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▶ サーモ フィッシャー サイエンティフィック (ブレーメン) ゲーエムベーハーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】電圧供給器
(51)【国際特許分類】
   H01J 49/02 20060101AFI20220511BHJP
   H01J 49/40 20060101ALI20220511BHJP
   H01J 49/00 20060101ALI20220511BHJP
   G01N 27/62 20210101ALI20220511BHJP
【FI】
H01J49/02 200
H01J49/40 600
H01J49/00 090
G01N27/62 B
【請求項の数】 33
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021010808
(22)【出願日】2021-01-27
(65)【公開番号】P2021118185
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2021-03-05
(31)【優先権主張番号】2001107.8
(32)【優先日】2020-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508306565
【氏名又は名称】サーモ フィッシャー サイエンティフィック (ブレーメン) ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ コッヘムス
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-536443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 49/00
G01N 27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電極に電圧を供給するための基準電圧を提供するための電圧供給器であって、
超安定DC電圧源と、正確なDC電圧源と、調整ユニットと、コンパレータと、制御ユニットと、を含み、
前記超安定DC電圧源の供給電圧に基づいて提供される超安定電圧が前記調整ユニットに印加され、前記調整ユニットは、出力電圧を提供し、
前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく電圧が、前記正確なDC電圧源の供給電圧に基づいて提供される正確な電圧と、前記コンパレータによって比較され、
前記コンパレータは、前記比較から生じる信号を前記制御ユニットへ提供し、
前記制御ユニットは、前記コンパレータによって提供される前記信号に従って調整期間中に前記調整ユニットを調整して、前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく前記電圧と前記正確な電圧との絶対差を最小化し、
前記電圧供給器の前記基準電圧は、前記調整期間後に前記調整ユニットの前記出力電圧に基づいて提供され
前記調整ユニットはデジタル-アナログ変換器である、電圧供給器。
【請求項2】
前記超安定DC電圧源の前記供給電圧は、前記正確なDC電圧源の前記供給電圧よりも高い絶対値を有する、請求項1に記載の電圧供給器。
【請求項3】
前記制御ユニットは、デジタル信号を前記デジタル-アナログ変換器に提供して、前記デジタル-アナログ変換器の前記出力電圧を調整する、請求項に記載の電圧供給器。
【請求項4】
前記コンパレータによって前記制御ユニットへ提供される前記信号は、前記コンパレータによって比較される前記電圧のどれがより高い絶対値を有するかを識別するデジタル信号である、請求項1~のいずれか1つに記載の電圧供給器。
【請求項5】
前記制御ユニットは、前記コンパレータによって提供される前記デジタル信号に従って前記調整ユニットに信号を提供し、
前記コンパレータによって比較された前記正確な電圧の前記絶対値が、前記コンパレータによって比較された前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく前記電圧の前記絶対値よりも高い場合、前記調整ユニットの前記出力電圧の前記絶対値を増加させ、
前記コンパレータによって比較された前記正確な電圧の前記絶対値が、前記コンパレータによって比較された前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく前記電圧の前記絶対値よりも低い場合、前記調整ユニットの前記出力電圧の前記絶対値を減少させる、請求項に記載の電圧供給器。
【請求項6】
前記制御ユニットは、前記コンパレータによって提供される前記デジタル信号に従って前記デジタル-アナログ変換器にデジタル信号を提供し、
前記コンパレータによって比較された前記正確な電圧の絶対値が、前記コンパレータによって比較された前記デジタル-アナログ変換器の前記出力電圧に基づく前記電圧の絶対値よりも高い場合、前記デジタル-アナログ変換器の前記出力電圧の前記絶対値を増加させ、
前記コンパレータによって比較された前記正確な電圧の絶対値が、前記コンパレータによって比較された前記デジタル-アナログ変換器の出力電圧に基づく前記電圧の絶対値よりも低い場合、前記デジタル-アナログ変換器の前記出力電圧の前記絶対値を減少させる、請求項又はに記載の電圧供給器。
【請求項7】
前記デジタル-アナログ変換器の前記出力電圧の増減は段階的に減少する、請求項又はに記載の電圧供給器。
【請求項8】
提供された前記基準電圧が、増幅された電圧を前記少なくとも1つの電極に提供する電圧増幅器に印加される、請求項1~のいずれか1つに記載の電圧供給器。
【請求項9】
提供された前記基準電圧が、スイッチを介して前記電圧増幅器に印加される、請求項に記載の電圧供給器。
【請求項10】
前記正確なDC電圧源の前記供給電圧に基づいて提供される正確な電圧が、前記スイッチを介して前記電圧増幅器に印加され得る、請求項に記載の電圧供給器。
【請求項11】
質量分析計の前記電極に電圧を供給するための前記基準電圧を提供する、請求項1~10のいずれか1つに記載の電圧供給器。
【請求項12】
前記電極が静電トラップの中心電極である、請求項11に記載の電圧供給器。
【請求項13】
前記質量分析計が飛行時間型質量分析計である、請求項11に記載の電圧供給器。
【請求項14】
前記飛行時間型質量分析計が多重反射飛行時間型質量分析計である、請求項13に記載の電圧供給器。
【請求項15】
前記超安定DC電圧源が、24時間の時間期間にわたって1ppm未満の電圧安定性を有する、請求項1~14のいずれか1つに記載の電圧供給器。
【請求項16】
前記超安定DC電圧源が、10℃の温度範囲にわたって1ppm未満の電圧安定性を有する、請求項1~15のいずれか1つに記載の電圧供給器。
【請求項17】
前記正確なDC電圧源が、1000ppm未満の供給電圧の生成精度を有する、請求項1~16のいずれか1つに記載の電圧供給器。
【請求項18】
前記超安定DC電圧源の前記供給電圧が、前記調整ユニットに印加される前記超安定電圧である、請求項1~17のいずれか1つに記載の電圧供給器。
【請求項19】
前記調整ユニットの前記出力電圧が、前記コンパレータによって、前記制御ユニットに前記信号を提供するために前記正確な電圧と比較され、
前記制御ユニットは、前記信号に従って前記調整期間中に前記調整ユニットを調整して、前記調整ユニットの前記出力電圧と前記正確な電圧との前記絶対差を最小化する、請求項1~18のいずれか1つに記載の電圧供給器。
【請求項20】
前記正確なDC電圧源の前記供給電圧が前記正確な電圧であり、前記コンパレータによって、前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく前記電圧と比較される、請求項1~19のいずれか1つに記載の電圧供給器。
【請求項21】
前記電圧供給器によって提供される前記基準電圧が、前記調整期間後の前記調整ユニットの前記出力電圧である、請求項1~20のいずれか1つに記載の電圧供給器。
【請求項22】
少なくとも1つの電極に電圧を供給するための基準電圧を提供するための電圧供給器であって、
超安定DC電圧源と、正確なDC電圧源と、調整ユニットと、コンパレータと、制御ユニットと、を含み、
前記超安定DC電圧源の供給電圧に基づいて提供される超安定電圧が前記調整ユニットに印加され、前記調整ユニットは、出力電圧を提供し、
前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく電圧が、前記正確なDC電圧源の供給電圧に基づいて提供される正確な電圧と、前記コンパレータによって比較され、
前記コンパレータは、前記比較から生じる信号を前記制御ユニットへ提供し、
前記制御ユニットは、前記コンパレータによって提供される前記信号に従って調整期間中に前記調整ユニットを調整して、前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく前記電圧と前記正確な電圧との絶対差を最小化し、
前記電圧供給器の前記基準電圧は、前記調整期間後に前記調整ユニットの前記出力電圧に基づいて提供され、
前記超安定DC電圧源の前記供給電圧は、前記正確なDC電圧源の前記供給電圧よりも高い絶対値を有する、電圧供給器。
【請求項23】
少なくとも1つの電極に電圧を供給するための基準電圧を提供するための電圧供給器であって、
超安定DC電圧源と、正確なDC電圧源と、調整ユニットと、コンパレータと、制御ユニットと、を含み、
前記超安定DC電圧源の供給電圧に基づいて提供される超安定電圧が前記調整ユニットに印加され、前記調整ユニットは、出力電圧を提供し、
前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく電圧が、前記正確なDC電圧源の供給電圧に基づいて提供される正確な電圧と、前記コンパレータによって比較され、
前記コンパレータは、前記比較から生じる信号を前記制御ユニットへ提供し、
前記制御ユニットは、前記コンパレータによって提供される前記信号に従って調整期間中に前記調整ユニットを調整して、前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく前記電圧と前記正確な電圧との絶対差を最小化し、
前記電圧供給器の前記基準電圧は、前記調整期間後に前記調整ユニットの前記出力電圧に基づいて提供され、
前記コンパレータによって前記制御ユニットへ提供される前記信号は、前記コンパレータによって比較される前記電圧のどれがより高い絶対値を有するかを識別するデジタル信号である、電圧供給器。
【請求項24】
少なくとも1つの電極に電圧を供給するための基準電圧を提供するための電圧供給器であって、
超安定DC電圧源と、正確なDC電圧源と、調整ユニットと、コンパレータと、制御ユニットと、を含み、
前記超安定DC電圧源の供給電圧に基づいて提供される超安定電圧が前記調整ユニットに印加され、前記調整ユニットは、出力電圧を提供し、
前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく電圧が、前記正確なDC電圧源の供給電圧に基づいて提供される正確な電圧と、前記コンパレータによって比較され、
前記コンパレータは、前記比較から生じる信号を前記制御ユニットへ提供し、
前記制御ユニットは、前記コンパレータによって提供される前記信号に従って調整期間中に前記調整ユニットを調整して、前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく前記電圧と前記正確な電圧との絶対差を最小化し、
前記電圧供給器の前記基準電圧は、前記調整期間後に前記調整ユニットの前記出力電圧に基づいて提供され、
前記電圧供給器は、質量分析計の前記電極に電圧を供給するための前記基準電圧を提供し、
前記質量分析計が飛行時間型質量分析計であり、
前記飛行時間型質量分析計が多重反射飛行時間型質量分析計である、電圧供給器。
【請求項25】
少なくとも1つの電極に電圧を供給するための基準電圧を提供するための電圧供給器であって、
超安定DC電圧源と、正確なDC電圧源と、調整ユニットと、コンパレータと、制御ユニットと、を含み、
前記超安定DC電圧源の供給電圧に基づいて提供される超安定電圧が前記調整ユニットに印加され、前記調整ユニットは、出力電圧を提供し、
前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく電圧が、前記正確なDC電圧源の供給電圧に基づいて提供される正確な電圧と、前記コンパレータによって比較され、
前記コンパレータは、前記比較から生じる信号を前記制御ユニットへ提供し、
前記制御ユニットは、前記コンパレータによって提供される前記信号に従って調整期間中に前記調整ユニットを調整して、前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく前記電圧と前記正確な電圧との絶対差を最小化し、
前記電圧供給器の前記基準電圧は、前記調整期間後に前記調整ユニットの前記出力電圧に基づいて提供され、
前記超安定DC電圧源が、24時間の時間期間にわたって1ppm未満の電圧安定性を有する、電圧供給器。
【請求項26】
少なくとも1つの電極に電圧を供給するための基準電圧を提供するための電圧供給器であって、
超安定DC電圧源と、正確なDC電圧源と、調整ユニットと、コンパレータと、制御ユニットと、を含み、
前記超安定DC電圧源の供給電圧に基づいて提供される超安定電圧が前記調整ユニットに印加され、前記調整ユニットは、出力電圧を提供し、
前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく電圧が、前記正確なDC電圧源の供給電圧に基づいて提供される正確な電圧と、前記コンパレータによって比較され、
前記コンパレータは、前記比較から生じる信号を前記制御ユニットへ提供し、
前記制御ユニットは、前記コンパレータによって提供される前記信号に従って調整期間中に前記調整ユニットを調整して、前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく前記電圧と前記正確な電圧との絶対差を最小化し、
前記電圧供給器の前記基準電圧は、前記調整期間後に前記調整ユニットの前記出力電圧に基づいて提供され、
前記超安定DC電圧源が、10℃の温度範囲にわたって1ppm未満の電圧安定性を有する、電圧供給器。
【請求項27】
少なくとも1つの電極に電圧を供給するための基準電圧を提供するための電圧供給器であって、
超安定DC電圧源と、正確なDC電圧源と、調整ユニットと、コンパレータと、制御ユニットと、を含み、
前記超安定DC電圧源の供給電圧に基づいて提供される超安定電圧が前記調整ユニットに印加され、前記調整ユニットは、出力電圧を提供し、
前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく電圧が、前記正確なDC電圧源の供給電圧に基づいて提供される正確な電圧と、前記コンパレータによって比較され、
前記コンパレータは、前記比較から生じる信号を前記制御ユニットへ提供し、
前記制御ユニットは、前記コンパレータによって提供される前記信号に従って調整期間中に前記調整ユニットを調整して、前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく前記電圧と前記正確な電圧との絶対差を最小化し、
前記電圧供給器の前記基準電圧は、前記調整期間後に前記調整ユニットの前記出力電圧に基づいて提供され、
前記正確なDC電圧源が、1000ppm未満の供給電圧の生成精度を有する、電圧供給器。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか1つの電圧供給器をキャリブレーションして、少なくとも1つの電極に電圧を供給するための基準電圧を提供するための方法であって、前記調整ユニットの前記出力電圧に基づいて提供される電圧は、前記基準電圧としてスイッチを介して前記電圧供給器によって提供され得るものであり、
前記調整ユニットの前記出力電圧に基づいて提供される前記電圧が前記スイッチに印加されているが、この電圧が前記基準電圧として前記スイッチを介して提供されない間に、前記電圧供給器がアクティブ化するステップと、
前記コンパレータによって提供される前記信号に従って前記制御ユニットが前記調整ユニットを調整して、前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく前記電圧と前記コンパレータによって比較される前記正確な電圧との前記絶対差を最小化するステップと、
前記コンパレータで比較された前記電圧の前記絶対差が定義された最小値を下回り、前記制御ユニットによる前記調整が停止するとき、前記制御ユニットが前記スイッチにスイッチング信号を送信し、前記スイッチング信号を受信して前記スイッチが作動し、次に前記スイッチに印加される前記調整ユニットの前記出力電圧に基づいて提供される前記電圧が、前記基準電圧として前記スイッチを介して前記電圧供給器によって提供されるステップと、を含む方法。
【請求項29】
前記スイッチに印加される前記調整ユニットの前記出力電圧に基づいて提供される前記電圧は、前記コンパレータによって比較される、前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく前記電圧である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項10に記載の電圧供給器をキャリブレーションして、少なくとも1つの電極に電圧を供給するための基準電圧を提供するための方法であって、前記電圧供給器は前記スイッチを含み、
前記調整ユニットの前記出力電圧に基づいて提供される電圧、及び、前記正確なDC電圧源の前記供給電圧に基づいて提供される正確な電圧が前記スイッチに印加されており、前記スイッチに印加される前記調整ユニットの前記出力電圧に基づいて提供される前記電圧が、前記スイッチを介して前記電圧増幅器に接続されていないが、前記スイッチに印加される前記正確な電圧が、前記スイッチを介して前記電圧増幅器に接続されている間に、前記電圧供給器がアクティブ化するステップと、
前記コンパレータによって提供される前記信号に従って前記制御ユニットが前記調整ユニットを調整して、前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく前記電圧と前記コンパレータによって比較される前記正確な電圧との前記絶対差を最小化するステップと、
前記コンパレータで比較された前記電圧の前記絶対差が定義された最小値を下回り、前記制御ユニットによる前記調整が停止するとき、前記制御ユニットが前記スイッチにスイッチング信号を送信し、前記スイッチング信号を受信して前記スイッチが作動し、次に前記スイッチに印加される前記調整ユニットの前記出力電圧に基づいて提供される前記電圧が、前記基準電圧として前記スイッチを介して前記電圧増幅器に接続され、前記スイッチに印加される前記正確な電圧が、前記スイッチによって前記電圧増幅器から切断されるステップと、を含む方法。
【請求項31】
前記スイッチに印加される前記調整ユニットの前記出力電圧に基づいて提供される前記電圧は、前記コンパレータによって比較される、前記調整ユニットの前記出力電圧に基づく前記電圧である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記スイッチに印加される前記正確な電圧が、前記コンパレータによって比較される前記正確な電圧である、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
請求項1~27のいずれかに記載の前記電圧供給器を含む質量分析計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準電圧を提供している電圧供給器に関する。この基準電圧は、少なくとも1つの電極に電圧を供給するために使用される。
【背景技術】
【0002】
質量分析計では、イオンは帯電した電極によって移送および分析される。DC電圧および/またはRF電圧がこれらの電極に印加される。
【0003】
質量分析計の性能は、印加電圧の安定性および/または精度に非常によく依存する。これは、電圧源、電圧供給器、または電圧供給器によって提供されて、次に電圧増幅器によって電極に印加される電圧に増幅され得る基準電圧によって提供され得る。
【0004】
印加電圧の安定性と精度に関する要件は、質量分析計の電極の機能によって異なる。
【0005】
質量分析計のいくつかの機能のためにDC電圧源によって提供される電圧は、時間と温度にわたって安定している必要がある。
【0006】
したがって、DC電圧源によって提供される電圧の安定性およびそれに応じた精度は、時間および温度にわたって定義され、好ましくは、特定の時間期間および温度範囲に関して同じ値を有する。
【0007】
DC電圧源の電圧の経時的な安定性は、一定温度(ΔT<1℃)での特定の時間期間における電圧の標準偏差の6倍として定義される。通常、電圧の安定性を定義するための特定の時間期間は、12から36時間の間であり、好ましくは、24時間の時間期間で定義される。経時的な電圧の安定性は、ほとんどの場合、DC電圧源によって供給される電圧の平均値に対する電圧の標準偏差の6倍として提供され、通常はppm値として提供される。そのため、電圧源の平均電圧が6Vで、経時的な電圧の安定性が12ppmの場合、電圧源の安定性を定義する特定の時間期間における電圧の標準偏差は12μVである。
【0008】
DC電圧源によって提供される平均電圧である、DC電圧源の温度に対する電圧の安定性は、特定の温度範囲における電圧の最大値および最小値の最大偏差として定義される。通常、電圧の安定性は、少なくとも10℃、好ましくは少なくとも20℃、特に好ましくは少なくとも25℃の温度範囲にわたって定義される。好ましくは、温度範囲は、DC電圧源の動作温度に関して対称的である。
【0009】
温度に対するDC電圧源の電圧のこの安定性は、DC電圧源の特定の動作温度で利用することができる。好ましくは、それは、DC電圧源の動作温度の範囲で利用可能である。温度に対するDC電圧源の電圧の安定性が利用可能である動作温度の範囲は、2℃より大きく、好ましくは10℃より大きく、より好ましくは50℃より大きく、そして最も好ましくは100℃より大きくすることができる。温度に対するDC電圧源の電圧の安定性が利用できる動作温度の一般的な範囲は、15℃から40℃の間である。好ましくは、温度に対するDC電圧源の電圧の安定性が利用可能である、動作温度の範囲は、5℃から60℃の間、より好ましくは-10℃から90℃の間、そして最も好ましくは-40℃から110℃の間である。
【0010】
温度に対する電圧の安定性は、ほとんどの場合、DC電圧源によって供給される電圧の平均値に対する、特定の温度範囲での電圧の最大値と最小値の相対的な最大偏差として提供され、通常ppm値として提供される。そのため、電圧源の平均電圧が6Vで、温度に対する電圧の安定性が10ppmの場合、電圧の最大偏差は60μVであり、これは特定の温度範囲での電圧の最大差で、電圧源の安定性が決定される。
【0011】
DC電圧源から供給されるDC電圧の精度は、DC電圧源が生成されたときの供給電圧の平均値が有する、最大偏差によって定義される。この精度は、さらに生成精度として示される。そのため、DC電圧源の供給電圧の平均値は、DC電源によって提供される電圧の値である、公称電圧から、精度によって与えられる最大偏差を超えて逸脱することはない。
【0012】
DC電圧源によって供給されるDC電圧の精度は、ppm値として提供され、生成されたDC電圧源の公称電圧から公称電圧への平均値の最大偏差の比率を提供する。通常、生成されたDC電圧源のセットの供給電圧の平均値の偏差は、それらの公称電圧と対称である。しかし、公称電圧に関するより高いまたはより低い電圧値への偏差が、例えば、系統的誤差のために、より高い発生率を有する可能性もある。
