(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】唇側端部空洞を有する喫煙物品
(51)【国際特許分類】
A24D 3/04 20060101AFI20220511BHJP
A24D 1/02 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
A24D3/04
A24D1/02
(21)【出願番号】P 2021048200
(22)【出願日】2021-03-23
(62)【分割の表示】P 2020180730の分割
【原出願日】2013-07-19
【審査請求日】2021-04-14
(32)【優先日】2012-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】カディリック アレン
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0037172(US,A1)
【文献】特公昭47-019755(JP,B1)
【文献】国際公開第2012/069791(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/04
A24D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコロッド(12)と、
前記タバコロッド(12)に接続され、
外側シェルと添加剤を含有する内側コアとを含む、
繊維性フィルタ材料内に分散された破壊可能なカプセルを含む第1のフィルタセグメント(20)、及び
前記第1のフィルタセグメント(20)の下流にあってフィルタ(14)の唇側端部に空洞(24)を形成し、前記第1のフィルタセグメント(20)の下流端と前記フィルタ(14)の前記唇側端部との間に位置決めされた中空管セグメント(22)、
を含むフィルタ(14)と、
を含み、前記中空管セグメント(22)が少なくとも150マイクロメートルの壁厚みを有し、前記フィルタの50%変形後の前記中空管セグメントの楕円率が25%未満である、
ことを特徴とする喫煙物品(10)。
【請求項2】
前記中空管セグメント(22)は、ポリマー材料から形成されることを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項3】
前記中空管セグメント(22)の楕円率が、前記カプセルの粉砕強度に対応する力が前記第1のフィルタセグメント(20)に印加されるカプセル粉砕試験後に25%未満であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の喫煙物品。
【請求項4】
前記喫煙物品(10)は、少なくとも前記中空管セグメント(22)を取り囲む包装紙(16、23)を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項5】
前記プラグラップ(23)は、坪量が平方メートルあたり90グラム未満であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項6】
前記フィルタ(14)の50%変形後の前記中空管セグメント(22)の楕円率と該フィルタ(14)の変形前の該中空管セグメント(22)の楕円率との間の差が、25%未満であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項7】
前記喫煙物品(10)が喫煙試験を受けた後に行われる前記フィルタ(14)の50%変形後の前記中空管セグメント(22)の楕円率が、35%未満であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項8】
前記中空管セグメント(22)は、その内面上にコーティング層を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項9】
前記フィルタ(14)の圧縮強度が、50%圧縮時に少なくとも20ニュートンであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項10】
