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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】部品供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 27/08 20060101AFI20220512BHJP
   B65G 27/04 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
B65G27/08
B65G27/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018019905
(22)【出願日】2018-02-07
(65)【公開番号】P2019137481
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】犬井 智三
(72)【発明者】
【氏名】石田 剛基
(72)【発明者】
【氏名】久米 教皓
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-105489(JP,A)
【文献】実開平04-053712(JP,U)
【文献】特開2012-066931(JP,A)
【文献】特開2013-193813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 27/00-27/34
B65G 47/00-47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送するための所定の振動をワークへ付与するための振動体と、前記振動体による振動でワークを搬送元から搬送する第1領域と、前記第1領域に基端側を連設され当該第1領域から搬送されてきたワークを更に先端側に向けて搬送する第2領域と、搬送方向に沿って前記第2領域の少なくとも先端側を独立して振動可能に支持する非能動形支持機構と、前記第1領域及び前記第2領域とは別体に設けられ前記振動体による第1領域の振動を第2領域へ伝達する振動伝達部とを具備するものであり、
前記非能動形支持機構は、搬送方向に沿って前記第2領域の先端側及び基端側に設けられた一対の支持用板バネであることを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
前記第1領域及び前記第2領域が分離されたものであり、前記振動伝達部がこれら第1領域及び第2領域を接続する伝達用板バネである請求項1記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記支持用板バネの角度変更を通じて前記第2領域の振動特性を調整するための角度調整機構を更に有する請求項1又は2記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記第2領域に更に、別異の振動伝達部を介して別異の第2領域が連設されている請求項1~3の何れかに記載の部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送部品たるワークを振動により搬送先へ搬送する部品供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送部品に振動を与えることにより搬送部品たるワークを整列させつつ搬送方向下流側へ供給する部品供給装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この部品供給装置は、防振台とも称される固定部とカウンターウエイトとも称される可動部とを備え、固定部と可動部とは板状の振動バネで連結されており、可動部に設けたシュートを振動させることで搬送部品たるワークが搬送方向下流側へ供給される構成とされている。
【0003】
また斯かる部品供給装置では通常、搬送元側に振動バネが設けられて振動が付与される一方、搬送先側では部品の供給先へのアクセスを好適になし得るよう搬送元側から突出するように形成される。その結果、シュートの先端が外見から「片持ち状」とも称されるような、搬送先側の先端部分がオーバーハングした形状をなしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-066931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、上述の部品供給装置は、搬送先側のシュートの先端がオーバーハングした形状をなしているため、振動体に接続される搬送元側と搬送先端側とでは必ずしも同じ振動が得られるものではない。具体的には、振動体に近い搬送元側において所要の振動をしていても、搬送先側のシュート先端部分は片持ち状をなしているために振動特性が異なるだけでなく、例えば前垂れするピッチングといった現象が起こり得る。その結果当該先端部分におけるワークの搬送効率が低下してしまうという不具合を招来してしまう。
