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特許7071380繊維からフリースを製造する方法及び設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】繊維からフリースを製造する方法及び設備
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/16 20060101AFI20220511BHJP
   D01D 5/098 20060101ALI20220511BHJP
   D01D 13/02 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
D04H3/16
D01D5/098
D01D13/02
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019541863
(86)(22)【出願日】2017-10-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2017075979
(87)【国際公開番号】W WO2018073081
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-06-19
(31)【優先権主張番号】102016119866.8
(32)【優先日】2016-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505313830
【氏名又は名称】ライフェンホイザー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト・マシイネンファブリーク
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】フェット・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヒルガース・マルク
(72)【発明者】
【氏名】レットフスキー・クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】マーガー・イェンス
(72)【発明者】
【氏名】レズナー・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シュテルター・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォデンカレヴィッチ・アスミル
【審査官】南 宏樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-275762(JP,A)
【文献】特表2014-503700(JP,A)
【文献】特表平06-510574(JP,A)
【文献】特表2014-505003(JP,A)
【文献】特開平03-121755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00-18/04
D01D 1/00-13/02
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フリース製造設備で繊維からフリースを製造する方法、又は、連続フィラメントからスパンボンドフリースを製造する、或いは連続フィラメントからメルトブローフリースを製造する方法であって、これらの繊維又はフィラメントが、少なくとも一つの紡糸装置を用いて紡糸され、それに続いて、少なくとも一つの冷却装置を用いて冷却され、延伸されて、堆積機器上にフリースウェブとして堆積される方法において、
少なくとも一つの基準パラメータが提供されることと、
本設備の連続動作中に、この基準パラメータと異なる少なくとも二つ、又は、少なくとも三つの入力パラメータが、測定装置を用いて測定されることと、
これらの測定された入力パラメータから、少なくとも一つの評価機器を用いて、この基準パラメータに対応する出力パラメータが特定されることと、
前記入力パラメータの物理的な測定量が、前記基準パラメータの物理的な測定量及び前記出力パラメータの物理的な測定量とは異なることと、
前記基準パラメータの物理的な測定量が、前記出力パラメータの物理的な測定量と一致することと、
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記の特定された出力パラメータが基準パラメータと比較されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の出力パラメータの少なくとも一つの特定された値が基準パラメータの少なくとも一つの値又は測定値からずれている場合に、その出力パラメータの異常が、視覚的信号及び/又は聴覚的信号により通報されることと、
この異常が記録されることと、
を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記の少なくとも一つの基準パラメータが、少なくとも一つの基準測定装置を用いて、本フリース製造設備の基準動作中に測定されることと、
前記の基準パラメータが経験パラメータとして与えられることと、
の中の一つ以上を特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
少なくとも一つの入力パラメータが固定又は一定の設備パラメータとして与えられて、出力パラメータの特定のために用いられることと、
別の入力パラメータが測定されることと、
を特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
少なくとも一つの基準パラメータ又は基準パラメータの基準値が計算されて、出力パラメータとの比較のベースとされることと、
少なくとも一つの入力パラメータが計算されて、この計算された入力パラメータが出力パラメータの特定に取り入れられることと、
の中の一つ以上を特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記の繊維又はフィラメントが熱可塑性プラスチックから製造されることと、
このプラスチックが、少なくとも一つの押出機を用いて紡糸装置に供給されることと、 この押出機から放出されたプラスチック又は融解したプラスチックが、溶融物ポンプを用いて紡糸装置に供給されることと、
前記の少なくとも一つの基準パラメータ又は出力パラメータが、「原料密度、嵩密度、投与量、溶融物の密度、送り速度、溶融物の漏れ量」から成るグループの中の使用されるプラスチックに関連する少なくとも一つのパラメータであることと、
前記の入力パラメータが、「溶融物の圧力、押出機の温度、押出機の回転数、押出機の回転モーメント、ポンプの回転数、溶融物の温度」から成るグループの中から選定されることと、
を特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記の融解したプラスチックが、運搬方向における紡糸装置の前で、少なくとも一つのクリーニング用篩を介して案内されることと、
前記の入力パラメータが「クリーニング用篩の前の溶融物の圧力、クリーニング用篩の後の溶融物の圧力、クリーニング用篩の動作時間」から成るグループの中から選定されるか、或いは更にこのグループの中から選定されること、
を特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記のフリースがスパンボンドフリースとして連続フィラメントから製造されることと、
このフィラメントが少なくとも一つの紡糸ノズルを用いて紡糸されることと、
この紡糸されたフィラメントが少なくとも一つの冷却室又は冷却装置で冷却されることと、
この冷却室には、少なくとも一つの空気供給キャビンから、少なくとも一つの送風機を用いて、処理空気を導入することが可能であることと、
紡糸ノズルと冷却室の間で、モノマー吸引濾過が実行されることと、
これらのフィラメントが延伸され、それに続いて、堆積スクリーンベルトの形の堆積機器上に堆積されることと、
を特徴とする請求項1から8までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
