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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】ガス流のためのエネルギー回収タービン
(51)【国際特許分類】
   F01K 27/02 20060101AFI20220511BHJP
   B01D 3/14 20060101ALI20220511BHJP
   F22G 5/12 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
F01K27/02 Z
B01D3/14 Z
F22G5/12 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021520290
(86)(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 US2019039291
(87)【国際公開番号】W WO2020006106
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】16/020,562
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】ストールマン、ジェイソン リー
(72)【発明者】
【氏名】エイゼンガー、ドナルド エー.
(72)【発明者】
【氏名】ハートマン、ウィリアム エム.
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-020090(JP,A)
【文献】特表2016-508862(JP,A)
【文献】特表2009-535596(JP,A)
【文献】米国特許第7487955(US,B1)
【文献】特開平04-334729(JP,A)
【文献】特開2016-138277(JP,A)
【文献】米国特許第4428203(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 3/14
F01K 17/02
F01K 17/06
F01K 27/02
F22G 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスユニット廃熱蒸気生成システムから電力を回収するためのプロセスであって、
第1の温度及び蒸気リボイラの圧力要求によって決定される第1の圧力を有する過熱蒸気の流れ(530)を提供するために、触媒改質ゾーン内の少なくとも1つのヒータの対流区分からの熱を用いて水又は蒸気を過熱することと、
前記過熱蒸気の流れ(530)を第1の部分(535)及び第2の部分(540)に分割することと、
前記第1の部分を、少なくとも1つの過熱低減器に導入することであって、前記少なくとも1つの過熱低減器が、蒸気入口、蒸気出口、及び、過熱低減水入口を有することと、
過熱低減水の流れを、前記過熱低減水入口に導入して、前記第1の部分の温度を、前記第1の温度より低い第2の温度に低減し、追加の蒸気を生成して過熱低減蒸気を形成し、前記第2の温度が、温度コントローラによって制御され、前記過熱低減流が、蒸気リボイラの前記圧力要求によって決定される圧力を有し、前記過熱低減流の前記圧力が、圧力コントローラによって制御される、ことと、
前記過熱低減流を、蒸気入口及び凝縮物出口を有する熱交換器を備える前記蒸気リボイラに導入することと、
前記過熱低減流と一緒に蒸気リボイラ(510)内で塔(505)からの底部流(580)を加熱して、加熱された底部流及び凝縮物を形成することであって、前記凝縮物が、前記少なくとも1つの過熱低減器に戻らないことと、
前記加熱された底部流(585)を前記塔(505)に導入することと、
前記過熱蒸気の前記第2の部分(540)を動力回収タービン(595)に通して方向付けて、前記第2の部分(540)の圧力を前記第1の圧力未満で、前記過熱低減流の圧力未満第2の圧力まで低減させて、減圧流(600)を形成することと、
前記減圧流を、蒸気ヘッダシステムに送ることと、
前記動力回収タービンから動力を回収することと、
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記減圧流(600)を、蒸気ヘッダ、ポンプ、圧縮機、リボイラ、塔、又はプロセスユニットのうちの少なくとも1つに方向付けることを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記蒸気リボイラ(510)が、蒸気入口及び凝縮物出口を有する熱交換器を含み、
前記凝縮物(590)を凝縮物返送ヘッダに方向付けることを更に含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記過熱蒸気の前記第1の部分(535)の温度を前記第1の温度未満の第2の温度まで低下させて、前記底部流(580)を加熱する前に過熱低減流(570)を形成することを更に含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項5】
前記第1の部分の前記温度が、前記第1の部分(535)を少なくとも1つの過熱低減器(545)に導入することによって低下され、前記第1の部分(535)の温度を前記第1の温度未満の第2の温度まで低下させて、過熱低減流(570)を形成する、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
少なくとも2つの過熱低減器(545、565)が存在し、前記第2の過熱低減器(570)を出る前記過熱低減流の温度が、前記第1の過熱低減器(545)を出る前記過熱低減流の温度未満である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの過熱低減器(545)内に過熱低減水の流れ(550)を導入して、前記第1の部分(535)の前記温度を低下させることを更に含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
前記第1の部分(535)を前記少なくとも1つの過熱低減器(545)に導入する前、及び前記第2の部分(540)を前記動力回収タービン(595)に通して方向付ける前に、前記過熱蒸気の流れ(530)の前記第1の圧力を増加させることを更に含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項9】
前記過熱蒸気の流れ(530)が、前記第1の部分(535)を前記少なくとも1つの過熱低減器(545)内に導入する前に、前記第1の部分(535)及び前記第2の部分(540)に分割される、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項10】
前記プロセスの少なくとも1つのパラメータを検知し、前記検知から信号又はデータを生成すること、又は、
信号を生成して送信すること、又は、