【0006】
このような不具合を解消するためには、周波数を低くしたり、シュート先端側の固有値を上げるといった対策も考えられるが、近時においては搬送速度を例えば従来の300~400Hzから400~800Hzといった周波数領域まで高くして高速化を追求することが求められる場合があり、このような場合には片持ちによる不具合は一層顕著なものになる。固有値を下げる手立てを講じるにしても、従来の部品供給装置では搬送元から搬送先近傍の先端側まで一体成形されており、各搬送部位において、軽量化や振動特性調整などができる構造ではなかった。また振動特性を搬送部位ごとに調整し得るような機構をリニアフィーダ本体と別に設けると、大型化の問題、質量増加による意図しない振動特性が生じるなどの課題が生じることとなる。
【0007】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、主たる目的は、大型化や質量増加を招くことなく各搬送部位の振動特性を調整できる新たな構造を導入し、これにより高速搬送下でも搬送先に適切な速度でワークを供給できるリニアフィーダを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以上のような問題点を鑑み、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、本発明の部品供給装置は、ワークを搬送するための所定の振動をワークへ付与するための振動体と、前記振動体による振動でワークを搬送元から搬送する第1領域と、前記第1領域に基端側を連設され当該第1領域から搬送されてきたワークを更に先端側に向けて搬送する第2領域と、搬送方向に沿って前記第2領域の少なくとも先端側を独立して振動可能に支持する非能動形支持機構と、前記第1領域及び前記第2領域とは別体に設けられ前記振動体による第1領域の振動を第2領域へ伝達する振動伝達部とを具備するものであり、前記非能動形支持機構は、搬送方向に沿って前記第2領域の先端側及び基端側に設けられた一対の支持用板バネであることを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、非能動形支持機構や振動伝達部の構成を通じて、第2領域の振動特性を別途に設定することができる。しかも、第2領域は少なくとも先端側が非能動形支持機構によって支持されるので、前垂れするように回転するといったローリング現象も適切に抑止することができる。その結果、高速搬送下においても先端部分において適正なワークの搬送効率を実現することが可能となる。しかも、非能動形支持機構は振動源を必要としないため、構造の複雑化や大型化を招くこともない。
また、非能動形支持機構が、搬送方向に沿って前記第2領域の先端側及び基端側に設けられた一対の支持用板バネであるように構成しているので、これらの支持用板バネによって第2領域の振動時における姿勢をより安定化することができる。
【0011】
この場合、前記第1領域及び前記第2領域が分離されたものであり、前記振動伝達部がこれら第1領域及び第2領域を接続する伝達用板バネであるように構成すれば、第2領域が第1領域に対してより独立した振動を生じ易いものになり、伝達用板バネによって第1領域から第2領域への振動伝達を無理なく円滑に行わせることができる。
【0014】
前記支持用板バネの角度変更を通じて前記第2領域の振動特性を調整するための角度調整機構を更に有している構成とした場合には、部品供給先との関係で第2 領域の振動特性を適切に調整することができる。
【0015】
前記第2領域に更に、別異の振動伝達部を介して別異の第2領域が連設されているように構成した場合には、共通の振動源から伝達される各領域での振動特性を多段に変化させることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上、説明した本発明によれば、大型化や質量増加を招くことなく各搬送部位の振動特性を調整できる新たな構造を導入し、これにより高速搬送下でも搬送先に適切な速度でワークを供給できるリニアフィーダを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の基本構成および機能を説明するためのリニアフィーダの斜視図。
図2】同左側面図。
図3】同右側面図。
図4図2の平面図。
図5】本発明の一実施形態に係り、基本構成である選別トラフと先端トラフをメインシュートと先端シュートに付け替えた状態の図2に対応する左側面図。
図6】同右側面図。
図7図5の平面図。
図8図7の一部の要素部品を取り外した状態を示す平面図。
図9】同実施形態で用いる第1板バネを示す斜視図。
図10】本発明の変形例を示す図5に対応した左側面図。
