(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】呼吸補助装置
(51)【国際特許分類】
A61M 16/00 20060101AFI20220511BHJP
A61M 16/06 20060101ALI20220511BHJP
A61M 16/16 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
A61M16/00 305A
A61M16/06 A
A61M16/16 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020082392
(22)【出願日】2020-05-08
(62)【分割の表示】P 2017189343の分割
【原出願日】2013-02-01
【審査請求日】2020-06-08
(32)【優先日】2012-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/NZ2012/000124
(32)【優先日】2012-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(32)【優先日】2012-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2012-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513259285
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】ダービー アダム ジョン
(72)【発明者】
【氏名】クリガー ドナルド ロイ
(72)【発明者】
【氏名】ボスマ ヨハネス ニコラアス
(72)【発明者】
【氏名】ベント スコット
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-282408(JP,A)
【文献】特開平04-046539(JP,A)
【文献】特開平07-298576(JP,A)
【文献】特開2018-008120(JP,A)
【文献】特開2009-178557(JP,A)
【文献】実開昭60-192676(JP,U)
【文献】特開平07-007898(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0108686(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0014104(US,A1)
【文献】特開2000-217302(JP,A)
【文献】特開2004-353655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
A61M 16/06
A61M 16/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸補助装置であって、
加圧気体源を備え、該加圧気体源は、
ハウジングと、
気体入口と、
前記呼吸補助装置の出口へと加圧気体を放出するように適合された気体出口と、
モータを備え、該モータは、
棚部を有する中心開口部を備えるロータと、
前記棚部と係合するように構成された回転自在なプラスチックシャフトを備え、これにより前記回転自在なプラスチックシャフトを前記ロータに結合する、
ことを特徴とする呼吸補助装置。
【請求項2】
前記モータはさらに、前記回転自在なプラスチックシャフトをステータ内で支持するための少なくとも一つの軸受構造を含み、前記軸受構造は、1又はそれ以上の可撓性及び/又は弾性の軸受マウントを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の呼吸補助装置。
【請求項3】
前記モータはさらに、前記回転自在なプラスチックシャフトに結合された軽量インペラを備える、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の呼吸補助装置。
【請求項4】
前記モータはさらに、前記ステータと前記ハウジングを結合する可撓性及び/又は弾性のモータマウントを備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の呼吸補助装置。
【請求項5】
前記回転自在なプラスチックシャフトは六角形の断面を有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の呼吸補助装置。
【請求項6】
前記棚部は、前記中心開口部の周辺に及ぶ、
ことを特徴とする
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の呼吸補助装置。
【請求項7】
前記棚部は、階段状の棚部を含む、
ことを特徴とする
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の呼吸補助装置。
【請求項8】
前記中心開口部は、前記中心開口部の中央から前記ロータへと外向きに突出する少なくとも一つのインデントを含む、
ことを特徴とする
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の呼吸補助装置。
【請求項9】
前記軽量インペラはシュラウドレスである、
ことを特徴とする請求項3に記載の呼吸補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療目的でユーザに気体流を供給する呼吸補助装置に関する。排他的な意味ではなく具体的には、この呼吸補助装置は、以下に限定されるわけではないが、持続的気道陽圧(CPAP)療法、二相性気道陽圧(B1-PAP)療法及び口腔内気道陽圧(OPAP)療法を含む、典型的には閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、いびき又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの病気の治療に用いられる気道陽圧(PAP)療法などの呼吸療法のために気体の供給を必要とする患者又はユーザに対して呼吸補助を行うことができる。
【背景技術】
【0002】
当分野では、治療目的で患者に加湿及び加熱気体流を供給する呼吸又は吸入補助装置又はシステムが良く知られている。通常、この種の治療(例えば呼吸加湿)を行うためのシステムは、(圧縮機、補助呼吸ユニット、ファンユニット、流れ発生器又は圧力発生器としても知られている)送風機などの気体源から加湿用チャンバに気体を送達する構造を有する。この気体は、熱湯上を通り過ぎるにつれ、又は加湿用チャンバ内にある加熱され、加湿された空気を通じて、水蒸気で飽和された状態になる。その後、この加熱され加湿された気体は、可撓性気体導管及び患者インターフェイスを含む患者インターフェイスを介して、加湿用チャンバの下流側のユーザ又は患者に送達される。
【0003】
1つの形態では、このような呼吸補助システムを、別個の(モジュール式)要素である加湿ユニット及び送風ユニットを含むモジュラーシステムとすることができる。これらのモジュールは、送風ユニットから加湿ユニットに気体が通過できるように、接続導管を介して直列に接続される。例えば、
図1に、ユーザ1がモジュラー呼吸補助システムから加熱され加湿された空気流を受け取っている概略図を示す。補助呼吸ユニット又は送風ユニット2aからコネクタ導管7を介して加湿用チャンバ4aに加圧空気が供給される。加湿用チャンバ4aからは、加湿され加熱され加圧された空気流が可撓性ホース又は気体導管3を介して排出され、患者インターフェイス5を介して患者又はユーザ1に供給される。
【0004】
別の形態では、この呼吸補助システムを、送風ユニットと加湿ユニットが同じハウジング内に含まれた一体型システムとすることができる。典型的な一体型システムは、加圧気体流を供給するメイン送風ユニット又は補助呼吸ユニットと、この送風ユニットと一体化された、又は別様に堅く接続された加湿ユニットとで構成される。
図2に、ユーザ1が一体型呼吸補助システム6から加熱され加湿された空気を受け取っている概略図を示す。このシステムは、加湿用チャンバ4bが送風ユニットと一体化されて一体型システム6を形成している点を除き、
図1に示すモジュラーシステムと同様に動作する。
【0005】
図1及び
図2に示す患者インターフェイス5は、ユーザ1の鼻を覆う鼻マスクである。しかしながら、これらのタイプのシステムでは、図示の鼻マスクの代わりに、口及び鼻を覆うマスク、フルフェイスマスク、鼻カニューレ、又は他のいずれかの好適な患者インターフェイスを使用することもできる。口専用のインターフェイス又は口腔マスクを使用することもできる。また、導管の患者又はユーザ側端部を、気管開口部の取り付け具、又は気管内挿管に接続することもできる。
【0006】
この種の呼吸補助システムでは、インペラタイプのファン又は送風機が最も一般的に使用されている。インペラハウジングには、インペラ羽根ユニットが含まれる。インペラ羽根ユニットは、中心スピンドルによって何らかの形の駆動装置に接続される。
図3及び
図4に、典型的なインペラハウジングを示す。
図5及び
図6には、使用時にハウジングの内部に存在する複数の羽根11及びシュラウド12を有する典型的な回転インペラユニット10を示す。開口部を通じてインペラユニットの中心に空気が引き込まれ、その後この空気は、回転インペラユニットの羽根により、ハウジングの中心から(通常はハウジングの片側に位置する)出口通路に向けて外向きに強制される。羽根11は、例えばモータによって回転する中心スピンドル13に結合される。
【0007】
通常、上述したタイプの呼吸補助システムは、メーカーに対して設計面での様々な問題又は課題を提示し、以下、これらのいくつかについて手短に概説する。
【0008】
多くの場合、ユーザは、効果的な呼吸療法のために、上述したタイプの呼吸補助システムを長期にわたって毎日使用する必要がある。OSAの治療では、ユーザは、夜寝ている時に呼吸補助システムを使用する必要がある。迎合的かつ効果的な治療には、このような呼吸補助システムを使用している時の患者の快適さ及び便利さが最優先する。上記のタイプの呼吸補助システムのユーザの一般的な不満はマスクの空気漏れである。通常、マスクの空気漏れは、ユーザが睡眠中に動いた時に、可撓性気体導管3が患者インターフェイス又はマスク5を引っ張ることによって発生する。
【0009】
PAP療法でOSAを治療するための上述したタイプのほとんどの呼吸補助システムは、患者インターフェイスに気体を供給するが、インターフェイスからの気体の帰還路は有していない。患者インターフェイスは、患者インターフェイス内に二酸化炭素が蓄積するのを解消するために、呼気を大気中に排出するための気体流出孔を必要し、これはしばしば「バイアス流」と呼ばれる。バイアス流は気体供給回路の損失を意味し、送風ユニットは、バイアス流を維持しながら患者インターフェイスにおける所望の気体圧も生成するほどの十分に強力なモータを有していなければならない。気体流出孔は、ノイズの発生源及び認識できる隙間風の発生源になる可能性もある。過剰なノイズは、患者及び同床の患者を不快にすることもある。隙間風は、その場所によっては患者が鬱陶しく感じることもある。
【0010】
呼吸補助システムにおける気体の加湿も設計の複雑さを増大させる。例えば、多くの場合、気体導管内に形成される結露を防ぐために、患者インターフェイスの気体導管3を加熱する必要がある。
【0011】
本明細書では、特許明細書、他の外部文献又はその他の情報源を参照しているが、その目的は、一般に本発明の特徴を説明するための文脈を提供するためである。特に別途記載しない限り、このような外部文献の参照を、このような文献又はこのような情報源が何らかの管轄において先行技術であること、又は当業における一般常識の一部を成すことを認めるものであると解釈すべきではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】国際出願第2012/140514号
【文献】米国特許出願公開第2010/0006101号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、改善された呼吸補助装置を提供し、又は少なくとも世間一般に有用な選択肢を与えることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の態様では、本発明は、広義にはユーザに呼吸気体流を供給するように構成された頭部装着型呼吸補助装置にあり、この頭部装着型呼吸補助装置は、ユーザの頭部に固定可能な本体と、周囲大気からの気体の供給を受け取るための気体入口を有し、気体出口において加圧気体流を生成する、本体上に設けられた送風ユニットと、送風ユニットの気体出口に気体流路を介して流体的に接続された気体入口を有し、1又はそれ以上の気体出口を介してユーザの鼻及び/又は口に加圧気体を送達するように構成された、本体上に設けられた患者インターフェイスとを備え、送風ユニットの気体入口から患者インターフェイスの(単複の)気体出口までの気体流路は、この気体流路に沿ってゼロバイアス流が存在するように実質的に密封され、送風ユニットは、軽量インペラと、インペラを回転させるように構成された回転自在な駆動シャフトを有するモータとを含む。
【0015】
この装置は、気体流路の少なくとも一部内の蓄積熱及び水分の蓄積を介して気体流路内の加圧呼吸気体を受動的に加湿して暖めるように構成できることが好ましい。1つの形態では、気体流路を、患者インターフェイスから気体流路内に逆流入するユーザの呼気からの熱及び水分の蓄積を空気流路の少なくとも一部内に蓄積するように構成することができる。
【0016】
装置は、呼吸補助装置の気体流路内に1又はそれ以上の熱湿交換器(HME)をさらに具備できることが好ましい。
【0017】
呼吸装置内には、送風ユニットの気体入口と患者インターフェイスの出口又は開口部との間に気体又は空気流路が設けられることが好ましい。
【0018】
この空気流路を通じて、ユーザからの余分な呼気が加圧気体流とは逆方向に放出され、呼吸補助装置の送風ユニットの気体入口から大気内に排出できることが好ましい。送風ユニットの気体入口と患者インターフェイスの気体出口との間の気体流路の容積又は「デッドスペース」は、約200mL未満にできることが好ましく、約50mL~約150mLにできることがさらに好ましい。
【0019】
装置は、呼吸補助装置に電力を供給する電源システムと、呼吸補助装置との間でデータを送受信するデータ転送システムと、制御信号を介して呼吸補助装置を制御する制御システムとを含む独立した基地局に動作可能に接続できるように構成できることが好ましい。
【0020】
装置は、本体をユーザの頭部に固定又は装着するように構成された、1又はそれ以上のヘッドストラップを含むヘッドギアをさらに具備できることが好ましい。1つの形態では、このヘッドギアが、呼吸補助装置の上部に接続されて、ユーザの頭部の上部の周囲に延びるように構成された上側ヘッドストラップと、呼吸補助装置の下部に接続されて、ユーザの頭部の下部の周囲に延びるように構成された下側ヘッドストラップとを含むことができ、このヘッドギアは、呼吸補助装置の本体をユーザの顔の領域内に配置するように構成される。
【0021】
1つの形態では、ヘッドギアを完全に可撓性とすることができ、又は実質的に可撓性部品から形成することができる。別の形態では、このヘッドギアを、以下に限定されるわけではないが、国際出願第2012/140514号に記載されている様々なヘッドギアの実施形態などの1又はそれ以上の剛性部品を含むことができるという点で半剛性とすることができ、この特許出願の内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0022】
呼吸補助装置は、装置に電力を供給するように構成された、ヘッドギアに装着又は一体化された1又はそれ以上の内蔵電源モジュールを具備できることが好ましい。或いは、この電源モジュールを、呼吸補助装置の本体又は送風ユニットに装着又は一体化するなどして、呼吸補助装置と共に別様に頭部に装着することもできる。電源モジュールは、1又は複数の電力ケーブルによって呼吸補助装置に接続されることが好ましい。1つの形態では、この(単複の)電源モジュールを、呼吸補助装置から取り外し可能又は解除可能とすることができる。
【0023】
これとは別に又はこれに加えて、(単複の)電源モジュールを、電力ケーブルによって呼吸装置に接続される独立した非頭部装着型ポータブルモジュールとすることもできる。これとは別に又はこれに加えて、呼吸補助装置を、AC電源アダプタに接続して電力を供給するように構成することもできる。
【0024】
1つの形態では、(単複の)ヘッドストラップ内に、1又はそれ以上の電源モジュールを保持する1又はそれ以上のポケットが設けられる。この(単複の)ポケットは、(単複の)電源モジュールを取り外せるように開閉式にできることが好ましい。別の形態では、(単複の)電源モジュールを、ヘッドギアから取り外し可能なようにヘッドギアの一部に解除可能に取り付けることができる。別の形態では、(単複の)電源モジュールを、ユーザの頭頂部を覆って少なくとも部分的に延びるように構成された、ヘッドギアに固定された可撓性パッケージ内に設けることができる。この可撓性パッケージは、可撓性材料の基層によってヘッドギアのヘッドストラップの1つ又はそれ以上に固定できることが好ましい。
