブユニット102に提供される圧力を制御するために、電磁弁212を圧力貯蔵室208に結合することができる。圧力サブシステム112は、インターフェース要素214を含み得る。電磁弁212は、インターフェース要素214内への貯蔵圧力を許容し、使用者の要求に基づいて発生圧力を制御する。
【0043】
一実施形態では、圧力貯蔵室208は、制御サブシステムに使用するのに利用可能な圧力の量を示すための圧力センサ216を備えている。例えば、利用可能な圧力の量は、ドライバユニット104上に配置され得る表示ユニット(この図には示されていない)に表示されてもよい。
【0044】
一実施形態では、注射ユニット106の遠位端に針深さ調節器218を取り付けることができる。針深さ調節器218は、一定の長さまで伸張可能であり、動きを防ぐために固定されてもよい。注射ユニット106が被検者に挿入されると、針深さ調節器218は患者の皮膚に置かれ、これにより生検装置100の安定した動作がもたらされ、また生検装置100が患者から隔離される。
【0045】
針深さ調節器218は、第1の端部に円形ディスクを有し、第2の端部にロックアーム220を有する。ロックアーム220は、運転中に装置に安定性を提供するためにドライバユニット104をロック位置にロックするためのものである。例えば、ロック位置は、超音波装置から受信した測定値に基づいてロックアーム220を伸縮させることによって決定することができる。超音波装置は臓器の皮膚への近接を検出するために使用されてもよく、したがってロックアーム220は伸張または後退されてもよい。
【0046】
一実施形態では、針深さ調節器218のロックアーム220は、ドライバユニット104に存在する溝に係止する、歯状構造を一端に有する。一実施形態では、ロックアーム220は、患者の体に突き刺さる針の長さを制御するためのものである。別の実施形態では、ロックアーム220は、ラチェット機構を使用してドライバユニット104と係止することができる。さらに、磁石(この図には示されていない)をロックアーム220に設けることができ、これは、ドライバユニット104内のPCB上に存在する複数の磁気センサによって検出することができる。したがって、複数の磁気センサによる磁石の位置に基づいて針の長さが検出される。
【0047】
図2Cは、本主題の一実施形態に係る、ロックアーム220上の磁石222を示す。磁石222は、センサ224-1,224-2,…,224-Nによって検出され得る。これにより、ロックアーム220上の磁石222を検出するセンサの位置に基づいて、被検者に挿入された針の長さを記録することが可能になる。さらに、制御サブシステム116は、針深さ調節器218がストッパスイッチ225から被検者に押し付けられたかどうかに関する入力を与えられ、それをユーザに指示することができる。さらに、装置は、後述するように、腎臓、前立腺、乳房などの様々な臓器で生検を行うために、追加のまたは代替の構成要素、要素、または部品を組み込むように構成および設計されてもよい。さらに、異なる臓器からの組織の抽出および収集に使用される装置の一連の動作は、異なるように実施されてもよい。
【0048】
図2Dは、本主題の実施形態に係る、腎臓および肺から組織サンプルを抽出および収集するための生検装置を示す図である。針深さ調節器218は、生検を行う前に腎臓および肺に関して針を視覚化するために組織抽出中に使用される、撮像装置などの他の任意の装置内で針を確実に位置合わせできる位置合わせユニット226を含む。例えば、位置合わせユニット226は、超音波画像形成における針挿入経路の正確な観察を可能にするために、ユーザが超音波プローブを針と効率的に位置合わせすることを可能にする/補助するしたがって、ユーザは適切な位置で組織抽出を実行することができる。プローブユニット102はまた、補助流体を提供するための補助容器(図示せず)を含み得る。補助流体は貯水池として機能し、複数回使用するために容器を補充することを可能にする。別の実施形態では、それはデリバリ前に混合する必要がある2つの成分のうちの一方であり得、他方は容器中に含まれる流体であり得る。補助流体は、プローブユニット102上に存在するキャップ206を介して提供されてもよい。一実施形態では、例えば、肺生検の場合、針とカニューレとの間に設けられた環状空間を気胸を防ぐために密封することができる。

