(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】液体クロマトグラフィーシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 30/02 20060101AFI20220511BHJP
G01N 30/46 20060101ALI20220511BHJP
G01N 30/06 20060101ALI20220511BHJP
G01N 30/08 20060101ALI20220511BHJP
G01N 30/20 20060101ALI20220511BHJP
G01N 30/26 20060101ALI20220511BHJP
G01N 30/32 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
G01N30/02 Z
G01N30/46 Z
G01N30/06 C
G01N30/08 L
G01N30/20 A
G01N30/26 M
G01N30/32 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020111169
(22)【出願日】2020-06-29
【審査請求日】2020-06-29
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン・ジーバース-エングラー
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特表平06-511084(JP,A)
【文献】国際公開第2010/026742(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/033256(WO,A1)
【文献】特開2013-238469(JP,A)
【文献】特開2005-099015(JP,A)
【文献】特開平07-229885(JP,A)
【文献】特開2004-271272(JP,A)
【文献】米国特許第06585937(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/02
G01N 30/06
G01N 30/08
G01N 30/20
G01N 30/26
G01N 30/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの流体ストリーム(90’)を含む液体クロマトグラフ(LC)システム(200)であって、前記流体ストリーム(90’)は、第1のサブストリーム(91)および第2のサブストリーム(92)を含み、
前記第1のサブストリーム(91)は、
- 第1のサンプル注入バルブ(10’)であって、前記第1のサンプル注入バルブ(10’)は、複数のポート(11’、12’、13’、14’、15’、16’)、および、ポート(11’、12’、13’、14’、15’、16’)間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチを含み、前記ポート(11’、12’、13’、14’、15’、16’)は、サンプル入力ノズル(1’)に流体接続されているサンプル入力ポート(11’)、サンプル吸引ポンプ(2’)に流体接続されている吸引/ディスペンシングポンプポート(12’)、サンプルループ(17’)によって相互接続されているサンプルループ入力ポート(13’)およびサンプルループ出力ポート(14’)、LCポンプ(5’)に流体接続されているLCポンプポート(15’)、ならびに、サンプル注入-トゥー-ロード溶出ポート(16’)を含む、第1のサンプル注入バルブ(10’)と、
- ロード溶出バルブ(40’)であって、前記ロード溶出バルブ(40’)は、複数のポート(41’、42’、43’、44’、45’、46’)、および、ポート(41’、42’、43’、44’、45’、46’)間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチを含み、前記ポート(41’、42’、43’、44’、45’、46’)は、前記第1のサンプル注入
バルブ(10’)の前記サンプル注入-トゥー-ロード溶出ポート(16’)に流体接続されているロード溶出-トゥー-サンプル注入ポート(41’)、LCポンプ(3’)に流体接続されているLCポンプポート(43’)、廃棄物(4’)に流体接続されている廃棄物ポート(44’)、分析出力ポート(46’)、および2つのロード溶出-トゥー-トラップ選択ポート(42’、45’)を含む、ロード溶出バルブ(40’)と、
- トラップ選択バルブ(50’)であって、前記トラップ選択バルブ(50’)は、複数のポート(51’、52’、53’、54’、55’、56’)、および、ポート(51’、52’、53’、54’、55’、56’)間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチを含み、前記ポート(51’、52’、53’、54’、55’、56’)は、前記ロード溶出バルブ(40’)の前記ロード溶出-トゥー-トラップ選択ポート(42’、45’)にそれぞれ流体接続されている2つのトラップ選択-トゥー-ロード溶出ポート(51’、52’)、トラップカラム(57’、57’’、57’’’)によって相互接続されている少なくとも1対のトラップカラムポート(53’、54’)、および、2つのトラップ選択-トゥー-トラップLCトランスファーポート(55’、56’)を含む、トラップ選択バルブ(50’)と
を含み、
前記第2のサブストリーム(92)は、
- 第2のサンプル注入バルブ(10’’)であって、前記第2のサンプル注入バルブ(10’’)は、複数のポート(11’’、12’’、13’’、14’’、15’’、16’’)、および、ポート(11’’、12’’、13’’、14’’、15’’、16’’)間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチを含み、前記ポート(11’’、12’’、13’’、14’’、15’’、16’’)は、サンプル入力ノズル(1’’)に流体接続されているサンプル入力ポート(11’’)、サンプル吸引ポンプ(2’’)に流体接続されている吸引/ディスペンシングポンプポート(12’’)、サンプルループ(17’’)によって相互接続されているサンプルループ入力ポート(13’’)およびサンプルループ出力ポート(14’’)、LCポンプ(5’’)に流体接続されているLCポンプポート(15’’)、ならびに、サンプル注入-トゥー-トラップLCトランスファーポート(16’’)を含む、第2のサンプル注入バルブ(10’’)と、
- カラムバイパスバルブ(30’’)であって、前記カラムバイパスバルブ(30’’)は、複数のポート(31’’、32’’、33’’、34’’、35’’、36’’)、および、ポート(31’’、32’’、33’’、34’’、35’’、36’’)間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチを含み、前記ポート(31’’、32’’、33’’、34’’、35’’、36’’)は、LC分析カラム(37’’)によって相互接続されている少なくとも1対のLCカラムポート(32’’、33’’)、バイパス流体経路(38’’)によって相互接続されている2つのバイパスポート(34’’、35’’)、分析出力ポート(36’’)、および、カラムバイパス-トゥー-トラップLCトランスファーポート(31’’)を含む、カラムバイパスバルブ(30’’)と
を含み、
前記流体ストリーム(90’)は、
- トラップLCサブストリームトランスファーバルブ(70)であって、前記トラップLCサブストリームトランスファーバルブ(70)は、複数のポート(71、72、73、74、75、76)、および、ポート(71、72、73、74、75、76)間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチを含み、前記ポート(71、72、73、74、75、76)は、トラップカラム(77)によって相互接続されている1対のトラップカラムポート(71、72)、前記トラップ選択バルブ(50’)の2つのトラップ選択-トゥー-トラップLCトランスファーポート(55’、56’)にそれぞれ流体接続されている2つのトラップLCトランスファー-トゥー-トラップ選択ポート(73、74)、前記カラムバイパスバルブ(30’’)の前記カラムバイパス-トゥー-トラップLCトランスファーポート(31’’)に流体接続されているトラップLCトランスファー-トゥー-カラムバイパスポート(75)、前記第2のサンプル注入バルブ(10’’)の前記サンプル注入-トゥー-トラップLCトランスファーポート(16’’)に流体接続されているトラップLCトランスファー-トゥー-サンプル注入ポート(76)を含む、トラップLCサブストリームトランスファーバルブ(70)と、
- サブストリーム選択バルブ(80)であって、前記サブストリーム選択バルブ(80)は、複数のポート(81、82、83、84)、および、ポート(81、82、83、84)間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチを含み、前記ポート(81、82、83、84)は、前記ロード溶出バルブ(40’)の前記分析出力ポート(46’)に流体接続されているサブストリーム選択-トゥー-ロード溶出ポート(81)、前記カラムバイパスバルブ(30’’)の前記分析出力ポート(36’’)に流体接続されているサブストリーム選択-トゥー-カラムバイパスポート(82)、および、サブストリーム選択-分析出力ポート(83)を含む、サブストリーム選択バルブ(80)と
をさらに含む、液体クロマトグラフ(LC)システム(200)。
【請求項2】
前記カラムバイパスバルブ(30’’)は、HPLCカラムまたはUHPLCカラム(37’’)の中から選択するためのLCカラム選択バルブであり、複数対のLCカラムポート(32’’、33’’)を含み、それぞれの対は、HPLCカラムもしくはUHPLCカラム(37’’)によって相互接続され得、および/または、前記トラップ選択バルブ(50’)は、トラップカラム(57’、57’’、57’’’)の中から選択するためのトラップカラム選択バルブであり、複数対のトラップカラムポート(53’、54’)を含み、それぞれの対(53’、54’)は、トラップカラム(57’、57’’、57’’’)によって相互接続され得る、請求項
1に記載のLCシステム(200)。
【請求項3】
前記LCシステム(200)は、コントローラー(60’)をさらに含み、前記コントローラー(60’)は、前記第1のサンプル注入バルブ(10’)、前記ロード溶出バルブ(40’)、前記トラップ選択バルブ(50’)、前記第2のサンプル注入バルブ(10’’)、前記カラムバイパスバルブ(30’’)、前記トラップLCサブストリームトランスファーバルブ(70)、および前記サブストリーム選択バルブ(80)を、フローインジェクションモード、トラップ-溶出モード、LCモード、トラップ-溶出-LCモードのうちのいずれかの間で切り替えるように構成されている、請求項
1または
2に記載のLCシステム(200)。
【請求項4】
