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特許7071590電場を利用した電流経路制御方法及び電子素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】電場を利用した電流経路制御方法及び電子素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8239 20060101AFI20220511BHJP
   H01L 27/105 20060101ALI20220511BHJP
   H01L 45/00 20060101ALI20220511BHJP
   H01L 49/00 20060101ALI20220511BHJP
   H01L 27/11507 20170101ALI20220511BHJP
   H01L 27/10 20060101ALN20220511BHJP
【FI】
H01L27/105 448
H01L45/00 Z
H01L49/00 Z
H01L27/11507
H01L27/10 481
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021519127
(86)(22)【出願日】2019-09-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 KR2019011361
(87)【国際公開番号】W WO2020075972
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-06-04
(31)【優先権主張番号】10-2018-0122047
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521091398
【氏名又は名称】ブイメモリー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】VMEMORY CORP.
【住所又は居所原語表記】109, Gwanggyo-ro, Yeongtong-gu, Suwon-si Gyeonggi-do 16229 Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ソン ジョンファ
(72)【発明者】
【氏名】ソン ジョンヨク
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/107466(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/138941(WO,A1)
【文献】特開平11-289058(JP,A)
【文献】特表2018-509777(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105655342(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/8239
H01L 45/00
H01L 49/00
H01L 27/11507
H01L 27/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極と対向する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間の活性層と、を含み、
前記第1電極及び前記第2電極のうち少なくともいずれか一つは、前記活性層と最も近接した第1面と、前記活性層から最も遠く離隔された第2面とを含み、
前記第1面での水平断面積の大きさが、前記第2面での水平断面積の大きさよりも小さく、
前記活性層は、前記第1面と垂直方向に重畳する第1領域と、前記第1領域の外郭である第2領域とを含み、前記第1領域での前記活性層の厚さは、前記第2領域での厚さよりも 小さく、
前記活性層は、自発分極性材料を含み、
前記第1電極及び前記第2電極の間に印加された電場により前記活性層に形成された分極領域を含み、
前記第1領域に対応する分極領域と前記第2領域に対応する分極領域の境界に対応し、近接した領域より電気的な抵抗が低い可変チャネルを含み、
前記第1領域に対応する分極領域と前記第2領域に対応する分極領域はそれぞれ前記活性層の厚さ方向にて全体厚さに対応して形成され、
前記可変チャネルは前記第1領域に対応する前記活性層の厚さ方向にて全体厚さに対応して形成される電子素子。
【請求項2】
前記第1電極及び前記第2電極のうち少なくともいずれか一つは、他の電極に向かう方向に突出した少なくとも一つの突出部を含み、
