IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティドの特許一覧

特許7071537生物医薬品の貯蔵及び輸送のための可撓性容器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】生物医薬品の貯蔵及び輸送のための可撓性容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/50 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
B65D85/50
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020559451
(86)(22)【出願日】2018-04-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2018029119
(87)【国際公開番号】W WO2019209268
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ アルフォード
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド キャンベル
(72)【発明者】
【氏名】シャノン デイベル
(72)【発明者】
【氏名】アシュワス ニットヤーナンダン
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-524575(JP,A)
【文献】特開平08-275987(JP,A)
【文献】特開2000-142716(JP,A)
【文献】特表2015-519929(JP,A)
【文献】特表2001-513062(JP,A)
【文献】特表2007-516137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 30/00-33/38
A61J 1/00- 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容積を有し、一端にアパーチャを備えた圧潰性ポーチ、
ボディとスナウトとを含む非圧潰性ポート集成体であって、該ボディが該ボディを貫通する少なくとも2つのコンジットを含む非圧潰性ポート集成体、
該ボディが該圧潰性ポーチから離隔し、かつ、該スナウトが該ボディから該アパーチャを通って該内容積内へ延在する状態で該非圧潰性ポート集成体を保持するように、該非圧潰性ポート集成体と該アパーチャを含む該圧潰性ポーチの該端部とにオーバーラップしているポート補強積層体、および
該ポート補強積層体と該非圧潰性ポート集成体の一部とによって形成された少なくとも1つの周囲キャビティであって、該圧潰性ポーチから少なくとも1つのコンジットへ延在していることにより、該少なくとも1つのコンジットが該周囲キャビティを通って該内容積と流体連通している少なくとも1つの周囲キャビティ
を含んでなる保管バッグ。
【請求項2】
前記非圧潰性ポート集成体の前記ボディが、充填コンジットと抽出コンジットとを含む、請求項1に記載の保管バッグ。
【請求項3】
前記非圧潰性ポート集成体の前記ボディがサンプリングコンジットを含む、請求項1又は2に記載の保管バッグ。
【請求項4】
前記少なくとも2つのコンジットのうちの2つ又は3つ以上が、前記少なくとも1つの周囲キャビティ及び前記アパーチャを通って前記内容積と流体連通している、請求項1から3までのいずれか1項に記載の保管バッグ。
【請求項5】
前記少なくとも2つのコンジットのうちの少なくとも1つが、前記スナウトを通って前記内容積と流体連通している、請求項1から4までのいずれか1項に記載の保管バッグ。
【請求項6】
前記非圧潰性ポート集成体がさらに、前記非圧潰性ポート集成体に1つ又は2つ以上のチューブを接続するために、前記ポート補強積層体の外側で延びる1つ又は2つ以上のコネクタを含むことにより、各チューブが前記非圧潰性ポート集成体の少なくとも1つのコンジットと流体連通している、請求項1から5までのいずれか1項に記載の保管バッグ。
【請求項7】
前記圧潰性ポーチが、第1ポリマーから形成された内面と、第2ポリマーから形成された外面とを含み、前記第1ポリマーを溶融することなしに前記第2ポリマーを溶融接合するのに十分に高い温度まで前記圧潰性ポーチを加熱し得るように、前記第1及び第2ポリマーの相対融点が定められている、請求項1から6までのいずれか1項に記載の保管バッグ。
【請求項8】
前記第1ポリマーの融点が、前記第2ポリマーの融点よりも少なくとも30℃高い、請求項7に記載の保管バッグ。
【請求項9】
前記第1ポリマーがポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)又はペルフルオロアルコキシ(「PFA」)を含み、そして前記第2ポリマーがフッ素化エチレンプロピレン(「FEP」)、ポリフッ化ビニリデン(「PVDF」)、エチレンテトラフルオロエチレン(「ETFE」)、又はエチレンクロロトリフルオロエチレン(「ECTFE」)を含む、請求項7又は8に記載の保管バッグ。
【請求項10】
前記非圧潰性ポート集成体がFEP、PVDF、ETFE、又はECTFEから形成されている、請求項1から9までのいずれか1項に記載の保管バッグ。
【請求項11】
前記ポート補強積層体が2つの複合層を含み、各層が、第3ポリマーを含む第1面と、第4ポリマーを含む対向する第2面とを含み、そして前記2つの層が、各層の前記第2面が前記非圧潰性ポート集成体の少なくとも一部及び前記圧潰性ポーチの少なくとも一部と接触した状態で、前記非圧潰性ポート集成体及び前記圧潰性ポーチのいずれの側にも位置決めされており、前記第3ポリマーを溶融することなしに前記第4ポリマーを溶融接合するのに十分に高い温度まで前記複合層を加熱し得るように、前記第3及び第4ポリマーの相対融点が定められている、請求項1から10までのいずれか1項に記載の保管バッグ。
【請求項12】
前記第3ポリマーの融点が、前記第4ポリマーの融点よりも少なくとも30℃高い、請求項11に記載の保管バッグ。
【請求項13】
前記第4ポリマーが前記2つの複合層を前記圧潰性ポーチの少なくとも一部に、前記非圧潰性ポート集成体の少なくとも一部に、そして互いに接合している、請求項11又は12に記載の保管バッグ。
【請求項14】
前記第3ポリマーがPTFE又はPFAを含み、前記第4ポリマーがFEP、PVDF、ETFE、又はECTFEを含む、請求項11から13までのいずれか1項に記載の保管バッグ。
【請求項15】
前記ポート補強積層体によってオーバーラップされた前記圧潰性ポーチの部分が継ぎ目を含み、そして前記ポート補強積層体が前記継ぎ目を覆っている、請求項11から14までのいずれか1項に記載の保管バッグ。
【請求項16】
内容積を有し、一端にアパーチャを備えた圧潰性ポーチを用意し、
ボディとスナウトとを含む非圧潰性ポート集成体であって、該ボディが該ボディを貫通する少なくとも2つのコンジットを含む非圧潰性ポート集成体を用意し、
該アパーチャを含む該圧潰性ポーチの該端部を、ポート補強積層体の2つの複合層の間に配置し、該2つの複合層はそれぞれ、第5ポリマーを含む第1面と第6ポリマーを含む第2面とを含み、該圧潰性ポーチの該端部が各複合層の該第2面と接触し、そして該第5ポリマーを溶融することなしに該第6ポリマーを溶融接合するのに十分に高い温度まで該複合層を加熱し得るように、該第5及び第6ポリマーの相対融点が定められ、
該第5ポリマーの融点と該第6ポリマーの融点との間の温度まで該2つの複合層を加熱することによって、該圧潰性ポーチの該部分に該ポート補強積層体を溶融接合し、
非圧潰性ポート集成体を該2つの複合層の間に配置し、該非圧潰性ポート集成体の少なくとも一部が各複合層の該第2層と接触し、そして
該第5ポリマーの融点と該第6ポリマーの融点との間の温度まで該2つの複合層を加熱することによって、該非圧潰性ポート集成体の少なくとも一部に該ポート補強積層体の該2つの複合層を溶融接合する
ことを含んでなる、保管バッグを形成する方法であって、
前記非圧潰性ポート集成体の少なくとも一部に前記2つの複合層を溶融接合することによって、前記圧潰性ポーチから少なくとも1つのコンジットへ延びる少なくとも1つの周囲キャビティを形成し、その結果前記少なくとも1つのコンジットが前記周囲キャビティを通って前記内容積と流体連通することになる、方法。
【請求項17】