前記フローインジェクションモードは、所定のスイッチステータスを含み、前記所定のスイッチステータスでは、前記トラップLCサブストリームトランスファーバルブ(70)、および、前記カラムバイパスバルブ(30’’)に接続されている前記バイパス流体経路(38’’)を介して、前記第2のサンプル注入バルブ(10’’)の前記サンプル注入-トゥー-トラップLCトランスファーポート(16’’)と前記サブストリーム選択バルブ(80)の前記サブストリーム選択-分析出力ポート(83)との間に直接的な流体接続が存在している、請求項
3に記載のLCシステム(200)。
【請求項5】
前記トラップ-溶出モードは、所定のスイッチステータスを含み、前記所定のスイッチステータスでは、前記ロード溶出バルブ(40’)を介して、前記トラップ選択バルブ(50’)に接続されているトラップカラム(57’’’)と前記サブストリーム選択バルブ(80)の前記サブストリーム選択-分析出力ポート(83)との間に直接的な流体接続が存在している、請求項
3に記載のLCシステム(200)。
【請求項6】
前記LCモードは、所定のスイッチステータスを含み、前記所定のスイッチステータスでは、前記トラップLCサブストリームトランスファーバルブ(70)を介して、および、前記カラムバイパスバルブ(30’’)に接続されているLCカラム(37’’)を介して、前記第2のサンプル注入バルブ(10’’)の前記サンプル注入-トゥー-トラップLCトランスファーポート(16’’)と前記サブストリーム選択バルブ(80)の前記サブストリーム選択-分析出力ポート(83)との間に直接的な流体接続が存在している、請求項
3に記載のLCシステム(200)。
【請求項7】
前記トラップ-溶出-LCモードは、所定のスイッチステータスを含み、前記所定のスイッチステータスでは、前記カラムバイパスバルブ(30’’)に接続されているLCカラム(37’’)を介して、前記トラップLCサブストリームトランスファーバルブ(70)に接続されている前記トラップカラム(77)と前記サブストリーム選択バルブ(80)の前記サブストリーム選択-分析出力ポート(83)との間に直接的な流体接続が存在している、請求項
3に記載のLCシステム(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、異なる分析モード間の切り替えを可能にする液体クロマトグラフシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析の実装に対する関心が大きくなっており、より具体的には、臨床検査室の中での質量分析に連結されている液体クロマトグラフィーの実装に対する関心が大きくなっている。しかし、標準化されたおよび自動化された手順の欠如、ならびに、分析セットアップの複雑さが、その実装を制限している。とりわけ、サンプル調製は、典型的に、手動の面倒な手順である。後続の遠心分離を伴うタンパク質沈殿は、望まれない潜在的に阻害するサンプルマトリックスを除去するための最も一般的な方法である。キットの使用は、少なくとも部分的に自動化され得るサンプル調製を部分的に促進させることが可能である。しかし、キットは、限られた数の関心の検体のためだけに利用可能であり、サンプル調製から分離および検出へのプロセス全体は、複雑なままであり、極めて高度な器具を動作させるために、高度に訓練された検査技師の立ち会いを必要とする。
【0003】
また、典型的に、バッチアプローチがそれに続き、そこでは、同じ調製条件の下で事前に調製されたサンプルのバッチが、同じ分離条件の下で連続的なクロマトグラフ分離ランを受ける。しかし、このアプローチは、高いスループットを可能にせず、フレキシブルではなく、たとえば、ランダムな順序でサンプルを処理することを許容せず、また、たとえば、優先度が高く、最初に処理されなければならない、入ってくる緊急サンプルの観点から、再スケジューリング(事前に定義された処理シーケンスを変化させる)を許容しない。
【0004】
米国特許出願公開第2018/0292368(A1)号は、自動化されたランダムアクセスサンプル調製およびLC分離を可能にし、それによって、臨床診断に適切な質量分析に連結されているLCを利用する、システムおよび方法を説明している。
【0005】
多くの連続的なサンプル注入サイクルを必要とする高スループット用途に関して、および、特に、異なる注入条件および異なるLC分離条件を場合によっては必要とする異なるサンプルのランダムアクセス分析に関して、スケジュールされたシーケンスでのそれぞれのサンプルに関する条件を急速に変化および適合させる際のさらにより大きなフレキシビリティおよび速度が重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2018/0292368(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記を背景にして、本開示の実施形態は、先行技術を上回る特定の自明でない利点および進歩を提供する。とりわけ、本発明者らは、液体クロマトグラフィーシステムにおける改善の必要性を認識した。
【0008】
本開示の実施形態は、特定の利点または機能性に限定されないが、本開示は、液体クロマトグラフ(LC)システムに関して、クロマトグラフのオプションおよびモードの幅広い選択肢を提供すること、ならびに、ハードウェア修正なしに、手動の介入なしに、および、スループットの著しい損失(それは、典型的に、そうでなければ、長い再平衡時間に起因する)なしに、フレキシブルにおよび迅速にそれらの間で切り替えることを可能にするということが留意される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
とりわけ、少なくとも1つの流体ストリームを含む第1の液体クロマトグラフ(LC)システムが導入され、流体ストリームは、サンプル注入バルブ、トラップバイパス選択バルブ、カラムバイパスバルブ、ロード溶出(load-elute)バルブ、およびトラップ選択バルブを含む。サンプル注入バルブは、複数のポート、および、ポート間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチを含み、ポートは、サンプル入力ノズルに流体接続されているサンプル入力ポート、サンプル吸引ポンプに流体接続されている吸引/ディスペンシングポンプポート、サンプルループによって相互接続されているサンプルループ入力ポートおよびサンプルループ出力ポート、LCポンプに流体接続されているLCポンプポート、ならびに、サンプル注入-トゥー-トラップバイパス選択ポートを含む。
【0010】
トラップバイパス選択バルブは、複数のポート、および、ポート間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチを含み、ポートは、サンプル注入バルブのサンプル注入-トゥー-トラップバイパス選択ポートに流体接続されているトラップバイパス選択-トゥー-サンプル注入ポート、バイパス流体経路によって相互接続されている2つのバイパスポート、トラップバイパス選択-トゥー-カラムバイパスポート、および、2つのトラップバイパス選択-トゥー-ロード溶出ポートを含む。カラムバイパスバルブは、複数のポート、および、ポート間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチを含み、ポートは、トラップバイパス選択バルブのトラップバイパス選択-トゥー-カラムバイパスポートに流体接続されているカラムバイパス-トゥー-トラップバイパス選択ポート、LC分析カラムによって相互接続されている少なくとも1対のLCカラムポート、バイパス流体経路によって相互接続されている2つのバイパスポート、および分析出力ポートを含む。
【0011】
ロード溶出バルブは、複数のポート、および、ポート間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチを含み、ポートは、トラップバイパス選択バルブのトラップバイパス選択-トゥー-ロード溶出ポートにそれぞれ流体接続されている2つのロード溶出-トゥー-トラップバイパス選択ポート、LCポンプに流体接続されているLCポンプポート、廃棄物に流体接続されている廃棄物ポート、および、2つのロード溶出-トゥー-トラップ選択ポートを含む。トラップ選択バルブは、複数のポート、および、ポート間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチを含み、ポートは、ロード溶出バルブのロード溶出-トゥー-トラップ選択ポートにそれぞれ流体接続されている2つのトラップ選択-トゥー-ロード溶出ポート、トラップカラムによって相互接続されている少なくとも1対のトラップカラムポートを含む。
【0012】
「液体クロマトグラフィーまたはLC」は、たとえば、関心の検体をマトリックス成分(たとえば、後続の検出(たとえば、質量分析検出)と依然として干渉し得るサンプル調製の後の残りのマトリックス成分)から分離するために、および/または、それらの個々の検出を可能にするために、関心の検体を互いから分離するために、サンプルインジェクターによって注入されるサンプルを、LCカラムを通したクロマトグラフ分離にかける分析プロセスである。「高速液体クロマトグラフィー」またはHPLC、「超高速液体クロマトグラフィー」またはUHPLC(「マイクロ液体クロマトグラフィー」またはμLCおよび「スモールボア液体クロマトグラフィー」またはスモールボアLCを含む)は、圧力下において実施される液体クロマトグラフィーの形態である。
【0013】
「液体クロマトグラフシステムまたはLCシステム」は、液体クロマトグラフィーを実施するための分析装置もしくはモジュール、または、分析装置の中のユニットである。LCシステムは、並列におよび/または直列に配置されている1つまたは複数のLCカラムを含むことができる、シングルチャネルシステムまたはマルチチャネルシステムとして具現化され得る。また、LCシステムは、サンプルインジェクター、バルブ、液体供給源、流体接続部、ならびに、たとえば、液体を混合するための、液体を脱ガスするための、および、液体をテンパリングする(temper)ためなどのパーツ、1つまたは複数のセンサー、たとえば、圧力センサーおよび温度センサーなど、ならびに、特に少なくとも1つのLCポンプなどのような、要素を含むことが可能である。このリストは、包括的ではない。一実施形態によれば、LCシステムは、質量分析のためのサンプルを調製するように、および/または、とりわけ、質量分析計による検出の前に関心の検体を分離するために、調製されたサンプルを質量分析計へ移送するように設計されている分析モジュールである。とりわけ、典型的に、LCランの間に、質量分析計は、特定の質量範囲をスキャンするように設定され得る。LC/MSデータは、個々の質量スキャンの中のイオン電流を合計することによって、および、時間に対する強度点として、その「合計された」イオン電流をプロットすることによって表され得る。結果として生じるプロットは、検体ピークを伴うHPLC UVトレースのように見える。LCシステムは、そうでなければ、UV検出器などのような、それ自身の検出器を含むことが可能である。
【0014】
「液体」という用語は、たとえば、移動相または溶離液として使用される、および、当技術分野で知られているように使用される、たとえば、溶媒、または、溶媒の混合物として、液体クロマトグラフィーにおいて一般に使用される液体を表している。
【0015】
