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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20220512BHJP
【FI】
A63F5/04 620
A63F5/04 631
A63F5/04 651
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021004873
(22)【出願日】2021-01-15
【審査請求日】2021-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】503106797
【氏名又は名称】株式会社エンターライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172236
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 宣憲
(72)【発明者】
【氏名】内海 一弥
(72)【発明者】
【氏名】塩原 弘節
【審査官】安藤 達哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-150180(JP,A)
【文献】特開2016-016139(JP,A)
【文献】特開2021-003463(JP,A)
【文献】特開2020-175015(JP,A)
【文献】特許第6794515(JP,B1)
【文献】特開2013-085903(JP,A)
【文献】特開2005-334076(JP,A)
【文献】「不二子 TYPE A+」,パチスロ攻略マガジンドラゴン2018年6月号,株式会社プラントピア,2018年04月21日,pp.8-15,特に、p.13右欄等参照
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リールと、
遊技者によりそれぞれ操作可能なスタートスイッチおよび複数のストップスイッチと、
前記回転リールが全て停止している状態で行われた前記スタートスイッチの操作に伴って内部抽せんを行う内部抽せん部と、
前記回転リールが全て停止している状態で前記スタートスイッチが操作された場合は、前記回転リールを回転させ、前記回転リールが回転している状態で前記ストップスイッチが操作された場合は、前記内部抽せんにより当せんした役および前記ストップスイッチが操作されたタイミングに応じて、操作された前記ストップスイッチに対応する前記回転リールを停止させる回転リール制御部と
を備え、
前記内部抽せんにより当せんする役として、特別役と、移行役とを有し、
遊技状態として、前記内部抽せんにより前記移行役に当せん不可能な一般遊技状態と、前記特別役に入賞することで付与されると共に前記内部抽せんにより前記移行役に当せん可能な特別役実施状態とを有し、
前記特別役実施状態には、前記移行役が入賞して実施されていない移行役非実施中と、前記移行役が入賞して実施されている移行役実施中とが含まれ、
前記移行役実施中は、前記移行役非実施中と比較して遊技者にとって不利になるように構成されている、遊技機であって、
前記移行役実施中に当せんした前記移行役を蓄積する蓄積部をさらに備える、遊技機。
【請求項2】
前記移行役非実施中には、前記移行役に当せんしていない移行役非当せん状態と、前記移行役に当せんしたが前記移行役が入賞して実施されていない移行役内部中とが含まれ、
前記移行役実施中は、所定の条件が満たされることで終了し、
前記蓄積部に前記移行役が蓄積された場合、前記移行役が蓄積された前記移行役実施中が終了した以降、前記移行役実施中に移行する、請求項1の遊技機。
【請求項3】
前記特別役が、入賞することで遊技者にとって不利になるように構成されている、請求項1または2の遊技機。
【請求項4】
前記特別役実施状態が、遊技者にとって不利になるように構成されている、請求項1から3のいずれか1つの遊技機。
【請求項5】
前記特別役が、入賞する可能性のある操作順で前記ストップスイッチが操作された場合に遊技者にとって不利になるように構成されている、請求項1から3のいずれか1つの遊技機。
【請求項6】
前記特別役は、所定の操作順で前記ストップスイッチが操作された場合に入賞しないように構成されている、請求項1から5のいずれか1つの遊技機。
【請求項7】
前記移行役非実施中には、前記移行役に当せんしていない移行役非当せん状態と、前記移行役に当せんしたが前記移行役が入賞して実施されていない移行役内部中とが含まれ、
前記移行役実施中は、前記移行役内部中よりも出玉率が低くなるように構成されている、請求項1から6のいずれか1つの遊技機。
【請求項8】
前記移行役が入賞する可能性がある場合に、前記移行役が入賞する可能性を示唆する演出を行う演出制御部をさらに備える、請求項1から7のいずれか1つの遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一般遊技状態と、一般遊技状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態を有し、特別遊技状態で遊技可能な遊技数を上乗せ可能な遊技機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-77324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、遊技機分野においては、遊技者のニーズに応えるために、多種多様な遊技性を提供可能な遊技機が求められている。
【0005】
本発明は、新たな遊技性を提供可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の遊技機は、
複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リールと、
遊技者によりそれぞれ操作可能なスタートスイッチおよび複数のストップスイッチと、
前記回転リールが全て停止している状態で行われた前記スタートスイッチの操作に伴って内部抽せんを行う内部抽せん部と、
前記回転リールが全て停止している状態で前記スタートスイッチが操作された場合は、前記回転リールを回転させ、前記回転リールが回転している状態で前記ストップスイッチが操作された場合は、前記内部抽せんにより当せんした役および前記ストップスイッチが操作されたタイミングに応じて、操作された前記ストップスイッチに対応する前記回転リールを停止させる回転リール制御部と
