IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メディミューン,エルエルシーの特許一覧

特許7071366注射情報を取得して送信するための、プランジャロッド内に埋設された多部品センサ
<>
  • 特許-注射情報を取得して送信するための、プランジャロッド内に埋設された多部品センサ 図1
  • 特許-注射情報を取得して送信するための、プランジャロッド内に埋設された多部品センサ 図2
  • 特許-注射情報を取得して送信するための、プランジャロッド内に埋設された多部品センサ 図3A
  • 特許-注射情報を取得して送信するための、プランジャロッド内に埋設された多部品センサ 図3B
  • 特許-注射情報を取得して送信するための、プランジャロッド内に埋設された多部品センサ 図4
  • 特許-注射情報を取得して送信するための、プランジャロッド内に埋設された多部品センサ 図5
  • 特許-注射情報を取得して送信するための、プランジャロッド内に埋設された多部品センサ 図6
  • 特許-注射情報を取得して送信するための、プランジャロッド内に埋設された多部品センサ 図7
  • 特許-注射情報を取得して送信するための、プランジャロッド内に埋設された多部品センサ 図8
  • 特許-注射情報を取得して送信するための、プランジャロッド内に埋設された多部品センサ 図9
  • 特許-注射情報を取得して送信するための、プランジャロッド内に埋設された多部品センサ 図10
  • 特許-注射情報を取得して送信するための、プランジャロッド内に埋設された多部品センサ 図11
  • 特許-注射情報を取得して送信するための、プランジャロッド内に埋設された多部品センサ 図12
  • 特許-注射情報を取得して送信するための、プランジャロッド内に埋設された多部品センサ 図13
  • 特許-注射情報を取得して送信するための、プランジャロッド内に埋設された多部品センサ 図14
  • 特許-注射情報を取得して送信するための、プランジャロッド内に埋設された多部品センサ 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】注射情報を取得して送信するための、プランジャロッド内に埋設された多部品センサ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
A61M5/315 550A
A61M5/315 510
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019531399
(86)(22)【出願日】2017-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 US2017065965
(87)【国際公開番号】W WO2018111969
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-11-18
(31)【優先権主張番号】62/434,131
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504333972
【氏名又は名称】メディミューン,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スブラモニー,ジャラルドハナン,アナンド
(72)【発明者】
【氏名】ソング,マイケル,シー.
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-514249(JP,A)
【文献】国際公開第2016/079228(WO,A1)
【文献】特表2014-516599(JP,A)
【文献】特表2012-500695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器のピストンに作動するような大きさおよび寸法とされたシャフトと、無線センサの少なくとも2つのサブユニットを備える指作動式ヘッド部分とを備える、前記注射器から薬剤を押し出すようになされたプランジャロッドであって、
作動前形態では、前記少なくとも2つのサブユニットが物理的障壁により互いに離間して配置され、かつ前記無線センサが非稼動であり、
作動後形態では、前記少なくとも2つのサブユニットが互いに接続され、かつ前記センサが、信号を送信するように稼動し、
ユーザが、前記指作動式ヘッド部分を作動させて前記物理的障壁を動かし、前記プランジャロッドを前記作動前形態から前記作動後形態に移行させ、
前記センサの前記少なくとも2つのサブユニットは、アンテナサブユニットと無線送信サブユニットを備える
プランジャロッド。
【請求項2】
