(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】飲料用容器の栓体構造
(51)【国際特許分類】
B65D 47/08 20060101AFI20220512BHJP
A47J 41/02 20060101ALI20220512BHJP
B65D 50/06 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
B65D47/08 220
A47J41/02 104A
B65D50/06
(21)【出願番号】P 2018102819
(22)【出願日】2018-05-29
【審査請求日】2020-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092875
【氏名又は名称】白川 孝治
(74)【代理人】
【識別番号】100116159
【氏名又は名称】玉城 信一
(72)【発明者】
【氏名】水流 猛志
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-165424(JP,A)
【文献】特開2010-235138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-55/16
A47J 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトル本体の開口部に対して取り付けられた飲料注出口を有する栓本体と、
前記栓本体に固定された栓カバーと、
前記栓
カバーに弧回動可能に軸支され、前記飲料注出口をシール可能な蓋体と、
前記蓋体を閉状態にロック可能なロックレバーと、
前記蓋体の上方位置に付勢支持されることにより前記ロックレバーの蓋ロック状態を解除不能に維持している一方、前記蓋体の下方に向けた第1押圧操作により下降し、前記第1押圧操作からの前記蓋体の内方に向けた第2押圧操作により前記蓋ロック状態を解除する開閉レバーと、
前記開閉レバーを前記第1押圧操作及び前記第2押圧操作が可能な状態に支持する支持部材と、を備え、
前記支持部材が、前記第1押圧操作がなされた前記開閉レバーを前記第2押圧操作を行う第2押圧操作方向にガイドする傾斜ガイド面を介して前記開閉レバーに支持されている飲料用容器の栓体構造。
【請求項2】
前記開閉レバーの押圧操作面が傾斜面となっており、前記傾斜面により前記第1押圧操作に続いて前記開閉レバーに作用する上方から下方に向けた押圧力を前記第2押圧操作方向に向けて作用させるように構成されている請求項1に記載の飲料用容器の栓体構造。
【請求項3】
前記支持部材の下部には、前記第2押圧操作による前記開閉レバーの押圧操作完了時において
、前記栓
カバーの上面に
衝合し、
前記栓カバーの上面からの反力により前記蓋体を蹴り上げて前記蓋体を開放する蹴り上げ部が設けられている請求項1または2に記載の飲料用容器の栓体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常の蓋ロック機能に加えて開閉レバーの不用意な押圧により蓋体が開かれないようにした安全ロック機能を有する飲料用容器の栓体構造に関し、さらに詳しくは、蓋体の開放操作を容易にした飲料用容器の栓体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のステンレスボトルでは、飲料を収容するボトル本体上端側の開口部に、直飲みできる飲み口部を備えた栓体を嵌合するとともに、その上部を覆う蓋体を設けたものが多くなっている。
【0003】
蓋体は、例えば栓体の周方向の一側部に設けられたヒンジ部等の軸支部により上下方向に弧回動可能に軸支されており、下方に回動した状態で飲み口部を覆ってシールする一方、上方から後方に回動した状態で飲み口部及び飲料注出口を開放するようになっている。
【0004】
そして、蓋体には、蓋体を閉状態にロック可能なロックレバーと、ロックレバーの蓋ロック状態を解除する開閉レバーとが設けられている。開閉レバーには、例えば操作の容易なワンプッシュ型のものが多く用いられており、蓋体の前端部に栓体前後方向への押圧回動レバーを設け、押圧回動レバーを栓体後方に押圧した時にロックレバーの蓋ロック状態が解除されるように構成されている(例えば、特許文献1、特許文献2の栓体構造を参照)。
【0005】
しかし、このような構成では、飲料用容器を鞄等に入れて持ち運んでいるときに、何かに当たって不用意に開閉レバーが押圧され、蓋体が開かれて、飲料が流出することもある。
【0006】
そこで、最近では、開閉レバーにスライド型のロックカバー部材を設け、携帯時などには、前記ロックカバー部材をスライドさせて開閉レバーの押圧操作部を覆い、容易には押圧操作できないようにした安全ロック型構造のものも提供されている。
【0007】
しかし、このような安全ロック構造の場合にも、あくまでもロックカバー部材をスライドさせて開閉レバーの押圧操作部を覆うことが条件であり、使用者がロックカバーを掛け忘れると、従来と全く同様の状態となり、やはり開閉レバーが不用意に押圧される恐れがある。また、この安全ロック構造は、単にロックカバー部材をスライドさせて開閉レバーの押圧操作部を覆うだけの構成であるから、鞄の中の他の収納物に当接し、また外部からの衝撃を受けて、ロックカバー部材がスライドし、安全ロックが解除されてしまうということも起こり得る。
【0008】
そこで、このような事情に鑑み、本発明者は、ボトル本体の開口部に対して取り付けられた飲料注出口を有する栓本体と、栓本体に固定された栓カバーと、栓カバーの周方向一側部に軸支され、上下方向に弧回動開閉する飲料注出口のシール機能を備えた蓋体と、蓋体を閉状態にロック可能なロックレバーと、ロックレバーの蓋ロック状態を解除する開閉レバーとを有する飲料用容器の栓体において、開閉レバーを昇降可能な支持部材に回動軸を介して弧回動可能に支持することにより、上昇状態では常に蓋ロック状態に維持されるようにするとともに、栓体下方への第1押圧操作によって所定の位置まで下降させるとロック解除可能な状態となり、第1押圧操作をした下降状態において、栓体後方へ回動させる第2押圧操作がなされると初めてロックレバーのロックを解除できるようにした。このように、開閉レバーが栓体下方に押圧操作されていない状態では、ロックレバーのロックを解除できないようにすることによって、開閉レバーが、鞄の中の他の収納物等に当接し、また外部からの衝撃を受けた程度では開操作されない、より確実な安全ロック構造を提案している(例えば特許文献3の栓体構造を参照)。
【0009】
このような構成によると、まず開閉レバーの蓋体開放操作が、栓体に対する垂直方向上方から下方への第1操作(押圧操作;安全ロック解除)と、第1操作とは操作方向を異にする栓体に対する前方から後方への第2操作(回動操作;蓋ロック解除)との相互に独立した2種、2段階の操作を経て行われるようになっており、栓体に対する垂直方向上方から下方への第1操作のみでは蓋体が開かれることはなくなる。これら操作方向、操作方法を異にする第1操作と第2操作とが、鞄の中での収納物との当接や外部からの衝撃で、同時に、または順を追って生じるということを通常は想定できない。したがって、同構成によれば、開閉レバーの極めて確実な安全ロック機能を実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2008-239177号公報
【文献】特開2012-121614号公報
【文献】特開2017-165424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、以上の構成の場合、上述のように開閉レバーの支持部材による支持は回動軸を介した固定状態での支持であり、一体での上下方向への昇降移動、単独での前後方向への弧回動は可能であるが、前後方向への相対的なスライド移動は不可能である。したがって、蓋体を開閉するに際して、共通する1つの開閉レバーを用いて、その開閉レバーを、まず上方から下方に押し下げる第1操作(押圧操作;安全ロック解除)、次に開閉レバーを下方に押し下げた状態において後方に回動させる第2操作(回動操作;蓋ロック解除)の操作方向及び操作方法が異なる2種、2段階の独立した操作を連続して行うことが必要であり、操作方法が分かりづらい問題があった。
