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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】送信回路及び集積回路
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/03 20060101AFI20220512BHJP
   H03K 5/05 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
H04L25/03 Z
H03K5/05
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018008321
(22)【出願日】2018-01-22
(65)【公開番号】P2019129350
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】川井 重明
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-188931(JP,A)
【文献】米国特許第08462906(US,B1)
【文献】特開2011-254226(JP,A)
【文献】特表2015-530820(JP,A)
【文献】特開2008-199096(JP,A)
【文献】特開2007-006060(JP,A)
【文献】特開2010-206348(JP,A)
【文献】国際公開第2008/111241(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0073058(US,A1)
【文献】米国特許第06507220(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0219870(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/03
H03K 5/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック信号に基づいてデータを生成するデータ生成回路と、
前記データ生成回路に前記クロック信号を供給するクロック生成回路と、
前記データ生成回路から出力される前記データのデューティサイクル歪みを検出し、前記検出の結果に基づいて、前記クロック信号のデューティ比を制御するデューティ比制御回路と
を有し、
前記デューティ比制御回路は、前記送信回路の最終段のバッファの入力データのデューティサイクル歪みを検出する送信回路。
【請求項2】
前記デューティ比制御回路は、前記クロック信号を出力するインバータを有し、前記検出の結果に基づいて、前記インバータの入力コモン電圧を制御する請求項1に記載の送信回路。
【請求項3】
前記デューティ比制御回路は、前記検出の結果に基づいて、前記クロック信号の立ち上がり速度と立ち下がり速度を制御する請求項1に記載の送信回路。
【請求項4】
前記デューティ比制御回路は、
pチャネル電界効果トランジスタと、
ドレインが前記pチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続されるnチャネル電界効果トランジスタと、
前記pチャネル電界効果トランジスタのゲートと前記クロック生成回路との間に接続される第1のキャパシタと、
前記nチャネル電界効果トランジスタのゲートと前記クロック生成回路との間に接続される第2のキャパシタと、
前記検出の結果に基づいて、前記pチャネル電界効果トランジスタのゲートと前記nチャネル電界効果トランジスタのゲートに印加する電圧を制御する制御回路と
を有する請求項1に記載の送信回路。
【請求項5】
前記デューティ比制御回路は、
ゲートが前記クロック生成回路に接続されるpチャネル電界効果トランジスタと、
ゲートが前記クロック生成回路に接続され、ドレインが前記pチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続されるnチャネル電界効果トランジスタと、
前記pチャネル電界効果トランジスタのソースに接続される第1の抵抗と、
前記nチャネル電界効果トランジスタのソースに接続される第2の抵抗とを有し、
前記第1の抵抗の値と前記第2の抵抗の値は、前記比較の結果に基づいて制御される請求項1に記載の送信回路。
【請求項6】
前記デューティ比制御回路は、前記データ生成回路がハイレベルとローレベルのデータを交互に出力するとき、前記データ生成回路の出力信号をローパスフィルタリングした信号と閾値とを比較する比較回路を有する請求項1~5のいずれか1項に記載の送信回路。
【請求項7】
内部データを生成する処理回路と、
前記内部データを入力する送信回路とを有し、
前記送信回路は、
クロック信号に基づいてデータを生成するデータ生成回路と、
前記データ生成回路に前記クロック信号を供給するクロック生成回路と、
前記データ生成回路から出力される前記データのデューティサイクル歪みを検出し、前記検出の結果に基づいて、前記クロック信号のデューティ比を制御するデューティ比制御回路と
有し、
前記デューティ比制御回路は、前記送信回路の最終段のバッファの入力データのデューティサイクル歪みを検出する集積回路。
【請求項8】
前記デューティ比制御回路は、前記クロック信号を出力するインバータを有し、前記検出の結果に基づいて、前記インバータの入力コモン電圧を制御する請求項に記載の集積回路。
【請求項9】
前記デューティ比制御回路は、前記検出の結果に基づいて、前記クロック信号の立ち上がり速度と立ち下がり速度を制御する請求項に記載の集積回路。
【請求項10】
前記デューティ比制御回路は、
pチャネル電界効果トランジスタと、