前記物理的障壁が、可撓性であるとともに、動かされた後に前記物理的障壁の元の形態に戻る、請求項1に記載のプランジャロッド。
【請求項3】
前記物理的障壁が片持ち棚部を備える、請求項2に記載のプランジャロッド。
【請求項4】
前記アンテナサブユニットが、少なくとも1つの電気導線がアンテナ保持部の底面に位置決めされた前記アンテナ保持部に巻き付けられたアンテナ線を備える、請求項1に記載のプランジャロッド。
【請求項5】
前記無線送信サブユニットが、無線送信チップと、少なくとも1つの接点スイッチとを備える、請求項4に記載のプランジャロッド。
【請求項6】
前記少なくとも1つの接点スイッチが、前記作動後形態において前記少なくとも1つの電気導線に接触する、請求項5に記載のプランジャロッド。
【請求項7】
前記指作動式ヘッド部分がセンサハウジングを備える、請求項1に記載のプランジャロッド。
【請求項8】
前記センサハウジングが、前記無線送信サブユニットを受け入れるような大きさおよび寸法とされたスロットを画定する、請求項7に記載のプランジャロッド。
【請求項9】
前記センサハウジングが、前記アンテナサブユニット上の向き決め切欠部と一致するような大きさおよび寸法とされた向き決め係止部を更に備える、請求項8に記載のプランジャロッド。
【請求項10】
前記指作動式ヘッド部分の上部に位置する可撓性カバーを更に備える、請求項1に記載のプランジャロッド。
【請求項11】
前記可撓性カバーがエラストマー製である、請求項10に記載のプランジャロッド。
【請求項12】
前記信号が、前記注射器からの前記薬剤の押し出しに関する情報を含む、請求項1に記載のプランジャロッド。
【請求項13】
前記信号が遠隔受信機により受信される、請求項1に記載のプランジャロッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、注射器での注射を確認してそのような情報を無線送信するために注射器プランジャロッド内に一体化させることができるセンサおよび通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最適な患者治療を確実に行うために、患者の医療従事者(HCP)により処方された投薬計画に患者が従うことが不可欠である。同様に、2人の患者が同一ではないので、患者に処方された最善の治療および投薬を確実に行うために、HCPは、患者に処方された薬剤の服用を患者が遵守していることを確認する必要がある。この情報は、薬剤が患者に有効であるかどうかまたはより良好な代替の投薬計画が患者に更に恩恵をもたらし得るかどうかをHCPが判断するのに役立つ。
【0003】
同様に、患者が処方を遵守していることを確認することは、臨床試験で新薬の効能を判断するのに必要である。臨床試験では、充填済み注射器が一般的に使用され、多くの場合、まず新薬が充填済み注射器を用いて市場に投入され、例えば自己注射器などのより複雑な送達装置が後に続く。
【0004】
現在のところ、服薬遵守を治療効果と相関させるために使用できる、注射器での注射の使用状況の確認をHCPに与えることができる充填済み注射器または付属品の付いた充填済み注射器に埋設されたセンサまたは電子システムは存在しない。今日、HCPは、患者が服薬遵守を報告することと、臨床現場以外での患者の誠実さとに依存する。処方された投薬計画に従う患者の誠実さにこのように依存することは、治験での新薬の効能、利点および他の結果が、処方された投薬計画を患者が遵守することに大きく依存するという臨床試験での重大なリスクとなる可能性がある。
【0005】
従来技術は、患者の投薬計画を追跡するために物理的日記および電子日記を利用する。加えて、他の従来技術は、患者に自身の薬剤の服用を忘れないようにするための電子リマインダからなる。これらのシステムの両方が、受動的であるとともに患者の誠実さおよび遵守に依存し、僅かに有効であるに過ぎない。HCPは、例えば、患者が遵守していないときに遵守していることを示すためにHCPの診察を受けに行く直前に患者が日記に単に記入しただけかどうかを見分けることができない。同様に、電子リマインダに関しては、患者が、警報を止めるために実際に薬剤を注射せずに注射したことを単に知らせることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのように、患者の遵守を確実にしてHCPが薬剤の効能を判断することを可能にするために実際の注射器の使用状況および他の確認情報を取得してかかる情報を例えば無線送信するための手段および機器が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