【0012】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、蓋体の安全ロックと蓋ロックが容易に解除されないようにしながら、蓋体の開放操作を分かり易くした飲料用容器の栓体構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る飲料用容器の栓体構造は、ボトル本体の開口部に対して取り付けられた飲料注出口を有する栓本体と、前記栓本体に固定された栓カバーと、前記栓カバーに弧回動可能に軸支され、前記飲料注出口をシール可能な蓋体と、前記蓋体を閉状態にロック可能なロックレバーと、前記蓋体の上方位置に付勢支持されることにより前記ロックレバーの蓋ロック状態を解除不能に維持している一方、前記蓋体の下方に向けた第1押圧操作により下降し、前記第1押圧操作からの前記蓋体の内方に向けた第2押圧操作により前記蓋ロック状態を解除する開閉レバーと、前記開閉レバーを前記第1押圧操作及び前記第2押圧操作が可能な状態に支持する支持部材と、を備え、前記支持部材が、前記第1押圧操作がなされた前記開閉レバーを前記第2押圧操作を行う第2押圧操作方向にガイドする傾斜ガイド面を介して前記開閉レバーに支持されていることを特徴としている。
【0014】
このような構成によれば、蓋体を開閉するに際して、共通する1つの開閉レバーを用いて、開閉レバーが蓋体の上方位置に付勢支持されている場合には、ロックレバーの蓋ロック状態を解除することができない状態に維持できる。したがって、従来のものと同様の確実な安全ロック機能を実現できる。
【0015】
一方、開閉レバーを上方から下方に押し下げる第1押圧操作を行うと安全ロック機能が解除され、開閉レバーを下方に押し下げた状態において、さらに蓋体の内方に向けて移動させる第2押圧操作を行うと、ロックレバーを解除方向に作動させて蓋ロック状態を解除できる。
【0016】
この場合、従来の構成では、開閉レバーが支持部材に対して回動軸を介して弧回動可能に支持されており、開閉レバーの支持位置は支持部材に対して固定であり、開閉レバー単独での相対的な移動は不可能である。したがって、第1操作と第2操作は、蓋体の垂直方向下方への押圧操作と蓋体の水平方向後方への回動操作との操作方向、操作方法が異なる2種、2段階の独立した操作となっていて、蓋体の開放操作が分かりづらかった。
【0017】
これに対し、本発明では、支持部材が開閉レバーを操作方向が異なる2種の操作が可能な状態に支持しているのは同じでも、2種の操作がいずれも押圧操作である。さらに、支持状態は、従来のような回動軸による固定ではなく、第1押圧操作がなされた開閉レバーを第2押圧操作方向にガイドする傾斜ガイド面を介してスライド可能に支持している。
【0018】
よって、まず、開閉レバーに対して上方から下方に向けた第1押圧操作がなされると、開閉レバーが第1押圧操作によって所定位置まで下降し、その下降した状態で安全ロック状態が解除される。そして、その後も同様に開閉レバーを下方に向けて押圧すると、開閉レバーは、支持部材の傾斜ガイド面によりガイドされて緩やかに下降し、そのまま蓋体内方に向けたロックレバー作動のための第2押圧操作状態が実現される。そして、それにより、最終的な蓋体の蓋ロック解除状態が実現される。
【0019】
つまり、蓋体の下方への第1押圧操作により下降し、その第1押圧操作からの蓋体の内側下方へ向けて行われる開閉レバーの第2押圧操作が傾斜ガイド面及び傾斜した押圧操作面によって適切にガイドされて、第1押圧操作と第2押圧操作とが連続した操作となる。また、操作方向の異なる第1押圧操作、第2押圧操作は、共に操作態様としては共通の押圧操作となり、感覚的に分かり易くなる。したがって、使用者は、操作方法を特に意識することなく開閉レバーの感覚的な押圧操作で、蓋体を開状態にすることができる。
【0020】
したがって、本発明であれば、蓋体の安全ロックと蓋ロックが容易に解除されないようにしながら、蓋体の開放操作も分かり易い飲料用容器の栓体構造を好適に構成できる。
【0021】
さらに、本発明において、前記開閉レバーの押圧操作面が傾斜面となっており、前記傾斜面により前記第1押圧操作に続いて前記開閉レバーに作用する上方から下方に向けた押圧力を前記第2押圧操作方向に向けて作用させるように構成されていると好適である。
【0022】
このような構成によれば、上方から下方に押圧されてきた開閉レバーは、下降不能となった下降規制位置から、支持部材の傾斜ガイド面によるガイド作用に加えて、さらに傾斜面による蓋体内方への押圧ガイド作用が加わる。
【0023】
その結果、より確実、かつスムーズな形で蓋体の内方に向けた第2押圧操作状態が実現されるようになり、操作方向の異なる2つの操作形態を採用しながらも、より連続性のある操作感を実現できる。
【0024】
さらに、本発明において、前記支持部材の下部には、前記第2押圧操作による前記開閉レバーの押圧操作完了時において、前記栓カバーの上面に衝合し、前記栓カバーの上面からの反力により前記蓋体を蹴り上げて前記蓋体を開放する蹴り上げ部が設けられていると好適である。
【0025】
このような構成によれば、第2押圧操作完了(開閉レバーによる蓋ロック解除完了)に連動して支持部材の下部の蹴り上げ部が栓カバーの上面に衝合し、栓カバーの上面からの反力により前記蓋体を蹴り上げて確実に蓋体を開放するので、その後、不用意に開閉レバーの押圧操作を止めたとしても、ロックレバー復帰による蓋体の再ロックを防止して、確実に蓋体を開放させることができるようになる。
【0026】
従来の構成では、このような構成が採用されていなかったので、蓋ロック解除後、指で蓋体を跳ね上げるなどの操作を行なわないと、ロックレバーの復帰により再ロックがかかるケースがあったが、以上の構成では、そのような問題がなくなり、さらに操作性が向上する。
【0027】
この蹴り上げ部は、例えば蓋ロック解除後の支持部材及び開閉レバー上昇位置を規制する係合片を兼用する形で形成される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施形態に係る飲料用容器の栓体及び本体部分を含めた容器全体の正面側右斜め方向から見た外観斜視図である。
【
図2】栓体及びボトル本体を含めた同飲料用容器全体の内部構造を示す縦断面図である(見易さのためハッチングを省略してある)。
【
図3】同飲料用容器の栓体の内部構造を示す断面図である。
【
図4】同飲料用容器の栓体における蓋体の開閉機構の構造を示す要部拡大断面図である。
【
図5】同飲料用容器の栓体の外観構造を示す蓋体閉状態の右側面図である。
【
図6】同飲料用容器の栓体の外観構造を示す蓋体閉状態の正面図である。
【
図7】同飲料用容器の栓体の外観構造を示す蓋体閉状態の後面図である。
【
図8】同飲料用容器の栓体の外観構造を示す蓋体閉状態の平面図である。
【
図9】同飲料用容器の栓体の外観構造を示す蓋体開状態の右側面図である。
【
図10】同飲料用容器の栓体の外観構造を示す蓋体開状態の正面側右斜め方向からの斜視図である。
【
図11】同飲料用容器の栓体の栓本体及び栓カバー部分の外観構造を示す右側面図である。
【
図12】同飲料用容器の栓体の栓本体及び栓カバー部分の外観構造を示す正面側右斜め方向からの斜視図である。
【
図13】同飲料用容器の栓体の栓本体及び栓カバー部分の外観構造を示す後面側右斜め方向からの斜視図である。
【
図14】同飲料用容器の栓体の蓋カバーを取り除いた状態における内部構造(蓋体の構造)を示す蓋体閉状態の正面側右斜め上方からの斜視図である。
【
図15】同飲料用容器の栓体の蓋カバーを取り除いた状態における内部構造(蓋体の構造)を示す蓋体閉状態の後面側左斜め上方からの斜視図である。
【
図16】同飲料用容器の栓体の蓋カバー及び開閉レバーを取り除いた状態における内部構造(蓋体の構造)を示す蓋体閉状態の正面側右斜め上方からの斜視図である。
【
図17】同飲料用容器の栓体の蓋カバーを取り除いた状態における蓋体の内部構造(開閉レバー及び蓋開閉スライド部材取付部の構造)を示す正面側右斜め上方から見た斜視図である。
【
図18】同飲料用容器の栓体の蓋カバーを取り除いた状態における蓋体の内部構造(開閉レバー、蓋開閉スライド部材、ロックレバーの取り付け構造)を示す正面側右斜め上方から見た分解斜視図である。
【