図11】本発明の他の変形例を示す図5に対応した左側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施形態を説明するにあたり、その基本構成および機能を説明するための部品供給装置たるリニアフィーダLFの斜視図、図2は同左側面図、図3は同右側面図、図4図2の平面図である。また、図5図8は、図1図4の構成と基本的に同様の構成を備えつつ、一部を改良して速度調整機能を付与し、高速化にも対応できるようにしたものである。
【0020】
先ず、図1図4の基本構成について説明する。リニアフィーダLFは、図2および図3に示すように、床面上に固定されるベース2と、ベース2の上方に配設された可動部3と、可動部3の上方に配設された固定部4と、固定部4の上方でワークを搬送する搬送方向Xに沿うように配設された選別トラフ5とを備える。固定部4は、板バネである一対の防振バネ6、6によってベース2に対して支持されている。防振バネ6は、下端において締結ボルト2aによってベース2の側面に固定されているとともに、上端において締結ボルト4aによって固定部4の側面に固定されている。ここで、一対の防振バネ6、6は、防振バネ取付部6aの両側に平行に取り付けられ、かつ防止バネ取付部6aの傾斜角調整機構を通じて鉛直方向に対し搬送方向Xに傾斜角度が可変となる状態で、ベース2及び固定部4に固定されている。
【0021】
可動部3と固定部4とは、板バネを用いた一対の駆動バネ7、7によって前後方向2箇所を連結されている。一対の駆動バネ7、7は、下端において締結ボルト3aによって可動部3の前後方向端面に固定されているとともに、上端において締結ボルト4cによって固定部4の前後方向端面に固定されている。ここで、一対の駆動バネ7、7は、鉛直方向に対し搬送方向Xに傾斜して互いに略平行となるように、可動部3及び固定部4に固定されている。
【0022】
また、駆動バネ7、7によって連結された可動部3と固定部4との間には、互いを振動させる振動体8が設けられている。振動体8は、ソレノイドや圧電素子等の駆動源を備え、図示しない振動基部と振動端の間に主として水平方向の相対振動を生じさせるもので、振動基部および振動端の一方が可動部3に固定され、他方が固定部4に固定されて、可動部3と固定部4とを相対的に振動させることが可能となっている。
【0023】
また、選別トラフ5は、連結板(連結部材)10によって、固定部4の上方に配置されてブロック状をなす選別トラフ支持台11と連結されている。選別トラフ5は選別トラフ支持台11の上に取り付けられ、可動部3と同期して振動する。このために、連結板10は、締結ボルト10aによって選別トラフ5と連結されているとともに、連結ボルト10bによって可動部3と連結されている。
【0024】
振動体8、駆動バネ7、固定部4、可動部3、連結板10、選別トラフ支持台11は、選別トラフ5に斜め方向の振動を与えるための駆動機構DMを構成している。
【0025】
次に、リニアフィーダLFの主たる作用について説明する。リニアフィーダLFを床面に固定した状態で、略水平に設定された選別トラフ5の上面にワークを載置する。この状態で、振動体8を起振させることで、可動部3と固定部4とは振動することとなる。ここで、可動部3と固定部4とは、互いを連結する駆動バネ7、7が鉛直方向に対して搬送方向Xに傾斜しているため、傾斜角に応じて、搬送方向Xの成分とともに搬送方向Xと垂直な垂直方向成分を有して振動することとなる。そして、この振動が連結板10を介して選別トラフ5へ、選別トラフ5からワークに伝達されることで、ワークは、選別トラフ5の上面を搬送されることとなる。この際、固定部4の重心位置は、固定部4の略中央付近に存在する。また、可動部3の重心と、可動部3と一体となって振動する連結板10の重心及び選別トラフ5の重心とを合成した重心位置は、可動部3とトラフ5とが固定部4を跨るようにして一体となっていることで、固定部4の重心位置近傍となる。このため、両者の振動は打ち消されることとなり、防振バネ6による作用と相まってベース2及び床面に伝達される振動を効果的に減衰させることができる。
【0026】
この選別トラフ5には、所定の条件を満たさないワーク、具体的には適正姿勢でないワークを選別トラフ5からリターントラフ105に向かってエア噴射により排除するための選別機構が設けられている。
【0027】
このような基本構成において、かかるリニアフィーダLFは、搬送先の装置に上方からワークを供給する必要がある等の理由で、選別トラフ5の先端部分が選別トラフ支持台11に対してオーバーハングした形状をなしている(オーバーハング領域OH)。このため、搬送元側と搬送先側とでは必ずしも同じ振動が得られるものではない。具体的には、振動体8に近い搬送元側において所要の振動をしていても、搬送先側のオーバーハング領域OHは片持ち状をなしているために、例えば前垂れするような回転、いわばローリングといった現象が起こり得る。その結果、当該先端部分におけるワークの搬送効率が低下してしまうという不具合を招来する。
【0028】
