(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】パワースカイビング工具
(51)【国際特許分類】
B23F 5/16 20060101AFI20220511BHJP
B23F 21/10 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B23F5/16
B23F21/10
(21)【出願番号】P 2020539060
(86)(22)【出願日】2019-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2019063573
(87)【国際公開番号】W WO2019228945
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】102018112865.7
(32)【優先日】2018-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503128054
【氏名又は名称】ハルトメタル-ウェルクゾーグファブリック ポール ホーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カンヴィッシャー, マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ワーグナー, エクハルト
(72)【発明者】
【氏名】ムイチン, エルヴィン
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-157921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23F 5/00-5/28,
21/00-21/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワースカイビング工具(10)であって、
工具(10)の長手方向軸(14)に沿って延びるシャンク(12)と、シャンク(12)の前端部に配置された切削ヘッド(16)を備え、
切削ヘッド(16)は、円周方向に配置された複数の歯(18)を備え、これらの歯(18)の各々はシャンク(12)の反対側を向
き、工具(10)の半径方向に沿って延びる切削ヘッド(16)の前端部に平坦であるすくい面(20)を備え、
これらのすくい面(20)
の各々は、
長手方向軸(14)に対して直交する配置に対して、半径方向を中心に回転することにより、長手方向軸(14)に対して90°
よりも小さい角度で傾斜し、
各歯(18)の半径方向内側基端の一部にて、2つの隣接する歯(18)のすくい面(20)の間に移行面(22)が配置され、移行面(22)は切削ヘッド(16)の前端部にも配置され、2つの隣接する歯(18)のすくい面(20)に直接隣接し、
移行面(22)の全ての点において、表面法線(23)が2つの隣接する歯(18)のすくい面(20)と
10°より大きい角度(β)を形成する、パワースカイビング工具(10)。
【請求項2】
移行面(22)は、少なくとも1つの凹面部(28)を備える、請求項
1に記載のパワースカイビング工具。
【請求項3】
移行面(22)は、凸面部(30)を備える、請求項1
又は2に記載のパワースカイビング工具。
【請求項4】
移行面(22)は、平坦な表面部(32)を備える、請求項1乃至
3の何れかに記載のパワースカイビング工具。
【請求項5】
移行面(22)は、凹面部(28)と平坦な表面部(32)を備え、平坦な表面部(32)は、凹面部(28)に直接隣接している、請求項1に記載のパワースカイビング工具。
【請求項6】
移行面(22)は、凹面部(28)と平坦な表面部(32)と凸面部(30)とを備え、平坦な表面部(32)は、凹面部(28)と凸面部(30)の間に配置されている、請求項1に記載のパワースカイビング工具。
【請求項7】
凹面部(28)は隣接する2つの歯(18)の一方のすくい面(20)に隣接し、凸面部(30)は隣接する2つの歯(18)の他方のすくい面(20)に隣接する、請求項
6に記載のパワースカイビング工具。
【請求項8】
平坦な表面部(32)は、2つの隣接する歯(18)のすくい面(20)の1つに直接隣接する、請求項
4又は5に記載のパワースカイビング工具。
【請求項9】
移行面(22)は、凹面部(28)及び凸面部(30)を備え、
凹面部(28)は隣接する2つの歯(18)の一方のすくい面(20)に隣接し、凸面部(30)は隣接する2つの歯(18)の他方のすくい面(20)に隣接する、請求項1に記載のパワースカイビング工具。
【請求項10】
凹面部(28)は凸面部(30)に直接結合する、請求項
9に記載のパワースカイビング工具。
【請求項11】