前記の基準パラメータ又は出力パラメータが前記の空気供給キャビンのキャビン圧力であり、前記の入力パラメータが「溶融物温度、モノマー体積流量、処理空気温度、送風機回転数、延伸チャネルの出口間隙幅、ディフューザのディフューザ壁の位置」から成るグループの中から選定されることを特徴とする請求項1から9までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
前記の堆積機器上に堆積されたフリースウェブが硬化される、又は、少なくとも一つのカレンダーを用いて硬化されることと、
前記の少なくとも一つの基準パラメータ又は出力パラメータが「機械方向(MD)におけるフリースウェブの強度、機械方向に対して交差した方向(CD)におけるフリースウェブの強度、機械方向(MD)におけるフリースウェブの伸縮性、機械方向に対して交差した方向(CD)におけるフリースウェブの伸縮性、フリースウェブ厚さ」から成るグループの中から選定されることと、
前記の入力パラメータが「処理空気圧、処理空気温度、処理空気体積流量、少なくとも一つのカレンダーローラーの回転数、少なくとも一つのカレンダーローラーのカレンダー温度、カレンダー溝、堆積スクリーンベルトの速度、繊維又はフィラメントに用いられるプラスチックのメルトフローレート(MFI)」から成るグループの中から選定されることと、を特徴とする請求項1から10までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
前記の堆積機器が堆積スクリーンベルトとして構成されることと、
少なくとも一つの基準パラメータ又は出力パラメータが「スクリーンベルトの磨耗度、又は、スクリーンベルトの摩損度、スクリーンベルトの詰まり程度」から成るグループの中から選定されることと、
前記の入力パラメータが、「スクリーンベルトを介して吸引される処理空気の処理空気体積流量、スクリーンベルトを介して吸引される処理空気の処理空気速度、スクリーンベルト速度、処理空気温度、モノマー体積流量」から成るグループの中から選定されることと、
を特徴とする請求項1から11までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
複数の基準パラメータ、詳しくは、少なくとも二つの基準パラメータ、又は、少なくとも三つの基準パラメータが提供されることと、
多数の入力パラメータが測定されて、それらの入力パラメータから、基準パラメータに対応する複数の出力パラメータが特定されることと、
出力パラメータの少なくとも一つの特定された値が基準パラメータの少なくとも一つの値からずれている場合に、その出力パラメータの異常が信号化されることと、
を特徴とする請求項1から12までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
前記の複数の基準パラメータから、基準モデルが特定されることと、
前記の多数の入力パラメータから、出力モデルが特定されることと、
この出力モデルがこの基準モデルからずれている場合に、この出力モデルの異常が信号化されることと、
を特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記の入力パラメータの少なくとも一部、又は、大部分が連続して測定されて、その入力パラメータから、前記の少なくとも一つの出力パラメータ又は出力モデルが特定されることと、
前記の処理が、0.5秒~10分、又は、1秒~1分のサンプリング周期で行なわれることと、
を特徴とする請求項1から14までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか一つに記載の方法を実施するための、繊維からフリースを製造するフリース製造設備、又は、連続フィラメントからスパンボンドフリースを製造する、或いは連続フィラメントからメルトブローフリースを製造するフリース製造設備であって、繊維又はフィラメントを紡糸する少なくとも一つの紡糸装置が配備され、紡糸された繊維又はフィラメントを冷却する少なくとも一つの冷却装置が置かれ、繊維又はフィラメントを延伸する少なくとも一つの延伸機器が配備され、繊維又はフィラメントをフリースウェブの形で堆積させる少なくとも一つの堆積機器が置かれる設備において、
更に、入力パラメータを測定する少なくとも一つの測定装置、又は、少なくとも一つの測定センサーが配備されることと、
この少なくとも一つの測定装置又は少なくとも一つの測定センサーが、紡糸装置の領域、冷却装置の領域、延伸機器の領域、少なくとも一つのディフューザの領域及び堆積機器の領域の中の一つ以上に配置されることと、
更に、測定された入力パラメータから出力パラメータを特定することが可能であるとの措置を有するように装備された少なくとも一つの評価機器が置かれることと、
ことを特徴とする設備。
【請求項17】
前記の特定された出力パラメータを少なくとも一つの提供された基準パラメータと比較することが可能であることを特徴とする請求項16に記載の設備。
【請求項18】
少なくとも一つの信号通報機器が配備されていて、前記出力パラメータと前記基準パラメータとの偏差が、当該信号通報機器によって信号化可能であることを特徴とする請求項17に記載の設備。
【請求項19】
プラスチック又はプラスチック溶融物を紡糸装置に供給する少なくとも一つの押出機が配備され、押出機と紡糸装置の間に、少なくとも一つのクリーニング用篩及び/又は少なくとも一つの溶融物ポンプが配置されることと、
前記の少なくとも一つの測定装置又は少なくとも一つの測定センサーが、この押出機の領域、この溶融物ポンプの領域及びこのクリーニング用篩の領域の中の一つ以上に設置されることと、
を特徴とする請求項16から18までのいずれか一つに記載の設備。
【請求項20】
前記の冷却装置が、少なくとも一つの冷却室と、この冷却室に処理空気を供給する少なくとも一つの空気供給キャビンとを備えることと、
前記の少なくとも一つの測定装置又は少なくとも一つの測定センサーが、この冷却室、この空気供給キャビン、この空気供給キャビンの少なくとも一つの送風機、モノマー吸引濾過部の少なくとも一つの吸引濾過間隙及びこのモノマー吸引濾過部の少なくとも一つの吸引濾過用送風機の中の一つ以上に配置されることと、
を特徴とする請求項16から19までのいずれか一つに記載の設備。
【請求項21】
一つの集合体又は前記の冷却装置と延伸機器から成る集合体が閉じた集合体として構成されることと、
前記の冷却装置への処理空気の導入以外に、この集合体への別の空気供給が行なわれないことと、
を特徴とする請求項16から20までのいずれか一つに記載の設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリース製造設備で繊維からフリースを製造する方法、特に、連続フィラメントからスパンボンドフリースを製造する、或いは連続フィラメントからメルトブローフリースを製造する方法に関し、これらの繊維又はフィラメントは、少なくとも一つの紡糸装置を用いて紡糸され、場合によっては、それに続き、少なくとも一つの冷却装置を用いて冷却され、その次に、有利には、延伸され、その後、フリースウェブとして堆積機器上に堆積される。更に、本発明は、繊維又は連続フィラメントからフリースを製造する設備に関し、特に有利には、連続フィラメントから、フリース、特に、スパンボンドフリース又はメルトブローフリースを製造することは本発明の範囲内にある。連続フィラメントは、その長さがほぼ無限であるために、例えば、10mm~60mmの非常に短い長さのステープルファイバーとは異なる。
【背景技術】
【0002】
前に述べた種類の方法及び設備は、実際には様々な実施構成により知られている。そのように、紡糸装置又は紡糸ノズルを用いて連続フィラメントを紡糸し、次に、冷却装置の少なくとも一つの冷却室で冷却する、連続フィラメントからスパンボンドフリースを製造する様々な方法が知られている。その場合、冷却室又は冷却室を通して案内されるフィラメントには、空気供給キャビンからの処理空気又は冷却空気が対向する側面から供給される。そのために、通常送風機が配備され、それらを用いて、処理空気又は冷却空気を冷却室に導入している。その場合、更に、少なくとも一つの圧力センサーを用いて、空気供給キャビン内の空気圧を測定することが知られている。その測定された空気圧は、送風機回転数を制御又は調整するための制御変数としての役割を果たす。一つ又は複数の圧力センサーが故障した場合、標準的には、予測できない故障を回避するために、その設備の連続運転を中断しなければならない。