ドレインが前記pチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続されるnチャネル電界効果トランジスタと、
前記pチャネル電界効果トランジスタのゲートと前記クロック生成回路との間に接続される第1のキャパシタと、
前記nチャネル電界効果トランジスタのゲートと前記クロック生成回路との間に接続される第2のキャパシタと、
前記検出の結果に基づいて、前記pチャネル電界効果トランジスタのゲートと前記nチャネル電界効果トランジスタのゲートに印加する電圧を制御する制御回路と
を有する請求項に記載の集積回路。
【請求項11】
前記デューティ比制御回路は、
ゲートが前記クロック生成回路に接続されるpチャネル電界効果トランジスタと、
ゲートが前記クロック生成回路に接続され、ドレインが前記pチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続されるnチャネル電界効果トランジスタと、
前記pチャネル電界効果トランジスタのソースに接続される第1の抵抗と、
前記nチャネル電界効果トランジスタのソースに接続される第2の抵抗とを有し、
前記第1の抵抗の値と前記第2の抵抗の値は、前記比較の結果に基づいて制御される請求項に記載の集積回路。
【請求項12】
前記デューティ比制御回路は、前記データ生成回路がハイレベルとローレベルのデータを交互に出力するとき、前記データ生成回路の出力信号をローパスフィルタリングした信号と閾値とを比較する比較回路を有する請求項~1のいずれか1項に記載の集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信回路及び集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
第1クロック信号が入力されるクロック用入力バッファと、第1データ信号が入力されるデータ用入力バッファとを有するデューティ比補正回路が知られている(特許文献1参照)。クロック用デューティ調整回路は、補正信号に基づいて、クロック用入力バッファから出力される第2クロック信号のデューティ比を調整して第3クロック信号を生成する。データ用デューティ調整回路は、補正信号に基づいて、データ用入力バッファから出力される第2データ信号のデューティ比を調整して第3データ信号を生成する。デューティ比較回路は、第3クロック信号に基づいて、補正信号を生成する。
【0003】
また、補正信号のレベルに応じて入力データのデューティを補正した補正データを出力するデータデューティ補正回路を有するクロック・データ再生回路が知られている(特許文献2参照)。クロック再生回路は、補正データのエッジタイミングに同期した再生クロックを生成する。データ識別回路は、再生クロックによって補正データのデータ識別を行う。データデューティ検出回路は、補正データのデューティを再生クロックにより検出して、デューティ補正量を示す補正信号をデータデューティ補正回路に出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-206348号公報
【文献】国際公開第2008/111241号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
デューティサイクル歪み(DCD:Duty Cycle Distortion)は、1のデータのパルス幅と0のデータのパルス幅が異なる歪みである。クロック信号を基にデータを生成する場合、クロック信号のデューティ比を50%に補正したとしても、データにおいてデューティサイクル歪みが発生する場合がある。
【0006】
1つの側面では、本発明の目的は、デューティサイクル歪みを低減することができる送信回路及び集積回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
送信回路は、クロック信号に基づいてデータを生成するデータ生成回路と、前記データ生成回路に前記クロック信号を供給するクロック生成回路と、前記データ生成回路から出力される前記データのデューティサイクル歪みを検出し、前記検出の結果に基づいて、前記クロック信号のデューティ比を制御するデューティ比制御回路とを有し、前記デューティ比制御回路は、前記送信回路の最終段のバッファの入力データのデューティサイクル歪みを検出する
【発明の効果】
【0008】
1つの側面では、デューティサイクル歪みを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態による集積回路の構成例を示す図である。
図2図2は、基本技術による送信回路の構成例を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態による送信回路の構成例を示す図である。
図4図4は、DCD検出回路の構成例を示す回路図である。
図5図5(A)はDCD調整前のクロック信号の波形例を示す図であり、図5(B)はDCD調整後のクロック信号の波形例を示す図である。
図6図6(A)はDCD調整前のデータの波形例を示す図であり、図6(B)はDCD調整後のデータの波形例を示す図である。
図7図7は、集積回路のテストモードの制御方法を示すフローチャートである。
図8図8は、第2の実施形態によるDCD調整回路の構成例を示す回路図である。
図9図9は、第3の実施形態による送信回路の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態による集積回路100の構成例を示す図である。集積回路100は、送信回路101と、受信回路102と、処理回路103とを有する。処理回路103は、内部回路であり、内部データを生成し、パラレルの内部データTXINを送信回路101に出力する。送信回路101は、パラレルの内部データTXINを入力し、パラレルの内部データTXINをシリアルのデータに変換し、シリアルのデータTXOUTを送信する。