各々の歯(18)は、鋭角で半径方向外向きに先細になっている、請求項1乃至
10の何れかに記載のパワースカイビング工具。
【請求項12】
各歯(18)は円周方向に配置された逃げ面(26)を含み、該逃げ面(26)は長手方向軸(14)に対して斜めを向いている、請求項1乃至
11の何れかに記載のパワースカイビング工具。
【請求項13】
切削ヘッド(16)は、シャンク(12)に取り外し可能に取り付けられる、請求項1乃至
12の何れかに記載のパワースカイビング工具。
【請求項14】
シャンク(12)は鋼で作られ、切削ヘッド(16)の歯(18)は炭化物で作られている、請求項1乃至
13の何れかに記載のパワースカイビング工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具の長手方向軸に沿って延びるシャンクと、シャンクの前端に配置された切削ヘッドとを有するパワースカイビング工具に関し、切断ヘッドは円周方向に配置された複数の歯を含む。
【背景技術】
【0002】
パワースカイビングは、歯車装置を製造する方法であり、例えば歯車の製造に使用される。このようなパワースカイビングは100年以上前から知られている。この方法の最初の特許出願は、1910年にドイツ243514番号で出願された。その後数年間、パワースカイビングは長い間あまり注目されていなかった。しかし、過去10年間、ワークピースを機械加工するこの非常に古い製造方法が再び採用され、現在では様々な歯車の製造に広く使用されている。この主題に関する比較的最近の特許出願は、例えば国際公開2012/152659号である。
【0003】
パワースカイビングは、ホブ切り又は歯車成形の代替として使用される。ホブ切り及び歯車成形と比較して、機械加工時間の大幅な短縮を可能にする。更に非常に高い加工品質を達成することができる。このようにパワースカイビングは非常に生産性が高く、同時に高精度な歯車の製造を可能にする。
【0004】
パワースカイビングにおいて、ワークピースと工具は同じ回転方向に、調整された(同期された)速度比で駆動される。工具は、ワークピースに対して、通常、交差軸角度と呼ばれる所定の角度に設定される。交差軸角度は、パワースカイビング工具の回転軸と加工されるワークピースの回転軸との間の角度である。送り動作を生成するために、工具やワークピースも並進移動する。従って、パワースカイビング工具とワークピースの間に生じる相対運動は、一種のらせん運動であり、回転成分(回転成分)とスラスト成分(並進成分)がある。ワークピースは、パワースカイビング工具の切削ヘッドの円周上に配置された歯で加工される。
【0005】
切削ヘッド又はその上の少なくとも歯は、好ましくは炭化物で作られているが、パワースカイビング工具のシャンクは、一般的には鋼で作られている。パワースカイビング工具のサイズ及び/又は製造される歯車装置のサイズに応じて、工具を完全に超硬で作ることもできる。パワースカイビング工具の切削ヘッドに、歯を形成する個々の切削インサートを装備することも可能である。さらに、歯を形成する炭化物の刃先は、交換可能なヘッドにろう付けされてもよい。
【0006】
すくい面は通常、歯の上側に配置され、すくい面はパワースカイビング工具のシャンクとは反対側の切削ヘッドの前端を形成する。一般的に、すくい面は平面として構成される。すくい面は一般的には、パワースカイビング工具の長手方向軸に対して傾斜している、即ち、長手方向軸に対して垂直ではない。従って、すくい面は異なる平面にある。歯自体は、工具の長手方向軸から星形に離れる方向に向いており、歯は必ずしも半径方向に正確に延びる必要はない。
【0007】
歯のすくい面は一般的には、研削砥石を用いて製造される。これにより、1つの歯のすくい面と隣接する歯のすくい面との間に段差が生じ、該段差は、一種の階段状の段差のように見える。
図8は、従来技術の一般的な例による切削ヘッドの一部を示す。
図8の図示は切削ヘッドを半径方向から平面視した図である。
図8では、3つの隣接するすくい面に夫々符号20が付されている。2つの隣接するすくい面20の間の研削中に生じる移行面は、
図8に符号22で示されている。この移行面22は、通常、従来技術から知られている工具の隣接するすくい面20に対して直角に方向付けられる平面状の逃げ面24を含む。研削砥石がその前側を用いてすくい面20とその周辺面を用いて逃げ面24を機械加工するので、この直交する位置合わせは研削工程中に自動的に生じる。
【0008】
