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特許7071455フィルム切断装置、フィルム切断方法、ウェハラミネーター、並びにウェハのラミネート方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】フィルム切断装置、フィルム切断方法、ウェハラミネーター、並びにウェハのラミネート方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 9/00 20060101AFI20220511BHJP
   B26D 3/10 20060101ALI20220511BHJP
   B26F 1/44 20060101ALI20220511BHJP
   B26F 1/38 20060101ALI20220511BHJP
   B26F 1/00 20060101ALI20220511BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20220511BHJP
   B26D 7/14 20060101ALI20220511BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B26D9/00
B26D3/10 C
B26F1/44 G
B26F1/38 A
B26F1/00 G
B26D7/18 F
B26D7/14
H01L21/68 N
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020148170
(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公開番号】P2021053798
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】108131875
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】512280909
【氏名又は名称】志聖工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】陳 明宗
(72)【発明者】
【氏名】▲曾▼ 永村
(72)【発明者】
【氏名】楊 佳裕
(72)【発明者】
【氏名】▲頼▼ 家偉
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1719738(KR,B1)
【文献】国際公開第2010/021025(WO,A1)
【文献】特許第4444619(JP,B2)
【文献】特許第5589045(JP,B2)
【文献】台湾特許出願公開第201911398(TW,A)
【文献】韓国登録特許第10-1529485(KR,B1)
【文献】特開2013-074100(JP,A)
【文献】特開2007-168045(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0121599(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 9/00
B26D 3/10
B26F 1/44
B26F 1/38
B26F 1/00
B26D 7/18
B26D 7/14
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された第一層と第二層とを含むフィルムを供給すること、
第一カッターで前記第一層を切断し、前記第二層に貼り付いている第一層のパターン化
部分と第一層の廃棄物部分を得ること、
前記第二層から前記第一層の廃棄物部分を除去すること、及び
切断された第二層に前記第一層のパターン化部分が貼り付いているように、第二カッタ
ーで、前記第一層のパターン化部分を囲み且つ前記第一層のパターン化部分の外周と互い
に離隔する切断経路に沿って前記第二層を切断することを含む、フィルム切断方法。
【請求項2】
前記第一カッターで前記第一層を切断する際に、前記第二層は前記第一カッターによっ
て完全にカットされない、請求項1に記載のフィルム切断方法。
【請求項3】
前記第一カッターは回転可能カッターである、請求項1に記載のフィルム切断方法。
【請求項4】
前記第一層はドライフィルムであり、前記第二層はマイラーフィルムである、請求項1
に記載のフィルム切断方法。
【請求項5】
前記第一カッターで前記第一層を切断すると同時に、前記第二層から前記第一層の廃棄
