(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
B65B 9/067 20120101AFI20220512BHJP
【FI】
B65B9/067
(21)【出願番号】P 2017229191
(22)【出願日】2017-11-29
【審査請求日】2020-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】393027121
【氏名又は名称】シブヤパッケージングシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】今岡 範央
(72)【発明者】
【氏名】山村 健郎
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-040070(JP,A)
【文献】実開平07-031740(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/067
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ折りにして上部に開口部が形成された帯状の外装フィルムを搬送する外装フィルム搬送手段と、物品を把持する挿入グリッパと、上記挿入グリッパを上記外装フィルムの上方の把持位置と外装フィルムの内部の挿入位置との間で移動させる挿入グリッパ移動手段と、上記外装フィルムをシールするシール手段とを備えた包装装置において、
上記挿入位置に位置した挿入グリッパが把持した物品よりも下方に離隔し
、当該物品を挟持しないような位置で上記外装フィルムを外方から挟持する押え手段を備え、
上記押え手段が外装フィルムを挟持してから、外装フィルム内部の挿入位置に供給された物品が上記挿入グリッパから開放される
と、上記押え手段が外装フィルムに挿入された物品を外装フィルムを介して下方から支持することを特徴とする包装装置。
【請求項2】
上記押え手段は、上記シール手段が上記外装フィルムに挿入された物品の下流側部分の外装フィルムをシールしてから、上記外装フィルムを開放することを特徴とする請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
上記押え手段は、上記挿入グリッパから物品が開放される際に、外装フィルムの間隔が物品の厚みよりも狭められた第1挟持位置に位置することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の包装装置。
【請求項4】
上記押え手段は、上記挿入グリッパから物品が開放される際に、
物品の厚みよりも狭く、かつ密着しない上記第1挟持位置に位置し、かつ上記挿入グリッパが外装フィルムの外方に離脱してから、
第1挟持位置よりも隙間が狭い第2挟持位置に位置することを特徴とする請求項3に記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装装置に関し、詳しくは2つ折りにした帯状の外装フィルムの内部に挿入グリッパを移動させて物品を挿入する包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ティーバッグなどの物品を外装フィルム内に収容して包装する包装装置が知られ、2つ折りにした帯状の外装フィルムを搬送する外装フィルム搬送手段と、物品を把持する挿入グリッパと、上記挿入グリッパを上記外装フィルムの上方の把持位置から外装フィルムの内部の挿入位置へと移動させる挿入グリッパ移動手段と、上記外装フィルムをシールするシール手段とを備えた包装装置が知られている(特許文献1)。
また外装フィルムに収容された物品を外装フィルムごと外方から挟持する押え手段を備え、上記押え手段によって上記物品の内部の空気を排出するとともに、当該物品を外装フィルムの内部で位置決めするようにした包装装置も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-040070号公報
【文献】特許第3161880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1の包装装置の場合、把持手段によって外装フィルム内の挿入された物品を外装フィルムの外側から把持している間に、挿入位置に位置するグリッパを開放して外装フィルムから上昇させているが、安定した形状の物品以外には用いることができない。また、グリッパを上昇させる際に、物品の姿勢が乱れないように物品を把持するので、物品自身が痛んだり、外装フィルムに傷が付いたりする恐れがあった。
また特許文献2の包装装置の場合、外装フィルムの内部で物品の姿勢が乱れた場合には、上記押え手段が姿勢の乱れた物品を把持することとなってしまう。