【0025】
ヘッドギアは、ユーザがこのヘッドギアを装着した時に1又はそれ以上の電源モジュールとユーザの頭部の表面との間に位置する1又はそれ以上の遮蔽板をさらに具備できることが好ましい。
【0026】
(単複の)電源モジュールは、(充電式又は使い捨ての)電池又は電池パック、燃料電池及び/又はコンデンサから選択された1又はそれ以上のエネルギー貯蔵装置を含むことが好ましい。
【0027】
送風ユニットの軽量インペラは、シュラウドレスとすることができ、又はその材料を削減できることが好ましい。
【0028】
1つの実施形態では、インペラ羽根の遠位端が、羽根の回転方向に湾曲する。別の実施形態では、インペラ羽根が、羽根の回転とは逆方向に湾曲する。
【0029】
いくつかの実施形態では、インペラが一体部品で形成される。
【0030】
いくつかの実施形態では、インペラが15~60mmの半径を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、インペラが、2グラム未満の、好ましくは0.8~1.8グラムの質量を有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、インペラが、gram*mm当たり50:1Paを上回る、好ましくはgram*mm当たり80:1Paを上回る圧力対慣性対半径比を有するように構成される。
【0033】
いくつかの実施形態では、インペラが、15g*mm未満の、好ましくは8~12g*mmの慣性モーメント対半径比を有するように構成される。
【0034】
いくつかの実施形態では、インペラが、16:1又はそれ以上の羽根掃引容積対羽根容積比を有するように構成される。
【0035】
送風ユニットは、インペラを囲い込む上側及び下側の内側面を有するケーシングをさらに含むことができ、インペラは、シュラウドレスであること又はその材料を別様に削減されることにより、ケーシングの上側及び下側の内側面に対して実質的に開放された複数の羽根を有することが好ましい。1つの形態では、このケーシングが呼吸補助装置の一部を成し、又は呼吸補助装置と一体化される。
【0036】
送風ユニットは、ケーシング内に第1及び第2の内部領域を定めるための隔壁をさらに含むことができ、第1の領域は、ケーシングと隔壁により定められて気体入口及びモータを含み、第2の領域は、ケーシングと隔壁により定められてインペラを含み、第1及び第2の領域は、隔壁内に又は隔壁により形成された開口部により流体的に接続されることが好ましい。
【0037】
インペラは回転軸を有することができ、隔壁は回転軸から半径方向に延びることが好ましい。
【0038】
送風ユニットのケーシングは、空気流路によって第2の領域に流体的に接続された渦巻構造をさらに含むことができ、送風ユニットの気体出口は、渦巻構造の周辺部に近接することが好ましい。
【0039】
第1の形態では、送風ユニットが、ステータと、回転自在な駆動シャフトをステータ内で支持するための少なくとも1つの軸受構造とを含むモータを含むことができ、軸受構造は、回転自在な駆動シャフトの軸の周囲に1又はそれ以上の軸受マウントによって支持された1又はそれ以上の軸受を含む。(単複の)軸受マウントは、回転自在なシャフトを迎合的に支持することが好ましい。
【0040】
ステータはステータフレームを含み、1又はそれ以上の軸受マウントの外側部分は、ステータに、及び/又はステータフレームの内面に係合することが好ましい。1つの形態では、1又はそれ以上の軸受マウントの外側部分が、ステータ及び/又はステータフレーム及び/又はその他の構造に係合する。
【0041】
送風ユニットは、ステータとケーシングを結合してモータを迎合的に支持するモータマウントをさらに具備できることが好ましい。
【0042】
軸受マウント及び/又はモータマウントは、可撓性及び/又は弾性であることが好ましい。
【0043】
軸受マウントは、係合構成にある時に弾性及び/又は可撓性をもたらして予荷重を与える材料から作製されることが好ましい。
【0044】
軸受マウントは、減衰をもたらす材料から作製されることが好ましい。
【0045】
軸受マウントは可撓性及び/又は弾性とすることができ、軸受マウントは湾曲した環状体を有することができ、この環状体は、ステータ及び/又はステータフレームと係合した時に、1又はそれ以上の軸受に予荷重を与える係合構成に強制されることが好ましい。
【0046】
モータは、磁界方向制御を用いて動作されることが好ましい。
【0047】
1つの形態では、回転自在な駆動シャフトをプラスチックとすることができる。モータは、ステータ内にロータをさらに含むことができ、回転自在なプラスチック駆動シャフトは、射出成形により形成されてロータに結合されることが好ましい。1つの形態では、モータが、磁石ロータの開口部を貫いて延びてこの開口部に結合された回転自在なプラスチックシャフトを含むことが好ましい。
【0048】
モータのシャフト及びロータアセンブリの製造方法であって、中心開口部を有するロータを第1の金型部分に挿入するステップと、中心開口部を貫いて延びるシャフトを支持するステップと、第1の金型部分に第2の金型部分を結合して、中心開口部の周囲に金型キャビティを形成するステップと、プラスチックシャフトと中心開口部の間にプラスチック挿入体を射出成形してプラスチックシャフトをロータに結合するステップとを含む方法についても説明する。
【0049】
モータのシャフト及びロータアセンブリの製造方法であって、中心開口部を有するロータを第1の金型部分に挿入するステップと、第1の金型部分に第2の金型部分を結合して中心開口部の周囲に金型キャビティを形成するステップと、ロータの中心開口部を貫いて延びてこの中心開口部に結合するプラスチックシャフトを射出成形するステップとを含む方法についても説明する。
【0050】
第2の形態では、送風ユニットが、ステータ内に位置する回転自在なシャフトを含むモータと、ステータ内の回転自在なシャフトを支持する軸受構造とを含み、軸受構造は、1又はそれ以上の軸受マウントを有する。
【0051】
第3の形態では、送風ユニットが、気体入口を有するケーシング内でモータにより駆動される遠心インペラと、第1及び第2の内部領域を定めるための気体出口及び隔壁(又は仕切板)とを含むことができ、この第1及び第2の領域は、隔壁内の開口部によって流体的に接続される。
【0052】
第4の形態では、送風ユニットが、回転自在なシャフトを有するモータと、この回転自在なシャフトをステータ内で支持するための少なくとも1つの軸受構造とを含むことができ、この軸受構造は、回転自在なシャフトに迎合性及び/又は予荷重及び/又は減衰をもたらすための1又はそれ以上の可撓性及び/又は弾性の軸受マウントを有し、送風ユニットは、回転自在なシャフトに結合された軽量インペラと、モータに迎合性及び/又は減衰をもたらすようにステータとハウジングを結合する可撓性及び/又は弾性のモータマウントと、ハウジング内の第1及び第2の内部領域を定めるための隔壁とをさらに含むことができ、この第1及び第2の領域は、隔壁内に又は隔壁により形成された開口部によって流体的に接続される。
【0053】
第5の形態では、送風ユニットが、気体入口と、気体出口と、シャフトを有するモータと、モータに接続され、入口から気体を引き込み出口を通じて気体を放出するための回転自在な軽量インペラとを含み、このインペラは、シュラウドレスであり、又はその材料を別様に削減される。
【0054】
送風ユニットの形態の各々は、送風ユニットの他の形態に関して言及したいずれか1つ又はそれ以上の特徴をさらに含むことができる。
【0055】
呼吸補助装置は、ユーザの呼吸サイクル中にユーザに所望の圧力及び/又は流量の加圧気体流を送達するように送風ユニットを制御するよう構成された内蔵コントローラを有する動作可能な制御システムを含むことが好ましい。一例として、装置は、送風ユニット内のモータ速度を制御することによりユーザに送達される呼吸気体の圧力を制御する、呼吸補助装置又はその内部に取り付けられた内蔵電子コントローラを含むことができる。
【0056】
装置は、動作パラメータを感知し、代表的なセンサ信号を生成してコントローラに送信するように構成された、呼吸補助装置又はその内部に取り付けられた1又はそれ以上のセンサをさらに具備できることが好ましい。
【0057】
装置は、無線電力伝達送信機から電力を受け取るように構成された内蔵無線電力伝達受信機をさらに具備できることが好ましい。
【0058】
装置は、内蔵電源モジュールをさらに具備できることが好ましい。
【0059】
1つの形態では、送風ユニットを本体に解除可能に取り付けることができる。別の形態では、送風ユニットを本体と一体化し、又は本体に固定することができる。
【0060】
1つの形態では、本体が、ユーザの額と係合するように構成された額支持部材と、患者インターフェイスのマスクシールアセンブリを受け入れるためのマスク本体と、額支持部材とマスク本体の間に延びる接続部材と、送風ユニットの気体出口に流体的に接続された気体入口とを含むことができる。本体の額支持部材は水平に配向され、接続部材は、額支持部材と共にT字形部分(又はT字片)を形成するように額支持部材の中心から垂直方向に延び、送風ユニットは、このT字形部分に取り付けられる。1つの形態では、送風ユニットを、使用時にユーザの額領域に位置するように本体の額支持部材上に設け、又は額支持部材に取り付けることができる。
【0061】
1つの形態では、装置が、陽性気道圧(PAP)装置として構成される。例えば、装置をCPAP装置、Bi-PAP装置又はその他のいずれかのPAP装置として動作するように構成することができる。
【0062】
1つの形態では、患者インターフェイスが、本体に解除可能に取り付けられる。別の形態では、患者インターフェイスを本体と一体化することができ、又は本体に固定することができる。
【0063】
1つの形態では、患者インターフェイスが、ユーザの顔に密封係合して鼻を覆うように構成された鼻マスクを含むことができる。
【0064】
別の形態では、患者インターフェイスが、ユーザの顔に密封係合してユーザの鼻と口を覆うように構成されたフルフェイスマスク、ユーザの鼻孔に密封係合する鼻枕マスク、ユーザの鼻孔内部に配置されるように構成された非密封鼻カニューレ、或いはユーザの口又は口内に密封係合するように構成された口腔インターフェイスのうちのいずれか1つを含むことができる。
【0065】
本体は、送風ユニットの気体出口を患者インターフェイスの気体入口に流体的に接続する気体通路又は導管をさらに含み、この気体通路は気体流路の一部を成すことが好ましい。
【0066】
1つの形態では、本体を、装置が使用時に装着された時に、送風ユニットをユーザの顔の額領域に配置し、患者インターフェイスをユーザの顔の鼻領域及び/又は口領域に装着又は配置するように構成することができる。或いは、送風ユニットを患者インターフェイス(例えばマスク)の前部に固定し、又は解除可能に取り付けることもできる。
【0067】
第2の形態では、本発明は、広義にはユーザに呼吸気体流を供給するように構成された頭部装着型呼吸補助装置に動作可能に接続できる基地局にあり、頭部装着型呼吸補助装置は、ユーザの頭部に固定可能な本体と、周囲大気からの気体の供給を受け取るための気体入口を有し、気体出口において加圧気体流を生成する、本体上に設けられた送風ユニットと、送風ユニットの気体出口に気体流路を介して流体的に接続された気体入口を有し、1又はそれ以上の気体出口を介してユーザの鼻及び/又は口に加圧気体を送達するように構成された、本体上に設けられた患者インターフェイスとを備え、基地局は、呼吸補助装置に電力を供給する電源システムと、呼吸補助装置との間でデータを送受信するデータ転送システムと、制御信号を介して呼吸補助装置を制御する制御システムとを備える。
【0068】
1つの形態では、電源システムを、1又はそれ以上の電力伝達ケーブルを介して呼吸補助装置に電力を伝達するように構成することができる。
【0069】
別の形態では、電源システムが、呼吸補助装置に無線で電力を伝達するように構成された無線電力伝達回路を含むことができる。
【0070】
データ転送システムは、有線又は無線通信媒体を介して基地局と呼吸補助装置の間でデータを転送する第1の通信モジュールを具備できることが好ましい。
【0071】
データ転送システムは、有線又は無線通信媒体を介して基地局と外部サーバの間でデータを転送する第2の通信モジュールをさらに具備できることが好ましい。
【0072】
制御システムは、オン/オフモード、充電モード、乾燥モード及び/又はデータ転送モードからなる動作モードのうちのいずれか1つ又はそれ以上を制御するための制御信号を呼吸補助装置に送信できることが好ましい。
【0073】
1つの形態では、制御システムを、基地局と呼吸補助装置の間に動作可能な接続が検出されたかどうかに基づいて、1又はそれ以上の動作モードを制御するための制御信号を呼吸補助装置に自動的に送信するように構成することができる。
【0074】
第3の態様では、本発明は、広義には呼吸補助システムにあり、この呼吸補助システムは、ユーザに呼吸気体流を供給するように構成された、ユーザの頭部に固定可能な本体と、周囲大気からの気体の供給を受け取るための気体入口を有し、気体出口において加圧気体流を生成する、本体上に設けられた送風ユニットと、送風ユニットの気体出口に気体流路を介して流体的に接続された気体入口を有し、1又はそれ以上の気体出口を介してユーザの鼻及び/又は口に加圧気体を送達するように構成された、本体上に設けられた患者インターフェイスとを含む頭部装着型呼吸補助装置と、呼吸補助装置に無線で電力を供給するように構成された無線電源システムとを備える。
【0075】
無線電源は、呼吸補助装置に送風ユニットを作動させるための電力を供給するように構成できることが好ましい。
【0076】
呼吸補助装置は、様々な動作パラメータを感知して代表的なセンサ信号を生成するように構成された1又はそれ以上のセンサを含むことができ、無線電源は、センサに電力を供給するように構成されることが好ましい。
【0077】
第4の態様では、本発明は、広義には呼吸補助システムにあり、この呼吸補助システムは、ユーザに呼吸気体流を供給するように構成された、ユーザの頭部に固定可能な本体と、周囲大気からの気体の供給を受け取るための気体入口を有し、気体出口において加圧気体流を生成する、本体上に設けられた送風ユニットと、送風ユニットの気体出口に気体流路を介して流体的に接続された気体入口を有し、1又はそれ以上の気体出口を介してユーザの鼻及び/又は口に加圧気体を送達するように構成された、本体上に設けられた患者インターフェイスとを含む頭部装着型呼吸補助装置と、動作パラメータを感知して代表的なセンサ信号を生成するように構成された、呼吸補助装置に、又は呼吸補助装置の内部に取り付けられた1又はそれ以上の無線センサとを備える。
【0078】
1又はそれ以上の無線センサは、生成されたセンサ信号を別個の外部装置又はシステムに無線で直接的に又は間接的に送信するように構成できることが好ましい。
【0079】
1又はそれ以上の無線センサには、呼吸補助装置に無線で接続された無線電力伝達システムによって無線で給電できることが好ましい。
【0080】
第5の態様では、本発明は、広義には呼吸補助システムにあり、この呼吸補助システムは、ユーザに呼吸気体流を供給するように構成された、ユーザの頭部に固定可能な本体と、周囲大気からの気体の供給を受け取るための気体入口を有し、気体出口において加圧気体流を生成する、本体上に設けられた送風ユニットと、送風ユニットの気体出口に気体流路を介して流体的に接続された気体入口を有し、1又はそれ以上の気体出口を介してユーザの鼻及び/又は口に加圧気体を送達するように構成された、本体上に設けられた患者インターフェイスとを含む頭部装着型呼吸補助装置と、呼吸補助装置に内蔵された、外部装置及び/又はシステムとの間でデータを送受信する無線通信モジュールとを備える。
【0081】
呼吸補助装置は、動作パラメータを感知して代表的なセンサ信号を生成するように構成できる1又はそれ以上のセンサを含み、通信モジュールは、生成されたセンサ信号を別個の外部装置又はシステムに送信するように構成されることが好ましい。
【0082】
呼吸補助装置は、ユーザによる呼吸補助装置の使用を示す使用データを記憶するように構成された内蔵電子コントローラを含むことができ、通信モジュールは、使用量データを別個の外部装置又はシステムに無線で転送するように構成されることが好ましい。
【0083】
第6の態様では、本発明は、広義にはユーザに呼吸気体流を供給するように構成された頭部装着型呼吸補助装置にあり、この装置は、ユーザの頭部に固定可能な本体と、周囲大気からの気体の供給を受け取るための気体入口を有し、気体出口において加圧気体流を生成する、本体上に設けられた送風ユニットと、送風ユニットの気体出口に気体流路を介して流体的に接続された気体入口を有し、1又はそれ以上の気体出口を介してユーザの鼻及び/又は口に加圧気体を送達するように構成された、本体上に設けられた患者インターフェイスと、呼吸装置に電力を供給するように構成された頭部装着型電源とを備える。
【0084】
別の態様では、ユーザに呼吸気体流を供給するように構成された頭部装着型呼吸補助装置であって、ユーザの頭部に固定可能な本体と、周囲大気からの気体の供給を受け取るための気体入口を有し、気体出口において加圧気体流を生成する、本体上に設けられた送風ユニットと、送風ユニットの気体出口に気体流路を介して流体的に接続された気体入口を有し、ユーザの鼻及び/又は口に加圧気体を送達するように構成された、本体上に設けられた患者インターフェイスとを備えた頭部装着型呼吸補助装置についても説明する。