前記圧潰性ポーチの前記端部を前記2つの複合層の間に配置することと、前記非圧潰性ポート集成体の前記少なくとも一部を前記2つの複合層の間に配置することとが両方とも、前記ポート補強積層体を前記圧潰性ポーチの前記部分に、そして前記非圧潰性ポート集成体の前記部分に溶融結合する前に実施され、前記ポート補強積層体を前記圧潰性ポーチの前記部分に、そして前記非圧潰性ポート集成体の前記部分に溶融結合することが単一の工程で実施される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記2つの複合層を前記圧潰性ポーチに溶融接合し、そして前記2つの複合層を前記非圧潰性ポート集成体に溶融接合することによって、前記ボディが前記圧潰性ポーチから離隔し且つ前記スナウトが前記ボディから前記アパーチャを通って前記内容積内へ延びる状態で、前記非圧潰性ポート集成体を固定する、請求項16又は17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保管バッグ、具体的には生物学的生成物を凍結、解凍、保管、及び輸送するための保管バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
材料、例えば生物学的材料の輸送、保管、凍結、及び解凍のために、使い捨て可撓性容器が使用される。いくつかのこのような容器はプラスチックフィルムから形成された可撓性バッグである。バッグは、保管のために、具体的には凍結保存用途において使用することができる。バッグは、交差汚染のリスク、及び清浄化検証の必要を軽減するために、使い捨てであるのが典型的である。
【0003】
生物学的用途において、バルク薬剤物質が可撓性保管バッグ内で保管され輸送される。バッグの内容物を凍結することにより、保管時間にわたって安定性を維持することができる。現在のバッグのある特定の欠点は、凍結温度(典型的には-80℃であるが、しかし-160℃もの低い温度の場合もある)で、そして昇温中及びバッグの使用中に耐久性が乏しいことを含む。例えば、既存のバッグは、凍結中又は衝突時に高い応力点となり得る縁部の周りで縫い合わされている。凍結中、バッグの製造材料は脆弱になり、応力を被ると欠陥が生じることがある。例えば、凍結中に、バッグ内部の流体が膨張し、そして流体が凍結中にバッグの1つの区域内に捕捉されるようになると、捕捉された流体は、その区域の容量を超えて膨張し、バッグを破裂させることがある。凍結保存バッグのポートの周りでこのような破裂が発生することは、従来型バッグの問題点であった。既存のバッグはまた、具体的にはバッグの端部及び角隅に漏れの問題を有する傾向がある。既存のバッグの他の欠点は、既存の保管バッグ内の薬剤成分と相互作用するプラスチック抽出可能物のリスクを含む。
【0004】
従って、耐久性が改善され、漏れが低減され、そしてプラスチック抽出可能物と、含有された薬剤成分との相互作用が低減された、具体的には極低温用途のための保管バッグが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施態様では、開示は、内容積及び1つの端部のアパーチャ(開口)を含む圧潰性ポーチと、非圧潰性ポート集成体と、前記ポート集成体と前記アパーチャを含む前記圧潰性ポーチの前記端部とにオーバーラップする、ポート補強積層体と、少なくとも1つの周囲キャビティとを含む保管バッグに関する。非圧潰性ポート集成体は、ポーチに対して横方向に細長く延びていてよいボディ(本体)と、ポーチに対して長手方向に細長く延びていてよいスナウトとを含み、そしてボディは、ボディを貫通する少なくとも2つのコンジット(導管)を含む。前記ポート補強積層体は、前記ボディが前記圧潰性ポーチから離隔し、且つ前記スナウトが前記ボディから前記アパーチャを通って前記内容積内へ延びる状態で前記ポート集成体を保持する。前記周囲キャビティは、前記ポート補強積層体と前記ポート集成体の一部とによって形成されており、そして前記圧潰性ポーチの縁部から少なくとも1つのコンジットへ延びていることにより、前記コンジットが前記周囲キャビティを通って前記内容積と流体連通している。
【0006】
いくつかの態様では、非圧潰性ポート集成体は複数のコンジット、任意には2つのコンジットを含み、第1コンジットは充填コンジットであり、第2コンジットは抽出コンジットである。ある特定の実施例では、非圧潰性ポート集成体は第3コンジットを含み、第3コンジットはサンプリングコンジットであってよい。いくつかの実施態様では、充填コンジット、抽出コンジット、サンプリングコンジット、又はこれらの任意の組み合わせは非圧潰性スナウトを通って延びている。種々の実施例では、少なくとも1つのコンジットが、非圧潰性スナウトを通って内容積と流体連通している。ある特定の実施態様では、コンジットのうちの1つ又は2つ以上、例えば2つ又は3つ以上が、周囲キャビティを通って内容積と流体連通している。いくつかの実施態様では、ポート集成体はさらに、ポート集成体に1つ又は2つ以上のチューブを接続するために、ポート補強積層体の外側で延びる1つ又は2つ以上のコネクタを含むことにより、各チューブがポート集成体の少なくとも1つのコンジットと流体連通している。
【0007】
いくつかの態様では、圧潰性ポーチは、第1ポリマーから形成された内面と、第2ポリマーから形成された外面とを含み、第1ポリマーを溶融することなしに前記第2ポリマーを溶融接合するのに十分に高い温度まで圧潰性ポーチを加熱し得るように、第1及び第2ポリマーの相対融点が定められている。いくつかの態様では、第1ポリマーの融点は、第2ポリマーの融点よりも少なくとも30℃高い。種々の態様では、圧潰性ポーチは、第1ポリマーから形成された層と第2ポリマーから形成された層とを有する多層複合材料から形成されている。いくつかの実施例では、第1ポリマーはフルオロポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)又はペルフルオロアルコキシ(「PFA」)である。他の実施例では、第1ポリマーは非フルオロポリマー、例えばポリイミド(例えばKapton(登録商標))であってもよい。いくつかの実施例では、第2ポリマーはフルオロポリマー、例えばフッ素化エチレンプロピレン(「FEP」)、ポリフッ化ビニリデン(「PVDF」)、エチレンテトラフルオロエチレン(「ETFE」)、又はエチレンクロロトリフルオロエチレン(「ECTFE」)である。他の実施例では、第2ポリマーは非フルオロポリマーであってもよい。任意には、第1ポリマー及び第2ポリマーは両方ともフルオロポリマーである(例えば第1ポリマーはPTFEであり、第2ポリマーはFEPである)。いくつかの実施例では、非圧潰性ポート集成体はフルオロポリマー、例えばFEP、PVDF、ETFE、又はECTFEから形成されている。他の実施例では、非圧潰性ポート集成体は非フルオロポリマーから形成されていてもよい。
【0008】
ある特定の実施例では、ポート補強積層体が2つの複合層を含み、各層が、第3ポリマーを含む第1面と、第4ポリマーを含む対向する第2面とを含み、そして2つの複合層が、各複合層の第2面が非圧潰性ポート集成体の少なくとも一部及び圧潰性ポーチの少なくとも一部と接触した状態で、ポート集成体及び圧潰性ポーチのいずれの側にも位置決めされている。第3ポリマーを溶融することなしに第4ポリマーを溶融接合するのに十分に高い温度まで複合層を加熱し得るように、第3及び第4ポリマーの相対融点が定められている。いくつかの態様では、第3ポリマーの融点は、第4ポリマーの融点よりも少なくとも30℃高い。任意には、第3ポリマーはフルオロポリマー、例えばPTFE又はPFAである。あるいは、第3ポリマーは非フルオロポリマー、例えばポリイミド(例えばKapton(登録商標))であってもよい。任意には、第4ポリマーはフルオロポリマー、例えばFEP、PVDF、ETFE、又はECTFEである。他の実施例では、第4ポリマーは非フルオロポリマーであってもよい。任意には、第3ポリマー及び第4ポリマーは両方ともフルオロポリマーである(例えば第3ポリマーはPTFEであり、第4ポリマーはFEPである)。いくつかの実施態様では、ポート補強積層体の2つの層は、第4ポリマーがポート集成体及び圧潰性ポーチと接触した状態で、ポート集成体及び圧潰性ポーチの端部のいずれの側にも位置決めされている。第4ポリマーは2つの複合層を圧潰性ポーチの外面に、ポート集成体に、且つ/又は互いに接合していてよい。いくつかの実施例では、ポート補強積層体によってオーバーラップされた圧潰性ポーチの端部は継ぎ目を含み、そしてポート補強積層体は継ぎ目を覆っている。
【0009】