前記第1面での前記水平断面積の大きさは、前記少なくとも一つの突出部の先端の面積と同じであることを特徴とする請求項1に記載の電子素子。
【請求項3】
前記第1電極及び前記第2電極のうち少なくともいずれか一つは、テーパ状を有することを特徴とする請求項1または2に記載の電子素子。
【請求項4】
前記活性層は、前記第2領域で第1方向の分極を有し、前記第1領域は、前記第1電極及び前記第2電極への電圧の印加により、選択的に、前記第1方向の分極、または前記第1方向と相異なる第2方向の分極を有することを特徴とする請求項1に記載の電子素子。
【請求項5】
前記第1領域が、前記第2方向の分極を有する際、前記第1領域と前記第2領域との間には、前記第1電極と前記第2電極との間に電子が移動する前記可変チャネルが生成されることを特徴とする請求項4に記載の電子素子。
【請求項6】
前記第1領域が、前記第1方向の分極を有する際、前記可変チャネルは消滅することを特徴とする請求項5に記載の電子素子。
【請求項7】
互いに対向する第1電極及び第2電極、並びに前記第1電極と前記第2電極との間に位置し、かつ第1方向の分極を有する活性層を含む電子素子において、
前記第1電極と前記第2電極との間に第1電圧を印加し、前記第1電極と前記第2電極との間に第1電場を発生させるステップと、
前記第1電場により、前記活性層の一部の分極方向が変更し、前記活性層が、相異なる分極を有する第1領域と第2領域とに区切られるステップと、
前記第1領域と前記第2領域との境界に、電流が流れる可変チャネルが形成されるステップと、を含み、
前記第1電極及び前記第2電極のうち少なくともいずれか一つは、前記活性層と最も近接した第1面と、前記活性層から最も遠く離隔された第2面とを含み、前記第1面での水平断面積の大きさが、前記第2面での水平断面積の大きさよりも小さく、
前記第1領域は、前記第1面と垂直方向に重畳する領域であり、前記第1領域での前記活性層の厚さが、前記第2領域での厚さよりも小さく形成され
前記活性層は、自発分極性材料を含み、
前記第1電極及び前記第2電極の間に印加された電場により前記活性層に形成された分極領域を含み、
前記第1領域に対応する分極領域と前記第2領域に対応する分極領域の境界に対応し、近接した領域より電気的な抵抗が低い可変チャネルを含み、
前記第1領域に対応する分極領域と前記第2領域に対応する分極領域はそれぞれ前記活性層の厚さ方向にて全体厚さに対応して形成され、
前記可変チャネルは前記第1領域に対応する前記活性層の厚さ方向にて全体厚さに対応して形成される、電場を利用した電流経路制御方法。
【請求項8】
前記可変チャネルは、第1電極と第2電極を連結する最短距離で形成されることを特徴とする請求項7に記載の電場を利用した電流経路制御方法。
【請求項9】
前記第1電極と前記第2電極との間に前記第1電圧を印加する際、前記第2領域は、前記第1方向の分極を保持することを特徴とする請求項7に記載の電場を利用した電流経路制御方法。
【請求項10】
前記第1電極と前記第2電極との間に、前記第1領域の分極を戻すための第2電圧を印加し、前記第1電極と前記第2電極との間に第2電場を発生させるステップをさらに含み、
前記第2電圧の印加により、前記可変チャネルは消滅することを特徴とする請求項7に記載の電場を利用した電流経路制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電場を利用した電流経路制御方法及び電子素子に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の発展及び人々の生活の利便性への関心が高くなるにつれて、様々な電子製品についての開発の試みが盛んになっている。
また、このような電子製品は、益々小型化されつつ集積化されており、使われる場所が広範囲に増加している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような電子製品は、様々な電気素子を含み、例えば、CPU、メモリ、その他の様々な電気素子を含む。 当該電気素子は、様々な種類の電気回路を含むことができる。
【0004】
例えば、コンピュータ、スマートフォンだけでなく、IoTのための家庭用センサ素子、人間工学用バイオ電子素子など、様々な分野の製品において電気素子が使われる。
一方、近年の技術の発達速度とユーザの生活水準の急激な向上に伴い、当該電気素子の使用と応用分野が急激に増加し、それによって、その需要も増加している。
このような傾向によって、一般に使用している様々な電気素子に容易かつ迅速に適用する電気回路を具現して制御するのに限界がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、様々な用途に容易に適用することが可能な電流経路制御方法及び電子素子を提供する。