図19】同飲料用容器の栓体の蓋カバー、開閉レバー、蓋開閉スライド部材、ロックレバーを取り除いた状態における蓋体の内部構造(開閉レバー及び蓋開閉スライド部材取付部の構造)を示す正面側右斜め上方から見た斜視図である。
【
図20】同飲料用容器の栓体の蓋カバー、開閉レバー、蓋開閉スライド部材、ロックレバーを取り除いた状態における蓋体の内部構造(開閉レバー及び蓋開閉スライド部材取付部の構造)を示す右側面図である。
【
図21】同飲料用容器の栓体の蓋カバー、開閉レバー、蓋開閉スライド部材、ロックレバーを取り除いた状態における蓋体の内部構造(開閉レバー及び蓋開閉スライド部材取付部の構造)を示す平面図である。
【
図22】同飲料用容器の栓体の蓋カバー、開閉レバー、蓋開閉スライド部材、ロックレバーを取り除いた状態における蓋体の内部構造(ヒンジ部側の構造)を示す後面側右斜め上方から見た斜視図である。
【
図23】同飲料用容器の栓体の飲み口パッキンを取り除いた状態における蓋体の裏面構造を示す蓋体を裏返して正面側右斜め上方から見た斜視図である。
【
図24】同飲料用容器の栓体における開閉レバーの構造を示す正面側右斜め上方から見た斜視図である。
【
図25】同飲料用容器の栓体における開閉レバーの構造を示す後面側右斜め上方から見た斜視図である。
【
図26】同飲料用容器の栓体における開閉レバーの構造を示す正面図である。
【
図27】同飲料用容器の栓体における開閉レバーの構造を示す右側面図である。
【
図28】同飲料用容器の栓体における蓋開閉用スライド部材の構造を示す正面側右斜め上方から見た斜視図である。
【
図28】同飲料用容器の栓体における蓋開閉用スライド部材の構造を示す正面側右斜め上方から見た斜視図である。
【
図29】同飲料用容器の栓体における蓋開閉用スライド部材の構造を示す後面側右斜め上方から見た斜視図である。
【
図30】同飲料用容器の栓体における蓋開閉用スライド部材の構造を示す正面側左斜め上方から見た斜視図である。
【
図31】同飲料用容器の栓体における蓋開閉用スライド部材の構造を示す後面図である。
【
図32】同飲料用容器の栓体における蓋開閉用スライド部材の構造を示す左側面図である。
【
図33】同飲料用容器の栓体におけるロックレバーの構造を示す正面側右斜め上方から見た斜視図である。
【
図34】同飲料用容器の栓体におけるロックレバーの構造を示す後面側右斜め上方から見た斜視図である。
【
図35】同飲料用容器の栓体の開閉レバーの、ロック状態にある非押圧操作状態(a)から第1押圧操作状態(b)を経て安全ロック機能を解除し、さらに第2押圧操作誘導状態(c)を経てロックレバーのロック状態を解除するロック解除状態(d)に至るまでの操作段階に対応した挙動変化を示す動作形態図である。
【
図36】同飲料用容器の栓体の蓋体における開閉レバーの
図35の(a)に対応した非押圧操作状態(蓋ロック状態)における動作形態を蓋カバーを取り外して示す斜視図である。
【
図37】同飲料用容器の栓体の蓋体における開閉レバーの
図35の(b)に対応した第1押圧操作完了状態(安全ロック解除状態)における動作形態を蓋カバーを取り外して示す斜視図である。る。
【
図38】同飲料用容器の栓体の蓋体における開閉レバーの
図35の(c)に対応した第2押圧操作開始状態(第2押圧操作誘導状態)における動作形態を蓋カバーを取り外して示す斜視図である。る。
【
図39】同飲料用容器の栓体の蓋体における開閉レバーの
図35の(d)に対応した第2押圧操作完了状態(蓋ロック解除状態)における動作形態を蓋カバーを取り外して示す斜視図である。る。
【
図40】同飲料用容器の栓体の蓋体における開閉レバー、蓋開閉用スライド部材、ロックレバー各々の
図35の(a)に対応した非押圧操作状態(蓋ロック状態)における動作形態を示す断面図である。る。
【
図41】同飲料用容器の栓体の蓋体における開閉レバー、蓋開閉用スライド部材、ロックレバー各々の
図35の(b)に対応した第1押圧操作完了状態(安全ロック解除状態)における動作形態を示す断面図である。る。
【
図42】同飲料用容器の栓体の蓋体における開閉レバー、蓋開閉用スライド部材、ロックレバー各々の
図35の(c)に対応した第2押圧操作開始状態(第2押圧操作誘導状態)における動作形態を示す断面図である。る。
【
図43】同飲料用容器の栓体の蓋体における開閉レバーの
図35の(d)に対応した第2押圧操作完了状態(蓋ロック解除状態)における動作形態を示す断面図である。る。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付の
図1~
図43を参照して、本発明に係る飲料用容器の栓体構造の実施形態について、詳細に説明する。本実施形態では、飲料用容器の一例として、保温機能の高い真空二重容器で構成されるステンレスボトルを挙げる。
【0030】
<ボトル本体1(本体ユニット)部分の構成>
図1、
図2等に示すように、ステンレスボトルのボトル本体1は、有底筒状構造のステンレス製の内容器1aと同じく有底筒状構造となっている。ボトル本体1には、内容器1aと、内容器1aよりも大径のステンレス製の外ケース1bと、が備えられている。
【0031】
ボトル本体1は、内容器1aの第1上端側開口縁部2a、外ケース1bの第2上端側開口縁部2b同士を相互に接合一体化することで、上端側に本体開口部3を有する真空断熱構造となっている。本体開口部3には、外周側下部に位置する段部構造の肩部3c、外周側上部に位置する螺条部3d及び小径のネック部3e等が備えられている。
【0032】
ボトル本体1には、本体開口部3に対して着脱可能に取り付けられている栓体10(栓ユニット)が備えられている。栓体10には、栓本体4、栓カバー5、蓋体6、蓋カバー7等が備えられている。
【0033】
<栓本体4及び栓カバー5の構成>
図3、
図4、
図9~
図13に示すように、栓本体4は、ボトル本体1の上端側の本体開口部3に取り付けられ、飲料の注出口部41及び飲み口部42を形成する栓体10の骨格をなす部分である。
【0034】
栓本体4には、ボトル本体1の本体開口部3に嵌合する栓パッキン41cの嵌合部41aを備えた筒状の注出口部41と、注出口部41の上部側に一体に設けられた筒状の飲み口部42と、が備えられている。
【0035】
栓本体4における注出口部41の上部と飲み口部42の下部との間には、蓋体6側に取り付けられた飲み口パッキン66の第1ゴム製パッキン66aをシールするための座面を形成する水平面構造の仕切り壁43が設けられている。仕切り壁43の中央部には、飲料注出用の楕円形上の飲料注出口43a(飲料出口)が形成されている。
【0036】
注出口部41は、上部側で所定寸法縮径され、同じく縮径された飲み口部42の底部と仕切り壁43を介して一体化され、同仕切り壁43の中央部分で飲料注出口43aを介して相互に連通している。
【0037】
注出口部41の栓パッキン41cを嵌合する嵌合部41aは、略垂直な筒壁面外周に上下2段の環状リブを備えた構成となっている。その環状リブの外周には、嵌合用の環状の凹溝部を備えたゴム製の環状の栓パッキン41cが嵌合されている。
【0038】
栓パッキン41cは、下端側にかけて次第に径が小さくなる円弧面を有している。
図2のように、栓パッキン41cは、ボトル本体1における本体開口部3の内側縮径部であるネック部3e(ヒートキープ部)の上部に当接して本体開口部3をシールするようになっている。
【0039】
飲み口部42は、口付け部を形成する筒状壁が略垂直に形成されている。その筒状壁は全体に亘って同一の高さではなく、口付け部となる前部側(正面側)が高く、後端側(後面側)に行くにしたがって栓カバー5側の水平壁部51に近くなるテーパー面形状の開口面を有する短かい筒体となっている。
【0040】
飲み口部42の高さの高い前端部の下部位置には、後述する蓋体6側に設けられたロックレバー84の下端側鉤状の係合片84aの先端側爪部が着脱可能に係合する係合溝56が設けられている。
【0041】
飲み口部42における内底部の飲料注出口43aは、栓本体4の略中央部に位置している。飲み口部42は、飲料注出口43aを囲む形で設けられている。飲み口部42の平面形状は、後端側で口径が少し拡大され、かつ、略半円形状にカットされている。栓カバー5の水平壁部後端側には、第1ヒンジブラケット部53を設置できるスペースが形成されている。