【0003】
更に、冷却室内で冷却されたフィラメントが、次に延伸機器に、特に、延伸機器の中間チャネル又は延伸チャネルに入ることが知られている。その場合、フィラメントが中間チャネル又は延伸チャネル内で吊り下げられたままであることが起こり得る。別のフィラメントが上方から追加供給されるので、詰まる事態が起こり得る。又もや空気が空気供給キャビン内を十分に貫流せず、そのため、フィラメントが十分に冷却されない結果となる可能性が有る。それによって、追加供給される液状のプラスチック溶融物が冷却室内で塞ぎ止められて、それにより、例えば、空気供給キャビンの空気整流器を損傷させる可能性が有る。そのような故障の場合に、二週間までの生産停止状態が起こり得る。送風機の現在の制御又は調整の枠組みでは、そのような故障状態を容易に検知して、回避することができない。
【0004】
周知のフリース製造設備の別の設備コンポーネントでも、故障状態又は異常が常に検知されるとは限らないか、或いは常に適時に検知されるとは限らず、その結果、望ましくない生産停止状態を引き起こす可能性が有る。それは、特に、測定装置又は測定センサーの故障の場合に言えることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それに対して、本発明の技術課題は、設備パラメータを容易かつ比較的精密に検出することができ、故障状態又は異常を僅かな負担で機能的に確実かつ適時に検知することが可能な冒頭で述べた種類の方法を提示することである。更に、本発明の技術課題は、それに対応するフリース製造設備を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術課題を解決するために、本発明は、フリース製造設備で繊維からフリースを製造する方法、特に、連続フィラメントからスパンボンドフリースを製造する、或いは連続フィラメントからメルトブローフリースを製造する方法であって、これらの繊維又はフィラメントは、少なくとも一つの紡糸装置を用いて紡糸され、場合によっては、それに続き、少なくとも一つの冷却装置を用いて冷却され、有利には、その次に、延伸され、その後、フリースウェブとして堆積機器上に堆積される方法において、少なくとも一つの基準パラメータが提供されて、本設備の連続動作中に、この基準パラメータと異なる少なくとも二つ、有利には、少なくとも三つの入力パラメータが測定装置を用いて測定され、これらの測定された入力パラメータから、少なくとも一つの評価機器を用いて、この基準パラメータに対応する出力パラメータが特定される方法を教示する。この特定された出力パラメータが基準パラメータと比較されることは本発明の範囲内にある。本発明の特に有利な実施構成では、出力パラメータの特定された少なくとも一つの値が基準パラメータの少なくとも一つの値又は測定値と異なる場合に、この出力パラメータの異常が信号により通報される。この信号による通報は、特に、視覚的信号及び/又は聴覚的信号により行なわれる。非常に有利な変化形態では、このずれ又は異常は、特に、メモリ又は独立したメモリに保存することにより記録される。それは、データベース、クラウド又はそれらと同等のメモリであるとすることができる。有利な記録又は保存により、その後の評価及び/又は分類が容易になる。前に述べたずれ又は異常が検知又は信号により通報された場合、基本的に次の対処が可能である。設備全体が停止されることと、個々の設備コンポーネントが停止されることと、設定手段を有する設備コンポーネントでは、設備コンポーネントが設定される、詳しくは、本発明の目的に適うこととして、測定された入力パラメータに対する作用、そのため、それにより特定された出力パラメータに対する作用を実行できるように設定されることとの一つ以上である。その限りにおいて、検知されたずれ又は異常に応じて、有利には、個々の設備コンポーネントの制御及び/又は調整が行なわれる。そのように、例えば、ずれ又は異常の検知に応じて、送風機の送風機回転数、温度調整装置の温度及び開口部又は気体通過開口部の開口幅の中の一つ以上が制御及び/又は調整される。ところで、出力パラメータの上記の異常は、故障した、或いは再校正された測定機器又はセンサーを用いた測定から得られる入力パラメータにフィードバックすることもできる。
【0007】
本発明の範囲内では、「パラメータ」(特に、「基準パラメータ」、「入力パラメータ」、「出力パラメータ」)との用語は、例えば、圧力、温度、体積流量、回転数又は気体通過開口部の開口幅などの測定量又は物理的な測定量を表す。本発明の範囲内では、測定値は、このパラメータ又はこの測定量の測定値を意味する。本発明の範囲内では、「出力パラメータが基準パラメータに対応する」とは、出力パラメータと基準パラメータが同じ測定量又は物理的な測定量、例えば、圧力に関連することを意味する。
【0008】
本発明の特に有利な実施構成では、この少なくとも一つの基準パラメータ又はこの基準パラメータは、フリース製造設備の基準動作中に少なくとも一つの基準測定装置を用いて測定される。この場合、「フリース製造設備の基準動作」とは、特に、本設備の故障の無い標準動作を意味する。そして、本発明による方法の範囲内では、この状態で測定された基準パラメータ、例えば、空気圧は、それに対応する特定又は計算された出力パラメータ(特定された空気圧)と比較される。推奨される実施構成では、フリース製造設備の基準動作における基準パラメータの測定は、本設備の連続した基準動作の間のオンライン測定として行なわれる。しかし、別の実施構成では、基準測定装置を用いた基準パラメータの測定は、オフラインで行なうこともできる。そのような基準パラメータのオフライン測定は、例えば、基準パラメータが積層内の個別層の厚さ、抗張力又はそれらと同等のものである場合に適している。本発明の別の実施構成では、基準パラメータ又は少なくとも一つの基準パラメータは、経験的なパラメータとして与えることができる。それは、基準パラメータを必ず本発明による方法の範囲内において測定しなければならないのではなく、基準パラメータの少なくとも一つの値又は一つの値が既に経験的なパラメータ又は経験値として存在することを意味する。この経験的なパラメータ又は経験値は、それ以前の測定に由来するものであるか、或いは特定又は計算された結果であるとすることができる。
【0009】
測定装置を用いて、少なくとも二つの異なる入力パラメータを測定することと、それらの測定された入力パラメータから、評価装置を用いて、出力パラメータを特定することとは本発明の範囲内にある。そのように、特に、測定装置を用いて、温度、体積流量、送風機回転数及びそれらと同等のものなどの入力パラメータを測定することができ、その入力パラメータから、評価装置を用いて、少なくとも一つの出力パラメータ、例えば、圧力又は空気圧を特定することができる。しかし、基本的に、本発明の範囲内では、少なくとも一つの入力パラメータを固定又は一定の設備パラメータとして与えて、出力パラメータを特定するために用いることもできる。この固定的に与えられる設備パラメータ又は入力パラメータは、例えば、幾何学的形状の大きさ、例えば、固定的な開口幅、固定的な横断面積又はそれらと同等のものであるとすることができる。それにも関わらず、本発明による方法の範囲内では、測定装置を用いて、(測定値が可変である入力パラメータとして)少なくとも二つの入力パラメータ、有利には、少なくとも三つの入力パラメータが測定される。そして、出力パラメータは、この与えられた少なくとも一つの入力パラメータと別の測定された入力パラメータから特定される。出力パラメータのこのようにして特定された値が基準パラメータの値/測定値からずれている場合に、出力パラメータの異常が信号化され、既に上述した通り、本設備及び/又は設備コンポーネントに対する作用、或いは本設備及び/又は設備コンポーネントの制御に対する作用を実行することができる。
【0010】