データを生成して送信することのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
改質プロセスでは、一般に、各反応器の前にヒータを備えた少なくとも2つの改質器が存在する。改質反応は吸熱性であるため、チャージヒータ及び/又はインターヒータが使用され、第1の改質器からの流出物の温度を第2の(又は後続の)改質器の入口で必要とされる温度まで上昇させる。チャージヒータ及び/又はインターヒータは、燃焼区分内に煙道ガスを生成させ、その後、煙道ガスは共通の対流区分に進む。最後の改質器からの流出物は、複数の蒸留塔のうちの1つを含む分離区分内の様々な留分に分離される。
【0002】
煙道ガスからの廃熱の少なくとも一部を回収するための1つの方法は、それを使用して、改質プロセス又はプラントの他の場所で使用するための高圧蒸気を生成することである。この場合、蒸気ドラムからの蒸気は、ヒータの対流区分から煙道ガスを使用して加熱される。
【0003】
改質器から流出物を分留するために使用される蒸留塔は、典型的には、蒸気リボイラを含む。蒸気リボイラは、精製機内で利用可能なものよりも高い圧力で蒸気を必要とする場合がある。蒸気リボイラに必要とされる高圧蒸気は、多くの場合、他の機器及びプロセスに必要とされるものよりも高い。その結果、蒸気生成器は、蒸気リボイラによって必要とされるより高い動作圧力のために設計され、残りの蒸気の圧力は、蒸気を制御弁に通すことによって低減され、それによって、他の機器及びプロセスによって必要とされるより低い圧力で使用され得る。これにより、圧力が低減すると、かなりの量のエネルギーが浪費される。
【0004】
したがって、最小限のエネルギー損失で高圧蒸気流を利用するための改善されたプロセスが必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】典型的な改質プロセスの図である。
図2】蒸留塔用の蒸気リボイラに蒸気を提供する現在のプロセスの図である。
図3】蒸留塔用の蒸気リボイラに蒸気を提供する本発明によるプロセスの図である。
【0006】
概要及び詳細な説明
本プロセスは、蒸気リボイラを使用したプロセスのエネルギー効率、及びその結果としてコスト効率を向上させるように設計される。蒸気リボイラに必要な圧力は、他のプロセス及び機器に必要な圧力を超えるため、他の場所で蒸気を使用するために圧力を低減させなければならない。現在行われているように蒸気を制御弁に通すのではなく、蒸気は動力回収タービンを通じて送られて、さもなければ制御弁内で失われるエネルギーを回収する。全体的なプロセスのエネルギー効率は、動力回収に起因して増加する。
【0007】
動力回収タービンは、蒸気リボイラに必要な圧力からより低い圧力へと高圧蒸気を低減する。より低い圧力は、蒸気リボイラに必要な圧力よりも低い任意の圧力であり得、プラントの蒸気要件に依存するであろう。代替的に、蒸気圧を蒸気リボイラの圧力よりも低い2つ以上の圧力まで低減させることを可能にする1つ以上の追加の動力回収タービンが含まれ得る。また、中間抽出引き込みを伴う単一の動力回収タービンを使用して、複数の圧力を達成することもできる。この構成では、車輪間にテークオフを有する同じシャフト上にいくつかの車輪が存在する。
【0008】
更に、いくつかの場合では、初期蒸気圧は、動力回収を増加させるために、蒸気リボイラに必要とされるものよりも高くすることができる。いくつかの場合では、これにより、より効率的な動力回収タービンの使用が可能になる。
【0009】
温度は、蒸気温度制御の任意の好適な方法を使用して低下され得る。好適な方法としては、過熱低減器などでの直接接触温度制御、又は間接熱交換が挙げられるが、これらに限定されない。
【0010】
1つ以上の過熱低減器の使用は、煙道ガスが蒸気システムではなくプロセスユニットによって制御されるときに、独立して温度を制御することができるため、望ましい。これは、温度を低下させ、同時に、供給された水の直接接触加熱によって、所望の温度でより多くの蒸気を生成する。
【0011】
動力回収タービンの蒸気流は、蒸気の温度を低下させるために、1つ以上の過熱低減器の上流、又はそれよりも下流のいずれかで除去することができる。下流で取り出される場合、過熱低減の量は、動力生成を最大化しながら、動力回収タービンを保護するために必要な量に制限される。上流で取り出される場合、動力回収タービンは、高温材料から作製される必要があり得、及び/又は対流区分の蒸気生成器が特別に設計される必要があり得る。
【0012】
本発明の一態様は、プロセスユニット廃熱蒸気生成システムから電力を回収するためのプロセスである。一実施形態では、本プロセスは、第1の温度及び第1の圧力を有する過熱蒸気の流れを提供することと、過熱蒸気の流れを第1の部分及び第2の部分に分割することと、第1の部分と一緒に蒸気リボイラ内で塔からの底部流を加熱することと、加熱された底部流を塔に導入することと、過熱蒸気の第2の部分を動力回収タービンに通して方向付けて、第2の部分の圧力を第1の圧力未満の第2の圧力まで低減して減圧流を形成することと、を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、減圧流は、蒸気ヘッダに方向付けられる。
【0014】
いくつかの実施形態では、減圧流は、ポンプ、圧縮機、リボイラ、ストリッピング塔若しくは分留塔などの塔、又はプロセスユニットのうちの少なくとも1つに方向付けられる。
【0015】
いくつかの実施形態では、蒸気リボイラは、蒸気入口及び凝縮物出口を有する熱交換器を備え、凝縮物を凝縮物返送ヘッダに方向付けることを更に含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、過熱蒸気の第1の部分の温度は、第1の温度未満の第2の温度まで低下して、底部流を加熱する前に過熱低減流を形成する。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1の部分の温度は、第1の部分を少なくとも1つの過熱低減器に導入することで低下され、第1の部分の温度を第1の温度未満の第2の温度まで低下させて、過熱低減流を形成する。
【0018】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの過熱低減器が存在し、第2の過熱低減器を出る過熱低減流の温度は、第1の過熱低減器を出る過熱低減流の温度未満である。
【0019】
いくつかの実施形態では、過熱低減水の流れが少なくとも1つの過熱低減器に導入されて、第1の部分の温度を低下させる。
【0020】
いくつかの実施形態では、過熱蒸気の流れの第1の圧力は、第1の部分を少なくとも1つの過熱低減器に導入する前、及び第2の部分を動力回収タービンに通して方向付ける前に増加される。
【0021】