を備え、
前記内部抽せんにより当せんする役として、特別役と、移行役とを有し、
遊技状態として、前記内部抽せんにより前記移行役に当せん不可能な一般遊技状態と、前記特別役に入賞することで付与されると共に前記内部抽せんにより前記移行役に当せん可能な特別役実施状態とを有し、
前記特別役実施状態には、前記移行役が入賞して実施されていない移行役非実施中と、前記移行役が入賞して実施されている移行役実施中とが含まれ、
前記移行役実施中は、前記移行役非実施中と比較して遊技者にとって不利になるように構成されている、遊技機であって、
前記移行役実施中に当せんした前記移行役を蓄積する蓄積部をさらに備える。
【発明の効果】
【0007】
前記態様の遊技機によれば、移行役実施中は、移行役非実施中と比較して遊技者にとって不利になるように構成され、移行役実施中に当せんした移行役が蓄積される。このような構成により、例えば、特別役に入賞した場合、移行役の入賞を避けて不利を回避する新たな遊技性を提供可能な遊技機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の遊技機であるスロットマシンの前面図。
図2図1のスロットマシンのブロック図。
図3図1のスロットマシンの回転リールの配列を示す図。
図4図1のスロットマシンの有効ラインを示す模式図。
図5図1のスロットマシンの第1遊技状態を説明するための図。
図6図1のスロットマシンの第2遊技状態を説明するための図。
図7図1のスロットマシンの第3遊技状態を説明するための図。
図8図1のスロットマシンの遊技区間を説明するための図。
図9図1のスロットマシンの内部抽せんテーブルの内容を説明するための図。
図10図1のスロットマシンの特別役実施状態中の遊技処理を説明するための第1のフローチャート。
図11図1のスロットマシンの特別役実施状態中の遊技処理を説明するための第2のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態の遊技機の一例であるスロットマシン1は、図1に示すように、直方体形状の筺体10を備えている。この筺体10は、前面(すなわち、図1の紙面貫通方向の手前側の面)に図示しない開口部と、この開口部を開閉可能な板状の前扉20とを有している。
【0010】
前扉20は、その略中央部分に設けられた透光性の表示窓21を有し、筺体10に対してロック可能に取り付けられている。表示窓21は、前扉20により筺体10の開口部を閉鎖した状態で、後述する各回転リール41,42,43の表面に配置された複数の図柄を視認可能に配置されている。
【0011】
また、筺体10は、液晶表示装置22、電飾装置23およびスピーカ24を有している。液晶表示装置22、電飾装置23およびスピーカ24の各々は、前扉20の表示窓21の上部に配置されている。遊技中の各種の演出は、液晶表示装置22、電飾装置23、および、スピーカ24を用いて行われる。例えば、液晶表示装置22は、遊技中に各種の演出画像(演出動画)を表示したり、所定の情報等を表示したりする。また、電飾装置23は、所定の条件を満たした場合に、所定のパターンで点灯または消灯し、スピーカ24は、所定の条件を満たした場合に、所定の音を出力する。
【0012】
また、筺体10は、メダルが払い出される払い出し口25、払い出し口25から払い出されたメダルを貯留する下皿26および操作部30を有している。払い出し口25、下皿26および操作部30の各々は、前扉20の表示窓21の下部に配置されている。
【0013】
操作部30は、遊技媒体の一例としてのメダルを投入するためのメダル投入口31と、メダルをベットするためのベットスイッチ32と、前扉20に操作可能に設けられ操作により各回転リール41,42,43を回転させるスタートスイッチ33と、前扉20に操作可能に設けられ操作により回転中の各回転リール41,42,43を停止させるストップスイッチ34,35,36とを有している。操作部30の各スイッチは、遊技者の操作に基づいて操作信号を出力する。また、メダル投入口31には図示しないメダルセンサが設けられており、遊技者によるメダル投入口31へのメダルの投入を検出し、検出信号を出力する。
【0014】
なお、操作部30には、他に、精算スイッチ(図示せず)および表示部の一例の貯留メダル表示部(図示せず)等が設けられている。この貯留メダル表示部は、貯留されたメダルの数に加えて、後述する遊技区間が有利区間であることが表示可能に構成されている。
【0015】
また、スロットマシン1は、図2に示すように、スロットマシン1全体を制御する制御装置100、回転リールユニット40、回転リール位置検出センサ44、および、メダルを払い出すホッパーユニット50を備えている。制御装置100、回転リールユニット40、回転リール位置検出センサ44、および、ホッパーユニット50は、スロットマシン1の主電源をオン/オフする電源装置(図示せず)、スロットマシン1の設定値を変更するときに管理者が操作する設定部45等と共に、筺体10の内部に配置されている。
【0016】
回転リールユニット40は、筺体10の内部の略中央に配置され、複数の回転リール(この実施形態では、3つの回転リール41,42,43)と、この回転リール41,42,43を駆動するステッピングモータ61,62,63とで構成されている。各回転リール41,42,43は、略円筒状で、その表面には、図3に示すように、各回転リール41,42,43の周方向に沿って間隔を空けて配列された複数の図柄と、基準点(図示せず)とが設けられている。基準点は、例えば、回転リール41,42,43のゼロ番の図柄(ベルA)の中心に配置されている。
【0017】
ここで、図1図9を参照して、スロットマシン1で行われる遊技の概要について説明する。
【0018】
図1に示すように、スロットマシン1で遊技を行う場合、まず、メダルをメダル投入口31から投入する、または、ベットスイッチ32を操作することにより貯留しているメダル(すなわち、クレジット)を使用して、メダルをベットする。予め設定されている規定の枚数(例えば、1~3枚)のメダルがベットされると、有効ラインが有効化され、スタートスイッチ33の操作が可能な状態、すなわち、遊技が開始可能な状態になる。このとき、遊技状態等に応じて設定されている規定の枚数を超えて投入されたメダルは、クレジットとして貯留される。