【0049】
図2Eは、乳房組織サンプルを抽出および収集するための装置を図示する。乳房生検では、挿入される針の深さを制御する必要はないので、針深さ調節器218は、例えば、組織マーカーデリバリを可能にするために、異なる機能に適合させることができる。一旦標的臓器に挿入されると、組織マーカーは将来の参考のために生検部位を突き止めるために使用され得る。この実施形態では、針深さ調節器218は、2つの部分、すなわちドライバユニットと係止することができる中央部228と、ドライバ部104に設けられていてもよい、開閉構成を有する中央部228と連結された半円形フラップ230とに分割される。生検の間、半円形フラップ230は閉じられている。生検の完了後、フラップ230を開くことができる。
【0050】
図2Fは、開位置にあるフラップ230を示す。フラップ230を開くと、針を引き抜くことができる。さらに、カニューレと共にフラップ230は、将来の参考のために組織マーカーデリバリを可能にするために部位を決定するために使用され得る。
【0051】
別の実施形態では、生検装置100は針深さ調節器を含まなくてもよい。図2Gは、針深さ調節器を必要としない可能性がある前立腺組織などの軟組織のための生検を実施するための装置を示す。したがって、針深さ調節器のようなカバー232をプローブユニット102と共に設けることができる。
【0052】
図3は、本主題の一実施形態に係る、ドライバユニット104の斜視図を示す。生検装置100のドライバユニット104は、圧力サブシステム112、原動機114、および制御サブシステム(図示せず)を含む。
【0053】
原動機114には、ウォーム304と連結された駆動軸302が設けられている。ウォーム304は、駆動機構を操作するための第1の駆動ギア(図示せず)と係合する。原動機114は、ドライバユニット104の上部に取り付けられている装着要素202内に収容されている。原動機114は、電源(図示せず)によって駆動することができ、直流モータ(DC)、太陽電池式モータ、または他の任意の回転機構のうちの1つとすることができる。
【0054】
一実施形態では、磁石(図示せず)をウォーム304上に配置することができ、それを読み取るためのセンサを備えた対応するPCBがドライバユニット104内に存在することができる。処置サイクルの後、カプラの位置は初期位置とは異なる。磁石は、プローブユニットが取り外された後に、ドライバユニット104上に存在するカプラ(図示せず)が確実に初期位置にリセットされるようにすることができる。カプラをリセットすることにより、新しいプローブユニットをドライバユニット104に取り付けることが可能になる。
【0055】
圧力貯蔵室208は原動機114の下に収容されてもよく、圧力ポンプ(図示せず)は原動機114の横に配置されてもよい。図示されるように、圧力貯蔵室208は生検装置100のハンドル内に収容されてもよい。
【0056】
生検装置100のハンドルは、作動時に制御サブシステム116に信号を送信することができるトリガボタン(図示せず)も含むことができる。制御サブシステム116は、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、中央処理装置などのうちの1つまたは複数を含むことができる。一実施形態では、制御サブシステム116は生検装置100のハンドルに設置することができる。制御サブシステム116は、圧力貯蔵室208内の圧力レベルを決定するために圧力センサ216から信号を受信することができる。続いて、動作中、制御サブシステム116は、針の内腔に適切な圧力を加えるように弁を制御してもよい。
【0057】
圧力ポンプ204は、処置前に圧力貯蔵室208内に貯蔵される圧力を発生させる。一実施形態では、トリガボタンを作動させると、電磁弁が作動して圧力貯蔵室208を針に接続する。電磁弁212は、針に加えられる圧力を制御するために装着要素202内に設置することができる。
【0058】
図4は、本主題の一実施形態に係る、駆動機構108の斜視図を示す。駆動機構108は、ギアラック402、第1の駆動ギア404-1、第2の駆動ギア404-2、伝達ギア406、安定ギア408、および少なくとも1つの従動ギア410を含む。第1の駆動ギア404-1は、カプラ502(図5を参照)を介してウォーム304に接続され、ギアラック402にも結合されている。第2の駆動ギア402-2は、伝達ギア406および安定ギア408に接続されている。一実施形態では、第1の駆動ギア404-1および第2の駆動ギア404-2は、実質的に同軸である。一実施形態では、第1の駆動ギア404-1は、カプラ502およびギアラック402を介してウォーム304と係合するための細長いギアプロファイルを有し、ギアラック402は、シャフト部材412に配置される。ギアラック402は、処置中の異なる時点で、第1の駆動ギア404-1および少なくとも1つの従動ギア410と係合するための複数の歯を含み得る。

【0059】
駆動軸302の回転運動は、第1の駆動ギア404-1を駆動し、次に、第2の駆動ギア404-2、伝達ギア406、安定ギア408、および少なくとも1つの従動ギア410を駆動する。第1の駆動ギア404-1は、ギアラック402と係合し、ギアラック402を駆動してシャフト部材412を直線方向に前進させる。一実施形態では、シャフト部材412は中空であり、針414は中空通路にしっかりと取り付けられている。一実施形態では、針414は中空管として形成されてもよく、針414の遠位端は収束部を含んでもよい。収束部は、中空管の壁から円弧状に収束して穿刺先端を形成してもよい。さらに、収束部はまた、組織サンプルを抽出するための切刃を形成するための側壁上の開口部を含み得る。

【0060】
さらに、シャフト部材412の直線運動は、カニューレの外側に針414の遠位端を突き出し、そして関心のある臓器を突き刺す。駆動機構108の動作およびカニューレの外側への針414の突出は、カニューレが被検者に挿入されるときに実行され得る。
【0061】
さらに、シャフト部材412が前進運動を完了すると、シャフト部材412の近位端に位置する移行ギア416が伝達ギア406と係合し、シャフト部材412の回転運動を生み出す。第2の駆動ギア404-2は、伝達ギア406と係合して駆動する。その結果、伝達ギア406は、伝達ギア406が移行ギア416と係合するときに、移行ギア416を駆動して、針414を回転させる。シャフト部材412はまた、処置中に第1の駆動ギア404-1および少なくとも1つの従動ギア410と係合または係合解除する切り欠き部418を含む。切り欠き部418は、シャフト部材412の移行ギア416の直前で終わっているギアラック402から延びる丸みを帯びた切り欠きであってもよい。切り欠き部418は、ギアラック402を駆動ギア404と係合解除することによってシャフト部材412の直線運動を一時的に停止させることができる。

【0062】
シャフト部材412の回転運動は、針414を回転させて組織の一部を抽出し、組織の一部は針414の内腔内に進入する。例えば、針の回転運動は、隣接する組織の断片化を引き起こすことなく、刃先を有する組織の横方向の切断を引き起こす。
【0063】
さらに、シャフト部材412が所定の角度、例えば、180°だけ回転を完了すると、ギアラック402は少なくとも1つの従動ギア410と係合する。少なくとも1つの従動ギア410は、第2の駆動ギア404-2によって駆動される伝達ギア406によって駆動される。したがって、シャフト部材412の回転運動は直線運動に変換され、それによって、シャフト部材412をその元の位置に後退させ、針を、カニューレを通って戻ってその元の位置に後退させる。

【0064】
別の実施形態では、シャフト部材412の遠位端には、止血剤または他の任意の薬剤などの流体を貯蔵するための容器420が設けられている。流体は、カニューレを通して針が組織を抽出する部位に提供されてもよい。別の実施形態では、容器420は、カニューレを保持するのを助けるようにアダプタを備えている。
【0065】
図示のように、少なくとも1つの従動ギア410の軸は、第1の駆動ギア404-1および第2の駆動ギア404-2の軸と一直線上にあり、伝達ギア406の軸は安定ギア408の軸と一直線上にある。安定ギア408は、第1の駆動ギア404-1、第2の駆動ギア404-2、伝達ギア406、および少なくとも1つの従動ギア410の機能に強度および安定性を提供する。