いくつかの実施形態では、過熱蒸気の流れは、第1の部分を少なくとも1つの過熱低減器に導入する前に、第1の部分及び第2の部分に分割される。他の実施形態では、過熱蒸気の流れは、第1の部分を少なくとも1つの過熱低減器に導入した後に、第1の部分及び第2の部分の蒸気に分割される。
【0022】
いくつかの実施形態では、減圧流は、第1の部分及び第2の部分に分割され、減圧流の第2の部分は、第2の動力回収タービンを通して方向付けられ、第2の部分の圧力を第2の圧力未満の第3の圧力まで低減させる。
【0023】
いくつかの実施形態では、過熱低減流の一部は、圧力制御弁を通して選択的に方向付けられる。
【0024】
いくつかの実施形態では、プロセスは、プロセスの少なくとも1つのパラメータを検知し、その検知から信号又はデータを生成すること、又は信号を生成して送信すること、又はデータを生成して送信することのうちの少なくとも1つを含む。
【0025】
別の態様では、本プロセスは、少なくとも1つの改質器を含む少なくとも1つの触媒改質ゾーン内でナフサ含有流を改質して、改質油流を形成することと、改質油流を蒸留塔内で少なくとも2つの留分に分離することと、少なくとも1つのヒータの対流ゾーンからの熱を使用して水又は蒸気を加熱して、第1の温度及び第1の圧力を有する過熱蒸気の流れを提供することと、過熱蒸気の流れを第1の部分及び第2の部分に分割することと、過熱蒸気の第1の部分を少なくとも1つの過熱低減器に導入して、第1の部分の温度を第1の温度未満の第2の温度まで低下させて、過熱低減流を形成することと、過熱低減流と一緒に蒸気リボイラ内で蒸留塔からの底部流を加熱することと、加熱された底部流を蒸留塔に導入することと、過熱蒸気の第2の部分を動力回収タービンに通して方向付けて、第2の部分の圧力を第1の圧力未満の第2の圧力まで低減させて、減圧流を形成することと、を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、蒸気リボイラは、蒸気入口及び凝縮物出口を有する熱交換器を備え、凝縮物出口における凝縮物は、第2の温度未満の温度を有し、凝縮物を凝縮物返送ヘッダに方向付けることを更に含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの過熱低減器が存在し、第2の過熱低減器を出る過熱低減流の温度は、第1の過熱低減器を出る過熱低減流の温度未満である。
【0028】
いくつかの実施形態では、過熱蒸気の流れの第1の圧力は、第1の部分を少なくとも1つの過熱低減器に導入する前、及び第2の部分を動力回収タービンに通して方向付ける前に増加される。
【0029】
いくつかの実施形態では、過熱蒸気の流れは、第1の部分を少なくとも1つの過熱低減器に導入する前に、第1の部分及び第2の部分に分割される。
【0030】
いくつかの実施形態では、減圧流は、第1の部分及び第2の部分に分割され、減圧流の第2の部分は、第2の動力回収タービンを通って方向付けられ、第2の部分の圧力を第2の圧力未満の第3の圧力まで低減させる。
【0031】
蒸気リボイラから電力を回収するためのプロセスは、改質プロセスに関連して後述するが、これに限定されることを意図するものではないことに留意すべきである。蒸気が全ての機器及び/又はプロセスに必要とされる圧力よりも高い圧力で生成される任意の状況で使用することができる。
【0032】
一般に、触媒改質ゾーンは、少なくとも2つの改質器を有し、反応物流がこれらの改質器を通って連続的に流れる。複数の改質器を有する反応システムは、一般に、並列形態又は積み重ね形態の2つの形態のうちの1つを取る。並列形態では、各々が改質器を含むことができる複数の別個の反応容器を互いに並んで配置することができる。積み重ね形態では、1つの共通の反応容器が、互いの上部に配置され得る複数の別個の改質器を含有することができる。両方の反応システムでは、反応が吸熱又は発熱であり得るかどうかに応じて、改質器間に中間加熱又は冷却が存在し得る。
【0033】
改質ゾーンは、ダウンフロー、アップフロー、クロスフロー、及び半径流などの炭化水素流のための任意の数の構成を含み得る。
【0034】
改質プロセスは、固定触媒床、又は移動床反応容器及び移動床再生容器を採用することができる。
【0035】
移動触媒床では、触媒粒子は、コンベヤー又は輸送流体を含む任意の数の駆動デバイスによって反応ゾーンを通って移動可能であってもよいが、最も一般的には、触媒粒子は、重力によって反応ゾーンを通って移動可能である。典型的には、半径流反応ゾーンでは、触媒粒子は、触媒床と呼ばれることがある内側スクリーンと外側スクリーンとの間の環状空間を充填することができる。触媒粒子は、反応ゾーンの底部から取り出すことができ、触媒粒子を反応ゾーンの上部に導入してもよい。最終反応ゾーンから取り出された触媒粒子はその後、プロセスから回収され、プロセスの再生ゾーンで再生されるか、又は別の反応ゾーンに移送することができる。同様に、反応ゾーンに添加される触媒粒子は、プロセスに新たに添加される触媒、プロセス内の再生ゾーンで再生された触媒、又は別の反応ゾーンから移送される触媒であってもよい。
【0036】
典型的には、触媒床を通る触媒の移動速度は、1時間当たり45.5kg(100ポンド)~1時間当たり2,722kg(6,000ポンド)、又はそれ以上の範囲であり得る。
【0037】
触媒改質のための通常の供給原料は、ナフサとして知られ、約82℃(180°F)の初沸点と203℃(400°F)の終沸点とを有する石油留分である。触媒改質プロセスは、特に、脱水素及び/又は環化反応を介して芳香族化を受ける、比較的高濃度のナフテン系及び実質的に直鎖のパラフィン系炭化水素から構成される、直留ナフサの処理に特に適用可能である。好ましい原料油は、主に、ガソリンの範囲内で沸騰し得るナフテン及びパラフィンからなるナフサであるが、多くの場合、芳香族も存在し得る。この好ましい部類としては、直留ガソリン、天然ガソリン、合成ガソリンなどが挙げられる。代替的な実施形態として、熱的又は触媒的に分解されたガソリン又は部分的に改質されたナフサを充填することがしばしば有利である。また、直留及び分解されたガソリンの範囲のナフサの混合物も有利に使用することができる。ガソリンの範囲のナフサの原料油は、40~82℃(104~180°F)の初沸点及び160~220℃(320~428°F)の範囲内の終沸点を有する完全な沸騰ガソリンであってもよいか、又はその選択された留分であってもよく、これは一般にヘビーナフサと呼ばれる高沸騰留分、例えば、100~200℃(212~392°F)の範囲で沸騰するナフサとすることができる。いくつかの場合では、純粋な炭化水素又は抽出ユニットから回収された炭化水素の混合物、例えば、芳香族抽出又は直鎖パラフィンからのラフィネートを充填することも有利であり、これらは芳香族に変換される。いくつかの他の場合では、供給原料はまた、1~5個の炭素原子を有する軽質炭化水素を含有してもよいが、これらの軽質炭化水素は、芳香族炭化水素に容易に改質することができないため、供給原料と共に入るこれらの軽質炭化水素は、一般的に最小化される。
【0038】