【0019】
有効ラインは、図4に示すように、役の入賞を決定するための仮想ラインであり、この有効ラインによって、表示窓21に表示される各回転リール41,42,43の図柄が、それぞれ1つずつ連結されている。このスロットマシン1では、有効ラインは、例えば、右下がりライン70で構成され、所定枚数(例えば、3枚)のメダルがベットされることにより有効化される。なお、一例として、このスロットマシン1の表示窓21に表示される図柄は、各回転リールにつき3図柄である。
【0020】
遊技が開始可能な状態でスタートスイッチ33が操作されると、スロットマシン1内で行われる電子計算機によるくじ(以下、内部抽せんという。)が行われ、各回転リール41,42,43の回転が開始される。この状態で、いずれかのストップスイッチ34,35,36が操作されると、操作されたストップスイッチ34,35,36に対応する回転リール41,42,43が停止し、表示窓21に、当せんした役に応じた結果が表示される。全ての回転リール41,42,43が停止すると、入賞した役に応じて、所定の枚数のメダルが払い出され、1ゲームが終了する。この実施形態では、全ての回転リール41,42,43が停止した状態で、内部抽せんにより当せんした役毎に設定された図柄の組み合わせが、有効ライン70上に配置された場合に、有効ライン70上に配置された図柄の組み合わせに対応する役が入賞したと判定される。なお、有効ライン70上に役に対応する図柄の組み合わせが停止しなかった場合(いわゆるハズレ時)も、入賞に含まれる。
【0021】
このように、ベットスイッチ32、スタートスイッチ33およびストップスイッチ34,35,36を操作して、遊技の結果を得る一連の動作を遊技という。遊技の単位はゲームであり、1ゲームを単位遊技という。
【0022】
また、遊技中は、複数の遊技区間の中から1つの遊技区間が設定され、複数の遊技状態の中から1つ遊技状態が設定される。そして、設定された遊技区間および遊技状態に基づいて、内部抽せんが行われる。遊技状態には、図5図7に示すように、第1遊技状態、第2遊技状態および第3遊技状態が含まれる。
【0023】
第1遊技状態は、内部抽せんにより当せんする役(以下、単に当せん役という。)のうち、リプレイ役の種類(図9参照)およびその当せん確率を決定するための遊技状態であり、一例として、図5に示すように、RT0と、RT1とで構成されている。
【0024】
RT0は、第2遊技状態が特別役実施状態から特別役非持ち越し状態に移行した場合、または、遊技状態の初期化時(例えば、RAMクリア時)に設定される(すなわち、第1遊技状態がRT1からRT0に移行する)。また、スロットマシン1が店舗等に設置された直後の第1遊技状態もRT0に設定されている。言い換えると、第1遊技状態は、一種BBが実施されている場合を除いて、全てRT0に設定されている。
【0025】
RT1は、第2遊技状態が特別役非持ち越し状態から特別役実施状態に移行した場合に設定される(すなわち、第1遊技状態がRT0からRT1に移行する)。RT1では、図9に示すように、リプレイ役および一種BBに当せんする可能性はない。また、RT1では、後述する区間移行抽せんおよび後述するAT抽せんが行われない。
【0026】
第2遊技状態は、内部抽せんにより当せんした一種BBの入賞が持ち越されていない特別役非持ち越し状態と、内部抽せんにより当せんした一種BBの入賞が持ち越されている特別役持ち越し状態と、入賞した一種BBを実施するための特別役実施状態とを含む。
【0027】
特別役非持ち越し状態は、特別役実施状態に移行したときから払い出されたメダルが所定数(例えば、180枚)を超えた場合、または、遊技状態の初期化(例えば、RAMクリア時)などの所定条件を満たした場合に設定される。
【0028】
特別役持ち越し状態は、内部抽せんにより一種BBに当せんしかつ後述する所定の条件を満たした場合に設定される。一種BBは、一種特別役物に係る役物連続作動装置(いわゆるビッグボーナス)であり、特別役の一例である。一種BBが持ち越されている場合、一種BBの抽せんは行われない。また、持ち越されている一種BBのフラグは、設定値を変更しても消滅しないように構成されているが、消滅するように構成しても構わない。
【0029】
特別役実施状態は、内部抽せんにより特別役に当せんしかつ入賞した場合に設定され、移行役の一例のRB(例えば、図9のJAC1~4)が入賞して実施されていない移行役非実施中と、RBが入賞して実施されている移行役実施中(図6中、「JAC中」で示す)とが含まれる。移行役実施中は、例えば、移行役非実施中よりも小役の当せん確率および/または出玉率が低く、移行役非実施中と比較して遊技者にとって不利になるように構成されている。
【0030】
一例として、移行役非実施中には、RBに当せんしていない移行役非当せん状態(図6中、「BB一般」で示す)と、RBに当せんしたが前記移行役が入賞して実施されていない移行役内部中(図6中、「JAC内部」で示す)とが含まれる。BB一般は、特別役が入賞した場合でかつ内部抽せんによりRBに当せんしていない場合に設定される。JAC内部は、第2遊技状態がBB一般であるときに、内部抽せんによりRBに当せんしかつRBが入賞していない場合に設定される。JAC中は、内部抽せんにより当せんしたRBが入賞した場合に設定され、所定の条件が満たされることで終了し、BB一般に移行する。所定の条件は、例えば、JAC中に移行したときから12ゲーム消化するか、または、JAC中に何らかの役が8回入賞することで、満たされる。
【0031】
一種BBは、入賞することで遊技者にとって不利となる特別役(いわゆるペナルティボーナス)の一例である。スロットマシン1では、一種BBは、所定の操作順でストップスイッチ34、35、36が操作された場合に入賞しないように構成されている。
【0032】
「入賞すると遊技者とって不利となる」とは、「入賞することで相対的にメダル獲得期待度がマイナスになり、メダルが減少する状態が続く」、「入賞することで遊技全体におけるメダルの獲得期待値が低下する」、「入賞することでAT抽せんなどが行われず時間を浪費する」、「指示機能に係る抽せんが行われなかったり、指示が発生する可能性がある役に当せんしても指示が発生しなかったりする」または「いわゆる天井到達までに必要なゲーム数が減らない」など、「入賞した場合と入賞しなかった場合とを比較して不利となる」ことを意味する。逆に、「入賞することで遊技者にとって有利となる」とは、「入賞した場合と入賞しなかった場合とを比較して有利となる」ことを意味する。