【0013】
特に、飛行時間型(TOF)質量分析計の性能は電極に印加される電圧の安定性および/または精度に依存する。
【0014】
飛行時間型(TOF)質量分析計では、既知の距離を移動するイオンの飛行時間を記録する。これらの飛行時間は、質量電荷比(m/z)を決定するために使用される。飛行時間から質量電荷比への変換は、キャリブレーション機能によって行われる。
【0015】
多重反射飛行時間型質量分析計では、イオンは、少なくとも1つのミラー電極を含む質量分析器のイオンミラー間で振動し、これらの飛行時間型質量分析計のキャリブレーションの安定性は、他のパラメータの中でも、ミラー電極に印加される電圧の安定性と精度の影響を受ける。質量分析計の質量精度と、安定した電圧が供給される、ミラー電極の電圧安定性との比率は、多かれ少なかれ1対1である。したがって、例えば、1ppmの一般的に意図された質量精度を達成するためには、1ppmの電圧安定性が少なくとも1つのミラー電極に必要である。質量分析計の高分解能力および質量精度をさらに高めるために、少なくとも1つのミラー電極の0.8ppm未満の電圧安定性が有利であり、少なくとも1つのミラー電極の0.5ppm未満の電圧安定性がより有利である。
【0016】
また、質量分析器として静電トラップを含むことができるフーリエ変換質量分析計の性能は、電極に印加される電圧の安定性および/または精度に依存している。
【0017】
フーリエ変換質量分析計では、イオンはイオントラップで循環している。イオンの測定されたサイクル周波数は、それらの質量電荷比を決定するために使用される。周波数から質量電荷比への変換は、キャリブレーション機能を使用して行われる。キャリブレーションの安定性は、他のパラメータの中でも、イオントラップの電極に、特に、静電トラップの中心電極に、例えば、サーモフィッシャーサイエンティフィック社によって販売されているオービトラップ(登録商標)質量分析器の中心電極に印加される電圧の安定性によって影響される。質量分析計の質量精度と電圧安定性の比率は、多かれ少なかれ1対1である。したがって、1ppmの質量安定性を達成するには、1ppmの電圧安定性が必要である。
【0018】
1ppm/℃の温度安定性を主張する利用可能な正確な電圧基準はほとんどない。しかし、これは約10℃の一般的な温度範囲内で質量分析計を操作するには十分ではない。
【0019】
特に高精度電圧機器では、非常に安定して高精度であるが残念ながら正確ではない基準電圧を提供する電圧供給が使用される。これらの超安定DC電圧源の出力電圧は、2Vから20Vの範囲、主に5Vから10Vの範囲、好ましくは5.5Vから8Vの範囲であり得る。しかし、出力電圧は通常、+/-4%を超える分だけ、通常は、かなり異なる。これらの超安定DC電圧源は、特にツェナーダイオードを使用している。このような電圧源の例は、リニアテクノロジー社が販売している基準電圧源LM399およびLTZ1000である。
【0020】
基準電圧の質量分析に必要な精度は、必要な安定性ほど高くない。それにもかかわらず、+/-4%の許容誤差は、ほとんどの場合、質量分析計を正常に動作するのに十分な精度ではない。
【0021】
多くのアプリケーション、例えばデジタルマルチメータでは、安定した基準電圧が使用され、DC電圧の正確な読み取り値はキャリブレータで調整される。これは、ポテンショメータが基準回路の利得を調整して、必要な精度の電圧値を生成することで実行できる。安定した基準電圧に基づく最新のテストおよび測定機器では、アナログ-デジタルコンバータの範囲は、許容帯域全体にわたって基準電圧を処理するのに十分な大きさである。キャリブレーションは、このアプローチを使用してソフトウェアで実行される。どちらのアプローチでも、仕様を満たすためには、すべての単一の機器でキャリブレーションが必要である。これらの製造方法は、いくつかの理由で時間と費用がかかる。正確で高価な機器が不可欠であり、さらに正確なキャリブレーションを実行できる訓練を受けた人員が必要とされる。他の欠点は、回路の安定性を乱す、ポテンショメータの比較的悪い安定性である。広い調整範囲の必要性も、高電圧アプリケーションの不安定性の原因である。調整範囲が小さいほど、回路の影響は小さくなる。
【0022】
要約すると、超安定で正確な電圧基準を同じ安定性を備えた正確な電圧基準に変換するには、多くの労力を使用する必要がある。その上、正確な電圧から正確な基準電圧を取得する技術は、その安定性に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
したがって、本発明の第1の目的は、改善された電圧供給を提供することであり、これは基準電圧を提供するもので、高精度で高安定性も有するものである。
【0024】
本発明の第2の目的は、改善された電圧供給器のためのキャリブレーション方法を提供することであり、これは基準電圧を提供するもので、高精度および高安定性も有し、これにより、電圧源がアクティブ化された後、特に、例えば、停電によるなど、電圧供給器の意図しない中断後に再アクティブ化された後、基準電圧が電圧源によってできるだけ早く提供されることを可能にすることである。
【0025】
本発明の第3の目的は、高精度かつ高安定性を有する基準電圧のキャリブレーションが終了する前に、提供されたキャリブレーション方法がすでに基準電圧を提供していることである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
第1の目的は、請求項1の電圧供給器によって解決される。
【0027】
電圧供給は、少なくとも1つの電極に電圧を供給するための基準電圧を提供する。提供された基準電圧は、少なくとも1つの電極に直接印加することができ、または少なくとも1つの増幅器に印加することができ、次に、増幅された電圧を提供し、これが少なくとも1つの電極に供給される。供給された基準電圧は、複数の電極に電圧を供給するために使用できる。増幅された電圧として少なくとも1つの増幅器によって提供される供給電圧は、すべての電極について同じであり得るか、またはいくつかの電極または各電極について異なり得る。
【0028】
本発明の電圧供給は、2つの異なるDC電圧源、超安定DC電圧源および正確なDC電圧源を含む。
【0029】
超安定DC電圧源は非常に安定した出力電圧を提供する。出力電圧の安定性は、時間と特定の温度範囲にわたって提供される。通常、DC超安定電圧源によって提供される出力電圧は、5ppm未満、好ましくは1ppm未満、より好ましくは0.5ppm未満、特に好ましくは0.3ppm未満の電圧安定性を有する。出力電圧の安定性は、通常、12時間を超える、好ましくは24時間を超える、より好ましくは48時間を超える、特に96時間を超える時間にわたって提供される。出力電圧の安定性は、通常、10℃を超える、好ましくは15℃を超える、より好ましくは20℃を超える、特に25℃を超える温度範囲にわたって提供される。
【0030】
温度範囲にわたる超安定DC電圧源の出力電圧の安定性は、超安定DC電圧源の特定の動作温度で、または好ましくは超安定DC電圧源の動作温度の範囲で利用可能であり得る。
【0031】
温度に対する超安定DC電圧源の電圧の安定性が利用可能である動作温度の範囲は、2℃より大きく、好ましくは10℃より大きく、より好ましくは50℃より大きく、そして最も好ましくは100℃より大きくすることができる。温度に対する超安定DC電圧源の電圧の安定性が利用できる動作温度の一般的な範囲は、15℃から40℃の間である。好ましくは、温度に対する超安定DC電圧源の電圧の安定性が利用可能である、動作温度の範囲は、5℃から60℃の間、より好ましくは-10℃から90℃の間、そして最も好ましくは-40℃から110℃の間である。
【0032】
正確なDC電圧源は、通常、1000ppm未満、好ましくは400ppm未満、より好ましくは250ppm未満、最も好ましくは100ppm未満の精度で非常に正確なDC出力電圧を提供する。
【0033】
超安定DC電源によって供給される電圧は、好ましくは、正確なDC電圧源によって供給される電圧よりも高い絶対値を有し得る。この場合、本発明の電圧供給器において追加の増幅器は必要とされない。
【0034】
通常、これらの実施形態では、超安定DC電源の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源の電圧の絶対値よりも少なくとも2%高い。好ましくは、超安定DC電源の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源の電圧の絶対値よりも少なくとも10%高い。より好ましくは、超安定DC電源の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源の電圧の絶対値よりも少なくとも25%高い。
【0035】
通常、超安定DC電源の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源の電圧の絶対値より高くても500%以下である。好ましくは、超安定DC電源の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源の電圧の絶対値より高くても200%以下である。より好ましくは、超安定DC電源の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源の電圧の絶対値より高くても100%以下である。
【0036】
別の実施形態では、超安定DC電源により供給される電圧が増幅器に供給され、次に増幅された電圧は正確なDC電圧源から提供される電圧よりも高い絶対値を有している。
【0037】
通常、両方の電圧源、超安定DC電源と正確なDC電圧源は、0.5Vから100Vの範囲、好ましくは2Vから20Vの範囲、より好ましくは5Vから10Vの範囲、最も好ましくは5.5Vから8Vの範囲の絶対値を有する電圧を提供する。好ましくは、超安定DC電圧源は、特にシリコンに基づくZダイオードおよび/またはツェナーダイオードを使用しており、これらは、好ましくは、5Vから8Vの範囲の電圧を供給している。
【0038】
本発明の電圧供給は、調整ユニットも含む。
【0039】
電圧は、電圧源によって調整ユニットに供給され、これは、調整ユニットの少なくとも1つの(入力)コネクタ、好ましくは、調整ユニットの2つの(入力)コネクタに印加される。調整ユニットは、少なくとも1つの(出力)コネクタに出力電圧を提供するものであって、提供された出力電圧は、調整ユニットによって調整することができる。
【0040】
調整ユニットは、1つまたは複数の調整可能な分圧器を含み得る。好ましい実施形態では、調整ユニットは調整可能な分圧器であり得る。
【0041】
調整可能な分圧器は、好ましくは少なくとも1つの抵抗器、より好ましくは接続された抵抗器のネットワークを含む。それから調整可能な分圧器は抵抗器または抵抗ネットワークからの電圧を接続することにより、少なくとも1つの(出力)コネクタに出力電圧を提供する。
【0042】
本発明の電圧供給で使用することができる調整可能な分圧器は、調整可能な分圧器であり、これは、出力電圧を調整できることを意味する。調整可能な分圧器の一種は、ポテンショメータとも呼ばれる。従来のポテンショメータでは、分圧器は出力コネクタに接続された、スライド接点によって調整される。本発明の電圧供給器の調整可能な分圧器は、アナログまたはデジタルで調整することができる。アナログの調整可能分圧器では、分圧器の電気回路の電気コンポーネントによっても調整を実行でき、これにより、調整された出力電圧が分圧器の(出力)コネクタに提供される。分圧器がデジタルで調整されている場合、それはデジタル-アナログ変換器(DAC)であり得、数ビットのデジタル信号が調整入力として提供されるものであって、ビットはデジタル-アナログ変換器(DAC)の並列抵抗ネットワークのスイッチング抵抗器で、これはRと2Rの値を有する抵抗器の繰り返しカスケード構造を含むR-2RラダーDACであり得る。この場合、各ビットはバイナリで重み付けされる。
【0043】
本発明の電圧供給器において調整ユニットとして使用することができる、別のタイプのデジタル-アナログ変換器(DAC)は、単一ビット信号によって制御される、パルス幅変調器、および変調信号のDCコンポーネントを調整ユニットの出力電圧として提供するためのローパスフィルタを含む。
【0044】
本発明の別の実施形態では、電圧供給器の調整ユニットは、直列に接続された、少なくとも1つの抵抗器および調整可能な分圧器を含む。電圧が電圧源から調整ユニットに供給されるとき、電圧の一部のみが調整可能な分圧器に印加され、印加電圧のこの部分のみが調整可能な分圧器によって調整可能で(出力)コネクタに出力電圧を提供する。
【0045】
本発明の別の実施形態では、電圧供給器の調整ユニットは、2つの調整可能な分圧器を含む。電圧源により調整ユニットに供給される電圧は2つの調整可能な分圧器の第1の調整可能な分圧器に印加され、これは(出力)コネクタに第1の出力電圧を提供する。次に、この第1の出力電圧が2つの調整可能な分圧器の第2の調整可能な分圧器に印加され、これは(出力)コネクタに第2の出力電圧を提供し、これは調整ユニットの出力電圧である。好ましくは、第1の調整可能な分圧器は、調整ユニットの出力電圧を粗調整するために使用され、第2の調整可能な分圧器は、調整ユニットの出力電圧を微調整するために使用される。
【0046】
本発明の別の実施形態では、電圧供給器の調整ユニットは、並列に接続された、少なくとも1つの抵抗器およびデジタル-アナログ変換器(DAC)、ならびに電流-電圧変換器、通常はトランスインピーダンス増幅器を含む。好ましくは、デジタル-アナログ変換器(DAC)は、少なくとも1つのさらなる抵抗器と直列に接続されている。電圧が電圧源により調整ユニットに供給されるとき、これは並列接続されたデジタル-アナログ変換器(DAC)および少なくとも1つの抵抗器に印加される。この並列接続のもう一方の端は、電流-電圧コンバータの入力に接続され、これは調整ユニットの出力電圧を提供する。
【0047】
本発明の別の実施形態では、電圧供給器の調整ユニットは、並列に接続された、少なくとも1つの抵抗器および2つのデジタル-アナログ変換器(DAC)、ならびに電流-電圧変換器、通常はトランスインピーダンス増幅器を含む。電圧が電圧源により調整ユニットに供給されるとき、これは並列接続されたデジタル-アナログ変換器(DAC)および少なくとも抵抗器に印加される。この並列接続のもう一方の端は、電流-電圧コンバータの入力に接続され、これは調整ユニットの出力電圧を提供する。この構成では、好ましくは、2つのデジタル-アナログ変換器(DAC)の1つは、調整ユニットの出力電圧の粗調整のために提供され、2つのデジタル-アナログ変換器(DAC)のもう1つは、調整ユニットの出力電圧の微調整のために提供されている。好ましくは、両方のデジタル-アナログ変換器(DAC)は、少なくとも1つのさらなる抵抗器と直列に接続されている。より高い抵抗率の抵抗器と直列に接続されたデジタル-アナログ変換器(DAC)は、微調整のために提供されている。
【0048】
本発明の別の実施形態では、電圧供給器の調整ユニットは、少なくとも1つの抵抗器およびデジタル-アナログ変換器(DAC)を含み、これらには2つの電圧が供給され、これらは2つの電圧源により調整ユニット、および電流-電圧変換器、通常はトランスインピーダンス増幅器に供給される。少なくとも1つの抵抗器およびデジタル-アナログ変換器(DAC)がノードに接続されており、これは電流-電圧変換器の入力に接続され、これは調整ユニットの出力電圧を提供している。デジタル-アナログ変換器(DAC)は、少なくとも1つのさらなる抵抗器と直列に接続されている。
【0049】
本発明の電圧供給器の一実施形態では、超安定DC電圧源の供給電圧は、調整ユニットの少なくとも1つの(入力)コネクタに直接印加される。
【0050】
別の実施形態では、超安定DC電圧源により供給される電圧が増幅器に供給され、次に増幅された電圧が調整ユニットの少なくとも1つの(入力)コネクタに印加される。
【0051】
これらの実施形態は、超安定DC電圧源の供給電圧に基づく超安定電圧が調整ユニットに印加され得る方法を示す単純な構成を表す。例えば、当業者に知られている他の構成を使用して、超安定DC電圧源の供給電圧から導出される電圧を超安定電圧として調整ユニットに印加することができる。
【0052】
本発明の電源の一実施形態では、調整ユニットの出力電圧は、電圧供給器によって提供される基準電圧を供給するために使用される。この実施形態では、調整ユニットは、その出力電圧として直接基準電圧を提供している。
【0053】
本発明の電源の別の実施形態では、調整ユニットの出力電圧は増幅器に供給され、次に増幅された電圧は、電圧供給器によって提供される基準電圧である。
【0054】
仕様全体において、増幅器による電圧の増幅は、増幅される電圧の増加に限定されないものとする。増幅により、電圧の低下も可能である。この仕様に記載されている増幅器によると、一般に、通常は上であるが、増幅器によって電圧が低下した場合にはまた1未満である可能性がある利得を有し得る。
【0055】
これらの実施形態は、調整ユニットの出力電圧に基づいて本発明の電圧供給器の基準電圧をどのように提供することができるかを示す単純な構成を表す。例えば、当業者によって知られている他の構成を使用して、調整ユニットの出力電圧から導出される本発明の電圧供給器の基準電圧を提供することができる。
【0056】
本発明の電圧供給は、コンパレータも含む。コンパレータは、2つの入力電圧を比較する電気コンポーネントである。電圧供給器の調整を可能にするために、コンパレータは2つの入力電圧の比較から生じる出力信号を提供する。出力信号は、比較された電圧の差に等しいか比例する信号であり得る。好ましくは、コンパレータは、差動増幅器であり得る演算増幅器を含む。
【0057】
好ましい実施形態では、コンパレータの出力信号は、出力信号0および1のみを有するデジタル信号である。これらの信号によって、2つの入力電圧のどちらが高い値を有するかのみが示される。このような種類のコンパレータには、非常に低い電圧または高い電圧を提供する、高利得差動増幅器を使用でき、次に、これらは信号0および1として識別される。
【0058】
コンパレータはデジタルコンパレータにすることもできる。このコンパレータによって、2つのデジタル信号が比較される。アナログ-デジタル変換器によって変換された場合、2つのアナログ電圧をデジタルコンパレータに供給することも可能である。この実施形態では、デジタルコンパレータは、好ましくは、スイッチを使用して、同じアナログ-デジタル変換器による同じ接続を介して両方の信号を測定する。
【0059】
調整ユニットの出力電圧に基づく電圧、および正確なDC電圧源に基づいて提供される正確な電圧が、電圧信号を比較する、本発明の電源のコンパレータに提供される。
【0060】
本発明の電圧供給器の好ましい実施形態では、調整ユニットの出力電圧および正確な電圧源の電圧が、電圧信号を比較する、本発明の電源のコンパレータに直接提供される。
【0061】
本発明の電圧供給器の一実施形態では、調整ユニットの出力電圧は、コンパレータによって正確な電圧と比較されて、制御ユニットが調整期間中に調整ユニットを調整している制御ユニットに信号を提供する。調整ユニットの調整により、調整ユニットの出力電圧と正確な電圧との絶対差を最小化する。
【0062】
本発明の電圧供給器の別の実施形態では、コンパレータに提供される、調整ユニットの出力電圧に基づく電圧は、調整ユニットの出力電圧の増幅された電圧である。次に、調整ユニットの出力電圧が増幅器に供給され、これが出力電圧の増幅された電圧を提供している。次に、この増幅された電圧は、コンパレータによる比較に使用される。
【0063】
これらの実施形態は、正確な電圧と比較されるように、調整ユニットの出力電圧に基づく電圧をコンパレータに提供する方法を示す単純な構成を表す。例えば、当業者によって知られている他の構成を使用して、調整ユニットの出力電圧から導出される電圧をコンパレータに提供して、正確な電圧と比較することができる。
【0064】
本発明の電圧供給器の一実施形態では、正確なDC電圧源の供給電圧は正確な電圧であり、これは、コンパレータによって、調整ユニットの出力電圧に基づく電圧と比較される。
【0065】
本発明の電圧供給器の別の実施形態では、正確なDC電圧源に基づいて提供され、コンパレータに提供される正確な電圧は、正確なDC電圧源によって供給される正確な電圧の増幅された電圧である。正確なDC電圧源によって供給される正確な電圧は、正確なDC電圧源によって供給される正確な電圧の増幅された電圧を提供している、増幅器に供給される。次に、この増幅された電圧は、コンパレータによる比較に使用される。
【0066】
これらの実施形態は、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいて提供される正確な電圧を、調整ユニットの出力電圧に基づく電圧と比較されるコンパレータに提供する方法を示す単純な構成を表す。例えば、当業者に知られている他の構成を使用して、正確なDC電圧源の供給電圧から導出される正確な電圧をコンパレータに提供して、調整ユニットの出力電圧に基づく電圧と比較することができる。
【0067】
コンパレータのこれら2つの入力電圧の比較から生じる出力信号は、比較された電圧の差に等しいか比例する信号であり得る。これら2つの入力電圧の比較から生じる出力信号もデジタル信号にすることができる。
【0068】
本発明の電源は、制御ユニットも含む。
【0069】
制御ユニットは、プロセッサを含み得る。コンピュータプログラムをプロセッサ上で実行して、方法の説明されたステップに従って電圧供給を操作することができる。
【0070】
調整ユニットの出力電圧に基づく電圧と、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいて提供される、正確な電圧との比較から生じる、コンパレータによって提供される信号は、入力信号として制御ユニットに提供される。
【0071】
通常、当初は電圧供給器のアクティブ化または再アクティブ化の後の調整期間中、制御ユニットは、提供された信号に従って調整ユニットを調整し、コンパレータに提供された電圧間の差を最小化し、これは調整ユニットの出力電圧と正確な電圧に基づく電圧で、これは正確なDC電圧源の供給電圧に基づいて提供される。これを達成するために、制御ユニットは調整ユニットに提供される出力信号を提供する。
【0072】
制御ユニットに提供されるコンパレータによって提供される信号が、比較された電圧の差に等しいか比例する場合、検出された電圧差に従って、制御ユニットは反応し、調整ユニットに信号を提供して検出された電圧差に従って出力電圧を増減し、コンパレータに提供される電圧の差を減らす。
【0073】
正確なDC電圧源の供給電圧に基づいてコンパレータに提供される、正確な電圧の絶対値が、調整ユニットの出力電圧に基づいている、コンパレータに提供される電圧の絶対値より高い場合、制御ユニットによって提供される出力信号は、調整ユニットの出力電圧の絶対値を増加させている。
【0074】
本発明の電圧供給器の好ましい実施形態において、調整ユニットの出力電圧および正確なDC電圧源によって供給される電圧が本発明の電源のコンパレータに直接提供されるとき、制御ユニットによって提供される出力信号は、正確なDC電圧源の電圧の絶対値が、コンパレータに提供される調整ユニットの出力電圧の絶対値よりも高い場合に、調整ユニットの出力電圧の絶対値を増加させている。
【0075】
特に、コンパレータがデジタル信号を提供している場合、その時に一実施形態では、コンパレータによって提供されるデジタル信号は、第1の値によって、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいてコンパレータに提供される、正確な電圧の絶対値が、調整ユニットの出力電圧に基づいている、コンパレータに提供される電圧の絶対値よりも高いことを示す。制御ユニットは、コンパレータによって提供されるデジタル信号の第1の値に反応し、信号、好ましくはデジタル信号を調整ユニットに提供して、その出力電圧の絶対値を増加させる。