【0006】
本発明の一側面による電子素子は、第1電極と、前記第1電極と対向する第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間の活性層と、を含み、前記第1電極及び前記第2電極のうち少なくともいずれか一つは、前記活性層と最も近接した第1面と、前記活性層から最も遠く離隔された第2面とを含み、前記第1面での水平断面積の大きさが、前記第2面での水平断面積の大きさよりも小さく、前記活性層は、前記第1面と垂直方向に重畳する第1領域と、前記第1領域の外郭である第2領域とを含み、前記第1領域での前記活性層の厚さは、前記第2領域での厚さよりも小さい。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電流経路制御方法及び電子素子は、様々な用途に容易に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態による電子素子の一例を概略的に示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態による電子素子の一例を概略的に示す断面図である。
図3図1の電子素子の他の例を概略的に示す断面図である。
図4図1の電子素子のさらに他の例を概略的に示す断面図である。
図5図1の電子素子のさらに他の例を概略的に示す断面図である。
図6図1の電子素子のI-I′断面の一例を概略的に示す断面図である。
図7図1の電子素子のI-I′断面の他の例を概略的に示す断面図である。
図8図1の電子素子のI-I′断面のさらに他の例を概略的に示す断面図である。
図9図1の電子素子のI-I′断面のさらに他の例を概略的に示す断面図である。
図10図1の電子素子のI-I′断面のさらに他の例を概略的に示す断面図である。
図11図1の電子素子のI-I′断面のさらに他の例を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一側面による電子素子は、第1電極と、前記第1電極と対向する第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間の活性層と、を含み、前記第1電極及び前記第2電極のうち少なくともいずれか一つは、前記活性層と最も近接した第1面と、前記活性層から最も遠く離隔された第2面とを含み、前記第1面での水平断面積の大きさが、前記第2面での水平断面積の大きさよりも小さく、前記活性層は、前記第1面と垂直方向に重畳する第1領域と、前記第1領域の外郭である第2領域とを含み、前記第1領域での前記活性層の厚さは、前記第2領域での厚さよりも小さい。
【0010】
本実施形態において、前記第1電極及び前記第2電極のうち少なくともいずれか一つは、他の電極に向かう方向に突出した少なくとも一つの突出部を含み、前記第1面での前記水平断面積の大きさは、前記少なくとも一つの突出部の先端の面積と同じであってもよい。
本実施形態において、前記第1電極及び前記第2電極のうち少なくともいずれか一つは、テーパ状を有してもよい。
【0011】
本実施形態において、前記活性層は、前記第2領域で第1方向の分極を有し、前記第1領域は、前記第1電極及び前記第2電極への電圧の印加により、選択的に、前記第1方向の分極、または前記第1方向と相異なる第2方向の分極を有してもよい。
【0012】
本実施形態において、前記第1領域が、前記第2方向の分極を有する際、前記第1領域と前記第2領域との間には、前記第1電極と前記第2電極との間に電子が移動する可変チャネルが生成されてもよい。
【0013】
本実施形態において、前記第1領域が、前記第1方向の分極を有する際、前記可変チャネルは消滅してもよい。
【0014】
本発明の他の側面による、電場を利用した電流経路制御方法は、互いに対向する第1電極及び第2電極、並びに前記第1電極と前記第2電極との間に位置し、かつ第1方向の分極を有する活性層を含む電子素子において、前記第1電極と前記第2電極との間に第1電圧を印加し、前記第1電極と前記第2電極との間に第1電場を発生させるステップと、前記第1電場により、前記活性層の一部の分極方向が変更し、前記活性層が、相異なる分極を有する第1領域と第2領域とに区切られるステップと、前記第1領域と前記第2領域との境界に、電流が流れるチャネルが形成されるステップと、を含み、前記第1電極及び前記第2電極のうち少なくともいずれか一つは、前記活性層と最も近接した第1面と、前記活性層から最も遠く離隔された第2面とを含み、前記第1面での水平断面積の大きさが、前記第2面での水平断面積の大きさよりも小さく、前記第1領域は、前記第1面と垂直方向に重畳する領域であり、前記第1領域での前記活性層の厚さが、前記第2領域での厚さよりも小さく形成される。