【0011】
受信回路102は、フロントエンド111と、ロジック部112と、クロック生成回路113とを有する。フロントエンド111は、連続時間リニア等化器(CTLE:Continuous Time Linear Equalizer)131と、判定帰還型等化器(DFE:Decision Feedback Equalizer)132と、デマルチプレクサ133とを有する。ロジック部112は、等化器ロジック部141と、クロックデータリカバリ(CDR)ロジック部142とを有する。
【0012】
受信回路102は、シリアルのデータRXINを受信する。CTLE131は、データRXINに対して、伝送路の周波数特性を補償する。DFE132は、クロック生成回路113が生成するクロック信号に同期して、等化器ロジック部141が出力する等化係数に基づき、CTLE131の出力データに対して、等化及び2値判定を行う。デマルチプレクサ133は、DFE132が出力するデータをシリアルからパラレルに変換する。等化器ロジック部141は、デマルチプレクサ133が出力するパラレルデータを基に、等化係数をDFE132に出力する。CDRロジック部142は、デマルチプレクサ133が出力するパラレルデータを基に、クロック生成回路113が生成するクロック信号の位相を制御する。受信回路102は、デマルチプレクサ133が出力するパラレルデータを受信データRXOUTとして処理回路103に出力する。処理回路103は、受信データRXOUTの処理を行う。
【0013】
図2は、第1の実施形態の比較例となる送信回路200の構成例を示す図である。送信回路200は、図1の送信回路101に対応する。送信回路200は、クロック生成回路201と、バッファ202,204,206,207と、デューティサイクル補正器(DCC)203と、マルチプレクサ205とを有する。データD1及びD2は、図1のデータTXINに対応するパラレルデータであるが、3ビット以上のデータでもよい。
【0014】
クロック生成回路201は、クロック信号を生成する。バッファ202は、クロック生成回路201が生成したクロック信号を増幅し、その増幅したクロック信号を出力する。デューティサイクル補正器203は、バッファ202が出力するクロック信号のデューティ比が50%になるように、クロック生成回路201が生成するクロック信号の位相を制御する。バッファ204は、バッファ202が出力するクロック信号を増幅し、その増幅したクロック信号をマルチプレクサ205に出力する。マルチプレクサ205は、バッファ204が出力するクロック信号に同期して、パラレルデータD1及びD2をシリアルデータに変換する。バッファ206及び207は、シリアルデータを増幅し、その増幅したシリアルデータTXOUTを送信する。
【0015】
デューティサイクル補正器203がクロック信号のデューティ比を補正しても、バッファ206を構成するトランジスタの閾値のミスマッチ又は帯域不足等が原因で、シリアルデータTXOUTにデューティサイクル歪み(DCD)が発生する場合がある。以下、図3を参照しながら、シリアルデータTXOUTのデューティサイクル歪みを低減することができる送信回路を説明する。
【0016】
図3は、第1の実施形態による送信回路300の構成例を示す図である。送信回路300は、図1の送信回路101に対応し、シングルエンドのクロック信号及びデータを使用する。送信回路300は、クロック生成回路301と、DCD調整回路302と、DCD検出回路303と、DCD制御回路304と、バッファ305,307,308と、マルチプレクサ306とを有する。
【0017】
クロック生成回路301は、位相周波数比較器(PFC)311と、チャージポンプ(CP)312と、ローパスフィルタ(LPF)313と、電圧制御発振器(VCO)314と、分周器315とを有し、クロック信号を供給する。電圧制御発振器314は、ローパスフィルタ313の出力電圧に応じた周波数のクロック信号を生成する。分周器315は、電圧制御発振器314が生成したクロック信号を分周し、その分周したクロック信号を位相周波数比較器311に出力する。位相周波数比較器311は、分周器315が出力するクロック信号とリファレンスクロック信号RCLKとの位相周波数を比較し、その比較の結果に応じてアップ信号又はダウン信号をチャージポンプ312に出力する。チャージポンプ312は、アップ信号が入力されると出力電圧を高くし、ダウン信号が入力されると出力電圧を低くする。ローパスフィルタ313は、チャージポンプ312の出力電圧をローパスフィルタリングし、そのローパスフィルタリングした電圧を電圧制御発振器314に出力する。これにより、電圧制御発振器314は、リファレンスクロック信号RCLKに同期したシングルエンドのクロック信号を生成することができる。
【0018】
DCD調整回路302は、抵抗321~328と、セレクタ329,330と、キャパシタ331,332と、pチャネル電界効果トランジスタ333と、nチャネル電界効果トランジスタ334とを有する。ノードN1は、電圧制御発振器314の出力ノードに接続される。キャパシタ331は、pチャネル電界効果トランジスタ333のゲートとノードN1との間に接続される。キャパシタ332は、nチャネル電界効果トランジスタ334のゲートとノードN1との間に接続される。pチャネル電界効果トランジスタ333は、ソースが電源電位ノードに接続され、ドレインがノードN2に接続される。nチャネル電界効果トランジスタ334は、ドレインがノードN2に接続され、ソースが基準電位ノード(グランド電位ノード)に接続される。
【0019】