【0076】
この実施形態では、制御ユニットによって提供される出力信号は、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいてコンパレータに提供される、正確な電圧の絶対値が、調整ユニットの出力電圧に基づいている、コンパレータに提供される電圧の絶対値よりも低い場合、調整ユニットの出力電圧の絶対値を減少させる。
【0077】
コンパレータによって提供されるデジタル信号は、第2の値によって、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいてコンパレータに提供される、正確な電圧の絶対値が、調整ユニットの出力電圧に基づいている、コンパレータに提供される電圧の絶対値よりも低いことを示す。制御ユニットは、コンパレータによって提供されるデジタル信号の第2の値に反応し、信号、好ましくはデジタル信号を調整ユニットに提供して、その出力電圧の絶対値を減少させる。
【0078】
好ましくは、調整ユニットの出力電圧の増減は、それに応じて調整ユニットに信号を提供する制御ユニットによって段階的に減少される。調整ユニットの出力電圧のこの減少した変化により、調整ユニットの出力電圧に基づく、コンパレータに提供される電圧と、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいてコンパレータに提供される、正確な電圧との絶対差が最小化され、すなわち、調整ユニットの出力電圧に基づく、コンパレータに提供される電圧と、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいてコンパレータに提供される、正確な電圧との絶対差が次第に少なくなる。
【0079】
このアプローチでは、調整プロセス中の出力電圧の変化を段階的に低減することで、コンパレータによって比較される電圧の絶対差を最小化することのみが重要である。
【0080】
本発明の電圧供給器の好ましい実施形態において、調整ユニットの出力電圧および正確な電圧源の電圧が、調整ユニットの出力電圧の減少した変化によって、本発明の電源のコンパレータに直接提供されるとき、調整ユニットの出力電圧と正確なDC電圧源の電圧との間の絶対差は最小化され、すなわち、調整ユニットの出力電圧と正確なDC電圧源の電圧との絶対差は次第に少なくなる。
【0081】
本発明の電源の一実施形態において、コンパレータから提供される信号が、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいてコンパレータに提供される、正確な電圧に対して調整ユニットの出力電圧に基づく、コンパレータに提供される電圧の絶対差が定義された最小値を下回っていることを示すとき、制御ユニットによる調整を停止できる。次に、調整ユニットは出力電圧を提供しており、これは、超安定DC電圧源の安定性と正確なDC電圧源の精度を有する電圧であり、これにより、この電圧は調整またはキャリブレーションされていると見なされ得る。調整ユニットによって提供される出力電圧は、電源の基準電圧として直接使用することができ、または電源の基準電圧は、調整ユニットの出力電圧に基づくことができる。次に、好ましくは、調整ユニットの出力電圧が増幅器に供給され、増幅された電圧は、電圧供給器によって提供される基準電圧である。提供される基準電圧は、コンパレータに提供される、正確な電圧に基づいて調整されており、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいており、この調整により、正確なDC電圧源の精度を有し、コンパレータに提供される、正確な電圧と同じ精度を有する。しかし、本発明の電源の回路設計により、超安定DC電源の供給電圧に基づいて提供される、調整ユニットに印加される超安定電圧により、超安定DC電圧源の安定性を有するようになった。増幅器のような任意の電気コンポーネントがコンパレータに提供される正確な電圧の精度と調整ユニットに適用される超安定電圧の安定性に影響を与えない場合、これは特に正しい。そうでなければ、本発明の電圧供給器の性能が低下する可能性がある。しかし、それにもかかわらず、本発明の電圧供給は、高精度および高安定性の基準電圧を提供するであろう。
【0082】
本発明の電圧供給器の好ましい実施形態において、調整ユニットの出力電圧および正確な電圧源の電圧が本発明の電源のコンパレータに直接提供され、コンパレータから提供される信号が、正確なDC電圧源の電圧に対する調整ユニットの出力電圧の絶対差が定義された最小値を下回っていることを示すとき、制御ユニットによる調整を停止できる。次に、調整ユニットは、超安定DC電圧源の安定性と正確なDC電圧源の精度を有し、それに基づいて電源の基準電圧が提供される出力電圧を提供する。好ましくは、調整ユニットによって提供される出力電圧は、本発明の電源によって提供される基準電圧として直接使用することができる。調整ユニットの出力電圧の平均は、正確なDC電圧源によって供給される電圧の平均に等しくなる。そのため、調整ユニットの出力電圧が本発明の電源によって提供される基準電圧として直接使用される場合、提供される基準電圧は、定義された最小値よりも小さい差は別として、正確なDC電圧源によって供給される電圧の値および同じ精度を有する。しかし、本発明の電源の回路設計により、超安定DC電圧源の安定性を有している。
【0083】
好ましくは、調整ユニットの調整が停止されたときの定義された最小値と、正確なDC電圧源によって供給される電圧の公称平均値との比率は、100ppm未満、好ましくは40ppm未満、より好ましくは25ppm未満、および最も好ましくは10ppm未満である。
【0084】
本発明の電源の別の実施形態では、制御ユニットによる調整ユニットの調整は、調整ユニットの出力電圧に基づく、コンパレータに提供される電圧の絶対差を正確な電圧に最小化するプロセスであり、これは、定義された最小値を下回る正確なDC電圧源の供給電圧に基づいてコンパレータに提供される。制御ユニットによる調整ユニットの調整は、プロセスの最後に終了し、その後、調整ユニットは、本発明の電源の基準電圧を提供することができる出力電圧を提供している。すでに前に説明したように、調整ユニットの出力電圧に基づく、コンパレータに提供される電圧の絶対差の、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいてコンパレータに提供される、正確な電圧への低減は、少なくとも高精度および安定性の本発明の電源の基準電圧をもたらし、本発明の電源の詳細な回路設計に応じて、超安定DC電圧源の安定性および正確なDC電圧源の精度を有する可能性がある。
【0085】
すでに述べたように、本発明の電圧供給器の調整ユニットは、デジタル-アナログ変換器であり得る。本発明の電圧供給器のそのような実施形態では、電圧供給器の制御ユニットは、デジタル信号をデジタル-アナログ変換器に提供して、デジタル-アナログ変換器の出力電圧を調整する。
【0086】
また前述したように、本発明の電圧供給器の調整ユニットは、1つまたは複数のデジタル-アナログ変換器を含み得る。本発明の電圧供給器のそのような実施形態では、電圧供給器の制御ユニットは、デジタル信号を各デジタル-アナログ変換器に提供して、デジタル-アナログ変換器の出力電圧を調整する。
【0087】
好ましくは、調整ユニットのデジタル-アナログ変換器は、抵抗ラダーネットワーク、特にR-2R抵抗ラダーネットワークを含む。それから、制御ユニットによって提供されるデジタル信号は、特定のビット数のデジタル信号である。好ましくは、デジタル信号は、少なくとも12ビット、特に好ましくは少なくとも16ビット、最も好ましくは少なくとも20ビットの信号である。このような数ビットのデジタル信号が調整入力として提供されるとき、ビットはスイッチングスイッチであり、デジタル-アナログ変換器(DAC)の並列抵抗ネットワークで抵抗を追加し、これはRと2Rの値を有する抵抗器の繰り返しカスケード構造を含むR-2RラダーDACであり得る。この場合、各ビットはバイナリで重み付けされる。
【0088】
しかし、制御ユニットによって提供されるデジタル信号は、1ビットの信号にすることもできる。このような信号は、調整ユニットのデジタル-アナログ変換器がパルス幅変調器とローパスフィルタを含む場合に特に使用される。次に、制御ユニットのこの1ビット信号は、調整ユニットの入力を介してこのデジタル-アナログ変換器に提供される。
【0089】
制御ユニットが調整ユニットにデジタル信号を提供しているとき、制御ユニットは、好ましくは、プロセッサ、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)またはコンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)のようなプログラマブルロジック回路を含む。
【0090】
好ましくは、制御ユニットは、コンパレータによって提供されるデジタル信号に従って、調整ユニットの各デジタル-アナログ変換器にデジタル信号を提供する。正確なDC電圧源の供給電圧に基づいてコンパレータに提供される、正確な電圧の絶対値が、調整ユニットの出力電圧に基づいている、コンパレータに提供される電圧の絶対値より高い場合、好ましい一実施形態の制御ユニットによって提供されるデジタル信号は、調整ユニットの出力電圧の絶対値を増加させている。この場合、コンパレータによって提供されるデジタル信号は、第1の値によって、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいてコンパレータに提供される、正確な電圧の絶対値が、調整ユニットの出力電圧に基づいている、コンパレータに提供される電圧の絶対値よりも高いことを示す。制御ユニットは、コンパレータによって提供されるデジタル信号の第1の値に反応し、調整ユニットの各デジタル-アナログ変換器にデジタル信号を提供して、調整ユニットの出力電圧の絶対値を増加させる。正確なDC電圧源の供給電圧に基づいてコンパレータに提供される、正確な電圧の絶対値が、調整ユニットの出力電圧に基づいている、コンパレータに提供される電圧の絶対値より低い場合、この好ましい実施形態の制御ユニットによって提供されるデジタル信号は、調整ユニットの出力電圧の絶対値を減少させている。この場合、コンパレータによって提供されるデジタル信号は、第2の値によって、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいてコンパレータに提供される、正確な電圧の絶対値が、調整ユニットの出力電圧に基づいている、コンパレータに提供される電圧の絶対値よりも低いことを示す。制御ユニットは、コンパレータによって提供されるデジタル信号の第2の値に反応し、調整ユニットの各デジタル-アナログ変換器にデジタル信号を提供して、調整ユニットの出力電圧の絶対値を減少させる。
【0091】
制御ユニットが、コンパレータによって提供されるデジタル信号に従って、デジタル-アナログ変換器である、調整ユニットにデジタル信号を提供するとき、デジタル信号は、制御ユニットによって提供され、別の好ましい実施形態では、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいてコンパレータに提供される、正確な電圧の絶対値が、デジタル-アナログ変換器の出力電圧に基づく、コンパレータに提供される絶対電圧よりも高い場合、デジタル-アナログ変換器の出力電圧の絶対値を増加させる。この場合、コンパレータによって提供されるデジタル信号は、第1の値によって、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいてコンパレータに提供される、正確な電圧の絶対値が、デジタル-アナログ変換器の出力電圧に基づいている、コンパレータに提供される電圧の絶対値よりも高いことを示す。制御ユニットは、コンパレータによって提供されるデジタル信号の第1の値に反応し、デジタル信号をデジタル-アナログ変換器に提供して、その出力電圧の絶対値を増加させる。この好ましい実施形態では、デジタル信号が制御ユニットによって提供され、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいてコンパレータに提供される、正確な電圧の絶対値の値が、デジタル-アナログ変換器の出力電圧に基づいている、コンパレータに提供される電圧の絶対値よりも低い場合、デジタル-アナログ変換器の出力電圧の絶対値を減少させる。この場合、コンパレータによって提供されるデジタル信号は、第2の値によって、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいてコンパレータに提供される、正確な電圧の絶対値が、デジタル-アナログ変換器の出力電圧に基づいている、コンパレータに提供される電圧の絶対値よりも低いことを示す。制御ユニットは、コンパレータによって提供されるデジタル信号の第2の値に反応し、デジタル信号をデジタル-アナログ変換器に提供して、その出力電圧の絶対値を減少させる。
【0092】
好ましくは、調整ユニットの出力電圧の増減は、それに応じて調整ユニットのデジタル-アナログ変換器に信号を提供する制御ユニットによって段階的に減少される。調整ユニットの出力電圧のこの減少した変化により、調整ユニットの出力電圧に基づき、コンパレータに提供される電圧と、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいてコンパレータに提供される正確な電圧との絶対差を最小化する。
【0093】
調整ユニットがデジタル-アナログ変換器であるとき、デジタル-アナログ変換器の出力電圧の増減も、それに応じてデジタル信号を提供する制御ユニットによって段階的に減少されることが好ましい。デジタル-アナログ変換器の出力電圧のこの減少した変化により、デジタル-アナログ変換器の出力電圧に基づく、コンパレータに提供される電圧と、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいてコンパレータに提供される正確な電圧との絶対差を最小化する。
【0094】
多くの場合、本発明の電源によって提供される基準電圧は、増幅された電圧を少なくとも電極に印加している、少なくとも1つの電圧増幅器に印加される。本発明の電源によって提供される基準電圧は、スイッチを介して少なくとも1つの電圧増幅器に印加することができる。
【0095】
調整ユニットの出力電圧が、基準電圧として本発明の電圧供給器によって直接提供されるとき、調整ユニットの出力電圧は、増幅された電圧を少なくとも1つの電極に印加している、少なくとも1つの電圧増幅器に印加することができる。次に、調整ユニットの出力電圧を、スイッチを介して少なくとも1つの電圧増幅器に印加することができる。
【0096】
本発明の電圧供給器の一実施形態では、正確なDC電圧源の供給電圧に基づく、正確な電圧は、本発明の電圧供給器のさらなるコンポーネントである、スイッチを介して電圧増幅器に印加することもできる。スイッチに印加される正確な電圧は、特に、正確なDC電圧源によって供給される正確な電圧の増幅された電圧であり得る。正確なDC電圧源によって供給される正確な電圧は、本発明の電源に提供される別の増幅器に供給され、これは、正確なDC電圧源によって供給される正確な電圧の増幅された電圧を提供する。次に、この増幅された電圧がスイッチに印加される。本発明の電圧供給器の一実施形態では、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいてコンパレータに提供される正確な電圧は、本発明の電圧供給器のさらなるコンポーネントである、スイッチを介して電圧増幅器にも印加することができる。
【0097】
本発明の電圧供給器の一実施形態では、正確なDC電圧源の供給電圧もまた、本発明の電圧供給器のさらなるコンポーネントである、スイッチを介して電圧増幅器に印加することができる。
【0098】
本発明の電源によって提供される基準電圧は、質量分析計の1つまたは複数の電極に電圧を供給するために使用することができる。
【0099】
1つまたは複数の電極は、好ましくは、静電トラップのイオンをトラップするための1つまたは複数のトラップ電極であり得、1つまたは複数のトラップ電極に印加される基準電圧は、好ましくは、トラップ電圧である。
【0100】
特に、本発明の電源によって提供される基準電圧は、静電トラップの中心電極に電圧を供給するために使用することができる。
【0101】
通常、静電トラップの電極には、0.7kVから12kVの範囲の電圧が印加される。通常、静電トラップの中心電極には、1kVから8kVの範囲の電圧、好ましくは2kVから7kVの範囲の電圧が印加される。
【0102】
特に、基準電圧を増幅して、静電トラップ、特に、軌道トラッピング静電トラップの中心電極に正確で超安定な電圧を提供することによって、本発明の電源によって提供される基準電圧を使用することは、利点となり得、これは、サーモフィッシャーサイエンティフィック社によって販売されるオービトラップ(登録商標)質量分析器などの質量分析器として使用され得る。このような質量分析器の中心電極は、例えば、国際公開第96/30930号パンフレットに開示されており、その内容は本明細書に組み込まれている。
【0103】
中心電極は、好ましくは、長手方向軸を有する静電トラップで半径方向中心に配置され、より好ましくは、長手方向軸を有する静電トラップで半径方向中心および軸方向中心に配置される。しかし、中心電極はまた、長手方向軸を有する静電トラップの軸方向中心にのみ配置することができる。
【0104】
質量分析計の電極はまた、飛行時間型質量分析計、特に多重反射飛行時間型質量分析計の電極であり得る。多重反射飛行時間型質量分析計では、電圧供給器によって提供される基準電圧を使用して、ミラー電極、好ましくはすべてのミラー電極に電圧を提供することができる。好ましくは、基準電圧が電圧増幅器に提供され、これは次に、キロボルト(kV)の範囲の電圧を、好ましくはイオン光学ミラーとして作用する、ミラー電極、好ましくはすべてのミラー電極に提供する。通常、あるタイプの多重反射飛行時間型質量分析計のイオンは、ドリフト方向に沿ってドリフトしている間に、対向するイオン光学ミラー間で数回反射される。いくつかのミラー電極を含むイオン光学ミラーでのイオンの多重反射のために、好ましくは、各電極には、正確で超安定な電圧が提供されなければならない。少しでも不安定になると、反射するイオン光学ミラー間で振動するイオンの軌道が変わる可能性がある。したがって、分析されたイオンの飛行時間が変わると、分解能が低い飛行時間質量スペクトルが生じるか、検出された飛行時間質量スペクトルの質量対電荷キャリブレーションが変化する。
【0105】
追加の態様では、本開示はまた、請求項28に記載の本発明による電圧供給を含む質量分析計を提供する。
【0106】
本発明の電源の超安定DC電圧源は、好ましくは、24時間の時間期間にわたって1ppm未満の電圧安定性を有する。
【0107】
本発明の電源の超安定DC電圧源は、好ましくは、10℃の温度範囲にわたって1ppm未満の電圧安定性を有する。
【0108】
本発明の電源の超安定DC電圧源は、特に好ましくは、24時間の時間期間および10℃の温度範囲にわたって1ppm未満の電圧安定性を有する。
【0109】
本発明の電源の正確なDC電圧源は、好ましくは、1000ppm未満、好ましくは400ppm未満、より好ましくは250ppm未満、最も好ましくは100ppm未満の供給電圧の生成精度を有する。
【0110】
第2の目的は、請求項23に記載の電圧供給をキャリブレーションするための方法によって解決される。
【0111】
本方法は、本発明の電圧供給をキャリブレーションすることであり、これは、少なくとも1つの電極に電圧を供給するための基準電圧を提供することである。電圧供給は、キャリブレーション後、スイッチを介して、調整ユニットの出力電圧に基づく、基準電圧として電圧を供給することができる。すでに述べたように、例えば、調整ユニットの出力電圧を直接使用して基準電圧を供給するか、または調整ユニットの出力電圧を増幅器に供給することができ、その時、増幅された電圧は、電圧供給器によって提供される基準電圧である。
【0112】
本方法は、次のステップを含む、すなわち、
-電圧供給がアクティブ化するとき、調整ユニットの出力電圧に基づいて提供される電圧がスイッチに印加される。しかし、この電圧は、少なくとも1つの電極に電圧を供給するために使用される、基準電圧としてスイッチを介して提供されない。
-電圧源の制御ユニットは、コンパレータによって提供される信号に従って調整ユニットを調整し、調整ユニットの出力電圧に基づく電圧とコンパレータによって比較された正確なDC電圧源の供給電圧に基づいて提供される、正確な電圧との絶対差を最小化する。
-コンパレータで比較された電圧の絶対差が定義された最小値を下回り、制御ユニットによる調整が停止するとき、制御ユニットはスイッチにスイッチング信号を送信し、スイッチング信号を受信するスイッチが作動し、次にスイッチに印加される調整ユニットの出力電圧に基づいて提供される電圧が、基準電圧としてスイッチを介して電圧供給器によって提供され、それから、少なくとも1つの電極に電圧を供給するために使用される。
【0113】
一般に、調整ユニットの出力電圧に基づく任意の電圧をスイッチに印加することができる。この電圧は、当業者に知られている任意の適切な構成によって、調整ユニットの出力電圧から導出することができる。
【0114】
特に、調整ユニットの出力電圧に基づく、さまざまな電圧をスイッチに印加し、コンパレータで比較することができる。しかし、好ましい実施形態では、調整ユニットの出力電圧に基づく同じ電圧をスイッチに印加して、コンパレータによって比較することができる。そのため、スイッチに印加される調整ユニットの出力電圧に基づいて提供される電圧は、コンパレータによって比較される、調整ユニットの出力電圧に基づく電圧である。
【0115】
スイッチに印加される調整ユニットの出力電圧に基づいて提供される電圧は、調整ユニットの調整プロセスが終了したときは、基準電圧としてのみ使用される。次に、コンパレータによって比較される電圧間の絶対差が小さいため、スイッチに印加される調整ユニットの出力電圧に基づいて提供される電圧は、電源、特に正確なDC電圧源および場合によっては現在の電圧増幅器、好ましくは正確なDC電圧源によって供給される電圧および/または調整ユニットの出力電圧を増幅する電圧増幅器の電気コンポーネントによってのみ事前設定される、定義された電圧値の高精度と高安定性を有している。
【0116】
第2の目的はまた、請求項25に記載の電圧供給をキャリブレーションするための方法によって解決することができる。また、第3の第2の目的は、請求項25に記載の電圧供給をキャリブレーションするための方法によって解決することができる。
【0117】
本方法は、本発明の電圧供給をキャリブレーションすることであり、これは、少なくとも1つの電極に電圧を供給するための基準電圧を提供することである。本方法では、本発明の電圧供給は、調整ユニットの出力電圧に基づいて提供される電圧と、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいて提供される正確な電圧が印加されるスイッチを含んでいる。
【0118】
スイッチに印加される正確な電圧は、好ましくは、本発明の電圧供給器の基準電圧とほぼ同じ値を有する。スイッチに印加される正確な電圧の値は、通常、本発明の電圧供給器の基準電圧の値から1%以下、好ましくは1,000ppm以下、特に好ましくは100ppm以下の逸脱である。
【0119】
すでに述べたように、調整ユニットの出力電圧を直接使用して基準電圧を供給し、本発明の電圧供給器のスイッチに印加するか、または調整ユニットの出力電圧を増幅器に供給することができ、それから増幅された電圧は本発明の電圧供給器のスイッチに印加され、これは電圧供給器によって提供される基準電圧である。
【0120】
