(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】自動化された偽造防止のための材料のバッチ真贋判定
(51)【国際特許分類】
G01N 33/00 20060101AFI20220511BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20220511BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
G01N33/00 A
G06T7/00 300F
G01N21/84 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020189255
(22)【出願日】2020-11-13
(62)【分割の表示】P 2017533322の分割
【原出願日】2015-12-07
【審査請求日】2020-12-04
(32)【優先日】2014-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー ジェイ.サベッリ
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー エフ.シューマッハー
(72)【発明者】
【氏名】ヤニナ シュケル
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ジェイ.スタンキービッチ
(72)【発明者】
【氏名】グレン イー.キャスナー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エー.ウィートリー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ピー.ボニファス
(72)【発明者】
【氏名】ラビシャンカー シバリンガム
【審査官】三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-509036(JP,A)
【文献】特開2012-141729(JP,A)
【文献】特開2003-244434(JP,A)
【文献】特開2000-268226(JP,A)
【文献】特表2011-505632(JP,A)
【文献】特開2010-273328(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0219503(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/00-33/46
G06T 7/00
G01N 21/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料サンプルを真贋判定する方法であって、
測定構成要素により複数の材料サンプルに関する1又は複数の特有の特徴を測定することであって、前記複数の材料サンプルが、実質的に同じ組成を含み、実質的に同じプロセスによって製造される一群の材料サンプルであり、前記一群の材料サンプルに関する前記1又は複数の特有の特徴がそれぞれの変動性を有する、こ
とを含み、
前記複数の材料サンプルに関する前記1又は複数の
特有の特徴を測定することが、前記一群の材料サンプルの各々に対して1又は複数のデジタル画像を取得することと、前記取得されたデジタル画像から前記それぞれの変動性を抽出することとを含み、
前記方法は更に、
主成分分析(PCA)を使用することにより、前記一群の材料サンプルの前記デジタル画像から抽出された前記変動性に基づいて複数の基底関数を生成することと、
真贋判定すべき試験用材料サンプルに対して1又は複数のデジタル画像を取得することと
、
計算構成要素により、前記複数の基底関数のサブセットを使用して前記デジタル画像を再構成することと
、
前記計算構成要素により、前記再構成に関する再構成誤差を評価することと、
前記再構成誤差が所定の値より小さいとき、前記試験用材料サンプルを真正であると認定することと、
を含む、方法。
【請求項2】
材料サンプルを真贋判定するためのシステムであって、
複数の材料サンプルに関する1又は複数の特有の特徴を測定するように構成された測定構成要素であって、前記複数の材料サンプルが、実質的に同じ組成を含み、実質的に同じプロセスによって製造される一群の材料サンプルであり、前記一群の材料サンプルに関する前記1又は複数の特有の特徴がそれぞれの変動性を有する、測定構成要素と
、
ここで、前記測定構成要素が、前記一群の材料サンプルの各々に対して1又は複数のデジタル画像を取得するように構成され
ており、
前記取得されたデジタル画像から前記それぞれの変動性を抽出するように構成され
た計算構成要素と、
を備え、
前記計算構成要素が更に、主成分分析(PCA)を使用することにより、抽出された前記変動性に基づいて複数の基底関数を生成するように構成され、前記測定構成要素が更に、真贋判定すべき試験用材料サンプルに対して1又は複数のデジタル画像を取得するように構成され、前記計算構成要素が更に、前記複数の基底関数のサブセットを使用して前記デジタル画像を再構成
し、前記再構成に関する再構成誤差を評価するように構成される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、材料特性の統計量、たとえば一群の材料サンプルの材料特性に基づいて材料サンプルを真贋判定することに関する。
【背景技術】
【0002】
偽造は世界的な問題である。商品、製品又は材料を真贋判定するための様々なシステム及び方法が説明される。米国特許出願第2004/197535号、米国特許第7,495,214号、米国特許第7,706,700号、及び米国特許第7,715,733号は、商品、製品又は材料の偽造に対処し、それらを真贋判定するための様々な技法を記載する。
【発明の概要】
【0003】