「サンプル」という用語は、1つまたは複数の関心の検体を含有することが疑われる生物学的な材料を表しており、その検出(定性的な検出および/または定量的な検出)は、臨床症状と関連付けられ得る。サンプルは、任意の生物学的な供給源、たとえば、血液、唾液、眼球レンズ液、脳脊髄液、汗、尿、母乳、腹水、粘液、滑液、腹膜液、羊水、組織、または細胞などを含む、生理学的な流体などから導出され得る。サンプルは、たとえば、血漿または血清を血液から調製すること、粘性流体を希釈すること、または溶解など、使用の前に事前処理され得る。処理の方法は、濾過、遠心分離、蒸留、濃縮、干渉する成分の不活性化、および、試薬の追加を伴うことが可能である。サンプルは、いくつかのケースでは、供給源から取得されるものとして直接的に使用され得、または、たとえば、1つもしくは複数の体外診断テストを実施することを可能にするために、または、関心の検体をエンリッチ化する(抽出する/分離する/濃縮する)ために、および/または、関心の検体の検出と潜在的に干渉するマトリックス成分を除去するために、たとえば、内部標準物質を追加した後に、別の溶液によって希釈された後に、または、試薬と混合された後に、サンプルの特性を修正するための事前処理および/もしくはサンプル調製ワークフローに続いて使用され得る。関心の検体の例は、一般的に、ビタミンD、乱用薬物、治療薬物、ホルモン、および代謝物質である。しかし、このリストは包括的ではない。
【0016】
「流体ストリーム」は、流体経路であり、その流体経路を通って、液体が流れることが可能であり、とりわけ、その流体経路を通って、サンプル注入ポイントからのサンプルが、検出器へ(たとえば、質量分析計または他の検出器)へ移送され得、また、その流体経路を通って、サンプルがクロマトグラフプロセスを受けることが可能である。流体ストリームの異なるパーツを通る流体接続は、不連続的であることが可能である。これは、流体ストリームが切り替えバルブなどのような要素を含むからであり、切り替えバルブは、代替的な接続を確立することが可能であり、また、異なる時間に流体ストリームの異なるパーツ間の流体フローを調整することが可能である。「LCチャネル」は、少なくとも1つのキャピラリーチュービングおよび/またはLCカラムを含む、流体ライン(流体ストリームの一部)であり、LCカラムは、サンプルおよび関心の検体のタイプに従って選択される固定相を含み、また、たとえば、一般に知られているように、それらの極性もしくはlog P値、サイズ、または親和性に従って、選択された条件の下で関心の検体を捕捉し、および/または分離し、ならびに、溶出し、および/または移送するために、移動相が固定相を通してポンプ送りされる。少なくとも1つのLCチャネルの中の少なくとも1つのLCカラムは、交換可能であり得る。とりわけ、LCシステムは、LCチャネルよりも多くのLCカラムを含むことが可能であり、ここで、複数のLCカラムが、選択可能であり得、たとえば、同じLCチャネルに相互交換可能に連結され得る。また、キャピラリーチュービングは、LCカラムをバイパスするために使用され得る。流体ストリームは、複数のサブストリームを含むことが可能である。
【0017】
LCシステムは、一度に1つの流体ストリームを検出器へ方向付けるためのストリーム選択バルブに接続されている複数の流体ストリームを含むことが可能である。
「LCカラム」は、クロマトグラフ性質の分離を実施するためのカラム、カートリッジ、およびキャピラリーなどのうちのいずれかを表すことが可能である。カラムは、典型的に、固定相をパックまたはロードされており、たとえば、一般に知られているように、それらの極性もしくはlog P値、サイズ、または親和性に従って、選択された条件の下で関心の検体を捕捉し、および/または分離し、ならびに、溶出し、および/または移送するために、移動相が固定相を通してポンプ送りされる。この固定相は、粒状もしくはビーズ状になっていることが可能であり、または、多孔性モノリスであることが可能である。しかし、「カラム」という用語は、また、固定相をパックまたはロードされているのではなく、分離を実現するために内側キャピラリー壁部の表面積に依存する、キャピラリーを表すことが可能である。LCカラムは、交換可能であり得、および/または、1つもしくは複数の他のLCカラムに対して並列にもしくは順番に動作することが可能である。LCカラムは、たとえば、迅速なトラップおよび溶出LCカラムまたは略して「トラップカラム」、高速LC(HPLC)カラムまたは超高速LC(UHPLC)カラムであることが可能であり、また、1mm以下の内径を有するマイクロ-LCカラムおよびスモールボアLCカラムを含む、任意のサイズのものであることが可能である。トラップカラムのケースでは、関心の検体を保つが、任意の塩、バッファー、洗浄剤、および他のマトリックス成分は保たれずに洗浄して取り除かれる固定相が選ばれる。このプロセスは、典型的に、たとえば、バックフラッシュモードで、異なる移動相または溶媒勾配を伴う、検体の溶出がその後に続く。検体に応じて、いくつかの検体の分離が、いくつかのケースにおいて予期され得る。他方では、多重反応モニタリング(MRM)において同一の質量(等圧)および/または重複する娘イオンスペクトルを有する検体のケースにおいて、質量分析に関して言うと、より広範なクロマトグラフ分離が好ましい可能性がある。そのケースにおいて、HPLCカラムまたはUHPLCカラムの中の分離が有利である可能性がある。
【0018】
「液体クロマトグラフィーポンプまたはLCポンプ」は、高圧ポンプであり、それは、圧力容量が変化することが可能であるが、LCチャネルを通る一貫した再現可能な体積流量を生み出すことが可能である。HPLCの中の圧力は、典型的に、60MPaすなわち約600気圧の高さまで到達することが可能であり、一方、UHPLCシステムおよびμ-LCシステムは、たとえば、140MPaすなわち約1400気圧までの、さらに高い圧力において働くように開発されており、したがって、LCカラムの中ではるかに小さい粒子サイズ(<2μm)を使用することができる。LCポンプは、たとえば、溶出勾配の使用を必要とする条件のケースにおいて、バイナリーポンプとして構成され得る。
【0019】
1つの実施形態によれば、LCポンプは、60MPaから140MPaの圧力、たとえば、75MPaから100MPaの圧力、たとえば、80MPaの圧力を生み出すことが可能である。
【0020】
1つの実施形態によれば、LCポンプは、1μl/minから500μl/min以上の間の流量によって動作するように構成され得、典型的に、100μl/minから300μl/minの間の流量において、および、たとえば、約±5%以下の精度で動作するように構成され得る。
【0021】
本LCシステムの少なくとも1つの実施形態によるLCポンプは、専用の機能または複数の機能を有することが可能である。たとえば、サンプル注入バルブのLCポンプポートに流体接続されているLCポンプは、一度にサンプル注入バルブまたはロード溶出バルブのいずれかに接続するために、たとえば、追加的なスイッチバルブを介して、ロード溶出バルブのLCポンプポートに接続されているLCポンプと同じであることが可能である。
【0022】
「LC切り替えバルブ」は、ポートに接続されている要素間のフローを制御するマルチポートバルブである。これは、典型的に、スイッチメカニズムによって実現され、スイッチメカニズムは、異なる要素間の連通を切り替えるために、1つまたは複数のバルブ導管を移動させる。パイプ、チューブ、キャピラリー、およびマイクロ流体チャネルなどのような、さらなる導管を介して、ならびに、たとえば、クランプメカニズムによって適切な場所に維持される、スクリュー/ナットおよびフェルール、または代替的な液密シーリングのような、フィッティングによって、要素はポートに流体接続され得る。LC切り替えバルブは、通常、HPLCに関して使用される程度の大きさの液体圧力またはそれよりも高い液体圧力を可能にすることができる。
【0023】
一実施形態によれば、スイッチバルブは、0.6mm未満の内径、たとえば、約0.5mmから0.2mmの間の内径、たとえば、約0.4mmまたは約0.25mmの内径を有する内側バルブ導管を有する。
【0024】
一実施形態によれば、スイッチバルブは、約500ms以下の切り替え時間を有する。
サンプル注入バルブ、トラップバイパス選択バルブ、カラムバイパスバルブ、ロード溶出バルブ、およびトラップ選択バルブは、LC切り替えバルブである。
【0025】
一実施形態によれば、カラムバイパスバルブは、HPLCカラムまたはUHPLCカラムの中から選択するためのLCカラム選択バルブであり、複数対のLCカラムポートを含み、それぞれの対は、HPLCカラムまたはUHPLCカラムによって相互接続されている。
【0026】
たとえば、カラムバイパスバルブは、2~7方向の6/8/10/12/14ポートバルブであることが可能であり、HPLCカラムまたはUHPLCカラムは、同じまたは異なるタイプ/選択性のものであることが可能である。
【0027】
同じまたは代替的な実施形態によれば、トラップ選択バルブは、トラップカラムの中から選択するためのトラップカラム選択バルブであり、複数対のトラップカラムポートを含み、それぞれの対は、トラップカラムによって相互接続され得る。
【0028】
たとえば、トラップ選択バルブは、2~7方向の6/8/10/12/14ポートバルブであることが可能であり、トラップカラムは、同じまたは異なるタイプ/選択性のものであることが可能である。
【0029】
「カラムバイパスバルブ」は、そのように呼ばれる。その理由は、それが、LCカラムを通して液体フローを方向付けることが可能であるか、または、それが、バイパス流体経路を通して液体フローを方向付けることによって、LCカラムをバイパスすることが可能であるかのいずれかであるからである。
【0030】
「トラップバイパス選択バルブ」は、そのように呼ばれる。その理由は、それが、ロード溶出バルブおよびトラップ選択バルブを介してトラップカラムへ液体フローを方向付けることが可能であるか、または、それが、バイパス流体経路を介してカラムバイパスバルブへ液体フローを方向付けることによって、トラップカラム流体経路をバイパスすることが可能であるからである。
【0031】
「ロード溶出バルブ」は、そのように呼ばれる。その理由は、それが、液体フローを方向付けることが可能であり、サンプルが、トラップカラムの中へロードされ得るか、または、トラップ選択バルブを介してトラップカラムから溶出され得るようになっているからである。
【0032】
一実施形態によれば、LCシステムは、コントローラーをさらに含み、コントローラーは、同じ流体ストリームのサンプル注入バルブ、トラップバイパス選択バルブ、カラムバイパスバルブ、ロード溶出バルブ、およびトラップ選択バルブを、連続的フローインフュージョン/希釈シュートモード、トラップ-溶出モード、LCモード、およびトラップ-溶出-LCモードのうちのいずれかの間で切り替えるように構成されている。
【0033】
一実施形態によれば、連続的フローインフュージョン/希釈シュートモードは、所定のスイッチステータスを含み、所定のスイッチステータスでは、トラップバイパス選択バルブに接続されているバイパス流体経路、および、カラムバイパスバルブに接続されているバイパス流体経路を介して、サンプル注入バルブのサンプル注入-トゥー-トラップバイパス選択ポートとカラムバイパスバルブの分析出力ポートとの間に直接的な流体接続が存在している。
【0034】
一実施形態によれば、トラップ-溶出モードは、所定のスイッチステータスを含み、所定のスイッチステータスでは、トラップ選択バルブ、ロード溶出バルブ、および、カラムバイパスバルブに接続されているバイパス流体経路を介して、トラップ選択バルブに接続されているトラップカラムとカラムバイパスバルブの分析出力ポートとの間に直接的な流体接続が存在している。