複数の抵抗321~324は、電源電位ノードと基準電位ノードとの間に直列に接続され、相互接続点から複数の電圧を出力する。セレクタ329は、DCD制御回路304の制御の下、抵抗321~324が出力する複数の電圧のうちの1個の電圧をpチャネル電界効果トランジスタ333のゲートに印加する。
【0020】
複数の抵抗325~328は、電源電位ノードと基準電位ノードとの間に直列に接続され、相互接続点から複数の電圧を出力する。セレクタ330は、DCD制御回路304の制御の下、抵抗325~328が出力する複数の電圧のうちの1個の電圧をnチャネル電界効果トランジスタ334のゲートに印加する。
【0021】
pチャネル電界効果トランジスタ333とnチャネル電界効果トランジスタ334は、インバータを構成し、ノードN1のクロック信号を反転したクロック信号をノードN2から出力する。セレクタ329及び330は、そのインバータの入力コモン電圧を制御することにより、ノードN2のクロック信号のデューティ比を制御し、データTXOUTのDCDを調整する。DCD調整回路302は、ノードN2のクロック信号のデューティ比を制御することができる。
【0022】
バッファ305は、ノードN2のクロック信号を増幅し、その増幅したクロック信号をマルチプレクサ306に出力する。マルチプレクサ306は、バッファ305が出力するクロック信号に同期して、パラレルデータD1及びD2をシリアルデータに変換し、そのシリアルデータを出力する。マルチプレクサ306は、シングルエンドのクロック信号に同期して、シングルエンドのパラレルデータD1及びD2をシングルエンドのシリアルデータに変換する。例えば、マルチプレクサ306は、クロック信号がハイレベルである期間ではデータD1を出力し、クロック信号がローレベルである期間ではデータD2を出力する。すなわち、マルチプレクサ306は、データD1とデータD2を交互に出力する。マルチプレクサ306は、データ生成回路であり、クロック信号に基づいてシリアルデータを生成する。
【0023】
バッファ307は、マルチプレクサ306が出力するデータを増幅し、その増幅したデータを出力する。バッファ308は、送信回路300の最終段のバッファであり、バッファ307が出力するデータを増幅し、その増幅したデータTXOUTを出力する。
【0024】
送信回路300は、テストモードと通常モードを有する。テストモードは、データTXOUTのDCDを調整するためのモードである。通常モードは、所望のデータTXOUTを送信するためのモードである。送信回路300は、テストモードにおいて、データTXOUTのDCDを調整し、その後、通常モードにおいて、所望のデータTXOUTを送信する。
【0025】
まず、送信回路300は、例えば電源投入時に、テストモードになり、「0」固定のデータD1と、「1」固定のデータD2を処理回路103から入力する。例えば、「0」のデータはローレベルであり、「1」のデータはハイレベルである。マルチプレクサ306は、「01010101・・・」のように、「0」のデータと「1」のデータを交互に出力する。
【0026】
DCD検出回路303は、バッファ307の出力データと中間電位vdd/2とを入力し、バッファ307の出力データのデューティサイクル歪み(DCD)を検出する。バッファ307の出力データは、ハイレベルが電位vddであり、ローレベルが0Vである。中間電位vdd/2は、その出力データのハイレベル電位vddと、その出力データのローレベル電位0Vとの間の真中の電位である。ここで、vddは例えば、集積回路100の動作電源電圧である。
【0027】
DCDは、「1」のデータのパルス幅と「0」のデータのパルス幅が異なる歪みである。例えば、図6(A)は、DCDが存在するデータの波形を示し、「1」のデータのパルス幅と「0」のデータのパルス幅が異なる。図6(B)は、DCDが存在しないデータの波形を示し、「1」のデータのパルス幅と「0」のデータのパルス幅が同じである。
【0028】
図4は、DCD検出回路303の構成例を示す回路図である。DCD検出回路303は、抵抗401,402と、キャパシタ403,404と、比較回路405とを有する。抵抗401は、図3のバッファ307の出力ノードと、比較回路405の入力電位V1のノードとの間に接続される。キャパシタ403は、比較回路405の入力電位V1のノードと基準電位ノードとの間に接続される。抵抗401及びキャパシタ403は、ローパスフィルタを構成し、バッファ307の出力電位(出力信号)をローパスフィルタリングすることにより、バッファ307の出力電位の時間平均値を入力電位V1として出力する。テストモードでは、バッファ307は、ローレベルのデータとハイレベルのデータを交互に出力する。したがって、バッファ307の出力電位にDCDが存在しない場合、入力電位V1は中間電位vdd/2と同じ電位になる。また、バッファ307の出力電位にDCDが存在する場合、入力電位V1は中間電位vdd/2と異なる電位になる。
【0029】
抵抗402は、図3の中間電位vdd/2のノードと、比較回路405の入力電位V2のノードとの間に接続される。キャパシタ404は、比較回路405の入力電位V2のノードと基準電位ノードとの間に接続される。抵抗402及びキャパシタ404は、ローパスフィルタを構成し、中間電位vdd/2をローパスフィルタリングすることにより、中間電位vdd/2の時間平均値を入力電位V2として出力する。入力電位V2は、中間電位vdd/2と同じ電位になる。比較回路405は、入力電位V1と入力電位(閾値)V2とを比較し、その比較の結果を出力する。
【0030】