【0085】
いくつかの実施形態では、呼吸補助装置を、バイアス流をもたらすように構成することができ、また呼吸補助装置は、患者インターフェイスの近くに、呼気の一部を呼吸補助装置から排出できる1又はそれ以上の気体流出孔を含むことができる。他の実施形態では、呼吸補助装置を、ゼロバイアス流を有するように構成することができる。
【0086】
別の態様では、上記の態様のいずれかによる頭部装着型呼吸補助装置と、未使用時に呼吸補助装置を受け入れて保持するように構成された基地局とを備えた呼吸補助システムについても説明する。
【0087】
上述した本発明の各態様は、他の態様に関して述べた特徴のいずれか1つ又はそれ以上をさらに有することができる。
【0088】
本明細書及び特許請求の範囲で使用する「バイアス流」という表現は、内容上別途示唆していない限り、呼吸補助装置上に設けられ、装置内の空気又は気体流路の一部に流体的に接続された、或いは流路の一部又はこれに沿って設けられた1又はそれ以上の気体噴出孔又は気体流出孔からの、呼吸補助装置から周囲の外気への意図的な又は制御された気体の漏れ又は流れを意味するように意図されている。
【0089】
本明細書及び特許請求の範囲で使用する「ゼロバイアス流」又は「ゼロバイアス」という表現は、内容上別途示唆していない限り、無バイアス流、或いはいくつかの実施形態では毎分5リットル以下の最低限のバイアス流を意味するように意図されている。
【0090】
本明細書及び特許請求の範囲で使用する「含む(comprising)」という用語は、「少なくとも部分的に~から成る」ことを意味する。本明細書及び特許請求の範囲における「含む(comprising)」という用語を含む各記載を解釈する際には、この用語に続く1又は複数の特徴以外の特徴が存在することもある。「~を含む(comprise及びcomprises)」などの関連する用語も同様に解釈されたい。
【0091】
本明細書で開示する数字範囲(例えば、1~10)に対する言及は、その範囲内の全ての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9及び10)、及びその範囲内の有理数のあらゆる範囲(例えば、2~8、1.5~5.5及び3.1~4.7)に対する言及も含み、従って本明細書で明示的に開示する全ての範囲の全ての部分的範囲を本明細書により明示的に開示することが意図されている。これらは、具体的に意図しているものについての一例にすぎず、同様に本出願では、列挙する最も低い値と最も高い値の間の全ての考えられる数値の組み合わせも明示的に表していると見なすべきである。
【0092】
本明細書で使用する「及び/又は(and/or)」という用語は、「及び」又は「又は」、或いはこれらの両方を意味する。
【0093】
本明細書で使用する名詞の後の「(s)」は、名詞の複数形及び/又は単数形を意味する。
【0094】
本発明は上述した通りのものであり、以下にほんの一例として示す構成も想定される。
【0095】
以下の図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態をほんの一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【
図1】モジュール構成送風ユニットが加湿ユニットに接続された既知の形の呼吸補助装置の概略図である。
【
図2】送風ユニット及び加湿ユニットが単一のメインハウジングに組み込まれた別の既知の形の呼吸補助装置の概略図である。
【
図7】本発明の実施形態による、頭部装着型送風ユニットをユーザの頭部に取り付けた状態を図示しヘッドギアは示していないウェアラブル呼吸補助装置の斜視図である。
【
図8】
図7の呼吸補助装置のユーザを省略した前部上方斜視図である。
【
図9】
図7の呼吸補助装置の後側下方斜視図である。
【
図13】
図7の呼吸補助装置の、フレームを省略し、マスクシール、送風ユニット及び額バンパー要素を詳細に示す後部下方斜視図である。
【
図14】
図7の呼吸補助装置のフレームの後面斜視図である。
【
図15】
図7の呼吸補助装置のフレームの正面斜視図である。
【
図16】
図7の呼吸補助装置のフレームの側面図である。
【
図17】
図7の呼吸補助装置の送風ユニットの正面斜視図である。
【
図18】
図7の呼吸補助装置の送風ユニットの後面斜視図である。
【
図19】気体入口フィルタを取り外してモータアセンブリを露出させた
図17の送風ユニットの正面斜視図である。
【
図20】送風ユニットケーシングからモータアセンブリを取り外した
図19の送風ユニットの正面斜視図である。
【
図21】ケーシングの後側の一部を切り取ってインペラを露出させた
図17の送風ユニットの後面斜視図である。
【
図23】本発明の実施形態による、
図17の送風ユニットのインペラの斜視図である。
【
図24】本発明の実施形態による、
図17の送風ユニットのインペラの平面図である。
【
図25A】本発明の別の実施形態による、
図17の送風ユニットのインペラの斜視図である。
【
図25B】本発明の別の実施形態による、
図17の送風ユニットのインペラの平面図である。
【
図26A】本発明の別の実施形態による、
図17の送風ユニットのシュラウド材料を減らしたインペラの平面図である。
【
図26B】本発明の別の実施形態による、
図17の送風ユニットのシュラウド材料を減らしたインペラの斜視図である。
【
図26C】本発明の別の実施形態による、
図17の送風ユニットのウェブ構造を有するインペラの平面図である。
【
図26D】本発明の別の実施形態による、
図17の送風ユニットのウェブ構造を有するインペラの斜視図である。
【
図27】本発明の第1の実施形態による、
図17の送風ユニットのモータ及びインペラアセンブリの上方斜視図である。
【
図28】本発明の実施形態による、
図27のモータアセンブリのステータ絶縁装置の上方斜視図である。
【
図29】
図27の送風ユニットのモータ及びインペラアセンブリのステータ絶縁装置要素を省略した上方斜視図である。
【
図30】
図29のモータ及びインペラアセンブリの上部ステータ取り付け部を省略した上方斜視図である。
【
図31B】
図27のモータ及びインペラアセンブリの上部及び下部軸受マウント、磁石及びインペラの側面図である。
【
図32A】本発明の第2の実施形態による、
図17の送風ユニットのモータ及びインペラアセンブリの斜視図である。
【
図32B】第2の実施形態のモータのステータ積層体を示す図である。
【
図32C】第2の実施形態のモータの磁極面を示す図である。
【
図32D】第2の実施形態のモータの軸受マウントを示す図である。
【
図32E】第2の実施形態のモータ及びインペラの断面図である。
【
図32F】第2の実施形態のモータのモータ取り付け構造を示す図である。
【
図33A】モータの一部を形成する金属シャフト及び磁石ロータアセンブリを示す図である。
【
図33B】モータの一部を形成する金属シャフト及び磁石ロータアセンブリを示す図である。
【
図33D】モータの別の実施形態の一部を形成するプラスチックシャフト及び磁石ロータアセンブリを示す図である。
【
図33E】
図33Dのプラスチックシャフト及びロータアセンブリを製造するための射出成形ツールを示す図である。
【
図33F】
図33Dのプラスチックシャフト及びロータアセンブリを製造するための射出成形ツールを示す図である。
【
図33G】金属シャフト/挿入体ロータアセンブリの射出成形工程のフロー図である。
【
図33H】プラスチックシャフトロータアセンブリの射出成形工程のフロー図である。
【
図34】本発明の実施形態による、ユーザに装着し、ヘッドギアによってユーザの頭部に取り付けた
図7の呼吸補助装置の斜視図である。
【
図35A】本発明の別の実施形態による、ユーザに装着し、ヘッドギアによってユーザの頭部に取り付けた、ヘッドギアの上部及び/又は下側ヘッドストラップに電池を組み込んだ
図7の呼吸補助装置の斜視図である。
【
図35B】本発明の別の実施形態による、ユーザに装着し、ヘッドギアによってユーザの頭部に取り付けた、上部及び下側ヘッドストラップ及び電池モジュールをユーザの頭頂部に取り付けた
図7の呼吸補助装置の斜視図である。
【
図36】本発明の代替実施形態による、ユーザの頭部に取り付けたウェアラブル呼吸補助装置の斜視図である。
【
図37】本発明の別の代替実施形態による、ユーザの頭部に取り付けたウェアラブル呼吸補助装置の斜視図である。
【
図38】本発明の別の代替実施形態による、ユーザの頭部に取り付けたウェアラブル呼吸補助装置の正面図である。
【
図39】本発明の別の代替実施形態による、ユーザの頭部に取り付けたウェアラブル呼吸補助装置の斜視図である。
【
図40】従来の送風ユニットの圧力応答グラフである。
【
図41】本発明の実施形態による送風ユニットの圧力応答グラフである。
【
図42】従来の送風ユニットの平均音圧レベルのグラフである。
【
図43】本発明の実施形態による送風ユニットの平均音圧レベルのグラフである。
【
図44】ウェアラブル呼吸補助装置と通信し、呼吸補助装置に疎結合無線電力伝達を行うための独立電源マットを駆動する第1の実施形態の基地局の概略図である。
【
図45】ウェアラブル呼吸補助装置に直接データ通信と無線電力伝達を行う第2の実施形態の基地局の、内蔵電池を有しているウェアラブル呼吸補助装置と有していないウェアラブル呼吸補助装置という2つの異なる実施形態を一例として示す概略図である。
【
図46】ウェアラブル呼吸補助装置とデータ通信するデータハブの形の第3の実施形態の基地局、さらには給電及び/又は充電用の独立電源ケーブルの、内蔵電池を有するウェアラブル呼吸補助装置及び無電池型ウェアラブル呼吸補助装置のための様々な異なる給電及び/又は充電構成、又はこのような装置から取り外し可能な電池の充電を詳細に示す概略図である。
【
図47】ウェアラブル呼吸補助装置とデータ通信し、バッテリーパック充電ドックと給電及び/又は充電用電源ケーブルとを含む第4の実施形態の基地局の、内蔵電池を有するウェアラブル呼吸補助装置及び無電池型ウェアラブル呼吸補助装置のための給電及び/又は充電構成を詳細に示す概略図である。
【
図48】ウェアラブル呼吸補助装置とデータ通信し、呼吸補助装置の無線充電用一体型充電マットと給電及び/又は充電用電源ケーブルとを含む第5の実施形態の基地局の、内蔵電池を有するウェアラブル呼吸補助装置及び無電池型ウェアラブル呼吸補助装置の給電及び/又は充電構成を詳細に示す概略図である。
【
図49】ウェアラブル呼吸補助装置とデータ通信し、給電及び/又は充電用電源ケーブルを含む第6の実施形態の基地局の、内蔵電池を有するウェアラブル呼吸補助装置及び無電池型ウェアラブル呼吸補助装置のための様々な異なる給電及び/又は充電構成、又はこのような装置から取り外し可能な電池の充電を詳細に示す概略図である。
【
図50】呼吸器系装置に疎結合無線電力伝達を行うための独立電源マットを介してウェアラブル呼吸補助装置と直接通信する第7の実施形態の基地局の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0097】
概要
本発明は、ユーザ又は患者に呼吸療法のための呼吸気体流を供給できる呼吸補助装置(呼吸装置)に関する。CPAP呼吸装置として構成された呼吸装置の実施形態を一例として説明するが、この呼吸装置は、限定するわけではないが、Bi-PAP療法、又はユーザに気体流を送達する他のいずれかの好適な呼吸療法を含むその他のPAP療法のために適合又は構成することもできると理解されるであろう。
【0098】
ウェアラブル
図7~
図12を参照して分かるように、この実施形態では、呼吸装置20がポータブルかつ完全にウェアラブルである。具体的には、呼吸装置20は、頭部装着型CPAP呼吸装置の形をとる。呼吸装置20は、CPAP装置及び療法の当業者には周知のような制御可能な連続的圧力で呼吸気体(例えば大気)流を送達又は供給する。この呼吸装置は、単一の流量及び/又は圧力に特化されているか、又は複数の異なる流量及び/又は圧力に特化されているか、或いは様々な範囲の流量及び/又は圧力で動作するように構成されているかどうかに関わらず、患者に必要ないずれかの所望の流量及び/又は圧力で気体を送達するように構成することができる。ほんの一例として、この呼吸装置は、毎分0~120リットルの範囲の1又は複数の流量で気体を送達することができ、また0~25cmH
2Oの範囲の1又は複数の圧力を生じることも、或いは患者要件に応じてこれらの範囲の部分的範囲内で動作するようにカスタマイズすることもできる。呼吸装置20は、頭部装着可能な又は別様にウェアラブルなユニット又はアセンブリ内に主要構成要素が全て設けられるという点でポータブルである。以下でさらに詳述するように、呼吸装置の電源は、やはり頭部装着型とすることも、或いは本体に配線で接続し、ユーザが例えばポケットに入れて又はベルトに取り付けて持ち運ぶこともできる。呼吸装置20は、送風ユニット24及び患者インターフェイス又はマスク26が一体化され、固定され、又は解除可能に取り付けられた基部又は本体20を含む。呼吸装置20は、
図10の矢印Aで示すユーザに向く側(すなわち後側)、及び矢印Bで示す外向き側(すなわち前側)を有する。
【0099】
送風ユニット24は、送風機気体入口28を介して周囲の大気中の気体又は空気を引き込み又は吸い込み、その後これらの気体を加圧して加圧気体の供給又は流れを生み出すように構成された回転自在なインペラを含む。CPAP装置及び療法の当業者であれば理解するように、送風ユニット24は、マスク26において所要のレベルの気体流及び/又は気体圧を生成するように1又はそれ以上の制御信号によって制御できる制御可能な可変速ファンユニットを含む。
【0100】
送風ユニット24は、送風ユニット24により生成された加圧気体がマスク26の内部キャビティ30(
図9を参照)に流れ込み、使用するマスクのタイプに応じてユーザが鼻及び/又は口を通じて吸い込み又は呼吸できるように、空気通路又は気体通路を介してマスク26と流体的に接続又は流体連通する。この実施形態では、ユーザの顔の鼻の周囲に密封係合するように構成された鼻マスク26を設けているが、代わりに、以下に限定するわけではないが、ユーザの鼻と口を覆うフルフェイスマスク、ユーザの口用の口腔マスク、鼻カニューレ又はプロング、又は呼吸気体のための他のいずれかの好適なマスク又は患者インターフェイスを含む他の患者インターフェイス又はマスクを使用することもできる。
【0101】
呼吸装置20上には、ユーザの頭部に装置を固定するためのヘッドギア(
図7~
図12には図示せず)が設けられる。呼吸装置をユーザの頭部に固定するために使用できるヘッドギアアセンブリ構成は様々であり、ヘッドギア構成のいくつかの例については後程一例として説明する。ヘッドギア構成のいくつかの例は、送風ユニット24の近傍で呼吸装置の上部に接続又は結合され、ユーザの頭部上方の耳よりも上側の周囲に延びる上側ヘッドストラップと、マスク26の近傍で呼吸装置の下部に結合又は接続され、ユーザの頭部下方の、典型的には耳の高さの又はそれよりも下側の周囲に延びる下側ヘッドストラップとを含む。
【0102】
コントローラ
呼吸装置20は、(マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ又は同様のものなどの)内蔵電子コントローラ、或いは送風ユニット24、本体22又は呼吸装置の別の部分又はその内部に取り付けられた制御システムを有する。CPAP呼吸装置の当業者であれば理解するように、この電子コントローラは、他の機能と同様に、主に送風ユニット24内のモータ速度を制御することによってユーザに送達される呼吸気体の圧力を制御するように構成される。例えば、使用時には、送風ユニットがユーザにより指定された圧力レベルに設定され、及び/又はこの圧力レベルを自動的に制御することもできる。好ましい実施形態の流量は、ユーザの呼吸に応じて使用中に変化する。送風ユニットへの電力を変化させると、インペラが回転している速度、従って圧力を変化させることができる。
【0103】
この電子コントローラは、呼吸装置上に設けられた1又はそれ以上のスイッチ、ボタン、ダイヤル、タッチ画面制御パネルを含む内蔵ユーザインターフェイス又は制御パネルによって制御することができる。これに加えて又はこれとは別に、この内蔵コントローラは、RF通信、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、赤外線、又は他のいずれかの無線通信規格又は技術などの無線通信媒体を介して内蔵コントローラと通信する(リモコン装置、パーソナルコンピュータ、スマートフォンアプリケーションを実行するスマートフォンなどのポータブル通信装置、又はその他のいずれかのプログラム可能なポータブル又は別の装置などの)外部制御装置により遠隔的に動作させ、又は制御することもできる。
【0104】
いくつかの実施形態では、このコントローラを、送風ユニット内のモータの(磁界方向制御としても知られている)センサレスベクトル制御を採用するように構成することができる。
【0105】