【0042】
栓本体4における注出口部41の全体と飲み口部42の下部部分の外周には、飲み口部42の形状に対応した所定の外径の栓カバー嵌合用の第1フランジ部44が設けられている。第1フランジ部44に対して、栓本体4の注出口部41及び飲み口部42下部部分の外周を覆う栓カバー5が、上方側から嵌合一体化されている。
【0043】
栓カバー5には、栓本体4の注出口部41の第1フランジ部44外周に嵌合される外径寸法を有する円形の水平壁部51と、水平壁部51の外周端から下方に筒状に延びた第1側壁部52と、飲み口部42の後部形状に対応して水平壁部51の上部後端中央に設けられた第1ヒンジブラケット部53と、が備えられている。栓カバー5は、栓本体4に固定された状態で後述するヒンジ軸54を介して蓋体6及び蓋カバー7が前後方向に弧回動開閉可能に軸支されるようになっている。
【0044】
筒状の第1側壁部52の内径寸法は、注出口部41及び飲み口部42の下部部分との間には、ボトル本体1における上端の本体開口部3の部分が嵌合されるに十分な隙間が形成されるようになっている。
【0045】
筒状の第1側壁部52の内周面側には、ボトル本体1の本体開口部3外周面に設けた螺条部3dに螺合する段部52aが設けられている。栓本体4は、栓カバー5の第1側壁部52を介して、ボトル本体1の本体開口部3に螺合固定されるようになっている。
【0046】
栓カバー5の第1側壁部52は、ボトル本体1の本体開口部3に螺合固定された状態においては、その下部がボトル本体1の本体開口部3の外周側肩部(段部面)に対応して嵌合され、ボトル本体1の本体開口部3外周を連続面状態でカバーするようになっている。
【0047】
第1ヒンジブラケット部53は、飲み口部42の後部カット形状に対応して、全体として円形の水平壁部51の後端より所定寸法前側に位置して設けられている。これにより栓カバー5の外周円範囲内に収まる状態で斜め後方に所定の高さだけ起立せしめられている。
【0048】
図9、
図10等に示すように、栓カバー5における後端の第1ヒンジブラケット部53の下部側部分(第1側壁部52上端後縁部分)には、蓋体6の開放角を大きくするための後方に向けて下降する下降傾斜面59が形成されている。
【0049】
図11~
図13に示すように、第1ヒンジブラケット部53のヒンジ軸挿通孔部分には、ヒンジ軸54を介して弧回動開閉可能に軸支された蓋体6及び蓋カバー7を、常時、
図9、
図10等に示すような開方向に付勢するコイルバネ57が設けられている。
【0050】
栓カバー5の筒状の第1側壁部52の上端側肩部部分には、水平壁部51との間で、次に述べる蓋体6の第2側壁部62下部の第2フランジ部62a外周部を受け、また蓋カバー7の第3側壁部73の下端を嵌合するための段部52aが形成されている。段部52aには、基本的には、蓋カバー7の対応する板厚の第3側壁部73が嵌合されるので、蓋カバー7が取り付けられた状態では、蓋カバー7の第3側壁部73と栓カバー5の水平壁部51側縦壁面との間に隙間は形成されない。
【0051】
蓋カバー7の第3側壁部73の前面側裏面には所定の深さの凹溝面部73bが設けられており、同凹溝面部73bにより所定の隙間が形成されている。その隙間を利用して蓋開閉用スライド部材82の本体部82bにおける下部の蹴り上げ部82aが嵌装されている。蓋開閉用スライド部材82は、開閉レバー81の押圧操作により任意に昇降するようになっている。
【0052】
蓋開閉用スライド部材82の本体部82bの下部の蹴り上げ部82aの下端側後面には、上昇時において蓋体6側の開口67の第1係合縁部67aの下端に係合して上昇位置が規制されるとともに、下降時において段部52aの水平面(下降位置規制面)に衝合される第1爪部82hが備えられている。
図42及び
図43の下方からの矢印にて示すように、その水平面からの第1爪部82hに対する反力により蓋体6が開方向に蹴り上げられるようになっている。
【0053】
この場合、段部52aの水平壁部51側の縦壁面は、下降してくる蹴り上げ部82aの第1爪部82hを段部52aの水平面(衝合面)に衝合させるべくガイドするとともに、衝合後も継続する水平面の方向の下方への押圧力と相俟って蓋体6を、より効果的に開方向に蹴り上げる傾斜ガイド部となっている。蹴り上げ部82aの第1爪部82hの外周面側も、その傾斜ガイド部に対応した傾斜面となっている。
【0054】
<蓋体6及び蓋カバー7の構成>
図3、
図4、
図5~
図10、
図14~
図23に示すように、飲み口部42の略半円形状の円筒形状(後部カット形状:
図10)に対応して、蓋体6の後端側には、第2ヒンジブラケット部63及び栓カバー5側の第1ヒンジブラケット部53の連結用開口部(U状の開口)がそれぞれ設けられている(
図10、
図21~
図23を参照)。
【0055】
蓋体6は、飲み口部42の外周に嵌合し得る外径の第1天壁部61及び筒状の第2側壁部62を備えた浅い円筒形状に形成されている。蓋体6の後端側に位置する左右の第2ヒンジブラケット部63は、ヒンジ軸54(及びコイルバネ57)を介して、栓カバー5の第1ヒンジブラケット部53の両側に弧回転可能に軸支されている。
【0056】
第1ヒンジブラケット部53の連結用開口部(U状の開口)の内端側中央部には、第1ヒンジブラケット部53に対する制動部材65が備えられている。制動部材65は、制動部材65の先端側当接部分を蓋体6の弧回動時に常時所定の圧接力を伴って第1ヒンジブラケット部53の外周面に摺動させ、蓋体開放時の開放動作を安定したものにする作用を果たしている。
【0057】
この場合、栓カバー5側の第1ヒンジブラケット部53には、蓋体6を、例えば
図9、
図10のように、後端側水平状態より下方に大きく開放させるためのコイルバネ57が設けられている。
【0058】
したがって、蓋体6は、開閉レバー81により、ロックレバー84を介した栓本体4側の係合溝56との係合が解除されると、自動的に
図9及び
図10に示すように開放される。
【0059】
蓋体6の第1天壁部61の中央部下面には、下方に延びる小径筒状の飲み口パッキン66を取り付ける取付部64が設けられている。取付部64には、ゴム製の飲み口パッキン66が下方側から着脱可能に嵌合されている。
【0060】
飲み口パッキン66には、飲み口部42の飲料注出口43aをシールする有底筒状の第1ゴム製パッキン66aと、飲み口部42の上端側テーパー面形状の開口面全体をシールするフランジ状の第2ゴム製パッキン66bと、が備えられている。蓋体6の平面形状は、覆うべき飲み口部42の形状に対応して後方に向けて外径を拡大した略半円状の形状となっている。
【0061】
蓋体6の筒状の第2側壁部62の下端外周には、所定の幅の第2フランジ部62aが略周方向に亘って一体に成型されている。第2フランジ部62aの外周には、外装体である蓋カバー7が一体に嵌合されるようになっている。
【0062】
蓋カバー7は、閉状態において、栓カバー5と等径の連続感のある正円筒を形成する正円形状のものとなっている。したがって、蓋カバー7を嵌合一体化する第2フランジ部62aの外径は、後端側の第1ヒンジブラケット部53との対応部(コの字状の切り欠き部を形成)を除いて基本的に正円形状となっている。
【0063】
そして、蓋カバー7の前端側所定幅部分は、上方側に所定寸法高くなっている高台部分となっている。その高台部分には、ロックレバー84の係合片84aを下方に臨ませ、飲み口部42の下部に設けた係合溝56内に係合させるための所定の大きさの円弧形状(平面視略方形の円弧形状)の開口67が設けられている。
【0064】
開口67の前後方向の開口幅は、ロックレバー84における係合片84aの部分が栓本体4の後方に回動して、係合溝56内に係合し、栓本体4の前方に回動して、ロック解除されて係合溝56の外部にリリースできるに十分な前後寸法となっている。
【0065】
開口67の前側には、ロック解除状態において蓋開閉用スライド部材82(支持部材)の本体部82bの蹴り上げ部82aの第1爪部82hが係合する第1係合縁部67aが、設けられている。開口67の後側には、ロック解除状態においてロックレバー84の係合片84aの上端側途中が衝合する衝合縁部67b(突縁部)が設けられている。
【0066】
蓋体6の開口67の左右両側には、
図18、