【0066】
一実施形態では、第1の駆動ギア404-1、第2の駆動ギア404-2、伝達ギア406、安定ギア408、および少なくとも1つの従動ギア410は同じサイズである。一実施形態では、第1の駆動ギア404-1、第2の駆動ギア404-2、および少なくとも1つの従動ギア410のギア比は、同等のギア比で構成される。別の実施形態では、第1の駆動ギア404-1、第2の駆動ギア404-2と伝達ギア406とのギア比は、より高いギア比を有するように構成される。さらに、別の実施形態では、伝達ギア406と少なくとも1つの従動ギア410とのギア比は、より低いギア比を有するように構成される。別の実施形態では、第1の駆動ギア404-1のギア比は、第2の駆動ギア404-2のギア比とは異なることができる。

【0067】
第1の駆動ギア404-1および第2の駆動ギア404-2は、まとめて駆動ギア404と呼ばれることもある。さらに、シャフト部材412は、駆動ギア404と少なくとも1つの従動ギア410との間に配置されてもよい。シャフト部材412の近位端には移行ギア416が設けられている。移行ギア416は、シャフト部材412が所定の長さにわたって直線的に移動するときに移行ギア416が伝達ギア406と係合するように選択的に係合する断続的なギア歯を備えている。シャフト部材412は直線的に移動し、シャフト部材412内に装着された針414は被検者の内側の関心のある組織に向かって作動させられる。

【0068】
図5は、本主題の一実施形態に係る、駆動機構の底面斜視図を示す。一実施形態では、駆動ギア404の底部には、駆動ギア404をプローブユニット102の底部カバー(図示せず)と連結するための駆動ギア連結部502が設けられている。同様に、少なくとも1つの従動ギア410の底部には、プローブユニット102の底部カバーと連結するための少なくとも1つの従動ギア連結部504が設けられている。
【0069】
さらに、プローブユニット102には、駆動機構108のギアの取り付けを容易にするために突起を設けることができる。例えば、ギアの頂部は、雄-雌継手、スナップ嵌合継手、ねじ継手などのうちの1つによって突起と結合することができる。一実施形態では、駆動ギア404、伝達ギア406、安定ギア408、および少なくとも1つの従動ギア410が、プローブユニット102に設けられた突起のそれぞれに取り付けられている。別の実施形態では、少なくとも1つの従動ギア410と駆動ギア404には、ギアプロフィールの摩擦損失を減らすためにローラ支持体506を設けることができる。さらに、図示されるように、移行ギア416は、シャフト部材412の直線前進の終わりに伝達ギア406と係合するための断続的なギア歯を含み得る。
【0070】
図6は、本主題の実施形態に係る、プローブユニット102内の駆動機構108を下から見た分解図を示す。プローブユニット102は、第1の駆動ギア404-1、第2の駆動ギア404-2、伝達ギア406、安定ギア408、および少なくとも1つの従動ギア410収容するための突出部602を含み得る。図6に示されるように、第1の駆動ギア404-1、第2の駆動ギア404-2、および少なくとも1つの従動ギア410は、ローラ支持体506とともに設置され、細長いギアプロファイルを有するように構成された駆動ギア404および少なくとも1つの従動ギア410の回転によって生じる摩擦損失を防止する。一例では、従動ギア410はまた、2つのギア、すなわち、ローラ506を介して互いに結合された第1の従動ギア410-1および第2の従動ギア410-2を含むことができる。第1の従動ギア410-1は、ギアラック402と係合し、第2の従動ギア410-2は、伝達ギア406と係合することができる。

【0071】
さらに、プローブユニット102は、針414およびシャフト部材412の直線運動および回転運動を容易にするための切り欠き604を含み得る。一実施形態では、シャフト部材412は、約0°から約180°まで回転することができる。別の実施形態では、シャフト部材412は所定の角度だけ回転することができる。別の実施形態では、駆動機構108はプローブユニット102上に構成されており、プローブユニット102は使用後に取り外すことができる。さらに、組織サンプル容器110および針414を含む注射ユニットもまた、組織サンプルの処分、検査、保管、または輸送のために取り外されてもよい。
【0072】
図7Aは、本主題の実施形態に係る、その初期位置における駆動機構108の底面図を示す。シャフト部材412上に構成されたギアラック402は、初期位置で駆動ギア404と接触している。
【0073】
第1の駆動ギア404-1は、カプラ502を介してウォーム304に接続され、ギアラック402に接続される。第2の駆動ギア404-2は、伝達ギア406および安定ギア408と係合される。駆動ギア404は、カプラ502を介してウォーム304と、およびギアラック402と係合するための細長いギアプロファイルを有し得る。駆動シャフト302の回転運動は、第1の駆動ギア404-1を回転させてギアラック402の直線運動を開始させる。

【0074】
ギアラック402は、第1の駆動ギア404-1と係合し、シャフト部材412は直線的に動く。シャフト部材412の直線運動は、針414をカニューレ702の外側に突き出す。注射ユニット106が被検者に挿入されると、針414はカニューレ702の外側に突き出る。

【0075】
一実施形態では、シャフト部材412の遠位端に設けられた容器420は、ピストン状構成(図示せず)を備えている。別の実施形態では、シャフト部材412の遠位端は、容器420内に存在する流体を被検者に注入するために、ピストン状の構成を直線的に突入させることができる。例えば、流体は、カニューレを通して組織が抽出される部位に提供されてもよい。さらに、注入される薬剤の量は、シャフトの直線運動中に制御することができる。
【0076】
さらに、ギアラック402が第1の駆動ギア404-1から外れた後、シャフト部材の近位端に位置する移行ギア416が伝達ギア406と係合する。