内歯車を製造する場合、従来、ワークピースは最初に内部旋削によって機械加工される。それにより、ワークピースは、後で製造される歯車の歯の歯たけ(tooth height)によって決定される内径への内部旋削によって機械加工される。次に、歯面と歯根を備えた内歯車がパワースカイビング工程によって製造される。この機械加工工程では、歯先の表面は内部旋削によって生成されるが、歯面と歯根の表面はパワースカイビングによって生成される。歯先は、内歯車の場合に歯車の最小内径を形成する歯車の部品である。一方、歯根は、内歯車の最大内径を形成する。外歯車の場合、これはもちろん逆である。どちらの場合も、歯面は歯先と歯根の間にある。
【0009】
最後に述べた機械加工手順とは対照的に、歯車の歯先をまたパワースカイビングによって製造することがしばしば望まれるので、内部旋削は必要ない。しかしながら、
図8を参照して上述した隣接するすくい面の間の階段状の移行面はそのような場合、この移行面によって、特に隣接するすくい面20に対して直角に位置合わせされている逃げ面24によって、歯車の歯先に干渉する輪郭が形成されるため、問題が提起される。この干渉する輪郭は通常、わずかなオフセットとして見える。このようなオフセットは、歯車の品質に影響を与える可能性があるため望ましくない。従って通常、そのような場合、歯車の歯先を再加工する必要がある。これは時間とコストがかかる。
【0010】
言うまでもなく、同じ問題が外歯車の製造においても発生する。
【0011】
従って、本発明の目的は、歯車の歯先での望ましくない干渉輪郭の形成を回避することができる、改良された切削ヘッド形状を有するパワースカイビング工具を提供することである
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、上述のタイプのパワースカイビング工具によって解決され、パワースカイビング工具の各歯は、シャンクとは反対側の切削ヘッドの前端に平面状のすくい面を備えており、すくい面は長手方向軸に対して90°以外の角度で傾斜し、隣接する2つの歯のすくい面の間に移行面が配置され、移行面は切削ヘッドの前端部にも配置され、隣接する2つの歯のすくい面に直接隣接し、移行面の全ての点における表面法線は、2つの隣接する歯のすくい面と0°より大きい角度を形成する。
【0013】
従来技術とは対照的に、切削ヘッドの前端部のすくい面の間に形成された移行面は、隣接するすくい面に対して直角ではなく、斜めに延びている。移行面に適用される接線は、隣接するすくい面に直交していないが、該すくい面に対して鋭角であることが望ましい。これは、移行面の任意の点に適用され、移行面の横方向の境界(縁)は、移行面に属するものとしてカウントされない。
【0014】
好ましい改良例によれば、移行面の全ての点の全ての表面法線は、2つの隣接する歯のすくい面と10°を超える角度を形成する。これは、すくい面と遷移面の任意の点での接線との間の角度が80°未満の場合に対応する。これは、移行面の全ての点に適用され、移行面の横方向の境界(縁)は、移行面に属するものとしてカウントされない。接線は夫々の点で、この点における移行面の最大曲率の方向に向けられた接線と考えられる、即ち、この点での他の接線と比較して、隣接するすくい面に対して考えられる各点で最大角度を持つ接線と考えられる。
【0015】
表面法線の方向(従って、接線の方向も)は、通常は移行面の曲率の故に、点から点へと変化することは明らかである。それにもかかわらず、本発明によれば、移行面の全ての点の表面法線は、2つの隣接する歯のすくい面と0°を超える(0°を含まない)角度を成す。
【0016】
すくい面の間に位置する移行面のこのタイプの位置合わせにより、歯車の歯先での干渉輪郭の形成を、事前の内部旋削またはその後の仕上げを必要とすることなく回避することができ、これは従来技術のパワースカイビング工具の場合と同様である。
【0017】
隣接するすくい面に対する移行面の傾斜した(非直交)配置により、従来技術のパワースカイビング工具の例として、
図8に示すように、「ハード」な階段形状のオフセットはない。これは、本発明のパワースカイビング工具が歯車の歯先を機械加工するために直接使用されてもよいことを意味する。従って、上記の目的は完全に解決される。
【0018】
本発明の改良例によれば、移行面は、少なくとも1つの凹面部を含む。この凹面部は、2つの隣接するすくい面の1つに隣接するのが好ましい。
【0019】
ここでは、「凹面」という用語は、内側に湾曲した湾曲面を指すために使用される。凹面部は、通常、切削ヘッドの歯を加工するために使用される砥石の形状によって決定されるため、任意の曲率半径の凹面部が可能である。従って、半径が僅か、例えば100分の1の曲面部は、凹面部と見なされ、鋭い縁と見なされるべきではない。
【0020】
更なる改良例によれば、移行面は凸面部を含む。この凸面部は2つの隣接するすくい面の1つに隣接するのが好ましい。
【0021】
ここでは「凸面」という用語は、外側に湾曲した湾曲面を指すために使用される。凹面部に関して上記したのと同じ理由で、曲率半径が僅か100分の1の凸状の曲面部は、凸状として理解されるべきであり、鋭い縁と理解されるべきではない。