物部分を除去する、請求項1に記載のフィルム切断方法。
【請求項6】
前記第一カッターで前記第一層を切断する前に、前記フィルムを引張機構によって把持
して引っ張ること、
をさらに含む、請求項1に記載のフィルム切断方法。
【請求項7】
フィルムを切断作業領域に搬入し又は前記切断作業領域から搬出するためのフィルム搬
送機構と、
前記切断作業領域に設けられたフィルム吸着テーブルと、
前記フィルムをハーフカットするように設けられた回転可能カッターと、
前記フィルムを完全にカットするように前記フィルム吸着テーブルの周囲を移動可能に構成されたカッターと、を含み、
前記フィルム搬送機構は、前記フィルムを搬送方向に沿って前記切断作業領域に搬入し
、前記回転可能カッター及び前記カッターがこの順で前記搬送方向に設けられるフィルム
切断装置。
【請求項8】
前記フィルム搬送機構は第一搬送ロールと第二搬送ロールとを含み、前記切断作業領域
は前記第一搬送ロールと前記第二搬送ロールとの間に位置し、前記フィルムは前記フィル
ム搬送機構によって前記第一搬送ロールから前記切断作業領域に搬入され、前記第一搬送
ロールは前記第二搬送ロールよりも前記回転可能カッターに近い、請求項7に記載のフィ
ルム切断装置。
【請求項9】
前記回転可能カッターは、少なくとも一つのブレード部を含み、前記少なくとも一つの
ブレード部の長さは、前記フィルムの厚みより小さい、請求項7に記載のフィルム切断装
置。
【請求項10】
前記回転可能カッターの一方側に設けられた従動ロールをさらに含む、請求項7に記載
のフィルム切断装置。
【請求項11】
前記回転可能カッターと前記カッターとは、異なる二つのカッターである、請求項7に
記載のフィルム切断装置。
【請求項12】
前記切断作業領域に設けられ、前記フィルムを把持して引っ張る引張機構をさらに含む
、請求項7に記載のフィルム切断装置。
【請求項13】
積層された第一層と第二層とを含むフィルムを供給すること、
第一カッターで前記第一層を切断し、前記第二層に貼り付いている第一層のパターン化
部分と第一層の廃棄物部分を得ること、
前記第二層から前記第一層の廃棄物部分を除去すること、
切断された第二層に前記第一層のパターン化部分が貼り付いているように、第二カッタ
ーで、前記第一層のパターン化部分を囲み且つ前記第一層のパターン化部分の外周と互い
に離隔する切断経路に沿って前記第二層を切断すること、
切断された前記第二層をラミネート装置によりウェハの上に移動させること、及び
前記第二層に貼り付いている前記第一層のパターン化部分を前記ウェハに貼り付けるこ
と、
を含む、ウェハのラミネート方法。
【請求項14】
フィルム切断装置であって、
フィルムを切断作業領域に搬入し又は前記切断作業領域から搬出するフィルム搬送機構
と、
前記切断作業領域に設けられたフィルム吸着テーブルと、
前記フィルムをハーフカットするように設けられた回転可能カッターと、
前記フィルムを完全にカットするように前記フィルム吸着テーブルの周囲を移動可能に構成されたカッターと、
を含むフィルム切断装置、及び
ラミネート装置であって、
ウェハステージが設けられた下部チャンバーと、
チャックが設けられ、ラミネート位置である際に前記ウェハステージの上に位置し、吸
着位置である際に前記フィルム吸着テーブルの上に位置し、前記ラミネート位置と前記吸
着位置との間を往復するように移動可能である上部チャンバーと、
を含むラミネート装置、
を含む、ウェハラミネーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム切断装置及びフィルム切断方法に関し、特に異なる二つのカッターを含むフィルム切断装置、及び前記二つのカッターによるフィルム切断方法に関する。また、本発明は、フィルム切断装置が搭載されるウェハラミネーター、及びフィルム切断方法を含むウェハのラミネート方法に関与する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路と各種の微小電気機械の製造過程では、後続に係るウェハ(Wafer)プロセスが行われるように、ウェハのおもて面又は裏面にフィルムを貼り付ける。ウェハへの貼り付け用のフィルムには、ブルー粘着フィルム、ホワイト粘着フィルム、薄い保護フィルム、UVフィルム及びDAF(Die Attach Film)導電フィルムなどが含まれるが、これらに限定されない。フィルムをウェハに貼り付けることで、ウェハのおもて面又は裏面のプロセスによる微粒子を粘着でき、さらにフィルムを除去することで、プロセスによる微粒子をウェハのおもて面又は裏面から取り除くことができる。一般的には、ウェハに貼り付けられるフィルムは複層フィルム構造であり、少なくともドライフィルム(Dry film)とマイラー(Mylar)フィルムとを含む。ドライフィルムは、加熱によって流動性と粘着性を有するため、ウェハのおもて面に強固に付着することが可能である。