さらに、本明細書中に開示された保管バッグを形成する方法であって、前記方法が、内容積及び1つの端部のアパーチャを含む圧潰性ポーチを用意し、ボディとスナウトとを含む非圧潰性ポート集成体を用意し、前記ボディが、前記ボディを貫通する少なくとも2つのコンジットを含み、前記アパーチャを含む前記圧潰性ポーチの前記端部を、補強積層体の2つの複合層の間に配置し、前記2つの複合層はそれぞれ、第5ポリマーを含む第1面と第6ポリマーを含む第2面とを含み、前記圧潰性ポーチの前記端部が各複合層の前記第2面と接触し、そして前記第5ポリマーを溶融することなしに前記第6ポリマーを溶融接合するのに十分に高い温度まで前記複合層を加熱し得るように、前記第5及び第6ポリマーの相対融点が定められ、前記第5ポリマーの融点と前記第6ポリマーの融点との間の温度まで前記2つの複合層を加熱することによって、前記圧潰性ポーチの前記部分に前記ポート補強積層体を溶融接合し、前記ポート集成体を前記2つの複合層の間に配置し、前記ポート集成体の少なくとも一部が各複合層の前記第2層と接触し、そして前記第5ポリマーの融点と前記第6ポリマーの融点との間の温度まで前記2つの複合層を加熱することによって、前記ポート集成体の前記部分に前記ポート補強積層体を溶融接合することを含む、保管バッグを形成する方法も提供される。いくつかの実施態様では、前記圧潰性ポーチの前記端部を前記2つの複合層の間に配置することと、前記ポート集成体の前記部分を前記2つの複合層の間に配置することとが両方とも、前記ポート補強積層体を前記圧潰性ポーチの前記部分に、そして前記ポート集成体の前記部分に溶融結合する前に実施され、前記ポート補強積層体を前記圧潰性ポーチの前記部分に、そして前記ポート集成体の前記部分に溶融結合することが単一の工程として実施される。
【0010】
ある特定の態様では、前記ポート集成体の前記部分に前記2つの複合層を溶融接合することによって、前記圧潰性ポーチから少なくとも1つのコンジットへ延びる少なくとも1つの周囲キャビティを形成し、これにより前記少なくとも1つのコンジットが前記周囲キャビティを通って前記内容積と流体連通している。任意には、前記2つの複合層を前記圧潰性ポーチに溶融接合し、そして前記2つの複合層を前記ポート集成体の前記部分に溶融接合することによって、前記ボディが前記圧潰性ポーチから離隔し且つ前記スナウトが前記ボディから前記アパーチャを通って前記内容積内へ延びる状態で、前記ポート集成体を固定する。
【0011】
さらに、第1、第2、及び第3複合シートを含む保管バッグであって、前記第1複合シートが、内容積を取り囲む圧潰性ポーチの形状を成しており、前記第1複合シートが、前記圧潰性ポーチを形成するために継ぎ目でオーバーラップ又は当接する複数の縁部を含む。前記第1複合シートによって形成された前記圧潰性ポーチが、ほぼ平面状の上面、ほぼ平面状の底面、対向する2つの側部、及び第1及び第2の端部であって、前記側部と端部とが前記圧潰性ポーチの周囲を形成する、ほぼ平面状の上面、ほぼ平面状の底面、2つの対向する側部、及び第1及び第2の端部と、前記上面又は前記底面上の当該ラップシームが、前記第1端部に隣接する地点から前記第2端部に隣接する地点へ延びており、前記ラップシームが、オーバーラップする前記第1複合シートの対向する2つの縁部を含む、ラップシームと、前記第1端部に隣接する、前記上面又は前記底面上の当該第1継ぎ目列が、当接する前記第1複合シートの複数の第1縁部を含む、第1継ぎ目列と、前記第2端部に隣接する、前記上面又は前記底面上の当該第2継ぎ目列が、当接する前記第1複合シートの複数の第2縁部を含む、第2継ぎ目列と、を含む。前記第2複合シートが、第1ラップシーム列を形成するために、前記第1継ぎ目列を横切って配置されており、前記第3複合シートが、第2ラップシーム列を形成するために、前記第2継ぎ目列を横切って配置されており、そして前記圧潰性ポーチの前記第1端部が、所定の面積を有する少なくとも1つのアパーチャを含む。いくつかの態様では、前記少なくとも1つのアパーチャの面積が0.11平方インチよりも大きい。いくつかの態様では、前記アパーチャのすべての面積の和が0.55平方インチ未満である。
【0012】
開示をさらに理解するために添付の図面が含まれる。図面は本明細書に組み込まれ本明細書の一部を構成し、実施態様を示し、また記述と一緒に開示の原理を説明するのに役立つ。本明細書中に使用される「開示(disclosure,the disclosure)」、及び「本開示(this disclosure,the present disclosure)」という用語は、本特許出願及び下記請求項の対象全てを幅広く意味するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A図1Aは、いくつかの実施態様に基づく保管バッグを示す部分正面図である。
図1B図1Bは、図1Aの1B-1B線に沿って示す断面図である。
図1C図1Cは、図1Aの1C-1C線に沿って示す断面図である。
図1D図1Dは、別の態様を図1Aの1C-1C線に沿って示す断面図である。
図2図2は、いくつかの実施態様に基づく保管バッグを示す上面図である。
図3図3は、いくつかの実施態様に基づく保管バッグを示す上面図である。
図4図4は、いくつかの実施態様に基づく保管バッグの圧潰性ポーチを形成するために使用される平らな複合シートを示す上面図である。
図5図5は、図4の平らな複合シートから形成され、いくつかの実施態様に基づく保管バッグの圧潰性ポーチを形成するために使用される複合チューブを示す斜視図である。
図6図6は、図5の複合チューブを、平らにされた形態で示す斜視図である。
図7A図7Aは、いくつかの実施態様に基づく補強積層体を示す斜視図である。
図7B図7Bは、図5~6の複合チューブと図7Aの補強積層体とから形成された、部分的に集成された保管バッグを示す上面図である。
図8A図8Aは、いくつかの実施態様に基づくポート補強積層体を示す斜視図である。
図8B図8Bは、図5~6の複合チューブと図7Aの補強積層体と図8Aのポート補強積層体とから形成された、部分的に集成された保管バッグを示す上面図である。
図8C図8Cは、模範的実施態様に基づく保管バッグを示す上面図である。
図9A図9Aは、図8Cの保管バッグを、補強積層体を省き、保管バッグが空の状態で示す部分斜視図である。
図9B図9Bは、図9Aの保管バッグを、保管バッグが流体を含有した状態で示す部分斜視図である。
図10A図10Aは、従来技術の保管バッグを、保管バッグが空の状態で示す部分斜視図である。
図10B図10Bは、図10Aの従来技術の保管バッグを、保管バッグが流体を含有した状態で示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
当業者には容易に明らかなように、所期機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって、本開示の種々の態様を実現することができる。さらに念のために述べるならば、本明細書中で参照される添付の図面は必ずしも原寸に比例しているわけではなく、本開示の種々の態様を示すために誇張されることがあり、それに関しては、図面は制限的なものとして解釈されるべきではない。
【0015】
本明細書に記載されるのは、保管バッグ、例えば凍結保存バッグ、及びバッグの製造方法である。一般に、バッグは、生物学的材料を凍結、保管、及び搬送するために使用される。例えば、コンジットを通して、生物学的材料を含む流体をバッグへ導入し、次いで、保管及び/又は輸送のために流体を凍結することができる。その後、流体を解凍し、そして同じ又は異なるコンジットを通してバッグから抽出することができる。
【0016】
本明細書中に記載された保管バッグは、バッグのポート区域内の流体の体積を制限することにより、剥離欠陥を引き起こすのに十分な規模の流体膨張を最小化又は防止するので有利である。大まかに言えば、バッグは、流体が含有された内容積と、流体がそれを通って導入され抽出され得る少なくとも1つのアパーチャとを有する圧潰性ポーチを含む。本明細書中に記載された保管バッグの構造は、アパーチャが周知の保管バッグのアパーチャよりも小さくても、効率的な充填及び排出を可能にする。任意には、アパーチャの面積は0.11平方インチよりも大きい。いくつかの態様では、各アパーチャは所定の面積を有しており、アパーチャのすべての面積の和は0.55平方インチ未満である。ポーチに加えて、バッグはポーチの外側に、しかしポーチに流体接続された別個の非圧潰性ポート集成体を含んでいる。いくつかの態様では、非圧潰性ポート集成体は、ポーチに対して横方向に細長く延びていてよいボディと、ポーチに対して長手方向に細長く延びていてよいスナウトとを含み、そしてボディは、ボディを貫通する1つ又は2つ以上のコンジットを含む。圧潰性ポーチ及び非圧潰性ポート集成体は、ポート補強積層体の層間にサンドイッチされている。ポート補強積層体は、ボディがポーチから離隔し、且つスナウトがアパーチャと接触するか又はアパーチャを通ってポーチの前記内容積内へ延びる状態で、ポーチに対するポート集成体の所望の位置を維持する。ポート補強積層体及びポート集成体の一部は、ポート集成体に隣接して、且つ積層体の2つの層の間に周囲キャビティを画定する。いくつかの実施例では、周囲キャビティはポーチからボディ内のコンジットへ延びており、コンジットは周囲キャビティを通って内容積と流体連通している。周囲キャビティの容積が小さい結果として、ポート区域内のシーム上に加えられる応力は小さくなる。なぜならば、小さな体積の流体は凍結時に体積変化がほとんどなく、ひいては凍結サイクル中にシームに加えられる応力の変化も少ないからである。このことは、さもなければ凍結時に捕捉された流体の膨張によって引き起こされるかもしれない、ポートにおける剥離欠陥を最小化又は防止する。さらに、バッグ(ポーチ、ポート集成体、及び積層体を含む)の構造及び材料は、耐久性が改善され、漏れが低減され、そしてプラスチック抽出可能物とバッグ内に保管された薬物成分との相互作用が低減される。