これらの実施形態は、調整ユニットの出力電圧に基づいて提供される電圧をスイッチに印加され得る方法を示す単純な構成を表す。例えば、当業者に知られている他の構成を使用して、調整ユニットの出力電圧から導出される電圧をスイッチに提供することができる。
【0121】
また、正確なDC電圧源によって供給される電圧を本発明の電圧源のスイッチに直接印加するか、または正確なDC電圧源によって供給される電圧を増幅器に供給することができ、それから増幅された電圧を本発明の電圧供給器のスイッチに印加する。
【0122】
これらの実施形態は、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいて提供される、正確な電圧がどのようにスイッチに提供され得るかを示す単純な構成を表す。例えば、当業者に知られている他の構成を使用して、正確なDC電圧源の供給電圧から導出される正確な電圧をスイッチに提供することができる。
【0123】
スイッチを介して、初期期間中、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいて提供される正確な電圧が電圧増幅器に供給され、一方、スイッチに印加される調整ユニットの出力電圧に基づいて提供される電圧は、スイッチを介して増幅器に供給されない。調整後、基準電圧は、その時、スイッチに印加される調整ユニットの出力電圧に基づいて提供される電圧であり、これは、少なくとも1つの電極に電圧を供給している電圧増幅器に印加される。本方法は、次のステップを含む、すなわち、
-電圧供給がアクティブ化するとき、調整ユニットの出力電圧に基づいて提供される電圧と、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいて提供される正確な電圧がスイッチに印加され、スイッチに印加される調整ユニットの出力電圧に基づいて提供される電圧は、スイッチを介して電圧増幅器に接続されておらず、スイッチに印加される正確な電圧は、スイッチを介して電圧増幅器に接続されている。
-電圧供給器の制御ユニットは、コンパレータによって提供される信号に従って調整ユニットを調整し、調整ユニットの出力電圧に基づく電圧とコンパレータによって比較された正確なDC電圧源の供給電圧に基づいて提供される、正確な電圧との絶対差を最小化する。
-コンパレータによって比較された電圧の絶対差が定義された最小値を下回り、制御ユニットによる調整が停止するとき、制御ユニットはスイッチにスイッチング信号を送信する。スイッチング信号を受信するスイッチが作動し、次にスイッチに印加される調整ユニットの出力電圧に基づいて提供される電圧が、電圧増幅器に基準電圧としてスイッチを介して接続され、スイッチに印加される正確な電圧は、電圧増幅器からのスイッチによって切断される。
【0124】
一般に、調整ユニットの出力電圧に基づく任意の電圧をスイッチに印加することができる。この電圧は、当業者に知られている任意の適切な構成によって、調整ユニットの出力電圧から導出することができる。
【0125】
特に、調整ユニットの出力電圧に基づく、さまざまな電圧をスイッチに印加し、コンパレータで比較することができる。
【0126】
一般に、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいて提供される任意の正確な電圧をスイッチに印加することができる。この電圧は、当業者に知られている任意の適切な構成によって、正確なDC電圧源の供給電圧から導出することができる。
【0127】
特に、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいて提供されるさまざまに正確な電圧をスイッチに印加し、コンパレータによって比較することができる。
【0128】
調整ユニットの出力電圧に基づいて提供される同じ電圧を、スイッチとコンパレータに印加することができる。そのため、スイッチに印加される調整ユニットの出力電圧に基づいて提供される電圧は、コンパレータによって比較される、調整ユニットの出力電圧に基づく電圧である。
【0129】
正確なDC電圧源の供給電圧に基づいて提供される同じ正確な電圧をスイッチとコンパレータに印加することができる。そのため、スイッチに印加される正確な電圧は、コンパレータによって比較される正確な電圧である。
【0130】
好ましい実施形態では、調整ユニットの出力電圧に基づいて提供される同じ電圧と、正確なDC電圧源の供給電圧に基づいて提供される同じ正確な電圧を、スイッチとコンパレータに印加することができる。
【0131】
本方法の好ましい実施形態では、本発明の電圧供給は、調整ユニットの出力電圧および正確なDC電圧源の電圧が印加されるスイッチを含む。この実施形態の本発明の電圧供給器のコンパレータは、調整ユニットの出力電圧と正確なDC電圧源の電圧とを比較している。スイッチを介して、初期期間中、正確なDC電圧源が電圧増幅器に接続され、一方、調整ユニットの出力電圧は増幅器に接続されない。調整後、調整ユニットの出力電圧によって提供される基準電圧は、電圧増幅器に印加され、これは、少なくとも1つの電極に電圧を供給している。本方法は、次のステップを含む、すなわち、
電圧供給がアクティブ化するとき、調整ユニットの出力電圧と正確なDC電圧源の供給電圧がスイッチに印加され、スイッチに印加された調整ユニットの出力電圧は、スイッチを介して電圧増幅器に接続されず、正確なDC電圧源の供給電圧は、スイッチを介して電圧増幅器に接続される。
電圧供給器の制御ユニットは、コンパレータによって提供される信号に従って調整ユニットを調整し、調整ユニットの出力電圧と正確なDC電圧源の供給電圧との絶対差を最小化する。
コンパレータによって比較された電圧の絶対差が定義された最小値を下回り、制御ユニットによる調整が停止するとき、制御ユニットはスイッチにスイッチング信号を送信する。スイッチング信号を受信するスイッチが作動し、次に調整ユニットの出力電圧がスイッチを介して電圧増幅器に基準電圧として接続され、正確なDC電圧源の供給電圧はスイッチによって電圧増幅器から切断される。
【図面の簡単な説明】
【0132】
図1図1は、本発明の電圧供給器の第1の実施形態を概略的に示す。
図2図2は、本発明の電圧供給器の第2の実施形態を概略的に示す。
図3図3は、デジタルコンポーネントを含む、本発明の電圧供給器の第3の実施形態を概略的に示す。
図4図4は、本発明の電圧供給器の第4の実施形態を概略的に示す。
図5図5は、本発明の電圧供給器の第5の実施形態を概略的に示す。
図6図6は、本発明の電圧供給器の第6の実施形態を概略的に示す。
図7図7は、本発明の電圧供給器の第7の実施形態を概略的に示す。
図8図8は、本発明の電圧供給器の第8の実施形態を概略的に示す。
図9図9は、本発明の電圧供給器の第9の実施形態を概略的に示す。
図10図10は、本発明の電圧供給器の第10の実施形態を概略的に示す。
図11図11は、本発明の電圧供給器の第11の実施形態を概略的に示す。
図12図12は、本発明の電圧供給器の第12の実施形態を概略的に示す。
図13A図13Aは、本発明の電圧供給器の第3の実施形態の詳細を示す。
図13B図13Bは、本発明の電圧供給器の第3の実施形態の詳細を示す。
図13C図13Cは、本発明の電圧供給器の第3の実施形態の詳細を示す。
図13D図13Dは、本発明の電圧供給器の第3の実施形態の詳細を示す。
図14図14は、正確な電圧供給器によって提供される基準電圧と、本発明の電圧供給器によって提供される基準電圧の時間安定性挙動を示す。
図15図15は、正確な電圧供給器によって提供される基準電圧と、本発明の電圧供給器によって提供される基準電圧の温度挙動を示す。
図16A図16Aは、本発明の電圧供給を使用して電圧を印加することができる、多重反射飛行時間型質量分析器の第1の実施形態を示す。
図16B図16Bは、本発明の電圧供給を使用して電圧を印加することができる、多重反射飛行時間型質量分析器の第1の実施形態を示す。
図17図17は、本発明の電圧供給を使用して電圧を印加することができる、多重反射飛行時間型質量分析器の第2の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0133】
図1は、本発明の電圧供給器2の第1の実施形態を示している。本発明に不可欠な電圧供給器2の主要なコンポーネントが概略的に示されている。
【0134】
本発明の電圧供給器2は、2つの異なるDC電圧源、超安定DC電圧源4(V1)および正確なDC電圧源6(V2)を含む。
【0135】
超安定DC電圧源4は、非常に安定した出力電圧を提供する。出力電圧の安定性は、時間と特定の温度範囲にわたって提供される。通常、超安定DC電圧源4によって提供される出力電圧は、5ppm未満、好ましくは1ppm未満、より好ましくは0.5ppm未満、特に好ましくは0.3ppm未満の電圧安定性を有する。出力電圧の安定性は、通常、12時間を超える、好ましくは24時間を超える、より好ましくは48時間を超える、特に96時間を超える時間にわたって提供される。出力電圧の安定性は、通常、10℃を超える、好ましくは15℃を超える、より好ましくは20℃を超える、特に25℃を超える温度範囲にわたって提供される。
【0136】
例えば、本発明の電圧供給器2の第1の実施形態では、超安定DC電圧源4は、24時間および10℃を超える温度範囲にわたって2ppm未満の電圧安定性で使用することができる。
【0137】
正確なDC電圧源6は、通常、1,000ppm未満、好ましくは400ppm未満、より好ましくは250ppm未満、最も好ましくは100ppm未満の生成精度で非常に正確なDC出力電圧を提供する。
【0138】
例えば、本発明の電圧供給器2の第1の実施形態では、正確なDC電圧源6は、500ppm未満の生成精度で使用することができる。
【0139】
本発明の電圧供給器2の第1の実施形態では、超安定DC電源4によって供給される電圧は、正確なDC電圧源6によって供給される電圧よりも高い絶対値を有している。
【0140】
通常、本発明の電圧供給器2の第1の実施形態では、超安定DC電源4の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値よりも少なくとも2%高い。好ましくは、超安定DC電源4の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値よりも少なくとも10%高い。より好ましくは、超安定DC電源4の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値よりも少なくとも25%高い。
【0141】
通常、超安定DC電源4の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値より高くても500%以下である。好ましくは、超安定DC電源4の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値より高くても200%以下である。より好ましくは、超安定DC電源4の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値より高くても100%以下である。
【0142】
通常、本発明の電圧供給器の両方の電圧源、超安定DC電源4および正確なDC電圧源6は、0.5Vから100Vの範囲、好ましくは2Vから20Vの範囲、より好ましくは、2.5Vから10Vの範囲の絶対値を備える電圧を提供する。例えば、本発明の電圧供給器2の第1の実施形態では、超安定DC電源4を使用することができ、これは、9Vの平均電圧および7Vの公称電圧を提供する正確なDC電圧源6を提供する。本発明の電圧供給器2は、7Vの基準電圧を提供する。
【0143】
本発明の電圧供給器2はまた、調整可能な分圧器であり得る、調整ユニット8を含む。調整可能な分圧器は、少なくとも1つの抵抗器、好ましくは接続された抵抗器のネットワークを含む。本発明の電圧供給器2の第1の実施形態では、超安定DC電圧源4の電圧は、矢印10で示される調整ユニット8の2つの(入力)コネクタ(図示せず)に印加される。調整ユニット8は、出力コネクタ(図示せず)を含み、それに調整ユニット8は出力電圧を提供する。調整ユニット8が調整可能な分圧器である場合、出力電圧は、調整可能な分圧器の抵抗器または抵抗ネットワークからの電圧を接続することによって提供される。
【0144】
調整ユニット8は、調整可能である出力電圧を提供する。
【0145】
本発明の電圧供給器2の調整ユニット8は、アナログまたはデジタルで調整することができる。アナログ調整ユニットでは、調整は、電気回路の電気コンポーネントまたは調整ユニット8の機械的コンポーネントによっても実行することができ、これにより、調整された出力電圧が調整ユニット8の(出力)コネクタに提供される。調整ユニットがデジタル的に調整されている場合、1つまたは数ビットのデジタル信号が、調整ユニット8の少なくとも1つの調整入力(図示せず)に提供される。
【0146】
本発明の電圧供給器2の第1の実施形態では、調整ユニット8の出力電圧は、電圧供給器2によって提供される基準電圧である。
【0147】
本発明の電圧供給器2はまた、コンパレータ12を含む。好ましくは、コンパレータ12は、より好ましくは差動増幅器である動作増幅器、特に好ましくはデジタル信号を提供している高利得差動増幅器を含む。
【0148】
本発明の電圧供給器2の第1の実施形態では、矢印14によって示される調整可能な分圧器8の出力電圧および矢印16によって示される正確な電圧源6の電圧は、電圧信号を比較する本発明の電源2のコンパレータ12に提供される。コンパレータ12は、これらの2つの入力電圧の比較から生じる出力信号を提供する。出力信号は、比較された電圧の差に等しいか比例する信号であり得る。これら2つの入力電圧の比較から生じる出力信号も、出力信号0と1のみを有するデジタル信号にすることができる。これらの信号によって、2つの入力電圧のどちらが高い値を有するかのみが示される。
【0149】
このような種類のコンパレータには、非常に低い電圧または高い電圧を提供する、高利得差動増幅器を使用でき、次に、これらは信号0および1として識別される。
【0150】
本発明の電源2はまた、制御ユニット18を含む。
【0151】
本発明の電圧供給器2の第1の実施形態では、調整ユニット8の出力電圧と正確な電圧源6の電圧との比較から生じる、コンパレータ12によって提供される信号は、矢印20によって示される入力信号として制御ユニット18に提供される。
【0152】
本発明の電圧供給器2の第1の実施形態の制御ユニット18は、コンパレータ12によって提供される信号に従って調整ユニット8を調整して、調整ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との差を最小化する。これを達成するために、制御ユニット18は、矢印22によって示される調整ユニット8に提供される出力信号を提供する。
【0153】
コンパレータ12から提供される信号が、調整8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との合計差が定義された最小値を下回ることを示すとき、制御ユニット18による調整は停止される。好ましくは、調整可能な分圧器8の調整が停止されたときの定義された最小値と、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の公称平均値との比率は、500ppm未満、好ましくは200ppm未満、より好ましくは50ppm未満、および最も好ましくは10ppm未満である。
【0154】
例えば、本発明の電圧供給器2の第1の実施形態では、定義された最小値は140μVになり得る。公称電圧の場合、7Vの正確なDC電圧源6、次に定義された最小値と正確なDC電圧源6によって供給される電圧の公称平均値との比率は、20ppmである。
【0155】
次に、調整ユニット8は、出力電圧を提供しており、これは本発明の電圧供給器2の第1の実施形態では超安定DC電圧源4の安定性と正確なDC電圧源6の精度を有する基準電圧である。調整ユニット分圧器8の出力電圧の平均は、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の平均に等しくなる。そのため、提供される基準電圧は、定義された最小値よりも小さい差は別として、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の値および同じ精度を有する。しかし、本発明の電源2により、超安定DC電圧源4の安定性を有するようになった。
【0156】
制御ユニット18に提供されるコンパレータ12によって提供される信号が、比較された電圧の差に等しいか比例する場合、検出された電圧差に従って、制御ユニット18は反応し、調整ユニット8に信号を提供して検出された電圧差に従って出力電圧を増減する。本発明の電圧供給器2の第1の実施形態では、調整ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との差が減少する。
【0157】
本発明の電圧供給器2の第1の実施形態での制御ユニット18(矢印22)によって提供される出力信号は、正確なDC電圧源6の電圧の値が調整可能な分圧器8の出力電圧よりも高い場合、調整可能な分圧器8の出力電圧を増加させている。
【0158】
特に、本発明の電圧供給器2の第1の実施形態でのコンパレータ12がデジタル信号を提供している場合、その時、コンパレータ12によって提供されるデジタル信号は、第1の値によって、正確なDC電圧源6の電圧が調整ユニット8の出力電圧よりも高いことを示す。制御ユニットは、コンパレータによって提供されるデジタル信号の第1の値に反応し、調整ユニット8に信号を提供して、その出力電圧を増加させる。
【0159】
本発明の電圧供給器2の第1の実施形態での制御ユニット18によって提供される出力信号は、正確なDC電圧源6の電圧の値が調整可能な分圧器8の出力電圧よりも低い場合、調整ユニット8の出力電圧を減少させている。
【0160】
特に、本発明の電圧供給器2の第1の実施形態でのコンパレータ12がデジタル信号を提供している場合、その時、コンパレータ12によって提供されるデジタル信号は、第2の値によって、正確なDC電圧源6の電圧が調整ユニット8の出力電圧よりも低いことを示す。制御ユニットは、コンパレータ12によって提供されるデジタル信号の第2の値に反応し、調整ユニット8に信号を提供して、その出力電圧を減少させる。
【0161】
好ましくは、調整ユニット8の出力電圧の増減は、それに応じて調整ユニット8に信号を提供する制御ユニット18によって段階的に減少される。
【0162】
本発明の電圧供給器2の第1の実施形態での調整ユニット8の出力電圧のこの低減された変化により、調整ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との絶対差を最小化する。
【0163】
図1の第1の実施形態では、本発明の電圧供給器2の調整ユニット8の出力電圧は、矢印26で示される電圧増幅器24で基準電圧として印加され、矢印30で示される電極28に増幅された電圧を印加している。調整ユニット8の出力電圧は、スイッチ32を介して電圧増幅器24に印加される。したがって、調整ユニット8の出力電圧は、矢印34によって示されるスイッチ32に直接印加される。
【0164】
スイッチ32は、本発明の電圧供給器2の第1の実施形態では電圧供給器2がアクティブ化した後、定義された時間で、調整ユニット8の出力電圧を電圧増幅器24に接続する。好ましくは、調整ユニット8の出力電圧を電圧増幅器24に接続するための時間遅延は、調整ユニット8の出力電圧が電圧増幅器24に接続される前に、制御ユニット18による調整ユニット8の調整が終了しているように選択される。その時、調整ユニット8の出力電圧は基準電圧であり、正確なDC電圧源6の精度と、電圧増幅器24に印加される超安定DC電圧源4の安定性を有している。次に、電圧増幅器24は、電源2によって電極28に提供される基準電圧に基づいて、高精度および安定性の電圧を供給している。
【0165】
本発明の電圧供給器2の図示されないさらなる実施形態では、スイッチ32は本発明の電圧供給器2のコンポーネントであり、制御ユニット18は、制御ユニット18による調整ユニット8の調整が停止されるとき、スイッチング信号をスイッチ32に送信している。次にスイッチ32は、受信されたスイッチング信号のために作動され、スイッチに印加される調整ユニット8の出力電圧に基づいて提供される電圧は、基準電圧としてスイッチ32を介して本発明の電圧供給器2によって提供される。
【0166】
本発明の電圧供給器2は、本発明の電圧供給器2の第1の実施形態と同じコンポーネントを有し、さらに制御ユニット18は、スイッチ32に接続されて、スイッチング信号をスイッチ32に送信し、スイッチ32は、調整ユニット8の調整後に送信された受信したスイッチング信号のために作動され、調整ユニット8の出力電圧は、スイッチの作動後に電圧増幅器24に接続される。次に、調整ユニット8の出力電圧が、超安定で正確な基準電圧として電圧増幅器24に印加される。
【0167】
図2は、本発明の電圧供給器2の第2の実施形態を示している。本発明に不可欠な電圧供給器2の主要なコンポーネントが概略的に示されている。同じコンポーネントが実施形態で使用される場合、第2およびそれ以降のすべての実施形態の本発明の電圧供給器2のコンポーネントについては、前述の実施形態と同じ参照記号が使用される。
【0168】
ほとんどのコンポーネントは、次の実施形態では前の実施形態と同じであるため、これらのコンポーネントは、次の実施形態については説明せず、図1または他の前の実施形態およびそれらの関連する図に関するこれらのコンポーネントの説明を参照する。
【0169】
第1および第2の実施形態の主な違いは、スイッチ32が第2の実施形態の電圧供給器2のコンポーネントであるということである。スイッチ32はまた、スイッチ32に印加された調整ユニット8の出力電圧を、増幅された電圧を電極28に印加している、電圧増幅器24と接続することができる。しかし、正確なDC電圧源6の電圧は、矢印36によって示されるスイッチ32にも提供される。
【0170】
第1および第2の実施形態の追加の違いは、制御ユニット18が、矢印38によって示されるスイッチ32にスイッチング信号も提供することである。
【0171】
電圧供給器2の第2の実施形態は、電圧供給器2の次のキャリブレーション方法を実行して、高精度および安定性の基準電圧を提供することができる。
【0172】
電圧供給器2がアクティブ化すると、第1のステップにおいて、スイッチ32は、正確なDC電圧源6を、増幅された電圧を電極28に印加している電圧増幅器24に接続している。キャリブレーション方法のこの段階では、正確なDC電圧源6の公称電圧が、電圧増幅器24にすでに印加されている。そのため、印加電圧はすでに正確であるが、正確なDC電圧源6の安定性に従って制限された安定性を有する。
【0173】
この第1のステップでは、調整ユニット8の出力電圧は、スイッチ32を介して電圧増幅器24に接続されていない。
【0174】
第1の実施形態についてすでに詳細に説明したように、電圧供給器2の制御ユニット18は、第2のステップで、コンパレータ12によって提供される信号に従って調整ユニット8を調整し、調整ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との絶対差を最小化する。
【0175】
コンパレータ12から提供される信号が、調整ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との絶対差が定義された最小値を下回ることを示すとき、制御ユニット18による調整は停止される。次に、制御ユニットは、第3のステップで、矢印38によって示されるスイッチ32にスイッチング信号を送信する。スイッチ32がスイッチング信号を受信するとき、スイッチ32が作動され、次に、調整ユニット8の出力電圧が電圧増幅器24に接続され、正確なDC電圧源6によって供給される電圧が、スイッチによって電圧増幅器24から切断される。その時、調整ユニット8の出力電圧は基準電圧であり、正確なDC電圧源6の精度と、電圧増幅器24に印加される超安定DC電圧源4の安定性を有している。次に、電圧増幅器24は、電源2によって電極28に提供される基準電圧に基づいて、高精度および安定性の電圧を供給している。