図3において、DCD制御回路304は、入力電位V1と入力電位V2が同じ場合には、バッファ307の出力データにDCDが存在しないと判定し、入力電位V1と入力電位V2が異なる場合には、バッファ307の出力データにDCDが存在すると判定することができる。DCD制御回路304は、入力電位V1と入力電位V2が同じになるように、セレクタ329及び330を制御する。これにより、バッファ307の出力データ及びデータTXOUTに存在するDCDを低減することができる。
【0031】
以上説明したように、DCD調整回路302、DCD検出回路303、及びDCD制御回路304は、データのDCDを検出し、その検出結果に基づいてクロック信号のデューティ比を制御するデューティ比制御回路として機能する。
【0032】
なお、DCD検出回路303は、最終段のバッファ308の出力データ(送信回路300の出力端子の出力データ)TXOUTと中間電位を入力し、送信回路300の出力端子の出力データTXOUTのDCDを検出してもよい。その中間電位は、バッファ308の出力データのハイレベルとローレベルとの間の真中の電位である。これにより、送信回路300の出力端子の出力データTXOUTのDCDを低減することができる。ただし、送信回路300の出力データの送信先となる回路(外部システム)の動作電源電圧に依存して、最終段のバッファ308の出力データの振幅がその一段前のバッファ207の出力データの振幅より小さい場合がある。この場合、バッファ308の出力データの振幅がバッファ307の出力データの振幅より小さいため、DCDの検出精度が低下するデメリットがある。また、送信回路300の出力端子にDCD検出回路303が接続されるため、DCD検出回路303が外部システムに対して、インピーダンスの整合を損なう等の悪影響を与えるデメリットがある。
【0033】
上記のデメリットを解消するためには、図3のように、DCD検出回路303は、送信回路300の最終段のバッファ308の入力データ(一段前のバッファ207の出力データ)と中間電位vdd/2を入力し、送信回路300の最終段のバッファ308の入力データのDCDを検出することが好ましい。この場合、バッファ307の出力データの振幅がバッファ308の出力データの振幅より大きいため、DCDの検出精度を向上させることができる。また、送信回路300の出力端子にDCD検出回路303が接続されないため、DCD検出回路303が外部システムに対して与える悪影響を防止することができる。
【0034】
図5(A)は、DCD調整前のノードN2のクロック信号の波形例を示す図である。セレクタ329は、電源電位と基準電位との間の真中の電位をpチャネル電界効果トランジスタ333のゲートに印加する。セレクタ330は、電源電位と基準電位との間の真中の電位をnチャネル電界効果トランジスタ334のゲートに印加する。この場合、ノードN2は、図5(A)に示すクロック信号を出力する。図5(A)のクロック信号のデューティ比は、約50%である。
【0035】
図6(A)は、DCD調整前のバッファ307の出力データの波形例を示す図である。ノードN2が図5(A)に示すクロック信号を出力する場合、バッファ307は、図6(A)に示すデータを出力する。このデータは、「0」のデータと「1」のデータを交互に繰り返すデータである。例えば、このデータは、ハイレベルが+1Vであり、ローレベルが-1Vである。この場合、DCD検出回路303は、バッファ307の出力電位と中間電位0Vを入力する。図6(A)のデータは、「1」のデータを示すハイレベル期間が、「0」のデータを示すローレベル期間より短く、DCDが存在する。したがって、図4の入力電位V1は、負電位になる。入力電位V2は、0Vになる。比較回路405は、入力電位V1が入力電位V2より低いことを示す信号を出力する。DCD制御回路304は、比較回路405の出力信号を基に、セレクタ329及び330を制御し、DCDの調整を行う。
【0036】
図5(B)は、DCD調整後のノードN2のクロック信号の波形例を示す図である。セレクタ329は、電源電位と基準電位との間の真中の電位より低い電位をpチャネル電界効果トランジスタ333のゲートに印加する。図5(B)の場合のセレクタ329の出力電位は、図5(A)の場合のセレクタ329の出力電位より低い。また、セレクタ330は、電源電位と基準電位との間の真中の電位より高い電位をnチャネル電界効果トランジスタ334のゲートに印加する。図5(B)の場合のセレクタ330の出力電位は、図5(A)の場合のセレクタ330の出力電位より高い。この場合、ノードN2は、図5(B)に示すクロック信号を出力する。図5(B)のクロック信号のデューティ比は、約54%である。
【0037】
図6(B)は、DCD調整後のバッファ307の出力データの波形例を示す図である。ノードN2が図5(B)に示すクロック信号を出力する場合、バッファ307は、図6(B)に示すデータを出力する。図6(B)のデータは、「1」のデータを示すハイレベル期間が、「0」のデータを示すローレベル期間とほぼ同じであり、DCDが存在しない。図4の入力電位V1は、ほぼ0Vになる。入力電位V2は、0Vになる。入力電位V1は、入力電位V2とほぼ同じである。DCD制御回路304は、比較回路405の出力信号を基に、セレクタ329及び330の出力電位を維持させる。これにより、バッファ307の出力データ及びデータTXOUTのDCDを低減することができる。
【0038】
図7は、集積回路100のテストモードの制御方法を示すフローチャートである。ステップS701では、集積回路100は、テストモードの準備処理を行う。処理回路103は、データD1を「0」に固定し、データD2を「1」に固定する。マルチプレクサ306は、「010101・・・」を出力する。DCD制御回路304は、調整コードを初期値にリセットし、初期値の調整コードをセレクタ329及び330に出力する。例えば、調整コードの初期値は、最小値である。
【0039】