本発明の一つの実施構成では、この少なくとも一つの基準パラメータ又は基準パラメータの基準値を計算するか、或いは別の既知のパラメータに基づき計算することもできる。そのような基準パラメータの計算は、基準測定装置を用いた基準パラメータの測定が不可能であるか、或いは容易に可能でない場合に本発明の目的に適うことである。更に、少なくとも一つの入力パラメータを計算することは本発明の範囲内にある。この場合でも、少なくとも一つの入力パラメータの計算は、その入力パラメータの測定が不可能であるか、或いは容易に可能でない場合に有効である。そして、当該の入力パラメータは、既知のパラメータ又は状態パラメータに基づき計算される。次に、本発明の目的に適うこととして、この計算された入力パラメータは、出力パラメータの特定に取り入れられる。そして、本発明の一つの実施構成に対応して、測定された入力パラメータから、場合によっては、少なくとも一つの固定的に与えられる入力パラメータと、場合によっては、更に、少なくとも一つの計算された入力パラメータとから出力パラメータを特定することができる。次に、この出力パラメータが基準パラメータからずれている場合に、又もや上述した通り進行することができる。
【0011】
熱可塑性プラスチックから繊維又はフィラメントを製造することと、少なくとも一つの押出機を用いて、そのプラスチック又はプラスチック溶融物を紡糸装置に供給することとは本発明の範囲内にある。複数成分の繊維又は複数成分のフィラメントを製作する場合、プラスチック溶融物を供給するために、二つ以上の押出機が用いられる。本発明の目的に適うこととして、押出機から放出されたプラスチック又は融解したプラスチックは、溶融物ポンプを用いて紡糸装置に供給される。本発明の一つの実施構成では、この少なくとも一つの基準パラメータ又は出力パラメータは、「原料密度、嵩密度、投与量、溶融物の密度、送り速度、溶融物の漏れ量」から成るグループの中の使用されるプラスチックに関連する少なくとも一つのパラメータである。次に、相応の出力パラメータを特定するために用いられる、或いは測定される入力パラメータは、有利には、「溶融物の圧力、押出機の温度、押出機の回転数、押出機の回転モーメント、ポンプの回転数、溶融物の温度」から成るグループの中のパラメータである。本発明の範囲内では、「原料密度」とは、特に、繊維を製作するために用いられる一つのプラスチックの密度又は使用される複数のプラスチックの密度を意味する。本発明の範囲内では、「嵩密度」とは、本発明による設備、特に、押出機の前に接続された漏斗に投入されるプラスチック又はプラスチック粒子の密度を意味する。本発明の範囲内では、「投与量」とは、押出機に供給されるプラスチックの量を意味する。更に、本発明の範囲内では、「溶融物の密度」とは、特に、紡糸装置に供給されるプラスチック溶融物の密度を意味し、「送り速度」は、特に、紡糸装置に供給されるプラスチック溶融物の量に関するパラメータである。「溶融物の圧力」と「押出機の温度」は、特に、押出機で測定される溶融物の圧力と押出機で測定される温度に関するパラメータである。「押出機の回転数」と「押出機の回転モーメント」は、押出機のスクリューの回転数と回転モーメントに関するパラメータである。「ポンプの回転数」とは、特に、有利に用いられる溶融物ポンプの回転数を意味する。
【0012】
本発明の一つの実施構成は、出力パラメータ又は基準パラメータとして、(一つのプラスチック又は複数のプラスチックの)原料密度を使用することを特徴とする。このようにして、間違った又は取り違えられた原料の起こり得る使用を早期に検出することができる。そのため、使用者の誤り、保管者の誤り及び投入量の変動の中の一つ以上による原料に起因する生産問題とその結果生じる処理問題を早期に検出することが可能である。
【0013】
運搬方向における紡糸装置の前で、有利には、溶融物ポンプから、少なくとも一つのクリーニング用篩又は一つのクリーニング用篩を介して、融解したプラスチックを案内することは発明の範囲内である。この場合、(更に)「クリーニング用篩の前の溶融物の圧力、クリーニング用篩の後の溶融物の圧力、クリーニング用篩の動作時間」から成るグループの中から入力パラメータを選定することができる。クリーニング用篩の動作時間は、固定的に与えられる、そのため、実際には測定されない入力パラメータであるとすることができる。
【0014】
本発明の範囲内において特別な意味を奏する本発明による方法の非常に推奨される実施構成は、スパンボンドフリースとしフリースを連続フィラメントから製造することと、少なくとも一つの紡糸ノズルを用いて、この連続フィラメントを紡糸することと、冷却装置の少なくとも一つの冷却室で、この紡糸されたフィラメントを冷却することと、少なくとも一つの空気供給キャビンから、少なくとも一つの送風機を用いて、処理空気又は冷却空気を冷却室に吹き入れることが可能であることと、これらのフィラメントを延伸し、それに続いて、堆積機器上に、特に、堆積スクリーンベルト上に堆積することとを特徴とする。この場合、紡糸装置又は紡糸ノズルと冷却室の間でモノマー吸引濾過を実施することは本発明の範囲内にある。そのために、本発明の目的に適うこととして、紡糸ノズルと冷却室又は空気供給キャビンの間にモノマー吸引濾過装置が配置される。このモノマー吸引濾過装置は、紡糸ノズルの下でフィラメント製作空間から空気を吸引し、それにより、連続フィラメント以外に発生する、モノマー、オリゴマー、分解生成物及びそれらと同等のものなどの気体を本設備から取り除くことが実現される。このモノマー吸引濾過装置が、有利には、少なくとも一つの吸引濾過用送風機を接続された少なくとも一つの吸引濾過室を備えることを推奨する。有利には、この吸引濾過室は、フィラメント製作空間に対する少なくとも一つの吸引濾過間隙を有する。このフィラメント製作空間の対向する両側に、それぞれモノマー吸引濾過のための少なくとも一つの吸引濾過間隙を設けることは本発明の範囲内にある。有利には、冷却室の後に、連続フィラメントを延伸するための延伸機器接続される。本発明の推奨される一つの実施構成は、延伸機器と堆積機器又は堆積スクリーンベルトの間に、少なくとも一つのディフューザが配置され、フィラメントが、このディフューザを通して案内されて、このディフューザの後で、フリースウェブの形で堆積機器上に堆積されることを特徴とする。
【0015】
本発明の全く特に有利な実施構成は、基準パラメータ又は出力パラメータが冷却室の空気供給キャビンのキャビン圧力であることを特徴とする。この場合、出力パラメータであるキャビン圧力は、有利には、「溶融物温度、モノマー体積流量、処理空気温度、送風機回転数、延伸チャネルの出口間隙幅、ディフューザ壁の位置」から成るグループの中の入力パラメータから特定される。「溶融物温度」とは、特に、紡糸装置のノズル又は紡糸ノズルの領域におけるプラスチック溶融物の温度を意味する。「モノマー体積流量」とは、特に、モノマー吸引濾過部で生じる吸引濾過される気体の体積流量を意味する。本発明の一つの変化形態では、このモノマー体積流量は、吸引濾過間隙の開口幅又はモノマー吸引濾過部の吸引濾過間隙に基づき、及び/又はモノマー吸引濾過部の吸引濾過用送風機の送風機回転数に基づき特定することができる。このモノマー吸引濾過部の開口幅に関しては、閉鎖部品、特に、吸引濾過間隙又はモノマー吸引濾過部の吸引濾過間隙のための閉鎖フラップの位置を測定/特定して、モノマー体積流量の計算のために用いることができる。「処理空気温度」とは、特に、空気供給キャビンから供給される処理空気又は冷却空気の温度を意味する。本発明の特に推奨される実施構成では、少なくとも二つの処理空気フロー又は異なる温度T及びTの二つの処理空気フローが冷却室に導入される。そして、これらの異なる処理空気温度T及びTは、測定されて、出力パラメータの特定に用いられる入力パラメータである。有利な変化形態では、前記の送風機回転数は、空気供給キャビン内に配置され、処理空気を供給するために配備された送風機の回転数に関するパラメータである。有利には、本発明による方法の範囲内では、処理空気を供給するための空気供給キャビンにおいて、少なくとも二つの送風機又は互いに独立して動作する送風機が用いられる。本発明の目的に適うこととして、これら二つの送風機は、それぞれ異なる温度T又はTの処理空気又は冷却空気を冷却室に導入する役割を果たす。空気供給キャビンのこれらの送風機の各々は別個の回転数を有し、有利には、各送風機回転数n又はnは、決定又は測定すべき入力パラメータを形成する。基本的に、一つの送風機の回転モーメント又は二つの送風機の二つの送風機回転モーメントを入力パラメータとして使用することもできる。上記の実施形態から、本発明の目的に適うこととして、空気供給キャビンの二つの送風機に関して、少なくとも四つの入力パラメータ又は四つの測定すべき入力パラメータが使用可能である、詳しくは、有利には、二つの処理空気温度T及びTと二つの送風機回転数n及びn使用可能であることが分かる。