よって、本発明は、注射器での注射を検出して注射確認情報を外部受信機に無線送信するための方法、設計、および機器を対象とする。本発明は、無線送信システム内での1つもしくは複数のサブユニットまたはサブシステムの分離を採用し、それにより、サブユニットが、注射器プランジャロッド内に埋設されるとともに、使用前に別々に保持される。ユーザがプランジャロッドを押し下げることにより注射器が注射/使用されるときに、分離された無線送信サブユニットが一緒にされ電気的に再接続されて動作する無線送信システムを確立する。
【0008】
また、アンテナおよび無線送信チップサブシステムなどの、無線送信サブシステムの分離により、注射器が患者に注射されたかどうかを検出するセンサが作り出される。例えば、アンテナおよび送信チップサブシステムが接続された場合に、センサは、注射器での注射を確認するためにプランジャロッドが押し下げられた後に動作可能である。同時に、センサは、注射確認信号を受信機に送信する。
【0009】
したがって、無線送信システムは、Bluetooth(登録商標)チップおよびBluetooth(登録商標)アンテナの無線送信システムかまたは他の任意の無線送信システムとすることができ、それにより、確認センサの設定を作成するためにアンテナと一体型および/または送信チップとを分離することができる。
【0010】
アンテナおよび送信チップが分離された状態に保たれ注射の成功前に意図せずに一体とならないことを確実にするために、送信チップおよびアンテナサブシステムは、注射中に乗り越えられる物理的障壁により分離された状態に保たれる。注射中に、プランジャロッドがユーザにより押し下げられたときに、注射確認データを取得および/または送信する完全かつ動作可能な無線送信システムを形成するように、アンテナが、例えば物理的障壁を乗り越えて送信チップに接触する。
【0011】
本発明は、任意のプランジャ内に一体化させ、限定されるものではないが、自己注射器を含む、限定されるものではないが、プランジャロッドを使用して注射がなされるように意図された充填済み注射器を含む全ての注射器に利用することができる。本発明は、注射器用のデジタル接続プランジャロッドを作り出す。
【0012】
添付の図面は、本明細書の一部を形成するとともに、本明細書と併せて解釈されるべきであり、添付の図面では、種々の図中に類似の部分を示すために類似の参照番号が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、受動的安全装置と、注射器と、本発明のデジタル接続されたプランジャロッドとを備える充填済み注射器の斜視図である。
図2図2は、図1の組み立てられたデジタル接続プランジロッドの斜視図である。
図3A図3Aは、分かり易くするためにアンテナ線が省略された、図2のデジタル接続プランジャロッドの分解図である。
図3B図3Bは、アンテナ保持部が弾性カバーによりプランジャロッド内に保持された状態を示す、図3Aのプランジャロッドの上部の上面断面斜視図である。
図4図4は、分かり易くするためにアンテナ線が省略されたアンテナ保持部およびその部品の上面斜視図および底面斜視図を含む。
図5図5は、アンテナ線の端部が導電片に取り付けられた状態を示すアンテナ保持部の底側面図である。
図6図6は、アンテナ線がアンテナ保持部に巻き付けられてアンテナ線の自由端部が取り付けられていない状態を示す、アンテナ保持部の上側面図である。
図7図7は、送信チップシステムの組立図および分解図である。
図8図8は、分かり易くするためにセンサ部品およびカバーなしのプランジャロッドの部分上面斜視図である。
図9図9は、図7のプランジャロッドの断面図である。
図10図10は、作動前形態においてアンテナ保持部が障壁の上部に配置された状態を示すプランジャロッドの上部の部分断面図である。
図11図11は、作動後形態における図1のプランジャロッドと同様のプランジャロッドの上部の部分断面図である。
図12図12は、図12のプランジャロッドの底面断面斜視図である。
図13図13は、接点スイッチが無線送信チップ上に、導電性接着剤を用いて取り付けられるのではなく、はんだ付けされる、本発明の代替的な実施形態の図である。
図14図14は、受動的注射器部品/装置の3次元CADの例である。
図15図15は、受動的注射器安全部品/装置の物理的画像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上述のように、本発明は、無線センサを2つ以上のサブユニットまたは部分に分離することと、分離されたサブユニットを作動前形態において本発明のデジタル接続されたプランジャロッド内に保つこととを含む。無線センサのサブユニットが分離されたときに、無線センサは、好ましくは非稼動であるとともに、信号を送信することができない。より好ましくは、センサのサブユニットは、プランジャロッドを押し下げて注射器から全ての薬剤を放出するのに必要な力と好ましくは実質的に同様の、十分な力で乗り越えることができる物理的障壁により物理的に分離される。