前記中空管セグメント(22)は、前記第1のフィルタセグメント(20)の下流端から少なくとも2mm延びることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項11】
前記第1のフィルタセグメント(20)と前記タバコロッド(12)との間のロッド端部セグメントを更に含むことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項12】
前記タバコロッド(12)は、1つ又はそれよりも多くの電気的加熱要素によって加熱されてエアロゾルを形成するように構成されたタバコ材料を含むことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項13】
前記フィルタ(14)の67%変形後での前記中空管セグメント(22)の楕円率が、約35%未満であることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項14】
前記喫煙物品(10)が喫煙試験を受けた後に行われる前記フィルタ(14)の67%変形後での前記中空管セグメント(22)の楕円率が、約45%未満であることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空管セグメントによって形成された唇側端部空洞を有する喫煙物品に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタシガレットは、典型的には、包装紙によって取り囲まれたタバコカットフィルタの円筒形ロッドと、包装タバコロッドと端部突合せ関係で軸線方向に位置合わせされた円筒形フィルタとを含む。円筒形フィルタは、典型的には、紙プラグラップによって囲まれたフィルタ材料を含む。従来から包装タバコロッド及びフィルタは、通常はフィルタの全長及び包装タバコロッドの隣接部分を取り囲む不透明紙材料から形成される先端包装紙の帯によって接合される。
【0003】
従来技術では、タバコが燃焼するのではなく加熱されるいくつかの喫煙物品も提案されている。加熱式喫煙物品では、タバコのような香味発生基材を加熱することによってエアロゾルが発生する。公知の加熱式喫煙物品は、例えば、電気加熱式喫煙物品と、可燃性燃料要素又は熱源から物理的に離れたエアロゾル形成材料への熱の伝達によってエアロゾルを発生する喫煙物品とを含む。喫煙中に、燃料要素からの熱伝達によってエアロゾル形成基材から揮発性化合物が放出され、喫煙物品を通って吸い込まれた空気に取り込まれる。
放出された化合物は、冷えると凝縮して、消費者が吸入するエアロゾルを形成する。ニコチン含有エアロゾルが、タバコ材料、タバコ抽出物、又は他のニコチン源から燃焼又は加熱なしで発生する喫煙物品も公知である。
【0004】
時には喫煙物品のフィルタ区画に唇側端部の空洞を備えることが望ましい。しかし、そのような唇側端部空洞は、特に、フィルタ材料が喫煙の前にフィルタを押し潰すことによって破る必要がある1つ又はそれよりも多くの壊れ易い香味含有カプセルを含む時には、喫煙物品の製造中及びその後の消費者による取扱中に圧壊又は変形し易い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、圧壊に抵抗する唇側端部空洞を有する喫煙物品を提供することが望ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様により、本発明は、タバコロッドとタバコロッドに接続されたフィルタとを含む喫煙物品を提供する。フィルタは、1つ又はそれよりも多くの壊れ易いカプセルを含む第1のフィルタセグメントを含み、各壊れ易いカプセルは、外側シェルと添加剤を含有する内側コアとを含む。フィルタは、第1のフィルタセグメントの下流の中空管セグメントを更に含み、管セグメントは、第1のフィルタセグメントの下流端とフィルタの唇側端部との間に位置決めされる。中空管セグメントは、フィルタの唇側端部に空洞を形成する。第1のフィルタセグメント及び中空管セグメントをプラグラップが取り囲み、プラグラップは、坪量が平方メートルあたり90グラム未満である。
【0007】