【0035】
一実施形態によれば、LCモードは、所定のスイッチステータスを含み、所定のスイッチステータスでは、トラップバイパス選択バルブに接続されているバイパス流体経路、および、カラムバイパスバルブに接続されているLCカラムを介して、サンプル注入バルブのサンプル注入-トゥー-トラップバイパス選択ポートとカラムバイパスバルブの分析出力ポートとの間に直接的な流体接続が存在している。
【0036】
一実施形態によれば、トラップ-溶出-LCモードは、所定のスイッチステータスを含み、所定のスイッチステータスでは、トラップ選択バルブ、ロード溶出バルブ、トラップバイパス選択バルブ、および、カラムバイパスバルブに接続されているLCカラムを介して、トラップ選択バルブに接続されているトラップカラムとカラムバイパスバルブの分析出力ポートとの間に直接的な流体接続が存在している。
【0037】
本明細書で使用されているようなコントローラーという用語は、任意の物理的なまたはバーチャル処理デバイス、および、とりわけ、コンピューター可読のプログラムまたはソフトウェアを走らせるプログラマブルロジックコントローラーを包含しており、コンピューター可読のプログラムまたはソフトウェアは、動作計画に従って動作を実施するためのインストラクションを提供されており、また、異なるクロマトグラフモード間で切り替えるために、および、自動化された様式で必要に応じて個々のクロマトグラフモードの中のワークフローステップを実行するために、とりわけ、サンプル注入バルブ、トラップバイパス選択バルブ、カラムバイパスバルブ、ロード溶出バルブ、およびトラップ選択バルブを切り替える動作と関連付けられている。これは、さらなるバルブ切り替えおよびLCポンプの動作を含み、それぞれのクロマトグラフモードおよびスケジュールされたワークフローステップと同調して動作することが可能である。
【0038】
コントローラーは、LCシステムと通信している別個のロジックエンティティーであることが可能である。いくつかの実施形態では、コントローラーは、データ管理ユニットと一体になっていることが可能であり、サーバーコンピューターによって含まれ得、および/または、1つの臨床診断システムの一部であることが可能であり、または、さらには、複数のLCシステムにわたって分配され得る。
【0039】
また、コントローラーは、ワークフローおよびワークフローステップがLCシステムによって実行されるように、LCシステムを制御するように構成可能であり得る。
とりわけ、コントローラーは、スケジューラーおよび/またはデータマネージャーと通信および/または協働することが可能であり、異なるクロマトグラフモード間の切り替えをスケジュールおよび実行するために、入ってくる分析オーダーおよび/または受け取った分析オーダー、ならびに、分析オーダーの実行と関連付けられたスケジュールされたプロセス動作の数を考慮に入れるようなっている。
【0040】
また、第2の液体クロマトグラフ(LC)システムが本明細書で導入され、第2の液体クロマトグラフ(LC)システムは、少なくとも1つの流体ストリームを含み、流体ストリームは、第1のサブストリームおよび第2のサブストリームを含む。
【0041】
とりわけ、第1のサブストリームは、第1のサンプル注入バルブを含み、第1のサンプル注入バルブは、複数のポート、および、ポート間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチを含み、ポートは、サンプル入力ノズルに流体接続されているサンプル入力ポート、サンプル吸引ポンプに流体接続されている吸引/ディスペンシングポンプポート、サンプルループによって相互接続されているサンプルループ入力ポートおよびサンプルループ出力ポート、LCポンプに流体接続されているLCポンプポート、ならびに、サンプル注入-トゥー-ロード溶出ポートを含む。第1のサブストリームは、ロード溶出バルブをさらに含み、ロード溶出バルブは、複数のポート、および、ポート間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチを含み、ポートは、第1のサンプル注入ポートのサンプル注入-トゥー-ロード溶出ポートに流体接続されているロード溶出-トゥー-サンプル注入ポート、LCポンプに流体接続されているLCポンプポート、廃棄物に流体接続されている廃棄物ポート、分析出力ポート、および2つのロード溶出-トゥー-トラップ選択ポートを含む。第1のサブストリームは、トラップ選択バルブをさらに含み、トラップ選択バルブは、複数のポート、および、ポート間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチを含み、ポートは、ロード溶出バルブのロード溶出-トゥー-トラップ選択ポートにそれぞれ流体接続されている2つのトラップ選択-トゥー-ロード溶出ポート、トラップカラムによって相互接続されている少なくとも1対のトラップカラムポート、および、2つのトラップ選択-トゥー-トラップLCトランスファーポートを含む。
【0042】
第2のサブストリームは、第2のサンプル注入バルブを含み、第2のサンプル注入バルブは、複数のポート、および、ポート間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチを含み、ポートは、サンプル入力ノズルに流体接続されているサンプル入力ポート、サンプル吸引ポンプに流体接続されている吸引/ディスペンシングポンプポート、サンプルループによって相互接続されているサンプルループ入力ポートおよびサンプルループ出力ポート、LCポンプに流体接続されているLCポンプポート、ならびに、サンプル注入-トゥー-トラップLCトランスファーポートを含む。第2のサブストリームは、カラムバイパスバルブをさらに含み、カラムバイパスバルブは、複数のポート、および、ポート間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチを含み、ポートは、LC分析カラムによって相互接続されている少なくとも1対のLCカラムポート、バイパス流体経路によって相互接続されている2つのバイパスポート、分析出力ポート、および、カラムバイパス-トゥー-トラップLCトランスファーポートを含む。
【0043】
流体ストリームは、トラップLCサブストリームトランスファーバルブをさらに含み、トラップLCサブストリームトランスファーバルブは、複数のポート、および、ポート間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチを含み、ポートは、トラップカラムによって相互接続されている1対のトラップカラムポート、トラップ選択バルブの2つのトラップ選択-トゥー-トラップLCトランスファーポートにそれぞれ流体接続されている2つのトラップLCトランスファー-トゥー-トラップ選択ポート、カラムバイパスバルブのカラムバイパス-トゥー-トラップLCトランスファーポートに流体接続されているトラップLCトランスファー-トゥー-カラムバイパスポート、第2のサンプル注入バルブのサンプル注入-トゥー-トラップLCトランスファーポートに流体接続されているトラップLCトランスファー-トゥー-サンプル注入ポートを含む。
【0044】
流体ストリームは、サブストリーム選択バルブをさらに含み、サブストリーム選択バルブは、複数のポート、および、ポート間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチを含み、ポートは、ロード溶出バルブの分析出力ポートに流体接続されているサブストリーム選択-トゥー-ロード溶出ポート、カラムバイパスバルブの分析出力ポートに流体接続されているサブストリーム選択-トゥー-カラムバイパスポート、および、サブストリーム選択-分析出力ポートを含む。
【0045】
第1および第2のサンプル注入バルブ、ロード溶出バルブ、トラップ選択バルブ、カラムバイパスバルブ、トラップLCサブストリームトランスファーバルブ、およびサブストリーム選択バルブは、LC切り替えバルブである。
【0046】
第1のLCシステムと同様に、第2のLCシステムにおいても、LCポンプは、専用の機能または複数の機能を有することが可能である。たとえば、同じLCポンプが、一方または他方に交互に接続するために、たとえば、追加的なスイッチバルブを介して、それぞれの異なるバルブの2つの異なるポートに接続され得る。
【0047】
第2のLCシステムの一実施形態によれば、カラムバイパスバルブは、HPLCカラムまたはUHPLCカラムの中から選択するためのLCカラム選択バルブであり、複数対のLCカラムポートを含み、それぞれの対は、HPLCカラムもしくはUHPLCカラムによって相互接続され得、および/または、トラップ選択バルブは、トラップカラムの中から選択するためのトラップカラム選択バルブであり、複数対のトラップカラムポートを含み、それぞれの対は、トラップカラムによって相互接続され得る。
【0048】
たとえば、カラムバイパスバルブは、2~7方向の6/8/10/12/14ポートバルブであることが可能であり、HPLCカラムまたはUHPLCカラムは、同じまたは異なるタイプ/選択性のものであることが可能である。また、トラップ選択バルブは、2~7方向の6/8/10/12/14ポートバルブであることが可能であり、トラップカラムは、同じまたは異なるタイプ/選択性のものであることが可能である。
【0049】
一実施形態によれば、第2のLCシステムは、コントローラーをさらに含み、コントローラーは、第1のサンプル注入バルブ、ロード溶出バルブ、トラップ選択バルブ、第2のサンプル注入バルブ、カラムバイパスバルブ、トラップLCサブストリームトランスファーバルブ、およびサブストリーム選択バルブを、連続的フローインフュージョン/希釈シュートモード、トラップ-溶出モード、LCモード、トラップ-溶出-LCモードのうちのいずれかの間で切り替えるように構成されている。
【0050】
一実施形態によれば、連続的フローインフュージョン/希釈シュートモードは、所定のスイッチステータスを含み、所定のスイッチステータスでは、トラップLCサブストリームトランスファーバルブ、および、カラムバイパスバルブに接続されているバイパス流体経路を介して、第2のサンプル注入バルブのサンプル注入-トゥー-トラップLCトランスファーポートとサブストリーム選択バルブのサブストリーム選択-分析出力ポートとの間に直接的な流体接続が存在している。
【0051】
一実施形態によれば、トラップ-溶出モードは、所定のスイッチステータスを含み、所定のスイッチステータスでは、ロード溶出バルブを介して、トラップ選択バルブに接続されているトラップカラムとサブストリーム選択バルブのサブストリーム選択-分析出力ポートとの間に直接的な流体接続が存在している。
【0052】
一実施形態によれば、LCモードは、所定のスイッチステータスを含み、所定のスイッチステータスでは、トラップLCサブストリームトランスファーバルブを介して、および、カラムバイパスバルブに接続されているLCカラムを介して、第2のサンプル注入バルブのサンプル注入-トゥー-トラップLCトランスファーポートとサブストリーム選択バルブのサブストリーム選択-分析出力ポートとの間に直接的な流体接続が存在している。
【0053】
一実施形態によれば、トラップ-溶出-LCモードは、所定のスイッチステータスを含み、所定のスイッチステータスでは、カラムバイパスバルブに接続されているLCカラムを介して、トラップLCサブストリームトランスファーバルブに接続されているトラップカラムとサブストリーム選択バルブのサブストリーム選択-分析出力ポートとの間に直接的な流体接続が存在している。