図19等から明らかなように、左右に所定の間隔を空けて、ピン挿通孔68aを備えたピン軸支ブラケット68が設けられている。
【0067】
一対のピン軸支ブラケット68間にレバーピン90を挿通支持することで、ロックレバー84の押圧片84bと係合片84aが、前後方向に弧回転可能に軸支されるようになっている。例えば
図3、
図4、
図10のように、ロックレバー84の係合片84aの略半分は、第2フランジ部62aの前端部側の開口67から下方に臨まされるようになっている。
【0068】
蓋体6の第2側壁部62の前端のピン軸支ブラケット68間の中央部位置には、レバースプリング85の一端(後端)を内側に嵌装して前後方向に支持する筒状の第1ボス部69が、設けられている。ロックレバー84の押圧片84bの後面側には、レバースプリング85の他端(前端)を外側に嵌装して前後方向に支持する凸状の第2ボス部84dが設けられている。
【0069】
図3、
図4に示すように、筒状の第1ボス部69と凸状の第2ボス部84dとの間には、所定の付勢強度のレバースプリング85(伸び方向に付勢されたコイルバネ)が設けられている。これにより、蓋体6をロックしている状態では、レバーピン90により弧回動可能に軸支されたロックレバー84の押圧片84bが前方側の開閉レバー81における下端の係合壁部81dの部分に係合する方向に押圧し、ロックレバー84の係合片84aが飲み口部42前端の係合溝56内に常時係合するように付勢している。
【0070】
ロックレバー84の押圧片84bの前端は、蓋体6のロック状態では、
図3及び
図4から明らかなように、開閉レバー81の下端の係合壁部81dの後面(後面)に当接して蓋体前方側への弧回動が規制されている。この際、開閉レバー81も上方側から垂直方向下方に押圧操作されないので、ロックレバー84は、レバースプリング85の付勢力により係合片84a先端の第2爪部84fを栓本体飲み口部42の係合溝56内に係合したロック状態に維持されるようになっている。この場合、ロックレバー84の押圧片84bの前端は、上端側の一部が前方に向けて円弧面形状となる凸部として形成されている。
【0071】
例えば
図40等に示すような蓋ロック状態では、開閉レバー81の下端の後方に所定の角度で傾斜した傾斜壁部81d部分に係合して回動規制されている。開閉レバー81が第1押圧操作により上方から下方に押し下げられた
図41の状態(安全ロック解除状態)では、円弧面形状の凸部部分が開閉レバー81の上下方向に垂直な前壁部81cの裏面側を下端から上端まで相対的にスライドし、さらに開閉レバー81が第2押圧操作によって蓋体6の内方に向けて押圧された
図43の状態(蓋ロック解除状態)になると、その上部側の押圧操作面81bの裏面側で押されて第3天壁部81aとのコーナー部まで相対的にスライドして後方に大きく弧回動し、その回動位置で、係合片84aにおける先端の鉤状の第2爪部84fの栓本体4の飲み口部42側の係合溝56との係合を解除するようになっている。
【0072】
ロックレバー84の係合片84aの第2爪部84fの下面は、円弧面として形成されている。飲み口部42側筒状の係合溝56の上面56aは、円弧面として成されている。
【0073】
蓋ロック解除状態(
図43、
図9、
図10の蓋体開状態)から、
図3~
図8、
図40の蓋ロック状態に移行する際に、それらの各々がレバースプリング85の押圧付勢力に抗して相互に滑らかに係合するようになっている。
【0074】
次に、蓋体6の第2側壁部62の前端の一対のピン軸支ブラケット68の両側に位置する第2フランジ部62aの上面には、スライドスプリング83の下端を嵌合支持するための凹溝部62bが設けられている。
図18に示すように、凹溝部62bを利用して蓋開閉用スライド部材82を上下方向にスライド自在(上方に付勢支持された状態で昇降自在)に支持するスライドスプリング83が設けられてる。
【0075】
凹溝部62bから少し後方に寄った位置には、第2側壁部62との間にそれぞれ所定の間隔を空けて蓋開閉用スライド部材82を上下方向にスライド自在に遊嵌ガイドするためのガイド溝60a(縦溝)を備えたガイド部材60(ガイド筒)が設けられている。
図18に示すように、ガイド部材60のガイド溝60aには、蓋開閉用スライド部材82の左右両端側のスライドリブ82fが上下方向に昇降自由な形で嵌合される。
【0076】
さらに、蓋カバー7は、基本的には蓋体6の外周をカバーする平面視略正円形の第2天壁部71と、第2天壁部71の外周から下方に延びた筒状の第3側壁部73と、を備えた浅い筒状体で構成されている。
【0077】
本実施形態の場合には、特に、前後方向中間位置部分から前端にかけて、第2天壁部71と第3側壁部73との間に、所定の傾斜角で後方側から前方に下降傾斜した傾斜壁部72が設けられている。
【0078】
傾斜壁部72は、前後方向中間位置部分から前端にかけて、次第に前後方向(上下斜め方向)の幅が大きくなるように形成されている。傾斜壁部72は、前端部中央位置で同幅が最も大きくなっている。傾斜壁部72は、第2天壁部71と第3側壁部73とが形成する半周方向の角部を削る形で(3面構造に偏平化させる形で)形成されている。
【0079】
傾斜壁部72の前端側中央に位置して、第2天壁部71から傾斜壁部72を経て第3側壁部73に連続する第1レバー嵌合口71a(第2天壁部71の部分),第2レバー嵌合口72a(傾斜壁部72の部分)、第3レバー嵌合口73a(傾斜壁部72の部分)がそれぞれ形成されている。
図5~
図8に示すように、傾斜壁部72の後端側中央には、第2天壁部71から第3側壁部73にかけてヒンジ部嵌合口71bが設けられている。
【0080】
蓋カバー7の第3側壁部73の第3レバー嵌合口73aの左右両側裏面及び下部裏面には、上下方向に延びて後述する蓋開閉用スライド部材82の本体部82b部分の全体(蹴り上げ部82a部分を含む)を上下方向に昇降ガイドする所定の左右幅の凹溝面部73bが相互に連続する形で設けられている。
【0081】
凹溝面部73bに対して、蓋開閉用スライド部材82の本体部82b(その前面部分)が昇降スライド自由に摺接されている。これにより、蓋開閉用スライド部材82が安定した状態で上下に昇降スライドするようになっている。
【0082】
凹溝面部73bは、例えば蓋カバー7の第3側壁部73の板厚を部分的に薄くすることにより形成されている。凹溝面部73bが、上述のように栓カバー5肩部の段部52a部分において、水平壁部51側傾斜面との間に隙間を作り、その隙間における水平面を蓋開閉用スライド部材82の本体部82b下部の蹴り上げ部82aが衝合する蹴り上げ面としている。
【0083】
蓋カバー7の相互に連通して上方から下方に3面構造に開口する第1レバー嵌合口71a、第2レバー嵌合口72a、第3レバー嵌合口73aには、例えば蓋カバー7を蓋体6に組み付けた段階において、それらの各々を蓋カバー7全体として面一な蓋カバー状態に閉じる(第2天壁部71の面、傾斜壁部72の面、第3側壁部73の面の各々が連続面を形成するように閉じる)開閉レバー81が、上下方向及び蓋体6の内方(斜め後方)に押圧スライド可能な状態で嵌合される。
【0084】
<開閉レバー81の構成>
図3、
図4、
図18、
図24~
図27に示すように、開閉レバー81は、蓋カバー7の第1レバー嵌合口71aの形状及び寸法に対応し、第2天壁部71と同一の水平面を形成する第3天壁部81a、蓋カバー7の第2レバー嵌合口72aの形状及び寸法に対応し、傾斜壁部72と同一の傾斜面を形成する押圧操作面81b、蓋カバー7の第3レバー嵌合口73aの形状及び寸法に対応し、第3側壁部73と同一の垂直面(円筒面)を形成するする前壁部81cを備える3面壁構造となっている。それらの各部が第1レバー嵌合口71a、第2レバー嵌合口72a、第3レバー嵌合口73a部分に適切に嵌合するように、蓋ロック状態における断面形状としては、周方向に連続した蓋カバー7自体の外形を形成するように構成されている(
図1及び
図5~
図8における栓体10の外部形態を参照)。
【0085】
前壁部81cの下端には、後方側に向けて所定幅突出し、後述する蓋開閉用スライド部材82の本体部82bの上端面側に設けられた所定の傾斜角の第1スライドガイド面である第1傾斜ガイド面82i(左右両端側及び中央部)(
図18及び