一部の実施形態において、中空管セグメントは、第1のフィルタセグメントの下流端からフィルタの唇側末端縁まで延びる。
【0008】
本明細書に使用する時に、「上流」及び「下流」という用語は、ユーザが喫煙物品をその使用時に吸い込む方向に関して喫煙物品の要素又は要素の各部分の相対的な位置を説明するのに使用する。本明細書に説明する喫煙物品は、下流端及び反対側の上流端を含む。
使用時に、ユーザは、喫煙物品の下流端を吸い込む。唇側端部としても説明される下流端は、遠位端としても説明される上流端の下流である。
【0009】
中空管セグメントを用いて唇側端部空洞を形成することにより、本発明には、圧壊又は変形に対する抵抗が改善した唇側端部空洞を有する喫煙物品を提供することができる利点がある。そのような圧壊又は変形に対する抵抗により、この抵抗がなければ唇側端部空洞の圧壊を防止するのに必要になる堅くかつ高い坪量のプラグラップ及び先端包装紙の必要性を排除することができる利点がある。そのような高い坪量のプラグラップ及び先端包装紙は、喫煙物品の製造中にしわになるか又は折り曲がる可能性があるので望ましくなく、それらは、製造工程にオンラインレーザ穿孔通気の必要性のような他の費用がかかる段階を追加する可能性もある。更に、高い坪量のプラグラップ及び先端包装紙により、消費者が、フィルタに含有された1つ又はそれよりも多くのカプセルを壊すためにフィルタを変形させることを困難にする可能性がある。そのような高い坪量のプラグラップ及び先端包装紙の必要性を排除し、かつ中空管セグメントを使用して唇側端部空洞を形成することにより、本発明による喫煙物品は、消費者が、フィルタに含有された1つ又はそれよりも多くのカプセルを壊すためにフィルタを第1のフィルタセグメントにおいて容易に変形させることを可能にし、その一方、唇側端部空洞は、変形又は圧壊に対して確実に十分に抵抗する。
【0010】
喫煙物品フィルタは断面がほぼ円形であるので、中空管セグメントの圧壊又は変形に対する抵抗は、フィルタが50%変形した後の管セグメントの楕円率とフィルタが50%変形する前の管セグメントの楕円率との差が25%未満であり、好ましくは20%未満であるようなものとすることができる。この場合に、喫煙物品の唇側端部空洞は、フィルタが50%変形した後でもほぼ円形の断面を保持するか又は回復する。本発明によるフィルタの変形を行う具体的な試験手順は以下で詳しく説明する。
【0011】
本明細書に使用する時に、「楕円率」という用語は、真円からの偏差の程度を意味する。楕円率は、百分率で表され、数学的定義を以下に示す。
【0012】
本発明によって喫煙物品のセグメント(中空管セグメントのような)の楕円率を決定するために、唇側端部を喫煙物品の縦方向に沿って見る。例えば、喫煙物品は、唇側端部を透明な試料台上に位置決めして、物品の唇側端部の画像が試料台の下方に位置する適切な撮像デバイスによって記録されるようにすることができる。寸法「a」は、セグメントの下流端における最大外径になるように取り、寸法「b」は、セグメントの下流端における最小外径になるように取る。設計が同じである合計10個の喫煙物品について手順を繰返し、10個の楕円率測定値の数平均を喫煙物品のその設計の楕円率として記録した。
【0013】
上述したように、中空管セグメントの圧壊又は変形に対する抵抗は、フィルタが50%変形した後の中空管セグメントの楕円率が25%未満であり、好ましくは20%未満であるようなものとすることができる。これは、それ自体が新規でかつ発明性がある構成であるので、第2の態様により、本発明は、タバコロッドと、このタバコロッドに接続されたフィルタとを含む喫煙物品を提供する。フィルタは、第1のフィルタセグメントと、この第1のフィルタセグメントの下流の中空管セグメントとを含み、中空管セグメントは、第1のフィルタセグメントの下流端とフィルタの唇側端部の間に位置決めされる。フィルタが50%変形した後の中空管セグメントの楕円率は、25%未満であり、好ましくは20%未満である。
【0014】
一部の実施形態において、中空管セグメントは、第1のフィルタセグメントの下流端からフィルタの唇側端部空洞に延びる。
【0015】