【0015】
作動中に、ユーザがプランジャロッドを押圧し、それによりプランジャロッドの上部にその力を加える。この力により、サブユニットを分離する物理的障壁が乗り越えられ、サブユニットが組み立てられるかまたは接続されてセンサが完成し、センサが稼働状態になって、注射が完了したという信号を受信機に送信することが可能となる。作動後形態では、すなわち、全ての薬剤が注射器から放出されたときに、好ましくは、物理的障壁がその元の形態を回復でき、サブユニットを互いに接触した状態に保つ押圧力を加える。
【0016】
一実施形態において、センサのサブユニットは、アンテナ/アンテナ保持部と、送信チップと、接点スイッチ組立体とを備え得る。別の実施形態では、Bluetooth(登録商標)システムと同様に電源が分離された状態で接点スイッチをアンテナ/アンテナ保持部とグループ化することができる。他の実施形態は、通信システムを構成する任意の部品またはサブシステムを離隔または分離することを含み得る。
【0017】
図1を参照すると、例示的な本発明のデジタル接続されたプランジャロッド1が、受動的注射器安全部品2と、針を覆うシースを遠位端部に備えた注射器3、好ましくは充填済み注射器とを備えた注射器ユニットの一部として示されている。受動的注射器部品/装置の3次元CADの例が図14に示されている。受動的注射器安全部品/装置の物理的画像が図15に示されている。本発明のプランジャロッド1は、図2に示すように、シャフト5と、指作動式ヘッド部分7とを有し得る。シャフト5の遠位端部9は、注射器から薬剤を放出するために注射器内のゴム製ピストンに係合してピストンを遠位方向に押圧するような大きさおよび寸法とされる。
【0018】
図3Aに示すように、本発明のプランジャロッド1のユーザ作動可能部分7は、シャフト5の上部に位置決めされた、以下で詳細に説明する、センサ保持部11を有し、かつ無線センサは概して、以下で説明する、無線送信チップおよび接点スイッチ組立体13と、1つまたは複数の導電片15と、アンテナを備えたアンテナ保持部17とを備える。導電片15は、導電性接着剤が箔の片面に塗布された導電性金属箔を有する。組立体13、導電片15、およびアンテナ線を備えたアンテナ保持部17がセンサを構成し、かつ、好ましくは可撓性であり、より好ましくはエラストマー製である、カバー19が、センサ保持部11内にセンサを閉じ込める。組み立てられたユーザ作動可能部分7が図3Bに示されている。
【0019】
図4の上面斜視図と底面斜視図の両方で図示する、アンテナ保持部17は、アンテナ線ループ保持部21の間に配線通路23を画定する2つの半円形状を備える、アンテナ線ループ保持部21を有する。アンテナ保持部17はまた、アンテナ線が保持部17を通過するための2つの配線挿通孔25を有する。アンテナ保持部17は、センサ保持部11内のアンテナ保持部17の向きを案内するための少なくとも1つの向き決め案内部または切欠部27を更に備える。
【0020】
図5および図6に最も良く示すように、アンテナ線29のコイルは、線ループ保持部21に巻き付けられる。アンテナ線の2つの端部31および33は、配線通路23内に位置決めされて孔25に通され、かつ導電片15の導電性接着剤側によりアンテナ保持部17の底表面にテープで固定される。よって、アンテナ保持部17の底面上の導電片15は、アンテナ保持部17の上部に巻き付けられたアンテナ線に電気的に接続される。
【0021】
無線送信チップおよび接点スイッチ組立体13が図7に最も良く示されている。この組立体は、無線送信チップ35と、導電性両面接着片39によりチップ35に取り付けられる1つまたは複数の接点スイッチ37とを備える。
【0022】
センサハウジング11は、図8および図9に最も良く示すように、センサのサブユニットを保持するための多くの特徴または物理的特徴を含み、結果として、これらのサブユニットは作動前形態では分離されている。センサハウジング11は、無線送信チップおよび接点スイッチ組立体13を受け入れてセンサハウジング11の底表面42上に保持するような大きさおよび寸法とされたスロットまたは保持部41と、アンテナ保持部17における向き決め係止部または切欠部27に対応する少なくとも1つの向き案内部43とを有する。向き決め案内部43は、向き決め切欠部27に嵌合して、アンテナ案内部17の底表面上に位置する導電片15が接点スイッチ37の真上に位置決めされることを確実にする。
【0023】