このようにして物品の姿勢が乱れてしまうと、当該物品の搬送方向上流側や下流側、上側の開口部の外装フィルムをシールする際に、物品がシール手段に噛みこまれてしまう恐れがあった。
このような問題に鑑み、本発明は挿入グリッパによって挿入された外装フィルムの内部における物品の姿勢の乱れを可及的に防止することが可能な包装装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明における包装装置は、2つ折りにして上部に開口部が形成された帯状の外装フィルムを搬送する外装フィルム搬送手段と、物品を把持する挿入グリッパと、上記挿入グリッパを上記外装フィルムの上方の把持位置と外装フィルムの内部の挿入位置との間で移動させる挿入グリッパ移動手段と、上記外装フィルムをシールするシール手段とを備えた包装装置において、
上記挿入位置に位置した挿入グリッパが把持した物品よりも下方に離隔し、当該物品を挟持しないような位置で上記外装フィルムを外方から挟持する押え手段を備え、
上記押え手段が外装フィルムを挟持してから、外装フィルム内部の挿入位置に供給された物品が上記挿入グリッパから開放されると、上記押え手段が外装フィルムに挿入された物品を外装フィルムを介して下方から支持することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、上記押え手段が外装フィルムを挟持しているため、上記挿入位置で挿入グリッパから開放された物品が外装フィルムの内部でずり落ちても、当該物品を上記押え手段によって下方から支持することができ、ずり落ちてきた物品の姿勢が乱れていてもこれを修正することができ、上記シール手段による物品の噛みこみを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】挿入グリッパおよび挿入グリッパ移動手段についての正面図
【
図3】挿入グリッパを開閉させる開閉手段を説明する図
【
図4】挿入グリッパを開閉させる開閉手段を説明する図
【
図5】仮押さえローラ、挿入ガイド、押え手段を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について説明すると、
図1はティーバッグなどの物品1を帯状の外装フィルムFを切断して形成した製品バッグBに収容する包装装置2を示している。
上記包装装置2は、上記外装フィルムFを供給する外装フィルム搬送手段3と、上記物品1を供給する物品供給部4と、上記物品1を上記外装フィルムFに挿入する挿入部5と、上記外装フィルムFを各物品1ごとにシールするシール部6と、シールされた上記外装フィルムFを上記製品バッグBへと切断する切断部7とによって構成されている。
上記外装フィルムFは連続して形成された帯状のフィルムによって構成され、その幅方向の中央部で断面V字型となるように折り曲げられることで、その下端部には折り曲げ部が形成され、上端部には開口部が形成されるようになっている(
図3参照)。
本実施例の物品1は内部に茶葉やコーヒーの粉末等を収容した不織布製の袋であって、略4面体の袋を折りたたむことで、平坦なホームベース状の5角形に形成されるようになっている。そして上記外装フィルムFにはその下辺が略水平方向を向いた状態で収容されるようになっている(
図5参照)。
なお、以下の説明において搬送方向とは上記外装フィルム搬送手段3による外装フィルムFの搬送方向をいい、
図1では図示右方が搬送方向上流側、図示左方が搬送方向下流側となっている。
【0009】
上記外装フィルム搬送手段3は、図示しないロールから折り曲げられていない状態の外装フィルムFを引き出して搬送し、当該外装フィルムFの経路上には外装フィルムFを中央で折り曲げる折り曲げガイド3aと、折り曲げられた外装フィルムFを上記挿入部5まで維持する搬送ガイド3bとを備えている。
上記折り曲げガイド3aは上記挿入部5の搬送方向上流側に設けられており、略水平に送られた外装フィルムFの略中央を支点に両端部を上方に折り曲げることで、上部に上記開口部を形成するようになっている。
上記搬送ガイド3bは、上記折り曲げガイド3aの下流側から、上記シール部6の上流側に隣接した位置にかけて設けられ、折り曲げられた外装フィルムFの下端に形成された折り曲げ部を外装フィルムFの内側から支持して、外装フィルムFが折り曲げられた状態を維持するようになっている。
【0010】
上記物品供給部4は、上記物品1を搬送する搬送コンベヤ8と、搬送コンベヤ8上の物品1を薄く折りたたむ折りたたみ手段9と、折りたたまれた物品1を把持してこれを上記挿入部5に受け渡す受け渡し手段10とから構成されている。
上記物品1は内容物が収容された状態で上記搬送コンベヤ8上を搬送され、上記折りたたみ手段9によって外装フィルムFに収容可能な厚さへと折りたたまれるようになっている。