多数の産業及び分野において、材料、商品又は製品を効率的にかつ高コスト効率で真贋判定することが要望されている。産業及び分野として、パスポート及びIDカードなどのセキュリティ資料、医療用テープ又はドレープ、呼吸マスク、フィルタ、光学フィルム、絶縁材料、研磨ディスク又はサンドペーパーなどが挙げられるが、これらに限定されない。多くの材料サンプルは、それらの特性に固有の物理的変動性を有する。一群の材料サンプルは、異なる材料特性又は特徴を示す場合があるが、材料特性又は特徴の統計量及び/又はパラメータは、サンプル間ではそれほど変化しない場合がある。簡潔には、一態様では、本開示は、材料サンプル中に存在する物理的変動性の統計量及び/又はパラメータを使用することによって材料サンプルを真贋判定するためのシステム及び方法を説明する。
【0004】
本明細書で説明する「一群の材料サンプル」という用語は、実質的に同じ組成を含む、及び/又は実質的に同じプロセスによって製造される複数の材料サンプルを指す。
【0005】
一態様では、材料サンプルを真贋判定する方法は、複数の材料サンプルに関する1又は複数の特有の特徴を測定することを含み、ここで複数の材料サンプルは、実質的に同じ組成を含み、実質的に同じプロセスによって製造される一群の材料サンプルである。一群の材料サンプルに関する1又は複数の特有の特徴は、それぞれの変動性を有する。方法は、それぞれの変動性を分析して、材料サンプルの各々に対して1又は複数の統計的パラメータを抽出することを更に含む。
【0006】
別の態様では、自動化された偽造防止の方法は、試験対象物の可視表面内の所定の位置に材料のパッチを組み込むことを含む。材料のパッチは、実質的に同じ組成の、同じプロセスで製造された一群の材料から生じたものである。一群の材料に関する特有の特徴は、互いと異なるそれぞれの変動性を有する。方法は、一群の材料の各々に対して1又は複数のデジタル画像を取得することと、取得されたデジタル画像から変動性を抽出することと、抽出された変動性に基づいて複数の基底関数を生成することと、試験対象物中の所定の位置に組み込まれている材料のパッチに対するデジタル画像を取得することと、複数の基底関数のサブセットを使用して材料のパッチに対するデジタル画像を再構成することとを更に含む。
【0007】
別の態様では、材料サンプルを真贋判定するためのシステムは、複数の材料サンプルに関する1又は複数の特有の特徴を測定するように構成された測定構成要素を含む。複数の材料サンプルは、実質的に同じ組成を含み、実質的に同じプロセスによって製造される一群の材料サンプルである。一群の材料サンプルに関する1又は複数の特有の特徴は、それぞれの変動性を有する。システムは、それぞれの変動性を分析して材料サンプルの各々に対して1又は複数の統計的パラメータを抽出するように構成された計算構成要素を更に含む。
【0008】
本開示の例示的実施形態では、様々な予期せぬ結果及び利点が得られる。本開示の例示的な実施形態の1つのそのような利点は、物理的変動性の統計量及び/又はパラメータの使用により、材料を組み込んでいる材料又は商品/製品をリアルタイムで真贋判定するための独特で高コスト効率の方法を提供し得ることである。本明細書で説明する実施形態は、試験されるべき材料の一意のシグネチャーを検証することを必要としない。代わりに、本明細書では、システム及び方法は、材料に固有の材料特性/特徴を評価することによって材料サンプルを真贋判定することを提供する。
【0009】
例示的実施形態の列挙
例示的実施形態を以下に列挙する。実施形態A~K、L~P及びQのいずれかが組み合わされ得ることを理解されたい。
【0010】
実施形態A.材料サンプルを真贋判定する方法は、
複数の材料サンプルに関する1又は複数の特有の特徴を測定することであって、複数の材料サンプルが、実質的に同じ組成を含み、実質的に同じプロセスによって製造される一群の材料サンプルであり、一群の材料サンプルに関する1又は複数の特有の特徴がそれぞれの変動性を有する、ことと、
それぞれの変動性を分析して、材料サンプルの各々に対して1又は複数の統計的パラメータを抽出することとを含む。
【0011】
実施形態B.実施形態Aの方法は、一群の材料サンプルに対して抽出された統計的パラメータに基づいて基準範囲を決定することを更に含む。
【0012】
実施形態C.実施形態Bの方法は、真贋判定すべき試験用材料サンプルの1又は複数の特有の特徴を測定して、試験用材料サンプルの1又は複数の統計的パラメータを取得することと、取得された1又は複数の統計的パラメータと決定された基準範囲とを比較することとを更に含む。
【0013】
実施形態D.実施形態Cの方法であって、取得された1又は複数の統計的パラメータが基準範囲内にある場合、サンプルは本物と判定される。
【0014】
実施形態E.任意の上記実施形態の方法であって、1又は複数の材料特性を測定することは、一群の材料サンプルの各々に対して1又は複数のデジタル画像を取得することと、取得されたデジタル画像からそれぞれの変動性を抽出することとを含む。
【0015】
実施形態F.実施形態Eの方法は、抽出された変動性に基づいて複数の基底関数を生成することを更に含む。
【0016】
実施形態G.実施形態E又はFの方法は、真贋判定すべき試験用材料サンプルに対して1又は複数のデジタル画像を取得することと、複数の基底関数のサブセットを使用してデジタル画像を再構成することとを更に含む。
【0017】
実施形態H.実施形態Fの方法であって、複数の基底関数は、主成分分析(PCA)を使用して生成される。
【0018】
実施形態I.任意の上記実施形態の方法であって、1又は複数の特有の特徴は、光学的特徴、音響的特徴、弾性的特徴、構造的特徴、電子的特徴、磁気的特徴、エレクトレットに関連する特徴、又は機械的特徴を含む。
【0019】
実施形態J.任意の上記実施形態の方法であって、一群の材料サンプルは、一群の研磨剤、光学フィルム、及び不織材から選択される。