通常、触媒改質では、供給原料は、水素を含む再循環流と混合されて、一般に統合供給流と呼ばれるものを形成し、この統合供給流を反応ゾーン内の触媒と接触させる。
【0039】
一般的な形態では、改質プロセスは、直列流形構成で相互接続されたいくつかの反応ゾーンにおいて触媒粒子を採用することができる。任意の数の反応ゾーンが存在し得るが、通常、反応ゾーンの数は3つ、4つ、又は5つである。改質反応は、一般に高温で起こり、一般に吸熱性であるため、各反応ゾーンは、通常、反応物質を所望の反応温度まで加熱する1つ以上の加熱ゾーンと関連している。
【0040】
触媒粒子は、典型的には、1つ以上の第8族(IUPAC8~10)貴金属(例えば、白金、イリジウム、ロジウム、及びパラジウム)及び耐火性無機酸化物などの多孔質担体と組み合わされたハロゲンから構成される。例えば、米国特許第2,479,110号は、アルミナ-白金-ハロゲン改質触媒を教示している。触媒は、0.05~2.0重量%の第8族金属を含有してもよいが、0.05~0.5重量%の第8族金属を含有する触媒などのより安価な触媒を使用してもよい。加えて、触媒は、インジウム及び/又はセリウムなどのランタニド系金属を含有してもよい。触媒粒子はまた、米国特許第4,929,333号、同第5,128,300号、及びその中に引用される参考文献に記載されているような、1つ以上の第4A族(IUPAC 14)金属(例えば、スズ、ゲルマニウム、及び鉛)を含有してもよい。ハロゲンは、典型的には塩素であり、アルミナは一般的に担体である。好適なアルミナ材料としては、ガンマ、エータ、及びシータアルミナが挙げられるが、これらに限定されない。触媒の性能に関する1つの特性は、担体の表面積である。好ましくは、担体は、100~500m/gの表面積を有する。130m/g未満の表面積を有する触媒の活性は、より高い表面積を有する触媒よりも触媒コークスにより悪影響を受ける傾向がある。一般に、粒子は、通常は回転楕円体であり、1.6~3.1mm(1/16~1/8インチ)の直径を有するが、6.35mm(1/4インチ)ほどの大きさ又は1.06mm(1/24インチ)ほどの小ささであってもよい。しかしながら、特定の改質反応ゾーンでは、比較的狭いサイズ範囲に含まれる触媒粒子を使用することが望ましい。
【0041】
改質器の典型的な供給入口温度は、440~580℃(824~1076°F)、又は500~580℃(932~1076°F)、又は540~580℃(1004~1076°F)、又は少なくとも540℃(932°F)超である。改質器は、異なる動作温度を有してもよく、例えば、第1の改質反応器が500~540℃(932~1004°F)の温度を有し、第2の後続の改質反応器が540℃(1004°F)超の温度を有する。改質器は、一般に、大気圧0~6,895kPa(g)(0psi(g)~1,000psi(g))、又は276~1,379kPa(g)(40~200psi(g))の圧力の範囲で動作することができる。反応条件はまた、0.6hr-1~10hr-1の範囲の液体時間空間速度(LHSV)も含む。好ましくは、LHSVは、0.6hr-1~5hr-1であり、より好ましい値は1hr-1~5hr-1であり、最も好ましい値は2hr-1~5hr-1である。より短い滞留時間は、より高い温度を利用するときに特に好ましい。触媒はまた、0.5時間~36時間の改質器中の滞留時間を有する。
【0042】
加熱及び反応ゾーンの列を通る例示的な流れは、第1、第2、第3、及び第4の改質器を有する4つの反応ゾーン触媒改質プロセスであり、これについては以下のように説明することができる。
【0043】
図1は、改質プロセス100の一実施形態を示す。ナフサ含有炭化水素供給原料105は、水素含有再循環ガス110と混合して、統合供給流115を形成することができ、これは統合供給熱交換器120を通過し得る。統合供給熱交換器120では、統合供給流115は、第4の改質器の流出流125と熱を交換することによって加熱することができる。しかしながら、統合供給熱交換器120内で行われる統合供給流115の加熱は、一般に、統合供給流を第1の改質器の所望の入口温度に加熱するのには不十分である。
【0044】
一般に、水素は、改質ゾーンに入る炭化水素供給原料の1モル当たり1~20モルの水素の量を提供するために供給される。水素は、改質ゾーンに入る炭化水素供給原料の1モル当たり3.5モル未満の水素の量を提供するために供給されてもよい。水素が供給される場合、統合供給熱交換器120の上流、統合供給熱交換器120の下流、又は統合供給熱交換器120の上流及び下流の両方に供給されてもよい。代替的に、改質ゾーンに炭化水素供給原料を入れる前に、水素を供給しなくてもよい。水素が炭化水素供給原料105を第1の改質器に供給しない場合であっても、第1の改質器内で発生するナフテン改質反応は、副生成物として水素を生じ得る。この副生成物、又はその場生成された水素は、第1の改質器流出物との混合物中で第1の改質器を去り、次いで水素として第2の改質器及び他の下流改質器に利用可能になり得る。第1の改質器中のこのその場の水素流出物は、通常、炭化水素供給原料の1モル当たり0.5~2モルの水素に相当する。
【0045】
通常、統合供給流115(又は水素供給原料と共に水素が提供されない場合、炭化水素供給原料105)は、一般には38℃~177℃(100°F~350°F)、より通常には93℃~121℃(200°F~250°F)の温度で統合供給熱交換器120に入る。水素は通常、炭化水素供給原料と共に提供されるため、この熱交換器は、炭化水素供給原料と共に水素が供給されていない場合であっても、本明細書では統合供給熱交換器120と称され得る。一般に、統合供給熱交換器120は、最後の改質反応ゾーンの流出流125から統合供給流115に熱を伝達することによって、統合供給流115を加熱する。好ましくは、統合供給熱交換器120は、直接ではなく間接的な熱交換器であり、これにより、最後の反応ゾーンの流出流125中の有益な改質油製品が、統合供給流115と混ざり、改質油の品質を低下させ得ることを防止する。
【0046】
統合供給流115及び統合供給熱交換器120内の最後の反応ゾーン流出流125のフローパターンは、完全に並流、逆、混合、又はクロスフローであり得るが、フローパターンは、好ましくは向流である。シェルアンドチューブ型熱交換器及びプレート型熱交換器を含む、任意の好適な型の熱交換器を使用することができる。
【0047】
一実施形態では、統合供給流130は、統合供給熱交換器120を、399℃~516℃(750°F~960°F)の温度で去ることができる。
【0048】
統合供給熱交換器120を出た後、及び第1の改質器に入る前に、統合供給流130は、多くの場合、追加の加熱を必要とする。この追加の加熱は、一般にチャージヒータと呼ばれるチャージヒータ135内で行われ得、これは、統合供給流130を第1の改質器145の所望の入口温度まで加熱することができる。このようなヒータは、改質分野の当業者に周知の種類のガス焚き、油焚き、又はガス及び油焚き混合型ヒータとすることができる。チャージヒータ135は、放射及び/又は対流熱伝達によって、統合供給流130を加熱してもよい。改質プロセスのための商用焚きヒータは、典型的には、個々のヒータのための個々の放射熱伝達区分と、放射区分からの煙道ガスによって加熱される任意選択の共通の対流熱伝達区分と、を有する。