【0033】
例えば、一種BBに入賞すると、一種BB入賞後に獲得したメダルが180枚を超えるまで、区間移行抽せんおよびAT抽せんが行われない。また、RB実施中では、殆どの遊技で一枚役が当せんして、出玉率が100%未満になる。つまり、RB実施中は、区間移行抽せんおよびAT抽せんが行われないことに加えて、メダルの獲得期待値が移行役実施中に比べて少なくなる。そのため、RB実施中は、遊技者にとって不利となるといえる。
【0034】
第3遊技状態は、遊技中に行われる演出を決定するための状態であり、一例として、図7に示すように、一般遊技状態とATとで構成されている。
【0035】
一般遊技状態は、指示機能が発生しない状態であり、例えば、設定値の変更後、RAMクリア後およびAT終了後、AT抽せんに当せんするまで設定される。スロットマシン1では、一般遊技状態として、通常状態と、AT抽せんに当せんする確率が通常状態よりも高い(言い換えると、通常状態よりもATが付与され易い)高確率状態とを有している。高確率状態は、例えば、いわゆるCZ(チャンスゾーン)を含み、指示機能が一時的に発生することができるが、ATよりも発生頻度が低くなるように構成されている。AT抽せんは、一例として、第1遊技状態がRT0であり、かつ、遊技区間が有利区間である場合に、内部抽せんにより当せんした役に応じて行われる。通常状態から高確率状態への移行は、例えば、第1遊技状態がRT0でかつ遊技区間が有利区間である場合に内部抽せんが行われ、その結果、AT抽せんに当せんしなかった場合に行われる高確率状態移行抽せんに当せんすることで行われる。
【0036】
ATは、指示機能が発生する特別遊技状態の一例であり、第3遊技状態がATに移行したときから経過した遊技数が、ATで遊技可能な期間に到達するまで設定される。ATでは、メダルの払い出しのある押し順役の押し順の報知が行われ、一般遊技状態(例えば、通常状態)よりもメダルの獲得期待値が高くなるように構成されている。例えば、第3遊技状態がATである間、報知された押し順通りに遊技者がストップスイッチ34,35,36を押すことで押し順役が入賞し、その押し順役に応じたメダルが払い出される。ATでの遊技数が遊技可能な期間に到達するまでこの動作が複数回繰り返されることで、遊技者は、出玉率が100%を超えるメダルを得ることができる。
【0037】
ATは、通常状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態の一例であり、AT抽せんは、特別遊技状態抽せんの一例である。また、ATの延長抽せんも特別遊技状態抽せんに含んでも構わない。
【0038】
遊技区間は、指示機能に係る処理が行われるか否かを決定するための状態であり、一例として、図8に示すように、有利区間と通常区間とで構成されている。
【0039】
有利区間は、指示機能に係る処理および抽せんを実行可能な区間であり、遊技区間が通常区間で行われた内部抽せんの結果に基づいて行われる区間移行抽せんに当せんした後、有利区間が終了する条件を満たすまで設定される。なお、有利区間には、第3遊技状態が一般遊技状態で進行する有利区間と、第3遊技状態が特別遊技状態(本実施形態では、AT)で進行する有利区間とが含まれる。
【0040】
通常区間は、指示機能に係る処理および抽せんを実行不可能な区間であり、遊技区間として有利区間が設定されていない場合に設定される。通常区間は、第3遊技状態が一般遊技状態で進行する。
【0041】
指示機能とは、出玉に影響する操作順(例えば、押し順役の押し順)または操作方法を何らかの方法によって遊技者に教える機能であり、例えば、ストップスイッチ34,35,36を所定の操作順で操作することで入賞可能な押し順役の押し順を指示する機能、または、ストップスイッチ34,35,36の操作が行われたときの回転リール41,42,43の位置が予め定められた操作位置であった場合に入賞可能な役の操作位置を指示する機能をいう。すなわち、遊技区間が有利区間である場合にのみ、第3遊技状態としてATが設定される。
【0042】
次に、制御装置100について説明する。制御装置100は、図2に示すように、メイン制御部110とサブ制御部120とで構成されている。
【0043】
メイン制御部110およびサブ制御部120の各々は、演算等を行うCPU、遊技の進行等に必要なプログラムまたはデータ等を記憶しておく記憶装置(例えば、ROMおよびRAM)等を備えている。メイン制御部110は、内部抽せん部111と、回転リール制御部112と、遊技結果判定部113と、区間制御部114と、遊技状態制御部115と、計測部116と、設定値制御部117と、蓄積部131とを有し、遊技を進行させるための制御を行う。サブ制御部120は、演出制御部121を有し、各種演出等を行うための制御を行う。
【0044】
なお、以下に説明するメイン制御部110およびサブ制御部120の各部は、例えば、CPUが所定のプログラムを実行することにより実現される機能である。
【0045】
内部抽せん部111は、複数の内部抽せんテーブルを有し、スタートスイッチ33の操作の受付に伴って、内部抽せんを行う。詳しくは、内部抽せん部111は、スタートスイッチ33の操作が受け付けられたときの第1遊技状態(言い換えると、RT状態)を判定し、判定されたRT状態に基づいて内部抽せんテーブルを選択する。そして、内部抽せん部111は、選択された内部抽せんテーブルと、スタートスイッチ33の操作が受け付けられたときに取得される乱数とに基づいて、内部抽せんを行う。
【0046】
例えば、当せん役については、図9に示す内部抽せんテーブルに基づいて決定される。この内部抽せんテーブルは、RT状態毎に設けられており、内部抽せんにより当せんの可能性がある当せん領域に関する情報を有している。この当せん領域には、図柄の組み合わせが対応付けられている役が、少なくとも1つ設定されている。
【0047】
図9では、RT状態および第2遊技状態毎に、当せんする可能性のある当せん領域が“○”で示され、当せんする可能性のない当せん領域が“×”で示されている。すなわち、各内部抽せんテーブルには、スタートスイッチ33の操作が行われた場合に取得される乱数に対応する役が記憶されている複数の領域(置数の領域)が設けられており、この領域の各々が、図9の“○”で示されている当せん領域にそれぞれ対応付けられている。