【0020】
実施形態K.自動化された偽造防止の方法は、
材料のパッチを試験対象物の可視表面内の所定の位置に組み込むことであって、材料のパッチは、実質的に同じ組成の、同じプロセスで製造された一群の材料から生じたものであり、一群の材料に関する特有の特徴は、互いと異なるそれぞれの変動性を有する、ことと、
一群の材料の各々に対して1又は複数のデジタル画像を取得することと、
取得されたデジタル画像から変動性を抽出することと、
抽出された変動性に基づいて複数の基底関数を生成することと、
試験対象物中の所定の位置に組み込まれている材料のパッチに対するデジタル画像を取得することと、
複数の基底関数のサブセットを使用して材料のパッチに対するデジタル画像を再構成することとを含む。
【0021】
実施形態L.実施形態Kの方法は、再構成に関する再構成誤差を評価することと、再構成誤差が所定の値より小さいとき、試験対象物を真正であると認定することとを更に含む。
【0022】
実施形態M.実施形態K又はLの方法であって、一群の材料は、一群の多層光学フィルム又は一群の不織材を含む。
【0023】
実施形態N.実施形態Mの方法であって、一群の多層光学フィルムは、一群のフレームエンボス加工フィルム、ミラーフィルム、又は波長固有フィルタフィルムから選択される。
【0024】
実施形態O.材料サンプルを真贋判定するためのシステムは、
複数の材料サンプルに関する1又は複数の特有の特徴を測定するように構成された測定構成要素であって、複数の材料サンプルが、実質的に同じ組成を含み、実質的に同じプロセスによって製造される一群の材料サンプルであり、一群の材料サンプルに関する1又は複数の特有の特徴がそれぞれの変動性を有する、測定構成要素と、
それぞれの変動性を分析して、材料サンプルの各々に対して1又は複数の統計的パラメータを抽出するように構成された計算構成要素とを備える。
【0025】
実施形態P.実施形態Oのシステムであって、計算構成要素は、一群の材料サンプルに対して抽出された統計的パラメータに基づいて基準範囲を決定するように構成される。
【0026】
実施形態Q.実施形態Pのシステムであって、測定構成要素は、真贋判定すべき試験用材料サンプルの1又は複数の特有の特徴を測定して試験用材料サンプルの1又は複数の統計的パラメータを取得するように構成され、計算構成要素は、取得された1又は複数の統計的パラメータと決定された基準範囲とを比較するように構成される。
【0027】
実施形態R.実施形態O~Qのうちのいずれか1つのシステムであって、測定構成要素はカメラを含む。
【0028】
実施形態S.実施形態O~Rのうちのいずれか1つのシステムであって、1又は複数の特有の特徴は、光学的特徴、音響的特徴、弾性的特徴、構造的特徴、電子的特徴、磁気的特徴、エレクトレットに関連する特徴、又は機械的特徴を含む。
【0029】
実施形態T.実施形態O~Sのうちのいずれか1つのシステムであって、一群の材料サンプルは、一群の研磨剤、光学フィルム、及び不織材から選択される。
【0030】
本開示の例示的実施形態の様々な態様及び利点が要約されてきた。上記の「発明の概要」は、それらの本開示の特定の例示的実施形態の、図示される各実施形態又は全ての実装を説明することを意図するものではない。以下の図面及び「発明を実施するための形態」は、本明細書に開示される原理を使用する特定の好ましい実施形態を、より詳細に例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
以下の本開示の様々な実施形態の詳細な説明を添付図面と併せて考慮することで、本開示のより完全な理解が可能である。
【
図1】一実施形態による、材料サンプルを真贋判定するための方法のフロー図である。
【
図2】一実施形態による、材料サンプルを真贋判定するシステムのブロック図を示す。
【
図3A】一実施形態による、材料サンプルの光学画像を示す。
【
図4A】一実施形態による、一群の材料サンプルのうちの第1の材料サンプルに対する光学画像を示す。
【
図4C】一群の材料サンプルのうちの第2の材料サンプルに対する光学画像を示す。
【
図5A】一実施形態による、一群の不織材サンプルに対する画像を示す。
【
図5B】
図5Aの一群の不織材サンプルに対する光透過率の分布を示す。
【
図6B】
図6Aの試験用不織材サンプルを、
図5Aの一群の不織材サンプルと比較することによって真贋判定することを示す。
【
図7B】
図7Aの不織材サンプルに対するPCA画像パッチ辞書又は基底関数を示す。
【
図8A】フレームエンボス加工フィルムのサンプルの光学画像を示す。
【
図8B】
図8Aのフレームエンボス加工フィルムのサンプルに対するPCA画像パッチ辞書又は基底関数を示す。
【0032】
これらの図面中、同様の参照番号は、同様の要素を示す。上記で定義された図面は、一定の縮尺で描かれていない場合があり、本開示の様々な実施形態を示すものであるが、「発明を実施するための形態」で記述されるように、他の実施形態もまた想到される。全ての場合に、本開示は、本明細書で開示される開示内容を、明示的な限定によってではなく、例示的実施形態を表現することによって説明する。本開示の範囲及び趣旨の中に入る多くの他の修正形態及び実施形態が、当業者によって考案され得ることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0033】
多くの材料サンプルは、それらの特性に固有の物理的変動性を有する。一群の材料サンプルは、異なる材料特性又は特徴を示す場合があるが、材料特性又は特徴の統計量及び/又はパラメータは、サンプル間ではそれほど変化しない場合がある。簡潔には、一態様では、本開示は、材料サンプル中に存在する物理的変動性の統計量及び/又はパラメータを使用することによって材料サンプルを真贋判定するためのシステム及び方法を説明する。