【0003】
現在、フィルムを切断する際に、通常、単一のステップにおいて、ドライフィルムとマイラーフィルムをカッターで完全にカットするので、ドライフィルムとマイラーフィルムは寸法が同じであり、両方とも寸法がウェハの寸法とほぼ同じである。フィルムをウェハに貼り付ける際に、加熱されたドライフィルムは流動性を有するので、ウェハとマイラーフィルムとの隙間からオーバーフローする(溢れ出す)ことがあり、貼り付け工程が行われる機械又はウェハのおもて面の微細構造がドライフィルムにより汚されてしまうことがある。また、加熱されてオーバーフローしたドライフィルムは、硬化すると、マイラーフィルムの外周を被覆してしまう。この場合、貼り付け工程の後に行われるマイラーフィルムの剥離工程においては、マイラーフィルムの外周における硬化ドライフィルムの存在により、割れ目が生じにくくなり、マイラーフィルムの剥離が困難となるため、マイラーフィルムの剥離効率が低下してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の課題に鑑みて、本発明は、加熱されたドライフィルムのオーバーフローにより機械又はウェハが汚されるという課題の解決に有利であるフィルム切断方法及びフィルム切断装置を開示する。また、本発明は、ウェハのラミネート方法及びウェハラミネーターを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明において開示されるフィルム切断方法は、積層された第一層と第二層とを含むフィルムを供給すること、第一カッターで第一層を切断し、第二層に貼り付いている第一層のパターン化部分と第一層の廃棄物部分を得ること、第二層から第一層の廃棄物部分を除去すること、及び、切断された第二層に第一層のパターン化部分が貼り付いているように、第二カッターで、第二層を切断経路に沿って切断することを含む。切断経路は、第一層のパターン化部分を囲み、且つ第一層のパターン化部分の外周と互いに離隔する。
【0006】
本発明において開示されるフィルム切断装置は、フィルム搬送機構と、フィルム吸着テーブルと、回転可能カッターと、カッターとを含む。フィルム搬送機構は、フィルムを切断作業領域に搬入し又は切断作業領域から搬出するように構成される。フィルム吸着テーブルは、切断作業領域に設けられる。回転可能カッターは、フィルムをハーフカットするように設けられ、カッターは、フィルムを完全にカットするように設けられる。カッターは、フィルム吸着テーブルに対して移動可能である。
【0007】
本発明において開示されるウェハのラミネート方法は、積層された第一層と第二層とを含むフィルムを供給すること、第一カッターで前記第一層を切断し、第二層上に貼り付いている第一層のパターン化部分と第一層の廃棄物部分を得ること、第二層から第一層の廃棄物部分を除去すること、切断された第二層に第一層のパターン化部分が貼り付いているように、第二カッターで、第一層のパターン化部分を囲み且つ第一層のパターン化部分の外周と互いに離隔する切断経路に沿って第二層を切断すること、切断された第二層をラミネート装置によりウェハの上に移動させること、及び、第二層に貼り付いている第一層のパターン化部分をウェハ上に貼り付けることを含む。
【0008】
本発明において開示されるウェハラミネーターは、前記のフィルム切断装置とラミネート装置とを含む。ラミネート装置は、下部チャンバーと上部チャンバーとを含む。下部チャンバーには、ウェハステージが設けられている。上部チャンバーには、チャックが設けられている。上部チャンバーは、ラミネート位置である際にウェハステージの上に位置し、吸着位置である際にフィルム吸着テーブルの上に位置し、且つ上部チャンバーは、ラミネート位置と吸着位置との間を往復するように移動可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明において開示されたフィルム切断方法及びフィルム切断装置によれば、異なるカッターでフィルムの二つの層をそれぞれ切断し、切断された第一層と第二層が異なる寸法を有するものとする。また、フィルム切断装置は、ウェハラミネーターによってウェハのラミネート方法を実行できるように、ウェハラミネーターに搭載され得る。本発明において開示されたフィルム切断方法を採用して切断されたフィルムは、寸法がウェハより小さい第一層、及び、寸法がウェハより大きい又はウェハと同じである第二層を有する。これにより、フィルムがウェハに貼り付ける場合に、ウェハと第二層との隙間からの加熱された第一層のオーバーフローを防止することが可能であり、層によりウェハの外周又は裏面が汚れるのを避けることに有利である。