中空管セグメントの圧壊又は変形に対する抵抗は、本発明の両方の態様に従う喫煙物品について、フィルタが67%変形した後での中空管セグメントの楕円率が、好ましくは約35%未満であり、より好ましくは約30%未満であるようなものとすることができる。
これに代えて又はこれに加えて、中空管セグメントの圧壊又は変形に対する抵抗は、フィルタが50%変形した後の管セグメントの楕円率と変形する前の管セグメントの楕円率との差が25%未満であり、好ましくは20%未満であるようなものとすることができる。
例えば、変形前の管セグメントの楕円率が5%である場合に、フィルタが50%変形した後の管セグメントの楕円率は、好ましくは30%未満であり、より好ましくは25%未満である。
【0016】
一部の実施形態において、喫煙物品が喫煙試験を受けた後に、フィルタが50%変形した後での中空管セグメントの楕円率は、約35%未満であることが好ましく、約30%未満であることがより好ましい。これに代えて又はこれに加えて、喫煙物品が喫煙試験を受けた後に、フィルタが67%変形した後での管セグメントの楕円率は、約45%未満であることが好ましく、約40%未満であることがより好ましい。こうすれば、本発明の両方の態様に従う喫煙物品の喫煙中に、唇側端部空洞の楕円率の一貫性を提供する利点がある。
【0017】
本発明の両方の態様によって喫煙物品を試験するのに使用する喫煙試験を以下で詳しく説明する。喫煙の前後の両方で行われた変形試験の後で楕円率を測定することが必要な場合に、設計が同じである2つの喫煙物品のサンプルを使用しなければならない。すなわち、喫煙前の変形試験には非変形かつ未喫煙の喫煙物品を使用する必要があり、一方、設計が同じで非変形の物品が、喫煙試験を受けかつ喫煙後の変形試験に使用される。
【0018】
両方の態様による本発明の一部の実施形態において、中空管セグメントは、ポリマー材料又は紙材料から形成することができる。例えば、中空管セグメントは、押し出しプラスチック管から形成することができる。中空管セグメントは、複数の平行に巻き付けた紙層又は複数の螺旋状に巻き付けた紙層のような複数の重なり合う紙層から形成することが好ましい。中空管セグメントを複数の重なり合う紙層から形成すれば、変形又は圧壊に対する抵抗を更に改善する助けになることができる。各中空管セグメントは、少なくとも2つの紙層を含むことが好ましい。これに代えて又はこれに加えて、各中空管セグメントは、11個未満の紙層を含むことが好ましい。
【0019】
複数の巻き付けた紙層から管セグメントを形成する例示的な方法は、複数の実質的に連続する紙ストリップを円筒形のマンドレルの周りに重なり合う方式で巻き付ける段階を含む。マンドレル上に実質的に連続する管を形成するために、ストリップは、平行な方式又は螺旋状の方式で巻き付けられる。形成された管は、例えば、ゴム製ベルトを使用してマンドレルの周りで回転させることができ、結果として紙層は、連続的に引き出されてマンドレルの周りに巻き付けられる。次に、形成された管は、マンドレルの下流で所要の長さに切断することができる。
【0020】
喫煙物品の喫煙中に中空管セグメントがその楕円率を保つ機能を制限する可能性がある1つのファクタは、喫煙中に水分が管セグメントに吸収されることである。従って、喫煙物品の喫煙中に水分が1つの紙層から隣の紙層へ移動することを抑制するために、各管状部材の隣接する複数の紙層は、接着剤の中間層によって互いに接着されることが好ましく、接着によって層間における水分の移動に対する障壁が得られる。これに代えて又はこれに加えて、中空管セグメントは、その内面上にコーティング層を含むことができ、コーティング層があれば、水分が中空管セグメント内へ吸収されることを抑制することができる。中空管セグメントが複数の紙層から形成される実施形態において、コーティング層は、これに加えて又はこれに代えて、隣接する複数の層の一部又は全ての間に設けることができる。適切なコーティング材料は、以下に限定されるものではないが、ろう、ポリマー材料、及びこれらの組合せである。特に適切なろうは、植物ろうを含み、他の特に適切な材料は、エチルセルロース及びニトロセルロースである。
【0021】