【0077】
図7Bは、本主題の一実施形態に係る、変位位置にある駆動機構108の底面図を示す。変位位置では、シャフト部材412のギアラック402が第1の駆動ギア404-1から外れる。シャフト部材412の切り欠き部418は、第1の駆動ギア404-1をシャフト部材412のギアラック402から外す。シャフト部材412の近位端に設けられた移行ギア416は、変位位置(DP)で伝達ギア406と係合する。

【0078】
さらに、伝達ギア406と噛み合うと、移行ギア416はシャフト部材412をその軸の周りに回転させる。伝達ギア406は、第2の駆動ギア404-2によって駆動される。移行ギア416は、シャフト部材412が特定の角度で回転するのを助けるために断続的なギア歯を有することができる。シャフト部材のギアラックが少なくとも1つの従動ギア410と係合するように、シャフト部材のシャフト軸周りの回転が行われる。この移行中、シャフト部材412は、針414の遠位端が被検者から組織の一部を剪断するように、被検者内で針414を回転させる。

【0079】
図7Cは、本主題の実施形態に係る、最終位置(FP)における駆動機構108の底面図を示す。少なくとも1つの従動ギア410は、シャフト部材412のギアラック402と係合し、シャフト部材412を図7Aおよび図7Bに示す方向とは反対の方向に直線的に作動させる。シャフト部材412が移行位置(TP)から最終位置(FP)まで直線的に作動すると、以前に被検者内に突出している針414が後退する。少なくとも1つの従動ギア410は、第2の駆動ギア404-2によって駆動される伝達ギア406および安定ギア408によって駆動される。シャフト部材412が最終位置(FP)に達すると、シャフト部材412のギアラックは少なくとも1つの従動ギア410から外れる。

【0080】
一実施形態では、シャフト部材412の遠位端は、シャフト部材412の後退中にピストン状の構成から外れる。一実施形態では、少なくとも1つの従動ギアからのシャフト部材412の係合解除は、駆動機構108を狂わせ、駆動機構108の連続使用を制限する。
【0081】
図8は、本主題の実施形態に係る、プローブユニット102の側断面図を示す。一実施形態では、針414は、前述のようにシャフト部材412に固定され、手術時に針414の遠位端は、組織サンプルの抽出のために被検者を貫通する。針414の近位端は、被検者から回収された組織がさらなる処理のために収容されるように組織サンプル容器110内に配置されている。内腔を含む針414は、組織サンプルの抽出のために圧力サブシステム112に接続されている。
【0082】
一実施形態では、生検の間、組織サンプルを針414の内腔に引き込むために、被検者への切開時に圧力貯蔵室208からの負圧が針414の内腔内に提供される。負圧は、針414の内腔から組織サンプル容器110内にそれを収集するために後で再び適用される。
【0083】
別の実施形態では、針414の内腔内で抽出された組織サンプルを別個の外部組織サンプル容器に移すために、加圧ポンプ204によって正圧が供給される。
【0084】
図9は、本主題の一実施形態に係る、補助容器を有するプローブユニットの底面図を示す。補助容器902は、流体を貯蔵するために使用されてもよく、それは補助ピストン状構成(図示せず)で構成されてもよい。補助ピストン状の配置は、補助容器902内に貯蔵されている流体を被検者に注入するために使用される。
【0085】
一実施形態では、補助容器902は、容器420および補助容器902からの流体が被検者へのデリバリ前にらせん状の溝(図示せず)内で混合され得るように、チャネルを通してアダプタに接続され得る。薬剤または止血剤は、針414を同心円状に覆っているカニューレを通して、カニューレ内の容器420から被検者内に移動することができる。
【0086】
さらに、補助従動ギア(図示せず)を駆動ギア404に係合させて、駆動ギア404が補助従動ギアを駆動するようにしてもよい。補助従動ギアは、補助ギアラックを有する補助軸部材(図示せず)と係合する。補助軸部材には、補助従動ギアを補助ギアラックから外すための補助切り欠き部が設けられている。
【0087】
補助軸部材は、初期位置(IP')から最終位置(FP')まで直線的に作動し得る。補助軸部材が最終位置(FP')に達すると、補助従動ギアは補助軸部材に設けられた補助ギアラックから外れる。したがって、補助軸部材の遠位端は、補助容器内に設けられた補助ピストン状装置を駆動する。
【0088】
一実施形態では、補助容器902は、各生検サイクル中にデリバリされるべき流体の量の‘x’倍の最小体積を有することができ、‘x’は生検サイクルの数である。流体は複数のサイクルに必要とされることがあり、プローブが患者の体内に挿入される前に準備され充填されることがある。プローブユニット102に設けられたキャップ206を介して補助容器902および容器420に流体を充填することができる。容器420内に存在する流体は、針の前進運動中に生検部位にデリバリされる。針の引き込み中に、容器420内で発生した吸引力が補助容器902から容器420内に流体を引き込み、それにより次の生検サイクルのためにそれを準備する。
【0089】
一実施形態では、補助容器902と容器420は一方向弁(図示せず)によって接続されてもよい。一方向弁は、容器420内に存在する薬剤または流体が補助容器902に戻るのを防ぐことができる。
【0090】
さらに、補助容器902を有する生検装置100は、複数の組織サンプルを抽出し、収集し、そして流体を注入する必要があるときに使用することができる。例えば、腎臓の生検では、組織の2つ以上のサンプルを抽出して収集することが必要となるかもしれない。一実施形態では、補助容器902は、流体を移送するための導管を介して針414に直接接続することができる。
【0091】
図9を参照した上記の実施形態は、腎臓生検の場合のように、必要とされる最小サンプル数が2~3サンプルである場合に使用することができる。したがって、装置を繰り返し使用して、組織の抽出および収集の複数のシーケンスを実行することができる。組織サンプル容器110を交換するだけで、同じプローブユニットを一人の患者が装置の単一の操作で複数のサンプルを収集するために使用することができる。したがって、抽出が行われるたびに補助容器を使用して流体を供給することができる。
【0092】
別の実施形態では、生検装置100は、容器420および補助容器902を含まなくてもよい。例えば、前立腺および乳房のようなある種の血管の少ない臓器に対する生検処置の場合、止血剤のような体液をデリバリすることは必須の要件ではない。したがって、プローブユニットは、容器420と補助容器902とを含まなくてもよい。
【0093】
図10Aおよび図10Bは、本主題の一実施形態に係る、フィルタチャンバ1002の上面図および断面図を示す。一実施形態では、フィルタチャンバ1002は、(図1に示すように)フィルタリング機構111の一部である。一端のフィルタチャンバ1002は、組織サンプル容器110の第2の区画(図示せず)に接続する導管(図示せず)に接続されている。フィルタチャンバ1002の他端は、インターフェース要素214に接続されている。インターフェース要素214は、ドライバユニット104とプローブユニット102との間のインターフェースとして機能し、圧力貯蔵室208からフィルタチャンバ1002へ負圧又は正圧を提供する。フィルタチャンバ1002は、組織サンプル容器110に連結されいる。

