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特許7071387光起電屋根タイルをパッケージするためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】光起電屋根タイルをパッケージするためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/042 20140101AFI20220511BHJP
   H01L 31/05 20140101ALI20220511BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20220511BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20220511BHJP
【FI】
H01L31/04 500
H01L31/04 570
E04D13/18 ETD
H02S20/23 Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019547652
(86)(22)【出願日】2018-03-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 US2018020508
(87)【国際公開番号】W WO2019168536
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2019-11-04
(31)【優先権主張番号】15/909,181
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ボビー
(72)【発明者】
【氏名】グレン,ピーター ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ザジャク,ピオトル
(72)【発明者】
【氏名】トリップ,スコット
(72)【発明者】
【氏名】ウィンガー,セス エム.
(72)【発明者】
【氏名】クラウバー,カラブ エー.
(72)【発明者】
【氏名】アチュリー,ブライアン イー.
(72)【発明者】
【氏名】アルミ―,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ミーゼル,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー,アレックス
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206595269(CN,U)
【文献】特開2014-022702(JP,A)
【文献】中国実用新案第206401337(CN,U)
【文献】特開2001-015788(JP,A)
【文献】特開平10-046769(JP,A)
【文献】特表2017-517145(JP,A)
【文献】特開2005-133666(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0000174(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078、31/18-31/20、51/42-51/48
H02S 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光起電屋根タイルであって、前記光起電屋根タイルのそれぞれは、
ガラス製の前側カバーと、
光起電バックシートのガラスを含むバックカバーと、
封止材料によって前記ガラス製の前側カバーと前記バックカバーとの間に封止された複数の光起電構造物と
を備える、複数の光起電屋根タイルと、
前記複数の光起電屋根タイルの第1の光起電屋根タイルと前記複数の光起電屋根タイルの第2の光起電屋根タイルとの間に位置するタイルスペーサであって、前記第2の光起電屋根タイルは前記第1の光起電屋根タイルに隣接し、前記タイルスペーサは、前記第1および第2の光起電屋根タイルの両方に直接結合され、前記第1の光起電屋根タイルと前記第2の光起電屋根タイルとの間のギャップにまたがり、前記第1および第2の光起電屋根タイルの間からの水漏れを防前記タイルスペーサは、前記タイルスペーサの長手軸に沿って延び、かつ、前記第1の光起電屋根タイルと前記第2の光起電屋根タイルとの間のギャップの視覚的効果を生み出す溝を含む、タイルスペーサと、
を備え、
前記光起電屋根タイルは、建物の屋根に配置されたときに屋根タイルとして機能して建物を気象要素から保護するように構成されている、光起電屋根モジュール。
【請求項2】
前記光起電構造物のそれぞれは、第1の表面のエッジの付近に配置された第1のエッジバスバーと、第2の表面の反対側のエッジの付近に配置された第2のエッジバスバーとを備え、前記複数の光起電構造物は、第1の光起電構造物の前記第1のエッジバスバーが隣接する光起電構造物の前記第2のエッジバスバーに重なることによって縦続接続されたストリングが形成されるような方法で配置されている、請求項1に記載の光起電屋根モジュール。
【請求項3】
前記第1の光起電屋根タイル内の前記縦続接続されたストリングおよび前記第2の光起電屋根タイル内の前記縦続接続されたストリングが、互いに並列に電気的に接続されている、請求項2に記載の光起電屋根モジュール。
【請求項4】
前記第1および第2の光起電屋根タイル内の前記縦続接続されたストリングの対応するエッジバスバーに接続されるように構成された金属タブをさらに備え、前記金属タブは、細長い部材と、横方向に延びた複数のワイヤとを備えるひずみ緩和コネクタを介して、対応するエッジバスバーに接続される、請求項3に記載の光起電屋根モジュール。
【請求項5】
前記ひずみ緩和コネクタは、導電性接着剤を介して前記対応するエッジバスバーに接続される、請求項4に記載の光起電屋根モジュール。
【請求項6】
前記タイルスペーサは、前記第1の光起電屋根タイルと前記第2の光起電屋根タイルとを半剛性の様相に機械的に結合させる、請求項1に記載の光起電屋根モジュール。
【請求項7】
前記タイルスペーサは、リッジと、反対の方向に前記リッジから延びる2つのウイングとを備え、前記タイルスペーサのそれぞれのウイングは、対応する光起電屋根タイルの前記ガラス製の前側カバーと前記バックカバーとの間に位置する前記封止材料に埋め込まれる、請求項6に記載の光起電屋根モジュール。
【請求項8】
前記リッジは、前記隣接する光起電屋根タイルを電気的に接続する金属タブを通すことができるように構成された下面のチャネルを備える、請求項7に記載の光起電屋根モジュール。
【請求項9】
特定の光起電屋根タイルの前記バックカバー上に配置された接続箱をさらに備え、前記接続箱は、物理的な筐体と、前記物理的な筐体の表面から実質的に垂直に延びた取り付け
パッドとを備え、前記取り付けパッドは、前記バックカバーの貫通穴を介して、前記特定の光起電屋根タイル内に封止された光起電構造物に電気的にアクセスするように構成されている、請求項1に記載の光起電屋根モジュール。
【請求項10】
前記取り付けパッドは、
前記接続箱の外に延びる延長ポストと、
前記延長ポストの第1端に接続され、前記特定の光起電屋根タイル内に封止された前記光起電構造物の電極に電気的および機械的に接続されるように構成された接触パッドと、
前記延長ポストの他端に接続され、前記物理的な筐体の外に一部分が延びるリード線に電気的および機械的に接続されるように構成されたワイヤカプラと
を備える、請求項9に記載の光起電屋根モジュール。
【請求項11】
光起電屋根モジュールを製造するための方法であって、
光起電構造物の複数の縦続接続ストリングを得るステップと、
前記光起電構造物の縦続接続ストリングを、複数の光起電屋根タイルの前側カバーとバックカバーとの間に封止するステップであって、前記縦続接続ストリングのそれぞれが、前記光起電屋根タイルのそれぞれの前側カバーとバックカバーとの間に封止され、前記光起電屋根タイルは、建物の屋根に配置されたときに屋根タイルとして機能して建物を気象要素から保護するように構成されている、ステップと、
タイルスペーサが、前記複数の光起電屋根タイルの第1の光起電屋根タイルと前記複数の光起電屋根タイルの第2の光起電屋根タイルとの間のギャップにまたがり前記第1および第2の光起電屋根タイルの間からの水漏れを防ぐように、前記タイルスペーサを、前記第1の光起電屋根タイルと前記第2の光起電屋根タイルに直接結合するステップであって、前記タイルスペーサは、前記第1の光起電屋根タイルと前記第2の光起電屋根タイルとの間のギャップの視覚的外観を生み出す溝を含む、ステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記光起電構造物のそれぞれは、第1の表面のエッジの付近に配置された第1のエッジバスバーと、第2の表面の反対側のエッジの付近に配置された第2のエッジバスバーとを備え、前記光起電構造物の縦続接続ストリングを得るステップは、複数の光起電構造物を、第1の光起電構造物の前記第1のエッジバスバーが隣接する光起電構造物の前記第2のエッジバスバーに重なるような方法で配置するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第1の縦続接続ストリングを第2の縦続接続ストリングに並列に電気的に接続するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1および第2の縦続接続ストリングを電気的に接続するステップは、前記第1および第2の縦続接続ストリングの対応するエッジバスバーに金属タブを接続するステップを含み、前記金属タブは、細長い部材と、横方向に延びた複数のワイヤとを備えるひずみ緩和コネクタを介して、対応するエッジバスバーに接続される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ひずみ緩和コネクタを前記対応するエッジバスバーに接続するために導電性接着剤を塗布するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記タイルスペーサは、リッジと、反対の方向に前記リッジから延びる2つのウイングとを備え、前記タイルスペーサのそれぞれのウイングは、対応する光起電屋根タイルの前記前側カバーと前記バックカバーとの間に位置する封止材料に埋め込まれる、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記リッジは、前記隣接する光起電屋根タイルを電気的に接続する金属タブを通すことができるように構成された下面のチャネルを備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
特定の光起電屋根タイルの前記バックカバー上に接続箱を取り付けるステップをさらに含み、前記接続箱は、物理的な筐体と、前記物理的な筐体の表面から実質的に垂直に延びた取り付けパッドとを備え、前記取り付けパッドは、前記バックカバーの貫通穴を介して、前記特定の光起電屋根タイル内に封止された光起電構造物に電気的にアクセスするように構成されている、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記取り付けパッドは、
前記接続箱の外に延びる延長ポストと、
前記延長ポストの第1端に接続され、前記特定の光起電屋根タイル内に封止された前記光起電構造物の電極に電気的および機械的に接続されるように構成された接触パッドと、
前記延長ポストの他端に接続され、前記物理的な筐体の外に一部分が延びるリード線に電気的および機械的に接続されるように構成されたワイヤカプラと