中空管セグメントの粉砕に対する抵抗を増大させるために、フィルタは、未喫煙圧縮強度が、50%圧縮した状態で少なくとも約20ニュートンであることが好ましい。これに代えて又はこれに加えて、フィルタの未喫煙圧縮強度は、50%圧縮した状態で約50ニュートン未満であることが好ましい。「圧縮強度」という用語は、喫煙物品のフィルタ区画に特定の圧縮を生じさせるのに必要である力の尺度である。圧縮強度は、以下で詳しく説明する圧縮強度試験を使用して測定され、圧縮強度試験では、与えられた喫煙物品設計の圧縮強度は、設計が同じである10個の喫煙物品のサンプルに関する圧縮強度測定値の数平均である。
【0022】
変形又は粉砕に対する所要の弾力性及び抵抗を与える助けになるように、中空管セグメントは、壁厚みが少なくとも約100マイクロメートルであることが好ましく、少なくとも約150マイクロメートルであることがより好ましい。これに代えて又はこれに加えて、壁厚みは、約500マイクロメートル未満であることが好ましく、約350マイクロメートル未満であることがより好ましく、約250マイクロメートル未満であることが最も好ましい。
【0023】
完成したシガレットにおいて、中空管セグメントは、第1のフィルタセグメントの下流端から約2mm延びることが好ましい。こうすれば、適切な大きさの唇側端部空洞が得られるのみならず、中空管セグメントとこの管セグメントを取り囲むあらゆる包装紙とが確実に十分に重なり、中空管セグメントをフィルタセグメントと軸線方向で位置合わせされた状態に維持する。そのような包装紙は、プラグラップ及び先端包装紙を含む。これに加えて又はこれに代えて、中空管セグメントは、第1のフィルタセグメントの下流端から約15mmを超えずに延びることができる。
【0024】
第2の態様による本発明の一部の実施形態において、フィルタに通常は消費者が物品を喫煙する直前に手で行う香味料又は他の添加物をオンデマンドで放出するための手段を備えることが望ましい場合がある。従って、フィルタは、外側シェルと添加剤を含有する内側コアとを含む1つ又はそれよりも多くの壊れ易いカプセルのような香味料含有材料を含むフィルタセグメントを更に含むことができる。少なくとも1つのフィルタセグメントは、繊維性フィルタ材料内に分散された1つ又はそれよりも多くの壊れ易いカプセルを含むことが好ましい。少なくとも1つのフィルタセグメントは、第1のフィルタセグメント、フィルタ内へ組み込むことができる追加のフィルタセグメント、又はその組合せとすることができる。
【0025】
同様に、本発明の第1の態様に従う喫煙物品の1つ又はそれよりも多くの壊れ易いカプセル内に含有される添加剤は、香味料を含むことができる。
【0026】
本発明の両方の態様に従って香味料含有材料を含む実施形態において、少なくとも1つの香味料含有フィルタセグメントは、実質的に香味料添加物を透過しないプラグラップによって取り囲むことが好ましい。こうすれば、添加物がプラグラップを通って喫煙物品の外側へ移動せず、添加物が消費者の指と接触して喫煙物品の外観を変色させる不具合が抑制される利点がある。
【0027】
少なくとも1つの香味料含有フィルタセグメントが1つ又はそれよりも多くの壊れ易いカプセルを含む場合に、管セグメントの楕円率は、1つ又はそれよりも多くのカプセルの粉砕強度に対応する力を喫煙物品に印加するカプセル粉砕試験の後に35%未満であることが好ましく、30%未満であることが更に好ましい。カプセルの粉砕強度は、カプセルがフィルタセグメント内に配置された時に、カプセルを壊して開けてカプセル内に含まれる添加物を放出するのに必要な圧縮力に対応する。このカプセル粉砕試験は以下で詳しく説明される。
【0028】
喫煙物品が喫煙試験を受けた後にカプセル粉砕試験を行う場合に、管セグメントの楕円率は、カプセル粉砕試験の後に約45%未満であることが好ましく、約40%未満であることが更に好ましい。
【0029】
上述したように、本発明の両方の態様に従う喫煙物品は、第1のフィルタセグメントと共に追加のフィルタセグメントを含むことができる。例えば、一実施形態において、喫煙物品は、第1のフィルタセグメントとタバコロッドの間にロッド端部セグメントを更に含むことができる。
【0030】