【0176】
そのため、本発明の電圧供給器2の第2の実施形態では、最初に、調整ユニット8の出力電圧は、高精度および安定性で意図された基準電圧を提供するようにキャリブレーションされ、電圧供給器2の制御回路18がこれを達成するとき、スイッチ32が作動され、最適化された基準電圧を電圧増幅器24に提供する。このキャリブレーションの間、正確なDC電圧源6の公称電圧が、制限された安定性を有する電圧増幅器24に印加される。
【0177】
高精度および安定性を備えた基準電圧の調整期間中に電圧増幅器24に印加される電圧のこの制限された安定性は重要ではない、その理由は、通常、調整期間は数秒の範囲であるが、一方、kV範囲の高電圧を通常提供する電極のアクティブ化された電圧供給器のウオーミングアップには、はるかに長い時間、通常は30分から60分の範囲でかかるからである。また、単に機器が短時間だけ電源オフになった場合でも、電極に電圧を供給する電子機器が安定するまでには、通常は数秒から数分の範囲の時間が必要である。この段階では、電気コンポーネント、特に抵抗器にすでに適切な電力が供給されているため、正確なDC電圧源6がすでに必要な基準電圧の値を有する電圧を提供しているときに、それは有用である。この段階では、正確なDC電圧源6によって提供される電圧が制限された安定性を有していることは関係ない。
【0178】
図3は、本発明の電圧供給器2の第3の実施形態を示している。本発明に不可欠な電圧供給器2の主要なコンポーネントが概略的に示されている。第3の実施形態の本発明の電圧供給器2のコンポーネントについて、同じコンポーネントが使用される場合、図1の第1の実施形態または図2の第2の実施形態と同じ参照記号が使用される。
【0179】
第3の実施形態の電圧供給器2は、原則として第2の実施形態と同じコンポーネントを含むが、いくつかのコンポーネントについては、本発明の電圧供給器2の機能をさらに改善することができる、デジタル技術が使用される。
【0180】
第3の実施形態の本発明の電圧供給器2は、2つの異なるDC電圧源、超安定DC電圧源4(V1)および正確なDC電圧源6(V2)を含む。
【0181】
そのような超安定DC電圧源4(V1)および正確なDC電圧源6(V2)のパラメータは、第1の実施形態について説明したものと同じである。また、これらのDC電圧での電圧の絶対値の関係は、第1の実施形態について説明したものと同じである。
【0182】
例えば、本発明の電圧供給器2の第3の実施形態では、7Vの平均電圧および5Vの公称電圧を提供する正確なDC電圧源6を提供する、超安定DC電源4を使用することができる。その時、本発明の電圧供給器2は、5Vの基準電圧を提供する。
【0183】
本発明の電圧供給器2の第3の実施形態は、デジタル-アナログ変換器(DAC)108である調整ユニットを含む。数ビットのデジタル信号は、デジタル-アナログ変換器(DAC)108のデジタル調整のために、デジタル-アナログ変換器(DAC)108のデジタル入力に提供される。
【0184】
超安定DC電圧源4の電圧は、矢印10によって示されるデジタル-アナログ変換器(DAC)108の2つの(入力)コネクタ(図示せず)に印加される。デジタル-アナログ変換器(DAC)108は、出力コネクタ(図示せず)を含み、それに、デジタル-アナログ変換器(DAC)108はデジタル-アナログ変換器(DAC)108の抵抗ネットワークからの電圧を接続することによって出力電圧を提供する。
【0185】
デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧は、電圧供給器2によって提供される基準電圧である。
【0186】
本発明の電圧供給器2はまた、コンパレータ12を含む。好ましくは、コンパレータ12は、差動増幅器である演算増幅器を含む。
【0187】
矢印14によって示されるデジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧および矢印16によって示される正確な電圧源6の電圧は、電圧信号を比較する本発明の電源2のコンパレータ12に提供される。コンパレータ12は、これらの2つの入力電圧の比較から生じる出力信号を提供する。これら2つの入力電圧の比較から生じる出力信号は、出力信号0と1のみを有するデジタル信号である。これらの信号によって、2つの入力電圧のどちらが高い値を有するかのみが示される。
【0188】
このような種類のコンパレータには、非常に低い電圧または高い電圧を提供する、高利得差動増幅器を使用でき、次に、これらは信号0および1として識別される。
【0189】
本発明の電圧供給器2は、プロセッサ118である制御ユニットも含む。コンピュータプログラムは、説明されたステップに従って電圧供給器2を動作させるためにプロセッサによって実行され得る。
【0190】
デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧と正確な電圧源6の電圧との比較から生じる、コンパレータ12によって提供される信号は、矢印20によって示される入力信号としてプロセッサ118に提供される。
【0191】
プロセッサ118は、コンパレータ12によって提供されるデジタル信号に従ってデジタル-アナログ変換器(DAC)108を調整して、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との絶対差を最小化する。これを達成するために、プロセッサ118は、矢印22によって示されるデジタル-アナログ変換器(DAC)108に提供されるデジタル出力信号を提供する。
【0192】
正確なDC電圧源6の電圧の値がデジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧よりも高い場合、プロセッサ118(矢印22)によって提供される出力信号は、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧を増加させている。
【0193】
コンパレータ12によって提供されるデジタル信号が、第1の値によって正確なDC電圧源6の電圧がデジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧よりも高いことを示すとき、プロセッサ118は、コンパレータ12によって提供されるデジタル信号の第1の値に反応し、デジタル信号をデジタル-アナログ変換器(DAC)108に提供して、その出力電圧を増加させる。
【0194】
正確なDC電圧源6の電圧の値がデジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧よりも低い場合、プロセッサ118によって提供される出力信号は、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧を減少させている。
【0195】
コンパレータ12によって提供されるデジタル信号が、第2の値によって正確なDC電圧源6の電圧がデジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧よりも低いことを示すとき、プロセッサ118は、コンパレータ12によって提供されるデジタル信号の第2の値に反応し、デジタル信号をデジタル-アナログ変換器(DAC)108に提供して、その出力電圧を減少させる。
【0196】
好ましくは、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧の増減は、それに応じてデジタル-アナログ変換器(DAC)108に信号を提供するプロセッサ118によって段階的に減少される。デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧のこの減少した変化によって、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との絶対差が最小化する。
【0197】
次に、デジタル-アナログ変換器(DAC)108は、出力電圧を提供しており、これは、超安定DC電圧源4の安定性および正確なDC電圧源6の精度を有する基準電圧である。デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧の平均は、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の平均に等しくなる。そのため、提供される基準電圧は、小さい差は別として、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の値および同じ精度を有する。しかし、本発明の電源2により、超安定DC電圧源4の安定性を有するようになった。
【0198】
好ましい実施形態では、デジタル-アナログ変換器108は、抵抗ラダーネットワーク、特にR-2R抵抗ラダーネットワークを含む。この好ましい実施形態においてプロセッサ118によって提供されるデジタル信号は、特定のビット数のデジタル信号である。好ましくは、デジタル信号は、少なくとも16ビット、特に好ましくは少なくとも20ビットの信号である。コンパレータ12によって提供されるデジタル信号に基づいて、プロセッサは、逐次近似の方法を適用して、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との絶対差を最小化する。プロセッサ118によってデジタル-アナログ変換器(DAC)108に提供されるデジタル信号のビットに従うこの方法では、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧は、R-2R抵抗ラダーネットワークによって決定される。抵抗ネットワークは、各設定ビット(値1)で、超安定DC電圧源4の提供された電圧を等しいシェアに分割している。そのため、第1のビットは電圧をシェア1/2に分割し、第2は残りの電圧を1/4のシェアに分割し、第3は残りの電圧を1/8のシェアに分割するなどである。
【0199】
近似の前に、デジタル信号のすべてのビットが0に設定される(代替として、すべて1に設定することもできる)。近似の開始時のコンパレータ12が、正確なDC電圧源6の電圧がデジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧よりも高いか低いかを示している、デジタル信号を初めて提供するとき、第1のビットは、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧をそれに従って調整するようにプロセッサによってそれに従って設定される。通常、この最初の反復ステップでは、第1のビットが1に設定され、それに従って、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧は、超安定DC電圧源4の電圧の半分である。次に、次の反復におけるコンパレータ12は、第2のデジタル信号を提供し、これは、正確なDC電圧源6の電圧が、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧よりも高いか低いかどうかを示す。ここで、前のビットを1に設定したためにデジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧の電圧が高すぎる場合、ビットはセットバックされ、第2のビットが1に設定される。それ以外の場合、第2のビットは1に設定され、第1のビットは変更されない。次に、次の反復におけるコンパレータ12は、第3のデジタル信号を提供し、これは、正確なDC電圧源6の電圧が、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧よりも高いか低いかどうかを示す。ここで、前の(第2の)ビットを1に設定したためにデジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧の電圧が高すぎる場合、ビットはセットバックされ、第3のビットが1に設定される。それ以外の場合は、第3のビットのみが1に設定され、第2のビットは変更されない。
【0200】
本方法の反復ステップにわたって、プロセッサ118によってデジタル-アナログ変換器(DAC)108に提供されるデジタル信号の各ビットが設定され、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧が正確なDC電圧源6の電圧に正しく調整される。この調整の精度は急速に向上しているため、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧と、正確なDC電圧源6の電圧の公称平均値への近似終了時の正確なDC電圧源6の電圧との残りの絶対差の比率は、プロセッサ118によってデジタル-アナログ変換器(DAC)108に提供される20ビット信号の場合、1ppmであり、16ビット信号の場合、15ppmであり、また14ビット信号の場合、61ppmである。コンパレータの特性に応じて、残りの絶対差もこれらの値よりも大きくなる可能性があるが、ここで基準電圧が必要な安定性を有している限り、これは関係ない。
【0201】
図3の実施形態では、本発明の電圧供給器2のデジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧は、矢印26で示される電圧増幅器24で基準電圧として印加され、矢印30で示される電極28に増幅された電圧を印加している。デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧は、調整プロセスが終了した後、スイッチ32を介して電圧増幅器24に印加される。したがって、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧は、矢印34によって示されるスイッチ32に直接印加される。
【0202】
正確なDC電圧源6の電圧は、矢印36によって示されるスイッチ32にも提供される。
【0203】
プロセッサ118は、矢印38によって示されるスイッチ32にスイッチング信号を提供する。
【0204】
電圧供給器2の第3の実施形態は、電圧供給器2の次のキャリブレーション方法を実行して、高精度および安定性の基準電圧を提供することができる。
【0205】
電圧供給器2がアクティブ化すると、第1のステップにおいて、スイッチ32は、正確なDC電圧源6を、増幅された電圧を電極28に印加している電圧増幅器24に接続している。キャリブレーション方法のこの段階では、正確なDC電圧源6の公称電圧が、電圧増幅器24にすでに印加されている。そのため、印加電圧はすでに正確であるが、正確なDC電圧源6の安定性に従って制限された安定性を有する。
【0206】
この第1のステップでは、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧は、スイッチ32を介して電圧増幅器24に接続されていない。
【0207】
電圧供給器2のプロセッサ118は、第2のステップで、コンパレータ12によって提供される信号に従ってデジタル-アナログ変換器(DAC)108を調整して、好ましくは逐次近似の方法を使用する前述のように、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との絶対差を最小化する。
【0208】
プロセッサ118による調整が終了したとき、すなわち、逐次近似の方法が使用されるときにすべてのビットが設定されると、プロセッサ118は、第3のステップで、矢印38によって示されるスイッチ32にスイッチング信号を送信する。スイッチ32がスイッチング信号を受信するとき、スイッチが作動され、次に、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧が電圧増幅器24に接続され、正確なDC電圧源6の供給電圧は、電圧増幅器24からのスイッチによって切断される。その時、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧は基準電圧であり、正確なDC電圧源6の精度と、電圧増幅器24に印加される超安定DC電圧源4の安定性を有している。次に、電圧増幅器24は、電圧供給器2によって電極28に提供される基準電圧に基づいて、高精度および安定性の電圧を供給している。
【0209】
そのため、本発明の電圧供給器2の第3の実施形態では、最初に、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧は、高精度および安定性で意図された基準電圧を提供するようにキャリブレーションされ、電圧供給器2の制御回路がこれを達成するとき、スイッチ32が作動され、最適化された基準電圧を電圧増幅器24に提供する。このキャリブレーションの間、正確なDC電圧源6の公称電圧が、制限された安定性を有する電圧増幅器24に印加される。
【0210】
図4は、本発明の電源2の第4の実施形態を示している。
【0211】
一般にすべてのコンポーネントが第1の実施形態と同じであるこの実施形態では、超安定DC電圧源4によって供給される電圧は、調整ユニット8の(入力)コネクタ(図示せず)に直接印加されない。超安定DC電圧源4の電圧は、矢印182によって示される電圧増幅器180(さらなる仕様の超安定電圧増幅器180で命名される)に印加される。次に、超安定電圧増幅器180の出力で提供される増幅された電圧は、超安定電圧源4の供給電圧に基づく超安定電圧の一例として矢印10で示す調整ユニット8の2つの(入力)コネクタ(図示せず)に提供される。
【0212】
本発明の電圧供給器2の第4の実施形態では、超安定電圧増幅器180の出力で提供される増幅された電圧は、正確なDC電圧源6によって供給される電圧よりも高い絶対値を有する。超安定DC電圧源4によって供給される電圧は、正確なDC電圧源6によって供給される電圧よりも低い絶対値を有し得る。
【0213】
通常、本発明の電圧供給器2の第4の実施形態では、超安定電圧増幅器180の出力で提供される増幅された電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値よりも少なくとも2%高い。好ましくは、超安定電圧増幅器180の出力で提供される増幅された電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値よりも少なくとも10%高い。より好ましくは、超安定電圧増幅器180の出力で提供される増幅された電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値よりも少なくとも25%高い。
【0214】
通常、超安定電圧増幅器180の出力で提供される増幅された電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値より高くても500%以下である。好ましくは、超安定電圧増幅器180の出力で提供される増幅された電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値より高くても200%以下である。より好ましくは、超安定電圧増幅器180の出力で提供される増幅された電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値より高くても100%以下である。
【0215】
例えば、本発明の電圧供給器2の第4の実施形態では、超安定DC電源4を使用することができ、これは、4Vの平均電圧および5Vの公称電圧を提供する正確なDC電圧源6を提供する。次に、超安定電圧増幅器180は、超安定DC電源4によって提供される4Vの平均電圧を、調整ユニット8の2つの(入力)コネクタ(図示せず)に提供される7Vの増幅された電圧に増幅している。次に、本発明の電圧源2は、5Vの基準電圧を提供する。
【0216】
本発明の電圧供給器の第1および第4の実施形態の他のすべてのコンポーネントは同じであるため、本発明の電圧供給器2の第4の実施形態の調整ユニット8は、超安定DC電圧源4の安定性と正確なDC電圧源6の精度を有する本発明の電圧供給器2の第4の実施形態によって提供される基準電圧である出力電圧を提供している。超安定電圧増幅器180が調整ユニット8に印加される増幅された電圧の安定性に影響を及ぼさない場合、これは特に正確であり、その結果、超安定電圧増幅器180の出力で提供され、調整ユニット8に提供される増幅された電圧は、超安定DC電圧源4によって供給される電圧と同じ安定性を有する。そうでなければ、本発明の電圧供給器2の第4の実施形態の性能は、いくらか低減され得る。しかしそれにもかかわらず本発明の電圧源2の第4の実施形態は、高精度および高安定性の基準電圧を提供する。
【0217】
本発明の電圧供給器2の第4の実施形態の調整ユニット分圧器8の出力電圧の平均は、調整期間の後に、調整期間中に正確なDC電圧源6によって供給される電圧の平均に等しくなる。そのため、提供される基準電圧は、それを下回ると、制御ユニット18による調整が停止する、調整8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との合計差の定義された最小値よりも小さい差は別として、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の値および同じ精度を有する。しかし、本発明の電源2の第4の実施形態により、提供された基準電圧は、超安定DC電圧源4の安定性を有するようになった。
【0218】
図5は、本発明の電源2の第5の実施形態を示している。
【0219】
一般に、すべてのコンポーネントが第1の実施形態と同じであるこの実施形態では、調整可能な分圧器8の出力電圧は、さらなる仕様の出力電圧増幅器183で命名された、増幅器183に提供される。出力電圧増幅器183は、調整可能な分圧器8の出力電圧を増幅する。そのため、増幅された出力電圧は、出力電圧増幅器183の出力に提供される。この増幅された出力電圧は、調整ユニット8の出力電圧に基づく電圧の一例である。
【0220】
本発明の電圧供給器2の第5の実施形態では、矢印184で示される出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧および矢印16で示される正確な電圧源6の電圧は、電圧信号を比較する、本発明の電源2のコンパレータ12に提供される。コンパレータ12は、これらの2つの入力電圧の比較から生じる出力信号を提供する。出力信号は、比較された電圧の差に等しいか比例する信号であり得る。これら2つの入力電圧の比較から生じる出力信号も、出力信号0と1のみを有するデジタル信号にすることができる。これらの信号によって、2つの入力電圧のどちらがより高い値またはより高い絶対値を有するかのみが示される。
【0221】
本発明の電圧供給器2の第5の実施形態では、超安定DC電圧源4によって供給される電圧は、正確なDC電圧源6によって供給される電圧よりも低い絶対値を有し得る。
【0222】
本発明の電圧供給器2の第5の実施形態では、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧と正確な電圧源6の電圧との比較から生じる、コンパレータ12によって提供される信号は、矢印20によって示される入力信号として制御ユニット18に提供される。
【0223】
本発明の電圧供給器2の第5の実施形態の制御ユニット18は、コンパレータ12によって提供される信号に従って調整ユニット8を調整して、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との差を最小化する。これを達成するために、制御ユニット18は、矢印22によって示される調整ユニット8に提供される出力信号を提供する。
【0224】