【0017】
本明細書中で使用される「高融点ポリマー」及び「より高融点のポリマー」とは、「低融点ポリマー」及び「より低融点のポリマー」と本明細書中で呼ばれる別のポリマーを溶融接合するのに十分に高い温度まで加熱したときに溶融しないポリマーを意味する。いくつかの実施態様では、「高融点ポリマー」又は「より高融点のポリマー」は、「低融点ポリマー」又は「より低融点のポリマー」の融点よりも約30℃~約80℃高い融点を有するポリマーである。反対に、「低融点ポリマー」又は「より低融点のポリマー」とは、「高融点ポリマー」又は「より高融点のポリマー」が溶融しない温度で溶融接合することができるポリマーを意味する。いくつかの実施態様では、「低融点ポリマー」又は「より低融点のポリマー」は、「高融点ポリマー」又は「より高融点のポリマー」の融点よりも約30℃~約80℃低い融点を有するポリマーである。
【0018】
本明細書中に使用される「継ぎ目」とは、当接する2つの縁部、当接に近い状態にある縁部、又はオーバーラップする縁部を含むインターフェイスを意味する。本明細書中に使用される「ラップシーム(Lap seam)」とは、互いにオーバーラップする縁部を有するシームを意味する。
【0019】
本明細書中に使用される「凍結保存」とは、0℃未満の温度における保管又は保存を意味する。
【0020】
本明細書中に使用される「圧潰性(Collapsible)」とは、材料又は構成部分が、加えられた力のもとで形状を容易に変化させる。例えば平らになることを意味する。本明細書中に使用される「非圧潰性(Non-collapsible)」は、材料が、加えられた力のもとでその形状を維持することを意味する。
【0021】
本明細書中に開示された保管バッグは、内容積及びアパーチャ(すなわち開口)を備えた圧潰性ポーチと、非圧潰性ポート集成体と、ポート補強積層体とを含む。ポート補強積層体は、ポート及びポート集成体にオーバーラップし、これらに接合し、そしてこれらの相対間隔を維持する複合シートである。ポート補強積層体は2つの層を含む。2つの層は圧潰性ポーチの互いに対向する側に、アパーチャの互いに対向する側に、そして非圧潰性ポート集成体の互いに対向する側に位置決めされている。非圧潰性ポート集成体は、ポーチに対して横方向に細長く延びていてよいボディと、ポーチに対して長手方向に細長く延びていてよいスナウトとを含む。いくつかの実施例では、ポート集成体及びポーチの端部は補強積層体の層間に位置しており、この場合、スナウトはアパーチャを通って圧潰性ポーチの内容積内へ延び、ボディはポーチから離隔している。種々の態様では、ボディは少なくとも1つのコンジットを含む。コンジットは、スナウトの一部(例えばスナウトの側部)と補強積層体の層とによって形成された周囲キャビティを通って、ポーチの内容積と流体連通している。いくつかの実施例では、保管バッグは2つ以上の補強積層体、例えばポート集成体を含有して圧潰性ポーチに対するその間隔を維持する1つの補強積層体と、ハンドルを含み得る異なる位置に位置する別の補強積層体とを含んでよい。補強積層体がポート集成体を含有するときには、これを本明細書中ではポート補強積層体と呼ぶ。補強積層体がハンドルを含有するときには、これをポート補強積層体と区別するために本明細書中ではハンドル補強積層体と呼ぶことがある。
【0022】
いくつかの実施態様では、圧潰性ポーチは、極めて低い温度でも耐久性を保ち、抽出物レベルも低いポリマー材料から形成されている。抽出物レベルが低い耐久性ポリマーは複合材料中の第1ポリマーであってよい。複合材料はまた、例えばより低い融点を有することによってバッグの構築を容易にする第2ポリマーを含む。いくつかの態様では、第1ポリマーはポーチの内面を形成し、第2ポリマーはポーチの外面を形成する。任意には、第1ポリマーは圧潰性ポーチの内面全体を形成し、これにより含有された流体は第1ポリマーとのみ接触し、第2ポリマーとは接触しない。例えば、第1ポリマーは圧潰性ポーチの内面上に連続層を形成してよい。第1ポリマーは保管バッグに耐久性を提供し、これにより極度に低い温度でも、保管バッグは落下時に砕けることがない。第2ポリマーは、バッグの構築を容易にするために望まれるいかなる特性をも有することができる。なぜならば、第1ポリマーが、第2ポリマーがポーチの内容物と接触することを防止し、これにより、バッグの内容物と第2ポリマー中の任意のプラスチック抽出可能物との相互作用を防止且つ/又は抑制するからである。任意には、第1ポリマーはフルオロポリマー、例えばPTFE又はPFAである。他の実施例では、第1ポリマーは非フルオロポリマー、例えばポリイミド(例えばKapton(登録商標))であってもよい。任意には、第2ポリマーはフルオロポリマー、例えばFEP、PVDF、ETFE、又はECTFEである。他の実施例では、第2ポリマーは非フルオロポリマーであってもよい。任意には、第1ポリマー及び第2ポリマーは両方ともフルオロポリマーである(例えば第1ポリマーがPTFEであり、かつ、第2ポリマーがFEPである)。
【0023】
いくつかの実施態様では、本明細書中に開示された保管バッグの圧潰性ポーチは、第1ポリマーから形成された内面と、第2ポリマーから形成された外面とを含む。第1ポリマーを溶融することなしに第2ポリマーを溶融接合するのに十分に高い温度まで圧潰性ポーチを加熱し得るように、第1及び第2ポリマーの相対融点が定められている。いくつかの態様では、第1ポリマーの融点は、第2ポリマーの融点よりも少なくとも30℃高い(例えば少なくとも50℃、又は少なくとも80℃高い)。
【0024】
いくつかの実施態様では、補強積層体は1つ又は2つ以上のシートから形成された2つの層を含む。1つのシートを折り畳むことにより2つの層を形成することができ、あるいは2つのシートを積み重ねることにより2つの層を形成することができる。いくつかの実施態様では、シートは複合材料であり、それぞれの複合材料は第1側と第2側とを有している。第1側は第3ポリマーから形成されており、第2側は第4ポリマーから形成されている。第3ポリマーを溶融することなしに前記第4ポリマーを溶融接合するのに十分に高い温度まで前記補強積層体を加熱し得るように、前記第3及び第4ポリマーの相対融点が定められている。いくつかの態様では、第3ポリマーの融点は、第4ポリマーの融点よりも少なくとも30℃高い(例えば少なくとも50℃、又は少なくとも80℃高い)。任意には、第3ポリマーはフルオロポリマー、例えばPTFE又はPFAである。他の実施例では、第3ポリマーは非フルオロポリマー、例えばポリイミド(例えばKapton(登録商標))であってもよい。任意には、第4ポリマーはフルオロポリマー、例えばFEP、PVDF、ETFE、又はECTFEである。他の実施例では、第4ポリマーは非フルオロポリマーであってもよい。任意には、第3ポリマー及び第4ポリマーは両方ともフルオロポリマーである(例えば第3ポリマーはPTFEであり、第4ポリマーはFEPである)。第3ポリマー及び第4ポリマーは、圧潰性ポーチに関して上述した第1ポリマー及び第2ポリマーと同じであってよく、あるいはこれらは異なっていてもよい。
【0025】
ポート補強積層体の2つの層はポーチ及びポート集成体の互いに対向する側に配置されているので、各層の第2側(すなわち低融点ポリマー側)はポーチ及びポート集成体に面し、そして熱が加えられたときに低融点ポリマーはポート及びポート集成体の少なくとも一部と接合することができる。ポート補強積層体をポーチに接合することは、ポート補強積層体をポート集成体に接合することと同じ工程、又は別個の工程で実施することができる。いくつかの実施態様では、ポート補強積層体をポーチ及び/又はポート集成体に接合するために、第3ポリマーの融点と第4ポリマーの融点との間の温度までポート補強積層体を加熱する。ポーチの外面が十分に低い融点を有するポリマーから形成されていると、そのポリマーはポーチとポート補強積層体との接合に貢献することができる。ポート集成体の外面が十分に低い融点を有するポリマーから形成されていると、そのポリマーはポート集成体とポート補強積層体との接合に貢献することができる。さらに、ポート補強積層体が、圧潰性ポーチを形成する2つの材料の間の継ぎ目又はシームに被さるように配置されていると、補強積層体は継ぎ目をシールし、又は継ぎ目のシールを補強することができる。他の継ぎ目をシールし、あるいは他のシームを補強するために、且つ/又は例えばハンドルを組み入れることを目的として、ポート補強積層体以外の補強積層体を使用してもよい。