喫煙物品の各フィルタセグメント内のフィルタ材料は、セルロースアセテートトウ又は紙のような繊維性フィルタ材料のプラグであることが好ましい。フィルタ材料にいずれかの追加材料を付加する前に可塑剤を別々の繊維上に噴霧することにより、繊維性フィルタ材料に従来の方式でフィルタ可塑剤を付加することができる。本発明の両方の態様による喫煙物品は、吸引抵抗(RTD)を調節するのに使用する制限器及びセグメントを含む当業者に公知の様々な異なるタイプのフィルタセグメント又はフィルタセグメントの組合せを含むことができる。これに代えて又はこれに加えて、本発明によって製造される喫煙物品は、炭素を含有する1つ又はそれよりも多くのセグメント、好ましくは炭素を含有するロッド端部セグメントを含むことができる。
【0031】
中空管セグメントを第1のフィルタセグメント及び存在する時はいずれかの他のセグメントに接続するために、喫煙物品は、フィルタの様々なセグメントを取り囲む結合プラグラップを含むことができる。結合プラグラップは、坪量が約90gsm未満であり、好ましくは約60gsm未満であり、最も好ましくは約40gsm未満である。結合プラグラップは、坪量が約20gsmよりも大きいことが好ましい。
【0032】
喫煙物品は、フィルタをタバコロッドに接続するためにフィルタとタバコロッドの少なくとも一部分とを取り囲む先端包装紙を含むことができる。先端包装紙は、坪量が約70gsm未満、好ましくは約50gsm未満である紙を含むことができる。先端包装紙は、坪量が約20gsmよりも大きいことが好ましい。
【0033】
本発明の両方の態様によって生成される喫煙物品は、フィルタシガレット、又はタバコ材料が燃焼して煙を形成する他の喫煙物品とすることができる。これに代えて、本発明の両方の態様による喫煙物品は、タバコ材料が燃焼するのではなく加熱されてエアロゾルを形成する物品とすることができる。あるタイプの加熱式喫煙物品では、タバコ材料は、1つ又はそれよりも多くの電気的加熱要素によって加熱されてエアロゾルを生成する。別のタイプの加熱式喫煙物品では、エアロゾルは、例えば、可燃性又は化学的熱源からこの熱源の内部、周囲、又は下流に位置することができる物理的に離れたタバコ材料へ伝達する熱によって生成される。本発明の両方の態様は、タバコ材料から燃焼又は加熱なしでニコチン含有エアロゾルが発生する喫煙物品を更に包含する。
【0034】
本発明は、喫煙物品を形成する方法も提供し、本方法は、第1のフィルタ部材と管状部材との連続アレイを与える第1の段階を含み、管状部材は、連続する第1のフィルタ部材の各対の間に与えられる。第1のフィルタセグメントの各々は、1つ又はそれよりも多くの壊れ易いカプセルを含み、各壊れ易いカプセルは、外側シェルと添加剤を含有する内側コアとを含む。次に、包装フィルタアレイを形成するために、第1のフィルタ部材と管状部材との連続アレイをプラグラップの連続シートで包む。プラグラップは、坪量が平方メートル当たり90グラム未満である。次に、複数のフィルタロッドを与えるために、包装フィルタアレイを第1のフィルタ部材の各々に沿った中間位置で切断し、各フィルタロッドは、2つの第1のフィルタセグメントと、第1のフィルタセグメント間に位置する管状部材とを含む。次に、各フィルタロッドの各第1のフィルタセグメントと軸線方向に位置合わせしてかつそれに隣接してタバコロッドを供給し、フィルタロッド及び各タバコロッドの一部分を先端包装紙に包む。最後に、フィルタに接続されたタバコロッドを各々が含む2つの喫煙物品を形成するために、先端包装紙及びフィルタロッドを管状部材の長さに沿って切断する。各フィルタは、第1のフィルタセグメントと、隣接フィルタセグメントとフィルタの唇側端部との間に位置する中空管セグメントとを含み、中空管セグメントは、フィルタの唇側端部に空洞を形成する。
【0035】
試験手順
変形及び圧縮強度試験