折りたたまれた物品1は略水平の状態となって搬送コンベヤ8上を搬送され、上記受け渡し手段10は当該略水平の状態で供給された物品1を把持するとともに、これを略90度回転させて物品1を略垂直に向けて、上記挿入部5へと受け渡すようになっている。
【0011】
上記挿入部5は、開閉可能に設けられて物品1を把持する挿入グリッパ11と、当該挿入グリッパ11を上記外装フィルムFの上方の把持位置から外装フィルムFの内部の挿入位置へと移動させる挿入グリッパ移動手段12と、上記物品1が収容された外装フィルムFを挟持する押え手段13とを有している。
本実施例では、上記物品供給部4に隣接した把持位置で物品1を把持した挿入グリッパ11は、搬送方向上流側を向いた状態から搬送方向下流側へと移動しながら下方に向けて揺動するようになっている(
図6(a)(b)参照)。
その後、挿入グリッパ11は外装フィルムFの内部に進入しながら下方を向き、上記物品1の下辺が略水平を向いた上記挿入位置へと移動し、当該挿入位置で物品1を開放するようになっている(
図7(c)参照)。
その後、物品1を開放した挿入グリッパ11は、下方を向いたまま上方に移動して外装フィルムFの外部に退避し、その後上記把持位置に向けて下流側から上流側へと揺動するようになっている(
図8(e)(f)参照)。
そして上記挿入グリッパ11が上記把持位置から挿入位置へと移動する際の移動軌跡上には、上記外装フィルムFの開口部の位置に設けられた挿入ガイド14と、外装フィルムFを両側から押圧する仮押さえ手段15とが設けられている。
【0012】
図2~
図4は上記挿入グリッパ11および挿入グリッパ移動手段12を説明する図となっている。
上記挿入グリッパ移動手段12は、外装フィルム搬送手段3の上方に固定された本体フレーム16と、当該本体フレーム16に対して上下に移動可能に設けられた移動フレーム17とを有し、上記挿入グリッパ11は上記移動フレーム17に揺動可能に設けられている。
さらに挿入グリッパ移動手段12は、上記挿入グリッパ11ごと移動フレーム17を昇降させる昇降手段18と、上記挿入グリッパ11を揺動させる揺動手段19と、上記挿入グリッパ11を開閉させる開閉手段20とを備え、これらの動作は図示しない制御手段によって制御されるようになっている。
【0013】
上記挿入グリッパ11は、
図3に示すように平行に設けられた2枚の板状部材によって構成され、粉塵等が外装フィルムFに落下しないよう、上記挿入グリッパ11だけが上記外装フィルム搬送手段3によって搬送される外装フィルムFの上方に位置するようになっている。
このため、上記本体フレーム16や移動フレーム17は外装フィルムFの上方から偏倚した位置に設けられ、挿入グリッパ11は上記揺動手段19および開閉手段20を構成する揺動アーム21の先端に水平方向に設けられたステー21aの先端に固定されている。
後述するように、上記挿入グリッパ11は上記開閉手段20によって外装フィルムFの搬送方向に対して直交方向に接離されるようになっており、これにより上記物品1を上記挿入グリッパ11の間で把持するようになっている。
開閉する挿入グリッパ11の距離は物品1の厚さによって変更することが可能であり、例えば薄い物品1であれば当該物品1を把持する際の挿入グリッパ11同士の距離を狭く設定することができる。
一方、物品1を開放する際の挿入グリッパ11同士の距離は、挿入グリッパ11を外装フィルムFより離脱させる際に、当該挿入グリッパ11と共に物品1がずれてしまわないような距離を確保する必要がある。
また
図2に示すように、挿入グリッパ11の先端にはスリット11aが形成されており、上記挿入グリッパ11が上記物品供給部4から物品1を受け取る際に、上記物品1を把持した受け渡し手段10と干渉しないようになっている。
【0014】
次に、上記本体フレーム16と移動フレーム17とは両端部が回転可能に設けられた上方連結部材22および下方連結部材23によって連結され、上記上方連結部材22および下方連結部材23が略平行を維持したまま揺動することで、上記移動フレーム17は姿勢を維持したまま上下に移動するようになっている。
そして上記昇降手段18は、上記本体フレーム16に設けられた昇降用モータ24と、当該昇降用モータ24と上記上方連結部材22との間に設けられた昇降用リンク機構25とから構成されている。
上記昇降用モータ24は制御手段の制御によって駆動アーム24aを回転させ、上記昇降用リンク機構25は、上記上方連結部材22における本体フレーム16側の端部に連結固定された第1リンク25aと、上記駆動アーム24aと上記第1リンク25aとの間に設けられた第2リンク25bとによって構成されている。
このような構成により、上記昇降用モータ24が上記駆動アーム24aを回転させると、上記昇降用リンク機構25の第1リンク25aに連結された上記上方連結部材22が上下に揺動し、これにより上記移動フレーム17および挿入グリッパ11が上下に移動するようになっている。