【0022】
他の改良例に従って、移行面は凹面部と凸面部を含み、凹面部は2つのすくい面の一方に隣接し、凸面部は2つの隣接するすくい面の他方に隣接する。
【0023】
更なる改良例によれば、移行面は平坦な表面部を含む。この平坦な表面部は、隣接する2つのすくい面の間の中央に位置する移行面の中央領域を形成するのが好ましい。しかしながら、平坦な表面部はまた、2つの隣接するすくい面の少なくとも1つに隣接してもよい。
【0024】
移行面の向きに関して冒頭に述べた定義故に、向きは移行面の前述の凹面部、凸面部、及び/又は平坦な表面部にも適用され、これらの表面部の全ての点の表面法線が、2つの隣接する歯のすくい面に対して、0°より大きい角度を、好ましくは10°より大きい角度を形成する。
【0025】
本発明の更なる改良例によれば、平坦な表面部は、凹面部に直接隣接している。
【0026】
更なる改良例によれば、平坦な表面部は凹面部と凸面部の間に配置される。この場合、平坦な表面部は、隣接する両方のすくい面から同じ距離を有する移行面の表面部を形成するのが好ましい。凹面部は2つの隣接するすくい面の一方に隣接するのが好ましい。凸面部は、2つの隣接するすくい面の他方に隣接するのが好ましい。
【0027】
代替の改良例によれば、平坦な表面部はすくい面の1つに直接隣接している。そのような場合、鋭角が平坦な表面部と2つの隣接するすくい面の1つとの間に形成される。
【0028】
更なる改良例によれば、移行面は、凹面部と凸面部を含み、凹面部は凸面部に直接結合する。
【0029】
上記の全ての改良例によれば、移行面は接線の勾配が連続的に変化する連続面として構成されているのが好ましい。
【0030】
切削ヘッドの歯は、鋭角で半径方向外向きに延びるのが好ましい。歯は、長手方向軸からの半径方向の距離が大きくなるにつれて狭くなる。
【0031】
円周側では、各歯は、長手方向軸に対して斜めに配向された逃げ面を含むのが好ましい。従って、歯の逃げ面は、長手方向軸に対して非平行に延びることが好ましい。
【0032】
パワースカイビング工具の更なる改良例によれば、切削ヘッドはシャンクに取り外し可能に取り付けられている。この場合、切削ヘッド全体を摩耗時に交換し、新しいものと交換することができる。切削ヘッドとシャンクの間のインターフェースとして、様々なインターフェースを実現することができる。インターフェースはねじ接続を含むのが好ましい。
【0033】
他の改良例によれば、切削ヘッドの歯は切削インサートとして構成されており、切削ヘッドに取り外し可能に取り付けられている。この場合、歯は個別に交換され得る。
【0034】
上述の特徴及びこれから説明する特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、夫々の場合に示される組み合わせだけでなく、他の組み合わせ又はそれら自体でも使用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明によるパワースカイビング工具の実施形態の斜視図である。
【
図2】
図1に示すパワースカイビング工具の側面図である。
【
図3】
図2に示すパワースカイビング工具を上から見た図である。
【
図4】
図2に示すパワースカイビング工具を下から見た図である。
【
図5】本発明によるパワースカイビング工具の切削ヘッドの詳細図を示し、第1の実施形態を半径方向から平面視している。
【
図6】本発明によるパワースカイビング工具の切削ヘッドの詳細図を示し、第2の実施形態を半径方向から平面視している。
【
図7】本発明によるパワースカイビング工具の切削ヘッドの詳細図を示し、第3の実施形態を半径方向から平面視している。
【
図8】従来技術によるパワースカイビング工具の切削ヘッドの詳細図を示し、半径方向から平面視している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明によるパワースカイビング工具の実施形態の斜視図を示す。パワースカイビング工具はここでは全体的に符号10で示される。
【0037】
本発明によるパワースカイビング工具10は長手方向軸に沿って延びるシャンク12を備える。示された実施形態において、シャンク12は円筒形である。しかしながら、原則として、シャンクは例えば直方体である異なる形状を有することもできる。
【0038】
更に、パワースカイビング工具10はシャンク12の前端部に配置された切削ヘッド16を備える。複数の歯18が切削ヘッド16上に配置されて、切削ヘッド16の円周に亘って分布されている。
【0039】