制御システムは、様々な動作パラメータを感知してコントローラのための代表的なセンサ信号を生成するように構成された1又はそれ以上のセンサを呼吸装置内に含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、呼吸システムが、空気流路内に流量センサ及び/又は圧力センサを含むことができる。CPAP呼吸装置の当業者には周知のように、感知された信号はコントローラによって処理され、ユーザに所望の圧力及び/又は流量を送達するように送風ユニット内のモータを制御するために使用される。
【0106】
制御システムは、必要に応じてさらなる機能又は利点をもたらすように、EEGセンサ、湿度センサ、温度センサなどのさらなるセンサ又は加速度計を含むこともできる。
【0107】
センサは、有線又は無線、或いはこれらの組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態では、センサを内蔵電源モジュールに配線接続することも、又は接続範囲内の無線電力伝達システムによって無線でセンサに給電することもできる。いくつかの実施形態では、生成されたセンサ信号及び/又はセンサデータをコントローラが受け取るように、センサが内蔵コントローラに配線接続される。これに加えて又はこれとは別に、センサを、センサ信号又はセンサデータを内蔵コントローラに無線で、又は接続範囲内の外部システム又は装置に直接的に送信するように構成することもできる。
【0108】
電源
呼吸装置20は、頭部装着型の内蔵電源パッケージ又はモジュールによって給電されることが好ましい。電源モジュールは、エネルギー貯蔵装置、又は以下に限定されるわけではないが、通常は必ずしも充電式とは限らない1又はそれ以上の電池を含む電池パッケージ、燃料電池、コンデンサ、又はその他のいずれかの好適なエネルギー貯蔵装置などの装置の形をとることができる。電源及び関連する電源回路は、呼吸装置の送風ユニット24又は本体22又はこれらの内部などに取り付けることも、或いはヘッドギア又は呼吸装置のその他のいずれかの部分に取り付け、又はこれらに一体化することもできる。これに加えて又はこれとは別に、電源モジュールを、頭部非装着型ではあるが別様にポータブルかつウェアラブルなものとし、電力ケーブル又はその他の配線接続によって呼吸装置に接続することもできる。このような実施形態では、電源モジュールを持ち運び又は身に付けることができ、例えばユーザが移動している場合、例えばユーザの衣類のポケットに入れて又はベルトに取り付けて持ち運ぶことができる。そうでなければ、必要に応じて電源モジュールをユーザの近くの便利な場所に下ろすこともできる。通常、電源モジュールはDC電源である。これに加えて又はこれとは別に、呼吸装置を、コンセントのAC電源に接続してこれを呼吸装置のDC電源に変換するAC電源アダプタに任意に接続するように構成することもできる。AC電源アダプタにより供給される電力は、呼吸装置に内蔵された任意のバッテリー電源モジュールを再充電するように構成することもできる。
【0109】
電源モジュールが充電式電池パックなどの充電式エネルギー貯蔵装置である場合、又は充電式電池を含む場合には、有線充電システム、又は誘導性電力伝達を含む無線充電システムによって電源モジュールを再充電することができ、そのいくつかの例については
図44~
図50を参照しながら後程説明する。
【0110】
いくつかの実施形態では、後述するように呼吸装置を無電池式(すなわち内蔵電源モジュールを有していないもの)とし、AC電源アダプタによって直接給電し、又は無線電力伝達システムを介して給電することができると理解されるであろう。
【0111】
受動的加湿
この実施形態では、呼吸装置20が、マスクキャビティ内の蓄積された水分又は湿度、及びユーザの呼気により形成される呼吸装置内の空気流通路又は空気流路の残りの容積を使用して、呼吸気体の受動的加湿及び加温又は加熱を行うように構成される。この受動的加湿は、呼吸気体を加熱することもできる。この受動的加湿法により、従来のCPAP療法の呼吸装置で知られているような、送風ユニットの後ろに加湿用チャンバを含む従来の加湿ユニットによって一般に行われる能動的加湿の要件が排除される。いくつかの実施形態では、空気流路内に1又はそれ以上の熱湿交換器(HME)を設けて、受動的加湿の再循環効果をさらに高めることもできる。
【0112】
いくつかの実施形態では、マスク結露制御/低減法を使用することもできる。この方法は、以下に限定されるわけではないが、透過性マスク材料、液滴収集システム、及びマスク面の加熱を含む。
【0113】
ゼロバイアス流
この実施形態では、呼吸装置20が、
図1及び
図2を参照しながら説明したような、患者インターフェイス5への可撓性気体導管3に沿って患者に呼吸気体が送達される鼻マスクなどの従来のCPAP療法呼吸装置において知られているように、バイアス流を用いてユーザから呼気が吐き出されるのを支援することをしない。この実施形態では、呼吸装置が、ゼロバイアス流構成を有する。呼吸装置20は、従来のCPAP呼吸装置のように呼気の洗浄を支援するためにバイアス流を必要とすることなくCO
2の再吸入を許容できる又は望ましいレベルに制御又は低減するほど十分に小さな容積の、送風機入口28とマスク26の出口領域との間に定められた実質的に密封された内部空気流通路又は空気流路を含むように構成される。呼吸装置20内の内部空気流路又は気体経路の全容積は、一般に大気とユーザの口との間の呼吸補助装置内の空気流路又は気体経路、すなわち送風ユニット24の気体入口から(患者インターフェイスのタイプに応じて)ユーザの鼻及び/又は口における患者インターフェイス又はマスク26の気体出口又は出口領域までの空気流路又は気体経路の全累積容積によって定められ、送風ユニット24の内部容積、本体22内の送風ユニット24の出口とマスク26の入口との間のあらゆる空気流路又は接続ポート、及びマスク26の内部容積又はキャビティ30を含む。この空気流路の容積は、制御することによって呼気の一部が呼吸装置を逆向きに通過し、呼吸装置の送風ユニットの気体入口28から大気中に排出されるようになるので、CO
2の再吸入を望ましいレベルに制御するように所定の範囲内に収まるよう構成される。この実施形態では、内部空気流路の全容積が200mL未満であることが好ましい。
【0114】
他の実施形態では、呼吸装置を、通常は患者インターフェイス又はマスク内又は空気流路内のどこかに存在する1又はそれ以上の気体流出孔を介して、典型的には
図1及び
図2の従来のCPAP療法呼吸装置で提供されるレベルに比べて低いレベルの、「低い」又は少ない量のバイアス流を提供するように任意に構成することもできる。いくつかの実施形態では、バイアス流のレベルを制御可能とすることができる。
【0115】
加熱
いくつかの実施形態では、送風ユニット24において呼吸気体のさらなる加熱を行い、モータ及び制御回路から消散した熱が、流入する呼吸気体を強制的な対流熱伝達によって大気温度よりも高く加熱するように作用させることができる。
【0116】
基地局
この実施形態では、呼吸装置が、電池パック又は同様のものなどのいずれかの内蔵エネルギー貯蔵装置の動作及び/又は充電のために呼吸装置に給電を行うように構成された独立した基地局も任意に備える。この基地局は、コンプライアンスデータを転送するためのデータ通信を行うようにさらに構成することができ、及び/又は未使用時に呼吸装置をドッキングさせ、又は取り付け、又は別様に格納できるドッキングステーション又は取り付けスタンドとして構成することができる。基地局は、テーブルなどの平面上に載るように構成されたユニット又はアセンブリとすることも、又は壁掛け式とすることも、或いは便利な場所にある他のいずれかの構造に固定することもできる。基地局は、呼吸装置がドッキングし、又は別様に接続範囲内に存在する時に、いずれかの内蔵電源の動作中及び/又は再充電中に呼吸装置に接続して給電するように構成された一体型の又は独立した電力モジュール又はシステムを備え、又はこれらを制御することができる。電力システムは、呼吸装置又は(以下に限定されるわけではないが、電磁誘導電力伝達、電磁放射電力伝達などの)無線エネルギー転送システムに配線ケーブル接続を介して接続することができる。これに加えて又はこれとは別に、基地局は、コンプライアンスデータの転送、メモリスティックインターフェイス、較正、乾燥、クリーニング、クロックラジオ、音楽プレーヤのための通信モジュールなどの他の任意の特徴及び機能を提供することもできる。基地局の様々な実施形態については、ほんの一例として
図44~
図50を参照しながら後述する。
【0117】
モデルの変形例
いくつかの実施形態では、呼吸補助装置の要素又は構成部品の一部又は全部を、以下に限定されるわけではないが、マスク又はマスクアセンブリ、送風ユニット及び本体自体又はこれらの構成部品を含めて使い捨て又は交換可能とすることができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、送風ユニット及び患者インターフェイスの一方又は両方を、異なる患者インターフェイス又は異なるタイプ、仕様、サイズ又はその他のいずれかの特性の送風ユニットを本体に接続して、呼吸装置の動作、能力、仕様、特性及び/又は機能を特定のアプリケーション又はエンドユーザの要件に適合するように変更又はカスタマイズできるよう、本体に解除可能又は取り外し可能に装着又は取り付けられたモジュール式構成部品とすることができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、呼吸補助装置を、例えば1~4cmH2Oなどの限られた圧力範囲で動作させることにより、いびき治療装置として提供又は構成することができる。このような実施形態では、呼吸補助装置のサイズが、PAP療法のために構成された装置よりも小型になると思われる。
【0120】
いくつかの実施形態では、呼吸補助装置を、一般家庭又は睡眠専門クリニックで使用できるように診断モードで動作するよう構成することができる。このような実施形態では、呼吸補助装置が、1又はそれ以上の追加センサ(EEG、加速度計、SpO2など)を有することができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、呼吸補助装置を、患者が目覚めていることを検出した時に、又は例えば装置上のボタンを押すことなどの患者の手動介入により、或いは目覚めた状態を示す頭又は体の動きを検出したことにより、「ゼロ圧力」モード又は「低圧」モードに切り替え可能とすることができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、呼吸補助装置の複数の異なるモデルを提供し、これらの各々を、装置の重量及びサイズを圧力範囲毎に最小化するために特定の限られた圧力範囲で動作ように構成し、そのモデルの目標圧力範囲に対して最適化された送風ユニット及び電源を有するようにすることができる。例えば、1つの実施形態では、それぞれが4~10、18~14及び12~20cmH2Oの圧力範囲をカバーする3つの別個のモデルを提供することができる。
【0123】
本体及びマスクアセンブリ
図7~
図16を参照しながら、呼吸装置20の本体22及びマスク26についてさらに詳述する。
図14~
図16には、本体22を分離して示す。この実施形態では、本体22の上部又は頂部が、本体の残り部分に対して概ね水平又は横方向に延びるように構成された額支持部材32を含む。この額支持体32は、ユーザが装着した時にユーザの額近傍に位置するように構成される。本体22の下部又は底部は、呼吸装置20のマスク26又はマスクアセンブリの一部を成すマスク本体34を含む。額支持体32とマスク本体34は、中心部を垂直に延びる垂直支持部材又は接続部材36によって互いに接続される。この実施形態では、額支持体32、垂直支持体36及びマスク本体34を、以下に限定されるわけではないが、ポリカーボネート、ナイロン、アセチル又はその他の同様の剛性プラスチックなどの剛性プラスチック材料で形成することが好ましい。部品32、34、36は、単一片として一体成形されることが好ましいが、代替の実施形態では、これらの部品を別個に形成し、接続、固定又は別様に解除可能に互いに結合して本体22を形成することもできると理解されるであろう。水平額支持部材32と垂直支持部材36は組み合わさってT字形を形成し、従って「T字片」と総称することができる。
【0124】
この実施形態では、額支持体32が実質的に水平方向に細長く、第1の端部38aと第2の端部38bの間に延びる。各端部又は各端部方向には、ヘッドストラップのそれぞれの端部を解除可能に又は固定して接続又は結合できる接続開口部40が設けられる。額支持体32には、本体22のユーザの方を向く側に1又はそれ以上のパッド又はクッション44を解除可能に又は固定して取り付けることができる1又はそれ以上の取り付け開口部42も設けられる。この実施形態では、各々が額支持体32の中心に対してそれぞれの側に向かって位置する、それぞれのクッション部材44(
図13を参照)を受け入れて保持するための1対の取り付け開口部42が設けられる。この実施形態では、取り付け開口部42が、クッション部材44の後側に設けられた相補的な取り付け構造44aを解除可能に受け入れて保持するように構成される。使用時には、額支持体32がユーザの額に接して位置し、固定時にマスク26に安定性をもたらす。
【0125】
この実施形態では、本体22のマスク本体34が、本体22の1又は複数の空気流路を介してマスク本体34と流体連通する接続された送風ユニット24から呼吸気体が供給される内部キャビティ30(
図14を参照)を形成する。
図15及び
図16を参照して分かるように、マスク本体34には、マスク本体の正面の頂部又はこの方向に存在し、この実施形態では中央に位置し又は本体22の垂直支持体36と位置合わせされた気体入口50が設けられる。マスク本体の入口50からは気体流路又は通路が延び、マスク本体34の内部キャビティ30内に終端又は開口する。
【0126】
この実施形態では、マスク26又はマスクシールアセンブリが、マスク本体34に解除可能に取り付けられるように構成される。
図13を参照して分かるように、この実施形態のマスク26は鼻マスクであり、ユーザの顔の鼻の周囲に密封係合するように構成されるとともに、前部ユーザ係合側26a及びマスク本体34と係合する後側26bを有する。マスクシールアセンブリ26は、その前側26aに、ユーザの顔の輪郭に実質的に適合又は一致して密封係合するように成形された可撓性シール又はクッションを含むことができ、その後側26bには、マスク本体34上に設けられた相補的な受け入れ及び保持構造を解除可能に取り付け又はこれに係合するためのプラスチッククリップを設けることができる。例えば、マスクシールアセンブリ26のプラスチック又は剛性クリップは、マスクシールアセンブリ26の後側26bの周縁部の周囲に延びて、マスク本体34の周縁部34a(
図14を参照)の周囲に延びる相補的な形状の窪み又は構造に係合又は解除可能に結合する構造とすることができる。マスクシールアセンブリ26の前側26aの可撓性シールは、例えばシリコンなどの軟質プラスチック材料で形成することができる。患者インターフェイスの当業者であれば、マスク本体34及びマスクシールアセンブリ26により形成されるマスクアセンブリの構造及び構成を理解するであろうが、一例として米国特許出願公開第2010/0006101号明細書に記載されているタイプのものとすることができ、この特許出願の内容は引用により本明細書に組み入れられる。マスク26は、必要に応じて除去、交換又は洗浄できるようにマスク本体34に解除可能に取り付けられることが好ましいが、代替の実施形態では、マスクをマスク本体34と一体に形成し、又はマスク本体34に固定することもできると理解されるであろう。
【0127】
この実施形態では、マスク本体34の前側に、ヘッドギアアセンブリの一部を摺動自在に受け入れて保持するように構成された1又はそれ以上のクリップ52(
図15及び
図16を参照)又は保持構造が設けられる。例えば、ヘッドギアアセンブリは、ユーザの頭部の耳の高さよりも下方又は耳の高さで延び、クリップ52によって呼吸装置の下部に接続される下部ストラップを有することができる。1つの実施形態では、後程さらに詳述するように、この下側ヘッドストラップが、マスクアセンブリがヘッドギアに対して横方向に移動できるように1又はそれ以上のクリップ52内で摺動又は滑動できる細長い滑動部材を含むことができる。
【0128】
この実施形態では、送風ユニット24が、使用時にユーザの額領域に位置するように本体22に取り付けられる。例えば、送風ユニット24は、本体の上部の例えばT字片上に設けられ、又はT字片に取り付けられる。この実施形態では、送風ユニット24が額支持体32に対して、又はT字片の額支持体領域内に取り付けられ、通常は本体の両側面に対して中央に位置する。
【0129】
この実施形態では、送風ユニット24が本体22に解除可能に取り付けられる。額支持部材32には、送風ユニット24(
図13を参照)の後側に設けられた相補的な取り付け突出部又は構造56を受け入れて保持するように構成された中央取り付け開口部54(
図15を参照)が設けられる。この実施形態では、取り付け開口部54が、下側のより小さな開口部内に延びる、又はこれと重なり合う上側円形開口部により形成された鍵穴タイプの形状を有する。送風ユニットの保持構造56は、より大きな直径の円形停止部材で終端する円筒形突出部の形をとることにより、使用時に構造56を鍵穴型開口部54の大きい方の開口部に挿通した後に摺動させて鍵穴型取り付け開口部54の小さい方の開口部と確実に保持係合できるようになる。この構成は、呼吸装置20の送風ユニット24を本体22に装着するための1つのタイプの解除可能な取り付け構成にすぎないと理解されるであろう。これとは別に、以下に限定されるわけではないが、電磁結合、クリップ又はクリッピングシステム、フックアンドループ締結構成などの他の様々な解除可能な取り付け構成又は構造を使用することもできる。さらに、代替の実施形態では、送風ユニットのケーシング又はハウジングを本体22と一体形成することもできる。