【0010】
なお、第一層の直径の寸法が第二層の直径の寸法より小さいので、第一層は加熱により第二層の外周で硬化しても、第二層の外周を被覆しない。これにより、硬化した第一層による阻害で第二層が剥がしにくい問題がなく、後続の第二層を剥がす効率を向上させることに有利である。
【0011】
以上の本開示内容に係る説明、及び、以下の実施形態についての説明は、本発明の精神と原理を例示・解釈するためのものであり、本発明の特許請求の範囲に更なる解釈を提供するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一つの実施形態によるフィルム切断装置を模式的に示す図である。
図2】本発明の一つの実施形態によるフィルム切断方法の模式的なフローチャートである。
図3図1のフィルム切断装置によって実行されるフィルム切断方法を模式的に示す図である。
図4図1のフィルム切断装置によって実行されるフィルム切断方法を模式的に示す図である。
図5図1のフィルム切断装置によって実行されるフィルム切断方法を模式的に示す図である。
図6図1のフィルム切断装置によって実行されるフィルム切断方法を模式的に示す図である。
図7図1のフィルム切断装置によって実行されるフィルム切断方法を模式的に示す図である。
図8図1のフィルム切断装置によって実行されるフィルム切断方法を模式的に示す図である。
図9図1のフィルム切断装置によって実行されるフィルム切断方法を模式的に示す図である。
図10】本発明の一つの実施形態によるウェハラミネーターを模式的に示す図である。
図11図10のウェハラミネーターによって実行されるウェハのラミネート方法を模式的に示す図である。
図12図10のウェハラミネーターによって実行されるウェハのラミネート方法を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態に本発明の特徴及び利点を詳しく説明する。その内容にて、関連技術の熟練者であれば誰でも本発明の技術内容を理解し、それを以て実施できる。また、本明細書に開示された内容、特許請求の範囲及び図面にて、関連技術の熟練者であれば誰でも本発明に係る目的及び利点を容易に理解できる。以下の実施形態は本発明の観点を更に詳しく説明するものであるが、如何なる観点で本発明の範囲を限定するものではない。
【0014】
本発明の一つの実施形態によれば、フィルム切断装置は、フィルム搬送機構と、フィルム吸着テーブルと、回転可能カッターと、カッターとを含む。本発明の一つの実施形態によるフィルム切断装置を模式的に示す図である図1に示すように、本実施形態において、フィルム切断装置1は、フィルム搬送機構10と、フィルム吸着テーブル20と、第一カッター30と、第二カッター40とを含む。
【0015】
フィルム搬送機構10は、第一搬送ロール110と、第二搬送ロール120と、複数のガイドロール130と、二つの廃棄フィルム回収ロール140とを含む。第一搬送ロール110と第二搬送ロール120との間には、切断作業領域Rが設けられている。ガイドロール130は、切断作業領域Rの一方側に設けられ、ロール状に巻き取った複層フィルム(図示せず)を担持するように構成される。廃棄フィルム回収ロール140は、切断作業領域Rの一方側に設けられ、フィルムの切断後に残留された余分な廃棄フィルムを回収するように構成される。第一搬送ロール110とガイドロール130は、複層フィルムを所定の方向に誘導して第二搬送ロール120へ移動させうる。これにより、フィルム搬送機構10は、複層フィルムを切断作業領域Rにおいて搬送方向D1に沿って、第一搬送ロール110から第二搬送ロール120に移動させる。
【0016】
フィルム吸着テーブル20は、切断作業領域Rに設けられ、切断作業領域Rに入る複層フィルムを載置するように構成される。駆動装置(図示せず)により、フィルム吸着テーブル20が駆動され、搬送方向D1に直交する垂直方向D2に上昇または下降される。第一カッター30は、例えば回転可能カッター(ローリングカッタ)であり、切断作業領域Rに設置されてフィルムをカットするように構成される。第一カッター30は、本体310と、少なくとも一つのブレード部320とを含む。本体310は、自身の軸心回りに回転でき、ブレード部320は、本体310から外へ突出する。本実施形態では、ブレード部320が閉鎖の環状ブレードであり、複層フィルムをハーフカットするために、ブレード部320の長さが複層フィルムの厚みより小さい。フィルム搬送機構10では、第一搬送ロール110は第二搬送ロール120よりも第一カッター30に近い。