図28参照)に沿う傾斜角の傾斜面を有する係合壁部81dが設けられている。係合壁部81dの下面側傾斜面は、蓋開閉用スライド部材82の本体部82bの上端面側の第1傾斜ガイド面82iに摺動可能に当接する状態で支持されている。
【0086】
上述した安全ロック状態(
図35の(a)、
図36、
図40の状態を参照)にある開閉レバー81が、まず第1押圧操作によって上方から下方に押圧され、上述の蓋開閉用スライド部材82の蹴り上げ部82aが栓カバー5の段部52aの水平面に衝合して位置規制された時(安全ロックが解除された時:
図35の(b)、
図37、
図41の各状態を参照)から、第1傾斜ガイド面82i上を蓋体6の内方側下方に向けて所定距離dだけスライドさせる(
図35の(c)、
図38、
図42を参照)。これにより、開閉レバー81が第1レバー嵌合口71a、第2レバー嵌合口72a内方に誘導され、その後にロックレバー84を弧回動させて、蓋体6のロック状態を解除する第2押圧操作状態(
図35の(d)、
図39、
図43参照)に連続させるようになっている。
【0087】
開閉レバー81の左右両側壁部外側には、蓋開閉用スライド部材82の左右両側に設けられている係合部82dの部分にスライド可能に係合する係合部材81eが設けられている。各係合部材81eは、それぞれ、後面側から後方に向けて所定の長さ伸びた断面鉤型のスライド部材で構成されている。係合部材81eの下面側には、蓋開閉用スライド部材82の係合部82dの第2傾斜ガイド面82eに係合してスライドする係合面81fが設けられている。第2傾斜ガイド面82e及び係合面81fは、第1傾斜ガイド面82i及び係合壁部81dの傾斜面に比べて十分に長くなっている。
【0088】
開閉レバー81は、蓋開閉用スライド部材82の左右両側に設けられている係合部82dにスライド可能に係合する左右一対の係合部材81eを介して蓋開閉用スライド部材82の係合部82dに係合一体化された状態では、係合部材81eの下部側の係合面81fを蓋開閉用スライド部材82の係合部82dの第2傾斜ガイド面82eによりガイドされてスライドする。
【0089】
第2傾斜ガイド面82eによるスライドは、蓋開閉用スライド部材82の本体部82bの上端面側に設けられた第1傾斜ガイド面82i(左右両端側及び中央部)による係合壁部81dのスライドと協働するようになっている。
【0090】
まず安全ロック状態(
図35の(a)、
図36、
図40の状態)にある開閉レバー81が、第1押圧操作によって上方から下方に押圧されて、蓋開閉用スライド部材82の蹴り上げ部82aが栓カバー5の段部52aの水平面に衝合すると(安全ロック解除:
図35の(b)、
図37、
図41の状態)、第1傾斜ガイド面82i及び第2傾斜ガイド面82e上を蓋体6の内方側下方に向けて所定距離dだけスライドさせる(
図35の(c)、
図38、
図42を参照)。それにより、開閉レバー81を、第1レバー嵌合口71aと第2レバー嵌合口72aの内方に誘導し、その後、第2押圧操作(
図35の(d)、
図39、
図43参照)により、ロックレバー84の押圧片84bを後方に弧回動させて、蓋体6のロック状態を解除する。
【0091】
第1押圧操作完了後の開閉レバー81の垂直方向下方への押圧力が、開閉レバー81を蓋カバー7の第1レバー嵌合口71aと第2レバー嵌合口72aの内側下方へ押し込むロック解除用の第2押圧操作となるように開閉レバー81全体をスライドさせる。
【0092】
蓋開閉用スライド部材82の係合部82dの第2傾斜ガイド面82e、及び、本体部82b上端面側の第1傾斜ガイド面82iは、それぞれ、開閉レバー81を蓋カバー7の第1レバー嵌合口71a及び第2レバー嵌合口72aの内側下方へ押し込むロック解除用の第2押圧操作を実現(誘導)するのに適した下降傾斜ガイド面に構成されている。対応する開閉レバー81側の係合面81f、81f及び係合壁部81dの下面も、同様の傾斜角の下降傾斜面に形成されている。
【0093】
第1傾斜ガイド面82i及び第2傾斜ガイド面82eの傾斜角は、開閉レバー81の押圧操作面である押圧操作面81bが第1押圧操作によって上方から下方に押し下げられて第2押圧操作方向に誘導されるまでは(安全ロック状態が解除されるまでは)、相互にスライドすることなく係合して蓋開閉用スライド部材82(蹴り上げ部82a)を栓カバー5の段部52aの水平面まで下降させることができる。一方で、第1傾斜ガイド面82i及び第2傾斜ガイド面82eの傾斜角は、段部52aの水平面に衝合すると、有効な下降方向へのスライド作用が生じるように設定されている。
【0094】
開閉レバー81の押圧操作面である押圧操作面81bの傾斜角は、上方から下方への有効な第1押圧操作が可能で、かつ第1押圧操作完了後、第2押圧操作方向に効果的に押圧力を誘導、作用させることができるように設定される。
【0095】
開閉レバー81及び蓋開閉用スライド部材82は、例えば
図18に示すように、スライドスプリング83、ロックレバー84、レバースプリング85、レバーピン90等を介して、蓋体6の上部に一体に組み付けられている。開閉レバー81及び蓋開閉用スライド部材82は、蓋体6に対して、蓋カバー7が外周側の第2フランジ部62a部分を利用して嵌合一体化されている。これにより、
図17、
図3、
図4等に示すように、有益なオートロック機構を備えた蓋体6が構成されている。
【0096】
なお、本実施形態の場合、蓋カバー7の第1レバー嵌合口71aの開口面端部(正面側端部)には、左右両方向に延びて所定の長さ、所定の深さの凹部b(凹溝)が設けられている。他方、第1レバー嵌合口71aの部分に嵌合される開閉レバー81の第3天壁部81aの対応する端部には、同様の長さで、対応する高さの凸部aが設けられている。凹部bと凸部aとによって、相互に協働(係合)して機能する開閉レバー81の下降抑制手段が形成されている。
【0097】
この下降抑制手段によると、開閉レバー81に対して、本来の栓体10の垂直方向下方への押圧力とは異なる方向の下方への押圧力が作用した時に、蓋カバー7の第2天壁部71の端部と開閉レバー81の第3天壁部81aの端部との隣接部における凸部aと凹部bが相互に係合して、確実に開閉レバー81の下降を阻止する。その結果、蓋体6の蓋ロック状態が確実に維持される。
【0098】
この場合、開閉レバー81の第3天壁部81aの端部に設けられた凸部aと蓋カバー7の第2天壁部71側の端部に設けられた凹部bとの間には、本来の栓体10の垂直方向下方への押圧力とは異なる正面または斜め上方からの押圧力が作用しない限り相互に係合しないクリアランスcが設定されている。これにより、
図4に示すように、本来の垂直方向下方への押圧操作は適正に行われる。
【0099】
<蓋開閉用スライド部材82の構造>
図3、
図4、
図28~
図32等に示すように、開閉レバー81は、蓋開閉用スライド部材82に対して前後方向にスライド可能にマウントされ、同蓋開閉用スライド部材82を介して昇降可能、かつロック解除操作可能に支持されている。
【0100】
蓋開閉用スライド部材82は、例えば
図28~
図32に示すように、上下に所定の幅及び左右に所定の長さを有する円弧板状の本体部82bを中心として構成されている。
【0101】
蓋開閉用スライド部材82の左右両端側には、開閉レバー81両側の係合部材81eをスライド可能に係合する係合部82d、蓋体6側に設けられたガイド部材60のガイド溝60aに嵌合されて上下方向にスライド(昇降)する短板状のスライドリブ82f、蓋開閉用スライド部材82を常時上方に上昇付勢した状態で昇降自在に支持するスライドスプリング83の上端を嵌装する嵌装凸部82gを備えた支持部材82c(支持ブラケット)が設けられている。
【0102】
蓋開閉用スライド部材82は、支持部材82cのスライドリブ82fを上述した蓋体6の側のガイド部材60のガイド溝60aに遊嵌させるとともに、嵌装凸部82gと蓋体6側の第2フランジ部62a上の凹溝部62bとの間にスライドスプリング83を介装してある。これにより、蓋開閉用スライド部材82は、蓋体6の第2フランジ部62aと蓋カバー7の裏面との間に位置して常時上昇方向に付勢された状態で昇降自在に支持されている。蓋開閉用スライド部材82の本体部82bの前面は、蓋カバー7の第3側壁部73の凹溝面部73bに摺接してガイドされながら昇降するようになっている。
【0103】