【0130】
送風ユニット24の底部又は下側には、送風ユニットの回転ファン又はインペラにより生成された加圧気体流を送風ユニットから排出する気体出口(
図13を参照)が設けられる。この実施形態では、気体出口が、出口開口部58又は開口穴で終端する管状コネクタ57を含む。コネクタ57は、送風ユニットを本体に確実に取り付けた時に、マスク本体34の気体入口50内に又はこの気体入口50に密封係合するように構成される。これにより、呼吸気体が送風ユニット24から本体22の空気流通路に流入し、その後マスク本体34の内部キャビティ30内に流入できるようになる。
【0131】
送風ユニットのケーシング
ここで、
図17~
図33Hを参照しながら、呼吸装置20の送風ユニット24の実施形態についてさらに詳述する。この実施形態では、送風ユニット24が、平面図で見た時に実質的に円形のケーシング又はハウジング60を含む。ケーシング60は、矢印Cで大まかに示す前側又は前面と、矢印Dで大まかに示す後側又は後面とを有し、これらの両側間には周壁72が延びる。ケーシング60は、モータ及びインペラなどの送風機部品を受け入れて保持するための1又はそれ以上の領域を含む実質的に中空の内部を定める。
【0132】
ケーシングの前側又は前面は、気体入口を形成する1又はそれ以上の開口部又は開口穴64を含む。この実施形態では、気体入口64が、ケーシング60の前側又は前面のほぼ中心に位置してケーシングの外側から内側に走る円形の穴又は開口部である。使用時には、送風ユニット24の前面がユーザから離れた方を向き、気体入口64を介して送風ユニットのケーシング内に大気が引き込まれ、この大気は、その後回転インペラにより加圧されて、送風ユニットの気体出口において加圧気体流が生成される。呼吸気体流の主な方向は、送風ユニットの気体入口64から送風ユニットの気体出口58に流れた後にマスク本体22に流入し、マスク26を介してユーザにより受け取られるが、ユーザの呼吸サイクル中の息を吐いている最中に呼気がマスク26内を逆流し、呼吸装置の送風ユニットの気体入口64から大気内に逆向きに排出される反対方向の逆流も存在する。従って、言及する気体入口/出口は、いずれの特定の方向にも流れを制限しないという点で双方向性である。この実施形態では、気体入口64が、流入空気をろ過するとともに熱湿交換器(HME)の役割を果たすという二重の目的を有する発泡材とすることができるフィルタ66を含む。代替の実施形態では、気体入口が必ずしもフィルタを含む必要はない。使用時にユーザの方を向くケーシングの後側又は後面は、送風ユニットを本体22に取り付けるための上述したような取り付け突出部又は構造56(
図18を参照)を含む。
【0133】
送風ユニットのケーシング60は、やはりケーシング内に取り付けられたインペラを回転又は駆動させるように構成されたモータを収容する。この実施形態では、送風ユニットが軽量/低慣性のインペラを含む。インペラの軽量性は低慣性をもたらす。使用時には、送風ユニット24を、ユーザが指定した流量及び/又は圧力レベルの呼吸気体を送達するように制御又は設定することができる。使用中の流量は、ユーザの呼吸に応じて変化することができる。送風ユニットのモータに供給される電力をコントローラからの制御信号によって変化させることにより、インペラが回転している速度、従ってマスク26における呼吸気体の流量及び/又は圧力を変化させることができる。
【0134】
モータ及びインペラを省いた
図22を参照すると、ケーシング60の全体的内部構造がより明確に分かる。図示のように、ケーシングの内部は、1又はそれ以上の流体接続された領域に分割又は区分される。この実施形態では、ケーシング60の内部が、前側に隣接する第1の又は上側内部領域82と、後側に隣接する第2の又は下側内部領域92とに分割又は分離される。この実施形態では、上側領域82及び下側領域92が、分割層又は仕切板84によって形成又は作成される。この実施形態では、仕切板84が、ケーシングの前側と後側に平行であるとともに、周壁72の内面間の、ケーシングの前側と後側の中間又は間の位置において内部領域を横切って延びる水平に配向された円形の板又は部材である。
【0135】
図19に示すように、気体入口64及びフィルタ66を含むケーシングの前側と仕切板84との間に定められるケーシング60の上側領域82内にはモータアセンブリ80が取り付けられる。
図20には、モータ80を取り外して、モータが取り付けられる上側領域の受け入れキャビティを露出したケーシング60を示す。図示のように、仕切板84は、下方の下側領域92内でインペラ90に結合するようにモータの回転自在な駆動シャフトが貫通して延びる中心開口部86を含む。この開口部86も、上側領域82と下側領域92間の開口部を通じて気体が流れ又は引き込まれるほど十分に大きい。例えば、動作時には、モータが位置する上側領域82内に気体入口64及びフィルタ66を介して大気が引き込まれ、その後、仕切板の開口部86を通じてインペラ90が位置する下側領域92に流入する。仕切板84に1又はそれ以上のさらなる開口部を設けて、上側領域82から下側領域92への空気流を増加させることもできると理解されるであろう。
【0136】
代替の実施形態では、上側領域と下側領域の間で気体が流れるようにする仕切板84の開口部を、仕切板の外縁部又はその近くに位置する開口穴とすることもできる。例えば、この開口穴は、分割層84とケーシングの組み合わせ/配置によってこれらの間に開口部/開口穴が形成されるような、分割層84内の切り取り部又はケーシングの他の何らかの構成/形状とすることができる。例えば、この切り取り部は、ケーシングと分割層84の間に円周開口部を形成することができる。この円周開口部の半径の湾曲/中心は、分割層84の半径の中心からオフセットされ、又は別様に分割層84の周縁部の湾曲とは異なる湾曲を有して、分割層の周縁部の周囲に偏心した又は別様にオフセットされた円周開口部をもたらすことが好ましい。これにより、前縁から後縁に及ぶ三日月(「スマイル」)形の開口穴を有する開口部が形成される。しかしながら、この開口部は、インペラの回転平面に対して徐々に開閉するいずれの形状であってもよい。この開口部により、送風機の頂部における高静圧源からの圧力及び流れを徐々に供給できるようになる。開口部の開閉角は、システム内を逆流が安定して戻れるように調整される。この開口部は、その幾何形状に著しい裂け目が無いことにより、羽根の通過ノイズの低減にも寄与する。
【0137】
ケーシングの後側を切り取ってインペラ90を露出させた
図21に示すように、インペラ90は、ケーシングの後側と仕切板84の間に定められるケーシング60の下側領域92内に取り付けられる。
【0138】
この実施形態では、送風ユニット24の気体出口が、ケーシングの周壁72から外向きに延びる。
図17、
図18及び
図22を参照して分かるように、この気体出口は、ケーシング60の内部領域に接続され送風ユニットの底部において又は底部に向かってケーシングの周辺側壁72から外向きに延びる気体出口通路70を含む。気体出口通路70には、その外端に管状コネクタ57が設けられ、このコネクタ57は、加圧気体流が流れることができる出口開口部58で終端する。この実施形態のコネクタ57は断面が円形であり、送風ユニットを本体22及びマスク26に流体的に接続して気体が流れるように、本体22の気体入口50に接続又は結合するように構成される。この実施形態では、気体出口通路70がほぼ円形の断面を有し、ケーシングの中央から半径方向外向きに延びる。しかしながら、出口通路70は、円形のケーシングに対して、例えばケーシングの側壁とほぼ接線方向に位置合わせされた、又は接線角度と半径方向角度の間のいずれかの好適な角度で位置合わせされたいずれかの別の好適な角度で外向きに延びるように構成することもできる。出口通路70及びコネクタ57の断面形状は必ずしも円形である必要はなく、他のいずれかの望ましい又は好適な形状であってもよいと理解されるであろう。出口通路70は、インペラ90によって外向きに強制された気体を気体流として融合させ、この気体流が送風ユニットから流れる方向を決定する。
【0139】
再び
図22を参照すると、ケーシング60には、下側領域92から渦巻構造96又は遷移領域への空気流路94又は経路を形成又は提供する内部構造93も設けられる。渦巻構造96は、回転インペラ90から外向きに強制された気体を収集した後で、渦巻構造に流体接続された出口通路70を介して送風ユニットから放出させる。動作時には、渦巻構造96内で循環する気体が出口通路70に分散して加圧気体流を形成する。この実施形態では、渦巻構造96が、ケーシング内で上側領域82の外側周囲を円周方向に延びるチャネル又は通路である。この実施形態では、空気流路94が下側領域から渦巻構造96に延び、ケーシング60内の外周部の周囲に円周方向に存在する。
【0140】
ケーシング60の気体入口64からインペラ90が位置する下側領域92への気体経路は他の方法で設けることもでき、必ずしもモータが位置する上側領域82を流れる必要はないと理解されるであろう。例えば、代替の実施形態では、下側領域92内のインペラに隣接するケーシングの後側に気体入口を設けることもできる。
【0141】
動作
送風ユニット24の動作中、気体は、モータ80によるインペラ90の回転により気体入口64を介してケーシングの上側領域82内に引き込まれ、モータアセンブリ80を通って仕切板84の中心開口部86に至る。モータアセンブリ80を通って引き込まれる空気は、モータを冷却する役割を果たすこともできる。このシュラウドレスインペラは、このようにモータを通じて空気を引き込み、従って冷却を行うことができる。気体は、開口部86を通じて下側領域92に流入し、インペラの羽根を通じて下側領域内のケーシングの周辺側壁72の方に流れる。インペラ羽根は、送風機ケーシングの下側領域92内を循環する気体に強力な回転力を与えることによって高循環気体速度を生み出す。必然的に、下側領域92内の気体は、領域間の圧力差により空気流路94を通じて渦巻構造96に流入する。下側領域92内の高速及び低圧の気体が渦巻構造96に入ると、気体速度が低下して圧力が増加する。通常、渦巻構造96は、この気体圧の増加を促すために下側領域92よりも大きな容積を有する。
【0142】
送風機の内部空間を別個の領域に分割することにより、いくつかの利点をもたらすことができる。従来の送風機では、インペラを離れる高速の気体が、気体が渦巻構造から分かれて出口通路に入り込む物理的境界を定める縁部又は凸縁部に流入する。凸縁部に流入する高速気体流は乱流であり、送風機の性能にとって非効率的である。凸縁部によって引き起こされる乱流はノイズ源も形成する。対照的に、送風ユニットのケーシングを、別個のものではあるが接続されている気体領域に分割すると、凸縁部によって引き起こされる影響が減少する。下側領域92では、気体が高速で循環することができる。気体経路又は流路94は、渦巻構造96に、空気力学的に乱れた縁部のない流体経路をもたらす。循環する気体が渦巻構造領域96に入り込むと、渦巻構造の大きな容積により、気体の速度が弱まって圧力が増すように促される。気体速度が減少すると、通常は凸縁部によって引き起こされる乱流の影響も、低い又は無視できるレベルまで減少する。従って、この送風ユニットは、他の送風機と比較した場合、ノイズ出力を実質的に低減した状態で広い圧力範囲及び流量範囲にわたって動作することができる。通路94が広いと、渦巻構造の流量が下側領域に対して増加する。従って、通路94のサイズは、送風ユニットの望ましい流量及び圧力範囲に従って選択される。
【0143】
インペラ
図23及び
図24に、インペラ90の第1の実施形態を示す。インペラ90は、中心ハブ100から外向きに延びる複数の羽根98を有する。このインペラは遠心インペラである。ハブ100は、インペラの回転軸を定める。ハブ100は、インペラの回転を容易にするモータ80の回転自在な駆動シャフトとの係合を可能にする開口部102又は窪みを有することが好ましい。しかしながら、シャフトにハブをオーバーモールドしたものなどの他の係合メカニズムを使用することもできる。インペラが回転すると、インペラ羽根のハブ100に近い領域内に空気が入り込み、半径方向外向きに移動して羽根先端部の近くから放出される。インペラは、複数の部品に成形して接合するのではなく、一体部品(「一体構造」)で作製されることが好ましい。この作製法は、シュラウドが無い場合、又は最大でも1つしか無い場合に可能である。これにより、不均衡又はその他の不都合をもたらし得る部品のずれが減少する。好ましい実施形態では、(例えば、
図5及び
図6に示すシュラウド12とは対照的に)シュラウドが存在しない。
【0144】
羽根98は、ハブ100から羽根先端部まで実質的に平坦な表面をもたらし、矢印Rで示す回転方向を伴うことにより気体に遠心力を作用させることが好ましい。この実施形態では、羽根98は、ハブ100から羽根先端部まで弓形又は曲線を成し、この曲線は、矢印Rで示すインペラの回転とは反対方向の後方に傾斜することが好ましい。このインペラは、各羽根98が、ハブ100から、インペラの回転方向Rに対してハブから延びる関連する半径の後ろ向き方向に延びているという点で後ろ向きのインペラである。例えば、
図24には、羽根99が、その関連する半径Xに対して後ろ向きに延びているように示している。
【0145】
図25A及び
図25Bに、インペラ90aの第2の実施形態を示す。インペラ90aの構造は、羽根のプロファイル98aが異なっている点を除き、インペラ90の構造と同様である。この第2の実施形態では、羽根98aが、インペラの回転方向Rに部分的に湾曲する羽根先端部104を含むプロファイルを有する。すなわち、羽根先端部104は前方に傾斜する。前方に傾斜した羽根先端部は、インペラを通る気体に、真っ直ぐな又は後方に傾斜した羽根よりも強い回転力を与える役に立つ。前方に傾斜した羽根先端部は、各羽根の先端部の先に高圧の環状部分を生成する役に立つ。例えば、このインペラは、羽根先端部とケーシングの周辺側壁の内面との間に高圧の環状部分を生み出す。インペラ羽根98aの、ハブ100と羽根先端部104の間の内側部分106は、若干後方に傾斜することができる。後方に傾斜した羽根は、その羽根の表面自体において気体の多少の再循環を可能にする。後方に傾斜した内側の羽根部分106は、圧力の生成を高め、安定した低い逆向きの気体流を可能にする役に立つことができる。この実施形態のインペラは、各羽根98aが、ハブ100から、インペラの回転方向Rに対してハブから延びる関連する半径の後ろ向き方向に延びているという点で後ろ向きのインペラである。例えば、
図25Bには、羽根99aが、その関連する半径Yに対して後ろ向きに延びているように示している。
【0146】
送風ユニットのインペラは、前向きの羽根であるか、後向きの羽根であるか、それとも半径方向の羽根であるか、それともその他のいずれかの好適なプロファイルであるかに関わらず、あらゆる好適な羽根のプロファイルで実装することができると理解されるであろう。
【0147】
いずれの実施形態においても、インペラ90、90aは軽量であるように構築される。この軽量化は、インペラをシュラウドレス、又は少なくとも部分的にシュラウドレスとすることにより重量を削減することが好ましい。軽量のインペラを実現するには、
図23~
図25Bに示すように、インペラの羽根の各々を羽根間で開放させる(すなわち、インペラの上部及び下部の「面」又は「平面」を送風ユニット24のケーシング60の内側面に対して開放させる)ことにより、シュラウドレスの遠心インペラを定める。インペラ羽根の上面及び下面上のシュラウドを省くことにより、インペラの重量を実質的に削減することができる。シュラウドを省くことに加え又はこの代わりに、他の方法でインペラの重量を削減することもできる。例えば、軽量の材料を使用することができる。また、材料を最小限に抑えて羽根間の間隙を大きくした薄い羽根を実装して重量を削減することもできる。
【0148】
或いは、
図26A及び
図26Bの第3の実施形態のインペラ90bに示すように材料の一部を除去したシュラウド101を使用することもできる。波形103のシュラウドを提供することにより、羽根98a間の材料の一部を除去する。あらゆる好適な量の材料を除去することができる。シュラウドは、インペラからの空気を導く。有意な材料を除去した場合、結果として得られる構造は、もはや実際にこのシュラウドの機能を実現することができず、むしろインペラ羽根98aの支持を行うことしかできない。この場合、インペラ90bは、インペラ羽根98a間に多少の構造を有しているにも関わらずシュラウドレスと見なすことができる。
図26C及び
図26Dに示すさらなる第4の実施形態のインペラ90Cでは、インペラ羽根98a間の構造が、インペラの上面と下面の間の中心に配置された水かき構造105である。このような構造はシュラウドとして機能しない。この材料削減構造又は水かき構造105は、(波形のみならず)あらゆる形状又は程度のものとすることができ、
図26A~
図26Dにはその2つの例を示している。
【0149】