【0048】
例えば、スロットマシン1は、内部抽せんに当せんする役として、ストップスイッチ34、35、36を所定の操作順で操作することにより遊技媒体の払い出しが最大となる押し順役を有している。このスロットマシン1では、図9に示すように、押し順役として、「左ベル」、「中・左・右ベル」、「中・右・左ベル」、「右・左・中ベル」および「右・中・左ベル」を有している。各押し順役に当せんした場合、複数の役に同時に当せんする。これにより、各押し順役は、設定されている操作順通りにストップスイッチ34,35,36が操作された場合は、8枚のメダルの払い出される「ベル」が入賞する一方、設定されている操作順とは異なる順番でストップスイッチ34,35,36が操作された場合は、「ハズレ」または「1枚役」が入賞するように構成されている。
【0049】
回転リール制御部112は、スタートスイッチ33または各ストップスイッチ34、35、36の操作の受付に伴って回転リールユニット40のステッピングモータ61,62,63を制御して、各回転リール41,42,43の回転を開始または停止させる(すなわち、回転リール41,42,43の回転を制御する)。
【0050】
例えば、全ての回転リール41,42,43が停止している状態でスタートスイッチ33が操作された場合、回転リール制御部112は、全ての回転リール41,42,43を回転させる。いずれかの回転リール41,42,43が回転している状態で、回転中の回転リール41,42,43に対応するストップスイッチ34,35,36が操作された場合、回転リール制御部112は、操作されたストップスイッチ34,35,36に対応する回転リール41,42,43を停止させる。
【0051】
各回転リール41、42、43を停止させる場合、回転リール制御部112は、内部抽せんにより当せんした役と、各ストップスイッチ34,35,36が操作されたタイミング(すなわち、各ストップスイッチ34、35、36の操作が受け付けられたときの対応する回転リール41、42、43の位置)に応じて、引き込み制御または蹴飛ばし制御を行う。引き込み制御は、当せんした役に対応する図柄を有効ライン70上に引き込むように各回転リール41,42,43の回転を停止させる制御である。蹴飛ばし制御は、当せんしていない役に対応する図柄が有効ライン70上に揃わないように回転リール41,42,43の回転を停止させる制御である。
【0052】
遊技結果判定部113は、内部抽せんの結果および回転リール41,42,43の停止制御の結果に基づいて、遊技の結果を判定する。遊技の結果には、例えば、有効ライン上に揃った図柄に基づいて、当せんした役が入賞したか否かの判定が含まれる。
【0053】
遊技結果判定部113は、判定した遊技の結果、または、精算スイッチの操作の受付に基づいて、ホッパーユニット50を制御し、メダルの払い出しを行う。遊技の結果に基づいて払い出されたメダル(すなわち、役の当せんまたは入賞により得られたメダル)は、まず、クレジットとして貯留される。そして、メダルを貯留した結果、クレジットの上限(例えば、50枚)を超えた場合には、その上限を超えた分のメダルがホッパーユニット50から払い出される。また、1枚以上の貯留メダルがある場合(すなわち、クレジットが1以上の場合)に精算スイッチが操作された場合には、貯留されているメダルがホッパーユニット50から払い出される。
【0054】
遊技結果判定部113は、例えば、第3遊技状態がATに移行した場合、第3遊技状態がATに移行したことを表す信号をホールコンピュータに出力して、管理者に報知する。
【0055】
区間制御部114は、複数の遊技区間(この実施形態では、通常区間および有利区間)の中から遊技区間を設定する。
【0056】
具体的には、区間制御部114は、遊技区間が通常区間である場合に、遊技区間を通常区間のままとするか、または、有利区間を付与するかの抽せんである区間移行抽せんを行い、区間移行抽せんに当せんした場合に遊技区間を有利区間に設定する。区間移行抽せんの当否は、例えば、当せんにより区間移行抽せんが行われる役(すなわち、抽せん対象役)に内部抽せんにより当せんした場合に行われる抽せんに当せんしたか否かで決定される。
【0057】
区間移行抽せんは、スロットマシン1の設定値によって当せん確率に差を設けてもよいし、設けなくてもよい。区間移行抽せんの当せん確率に差を設ける場合、例えば、抽せん対象役の内部抽せんにおける当せん確率に設定差を設けることで実現してもよいし、内部抽せんにより抽せん対象役に当せんしたときに行われる抽せんの当せん確率に設定差を設けることで実現してもよい。
【0058】
区間制御部114は、指示機能に係る処理および抽せんを実行不可能な区間であって、遊技状態が一般遊技状態で遊技が進行する通常区間と、指示機能に係る処理および抽せんを実行可能な区間であって、遊技状態が一般遊技状態または特別遊技状態で遊技が進行する有利区間とを含む複数の遊技区間の中から内部抽せんが行われる1つの遊技区間を付与可能に構成されている。
【0059】
本実施形態では、区間制御部114は、遊技区間が有利区間である場合、遊技区間を有利区間のままとするか、または、通常区間を付与するかを決定する。例えば、区間制御部114は、遊技区間が有利区間でありかつ所定の終了条件が満たされる場合に通常区間を付与する。終了条件は、例えば、計測部116で計測された遊技区間が有利区間に設定された以降に経過した遊技数(すなわち、有利区間消化ゲーム数)が所定値(例えば、1500ゲーム)に到達した場合、または、遊技区間が有利区間に設定された以降のメダルの差枚数が所定値(例えば、2400枚)に到達した場合に満たされる。メダルの差枚数(言い換えると、メダルの払い出し差数)は、ベットしたメダルの枚数と払い出したメダルの枚数との差を累計したものをいう。
【0060】
遊技区間が有利区間に移行した場合、区間制御部114は、有利区間中に指示機能が作動し、かつ、役物(すなわち、RBまたはCT)および役物連続作動装置(すなわち、一種BB)を除いて小役を払い出し枚数最大で入賞させるように遊技を進めた場合の出玉率の平均が100%を超える場合にのみ、操作部30に設けた表示部を介して、有利区間であることを表示する。
【0061】
遊技状態制御部115は、特別遊技状態抽せん部1151を有し、第1遊技状態、第2遊技状態および第3遊技状態の移行を制御する。
【0062】