を備える、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、広くには、光起電構造物の製造に関する。より具体的には、本開示は、光起電屋根タイルの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]住宅および商業用の太陽エネルギー設備においては、典型的に、建物の屋根に、太陽電池の二次元アレイ(例えば、6×12)を含むことができる光起電(PV)モジュール(PVまたはソーラーパネルとも呼ばれる)が設置される。PV屋根タイル(または、ソーラー屋根タイル)は、家屋のための耐候性および喜ばしい外観を提供すると同時に、太陽エネルギーを電気に変換するPVモジュールとしても機能する特定の種類のPVモジュールであってもよい。PV屋根タイルは、従来からの屋根タイルと同様の形状であってもよく、前側カバーとバックカバーとの間に封止された1つ以上の太陽電池を含むことができるが、典型的には、収められる太陽電池の数が、従来からのソーラーパネルよりも少ない。前側カバーおよびバックカバーは、強化ガラスまたは天候要素からPVセルを保護することができる他の材料であってもよい。典型的な屋根タイルの寸法が、15in×8in=120in=774cmであってもよく、典型的な太陽電池の寸法が、6in×6in=36in=232cmであってもよいことに、注意すべきである。従来からのPVパネルと同様に、PV屋根タイルは、有機ポリマーなどの封止層を含むことができる。ラミネーション処理により、前側およびバックカバーの間に太陽電池を封じることができる。
【0003】
[0003]高効率の太陽電池を、さまざまであり、ときには過酷である気象条件に耐えることができる屋根板またはタイルへとパッケージングすることは、簡単ではない。設置を容易にするために、複数の屋根板またはタイルを、モジュールとして一緒に製造することができる。モジュール内の個々のソーラー屋根板またはタイルの間の電気的な相互接続を、気象要素から保護する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
[0004]一実施形態は、光起電屋根モジュールを提供することができる。光起電屋根モジュールは、複数の光起電屋根タイルを含むことができる。それぞれの光起電屋根タイルは、ガラス製の前側カバーと、光起電バックシートのガラスを含むバックカバーと、封止材料によってガラス製の前側カバーとバックカバーとの間に封止された複数の光起電構造物とを含むことができる。光起電屋根タイルを、建物の屋根に配置されたときに屋根タイルとして機能して建物を気象要素から保護するように構成することができる。
【0005】
[0005]この実施形態の変形において、それぞれの光起電構造物は、第1の表面のエッジの付近に配置された第1のエッジバスバーと、第2の表面の反対側のエッジの付近に配置された第2のエッジバスバーとを含むことができる。複数の光起電構造物を、第1の光起電構造物の第1のエッジバスバーが隣接する光起電構造物の第2のエッジバスバーに重なることによって縦続接続されたストリングが形成されるような方法で配置することができる。
【0006】
[0006]さらなる変形においては、第1の光起電屋根タイル内の縦続接続されたストリングおよび第2の光起電屋根タイル内の縦続接続されたストリングを、互いに並列に電気的に接続することができる。
【0007】
[0007]さらなる変形において、光起電屋根モジュールは、第1および第2の光起電屋根タイル内の縦続接続されたストリングの対応するエッジバスバーに接続されるように構成された金属タブをさらに含むことができる。金属タブを、細長い部材と、横方向に延びた複数のワイヤとを含むことができるひずみ緩和コネクタを介して、対応するエッジバスバーに接続することができる。
【0008】
[0008]さらなる変形においては、ひずみ緩和コネクタを、導電性接着剤を介して対応するエッジバスバーに接続することができる。
【0009】
[0009]この実施形態の変形において、光起電屋根モジュールは、いくつかのタイルスペーサをさらに含むことができる。それぞれのタイルスペーサを、第1の光起電屋根タイルと隣接する光起電屋根タイルとの間に配置して、第1の光起電屋根タイルと隣接する光起電屋根タイルとを半剛性の様相に機械的に結合させることができる。
【0010】
[0010]さらなる変形において、タイルスペーサは、リッジと、反対の方向にリッジから延びる2つのウイングとを含むことができる。タイルスペーサのそれぞれのウイングを、対応する光起電屋根タイルのガラス製の前側カバーとバックカバーとの間に位置する封止材料に埋め込むことができる。
【0011】
[0011]さらなる変形において、リッジは、上面をリッジの長手軸に沿って延びることで、隣接する光起電屋根タイル間のギャップの視覚的効果を生み出す溝を含むことができる。さらに、リッジは、隣接する光起電屋根タイルを電気的に接続する金属タブを通すことができるように構成された下面のチャネルを含むことができる。
【0012】
[0012]この実施形態の変形において、光起電屋根モジュールは、特定の光起電屋根タイルのバックカバー上に配置された接続箱をさらに含むことができる。接続箱は、物理的な筐体と、物理的な筐体の表面から実質的に垂直に延びた取り付けパッドとを含むことができる。取り付けパッドを、バックカバーの貫通穴を介して、特定の光起電屋根タイル内に封止された光起電構造物に電気的にアクセスするように構成することができる。
【0013】
[0013]さらなる変形において、取り付けパッドは、接続箱の外に延びる延長ポストと、延長ポストの第1端に接続された接触パッドと、延長ポストの他端に接続されたワイヤカプラとを含むことができる。接触パッドを、特定の光起電屋根タイル内に封止された光起電構造物の電極に電気的および機械的に接続されるように構成でき、ワイヤカプラを、物理的な筐体の外に一部分が延びるリード線に電気的および機械的に接続されるように構成することができる。
【0014】
[0014]一実施形態は、光起電屋根モジュールを製造するための方法を提供することができる。この方法は、光起電構造物の複数の縦続接続ストリングを得るステップと、光起電構造物の縦続接続ストリングを、複数の光起電屋根タイルの前側カバーとバックカバーとの間に封止するステップとを含むことができる。それぞれの縦続接続ストリングを、それぞれの光起電屋根タイルの前側カバーとバックカバーとの間に封止でき、光起電屋根タイルを、建物の屋根に配置されたときに屋根タイルとして機能して建物を気象要素から保護するように構成することができる。
【0015】
[0015]「太陽電池」または「セル」は、光を電気に変換することができる光起電構造物である。セルは、任意のサイズおよび任意の形状を有することができ、さまざまな材料から作られてもよい。例えば、太陽電池は、シリコンウェーハ上に製造された光起電構造物、または基板材料(例えば、ガラス、プラスチック、または光起電構造物を支持することができる任意の他の材料)上の1つ以上の薄膜、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。
【0016】
[0016]「太陽電池ストリップ」、「光起電ストリップ」、「小セル」、または「ストリップ」は、太陽電池などの光起電構造物の一部分または一セグメントである。光起電構造物を、いくつかのストリップに分割することができる。ストリップは、任意の形状および任意のサイズを有することができる。ストリップの幅および長さは、同じであっても、互いに違ってもよい。ストリップを、以前に分割されたストリップをさらに分割することによって形成することができる。
【0017】
[0017]「フィンガーライン」、「フィンガー電極」、および「フィンガー」は、担体を集めるための光起電構造物の細長い導電性(例えば、金属)の電極を指す。
【0018】
[0018]「バスバー」、「バスライン」、または「バス電極」とは、2つ以上のフィンガーラインによって集められた電流を集約するための光起電構造物の細長い導電性(例えば、金属)の電極を指す。バスバーは、通常はフィンガーラインよりも太く、光起電構造物の表面または内部の任意の場所に堆積させ、あるいはその他の方法で配置することができる。1つの光起電構造物が、1つ以上のバスバーを有することができる。
【0019】
[0019]「光起電構造物」とは、太陽電池、セグメント、または太陽電池ストリップを指すことができる。光起電構造物は、特定の方法によって製造された装置に限られない。例えば、光起電構造物は、結晶シリコン系の太陽電池、薄膜太陽電池、非晶質シリコン系の太陽電池、多結晶シリコン系の太陽電池、またはこれらのストリップであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】家屋のPV屋根タイルの典型的な構成を示している。
図2A】一実施形態による典型的な光起電屋根タイルの斜視図を示している。
図2B】一実施形態による典型的な光起電屋根タイルの上面図を示している。
図3】一実施形態による典型的な光起電屋根タイルの断面を示している。
図4A】一実施形態によるマルチタイルモジュールの典型的な構成を示している。
図4B】一実施形態による典型的なマルチタイルモジュールの断面を示している。
図5A】一実施形態による3つの隣接する縦続接続された光起電ストリップの間の直列接続を示している。
図5B】一実施形態による縦続接続されたストリップのストリングの側面図を示している。
図5C】一実施形態による典型的なソーラー屋根タイルの上面図を示している。
図6】一実施形態による典型的なマルチタイルモジュールの上面図を示している。
図7】一実施形態による典型的なマルチタイルモジュール内のタイル間の接続を示している。
図8A】一実施形態による典型的なひずみ緩和コネクタの詳細図を示している。
図8B】一実施形態によるひずみ緩和コネクタと光起電構造物の前面との間の接続を示している。
図8C】一実施形態によるひずみ緩和コネクタと光起電構造物の裏面との間の接続を示している。
図9】一実施形態に従って重なり合う構成にて設置された複数の光起電屋根タイルを示している。
図10A】一実施形態による典型的な補強スペーサの斜視図を示している。
図10B】一実施形態による典型的な補強スペーサの斜視図を示している。
図10C】一実施形態による典型的な補強スペーサの別の図を示している。
図10D】一実施形態による典型的な補強スペーサのもう1つの図を示している。
図11A】一実施形態による2つの隣接する光起電屋根タイルの間に配置された典型的な補強スペーサを示している。
図11B】一実施形態による2つの隣接する光起電屋根タイルの間に配置された補強スペーサの底面図を示している。
図11C】一実施形態による2つの隣接する光起電屋根タイルの間に配置された補強スペーサの正面図を示している。
図11D】一実施形態による2つの隣接する屋根タイルの間に配置された典型的なスペーサの断面図を示している。
図12A】一実施形態による典型的な補強スペーサの斜視図を示している。
図12B】一実施形態による代案の補強スペーサを示している。
図13A】本発明の一実施形態による典型的なマルチタイルモジュールの底面図を示している。
図13B】一実施形態による切断面B-B’に沿った断面図を示している。
図13C】一実施形態による貫通穴の上面図を示している。
図13D】一実施形態による典型的なガスケットを示している。
図14A】一実施形態による典型的な接続箱の側面図を示している。
図14B】一実施形態による典型的な取り付けパッドの詳細図を示している。
図14C】一実施形態による接続箱とタイルモジュールとの間の典型的な結合を示している。
図15】本発明の一実施形態による典型的なマルチタイルモジュールの底面図を示している。
図16】本発明の一実施形態による光起電屋根モジュールの典型的な製造プロセスを示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0054]図面において、同様の参照番号は、図の同じ要素を指している。