【0026】
いくつかの態様では、補強積層体の2つの複合層は、折り重ねられた単一の複合シートから形成されている。他の実施態様では、補強積層体の2つの複合層は2つの別個の複合シートであり、1つのシートが圧潰性ポーチの各側に配置されている。補強積層体は、保管バッグの端部及び角隅で漏れ防止力を向上させ、具体的には保管バッグ内の流体が凍結されると、保管バッグに付加的な強度を提供する。
【0027】
ポートのボディと圧潰性ポーチとの間のポート補強積層体の領域内で、2つの複合層は熱が加えられると互いに接合することができる。しかしながら、複合層はポート集成体にすぐに隣接する領域内では互いに接触しておらず、これにより複合層はその領域内では接合していない。むしろ、スナウトにすぐに隣接する領域は開いたままであり、周囲キャビティを形成する。このように、いくつかの実施態様では、ポート集成体の側に隣接して少なくとも1つの周囲キャビティが設けられており、この周囲キャビティは圧潰性ポーチからポート集成体のコンジットへ延びているので、コンジットは周囲キャビティを通って圧潰性ポーチの内容積と流体連通している。いくつかの実施態様では、ポート補強積層体はポート集成体及びスナウトに接合しており、2つの周囲キャビティを、1つがスナウトのそれぞれの側に位置する状態で形成している。他の実施態様では、ポート補強積層体はポート集成体のボディに接合してはいるものの、スナウトには結合しておらず、あるいはスナウトの全てには結合しておらず、スナウトの一方の側から他方の側へ延びる1つの周囲キャビティを形成している。この周囲キャビティは、ポート補強積層体がスナウトに接合されていない、スナウトの上方及び/又は下方を含む。いくつかの態様では、例えばスナウトの互いに対向する側に、複数の周囲キャビティが設けられている。この場合、各周囲キャビティはポート集成体のボディ内に設けられた別個のコンジットと流体連通されていてよい。
【0028】
図1Aは保管バッグ100を示す部分正面図である。図1Bは、図1Aの1B-1B線に沿って示す断面図である。図1Cは、図1Aの1C-1C線に沿って示す断面図である。非圧潰性ポート集成体114のボディ116は2つのコンジット120A,120Cを含み、ポート補強積層体108内に保持されている。ボディ116は圧潰性ポーチ102から離隔している。スナウト118はボディ116から圧潰性ポーチ102の内容積内へ延びている。スナウト118の少なくとも一部はポート補強積層体108の層108A,108B間で延びている。
【0029】
ポート補強積層体108は第1及び第2複合層108A,108Bを含み、これらの複合層108A,108Bは圧潰性ポーチ102に接合され、ここで複合層108A,108Bは圧潰性ポーチ102と接触しており、またポート補強積層体108はポート集成体114に接合され、ここで複合層108A及び108Bはポート集成体と接触している。層108A,108Bは圧潰性ポーチ102とポート集成体114との間で、周囲キャビティ124(又は124A,124B)を除いて互いに接合されている。周囲キャビティのところでは、層108A,108Bは互いに離隔している。
【0030】
図1Bは、スナウト118と第1及び第2複合層108A,108Bとによって形成された2つの区別可能な周囲キャビティ124A,124Bの一部を、第1及び第2複合層がスナウトの上部及び底部に接合されたときの状態で示している。図1Cは、ボディ116と第1及び第2複合層108A,108Bとによって形成された周囲キャビティ124Aの一部を示している。図1Dは、スナウト118と第1及び第2複合層108A,108Bとによって形成された単一の周囲キャビティ124の一部を、第1及び第2複合層がスナウトの上部及び底部に接合されたときの状態で示している。単一のキャビティ124は、スナウトのいずれの側にも開いた領域を有している。これらの開いた領域は、スナウト118の上方及び/又は下方に画定された1つ又は2つ以上の通路を通って流体連通している。
【0031】
周囲キャビティ124のサイズは、周囲キャビティ124内に許される流体の体積を制御するように調節することができる。周囲キャビティ124及び非圧潰性スナウト118を使用することにより、圧潰性ポーチ102と非圧潰性ポート集成体114との間に捕捉される流体の体積は制限され、そしてこのようなものとしてこの区域は凍結中に被る膨張を制限されるので有利である。加えて、非圧潰性スナウト118はフィルムの圧潰を抑制又は防止し、そして非圧潰性ポート集成体を通って圧潰性ポーチに対して制限されずに流入・流出が生じることを可能にする。
【0032】
いくつかの実施態様では、非圧潰性ポート集成体114は1つのコンジット、2つのコンジット、3つのコンジット、又は4つ以上のコンジットを含んでよい。種々の実施態様では、コンジットはボディを通って、スナウトを通って、又はこれらの組み合わせを通って延びていてよい。例えば、1つのコンジットはスナウトを通って画定されるとともに、他のコンジットはボディ116を通って画定されてよく、コンジットの全てはボディ116を通って画定されてよく、コンジットの全てはスナウト118を通って画定されてよく、あるいは2つ以上のコンジットがスナウト118を通って画定されるとともに、1つ又は2つ以上の他のコンジットがボディ116を通って画定される。コンジットの種々の他の配置関係を提供してもよく、このような配置関係も本開示の範囲に含まれると考えられる。
【0033】
いくつかの実施態様では、非圧潰性ポート集成体のコンジットの1つは充填コンジットであり、別のコンジットは抽出コンジットである。いくつかの任意の実施態様では、コンジットの1つはサンプリングコンジットであるが、しかし他の実施例では、サンプリングコンジットは省かれてよい。充填コンジット、抽出コンジット、及び任意にはサンプリングコンジットは所望の任意の形式で(例えばボディを通って且つ/又はスナウトを通って)配置されてよく、そしてこのような配置関係は本開示を限定するものと考えられるべきではない。
【0034】
各コンジットは、圧潰性ポーチ120へ材料を供給し、又は圧潰性ポーチ120から材料を抽出するために、コンジット内に又はコンジットを通して配置された1つ又は2つ以上のチューブを含んでよい。あるいは、ポート集成体114は、補強積層体の外側で延びるコネクタを含むことにより、チューブをコンジットに接続することもできる。いくつかの実施態様では、保管バッグ100は、液体がそれを通って内容積に入ることができる充填チューブと、それを通して液体を内容積から抽出し得る抽出チューブとを含むことができる。任意には保管バッグは、充填、凍結、保管、輸送、又は抽出中に、それを通して試料を抽出し得るサンプリングチューブを含むことができる。任意には、サンプリングチューブは、ボディ116と、ポーチの内容積内へ延びるスナウト118とを通して、圧潰性ポーチ102の内容積と流体連通している。
【0035】
任意には、圧潰性ポーチ上の異なる位置に第2補強積層体が設けられていてもよい。いくつかの実施例では、アパーチャとは反対側の端部に第2補強積層体が設けられている。いくつかの態様では、この付加的な補強積層体はスリット、又はポーチの輸送を容易にするためにハンドルとして使用し得る、補強積層体内の別の開口を含んでよい。この補強積層体は、ハンドル補強積層体と呼ぶことができる。任意には、ハンドル補強積層体はポート補強積層体と実質的に同様である。例えば、ハンドル補強積層体は2つの複合層を含んでよく、それぞれの複合層は第1側と第2側とを有しており、第1側の融点はより高く、第2側の融点はより低い。またポート補強積層体と同様に、いくつかの実施態様では、ハンドル補強積層体の2つの複合層は、圧潰性ポーチの一部に被さるように折り畳まれた単一のシートから形成されている。他の実施態様では、ハンドル補強積層体の2つの複合層は2つの別個の複合シートであり、1つのシートが圧潰性ポーチの各側に配置されており、各シートは、融点がより低い第2側が圧潰性ポーチに面する状態で配置されている。任意には、ハンドル補強積層体及びポート補強積層体は、保管バッグの端部及び角隅で漏れ防止力を向上させ、具体的には保管バッグが凍結されると、保管バッグに付加的な強度を提供する。
【0036】
図2及び3は保管バッグ100の1実施態様を示している。図1A~Cと共通するエレメントは同じ符号を有している。圧潰性ポーチ102は第1端部104を含み、第1端部104にポート補強積層体108がオーバーラップする。任意には、圧潰性ポーチ102はまたハンドル補強積層体110を含む。ハンドル補強積層体110は第2端部106にオーバーラップし、ハンドル112を含む。
【0037】