【0094】
一実施形態では、フィルタチャンバ1002は、一次チャンバ1002Aと二次チャンバ1002Bとを含む。2つのチャンバは上下に積み重ねられた一連のフィルタ部材1004を含む。フィルタチャンバ1002は、圧力の印加を可能にするために導管を介してインターフェース要素214に接続されてもよい。例えば、制御サブシステム116は、インターフェース要素214を介してフィルタチャンバ1002に負圧を加えるように電磁弁を制御することができる。
【0095】
負圧の印加により、組織抜去時には、組織サンプル容器110内に収容されている組織サンプルの不純物が圧力貯蔵室208からの負圧によりフィルタチャンバ(一次)に吸収される。不純物がフィルタチャンバ1002内に含まれるように、不純物は複数のフィルタ部材1004によって吸い取られてもよい。さらに、フィルタチャンバは、残留流体不純物を排出するための空の空間を含む。一実施形態において、ヒドロゲルパッド1006は、流体不純物を吸収するために少なくとも1つの空の空間に配置されてもよい。ヒドロゲルパッド1006は、プローブユニット102が複数のサンプリングに使用される場合に使用されてもよい。
【0096】
二次段階は、不純物の捕捉効率を高めるための追加のチャンバであり得る。フィルタリング処理後の組織サンプルは不純物が除去されており、サンプルはさらなる分析に使用することができる。
【0097】
一実施形態では、生検後にフィルタチャンバ1002内に含まれる不純物は、プローブユニット102を取り外し、感染性疾患の拡大を防ぐためにプローブユニット102を処分することによって廃棄することができる。さらに、病原体がドライバユニット104に向かって移動するのを防ぐために、消毒剤を導管上に配置することができる。
【0098】
別の実施形態では、複数のフィルタ部材1004は、生検装置100の処置中および処置後のバイオハザードおよび/または感染を減らすために有害な病原体またはウイルスを失活させるための消毒剤の層と共に配置されてもよい。
【0099】
図11は、本主題の一実施形態に係る、組織サンプル容器110の分解斜視図を示す。
組織サンプル容器110は、プローブユニット102の近位端に取り外し可能に連結されている。一実施形態では、組織サンプル容器110は、2つの機能的区画、すなわち第1
の区画1102および第2の区画1104に区画化されてもよい。
【0100】
第1の区画1102は、針414の内腔を通して被検者から組織サンプルを受け取る。組織サンプル容器110は、第1の区画1102と第2の区画1104を分離する一端に鋸歯状のプレートを含む。鋸歯状部分は、流体が第2の区画1104内にしみ込むことを可能にし、それによって流体をサンプルから分離する。第2の区画1104は、フィルタチャンバに接続するための導管を含む。一実施形態では、組織サンプルチャンバ108の第2の区画内に設けられた導管は中空であり、圧力が圧力貯蔵室208からフィルタチャンバを介して通過することを可能にする。
【0101】
一実施形態では、組織サンプル容器110には前面カバー1106が設けられており、この前面カバー1106は入口開口部を有し、針414は組織サンプルチャンバ108内に突出することができる。圧力経路を形成するために、導管用に別の入口開口部が設けられている。組織サンプルを回収するために前面カバー1108を取り外すために、組織サンプル容器110の前面カバーに溝が設けられている。一実施形態では、入口開口部は針414の近位端を受け入れることができる。
【0102】
一実施形態では、組織サンプルを病理検査室に輸送する間に組織サンプルが劣化するのを防ぐために、組織固定剤を組織サンプル容器110に注入することができる。さらに、組織固定剤は、組織サンプル容器110内の組織サンプルの保存および無菌処理を助ける。
【0103】
さらに、近距離無線通信(NFC)タグ1108を組織サンプル容器110上に設けることができる。NFCタグ1108は、組織サンプル容器110の潜在的な改ざんまたは妨害を防止するために固有の識別番号でコード化されている。組織サンプル容器110は、それがプローブユニットから取り外されたときに蓋1110を使用して密閉することができる。蓋1110は、組織サンプルを環境から隔離し、こぼれを防ぐことができる。
【0104】
一実施形態では、固有の識別番号は、バッチ番号、シリアル製造番号、コード化番号、または目的を果たす他の任意の識別番号のうちの少なくとも1つである。
【0105】
一実施形態では、NFCタグ1108を使用して、データをデータ収集装置に無線で転送することができる。別の実施形態では、NFCタグ1108は、装置を突き止めるためにデータを追跡装置に無線で送信する。コード化されたNFCタグ1108は任意の所与の時間に単一の操作のみを可能にするので、NFCタグ1108は組織サンプル容器110の再使用を防止することができる。他の実施形態では、当技術分野で知られているように、RFIDおよびGPSを含むがこれらに限定されない、サンプル容器をタグ付けし、装置を追跡する他の方法を使用することができる。
【0106】
一実施形態では、組織サンプル容器110には、ドライバユニット内のセンサによって感知される磁石が設けられている。センサによる検出がない場合、それは組織サンプル容器が存在しないか、正しく配置されていないことを示す。したがって、生検を行う前に、組織サンプル容器110がその位置にあることを保証する。
【0107】
図12は、本主題の実施形態に係る、生検装置100をドッキングするためのドッキングユニットを示す。ドッキングユニット1202は、生検装置100のバッテリを充電するために生検装置100に接続された周辺装置とすることができる。
【0108】
ドッキングユニット1202および生検装置100は、能動的電気接続を提供する装置嵌合コネクタ(図示せず)と接続することができる。さらに、ドッキングユニット1202は、生検装置100の電池を充電するための電池充電回路を含み得る。
【0109】
図13は、本主題の一実施形態に係る、生検装置100内の圧力サブシステム112の負圧流路を示す。圧力サブシステム112は、入口ポートと出口ポートとを有する圧力ポンプ204を含む。一実施形態では、作動時に圧力ポンプ204が負圧を発生させ、この負圧を圧力貯蔵室208内に貯蔵する。
【0110】
生検装置100の動作中、加圧ポンプ204は、生検装置100に実装されている組織抽出手順の要件に基づいて負圧又は正圧を発生させる。一実施形態では、圧力ポンプ204は、負の圧力を発生させ、即時の使用のためにそれを圧力貯蔵室208内に貯蔵する。
【0111】
一実施形態では、圧力貯蔵室208に貯蔵された圧力は、生検の様々な段階で装置に実施された組織抽出手順によって定義された値に従って負圧又は正圧を容易に供給する。圧力貯蔵室208は、使用に利用可能な圧力の量を示すための圧力センサ216を備えている。例えば、利用可能な圧力の量は、生検装置100のドライバユニット104に配置されている表示装置に表示されてもよい。
【0112】
一実施形態では、圧力ポンプ204は、圧力貯蔵室208から空気を吸い込み、負圧を発生させる。逆止弁210が、圧力ポンプ204からの負圧の流れを調整するように、圧力貯蔵室208と圧力ポンプ204との間に設置され、それらの間に連結されている。