【0016】
非常に有利な実施構成では、空気供給キャビンのキャビン圧力が基準パラメータ及び出力パラメータであることを既に指摘した。この場合、本発明の目的に適うこととして、先ずは、キャビン圧力がフリース製造設備の基準動作(故障の無い標準動作)中に基準パラメータとして測定される。そのため、基準パラメータのこの測定された圧力値又はこれらの測定された圧力値は、本設備の連続動作中に特定される出力パラメータとしてのキャビン圧力に関する比較値としての役割を果たす。この場合、本設備の連続動作中における出力パラメータとしてのキャビン圧力は、少なくとも一つの評価機器を用いて、特に、「溶融物温度、モノマー体積流量、処理空気温度、送風機回転数、延伸チャネルの出口間隙幅、ディフューザ壁の位置」の入力パラメータに基づき特定される。この場合、本発明の目的に適うこととして、空気供給キャビンの別個に動作する二つの送風機の少なくとも二つの送風機回転数をベースとする。溶融物温度、モノマー体積流量、処理空気温度及び送風機回転数が、例えば、連続動作中に測定される入力パラメータであるのに対して、延伸チャネルの出口間隙幅及び/又はディフューザ壁の位置は、入力パラメータとして与えられる設備パラメータであるとすることができる。しかし、基本的に、「延伸チャネルの出口間隙幅及び/又はディフューザ壁の位置」の入力パラメータは、連続動作中に測定することもできる。本設備の連続動作中における延伸チャネルの出口間隙幅及び/又はディフューザ壁の位置が変更可能又は設定可能であることは本発明の範囲内にある。
【0017】
有利には、出力パラメータとしてのキャビン圧力は、少なくとも六つ、有利には、少なくとも七つの入力パラメータに基づき、有利には、少なくとも八つの入力パラメータに基づき特定される。本発明の特に有利な実施構成では、出力パラメータとしてのキャビン圧力は、九つの入力パラメータに基づき特定される。有利には、これらは、「溶融物温度T、モノマー体積流量
【数1】
、第一の送風機回転数n、第二の送風機回転数n、第一の処理空気温度T、第二の処理空気温度T、延伸チャネルの出口間隙幅a、ディフューザ壁の位置d及びd」の九つの入力パラメータである。それに代わって、或いはそれに追加して、基本的に、出力パラメータの特定又は計算に送風機回転モーメントを取り入れることもできる。前述した手法により特定された出力パラメータとしてのキャビン圧力が、基準パラメータとしてベースとなるキャビン圧力からずれている場合、異常又は故障状態が信号化される。そして、そのようなずれ又は異常の通報に応じて、設備全体を停止することと、個々の設備コンポーネントを停止することと、設定可能な設備コンポーネントの設定を制御及び/又は調整することとの中の一つ以上を実行することができる。
【0018】
本発明による出力パラメータと基準パラメータの値の比較は、本発明による設備の堆積機器の領域に関連する比較であるとすることもできる。これに関して、本発明は、特に、堆積機器上に堆積されたフリースウェブを硬化させること、詳しくは、特に、少なくとも一つのカレンダーを用いて硬化させることを教示する。本発明の目的に適うこととして、そのようなカレンダーは、互いに協力して作用する二つのカレンダーローラーを備え、フリースウェブは、これらのカレンダーローラーの間の隙間を通して案内される。これらのカレンダーローラーの中の少なくとも一つを加熱することは本発明の範囲内にある。有利には、これに関して、この少なくとも一つの基準パラメータ又は出力パラメータは、「機械方向(MD)におけるフリースウェブの強度、機械方向対して交差した方向(CD)におけるフリースウェブの強度、機械方向(MD)におけるフリースウェブの伸縮性、機械方向対して交差した方向(CD)におけるフリースウェブの伸縮性、フリースウェブ厚さ」から成るグループの中から選定される。そして、本発明の目的に適うこととして、出力パラメータを特定するために測定される、或いは与えられる入力パラメータは、「処理空気圧、処理空気温度、処理空気体積流量、少なくとも一つのカレンダーローラーの回転数、少なくとも一つのカレンダーローラーのカレンダー温度、カレンダー溝、堆積スクリーンベルトの速度、繊維又はフィラメントに用いられるプラスチックのメルトフローレート(MFI)」から成るグループに由来するパラメータである。本発明の目的に適うこととして、カレンダー溝又はカレンダー溝の種類は、設備パラメータとして与えられる入力パラメータである一方、評価のために用いられるそれ以外の入力パラメータは、有利には、測定装置により測定される。
【0019】
本発明の有利な実施構成では、フリースウェブを堆積させるための堆積機器は、堆積スクリーンベルトとして構成され、この堆積スクリーンベルトは、推奨されることとして、エンドレスベルトとして稼動されるか、或いは動かされる。そのような堆積スクリーンベルトは、動作中に或る程度の摩擦又は或る程度の磨耗を受ける。更に、この堆積スクリーンベルトは、汚染及びそれと同等のことにより、例えば、紡糸時に発生するモノマーにより詰まる可能性の有る多数のスクリーンベルト開口部を有する。この堆積スクリーンベルトの磨耗又は詰まりも、入力パラメータの特定により検出することができる。これに関して、本発明による方法の有利な実施構成は、堆積機器が堆積スクリーンベルトとして構成されることと、少なくとも一つの基準パラメータ又は出力パラメータが、「スクリーンベルトの磨耗度、特に、スクリーンベルトの摩損度、スクリーンベルトの詰まり程度」から成るグループの中から選定されることと、入力パラメータが、「スクリーンベルトを介して吸引される処理空気の処理空気体積流量、スクリーンベルトを介して吸引される処理空気の処理空気速度、スクリーンベルト速度、処理空気温度、モノマー体積流量」から成るグループの中のパラメータであることとを特徴とする。堆積スクリーンベルトの下に配置された少なくとも一つの吸引濾過用送風機を用いて、堆積スクリーンベルトを介して、繊維又はフィラメントの堆積領域において処理空気を吸引することは本発明の範囲内にある。この場合、スクリーンベルトを介して吸引される処理空気の処理空気体積流量及び/又は処理空気速度を測定又は決定することができる。
【0020】
本発明による方法の推奨される実施構成は、複数の基準パラメータ、特に、少なくとも二つ、有利には、少なくとも三つの基準パラメータが提供されることと、複数又は多数の入力パラメータが測定されて、それらの入力パラメータから、基準パラメータに対応する複数の出力パラメータが特定されることと、出力パラメータの少なくとも一つの特定された値が基準パラメータの少なくとも一つの値からずれている場合に、その一つの出力パラメータ又はそれらの複数の出力パラメータの異常が信号化されることとを特徴とする。そして、更に既に前に説明した通り、設備全体が停止されることと、少なくとも一つの設備コンポーネントが停止されることと、設備コンポーネントの設定可能なパラメータの制御及び/又は調整が実行されることとの中の一つ以上によって、このずれ又は異常の検知に対する対処が行なわれる。
【0021】
同じく既に前に説明した通り、基準パラメータ又は基準パラメータの値が本設備の基準動作(故障の無い標準動作)中に測定されることは本発明の範囲内にある。更に、少なくとも一つの基準パラメータを経験値として与え得ることを既に説明した。そのため、本発明の範囲内において、全ての基準パラメータが本設備の基準動作中に測定されるか、或いは基準パラメータの中の一つの部分が本設備の連続動作中に測定されて、基準パラメータの別の部分が経験パラメータとして与えられるか、或いは全てのベースとなる基準パラメータが経験パラメータとして与えられることは可能である。本発明の特に推奨される実施構成では、複数の基準パラメータから、基準モデルが特定される。この基準モデルは、言わば、基準動作(故障の無い標準動作)の測定データから特定されるクラス分けモデルである。そして、複数又は多数の入力パラメータから、複数の出力パラメータが計算され、それらから、又もや出力モデルが特定される。この出力モデルが基準モデルからずれている場合に、出力モデルの異常を検知可能であるか、或いは信号化可能である。それに対して、上述した通り、相応に対処することができる。