試験する喫煙物品は、平坦面と、この平坦面に対向して直径が10mmである円形板の間に位置決めされる。喫煙物品の唇側端部に最も近い円形板の縁部は、唇側端部から8mmの距離に位置する。次に、円形板を平坦面に向けて毎秒100mmの一定速度で移動することによってフィルタを圧縮する。円形板が印加する力は、喫煙物品のうちの円形板と平坦面の間にある部分に望ましい変形が生じるまで上昇させる。例えば、50%変形を達成するために、喫煙物品の圧縮部分は、圧縮前におけるその部分の直径の50%の直径まで圧縮される。同様に、67%変形を達成するために、喫煙物品は、圧縮部分が圧縮前におけるその部分の直径の33%の直径に減少するまで圧縮される。直径は、平坦面と円形板の間を延びる方向である圧縮の方向で測定される。所要の圧縮が達成された時に、その圧縮を生じるのに必要な力をフィルタの圧縮強度として確認する。次に、円形板を後退させて圧縮力を除去する。喫煙物品は、別のいずれかの試験又は測定を行う前に30秒間放置して膨張させる。
【0036】
喫煙試験
喫煙物品の喫煙を模擬するために、喫煙物品は、ISO条件の下で標準的な喫煙試験(60秒毎に毎回35mlの吸煙が2秒続く)を受けた。ISO試験方法では、換気ゾーンのカバーを完全に開けた状態で喫煙物品を喫煙する。
【0037】
カプセル粉砕試験
本発明によってカプセル粉砕試験を行うために、壊れ易いカプセルを含む喫煙物品を直径が150mmである下側板と直径が20mmである上側板の間に位置決めした。喫煙物品のうちの壊れ易いカプセルを収容する部分は、板がカプセルの場所の中心にあるように2つの板の間に位置決めされる。次に、上側板を下側板に向けて毎秒30mmの一定速度で移動することにより、喫煙物品及びカプセルを圧縮する。上側板が印加する力は、カプセルが壊れるまで上昇し、その時点で上側板が印加する力の最大値が、カプセルの粉砕強度として記録される。試験は、圧縮荷重が最大値に達し、上側板が後退して喫煙物品から圧縮力を除去した時に終了する。喫煙物品は、次に、楕円率測定のような別のいずれかの試験又は測定を行う前に30秒間放置されて膨張する。
【0038】
ここで、本発明を添付素面を参照して単に一例として以下に更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図2】フィルタが未包装の
図1の喫煙物品の唇側端部を示す図である。
【
図3】本発明によって中空管セグメントを形成するための管状部材を形成する例示的な方法を示す図である。
【
図4】本発明による喫煙物品を生成する際に使用する複数の喫煙物品フィルタロッドを形成する方法を示す図である。
【
図7】二重フィルタロッドを使用して喫煙物品を形成する例示的な方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1及び
図2は、本発明によるフィルタシガレット10を示している。フィルタシガレット10は、軸線方向に位置合わせされたフィルタ14に一端で取り付けられたタバコカットフィルタの包装ロッド12を含む。先端包装紙16は、フィルタ14とタバコの包装ロッド12の一部分とを取り囲み、フィルタシガレット10の2つの部分を互いに接合する。
【0041】
図2に示すように、フィルタ14は、ロッド端部フィルタセグメント18と、香味含有フィルタセグメント20と、唇側端部中空管セグメント22とを含む。セグメント18、20、及び22は、これら3つのセグメントを接続して喫煙物品フィルタ14を形成する結合プラグラップ23によって囲まれる。結合プラグラップ23は、坪量が90gsm未満である。セグメント18、20、及び22のうちの1つ又はそれよりも多くを個々のプラグラップに包むことができる。
【0042】
ロッド端部フィルタセグメント18及び香味含有フィルタセグメント20は、セルロースアセテートトウのような適切なフィルタ材料で形成される。更に、香味含有フィルタセグメント20は、香味含有フィルタセグメント20内に含有された1つ又はそれよりも多くの壊れ易い(破壊可能な)カプセルの形態で与えられる適切な香味料を含む。1つ又はそれよりも多くの壊れ易いカプセルは、望ましい時に香味含有フィルタセグメント20を消費者の指の間で押し潰すことによって消費者が裂くことができる。
【0043】
唇側端部中空管セグメント22は、香味含有フィルタセグメント20の下流端とフィルタ14の唇側末端縁との間を延びる唇側端部空洞24をフィルタ14内に形成する。唇側端部中空管セグメント22は、複数の螺旋状に巻き付けた紙層で形成することができ、この紙層は、例えば、香味含有フィルタセグメント20に存在する時の1つ又はそれよりも多くの壊れ易いカプセルの破裂中に唇側端部空洞24の変形に対する抵抗を更に改善することができる。フィルタ14が50%変形した後の管セグメントの楕円率は25%未満である。