【0034】
いくつかの実施形態では、材料サンプルを一群の材料サンプルの一メンバーとして真贋判定するためのシステム及び方法が提供される。すなわち、材料サンプルは、真正であるか又は偽造であるかを検証され得る。材料サンプルの真贋判定は、たとえば、材料サンプルの構造、下部構造、又はテクスチャなどにおける固有のランダム性の基本統計量に基づき得る。一実施形態では、材料サンプルが撮像され、材料サンプルの画像中に存在するランダム構造(又は下部構造若しくはテクスチャ)に関連する統計量が計算され、一群のそのような材料サンプルの材料特性をあらかじめ評価することによって生成された基準値と比較され得る。
【0035】
図1は、一実施形態による、材料サンプルを真贋判定する方法100を示す。110において、1又は複数の特有の特徴が、複数の材料サンプルに対して測定される。材料サンプルの各々は、実質的に同じ組成を含有し、及び/又は実質的に同じプロセスによって製造される一群の材料サンプルに属する。本明細書で説明する特有の特徴は、それぞれの変動性又は固有のランダム性を有する。たとえば、材料サンプルの光学画像は、材料サンプルの構造、下部構造、又はテクスチャに関連する場合がある様々な強度を有するピクセルを含み、それらの強度の固有のランダム性又は物理的変動性を反映する場合がある。特有の特徴は、たとえば、光学的特徴(たとえば、強度)、音響的特徴(たとえば、周波数吸収)、弾性的特徴(たとえば、弾性率)、構造的特徴(たとえば、形状)、電子的特徴(たとえば、抵抗)、磁気的特徴(たとえば、磁界強度)、エレクトレットに関連する特徴(たとえば、誘電体)、機械的特徴(たとえば、降伏強度)、などを含む場合がある。いくつかの実施形態では、一群の材料サンプルは、たとえば、一群の研磨剤、光学フィルム、及び不織材から選択され得、それらは、ミネソタ州セントポールの3M社から市販されている。次いで、方法100は、120に進む。
【0036】
120において、材料サンプルの特有の特徴の中に存在する変動性又はランダム性が、材料サンプルの各々に対して1又は複数の統計的パラメータを抽出するために分析される。いくつかの実施形態では、材料サンプルの光学画像中に存在する変動性は、様々な強度を有するピクセルとして分析され得、1又は複数の統計的パラメータが、様々な強度から抽出され得る。次いで、方法100は、130に進む。
【0037】
130において、1又は複数の基準範囲が、抽出された1又は複数の統計的パラメータに基づいて決定される。いくつかの実施形態では、一群の材料サンプルの抽出された統計的パラメータは、たとえば平均値及び分散を有する正規分布又はガウス分布などの分布を形成することができる。1又は複数の基準範囲が、分布に基づいて決定され得る。次いで、方法100は、140に進む。
【0038】
140において、試験用材料サンプルの1又は複数の特有の特徴を測定して、それらのサンプルの1又は複数の統計的パラメータを取得する。いくつかの実施形態では、試験用材料サンプルに関する統計的パラメータは、一群の材料サンプルの場合と同じようにして取得され得る。次いで、方法100は、150に進む。
【0039】
150において、試験用材料サンプルの取得された1又は複数の特有の特徴が、基準範囲のうちの1つと比較される。試験用材料サンプルの取得された1又は複数の特有の特徴が基準範囲内にある場合、160において、試験用材料サンプルは、真正の材料サンプルであると確証される。試験用材料サンプルの取得された1又は複数の特有の特徴が基準範囲内にない場合、170において、試験用材料サンプルは偽造であると確証される。
【0040】
いくつかの実施形態では、デジタル画像が、一群の材料サンプルの各々に対して取り込まれ得、取得されたデジタル画像からの変動性が抽出され得、その変動性は、たとえば、以下で更に説明される
図3A~
図3B及び
図4A~
図4Dに示され得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、複数の基底関数が、抽出された変動性に基づいて生成され得る。試験用材料サンプルに対するデジタル画像が取り込まれ得、デジタル画像は、複数の基底関数のサブセットを使用することによって再構成され得る。いくつかの実施形態では、複数の基底関数は、主成分分析(PCA)を使用して生成される。
【0042】
いくつかの実施形態では、材料のパッチ(たとえば、フィルム材料)が、対象物の可視表面内の所定の位置に組み込まれ得る。材料のパッチは、一群の材料のうちの1つの材料から生じたものである場合がある。一群の材料は、実質的に同じ組成を含有し、同じプロセスにおいて製造される可能性があり、ここで一群の材料に関する特有の特徴は、互いと異なるそれぞれの固有のランダム性を有する。一群の材料の各々に対してデジタル画像が取得され得、取得されたデジタル画像から変動性又は固有のランダム性が抽出され得る。いくつかの実施形態では、複数の基底関数は、抽出された固有のランダム性に基づいて生成され得る。デジタル画像は、所定の位置にある試験対象物に対して取得され得る。いくつかの実施形態では、再構成誤差が、複数の基底関数のサブセットを使用して試験対象物に対するデジタル画像を再構成するために評価され得る。試験対象物は、再構成誤差が所定の値又はしきい値より小さいときに真正であると認定され得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、一群の材料は、一群の多層光学フィルム又は一群の不織材を含む。いくつかの実施形態では、一群の多層光学フィルムは、一群のフレームエンボス加工フィルム、ミラーフィルム、又は波長固有フィルタフィルムから選択される。
【0044】
図2は、一実施形態による、たとえば方法100を実施することによって材料サンプルを真贋判定するためのシステム200を示す。システム200は、測定構成要素224と、計算構成要素226と、1又は複数の入力/出力デバイス216とを含む。