コンパレータ12から提供される信号が、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との合計差が定義された最小値を下回ることを示すとき、制御ユニット18による調整は停止される。好ましくは、調整可能な分圧器8の調整が停止されたときの定義された最小値と、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の公称平均値との比率は、500ppm未満、好ましくは200ppm未満、より好ましくは50ppm未満、および最も好ましくは10ppm未満である。
【0225】
例えば、本発明の電圧供給器2の第5の実施形態では、定義された最小値は210μVになり得る。公称電圧の場合、7Vの正確なDC電圧源6、次に定義された最小値と正確なDC電圧源6によって供給される電圧の公称平均値との比率は、30ppmである。
【0226】
コンパレータ12の出力信号が、2つのコンポーネントのどちらがより高い値またはより高い絶対値を有するかのみを示すデジタル信号であり、制御ユニット18によって調整ユニット8に提供される出力信号22が、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧と、正確なDC電圧源6の電圧との合計差の定義された最小値を下回る値についてのみ、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧の変化を誘発している場合、調整プロセスを停止しなければならないとき、誘発された変化によるコンパレータによって提供されるデジタル信号の変化は、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧と、正確なDC電圧源6の電圧との合計差が、定義された最小値を下回っていることを示す。したがって、調整プロセスは、制御ユニット18によって停止される。
【0227】
次に、調整ユニット8は、出力電圧を提供しており、これは本発明の電圧供給器2の第5の実施形態では超安定DC電圧源4の安定性と正確なDC電圧源6の精度を有する電圧である。出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧の平均は、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の平均に等しくなる。そのため、第5の実施形態では、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧である提供される基準電圧は、定義された最小値よりも小さい差は別として、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の値および同じ精度を有する。しかし、本発明の電源2により、超安定DC電圧源4の安定性を有するようになった。
【0228】
そのため、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧である本発明の電源の第5の実施形態によって提供される基準電圧は、調整ユニットの出力電圧に基づく電圧である。この実施形態では、提供される基準電圧は、調整ユニット8の増幅された出力電圧であって、増幅の利得は、増幅する出力電圧増幅器183によって定義される。
【0229】
制御ユニット18に提供されるコンパレータ12によって提供される信号が、比較された電圧の差に等しいか比例する場合、検出された電圧差に従って、制御ユニット18は反応し、調整ユニット8に信号を提供して検出された電圧差に従って出力電圧を増減する。本発明の電圧供給器2の第5の実施形態では、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との絶対差が減少する。
【0230】
本発明の電圧供給器2の第5の実施形態の制御ユニット18(矢印22)によって提供される出力信号は、調整可能な分圧器8の出力電圧を増加させ、したがって、正確なDC電圧源6の電圧の値が、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧よりも高い場合、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧を増加させる。
【0231】
特に、本発明の電圧供給器2の第5の実施形態のコンパレータ12がデジタル信号を提供している場合、その時、コンパレータ12によって提供されるデジタル信号は、第1の値によって、正確なDC電圧源6の電圧が、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧よりも高いことを示す。制御ユニットは、コンパレータによって提供されるデジタル信号の第1の値に反応し、調整ユニット8に信号を提供して、その出力電圧、したがって出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧を増加させる。
【0232】
本発明の電圧供給器2の第5の実施形態の制御ユニット18によって提供される出力信号は、調整ユニット8の出力電圧を減少させ、したがって、正確なDC電圧源6の電圧の値が、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧よりも低い場合、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧を減少させている。
【0233】
特に、本発明の電圧供給器2の第5の実施形態のコンパレータ12がデジタル信号を提供している場合、その時、コンパレータ12によって提供されるデジタル信号は、第2の値によって、正確なDC電圧源6の電圧が、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧よりも低いことを示す。制御ユニットは、コンパレータ12によって提供されるデジタル信号の第2の値に反応し、調整ユニット8に信号を提供して、その出力電圧、したがって出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧を減少させる。
【0234】
好ましくは、調整ユニット8の出力電圧の増減、したがって出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧は、それに応じて調整ユニット8に信号を提供する制御ユニット18によって段階的に減少される。
【0235】
調整ユニット8の出力電圧のこの減少した変化、したがって、本発明の電圧供給器2の第5の実施形態の出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧の減少した変化によって、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との絶対差を最小化する。
【0236】
図5の第5の実施形態では、本発明の電圧供給器2の出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧は、増幅された電圧を矢印30によって示される電極28に印加している矢印185によって示される電圧増幅器24で基準電圧として印加される。出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧は、スイッチ32を介して電圧増幅器24に印加される。したがって、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧は、矢印185によって示されるスイッチ32に印加される。
【0237】
スイッチ32は、本発明の電圧供給器2の第5の実施形態では、電圧供給器2がアクティブ化した後の定義された時間に出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧を接続する。好ましくは、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧を電圧増幅器24に接続するための時間遅延は、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された電圧が、電圧増幅器24に接続される前に、制御ユニット18による調整ユニット8の調整が終了するように選択される。その時、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された出力電圧は、基準電圧であり、正確なDC電圧源6の精度と、電圧増幅器24に印加される超安定DC電圧源4の安定性を有している。次に、電圧増幅器24は、電源2によって電極28に提供される基準電圧に基づいて、高精度および安定性の電圧を供給している。出力電圧増幅器183がコンパレータ12に印加される増幅された電圧の安定性に影響を及ぼさない場合、これは特に正確であり、その結果、出力電圧増幅器183の出力で提供される増幅された電圧が超安定DC電圧源4によって供給される電圧と同じ安定性を有する。そうでなければ、本発明の電圧供給器2の第5の実施形態の性能は、いくらか低減され得る。しかしそれにもかかわらず本発明の電圧源2の第5の実施形態は、高精度および高安定性の基準電圧を提供する。
【0238】
図6は、本発明の電源2の第6の実施形態を示している。
【0239】
一般に、すべてのコンポーネントが第1の実施形態と同じであるこの実施形態では、調整可能な分圧器8の出力電圧は、さらなる仕様の基準電圧プリ増幅器186で命名された、増幅器186に提供される。基準電圧プリ増幅器186は調整可能な分圧器8の出力電圧を増幅する。そのため、増幅された出力電圧は、基準電圧プリ増幅器186の出力に提供される。この増幅された出力電圧は、調整ユニット8の出力電圧に基づく電圧であり、本発明の電圧源2の基準電圧として提供される。
【0240】
本発明の電圧供給器2の第6の実施形態では、矢印14によって示される調整可能な分圧器8の出力電圧および矢印16によって示される正確な電圧源6の電圧は、電圧信号を比較する本発明の電源2のコンパレータ12に提供される。コンパレータ12は、これらの2つの入力電圧の比較から生じる出力信号を提供する。出力信号は、比較された電圧の差に等しいか比例する信号であり得る。これら2つの入力電圧の比較から生じる出力信号も、出力信号0と1のみを有するデジタル信号にすることができる。これらの信号によって、2つの入力電圧のどちらが高い値を有するかのみが示される。
【0241】
本発明の電圧供給器2の第6の実施形態では、超安定DC電源4によって供給される電圧は、正確なDC電圧源6によって供給される電圧よりも高い絶対値を有している。
【0242】
通常、本発明の電圧供給器2の第6の実施形態では、超安定DC電源4の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値よりも少なくとも2%高い。好ましくは、超安定DC電源4の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値よりも少なくとも10%高い。より好ましくは、超安定DC電源4の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値よりも少なくとも25%高い。
【0243】
通常、超安定DC電源4の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値より高くても500%以下である。好ましくは、超安定DC電源4の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値より高くても200%以下である。より好ましくは、超安定DC電源4の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値より高くても100%以下である。
【0244】
例えば、本発明の電圧供給器2の第6の実施形態では、9Vの平均電圧および7Vの公称電圧を提供する正確なDC電圧源6を提供する、超安定DC電源4を使用することができる。
【0245】
本発明の電圧供給器2の第6の実施形態では、調整ユニット8の出力電圧と正確な電圧源6の電圧との比較から生じる、コンパレータ12によって提供される信号は、矢印20によって示される入力信号として制御ユニット18に提供される。
【0246】
本発明の電圧供給器2の第6の実施形態の制御ユニット18は、コンパレータ12によって提供される信号に従って調整ユニット8を調整して、調整ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との絶対差を最小化する。これを達成するために、制御ユニット18は、矢印22によって示される調整ユニット8に提供される出力信号を提供する。
【0247】
コンパレータ12から提供される信号が、調整8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との合計差が定義された最小値を下回ることを示すとき、制御ユニット18による調整は停止される。好ましくは、調整可能な分圧器8の調整が停止されたときの定義された最小値と、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の公称平均値との比率は、500ppm未満、好ましくは200ppm未満、より好ましくは50ppm未満、および最も好ましくは10ppm未満である。
【0248】
例えば、本発明の電圧供給器2の第6の実施形態では、定義された最小値は140μVになり得る。公称電圧の場合、7Vの正確なDC電圧源6、次に定義された最小値と正確なDC電圧源6によって供給される電圧の公称平均値との比率は、20ppmである。
【0249】
次に、調整ユニット8は、出力電圧を提供しており、これは、本発明の電圧供給器2の第6の実施形態では、調整可能な分圧器8の出力電圧を増幅する基準電圧プリ増幅器186に提供される。次に、基準電圧プリ増幅器186によって提供される増幅された電圧は、超安定DC電圧源4の安定性および正確なDC電圧源6の精度を有する本発明の電圧源2の基準電圧である。調整ユニット分圧器8の出力電圧の平均は、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の平均に等しくなる。そのため、基準電圧プリ増幅器186に提供される提供電圧は、定義された最小値よりも小さい差は別として、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の値および同じ精度を有する。本発明の電源2により、基準電圧として基準電圧プリ増幅器186の出力で提供される増幅された出力電圧は、超安定DC電圧源4の安定性を有するようになった。
【0250】
好ましくは、調整ユニット8の出力電圧の増減は、それに応じて調整ユニット8に信号を提供する制御ユニット18によって段階的に減少される。
【0251】
本発明の電圧供給器2の第6の実施形態での調整ユニット8の出力電圧のこの低減された変化により、調整ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との絶対差を最小化する。
【0252】
図6の第6の実施形態では、基準電圧プリ増幅器186の出力で提供される増幅された出力電圧は、矢印187で示される電圧増幅器24で基準電圧として印加され、これは、矢印30によって示される電極28に増幅された電圧を印加している。基準電圧プリ増幅器186の出力で提供される増幅された出力電圧は、スイッチ32を介して電圧増幅器24に印加される。したがって、基準電圧プリ増幅器186の出力で提供される増幅された出力電圧は、矢印187によって示されるスイッチ32に印加される。
【0253】
スイッチ32は、本発明の電圧供給器2の第6の実施形態では、電圧供給器2がアクティブ化した後の定義された時間に電圧増幅器24に基準電圧プリ増幅器186の出力で提供される増幅された電圧を接続する。好ましくは、基準電圧プリ増幅器186の出力で提供される増幅された出力電圧を電圧増幅器24に接続するための時間遅延は、基準電圧プリ増幅器186の出力で提供される増幅された電圧が、電圧増幅器24に接続される前に、制御ユニット18による調整ユニット8の調整が終了するように選択される。その時、基準電圧プリ増幅器186の出力で提供される増幅された出力電圧は、基準電圧であり、正確なDC電圧源6の精度と、電圧増幅器24に印加される超安定DC電圧源4の安定性を有している。次に、電圧増幅器24は、電源2によって電極28に提供される基準電圧に基づいて、高精度および安定性の電圧を供給している。基準電圧プリ増幅器186が基準電圧として提供される増幅された電圧の安定性に影響を及ぼさない場合、これは特に正確であり、その結果、基準電圧プリ増幅器186の出力で提供される増幅された電圧が超安定DC電圧源4によって供給される電圧と同じ安定性を有する。そうでなければ、本発明の電圧供給器2の第6の実施形態の性能は、いくらか低減され得る。しかしそれにもかかわらず本発明の電圧源2の第6の実施形態は、高精度および高安定性の基準電圧を提供する。
【0254】
図7は、本発明の電源2の第7の実施形態を示している。
【0255】
一般に、すべてのコンポーネントが第1の実施形態と同じであるこの実施形態では、正確なDC電圧源6によって供給される電圧は、さらなる仕様の正確な電圧増幅器188で命名された、増幅器188に提供される。正確な電圧増幅器188は正確なDC電圧源6から供給される電圧を増幅する。そのため、増幅された電圧は、矢印189によって示されるコンパレータ12で提供される。正確な電圧である正確な電圧増幅器188の出力での増幅された電圧は、正確なDC電圧源の供給された電圧に基づく電圧である。
【0256】
本発明の電圧供給器2の第7の実施形態では、矢印14によって示される調整可能な分圧器8の出力電圧および矢印189によって示される正確な電圧増幅器188によって増幅される増幅された電圧が、電圧信号を比較する、本発明の電源2のコンパレータ12に提供される。コンパレータ12は、これらの2つの入力電圧の比較から生じる出力信号を提供する。出力信号は、比較された電圧の差に等しいか比例する信号であり得る。これら2つの入力電圧の比較から生じる出力信号も、出力信号0と1のみを有するデジタル信号にすることができる。これらの信号によって、2つの入力電圧のどちらが高い値を有するかのみが示される。
【0257】
本発明の電圧供給器2の第7の実施形態では、調整ユニット8の出力電圧と正確な電圧増幅器188によって増幅される増幅された電圧との比較から生じる、コンパレータ12によって提供される信号は、矢印20によって示される入力信号として制御ユニット18に提供される。
【0258】
本発明の電圧供給器2の第7の実施形態の制御ユニット18は、コンパレータ12によって提供される信号に従って調整ユニット8を調整して、調整ユニット8の出力電圧と正確な電圧増幅器188によって増幅される増幅された電圧との絶対差を最小化する。これを達成するために、制御ユニット18は、矢印22によって示される調整ユニット8に提供される出力信号を提供する。
【0259】
コンパレータ12から提供される信号が、調整8の出力電圧と正確な電圧増幅器188の電圧との合計差が定義された最小値を下回ることを示すとき、制御ユニット18による調整は停止される。好ましくは、調整可能な分圧器8の調整が停止されたときの定義された最小値と、正確な電圧増幅器188によって増幅される増幅された電圧の公称平均値との比率は、500ppm未満、好ましくは200ppm未満、より好ましくは50ppm未満、および最も好ましくは10ppm未満である。
【0260】
例えば、本発明の電圧供給器2の第7の実施形態では、定義された最小値は280μVになり得る。2の利得の正確な電圧増幅器188によって増幅された3.5Vの正確なDC電圧源6の公称電圧について、正確な電圧増幅器188によって増幅される増幅された電圧の公称平均値に対する定義された最小値の比率は、40ppmである。
【0261】
次に、調整ユニット8は、出力電圧を提供しており、これは本発明の電圧供給器2の第7の実施形態では超安定DC電圧源4の安定性と正確なDC電圧源6の精度を有する基準電圧である。調整ユニット分圧器8の出力電圧の平均は、正確な電圧増幅器188によって増幅される増幅された電圧の平均に等しくなる。そのため、提供される基準電圧は、定義された最小値よりも小さい差は別として、正確な電圧増幅器188によって増幅される増幅された電圧の値および同じ精度を有する。しかし、本発明の電源2により、超安定DC電圧源4の安定性を有するようになった。
【0262】
制御ユニット18に提供されるコンパレータ12によって提供される信号が、比較された電圧の差に等しいか比例する場合、検出された電圧差に従って、制御ユニット18は反応し、調整ユニット8に信号を提供して検出された電圧差に従って出力電圧を増減する。本発明の電圧供給器2の第7の実施形態では、調整ユニット8の出力電圧と、正確な電圧増幅器188によって増幅される増幅された電圧との絶対差を最小化する。
【0263】
本発明の電圧供給器2の第7の実施形態での制御ユニット18(矢印22)によって提供される出力信号は、正確な電圧増幅器188によって増幅される増幅された電圧の値が調整可能な分圧器8の出力電圧よりも高い場合、調整可能な分圧器8の出力電圧を増加させている。
【0264】
特に、本発明の電圧供給器2の第7の実施形態でのコンパレータ12がデジタル信号を提供している場合、その時、コンパレータ12によって提供されるデジタル信号は、第1の値によって、正確な電圧増幅器188によって増幅される増幅された電圧が調整ユニット8の出力電圧よりも高いことを示す。制御ユニットは、コンパレータによって提供されるデジタル信号の第1の値に反応し、調整ユニット8に信号を提供して、その出力電圧を増加させる。
【0265】
本発明の電圧供給器2の第7の実施形態での制御ユニット18によって提供される出力信号は、正確な電圧増幅器188によって増幅される増幅された電圧の値が調整可能な分圧器8の出力電圧よりも低い場合、調整ユニット8の出力電圧を減少させている。
【0266】
特に、本発明の電圧供給器2の第7の実施形態でのコンパレータ12がデジタル信号を提供している場合、その時、コンパレータ12によって提供されるデジタル信号は、第2の値によって、正確な電圧増幅器188によって増幅される増幅された電圧が調整ユニット8の出力電圧よりも低いことを示す。制御ユニットは、コンパレータ12によって提供されるデジタル信号の第2の値に反応し、調整ユニット8に信号を提供して、その出力電圧を減少させる。
【0267】
好ましくは、調整ユニット8の出力電圧の増減は、それに応じて調整ユニット8に信号を提供する制御ユニット18によって段階的に減少される。
【0268】
本発明の電圧供給器2の第7の実施形態の調整ユニット8の出力電圧のこの低減された変化により、調整ユニット8の出力電圧と、正確な電圧増幅器188によって増幅される増幅された電圧との絶対差を最小化する。
【0269】
図7の第7の実施形態では、本発明の電圧供給器2の調整ユニット8の出力電圧は、矢印26で示される電圧増幅器24で基準電圧として印加され、矢印30で示される電極28に増幅された電圧を印加している。調整ユニット8の出力電圧は、スイッチ32を介して電圧増幅器24に印加される。したがって、調整ユニット8の出力電圧は、矢印34によって示されるスイッチ32に直接印加される。
【0270】
スイッチ32は、本発明の電圧供給器2の第7の実施形態では電圧供給器2がアクティブ化した後、定義された時間で、調整ユニット8の出力電圧を電圧増幅器24に接続する。好ましくは、調整ユニット8の出力電圧を電圧増幅器24に接続するための時間遅延は、調整ユニット8の出力電圧が電圧増幅器24に接続される前に、制御ユニット18による調整ユニット8の調整が終了しているように選択される。その時、調整ユニット8の出力電圧は基準電圧であり、正確なDC電圧源6の精度と、電圧増幅器24に印加される超安定DC電圧源4の安定性を有している。次に、電圧増幅器24は、電源2によって電極28に提供される基準電圧に基づいて、高精度および安定性の電圧を供給している。正確な電圧増幅器188が基準電圧の精度に影響を及ぼさない場合、これは特に正確であり、その結果、調整ユニット8の出力電圧は、正確なDC電圧源6によって供給される電圧と同じ精度を有する。そうでなければ、本発明の電圧供給器2の第7の実施形態の性能は、いくらか低減され得る。しかしそれにもかかわらず本発明の電圧源2の第7の実施形態は、高精度および高安定性の基準電圧を提供する。