例えば、遊技状態制御部115は、複数のRT状態(この実施形態では、R0およびRT1)の中から内部抽せんが行われる1つのRT状態を設定する。具体的には、遊技状態制御部115は、前述のとおり、第2遊技状態が特別役非持ち越し状態に移行した場合、第1遊技状態をRT0に設定し、第2遊技状態が特別役実施状態に移行した場合、第1遊技状態をRT1に設定する。また、遊技状態制御部115は、所定の条件が満たされた場合に、第2遊技状態をBB一般(移行役非当せん状態)、JAC内部(移行役内部中)およびJAC中(移行役実施中)の各遊技状態に移行させる。
【0063】
特別遊技状態抽せん部1151は、予め設定された抽せん条件(以下、単に、抽せん条件という。)が満たされた場合に、遊技状態を通常状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行させるか否かの特別遊技状態抽せんを行う。
【0064】
前述の通り、特別遊技状態抽せんには、AT抽せん、高確率状態移行抽せん、および、ATまたは高確率状態の延長抽せんが含まれる。抽せん条件は、移行する特別遊技状態に応じて予め設定されている。例えば、AT抽せんは、内部抽せんにより所定の役(例えば、チェリー、スイカ等のいわゆるレア役)に当せんした場合に行われる。また、例えば、高確率状態移行抽せんは、第1遊技状態がRT0でかつ遊技区間が有利区間であるときに内部抽せんによりレア役に当せんしたが、AT抽せんに当せんしなかった場合に行われる。
【0065】
計測部116は、例えば、遊技結果判定部113により判定された遊技の結果に基づいて、遊技区間が有利区間に設定された以降に経過した遊技数(すなわち、有利区間消化ゲーム数)、および、遊技区間が有利区間に設定された以降のメダルの払い出し差数を計測する。また、例えば、計測部116は、全ての回転リール41,42,43が定常回転となった以降に設定された起算点から経過した時間を計測する。
【0066】
設定値制御部117は、管理者が設定部45を操作することにより、遊技に対する有利度合い(例えば、機械割)が異なる複数の設定値(この実施形態では6つ)の中から1つの設定値を設定する。有利度合いの差は、例えば、所定の役に対する内部抽せんの当せん確率に差を設けることで実現している。また、設定値制御部117は、有利区間への移行率、AT抽せん、AT上乗せ抽せん等の出玉関連の有利度合を設定する。
【0067】
設定値を設定する方法の一例を以下に示す。この方法は、(1)から(7)の順に行われる。
(1)前扉20を開ける。
(2)スロットマシン1の主電源をオフする。スロットマシン1の主電源をオフすることで、回転中の回転リール41、42、43は全て停止するが、この回転リール41、42、43の停止による入賞判定は行われない。
(3)設定部45の所定箇所に設定変更キーを挿入し、設定変更モードをオフからオンに変更する。
(4)スロットマシン1の主電源をオンする。
(5)現在の設定値が、例えば、操作部30の貯留メダル表示部に表示される。所定のボタンを操作して、貯留メダル表示部に表示された設定値を所望の設定値に合わせる。
(6)スタートスイッチ33を操作する。スタートスイッチ33を操作することで、スロットマシン1の設定値が貯留メダル表示部に表示された設定値に変更される。
(7)設定変更モードをオンからオフに変更して、設定変更キーを抜出する。
【0068】
蓄積部131は、JAC中に当せんしたRBを蓄積する。JAC中にRBが蓄積され、特別役実施状態の終了条件が満たされていない場合、第2遊技状態は、JAC中終了後、JAC内部中に移行する。換言すると、スロットマシン1では、JAC中終了後、移行役であるRBに当せんしなくても、第2遊技状態がJAC中からJAC内部中に移行可能に構成されている。特別役実施状態の終了条件は、例えば、特別役実施状態に移行したときから払い出されたメダルが所定数(例えば、180枚)を超えた場合に満たされる。蓄積されたRBは、例えば、遊技状態の初期化時(例えば、RAMクリア時)に消去される。
【0069】
演出制御部121は、内部抽せんが行われた遊技状態と、内部抽せんの結果とに基づいて、1ゲーム毎に演出を決定し、液晶表示装置22、電飾装置23、および、スピーカ24を介して、決定された演出を出力する。
【0070】
例えば、演出制御部121は、第2遊技状態がBB一般またはJAC内部でありかつRBが入賞する可能性がある場合に、RBが入賞する可能性を示唆する演出を行う。この演出は、例えば、液晶表示装置22にナビを表示してRBが入賞する可能性があることを直接的に報知する演出であってもよいし、液晶表示装置22をフラッシュさせてRBが入賞する可能性があることを間接的に報知する演出であってもよい。
【0071】
図10および図11を参照して、スロットマシン1の特別役実施状態中の遊技処理について説明する。以下に説明する処理は、一例として、CPUが所定のプログラムを実行することで実施される。
【0072】
図10に示すように、一種BBに当せんして、所定の操作順以外の操作順でストップスイッチ34、35、36が操作されると一種BBが入賞し、遊技状態制御部115が第2遊技状態を特別役実施状態のBB一般に移行させる(ステップS1)。
【0073】
第2遊技状態がBB一般に移行すると、遊技状態制御部115は、特別役実施状態が終了したか否かを判定する(ステップS2)。特別役実施状態が終了したと判定された場合、特別役実施状態中の遊技処理が終了する。
【0074】
特別役実施状態が終了していないと判定された場合、遊技状態制御部115は、内部抽せんによりRBに当せんしたか否かを判定する(ステップS3)。RBに当せんしていないと判定されると、ステップS2に戻り、別役実施状態が終了したか否かが判定される。
【0075】
RBに当せんしたと判定された場合、遊技状態制御部115は、当せんしたRBが入賞したか否かを判定する(ステップS4)。
【0076】
当せんしたRBが入賞しなかったと判定された場合、遊技状態制御部115は、第2遊技状態をBB一般からJAC内部に移行させる(ステップS5)。
【0077】
第2遊技状態がJAC内部に移行すると、遊技状態制御部115は、特別役実施状態が終了したか否かを判定する(ステップS6)。特別役実施状態が終了したと判定された場合、特別役実施状態中の遊技処理が終了する。特別役実施状態が終了していないと判定された場合、ステップS4に戻り、当せんしたRBが入賞したか否かが判定される。
【0078】