蓋開閉用スライド部材82の本体部82bの中央部には、所定の幅及び所定の長さで下方に伸びる蹴り上げ部82aが設けられている。蹴り上げ部82aは、下端内側に上述のように第1爪部82hを有している。
【0104】
図3、
図4に示すように、蹴り上げ部82aは、蓋ロック状態では同第1爪部82hの上端を蓋体6の第2フランジ部62a前端高台部分に形成した開口67の第1係合縁部67a下端に係合して蓋開閉用スライド部材82及び開閉レバー81の上方への昇降位置を規制し、開閉レバー81が蓋カバー7の第1レバー嵌合口71a、第2レバー嵌合口72a、第3レバー嵌合口73a部分に適切に嵌合された上昇状態(安全ロック状態)を維持するようになっている。
【0105】
他方、蹴り上げ部82aは、開閉レバー81が、第1押圧操作によって上方から下方に(略垂直方向下方に)押圧されると、第1爪部82hが蓋カバー7の第3側壁部73の凹溝面部73bの中央部分で栓カバー5の段部52aの水平面に衝合して、その下降位置を規制する。
【0106】
この下降位置で、開閉レバー81の安全ロック状態を解除し、第1傾斜ガイド面82i、第2傾斜ガイド面82eを介して、開閉レバー81を第2押圧操作方向に誘導位置まで誘導する。
【0107】
この誘導位置から、さらに第2押圧操作がなされると、開閉レバー81が蓋体6の内方に向けて所定距離進入し、押圧操作面81bの裏面でロックレバー84の押圧片84bをロック解除方向後方に回動させて、係合片84aの第2爪部84fの飲み口部42側の係合溝56との係合を解除し、蓋体6の開放を可能とする。
【0108】
同時に、ロック解除時における第1爪部82hの栓カバー5の段部52aの水平面に対する衝合と水平面からの反力により、蓋体6が上方側に蹴り上げられ、ロック解除後の再ロックが回避される。蹴り上げ効果を生じさせるために、開閉レバー81の押圧時において、蹴り上げ部82aの第1爪部82hは、蓋カバー7の第3側壁部73の下端より少し下方に突出するように構成されている。
【0109】
<開閉レバー81、蓋開閉用スライド部材82、ロックレバー84の動作>
以上のように、開閉レバー81が、スライドスプリング83,83によって常時上昇方向に付勢支持された昇降自在な蓋開閉用スライド部材82の第1傾斜ガイド面82iを有する本体部82bに対して係合壁部81dを介して、また、第2傾斜ガイド面82e ?82eを有する係合部(係合溝部)82d、82dに対して係合部材81e、81eを介して、それぞれスライド可能に係合支持されている。これにより、開閉レバー81は、蓋開閉用スライド部材82と一体で上下方向に昇降可能、かつ、開閉レバー81単独で前後方向にスライド可能となり、上方から垂直方向下方への第1押圧操作によって蓋開閉用スライド部材82と共に下降し、下降時において上述した安全ロック状態を解除する一方、下降後において前方から後方に単独でスライドして、ロックレバー84の蓋ロック状態を解除するようになる。
【0110】
そして、それにより、開閉レバー81の蓋開閉用スライド部材82と一体の上下方向の昇降動作と開閉レバー81単独の前後方向のスライド動作とをそれぞれ独立した形で容易に実現できる。さらに、開閉レバー81の蓋体6(栓本体4)に対する上方から下方への第1押圧操作(安全ロック解除)、前方から後方への第2押圧操作(蓋ロック解除操作;メインロック解除操作)を、それぞれロックレバー84の動作状態とは関係なく実現できる。
【0111】
このような構成によると、安全ロック解除、安全ロック設定のための開閉レバー81の上下方向の昇降動作と、メインロック解除、メインロック設定のための開閉レバー81の前後方向のスライド動作との2つの異なる動作が、ロックレバー84のロック状態、ロック解除状態に関係なく実現される。すなわち、開閉レバー81の上方から下方への第1押圧操作、前方から後方への第2押圧操作が、それぞれロックレバー84と機械的に連系することなく、独立した形で実現される。
【0112】
このように、開閉レバー81は、スライドスプリング83,83により常時上昇方向に付勢支持された蓋開閉用スライド部材82により、ロックレバー84のロック状態、ロック解除状態に関係なく昇降可能となっており、安全ロック解除のための上方から下方への第1押圧操作により下降して安全ロックを解除し、さらに蓋体6の前後方向への第2押圧操作により蓋開閉用スライド部材82の第1傾斜ガイド面82i、第2傾斜ガイド面82e上を蓋体6の内方にスライドしてロックレバー84のロックを解除する。
【0113】
その後は、蓋開閉用スライド部材82(そのスライドスプリング83,83の付勢力)により自動的に元の上昇位置(
図3、
図4、
図40の状態)に復帰し、ロックレバー84のロック状態、ロック解除状態の如何に関係なく、確実に安全ロックを設定した状態となる。そのため、より安全ロック機能が高くなる。
【0114】
なお、以上の構成では、開閉レバー81が遊嵌されている蓋カバー7の第3側壁部73側の第3レバー嵌合口73a下部部分は、例えば蓋体6がロック状態にある時には、
図1、
図3、
図4、
図17に示すように、開閉レバー81が上端側にあるため、所定上下幅(下降ストローク寸法分)だけ開口していて、内側の蓋開閉用スライド部材82の本体部82bの前面部分が外から見えるようになっている。したがって、蓋開閉用スライド部材82の本体部82bの前面部分の色を赤くするなどすると、赤い部分の色から安全ロック状態にあることが明確に判明するようになる。
【0115】
<オートロック機構の基本的な構成と作用>
以上の構成では、
図3、
図4、
図17、
図18等に示すように、蓋カバー7も、蓋体6の場合と同様に、全体として前端側の高さが高く、後端側に行くに従って高さが低くなるテーパー面構造の筒状体に形成されている。
【0116】
その筒状体の第3側壁部73の前端部と内側の蓋体6の第2側壁部62の前端部との間には、蓋体6の後方に向けて外径を拡大した略半円状の形状(飲み口部42に対応した形状)と蓋カバー7の正円形状との形状差から、左右及び前後に亘って所定の大きさの隙間が形成されている。その所定の大きさの隙間を利用して、蓋体6の開閉機構に安全ロック、メインロックをかけ、また、それら各ロック状態を解除して、蓋体6を開閉するための操作方向を異にする2段モーション(ツーアクション)型のオートロック機構が設けられている。
【0117】
オートロック機構には、
図17、
図18等に示すように、上方から下方に押圧操作される開閉レバー81と、開閉レバー81の押圧操作に応じて上下方向にスライド(昇降)する左右方向に長い蓋開閉用スライド部材82と、蓋開閉用スライド部材82を常時上昇方向に付勢支持する左右一対のスライドスプリング83と、蓋体6を閉状態にロックするとともに必要に応じてロック状態を解除するロックレバー84と、ロックレバー84を常時方向に付勢するレバースプリング85と、が備えられている。
【0118】
開閉レバー81は、蓋開閉用スライド部材82の上部にスライド可能に係合支持されている。開閉レバー81は、蓋開閉用スライド部材82と共に上下に昇降するとともに、開閉レバー81を介して蓋開閉用スライド部材82が上方から下方に押圧されて栓カバー5の段部52a上に下降停止した位置で、開閉レバー81がさらに下方に押圧されると、同押圧力と栓カバー5側からの反力で所定距離栓体後方にスライドし、レバースプリング85の付勢力に抗して、ロックレバー84の上端側の押圧片84b(ロック解除片)を栓体後方に押圧傾動させて、ロックレバー84の係合片84aと飲み口部42側の係合溝56との係合を解除し、
図9、
図10に示すように、蓋体6を開放するようになっている。
【0119】
本実施形態の構成では、開閉レバー81が、蓋カバー7の第2天壁部71と第3側壁部73の前端部との間で所定幅、所定傾斜角の押圧操作面81bを形成している。押圧操作面81bは、上方から下方への押圧部(押圧操作面)となっている。
【0120】
図40に示すように、第3天壁部81aが垂直方向下方に押圧操作されていない蓋ロック状態では、蓋カバー7の傾斜壁部72の前端側壁部の相互に連続する壁面部を形成している。
【0121】
第3天壁部81aが垂直方向下方に押圧操作されていない蓋ロック状態から、開閉レバー81の押圧操作面81b(押圧操作部)が垂直方向下方に押圧されて、例えば