【0022】
[0055]以下の説明は、実施形態の作製および使用を当業者にとって可能にするために提示され、特定の用途およびその要件の文脈において提供される。開示される実施形態に対するさまざまな修正が、当業者には容易に明らかであり、本明細書に定められる一般原理は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、他の実施形態および用途に適用可能である。したがって、開示されるシステムは、示される実施形態に限定されず、本明細書に開示される原理および特徴に矛盾しない最も広い範囲が与えられるべきである。
【0023】
[0056]概要
開示されるシステムの実施形態は、太陽電池または光起電構造物を光起電屋根タイルおよびタイルモジュールにパッケージするという技術的課題を解決する。いくつかの実施形態において、光起電屋根タイルは、従来からの正方形または擬似正方形の太陽電池を複数のピースに分割することによって得ることができる複数の光起電ストリップを、前側カバーとバックカバーとの間に封止して含むことができる。各々の光起電屋根タイル内の光起電ストリップは、直列に接続されたストリングを形成することができる。複数の光起電屋根タイルを、電気的に並列に接合し、タイル間スペーサによって接合して、マルチタイルモジュールを形成することができる。タイル間スペーサは、マルチタイルモジュール内の隣接する屋根タイル間の電気的接続を促進および保護する。さらに、マルチタイルモジュールは、モジュール間の電気的相互接続を容易にする接続箱を含むことができる。
【0024】
[0057]ソーラー屋根タイルおよびタイルモジュール
PV屋根タイル(または、ソーラー屋根タイル)は、屋根タイルのような形状を有し、典型的には従来からのソーラーパネルよりも少数の太陽電池を収めているPVモジュールの一種である。このようなPV屋根タイルが、PVセルおよび屋根タイルの両方として同時に機能できることに注意されたい。図1が、家屋のPV屋根タイルの典型的な構成を示している。PV屋根タイル100を、家屋に従来からの屋根タイルまたは屋根板と同様に設置することができる。とくには、PV屋根タイルを、建物への水の侵入を防ぐなど、建物をさまざまな天候要素から保護するような方法で、他のタイルとともに建物の屋根の上面に配置することができる。
【0025】
[0058]PV屋根タイルは、複数の太陽電池またはPV構造物を収容することができ、それぞれのPV構造物は、バスバーおよびフィンガーラインなどの1つ以上の電極を含むことができる。PV屋根タイル内のPV構造物を、互いに電気的に接続でき、随意により互いに機械的に結合させることもできる。例えば、複数のPV構造物を、金属タブによって、それぞれのバスバーを介して互いに電気的に接続して、直列または並列接続を生み出すことができる。さらに、いくつかのPV屋根タイルが共同で電力をもたらすことができるように、2つの隣接するタイルの間に電気接続を形成することができる。
【0026】
[0059]図2Aが、一実施形態による典型的な光起電屋根タイルの斜視図を示している。太陽電池204および206を、上側ガラスカバー202とバックシート208との間に密封することができ、上側ガラスカバー202およびバックシート208が協働して太陽電池を種々の気象要素から保護することができる。図2Aに示される例では、金属タブストリップ212が、太陽電池204の前面電極(例えば、バスバー)と接触し、ガラス202の左エッジを過ぎて延びることで、PV屋根タイルの第1の極性の接触電極として機能することができる。さらに、タブストリップ212は、太陽電池206の裏面と接触し、太陽電池204と太陽電池206との間の直列接続を生成することができる。他方で、タブストリップ214が、太陽電池206の前面電極と接触し、ガラスカバー202の右エッジを過ぎて延び、PV屋根タイルの第2の極性の接触電極として機能することができる。
【0027】
[0060]図2Aに示される例では、各々の太陽電池は、4つのバスバーを有し、太陽電池を直列に接続するために4つの金属タブストリップが使用される。遮光を減らすために、バスバーおよびタブストリップの数を減らすことも可能である。さらに、バスバーの表面を実質的に覆うような長いタブストリップを使用する代わりに、隣接する太陽電池間の電気的接続のための短い金属タブを使用することも可能である。図2Bが、一実施形態による典型的な光起電屋根タイルの上面図を示している。図2Bにおいて、太陽電池224および226を、透明な上側ガラスカバー222とバックシート(図2Bには示されていない)との間に封じることができる。理想的には、上側ガラスカバー222およびバックシートは、太陽電池を天候要素から保護する気密シールを生成することができる。それぞれの太陽電池は、単一のバスバーおよびいくつかのフィンガーラインを有することができる。例えば、太陽電池224は、単一のバスバー228およびフィンガーライン230を有することができる。太陽電池224および226を、タブ232によって、それぞれのバスバーを介して電気的に接続し、直列の電気接続を生成することができる。より具体的には、タブ232は、太陽電池224の前面の単一バスバー(すなわち、バスバー228)を、太陽電池226の背面電極に接続することができる。さらに、タブ234および236を使用して、太陽電池224の背面電極および太陽電池226の前面電極(すなわち、単一のバスバー)への外部接続を提供することができる。太陽電池の裏面電極が、単一のバスバーまたは太陽電池の裏面全体を覆うAl層を含んでよいことに、注意すべきである。
【0028】
[0061]図3は、一実施形態による典型的な光起電屋根タイルの断面を示している。太陽電池または太陽電池のアレイ308を、強化ガラスまたは通常のPVバックシートであってもよい上側ガラスカバー302およびバックカバー312の間に封止することができる。ポリマーに基づくことができる上側封止材料層306を使用して、上側ガラスカバー302ならびに太陽電池または太陽電池のアレイ308を封止することができる。具体的には、封止材料層306は、ポリビニルブチラール(PVB)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、またはN,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-1,1’-ジフェニル-4,4’-ジアミン(TPD)を含むことができる。同様に、同様の材料に基づくことができる下側封止材料層310を使用して、太陽電池のアレイ308およびバックカバー312を封止することができる。さらに、PV屋根タイルは、光学フィルタまたはコーティング層、あるいは所望の色の外観をもたらすナノ粒子の層など、他の随意による層を含むこともできる。図3に示される例において、モジュールまたは屋根タイル300は、光学フィルタ層304をさらに含む。
【0029】
[0062]よりスケーラブルな生産およびより容易な設置を促進するために、複数の光起電屋根タイルを一緒に製造することができる一方で、タイルは剛性または半剛性の方法で連結される。図4Aが、一実施形態によるマルチタイルモジュールの典型的な構成を示している。この例では、3つのPV屋根タイル402、404、406を一緒に製造することができる。製造時に、太陽電池412および413(タイル402に対応)、414および415(タイル404に対応)、ならびに416および417(タイル406に対応)を、タブストリップでそれぞれの対応するバスバーを相互接続して配置し、直列接続を形成することができる。さらに、これらの6つの太陽電池を、共通のバックシート上に配置することができる。続いて、前側ガラスカバー420を、これらの6つのPVセルに封止することができる。
【0030】
[0063]ガラスカバー420として、単一のガラス片を使用することが可能である。一実施形態においては、3つの別個の屋根タイルの外観を実現できるように、ガラスカバー420に溝422および424を形成することができる。共通のバックシート上に配置された6つのセルを覆うために、3つの別々のガラス片を使用することも可能である。この場合、ギャップ422および424を封止材料でシールし、隣接するタイル間に半剛性の結合を確立させることができる。複数のタイルを剛性または半剛性のマルチタイルモジュールへと予め製造することにより、モジュール内のタイルがタブストリップによって接続されているため、屋根への設置の複雑さを大幅に軽減することができる。各々のマルチタイルモジュールに含まれるタイルの数は、図4Aに示した数より多くても、少なくてもよいことに注意すべきである。
【0031】
[0064]図4Bが、一実施形態による典型的なマルチタイルモジュールの断面を示している。この例において、マルチタイルモジュール450は、光起電屋根タイル454、456、および458を含むことができる。これらのタイルは、共通のバックシート452を共有でき、3つの個別のガラスカバー455、457、および459をそれぞれ有することができる。各々のタイルは、2つの太陽電池を封止することができる。例えば、タイル454は、バックシート452とガラスカバー455との間に封止された太陽電池460および462を含むことができる。タブストリップを使用して、各々のタイル内および隣接するタイル間の電気的接続をもたらすことができる。例えば、タブストリップ464は、太陽電池460の前面電極を太陽電池462の背面電極に接続し、これらの2つの電池の間に直列接続を生み出すことができる。同様に、タブストリップ466は、セル462の前面電極をセル464の背面電極に接続し、タイル454とタイル456との間に直列接続を生み出すことができる。
【0032】
[0065]2つの隣接するPVタイルの間のギャップを封止材料で埋め、2つの隣接するタイルを相互接続するタブストリップを気象要素から保護することができる。例えば、封止材料470が、タイル454および456の間のギャップを埋め、タブストリップ466を気象要素から保護する。さらに、3つのガラスカバー、バックシート452、および封止材料は、マルチタイルモジュール450のための半剛性の構造を協働して形成する。この半剛性の構造は、タイル間に或る程度の柔軟性を提供しつつ、より容易な設置を促進することができる。いくつかの実施形態において、各々のPV屋根タイルは、自身の前側カバーおよびバックシートを有することができ、隣接するPV屋根タイルを、半剛性の補強スペーサによって接合することができる。
【0033】
[0066]図4Aおよび図4Bに示される例に加えて、PVタイルは、さまざまな形態の光起電構造物を含むことができる。例えば、内部抵抗を低減するために、図4Aに示される各々の正方形太陽電池を、複数(例えば、3つ)のより小さなストリップに分割し、各々のストリップの2つの対向するエッジに、異なる極性のエッジバスバーを持たせることができる。エッジバスバーによれば、ストリップを1つずつ縦続接続して、直列に接続されたストリングを形成することができる。
【0034】
[0067]図5Aが、一実施形態による3つの隣接する縦続接続された光起電ストリップの間の直列接続を示している。図5Aにおいて、ストリップ502、504、および506が、ストリップ504が隣接する右側のストリップ506および左側のストリップ502に部分的に重なるように積み重ねられている。結果として生じるストリップのストリングは、屋根板と同様の縦続接続パターンを形成する。ストリップ502および504は、ストリップ502の上面のエッジバスバー508およびストリップ504の下面のエッジバスバー510を介して電気的に直列に接続される。ストリップ502および504を、下面のエッジバスバー510が上面のエッジバスバー508の上方に位置して上面のエッジバスバー508に直接接触するような方法で、配置することができる。ストリップ504および506の間の接続も、同様であってもよい。
【0035】