具体的には、選別トラフ支持台11は搬送方向下流側が連結板10の前方の端面10xよりも搬送方向に突出していて、その突出部11xにくちばし状の先端シュート部材5xの片半部が取り付けられ、先端シュート部材5xの先端側は突出部11xから先端側に片持ち的に張り出した状態に配されている。すなわち、先端シュート部材5xは選別トラフ5とともに選別トラフ支持台11に支持されて一体化されており、一体に振動する。突出部11xを設けているのは、先端シュート部材5xの支持範囲を少しでも多く確保するためである。
【0029】
シュートをなす整列トラフ5と先端シュート部材5zがこのような一体形構造であるため、オーバーハング領域OHでのローリング等に対処するために固有値を上げるにしても各搬送部位における軽量化や振動特性の調整等を行い得ないものであり、振動特性を搬送部位ごとに調整する機構を別途に設けると、結果として装置全体として不要に大型化してしまったり、質量増加による意図しない振動特性が生じ所望の搬送ができなくなってしまったりする可能性がある。
【0030】
そこで本実施形態は、図5図8に示すような構成を採用している。図5図2に対応した左側面図、図6図3に対応した右側面図、図7図5の平面図、図8図7の一部の要素部品を取り外した状態を示す平面図である。
【0031】
このリニアフィーダLFは、図1図4のリニアフィーダLFを構成するベース2の下に傾斜台1を設けて搬送路全体を傾斜させているほか、メインの駆動系については図1図4と同様である。そして、選別トラフ支持台11によって支持される領域を第1領域A1、そこから張り出す領域を第2領域A2とした場合に、第1領域をメインシュート105によって構成し、第2領域を先端シュート105xによって構成している。
【0032】
そして、これらを分離した状態で微小隙間を隔てて配置し、先端シュート105xを非能動形支持機構200により支持するとともに、振動伝達部である第板バネ(伝達用板バネ)300によって第1領域A1と第2領域A2の間を接続している。
【0033】
具体的には、メインシュート105を支持するメインシュート支持台111は、図1図4の選別トラフ5を支持する選別トラフ支持台11から突出部11xを取り除いた形状に対応したものであり、選別トラフ支持台11と同様に前述した駆動機構DMを通じて振動源の振動が伝達される。
【0034】
一方、非能動形支持機構200は、搬送方向に沿って第2領域A2の先端側及び基端側に設けられた一対の第2板バネ(支持用板バネ)201、201を具備するもので、これらの第2板バネ101の基端側をベース202に下側可変支持部203を介して支持させ、上端側を先端シュート支持台111xの下に上側可変支持部204を介して支持させる構造をなしている。下側可変支持機構203は、バネ取付部を備えた円弧状の揺動部材231が揺動可能に配置され、この揺動部材231はピン232を介して揺動支持部233の長孔233aに係合されており、揺動支持部233が支点m回りに回転することで、揺動部材231が揺動運動を行うように構成されている。一方、上側可変支持機構204は、テーパ面204aに接するように回転部材241が配置され、この回転部材241の一部に第2板バネ207の上端が固定されている。揺動部材231の揺動中心は回転部材241の中心nと合致している。図中符合242で示すものは回転部材241の脱落を防ぐ抑え部材である。
【0035】
すなわち、揺動部材231の揺動位置に応じて第2板バネ201の傾斜角度が変更可能であり、これによって本発明の角度調整機構UVが構成されている。
【0036】
そして、メインシュート105および先端シュート105xを取り外した図8の状態で、上方に表出するメインシュート支持台111および先端シュート支持台111x上に第1板バネ300を架け渡して、第1板バネ300の各端部と各々対応する支持台111、111xとの間をボルト等の止着具Vで連結し、その上からメインシュート111および先端シュート111xを装着することで、第1板バネ300の取り付けを完了している。
【0037】
このようにすると、振動源によって加振された第1領域A1の振動のうち当該第1領域A1の延在方向の振動を、第1板バネ300を介して第2領域A2に伝達することができる。第1領域A1がメインシュート105の延在方向に振動する際、第2領域A2は第2板バネ201によって支持されており、ここで斜め振動に変換されて、第2板バネ201のバネ特性と取付角度に応じた斜め振動に変換されることになる。すなわち、リニアフィーダ単体は振動体8の搬送方向の振動を駆動バネ7によってメインシュート105の斜め振動に変換するものであるから、先端シュート105xにもこれと同等の動作が実現される。
【0038】
図9は第1板バネ300の構成例である。この第1板バネ300は延在方向Xを長手方向とする略長方形状の薄板状リンク板ばねであり、長手方向に対して厚み方向Zの寸法が薄いため、第1領域Aの斜め振動のうち長手方向成分のみ第1領域A1から第2領域A2に伝達する。このため、第1領域Aを駆動する駆動源8の駆動力がこの薄板状リンク板バネである第1板バネ300を通じて、メインシュート105とは分割された先端シュート105xに伝わる。