軽量インペラは、製造コスト、低回転慣性などの利点をもたらし、バランスに優れ、又は一旦製造すると回転バランスを保つ努力をほとんど必要としない。低回転慣性のインペラは、加速及び減速を素早く行うことができる。従って、軽量のシュラウドレスインペラは、このインペラが動作している呼気補助装置に接続された患者の通常の吸気と呼気のサイクルなどの、変動する圧力要件への素早い応答に適する。他の実施形態では、インペラを必ずしも軽量にする必要はない。
【0150】
例えば、呼気補助装置で一般的に使用される、重量が約17グラム、慣性が6kg.mm
2の従来のシュラウド付きインペラは、10cmH
2Oの圧力変動に約2秒で応答することができる。一方、重量が約1.7グラム、慣性が0.5kg.mm
2の両実施形態90、90aによるインペラは、10cmH
2Oの圧力変動に約100msで応答する。
図40に、重量が17グラムの従来のシュラウド付きインペラの圧力対時間のグラフを示す。このインペラは、患者の通常の吸気と呼気のサイクル中に4cmH
2Oの定圧を維持しようと動作する。一方、
図41には、好適なインペラ90、90aの圧力対時間のグラフを示す。以前のインペラよりも質量及び回転慣性が減少したことにより、圧力の変動が
図40の従来のインペラよりもはるかに少ないことが分かる。圧力変動の減少により、患者の呼気プロセスの乱れが減少し、従って患者の快適さが増すという利点が得られる。
【0151】
上述したように、この軽量は、シュラウドを省くことによって達成することができる。しかしながら、シュラウド全体を省く必要はなく、むしろ
図26A~
図26Dに示すように、インペラの重量を好適なレベルに導くのに十分なシュラウドのみを省けばよい。従って、羽根間にできるだけ多くの開放空間(領域又は容積)を有することにより軽量を達成することができる。この開放空間は、羽根の掃引容積に対する羽根の容積の比率/割合として定義することができる。すなわち、羽根は、回転時に容積Xだけ掃引し、羽根自体は、(各羽根を組み合わせた容積である)組み合わせ容積Yを有する。或いは、斜視図から、羽根の掃引面積に対する羽根の面積として開放空間を定義することもできる。この比率は、できるだけ低く保つべきである。1つの実施形態では、例えば、インペラの掃引容積が約19,000mm
3であり、羽根が約1,200mm
3の容積を構成する。従って、掃引容積対羽根の容積の比率は約16:1であり、これにより従来の送風ユニット内で使用される小型で高密度設計の重いインペラに比べて軽量のインペラであることが定められる。
【0152】
軽量インペラは、例えば2グラム未満の、好ましくは0.8~1.8グラムの、より好ましくは1.2~1.7グラムの、さらに好ましくは1.7グラムの重量を有することができる。これらは好ましい実施形態のほんの一例にすぎず、インペラがこの重量である必要はなく、インペラが軽量と見なされる他の何らかの重量であればよい。
【0153】
或いは、軽量インペラを、慣性モーメント対半径比率を好ましくは15gram*mm未満に、より好ましくは8~12gram*mmに、また1つの考えられる実施形態では約11gram*mmにするのに必要なだけのシュラウドを除去するように設計することもできる。例えば、1つの考えられる実施形態では、このようなインペラが、35mmの半径、219mmの円周、及び15,000rpmにおける344.22の慣性モーメント、54.98m/sの先端速度、1,800Paの圧力、及び3.5又はそれ以上の、例えば5.59の先端速度対慣性対半径比を有することができる。より一般的には、軽量インペラは、半径:15mm~60mm、重量:2グラム未満、gram*mm当たり50:1パスカルを上回る、好ましくは1,000Paにおけるgram*mm当たり80:1Pa又はそれ以上の圧力比対慣性対半径比の範囲内の寸法/パラメータを有することができる(なお、これらの範囲は指標であり限定ではない)。
【0154】
インペラの軽量性は、インペラからシュラウド及び/又は材料を除去すること、及び/又はより軽い材料を使用することなどのいずれかの好適な手段を通じて質量を減少させることにより達成することができる。インペラの質量を減少させる1つの考えられる方法は、羽根の数を減少させることである。
【0155】
モータ
ここで
図27~
図31Bを参照して、第1のインペラ90の実施形態を参照しながらモータ80の第1の実施形態をほんの一例として説明するが、このモータは、第2の実施形態のインペラ90a又は他のいずれかの好適なインペラ設計を駆動することもできると理解されるであろう。
図31Aに、インペラ90を駆動するために使用するモータを断面で示しており、
図27~
図30及び
図31Bでも、説明するモータ部品の様々な図を見ることができる。モータは、ブラシレスDCモータ又は永久磁石同期モータであることが好ましい。コントローラは、センサレスベクトル制御法(「磁界方向制御法」ともいう)を利用するマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ又は同様のものを含むことが好ましい。インペラ90の中心ハブ100は、モータ80から延びる駆動シャフト110と係合する。シャフトには、ロータ112を形成する複数の、好ましくは小型の磁気セグメントが取り付けられる。1つの実施形態では、磁石112の直径が20mmであるが、より一般的には、この直径を20mm未満、好ましくは10mm~15mmとすることができる。通常、磁石の体積は1600mm
3未満であり、500mm
3~1600mm
3とすることができる。ロータ112は、複数の極及び巻線を有する積層ステータ114(
図30も参照)によって取り囲まれる。これらの巻線は、巻線に結合されたコネクタを介してコントローラにより選択的に通電され、シャフトの中心線によって定められる中心軸を中心としたロータ112の回転を、従って駆動シャフト110及びインペラ90の回転を容易にする。
【0156】
駆動シャフト110は、軸受構造によってモータ内に保持される。この軸受構造は、1又はそれ以上の軸受116、及び1又はそれ以上の軸受マウント118を有することが好ましい。図示のような軸受マウント118は、内面上で軸受116と係合し、外面上でステータアセンブリと係合する。軸受マウントの軸受及びステータアセンブリに対する好適な係合は摩擦係合である。軸受マウント118は、摩擦係合を促すために、シリコンゴム又はその他のエラストマ材料などの軟質でしかも弾性及び/又は可撓性の材料で作製される。この材料は、低クリープ、温度安定性、損失係数の高い低圧縮永久歪み(高粘性)、高減衰のものとすることができる。以下にその例を示す。
・ NBR、ニトリル及びフルオロシリコンなどのプレミックス成形ゴム、
・ Exxon社製のSantopreneなどの熱可塑性エラストマ(TPE)、
・ GL社製のDynaplastなど熱可塑性ウレタン、
・ National Urethanes社製の10T90などの熱硬化鋳造ウレタン、及び、
・ Dow Corning、Whacker社製のRTV(室温硬化硬質ゴム)などのその他の複数の冷間鋳造ゴム状化合物。
【0157】
軸受マウント118は、このような材料によって導入時に圧縮し、その後、係合によって広がった制限のある寸法により、適所に保持されるように選択された場所内に伸びることができる。マウント118は、ステータアセンブリ又はステータフレームの、ステータ114を挟持する上部ステータマウント120a及び下部ステータマウント120b(ボビン)上に設けられたそれぞれの突出部119によって任意に抑制される。ステータフレームは、電気絶縁体/絶縁物として構成することができる。同様に、軸受116は、軸受マウント118の一部として形成された突出部118aによって抑制することができる。突出部の一方又は両方は、軸受マウントの内側及び外側環状部分の周囲に個々に位置し、或いはマウントの外周の周囲に延びて、マウントが位置する窪みを定めることができる。
【0158】
軸受マウント118は、回転自在な駆動シャフト110との迎合性をもたらす。通常、ロータ112、シャフト110及びインペラ90など回転自在な物体には、ある程度の回転不均衡が生じるので、軸受マウントは、固有の回転により誘発される振動をモータのロータから隔離することができる。上述したような軽量、低回転慣性のシュラウドレスインペラを軸受マウントの所与の迎合性と組み合わせると、ロータ112、シャフト110及びインペラ90を製造した後のこれらの回転部品のあらゆるバランス調整過程を完全に省略できることが分かった。これらの利点は、製造コスト及び製造時間にとって有利である。インペラの軽量性により、あらゆる不均衡を軸受マウントによって補償できるようになる。軽量インペラは、状況の変化に対するインペラの高速反応も可能にする。インペラ速度を素早く変化させて圧力を所望のレベルに戻すことにより、シュラウドがないことに起因するあらゆる望ましくない圧力変動を補償することができる。
【0159】
なお、
図31Aにはステータアセンブリ内に取り付けられた軸受マウント118を示しているが、このマウントをモータの外部に等しく収容することもできる。代わりに、例えば送風機ケーシング内に形成されたジャーナル内にマウント118を取り付けることもできる。
図31Bには、静止形態ではなく圧縮形態にある軸受マウント118を示す。
【0160】
送風機の回転部品のさらなる振動減衰をもたらすために、任意にモータ及びインペラを対応する取り付け装置上に取り付けることができる。
図28に、このような取り付け装置120の一実施形態を示す。本発明の実施形態によれば、マウント120は、シリコンゴムなどの軟質で可撓性があり、さらに弾性の材料から作製され、ステータ絶縁体として動作できることが最も好ましい。取り付け装置120は、ステータを受け入れて保持する内部窪み又は着座部122を有する。この内部窪みは、これらの部品間の締り嵌めを促すようにモータの外面よりも小さいことが好ましい。
図27に、取り付け装置120内に位置するモータ80を示す。この実施形態では、取り付け装置120の外周壁から第1の複数の突出部の組124が延びる。また、取り付け装置120の下面の下方には、第2の複数の突出部の組126が延びる。突出部124、126は、マウント及びモータアセンブリに支持力をもたらす。モータの動作中、突出部124、126が支持される又は係合する表面に対してマウント120の本体が移動できるようにすることにより、回転部品のいずれかの不均衡によって生じた振動は、突出部124、126の各々により吸収される。第1の突出部の組124は、ケーシング60の上側領域82の周辺側壁の内面に当接又は係合するように構成される。第2の突出部の組124は、ケーシングの仕切板84の上面に乗り又は係合するように構成される。
【0161】
図42は、無響室で試験した従来の送風ユニットの音圧レベルのグラフである。
図43は、上述の実施形態による送風ユニットの音圧レバーのグラフである。軽量のシュラウドレスインペラ90、90a、可撓性軸受マウント118及び可撓性モータマウント120は、50Hz~10kHzの試験スペクトル領域にわたり、ノイズ出力の大幅な低減に寄与することが分かる。
【0162】
図32A~
図32Fに、モータ及びインペラアセンブリの第2の実施形態を示す。この実施形態の多くの態様は、前述の実施形態のものと同じである。この実施形態には、前述の実施形態に関連して説明した、この実施形態では説明しない特徴が必要に応じて存在すると想定することができる。同様の特徴には、前述の実施形態と同じ参照番号を使用する。
図32Eに、インペラ90aを駆動するために使用するモータを断面で示す。このモータの実施形態では、インペラ90aを駆動するように示しているが、説明した他のインペラのいずれの実施形態を使用することもできると理解されるであろう。このモータは、例えば(
図32Aなどに示すような)PCB/基板256に取り付けられたコネクタ255を介してマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ又は同様のコントローラにより制御されるセンサレスベクトル制御(「磁界方向制御」)法を用いて動作するブラシレスDCモータであることが好ましい。この制御は、低慣性インペラに適合するように調整することができる。
図32A、
図32B及び
図32Eを参照して分かるように、インペラ90aの中心ハブ100は、モータ161から延びるシャフト160と係合する。シャフトには、ロータ162を形成するように複数の、好ましくは小型の磁気セグメントが取り付けられる。ロータ162は、環状外側部分242、複数の極243及び巻線168を有する積層ステータ241によって取り囲まれる。ステータは、PCB又はその他の基板256に取り付けられ、巻線168は、コネクタ255に結合される。ステータ241は、環状部分242の頂部及び底部並びに極243を覆う(ステータフレームを形成する)電気絶縁体/絶縁物270a、270bを有する。各巻線168は、各極243を覆う絶縁体270a、270b、上に取り付けられることが好ましい。上向きに延びる円周部271の周囲、及び上向きに延びる極272a及び下向きに延びる極272bの端部には、係合及び保持のための突出部が設けられる。
【0163】
図32Bの積層体240の1つの平面図を参照すると、各積層体は、環状外側部分242及び半径方向に内向きに延びる極部分243を含む。各極部分243の縁部244は波形を含む。この波形は、中心頂部244cで交わる2つの凹部244a、244bを含む。
図32Cを参照して分かるように、複数の積層体240を積み重ねてステータ241を形成した場合、各極243は、
図32Cに示すような波形の内側放射面250を有する。面250は、中心頂部250cで交わる2つの凹部250a、250bを含む。この構成はコギングを低減する。ステータ及び/又はロータは、非対称な磁化を有することができる。巻線は、コントローラを用いてコネクタ255を介して選択的に通電され、シャフト160の中心線によって定められる中心軸を中心としたロータの回転、従ってシャフト160及びインペラ90aの回転を容易にする。
【0164】
シャフト160は、軸受構造によってモータ内に保持される。この軸受構造は、1又はそれ以上の軸受164、及び1又はそれ以上の軸受マウント260を有する(
図32Dを参照)。
図32Eに示すように、図示のような軸受マウント260は、内面261上で軸受164と係合し、外面上でステータ241/絶縁体270a/270bと係合する。軸受マウント260は、中心開口部263における最下点から外周部262における最上点まで湾曲する主環状体265を含む。外周部は、外周部262と主環状体265との交点上に面取り部264aを有することが好ましい係合リップ部264を含む。内側開口部263と本環状体265の内周部261との交点も、面取り部261aを有することが好ましい。主環状体265からは、内側開口部263において環状壁部/ボス266が上向きに延びる。環状壁部266の頂部267は、突出係合リップ部268を有する。リップ部268と、環状壁部266及び突出リップ部側壁268aとの交点は、面取り268b、268cされることが好ましい。軸受マウント260の軸受164及びステータ241に対する好適な係合は摩擦係合である。軸受マウント260は、摩擦係合を促すために、シリコンゴム又はその他のエラストマ材料などの軟質でしかも弾性及び/又は可撓性の材料で作製される。この材料は、低クリープ、温度安定性、損失係数の高い低圧縮永久歪み(高粘性)、高減衰のものとすることができる。考えられる材料は、前述の実施形態に関連して説明した。マウント260は、このような材料によって導入時に圧縮し、その後、係合によって広がった制限のある寸法により、適所に保持されるように選択された場所内に伸びることができる。マウント260は迎合性ももたらす。
【0165】
図32Eには、導入前/組み立て前の状態の上向きに湾曲した軸受マウントを実線で示している。点線は、ステータ/絶縁体279a、270bに取り付けられた、導入後の/組み立て後の状態の軸受マウント260を示すものである。導入後の状態(係合状態又は係合構成とも呼ぶ)では、環状体がステータ241及び/又はステータフレーム270a、270bと係合し、この環状体265は、弾性体/可撓体によりもたらされるステータ及び/又はステータフレーム及び軸受に作用する付勢力を与える軸受マウントの動作により、(実線で示す)湾曲した状態から、1又はそれ以上の軸受に予荷重をもたらす(点線で示す)係合(平坦)構成に強制される。マウント260は、絶縁体270a、270b上に形成された突出部272c、272dによって任意に抑制される。同様に、軸受164は、軸受マウント260上のボス266の一部として形成された突出部268によって抑制することができる。突出部の一方又は両方は、軸受マウントの内側及び外側環状部分の周囲に個々に位置し、或いはマウントの外周の周囲に延びて、マウントが位置する窪みを定めることができる。インペラ/シャフト/ロータは、シャフト160上に軸受164を組み立て、軸受164上に軸受マウント260を組み立てて、これらが各極243においてステータ絶縁体270a、270bと係合するように(手、ジグ又はその他の手段によって)軸受マウント260を操作することにより、ステータ241内に組み立てられる。代替の実施形態では、軸受マウント260がステータ又は絶縁体270a/241に直接結合せず、むしろハウジングなどの別の構造に結合する。後述するような所要の機能をもたらすあらゆる好適な構造とのあらゆる結合構成を提供することができる。
【0166】