[0068]図5Bが、一実施形態による縦続接続されたストリップのストリングの側面図を示している。図5Aおよび図5Bに示される例において、ストリップは、6インチの正方形または擬似正方形の太陽電池のセグメントであってもよく、各々のストリップは、おおむね2インチ×6インチの寸法を有することができる。遮光を減らすために、隣接するストリップ間の重なり合いを、可能な限り小さく保たなければならない。したがって、図5Aおよび図5Bに示される例では、単一のバスバー(上面および下面の両方)をストリップのまさにエッジまたはその付近に配置することができる。同じ縦続接続パターンを複数のストリップに沿って延ばして、直列に接続されたストリングを形成することができ、いくつかのストリングを直列または並列に接続することができる。
【0036】
[0069]図5Cが、一実施形態による典型的なソーラー屋根タイルの上面図を示している。ソーラー屋根タイル512は、上側ガラスカバー514ならびに太陽電池516および518を含む。ソーラー屋根タイル512の底部カバー(例えば、バックシート)は、図5Cでは見て取ることができない。太陽電池516および518は、6インチの太陽電池など、従来からの正方形または擬似正方形太陽電池であってもよい。いくつかの実施形態においては、太陽電池516および518の各々を、同様のサイズの3つの別個のピースに分割することができる。例えば、太陽電池516は、ストリップ522、524、および526を含むことができる。これらのストリップを、図5Aおよび図5Bに示されているストリップと同様に、隣接するストリップがエッジにおいて部分的に重なるような方法で配置することができる。説明を簡単にするために、フィンガーラインおよびエッジバスバーを含むストリップの電極グリッドは、図5Cには示されていない。図5Cに示される例に加えて、ソーラー屋根タイルは、さまざまな形状およびサイズであってもよいより少数またはより多数の縦続接続されたストリップを含むことができる。
【0037】
[0070]複数のタイルを事前に組み立ててマルチタイルモジュールを形成する場合、マルチタイルモジュール内で、タイル間の電気的接続を確立させる必要がある。1つの単刀直入な解決策は、タイルを直列に接続することである。図6が、一実施形態による典型的なマルチタイルモジュールの上面図を示している。マルチタイルPVモジュール600は、並べて配置されたPV屋根タイル602、604、および606を含むことができる。各々のPV屋根タイルは、前側カバーとバックカバーとの間に封止された6つの縦続接続されたストリップを含むことができる。各々のPV屋根タイル内の縦続接続されたストリップは、直列に接続されたストリングを形成する。さらに、金属タブを使用して、ストリングの負極性を隣接するストリングの正極性に接続することにより、隣接するタイルに収容されたストリングを直列に接続することができる。例えば、金属タブ608が、ストリップ612の前面のエッジバスバーをストリップ610の裏面のエッジバスバーに接続して、ストリップ610および612の間、ならびにタイル602内のストリングとタイル604内のストリングとの間の直列接続を生成することができる。図6の例は、光起電ストリップを相互接続する3つの金属タブを示しているが、他の数の金属タブを使用することもできる。さらに、隣接するタイルの隣接するエッジバスバーに重なる単一の幅の広い金属タブなどの他の接続機構も、タイルを直列に接続するために使用することができる。
【0038】
[0071]いくつかの実施形態において、マルチタイルモジュール内のタイルは、互いに並列に接続される。図7が、一実施形態による典型的なマルチタイルモジュール内のタイル間の接続を示している。マルチタイルPVモジュール700は、並べて配置されたソーラー屋根タイル702、704、および706を含むことができる。ソーラー屋根タイル702、704、および706は、図5Cに示したソーラー屋根タイル512と同様であってもよい。各々のソーラー屋根タイルには、前面カバーとバックカバーとの間に封止された6つの縦続接続されたストリップを含むことができ、すなわちストリップの縦続接続によるストリングの両方のエッジに位置するバスバーが、反対の極性を有する。例えば、ソーラー屋根タイル702におけるストリップの左端のエッジバスバーが、正極性を有する場合、ストリップの右端のエッジバスバーは、負極性を有する。同じ極性を有するバスバーを電気的に接続することにより、タイル間の並列接続を確立させることができる。
【0039】
[0072]図7に示される例において、ソーラー屋根タイルは、太陽に面する側が同じ電気極性を有するような方法で配置される。結果として、同じ極性のエッジバスバーは、同じ左エッジまたは右エッジに位置する。例えば、すべてのソーラー屋根タイルの左端のエッジバスバーが、正極性を有することができ、すべてのソーラー屋根タイルの右端のエッジバスバーが、負極性を有することができ、あるいは逆もまた然りである。図7においては、すべてのストリップの左側のエッジバスバーが、正極性(「+」符号で示されている)を有し、ストリップの太陽に面する表面(または、前面)に位置する一方で、すべてのストリップの右側のエッジバスバーは、負極性(「-」符号で示されている)を有し、背面に位置している。太陽電池の層構造物の設計に応じて、エッジバスバーの極性および位置は、図7に示した極性および位置と違ってもよい。
【0040】
[0073]タイル間の並列接続を、すべての左端のバスバーを金属タブ710によって互いに電気的に接続し、すべての右端のバスバーを金属タブ712によって互いに電気的に接合することによって形成することができる。金属タブ710および712は、接続バスとしても知られ、典型的には、個々の太陽電池またはストリングを相互接続するために使用することができる。金属タブを、銅などの導電性材料から打ち抜き、切り出し、あるいはその他の方法で形成することができる。銅は導電性が高く、比較的低コストなコネクタ材料である。しかしながら、銀、金、またはアルミニウムなどの他の導電性材料を使用することも可能である。とくに、銀または金を、銅またはアルミニウムの酸化を防ぐコーティング材料として使用することができる。いくつかの実施形態においては、超弾性的特性を有するように熱処理された合金を、金属タブのすべてまたは一部に使用することができる。適切な合金として、例えば、銅-亜鉛-アルミニウム(CuZnAl)、銅-アルミニウム-ニッケル(CuAlNi)、または銅-アルミニウム-ベリリウム(CuAlBe)を挙げることができる。加えて、本明細書に開示される金属タブの材料を、機械的特性を変更するために全体的または部分的に操作することができる。例えば、金属タブ710および712のすべてまたは一部を、(例えば、強度を高めるために)鍛造し、(例えば、延性を高めるために)焼きなましし、かつ/または(例えば、表面硬度を高めるために)焼き戻しすることができる。
【0041】
[0074]金属タブとバスバーと間の接続を、特別に設計されたひずみ緩和コネクタによって促進することができる。図7においては、ひずみ緩和コネクタ716を使用して、バスバー714と金属タブ710とを接続することができる。このようなひずみ緩和コネクタは、金属(例えば、Cu)とシリコンとの間の熱膨張係数の不一致ゆえに必要である。より具体的には、ソーラー屋根タイルが加熱または冷却されると、金属はSi系の光起電ストリップよりも大きく膨張または収縮する傾向があり、したがって金属タブと光起電ストリップと間の接合部にせん断力が生じる。特別に設計されたひずみ緩和コネクタは、ソーラー屋根タイルにおける破壊的な熱膨張および熱収縮の影響の緩和を助けることができる。
【0042】
[0075]図7に示されるように、金属タブ(例えば、タブ710および712)は、反対の極性のひずみ緩和コネクタとの経路を横切ることがある。光起電ストリップの電気的短絡を防止するために、金属タブおよび/またはひずみ緩和コネクタの一部を、絶縁フィルムで覆うことができ、あるいは絶縁材料のシートで包むことができる。
【0043】
[0076]図8Aが、一実施形態による典型的なひずみ緩和コネクタの詳細図を示している。図8Aにおいて、ひずみ緩和コネクタ800は、細長い接続部材802と、いくつかの湾曲した金属ワイヤ(例えば、湾曲した金属ワイヤ804)と、いくつかの接続パッド(例えば、接続パッド806)とを含むことができる。細長い接続部材802を、接続相手となる光起電構造物のバスバーに実質的に平行な方向に沿って延ばすことができる。湾曲した金属ワイヤを、細長い接続部材802から非直線の様相(すなわち、非直線の形状を有する)で横方向に延ばすことができる。非直線の形状は、湾曲したワイヤの中心を辿る経路(例えば、最も外側のエッジの間に位置する一連の最も中心の点に沿って延びる経路)、あるいはワイヤの任意の面またはエッジに沿う経路を含むことができる。非直線の形状を有する湾曲したワイヤは、延在の経路に沿って対称性を有することができるが、これは必須ではない。例えば、湾曲したワイヤの一方のエッジまたはエッジの一部は、真っ直ぐであってもよく、反対側のエッジは、1つ以上の曲線、切り込み、または延長部を含むことができる。非直線の形状を有する湾曲したワイヤは、非直線部分の前、後、および/または間に直線部分を含むことができる。非直線の形状は、第1の軸(例えば、X軸)に沿って横方向に延びながら、第1の軸に垂直な1つ以上の他の軸(例えば、Y軸および/またはZ軸)の負および正の方向に、正弦波またはらせんなど、繰り返しの様相で方向を交互に変える伝播経路を含むことができる。本明細書で開示される湾曲したワイヤは、湾曲したプロファイルを使用するが、非直線の形状を、一連の直線から構築することも可能であり、例えば方形波またはのこぎり波などの伝播形状が、非直線の形状を形成することができる。これらの湾曲したワイヤは、金属コネクタとSi系の光起電構造物との間の熱膨張係数の不一致に起因して生じるひずみを、緩和することができる。
【0044】
[0077]いくつかの実施形態においては、各々の湾曲した金属ワイヤを、接続パッドに取り付けることができる。例えば、湾曲した金属ワイヤ804を、接続パッド806に取り付けることができる。別の実施形態においては、2つ以上(例えば、2つまたは3つ)の湾曲したワイヤを、接続パッドに取り付けることができる。細長い接続部材802、湾曲したワイヤ、および接続パッドを、単一の材料片から形成(例えば、打ち抜きまたは切り出し)することができ、あるいははんだ付け、溶接、または接合などの任意の適切な電気的接続によって互いに対して取り付けることができる。
【0045】
[0078]図8Bが、一実施形態によるひずみ緩和コネクタと光起電構造物の前面との間の接続を示している。より具体的には、ひずみ緩和コネクタ810は、その接続パッドをエッジバスバー812の前面と重ねることにより、光起電構造物814のエッジバスバー812に接続される。図8Bは、ひずみ緩和コネクタ810と金属タブ808との間の接続も示している。より具体的には、ひずみ緩和コネクタ810を金属タブ808に直接接触させることができ、金属対金属の接触が、電気的接続を生み出すことができる。いくつかの実施形態においては、導電性接着剤(ECA)を塗布して、ひずみ緩和コネクタ810と金属タブ808とを電気的および機械的に接続することができる。金属タブ808は、図7に示される金属タブ710または712と同様であってもよく、1つのソーラータイルを隣接するソーラータイルに接続するために使用可能である。
【0046】