上記挿入グリッパ11の昇降量は上記駆動アーム24aの回転角度によって調整することが可能であり、駆動アーム24aの回転角度を測定する図示しないセンサを用いて、上記制御手段が当該駆動アーム24aの回転角度を制御するようになっている。
【0015】
上記揺動手段19は、上記移動フレーム17に設けられるとともに先端に上記挿入グリッパ11が連結された上記揺動アーム21と、上記本体フレーム16に設けられた揺動用モータ27と、当該揺動用モータ27と上記揺動アーム21との間に設けられた揺動用リンク機構28とから構成されている。
上記揺動アーム21は、上記移動フレーム17に固定された回転軸29に回転可能に設けられており、当該揺動アーム21の回転軸29側の基部には、上記揺動用リンク機構28を構成する第1リンク28aが連結固定されている。
上記揺動用モータ27は制御手段の制御によって駆動アーム27aを回転させ、上記揺動用リンク機構28は、上記本体フレーム16に回転可能に設けられた略L字型の第2リンク28bと、当該第2リンク28bと上記駆動アーム27aとの間に設けられた第3リンク28cと、上記第2リンク28bと上記揺動アーム21に固定された第1リンク28aとの間に設けられた第4リンク28dとから構成されている。
このような構成により、上記揺動用モータ27が上記駆動アーム27aを回転させると、上記移動フレーム17の位置にかかわらず上記揺動用リンク機構28に連結された上記揺動アーム21が揺動し、これにより上記挿入グリッパ11が揺動するようになっている。
【0016】
上記開閉手段20は、先端に上記挿入グリッパ11が連結された上記揺動アーム21と、上記本体フレーム16に設けられた開閉用モータ30と、上記移動フレーム17に設けられたスイングアーム31と、上記開閉用モータ30とスイングアーム31との間に設けられた開閉用リンク機構32とによって構成されている。
上記揺動アーム21は、上記移動フレーム17に固定されている回転軸29に対して回転可能に設けられるとともに軸方向に進退動可能に設けられており、これら揺動アーム21は上記移動フレーム17に回転可能に設けられた上記スイングアーム31の両端にリンクを介して連結されている。
このような構成により、上記スイングアーム31が回転すると、上記揺動アーム21は上記回転軸29に沿って軸方向に移動して相互に接離するようになっており、これにより当該揺動アーム21に連結されている挿入グリッパ11が開閉するようになっている。
上記開閉用モータ30は制御手段の制御によって駆動アーム30aを回転させるようになっており、上記開閉用リンク機構32は、上記移動フレーム17に回転可能に設けられた略L字型の第1リンク32aと、当該第1リンク32aと上記駆動アーム30aとの間に設けられた第2リンク32bと、上記第2リンク32bと上記スイングアーム31との間に設けられたロッド32cとから構成されている。
このような構成により、上記開閉用モータ30が上記駆動アーム30aを回転させると、上記移動フレーム17の位置にかかわらず上記開閉用リンク機構32に連結された上記スイングアーム31が回転し、上記挿入グリッパ11を開閉させることが可能となっている。
上記挿入グリッパ11の開閉量は上記駆動アーム30aの回転角度によって調整することが可能であり、駆動アーム30aの回転角度を測定する図示しないセンサを用いて、上記制御手段が当該駆動アーム30aの回転角度を制御するようになっている。
【0017】
図5に示すように、上記挿入ガイド14は、上記外装フィルム搬送手段3によって搬送される外装フィルムFの開口部の内側に位置した2枚の板状部材によって構成されている。
また挿入ガイド14は上記挿入グリッパ11の移動軌跡上に設けられ、上記物品1を把持した挿入グリッパ11が通過するよう、上記外装フィルムFの開口部の上方に突出した部分が外装フィルムFの搬送方向に対して直交する方向に拡開するように設けられている。
このような構成とすることで、上記挿入グリッパ11が外装フィルムFの開口部の上方から下方に向けて揺動すると、挿入グリッパ11が上記2枚の板状部材の間に進入し、確実に外装フィルムFの内部に挿入グリッパ11を進入させることができる。
【0018】
図5に示すように、上記押え手段13は、開閉可能に設けられた押圧部材41と、当該押圧部材41を開閉させる開閉手段42と、上記押圧部材41を進退動させる押圧部材移動手段43とを備えている。
上記押圧部材41は上記外装フィルムFを挟んで両側に設けられており、上記開閉手段42は、先端に上記押圧部材41が固定された一対の開閉部材42aと、当該開閉部材42aを開閉させる図示しない駆動機構とから構成され、上記開閉部材42aは外装フィルムFの搬送方向上流側となる位置に設けられた回転軸42bを中心に揺動するようになっている。