【0271】
図8は、本発明の電源2の第8の実施形態を示している。
【0272】
一般にすべてのコンポーネントが第1の実施形態と同じであるこの実施形態では、調整ユニット8の別の実施形態のみが提供される。この実施形態では、電圧源2の調整ユニット8は、直列に接続された、少なくとも1つの抵抗器161および調整可能な分圧器162を含む。
【0273】
本発明の電圧供給器2の第8の実施形態では、超安定DC電圧源4によって供給される電圧は、調整ユニット8の2つの(入力)コネクタに印加されるのであって、一方のコネクタは少なくとも1つの抵抗器161に接続され、もう一方は調整可能な分圧器162に接続されている。
【0274】
調整ユニット8は、出力コネクタ(図示せず)を含み、これに調整ユニット8は出力電圧を提供し、次にこれは矢印14によって示されるコンパレータに提供される。出力電圧は、調整可能な分圧器162の抵抗器または抵抗ネットワークからの電圧を接続することによって提供される。超安定DC電圧源4によって供給される電圧の一部のみが調整可能な分圧器162に適用され、供給された電圧のこの部分のみが、調整可能な分圧器162によって調整可能であり、(出力)コネクタに出力電圧を提供する。したがって、超安定DC電圧源4によって調整可能な分圧器162に供給される電圧の一部のみを使用して、調整ユニット8の出力電圧を、正確なDC電圧源6によって供給される電圧に適合させることができる。通常、超安定DC電圧源4によって供給される電圧の適応可能な部分は、電圧の10%より高く、好ましくは電圧の15%より高く、より好ましくは電圧の20%より高い。通常、超安定DC電圧源4によって供給される電圧の適応可能な部分は、電圧の50%未満、好ましくは電圧の40%未満、より好ましくは電圧の30%未満である。
【0275】
図9は、本発明の電源2の第9の実施形態を示している。
【0276】
一般にすべての示されるコンポーネントが第3の実施形態と同じであるこの実施形態では、調整ユニット8の別の実施形態のみが提供される。別の違いは、第9の実施形態では、調整ユニット8の出力電圧のみがスイッチ32に印加されることである。
【0277】
この実施形態では、電圧供給器2の調整ユニット8は、並列に接続された第1の抵抗器167(R2)およびデジタル-アナログ変換器164(DAC)と、トランスインピーダンス増幅器である電流-電圧変換器とを含む。トランスインピーダンス増幅器は、演算増幅器165およびフィードバック抵抗器166(R1)を含む。デジタル-アナログ変換器164(DAC)は、第2の抵抗器163(R3)と直列に接続されている。超安定電圧源4によって調整ユニット8に供給される電圧は、並列接続されたデジタル-アナログ変換器164(DAC)および第1の抵抗器167(R2)に印加される。この並列接続のもう一方の端は、トランスインピーダンス増幅器の入力に接続されており、これは、出力で調整ユニット8の出力電圧を提供し、それは、矢印14によって示されるコンパレータ12に提供され、矢印34によって示されるスイッチ32に直接印加される。この電圧は、超安定電圧源4によって供給される電圧とは逆の極性を有する。しかし、調整ユニット8の出力電圧および正確な電圧源6によって供給される電圧は、この実施形態では同じ極性を有する。
【0278】
本発明の電圧供給器2の第9の実施形態では、矢印14によって示される調整可能な分圧器8の出力電圧および矢印16によって示される正確な電圧源6の電圧は、電圧信号を比較する本発明の電源2のコンパレータ12に提供される。コンパレータ12は、同じ極性を有するこれらの2つの入力電圧の比較から生じる出力信号を提供する。
【0279】
調整ユニット8の出力電圧の値は、当業者に知られているように、第1の抵抗器167(R2)、第2の抵抗器163(R3)、フィードバック抵抗器166(R1)の抵抗値、およびデジタル-アナログ変換器164(DAC)の出力電圧に依存する。
【0280】
本発明の電圧供給器2はまた、プロセッサ118である制御ユニットを含む。コンピュータプログラムは、説明された方法に従って電圧供給器2を動作させるためにプロセッサ118によって実行され得る。
【0281】
制御ユニット8の出力電圧と正確な電圧源6の電圧との比較から生じる、コンパレータ12によって提供される信号は、矢印20によって示される入力信号としてプロセッサ118に提供される。
【0282】
プロセッサ118は、コンパレータ12によって提供されるデジタル信号に従って調整ユニット8のデジタル-アナログ変換器(DAC)164を調整して、制御ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との絶対差を最小化する。これを達成するために、プロセッサ118は、矢印22によって示されるデジタル-アナログ変換器(DAC)164に提供されるデジタル出力信号を提供する。
【0283】
プロセッサ118によって提供される出力信号(矢印22)は、デジタル-アナログ変換器(DAC)164の出力電圧の絶対値を増加させ、したがって、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値が、調整ユニット8の出力電圧の絶対値よりも高い場合、調整ユニット8の出力電圧の絶対値を増加させている。
【0284】
コンパレータ12によって提供されるデジタル信号が、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の絶対値が調整ユニット8の出力電圧の絶対値よりも高いことを第1の値によって示すとき、プロセッサ118は、コンパレータ12によって提供されるデジタル信号の第1の値に反応し、デジタル信号をデジタル-アナログ変換器(DAC)164に提供して、その出力電圧の絶対値を増加させる。
【0285】
正確なDC電圧源6の電圧の絶対値が調整ユニット8の出力電圧の絶対値よりも低い場合、プロセッサ118によって提供される出力信号は、デジタル-アナログ変換器(DAC)164の出力電圧の絶対値を減少させている。
【0286】
コンパレータ12によって提供されるデジタル信号が、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の絶対値がデジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧の絶対値よりも低いことを第2の値によって示すとき、プロセッサ118は、コンパレータ12によって提供されるデジタル信号の第2の値に反応し、デジタル信号をデジタル-アナログ変換器(DAC)164に提供して、その出力電圧の絶対値を減少させる。
【0287】
好ましくは、調整ユニット8の出力電圧の増減は、それに応じてデジタル-アナログ変換器(DAC)164に信号を提供するプロセッサ118によって段階的に減少される。調整ユニット8の出力電圧のこの低減された変化により、調整ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との絶対差を最小化する。
【0288】
次に、調整ユニット8は、出力電圧を提供しており、これは超安定DC電圧源4の安定性と正確なDC電圧源6の精度を有する基準電圧である。調整ユニット8の出力電圧の平均は、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の平均に等しくなる。そのため、提供される基準電圧は、小さい差は別として、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の値および同じ精度を有する。しかし、本発明の電源2により、超安定DC電圧源4の安定性を有するようになった。調整ユニット8のコンポーネントが調整ユニット8の出力電圧の安定性に影響を及ぼさない場合、これは特に正確である。そうでなければ、本発明の電圧供給器2の第9の実施形態の性能は、いくらか低減され得る。しかしそれにもかかわらず本発明の電圧源2の第9の実施形態は、高精度および高安定性の基準電圧を提供する。
【0289】
好ましい実施形態では、デジタル-アナログ変換器164は、抵抗ラダーネットワーク、特にR-2R抵抗ラダーネットワークを含む。この好ましい実施形態においてプロセッサ118によって提供されるデジタル信号は、特定のビット数のデジタル信号である。好ましくは、デジタル信号は、少なくとも16ビット、特に好ましくは少なくとも20ビットの信号である。コンパレータ12によって提供されるデジタル信号に基づいて、プロセッサ118は、逐次近似の方法を適用して、前に詳細に説明したように、調整ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との絶対差を最小化している。プロセッサ118によってデジタル-アナログ変換器(DAC)164に提供されるデジタル信号のビットに従うこの方法では、デジタル-アナログ変換器(DAC)164の出力電圧は、R-2R抵抗ラダーネットワークによって決定される。抵抗ネットワークは、各設定ビット(値1)で、デジタル-アナログ変換器(DAC)164に印加される電圧を等しいシェアに分割している。そのため、第1のビットは電圧をシェア1/2に分割し、第2は残りの電圧を1/4のシェアに分割し、第3は残りの電圧を1/8のシェアに分割するなどである。プロセッサ118によって提供される設定ビットに従って、デジタル-アナログ変換器(DAC)164の出力電圧が提供される。
【0290】
本方法の反復ステップ中に、プロセッサ118によってデジタル-アナログ変換器(DAC)164に提供されるデジタル信号の各ビットが設定され、調整ユニット8の出力電圧が正確なDC電圧源6の電圧に正しく調整される。この調整の精度は急速に向上している。
【0291】
図9の実施形態では、本発明の電圧供給器2の調整ユニット8の出力電圧は、矢印26で示される電圧増幅器24で基準電圧として印加され、矢印30で示される電極28に増幅された電圧を印加している。調整ユニット8の出力電圧は、調整プロセスが終了した後、スイッチ32を介して電圧増幅器24に印加される。したがって、調整ユニット8の出力電圧は、矢印34によって示されるスイッチ32に直接印加される。
【0292】
図10は、本発明の電源2の第10の実施形態を示している。
【0293】
一般にすべての示されるコンポーネントが第3の実施形態と同じであるこの実施形態では、調整ユニット8の別の実施形態のみが提供される。別の違いは、第10の実施形態では、調整ユニット8の出力電圧のみがスイッチ32に印加されることである。
【0294】
この実施形態では、電圧供給器2の調整ユニット8は、第1の抵抗器171(R2)およびデジタル-アナログ変換器172(DAC)と、トランスインピーダンス増幅器である電流-電圧変換器とを含む。トランスインピーダンス増幅器は、演算増幅器173およびフィードバック抵抗器174(R1)を含む。
【0295】
第1の抵抗器171(R2)には、超安定DC電圧源4によって提供される電圧が印加され、デジタル-アナログ変換器172(DAC)には、正確なDC電圧源6によって提供される電圧が印加される。デジタル-アナログ変換器172(DAC)は、第2の抵抗器175(R3)と直列に接続されている。
【0296】
第1の抵抗器171(R2)およびデジタル-アナログ変換器172(DAC)は、その出力を反転増幅器199の入力に提供するトランスインピーダンス増幅器の入力に接続されたノードに接続されている。反転増幅器199の出力には、調整ユニットの出力電圧8が提供されている。この電圧は矢印14によって示されるコンパレータ12、および矢印34によって示されるスイッチ32に直接印加される。
【0297】
本発明の電圧供給器2の第10の実施形態では、矢印14によって示される調整ユニット8の出力電圧および矢印16によって示される正確な電圧源6の電圧は、電圧信号を比較する本発明の電源2のコンパレータ12に提供される。コンパレータ12は、これらの2つの入力電圧の比較から生じる出力信号を提供する。
【0298】
調整ユニット8の出力電圧の値は、当業者に知られているように、第1の抵抗器171(R3)、第2の抵抗器175(R2)、フィードバック抵抗器174(R1)の抵抗値、およびデジタル-アナログ変換器172(DAC)の出力電圧に依存する。デジタル-アナログ変換器172(DAC)の出力電圧は、正確なDC電圧源6によってデジタル-アナログ変換器172(DAC)に供給される電圧に関連している。
【0299】
本発明の電圧供給器2はまた、プロセッサ118である制御ユニットを含む。コンピュータプログラムは、説明された方法に従って電圧供給器2を動作させるためにプロセッサによって実行され得る。
【0300】
制御ユニット8の出力電圧と正確な電圧源6の電圧との比較から生じる、コンパレータ12によって提供される信号は、矢印20によって示される入力信号としてプロセッサ118に提供される。
【0301】
プロセッサ118は、コンパレータ12によって提供されるデジタル信号に従って調整ユニット8のデジタル-アナログ変換器(DAC)172を調整して、制御ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との絶対差を最小化する。これを達成するために、プロセッサ118は、矢印22によって示されるデジタル-アナログ変換器(DAC)172に提供されるデジタル出力信号を提供する。
【0302】
プロセッサ118によって提供される出力信号(矢印22)は、デジタル-アナログ変換器(DAC)172の出力電圧の絶対値を増加させ、したがって、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値が、調整ユニット8の出力電圧の絶対値よりも高い場合、調整ユニット8の出力電圧の絶対値を増加させている。
【0303】
コンパレータ12によって提供されるデジタル信号が、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の絶対値が調整ユニット8の出力電圧の絶対値よりも高いことを第1の値によって示すとき、プロセッサ118は、コンパレータ12によって提供されるデジタル信号の第1の値に反応し、デジタル信号をデジタル-アナログ変換器(DAC)172に提供して、その出力電圧の絶対値を増加させる。
【0304】
正確なDC電圧源6の電圧の絶対値が調整ユニット8の出力電圧の絶対値よりも低い場合、プロセッサ118によって提供される出力信号は、デジタル-アナログ変換器(DAC)172の出力電圧の絶対値を減少させている。
【0305】
コンパレータ12によって提供されるデジタル信号が、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の絶対値が調整ユニット8の出力電圧の絶対値よりも低いことを第2の値によって示すとき、プロセッサ118は、コンパレータ12によって提供されるデジタル信号の第2の値に反応し、デジタル信号をデジタル-アナログ変換器(DAC)172に提供して、その出力電圧の絶対値を減少させる。
【0306】
好ましくは、調整ユニット8の出力電圧の増減は、それに応じてデジタル-アナログ変換器(DAC)172に信号を提供するプロセッサ118によって段階的に減少される。調整ユニット8の出力電圧のこの低減された変化により、調整ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との絶対差を最小化する。
【0307】
次に、調整ユニット8は、出力電圧を提供しており、これは超安定DC電圧源4の安定性と正確なDC電圧源6の精度を有する、基準電圧である。調整ユニット8の出力電圧の平均は、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の平均に等しくなる。そのため、提供される基準電圧は、小さい差は別として、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の値および同じ精度を有する。しかし、本発明の電源2により、超安定DC電圧源4の安定性を有するようになった。調整ユニット8のコンポーネントが調整ユニット8の出力電圧の安定性に影響を及ぼさない場合、これは特に正確である。そうでなければ、本発明の電圧供給器2の第10の実施形態の性能は、いくらか低減され得る。しかしそれにもかかわらず本発明の電圧源2の第10の実施形態は、高精度および高安定性の基準電圧を提供する。
【0308】
好ましい実施形態では、デジタル-アナログ変換器172は、抵抗ラダーネットワーク、特にR-2R抵抗ラダーネットワークを含み、これは、第9の実施形態について説明したのと同じ方法で使用することができる。
【0309】
提案された方法の反復ステップ中に、プロセッサ118によってデジタル-アナログ変換器(DAC)172に提供されるデジタル信号の各ビットが設定され、調整ユニット8の出力電圧が正確なDC電圧源6の電圧に正しく調整される。この調整の精度は、さらなるビットの各セットで、デジタル-アナログ変換器(DAC)172の出力電圧の調整が二等分され、調整ユニット8の出力電圧の調整を引き起こすため、急速に増加している。
【0310】
図10の実施形態では、本発明の電圧供給器2の調整ユニット8の出力電圧は、矢印26で示される電圧増幅器24で基準電圧として印加され、矢印30で示される電極28に増幅された電圧を印加している。調整ユニット8の出力電圧は、調整プロセスが終了した後、スイッチ32を介して電圧増幅器24に印加される。したがって、調整ユニット8の出力電圧は、矢印34によって示されるスイッチ32に直接印加される。
【0311】
図11は、本発明の電源2の第11の実施形態を示している。
【0312】
一般にすべてのコンポーネントが第1の実施形態と同じであるこの実施形態では、調整ユニット8の別の実施形態のみが提供される。
【0313】
本発明のこの実施形態では、電圧供給器の調整ユニット8は、2つの調整可能な分圧器191および192を含み、これらは、好ましくは、2つのデジタル-アナログ変換器(DAC)である。超安定DC電圧源4により調整ユニット8に供給される電圧は、2つの調整可能な分圧器の第1の調整可能な分圧器191(T1)に印加され、これは(出力)コネクタに出力電圧を提供する。次に、この出力電圧が2つの調整可能な分圧器の第2の調整可能な分圧器192(T2)に印加され、これは(出力)コネクタに出力電圧を提供し、これは調整ユニット8の出力電圧である。第1の調整可能な分圧器191は、調整ユニット8の出力電圧を粗調整するために使用され、第2の調整可能な分圧器192は、調整ユニット8の出力電圧を微調整するために使用される。
【0314】
調整ユニット8は、出力コネクタ(図示せず)を含み、これに調整ユニット8は出力電圧を提供し、次にこれは矢印14によって示されるコンパレータ12に提供される。出力電圧は、第2の調整可能な分圧器192の抵抗器または抵抗ネットワークからの電圧を接続することによって提供される。
【0315】
本発明の電圧供給器2の第11の実施形態では、超安定DC電源4によって供給される電圧は、正確なDC電圧源6によって供給される電圧よりも高い絶対値を有している。
【0316】
通常、本発明の電圧供給器2の第11の実施形態では、超安定DC電源4の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値よりも少なくとも2%高い。好ましくは、超安定DC電源4の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値よりも少なくとも10%高い。より好ましくは、超安定DC電源4の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値よりも少なくとも25%高い。
【0317】
通常、超安定DC電源4の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値より高くても500%以下である。好ましくは、超安定DC電源4の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値より高くても200%以下である。より好ましくは、超安定DC電源4の電圧の絶対値は、正確なDC電圧源6の電圧の絶対値より高くても100%以下である。
【0318】
超安定DC電源4の電圧が印加される第1の調整可能な分圧器191は、調整ユニット8の出力電圧を粗調整するために使用される。そのため、通常、調整ユニット8の出力電圧は、正確なDC電圧源6の電圧の1%から5%の選択性、好ましくは正確なDC電圧源6の電圧の200ppmから1,000ppmの選択性を備える第1の調整可能な分圧器191によって調整される。
【0319】
第2の調整可能な分圧器192は、調整ユニット8の出力電圧を微調整するために使用され、その結果、調整8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との合計差は、制御ユニット18による調整が停止されるとき、定義された最小値を下回る。好ましくは、第2の調整可能な分圧器192の調整のために、調整可能な分圧器8の調整が停止されたときの定義された最小値と、正確なDC電圧源6によって供給される電圧の公称平均値との比率は、500ppm未満、好ましくは200ppm未満、より好ましくは50ppm未満、および最も好ましくは10ppm未満である。
【0320】
本発明の電圧供給器2の第11の実施形態の制御ユニット18は、コンパレータ12によって提供される信号に従って調整ユニット8の第1の調整可能な分圧器191および第2の調整可能な分圧器192を調整して、調整ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との絶対差を最小化する。これを達成するために、制御ユニット18は2つの出力信号、つまり矢印193によって示される調整ユニット8の第1の調整可能な分圧器191に提供される粗調整のための第1の出力信号および矢印194で示される調整ユニット8の分圧器192の第2の調整可能に提供される微調整のための第2の出力信号を提供する。
【0321】
制御ユニット18は、第1の実施形態について説明したのと同じ方法で、コンパレータ12の矢印20によって示される出力信号に基づいて2つの出力信号を提供する。違いは、矢印193によって示される第1の出力信号は、第1の調整可能な分圧器191への粗調整のためにのみ制御ユニット18によって提供され、矢印194によって示される第2の出力信号は、制御ユニット18によって第2の調整可能な分圧器192に提供され、合計差が定義された最小値を下回り、調整プロセスが停止するまで、調整ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との合計差を最小化する。2つの調整可能な分圧器を使用することにより、調整はより速くなり得、調整8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との小さな合計差に反応するためにより敏感である。調整プロセスの開始時に、制御ユニット18は、矢印193によって示される第1の出力信号を提供しており、矢印194によって示される第2の出力信号を提供することもできる。調整ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との間の合計差が、調整プロセス中に第1の調整可能な分圧器191の選択性を下回るとき、制御ユニット18は、好ましくは、第2の調整可能分圧器192に提供される矢印194によって示される第2の出力信号をさらに適合させるだけで、合計差が定義された最小値を下回るまで、調整ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との合計差を最小化するものであって、矢印193によって示される第1の出力信号は変更されない。