次に、ステップS702では、DCD制御回路304は、調整コードに1を加算し、加算後の調整コードをセレクタ329及び330に出力する。セレクタ329は、調整コードに応じた電圧をpチャネル電界効果トランジスタ333のゲートに印加する。セレクタ330は、調整コードに応じた電圧をnチャネル電界効果トランジスタ334のゲートに印加する。
【0040】
次に、ステップS703では、DCD制御回路304は、DCD検出回路303の出力信号を基に、図4の入力電位V1が入力電位V2と同じであるか否かを判定する。DCD制御回路304は、入力電位V1が入力電位V2と同じでない場合には、ステップS702に戻り、上記の処理を繰り返す。調整コードが増加するに従い、入力電位V1が入力電位V2に近づいていく。DCD制御回路304は、入力電位V1が入力電位V2と同じであると判定した場合には、調整コードを維持し、テストモードの処理を終了する。これにより、データTXOUTのDCDを低減することができる。その後、集積回路100は、通常モードの処理を行う。
【0041】
以上のように、ノードN2のクロック信号のデューティ比が50%であっても、バッファ307を構成するトランジスタの閾値のミスマッチ等により、データTXOUTにDCDが存在する場合がある。本実施形態によれば、DCD検出回路303は、バッファ307又は308の出力データのDCDを検出する。DCD調整回路302は、DCD制御回路304の制御の下、その検出結果を基に、ノードN2のクロック信号のデューティ比を制御する。これにより、データTXOUTのDCDを低減することができる。データTXOUTのDCDを低減することにより、データTXOUTの品質が向上し、受信回路は、受信したデータTXOUTの再生エラーを低減することができる。
【0042】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態によるDCD調整回路302の構成例を示す回路図である。第2の実施形態による集積回路100は、第1の実施形態による集積回路100に対して、DCD調整回路302が異なる。以下、第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点を説明する。
【0043】
DCD調整回路302は、pチャネル電界効果トランジスタ333,801と、nチャネル電界効果トランジスタ334,802とを有する。ノードN1は、図3の電圧制御発振器314に接続される。ノードN2は、図3のバッファ305の入力ノードに接続される。
【0044】
pチャネル電界効果トランジスタ801は、ソースが電源電位ノードに接続され、ゲートが図3のDCD制御回路304に接続され、ドレインがpチャネル電界効果トランジスタ333のソースに接続される。pチャネル電界効果トランジスタ333は、ゲートがノードN1に接続され、ドレインがノードN2に接続される。nチャネル電界効果トランジスタ334は、ドレインがノードN2に接続され、ゲートがノードN1に接続され、ソースがnチャネル電界効果トランジスタ802のドレインに接続される。nチャネル電界効果トランジスタ802は、ゲートが図3のDCD制御回路304に接続され、ソースが基準電位ノードに接続される。
【0045】
pチャネル電界効果トランジスタ801は、抵抗として機能する。DCD制御回路304は、pチャネル電界効果トランジスタ801のゲート電圧を制御することにより、pチャネル電界効果トランジスタ801の抵抗値を変えることができる。pチャネル電界効果トランジスタ801の抵抗値と、ノードN2に接続される寄生容量は、CR回路を構成し、ノードN2のクロック信号の立ち上がり速度(CR時定数)を決めることができる。DCD制御回路304は、pチャネル電界効果トランジスタ801の抵抗値を制御することにより、ノードN2のクロック信号の立ち上がり速度を変えることができる。
【0046】
同様に、nチャネル電界効果トランジスタ802は、抵抗として機能する。DCD制御回路304は、nチャネル電界効果トランジスタ802のゲート電圧を制御することにより、nチャネル電界効果トランジスタ802の抵抗値を変えることができる。nチャネル電界効果トランジスタ802の抵抗値と、ノードN2に接続される寄生容量は、CR回路を構成し、ノードN2のクロック信号の立ち下がり速度(CR時定数)を決めることができる。DCD制御回路304は、nチャネル電界効果トランジスタ802の抵抗値を制御することにより、ノードN2のクロック信号の立ち下がり速度を変えることができる。
【0047】
DCD制御回路304は、ノードN2のクロック信号の立ち上がり速度及び立ち下がり速度を制御することにより、ノードN2のクロック信号のデューティ比を変えることができる。
【0048】
例えば、DCD制御回路304は、pチャネル電界効果トランジスタ801の抵抗値とnチャネル電界効果トランジスタ802の抵抗値を標準値に制御する。これにより、ノードN2のクロック信号は、図5(A)に示すように、デューティ比が約50%になる。その場合、バッファ307は、図6(A)に示すように、DCDが存在するデータを出力する。
【0049】
その後、DCD制御回路304は、pチャネル電界効果トランジスタ801の抵抗値を標準値より小さくし、nチャネル電界効果トランジスタ802の抵抗値を標準値より大きくする。これにより、ノードN2のクロック信号は、立ち上がり速度が速くなり、立ち下がり速度が遅くなり、図5(B)に示すように、デューティ比が50%より大きくなる。その場合、バッファ307は、図6(B)に示すように、DCDが存在しないデータを出力することができる。
【0050】
以上のように、DCD制御回路304は、DCD検出回路303の検出の結果に基づいて、ノードN2のクロック信号の立ち上がり速度と立ち下がり速度を制御する。これにより、データTXOUTのDCDを低減することができる。