【0017】
第二カッター40は、切断作業領域Rに設けられ、フィルム吸着テーブル20の上に位置する。駆動装置(図示せず)により、第二カッター40が駆動されて切断作業領域Rでフィルム吸着テーブル20に対して回転でき、第二カッター40がフィルム吸着テーブル20にある複層フィルムを切断する。第一カッター30と第二カッター40とは、異なる二つのカッターである。
【0018】
本発明の一つの実施形態によれば、フィルム切断装置は、引張機構をさらに含む。図1に示すように、フィルム切断装置1は、切断作業領域Rに設置される、複層フィルムを把持して引っ張る引張機構50をさらに含む。引張機構50は、例えばモーターとグリップとを含む。モーターによりグリップが駆動されて複層フィルムを把持し、グリップを搬送方向D1と交差する引張方向に移動させることにより複層フィルムを引っ張る。
【0019】
本発明の一つの実施形態によれば、フィルム切断装置は、従動ロールをさらに含む。図1に示すように、フィルム切断装置1は、第一カッター30の一方側に設けられる従動ロール60をさらに含む。従動ロール60は、シリンダ状であってもよく、円盤状であってもよい。複層フィルムが第一カッター30を通る場合に、従動ロール60は第一カッター30と共に複層フィルムを挟むことができ、複層フィルムが第一カッター30に押し付けられることを確保する。
【0020】
以下、図2から図9を併せて参照しながら、本発明の一つの実施形態によるフィルム切断方法について説明する。図2は本発明の一つの実施形態によるフィルム切断方法の模式的なフローチャートである。図3から図9図1のフィルム切断装置によって実行されるフィルム切断方法を模式的に示す図である。本実施形態においては、フィルム切断装置1によってフィルム切断方法を行うことができ、またフィルム切断方法はステップS1~S5を含む。
【0021】
ステップS1においては、フィルム2がフィルム切断装置1に供給される。図3に示すように、ロール状に巻き取ったフィルム2はフィルム搬送機構10に装着される。フィルム搬送機構10では、第一搬送ロール110と第二搬送ロール120がフィルム2を運送するように回転する。その中、フィルム2は積層された第一層21と第二層22とを含む。フィルム2の第一層21に貼り付けたプラスチック保護フィルム2aは、あらかじめ剥がされ、一方の廃棄フィルム回収ロール140で回収される。本実施形態において、第一層21は、所定の粘着性と良好な感光性を有するドライフィルムである。第二層22は、第一層21を保護できるマイラーフィルムである。前記層の材料は本発明を限定するものではない。
【0022】
ステップS2においては、フィルム2が引張機構によって把持され引っ張られる。図4に示すように、引張機構50は、フィルム2におけるあらゆるカールが消去するようにフィルム2を把持して引っ張り、後続する切断の品質の向上に有利である。引張機構50の配置は本発明を限定するものではない。他の実施形態において、フィルム搬送機構10は、ガイドロール130がフィルム2を良好に引っ張ることができれば、別途引張機構を設ける必要がない。
【0023】
ステップS3においては、第一層21が第一カッター30で切断される。図5図6に示すように、フィルム搬送機構10の第一搬送ロール110は、フィルム2が搬送方向D1に沿ってフィルム吸着テーブル20の上を通過し、その後第二搬送ロール120に搬送されるように、フィルム2の移動方向を調整する。引張機構50は、それとともに搬送方向D1に沿って、フィルム2の引張力を維持するように移動する。フィルム2が第一カッター30を通る際に、従動ロール60がフィルム2を第一カッター30に押し付けながら、第一カッター30の本体310が回転し、これによってブレード部320でフィルム2の第一層21を切断する。第一カッター30で切断された第一層21は、第二層22に貼り付いている第一層のパターン化部分21aと第一層の廃棄物部分21bに分けられる。ブレード部320の長さがフィルム2の厚みより小さいので、ブレード部320は第二層22を完全にカットしない。
【0024】