【0054】
そうでなければ、コントローラーは、同じになっていることが可能であり、または、第1のLCシステムのコントローラーと同じまたは同様の機能を果たすように構成され得る。
【0055】
他のおよびさらなる目的、特徴、および利点は、例示的な実施形態の以下の説明および添付の図面から明らかになることとなり、それは、より詳細に原理を説明する役割を果たす。
【0056】
本開示の実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面と関連して読まれたときに最も良好に理解され得、図面において、同様の構造体は、同様の参照番号を伴って示されている。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1A】連続的フローインフュージョン/希釈シュートモードの第1のスイッチステータスにおける、本開示の第1の実施形態による第1のLCシステムを概略的に示す図である。
【
図1B】同じ連続的フローインフュージョン/希釈シュートモードの第2のスイッチステータスにおける、
図1Aの同じLCシステムを概略的に示す図である。
【
図2A】トラップ-溶出モードの第1のスイッチステータスにおける、
図1Aの同じLCシステムを概略的に示す図である。
【
図2B】同じトラップ-溶出モードの第2のスイッチステータスにおける、
図2Aの同じLCシステムを概略的に示す図である。
【
図2C】同じトラップ-溶出モードの第3のスイッチステータスにおける、
図2Aの同じLCシステムを概略的に示す図である。
【
図3A】LCモードの第1のスイッチステータスにおける、
図1Aの同じLCシステムを概略的に示す図である。
【
図3B】同じLCモードの第2のスイッチステータスにおける、
図3Aの同じLCシステムを概略的に示す図である。
【
図3C】同じLCモードの第3のスイッチステータスにおける、
図3Aの同じLCシステムを概略的に示す図である。
【
図4A】トラップ-溶出-LCモードの第1のスイッチステータスにおける、
図1Aの同じLCシステムを概略的に示す図である。
【
図4B】同じトラップ-溶出-LCモードの第2のスイッチステータスにおける、
図4Aの同じLCシステムを概略的に示す図である。
【
図4C】同じトラップ-溶出-LCモードの第3のスイッチステータスにおける、
図4Aの同じLCシステムを概略的に示す図である。
【
図5A】連続的フローインフュージョン/希釈シュートモードの第1のスイッチステータスにおける、本開示の第2の実施形態による第2のLCシステムを概略的に示す図である。
【
図5B】同じ連続的フローインフュージョン/希釈シュートモードの第2のスイッチステータスにおける、
図5Aの同じLCシステムを概略的に示す図である。
【
図6A】トラップ-溶出モードの第1のスイッチステータスにおける、
図5Aの同じLCシステムを概略的に示す図である。
【
図6B】同じトラップ-溶出モードの第2のスイッチステータスにおける、
図6Aの同じLCシステムを概略的に示す図である。
【
図6C】同じトラップ-溶出モードの第3のスイッチステータスにおける、
図6Aの同じLCシステムを概略的に示す図である。
【
図7A】LCモードの第1のスイッチステータスにおける、
図5Aの同じLCシステムを概略的に示す図である。
【
図7B】同じLCモードの第2のスイッチステータスにおける、
図7Aの同じLCシステムを概略的に示す図である。
【
図8A】トラップ-溶出-LCモードの第1のスイッチステータスにおける、
図5Aの同じLCシステムを概略的に示す図である。
【
図8B】同じトラップ-溶出-LCモードの第2のスイッチステータスにおける、
図8Aの同じLCシステムを概略的に示す図である。
【
図8C】同じトラップ-溶出-LCモードの第3のスイッチステータスにおける、
図8Aの同じLCシステムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図の中の要素は、簡単化および明確化のために図示されており、必ずしも正しい縮尺で描かれているわけではないということを当業者は認識する。たとえば、図の中の要素のうちのいくつかの寸法は、本開示の実施形態の理解を改善することを助けるために、他の要素に対して誇張されている可能性がある。
【0059】
図1Aは、第1の実施形態による第1のLCシステム100を概略的に示している。LCシステム100は、流体ストリーム90を含み、流体ストリーム90は、サンプル注入バルブ10、トラップバイパス選択バルブ20、カラムバイパスバルブ30、ロード溶出バルブ40、およびトラップ選択バルブ50を含む。
【0060】
サンプル注入バルブ10は、複数のポート11、12、13、14、15、16と、ポート11、12、13、14、15、16間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチとを含み、ポート11、12、13、14、15、16は、サンプル入力ノズル1に流体接続されているサンプル入力ポート11と、サンプル吸引ポンプ2に流体接続されている吸引/ディスペンシングポンプポート12、サンプルループ17によって相互接続されているサンプルループ入力ポート13およびサンプルループ出力ポート14と、LCポンプ5に流体接続されているLCポンプポート15と、サンプル注入-トゥー-トラップバイパス選択ポート16とを含む。
【0061】
トラップバイパス選択バルブ20は、複数のポート21、22、23、24、25、26と、ポート21、22、23、24、25、26間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチとを含み、ポート21、22、23、24、25、26は、サンプル注入バルブ10のサンプル注入-トゥー-トラップバイパス選択ポート16に流体接続されているトラップバイパス選択-トゥー-サンプル注入ポート21と、バイパス流体経路27によって相互接続されている2つのバイパスポート22、23と、トラップバイパス選択-トゥー-カラムバイパスポート24と、2つのトラップバイパス選択-トゥー-ロード溶出ポート25、26とを含む。
【0062】
カラムバイパスバルブ30は、複数のポート31、32、33、34、35、36と、ポート31、32、33、34、35、36間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチとを含み、ポート31、32、33、34、35、36は、トラップバイパス選択バルブ20のトラップバイパス選択-トゥー-カラムバイパスポート24に流体接続されているカラムバイパス-トゥー-トラップバイパス選択ポート31と、LC分析カラム37によって相互接続されている少なくとも1対のLCカラムポート32、33と、バイパス流体経路38によって相互接続されている2つのバイパスポート34、35と、分析出力ポート36とを含む。LC分析カラム37によって相互接続されている1対のLCカラムポート32、33だけがこの例に示されているが、カラムバイパスバルブ30は、HPLCカラムまたはUHPLCカラムの中から選択するためのLCカラム選択バルブであることが可能であり、複数対のLCカラムポートを含み、ここで、それぞれの対は、HPLCカラムまたはUHPLCカラムによって相互接続され得る。
【0063】
ロード溶出バルブ40は、複数のポート41、42、43、44、45、46と、ポート41、42、43、44、45、46間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチとを含み、ポート41、42、43、44、45、46は、トラップバイパス選択バルブ20のトラップバイパス選択-トゥー-ロード溶出ポート25、26にそれぞれ流体接続されている2つのロード溶出-トゥー-トラップバイパス選択ポート41、42と、LCポンプ3に流体接続されているLCポンプポート43と、廃棄物4に流体接続されている廃棄物ポート44と、2つのロード溶出-トゥー-トラップ選択ポート45、46とを含む。
【0064】
トラップ選択バルブ50は、複数のポート51、52、53、54と、ポート51、52、53、54間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチとを含み、ポート51、52、53、54は、ロード溶出バルブ40のロード溶出-トゥー-トラップ選択ポート45、46にそれぞれ流体接続されている2つのトラップ選択-トゥー-ロード溶出ポート51、52と、トラップカラム57によって相互接続されている少なくとも1対のトラップカラムポート53、54とを含む。トラップカラム57によって相互接続されている1対のトラップカラムポート53、54だけがこの例に示されているが、トラップ選択バルブ50は、トラップカラムの中から選択するためのトラップカラム選択バルブであり、複数対のトラップカラムポートを含み、ここで、それぞれの対は、トラップカラム57によって相互接続され得る。
【0065】
LCシステム100は、コントローラー60をさらに含み、コントローラー60は、同じ流体ストリーム90のサンプル注入バルブ10、トラップバイパス選択バルブ20、カラムバイパスバルブ30、ロード溶出バルブ40、およびトラップ選択バルブ50を、連続的フローインフュージョン/希釈シュートモード、トラップ-溶出モード、LCモード、およびトラップ-溶出-LCモードのうちのいずれかの間で切り替えるように構成されている。
【0066】
とりわけ、
図1Aの実施形態において、LCシステム100は、連続的フローインフュージョン/希釈シュートモードの第1のスイッチステータスに示されており、そこでは、サンプル注入バルブ10が切り替えられており、サンプル入力ポート11がサンプルループ入力ポート13に流体接続され、サンプルループ出力ポート14が吸引/ディスペンシングポンプポート12に流体接続されるようになっている。したがって、サンプル吸引ポンプ2は、サンプル入力ノズル1を通してサンプルループ17の中へサンプルを吸引することが可能である。また、サンプル注入バルブ10、トラップバイパス選択バルブ20、およびカラムバイパスバルブ30が切り替えられ、トラップバイパス選択バルブ20に接続されているバイパス流体経路27、および、カラムバイパスバルブ30に接続されているバイパス流体経路38を介して、サンプル注入バルブ10のサンプル注入-トゥー-トラップバイパス選択ポート16とカラムバイパスバルブ30の分析出力ポート36との間に直接的な流体接続が存在しているようになっている。
【0067】
図1Bは、同じ連続的フローインフュージョン/希釈シュートモードの第2のスイッチステータスにおける、
図1Aの同じLCシステム100を概略的に示しており、そこでは、サンプル注入バルブ10が切り替えられており、サンプルループ17によって相互接続されているサンプルループ入力ポート13およびサンプルループ出力ポート14が、LCポンプポート15およびサンプル注入-トゥー-トラップバイパス選択ポート16にそれぞれ流体接続されるようになっている。このように、LCポンプ5は、サンプルループ17の中へ吸引されたサンプルを、サンプル注入バルブ10のサンプル注入-トゥー-トラップバイパス選択ポート16から、トラップバイパス選択バルブ20に接続されているバイパス流体経路27、および、カラムバイパスバルブ30に接続されているバイパス流体経路38を介して、カラムバイパスバルブ30の分析出力ポート36へポンプ送りするために活性化させられ得る。