【0022】
入力パラメータから少なくとも一つの出力パラメータを特定する評価機器が少なくとも一つのコンピュータであることは本発明の範囲内にある。評価機器又はコンピュータへの入力パラメータの測定値の伝送を有線接続又は無線により行なうことができる。
【0023】
入力パラメータを測定する個々の測定装置又は測定センサーは、本発明によるフリース製造設備の然るべき設備コンポーネントの中又は所に配置される。入力パラメータを連続して、或いはほぼ連続して測定することは本発明の範囲内にある。本発明の有利な実施構成は、入力パラメータの少なくとも一部、特に、大部分が、一つの変化形態では、全ての入力パラメータが連続して測定されることと、その入力パラメータから、少なくとも一つの出力パラメータ又は出力モデルが特定されることとを特徴とする。この場合、本発明の目的に適うこととして、0.5秒~10分、有利には、1秒~1分、特に、1秒~10秒のサンプリング周期により処理される。一つの変化形態では、複数又は多数の測定データが、測定された各入力パラメータの評価に取り入れられる。この場合、これらの測定データから、例えば、横断面積値としての入力パラメータの測定値が演算される。推奨されることとして、各入力パラメータの測定値を特定するために、少なくとも10~20、有利には、20~50、非常に有利には、100以上の測定データ又はデータポイントが検出される。
【0024】
本発明の目的に適うこととして、有利には、出力パラメータとしてベースとなるキャビン圧力が次の通り特定される。先ずは、当業者が、決定すべきキャビン圧力に関して決定的である、或いはこのキャビン圧力に決定的な影響を与える入力パラメータを選定する。そのために、想定し得ることとして、20以上の入力パラメータを対象にすることができる。しかし、これらの入力パラメータの中の九つが、キャビン圧力の大きさに関して重要であり、従って、これら九つの入力パラメータが出力パラメータを決定するためのベースとなる。先ずは、キャビン圧力がフリース製造設備の故障の無い標準動作中に測定され、その場合に得られた一つの測定値又はその場合に得られた複数の測定値が、別の評価における基準パラメータの基準値としてベースとなる。更に、本発明の目的に適うこととして、これら九つの入力パラメータに関する少なくとも一つの値セット又は複数の値セットが、本設備の連続動作中に特定される。言わば、標準動作モデルを特徴付ける、これらのデータ又は入力パラメータの測定データは、有利には、保存され、特に、SQLデータベースに保存され、そのため、何時でも使用可能である。有利な実施例では、故障の無い標準動作に関する九つの入力パラメータ及び基準パラメータのために、約580,000のデータポイントが、故障の無い標準動作中に1秒のサンプリング周期で検出される(約161秒の生産に相当する)。
【0025】
本発明の目的に適うこととして、前に述べたデータ検出及びデータ検証の後、モデル化手法が適用される。その複雑さを出来る限り小さくするとともに、そのモデルの解釈可能性を出来る限り高くするために、このモデル化は、通常最も簡単なモデル化手法で実行される。そのように、この場合には、傾斜法による線形回帰を適用することができる。有利には、このモデルは、解析形態(数学式)により作成され、このキャビン圧力の実施例に関しては、九つの入力パラメータ(変数)から、一次項としての七つの入力パラメータと二次項としての二つの入力パラメータとを選定することができる。そして、傾斜法により、この式のパラメータ、即ち、入力変数の増倍係数と加算定数が推定される。フリース製造設備の各実施形態がこれらの係数に影響し、その結果、本発明の目的に適うこととして、より高い精度のためには、フリース製造設備毎に、これらの係数を決定することを考慮すべきである。
【0026】
それに続き、このモデルが検証され、その際、本発明の目的に適うこととして、この検証として、k回の交差検証が選定されるとともに、本発明の目的に適うこととして、kが10に設定される。この場合、平均絶対誤差meanAEと平均相対誤差meanREの二つの品質判断基準を考察すべきであり、これら二つは、k回交差検証の10個の部分集合の平均として計算される。このモデルの精度は信頼区間により規定される。95%の信頼区間を有する結果は、次の通りである。
meanAE=49.0132±0.0774Pa
meanRE=1.6356%±0.0031%
この評価は、単に本発明の一つの有利な変化形態である。
【0027】
本技術課題を解決するために、本発明は、更に、繊維からフリースを製造する、有利には、連続フィラメントからスパンボンドフリースを製造する、或いは連続フィラメントからメルトブローフリースを製造するフリース製造設備であって、繊維又は連続フィラメントを紡糸する少なくとも一つの紡糸装置が配備され、場合によっては、更に、紡糸された繊維又は連続フィラメントを冷却するための少なくとも一つの冷却装置が置かれ、有利には、この冷却装置の後に、繊維又は連続フィラメントを延伸する少なくとも一つの延伸機器が接続され、繊維又はフィラメントをフリースウェブの形で堆積させる少なくとも一つの堆積機器、特に、堆積スクリーンベルトが置かれるフリース製造設備において、更に、入力パラメータを測定する少なくとも一つの測定装置、特に、少なくとも一つの測定センサーが配備され、この少なくとも一つの測定装置又はこの少なくとも一つの測定センサーが、紡糸装置の領域、冷却装置の領域、延伸機器の領域、少なくとも一つのディフューザの領域及び堆積機器の領域の中の一つ以上に配置され、更に、測定された入力パラメータから、少なくとも一つの出力パラメータが特定可能であるとの措置を有するように装備された少なくとも一つの評価機器が置かれるフリース製造設備を教示する。本発明の有利な実施構成では、特定された出力パラメータは、所定又は一つの提供された基準パラメータと比較される。推奨される実施構成では、基準パラメータからの出力パラメータのずれを信号により通報可能な少なくとも一つの信号通報機器が配備される。この評価機器がコンピュータとして構成されることは本発明の範囲内にある。本発明の目的に適うこととして、入力パラメータを測定する複数の測定装置又は測定センサーが置かれる。この信号通報機器は、有利には、視覚及び/又は聴覚による信号通報機器として装備される。
【0028】
更に、プラスチック又はプラスチック溶融物を紡糸装置に供給する少なくとも一つの押出機が配備されることは本発明の範囲内にある。本発明の目的に適うこととして、押出機と紡糸装置の間に、プラスチック溶融物のための少なくとも一つのクリーニング用篩及び/又は少なくとも一つの溶融物ポンプが配置される。本発明の一つの実施構成では、押出機の領域、クリーニング用篩の領域及び溶融物ポンプの領域の中の一つ以上に、入力パラメータを測定する少なくとも一つの測定装置又は少なくとも一つの測定センサーが置かれる。
【0029】