【0015】
本実施形態において、前記チャネルは、第1電極と第2電極を連結する最短距離で形成されてもよい。
【0016】
本実施形態において、前記第1電極と前記第2電極との間に前記第1電圧を印加する際、前記第2領域は、前記第1方向の分極を保持してもよい。
【0017】
本実施形態において、前記第1電極と前記第2電極との間に、前記第1領域の分極を戻すための第2電圧を印加し、前記第1電極と前記第2電極との間に第2電場を発生させるステップをさらに含み、前記第2電圧の印加により、前記チャネルは消滅してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、様々な変換を加えることができ、色々な実施形態を有するところ、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明で詳細に説明する。 本発明の効果及び特徴、並びにそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すれば明確になるであろう。 しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、様々な形態に具現可能である。
【0019】
以下の実施形態において、第1、第2などの用語は、限定的な意味ではなく、一つの構成要素を他の構成要素と区別する目的に使われる。
【0020】
以下の実施形態において、単数の表現は、文脈上明白に取り立てて意味しない限り、複数の表現を含む。
【0021】
以下の実施形態において、“含む”または“有する”などの用語は、明細書上に記載された特徴または構成要素が存在することを意味するものであり、一つ以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性を予め排除するものではない。
【0022】
以下の実施形態において、膜、領域、構成要素などの部分が他の部分上にあるというとき、他の部分の真上にある場合だけでなく、その中間に他の膜、領域、構成要素などが介在されている場合も含む。
【0023】
図面では、説明の便宜上、構成要素の大きさが誇張されたり縮小されたりする。 例えば、図面に示された各構成要素の大きさ及び厚さは、説明の便宜上、任意に表しているので、本発明が必ずしも図示されたところに限定されない。
【0024】
ある実施形態が異なって具現可能な場合に、特定の工程順序は、述べられる順序と異なって行われることもある。 例えば、連続して述べられる二つの工程が実質的に同時に行われてもよいし、述べられる順序と逆の順序で行われてもよい。
【0025】
以下、添付された図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明するが、図面を参照して説明する際、同一または対応する構成要素は、同じ図面符号を付与する。
【0026】
図1及び図2は、本発明の一実施形態による電子素子の一例を概略的に示す断面図である。
【0027】
図1及び図2を参照すれば、本発明の一実施形態による電子素子100は、第1電極110と、第1電極110と対向する第2電極120と、第1電極110と第2電極120との間に介在された活性層130とを含むことができる。
【0028】
第1電極110及び第2電極120のうち少なくともいずれか一つは、活性層130と最も近接した第1面S1と、活性層130から最も遠く離隔された第2面S2とを含み、この際、第1面S1での水平断面積の大きさが、第2面S2での水平断面積の大きさよりも小さい。 一例として、第1電極110及び第2電極120のうち少なくともいずれか一つは、他の電極に向かう方向に突出した少なくとも一つの突出部112を含んでもよい。
【0029】
図1及び図2では、一例として、第1電極110が一つの突出部112を含むことを例示しているが、本発明は、これに限られず、突出部112は、第2電極120に形成されてもよく、第1電極110と第2電極120の両方に形成されてもよい。 また、突出部112は、複数個形成されてもよい。 突出部112は、第1電極110と一体に形成されてもよい。
【0030】
第1電極110及び第2電極120は、白金、金、アルミニウム、銀または銅などのような金属材質、PEDOT:PSSまたはポリアニリンのような導電体ポリマー、酸化インジウム(In23)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム・酸化スズ合金(In23-SnO2)、または酸化インジウム・酸化亜鉛合金(In23-ZnO)などのような金属酸化物を含むことができる。
【0031】