これらの各歯18はシャンク12の反対側を向く歯18の前端にすくい面20を備える。歯18は、鋭角で半径方向外向きに先細になっている。歯18の夫々は、各歯18は円周方向に配置された逃げ面26を含み、該逃げ面は各歯18の半径方向に最も外側の部分、従って切削ヘッド16の半径方向に最も外側の部分をも表す。ここに示された実施形態にて、逃げ面26は、パワースカイビング工具10又はシャンク12の長手方向軸14に対して斜めを向いている。
【0040】
各歯18のすくい面20は何れの場合も、長手方向軸14に対して90°以外の角度(直交ではない)で傾斜している。全ての歯18のすくい面20は、長手方向軸14に対して同じ傾斜を有するのが好ましい。しかしながら、すくい面20は、それらの星形の配置のために幾何学的な観点から互いに平行ではないことは明らかである。しかしながら、2つの隣接する歯18のすくい面20は、互いにほぼ平行に延びる。
【0041】
図5乃至
図7の各々は、半径方向から平面視した切削ヘッド16の前端部の詳細を示す。
図5乃至
図7に示す3つの異なる実施形態によれば、歯18の前端は僅かに異なる形状を有する。しかしながら、3つのここで示された実施形態は、移行面22が2つの隣接する歯18のすくい面20の間に配置されるという共通点を有する。この移行面22は隣接するすくい面20に対して傾斜している。
【0042】
以下により詳細に示すように、移行面22は、実施形態に応じて異なる形状である。ここで示された実施形態に共通するのは、移行面22の接線は、図では点線で示され、平坦な面内に位置する隣接するすくい面20に対して、90°未満、好ましくは80°未満の角度αで配置される。この角度αは移行面22の全ての点にて90°未満であるのが好ましく、特に80°未満であるのが好ましい。従って、夫々移行面22に対して直角に配向された表面法線23は、隣接するすくい面と0°より大きい角度β、特に好ましくは10°(10°を含む)より大きい角度βを形成する。
図5乃至
図7にて、接線と表面法線23は夫々、移行面22の他の点と比較して最大の接線勾配を持つ点で描画される。角度βは従って、0°<β≦90°の範囲、好ましくは10°≦β≦90°の範囲で、移行面22上の点に依存する。
【0043】
図5に示す第1の実施形態にて、移行面22は凹面部28、凸面部30及び平坦な表面部32を含む。移行面22の凹面部28は、2つの隣接するすくい面20の一方の一端部に直接隣接している。移行面22の凸面部30は、2つの隣接するすくい面20の他方の一端に直接隣接している。平坦な表面部32は、凹面部28と凸面部30との間に配置されている。
【0044】
移行面22は連続的に変化する曲率を有するのが好ましい。従って、凹面部28と平坦な表面部32との間の移行部は、平坦な表面部32と凸面部30との間の移行部と同程度に連続的である。移行部は連続的であるだけでなく、接線方向に互いに結合することが好ましい。
図5に示す実施形態では、すくい面20はまた連続的かつ接線的に凹面部28または凸面部30に結合するのが好ましい。
【0045】
図6に示す実施形態は、平坦な表面部32と隣接するすくい面20との間の凸面部30の代わりに縁(丸みを帯びていない)が提供される点で
図5に示す実施形態と異なる。ここで、移行面22の平坦な表面部32は、2つの隣接するすくい面20の一方に直接隣接している。
【0046】
図7に示す実施形態にて、移行面22は平坦な表面部32を備えない。その代わり、2つの隣接するすくい面20の1つに隣接する凹面部28は、2つの隣接するすくい面20のもう1つに隣接する凸面部30に直接結合する。凹面部28と凸面部30との間の移行部は、連続的な接線移行であるのが好ましい。
図7にて、移行面22とすくい面20との間の前述の角度を示す破線は、凹面部28と凸面部30との間の変向点または変向線36における接線として設けられる。
図7に示す実施形態にて、この点または線(3D)は、移行面22での接線の最大傾斜点を表す。
【0047】
移行面22への接線によって上記の角度αを記述する代わりに、対応する反対側の角度は、夫々の点で移行面22に垂直に向けられた表面法線によっても記述され得ることは言うまでもない。上記のα<90°またはα<80°の条件に従って、これは移行面22の全ての点にて(移行面22の縁を除き)、表面法線23が2つの隣接する歯18のすくい面20と0°より大きい角度、好ましくは10°より大きな角度(10°を含む)を囲むことを意味する。隣接するすくい面20に対する移行面22のこの傾斜は、製造される歯車の歯先にて、望ましからぬ干渉輪郭(interfering contour)が形成される問題を効果的に防止する。
【0048】
図5乃至
図7に示す移行面22の個々の凹面部28、凸面部30、表面部32の配置の組み合わせ及び置換から生じるさらなる実施形態が、本発明の範囲を離れることなく考えられるのは言うまでもない。