[0079]図8Cが、一実施形態によるひずみ緩和コネクタと光起電構造物の裏面との間の接続を示している。より具体的には、ひずみ緩和コネクタ820は、その接続パッドをバスバー822に属する接点パッドと重ねることにより、光起電構造物824のバスバー822に接続される。ECAを塗布して電気的および機械的結合を生成することも可能である。前面とは異なり、裏面においては遮光を心配する必要がないため、光起電構造物の裏面は追加のバスバーを含むことができる。より良好な接着および電気的アクセスを促進するために、PV構造物の裏面の追加のバスバーは、接触パッドとして知られる広げられた領域も含むことができる。そのような接触パッドの詳細な説明は、2015年8月20日に出願された「Photovoltaic Electrode Design with Contact Pads for Cascaded Application」という名称の米国特許出願第14/831,767号(代理人整理番号P142-1NUS)に見つけることができ、この米国特許出願の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0047】
[0080]タイル間スペーサ
図4Aおよび図4Bに示される例では、隣接するタイル間のギャップを封止材料で埋めて、隣接するタイル間に半剛性の接合部を形成することができる。しかしながら、マルチタイルモジュールの半剛性の構造には、いくつかの問題が依然として存在する。とくには、封止材料で満たされたタイル間のギャップが、構造的な弱点となり、信頼できる長期使用のための充分な柔軟性および強度をもたらさない可能性がある。さらに、封止材料をギャップに正確に配置することが困難であるかもしれない。例えば、封止材料が、ラミネーション処理の際にギャップからあふれ、清掃が困難であるかもしれない。審美的には、封止材料で満たされたギャップは不格好であり、標準的な屋根タイルとは著しく異なって見える可能性がある。最後に、雨および太陽放射などの気象要素が、とくには露出した電気接続部が存在する場合に、PV構成要素を損傷させる可能性がある。
【0048】
[0081]いくつかの実施形態は、マルチタイルモジュールの柔軟性および機械的安定性を向上させるために補強スペーサを提供することによって、これらの問題を解決することができる。さらに、補強スペーサは、タイル間の電気バスを保護し、ラミネーション時の封止材料の流れを案内/制御することができる。図9が、一実施形態に従って重なり合う構成にて設置された複数の光起電屋根タイルを示している。図9において、PV屋根タイル904および906が、補強スペーサ908によって並べて接続されている。PV屋根タイル904および906は、タイル904および906の間のギャップ、したがって補強スペーサ908が、PV屋根タイル902の中心に或る程度整列するように、オフセットされた様相でPV屋根タイル902に重なる。この配置により、タイル904および906の間のギャップを通る水漏れの可能性を、防止することができる。
【0049】
[0082]図10Aが、一実施形態による典型的な補強スペーサの斜視図を示している。図9に示されるように、スペーサを、マルチタイルモジュールの2つの隣接するPV屋根タイルの間に収まるように設計することができる。図10Aにおいて、スペーサ1000は、隣接するPV屋根タイルの間に挿入することができる本体(ベースまたはベースリッジと呼ぶことができる)1002を含む。所定の位置にあるとき、ベース1002を、その長手軸がタイルの隣接するエッジに平行な向きとなるような方法で配置することができる。ベース1002の厚さを、所定の位置にあるときにベース1002の上面または太陽に面する表面がPVタイルの上側ガラスカバーの表面に整列して、ベース1002とPVタイルとの間に継ぎ目のない境界を生み出すことができるような方法で、設計することができる。ベース1002は、その上面に溝1004を含むことができる。このような溝は、隣接するPV屋根タイルの間に存在するギャップの視覚的外観を提供するために不可欠である。すでに述べたように、PV屋根タイルは、伝統的な屋根タイルの外観によく似るように設計される。図10Aに示される例において、溝1004の断面は、角張った角を有するU字形を形成することができる。あるいは、溝の断面は、丸みを帯びた角を有するU字形であってもよい。溝1004は、V字形の断面または台形の断面など、他の種類の断面を有してもよい。溝1004の深さは、ギャップの視覚的効果を生み出すことができるように充分に大きい限りにおいて、さまざまであってもよい。
【0050】
[0083]いくつかの実施形態においては、溝の代わりに、「ギャップ」の視覚効果を、ベース1002の上面に生成されたマーク(例えば、塗装されたマークまたは色のバリエーション)によって生み出すことができる。そのようなマークは、一般に、封止材料で満たされたタイル間ギャップと比較して、より綺麗またはより魅力的な審美的外観を提供することができる。
【0051】
[0084]スペーサ1000は、ベース1002の両側に取り付けられた2つのウイング1006および1008を有することができる。各々のウイングの位置および厚さは、所定の位置にあるときにウイングを隣接する屋根タイルに挿入できるような方法で設計される。より具体的には、各々のウイングを、対応する屋根タイルの上側ガラスカバーとバックシートとの間に挿入することができる。したがって、ラミネーション後に、各々のPVタイルをウイングに機械的に拘束して、2つの隣接するPVタイル間の剛性または半剛性の結合を生み出すことができる。より具体的には、剛性スペーサが堅固な結合を提供できる一方で、やや柔軟なスペーサは、或る程度柔軟な結合または半剛性の結合を提供することができる。実際には、風の強い日などの特定の条件に対応するために、タイル間の結合が或る程度柔軟であることが望ましい可能性がある。
【0052】
[0085]図10Aに示される例において、ウイングは、長方形であってもよく、溝1004の壁から垂直に延びることができる。他の形状も可能である。例えば、ウイングは、先細りの厚さを有してもよい。ウイングの長さは、さまざまであってもよい。より長いウイングは、より強力な結合およびより高い柔軟性をもたらすことができる。とくに、ウイングが長いほど、ガラスおよびバックシートへの接着が向上し、スペーサを屋根タイルから分離することなくより大きな角度に曲げることが可能になる。しかしながら、ウイングが長くなると、過度に多くのタイル空間を占めることになりかねず、ラミネーション後の冷却時に収縮がより大きくなり、「気泡」または空所がラミネーションによって満たされずに残る可能性がある。いくつかの実施形態においては、ウイングの長さを、最大5°または10°の角度での曲げに充分な柔軟性を提供するように選択することができる。例えば、ウイングの長さは、少なくとも3mm(例えば、3~5mmの間)であってもよい。いくつかの実施形態において、ウイングの長さは、10mm~20mmの間であってもよい。20mmのウイングを備えたスペーサは、隣接するPV屋根タイルを互いに90°ずらすことを可能にすることができる。ウイングの厚さも、スペーサ1000の充分な構造強度を達成しつつ、ウイングとPVタイルの前側カバーおよびバックカバーとの間に充分な量の封止材料を流すことを可能にできる限りにおいて、さまざまであってもよい。
【0053】
[0086]同様に、材料の選択が、スペーサ1000の強度、性能、および長期信頼性にとって重要である。PV屋根タイルは、太陽および他の気象要素(例えば、雨および雪)にさらされるため、スペーサ1000は、紫外線(UV)に耐えるとともに防水の材料で作られる必要がある。さらに、スペーサ1000は、タイル間の電気接続部に接触する可能性があるため、電気絶縁性の材料で作られるべきである。また、材料は、理想的には、ラミネーションに起因する加熱、冷却、および関連の熱膨張に耐えることができる。とくに、材料は、ラミネーション後の冷却時に過度に熱収縮しないことが好ましい。一実施形態においては、スペーサ1000を、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのポリマーまたは熱可塑性材料から作ることができる。他の材料も可能であることに注意すべきである(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))。代案の実施形態においては、スペーサ1000を、シリコーンなどの柔らかい材料で作ることができる。
【0054】
[0087]スペーサ1000が提供される1つの重要な機能は、タイル間の電気バスを、雨、風、または泥などの気象要素から保護することである。風の力で雨水が屋根に沿って上方に移動する可能性があることに、注意すべきである。図1および図9に示されるように、PV屋根タイルは、典型的には、1つのタイル列が隣のタイル列をオフセットするような方法で設置されるため、雨水が上側の列のタイルの下方に侵入したり、溝1004内に溜まったりすることがないように、スペーサ1000の上部にランプ1010を使用することができる。
【0055】
[0088]図10Bが、一実施形態による典型的な補強スペーサの斜視図を示している。この例において、スペーサ1020は、上部溝1022、ウイング1024および1026、ならびにランプ1028を含むことができる。図示のように、ランプ1028は、溝1022の底から平坦な台地まで上昇する傾斜部分を含むことができ、平坦な台地は、溝1022の壁の上部と同じ高さであってもよい。
【0056】
[0089]図10Cが、一実施形態による典型的な補強スペーサの別の図を示している。より具体的には、この図は、スペーサのベースの下半分を示している。この例において、スペーサ1040のベースは、電気接続機構(例えば、バス配線、リボン、金属箔、またはタブストリップ)がタイル間ギャップを横断できるように構成された凹状の空間または下部チャネル1042を含むことができる。下部チャネル1042を、例えば図10Bに示したランプ1028の反対側など、スペーサのランプの反対側に配置することができる。
【0057】
[0090]図10Dが、一実施形態による典型的な補強スペーサのもう1つの図を示している。図10Dには、スペーサの下半分がさらに詳細に示されている。より具体的には、図10Dは、スペーサ1060のベースの下半分が、下部チャネル1062と、2つの隣接するPVタイルの間にスペーサ1060を固定することができる下部固定パネル1064とを含むことができることを示している。ベース下部の残りの部分は、実際に、溝1066の下側の側壁および底壁である。いくつかの実施形態においては、固定パネル1064の側壁および底面を、溝1066の外側の側壁および底面にそれぞれ整列させることができる。
【0058】
[0091]スペーサのベースの下側のチャネルは、タイル間の電気接続を容易にするために不可欠である。より具体的には、タブストリップ(例えば、図7に示した金属タブ710および712)が、1つのタイルから隣接するタイルへとチャネルを介してスペーサを横切ることができる。チャネルの長さは、電気の経路の必要性に基づいて決定されてもよい。タイル間の電気接続に使用される金属タブの幅および/または数に応じて、チャネルを、そのような金属タブの通過に対応するようにより広く、またはより狭く設計することができる。
【0059】