図2及び3に示された実施例では、非圧潰性ポート集成体114は3つのコンジット120A~Cと、3つのコネクタ129A~Cと、3つのコネクタ129A~Cに被さるように配置された3つのチューブ122A~Cとを含む。図3はチューブを省いているので、コネクタ129A~Cをより明確に見ることができる。図2及び3に示された実施例では、コンジット120A及び120Bはボディ116を通して画定され、コンジット120Cはスナウト118を通して画定されている。一例としては、非圧潰性ポート集成体114のコンジット120の1つ(例えばコンジット120A)が充填コンジットであってよく、別のコンジット120(例えばコンジット120C)が抽出コンジットであってよく、そして別のコンジット120(例えばコンジット120C)がサンプリングコンジットであってよい。保管バッグ内部の充填コンジット、抽出コンジット、及び任意にはサンプリングコンジットの配置関係は、本開示を制限するものと考えるべきではない。ポート集成体114は、図2~3に示されているようにほぼT字形であり、単一のスナウトがボディに対して垂直に位置決めされ、且つボディ上でセンタリングされている。しかしながら、この代わりに、ポート集成体114は、オフセットされたスナウト(例えばボディ上でセンタリングされていないスナウト)、ボディに対して角度付けされたスナウト(すなわちボディに対して垂直ではない)、又は複数のスナウトを含む、任意の好都合な、又は所望の形状を有していてもよい。
【0038】
図1~3に示されている実施例では、非圧潰性ポート集成体114の互いに対向する側方部分には、周囲キャビティ124A,124Bが隣接している。周囲キャビティ124A,124Bは圧潰性ポーチ102のアパーチャから非圧潰性ポート集成体のボディ116へ延びていることにより、非圧潰性ポート集成体114のコンジットのうちの少なくとも1つが周囲キャビティ124A,124Bを通って圧潰性ポーチ102の内容積と流体連通している。この実施態様では、コンジット120Aは周囲キャビティ124Aを通って圧潰性ポーチ102の内容積と流体連通しており、コンジット120Bは周囲キャビティ124Bを通って圧潰性ポーチ102の内容積と流体連通しており、そしてコンジット120Cはスナウト118を通って内容積と流体連通している。言うまでもなく、周囲キャビティ124A,124Bの数及び/又は位置は、コンジット120の数及び/又は位置に応じて調節されてよい。
【0039】
いくつかの実施例では、保管バッグの圧潰性ポーチ部分は平らなシートから、平らなシートを丸めてチューブにし、シートの互いに対向する2つの縁部を接合し、次いで両端部でチューブをシールすることによって、形成される。任意には、詳細に上述したように、平らなシートは、第1ポリマーを含む第1面と、第1ポリマーよりも融点が低い第2ポリマーを含む反対側の第2面とを有する複合シートである。チューブ及び圧潰性ポーチは、複合シートの第1面がチューブ及び圧潰性ポーチの内面として位置し、そして複合シートの第2面がチューブ及び圧潰性ポーチの外面として位置する状態で、形成される。すなわち、より高融点のポリマーはチューブ及び圧潰性ポーチの内面を形成し、複合シートのより低融点ポリマーはチューブ及び圧潰性ポーチの外面を形成する。より高融点のポリマーは上記耐久性を有し抽出可能物が低レベルであるという有益な特性をもたらし、そしてより低融点のポリマーはチューブ、圧潰性ポーチ、及び保管バッグの構築を容易にする。なぜならば、より低融点のポリマーは接合部を形成するために軟化又は溶融することができるからである。いくつかの実施例では、より高融点のポリマーは、一例としてはPTFE、PFA、又はポリイミド、例えばKapton(登録商標)を含む非溶融加工性ポリマーである。種々の実施例では、より低融点のポリマーは、一例としてはFEP、PVDF、ETFE、又はECTFEを含む溶融加工性ポリマーである。
【0040】
いくつかの態様では、複合シートの互いに対向する2つの縁部を接合し、任意には縁部をオーバーラップすることにより平らな複合シートが複合チューブとして形成される。複合シートは、第1面/より高融点のポリマーがチューブの内側へ向き、そして第2面/より低融点のポリマーがチューブの外側へ向いた状態で配向されている。いくつかの実施例では、より低融点のポリマーが軟化又は溶融するがしかしより高融点のポリマーは軟化又は溶融しないように、より低融点のポリマーの融点とより高融点のポリマーの融点との間の温度まで複合材料を加熱し、縁部がオーバーラップする場所に圧力を加え、そしてより低融点のポリマーを固化させておくことにより、オーバーラップする縁部を互いに接合する。こうして、オーバーラップする縁部はラップシームを形成する。
【0041】
互いに対向する縁部を接合することによってチューブを形成した後、チューブを平らにすることによって、上部と底部とを形成し、この場合、互いに対向する縁部を接合するラップシームはチューブの上部又は底部に沿って一方の端部から他方の端部へ延びている。任意には、ラップシームはチューブの上部又は底部のほぼ中央に沿って一方の端部から他方の端部へ延びている。いくつかの実施例では、ラップシームは、上部と底部との間で、(平らにされたチューブの周囲に沿って)平らにされたチューブの縁部を形成しない。
【0042】
いくつかの実施例では、平らな複合シートはほぼ方形の形状を有しており、任意には、接合されるべき互いに対向する2つの縁部はほぼ真直ぐである。互いに対向する縁部が接合されたら、複合シートの他の縁部はそれぞれ複合チューブの端部を形成する。チューブの端部を形成する縁部は、圧潰性ポーチを形成するためにチューブの端部を閉じる際に使用するための1つ又は2つ以上の延長部、例えば1つ又は2つ以上のフラップ又は所定の輪郭を付けられた部分を含んでよい。いくつかの実施例では、チューブが形成され平らにされると延長部が各端部の上部又は底部のうちの一方のみに沿って設けられるように、複合シートの延長部は成形され寸法設定されている。このように、チューブの上部及び底部の端部はオフセットされている。
【0043】
図4に示されているように、複合シート200は、より高融点のポリマーを含む第1面218を有している。第1面218は(図7Bに示されている)圧潰性ポーチ102の内面になる。複合シート200はさらに、第1面218とは反対側の第2面(図示せず)を含む。第2面はより低融点のポリマーを含み、そして第2面は圧潰性ポーチ102の外面になる。複合シート200はほぼ方形であり、この場合、互いに対向する側に設けられた2つの延長部210が延長縁部212を有している。折り線J及びHは、圧潰性ポーチ102の端部を閉じるように延長部210が折られる場所を示している。折り線Hのうちの一方はアパーチャ219を含む。アパーチャは、円形、楕円形、又は任意の他の所望の形状を含むいかなる好都合な形状であってもよい。複合シート200の互いに対向する側方部分216は、複合シートを丸めて複合チューブ201(図5に示されている)を形成すると、オーバーラップすることになる。互いに対向する側方部分216が接合され、チューブが平らにされると、延長縁部212が、非延長縁部214と比較してオフセットされている。言うまでもなく、延長部210の具体的なジオメトリは一例に過ぎず、他のジオメトリも考えられ、図示されたまさにその延長ジオメトリが本開示を制限するものと考えるべきではない。
【0044】
図5~6は複合チューブ201の形成を示している。図5は、互いに対向する側方部分216がオーバーラップするまで、任意にはマンドレルの周りで、リングとして形成される複合シート200を示している。複合チューブ201は、複合シート200の第1面218(より高融点のポリマー)が複合チューブ201の内面221として位置し、そして複合シート200の第2面(より低融点のポリマー)が複合チューブ201の外面220として位置する状態で、形成される。オーバーラップされたら、互いに対向する側方部分216を加熱することにより、外面220のより低融点のポリマーを内面221のより高融点のポリマーに溶融接合し、ラップシーム224を形成する。ラップシーム224を形成した後、K線に沿って折り畳むことにより、チューブ201を直径Dに対して垂直な方向に平らにする。図6は、チューブ201の端部を閉じるために延長部210を折り畳む前に平らにされた複合チューブ201を示している。延長縁部212は非延長縁部214と比較してオフセットされている。
【0045】