活性層130は、自発分極性材料を含むことができる。 例えば、活性層130は、絶縁材料を含み、強誘電性材料を含むことができる。 すなわち、活性層130は、電場の存在時に反転可能な自発的な電気分極(電気双極子)を持つ材料を含むことができる。
【0032】
選択的な実施形態として、活性層130は、ペロブスカイト系物質を含んでもよく、例えば、BaTiO3、SrTiO3、BiFe3、PbTiO3、PbZrO3、SrBi2Ta29を含んでもよい。
【0033】
また、他の例として、活性層130は、ABX3構造であり、Aは、CnH2n+1のアルキル基、及びペロブスカイト太陽電池の構造の形成が可能な、Cs、Ruなどの無機物から選択された一つ以上の物質を含むことができ、Bは、Pb、Sn、Ti、Nb、Zr及びCeから構成された群から選択された一つ以上の物質を含むことができ、Xは、ハロゲン物質を含むことができる。 具体例として、活性層130は、CH3NH3PbI3、CH3NH3PbIxCl3-x、MAPbI3、CH3NH3PbIxBr3-x、CH3NH3PbClxBr3-x、HC(NH22PbI3、HC(NH22PbIxCl3-x、HC(NH22PbIxBr3-x、HC(NH22PbClxBr3-x、(CH3NH3)(HC(NH221-yPbI3、(CH3NH3)(HC(NH221-yPbIxCl3-x、(CH3NH3)(HC(NH221-yPbIxBr3-x、または(CH3NH3)(HC(NH221-yPbClxBr3-x(0≦x、y≦1)を含むことができる。
【0034】
当該活性層130は、自発分極性を有し、電場の印加によって、分極の程度及び方向を制御することができる。 また、活性層130は、印加された電場が取り除かれても、分極状態を維持することができる。
【0035】
一方、活性層130は、第1面S1と垂直方向に重畳する第1領域A1と、第1領域A1の外郭である第2領域A2とを含むことができる。 前述のように、活性層130と最も近接した第1面S1の水平断面積が、第2面S2の水平断面積よりも小さいので、活性層130は、第1面S1と垂直方向に重畳する第1領域A1での厚さが、第2領域A2での厚さよりも小さい。
【0036】
活性層130は、図1に示すように、第1方向の分極を有する状態でもある。 例えば、第1領域A1と第2領域A2の両方は、同様に第1方向の分極を有することができる。 このような状態では、活性層130により、第1電極110と第2電極120との間には電流が流れないことがある。
【0037】
しかし、第1電極110及び第2電極120に、活性層130のヒステリシスループの電荷が0になる保磁電圧よりも高い第1電圧を印加すれば、図2に示すように、第1電極110と第2電極120との間に発生する第1電場により、第1領域A1の分極方向が変わり、活性層130は、第1領域A1と第2領域A2とに区切られることができる。
【0038】
この際、活性層130のドメインの分極方向を変えるための電圧の大きさは、活性層130の厚さに比例して増加するので、第1領域A1よりも厚さが厚い第2領域A2では、活性層130の分極方向が変更されない。 すなわち、第1電極110及び第2電極120に、活性層130の保磁電圧よりも高い第1電圧を印加することにより、第1領域A1のみで、第1方向と相異なる第2方向の分極を有することができる。 一例として、第1方向と第2方向は互いに逆方向であってもよい。
【0039】
一方、第1領域A1及び第2領域A2での分極方向が逆である場合、第1領域A1と第2領域A2との境界では、活性層130の単位格子構造が局部的に変更されつつ、第1領域A1及び第2領域A2とは相異なる電気的な偏極が発生し、それにより、自由電子が第1領域A1と第2領域A2との境界に蓄積されて、電流が流れる可変チャネルCが生成されることができる。
【0040】
前記可変チャネルCは、第1領域A1と第2領域A2との境界に形成され、第1領域A1は、第1面S1の面積によって変更されるところ、可変チャネルCが生成される位置も、第1面S1の面積によって調節可能である。
【0041】
一方、第1電極110及び第2電極120に、第1領域A1の分極方向を戻すための第2電圧を印加すれば、第1電極110と第2電極120との間に発生する第2電場により、第1領域A1は、第1方向の分極を再び有することができる。 第2電圧は、活性層130の保磁電圧よりも高く、かつ第1電圧と逆の極性を有することができる。 それにより、第1領域A1と第2領域A2との間の分極差がなくなる。
【0042】
第1領域A1と第2領域A2との間の分極差がなくなれば、第1領域A1と第2領域A2との間の可変チャネルCは消滅する。 このような状態は、図1に示す状態と同様である。 すなわち、活性層130により、第1電極110及び第2電極120は絶縁状態になるので、第1電極110と第2電極120との間に電圧を印加しても、第1電極110と第2電極120との間には電流が流れなくなる。