[0092]図11Aが、一実施形態による2つの隣接する光起電屋根タイルの間に配置された典型的な補強スペーサを示している。この図は、屋根の上方からの斜視図を示しており、すなわち屋根タイルのガラスカバー1104および1108が上方を向いている。図11Aにおいて、スペーサ1102は、2つの隣接するPV屋根タイルのガラスカバー1104および1108の間に配置され、屋根に設置されたときにランプ1112が屋根の頂点に最も近い屋根タイルの上縁に位置し、すなわちランプ1112がスペーサの最も高い位置にある端部に位置するような向きにて配置されてもよい。図示のとおり、スペーサ1102の左側のウイングを、左側のPVタイルのガラスカバー1104とバックシート1106との間に挿入でき、右側のウイングを、右側の屋根タイルのガラスカバー1108とバックシート1110との間に挿入することができる。説明の目的で、ガラスカバーと対応するバックシートとの間にすき間が描かれている。実際には、ラミネーション後に、ガラスカバーと対応するバックシートとが、スペーサ1102のウイングを対応するガラスカバーおよびバックシートに結合させることもできる封止材料によって接合されてもよい。例えば、スペーサ1102の左側のウイングを、硬化した封止材料によって、ガラスカバー1104およびバックシート1106に結合させることができ、スペーサ1102の右側のウイングを、ガラスカバー1108およびバックシート1110に結合させることができる。いくつかの実施形態において、2つ以上の隣接する屋根タイルが共通のバックシートを共有してもよく、すなわちバックシート1106および1110を互いに接合してもよいことに注意すべきである。この場合、スペーサのウイングを、2つの隣接するPV屋根タイルのそれぞれのガラスカバーと共通のバックシートとの間に挿入することができる。スペーサのウイングとガラスカバー/バックシートとの間の強力な接着は、マルチタイルアセンブリ全体に強度をもたらし、マルチタイルアセンブリを単一の部品として扱うことを可能にする。しかしながら、タイル間の激しい曲げは、接着の不具合、ひいてはマルチタイルアセンブリの故障をもたらす可能性がある。
【0060】
[0093]図11Bが、一実施形態による2つの隣接する光起電屋根タイルの間に配置された補強スペーサの底面図を示している。図示のとおり、1つ以上の金属タブ1138などの電気接続が、スペーサ1132の下部チャネルを横切って延び、屋根タイル1134および1136を電気的に接続することができる。金属タブに加え、他の種類の電気接続機構(例えば、タブストリップ、箔フォイル、折り畳まれたバス、ならびに「o」または「n」形バス)を使用して2つの隣接するPVタイルを電気的に接続することもできる。種々の実施形態において、屋根タイルを電気的に直列または並列に接続することができる。
【0061】
[0094]スペーサの底部は建物に向かって内側を向いており、電気接続(例えば、金属タブ)は他の場所では封止材料によって保護されているため、スペーサの下部チャネルにおいては、電気接続を絶縁しないままにしておくことができる。タイル間ギャップの下側を封止材料でラミネーションすることは、一貫したコーティング厚さを達成することが技術的に困難であり得る。金属タブをさらに保護するために、いくつかの実施形態においては、スペーサの下部チャネルを追加のプラスチック(例えば、PVDFまたはPTFE)片で覆うことができる。
【0062】
[0095]図11Cは、一実施形態による2つの隣接する光起電屋根タイルの間に配置された補強スペーサの正面図を示している。スペーサ1160のベースを、2つの隣接するPVタイルに属する前側ガラスカバー1162および1164の間に挿入することができる。図11Cに示される例では、スペーサ1160の外側の側壁を、2つのガラスカバーのエッジに直接接触させることができる。
【0063】
[0096]スペーサ1160の上面を、前側ガラスカバーの上面と同じ平面に配置することができる。いくつかの実施形態においては、ラミネーション後に、スペーサ1160の下面をバックシートの下面に整列させることができる。説明の目的で、図11Cにおいては、バックシート1166および1168が、スペーサおよび上側ガラスカバーから離して図示されている。実際には、ラミネーション後に、バックシート1166および1168を、スペーサ1160のウイングおよび対応する前側ガラスカバーに取り付けることができる。図11Cにおいて、バックシート1166および1168は、別々であるものとして示されている。しかしながら、種々の実施形態においては、モジュール内の複数の屋根タイルが共通のバックシートを共有することができる。図11Cは、ガラスカバーとバックシートとの間に配置されたPV構造物も示している。例えば、PV構造物1170は、ガラスカバー1164とバックシート1166との間にあるものとして図示されている。
【0064】
[0097]図11Dが、一実施形態による2つの隣接する屋根タイルの間に配置された典型的なスペーサの断面図を示している。この例において、PV屋根タイル1180は、上側ガラスカバー1182、上側封止材料層1184、PV構造物のアレイ1186、下側封止材料層1188、およびバックシート1192を含むことができる。PV屋根タイル1190は、PV屋根タイル1180と同様の構造を有することができる。図11Dにおいて、スペーサ1172がPV屋根タイル1180および1190の間に挿入されている。より具体的には、図11Dに示される例において、スペーサ1172のウイングを、PVタイルの上側封止材料層と下側封止材料層との間に挿入することができる。例えば、スペーサ1172の右側のウイングを、上側封止材料層1184と下側封止材料層1188との間に挿入することができる。スペーサのウイングを封止材料に挿入するための場所をもたらすために、上側ガラスカバー1182およびバックシート1192をPV構造物のアレイ1186よりも延ばすことができることに、注意すべきである。この構成により、スペーサによる壊れやすいPV構造物の損傷を防止することができる。
【0065】
[0098]スペーサのベースの幅を、屋根タイルの寸法に基づいて決定することができる。いくつかの実施形態においては、ベースの幅を、良好な美的効果を達成するように選択することができる。例えば、標準サイズのPV屋根タイルの場合、スペーサのベースの幅は、数ミリメートルであってもよい。ウイングが構造的に強く、ウイングと前側カバー/バックシートとの間に充分な量の封止材料を流すことができる限りにおいて、ウイングの厚さに特段の要件は存在しない。いくつかの実施形態においては、スペーサのウイングの厚さを、その長さに沿って変化させることができる(例えば、先細りを導入することができる)。さらに、ウイングの表面にテクスチャを施して、ウイングと封止材料との間の接着を向上させることができる。ウイングと上側ガラスカバー1182/バックシート1192との間の空間を、とくにはラミネーション後に封止材料で満たすことができる。屋根タイル、スペーサ、および/またはタイル間のギャップのラミネーションに使用される封止材料は、PVB、TPO、EVA、TPD、または他の材料を含むことができる。図11Dに示される例では、スペーサ1172の上面および下面を、PVタイルの上面および下面に整列させることができる。実際には、スペーサ1172の下面は、PVタイルの下面よりも上方に位置してもよい。より具体的には、マルチタイルモジュールのバックシートが連続した単一のシートである場合、スペーサをバックシートの上に配置することができる。
【0066】
[0099]図10A図11Dに示した典型的なスペーサに加えて、他の種類のスペーサも可能である。例えば、図12Aに示されるように、2つの横ウイングは、ベースの全長にわたって延びる代わりに、ベースの長さの一部分に沿って延びるなど、より短くてもよい。図12Bは、一実施形態による代案の補強スペーサを示している。この例において、スペーサ1200は、ウイング1202および1204、上部溝1208、ならびに傾斜側壁1206を含むことができる。U字形またはV字形のスペーサと同様に、ウイング1202および1204の長さとマルチタイルモジュールの強度および柔軟性との間に、バランスが存在し得る。図12Bに示される例では、ウイング1202および1204が、図10Aに示したウイングよりもはるかに長い。これらの長いウイングは、屋根タイルへの強力な接着をもたらし、隣接する屋根タイルを90°で曲げることを可能にすることができる。この例において、上部溝1208は、正方形ではなくて曲線状であってもよいが、依然としてPV屋根タイル間のギャップの視覚的外観をもたらすことができる。最後に、傾斜側壁(例えば、側壁1206)は、PV屋根タイルの上部から見たときに封止材料の視覚的外観を隠すことができる。さらに、これらの傾斜側壁は、封止材料のあふれを防ぐことによって、ラミネーション時の封止材料の流れを導くことができる。
【0067】
[0100]製造時に、スペーサは、マルチタイルモジュール内のガラスシートの整列を容易することができる。例えば、事前に配置されたスペーサを、上側ガラスカバーを配置するロボットアームのための視覚的なガイドとして使用することができる。あるいは、事前に配置敷したスペーサを、ガラスカバーのアンカーとして使用することができる。例えば、ガラスカバーを配置するときに、ロボットアームがガラスカバーをスペーサに押し付けることができる。さらに、最終製造段階(トリミングおよび屋根構成要素の取り付けなど)において、バスを保護するためにマルチタイルモジュールを慎重に取り扱う必要がある。スペーサは、マルチタイルモジュールが単一の部品として取り扱われているときに、マルチタイルモジュールに構造的な完全性および剛性を提供することができる。
【0068】
[0101]モジュール間接続
光起電構造物ならびにタイル内およびタイル間の電気的相互接続がソーラータイルの前側カバーとバックカバーとの間に封止されているため、モジュール間の電気的相互接続を容易にするために、外部リード線が必要である。従来からのPVパネルにおいて、外部リード線は、PVパネルの裏側に位置する事前に切断されたスロットを介して太陽電池の電極にアクセスすることができる。例えば、バスリボンが、PVパネルのバックシートの事前に切断されたスロットを通って、PVパネルの裏側に取り付けられた接続箱に到達することができる。同様の手法を、ソーラー屋根タイルまたはタイルモジュールに使用することができる。例えば、ソーラー屋根タイルまたはタイルモジュールの裏側に、事前に切断された穴またはスロットを生成することができる。ラミネーション後に、金属タブ(例えば、図7に示される金属タブ710および712)を、事前に切断された穴を通って引き出すことができる。しかしながら、事前に切断された貫通スロットまたは穴から金属タブの一部分を引き出すために、金属タブの曲げおよび折り畳みが必要になり、場合によってはトリミングが必要になる可能性がある。引っ張り操作を含むこれらの操作は、典型的には手作業によるプロセスであり、面倒かつ時間がかかる可能性がある。他方で、ソーラー屋根タイルまたはタイルモジュールの製造には、高いスループットがきわめて重要である。数秒(例えば、2秒または3秒)以内に接続箱をタイルまたはタイルモジュールに取り付けることができるシステムまたはプロセスを有することが、好ましい可能性がある。手作業での操作では、このような課題に対処することが明らかに不可能である。
【0069】
[0102]この問題を解決するために、いくつかの実施形態においては、接続箱と封止された光起電ストリングとの間の自動化された結合を可能にすることができる独自の接続箱を提供することができる。より具体的には、接続箱と封止された光起電ストリングとの間の結合を可能にするために、タイルモジュールのバックカバーに1つ以上の貫通穴を生成することができる。
【0070】
[0103]図13Aが、本発明の一実施形態による典型的なマルチタイルモジュールの底面図を示している。説明のために、ソーラー屋根タイルの底部カバーは、透明であるものとして示されている。実際には、底部カバーは、典型的には、暗い色のコーティングが施されたバックシートまたはガラスなど、不透明である。マルチタイルモジュール1300は、PVタイル1302、1304、および1306を含み、各々のタイルは、いくつか(例えば、6つ)の縦続接続された光起電ストリップを含むことができる。金属タブ1308および1310が、正極性のエッジバスバーが金属タブ1308に接続され、負極性のエッジバスバーが金属タブ1310に接続されるように、PVタイルを並列に接続する。マルチタイルモジュール1300を電池として見る場合、金属タブ1308および1310は、それぞれ電池の正および負の出力を提供することができる。したがって、外部リード線と金属タブ1308および1310との間の接触を可能にすることにより、外部ワイヤを介してマルチタイルモジュール1300から電力を出力することができる。いくつかの実施形態においては、1対の外部リード線と金属タブ1308および1310との間の電気的接触を可能にするために、マルチタイルモジュール1300のバックカバーに貫通穴を生成することができる。