このような構成により、上記開閉手段42によって押圧部材41を接近させると、最初に当該押圧部材41の搬送方向上流側の部分が相互に接近し、その後搬送方向下流側の部分位置が接近するようになっている。
また後述するように、上記押圧部材41は上記挿入位置に位置した挿入グリッパ11が把持している物品1よりも下方に離隔した位置で上記外装フィルムFを挟持するようになっており、上記物品1を挟持しないようになっている。
具体的には、押圧部材41の上辺と挿入位置に位置した挿入グリッパ11に把持された物品1の下辺とは相互に離隔しており、また押圧部材41の上辺と物品1の下辺とが略平行となるようになっている。
そして上記押圧部材移動手段43は、詳細な説明は省略するがエアシリンダやリンク機構によって構成され、上記開閉手段42ごと上記押圧部材41を外装フィルムFの搬送方向に往復動させるようになっている。
具体的には、
図5において破線で示すように、上記仮押さえ手段15の下流側に接近した後退位置と、上記シール部6の上流側に接近した前進位置との間で往復動するようになっている。
【0019】
図5に示すように、上記仮押さえ手段15は、上記挿入ガイド14に対して外装フィルムFの搬送方向下流側に隣接した位置に設けられ、また上記挿入グリッパ11による物品1の挿入位置よりも上流側に若干離隔した位置に設けられている。
仮押さえ手段15は外装フィルムFを挟んで設けられた一対のローラ15aと、当該ローラ15aを搬送方向に対して直交する方向に接離させる駆動手段15bとを有している。
上記ローラ15aは搬送方向に移動せず、その代わりに上記外装フィルムFの搬送に合わせて回転することで、外装フィルムFの搬送方向への移動を許容するようになっている。
上記ローラ15aを接近させた状態では、折り曲げられた状態で搬送される外装フィルムFの隙間を狭くすることができ、外装フィルムFに挿入された物品1の位置ずれを防止することができる。
一方、上記ローラ15aを離隔させた状態では、上記物品1を把持して上記挿入グリッパ移動手段12によって移動する挿入グリッパ11の通過を許容するようになっている。
【0020】
図1に示すように、上記シール部6は、上記挿入部5が外装フィルムFの内部に収容した物品1の位置決めを行う仮シール手段51と、仮シールによって位置決めされた物品1を外装フィルムFに密閉する本シール手段52とによって構成されている。
上記仮シール手段51は、外装フィルムFを挟んで対向して設けられた一対のヒーターユニット51aと、当該ヒーターユニット51aを外装フィルムFの搬送方向に往復動させる図示しない移動手段とによって構成され、上記ヒーターユニット51aによって両側から外装フィルムFを挟持することで、挟持された部分を溶着させてシールするようになっている。
本実施例の仮シール手段51は、上記挿入グリッパ11が外装フィルムFに収容した物品1の搬送方向下流側に隣接した部分を仮シールし、その後当該物品1が1ピッチ分搬送されると、今度は当該物品1の搬送方向上流側に隣接した部分を仮シールする。このように物品1の上流側および下流側を仮シールすることで当該物品1を外装フィルムFの内部に位置決めするようになっている。
上記移動手段は、上記ヒーターユニット51aを後退位置と前進位置との間で往復動させ、シールに伴ってヒーターユニット51aを外装フィルムFの搬送に合わせて下流側に移動させ、当該ヒーターユニット51aによる仮シールが完了すると、当該ヒーターユニット51aを離隔させるとともに、上流側に移動させるようになっている。
【0021】
上記本シール手段52は、
図1に示すように、仮シール手段51で位置決めされた物品1の上流側および下流側に隣接した部分、および外装フィルムFの開口部をシールするようになっている。
また上記切断部7は、上記本シール手段52によって物品1を密封した外装フィルムFを所要の位置で切断し、物品1が個別に包装された上記製品バッグBに分離するものとなっている。
なお、上記シール部6の本シール手段52や上記切断部7についての構成は従来公知であるため、これ以上の詳細な説明については省略するものとする。
【0022】
以下、上記構成を有する包装装置2の動作を
図6~
図8を用いて説明する。各図において、上段は包装装置2の正面側から見た図を、下段は包装装置2を平面的に見た図を示している。
図6(a)は上記挿入グリッパ11が上記物品供給部4から物品1を受け取る際の動作を示している。
この時、上記外装フィルムFの内部には、既にその直前に挿入された物品1が位置しており、当該物品1の搬送方向下流となる位置の外装フィルムFを上記シール部6の仮シール手段51によって仮シールしている。