【0113】
電磁弁212は、圧力貯蔵室208によってプローブユニット102に提供される圧力を制御するように、圧力貯蔵室208に結合されている。電磁弁212はインターフェース要素への蓄えられた圧力を可能にし、それはユーザの要求に基づいて圧力を発生させる。
【0114】
一実施形態では、少なくとも1つのインラインフィルタ1302が、T継手を介してインターフェース要素214と電磁弁212との間に並列に接続されている。これは、たとえ装置の繰り返しの使用によってフィルタのうちの1つが詰まったとしても、針414からインターフェース要素214、電磁弁212、および圧力貯蔵室208を通る圧力ポンプ204への空気流が確実に除去される。疎水性フィルタ1304もまた、経路をいかなる流体も含まないように保つために、インターフェース要素214とインラインフィルタとの間に存在する。
【0115】
一実施形態では、インターフェース要素214で発生した圧力は、組織サンプル容器110に貯蔵されている組織サンプルから不純物をフィルタリングするためにフィルタチャンバを通って移動する。
【0116】
圧力ポンプ204は、負圧を発生させながら、圧力貯蔵室208内に存在する空気を出口ポートを介して大気に排出する。出口ポートに存在する疎水性フィルタ1304は、液体がポンプ204にしみ込まないことを確実にする。ワイヤメッシュ1306はまた、それを外部の粒子状物質から保護するために存在してもよい。
【0117】
一実施形態では、装置は、生検処置中に生検装置の状態に関する警告をユーザに提供する。警報は、ブザー、LED、またはディスプレイユニットのうちの1つによって提供され得る。
【0118】
図14は、本主題の一実施形態に係る、制御サブシステム116のブロック図を示す。制御サブシステム116は、1つまたは複数のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、中央処理装置、論理回路、および/または動作命令に基づいて信号を操作する任意の装置として実装することができる。
【0119】
一実施形態では、制御サブシステム116は、装置の様々な構成要素を制御し、システムのスリープおよび起動に関与するためのマイクロコントローラとして実装することができる。例えば、マイクロコントローラは、ドッキングユニット1202、原動機114、NFC1108、圧力ポンプ204、および他の構成要素を制御および/または通信する。一実施形態では、制御サブシステム116は、何らかのエラー、例えば、生検装置100の動作の中断などの場合にマイクロコントローラをリセットするためのタイマ、例えば、ウォッチドッグタイマを含むことができる。
【0120】
生検装置100に設けられたセンサは、様々な構成要素の状態に関する情報を制御サブシステム116に提供することができる。例えば、圧力センサ216は、圧力貯蔵室208内の圧力を検出して制御サブシステム116に信号を送ることができる。制御サブシステム116は、圧力システム内の複数の圧力センサから信号を受信することになっている。制御サブシステム116は、異なる臓器が異なる量の圧力を必要とする場合があるので、信号および臓器固有の要件に基づいて圧力貯蔵室208内に部分真空を生成するように圧力ポンプ204に指令を出すことができる。制御サブシステム116は、複数の圧力センサから受信した信号に基づいて、電磁弁212および逆止弁210を制御することができる。一実施形態では、制御サブシステム116は、プローブユニット102および逆止弁210に提供される圧力を制御して圧力の逆流を防止するように電磁弁212を制御することができる。一実施形態では、制御サブシステム116はまた、駆動機構108を作動させるように原動機114を制御する。
【0121】
一実施形態では、制御サブシステム116は、例えば針深さ調節器218を使用することによって、プローブユニット102の状態を受信することができる。例えば、それは、針深さ調節器218の位置およびプローブユニットのロックを感知するためのセンサからの入力を受信することができる。制御サブシステム116は、針深さ調節器218がストッパスイッチ225から被検者に押し付けられたかどうかに関する入力を提供されてもよく、それをユーザに示してもよい。制御サブシステム116はまた、プローブユニット102内の組織サンプル容器110の存在を検出するためのNFC追跡装置およびホールセンサからの入力を受信してもよい。制御サブシステムは、ドライバユニットがドッキングユニット上に配置されているかどうかを判定するためにセンサから入力を受信することができる。制御サブシステム116は、ボタンの位置、例えば、プローブユニット102の排出に使用されるドライバユニットに設けられた左右のボタンに関するホールセンサからの入力を受信することができる。ホールセンサ信号に基づいて、制御サブシステム116は針の長さを計算することができる。
【0122】
さらに、電池1404を充電するために、ドッキングユニット1202を生検装置100に接続することができる。ドッキングユニットおよび生検装置100は、原動機114とドッキングユニット1202との間の能動的接続を提供する装置嵌合コネクタと接続されてもよい。
【0123】
制御サブシステム116は、とりわけ生検操作におけるエラーを示すための警告信号を提供するためのブザー1406に結合されてもよい。
【0124】
制御サブシステム116はまた、視覚的警告指示をユーザに提供するための警告LED1408に結合されてもよい。警告LED1408は、生検装置100のドライバユニット104に設けられてもよい。LEDは、例えば、オレンジ色の光が放射されている場合には、生検手順が進行中であることを示し、白色光は、サンプルが組織サンプル容器に収集されたことを示し得る。警告状態の場合、例えば、組織サンプル容器が排出された、オレンジ色の光を使用することなどができる。本明細書に示されている色は例にすぎず、限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0125】
一実施形態では、装置内の加速度計1410を使用して装置の物理的向きを決定することができる。一実施形態では、加速度計1410は、サンプルが組織サンプル容器110に移動するときに生検装置100の垂直方向の位置合わせを検出するために使用されてもよい。さらに、加速度計1410は生検装置100の休眠状態を検出することができる。これに基づいて、制御サブシステム116は、装置をスリープモードにして、バッテリ電力を節約することができる。
【0126】
制御サブシステム116は、イベントログデータを受信し、シリアルフラッシュ1412に格納されていてもよいデバイスファームウェアにアクセスする。制御サブシステム116は、無線モジュール1414またはブルートゥース(登録商標)のような接続を介し通信して、ドライバユニット104から任意のアプリケーションへの、例えば、遠隔装置上のログデータを受信することができる。一実施形態では、無線モジュール1414は、図1の無線モジュール111である。さらに、制御サブシステム116は、例えば、Over the Air (OTA)プログラミングによって遠隔的にプログラムすることができる。
【0127】