延長部を折り畳んで延長部の縁部が継ぎ目を形成するようにチューブ端部の非延長部の縁部に当接又はオーバーラップすることにより、チューブの端部をシールすることができる。いくつかの実施態様では、延長部は、延長部の縁部と、チューブの反対側の上部又は底部の縁部との中間で折り線に沿って折り畳まれている。すなわち、折り線は延長部の内部にあるので、延長部が折り畳まれた後、非延長部との継ぎ目が、周囲にではなく、圧潰性ポーチの上部又は底部に位置する。いくつかの実施態様では、延長部は複数の区分、例えば3つの区分に分割されており、これらの区分は、上部と底部とを接合してチューブの端部をシールするのに必要となる折り畳みを容易にするために異なるジオメトリ及び異なる折り線を有している。当該区分の縁部が別の区分に当接又はオーバーラップするか、あるいは継ぎ目を形成するために、平らにされたチューブの反対側の部分に当接又はオーバーラップするように、延長部の各区分を折り畳むことができる。
【0046】
図7Aは、図7Bに示されているように、圧潰性ポーチ102の端部に被せられた第1補強積層体250を示している。第1補強積層体250は、高融点ポリマーを含む第1面(図示せず)と、第1面とは反対側の第2面252とを有している。第2面は低融点ポリマーを含む。図7Bに示されているように、延長部210をJ線及びH線上で折り畳むことにより、第1補強積層体250の配置前に圧潰性ポーチ102を形成する。延長部が折り畳まれると、延長縁部212と非延長縁部214とは、平らな圧潰性ポーチ102の上部(上方に向いた部分)上に継ぎ目226を形成する。図7Bは延長縁部212及び非延長縁部214をこれらが当接している状態で示しているものの、その代わりにこれらがオーバーラップしていてもよい。図7Bはさらに、L線に沿って折り畳まれて圧潰性ポーチ102の端部の周りに配置され、継ぎ目226に被せられた第1補強積層体250を示している(すなわちポーチ102の端部は折り畳まれた第1補強積層体250の2つの層間にサンドイッチされている)。この場合、第2面252/低融点ポリマーは、平らにされた圧潰性ポーチ102の外面に隣接した、折り畳まれた第1補強積層体250の内側に位置している。第1補強積層体250に熱を加えることにより、表面220及び/又は表面252のより低融点のポリマーを溶融接合し、継ぎ目226を固定する。言うまでもなく、いくつかの実施態様では、第1補強積層体250はより高融点のポリマーだけから形成されていてもよく、表面220のより低融点のポリマーを第1補強積層体250に溶融接合することによって表面220と接合することもできる。また、別の実施態様では、第1補強積層体250は平らな(折り畳まれていない)シートであってもよく、この平らなシートは、継ぎ目226を含む複合ポーチ120の側にだけ被さるように被着されている。さらに、折り畳まれたシートではなく、第1補強積層体250は2つの別個のシートであってもよく、この場合、1つのシートが圧潰性ポーチ102の各側に位置する。
【0047】
図8Aは、図8Bに示された圧潰性ポーチ102の他方の端部に被せられた第2(又はポート)補強積層体260を示している。ポート補強積層体260は、より高融点のポリマーを含む第1面(図示せず)と、第1面とは反対側の第2面262とを有している。第2面262はより低融点のポリマーを含む。図8Bに示されているように、延長部210をJ線及びH線上で折り畳むことにより、図7Bに関して記載された圧潰性ポーチ102を形成する。図8Bはさらに、M線に沿って折り畳まれて圧潰性ポーチ102の端部の周りに配置され、継ぎ目226に被せられたポート補強積層体260を示している(すなわちポーチ102の端部は折り畳まれたポート補強積層体260の2つの層間にサンドイッチされている)。この場合、第2面262/より低融点のポリマーは、平らにされた圧潰性ポーチ102の外面に隣接した、折り畳まれたポート補強積層体260の内側に位置している。
【0048】
ポート補強積層体260の折り畳まれた層間には挿入体266が示されている。挿入体266は、ポート補強積層体260が折り畳まれる前又は後、そしてポート補強積層体260が圧潰性ポーチ102の端部に被せられる前又は後に配置されてよい。挿入体266は、ポート補強積層体が、挿入体266が存在する区域内の何かに接合するのを防止する。ポート補強積層体260に熱を加えることにより、表面220及び/又は表面262のより低融点のポリマーを溶融接合し、継ぎ目226を固定する。挿入体266は、ポート補強積層体に接合しない材料、例えばポリテトラフルオロエチレンから形成されている。ポート補強積層体260が圧潰性ポーチ102に接合された後、折り畳まれたポート補強積層体260の外縁部を切断することにより、挿入体266へのアクセスを可能にし、挿入体266を取り除き、そしてポート補強積層体260の層間にポート集成体114(図8Bには示されていない)を挿入する。ポート集成体114は任意には、挿入体266とサイズ及び形状がほぼ同じであってよいが、しかしこれは必ず必要というわけではない。第2加熱工程において、補強積層体260のより低融点のポリマー及び/又はポート集成体114の表面上のより低融点のポリマーが、ポート補強積層体260をポート集成体114の少なくとも一部に溶融接合するように、熱が加えられる。
【0049】
第1補強積層体250に関して上述したように、言うまでもなく、いくつかの実施態様では、ポート補強積層体260はより高融点のポリマーだけから形成されていてもよく、表面220及びポート集成体の表面をポート補強積層体260に溶融接合することによってこれらの表面と接合することもできる。また、別の実施態様では、ポート補強積層体260は平らな(折り畳まれていない)シートであってもよく、この平らなシートは、継ぎ目226を含む複合ポーチ102の側にだけ被さるように被着されている。さらに、折り畳まれたシートではなく、ポート補強積層体260は2つの別個のシートであってもよく、この場合、1つのシートが圧潰性ポーチ102の各側に位置する。
【0050】
延長部の縁部が非延長縁部に当接又はオーバーラップするようにポーチの各端部で延長部を折り畳むことにより、ラップシームだけを有するポーチが形成される。ラップシームはより強い構造をもたらす。それというのも、このような継ぎ目/シームは、剥離応力又は裂開応力を被る継ぎ目/シームと比較して、故障モードがより低い、凍結中の剪断応力(又はバッグの体積膨張)を被るからである。このような構造は、従来技術の保管バッグと比較してより耐久性の高いポーチを形成する。従来技術の保管バッグは、剥離応力又は裂開応力を被るが、しかし剪断応力を被らない継ぎ目/シームを有する。図9A~9Bは、圧潰性ポーチ102を、第1補強積層体250を省いた状態で示す部分斜視図である。図9Aはポーチ102を空であり且つ平らである状態で示しており、そして図9Bはポーチを、流体で少なくとも部分的に充填された状態で示している。ポーチ102の周囲228は連続したフィルムであり、そしてラップシーム224及び継ぎ目226はバッグの上部にある。他の図面に示されているように、使用中には、ラップシーム224及び継ぎ目226は第1補強積層体250によって覆われている。比較のために、図10A~10Bは従来技術のバッグ300を示す部分斜視図である。ここではバッグはバッグの周囲310の少なくとも一部を巡るシームによって互いに接合された2つの材料から形成されている。
【0051】
開示はさらに下記実施例によって定義することができる。
【0052】
実施例1:内容積を有し、一端にアパーチャを備えた圧潰性ポーチ、
ボディとスナウトとを含む非圧潰性ポート集成体であって、該ボディが該ボディを貫通する少なくとも2つのコンジットを含む非圧潰性ポート集成体、
該ボディが該圧潰性ポーチから離隔し、かつ、該スナウトが該ボディから該アパーチャを通って該内容積内へ延在する状態で該非圧潰性ポート集成体を保持するように、該非圧潰性ポート集成体と該アパーチャを含む該圧潰性ポーチの該端部とにオーバーラップしているポート補強積層体、及び
該ポート補強積層体と該非圧潰性ポート集成体の一部とによって形成された少なくとも1つの周囲キャビティであって、該圧潰性ポーチから少なくとも1つのコンジットへ延在していることにより、該少なくとも1つのコンジットが該周囲キャビティを通って該内容積と流体連通している少なくとも1つの周囲キャビティ
を含んでなる保管バッグ。
【0053】
実施例2:前記非圧潰性ポート集成体の前記ボディが、充填コンジットと抽出コンジットとを含む、実施例1の保管バッグ。
【0054】
実施例3:前記非圧潰性ポート集成体の前記ボディがサンプリングコンジットを含む、実施例1又は2の保管バッグ。
【0055】
実施例4:前記少なくとも2つのコンジットのうちの2つ又は3つ以上が、前記少なくとも1つの周囲キャビティ及び前記アパーチャを通って前記内容積と流体連通している、実施例1から3までのいずれかの保管バッグ。
【0056】
実施例5:前記少なくとも2つのコンジットのうちの少なくとも1つが、前記非圧潰性スナウトを通って前記内容積と流体連通している、実施例1から4までのいずれかの保管バッグ。
【0057】
実施例6:前記ポート集成体がさらに、前記ポート集成体に1つ又は2つ以上のチューブを接続するために、前記ポート補強積層体の外側で延びる1つ又は2つ以上のコネクタを含むことにより、各チューブが前記ポート集成体の少なくとも1つのコンジットと流体連通している、実施例1から5までのいずれかの保管バッグ。