一方上記挿入部5は、上記挿入グリッパ11は外装フィルムFの上方に退避した把持位置に位置しており、具体的には上記挿入グリッパ移動手段12の揺動手段19が当該挿入グリッパ11を搬送方向上流側に向け、かつ昇降手段18が上記移動フレーム17ごと挿入グリッパ11を下降位置に位置させている。
上記物品供給部4の受け渡し手段10は物品1を垂直方向に向けた状態で保持しており、上記開閉手段20が挿入グリッパ11を閉鎖して物品1を把持すると、上記受け渡し手段10は物品1を開放して挿入グリッパ11から退避する。
さらに、上記挿入部5の押え手段13は、上記押圧部材41が離隔して外装フィルムFを開放した状態となっており、また押圧部材移動手段43によって後退位置に向けて移動する途中となっている。
上記仮押さえ手段15のローラ15aは相互に接近した状態となっており、これにより搬送される外装フィルムFの間隔を狭くして、既に外装フィルムFの内部に収容されている物品1の位置ずれを防止するようになっている。
【0023】
図6(b)は、上記物品1を把持した挿入グリッパ11が上記挿入グリッパ移動手段12によって上記把持位置から挿入位置へと移動する途中の状態を示している。
上記挿入グリッパ11が上記外装フィルムFの開口部から当該外装フィルムFの内部に進入する際、挿入グリッパ11は上記挿入ガイド14を通過し、これにより挿入グリッパ11は確実に外装フィルムFの内部に進入することができる。
また上記仮押さえ手段15は上記ローラ15aを相互に離隔させており、上記挿入グリッパ11の通過を許容するようになっている。
一方上記挿入部5の押え手段13は、上記押圧部材41が離隔した状態を維持しつつ、上記移動手段によって後退位置に位置した状態となっている。
さらに、上記シール部6の仮シール手段51は、上記ヒーターユニット51aを外装フィルムFより離脱させ、後退位置から前進位置に向けて移動を開始している。
【0024】
図7(c)は、上記挿入グリッパ11が上記挿入グリッパ移動手段12によって外装フィルムFの挿入位置に位置した状態を示している。
上記挿入グリッパ11は上記揺動手段19によって下方を向き、また挿入グリッパ11に把持された物品1は外装フィルムFの折り曲げ部の上方に離隔した位置に保持され、その後開閉手段19によって挿入グリッパ11が開放されるようになっている。
このとき、上記シール部6の仮シール手段51は外装フィルムFを仮シールせず、上記ヒーターユニット51aを外装フィルムFより離脱させた状態で待機している。
このように、上記仮シール手段51によって物品1の近傍の外装フィルムFを仮シールしないことで、挿入グリッパ11が物品1を開放する際に当該挿入グリッパ11を大きく開くことが可能となる。
換言すると、仮シール手段51によって物品1の近傍の外装フィルムFをシールしてしまうと、シールされたことによって外装フィルムFの間隔が規制されてしまうため、挿入グリッパ11の開度が限定されてしまうこととなる。
そして、挿入グリッパ11を大きく開けば、挿入グリッパ11を外装フィルムFから離脱させる際に、物品1が挿入グリッパ11とともに移動しないようにすることができ、また挿入グリッパ11のこすれによる外装フィルムFの内面の損傷を防止することができる。
【0025】
一方
図7(c)の状態において、上記仮押さえ手段15はローラ15aを再度接近させて外装フィルムFを接近させており、外装フィルムFが過度に開くことによって挿入グリッパ11より開放された物品1の姿勢が乱れないようにしている。
さらに上記押え手段13は上記外装フィルムFを挟持する動作を開始しており、外装フィルムFを両側から密着させないものの、上記挿入グリッパ11が物品1を開放する際には、上記押圧部材41の間隔を外装フィルムFの間隔が上記物品1の厚みよりも狭くなるような第1挟持位置に位置させている。
具体的には、上記押圧部材移動手段43が外装フィルムFおよび挿入グリッパ11に把持された物品1と同期しながら押圧部材41を前進させ、また上記開閉手段42が押圧部材41を接近させる。
このとき、上記開閉手段42の開閉部材42aは、外装フィルムFの搬送方向上流側に設けられた回転軸42bを中心に揺動することから、上記押圧部材41の搬送方向上流側の端部から順次接近し、外装フィルムFの間隔が上流側から徐々に狭まるようになっている。
【0026】
ここで、上記押え手段13の上記押圧部材41を接近させるタイミングについては、外装フィルムFに収容する物品1の厚さに応じて、上記開閉手段42を制御することにより適宜調整することができる。
物品1の厚さが厚い場合には、挿入グリッパ11が開放されても物品1が外装フィルムFの下方にずり落ちにくく、一方で挿入グリッパ11の開度を大きくしなければならないことから、押圧部材41を接近させるタイミングを遅らせることが望ましい。