【0068】
このモードは、「連続的フローインフュージョン/希釈シュートモード(フローインジェクションモード)」と呼ばれる。その理由は、LCカラムまたはトラップカラムを通過することなくLCポンプ5によってポンプ送りされる移動相によって輸送される分析出力へ、サンプルが直接的に流れることができるからである。
【0069】
図2Aは、トラップ-溶出モードの第1のスイッチステータスにおける、
図1Aの同じLCシステム100を概略的に示しており、そこでは、サンプル注入バルブ10が切り替えられており、サンプル入力ポート11がサンプルループ入力ポート13に流体接続され、サンプルループ出力ポート14が吸引/ディスペンシングポンプポート12に流体接続されるようになっている。したがって、サンプル吸引ポンプ2は、サンプル入力ノズル1を通してサンプルループ17の中へサンプルを吸引することが可能である。また、サンプル注入バルブ10、トラップバイパス選択バルブ20、カラムバイパスバルブ30、ロード溶出バルブ40、およびトラップ選択バルブ50が切り替えられ、トラップバイパス選択バルブ20、ロード溶出バルブ40、トラップ選択バルブ50を介して、トラップカラム57を介して、および、再びロード溶出バルブ40を介して、サンプル注入バルブ10のサンプル注入-トゥー-トラップバイパス選択ポート16とロード溶出バルブ40の廃棄物ポート44との間に直接的な流体接続が存在しているようになっている。また、トラップバイパス選択バルブ20、および、カラムバイパスバルブ30に接続されているバイパス流体経路38を介して、ロード溶出バルブ40のLCポンプポート43とカラムバイパスバルブ30の分析出力ポート36との間に直接的な流体接続が存在している。
【0070】
図2Bは、同じトラップ-溶出モードの第2のスイッチステータスにおける、
図2Aの同じLCシステム100を概略的に示しており、そこでは、サンプル注入バルブ10が切り替えられており、サンプルループ17によって相互接続されているサンプルループ入力ポート13およびサンプルループ出力ポート14が、LCポンプポート15およびサンプル注入-トゥー-トラップバイパス選択ポート16にそれぞれ流体接続されるようになっている。このように、LCポンプ5は、サンプルループ17の中へ吸引されたサンプルを、サンプル注入バルブ10のサンプル注入-トゥー-トラップバイパス選択ポート16から、トラップ選択バルブ50に接続されているトラップカラム57の中へロードするために活性化させられ得る。
【0071】
図2Cは、同じトラップ-溶出モードの第3のスイッチステータスにおける、
図2Aの同じLCシステム100を概略的に示しており、そこでは、サンプル注入バルブ10が再び切り替えられており、サンプル入力ポート11がサンプルループ入力ポート13に流体接続され、サンプルループ出力ポート14が吸引/ディスペンシングポンプポート12に流体接続されるようになっている。LCポンプ2は、サンプル入力ノズル1を洗浄するために使用され、次いで、新しいサンプルを吸引するために使用され得る。また、ロード溶出バルブ40が切り替えられ、トラップ選択バルブ50、ロード溶出バルブ40、および、カラムバイパスバルブ30に接続されているバイパス流体経路38を介して、トラップ選択バルブ50に接続されているトラップカラム57(その上に、サンプルがロードされた)とカラムバイパスバルブ30の分析出力ポート36との間に直接的な流体接続が存在しているようになっている。とりわけ、ロード溶出バルブ40のLCポンプポート43とトラップカラムポート53(それを通して、サンプルがトラップカラム57の中へロードされた)の反対側のトラップカラムポート54との間に直接的な流体接続が存在しており、LCポンプ3が、捕捉されたサンプルをカラムバイパスバルブ30の分析出力ポート36までバックフラッシュおよび溶出するために活性化させられ得るようになっている。同時に、サンプル注入バルブ10のLCポンプポート15は、サンプル注入-トゥー-トラップバイパス選択ポート16に接続されており、LCポンプ5が流体経路の別のパーツを洗浄するために使用され得るようになっている。
【0072】
このモードは、「トラップ-溶出モード」と呼ばれる。その理由は、サンプルが、最初にトラップカラム57の中へ捕捉され、次いで、任意の他のLCカラムを通過することなくLCポンプ3によってポンプ送りされる移動相によって、分析出力へ直接的に溶出および輸送されるからである。
【0073】
図3Aは、LCモードの第1のスイッチステータスにおける、
図1Aの同じLCシステム100を概略的に示しており、そこでは、サンプル注入バルブ10が切り替えられており、サンプル入力ポート11がサンプルループ入力ポート13に流体接続され、サンプルループ出力ポート14が吸引/ディスペンシングポンプポート12に流体接続されるようになっている。したがって、サンプル吸引ポンプ2は、サンプル入力ノズル1を通してサンプルループ17の中へサンプルを吸引することが可能である。また、サンプル注入バルブ10、トラップバイパス選択バルブ20、およびカラムバイパスバルブ30が切り替えられ、トラップバイパス選択バルブ20に接続されているバイパス流体経路27、および、カラムバイパスバルブ30に接続されているLCカラム37を介して、サンプル注入バルブ10のサンプル注入-トゥー-トラップバイパス選択ポート16とカラムバイパスバルブ30の分析出力ポート36との間に直接的な流体接続が存在しているようになっている。
【0074】
図3Bは、同じLCモードの第2のスイッチステータスにおける、
図3Aの同じLCシステム100を概略的に示しており、そこでは、サンプル注入バルブ10が切り替えられており、サンプルループ17によって相互接続されているサンプルループ入力ポート13およびサンプルループ出力ポート14が、LCポンプポート15およびサンプル注入-トゥー-トラップバイパス選択ポート16にそれぞれ流体接続されるようになっている。このように、LCポンプ5は、サンプルループ17の中へ吸引されたサンプルを、サンプル注入バルブ10のサンプル注入-トゥー-トラップバイパス選択ポート16から、カラムバイパスバルブ30に接続されているLCカラム37の中へロードするために活性化され得る。
【0075】
図3Cは、同じLCモードの第3のスイッチステータスにおける、
図3Aの同じLCシステム100を概略的に示しており、そこでは、サンプル注入バルブ10が再び切り替えられており、サンプル入力ポート11がサンプルループ入力ポート13に流体接続され、サンプルループ出力ポート14が吸引/ディスペンシングポンプポート12に流体接続されるようになっている。LCポンプ2は、サンプル入力ノズル1を洗浄するために使用され、次いで、新しいサンプルを吸引するために使用され得る。
【0076】
このモードは、「LCモード」と呼ばれる。その理由は、サンプルが、LCカラム37の中へロードされ、次いで、トラップカラムを最初に通過することなくLCポンプ5によってポンプ送りされる移動相によって、分析出力へ溶出されるからである。
【0077】
図4Aは、トラップ-溶出-LCモードの第1のスイッチステータスにおける、
図1Aの同じLCシステム100を概略的に示しており、そこでは、サンプル注入バルブ10が切り替えられており、サンプル入力ポート11がサンプルループ入力ポート13に流体接続され、サンプルループ出力ポート14が吸引/ディスペンシングポンプポート12に流体接続されるようになっている。したがって、サンプル吸引ポンプ2は、サンプル入力ノズル1を通してサンプルループ17の中へサンプルを吸引することが可能である。また、サンプル注入バルブ10、トラップバイパス選択バルブ20、カラムバイパスバルブ30、ロード溶出バルブ40、およびトラップ選択バルブ50が切り替えられ、トラップバイパス選択バルブ20、ロード溶出バルブ40、トラップ選択バルブ50を介して、トラップカラム57を介して、および、再びロード溶出バルブ40を介して、サンプル注入バルブ10のサンプル注入-トゥー-トラップバイパス選択ポート16とロード溶出バルブ40の廃棄物ポート44との間に直接的な流体接続が存在しているようになっている。また、トラップバイパス選択バルブ20、および、カラムバイパスバルブ30に接続されているLCカラム37を介して、ロード溶出バルブ40のLCポンプポート43とカラムバイパスバルブ30の分析出力ポート36との間に直接的な流体接続が存在している。
【0078】
図4Bは、同じトラップ-溶出-LCモードの第2のスイッチステータスにおける、
図4Aの同じLCシステム100を概略的に示しており、そこでは、サンプル注入バルブ10が切り替えられており、サンプルループ17によって相互接続されているサンプルループ入力ポート13およびサンプルループ出力ポート14が、LCポンプポート15およびサンプル注入-トゥー-トラップバイパス選択ポート16にそれぞれ流体接続されるようになっている。このように、LCポンプ5は、サンプルループ17の中へ吸引されたサンプルを、サンプル注入バルブ10のサンプル注入-トゥー-トラップバイパス選択ポート16から、トラップ選択バルブ50に接続されているトラップカラム57の中へロードするために活性化され得る。
【0079】
図4Cは、同じトラップ-溶出-LCモードの第3のスイッチステータスにおける、
図4Aの同じLCシステム100を概略的に示しており、そこでは、サンプル注入バルブ10が再び切り替えられており、サンプル入力ポート11がサンプルループ入力ポート13に流体接続され、サンプルループ出力ポート14が吸引/ディスペンシングポンプポート12に流体接続されるようになっている。LCポンプ2は、サンプル入力ノズル1を洗浄するために使用され、次いで、新しいサンプルを吸引するために使用され得る。また、ロード溶出バルブ40が切り替えられ、トラップ選択バルブ50、ロード溶出バルブ40、および、カラムバイパスバルブ30に接続されているLCカラム37を介して、トラップ選択バルブ50に接続されているトラップカラム57(その上に、サンプルがロードされた)とカラムバイパスバルブ30の分析出力ポート36との間に直接的な流体接続が存在しているようになっている。とりわけ、ロード溶出バルブ40のLCポンプポート43とトラップカラムポート53(それを通して、サンプルがトラップカラム57の中へロードされた)の反対側のトラップカラムポート54との間に直接的な流体接続が存在しており、LCポンプ3が、捕捉されたサンプルを、カラムバイパスバルブ30に接続されているLCカラム37の中へロードするために、それをトラップカラム57から外へバックフラッシュおよび溶出するために活性化させられ得るようになっている。同時に、サンプル注入バルブ10のLCポンプポート15は、サンプル注入-トゥー-トラップバイパス選択ポート16に接続されており、LCポンプ5が流体経路の別のパーツを洗浄するために使用され得るようになっている。
【0080】
このモードは、「トラップ-溶出-LCモード」と呼ばれる。その理由は、サンプルが、最初に、トラップ選択バルブ50に接続されているトラップカラム57の中へ捕捉され、次いで、カラムバイパスバルブ30に接続されているLCカラム37の中へ溶出およびロードされるからである。
【0081】