【0043】
したがって、第1電極110及び第2電極120に印加される電圧を制御して、電子素子100の電流のフローを制御することができ、このような電流のフローの制御により、電子素子100は様々な用途に利用できる。
【0044】
例えば、電子素子100を不揮発性メモリとして使用できる。 より具体的には、図2に示すように、第1電極110及び第2電極120に、保磁電圧よりも高い第1電圧を印加することにより、第1領域A1の分極方向を変更した後には、第1電極110及び第2電極120に電圧を印加しなくても、第1領域A1の分極方向は変更されずに保持されるが、このような状態を、論理値‘1’が入力されたものと理解することができる。
【0045】
一方、第1領域A1の分極方向が変更されれば、可変チャネルCが形成されるため、第1電極110と第2電極120との間に読み取り電圧を印加すれば、容易に電流が流れることになり、それによって論理値‘1’を読み取ることができる。 この際、読み取り電圧により、第1領域A1の分極が影響を受けることを防止するために、読み取り電圧は、活性層130の保磁電圧よりも低い。
【0046】
また、第1領域A1の分極方向を戻すために、第1電極110及び第2電極120に第2電圧を印加すれば、第1領域A1及び第2領域A2の分極方向が同じになり、このような状態を、論理値‘0’が入力されたものとみなすことができる。
【0047】
また、第1領域A1及び第2領域A2の分極方向が同じである場合は、第1領域A1と第2領域A2との間に可変チャネルCが消滅し、それにより、第1電極110と第2電極120との間に電圧を印加しても、第1電極110と第2電極120との間には電流が流れなくなるところ、それによって論理値‘0’を読み取ることができる。
【0048】
すなわち、本発明による電子素子100をメモリとして使用する場合、第1電極110及び第2電極120への電圧の印加により、第1領域A1の分極状態を選択的に変更し、それによって生成されるか、または消滅する可変チャネルCに流れる電流を測定して、論理値‘1’と‘0’を読み取ることができるところ、既存のドメインの残留分極を測定する方法より、データの記録及び再生速度が向上することができる。
【0049】
また、本発明によれば、電場の印加によって生成される可変チャネルCが、一定の領域にのみ形成されることができる。 したがって、電場の印加時間に比例して、分極状態が変わるドメイン領域が増加または拡大する現象を起こすことなく、制限された位置でのみ可変チャネルCが形成されるので、不揮発性メモリに応用する際、電場の印加時間といった変数を考慮しなくてもよいという長所がある。
【0050】
また、第1電極110及び第2電極120が積層された状態として、可変チャネルCは、第1電極110と第2電極120を連結する最短距離で形成されるところ、素子のサイズが減少して、集積化が可能である。 さらに、論理値‘1’と‘0’を読み取る際、流れる電流の大きさが相異なっているので、データの可読性が向上することができる。
【0051】
また、本発明による電子素子100は、様々な信号を生成して伝達する回路部を構成することができ、スイッチング素子としても使用できる。 例えば、可変チャネルCの生成及び消滅により、電流のフローのオン/オフを制御することができる。 その他、本発明による電子素子100は、電気的信号の制御を要する部分に簡単な構造で適用することができるので、可変回路、CPU、バイオチップなど、様々な分野に適用可能である。
【0052】
さらに他の例として、本発明による電子素子100は、電流経路制御領域を多様に形成させる蓄電器に活用できる。 例えば、互いに対向する第1電極110と第2電極120との間の距離を多様に形成すれば、第1電極110及び第2電極120に印加される電場の大きさによって、可変チャネルCが形成される位置が多様に調節可能であり、それにより、蓄電池において電流経路制御領域を多様に形成することができる。
【0053】
図3ないし図5は、図1の電子素子の他の例をそれぞれ概略的に示す断面図である。
【0054】
まず、図3を参照すれば、電子素子100Bは、第1電極110と、第1電極110と対向する第2電極120と、第1電極110と第2電極120との間に介在された活性層130とを含み、第1電極110及び第2電極120のうち少なくともいずれか一つは、活性層130と最も近接した第1面S1と、活性層130から最も遠く離隔された第2面S2とを含むことができる。 この際、第1面S1での水平断面積の大きさが、第2面S2での水平断面積の大きさよりも小さい。