これに対し、物品1の厚さが薄い場合には、物品1が外装フィルムFの下方にずり落ちやすいことから、押圧部材41の接近するタイミングを早めにして、押圧部材41によって物品1を把持しないようにすることが望ましい。
また上記第1挟持位置についても、物品1の厚さに応じて適宜設定することが可能であり、外装フィルムFの間隔が上記物品1の厚みよりも狭くなるようにして、物品1のずり落ちが生じないようにすることができればよい。
ここで、押え手段13によって外装フィルムFを挟持するとは、外装フィルムFの間で物品1がずり落ちないよう、上記押圧部材41によって外装フィルムFを押圧して、当該外装フィルムFの隙間を狭める動作を含むものである。
【0027】
図7(d)は、上記物品1を開放した挿入グリッパ11が上記挿入位置から上昇して外装フィルムFから離脱する途中の状態を示している。
挿入グリッパ移動手段12は、揺動手段19によって挿入グリッパ11を下方に向けた状態を維持しており、上記昇降手段18が上記移動フレーム17ごと挿入グリッパ11を上昇させるようになっている。
このように、物品1を開放した挿入グリッパ11は下方を向いた状態で略垂直方向に上昇するようになっており、挿入グリッパ11を迅速に外装フィルムFより離脱させることができる。
この時も、上記シール部6の仮シール手段51は上記ヒーターユニット51aを外装フィルムFより離脱させており、移動する挿入グリッパ11によって外装フィルムFの内面が損傷しないようになっている。
一方では、上記仮押さえ手段15がローラ15aを接近させた状態を維持しており、外装フィルムFが過度に開くことによる物品1の姿勢の乱れが生じないようにしている。
さらに
図7(d)の状態では、上記押え手段13は、上記押圧部材移動手段43によって押圧部材41を前進させながら、上記開閉手段42によって押圧部材41を挟持する動作を続行している。
これにより、特に物品1の下方側から上記外装フィルムFの隙間がさらに狭くなり、物品1のずり落ちを緩和させながらも、挿入グリッパ11が外装フィルムFから離脱するのを阻害しないようになっている。
【0028】
図8(e)は、上記物品1を開放した挿入グリッパ11が外装フィルムFから離脱した状態を示している。
挿入グリッパ移動手段12は、上記昇降手段18によって上記移動フレーム17ごと挿入グリッパ11を上昇させ、また挿入グリッパ11が外装フィルムFの開口部から離脱すると、揺動手段19は上記把持位置に向けて挿入グリッパ11を搬送方向上流側に向けて揺動させる。
そして上記押え手段13は、上記押圧部材移動手段43によって押圧部材41を前進させつつ、上記開閉手段42によって押圧部材41を閉鎖して外装フィルムFを把持した第2挟持位置に位置させるようになっている。
その結果、これ以上の物品1のずり落ちが防止され、またずり落ちた物品1の下辺と押圧部材41の上辺とが揃うことにより、物品1の姿勢が押圧部材41によって補正されるようになっている。
一方、上記シール部6の仮シール手段51は、上記押圧部材41によって外装フィルムFが挟持されると、上記ヒーターユニット51aを外装フィルムFの移動に同期して前進させながら接近させる動作を開始する。
【0029】
図8(f)は、上記物品1を開放して外装フィルムFから離脱した挿入グリッパ11が、再度
図6(a)に示す把持位置へと移動する途中の状態を示している。
挿入グリッパ移動手段12は、上記昇降手段18によって上昇端に位置した上記移動フレーム17を挿入グリッパ11ごと下降させ、一方上記揺動手段19は挿入グリッパ11を搬送方向上流側に向けて揺動させており、上記物品供給部4に隣接した上記把持位置へと移動させるようになっている。
一方、上記シール部6の仮シール手段51は、上記ヒーターユニット51aによって外装フィルムFを挟持し、上記物品1の搬送方向下流側に隣接した位置を仮シールし、その後上記押え手段13は開閉手段42によって押圧部材41の開放動作を開始する。
このように、上記仮シール手段51によって外装フィルムFが仮シールされてから押圧部材41の開放動作を行うことで、仮シールが完了するまで押圧部材41が外装フィルムFに収容された物品1の姿勢を維持するため、物品1の姿勢の乱れによる仮シール手段51への噛みこみを防止することができる。
【0030】
このようにして仮シールの行われた外装フィルムFは、その後シール部6の本シール手段52において物品1の搬送方向上流側および下流側が再シールされ、また開口部を閉鎖するように本シールが行われる。
その後、本シールされた外装フィルムFは上記切断部7において所要の部分で切断され、これにより物品1が個別に収容された製品バッグBへと分割されるようになっている。
【0031】
このように本実施例では、
図6(a)に示す把持位置から、
図7(c)に示す挿入位置に向けて、上記物品1を把持した挿入グリッパ11を搬送方向上流側から下流側に向けて下方に揺動させることにより、物品1を高速に外装フィルムFに収容することができる。