図41に示すように、開閉レバー81及び蓋開閉用スライド部材82が下降し、蓋開閉用スライド部材82下部の蹴り上げ部82aの第1爪部82hが蓋体6を支持している栓カバー5の段部52aの上面に衝合する。すると、上面部分で下降動作が停止(規制)され、開閉レバー81の押圧操作面81bに作用する下方への押圧力は、押圧操作面81bの傾斜面と上述した第1傾斜ガイド面82i及び第2傾斜ガイド面82eによる誘導作用により、蓋体6の内方側下方に向けて作用するようになる。
【0122】
図42~
図43に示すように、それまで上方から下方に押圧されていた開閉レバー81は、蓋体6の内方側下方に向けて所定距離だけ進入し、第2レバー嵌合口72aを開口させた状態で、レバースプリング85の付勢力に抗してロックレバー84の押圧片84b(ロック解除片)の部分を栓体10の後方に所定角回動させる。
【0123】
そして、ロックレバー84の係合片84aの第2爪部84fと飲み口部42側の係合溝56との係合を解除して、蓋体6を開放する。このとき、蓋開閉用スライド部材82下部の蹴り上げ部82aの栓カバー5上面との衝合時の反力による蓋体蹴り上げ作用が働いて、蓋体6を蹴り上げ、不用意な再ロックを回避する。
【0124】
このようにして蓋体6が一旦開放されると、開閉レバー81は、蓋体6の開放状態において、レバースプリング85とスライドスプリング83とのそれぞれの付勢作用により、元の状態に戻って安全ロックをかける。さらに、栓本体4に対して蓋体6が閉められると、それに加えて再び、
図40に示すように、蓋体6のメインロック状態が実現する。
【0125】
<作用効果>
上記実施の形態に係る飲料容器の栓体構造では、ボトル本体1の本体開口部3に対して取り付けられた飲料注出口43aを有する栓本体4と、栓本体4に固定された栓カバー5と、栓カバー5に弧回動可能に軸支され、飲料注出口43aをシールする蓋体6と、蓋体6を閉状態にロック可能なロックレバー84と、蓋体6の上方位置に付勢支持されることによりロックレバー84の蓋ロック状態を解除不能に維持している一方、蓋体6の下方に向けた第1押圧操作により下降し、その第1押圧操作後の下降状態からの蓋体6の内方に向けた第2押圧操作によりロックレバー84の蓋ロック状態を解除する開閉レバー81と、開閉レバー81を第1押圧操作及び第2押圧操作が可能な状態に支持する蓋開閉用スライド部材82とからなり、蓋開閉用スライド部材82は、第1押圧操作がなされた開閉レバー81を第2押圧操作方向にガイドする第1傾斜ガイド面82i、第2傾斜ガイド面82eを介して開閉レバー81を支持している。
【0126】
蓋体6を開閉するに際して、共通する1つの開閉レバー81を用いて、開閉レバー81が蓋体6の上方位置に付勢支持されている場合には、ロックレバー84の蓋ロック状態を解除することができない状態に維持できる。したがって、従来のものと同様の確実な安全ロック機能を実現できる。
【0127】
一方、開閉レバー81を上方から下方に押し下げる第1押圧操作を行うと安全ロック機能が解除され、開閉レバー81を下方に押し下げた状態において、さらに蓋体6の内方に移動させる第2押圧操作を行うと、ロックレバー84を解除方向に作動させて蓋体6のロック状態を解除できる。
【0128】
この場合、従来の構成では、開閉レバー81が支持部材に対して回動軸を介して弧回動可能に支持されており、開閉レバー81の支持位置は支持部材に対して固定であり、開閉レバー単独での相対的な移動は不可能であった。したがって、第1操作と第2操作は、蓋体の垂直方向下方への押圧操作と蓋体の水平方向後方への回動操作との操作方向、操作方法が異なる2種、2段階の独立した操作となっていて、使用者にとって蓋体の開放操作が分かりづらかった。
【0129】
これに対し、蓋開閉用スライド部材82が開閉レバー81を、第1操作と、第1操作とは操作方向の異なる第2操作が可能な状態に支持しているのは同じでも、第1操作と第2操作とがいずれも押圧操作である。従来の第2操作は回動操作であった。
【0130】
蓋開閉用スライド部材82による開閉レバー81の支持状態が、従来のような回動軸による固定ではなく、第1押圧操作がなされた開閉レバー81を第2押圧操作方向にガイドする第1傾斜ガイド面82i、第2傾斜ガイド面82eを介してスライド可能に支持している。
【0131】
したがって、まず開閉レバー81に対して、上方から下方に向けた第1押圧操作がなされると、開閉レバー81は、第1押圧操作によって所定位置まで下降して位置規制される。説明を加えると、蓋開閉用スライド部材82の下端が栓本体4の上面に当接して停止する。この下降状態において安全ロック状態が解除される。
【0132】
そして、その後も同様に開閉レバー81を下方に向けて押圧すると、開閉レバー81は、蓋開閉用スライド部材82の第1傾斜ガイド面82i、第2傾斜ガイド面82eにより誘導、ガイドされて緩やかに下降し、そのまま蓋体6の内方に向けたロックレバー84作動のための第2押圧操作状態が実現される。そして、それにより、最終的な蓋体6の蓋ロック解除状態が実現される。
【0133】
この結果、第1操作に続いて第2操作が連続する形で実現されるとともに、ロック解除方向としては互いに方向の異なる第1操作と第2操作とを、操作方法としては共通の押圧操作として実現できる。したがって、操作が容易になり、操作方法も分かり易くなる。
【0134】
開閉レバー81の押圧操作面81bが傾斜面となっているので、押圧操作面81bにより、第1押圧操作に続いて開閉レバー81に作用する上方から下方への押圧力を第2押圧操作方向に向けて作用させるようにしている。上方から下方に押圧されてきた開閉レバー81は、下降不能となった下降規制位置から、蓋開閉用スライド部材82の第1傾斜ガイド面82i、第2傾斜ガイド面82eによるガイド作用に加えて、傾斜面である押圧操作面81bによる蓋体6の内方への押圧ガイド作用が加わる。
【0135】
その結果、より確実でスムーズな態様で、蓋体6の内方に向けた第2押圧操作状態が実現される。したがって、操作方向の異なる2つの操作形態を採用していながら、連続性のある感覚的に操作の仕方が分かり易い構造になる。
【0136】
蓋開閉用スライド部材82の下部には、第2押圧操作による開閉レバー81の押圧操作完了時において、栓カバー5の上面に衝合し、栓カバーの上面からの反力により前記蓋体を蹴り上げて前記蓋体6を開放する蹴り上げ部82aが設けられている
その結果、第2押圧操作完了(開閉レバー81による蓋ロック解除完了)に連動して蓋開閉用スライド部材82下端側の蹴り上げ部82aが栓カバー5の上面に衝合し、栓カバーの上面からの反力により蓋体6を蹴り上げ、確実に蓋体6を開放するようになる。このため、不用意に開閉レバー81の押圧操作を止めたとしても、ロックレバー84復帰による蓋体6の再ロックを防止して、確実に蓋体6を開放させることができるようになる。
【0137】
従来の構成では、このような構成が採用されていなかったので、蓋体のロック解除後、指で蓋体を跳ね上げる操作を行なわないと、ロックレバー84の復帰により再ロックがかかるケースがあったが、以上の構成では、そのような問題がなくなり、さらに操作性が向上する。
【0138】
蹴り上げ部82aは、例えば蓋ロック解除後の蓋開閉用スライド部材82及び開閉レバー81の上昇位置を規制する係合片を兼用する形で形成される。
【0139】
以上のように、蓋体6の下方への第1操作により下降し、下降状態において、蓋体6の内側下方へ向けて行われる開閉レバー81の第2操作が第2傾斜ガイド面82e及び傾斜した押圧操作面81bによって適切にガイドされて連続した操作となる。さらに、互いに操作方向の異なる第1操作方法と第2操作方法とが、いずれも押圧操作として共通化されている。これにより、使用者は、操作方法の相違を特に意識することなく、開閉レバー81を直感的な操作で、蓋体6の開閉を行うことができる。
【0140】
その結果、従来どおり、確実な安全ロックを維持しながら、蓋体6の開放操作が直感的に認識でき、しかも、蓋体6の開放操作が遥かに行い易い、操作性に優れた飲料用容器の栓体構造を実現できる。
【符号の説明】
【0141】
1 :ボトル本体
3 :開口部
4 :栓本体
6 :蓋体
43a :飲料注出口
81 :開閉レバー
81b :押圧操作面
82a :蹴り上げ部
82c :支持部材
82e :第2傾斜ガイド面(傾斜ガイド面)
82i :第1傾斜ガイド面(傾斜ガイド面)
84 :ロックレバー