【0044】
図3は、切断して本発明による喫煙物品を形成する際に使用する複数の中空管セグメントを形成することができる管部材30を形成する例示的な方法を示している。円筒形マンドレル34の周りには、複数の連続紙プライ32が互い違いにかつ重なり合う配置で螺旋状に巻かれる。各プライを円筒形マンドレル34の周りに巻き付ける前に、接着剤槽36を使用して適切な接着剤をプライ32のうちの1つ又はそれよりも多くに付加することができる。複数のプライ32は、形成された管状部材30が、それが更に下流に望ましい長さに切断されるまで円筒形マンドレル34の周りに回転するように、ゴム製ベルト38によって駆動される。
【0045】
本発明による複数の喫煙物品を形成するために、
図4から
図7に示す工程を使用することができる。最初に、
図4に示す工程によって複数のフィルタロッドを生成する。複数の環状部材40、複数の香味含有フィルタセグメント20、及び複数の各ロッド端部フィルタ部材42を与えることにより、フィルタ構成要素の実質的に連続するアレイが形成される。管状部材40は、連続するロッド端部フィルタ部材42の各対の間に与えられ、香味含有フィルタセグメント20は、各ロッド端部フィルタ部材42と各管状部材40の間に与えられる。次に、フィルタ構成要素の実質的に連続的するアレイは、包装フィルタアレイを形成するためにプラグラップの連続シート44に包まれる。
【0046】
複数のフィルタロッドを形成するために、包装フィルタアレイのロッド端部フィルタ部材42のうちの少なくとも一部を貫通して複数の第1の切り込み46を入れ、各第1の切り込み46は、それぞれのロッド端部フィルタ部材42の長さに沿って中間位置に位置決めされる。各管状部材40の弾力性により、フィルタロッド及びこのフィルタロッドから製造されたフィルタを組み込んだ喫煙物品の切断工程中及びその後の取扱中に、管状部材に形成された空洞が圧壊することが防止される利点がある。
【0047】
図5に示す二重フィルタロッドを形成するために、包装フィルタアレイは、各ロッド端部フィルタ部材42を通して切断されて各端部にロッド端部フィルタセグメント18を有するフィルタロッドを提供し、2つの香味含有フィルタセグメント20は、2つのロッド端部フィルタセグメント18の間に位置決めされ、管状部材40は、2つの香味含有フィルタセグメント20の間に位置決めされる。二重フィルタロッドは、本質的に、連続プラグラップ44及び管状部材40によって接合された2つの喫煙物品フィルタ14を形成する。
【0048】
これに代えて、
図6に示すように、四重フィルタロッドは、包装フィルタアレイを1つおきのフィルタ部材42を通して切断することによって形成することができ、本質的に2つの接合された二重フィルタロッドを含むフィルタロッドを提供する。
【0049】
形成されたフィルタロッドは、2つ又はそれよりも多くの喫煙物品を形成するのに使用することができる。例えば、
図7に示すように、二重フィルタロッドは、タバコロッド12をフィルタロッドの各端部と軸線方向に位置合わせして配置することにより、2つのフィルタシガレット10を形成するのに使用することができる。次に、フィルタロッドと、各タバコロッド12のうちのフィルタロッドに隣接する部分との周りを先端包装紙50で包む。次に、先端包装紙50、プラグラップ44、及び管状部材40が、切断線52に沿って切断されて2つのフィルタシガレットを形成する。管状部材40の弾力性により、切断工程中に各シガレット10の唇側端部空洞が圧壊又は変形することが防止される。
【0050】
四重フィルタロッドを使用して複数の喫煙物品を形成するために、最初に、ロッド端部フィルタ部材42を通してフィルタロッドを切断し、2つの二重フィルタロッドを形成する。次に、2つの二重フィルタロッドを使用して、
図7に示す方法を用いて4つの喫煙物品を形成することができる。
【符号の説明】
【0051】
16 先端包装紙
20 香味含有フィルタセグメント
22 唇側端部中空管セグメント
23 結合プラグラップ
24 唇側端部空洞