そのうえで、挿入グリッパ11は上記挿入位置から上方に移動することで外装フィルムFから離脱することから、上記物品1の収容から離脱するまでの挿入グリッパ11の動作サイクルを高速に行うことができる。
その際、上記押え手段13は、上記挿入グリッパ11から物品1が開放されるよりも先に、当該開放された物品1よりも下方となる位置で上記押圧部材41により外装フィルムFを挟持するようになっている。
具体的には、上記挿入グリッパ11が物品1を開放する
図7(c)の状態において、上記押え手段13が上記外装フィルムFを挟持する動作を開始し、最初に上記押圧部材41の間隔を外装フィルムFの間隔が上記物品1の厚みよりも狭くなるような第1挟持位置に位置させる。
その後、上記物品1を開放した挿入グリッパ11が外装フィルムFから離脱した
図8(e)の状態で、上記押え手段13が押圧部材41を閉鎖して、外装フィルムFを把持した第2挟持位置に位置させるようになっている。
これにより、開放された物品1が外装フィルムFの内部で挿入位置からずり落ちても、当該物品1を押圧部材41によって下方から支持することができ、また物品1の底辺と押圧部材41の上辺を平行にしておくことで、ずり落ちた物品1の姿勢を押圧部材41が外装フィルムFを挟持する際に修正することができる。
【0032】
なお、上記実施例では、上記押え手段13は上記挿入グリッパ11が外装フィルムFの外方に離脱してから外装フィルムFを把持することで、離隔した挿入グリッパ11によって外装フィルムFが損傷しないようにしているが、外装フィルムFに収容する物品1の厚さに応じて、上記押え手段13が外装フィルムFを挟持するタイミングを適宜調整することができる。
例えば、物品1の厚さが薄い場合に、上記挿入グリッパ11が挿入位置で物品1を開放する前に上記押え手段13が外装フィルムFを把持するようにしてもよい。これにより、開放された物品1は、平行に配置された押圧部材41によって把持された外装フィルムF上に載置されて姿勢を修正することができる。
また上記挿入位置に位置した挿入グリッパにおける搬送方向上流側となる位置に仮押さえ手段15を設けたことで、外装フィルムFの間隔が過度に広がるのを防止し、外装フィルムFに収容された物品1の姿勢が乱れないようにできる。
【0033】
さらに、本実施例においては、押圧部材41は搬送方向上流側端部から接近を開始して、外装フィルムFの間隔を上流側から徐々に狭めるようになっているが、搬送方向上流側と下流側が平行になるように接近させてもよく、本特許の構成から逸脱するものでなければ、押圧部材41の形状や材質も特に限定されるものではない。
また、本実施例においては、外装フィルムFの長手方向に形成された開口部が上を向くように構成されているが、開口部が側方を向くように構成して、挿入グリッパ11を搬送方向上流側から下流側に略水平に揺動させるようにしてもよい。さらに、この際、受け渡し手段10を設けずに、物品供給部4から直接に物品1を受け取るようにしてもよい。
【0034】
そして、上記実施例では上記挿入部5の挿入グリッパ移動手段12は、上記挿入グリッパ11を揺動させることで物品1を外装フィルムFの内部に収容するようになっているが、特許文献1のように挿入グリッパ11を外装フィルムFの搬送速度に同期させながら上下に昇降させることで、当該挿入グリッパを把持位置と挿入位置とに移動させるような構成を用いてもよい。
この場合であっても、上記挿入部5の押え手段13の押圧部材41が外装フィルムFを挟持してから、上記挿入グリッパ11が物品1を開放し(
図7(d)参照)、上記挿入グリッパ11が外装フィルムFの外方に離脱(
図8(e)参照)してから、押圧部材41を閉鎖すれば、上記実施例同様外装フィルムFの内部における物品1の姿勢の乱れを防止して、上記仮シール手段51による噛みこみを防止することができる。
さらに、上記押え手段13によって外装フィルムFを押圧した状態で、上記仮シール手段51が上記外装フィルムFに挿入された物品1の下流側部分の外装フィルムを仮シールしてから、上記外装フィルムを開放するようにすれば(
図8(f)参照)、上記実施例同様、外装フィルムFに収容された物品1の姿勢を維持することで、物品1の姿勢の乱れによる仮シール手段51への噛みこみを防止することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 物品 2 包装装置
3 外装フィルム搬送手段 4 物品供給部
5 挿入部 6 シール部
7 切断部 11 挿入グリッパ
12 挿入グリッパ移動手段 13 押え手段
14 挿入ガイド 15 仮押さえ手段
15a ローラ 18 昇降手段
19 揺動手段 20 開閉手段
41 押圧部材 43 押圧部材移動手段
51 仮シール手段 F 外装フィルム