【0051】
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施形態による送信回路900の構成例を示す図である。送信回路900は、図1の送信回路101に対応し、差動のクロック信号及びデータを使用する。第3の実施形態による集積回路100は、第1の実施形態による集積回路100に対して、送信回路900が異なる。以下、第3の実施形態が第1の実施形態と異なる点を説明する。
【0052】
クロック生成回路301において、電圧制御発振器314は、相互に反転した第1のクロック信号と第2のクロック信号を出力する。第1のクロック信号及び第2のクロック信号は、差動信号である。ノードN1aは、第1のクロック信号のノードである。ノードN1bは、第2のクロック信号のノードである。
【0053】
DCD調整回路302は、抵抗321a~328a,321b~328bと、セレクタ329a,330a,329b,330bと、キャパシタ331a,332a,331b,332bと、pチャネル電界効果トランジスタ333a,333bと、nチャネル電界効果トランジスタ334a,334bとを有する。
【0054】
キャパシタ331aは、pチャネル電界効果トランジスタ333aのゲートとノードN1aとの間に接続される。キャパシタ332aは、nチャネル電界効果トランジスタ334aのゲートとノードN1aとの間に接続される。pチャネル電界効果トランジスタ333aは、ソースが電源電位ノードに接続され、ドレインがノードN2aに接続される。nチャネル電界効果トランジスタ334aは、ドレインがノードN2aに接続され、ソースが基準電位ノードに接続される。
【0055】
キャパシタ331bは、pチャネル電界効果トランジスタ333bのゲートとノードN1bとの間に接続される。キャパシタ332bは、nチャネル電界効果トランジスタ334bのゲートとノードN1bとの間に接続される。pチャネル電界効果トランジスタ333bは、ソースが電源電位ノードに接続され、ドレインがノードN2bに接続される。nチャネル電界効果トランジスタ334bは、ドレインがノードN2bに接続され、ソースが基準電位ノードに接続される。
【0056】
複数の抵抗321a~324aは、電源電位ノードと基準電位ノードとの間に直列に接続され、相互接続点から複数の電圧を出力する。セレクタ329aは、DCD制御回路304の制御の下、抵抗321a~324aが出力する複数の電圧のうちの1個の電圧をpチャネル電界効果トランジスタ333aのゲートに印加する。
【0057】
複数の抵抗325a~328aは、電源電位ノードと基準電位ノードとの間に直列に接続され、相互接続点から複数の電圧を出力する。セレクタ330aは、DCD制御回路304の制御の下、抵抗325a~328aが出力する複数の電圧のうちの1個の電圧をnチャネル電界効果トランジスタ334aのゲートに印加する。
【0058】
複数の抵抗321b~324bは、電源電位ノードと基準電位ノードとの間に直列に接続され、相互接続点から複数の電圧を出力する。セレクタ329bは、DCD制御回路304の制御の下、抵抗321b~324bが出力する複数の電圧のうちの1個の電圧をpチャネル電界効果トランジスタ333bのゲートに印加する。
【0059】
複数の抵抗325b~328bは、電源電位ノードと基準電位ノードとの間に直列に接続され、相互接続点から複数の電圧を出力する。セレクタ330bは、DCD制御回路304の制御の下、抵抗325b~328bが出力する複数の電圧のうちの1個の電圧をnチャネル電界効果トランジスタ334bのゲートに印加する。
【0060】
pチャネル電界効果トランジスタ333aとnチャネル電界効果トランジスタ334aは、インバータを構成し、ノードN1aの第1のクロック信号を反転し、その反転したクロック信号をノードN2aに出力する。pチャネル電界効果トランジスタ333bとnチャネル電界効果トランジスタ334bは、インバータを構成し、ノードN1bの第2のクロック信号を反転し、その反転したクロック信号をノードN2bに出力する。ノードN2aのクロック信号とノードN2bのクロック信号は、相互に反転した差動信号である。セレクタ329a、330a、329b及び330bは、それらのインバータの入力コモン電圧を制御することにより、ノードN2a及びN2bのクロック信号のデューティ比を調整し、データTXOUTのDCDを調整する。
【0061】
バッファ305は、差動バッファであり、ノードN2a及びN2bの差動クロック信号を増幅し、その増幅した差動クロック信号をマルチプレクサ306a及び306bに出力する。マルチプレクサ306aは、バッファ305が出力する差動クロック信号に同期して、パラレルデータD1及びD2をシリアルデータに変換し、そのシリアルデータを出力する。インバータ901aは、データD1を反転したデータを出力する。インバータ901bは、データD2を反転したデータを出力する。マルチプレクサ306bは、バッファ305が出力する差動クロック信号に同期して、インバータ901a及び901bが出力するパラレルデータをシリアルデータに変換し、そのシリアルデータを出力する。マルチプレクサ306aが出力するシリアルデータとマルチプレクサ306bが出力するシリアルデータは、相互に反転した差動データである。マルチプレクサ306a及び306bは、差動クロック信号に同期して、差動パラレルデータD1及びD2を差動シリアルデータに変換する。
【0062】
例えば、バッファ305は、第3のクロック信号と第4のクロック信号で構成される差動クロック信号を出力する。マルチプレクサ306aは、第3のクロック信号がハイレベルである期間ではデータD1を出力し、第4のクロック信号がハイレベルである期間ではデータD2を出力する。すなわち、マルチプレクサ306aは、データD1とデータD2を交互に出力する。