図11に示すように、ステップS4において当せんしたRBが入賞したと判定された場合、遊技状態制御部115は、第2遊技状態をBB一般またはJAC内部からJAC中に移行させる(ステップS7)。
【0079】
第2遊技状態がJAC中に移行すると、遊技状態制御部115は、特別役実施状態が終了したか否かを判定する(ステップS8)。特別役実施状態が終了したと判定された場合、特別役実施状態中の遊技処理が終了する。
【0080】
特別役実施状態が終了していないと判定された場合、遊技状態制御部115は、JAC中が終了したか否かを判定する(ステップS9)。JAC中が終了していないと判定された場合、ステップS7に進み、第2遊技状態はJAC中のまま移行しない。
【0081】
JAC中が終了したと判定されると、遊技状態制御部115は、蓄積部131がJAC中に当せんしたRBを蓄積しているか否かを判定する(ステップS10)。RBが蓄積されていると判定された場合、ステップS5に進み、第2遊技状態がJAC中からJAC内部に移行する。RBが蓄積されていないと判定された場合、ステップ1に進み、第2遊技状態がBB一般に移行する。
【0082】
スロットマシン1は、次のような効果を発揮できる。
【0083】
スロットマシン1では、JAC中(移行役実施中の一例)は、BB一般およびJA内部(移行役非実施中の一例)と比較して遊技者にとって不利になるように構成され、JAC中に当せんしたRB(移行役の一例)が蓄積される。このような構成により、例えば、一種BB(特別役の一例)に入賞した場合、RBの入賞を避けて不利を回避する新たな遊技性を提供可能なスロットマシン1を実現できる。言い換えると、例えば、第2遊技状態がJAC中に移行してしまい、移行役であるRBが蓄積されると、JAC中終了後、すぐにJACの入賞を回避する状態(つまり、JAC内部中)に移行するので、遊技性が向上する。また、JAC中にJACが蓄積されないように願いながら遊技者に遊技させることもできる。さらに、遊技機の適合試験においては、JAC中への移行を優先する場合があり、出玉の過剰な抑制が可能になる。
【0084】
スロットマシン1は、次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成を任意に採用できる。つまり、次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成は、前記実施形態に含まれていた場合は任意に削除でき、前記実施形態に含まれていない場合は任意に付加することができる。このような構成を採用することにより、有利区間の終了に起因する遊技者の遊技意欲の低下をより確実に防止できるスロットマシン1を実現できる。
【0085】
移行役非実施中には、RBに当せんしていないBB一般と、RBに当せんしたがRBが入賞して実施されていないJAC内部とが含まれ、JAC中は、所定の条件が満たされることで終了し、蓄積部131にRBが蓄積された場合、RBが蓄積されたJAC中が終了した以降、JAC中に移行する。このように、RBが蓄積されていれば、その分JAC中が複数回実施されるので、その分出玉の過剰な抑制が可能となる。その結果、遊技機の適合試験に適合し易くなる。
【0086】
一種BBが、入賞することで遊技者にとって不利になるように構成されている。一種BBは、入賞することで不利になるように構成されている場合に限らず、入賞する可能性のある操作順でストップスイッチ34、35、36が操作された場合に遊技者にとって不利になるように構成されていてもよい。一種BBが、入賞する可能性のある操作順でストップスイッチ34、35、36が操作された場合に遊技者にとって不利になるように構成されている場合、ストップスイッチ34、35、36の押し順によって、遊技者にとって不利な役である一種BBの入賞を容易に回避できる。
【0087】
特別役実施状態が、遊技者にとって不利になるように構成されている。
【0088】
一種BBは、所定の操作順で前記ストップスイッチ34、35、36が操作された場合に入賞しないように構成されている。
【0089】
JAC中は、JAC内部よりも出玉率が低くなるように構成されている。このような構成により、特別役実施状態においてRBの入賞を避ける動機が生まれ、遊技性をより向上させることができる。
【0090】
RBが入賞する可能性がある場合に、RBが入賞する可能性を示唆する演出を行う演出制御部121をさらに備える。このような構成により、RBの入賞を回避するタイミングを遊技者に認識させることができる。
【0091】
スロットマシン1は、次のように構成することもできる。
【0092】
特別役実施状態には、移行役非実施中と、移行役実施中とが含まれていればよい。例えば、特別役実施状態は、BB一般と、JAC中とで構成してもよいし、BB一般、JAC内部およびJAC中以外の他の遊技状態を含むこともできる。
【0093】
蓄積部131にRBが蓄積された場合、RBが蓄積されたJAC中が終了した以降、JAC内部を経由してJAC中に移行するように構成されている場合に限らず、例えば、JAC内部を経由せずにJAC中に移行するように構成されていてもよい。例えば、JAC中が終了したとき、特別役実施状態の終了条件が満たされていない場合に、蓄積されたRBの1つを消費するように蓄積部131を構成する。このように構成することで、JAC中終了後、RBに当せんしなくてもRB入賞が可能になり、第2遊技状態をJAC中からJAC内部を経由せずに再びJAC中に移行させることができる。
【0094】
一種BBは、入賞した場合、または、入賞する可能性がある操作順でストップスイッチ34、35、36が操作された場合であっても、遊技者にとって不利とならないように構成することもできる。
【0095】
一種BBは、ストップスイッチ34、35、36をいずれの操作順で操作しても入賞可能に構成することもできる。また、一種BBは、所定の操作順に加えて所定のタイミングでストップスイッチ34、35、36が操作された場合に入賞しないように構成することもできる。
【0096】
JAC中は、JAC内部よりも出玉率が低くなるように構成されている場合に限らず、JAC内部と出玉率が略同じまたはJAC内部よりも出玉率が高くするように構成してもよい。
【0097】
RBが入賞する可能性がある場合にRBが入賞する可能性を示唆する演出は、行わなくてもよい。
【0098】