【0071】
[0104]図13Aにおいて、貫通穴1312および1314を、それぞれタイル1302および1306のバックカバーに生成することができる。より具体的には、貫通穴1312を、金属タブ1308の一部分の上方に配置でき、貫通穴1314を、金属タブ1310の一部分の下方に生成することができる。ラミネーション中に封止材料が貫通穴に流れ込むことがないように、いくつかの実施形態においては、封止材料阻止リングをバックカバーの内面において貫通穴の周囲に配置することができる。封止材料阻止リングを、ポリエチレンまたは他の同様の材料など、ラミネーション温度に耐えることができる材料で作ることができる。リングの厚さは、数百ミクロン~数ミリメートルの間であってもよい。封止材料阻止リングの表面は、貫通穴の表面よりも高いため、ラミネーション時に封止材料の流れを封止材料阻止リングによって止めることができる。結果として、封止材料が金属タブ1308および1310を汚すことがない。あるいは、ラミネーションの際に封止材料が貫通穴に流れ込むことがないように、ラミネーション処理に先立って各々の貫通穴にガスケット(例えば、ゴムまたはPTFE Oリングなど)を挿入することができる。
【0072】
[0105]図13Bが、一実施形態による切断面B-B’に沿った断面図を示している。矢印が日光の方向を示している。図13Bにおいて、光起電ストリップ1322がバックカバー1324と前側カバー1326との間に位置し、金属タブ1308が光起電ストリップ1322の前面に隣接して位置する。金属タブ1308は、光起電ストリップ1322の前面に位置するバスバーに接続される。貫通穴1328が、金属タブ1308の一部分の真上において、バックカバー1324に生成される。ガスケット1330が貫通穴1328の内側に挿入され、金属タブ1308への通路を生成する。封止材料1332が、前側カバー1326とバックカバー1324との間の残りの空隙を埋めることができる。図13Bから見て取ることができるとおり、金属タブ1308への妨げのない通路を、貫通穴1328およびガスケット1330によって形成することができる。ガスケット1330のサイズおよび形状を貫通穴1328のサイズおよび形状に調和するように注意深く設計することにより、ラミネーション時の封止材料1332による金属タブ1308の汚染を防止することができる。
【0073】
[0106]図13Cが、一実施形態による貫通穴の上面図を示している。図13Cにおいて、金属タブ1308の一部分が貫通穴1328を介して露出している。図13Dが、一実施形態による典型的なガスケットを示している。いくつかの実施形態において、ガスケット1330はOリングに類似していてもよい。
【0074】
[0107]いくつかの実施形態においては、特別に設計された接続箱を使用して、タイルモジュール内に封止された光起電ストリングへの電気的アクセスを容易にすることができる。より具体的には、接続箱は、接続箱の底面から貫通穴に上方に延びて、金属タブ(例えば、金属タブ1308または1310)の露出部分と接触するように構成された電気接続機構を含むことができる。電気接続機構は、金属タブの露出部分と接触するための平らな(ときには円形の)部品と、バックカバーの表面を過ぎて延びる延長ポストとを含む取り付けパッドの形態であってもよい。光起電ストリップのバスバー、金属タブ、および取り付けパッドが、光起電ストリップの片側からタイルの外部への導電経路を協働して生成することができる。いくつかの実施形態においては、取り付けパッドの延長ポストを接続箱の内部に収め、取り付けパッドに電気的絶縁および耐候性をもたらすことができる。
【0075】
[0108]図14Aは、一実施形態による典型的な接続箱の側面図を示している。図14Aにおいて、接続箱1400は、物理的な筐体1402と、特別に設計された取り付けパッド1410と、リード線1406とを含むことができる。接続箱1400は、バイパスダイオードなどの他の従来からの電気構成要素(図示されていない)も含むことができる。
【0076】
[0109]物理的な筐体1402は、種々の電気構成要素(例えば、取り付けパッド1410、リード線1406、バイパスダイオード、など)を収容し、電気回路を気象要素から保護する耐候性容器であってもよい。いくつかの実施形態において、物理的な筐体1402は、取り付けパッド1410を物理的な筐体1402から実質的に垂直な方法で延ばすことができるように、タイルモジュールに面する表面に開口部を含むことができる。あるいは、取り付けパッド1410を物理的な筐体1402から延ばすことができるように、トラップまたはスライドドアを生成することができる。取り付けパッド1410を、低抵抗材料(例えば、金属材料)から作ることができ、物理的な筐体1402の外に延ばすことができる。いくつかの実施形態においては、取り付けパッド1410を、タイルモジュールのバックカバーに位置する貫通穴に挿入し、タイルモジュール内に封止された金属電極(例えば、図13に示される金属タブ1308または1310)に直接接触させることができる。
【0077】
[0110]リード線1406が、取り付けパッド1410への接続のための接続箱1400内に位置する部分と、他のタイルモジュールのリード線への接続のための接続箱1400から延びる部分とを含むことができる。いくつかの実施形態において、リード線1406の内側部分は、取り付けパッド1410と金属対金属の接触を形成する裸の銅線を含むことができる。リード線1406の外側部分を、耐候性ジャケット1408に挿入することができる。
【0078】
[0111]図14Bが、一実施形態による典型的な取り付けパッドの詳細図を示している。取り付けパッド1410は、平らな片(または、接触パッド)1412と、延長ポスト1414と、ワイヤカプラ1416とを含むことができる。平らな片または接触パッド1412は、円形などのさまざまな形状を有することができる。タイルモジュールのバックカバーの貫通穴に挿入されると、接触パッド1412は、光起電ストリングのエッジバスバーに電気的に接続された金属タブの露出部分に直接接触することができる。ガスケットが貫通穴の内側に配置されている場合、接触パッド1412をガスケットに挿入できることに注意すべきである。いくつかの実施形態においては、導電性接着剤(ECA)を塗布して、接触パッド1412を金属タブに接着することができる。あるいは、はんだを使用して、接触パッド1412を金属タブに接合することも可能である。タイルモジュールの稼働時に、接触パッド1412がタイルモジュールの裏側に位置し、したがってコンタクトパッド上にマスキング層は不要であり、はんだ付けが接合に適した選択肢になることに注意すべきである。いくつかの実施形態においては、接触パッド1412をはんだ(例えば、Sn62Pb36AgなどのPb系またはSn系のはんだ)の層で事前にコーティングすることができる。貫通穴への挿入後に、熱を(例えば、はんだガンを使用することによって)局所的に加えてはんだを溶かし、接触パッド1412をタイルモジュールの内部の金属ストリップに接合することができる。
【0079】
[0112]延長ポスト1414を、その長さが少なくともバックカバーの厚さ以上であるような方法で設計することができる。いくつかの実施形態において、タイルモジュールのバックカバーは、約2.5mmの厚さを有するガラスを含むことができ、延長ポスト1414は、わずかに長くてもよく、物理的な筐体から約2.5mm突出することができる。したがって、接続箱から垂直に延びたとき、延長ポスト1414はバックカバーを超えて到達し、接触パッド1412を光起電ストリングの電極(例えば、エッジバスバーに接続された金属タブまたはエッジバスバー自体)に接触させることができる。いくつかの実施形態において、延長ポスト1414は、図14Bに示されるように湾曲したネック部分を含むことができる。このような設計により、延長ポスト1414の突出長の調整を可能にすることができる。ワイヤカプラ1416は、接触パッド1412の反対側の延長ポスト1414の他端に配置される。ワイヤカプラ1416を、リード線に接続されるように構成することができる。いくつかの実施形態において、ワイヤカプラ1416は、半円筒の表面のような形状にすることができる。ワイヤカプラ1416を、ワイヤカプラ1416とリード線との間の接続を促進するために、はんだ層で事前にコーティングすることもできる。
【0080】
[0113]取り付けパッド1410は、Cuなどの低抵抗金属材料で作ることが可能である。いくつかの実施形態においては、取り付けパッド1410内の3つの異なる構成要素を、単一の金属片から形成することができる。あるいは、それらをはんだ付け、溶接、または接着などの任意の適切な電気的接続によって互いに対して取り付けることができる。
【0081】
[0114]図14Cが、一実施形態による接続箱とタイルモジュールとの間の典型的な結合を示している。より具体的には、図14Cは、接続箱の付近の場所におけるPVタイルモジュールの拡大図を示している。タイルモジュール1420は、バックカバー1422と、前側カバー1424と、バックカバー1422と前側カバー1424との間に封止された光起電ストリップ1426とを含むことができる。金属タブ1428が、光起電ストリップ1426上のバスバー(例えば、エッジバスバー)と接触しており、光起電ストリップ1426を隣接するソーラー屋根タイルに封止された光起電ストリップに電気的に接続するために使用可能である。貫通穴1432を、金属タブ1428の一部分の真上の位置で、バックカバー1422内に形成することができる。貫通穴1432の位置を、接続箱、モジュール間スペーサ、などのタイルモジュールの他の構成要素の位置および/またはサイズに基づいて決定することができる。ガスケット1434を貫通穴1432に挿入し、ラミネーション時に封止材料1430が貫通穴1432へとあふれることを防止することができる。図14Cにおいて見て取ることができるとおり、ガスケット1434の縁はバックカバー1422の内面をわずかに過ぎ、したがって封止材料1430のあふれを効果的に防止する。封止材料1430は、バックカバー1422と前側カバー1424との間の残りの空き空間を満たすことができる。
【0082】
[0115]接続箱の物理的な筐体1402を、貫通穴1432の直上でバックカバー1422上に配置することができる。物理的な筐体1402は耐候性であるため、貫通穴1432の上部に配置されると、貫通穴1432によって露出する構成要素(例えば、金属タブ1428)を天候要因への曝露から保護することができる。取り付けパッドをガスケット1434を通って挿入し、接触パッド1412を金属タブ1428に直接物理的に接触させることができる。いくつかの実施形態においては、低抵抗の接触を確保するために、金属タブ1428が、接触パッド1412と接触する幅の広い部分を含むことができる。取り付けパッドの延長ポスト1414が、貫通穴1432から物理的な筐体1402の中に延びる。筐体1402の内部において、リード線1406を取り付けパッドのワイヤカプラ1416に接続することができる。いくつかの実施形態において、リード線1406は裸の銅線を含むことができる。接続は、金属対金属の接触を含むことができる。接続箱の筐体1402を出る前に、リード線1406を耐候性ジャケット1408に挿入することができる。リード線1406の外側部分の長さは、タイルモジュールのサイズに基づいて決定することが可能である。リード線は、隣接するタイルモジュールからのリード線に接続できるような充分な長さであることが望ましい。
【0083】