さらに、OLEDディスプレイおよびナビゲーションボタンを介したユーザインターフェース1416は、OLEDおよび選択スイッチを介して制御される。サンプル容器の下のドライバユニットにあるLEDは、チャンバ内のサンプルを検出すると点灯する。一実施形態では、ユーザインターフェース1416は、前述のようにトリガボタンも含む。ストッパスイッチ1402の状態と共にトリガボタンを作動させると、生検装置100のスイッチを入れて動作サイクルを開始するための信号が制御サブシステム116に送信される。一実施形態では、バッテリ1404は、上述のようにすべての構成要素に電力を供給する。
【0128】
図15は、本主題の実施形態に係る、プローブユニット102用の包装トレイ1500の上面図を示す。包装トレイ1500は、プローブユニット102の様々な構成要素を封入するための人間工学的包装ユニットであり得る。包装トレイ1500は、カバー1502および複数の切り欠きを含み得る。前述のように、異なる手順を実行するために、同じドライバユニット104を異なるプローブユニット102と共に複数回使用することができる。したがって、各プローブユニット102は別々に梱包および販売されてもよい。
【0129】
一実施形態では、トレイ内にカバー1502をヒートシールしてプローブユニット102をトレイ内で滅菌状態に保つことができる。さらに、プローブユニット102の構成要素は、安全に複数の切り欠き内に配置することができる。図示されるように、針深さ調節器218、組織サンプル容器110(少なくとも1つ)、プローブユニット102は、包装トレイ1500の複数の切り欠きに別々に配置されてもよい。一実施形態では、組み立てられたプローブユニット102を配置するために単一の切り欠きを設けることができる。
【0130】
生検手順の前にカバー1502を剥がしてプローブユニット102の構成要素を切り欠きから取り外してから組み立てることができる。一実施形態では、包装トレイ1500はプラスチックから作られてもよい。別の実施形態では、包装トレイは他の任意の材料から作られてもよい。
【0131】
したがって、被検者からの組織サンプルの抽出および収集に使用される駆動機構108および圧力サブシステム112を含む上記の装置が開示される。この装置はハンドヘルド携帯診断装置であり、針414は、針414を被検者の中に挿入する駆動機構によって作動される。組織サンプルの抽出は圧力サブシステム112によって支援される。
【0132】
一実施形態では、単一の原動機を使用して、針414を被検者の内外に直線的に作動させ、針414を回転させて、これら3つの動作のそれぞれに対して別々のドライバユニットを使用するのではない。
【0133】
一実施形態では、生検装置は、異なる種類の動作を達成するために2つ以上の原動機を備えた装置と比較して消費電力が少ない。
【0134】
一実施形態では、単一の原動機を備えた生検装置は装置の携帯性を助ける。
【0135】
一実施形態では、直線前進、後退、および回転などの3つの異なる種類の動作の組み合わせは、最小数のギア構成要素を使用し、単一入力運動でコンパクトな設計を表現することによって達成される。
【0136】
一実施形態では、駆動機構および圧力サブシステム112からなる一体型機構は、前進移動中に瞬時に負圧を供給して組織サンプルを収集しながら、被検者の穿刺を助け、断続的に負圧を止めながら、組織の一部を剪断するために被検者の内部で針414を回転させ、針414を被検者から引き抜き、そして負圧を供給して、一連の生検手順の全てにおいて組織サンプルを組織サンプル容器内に取集する。
【0137】
一実施形態では、シャフト部材412は、それがその最終位置に達すると、少なくとも1つの被駆動ギアから外れ、それによって駆動機構を使用不可能にする。
【0138】
一実施形態では、容器420および/または補助容器からの流体が被検者に注入され、臓器の内出血を止めるなどの二次医療機能を果たし、したがって医学的合併症を回避する。
【0139】
一実施形態では、生検装置の使用は、経皮的生検手順を実行するための高度な外科技術および器用さの臨床的要求を最小にする。
【0140】
一実施形態では、プローブユニット内に収容された駆動機構は、一回使用後に処分され、針414の再使用を回避する。
【0141】
一実施形態では、プローブユニットに設けられたフィルタチャンバは感染性病原体を隔離し、感染性疾患の拡大を防ぐ。
【0142】
一実施形態では、少なくとも1つの従動ギアから外れたシャフト部材は、駆動機構を損傷することなく再使用のためにドライバユニットに再整列することができず、それによって汚染された針414の悪用を防止する。
【0143】
一実施形態では、切り欠き部は、追加のクラッチ機構または原動機を回避して、駆動ギアをギアラックから解放するためのクラッチに似ている。
【0144】
一実施形態では、装置は、針414の被検者への前方への直線移動および単一の原動機による被検者からの後退を達成するように設計されている。加えて、カニューレ内への針414の引き込みは、装置を取り扱う間の針刺し傷害の可能性を最小にする。
【0145】
一実施形態では、圧力ポンプ204は圧力を発生させ、処置中に直ちに使用するために圧力貯蔵室208内に貯蔵する。
【0146】
本主題はまた、生検を実施するための方法を提供する。便宜上および理解を容易にするために、図16に示される方法1600は、図1図15に関して説明されている。方法1600を説明する順序は限定として解釈されることを意図するものではなく、方法1600または代替方法を実施するために任意の数の説明された方法ブロックを任意の順序で組み合わせることができる。
【0147】
ブロック1601で、臓器構成の生検の指示、複数の生検パラメータ、および固有の識別番号が受信される。一実施形態では、命令は制御サブシステム116によって受信される。ブロック1602で、圧力ポンプを制御して、負圧を発生させて圧力貯蔵室内に貯蔵する。一実施形態では、圧力ポンプおよび圧力貯蔵室はそれぞれ圧力ポンプ204および圧力貯蔵室208である。
【0148】
一実施形態では、先に説明したように、針深さ調節器218によって固定された所定の長さに基づいて、針414を患者の体内の生検臓器の表面まで挿入する。一実施形態では、針深さ調節器218の円形ディスクは患者の皮膚の外側に載って生検装置100の安定した動作を提供する。さらに、ユーザインターフェース1416およびストッパスイッチ1402からのデータは、例えば、針深さ調節器218が患者に押し付けられているかどうかを示す制御サブシステム116によって受信され得る。
【0149】
ブロック1604で、ユーザインターフェース、例えばユーザインターフェース1416からの命令を受信してストッパスイッチの状態を確認すると、圧力貯蔵室208に貯蔵された負圧が臓器から組織を抽出するために針に供給される。ドライバギアは、負圧の供給中にシャフト部材を直線方向に前進させるためにギアラックによって駆動される。一実施形態では、駆動ギア、ギアラック、およびシャフト部材は、それぞれ、駆動ギア404、ギアラック402、およびシャフト部材412である。前述のようにギアラック402は、シャフト部材412上に配置されている。シャフト部材412を前進させると、シャフト部材412に設けられた針が前進する。一実施形態では、針は414である。