入力パラメータを測定する、詳しくは、有利には、入力パラメータとしてプラスチック溶融物の溶融物温度を測定する少なくとも一つの測定装置又は少なくとも一つの測定センサーを紡糸装置又は紡糸ノズルの領域に配置することを推奨する。本発明の全く特に実証された実施構成は、この有利に配備される冷却装置が、少なくとも一つの冷却室と、この冷却室に処理空気又は冷却空気を供給するための少なくとも一つの空気供給キャビンとを有することと、測定装置又は測定センサーが冷却室、空気供給キャビン、空気供給キャビンの少なくとも一つの送風機、モノマー吸引濾過部の少なくとも一つの吸引濾過間隙及びモノマー吸引濾過部の吸引濾過用送風機の中の一つ以上に配置されることとを特徴とする。有利には、測定センサーとしての少なくとも一つの温度センサーが冷却室及び/又は空気供給キャビンに配置され、この温度センサー又は測定センサーを用いて、入力パラメータとしての処理空気又は冷却空気の温度を測定することが可能である。本発明の目的に適うこととして、少なくとも一つの回転数測定センサーが空気供給キャビンの少なくとも一つの送風機に置かれる。この回転数測定センサーを用いて、入力パラメータとしての送風機回転数が測定される。基本的に、送風機の回転モーメントを測定する測定装置を送風機に置くこともできる。モノマー吸引濾過部の少なくとも一つの吸引濾過間隙に、この吸引濾過間隙を介して吸引される気体の体積流量を測定又は特定するための少なくとも一つの測定センサーを設置することを推奨する。このモノマー吸引濾過部に配置された少なくとも一つの測定センサーを用いて、モノマー吸引濾過部の開口幅を決定することもできる、詳しくは、有利な実施構成では、一つの吸引濾過間隙又は複数の吸引濾過間隙のための閉鎖部品の位置、特に、閉鎖フラップの位置を測定又は特定することができる。そして、それから、モノマー体積流量を計算することができる。更に、一つの推奨される実施構成は、少なくとも一つの測定センサーが延伸チャネルの出口間隙に配置され、有利には、この測定センサーを用いて、延伸チャネルの出口間隙幅を測定又は特定できることを特徴とする。更に、少なくとも一つの測定センサー、有利には、少なくとも二つの測定センサーをディフューザの領域に設置する、詳しくは、有利には、特に延伸機器の下に配備されたディフューザの二つのディフューザ壁の位置又は配置を測定又は特定するために設置することを推奨する。このディフューザ又はこれらのディフューザ壁が延伸機器から堆積機器に向かって拡がり、そのため、これらのディフューザ壁の間の開口角が実現されることは本発明の範囲内にある。即ち、この少なくとも一つの測定センサー又はディフューザの領域に有利に配備される二つの測定センサーを用いて、ディフューザ壁の位置が、従って、ディフューザの開口角も決定することができる。
【0030】
本発明によるフリース製造設備の特に有利な実施構成は、一つの集合体又は冷却装置と延伸機器から成る集合体が閉じた集合体として構成されることを特徴とする。ここで、「閉じた集合体」とは、特に、冷却装置への処理空気又は冷却空気の導入以外に、冷却装置と延伸機器から成る集合体に更に別の空気供給が行なわれないことを意味する。この有利な閉じた集合体は、本発明による方法又は本発明による設備の範囲内において、全く有利であることが実証されており、特に精密で再現可能な結果を生み出す。
【0031】
本発明は、本発明による方法及び本発明による設備が、フリース製造設備における故障状態又は異常を機能的に安全かつ精密に確認又は通報するための簡単で安価な手法を提供するとの知見に基づいている。これらの措置を実現するには、比較的簡単で余り複雑でない安価な設備コンポーネントだけが必要である。本発明による測定及び評価の実現により、より長い停止状態時間を引き起こす本設備における不利で重大な損傷を防止するために、特に、本設備の動作又は設備コンポーネントの動作を必要に応じて適時に設定することができる。本設備又は本方法の実施時における故障状態又は異常は、迅速、明確かつ精密に簡単な手法で通知又は信号により通報することができる。基準パラメータと出力パラメータの間のずれを明確かつ迅速に検知するために、必要に応じて設備コンポーネントの目的通りの制御及び/又は調整を行なって、これらのずれ又は異常に対処して、標準状態を再び作り出すことができる。本発明による措置は、全体として、小さい負担と低いコストを特徴とする。
【0032】
以下において、一つの実施例だけを図示した図面に基づき本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】スパンボンドフリースを製造する設備の垂直断面による模式図
図2図1の部分拡大図
図3】本発明による方法を実施するための方法の構成図
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1と2は、本発明によるスパンボンドフリース1を製造する設備を図示している。この設備を用いて、連続フィラメント2がスパンボンド方法により紡糸されて、紡糸フリース又はスパンボンドフリース1の形で堆積される。本発明の目的に適うこととして、これらの連続フィラメント2は、熱可塑性プラスチックから製造され、この場合、プラスチック又はプラスチック溶融物が有利であり、この実施例では、ディフューザ3から紡糸ノズルの形の紡糸装置7に供給される。そのために、プラスチックは、有利には、プラスチック粒子の形でホッパー4を介してディフューザ3に導入される。プラスチック溶融物は、ディフューザ3からクリーニング用篩5の形のフィルターを介して供給され、溶融物ポンプ6を用いて紡糸装置に引き渡される。この紡糸装置7を用いて、連続フィラメント2が紡糸され、それに続いて、この実施例では、有利には、冷却のために冷却装置8を通して案内される。この冷却装置8は、本発明の目的に適うこととして、冷却室9と、その冷却室9の側面に配置された空気供給キャビン10とを有する。この空気供給キャビン10は、この実施例では、有利には、上方のキャビン部分10aと下方のキャビン部分10bに分割されている。これら二つのキャビン部分10a,10bから、有利には、異なる温度の処理空気又は冷却空気を供給することが可能である。本発明の目的に適うこととして、空気供給キャビン10の各キャビン部分10a,10bには、処理空気を供給するための送風機11a,11bが割り当てられている。これら二つの送風機11a,11bは、有利には、互いに独立して動作可能であり、それぞれ送風機回転数n又はnと、それぞれ送風機回転モーメントI又はIとを有する。この実施例では、空気供給キャビン10の上方のキャビン部分10aからは、処理空気温度Tの処理空気が供給され、空気供給キャビン10の下方のキャビン部分10bからは、処理空気温度Tの処理空気が供給され、有利には、これら二つの温度T及びTは異なる。本発明の有利な実施構成では、出力パラメータとしてのキャビン圧力を特定するために、送風機回転数n及びnと処理空気温度T及びTが入力パラメータとして測定される。そのことは、以下において更に詳しく説明する。
【0035】
特に有利な実施構成では、モノマー吸引濾過装置12が紡糸装置7と冷却装置8の間に配備される。この吸引濾過装置12では、紡糸プロセス時に発生する邪魔になる気体が本設備又はフィラメント製作空間から排出されるか、或いは吸い出される。この実施例では、有利には、モノマー吸引濾過装置12は、二つの対向する吸引濾過間隙14を有する少なくとも一つの吸引濾過室13を備えている。更に、このモノマー吸引濾過装置12又は吸引濾過室13は吸引濾過用送風機15を備えている。出力パラメータとしてのキャビン圧力を特定する場合、有利には、この吸引濾過間隙14の開口幅が用いられる。本発明の目的に適うこととして、このモノマー吸引濾過部又は吸引濾過間隙14の開口幅は、少なくとも一つの閉鎖部品を用いて、特に、図面には図示されていない閉鎖フラップを用いて設定される。この閉鎖部品又は閉鎖フラップの位置を入力パラメータとして測定することができる。本発明の一つの変化形態では、それから、モノマー吸引濾過装置で吸引される気体の吸引モノマー体積流量
【数2】
が決定されて、場合によっては、入力パラメータとして使用される。基本的に、モノマー吸引濾過部の吸引濾過用送風機15の送風機回転数nも、出力パラメータの決定時に、特に、出力パラメータとしてのキャビン圧力の決定時に入力パラメータとして取り入れることができる。しかし、有利には、一つ又は複数の吸引濾過間隙14の図示されていない閉鎖フラップの位置が、出力パラメータとしてのキャビン圧力を決定するために入力パラメータとして用いられる。
【0036】
本発明の目的に適うこととして、連続フィラメント2が冷却室9から延伸機器16に導入され、この延伸機器16は、有利には、中間チャネル17とそれに繋がる延伸チャネル18とを有する。この中間チャネル17は、この実施例では、有利には、フィラメントフロー方向に向かって収束するように構成されている。この実施例では、非常に推奨される実施構成に基づき、冷却装置8と延伸機器16から成る集合体が閉じた集合体として構成され、冷却室9への処理空気又は冷却空気の供給以外に、この閉じた集合体内には、外部からの別の空気供給は行なわれない。この延伸チャネル18は、その下方終端に出口間隙19を有し、その間隙を介して、連続フィラメント2と処理空気が延伸機器16から出て行く。有利な実施構成に基づき、出力パラメータとしてのキャビン圧力を決定する場合に、有利には、この延伸チャネル18の出口間隙幅a(機械方向MD又は紡糸フリースウェブの運搬方向における出口間隙19の幅の値)は、入力パラメータとして測定されるか、或いはそのベースとされる。このことも、以下において更に詳しく説明する。