【0049】
チャージヒータ135を去る統合供給流140の温度はまた、第1の改質器145の入口温度であり得る。
【0050】
統合供給流140が第1の改質器145に通過すると、統合供給流140は変換反応を受け得る。
【0051】
第1の改質器145で発生する吸熱改質反応のために、一般的に、第1の改質器145の流出物155の温度は、第1の改質器145への統合供給流140の温度未満になるだけでなく、第2の改質器150の所望の入口温度未満にもなる。したがって、第1の改質器145の流出物155は、第1のインターヒータ160と一般に呼ばれる別のヒータ160を通過することができ、これは、第1の改質器の流出物155を第2の改質器150の所望の入口温度まで加熱することができる。
【0052】
一般に、ヒータ160は、第1の改質器145及び第2の改質器150などの2つの改質器の間に配置されているとき、インターヒータと呼ばれる。第1の改質器の流出物155は、インターヒータ160に送られ、第2の改質器150の入口温度まで加熱される(移送中の熱損失を許容する)。
【0053】
第1のインターヒータ160を出ると、一般に、加熱された流出物165は第2の改質器150に入る。第1の改質器145と同様に、吸熱反応は、第2の改質器150にわたる温度の別の低下を引き起こし得る。しかしながら、一般に、第2の改質器150にわたる温度低下は、第1の改質器145にわたる温度低下よりも低い。なぜなら、第2の改質器150で発生する反応は、一般に、第1の改質器145で発生する反応よりも吸熱性が低いからである。第2の改質器150にわたる幾分低い温度低下にもかかわらず、第2の改質器150の流出物170は依然として、第3の改質器175の所望の入口温度よりも低い温度である。
【0054】
第2の改質器の流出物170は、第2のインターヒータ180(第1の改質器145と第2の改質器150との間の前述のインターヒータ160である第1のインターヒータ)を通過することができ、加熱された流出物185は、第3の改質器175へと通過することができる。
【0055】
同様に、第3の改質器の流出物190は、第3のインターヒータ195へと通過することができ、加熱された流出物200は、第4の改質器205へと通過することができる。
【0056】
第4の改質器の流出物流125は、統合供給流115に熱を伝達することによって、統合供給熱交換器120内で冷却される。統合供給熱交換器120を去った後、第4の改質器205からの冷却された流出物210は、製品回収区分(図示せず)へと通過する。
【0057】
好適な製品回収区分は、改質分野の当業者に既知である。例示的な製品回収設備としては、一般に、水素とC~Cの炭化水素ガスを最後の反応ゾーン流出流から分離するための気液分離器と、C~Cの軽質炭化水素の少なくとも一部分を改質油の残りから分離するための分留塔と、が挙げられる。加えて、改質油は、蒸留によって、軽質改質油留分及び重質改質油留分に分離してもよい。
【0058】
図2は、典型的な製品回収区分の一部分300を示す。蒸留塔305は、蒸気リボイラ310を含む。蒸留塔305は、当技術分野において既知であるように、脱部プロパン塔、脱ブタン塔、脱ペンタン塔、脱ヘキサン塔など、ストリッパ塔、スプリッタ塔、及び同様のものであってもよい。
【0059】
蒸気リボイラ310の蒸気は、蒸気ドラム315から来る。蒸気の流れ320は、過熱器325に送られて、温度を上昇させる。一例として、過熱蒸気の流れ330は、413℃~440℃(775°F~825°F)の範囲の温度、及び4.6~5.2MPa(g)(660psig~750psig)の範囲の圧力を有し得る。
【0060】
過熱蒸気の流れ330は、過熱低減水340を使用して蒸気の温度を低下させる過熱低減器335に送られる。過熱低減蒸気の流れ345の温度は、温度制御弁350によって制御される。過熱低減蒸気の流れ345の圧力は、最終要素圧力制御弁395を有する圧力コントローラ405によって制御される。一例として、過熱低減蒸気の流れ345は、385~413℃(725°F~775°F)の範囲の温度、及び4.5~5.1MPa(g)(650psig~740psig)の範囲の圧力を有し得る。
【0061】
過熱低減蒸気の流れ345は、第1の部分355及び第2の部分360に分割される。第1の部分355は、過熱低減水340を使用して更に冷却される過熱低減器365に送られる。過熱低減された第1の部分370の温度は、温度制御弁375によって蒸気リボイラに好適な温度に制御される。一例として、過熱低減された第1の部分370は、250~300℃の範囲の温度、及び4.4~5MPaの範囲の圧力を有してもよい。
【0062】
過熱低減された第1の部分370は、蒸気リボイラ310に送られ、そこで底部流380と熱交換する。再加熱された底部流385は、蒸留塔305に戻される。凝縮物390は、更なるプロセス及び再利用のために凝縮物ヘッダ(図示せず)に送られる。
【0063】
第2の部分360は、蒸気の圧力を低減する制御弁395を通過する。減圧蒸気の流れ400は、蒸気ヘッダ(図示せず)に送られ、そこで、使用のための他のプロセス及び機器に送られ得る。減圧蒸気の流れ400の圧力は、蒸気ヘッダシステム(図示せず)内の他の要素によって制御される。一例として、減圧蒸気の流れ400は、385~413℃の範囲の温度、及び1~5MPa、又は4~4.3MPaの範囲の圧力を有し得る。
【0064】
図3は、本発明による製品回収区分の一部分500の一実施形態の図である。蒸留塔505は、蒸気リボイラ510を含む。
【0065】
蒸気リボイラ510の蒸気は、蒸気ドラム515から来る。蒸気の流れ520は、過熱器525に送られて、温度を上昇させる。一例として、過熱蒸気の流れ530は、413℃~440℃(775°F~825°F)の範囲の温度、及び4.6~5.2MPa(g)(660psig~750psig)の範囲の圧力を有し得る。
【0066】
過熱流530の流れは、2つの部分535、540に分割される。過熱流530の流れは、過熱低減器545を通過する前に分割され得る。代替的に、流れは、過熱低減器545を通過した後に分割され得る(点線で示される)。
【0067】
第1の部分535における蒸気の温度は、過熱低減水550を使用して過熱低減器545内で低下する。過熱低減蒸気の流れ555の温度は、温度制御弁560によって制御される。過熱低減蒸気の流れ535の圧力は、圧力コントローラ605によって制御される。一例として、過熱低減蒸気の流れ555は、385℃~413℃(725°F~775°F)の範囲の温度、及び4.5~5.1MPa(g)(650psig~740psig)の範囲の圧力を有し得る。