本実施形態において、第一カッター30は第一層21を完全にカットし、第二層22を完全にカットしない。言い換えれば、第一カッター30はフィルム2をハーフカットする。ここで、「第一カッター30は第一層21を完全にカットする」とは、第一カッター30は第一層21をフルカットし、第一層21が分離した二つの部分に形成されることをいう。「第一カッター30は第二層22を完全にカットしない」とは、第一カッター30は第二層22をカットしない、または、第二層22をカットするが第二層22をフルカットしないことをいう。「第一カッター30はフィルム2をハーフカットする」とは、第一カッター30はフィルム2をフルカットしないことをいい、具体的には、第一カッター30は第一層21をフルカットするとともに、第二層22をカットしない、または、第二層22をカットするがそれをフルカットしないことをいう。
【0025】
ステップS3において、従動ロール60はフィルム2を第一カッター30に押し付け、切断の品質を向上させるが、従動ロール60の配置は本発明を限定するものではない。他の実施形態において、第一カッター30のブレード部320が十分の長さと鋭さを有すれば、別途従動ロールを設ける必要がない。
【0026】
ステップS4においては、第一層の廃棄物部分21bが第二層22から除去される。図7に示すように、第一層21が切断された場合、第一層のパターン化部分21aは第二層22とともにフィルム吸着テーブル20に搬送され、第一層の廃棄物部分21bは廃棄フィルム回収ロール140によって回収される。
【0027】
本実施形態において、第一層21の第一カッター30による切断(ステップS3)、及び、第一層の廃棄物部分21bの第二層22からの除去(ステップS4)は、同時に行われることができる。詳細には、第一カッター30が第一層21を切断するように回転する場合に、フィルム搬送機構10の廃棄フィルム回収ロール140も同時に回転するので、第一層21の切断により形成された第一層の廃棄物部分21bは、第一層21の第一カッター30による切断が終了してから除去される必要がなく、直ちに廃棄フィルム回収ロール140によって除去されて回収される。しかし、他の実施形態において、第一層21の切断及び第一層の廃棄物部分21bの除去の二つのステップは、それぞれに行われてもよい。
【0028】
ステップS5においては、第二層が第二カッターで切断経路に沿って切断される。図7図8に示すように、フィルム2は、フィルム搬送機構10により、所定の距離で搬送され、第一層のパターン化部分21aと第二層22が第二カッター40の下に移動される。フィルム吸着テーブル20は、第一層のパターン化部分21aを載置するように垂直方向D2に上昇する。第二カッター40はフィルム2に近づくように下降し、第二層22を切断する。
【0029】
図9に示すように、第二カッター40は、フィルム吸着テーブル20に対し切断経路Pに沿って移動し、第二層22を完全にカットする。切断経路Pは第一層のパターン化部分21aを囲み、切断経路Pと第一層のパターン化部分21aの外周211とは互いに離隔する。第二層22が第二カッター40で切断された後に、切断された第二層22には、第一層のパターン化部分21aが貼り付いており、切断された第二層22の寸法は、第一層のパターン化部分21aの寸法より大きい。ここで、「第二カッター40は第二層22を完全にカットする」とは、第二カッター40は第二層22をフルカットする、すなわち、第二カッター40はフィルム2を完全にカットすることをいう。
【0030】
第一カッター30と第二カッター40により切断されたフィルム2は、ウェハに粘着されることができる。図10は、本発明の一つの実施形態によるウェハラミネーターを模式的に示す図である。本実施形態において、ウェハラミネーター3は、前記のフィルム切断装置1とラミネート装置1aとを含む。フィルム切断装置1の詳細の構成は、前記説明の通りであり、以下では繰り返して説明しない。
【0031】
ラミネート装置1aは、下部チャンバー80と上部チャンバー90とを含む。下部チャンバー80には、例えばシリコンウェハであるウェハ4を載置するためのウェハステージ810が設けられる。上部チャンバー90には、チャック910が設けられる。本実施形態において、上部チャンバー90は、ラミネート位置と吸着位置とを有する。ラミネート位置である際に、上部チャンバー90が下部チャンバー80の上に位置し、チャック910がウェハステージ810と対向する。吸着位置である際に、上部チャンバー90がフィルム吸着テーブル20の上に位置し、チャック910がフィルム吸着テーブル20と対向する。上部チャンバー90は、駆動装置(図示せず)によって駆動され、ラミネート位置と吸着位置との間を往復するように移動可能である。