【0150】
組織が針414内に抽出されると、針414の前進は停止される。針414への負圧の供給も停止される。
【0151】
ブロック1610で、シャフト部材の回転運動を生成するために、移行ギアが伝達ギアによって駆動され続ける。一実施形態では、移行ギアおよび伝達ギアはそれぞれ移行ギア416および伝達ギア406である。伝達ギア406は、シャフト部材412の直線運動に続いて移行ギア412と係合する。駆動ギア404は、伝達ギア406を駆動する。シャフト部材412の回転運動は、組織の端部を切断するために針を回転させることである。
【0152】
ブロック1612で、シャフト部材が所定角度の回転を完了すると、少なくとも1つの従動ギアがギアラックによって駆動されてシャフト部材を直線方向に後退させる。シャフト部材を引き込むと、針が引き込まれる。これはさらに、針刺しによって引き起こされる可能性がある怪我を回避するのに役立つ。一実施形態では、少なくとも1つの従動ギアは従動ギア410である。
【0153】
ブロック1614で、圧力貯蔵室から供給される圧力を制御するために電磁弁が制御される。供給された圧力は、抽出された組織を組織サンプル容器に移す。一実施形態では、組織サンプル容器は組織サンプル容器110である。
【0154】
本主題は、生検中に発生する外科的合併症の可能性を最小限に抑えながら取り扱いも容易である、自動化された携帯可能で効率的な生検装置を提供する。生検装置はまた、正確で制御された針挿入を提供し、これはその後の研究のために良好な品質の組織を保証しながら、不適切な組織抽出によって引き起こされる損傷または怪我の可能性も減少させる。
【0155】
主題は、特定の例およびその実施形態を参照してかなり詳細に説明されてきたが、他の実施形態も可能である。そのため、本主題の範囲は、好ましい例の説明およびその中に含まれる実施形態に限定されない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16