【0068】
過熱低減蒸気の流れ555は、過熱低減水550を使用して更に冷却される過熱低減器565に送られる。過熱低減蒸気570の温度は、温度制御弁575によって蒸気リボイラに好適な温度に制御される。一例として、過熱低減蒸気570は、250~300℃の範囲の温度、及び4.4~5MPaの範囲の圧力を有してもよい。
【0069】
過熱低減蒸気570は、蒸気リボイラ510に送られ、そこで、底部流580と熱交換する。再加熱された底部流585は、蒸留塔505に戻される。凝縮物590は、更なるプロセス及び再利用のために凝縮物ヘッダ(図示せず)に送られる。
【0070】
第2の部分540は、蒸気の圧力低減から動力を生成する、関連する生成器(図示せず)を伴う動力回収タービン595を対象とする。圧力コントローラ605は、流れ540の質量流量を調整することによって流れ555の圧力を制御する。圧力コントローラは、動力回収タービン又は他の手段の入口ガイドベーン(図示せず)を制御することによって圧力を制御してもよい。動力回収タービン595を出る蒸気の圧力は、高圧蒸気(しかし、初期圧力よりも低い)、中圧、又は低圧であり得る。減圧蒸気の流れ600は、蒸気ヘッダ(図示せず)に送られ、そこで、例えば、ポンプ、圧縮機、リボイラ、ストリッピング若しくは分留塔、又は流体触媒分解ユニット内の立ち上がり管などの他のプロセスユニット、及び同様のものなどの使用のための他のプロセス及び機器に送られ得る。
【0071】
減圧蒸気の流れ600の圧力は、蒸気ヘッダシステム(図示せず)内の他の要素によって制御される。一例として、減圧蒸気の流れ600は、200~400℃の範囲の温度、及び1~4.5MPa又は2~2.5MPaの範囲の圧力を有し得る。
【0072】
温度及び圧力制御システムは、検知要素、コントローラ、及び最終制御要素を含む。センサは、コントローラ610にデータを送信することができ、このコントローラは、最終制御要素560、575、615、又は動力回収タービンガイドベーン(図示せず)に信号を送信して、プロセスを制御することができる。
【0073】
既存のシステムでは、制御弁615は、動力制御タービン595がオフライン(例えば、メンテナンス用)である場合には、必要に応じて、バックアップ弁として維持され得る。圧力コントローラ605は、動力回収タービンの入口ガイドベーン(図示せず)の代わりに、又はそれに加えて制御弁615を使用してもよい。代替的に、予備タービンが含まれてもよい。
【0074】
いくつかの状況では、動力回収タービンにおいてより高い効率を得ることによって、より多くの動力を生成させるために、過熱蒸気530の圧力を増加させることができる。効率が同じであっても、生成された蒸気の1ポンド当たりの圧力増加Δにより、より多くの動力が生成される。
【0075】
所与の温度及び圧力は、単なる例示であり、本発明を限定することを意図するものではないことに留意されたい。
【0076】
本発明のデバイス及びプロセスは、触媒改質反応ゾーンで利用されるものとして想到されている。既知のように、そのような触媒改質反応ゾーンは、典型的には制御センター内のコンピュータ上の、プロセス制御システムを利用する。
【0077】
本明細書に開示される実施形態との関連で記載されるプロセス制御システムは、コンピュータ上で汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)若しくは他のプログラム可能な論理デバイス、別個のゲート若しくはトランジスタ論理、別個のハードウェア構成要素、又は本明細書に記載される機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせによって実施又は実行することができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよく、又はプロセッサは、いずれの従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシンであってもよい。プロセッサはまた、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、2つ以上のマイクロプロセッサ、又は上記のものの任意の他の組み合わせなどの計算装置の組み合わせであってもよい。
【0078】
プロセス制御システムに関連したプロセスの各ステップは、ハードウェアに直接含まれるアルゴリズムにおいて、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールにおいて、又はこれら2つの組み合わせにおいて具現化することができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、又は当該技術分野では周知の他の任意の形態の記憶媒体内に存在してよい。例示的な記憶媒体としては、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むようにプロセッサと通信するものがある。これは、記憶媒体がプロセッサと統合されていることを含む。プロセッサ及び記憶媒体は、ASIC内に存在してもよい。ASICは、ユーザ端末内に存在してもよい。代替的に、プロセッサ及び記憶媒体は、ユーザ端末内の別個の構成要素として存在してもよい。これらのデバイスは、あくまでコンピュータ可読記憶媒体の例示的かつ非限定的な例として意図されるものである。プロセッサ及び記憶媒体又はメモリはまた、例えば、入力チャネル、制御論理のプロセッサ、制御システム内の出力チャネル、及び制御センター内のオペレータステーション間など、異なる構成要素、コンピュータ、プロセッサなどの間の有線又は無線通信を可能とするハードウェア(例えば、ポート、インターフェース、アンテナ、増幅器、信号プロセッサなど)と一般的に通信する。
【0079】
コンピュータ及びプロセッサと通信する、とは、情報又はデータを送受信する能力を指す。データ又は情報の送信は、無線伝送(例えば、Wi-Fi又はBluetoothによって)又は有線伝送(例えば、Ethernet RJ45ケーブル又はUSBケーブルを使用する)であってよい。無線伝送の場合、無線送受信機(例えば、Wi-Fi送受信機)は、各プロセッサ又はコンピュータと通信する。送信は、コンピュータの要求のあった場合に、又はコンピュータからの要求に応じて、又は他の方法で自動的に実行することができる。データは、任意の組み合わせでプッシュ、引き出し、フェッチなどするか、又は任意の他の形で送信及び受信することができる。
【0080】