[0116]図15が、本発明の一実施形態による典型的なタイルモジュールの底面図を示している。マルチタイルモジュール1500は、3つのPVタイル1502、1504、および1506を含むことができる。いくつかの実施形態においては、PVタイル1502、1504、および1506を金属タブ1508および1510を介して並列に接続することができる。例えば、金属タブ1508をモジュール内のすべてのPVタイルの正極性のバスバーに接続でき、金属タブ1510をすべてのPVタイルの負極性のバスバーに接続することができる。さらに、マルチタイルモジュール1500は、どちらもマルチタイルモジュール1500の裏側に配置される接続箱1512および1514を含むことができる。図14Aに示した接続箱1400と同様に、接続箱1512および1514は、耐候性のリード線とPV屋根タイルを接続する金属タブとの間の電気的接続を容易にする。例えば、接続箱1512は、耐候性のリード線1516と金属タブ1508との間の電気的接続を容易にする。同様に、接続箱1514は、耐候性のリード線1518と金属タブ1510との間の電気的接続を容易にする。したがって、耐候性のリード線1516および1518は、それぞれすべてのPVタイルの正極性および負極性に電気的に接続される。各々の耐候性のリード線は、別のタイルモジュールのリード線への接続のためのやはり耐候性のケーブルカプラをさらに含むことができる。リード線1516はケーブルカプラ1520を含み、リード線1518はケーブルカプラ1522を含む。屋根の設置時に、設置者は、屋根のレイアウトおよび電気設計に応じて、耐候性のリード線を使用して個々のマルチタイルモジュールを相互接続することができる。モジュール間の電気的接続を容易にするために、追加のバスケーブルを使用することも可能である。
【0084】
[0117]接続箱の独自の設計により、PVタイルモジュールの内部に封止された光起電構造物またはストリングへの電気的アクセスが容易になり、したがってモジュール相互接続の堅牢な設計が可能になる。図7および図15に示した例では、マルチタイルモジュール内の複数のPV屋根タイルが、水平に配置されている。実際には、モジュール内に複数のPVタイルを垂直に配置することも可能である。タイルモジュールの形状およびサイズに関係なく、特別に設計された接続箱をモジュール間の電気的接続に使用することができる。いくつかの実施形態において、タイルモジュールはPV屋根タイルを1つだけ含むことができ、タイルモジュールのバックカバーに取り付けられる接続箱は、同様の方法で封止された光起電ストリングのエッジバスバーに電気的にアクセスするように構成されてもよい。例えば、取り付けパッドをエッジバスバー(例えば、ストリングの裏側のエッジバスバー)に直接接続でき、あるいはひずみ緩和コネクタを介してエッジバスバー(例えば、ストリングの前側のエッジバスバー)に接続できる。シングルタイルモジュールは、レイアウトの柔軟性を高めることができ、屋根を形成するときにマルチタイルモジュールと組み合わせることができる。
【0085】
[0118]モジュールの製造
図16が、本発明の一実施形態による光起電屋根モジュールの典型的な製造プロセスを示している。製造時に、光起電ストリップの1つ以上のストリングを入手することができる(工程1602)。より具体的には、光起電ストリップを、標準的な正方形または擬似正方形の太陽電池を複数のピースに分割することによって入手でき、ストリップのストリングを、複数のストリップをエッジにおいて縦続接続することによって形成することができる。縦続接続は、ストリップ間の直列接続を形成する。光起電ストリップの縦続接続ストリングの形成についての詳細な説明を、2015年8月13日に出願された「PHOTOVOLTAIC STRUCTURE CLEAVING SYSTEM」という名称の米国特許出願第14/826,129号(代理人整理番号P103-3NUS)、2015年9月25日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR CASCADING PHOTOVOLTAIC STRUCTURES」という名称の米国特許出願第14/866,776号(代理人整理番号P103-4NUS)、2015年7月20日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR SCRIBING PHOTOVOLTAIC STRUCTURES」という名称の米国特許出願第14/804,306号(代理人整理番号P103-5NUS)、2015年9月25日に出願された「METHODS AND SYSTEMS FOR PRECISION APPLICATION OF CONDUCTIVE ADHESIVE PASTE ON PHOTOVOLTAIC STRUCTURES」という名称の米国特許出願第14/866,806号(代理人整理番号P103-6NUS)、および2015年9月25日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR TARGETED ANNEALING OF PHOTOVOLTAIC STRUCTURES」という名称の米国特許出願第14/866,817号(代理人整理番号P103-7NUS)において見つけることができ、これらの米国特許出願の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0086】
[0119]いくつかの実施形態においては、個々のソーラー屋根タイルの各々が、1つのストリングを含むことができ、各々のストリングは、6つの縦続接続されたストリップを含むことができる。ストリングの出力は、ストリングの両面および両エッジに位置するバスバーである。接続箱に課せられる空間的制約を満たすために、追加のバスバーをストリングに追加することも可能である。追加のバスバーを、エッジバスバーと平行に延びてもよいが、エッジから離れている。ストリングの形成に続いて、ひずみ緩和コネクタを適切なバスバー(例えば、エッジバスバーまたはエッジから離れた追加のバスバー)に取り付けることができる(工程1604)。これらに限られるわけではないが、はんだ付け、溶接、または導電性接着剤(ECA)による接着など、さまざまな電気接続方法を使用して、ひずみ緩和コネクタをバスバーに取り付けることができる。いくつかの実施形態においては、ひずみ緩和コネクタをマスキング層(例えば、アクリル塗料の層)でコーティングすることができ、マスキング層の完全性を保護するために、ECAを使用してひずみ緩和コネクタがバスバーに接着される。バスバーは光起電ストリングの両面に位置する可能性があるため、ひずみ緩和コネクタをバスバーに取り付けるために、ストリングを裏返す必要があるかもしれない。
【0087】
[0120]次いで、複数のストリングをそれぞれのひずみ緩和コネクタとともに、タイルモジュールの構成に対応するマトリックスまたはアレイの構成に配置することができる(工程1606)。例えば、3つの横並びのタイルを有するマルチタイルモジュール(例えば、図7に示されるような)を得るために、3つのストリングを直線に沿って配置することができ、隣接するストリングの間の距離をタイルのサイズおよびタイル間のギャップに基づいて決定することができる。同様に、複数のソーラー屋根タイルの前側カバーを、タイルモジュールの構成に対応する構成へと配置することができ(工程1608)、前側封止材料層を、カバー上に配置することができる(工程1610)。
【0088】
[0121]いくつかの実施形態においては、それぞれがそれぞれのタイルに対応する3つの別々のカバーを、タイルモジュールに使用することができる。あるいは、3つのタイルのすべてに単一のガラスカバーを使用し、この単一のガラスカバーに溝をエッチングして、3つの個別の屋根タイルの外観を生み出すことができる。さらなる実施形態においては、タイルモジュールの前側カバーが3つの別個のガラス片を含むことができる一方で、タイルモジュールのバックカバーは、単一の連続したバックシートを含むことができる。同様に、封止材料層は、3つの別々の材料片または連続した材料片であってもよい。
【0089】
[0122]次に、ストリングのアレイを移動させ、前側封止材料層およびカバーの上に配置することができ(工程1612)、隣接するタイルの間にスペーサを挿入することができる(工程1614)。前側カバーおよびバックカバーの両方が単一のガラスで作られている場合、スペーサは使用できないことに注意すべきである。
【0090】
[0123]次いで、金属タブ(例えば、図7に示される金属タブ710および712)を配置し、ひずみ緩和コネクタに直接接触させることができる(工程1616)。いくつかの実施形態においては、複数のストリングを互いに並列に接続できるような方法で金属タブを配置することができる。金属タブおよびひずみ緩和コネクタを電気的および機械的に接続するために、ECAを使用することも可能である。金属タブを、スペーサのベース/リッジに形成されたチャネルを通ることができるような方法で配置する必要があるかもしれない。いくつかの実施形態においては、金属タブが所定の位置に配置された後に、追加のプラスチック片を使用してチャネルを覆うことができる。その後に、裏側封止材料層およびバックカバー(または、複数のバックカバー)がストリングのアレイの上に配置される(工程1618)。いくつかの実施形態において、タイルモジュールの裏側封止材料層およびバックカバーは貫通穴を含むことができ、ガスケットを貫通穴の内側に挿入することができる。貫通穴の位置は、金属タブの少なくとも一部分を貫通穴によって露出させることができるような方法で慎重に設計される。これは、バックカバーの正確な配置も必要とする。いくつかの実施形態においては、スペーサを位置合わせの補助として使用して、バックカバーを配置することができる。例えば、バックカバーを配置する自動化ツールが、スペーサを視覚的なガイドとして使用して、バックカバーのエッジをスペーサのエッジに整列させることができる。
【0091】
[0124]次いで、ストリング、ひずみ緩和コネクタ、および金属タブを前側カバーとバックカバーとの間に封止するために、ラミネーション処理を実行することができる(工程1620)。貫通穴に挿入されたガスケットが、金属タブの露出部分への妨げのない経路を生成する。ラミネーションに続いて、マルチタイルモジュールのエッジをトリミングして余分な封止材料を除去し(工程1622)、接続箱を取り付けることができる(工程1624)。接続箱の取り付けは、接続箱内の事前に作製された取り付けパッドを、ガスケットの中心に挿入することを含むことができる。いくつかの実施形態においては、接続箱から突出する取り付けパッドをバックカバーの貫通穴に収めることができるように、接続箱をバックカバーの所定の位置に配置するために、自動化された工程を実行することができる。熱を局所的に加えて、貫通穴によって露出した金属ストリップに取り付けパッドをはんだ付けすることができる。例えば、接続箱は、接続箱の設置時にはんだガンを取り付けパッドに近づけることを可能にするための取り外し可能なカバーを有することができる。接続箱の取り付けに加えて、屋根ふき構成要素(例えば、マルチタイルモジュールの屋根板への取り付けを容易にすることができる構成要素)をマルチタイルモジュールの裏側に取り付けて、製造プロセスを完了させることができる(工程1626)。
【0092】
[0125]種々の実施形態の以上の説明は、あくまでも例示および説明の目的で提示されているにすぎない。それらは、すべてを述べ尽くそうとするものでも、本システムを開示された形態に限定しようとするものでもない。したがって、多数の修正および変形が、当業者には明らかであろう。さらに、上記の開示は、本システムを限定しようとするものではない。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図15
図16