図5Aは、本開示の第2の実施形態による第2のLCシステム200を概略的に示している。LCシステム200は、流体ストリーム90’を含み、流体ストリーム90’は、第1のサブストリーム91および第2のサブストリーム92を含む。第1のサブストリーム91は、第1のサンプル注入バルブ10’を含み、第1のサンプル注入バルブ10’は、複数のポート11’、12’、13’、14’、15’、16’と、ポート11’、12’、13’、14’、15’、16’間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチとを含み、ポート11’、12’、13’、14’、15’、16’は、サンプル入力ノズル1’に流体接続されているサンプル入力ポート11’と、サンプル吸引ポンプ2’に流体接続されている吸引/ディスペンシングポンプポート12’と、サンプルループ17’によって相互接続されているサンプルループ入力ポート13’およびサンプルループ出力ポート14’と、LCポンプ5’に流体接続されているLCポンプポート15’と、サンプル注入-トゥー-ロード溶出ポート16’とを含む。
【0082】
第1のサブストリーム91は、ロード溶出バルブ40’をさらに含み、ロード溶出バルブ40’は、複数のポート41’、42’、43’、44’、45’、46’と、ポート41’、42’、43’、44’、45’、46’間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチとを含み、ポート41’、42’、43’、44’、45’、46’は、第1のサンプル注入ポート10’のサンプル注入-トゥー-ロード溶出ポート16’に流体接続されているロード溶出-トゥー-サンプル注入ポート41’と、LCポンプ3’に流体接続されているLCポンプポート43’と、廃棄物4’に流体接続されている廃棄物ポート44’と、分析出力ポート46’と、2つのロード溶出-トゥー-トラップ選択ポート42’、45’とを含む。
【0083】
第1のサブストリーム91は、トラップ選択バルブ50’をさらに含み、トラップ選択バルブ50’は、複数のポート51’、52’、53’、54’、55’、56’と、ポート51’、52’、53’、54’、55’、56’間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチとを含み、ポート51’、52’、53’、54’、55’、56’は、ロード溶出バルブ40’のロード溶出-トゥー-トラップ選択ポート42’、45’にそれぞれ流体接続されている2つのトラップ選択-トゥー-ロード溶出ポート51’、52’と、トラップカラム57’、57’’、57’’’によってそれぞれ相互接続されているトラップカラムポート53’、54’の対と、2つのトラップ選択-トゥー-トラップLCトランスファーポート55’、56’とを含む。
【0084】
第2のサブストリーム92は、第2のサンプル注入バルブ10’’を含み、第2のサンプル注入バルブ10’’は、複数のポート11’’、12’’、13’’、14’’、15’’、16’’と、ポート11’’、12’’、13’’、14’’、15’’、16’’間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチとを含み、ポート11’’、12’’、13’’、14’’、15’’、16’’は、サンプル入力ノズル1’’に流体接続されているサンプル入力ポート11’’と、サンプル吸引ポンプ2’’に流体接続されている吸引/ディスペンシングポンプポート12’’と、サンプルループ17’’によって相互接続されているサンプルループ入力ポート13’’およびサンプルループ出力ポート14’’と、LCポンプ5’’に流体接続されているLCポンプポート15’’と、サンプル注入-トゥー-トラップLCトランスファーポート16’’とを含む。
【0085】
第2のサブストリーム92は、カラムバイパスバルブ30’’をさらに含み、カラムバイパスバルブ30’’は、複数のポート31’’、32’’、33’’、34’’、35’’、36’’、39’’と、ポート31’’、32’’、33’’、34’’、35’’、36’’、39’’間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチとを含み、ポート31’’、32’’、33’’、34’’、35’’、36’’、39’’は、LC分析カラム37’’によって相互接続されている少なくとも1対のLCカラムポート32’’、33’’と、バイパス流体経路38’’によって相互接続されている2つのバイパスポート34’’、35’’と、分析出力ポート36’’と、カラムバイパス-トゥー-トラップLCトランスファーポート31’’とを含む。示されている例では、それは、廃棄物に接続されている廃棄物ポート39’’をさらに含む。1つのLC分析カラム37’’だけがこの例に示されているが、カラムバイパスバルブ30’’は、複数対のLCカラムポートを含むLCカラム選択バルブとして構成されており、それぞれの対は、複数のHPLCカラムまたはUHPLCカラムから選択するために、HPLCカラムまたはUHPLCカラムによって相互接続され得る。
【0086】
流体ストリーム90は、トラップLCサブストリームトランスファーバルブ70をさらに含み、トラップLCサブストリームトランスファーバルブ70は、複数のポート71、72、73、74、75、76と、ポート71、72、73、74、75、76間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチとを含み、ポート71、72、73、74、75、76は、トラップカラム77によって相互接続されている1対のトラップカラムポート71、72と、トラップ選択バルブ50’の2つのトラップ選択-トゥー-トラップLCトランスファーポート55’、56’にそれぞれ流体接続されている2つのトラップLCトランスファー-トゥー-トラップ選択ポート73、74と、カラムバイパスバルブ30’’のカラムバイパス-トゥー-トラップLCトランスファーポート31’’に流体接続されているトラップLCトランスファー-トゥー-カラムバイパスポート75と、第2のサンプル注入バルブ10’’のサンプル注入-トゥー-トラップLCトランスファーポート16’’に流体接続されているトラップLCトランスファー-トゥー-サンプル注入ポート76とを含む。
【0087】
流体ストリーム90は、サブストリーム選択バルブ80をさらに含み、サブストリーム選択バルブ80は、複数のポート81、82、83、84と、ポート81、82、83、84間の流体接続を切り替えるための多方向スイッチとを含み、ポート81、82、83、84は、ロード溶出バルブ40’の分析出力ポート46’に流体接続されているサブストリーム選択-トゥー-ロード溶出ポート81と、カラムバイパスバルブ30’’の分析出力ポート36’’に流体接続されているサブストリーム選択-トゥー-カラムバイパスポート82と、サブストリーム選択-分析出力ポート83(たとえば、質量分析計のイオン化源85に接続されている)とを含む。
【0088】
第2のLCシステム200は、コントローラー60’をさらに含み、コントローラー60’は、第1のサンプル注入バルブ10’、ロード溶出バルブ40’、トラップ選択バルブ50’、第2のサンプル注入バルブ10’’、カラムバイパスバルブ30’’、トラップLCサブストリームトランスファーバルブ70、およびサブストリーム選択バルブ80を、連続的フローインフュージョン/希釈シュートモード、トラップ-溶出モード、LCモード、トラップ-溶出-LCモードのうちのいずれかの間で切り替えるように構成されている。
【0089】
とりわけ、
図5Aの実施形態において、LCシステム200は、連続的フローインフュージョン/希釈シュートモードの第1のスイッチステータスに示されており、そこでは、第2のサンプル注入バルブ10’’が切り替えられており、サンプル入力ポート11’’がサンプルループ入力ポート13’’に流体接続され、サンプルループ出力ポート14’’が吸引/ディスペンシングポンプポート12’’に流体接続されるようになっている。したがって、サンプル吸引ポンプ2’’は、サンプル入力ノズル1’’を通してサンプルループ17’’の中へサンプルを吸引することが可能である。また、第2のサンプル注入バルブ10’’、カラムバイパスバルブ30’’、トラップLCサブストリームトランスファーバルブ70、およびサブストリーム選択バルブ80が切り替えられ、トラップLCサブストリームトランスファーバルブ70、および、カラムバイパスバルブ30’’に接続されているバイパス流体経路38’’を介して、第2のサンプル注入バルブ10’’のサンプル注入-トゥー-トラップLCトランスファーポート16’’とサブストリーム選択バルブ80のサブストリーム選択-分析出力ポート83との間に直接的な流体接続が存在しているようになっている。
【0090】
図5Bは、同じ連続的フローインフュージョン/希釈シュートモードの第2のスイッチステータスにおける、
図5Aの同じLCシステム200を概略的に示しており、そこでは、第2のサンプル注入バルブ10’’が切り替えられており、サンプルループ17’’によって相互接続されているサンプルループ入力ポート13’’およびサンプルループ出力ポート14’’が、LCポンプポート15’’およびサンプル注入-トゥー-トラップLCトランスファーポート16’’にそれぞれ流体接続されるようになっている。このように、LCポンプ5’’は、サンプルループ17’’の中へ吸引されたサンプルを、第2のサンプル注入バルブ10’’のサンプル注入-トゥー-トラップLCトランスファーポート16’’から、トラップLCサブストリームトランスファーバルブ70、および、カラムバイパスバルブ30’’に接続されているバイパス流体経路38’’を介して、サブストリーム選択バルブ80のサブストリーム選択-分析出力ポート83へポンプ送りするために活性化させられ得る。
【0091】
第1のLCシステム100の以前の実施形態と同様に、このモードは、「連続的フローインフュージョン/希釈シュートモード(フローインジェクションモード)」と呼ばれる。その理由は、LCカラムまたはトラップカラムを通過することなくLCポンプ5’’によってポンプ送りされる移動相によって輸送される分析出力へ、サンプルが直接的に流れることができるからである。
【0092】
図6Aは、トラップ-溶出モードの第1のスイッチステータスにおける、
図5Aの同じLCシステム200を概略的に示しており、そこでは、第1のサンプル注入バルブ10’が切り替えられており、サンプル入力ポート11’がサンプルループ入力ポート13’に流体接続され、サンプルループ出力ポート14’が吸引/ディスペンシングポンプポート12’に流体接続されるようになっている。したがって、サンプル吸引ポンプ2’は、サンプル入力ノズル1’を通してサンプルループ17’の中へサンプルを吸引することが可能である。また、第1のサンプル注入バルブ10’、ロード溶出バルブ40’、トラップ選択バルブ50’、およびサブストリーム選択バルブ80が切り替えられ、ロード溶出バルブ40’、トラップ選択バルブ50’を介して、トラップカラム57’’’を介して、および、再びロード溶出バルブ40’を介して、第1のサンプル注入バルブ10’のサンプル注入-トゥー-ロード溶出ポート16’とロード溶出バルブ40’の廃棄物ポート44’との間に直接的な流体接続が存在しているようになっている。また、ロード溶出バルブ40’およびサブストリーム選択バルブ80を介して、ロード溶出バルブ40’のLCポンプポート43’とサブストリーム選択バルブ80のサブストリーム選択-分析出力ポート83との間に直接的な流体接続が存在している。
【0093】
図6Bは、同じトラップ-溶出モードの第2のスイッチステータスにおける、