【0045】
測定構成要素224は、材料サンプルの1又は複数の特有の特徴/特性を測定するように構成される。測定構成要素224は、たとえば、光学的特徴、音響的特徴、弾性的特徴、構造的特徴、電子的特徴、磁気的特徴、エレクトレット、又は機械的特徴のうちの1又は複数を含む固有の変動性を有する材料特性を測定するための様々な測定ツールであり得る。いくつかの実施形態では、測定構成要素224は、たとえば、材料サンプルの1又は複数の画像を取り込むためのカメラを含み得る。
【0046】
図2の実施形態では、計算構成要素226は、プロセッサ212とメモリ214とを含む。計算構成要素226は、測定構成要素224に機能的に接続され、測定された特有の特徴に関連する信号を測定構成要素224から受信し、受信された信号を分析することによって材料サンプルの各々に対する1又は複数の統計的パラメータを抽出する。次いで、プロセッサ212は、一群の材料サンプルに対して抽出された統計的パラメータに基づいて基準範囲を決定する。いくつかの実施形態では、プロセッサ212は、抽出された統計的パラメータの分布を決定し、その分布に基づいて1又は複数の基準範囲を取得することができる。
【0047】
決定された基準範囲は、メモリ214に記憶され得る。いくつかの実施形態では、試験用材料サンプルを真贋判定するとき、試験用材料サンプルの1又は複数の対応する特有の特徴が、測定構成要素224によって測定され得る。計算構成要素226は、試験用材料サンプルの測定された特有の特徴に基づいて1又は複数の統計的パラメータを抽出し、抽出された統計的パラメータと基準範囲とを比較することができる。試験用材料サンプルの取得された1又は複数の特有の特徴が基準範囲内にある場合、計算構成要素226は、試験用材料サンプルが真正の材料サンプルであること、又は一群の材料サンプルから生じたものであることを確証し得る。試験用材料サンプルの取得された1又は複数の特有の特徴が基準範囲内にない場合、計算構成要素226は、試験用材料サンプルが真正でない、又は一群の材料サンプルから生じたものでないものと決定することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、基準範囲は、抽出された統計的パラメータの比較が計算構成要素226によって処理されるときに、動的に更新、精緻化、又は処理される場合がある。
【0049】
いくつかの実施形態では、測定構成要素224は、現場で作動し得るポータブルデバイスであってよい。測定構成要素224は、たとえば、信号を送信及び受信することによって、計算構成要素226などのリモートの計算デバイスとワイヤレスに通信することができる。計算構成要素226は、たとえばコンピュータ、サーバ、モバイルフォンなどと一体化されてもよい。計算構成要素226は、受信された材料特性信号を処理し、真贋判定情報を入力/出力デバイス216に送信し、入力/出力デバイス216に表示することができる。
【0050】
メモリ214は、情報を記憶する。いくつかの実施形態では、メモリ214は、本明細書で説明する方法又はプロセスを実行するための命令を記憶し得る。いくつかの実施形態では、材料特性データが、メモリ214に事前記憶され得る。材料サンプルからの1又は複数の特性、たとえば光学的特徴、音響的特徴、弾性的特徴、構造的特徴、電子的特徴、磁気的特徴、エレクトレットに関連する特徴、又は機械的特徴が、材料特性データとして記憶されてよい。一群の材料サンプルに対して決定された基準範囲も、同様にメモリ214に記憶され得る。
【0051】
メモリ214は、任意の揮発性又は不揮発性の記憶要素を含んでよい。例として、同期型ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)などのランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、電気的消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM)、及びフラッシュメモリが挙げられる。また、例として、ハードディスク、磁気テープ、磁気又は光学データ記憶媒体、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイディスク、及びホログラフィックデータ記憶媒体が挙げられる。
【0052】
プロセッサ212として、たとえば、1又は複数の汎用マイクロプロセッサ、専用設計のプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、一群のディスクリート論理回路、及び/又は本明細書で説明する技法を実行できる任意のタイプの処理デバイスが挙げられる。いくつかの実施形態では、プロセッサ212(又は本明細書で説明する任意の他のプロセッサ)は、コンピューティングデバイスとして説明される場合がある。いくつかの実施形態では、メモリ214は、本明細書で説明するプロセス又は方法を遂行するためにプロセッサ212によって実行されるプログラム命令(たとえば、ソフトウェア命令)を記憶するように構成される場合がある。他の実施形態では、本明細書で説明するプロセス又は方法は、プロセッサ212の特別にプログラムされた回路によって実行されてよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ212は、したがって、本明細書で説明する、材料サンプルを真贋判定するための技法を実行するように構成されてよい。プロセッサ212(又は本明細書で説明する他のプロセッサ)として、1又は複数のプロセッサが挙げられる。
【0053】