特別遊技状態は、一般遊技状態よりも遊技者にとって有利であればよい。例えば、特別遊技状態は、ATに限らず、ARTであってもよい。また、特別遊技状態は、所定のゲーム数を1セットとしたセット管理型であってもよいし、ゲーム数管理型であってもよい。
【0099】
終了条件を満たすことで有利区間が終了する場合、例えば、終了する間際にエンディング演出を実行してもよい。
【0100】
区間制御部114による有利区間の通常区間への強制的設定の条件は、有利区間消化ゲーム数が1500ゲームに到達する、および、有利区間のメダルの払い出し差数が2400枚に到達することに限らない。これらの条件とは異なる条件で、有利区間を通常区間に強制的に設定してもよいし、また、有利区間を通常区間に強制的に設定する条件を設けなくてもよい。例えば、有利区間消化ゲーム数が1500ゲームに到達することで有利区間が通常区間に強制的に設定されるが、有利区間のメダルの払い出し差数が2400枚に到達することでは、有利区間が通常区間に強制的に設定されないように構成してもよい。また、例えば、有利区間が通常区間に強制的に設定された場合を除いて、一旦、遊技区間が有利区間に設定されると、いわゆるボーナス(例えば、一種BB)が1回入賞するか、または、メダルの払い出しが最大となる押し順役(例えば、押し順ベル)の押し順を1回報知するまでは、有利区間を通常区間に設定できないように構成してもよい。
【0101】
スロットマシン1の設定値が変更された場合、遊技区間は、スロットマシン1の設定値が変更される直前の状態を引き継ぐように設定してもよいし、予め設定されている初期状態に設定される(すなわち、初期化される)ようにしてもよい。
【0102】
前記実施形態では、有利区間中に指示機能が作動し、かつ、役物および役物連続作動装置を除いて小役を払い出し枚数最大で入賞させるように遊技を進めた場合の出玉率の平均が100%を超える場合にのみ、有利区間であることが表示部に表示されるように構成しているが、これに限らない。例えば、遊技区間が有利区間へ移行したときに、表示部に有利区間中であることを必ず表示されるように構成してもよい。
【0103】
前記実施形態では、遊技区間が有利区間に移行した場合、区間制御部114が、操作部30に設けた表示部を介して、遊技区間が有利区間であることを表示するように構成しているが、これに限らない。例えば、液晶表示装置22が表示部を兼ねるように構成してもよいし、表示部を省略して遊技区間が有利区間であることを表示しないように構成してもよい。表示部に有利区間であることが表示された後は、有利区間が終了するまで、有利区間であることを表示し続けてもよいし、有利区間であることを表示し続けなくてもよい。
【0104】
制御装置100は、ソフトウェアと協働して所定の機能を実行するCPUに代えて、ハードウェアのみで所定の機能を実現するように専用に設計されているFPGA(field-programmable gate array)、または、ASIC(application specific integrated circuit)を含んでいてもよい。
【0105】
メイン制御部110およびサブ制御部120は、それぞれ異なる基板に設けてもよいし、同一基板上に設けてもよい。すなわち、メイン制御部110およびサブ制御部120は、それぞれがCPU、ROMおよびRAM等を備えていてもよいし、CPU、ROMおよびRAM等を共有していてもよい。
【0106】
押し順役は、所定の押し順でストップスイッチ34,35,36を操作することにより入賞する場合に限らない。押し順役は、例えば、所定の位置でストップスイッチ34,35,36を操作することにより入賞するようにしてもよいし、所定の位置に加え、所定の押し順でストップスイッチ34,35,36を操作することにより入賞するようにしてもよい。
【0107】
内部抽せんテーブルは、図9に示されている情報に限らず、スロットマシンの設計に応じて、他の任意の情報を含むことができる。
【0108】
有効ラインは、少なくとも1本設定されていればよく、2本以上であっても構わない。
【0109】
可能であれば、メイン制御部110の構成をサブ制御部120に設けてもよいし、サブ制御部120の構成をメイン制御部110に設けてもよい。
【0110】
区間制御部114は省略できる。遊技区間(通常区間、有利区間)はなくてもよい。
【0111】
ホッパーユニット50から物理的にメダルが払い出される場合を例示したが、スロットマシン1は、ホッパーユニット50を有さない構成であってもよい。この場合、メダルの払い出しは、物理的な方法ではなく、電子的な方法で行われ、払い出されたメダルはデータとして記憶される。つまり、本明細書における「遊技媒体」には、メダル等の有体物に限らず、データ等の無体物が含まれる。
【0112】
高確率状態は、特別役実施状態の一例であってもよい。この場合、高確率状態移行抽せんは、特別遊技状態抽せんの一例であってもよい。高確率状態の延長抽せんを特別遊技状態抽せんに含めることもできる。
【0113】
なお、前記様々な実施形態または変形例のうちの任意の実施形態または変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせまたは実施例同士の組み合わせまたは実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態または実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
【符号の説明】
【0114】
1 スロットマシン
10 筺体
20 前扉
22 液晶表示装置
33 スタートスイッチ
34,35,36 ストップスイッチ
41,42,43 回転リール
100 制御装置
131 蓄積部
【要約】
【課題】新たな遊技性を提供可能な遊技機を提供すること
【解決手段】内部抽せんにより当せんする役として、特別役と移行役とを有し、遊技状態として、内部抽せんにより移行役に当せん不可能な一般遊技状態と特別役に入賞することで付与されると共に内部抽せんにより移行役に当せん可能な特別役実施状態とを有し、特別役実施状態には、移行役が入賞して実施されていない移行役非実施中と移行役が入賞して実施されている移行役実施中とが含まれ、移行役実施中は移行役非実施中と比較して遊技者にとって不利になるように構成されている遊技機が、移行役実施中に当せんした移行役を蓄積する蓄積部を備える。
【選択図】図11
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11