軸受マウント260は、回転自在なシャフト160との迎合性をもたらす。通常、ロータ162、シャフト160及びインペラ90aなど回転自在な物体には、ある程度の回転不均衡が生じるので、軸受マウントは、固有の回転により誘発される振動をモータロータから隔離することができる。上述したような軽量、低回転慣性のシュラウドレスインペラを軸受マウントの所与の迎合性と組み合わせると、ロータ162、シャフト160及びインペラ90aを製造した後のこれらの回転部品のあらゆるバランス調整過程を完全に省略できることが分かった。これらの利点は、製造コスト及び製造時間にとって有利である。インペラの軽量性により、あらゆる不均衡/不整合を軸受マウント260によって補正できるようになり、この構成は、軸受マウント迎合性に起因して(例えば弾性及び/又は可撓性に起因して)自己整合するものである。この軸受の幾何形状及び材料を含むマウント構造は、最大7ニュートンの軸方向予荷重を軸受に与える。軸受の環状性は、軸受164の周囲に一貫した/均一な予荷重を与える。軸受は、弾性/可撓性の湾曲した環状体により、適所に導入されて予荷重を与えることができる。軸受マウント260の環状性は、軸受の周囲に均一な予荷重を与え、低クリープ構造材料は予荷重を維持する。軸受マウント260の材料は、減衰ももたらす粘弾性減衰材料であり、これによりモータの動作中の共鳴の可能性を低減することが好ましい。このような粘弾性材料は、予荷重を与える所要の弾性/可撓性をもたらすこともできる。このような材料の例には、GL社製のDynaplastのような熱プラスチック製ウレタンがある。軸受マウント260の上述した弾性及び/又は可撓性材料などの他の材料は、雲母を加えることによって所要の減衰をもたらすように適合させることができる。軽量インペラは、状況の変化に対するインペラの高速反応も可能にする。インペラ速度を素早く変化させて圧力を所望のレベルに戻すことにより、シュラウドがないことに起因するあらゆる望ましくない圧力変動を補償することができる。この軸受マウントは、振動絶縁も提供する。
【0167】
送風機の回転部品のさらなる振動減衰をもたらすために、任意にモータ及びインペラを対応する取り付け装置(モータマウント)180上に取り付けることができる。
図32A、
図32E及び
図32Fに、このような取り付け装置280の一実施形態を示す。本発明の実施形態によれば、マウントは、シリコンゴムなどの軟質で可撓性があり、さらに弾性の材料から作製されることが最も好ましい。取り付け装置280は、ステータ241が配置される内部窪み281を定める上部及び下部係合リップ部282a、282bを含む環状体282を有する。内部窪み281は、これらの部品間の締り嵌めを促すようにモータの外面よりも小さいことが好ましい。
図32Eには、取り付け窪み281内に位置するモータを示している。
【0168】
マウント280の上面及び下面は、複数の突出部283によって取り囲まれる。突出部の端部は、マウントの上面及び下面を越えて突出し、マウント及びモータアセンブリに支持力をもたらす。モータの動作中、突出部283が支持される表面に対してマウント280の本体が移動できるようにすることにより、回転部品のいずれかの不均衡によって生じた振動は、突出部の各々により吸収される。
【0169】
上記の説明では、軽量インペラアセンブリを含む送風ユニットの実施形態について説明した。
図31A及び
図32Eには、磁石ロータ112、162上に(鋼などの)金属シャフト110、160を取り付けた実施形態を示している。金属シャフトは、磁石ロータの開口部に圧入される。これには、滑りを抑えた良好な締まり嵌めを確実にするために細かな公差制御が必要である。しかしながら、この嵌合は、磁石ロータが割れるリスクを伴うほどきつくすべきでない。
【0170】
【0171】
図33A、
図33B及び
図33Cには、上述した実施形態の別の考えられるロータアセンブリを示す。このアセンブリは、金属シャフト400(
図33Cを参照)及び磁石ロータ401を含む。磁石ロータ401は、中心開口部402を有する。中心開口部402は、インデント403a~403dを含む中央部分を有する。中心開口部は、中心断面内に、階段状の棚部408(
図33Bを参照)を形成する輪郭の縁部も含む。金属シャフト400は、その外側に刻み付き部分409bを有し、中心開口部402を貫いて延びる。中心開口部402内のシャフト400と磁石ロータ401の間には、プラスチック挿入体403が射出成形される。プラスチック挿入体403は、磁石ロータの階段状の棚部408上にオーバーモールドされる。これにより、挿入体403に中心開口部402と同様の外形が与えられる。シャフト400とオーバーモールドされた(挿入)材料403との間に連動部(コッグドッグ)が形成され、金属シャフトの刻み付き部分409bが、オーバーモールドされた挿入体403と係合して、シャフト400を磁石ロータ401に結合するようになる。アセンブリ404は、
図31A及び
図32Eなどの上述した実施形態で使用することもでき、この場合、これらの実施形態のシャフト110、160及び磁石ロータ112、162は、
図33A、
図33B及び
図32Cで説明したような金属シャフト400/プラスチック挿入体403/磁石ロータ401アセンブリ404に置き換えられる。このアセンブリは、
図33Gに示すように形成することができる。ロータを型に入れ(ステップ440)、シャフトを導入し(ステップ 441)、他方の半型を導入し(ステップ442)、シャフトとロータの間に挿入体を射出成形し(ステップ443)、その後、型を取り外す(ステップ444)。
【0172】
図33Dには、別の代替実施形態による磁石ロータ及びシャフトアセンブリ420の平面図、立面図及び等角図を示す。アセンブリ420は、磁石材料で形成されたロータ401を含む。磁石ロータ401は、中心開口部402を有する。中心開口部402は、インデント403a~403dを含む中央部分を有する。中心開口部は、中心断面内に、階段状の棚部408を形成する輪郭の縁部も含む。
【0173】
アセンブリ420は、後述するように挿入開口部410の中心を貫いて延び磁石ロータ401上にオーバーモールド成形されたプラスチックシャフト421も含む。シャフトは、オーバーモールドされる時に、一体型のオーバーモールド磁石挿入部423を含む。シャフト421は、インペラと圧入結合するために六角形422又はその他の位置プロファイルを有するように形成することができる。プラスチックシャフト421は、アセチル又はポリプロピレンなどのいずれかの好適なプラスチック又はこれらの組み合わせを含むが、いずれかの好適な射出成形又はその他のプラスチックを使用することもできる。
【0174】
アセンブリ420は、
図31A及び
図32Eなどにおいて上述した実施形態で使用することもでき、この場合、これらの実施形態のシャフト110、160及び磁石ロータ112、162は、
図33Dで説明したようなプラスチックシャフト421/磁石ロータ401アセンブリ420に置き換えられる。
【0175】
図33E及び
図33Fには、シャフト/ロータアセンブリ420を製造するために使用できる射出成形型を示し、
図33Hは製造方法のフロー図である。金型420は、磁石ジグ433を含むモールド/キャビティ432を形成するように一体となる第1の金型部分431a及び第2の金型部分431bを含む開閉式2つ割り型である。この金型は、シャフト421、六角嵌合形状422及びオーバーモールド部分423を形成するためのキャビティを含む。アセンブリ420の製造中には、上述したような開口部402を有する磁石ロータ401を金型内に導入し、ジグ433を形成する片方の金型の適所に配置する(ステップ450)。金型の上部421aを適所に配置して、下部421bと共に金型キャビティ432を形成する(ステップ451)。磁石ロータ401上にオーバーモールドされたシャフト421を形成するためにプラスチックを射出成形するための射出成形工程を開始する(ステップ452)。この射出成形工程では、ロータ磁石401の階段状の棚部408上にプラスチックをオーバーモールドして挿入部423を形成する。射出成形工程が完了すると、金型部分421a、421bを取り外してアセンブリ420を残す(ステップ453)。その後、このアセンブリ420を、例えば
図31A又は
図32Eのモータ内で使用することができる。
【0176】
これまでは、CPAP機又は同様の機械の送風機のモータでプラスチックシャフト/ロータアセンブリを使用することは不可能であった。プラスチックシャフトは、このようなモータで生じる力に耐えるほど十分に強くない。しかしながら、上述した軽量インペラの実施形態では、プラスチックシャフトロータが可能性になるような力しか生じない。ロータの軽量性及び低慣性、並びに柔軟な軸受マウント、及び不均衡な力やその他の力を低減する他の特徴が、プラスチックシャフトの使用を可能にする。プラスチックロータアセンブリ及びその製造方法は、いずれも既存の金属シャフトロータをしのぐ利点をもたらす。
【0177】
モータとインペラの様々な特徴の組み合わせが利点をもたらし、これらの利点は単一のインペラを用いて達成することができる。(例えば、シュラウドの一部又は全部を除去し、及び/又は羽根材料を削減することにより)軽量/低慣性のインペラを使用すると、製造公差に起因するインペラの不均衡が減少する。これまでは、送風機の製造後及び組み立て中に、バランスを高めるためにインペラに対して材料の除去/追加を行うことが必要であった。インペラの軽量性は、調整を必要とせずにあらゆるわずかな不均衡を許容できることを意味する。これに加えて、不均衡がそれほど小さくない場合でも、弾性/可撓性の軸受構造マウント118及び/又はステータマウント120が、インペラのあらゆる不均衡を補償することができる。インペラが十分に軽量であるため、あらゆる不均衡が軸受構造マウント118によって補償できるほど十分にわずかな大きさとなり、組み立て中にインペラの重量を変更する必要がない。これに加えて、(軸受構造と組み合わせた)モータ内の小型磁石により、組み立て中のバランス調整が不要になり、動的性能が向上する。
【0178】
この弾性/可撓性の軸受構造は、インペラ及びシャフトアセンブリの自己整合、迎合性、減衰及び予荷重を可能にする。これにより組み立てが容易になり、軽量/低慣性のインペラと組み合わさって、上述したように組み立て中にバランスを修正する必要性が減少し又は無くなる。この軸受構造は、より大きな公差を補償するので、製造中の公差が緩和される。この軸受構造は、振動の絶縁及び/又は減衰も行い、また必要に応じてインペラの高RPM速度も可能にする。ステータフレーム/モータマウントも振動絶縁を行う。
【0179】
送風機を異なる内部領域に分離するケーシング構成は、高速領域を分離してノイズを低減する。これにより、一定の高い流速が可能になってこれが維持されるとともに、この速度が圧力に拡散される。
【0180】
プラスチックシャフトの使用は、(鋼などの)金属シャフトをしのぐ複数の利点ももたらし、これらの利点は(限定するわけではないが)以下の内容を含む。
【0181】
異種の材料に関連する信頼性リスクが低減される。
【0182】
コッグ/ドッグ式挿入体とシャフトの間の刻み付き接触面を、亀裂、滑り、漏れ、収縮、流体の進入/腐食に関してモニタする必要がない。
【0183】
インペラとシャフトの接触面が改善され、同様に信頼性リスクが低減される。同様の熱膨張による(プラスチックにプラスチックを圧入することによる)亀裂が発生しにくくなる。六角形又は溝などの何らかの固定的な特徴を追加する機会により、滑りの可能性が減少する。
【0184】
プラスチックシャフトアセンブリを滑り嵌めではなく圧入するので、安定性が増すとともにガタ音が発生しにくくなる。
【0185】
金属シャフトに比べてコストが削減される。この理由は以下の通りである。
【0186】
プラスチックシャフトの可塑性により、軸受を圧入するために許容される公差又は不正確さがかなり大きくなるので、滑り嵌めの公差に合わせてシャフトを製造する必要がない。
【0187】
刻み付け後にシャフトを研磨して真直度を回復させる必要がない。
【0188】
シャフトを操作して型に挿入する必要がない。
【0189】
振動吸収特性が鋼よりも良好な材料を使用することができる。
【0190】
六角形でシャフト直径を減少させ、シャフトのインペラ側をアンダーカット処理することによって軸受の圧入係合の長さを減少させることにより、組み立て易さを向上させることができる。
【0191】
一般に、この実施形態のモータ及びインペラの以下の利点は、以下のような1又はそれ以上の特徴の組み合わせによってもたらされる。
【0192】
【0193】
ヘッドギア
図34~
図39を参照して、呼吸装置20をユーザの頭部に固定するための様々なヘッドギア構成の実施形態についてさらに詳述する。これらの実施形態はほんの一例として示すものであり、呼吸装置の患者インターフェイスの当業者であれば、様々な別のヘッドギア構成を代わりに使用することもできると理解するであろう。通常、ヘッドギアは、呼吸装置に接続されるとともにユーザの頭部の周囲に延びて呼吸装置をユーザの頭部に固定又は装着する1又はそれ以上のヘッドストラップを含む。
【0194】
図34を参照すると、呼吸装置20をユーザの頭部1に固定するためのヘッドギア201の第1の実施形態を示している。この実施形態では、ヘッドギアが、額支持体32のそれぞれの側に各端部が結合されて、ユーザの頭部の額領域では耳よりも上の高さでユーザの後頭部の周囲に延びる上側ヘッドギアストラップ203を含む。具体的には、ヘッドギアストラップ203の各端部は、本体22の額支持体32に設けられたそれぞれの接続開口部40に結合又は接続される。ヘッドギア201は、呼吸装置20の下部をマスク26の領域内でユーザの顔に接して固定又は保持するように構成されるとともに、主にマスク26をユーザの顔の鼻の周囲に密封係合させて保持するように構成された下側ヘッドギアストラップ205も含む。この実施形態のヘッドギアストラップ203、205は、2つの織物シート間に挟持された連続気泡発泡体の積層板で形成されるが、他のあらゆる好適な材料を使用することができる。
【0195】
この実施形態では、下側ヘッドギアストラップ205が、細長い滑動部材207によって呼吸装置の本体22のマスク本体34に接続される。具体的には、この細長い滑動部材は、マスク本体34の前部を横切って延び、少なくとも1つのクリップ52を介してマスク本体に取り付けられる。この実施形態では、マスクアセンブリがヘッドギアストラップ205に対して横方向に移動できるように、細長い滑動部材207がクリップ52内で摺動又は滑動することができる。下側ヘッドギアストラップ205は、その両端が細長い滑動部材207のそれぞれの端部に結合される。この実施形態では、下部ストラップ205の各端部が、細長い滑動部材207の各端部に形成されたフック構造207aに結合され、又はその周囲でループ状を成す。代替の実施形態では、下部ストラップをマスク本体に接続するための固定又は静止構成を採用することもできると理解されるであろう。
【0196】
一体型電池式ヘッドギア
図35Aを参照すると、呼吸装置20をユーザの頭部1に装着するためのヘッドギアの第2の実施形態211を示している。この実施形態では、ヘッドギア201が、
図34のヘッドギア201の実施形態に関して説明した上部及び下側ヘッドギアストラップと同様に呼吸装置に結合された上側ヘッドギアストラップ213及び下側ヘッドギアストラップ215を含む。しかしながら、この実施形態では、1又はそれ以上の電池パックの形をとることができる呼吸装置の1又は複数の電源モジュールがヘッドギアに一体化、固定又は装着される。この実施形態では、上側ヘッドギアストラップ213及び下側ヘッドギアストラップ215の一方又は両方が、電池に接続された動力織機又はケーブル217を介して呼吸装置20に電力を供給するように構成された、互いに接続された一体型電池パック又は電池モジュールを含む。
【0197】
これらの電池は、様々な方法でストラップ213、215内に一体化することができる。1つの実施形態では、電池を保持する内部ポーチ、ポケット又はチャンバを含む材料でストラップを形成することができる。ヘッドストラップ内の窪み又はキャビティは、密封することも、又は必要に応じて電池を取り外して交換できるように開閉式とすることもできる。必ずしも電池パックをヘッドギアの内部又は内側に取り付ける必要はない。例えば、1又はそれ以上の電池パック又はパッケージをヘッドギアのいずれかの部分に、ヘッドギアから取り外せるように解除可能に取り付けることもできる。
【0198】
通常、電池の種類及び構成は、容積及び質量当たりのエネルギー密度、すなわち1キログラム当たりワット時及び1立方センチメートル当たりワット時などのパラメータに基づいて選択される。いくつかの実施形態では、リチウムポリマ電池及びリチウムイオン電池などの高密度電池を使用することができる。或いは、必要に応じて、代わりに非充電式又は使い捨て電池を使用することもできると理解されるであろう。
【0199】
図35Bを参照すると、呼吸装置20をユーザの頭部に装着するためのヘッドギア221の第3の実施形態を示している。ここでも、ヘッドギア221は、
図34の第1の実施形態のヘッドギア201に関して説明したタイプの上側ヘッドストラップ203及び下側ヘッドストラップ205を有する。また、ユーザの頭頂部には、少なくとも部分的に延びるように構成され、ウェブ又はメッシュ材料を介してヘッドギアの上部ストラップ203に固定された可撓性の電池パッケージモジュール223が提供される。具体的には、材料がウェブであるか、メッシュであるか、それとも他の可撓性材料であるかに関わらず、その基層はユーザの頭頂部の少なくとも一部を覆って延びるように構成され、ユーザの頭部の両側で上部ストラップ203に固定される。この電池パッケージモジュール223は、