【0039】
その際、メインシュート105側と先端シュート105x側は同位相で駆動されるため、一方におけるシュート振動の影響を他方に伝えない構造になっている。
【0040】
よって、ローリング方向の回転振動数が減り、第2領域A2において直線的な振動が作り出すことができるとともに、分割されたメインシュート105と先端シュート105xの間を微小隙間にすることができ、従来の一体形とほぼ同じ構造にすることができる。さらに、同位相で駆動可能であることにより、メインシュート105や先端シュート105xの振動搬送条件が適切に調整でき、ワーク搬送速度のバランスも制御可能とすることができる。
【0041】
図5図8の構成でも先端シュート105xは必要な範囲で非能動形支持機構200より若干オーバーハングしているが、非能動形支持機構200は可能な限り先端シュートの先端に近づけることができるので、図1図4の構成に比して適正な支持状態が確保し易く、設計自由度も向上することになる。
【0042】
以上のように、本実施形態の部品供給装置であるリニアフィーダLFは、ワークを搬送するための所定の振動をワークへ付与するための振動体8と、振動体8による振動でワークを搬送元から搬送する第1領域A1と、第1領域A1に基端側を連設され当該第1領域A1から搬送されてきたワークを更に先端側に向けて搬送する第2領域A2と、搬送方向に沿って前記第2領域A2の少なくとも先端側を独立して振動可能に支持する非能動形支持機構200と、第1領域A1及び第2領域A2とは別体に設けられ振動体8による第1領域A1の振動を第2領域A2へ伝達する振動伝達部(第1板バネ300)とを備えて構成される。
【0043】
このようなものであれば、非能動形支持機構200や振動伝達部(第1板バネ300)の構成を通じて、第2領域A2の振動特性を別途に設定することができる。しかも、第2領域A2は少なくとも先端側が非能動形支持機構200によって支持されるので、前垂れするように回転するといったローリング現象も適切に抑止することができる。その結果、高速搬送下においても先端部分において適正なワークの搬送効率を実現することが可能となる。しかも、非能動形支持機構200は振動源を必要としないため、構造の複雑化や大型化を招くこともない。
【0044】
具体的には、第1領域A1及び第2領域A2が分離されたものであり、振動伝達部がこれら第1領域A1及び第2領域A2を接続する第1板バネ300によって構成されているため、第2領域A2が第1領域A1に対してより独立した振動を生じ易いものになり、第1板バネ300によって第1領域A1から第2領域A2への振動伝達を無理なく円滑に行わせることができる。
【0045】
特に、この実施形態の非能動形支持機構200は、搬送方向に沿って第2領域A2の先端側及び基端側に設けられた一対の第2板バネ201を備えているので、これらの第2板バネ201によって第2領域A2の振動時における姿勢をより安定化することができる。
【0046】
さらに、第2板バネ201の角度変更を通じて第2領域A2の振動特性を調整するための角度調整機構UVを更に備えているので、部品供給先との関係で第2領域A2の振動特性を適切に調整することができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態の構成に限られるものではない。
【0048】
例えば、図10に示す非能動形支持機構200´のように、搬送方向に沿って第2領域A2の先端側に単一の第2板バネ201´を設ける構成であっても構わない。このように構成しても、上記実施形態に準じた作用効果を奏することができ、かつ構造の更なる簡素化が図れる。この場合も、角度調整機構UV´によって振動特性を適宜変更することが可能である。
【0049】
さらに、図11に示すように、第2領域A2に更に、別異の振動伝達部(第1板バネ300´)を介して別異の第2領域A2´が連設されてもよい。このようにすることで、共通の振動源8から伝達される各領域A1、A2、A2´での振動特性を多段に変化させることができる。
【0050】
さらにまた、第1領域と第2領域は物理的に分離していなくても、例えば構造物としてのシュートは一体であっても搬送に影響がない範囲でシュートの一部に孔を設けたり薄肉にするなどして弾性部を設け、その弾性部の両側を第1領域および第2領域とすることもできる。
【0051】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0052】
8…振動体
200、200´…非能動形支持機構
300…振動伝達部(第1板バネ)
201、201´…振動伝達部(第2板バネ)
A1…第1領域
A2、A2´…第2領域
LF…部品供給装置(リニアフィーダ)
UV…角度調整機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11