入力/出力デバイス216として、情報をユーザ又は他のデバイスから入力するように、又はユーザ又は他のデバイスに出力するように構成された1又は複数のデバイスが挙げられる。いくつかの実施形態では、入力/出力デバイス216は、ユーザインターフェース218を提供することもあり、その場合、ユーザが材料サンプルの真贋判定を制御することができる。たとえば、ユーザインターフェース218は、視覚情報をユーザに提示するための表示画面を含む場合がある。いくつかの実施形態では、表示画面は、タッチセンシティブディスプレイを含む。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース218は、情報をユーザに提示するための1又は複数の異なるタイプのデバイスを含む場合がある。ユーザインターフェース218として、たとえば、任意の数の視覚的フィードバックデバイス(たとえば、表示デバイス、光など)、聴覚的フィードバックデバイス(たとえば、1又は複数のスピーカー)及び/又は触覚的フィードバックデバイス(たとえば、キーボード、タッチ画面、又はマウス)が挙げられる。いくつかの実施形態では、入力/出力デバイス216は、表示画面(たとえば、液晶ディスプレイ又は発光ダイオードディスプレイ)及び/又はプリンタ(たとえば、印刷デバイス又は命令を印刷デバイスに出力するための構成要素)のうちの1又は複数を表す場合がある。いくつかの実施形態では、入力/出力デバイス216は、本明細書で説明する実施形態を遂行するために、プロセッサ212によって実行されるプログラム命令(たとえば、ソフトウェア命令)を受領又は受信するように構成される場合がある。
【0054】
システム200は他の構成要素も含んでよく、プロセッサ212、メモリ214及び入力/出力デバイス216を含む例示された構成要素のうちのいずれかの構成要素の複数の機能が、複数の構成要素及びたとえばコンピュータなどの別個のデバイスにわたって分配されてもよい。システム200は、ワークステーション、デスクトップコンピューティングデバイス、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、モバイルコンピューティングデバイス、又は任意の他の好適なコンピューティングデバイス若しくは一群のコンピューティングデバイスとして構成されてもよい。システム200は、ローカルネットワーク上で動作してもよく、又はクラウドコンピューティング環境内でホストされてもよい。
図2に例示される構成要素は、単に、本開示の様々な態様を説明するために示されており、構成要素の追加又は削除は、当業者には明白であろう。
【0055】
図3A~
図3B及び
図4A~
図4Dは、いくつかの実施形態による、材料サンプルの光学画像中に存在する変動性又は固有のランダム性を提示し、分析することを示す。
図3Aは、材料サンプルに対して取り込まれた光学画像32を示す。光学画像32は、
図3Bの表34に示されるような様々な強度を有するピクセルを含み、その強度は、たとえば、構造、下部構造又は材料サンプルの表面上のテクスチャに関連する場合がある。光学画像32は、たとえば、
図2の測定構成要素224によって取り込まれ得る。ピクセルの様々な強度は、たとえば、下部構造の固有のランダム性又は材料サンプル表面のテクスチャを反映する。光学画像32の例示的な部分3Bの中の画像ピクセルの強度値が、表34に示される。強度値は、たとえば、
図2の計算構成要素226によって0と1との間になるように正規化され得、配列mxnの中に記載される。光学画像32の任意の部分又は光学画像32の全ての部分が、対応する強度値を取得するために使用され得る。
【0056】
1又は複数の統計的パラメータが、表34に示されるような様々な強度の配列から抽出され得る。統計的パラメータは、たとえば、平均値、分散、歪度、位置母数、散布度母数、尺度母数、形状母数などを含み得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、様々な材料特性(たとえば、表34中の強度)の配列は、数学における「モーメント」と見なされ得る。「モーメント」は、値又は点のセットの形状の特定の定量的測度である。たとえば、点が質量を表す場合、ゼロ番目のモーメントは全質量であり、1番目のモーメントを全質量で割ったものは質量の中心であり、2番目のモーメントは回転の慣性である。点が確率密度を表す場合、ゼロ番目のモーメントは全確率(すなわち、1)であり、1番目のモーメントは平均値であり、2番目のモーメントは分散であり、3番目のモーメントは歪度である。
【0058】
図4A及び
図4Cは、それぞれ、第1の材料サンプルに対して取り込まれた光学画像41、及び第2の材料サンプルに対して取り込まれた光学画像42を示す。第1及び第2の材料サンプルは、同じ一群の材料サンプルからのものである。光学画像41及び42は、それぞれの材料サンプルの構造、下部構造又は表面上のテクスチャに関連する場合がある様々な強度を有するピクセルを、それぞれ含む。ピクセルの様々な強度は、下部構造又はそれぞれの材料サンプルの表面のテクスチャの固有のランダム性を反映する。光学画像41及び42のそれぞれの部分における画像ピクセルの強度値が、それぞれ、
図4B及び
図4Dの表44及び表45に示される。強度値は、0と1との間に正規化され、配列に記載される。表44及び表45の中の強度値は、互いと異なっている。そのような変動は、材料サンプルの特性の中の固有のランダム性、及び一群の材料サンプルを製造するためのプロセスにおける固有のランダム性を反映する。
【0059】
1又は複数の統計的パラメータは、表44及び表45に示すような材料サンプルの各々に対する様々な強度から抽出され得る。統計的パラメータは、たとえば、平均値、平均値からの分散、位置母数、散布度母数、尺度母数、形状母数などを含み得る。
【0060】