【0032】
図11図12は、図10のウェハラミネーターによって実行されるウェハのラミネート方法を模式的に示す図である。図11図12に示すように、本実施形態において、ウェハのラミネート方法は、フィルム2の切断工程、及び、フィルム2のウェハ4への粘着工程を含む。フィルム2の切断工程について、フィルム切断方法(ステップS1~S5)について前述した通りであり、以下では繰り返して説明しない。
【0033】
フィルム2がフィルム切断装置1によって切断された後に、切断された第二層22は、上部チャンバー90によりウェハ4の上に移動される。図11に示すように、上部チャンバー90は吸着位置に移動し、フィルム吸着テーブル20は垂直方向D2に沿って、フィルム2が上部チャンバー90のチャック910に近づくように上昇する。チャック910が第二層22を吸着した後に、フィルム吸着テーブル20は垂直方向D2の反対方向に沿って下降し、元の位置に戻る。
【0034】
そして、パターニングされた第一層21aはウェハ4に貼り付けられる。図12に示すように、上部チャンバー90は、フィルム2がウェハ4の上に位置して第一層のパターン化部分21aがウェハ4と対向するように、吸着位置からラミネート位置に移動する。上部チャンバー90は下降し、第一層のパターン化部分21aをウェハ4に貼り付ける。ウェハ4は、第一層のパターン化部分21aの流動性と粘着性を向上させるために加熱され得る。第一層のパターン化部分21aの寸法がウェハ4の寸法より小さいので、第一層のパターン化部分21aの流動によるウェハ4の外周又は裏面へのオーバーフローを防止することが可能である。
【0035】
前記加熱されたパターニングされた第一層21aが冷却して硬化した後に、第二層22を選択的に剥がすことができる。第一層のパターン化部分21aは過剰にオーバーフローしないので、硬化した第一層のパターン化部分21aが第二層22の外周を被覆することはない。そのため、硬化した第一層のパターン化部分21aは、第二層22の除去を阻害せず、第二層を剥がす効率を向上させることに有利である。
【0036】
以上より、本発明が開示したフィルム切断方法及びフィルム切断装置では、フィルムの二つの層が異なるカッターでそれぞれ切断され、その切断された第一層と第二層が異なる寸法を有するものとする。また、フィルム切断装置は、ウェハラミネーターによってウェハのラミネート方法を実行できるように、ウェハラミネーターに搭載されうる。本発明が開示したフィルム切断方法を採用して切断されたフィルムは、寸法がウェハより小さいドライフィルム、及び、寸法がウェハより大きい又はウェハと同じであるマイラーフィルムを有する。これにより、フィルムがウェハに貼り付けられる場合に、ウェハとマイラーフィルム(第二層)との隙間からの加熱されたドライフィルム(第一層)のオーバーフローを防止することが可能であり、ドライフィルムによるウェハの外周又は裏面の汚染を避けることに有利である。
【0037】
なお、切断された第一層の直径寸法が第二層の直径寸法より小さいので、第一層は加熱された後に第二層の外周で硬化しても、第二層の外周を被覆しない。これにより、第二層は、硬化した第一層による阻害で剥がしにくい問題がなく、後続の第二層を剥がす効率を向上させることに有利である。
【0038】
本発明は前記実施形態により以上のように開示されているが、前記実施形態は本発明を限定するものではない。本発明の精神と範囲を逸脱しない限りなされた変更や改良は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。本発明により定義される保護の範囲については、添付の特許請求の範囲を参照する。
【符号の説明】
【0039】
1 フィルム切断装置
10 フィルム搬送機構
110 第一搬送ロール
120 第二搬送ロール
130 ガイドロール
140 廃棄フィルム回収ロール
20 フィルム吸着テーブル
30 第一カッター
310 本体
320 ブレード部
40 第二カッター
50 引張機構
60 従動ロール
2 フィルム
2a 保護フィルム
21 第一層
21a 第一層のパターン化部分
211 外周
21b 第一層の廃棄物部分
22 第二層
3 ウェハラミネーター
1a ラミネート装置
80 下部チャンバー
810 ウェハステージ
90 上部チャンバー
910 チャック
4 ウェハ
P 切断経路
R 切断作業領域
D1 搬送方向
D2 垂直方向
S1~S5 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12