図6Aの同じLCシステム200を概略的に示しており、そこでは、第1のサンプル注入バルブ10’が切り替えられており、サンプルループ17’によって相互接続されているサンプルループ入力ポート13’およびサンプルループ出力ポート14’が、LCポンプポート15’およびサンプル注入-トゥー-ロード溶出ポート16’にそれぞれ流体接続されるようになっている。このように、LCポンプ5’は、サンプルループ17’の中へ吸引されたサンプルを、第1のサンプル注入バルブ10’のサンプル注入-トゥー-ロード溶出ポート16’から、トラップ選択バルブ50’に接続されているトラップカラム57’’’の中へロードするために活性化させられ得る。
【0094】
図6Cは、同じトラップ-溶出モードの第3のスイッチステータスにおける、
図6Aの同じLCシステムを概略的に示しており、そこでは、第1のサンプル注入バルブ10’が再び切り替えられており、サンプル入力ポート11’がサンプルループ入力ポート13’に流体接続され、サンプルループ出力ポート14’が吸引/ディスペンシングポンプポート12’に流体接続されるようになっている。LCポンプ2’は、サンプル入力ノズル1’を洗浄するために使用され、次いで、新しいサンプルを吸引するために使用され得る。また、ロード溶出バルブ40’が切り替えられ、ロード溶出バルブ40’およびサブストリーム選択バルブ80を介して、トラップ選択バルブ50’に接続されているトラップカラム57’’’(その上に、サンプルがロードされた)とサブストリーム選択バルブ80のサブストリーム選択-分析出力ポート83との間に直接的な流体接続が存在しているようになっている。とりわけ、ロード溶出バルブ40’のLCポンプポート43’とトラップカラムポート54’(それを通して、サンプルがトラップカラム57’’’の中へロードされた)の反対側のトラップカラムポート53’との間に直接的な流体接続が存在しており、LCポンプ3’が、捕捉されたサンプルをサブストリーム選択バルブ80のサブストリーム選択-分析出力ポート83までバックフラッシュおよび溶出するために活性化させられ得るようになっている。同時に、第1のサンプル注入バルブ10’のLCポンプポート15’は、サンプル注入-トゥー-ロード溶出ポート16’に接続されており、LCポンプ5’が流体経路の別のパーツを洗浄するために使用され得るようになっている。
【0095】
第1のLCシステム100の以前の実施形態と同様に、このモードは、「トラップ-溶出モード」と呼ばれる。その理由は、サンプルが、最初にトラップカラム57’’’の中へ捕捉され、次いで、任意の他のLCカラムを通過することなくLCポンプ3’によってポンプ送りされる移動相によって、分析出力へ直接的に溶出および輸送されるからである。
【0096】
図7Aは、LCモードの第1のスイッチステータスにおける、
図5Aの同じLCシステム200を概略的に示しており、そこでは、第2のサンプル注入バルブ10’’が切り替えられており、サンプル入力ポート11’’がサンプルループ入力ポート13’’に流体接続され、サンプルループ出力ポート14’’が吸引/ディスペンシングポンプポート12’’に流体接続されるようになっている。したがって、サンプル吸引ポンプ2’’は、サンプル入力ノズル1’’を通してサンプルループ17’’の中へサンプルを吸引することが可能である。また、第2のサンプル注入バルブ10’’、カラムバイパスバルブ30’’、トラップLCサブストリームトランスファーバルブ70、およびサブストリーム選択バルブ80が切り替えられ、トラップLCサブストリームトランスファーバルブ70、および、カラムバイパスバルブ30’’に接続されているLCカラム37’’を介して、第2のサンプル注入バルブ10’’のサンプル注入-トゥー-トラップLCトランスファーポート16’’とサブストリーム選択バルブ80のサブストリーム選択-分析出力ポート83との間に直接的な流体接続が存在しているようになっている。
【0097】
図7Bは、同じLCモードの第2のスイッチステータスにおける、
図7Aの同じLCシステム200を概略的に示しており、そこでは、第2のサンプル注入バルブ10’’が切り替えられており、サンプルループ17’’によって相互接続されているサンプルループ入力ポート13’’およびサンプルループ出力ポート14’’が、LCポンプポート15’’およびサンプル注入-トゥー-トラップLCトランスファーポート16’’にそれぞれ流体接続されるようになっている。このように、LCポンプ5’’は、サンプルループ17’’の中へ吸引されたサンプルを、第2のサンプル注入バルブ10’’のサンプル注入-トゥー-トラップLCトランスファーポート16’’から、カラムバイパスバルブ30’’に接続されているLCカラム37’’の中へロードするために活性化され、次いで、サブストリーム選択バルブ80のサブストリーム選択-分析出力ポート83を通してそれを溶出させるために活性化され得る。
【0098】
第1のLCシステム100の以前の実施形態と同様に、このモードは、「LCモード」と呼ばれる。その理由は、サンプルが、LCカラム37’’の中へロードされ、次いで、トラップカラムを最初に通過することなくLCポンプ5’’によってポンプ送りされる移動相によって、分析出力へ溶出されるからである。
【0099】
図8Aは、トラップ-溶出-LCモードの第1のスイッチステータスにおける、
図5Aの同じLCシステムを概略的に示しており、そこでは、第1のサンプル注入バルブ10’が切り替えられており、サンプル入力ポート11’がサンプルループ入力ポート13’に流体接続され、サンプルループ出力ポート14’が吸引/ディスペンシングポンプポート12’に流体接続されるようになっている。したがって、サンプル吸引ポンプ2’は、サンプル入力ノズル1’を通してサンプルループ17’の中へサンプルを吸引することが可能である。また、第1のサンプル注入バルブ10’、ロード溶出バルブ40’、トラップ選択バルブ50’、第2のサンプル注入バルブ10’’、カラムバイパスバルブ30’’、トラップLCサブストリームトランスファーバルブ70、およびサブストリーム選択バルブ80が切り替えられ、ロード溶出バルブ40’、トラップ選択バルブ50’、トラップLCサブストリームトランスファーバルブ70を介して、トラップカラム77を介して、および、再びトラップ選択バルブ50’およびロード溶出バルブ40’を介して、第1のサンプル注入バルブ10’のサンプル注入-トゥー-ロード溶出ポート16’とロード溶出バルブ40’の廃棄物ポート44’との間に直接的な流体接続が存在しているようになっている。また、トラップLCサブストリームトランスファーバルブ70、および、カラムバイパスバルブ30’’に接続されているLCカラム37’’を介して、第2のサンプル注入バルブ10’’のLCポンプポート15’’とサブストリーム選択バルブ80のサブストリーム選択-分析出力ポート83との間に直接的な流体接続が存在している。
【0100】
図8Bは、同じトラップ-溶出-LCモードの第2のスイッチステータスにおける、
図8Aの同じLCシステム200を概略的に示しており、そこでは、第1のサンプル注入バルブ10’が切り替えられており、サンプルループ17’によって相互接続されているサンプルループ入力ポート13’およびサンプルループ出力ポート14’が、LCポンプポート15’およびサンプル注入-トゥー-ロード溶出ポート16’にそれぞれ流体接続されるようになっている。このように、LCポンプ5’は、サンプルループ17’の中へ吸引されたサンプルを、第1のサンプル注入バルブ10’のサンプル注入-トゥー-ロード溶出ポート16’から、トラップLCサブストリームトランスファーバルブ70に接続されているトラップカラム77の中へロードするために活性化され得る。
【0101】
図8Cは、同じトラップ-溶出-LCモードの第3のスイッチステータスにおける、
図8Aの同じLCシステム200を概略的に示しており、そこでは、第1のサンプル注入バルブ10’が再び切り替えられており、サンプル入力ポート11’がサンプルループ入力ポート13’に流体接続され、サンプルループ出力ポート14’が吸引/ディスペンシングポンプポート12’に流体接続されるようになっている。また、トラップLCサブストリームトランスファーバルブ70が切り替えられ、トラップLCサブストリームトランスファーバルブ70、および、カラムバイパスバルブ30’’に接続されているLCカラム37’’を介して、トラップLCサブストリームトランスファーバルブ70に接続されているトラップカラム77(その上に、サンプルがロードされた)とサブストリーム選択バルブ80のサブストリーム選択-分析出力ポート83との間に直接的な流体接続が存在しているようになっている。とりわけ、第2のサンプル注入バルブ10’’のLCポンプポート15’’とトラップカラムポート71(それを通して、サンプルがトラップカラム77の中へロードされた)の反対側のトラップカラムポート72との間に直接的な流体接続が存在しており、LCポンプ5’’が、捕捉されたサンプルを、カラムバイパスバルブ30’’に接続されているLCカラム37’’の中へロードするために、および、次いで、それをサブストリーム選択バルブ80のサブストリーム選択-分析出力ポート83を通して溶出するために、それをトラップカラム77から外へバックフラッシュおよび溶出するために活性化させられ得るようになっている。
【0102】
同時に、第1のサンプル注入バルブ10’のLCポンプポート15’は、サンプル注入-トゥー-ロード溶出ポート16’に接続されており、LCポンプ5’が流体経路の別のパーツを洗浄するために使用され得るようになっている。
【0103】
第1のLCシステム100の以前の実施形態と同様に、このモードは、「トラップ-溶出-LCモード」と呼ばれる。その理由は、サンプルが、最初に、トラップLCサブストリームトランスファーバルブ70に接続されているトラップカラム77の中へ捕捉され、次いで、カラムバイパスバルブ30’’に接続されているLCカラム37’’の中へ溶出およびロードされるからである。
【0104】
先行する明細書において、本開示の徹底的な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかし、具体的な詳細は、本教示を実践するために用いられる必要はないということが当業者に明らかになることとなる。他の場合において、周知の材料または方法は、本開示を曖昧にすることを回避するために、詳細には説明されていない。
【0105】
とりわけ、上記の説明を考慮して、開示されている実施形態の修正例および変形例が確かに可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の中において、本発明は、上記の例の中で具体的に考案されているようなもの以外の方法で実践され得るということが理解されるべきである。
【0106】
先行する明細書の全体を通して、「1つの実施形態」、「一実施形態」、「1つの例」、または「一例」への言及は、その実施形態または例と関連して説明されている特定の特徴、構造、または特質が、少なくとも1つの実施形態の中に含まれるということを意味する。したがって、「1つの実施形態では」、「一実施形態では」、「1つの例」、または「一例」という語句の出現は、本明細書の全体を通してさまざまな場所において、必ずしも、すべてが同じ実施形態または例を参照しているわけではない。
【0107】
そのうえ、特定の特徴、構造、または特質は、1つまたは複数の実施形態または例の中において、任意の適切な組合せおよび/またはサブコンビネーションで組み合わせられ得る。