【0037】
本発明の目的に適うこととして、延伸チャネル18から出た連続フィラメント2は、次に、少なくとも一つのディフューザ20を通して案内される。基本的に、二つのディフューザ20をフィラメントフロー方向に互いに前後して、或いは互いに重なり合って配置することができる。この実施例で配備されたディフューザ20は、下方に向かって拡がるように配置されたディフューザ壁21,22を有する。本発明の推奨される実施構成では、これらのディフューザ壁21,22の位置d及びdが検出又は測定されて、特に、有利な実施構成に基づき、キャビン圧力が決定すべき出力パラメータである場合に、その出力パラメータの計算に入力パラメータとして取り入れられる。
【0038】
ディフューザ20から出た連続フィラメント2は、次に、有利には、フリースウェブの形で、堆積スクリーンベルト23として構成された堆積機器上に堆積される。この場合、推奨されることとして、堆積スクリーンベルト23の下に配置された少なくとも一つの吸引用送風機24を用いて、処理空気が、連続フィラメント2の堆積領域において堆積スクリーンベルト23を介して吸引される。この堆積機器又は堆積スクリーンベルト23上に堆積されたフリースウェブは、有利には、硬化される。この実施例では、本発明の目的に適うこととして、この硬化は、互いに協力して動作する二つのカレンダーローラー26,27を備えたカレンダー25を用いて行なわれる。本発明の目的に適うこととして、これらのカレンダーローラー26,27の中の少なくとも一つのカレンダーローラー26が加熱される。このカレンダー25での硬化は、フリースウェブの事前硬化として実行され、この事前硬化に続いて、例えば、ウォータージェット式硬化又はそれと同等のこととして、最終硬化を行なうことができる。それに続いて、このフリースウェブ又はこのようにして製造されたスパンボンドフリース1は、本発明の目的に適うこととして、図面に図示されてない巻上機を用いてフリースロールの形で巻き上げられる。
【0039】
図3は、本発明による出力パラメータを決定する方法の構成を模式的に図解している。ここでは、同じ設備コンポーネントは、図1及び2と同じ符号を付与されている。この実施例では、空気供給キャビン10のキャビン圧力を出力パラメータとして決定する。本発明の有利な実施構成では、先ずは、本発明による設備の基準動作中又は故障の無い標準動作中のキャビン圧力pが測定される。そのために、基準測定装置として、空気供給キャビン10の上方のキャビン部分10aに圧力センサーを配備してもよい。この圧力センサーを用いて故障の無い標準動作中に測定されたキャビン圧力pがその次の評価において基準パラメータとしてベースとされる。それに続いて、全部で九つの入力パラメータを用いて、キャビン圧力pが出力パラメータとして特定され、この出力パラメータとして特定されたキャビン圧力pが、キャビン圧力pの基準値と比較される。
【0040】
第一の入力パラメータとして、プラスチック溶融物の溶融物温度Tが紡糸装置7で測定される。ここでは、代替措置として、紡糸装置7のノズル温度を測定することもできる。そのために、本発明の目的に適うこととして、紡糸装置7の領域又は紡糸ノズルの所に、測定装置又は測定センサーとしての温度センサーが置かれる。以下で述べる測定のために、同様に入力パラメータを測定するための相応の測定装置又は測定センサーを相応の位置に配置できることが分かる。更に、モノマー体積流量
【数3】
が出力パラメータの特定に取り入れられる。そのために、モノマー体積流量
【数4】
を吸引するモノマー吸引濾過装置12において、一つの吸引濾過間隙14における一つの閉鎖フラップの位置又は複数の吸引濾過間隙14における複数の閉鎖フラップの位置が測定又は検出される。この(これらの)閉鎖フラップの位置を出力パラメータの特定に直に取り入れるか、或いはこの(これらの)閉鎖フラップの位置から、モノマー体積流量
【数5】
を計算して、それを出力パラメータの決定に取り入れることができる。それにより、二つの入力パラメータ(溶融物温度Tと閉鎖フラップの位置又はモノマー体積流量
【数6】
)が漸く使用可能である
【0041】
別の入力パラメータは、空気供給キャビン10の領域における測定から得られる。この実施例では、本発明の目的に適うこととして、処理空気温度Tの処理空気が上方のキャビン部分10aに供給され、処理空気温度Tの処理空気が下方のキャビン部分10bに供給される。二つの処理空気温度T及びTは、有利には、温度センサーとして構成された測定装置を用いて入力パラメータとして測定される。更に、二つのキャビン部分10a及び10bにおける二つの処理空気フローは、二つの送風機11a及び11bを用いて供給される。これら二つの送風機回転数na又はnbは、同様に、有利には、好適な測定センサーを用いて、入力パラメータとして測定されて、出力パラメータの決定に取り入れられる。即ち、空気供給キャビン10の領域での測定によって、出力パラメータを決定するための更に別の四つの入力パラメータが使用可能である
【0042】
延伸チャネル18の下方端部における出口間隙19の出口間隙幅aは、測定されるか、或いは固定的な設備パラメータとして与えられる別の入力パラメータを形成する。更に、ディフューザ20の二つの拡がるディフューザ壁21及び22の位置d及びdが、出力パラメータ(キャビン圧力)を特定するために用いられる入力パラメータを形成する。これら二つの入力パラメータd及びdは、同様に測定又は検出されるか、或いは固定的な設備パラメータとして与えられる。
【0043】
本発明の推奨される実施構成では、全ての九つの入力パラメータT
【数7】
,T,T,n,n,a,d及びdは、コンピュータとして構成された評価機器28に供給される。そこでは、これら九つの入力パラメータから、キャビン圧力pが出力パラメータとして特定又は計算されて、本発明の目的に適うこととして、この出力パラメータの値が、基準パラメータとして測定されたキャビン圧力の値と比較される。前述した入力パラメータの測定又は決定、それらの入力パラメータからの出力パラメータの特定及び基準パラメータの値との出力パラメータの値の比較を本設備の動作中に連続して実行することを推奨する。このようにして、評価機器28を用いて、出力パラメータと基準パラメータの圧力値の間のずれを検知することができ、有利には、その場合に発生する特筆すべき異常が信号により通報される。この信号による通報が視覚信号通報機器29及び/又は聴覚信号通報機器30を用いて行なわれることは本発明の範囲内にある。それに代わって、或いはそれに追加して、異常の信号による通報は、HMI(ヒューマン・マシン・インタフェース)31及び/又は(電子メール、SMS及びそれらと同等のものによる)クラウド接続32を介して伝えることができる。
【0044】
推奨される実施構成では、この評価の際に以下の通り進行する。先ずは、入力パラメータの如何なる一つの値セット、即ち、有利な実施例では、九つの入力パラメータの九つの値のセット、或いは入力パラメータの複数の値セットが故障の無い標準動作で測定される基準パラメータの値に適合するのが特定される。そして、本設備の連続動作中に、それぞれ測定又は特定された入力パラメータの実際の値セットが基準パラメータの基準値に対応する入力パラメータの値セットと比較される。一致又はほぼ一致することが確認された場合、本発明の目的に適うこととして、アラーム通報は行なわれない。それに対して、ずれ又は異常が確認された場合、そのことが信号により通報されるか、或いは相応のアラーム通報が信号により通報又は送信される。
【0045】
ずれ/異常の確認又は信号による通報は、本設備の運用者が、必要に応じて、例えば、中間チャネルをその中に付着したフィラメントから解放し、それに続いて生産を新たに始動するために、適時に本設備を停止することを可能にする。それによって、本設備の損傷又はより長い望ましくない停止時間が生じることが防止される。基本的に、異常の検知又は信号による通報後に、その異常又はずれを排除するために、制御及び/又は調整により個々の設備コンポーネントに作用することもできる。
図1
図2
図3