図35Aを参照して説明したような、電力ケーブル217を介して呼吸装置に電力を供給する1又はそれ以上の電池を含むことができる。電池パッケージモジュール223は、1又はそれ以上の電池を確実に受け入れて保持するための内部ポーチ、ポケット又は窪みを有する可撓性材料を含むことができる。
【0200】
電池パックがヘッドギア内に設けられた、又は別様にヘッドギアに装着されたこれらの実施形態では、ヘッドギアが、ヘッドギアの着用時に電池とユーザの頭部の間に位置する1又はそれ以上の遮蔽板を含むこともできる。この1又は複数の遮蔽板は、ユーザを物理的かつ電磁的に遮蔽する。いくつかの実施形態では、遮蔽板を金属材料で形成することができる。いくつかの実施形態では、ユーザが苦痛を感じないように、遮蔽板をヘッドギア材料の内部に埋め込み、又はヘッドギア材料と一体化することができる。或いは、遮蔽板をその他の好適な方法でヘッドギアに固定し、又は解除可能に取り付けることもできる。
【0201】
さらに別のヘッドギア構成
図36~
図39に、他の様々な呼吸装置構成及び代替のヘッドギア構成を示すが、動作及び機能は、呼吸装置20に関して上述したものと同様である。
【0202】
図36に示す呼吸装置230は、ユーザ1の額領域に装着されるように構成された、呼吸装置の頂部に位置する送風ユニット232と、マスクアセンブリ233と、本体231とを有するメインハウジング231を含む。この呼吸装置のヘッドギアは、
図34~
図35Bを参照しながら説明した方法でユーザに呼吸装置を固定するように構成された上側ヘッドギアストラップ234及び下側ヘッドギアストラップ235を含む。この実施形態では、送風ユニット232が、送風ユニットのオン及びオフを切り替え、及び/又は1又はそれ以上の動作モードを制御するように構成することができる、ユーザが操作できる1又はそれ以上のユーザインターフェイス制御ボタン236を有する。
図37~
図39には、様々な異なる制御ボタン236の構成を有する呼吸装置203を示す。このユーザインターフェイスは、装置の1又はそれ以上の動作モード及び/又は機能を制御する役割を単独で又は双方向的に果たすことができる1つのボタン、2つのボタン又は複数のボタンを含むことができる。この1又は複数の制御ボタンは、いずれの形の触覚スイッチ、ダイヤル又はノブ、或いはタッチセンサ式ボタンであっても、又はその他のいずれの動作可能なユーザインターフェイス機構であってもよいと理解されるであろう。いくつかの実施形態では、1又は複数の制御ボタンが、呼吸装置の額領域に存在する送風ユニットの前面に位置するが、必要に応じて呼吸装置の本体、又は患者インターフェイス、又はその他の領域に位置することもできる。
【0203】
基地局構成
図44~
図50を参照して、上述した1又は複数のタイプのウェアラブル呼吸装置の様々な基地局構成をほんの一例としてさらに詳述する。様々な無線電力伝達構成について説明し、いくつかの実施形態では、このようなシステムの送信機と受信機の間の典型的な接続範囲を最大2mとすることができるが、使用するハードウェアによってはさらに広い範囲を実現することもできると理解されるであろう。様々な基地局の実施形態の特徴の組み合わせ及び入れ替えを望む通りに行ってさらなる構成を形成することもできると理解されるであろう。
【0204】
概説すると、様々な実施形態では、基地局が、以下のモジュール又はシステム、すなわち呼吸補助装置に電力を供給する電源システム、呼吸補助装置との間でデータを送受信するデータ転送システム、及び制御信号を介して呼吸補助装置を制御する制御システムのうちのいずれか1つ又はそれ以上を含むことができる。制御システムは自動で動作することも、及び/又はユーザが頭部装着型呼吸装置を制御できるようにするユーザインターフェイスを含むこともできる。これらのシステムの各々は、頭部装着型呼吸装置に、接続ケーブルなどの配線接続を介して、及び/又は無線媒体を介して無線で動作可能に接続することができる。
【0205】
いくつかの実施形態では、基地局が、未使用時に頭部装着型呼吸装置を格納及び/又は取り付けることができる物理的ドッキングステーションとしてさらに構成される。しかしながら、他の実施形態では、基地局が、配線接続を介して又は無線接続範囲内で接続されている時に、電力供給面、データ転送面及び/又は制御面を実行する。
【0206】
独立した無線電力伝達マットを用いた第1の実施形態の基地局
図44を参照して分かるように、この第1の実施形態では、基地局300が、ユーザのベッドの近くに配置できるように構成された臨床モジュールの形をとるが、この基地局は、使用時に呼吸装置の範囲内のあらゆる好適な位置に配置できるようにポータブルであると理解されるであろう。基地局は、以下に限定されるわけではないが、Wi-Fi、Bluetooth、セルラー3G又は同様のものを含むいずれかの種類の無線通信媒体、プロトコル又はネットワークを介して、又は有線通信リンクを用いて呼吸装置301及び他の外部装置又はシステムと通信するための1又はそれ以上の通信モジュールを有するデータ転送システムを含む。この実施形態では、基地局が、外部システム307又はネットワークと通信して医療サービス提供業者又はその他の関連団体にユーザによる呼吸装置の使用に関するコンプライアンスデータを送信するように構成された第1の通信モジュール302を含む。この実施形態では、基地局の第1の通信モジュール302が、無線媒体を介して外部システム307と通信するが、有線通信リンク又は通信接続を使用することもできる。例えば、基地局は、USB又はイーサネット(登録商標)又は同様のものを使用して、通信ケーブルリンクを介してパーソナルコンピュータ、サーバ、LANなどのネットワークのような外部システムに接続することができる。基地局は、別の装置又はシステムにデータを送信するための独立型通信装置又は送信装置に無線で又は有線接続を介して接続することもできると理解されるであろう。
【0207】
基地局は、呼吸装置に内蔵された相補的な通信モジュール303bと無線で又は有線接続を介して通信する第2の通信モジュール303aも含む。この第2の通信モジュールを使用して、呼吸装置から使用コンプライアンスデータを取り出し、基地局の統合データ記憶媒体に記憶し、及び/又は上記のような外部システムにさらに伝送することができる。第2の通信モジュール303aは、呼吸装置の動作パラメータ又は設定を構成するための制御信号を送信することもできる。基地局は、第2の通信モジュール303aを介してこのような動作パラメータ又は設定を制御すべくユーザが操作できるユーザインターフェイスにより生成された信号に応答して、又は自動的に制御信号を生成するための制御システムを含む。一例として、この制御信号を使用して、以下に限定されるわけではないが、装置のオンとオフを切り替えることができるオン/オフモード、内蔵電源を充電する充電モード、使用後に気体流路を乾かすために送風ユニットを所定時間にわたって動作させる乾燥モード、並びにユーザの使用データ及び/又はセンサデータを基地局に転送するデータ転送モードを含む、呼吸装置の様々な動作モードを開始することができる。
【0208】
いくつかの実施形態では、制御システムを、基地局と呼吸装置の間に動作可能な(有線又は無線の)接続が検出されたかどうかに基づいて、これらの動作モードを開始すること、停止すること又は別様に制御することを含めて動作モードの1つ又はそれ以上を制御するための制御信号を呼吸装置に自動的に送信するように構成することができる。
【0209】
第2の通信モジュール303aは、呼吸装置に内蔵されたいずれかの無線センサからセンサ信号及び/又はセンサデータを直接受け取るように任意に構成することができる。
【0210】
呼吸装置301及び基地局300の一方又は両方に取り外し可能なデータ記憶媒体を設けて、コンプライアンスデータの転送を可能にすることもできる。
【0211】
基地局は、コンセントによるAC電圧源306に結合された独立型AC電源アダプタ304などの電源によって給電を受けることができる。代替の実施形態では、AC電源アダプタ回路を基地局に一体化することもできると理解されるであろう。
【0212】
この実施形態では、基地局が、未接続の呼吸装置301に無線電力伝達を介して電力を伝送するように構成された、接続された電源マット305の形の電源システムを提供する。電源マット305は、使用時にユーザが睡眠中に呼吸装置を装着している場合、ユーザの枕の下に位置して疎結合電力伝達を行う。電源マットから受け取った電力を使用して、呼吸装置に給電を行い、及び/又は呼吸装置に内蔵された電池パック、スーパーコンデンサなどのいずれかのエネルギー貯蔵装置を充電することなどができる。この実施形態では、磁気共鳴電力伝達又は同様の方法を使用して、電源マット305から呼吸装置301に電力を伝達する。
【0213】
電源システムは、呼吸装置に内蔵されたいずれかの無線センサに直接給電を行うように任意に構成することもできる。
【0214】
統合型無線電力伝達を用いた第2の実施形態の基地局
図45を参照して分かるように、第2の実施形態の基地局310は第1の実施形態の基地局と類似し、同様の参照番号は同様の特徴及び機能を示す。第2の実施形態の主な相違点は、基地局とウェアラブル呼吸装置の間の同じ接続、すなわち無線接続媒体を介してデータ通信と電力伝達を同時に行うことができるように、無線電力伝達ハードウェアが基地局に統合されている点である。図示のように、基地局は、(電池パック又はスーパーキャパシタなどの)内蔵エネルギー貯蔵装置を有していないウェアラブル呼吸装置312に無線で給電311を行い、又は内蔵エネルギー貯蔵装置を有しているウェアラブル呼吸装置313に給電及び/又は充電を行うことができる。図示のように、基地局及び呼吸装置は、第1の実施形態で説明したような通信モジュールも含む。
【0215】
データハブを用いた第3の実施形態の基地局
図46を参照して分かるように、第3の実施形態の基地局はデータハブ320の形をとる。データハブ320は、上述したように通信モジュール303a、303bを介して呼吸装置322と通信する。データハブ320は、コンピュータ、或いはラップトップ、タブレット、スマートフォン又は同様のものなどのポータブル通信装置などの外部システム321とも無線で通信302する。ユーザは、外部システム上で実行中のコンピュータ又はアプリケーションプログラムを、呼吸装置の設定又は動作パラメータを無線で制御するように動作させることができる。代替の実施形態では、外部システム321及び呼吸装置322がデータハブ320を使用せずに直接通信することもできると理解されるであろう。上述したように、コンプライアンスデータ及び装置の設定は、呼吸装置から独立型データハブ320に無線で中継されて記憶され、及び/又は外部システムにさらに無線送信される。これらの2つのステップのデータの転送には、取り外し可能媒体を使用することもできる。
【0216】
この第3の実施形態の構成では、コンセントのAC電圧306に接続可能なACアダプタなどの電源304が、電力ケーブル327を介して呼吸装置の構成部品に接続して給電又は充電を行うことができ、すなわち呼吸装置は、この電源に物理的に接続されて、いずれかの内蔵エネルギー貯蔵装置を動作させ及び/又は充電する。この意図は、装置が未使用の間に電池が充電されるようにすることにあるが、325に示すように、接続動作モードでは装置を使用しながら同時に充電することができる。同様に、324に示すようにヘッドギア/送風機から電池を取り外して充電することも、又は326に示すように呼吸装置に直接電源を接続して電池を用いずに使用することもできる。電池又は呼吸装置への電源接続は、有意な引張力が加わった場合に電池又は装置からケーブルが引き抜かれるように、離脱式電気接続を含むことができる。
【0217】
電池ドックを用いた第4の実施形態の基地局
図47を参照して分かるように、第4の実施形態の基地局330も、コンプライアンスデータの伝送及び記憶を可能にするとともに、ユーザが基地局上のユーザインターフェイスを介して呼吸装置の動作設定を変更できるように通信モジュール302、303を含む。
【0218】
基地局は、コンセントのAC電圧306に接続されたACアダプタ304によって給電を受けるが、このACアダプタ回路を基地局に統合することもできると理解されるであろう。基地局は、呼吸装置の電池又は電池パック331などの取り外し可能なエネルギー貯蔵装置を受け入れて充電するための電池ドックを含み、すなわち、呼吸装置のヘッドギアから電池が物理的に取り外され、基地局内にドッキングして充電される。基地局からは電力ケーブル332が延び、任意に呼吸装置に接続して給電動作及び/又は充電を行うことができる。例えば、内蔵電池334を有する呼吸装置333に電力ケーブル332を接続して、呼吸装置の接続使用を行いながら同時に電池の充電を行うことができる。これとは別に又はこれに加えて、335に示すような非電池式呼吸装置に電力ケーブルを接続して、このような装置の接続使用を可能にすることもできる。この場合も、電池又は呼吸装置への電源接続は、有意な引張力が加わった場合に装置からケーブルが引き抜かれるように、離脱式電気接続を含むことができる。
【0219】
統合型無線電力伝達マットを用いた第5の実施形態の基地局
図48を参照して分かるように、第5の実施形態の基地局350は、第4の実施形態の基地局と同様の構成を有し、同様の参照番号は同様の特徴及び機能を示す。主な相違点は、第5の実施形態の基地局340は電池ドックを有しておらず、第1の実施形態の基地局で説明したタイプの、無線電力伝達を介して呼吸装置342に電力を伝達するように構成された統合型充電マット341を有している点である。例えば、この充電マット341上に呼吸装置の電池を物理的に配置して充電を行う。充電は、(図示のように)電池が依然として呼吸装置に取り付けられた状態でも、又は電池を取り外してこれ自体をマット上に配置した状態でも行うことができる。充電マット341は、(図示のように)側面が開いていてもよく、又は充電中に装置が隠れるように筐体に組み込んでもよい。
【0220】
プラグ式充電を用いた第6の実施形態の基地局
図49を参照して分かるように、第6の実施形態の基地局340は、第5の実施形態の基地局と同様の構成を有し、同様の参照番号は同様の特徴及び機能を示す。主な相違点は、第6の実施形態の基地局350は電池ドックを有しておらず、呼吸装置から取り外し可能な電池パック336に必要に応じて電力ケーブル332を接続できる点である。
【0221】
独立型無線電力及びデータ転送マットを用いた第7の実施形態の基地局
図50を参照して分かるように、第7の実施形態の基地局360は、第1の実施形態の基地局と類似しており、同様の参照番号は同様の特徴及び機能を示す。第7の実施形態の主な相違点は、呼吸装置301と通信するための通信モジュールが電源マット305に統合されている点である。具体的には、電源マット305は、無線電力伝達送信機又は送信機回路305a、及び通信モジュール通信回路305bの両方を含む。無線電力伝達送信機305aは、呼吸装置301の制御盤362に設けられた相補的な無線電力伝達受信機又は受信機回路362aに対して疎結合電力伝達を行うように構成される。同様に、この制御盤も、電源マット305の通信モジュール305bと通信するための通信モジュール通信回路362bを含む。この構成では、同じ又は単一の無線接続媒体又はリンク365を介して電源マット305から呼吸装置301に電力とデータの両方を伝達することができる。
【0222】
図示のように、305における電力伝達は、ケーブル367を介して基地局360に接続される。基地局360は、この接続367により、呼吸装置との間でデータを送受信することに加え、電源マット305の無線電力伝達回路に給電を行うことができるようになる。具体的には、基地局は、呼吸装置の動作パラメータ又は設定を構成するための制御信号を送信できるとともに、
図44の基地局の第1の実施形態を参照しながら説明したような使用コンプライアンスデータを呼吸装置から取り出すことができる。
【0223】
図44を参照しながら第1の実施形態において説明したように、電源マットから受け取った電力を使用して、呼吸装置に給電を行い、及び/又は呼吸装置に内蔵された電池パック、スーパーコンデンサなどのいずれかのエネルギー貯蔵装置を充電することなどができる。
【0224】
この第7の実施形態では、呼吸装置に内蔵される制御盤362を、ヘッドギア363に、具体的にはユーザの頭頂部の位置において頂部ヘッドストラップに装着されるように示している。この時、制御盤362は、ケーブル364を介して呼吸装置301の送風ユニットに、及び/又は送風ユニットハウジング内のいずれかのさらなる制御回路に接続される。しかしながら、代替の実施形態では、図示のように制御盤362をヘッドギアに装着するのではなく、呼吸装置のメインハウジングに一体化することもできると理解されるであろう。
【0225】
上述した本発明の説明は、その好ましい形態を含む。これらの形態には、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の思想及び範囲から逸脱することなく修正を行うこともできる。
【符号の説明】
【0226】
20 呼吸装置
22 本体
24 送風ユニット
26 マスク