【0063】
マルチプレクサ306bは、第4のクロック信号がハイレベルである期間ではインバータ901aの出力データを出力し、第3のクロック信号がハイレベルである期間ではインバータ901bの出力データを出力する。すなわち、マルチプレクサ306bは、インバータ901aの出力データとインバータ901bの出力データを交互に出力する。
【0064】
バッファ307aは、マルチプレクサ306aが出力するデータを増幅し、その増幅したデータを出力する。バッファ308aは、送信回路900の最終段のバッファであり、バッファ307aが出力するデータを増幅し、その増幅したデータTXOUTaを出力する。
【0065】
バッファ307bは、マルチプレクサ306bが出力するデータを増幅し、その増幅したデータを出力する。バッファ308bは、送信回路900の最終段のバッファであり、バッファ307bが出力するデータを増幅し、その増幅したデータTXOUTbを出力する。データTXOUTa及びTXOUTbは、相互に反転した差動データである。送信回路900は、データTXOUTa及びTXOUTbを送信する。
【0066】
まず、送信回路900は、テストモードでは、「0」固定のデータD1と、「1」固定のデータD2を処理回路103から入力する。マルチプレクサ306aは、「01010101・・・」のように、「0」のデータと「1」のデータを交互に繰り返すデータを出力する。マルチプレクサ306bは、「10101010・・・」のように、「1」のデータと「0」のデータを交互に繰り返すデータを出力する。
【0067】
DCD検出回路303は、バッファ307aの出力データとバッファ307bの出力データとを入力し、バッファ307a及び307bの出力データのデューティサイクル歪み(DCD)を検出する。DCD検出回路303は、図4に示す構成を有する。
【0068】
抵抗401は、バッファ307aの出力ノードに接続される。抵抗401及びキャパシタ403は、バッファ307aの出力電位(出力信号)をローパスフィルタリングした入力電位V1を生成する。抵抗402は、バッファ307bの出力ノードに接続される。抵抗402及びキャパシタ404は、バッファ307bの出力電位(出力信号)をローパスフィルタリングした入力電位V2を生成する。
【0069】
テストモードでは、バッファ307aは、ローレベルのデータとハイレベルのデータを交互に出力する。したがって、バッファ307aの出力電位にDCDが存在しない場合、入力電位V1は中間電位vdd/2と同じ電位になる。また、バッファ307aの出力電位にDCDが存在する場合、入力電位V1は中間電位vdd/2と異なる電位になる。
【0070】
また、テストモードでは、バッファ307bは、ハイレベルのデータとローレベルのデータを交互に出力する。したがって、バッファ307bの出力電位にDCDが存在しない場合、入力電位V2は中間電位vdd/2と同じ電位になる。また、バッファ307bの出力電位にDCDが存在する場合、入力電位V2は中間電位vdd/2と異なる電位になる。比較回路405は、入力電位V1と入力電位V2とを比較し、その比較の結果を出力する。
【0071】
図9において、DCD制御回路304は、入力電位V1と入力電位V2が同じ場合には、バッファ307a及び307bの出力データにDCDが存在しないと判定する。また、DCD制御回路304は、入力電位V1と入力電位V2が異なる場合には、バッファ307a及び307bの出力データにDCDが存在すると判定する。DCD制御回路304は、入力電位V1と入力電位V2が同じになるように、セレクタ329a、330a、329b及び330bを制御する。これにより、データTXOUTa及びTXOUTbに存在するDCDを低減することができる。
【0072】
なお、第1の実施形態と同様に、DCD検出回路303は、最終段のバッファ308a及び308bの出力データ(送信回路900の出力端子の出力データ)TXOUTa及びTXOUTbを入力し、送信回路900の出力端子の出力データTXOUTa及びTXOUTbのDCDを検出してもよい。
【0073】
また、第2の実施形態と同様に、DCD調整回路302は、図8の構成と同様の構成を有し、ノードN2a及びN2bのクロック信号の立ち上がり速度と立ち下がり速度を制御してもよい。
【0074】
本実施形態によれば、DCD検出回路303は、差動データのDCDを検出する。DCD調整回路302は、DCD制御回路304の制御の下、その検出結果を基に、ノードN2a及びN2bの差動クロック信号のデューティ比を制御する。これにより、差動データTXOUTa及びTXOUTbのDCDを低減することができる。データTXOUTa及びTXOUTbのDCDを低減することにより、データTXOUTa及びTXOUTbの品質が向上し、受信回路は、受信したデータTXOUTa及びTXOUTbの再生エラーを低減することができる。
【0075】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0076】
300 送信回路
301 クロック生成回路
302 DCD調整回路
303 DCD検出回路
304 DCD制御回路
305,307,308 バッファ
306 マルチプレクサ
311 位相周波数比較器(PFC)
312 チャージポンプ(CP)
313 ローパスフィルタ(LPF)
314 電圧制御発振器(VCO)
315 分周器
321~328 抵抗
329,330 セレクタ
331,332 キャパシタ
333 pチャネル電界効果トランジスタ
334 nチャネル電界効果トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9