一群の材料サンプルS1、S2...SNの場合、一連の統計的パラメータP1、P2...PNが、それぞれの材料サンプルS1、S2...SNに対して抽出され得る。統計的パラメータP1、P2...PNは、たとえば、平均値、分散などを有する分布を形成し得る。その群は、分布を決定するのに十分な数Nの材料サンプルを含み得る。たとえば、数Nは、2以上、5以上、10以上、20以上、又は100以上の整数であり得る。いくつかの実施形態では、群の中の材料サンプルが多いほど、分布はより正確になり得る。望ましい基準範囲は、統計的パラメータP1、P2...PNの分布に基づいて決定され得る。試験用材料サンプルを真贋判定すべきとき、測定された特有の特徴から対応する統計的パラメータが抽出され、その統計的パラメータを、決定された基準範囲と比較して、試験用材料サンプルが真正であるかどうか又は一群の材料サンプルから生じたものであるかどうかを確証することができる。
【0061】
図5Aは、実質的に同じ組成を有し、実質的に同じプロセスによって製造されている、例示的な一群の不織材サンプルS
1、S
2...S
Nに対する画像を示す。不織材サンプルの光透過率が、たとえば
図2の測定構成要素224によって測定され、それぞれ、T
1、T
2...T
Nとなっている。
図5Bに示すように、一群の不織材サンプルについての光透過率の分布50は、測定された光透過率(T
1、T
2...T
N)に基づいて
図2の計算構成要素226によって取得されたものである。分布50は、平均値及び分散を有する。たとえば、
図5Bに示すR
1、R
2及びR
3などの様々な基準範囲が、真贋判定のためにそれぞれに事前設定された基準に従って分布50から決定され得る。
図5Bに示す実施形態では、分布50は、実質的に正規分布又はガウス分布である。分布50は、たとえば、指数族分布又はStudentのt-分布など、他のタイプの分布であり得ることを理解されたい。
【0062】
図6Aは、真贋判定すべき不織材試験サンプル62に対する画像を示す。いくつかの実施形態では、試験サンプル62が真正であるかどうか、すなわち試験サンプル62が一群の材料サンプルから生じたものであるかどうか、又は同じ組成を有するかどうか、及び
図5Aの一群の不織材サンプルS
1、S
2...S
Nと同じプロセスによって製造されたかどうかを決定するために、試験サンプル62の平均光透過率T
aveが測定され、分布50の所望の基準範囲(たとえば、R
1、R
2又はR
3)と比較され得る。試験サンプル62の平均光透過率T
aveが所望の基準範囲内に入る場合、試験サンプル62は真正であると確証され、そうでない場合、試験サンプル62は、偽造であるものと決定される。
【0063】
他の実施形態では、一連の光透過率の測定が、試験サンプル62に対して実施され得る。たとえば、試験サンプル62の様々な局部領域が、それらの領域の光透過率を測定するためにランダムに選択され得る。試験サンプル62からの一連の光透過率の測定により、試験サンプル62に対して
図6Bに示すような光透過率の分布60を形成する一連の光透過率の値を得ることができる。
図6Bの実施形態では、分布60は、実質的に正規分布又はガウス分布である。試験サンプル62が真正であるかどうか又は一群の不織材サンプルS
1、S
2...S
Nから生じたものであるかどうかを決定するために、分布60が、平均値及び分散に関して分布50と比較され得る。いくつかの実施形態では、分布は、たとえば、当技術分野で知られているコルモゴロフ-スミルノフ検定などの適切な統計的仮説検定を使用することによって比較され得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、真贋判定すべき試験用材料サンプルの1又は複数の画像が、たとえば、標準的光学カメラなどの測定構成要素224によって取り込まれ得る。取り込まれた1又は複数の画像は、画像「辞書」又は基底関数を用いて再構成され得る。画像「辞書」又は基底関数は、一群の真正な材料サンプルから事前取得され得る。画像「辞書」又は基底関数は、たとえば主成分分析(PCA)によって生成され得、材料データとしてメモリ214に記憶され得る。いくつかの実施形態では、試験用材料サンプルの1又は複数の画像は、基底関数の選択されたサブセットから再構成され得る。再構成された画像は、再構成誤差を決定するために計算構成要素226によって評価され得る。再構成誤差は、試験用材料サンプルが一群の真正な材料サンプルにどれほど似ているかを評価するために使用され得る。たとえば、再構成誤差が所定の誤差より大きい場合、試験用材料サンプルは、真正でないと見なされる。
【0065】
いくつかの実施形態では、基底関数をPCAを介して取得するためのプロセスは、たとえば、1つの画像を複数の画像パッチ(たとえば、20×20ピクセルパッチ)に分離することと、画像パッチをベクトル化する(たとえば、パッチを400×1ベクトルに変換する)ことと、ベクトルをデータマトリクスに配列する(たとえば、ベクトルを連結して400×パッチ数のマトリクスにする)ことと、データマトリクスの主成分を決定するために特異値分解を使用することと、主成分ベクトルを元の画像パッチに変換することとを含み得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、画像を再構成するためのプロセスは、たとえば、再構成において使用するために主成分のサブセット(典型的には特定のしきい値に対する最初のN個の主成分)を決定することと、新しい画像を対応する画像パッチに区分することと、画像パッチを主成分である正規直交基底上に線形に投影することと、候補画像パッチの再構成を形成するために投影されたパッチを合計することとを含み得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される基底関数はまた、たとえばスパース辞書学習など、他の方法から取得され得、再構成は、多くの投影法のうちの1つ(たとえば、マッチング追跡)を介して学習済み辞書を用いて達成される。