したがって、本発明によれば、プロセス制御システムは、動力回収タービン595による発電量に対して、動力回収タービン595からの情報を受信することが想到される。動力回収タービン595は、動力回収タービンが生成した電気の量を(プロセッサにより)決定することが想到される。代替的に、情報を受信したプロセス制御システムは、動力回収タービン595による発電量を決定する。いずれの構成においても、動力回収タービン595による発電量は、制御センター内のコンピュータに関連付けられた少なくとも1つの表示画面上に表示される。触媒改質反応ゾーンが複数の動力回収タービン595を備える場合、プロセス制御システムは、動力回収タービン595の各々による発電量に関連付けられた情報を受信することが更に想到される。プロセス制御システムは、動力回収タービン595の各々に関連付けられた情報に基づいて、総発電力を決定し、表示画面上にその総発電力を表示する。総発電力を、個々の動力回収タービン595による発電力量の代わりに、又はそれと併せて表示することもできる。
【0081】
電気は、典型的に触媒改質反応ゾーン全体に加えられる回収可能な超過エネルギーを表すので、プロセス制御システムは、触媒改質反応ゾーン及び塔リボイラシステムのスループット、供給品質、製品品質などに関連付けられた情報を受信し、そのタービン(複数可)の目標発電値を決定することが想到される。目標発電値の決定は、電気が所定のレベル又はその付近にある場合に行うことができる。換言すれば、発電量が所定のレベルを満たすか又はそれを上回る場合、プロセス制御システムは、発電量が標的発電量値に達するまで発電量を調整及び低下させるための1つ以上のプロセス条件を決定することができる。
【0082】
したがって、プロセス制御システムは、触媒改質反応ゾーン又は塔リボイラシステムに関連付けられた様々なプロセス条件に対する1つ以上の変更を分析して、触媒改質反応ゾーンの動力回収タービンによって回収されるエネルギーの量を低下させる。好ましくは、プロセス条件は、触媒改質ゾーンのスループットを調整することなく調整される。これにより、触媒改質反応ゾーンは、同じスループットに関連付けられる稼働コストをより低くしながらも、同じスループットを有することが可能となる。プロセス制御ソフトウェアは、目標発電値と発電された総電力との間の差を計算して表示画面に表示することができる。
【0083】
例えば、プロセス制御ソフトウェアは、発電された総電力が所定のレベルを上回ることを認識することができる。これにより、プロセス制御ソフトウェアは、目標発電値を決定することができる。典型的に、触媒改質反応ゾーン及び塔リボイラシステムに関連付けられる他のセンサ及びデータ収集デバイスから受信された他のデータ及び情報に基づいて、プロセス制御ソフトウェアは、ヒータ内で消費される燃料の量が減少され得ると判定し得る。触媒改質反応ゾーンのスループットを維持しながら、ヒータ内で消費される燃料の量が減少される。これは、動力回収タービンによって生成される電力を低下させ得るが、より低い燃料消費量は、同じスループットに対する稼働コストをより低くする。また、圧力又は流動が低減されることは水素圧縮機のスループットに最適であるということも判断され得る。このようにして、圧縮機ドライバへの蒸気又は電気が減少され得る。
【0084】
したがって、本発明では、典型的には損失されるエネルギーが、触媒改質反応ゾーン内の他の場所で使用される形態へと変換されるだけでなく、触媒改質反応ゾーンには、触媒改質反応ゾーン全体に関連付けられるエネルギー入力を低減し、よりエネルギー効率的なプロセスを利用することによって利益を増加させる機会が提供される。
【0085】
弁、ポンプ、フィルタ、冷却器などの様々な他の構成要素は、それらの詳細が当業者の知識の範囲内であり、また、それらの説明は本発明の実施形態を実施又は理解するうえで必要でないと考えられるため、図示されていない点は当業者には認識及び理解されるはずである。
【0086】
上記のライン、導管、ユニット、デバイス、容器、周囲環境、ゾーン、又は同様のもののいずれも、センサ、測定デバイス、データ捕捉デバイス、又はデータ送信デバイスを含む1つ以上の監視構成要素を装備してもよい。監視構成要素からの信号、プロセス、又は状態測定値、並びにデータを使用して、プロセス機器内、その周囲、及びその上の状況を監視することができる。監視構成要素によって生成又は記録された信号、測定値、及び/又はデータは、プライベート若しくはパブリック、一般的若しくは特定的、直接若しくは間接的、有線若しくは無線、暗号化若しくは非暗号化、及び/又はそれらの組み合わせ(複数可)であってもよい1つ以上のネットワーク又は接続を介して収集、処理、及び/又は送信されてもよい。本明細書は、この点において限定することを意図するものではない。
【0087】
監視構成要素によって生成又は記録された信号、測定値、及び/又はデータは、1つ以上のコンピューティングデバイス又はシステムに送信されてもよい。コンピューティングデバイス又はシステムは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、1つ以上のコンピューティングデバイスに1つ以上の工程を含み得るプロセスを実行させる、コンピュータ可読命令を記憶するメモリと、を含み得る。例えば、1つ以上のコンピューティングデバイスは、1つ以上の監視構成要素から、プロセスに関連付けられた機器の少なくとも一部に関連するデータを受信するように構成されてもよい。1つ以上のコンピューティングデバイス又はシステムは、データを分析するように構成されてもよい。データの分析に基づいて、1つ以上のコンピューティングデバイス又はシステムは、本明細書に記載される1つ以上のプロセスの1つ以上のパラメータに対する1つ以上の推奨される調整を決定するように構成されてもよい。1つ以上のコンピューティングデバイス又はシステムは、本明細書に記載される1つ以上のプロセスの1つ以上のパラメータに対する1つ以上の推奨される調整を含む暗号化又は非暗号化データを送信するように構成されてもよい。
【0088】
上記の本発明の詳細な説明において、少なくとも1つの例示的な実施形態を提示したが、膨大な数の変形例が存在する点を理解されたい。例示的な実施形態(複数可)は、あくまで実例にすぎず、いかなる意味でも発明の範囲、適用可能性、又は構成の限定を目的としていない点もまた理解されるはずである。むしろ、上記の詳細な説明は、発明の例示的な実施形態を実施するうえで便利な指針を当業者に提供するものであり、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物に記載される発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に記載される機能及び要素の配置に様々な変更がなされ得る点は理解されよう。
【0089】
特定の実施形態
以下を特定の実施形態と併せて説明するが、この説明は、前述の説明及び添付の特許請求の範囲を例示するものであり、限定するものではないことが理解されるであろう。
【0090】