【0055】
一例として、図3に示すように、第1電極110は、第2電極120に向かって突出した突出部112を含んでもよい。 また、突出部112は、少なくとも一部がテーパ状を有することができる。 テーパ状は、第1面S1を含むことができる。 例えば、突出部112は、円錐状を有することができる。 但し、突出部112の水平断面の形状は、円形に限定されず、三角形、四角形、または多角形など多様である。
【0056】
このように、突出部112が、第1面S1を含むテーパ状を有すれば、第1電極110と第2電極120との間に、第1領域A1の分極を変えるための電圧が印加される際、第1面S1と第2電極120との間に電界が集中されるので、より迅速かつ効果的に第1領域A1の分極を変えることができる。
【0057】
図4は、図3と同様に、第1電極110がテーパ状を有する構造を有する電子素子100Cを示している。 但し、図4では、第1電極110が全体としてテーパ状を有する例を示している。
【0058】
また、図5は、第1電極110と第2電極120の両方がテーパ状を有する例を示している。 具体的には、図5の電子素子100Dの第1電極110及び第2電極120は、それぞれ第1面S1と第2面S2とを含み、第1電極110の第1面S1と、第2電極120の第1面S1との間に、活性層130の第1領域A1が区切られることができる。 この際、互いに対向する第1電極110の第1面S1と、第2電極120の第1面S1の面積は、効果的な電界の誘導のために同じであることが好ましい。
【0059】
図6ないし図11は、図1の電子素子の他の例をそれぞれ概略的に示す断面図である。 図6ないし図11には、突出部112の形状を示しているが、前述のように、本発明は、第1電極(図6の110)及び/または第2電極(図6の120)が全体としてテーパ状を有することもでき、突出部112は、第1電極(図6の110)及び/または第2電極(図6の120)と一体的に形成されることができるので、以下、突出部112は、第1電極(図6の110)及び/または第2電極(図6の120)の一部と理解することができる。
【0060】
図6は、電子素子100Eの突出部112と活性層130の両方が円形の断面を有する例を示している。 図7は、電子素子100Fの突出部112が四角形の断面を有し、活性層130が円形の断面を有する例を示している。 図8は、電子素子100Gの突出部112と活性層130の両方が四角形の断面を有する例を示している。 すなわち、突出部112と活性層130は、前記の形状に限定されるものではなく、様々な形状を有することができる。 また、図9及び図10に示すように、複数個の突出部を含むこともできる。
【0061】
図9は、第1突出部112a及び第2突出部112bを含む電子素子100Hを示している。 第1突出部112a及び第2突出部112bは互いに離隔されることができ、相異なる電圧が印加されることができる。 一例として、第2電極(図1の120)が一体に形成された場合は、可変チャネル(図2のC)が二つ形成されることができるので、電子素子100Hがメモリとして使われる場合、論理値‘0’、‘1’、‘2’、‘3’の書き込み及び読み取りが可能である。
【0062】
図10は、第1突出部112a、第2突出部112b、第3突出部112c、及び第4突出部112dを含む電子素子100Iを示している。 第1突出部112aないし第4突出部112dは、互いに電気的に分離されることができる。 また、第1突出部112a、第2突出部112b、第3突出部112c、及び第4突出部112dと対向する第2電極(図1の120)も分離されることができる。 したがって、電子素子100Hがメモリとして使われる場合、電子素子100Hの処理データの量は増加することができる。
【0063】
図11は、電子素子100Jの突出部112が一側方向に延びた例を示している。 すなわち、突出部112の長さと、活性層130の長さが同じであるところ、可変チャネル(図2のC)が突出部112を取り囲むように形成されるものではなく、突出部112の両側のエッジで突出部112と並んで形成されることができる。
【0064】
このように、本発明は、図面に示した一実施形態を参考にして説明したが、それは、例示的なものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、それから様々な変形及び実施形態の変形が可能であるという点を理解できるであろう。 したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって定められなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11