【0068】
図7Aは、不織材サンプルに対する20×20のPCA画像パッチ辞書又は基底関数を示し、
図7Bは、関連する不織材サンプルの原画像を示す。
【0069】
図8Aは、フレームエンボス加工ミラーフィルムに対する20×20のPCA画像パッチ辞書又は基底関数を示し、
図8Bは、関連するフレームエンボス加工ミラーフィルムの原画像を示す。
【0070】
材料サンプルを真贋判定するための上記で説明したシステム及び方法は、材料サンプルを組み込んでいる商品又は製品を真贋判定するために利用され得る。いくつかの実施形態では、材料のパッチが、試験対象物の可視表面内の所定の位置に組み込まれ得る。たとえば、試験対象物は、たとえば、コーヒーポッド抽出システム、汎用的なコーヒーポッド、動力式レスピレータ、使い捨てフィルタ、などを含む任意の使い捨て用品であり得る。材料のパッチは、実質的に同じ組成の、同じプロセスで製造された一群の材料から生じたものであり得る。すなわち、材料のパッチは、一群の材料と実質的に同じ組成を含有しており、一群の材料と実質的に同じプロセスによって製造されている。一群の材料に関する特有の特徴は、互いと異なるそれぞれの変動性を有する。
【0071】
試験対象物を真贋判定するための例示的なプロセスでは、一群の材料の各々に対して1又は複数のデジタル画像が取り込まれ得る。材料の変動性は、取得されたデジタル画像から抽出され得る。複数の基底関数は、たとえば、主成分分析(PCA)を使用することによって抽出された変動性に基づいて生成され得る。試験対象物に真贋判定が行われるとき、試験対象物中に所定の位置に組み込まれている材料のパッチに対するデジタル画像が、取り込まれ得る。材料のパッチに対するデジタル画像が、複数の基底関数のサブセットを使用することによって再構成され得る。いくつかの実施形態では、再構成に関する再構成誤差が評価され得、再構成誤差が所定の値より小さいとき、試験対象物は真正であると認定される。
【0072】
いくつかの実施形態では、一群の材料は、たとえば、ミネソタ州セントポールの3M社から市販されている一群の多層光学フィルム、又は一群の不織材を含み得る。一群の多層光学フィルムは、たとえば、一群のフレームエンボス加工フィルム、ミラーフィルム、又は波長固有フィルタフィルムから選択され得る。
【0073】
本明細書及び実施形態で使用される量又は成分、特性の測定値などを表す全ての数は、別途記載のない限り、全ての場合において「約」という用語によって修正されることを理解されたい。したがって、特に指示がない限り、前述の明細書及び添付の実施形態の列挙において示す数値パラメータは、本開示の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に依存して変化しうる。最低でも、請求項記載の実施形態の範囲への均等論の適用を限定する試みとしてではなく、報告される有効桁の数に照らして、通常の四捨五入を適用することにより、各数値パラメータは少なくとも解釈されるべきである。
【0074】
本開示の例示的な実施形態は、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な修正及び変更を採ってもよい。したがって、本開示の実施形態は、以下に記述する例示の実施形態に限定されず、請求項及びそれと同等の任意のものに定められた制限によって支配されるものと理解されたい。
【0075】
本開示の代表的な実施形態は、開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正や変更が可能である。したがって、本開示の実施形態は、記述される例示の実施形態に限定されず、請求項及びそれと同等の任意のものに定められた制限によって支配されるものと理解されたい。
【0076】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1又は複数の実施形態」、又は「実施形態」への言及は、用語「実施形態」の前に、用語「例示的」が含まれているか否かに関わらず、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の特定の例示的実施形態のうちの少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。それゆえ、本明細書全体を通して、様々な箇所での「1又は複数の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」、又は「実施形態では」などの語句の出現は、必ずしも、本開示の特定の例示的実施形態のうちの、同じ実施形態に言及するものではない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、任意の好適な方法で1つ又は複数の実施形態に組み合わされてもよい。
【0077】
本明細書では、特定の例示的実施形態が詳細に説明されてきたが、当業者には、上述の説明を理解した上で、これらの実施形態の代替物、変更物、及び等価物を容易に想起することができる点が、理解されるであろう。したがって、本開示は、本明細書で上記された例示的実施形態に、過度に限定されるものではないことを理解されたい。特に、本明細書で使用するとき、端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含される全ての数を含む(たとえば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)ことが意図される。更には、本明細書で使用される全ての数は、用語「約」によって修飾されるものと想定される。更に、種々の例示的な実施形態が説明されてきた。これらの実施形態及び他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に含まれるものである。