本発明の第1の実施形態は、プロセスユニット廃熱蒸気生成システムから電力を回収するためのプロセスであって、第1の温度及び第1の圧力を有する過熱蒸気の流れを提供することと、過熱蒸気の流れを第1の部分及び第2の部分に分割することと、第1の部分と一緒に蒸気リボイラ内で塔からの底部流を加熱することと、加熱された底部流を塔に導入することと、過熱蒸気の第2の部分を動力回収タービンに通して方向付けて、第2の部分の圧力を第1の圧力未満の第2の圧力まで低減させて、減圧流を形成することと、を含む、プロセスである。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、減圧流を蒸気ヘッダに方向付けることを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、減圧流を、ポンプ、圧縮機、リボイラ、塔、又はプロセスユニットのうちの少なくとも1つに方向付けることを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、蒸気リボイラは、蒸気入口及び凝縮物出口を有する熱交換器を含み、凝縮物を凝縮物返送ヘッダに方向付けることを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、過熱蒸気の第1の部分の温度を第1の温度未満の第2の温度まで低下させて、底部流を加熱する前に過熱低減流を形成することを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、第1の部分の温度は、第1の部分を少なくとも1つの過熱低減器に導入することによって低下され、第1の部分の温度を第1の温度未満の第2の温度まで低下させて、過熱低減流を形成する。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、少なくとも2つの過熱低減器が存在し、第2の過熱低減器を出る過熱低減流の温度は、第1の過熱低減器を出る過熱低減流の温度未満である。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、過熱低減水の流れを少なくとも1つの過熱低減器に導入して、第1の部分の温度を低下させることを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、第1の部分を少なくとも1つの過熱低減器に導入する前、及び第2の部分を動力回収タービンに通して方向付ける前に、過熱蒸気の流れの第1の圧力を増加させることを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、過熱蒸気の流れは、第1の部分を少なくとも1つの過熱低減器に導入する前に、第1の部分及び第2の部分に分割される。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、過熱蒸気の流れは、第1の部分を少なくとも1つの過熱低減器に導入した後に、第1の部分及び第2の部分に分割される。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、減圧流を第1の部分及び第2の部分に分割することと、減圧流の第2の部分を第2の動力回収タービンに通して方向付けて、第2の部分の圧力を第2の圧力未満の第3の圧力まで低減させることと、を更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、過熱低減流の一部分を圧力制御弁を通して選択的に方向付けることを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、プロセスの少なくとも1つのパラメータを検知し、その検知から信号又はデータを生成すること、又は信号を生成して送信すること、又はデータを生成して送信することのうちの少なくとも1つを更に含む。
【0091】
本発明の第2の実施形態は、触媒改質プロセスにおける電力を回収するためのプロセスであって、少なくとも1つの改質器を含む少なくとも1つの触媒改質ゾーンにおいてナフサ含有流を改質して、改質油流を形成することと、改質油流を蒸留塔内で少なくとも2つの留分に分離することと、少なくとも1つのヒータの対流ゾーンからの熱を使用して水又は蒸気を加熱して、第1の温度及び第1の圧力を有する過熱蒸気の流れを提供することと、過熱蒸気の流れを第1の部分及び第2の部分に分割することと、過熱蒸気の第1の部分を少なくとも1つの過熱低減器に導入して、第1の部分の温度を第1の温度未満の第2の温度まで低下させて、過熱低減流を形成することと、過熱低減流と一緒に蒸気リボイラ内で蒸留塔からの底部流を加熱することと、加熱された底部流を蒸留塔に導入することと、過熱蒸気の第2の部分を動力回収タービンに通して方向付けて、第2の部分の圧力を第1の圧力未満の第2の圧力まで低減させて、減圧流を形成することと、を含む、プロセスである。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、蒸気リボイラは、蒸気入口及び凝縮物出口を有する熱交換器を備え、凝縮物出口における凝縮物は、第2の温度未満の温度を有し、凝縮物を凝縮物返送ヘッダに方向付けることを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、少なくとも2つの過熱低減器が存在し、第2の過熱低減器を出る過熱低減流の温度は、第1の過熱低減器を出る過熱低減流の温度未満である。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、第1の部分を少なくとも1つの過熱低減器に導入する前、及び第2の部分を動力回収タービンに通して方向付ける前に、過熱蒸気の流れの第1の圧力を増加させることを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、過熱蒸気の流れは、第1の部分を少なくとも1つの過熱低減器に導入する前に、第1の部分及び第2の部分に分割される。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、減圧流を第1の部分及び第2の部分に分割することと、減圧流の第2の部分を第2の動力回収タービンに通して方向付けて、第2の部分の圧力を第2の圧力未満の第3の圧力まで低減させることと、を更に含む。
【0092】
更に説明することなく、前述の説明を用いて、当業者が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明を最大限に利用し、本発明の本質的な特性を容易に確認でき、本発明の様々な変更及び修正を行い、様々な使用及び条件に適合させることができると考えられる。したがって、先行する好ましい特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなるようにも本開示の残りを限定するものではなく、添付の特許請求の範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものである。
【0093】
上記では、全ての温度は摂氏度で記載され、全ての部及び百分率は、別途記載のない限り、重量基準である。
図1
図2
図3