センサハウジング11はまた、2つの支持表面45および47を有する。図9に最も良く示すように、これらの2つの表面は、直立した垂直部材上に形成される。しかしながら、この直立した垂直部材はまた、センサハウジング11の本体と一体に形成されてもよい。支持表面45は、センサハウジング11の上部近傍に位置するとともに、カバー19の外縁部を支持するようになされる。支持されたままで、カバー19は、好ましくは、注射器3から薬剤を放出するためにユーザがプランジャロッド1を下方に押圧したときに内方に撓んでもよい。カバー19は、接着剤、スポット接合、超音波溶接、または他の既知の取り付け方法により支持表面45に取り付けられてもよい。
【0024】
支持表面47は、作動前形態においてアンテナ保持部17を支持するように設計される。支持表面47は、好ましくは、図9に最も良く示すように、センサハウジング11の側部から片持ち状に支持される、棚部49により形成される。棚部49は、アンテナ保持部17を支持するとともに、プランジャロッド1がユーザにより押圧されたときに下方に撓むように設計される。棚部49は、アンテナ保持部17を無線送信チップおよび接点スイッチ組立体13から離れる方向に分離し、その結果、作動前形態ではセンサが組み立てられずかつ非稼動である。棚部49は、上述のように、作動前形態においてセンサのサブユニットを分離された状態に保つ物理的障壁を提供する。
【0025】
注射器3から薬剤を放出するためにユーザがプランジャロッド1の上部に力を加えたときに、同じ力がヘッド部分7に加えられる。この力により、カバー17を介してアンテナ保持部17が押圧され、かつ棚部49が乗り越えられ、かつ棚部49が下方に押圧され、アンテナ配線を備えたアンテナ保持部17が棚部49を通過して無線送信チップおよび接点スイッチ組立体13に接触することが可能となる。接点スイッチ37は、導電片15とアンテナ線とに電気的に接触する。作動前形態から作動後形態へのひと続きのものが図10図11に示されている。この作動後形態では、センサが組み立てられ、かつ送信チップが、アンテナ保持部17内のアンテナを通じて薬剤の注射が完了したという無線信号を受信機に送信するようにプログラムされる。好ましくは、棚部49が、元の位置に戻るように再び撓む。作動後形態における棚部49の元の位置では、棚部49が、アンテナ保持部17を無線送信チップおよび接点スイッチ組立体13に接触した状態に保持し、好ましくは、棚部49が、その可撓性および片持ち接続によって、アンテナ保持部17を無線送信チップおよび接点スイッチ組立体13に接触した状態に保つ力を加える。図12は、組立体13内の接点スイッチ37がアンテナ保持部17の底面上の導電片15に接触している作動後形態におけるプランジャロッド1を示している。上述のように、導電片15は、アンテナ保持部17の上部に巻き付けられたアンテナ線29に電気的に接続される。
【0026】
好ましくは、物理的障壁または棚部49を乗り越えるのに必要な力は、幾何形状と、物理的障壁49がセンサハウジング11の側部からどの程度突出するかとによって決まる任意の力となるように設計することができる。換言すれば、物理的障壁49は、乗り越えるのに比較的僅かな力しか必要としない比較的短くかつ薄い物理的障壁とすることができる。逆に、三角形幾何形状(図面では真っ直ぐに突き出している)と、厚さと、長さとを物理的障壁49に加えてもよく、この物理的障壁49は、乗り越えるのに著しく大きな力を必要とする。
【0027】
物理的障壁49を乗り越える力に応じて、アンテナ保持部17は、プランジャの移動の開始間際に、移動の最中のどこかで、または移動の終了間際に、物理的障壁を通過することができる。通常、低い障壁力は、アンテナ保持部17が注射中のプランジャ5の移動開始時に障壁49を乗り越えることを意味し、かつより高い障壁力により、結果として、アンテナ保持部17が注射の終了間際に障壁49を乗り越える。注射の最中のどこかでの障壁力により、結果として、アンテナ保持部17が注射の最中のどこかで障壁49を乗り越える。障壁力の量は、構成材料、幾何形状、厚さ、および障壁が側壁から延びる長さ/深さを含むいくつかの因子によって決まる。当業者であれば、本発明の開示から物理的障壁を乗り越えるのに適切なレベルの力を選択し得る。
【0028】
本明細書に開示した本発明の例示の実施形態が上記の目的を果たすことは明らかであるが、数多くの修正形態および他の実施形態が当業者により案出され得ることが理解される。そのような1つの修正形態では、図13に示すように、組立体13内の接点スイッチ37が、接着片39を使用する代わりに、無線送信チップ35にはんだ付けされる。それゆえ、添付の特許請求の範囲が、本発明の趣旨および範囲内に入る、かかる全ての修正形態および実施形態を網羅するように意図されていることが理解されるであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15