【0058】
実施例7:前記圧潰性ポーチが、第1ポリマーから形成された内面と、第2ポリマーから形成された外面とを含み、前記第1ポリマーを溶融することなしに前記第2ポリマーを溶融接合するのに十分に高い温度まで前記圧潰性ポーチを加熱し得るように、前記第1及び第2ポリマーの相対融点が定められている、実施例1から6までのいずれかの保管バッグ。
【0059】
実施例8:前記第1ポリマーの融点が、前記第2ポリマーの融点よりも少なくとも30℃高い、実施例7の保管バッグ。
【0060】
実施例9:前記第1ポリマーがポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)又はペルフルオロアルコキシ(「PFA」)を含み、そして前記第2ポリマーがフッ素化エチレンプロピレン(「FEP」)、ポリフッ化ビニリデン(「PVDF」)、エチレンテトラフルオロエチレン(「ETFE」)、又はエチレンクロロトリフルオロエチレン(「ECTFE」)を含む、実施例7又は8の保管バッグ。
【0061】
実施例10:前記非圧潰性ポート集成体がFEP、PVDF、ETFE、又はECTFEから形成されている、実施例1から9までのいずれかの保管バッグ。
【0062】
実施例11:前記ポート補強積層体が2つの複合層を含み、各層が、第3ポリマーを含む第1面と、第4ポリマーを含む対向する第2面とを含み、そして前記2つの層が、各層の前記第2面が前記非圧潰性ポート集成体の少なくとも一部及び前記圧潰性ポーチの少なくとも一部と接触した状態で、前記ポート集成体及び前記圧潰性ポーチのいずれの側にも位置決めされており、前記第3ポリマーを溶融することなしに前記第4ポリマーを溶融接合するのに十分に高い温度まで前記複合層を加熱し得るように、前記第3及び第4ポリマーの相対融点が定められている、実施例1から10までのいずれかの保管バッグ。
【0063】
実施例12:前記第3ポリマーの融点が、前記第4ポリマーの融点よりも少なくとも30℃高い、実施例11に記載の保管バッグ。
【0064】
実施例13:前記第4ポリマーが前記2つの複合層を前記圧潰性ポーチの少なくとも一部に、前記ポート集成体の少なくとも一部に、そして互いに接合している、実施例11又は12の保管バッグ。
【0065】
実施例14:前記第3ポリマーがPTFE又はPFAを含み、前記第4ポリマーがFEP、PVDF、ETFE、又はECTFEを含む、実施例11から13までのいずれかの保管バッグ。
【0066】
実施例15:前記ポート補強積層体によってオーバーラップされた前記圧潰性ポーチの部分が継ぎ目を含み、そして前記ポート補強積層体が前記継ぎ目を覆っている、実施例11から14までのいずれかの保管バッグ。
【0067】
実施例16:内容積を有し、一端にアパーチャを備えた圧潰性ポーチを用意し、
ボディとスナウトとを含む非圧潰性ポート集成体であって、該ボディが該ボディを貫通する少なくとも2つのコンジットを含む非圧潰性ポート集成体を用意し、
該アパーチャを含む該圧潰性ポーチの該端部を、ポート補強積層体の2つの複合層の間に配置し、該2つの複合層はそれぞれ、第5ポリマーを含む第1面と第6ポリマーを含む第2面とを含み、該圧潰性ポーチの該部分が各複合層の該第2面と接触し、そして該第5ポリマーを溶融することなしに該第6ポリマーを溶融接合するのに十分に高い温度まで該複合層を加熱し得るように、該第5及び第6ポリマーの相対融点が定められ、
該第5ポリマーの融点と該第6ポリマーの融点との間の温度まで該2つの複合層を加熱することによって、該圧潰性ポーチの該部分に該ポート補強積層体を溶融接合し、
該ポート集成体を該2つの複合層の間に配置し、該ポート集成体の少なくとも一部が各複合層の該第2層と接触し、そして
該第5ポリマーの融点と該第6ポリマーの融点との間の温度まで該2つの複合層を加熱することによって、該ポート集成体の該部分に該ポート補強積層体を溶融接合することを含んでなる、保管バッグを形成する方法。
【0068】
実施例17:前記圧潰性ポーチの前記端部を前記2つの複合層の間に配置することと、前記ポート集成体の前記部分を前記2つの複合層の間に配置することとが両方とも、前記ポート補強積層体を前記圧潰性ポーチの前記部分に、そして前記ポート集成体の前記部分に溶融結合する前に実施され、前記ポート補強積層体を前記圧潰性ポーチの前記部分に、そして前記ポート集成体の前記部分に溶融結合することが単一の工程で実施される、実施例16の方法。
【0069】
実施例18:前記ポート集成体の少なくとも一部に前記2つの複合層を溶融接合することによって、前記圧潰性ポーチから少なくとも1つのコンジットへ延びる少なくとも1つの周囲キャビティを形成し、これにより前記少なくとも1つのコンジットが前記周囲キャビティを通って前記内容積と流体連通している、実施例16又は17の方法。
【0070】
実施例19:前記2つの複合層を前記圧潰性ポーチに溶融接合し、そして前記2つの複合層を前記ポート集成体に溶融接合することによって、前記ボディが前記圧潰性ポーチから離隔し且つ前記スナウトが前記ボディから前記アパーチャを通って前記内容積内へ延びる状態で、前記ポート集成体を固定する、実施例16から18までのいずれかの方法。
【0071】
実施例20:第1複合シート、第2複合シート及び第3複合シートを含む保管バッグであって、
該第1複合シートが、内容積を取り囲む圧潰性ポーチの形状を成しており、該第1複合シートが、該圧潰性ポーチを形成するために継ぎ目でオーバーラップ又は当接する複数の縁部を含み、
該圧潰性ポーチは、
実質的に平面状の上面、実質的に平面状の底面、対向する2つの側部、並びに第1及び第2の端部であって、該側部と端部とが該圧潰性ポーチの周囲を形成する、実質的に平面状の上面、実質的に平面状の底面、2つの対向する側部、並びに第1及び第2の端部と、
該上面又は該底面上の当該ラップシームが、該第1端部に隣接する地点から該第2端部に隣接する地点へ延びており、該ラップシームが、オーバーラップする該第1複合シートの対向する2つの縁部を含む、ラップシームと、
該第1端部に隣接する、該上面又は該底面上の当該第1継ぎ目列が、当接する該第1複合シートの複数の第1縁部を含む、第1継ぎ目列と、
該第2端部に隣接する、該上面又は該底面上の当該第2継ぎ目列が、当接する該第1複合シートの複数の第2縁部を含む、第2継ぎ目列と、
を含み、
該第2複合シートが、第1ラップシーム列を形成するために、該第1継ぎ目列を横切って配置されており、
該第3複合シートが、第2ラップシーム列を形成するために、該第2継ぎ目列を横切って配置されており、そして
該圧潰性ポーチの該第1端部が0.11平方インチよりも大きい面積を有する少なくとも1つの開口を含んでなる、保管バッグ。
【0072】
実施例21:第1複合シート、第2複合シート及び第3複合シートを含む保管バッグであって、
該第1複合シートが、内容積を取り囲む圧潰性ポーチの形状を成しており、該第1複合シートが、該圧潰性ポーチを形成するために継ぎ目でオーバーラップ又は当接する複数の縁部を含み、
該圧潰性ポーチは、
実質的に平面状の上面、実質的に平面状の底面、対向する2つの側部、並びに第1及び第2の端部であって、該側部と端部とが該圧潰性ポーチの周囲を形成する、実質的に平面状の上面、実質的に平面状の底面、2つの対向する側部、並びに第1及び第2の端部と、
該上面又は該底面上の当該ラップシームが、該第1端部に隣接する地点から該第2端部に隣接する地点へ延びており、該ラップシームが、オーバーラップする該第1複合シートの対向する2つの縁部を含む、ラップシームと、
該第1端部に隣接する、該上面又は該底面上の当該第1継ぎ目列が、当接する該第1複合シートの複数の第1縁部を含む、第1継ぎ目列と、
該第2端部に隣接する、該上面又は該底面上の当該第2継ぎ目列が、当接する該第1複合シートの複数の第2縁部を含む、第2継ぎ目列と、
を含み、
該第2複合シートが、第1ラップシーム列を形成するために、該第1継ぎ目列を横切って配置されており、
該第3複合シートが、第2ラップシーム列を形成するために、該第2継ぎ目列を横切って配置されており、そして
該圧潰性ポーチの該第1端部が、所定の面積を有する少なくとも1つの開口を含み、該開口のすべての面積の和が0.55平方インチ未満である、保管バッグ。
【0073】
本出願の発明を全般的にそして特定の実施態様に関して記述してきた。当業者には明らかなように、開示の範囲から逸脱することなしに種々の改変及び変更を実施態様に加えることができる。従って、添付の請求項及びこれらと同等のものの範囲に含まれるのであれば、実施態様は本発明の改変形及び変更形にも範囲が及ぶものとする。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B