【0322】
本発明の電圧源2の第11の実施形態では、調整ユニット8の出力電圧は、正確なDC電圧源6の精度および超安定DC電圧源4の安定性を有する基準電圧を提供している。2つの調整可能な分圧器191および192が基準電圧の安定性に影響を及ぼさない場合、これは特に正確である。そうでなければ、本発明の電圧供給器2の第11の実施形態の性能は、いくらか低減され得る。しかしそれにもかかわらず本発明の電圧源2の第11の実施形態は、高精度および高安定性の基準電圧を提供する。
【0323】
図12は、本発明の電源2の第12の実施形態を示している。
【0324】
一般にすべてのコンポーネントが第9の実施形態と同じであるこの実施形態では、調整ユニット8のみが追加のコンポーネントを含む。
【0325】
本発明のこの実施形態では、電圧源2の調整ユニット8は、第2のデジタル-アナログ変換器196(DAC2)を含む。第1の抵抗器167(R2)および2つのデジタル-アナログ変換器、第1のデジタル-アナログ変換器164(DAC1)および第2のデジタル-アナログ変換器196(DAC2)が平行線で提供される。
【0326】
第1のデジタル-アナログ変換器164(DAC1)は、第2の抵抗器163(R3)と直列に接続され、第2のデジタル-アナログ変換器196(DAC2)は、第3の抵抗器197(R4)と直列に接続される。超安定電圧源4から調整ユニットに供給される電圧は、第1のデジタル-アナログ変換器164(DAC1)、第2のデジタル-アナログ変換器164(DAC2)、および第1の抵抗器167(R2)に印加される。第1の抵抗器167(R2)および2つのデジタル-アナログ変換器、第1のデジタル-アナログ変換器164(DAC1)および第2のデジタル-アナログ変換器196(DAC2)が提供される平行線のもう一方の端部は、トランスインピーダンス増幅器の入力に接続され、これは出力に調整ユニット8の出力電圧を提供し、これは矢印14によって示されるコンパレータ12に提供され、矢印34によって示されるスイッチ32に直接印加される。この電圧は、超安定電圧源4によって供給される電圧とは逆の極性を有する。しかし、調整ユニット8の出力電圧は、正確な電圧源6によって供給される電圧と同じ極性を有する。
【0327】
本発明の電圧供給器2の第12の実施形態では、矢印14によって示される調整可能な分圧器8の出力電圧および矢印16によって示される正確な電圧源6の電圧は、電圧信号を比較する本発明の電源2のコンパレータ12に提供される。コンパレータ12は、同じ極性を有するこれらの2つの入力電圧の比較から生じる出力信号を提供する。
【0328】
調整ユニット8の出力電圧の値は、当業者に知られているように、第1の抵抗器167(R2)、第2の抵抗器163(R3)、第3の抵抗器197(R4)、フィードバック抵抗器166(R1)の抵抗値、第1のデジタル-アナログ変換器164(DAC1)の出力電圧および第2のデジタル-アナログ変換器196(DAC2)の出力電圧に依存する。
【0329】
本発明の電圧供給器2は、プロセッサ118である制御ユニットも含む。コンピュータプログラムは、説明された方法に従って電圧供給器2を動作させるためにプロセッサによって実行され得る。
【0330】
調整ユニット8の出力電圧と正確な電圧源6の電圧との比較から生じる、コンパレータ12によって提供される信号は、矢印20によって示される入力信号としてプロセッサ118に提供される。
【0331】
プロセッサ118は、コンパレータ12によって提供されるデジタル信号に従って調整ユニット8の第1のデジタル-アナログ変換器(DAC1)164および第2のデジタル-アナログ変換器(DAC2)196を調整して、調整ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との絶対差を最小化する。これを達成するために、プロセッサ118は、2つのデジタル出力信号を提供し、これらは、矢印22によって示される第1のデジタル-アナログ変換器(DAC1)164および矢印198によって示される第2のデジタル-アナログ変換器(DAC2)196に提供される。
【0332】
この構成では、第1のデジタル-アナログ変換器164(DAC1)は、調整ユニット8の出力電圧の粗調整のために提供され、第2のデジタル-アナログ変換器196(DAC2)は、調整ユニットの出力電圧8の微調整のために提供される。第2のデジタル-アナログ変換器196(DAC2)は、調整ユニット8の微調整のために、第2の抵抗器163(R3)よりも高い抵抗率の第3の抵抗器197(R4)と直列に接続される。
【0333】
制御ユニット18は、第9の実施形態について説明したのと同じ方法で、コンパレータ12の矢印20によって示される出力信号に基づいて2つの出力信号を提供する。違いは、矢印22によって示される第1の出力信号は、粗調整のみのために制御ユニット18によって第1のデジタル-アナログ変換器164(DAC1)に提供され、矢印198で示される第2の出力信号は、制御ユニット18によって第2のデジタル-アナログ変換器196(DAC2)に提供されることで、第1のデジタル-アナログ変換器164(DAC1)の粗調整の後、合計差が定義された最小値を下回り、調整プロセスが停止するまで、調整ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との合計差を最小化する。
【0334】
詳細には、調整プロセスの開始時に、制御ユニット18は、第1のデジタル-アナログ変換器164(DAC1)の粗調整のために矢印22によって示される第1の出力信号を提供しており、矢印198で示される第2の出力信号を第2のデジタル-アナログ変換器196(DAC2)に提供することもできる。調整ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との間の合計差が、調整プロセス中に第1のデジタル-アナログ変換器164(DAC1)の選択性を下回るとき、制御ユニット18は、好ましくは、第2のデジタル-アナログ変換器196(DAC2)に提供される矢印198によって示される第2の出力信号をさらに適合させるだけで、合計差が定義された最小値を下回るまで、調整ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との合計差を最小化するものであって、矢印22によって示される第1の出力信号は変更されない。
【0335】
2つのデジタル-アナログ変換器を使用することにより、調整はより速くなり、調整ユニット8の出力電圧と正確なDC電圧源6の電圧との小さな合計差に反応するためにより敏感であり得る。
【0336】
本発明の電圧源2の第12の実施形態では、調整ユニット8の出力電圧は、正確なDC電圧源6の精度および超安定DC電圧源4の安定性を有する基準電圧を提供している。調整ユニット分圧器8のコンポーネントが基準電圧の安定性に影響を及ぼさない場合、これは特に正確である。そうでなければ、本発明の電圧供給器2の第12の実施形態の性能は、いくらか低減され得る。しかしそれにもかかわらず本発明の電圧源2の第12の実施形態は、高精度および高安定性の基準電圧を提供する。
【0337】
図13a~図13dには、本発明の電圧供給器の第3の実施形態の電気回路の詳細が示されている。
【0338】
図13には、超安定DC電圧源4が詳細に示されている。示されているのは、デジタル-アナログ変換器(DAC)108に電圧を提供する超安定DC電圧源4の出力コネクタ120、122である。
【0339】
図13bには、コンパレータ12が詳細に示されている。入力コネクタ130は、正確なDC電圧源6に接続され、入力コネクタ132は、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力に接続されている。コンパレータ12は、出力コネクタ140および142を介して、プロセッサ118にデジタル信号を提供している。
【0340】
図13cには、デジタル-アナログ変換器(DAC)108が詳細に示されている。入力コネクタ150、152を介して、超安定DC電圧源4の電圧が、デジタル-アナログ変換器(DAC)108に提供される。出力コネクタ160は、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧を提供しており、これは、電圧供給器2によって提供される超安定で正確な基準電圧である。入力コネクタ170を介して、プロセッサ118は、その入力信号をデジタル-アナログ変換器(DAC)108に提供する。
【0341】
図13dには、電圧源2のスイッチ32が詳細に示されている。スイッチ32に接続されている正確なDC電圧源6が示されている。入力コネクタ190を介して、スイッチに提供されるのは、デジタル-アナログ変換器(DAC)108の出力電圧である。さらに、スイッチ制御信号は、ライン38を介して提供される(図2および図3では矢印38として示されている)。スイッチは、出力コネクタ195を介して電源2によって供給される電圧を増幅器24に提供している。
【0342】
図14には、本発明の第3の実施形態の本発明の電圧供給器2によって提供される基準電圧の24時間にわたる時間安定性挙動の測定値が示されている。示されているのは、点による経時的な基準電圧の平均電圧に対する最大値と最小値の相対的な絶対最大偏差である。「+」記号によって、比較のために、正確なDC電圧源6の経時的な平均電圧に対する最大値および最小値の相対的な絶対最大偏差を示している。本発明の電源により、基準電圧の相対的な絶対最大偏差は、全時間にわたって1ppm未満、さらには0.6ppm未満に減少する可能性がある。正確なDC電圧源6の場合、相対的な絶対最大偏差ははるかに高く、調査時間期間にわたって変化する。
【0343】
そのため、本発明の電圧供給器2によって、提供される基準電圧の時間安定性は、正確なDC電圧源6によってのみ提供される電圧と比較してはるかに増加する。
【0344】
図15には、56℃から64.5℃の間の温度範囲にわたる、本発明の第3の実施形態の本発明の電圧供給器2によって提供される基準電圧の温度挙動の測定が示されている。点によって示されているのは、本発明の電源2の基準電圧の異なる温度での基準電圧の平均電圧の相対的な絶対偏差である。この平均電圧の相対的な絶対偏差は、相対偏差が0を有する温度範囲での基準電圧の最低平均電圧に関連して示されている。「+」記号によって、比較のために相対偏差が0を有する温度範囲での正確なDC電圧源6の最低平均電圧に対する、異なる温度での正確なDC電圧源6によって提供される基準電圧の平均電圧の相対的な絶対偏差が示されている。測定は56℃の温度で開始された。本発明の電源により、基準電圧の相対的な絶対最大偏差は、特定の温度範囲での電圧の最大値と最小値の相対的な最大偏差であり、全温度範囲にわたって1ppm未満に減少する可能性がある。正確なDC電圧源6の場合、絶対的な相対最大偏差ははるかに高く、調査した温度範囲にわたって変化する。また、温度が上昇および下降するとき、正確なDC電圧源6に強いヒステリシス効果が見られ、温度が上昇すると相対偏差が高くなることを示す。
【0345】
そのため、本発明の電圧供給器2によって、提供される基準電圧の温度安定性は、正確なDC電圧源6によってのみ提供される電圧と比較してはるかに増加する。
【0346】
本発明の電源2によって提供される基準電圧は、質量分析計の少なくとも1つの電極に電圧を供給するために使用することができる。
【0347】
質量分析計の電極は、特に、飛行時間型質量分析計の、特に、本発明の電圧供給器によって提供される基準電圧を、ミラー電極、例えば、ミラー電極の特定の電極またはミラー電極のすべての電極に電圧を提供するために使用することができる多重反射飛行時間型質量分析計の電極であり得る。
【0348】
図16aおよび図16bには、多重反射飛行時間型質量分析計で使用される、多重反射飛行時間型質量分析器200の第1の実施形態が示されている。本発明の電源2は、そのような多重反射飛行時間型質量分析計で使用することができる。基準電圧は、多重反射飛行時間型質量分析計の少なくとも1つの電圧増幅器24(図示せず)に提供され、次に、多重反射飛行時間型質量分析器200の電極、例えば、通常、キロボルト(kV)の範囲の値を有する、少なくとも1つのミラー電極に電圧を提供する。
【0349】
特に図16aおよび図16bには、当業者に知られている、多重反射飛行時間型質量分析器200が概略的に示されている。多重反射飛行時間型質量分析器200は、ドリフト長に沿って直線的に伸長された平行イオン光学ミラー210、211を含む。図16aは、X-Y平面で分析器を示し、図16bは、X-Z平面で同じ分析器を示す。対向イオン光学ミラー210、211は、ドリフト方向Yに沿って細長であり、互いに平行に配置されている。イオンは、イオン注入器213から軸Xに対して注入角度Θおよび角発散δθで、X-Y平面に注入される。したがって、3つのイオン飛行経路216、217、218が描かれている。イオンは、ミラー210内に進み、方向転換されてミラー210の外、ミラー211に向かって進行する。すると、イオンは、ミラー211内で反射され、ミラー210に戻り、ジグザグなイオン飛行経路をたどり、比較的ゆっくりドリフト方向Yにドリフトする。ミラー210、211における複数の反射後、イオンは、検出器214に到達し、それに衝突し、検出される。分析器のいくつかの実施形態では、イオン注入器213および検出器214は、ミラーにより境界づけられる体積の外側に位置付けられている。図16bは、セクション、すなわちX-Z平面に示されている図16aの多重反射飛行時間型質量分析器200の概略図であるが、明確にするために、イオン飛行経路216、217、218、イオン注入器213および検出器214は省略されている。
【0350】
各イオン光学ミラー210、211は、3つの細長い平行ミラー電極を含む。イオンイオン光学ミラー210は、3つのミラー電極220、221、222を含み、イオンイオン光学ミラー211は、3つのミラー電極230、231、232を含む。
【0351】
多反射飛行時間型質量分析計200のイオンは、ドリフト方向Yに沿ってドリフトしている間に、対向するイオン光学ミラー210、211間で数回反射される。イオンが軸Xに対して少量の注入角度Θで注入される可能性がある。したがって、イオンの反射の数とイオンの飛行経路の長さが増加する。いくつかのミラー電極220、221、222、230、231、232を含むイオン光学ミラー210、211でのイオンの多重反射のために、各電極220、221、222、230、231、232には、好ましくは、正確で超安定した電圧が提供される必要がある。少しでも不安定になると、反射するイオン光学ミラー210、211間で振動するイオンの軌道が変わる可能性がある。したがって、分析されたイオンの飛行時間が変わると、分解能が低い飛行時間質量スペクトルが生じるか、検出された飛行時間質量スペクトルの質量対電荷キャリブレーションが変化する。
【0352】
各ミラー電極の特定の電極、例えば電極220および230にのみ、正確で超安定な電圧が提供されることも可能であり、十分であり得る。
【0353】
したがって、少なくとも1つの本発明の電圧供給器2、例えば前述の12の実施形態のうちの1つは、正確で超安定な基準電圧を提供するために、多重反射飛行時間型質量分析計で使用される。基準電圧は、多重反射飛行時間型質量分析計の電圧増幅器24に提供され、次に、多重反射飛行時間型質量分析器200のイオン光学ミラー210、211の電極220、221、222、230、231、232をミラーリングするための電圧を提供し、これは通常キロボルト(kV)の範囲である。多重反射飛行時間型質量分析器200の特定の概念に基づいて、イオン光学ミラー210のミラー電極220、221、222、230、231、232のそれぞれに電圧が提供されるか、または好ましくは、イオン光学ミラー210のミラー電極220、221、222のそれぞれに、本発明の電圧供給器2の正確で超安定な基準電圧を使用している、電圧増幅器24によって異なる電圧が提供される。1つの電圧増幅器24を使用して、同じ電圧を複数の電極に印加することができる。特に、通常、両方のイオン光学ミラー210、211において同じ機能を有するミラー電極に、同じ電圧が、1つの電圧増幅器24によって、例えば、両方のイオン光学ミラー210、211の外側ミラー電極220、230に印加される。同様に、別の電圧増幅器24が、ミラー電極221、231に同じ電圧を供給することができ、さらなる電圧増幅器24は、ミラー電極222、232に同じ電圧を供給することができる。ミラー電極に印加される電圧は、通常、1kVから12kVの範囲、好ましくは、2KVから8kVの範囲の絶対値を有する。多反射飛行時間型質量分析計では、例えば、示された実施形態の1つの本発明の電圧源2を使用して、正確で超安定な基準電圧を提供することができるが、さらに、多くの本発明の電圧源2で、正確で超安定な基準電圧を提供することもできる。例えば、各電圧増幅器24に別個の電圧供給器2を割り当てて、各電圧増幅器24に正確で超安定な基準電圧を提供することができる。
【0354】
図17には、多重反射飛行時間型質量分析計で使用される、多重反射飛行時間型質量分析器300の第2の実施形態が示されている。本発明の電源2は、そのような多重反射飛行時間型質量分析計でも使用することができる。基準電圧は、多重反射飛行時間型質量分析計の少なくとも1つの電圧増幅器24(図示せず)に提供され、次に、通常、キロボルト(kV)の範囲の値である、多重反射飛行時間型質量分析器300の電極に電圧を提供する。多重反射飛行時間型質量分析器300の実施形態は、当業者に知られており、国際公開第2013/110587号パンフレットに記載されている。本発明の電圧供給器2は、国際公開第2013/110587号パンフレットに記載されている他の多重反射飛行時間型質量分析計でも使用して、正確で超安定な基準電圧を提供することができる。
【0355】
特に、図17では多重反射飛行時間型質量分析器300が概略的に示されている。多重反射飛行時間型質量分析器300は、ドリフト長に沿って直線的に伸長されたイオン光学ミラー310、311を含む。図17は、X-Y平面で分析器を示す。対向するイオン光学ミラー310、311は、ドリフト方向Yに沿って放物線状に伸長される。多重反射飛行時間型質量分析器300は、補償電極365-1、366-1、367-1、365-2、366-2、367-2をさらに含む。より技術的な実装として、放物線状形状は、円弧により近似されてもよい(これは、次に、旋盤上で作製されてもよい)。補償電極365-1、366-1、367-1、365-2、366-2、367-2は、さらなる利点、具体的には飛行時間のずれの低減、が提供されることを可能にする。図17の実施形態は、図16aおよび図16bの実施形態と同様であり、同様の考慮事項が、注入器363から検出器364までの一般的なイオン運動に適用され、イオンは、イオン光学ミラー310、311間で複数の振動360を受ける。イオン光学ミラーの放物線形状により、イオンは高いY値(質量分析器の右側)で反射され、負のドリフト方向Yに移動し、最後にイオンの注入器363と同じ側に配置された検出器に衝突する。3つの補償電極の対、すなわち一対としての365-1、365-2、別の対としての366-1、366-2、さらなる対としての367-1、367-2は、イオンビームに面するX-Y平面の延在面を構成し、これらの電極は、イオンビーム飛行経路から+/-Zに変位され、すなわち、各補償電極365-1、366-1、367-1、365-2、366-2、367-2は、対向するイオン光学ミラー310、311間に延在する空間のいずれかの側に位置付けられたX-Y平面に実質的に平行な面を有する。使用中、補償電極365-1、365-2は、電気的にバイアスされ、正イオンの場合は両電極に電圧オフセットU(Y)>0が印加され、負イオンの場合はU(Y)<0が印加される。電圧オフセットU(Y)は、いくつかの実施形態では、Yの関数であり、すなわち補正板のポテンシャルは、ドリフト長に沿って変化するが、この実施形態では、電圧オフセットは、一定である。電極366、367は、バイアスされず、ゼロの電圧オフセットを有する。
【0356】
各イオン光学ミラー310、311は、3つの細長いミラー電極を含む。イオンイオン光学ミラー310は、3つのミラー電極320、321、322を含み、イオンイオン光学ミラー311は、3つのミラー電極330、331、332を含む。
【0357】
多反射飛行時間型質量分析計300のイオンは、Y方向に沿ってドリフトしている間に、対向するイオン光学ミラー310、311間で数回反射され、反射されて、Y方向にドリフトして戻る。イオンが軸Xに対して少量の注入角度Θで注入される可能性がある。したがって、イオンの反射の数とイオンの飛行経路の長さが増加する。いくつかのミラー電極320、321、322、330、331、332を含むイオン光学ミラー310、311でのイオンの多重反射のために、各イオン光学ミラー310、311の少なくとも1つのミラー電極320、321、322、330、331、332、またはイオン光学ミラー310、311の各ミラー電極320、321、322、330、331、332には、正確で超安定な電圧を提供する必要がある。少しでも不安定になると、反射するイオン光学ミラー310、311間で振動するイオンの軌道が変わる可能性がある。したがって、分析されたイオンの飛行時間が変わると、分解能が低い飛行時間質量スペクトルが生じるか、検出された飛行時間質量スペクトルの質量対電荷キャリブレーションが変化する。
【0358】
したがって、少なくとも本発明の電圧供給器2、例えば前述の12の実施形態のうちの1つは、正確で超安定な基準電圧を提供するために、多重反射飛行時間型質量分析計で使用される。基準電圧は、多重反射飛行時間型質量分析計の電圧増幅器24に提供され、次に、多重反射飛行時間型質量分析器300のイオン光学ミラー310、311のミラー電極320、321、322、330、331、332に電圧を提供し、これは通常キロボルト(kV)の範囲である。多重反射飛行時間型質量分析器230の特定の概念に基づいて、イオン光学ミラー310のミラー電極320、321、322、330、331、332のそれぞれに同じ電圧が提供されるか、またはより好ましくは、イオン光学ミラー210のミラー電極320、321、322のそれぞれに、本発明の電圧供給器2の正確で超安定な基準電圧を使用している、電圧増幅器24によって異なる電圧が提供される。1つの電圧増幅器24を使用して、同じ電圧を複数の電極に印加することができる。特に、通常、両方のイオン光学ミラー310、311において同じ機能を有する電極に、同じ電圧が、1つの電圧増幅器24によって、例えば、両方のイオン光学ミラー310、311の外側ミラー電極320、330に印加される。同様に、別の電圧増幅器24が、ミラー電極321、331に同じ電圧を供給することができ、さらなる電圧増幅器24は、ミラー電極322、332に同じ電圧を供給することができる。ミラー電極に印加される電圧は、通常、1kVから12kVの範囲、好ましくは、2KVから8kVの範囲の絶対値を有する。多反射飛行時間型質量分析計では、例えば、この実施形態の1つの本発明の電圧源2を使用して、正確で超安定な基準電圧を提供することができるが、さらに、多くの本発明の電圧源2で、正確で超安定な基準電圧を提供することもできる。例えば、各電圧増幅器24に別個の電圧供給器2を割り当てて、各電圧増幅器24に正確で超安定な基準電圧を提供することができる。
【0359】
本出願で説明される実施形態は、本発明の電圧供給および本発明のキャリブレーション方法の例を示す。そのため、本発明は、それぞれの実施形態単独で、または上述の実施形態のいくつかもしくはすべての特徴の組み合わせによって、何の制限もなく実現され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15
図16A
図16B
図17