(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】容器供給装置
(51)【国際特許分類】
B65B 43/44 20060101AFI20220512BHJP
【FI】
B65B43/44 A
(21)【出願番号】P 2017242217
(22)【出願日】2017-12-18
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】393027121
【氏名又は名称】シブヤパッケージングシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】石井 正章
(72)【発明者】
【氏名】砂田 雅弘
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-252892(JP,A)
【文献】特開平05-203010(JP,A)
【文献】特表2015-516833(JP,A)
【文献】特開2006-069607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を積層収納するマガジンと、上記容器を搬送する搬送手段と、上記容器を保持する保持ヘッドとを備え、上記保持ヘッドは、上記マガジンに積層されている容器を保持して取り出す容器保持位置と、保持した容器を反転させて該容器を上記搬送手段に受け渡す容器解放位置とに移動される容器供給装置において、
水平方向に伸びる回転軸を中心に回転する回転体と、回転体に対して揺動可能に設けた揺動部材と、揺動部材に回転体の半径方向に進退動可能に設けた容器保持部材と、容器保持部材に設けた上記保持ヘッドと、上記容器保持部材に連動し、該容器保持部材を回転体の円周方向に揺動させるとともに半径方向に進退動させる位置制御手段とを設け、
上記位置制御手段は、回転体に回転自在に設けられた揺動軸と、該揺動軸に固定されるとともに先端が容器保持部材に連結された揺動レバーと、上記揺動軸を正転または逆転させる駆動手段とを備え、
上記駆動手段が上記揺動軸を正転または逆転させると、上記揺動レバーが揺動部材を揺動させて上記容器保持部材を回転体の回転方向前後に揺動させるとともに、上記容器保持部材を上記揺動部材に沿って回転体の半径方向に進退動させるようになっており、
上記位置制御手段は、回転体の回転に伴って保持ヘッドが容器保持位置と容器解放位置とに近接する際に、上記容器保持部材を回転体の回転方向前方に位置させるとともに半径方向内方に位置させ、また保持ヘッドが容器保持位置と容器解放位置とになった際に、上記容器保持部材を揺動範囲の中央部に位置させるとともに半径方向外方に位置させ、さらに保持ヘッドが容器保持位置と容器解放位置とから離隔する際に、上記容器保持部材を回転体の回転方向後方に位置させるとともに半径方向内方に位置させることを特徴とする容器供給装置。
【請求項2】
上記駆動手段は、回転体に回転自在に設けられるとともに上記揺動レバーが固定された第1揺動軸と、当該第1揺動軸に固定された第1ギヤと、回転体に回転自在に設けられた第2揺動軸と、当該第2揺動軸に固定されるとともに上記第1ギヤと噛合する第2ギヤとを備え、
上記第2揺動軸を正転または逆転させることで、上記第1揺動軸に設けた上記揺動レバーが揺動するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の容器供給装置。
【請求項3】
上記駆動手段は、上記
第2揺動軸に連動するカムレバーと、該カムレバーに設けたカムフォロワに係合する固定カムとを備え、上記カムフォロワが固定カムによって揺動されると
第2揺動軸が
正転または逆転され
て、上記第1揺動軸に設けた上記揺動レバーが揺動することを特徴とする請求項2に記載の容器供給装置。
【請求項4】
上記揺動部材、容器保持部材および保持ヘッドは回転体に複数組設けられており、上記位置制御手段は各組の容器保持部材の位置制御をそれぞれ行うこと特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の容器供給装置。
【請求項5】
上記マガジン内に積層収納された容器のうち少なくとも最下段の容器に係合し、上記保持ヘッドが最下段の容器を保持して下方に離隔する際に、該最下段の容器を保持ヘッドの移動に追従して下降させる容器移動手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の容器供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器供給装置に関し、より詳しくは、マガジンに積層された容器を取り出して反転させながら下方へ移送して搬送手段に供給するようにした容器供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンやゼリー等の食品を容器に充填する充填シールシステムは公知である。こうした従来の充填シールシステムにおいては、先ず、空の容器をマガジン内から取り出した後に、容器を反転させてから下方側の搬送手段へ供給する容器供給装置を採用することがある。その場合は、容器供給装置により容器を搬送手段へ供給した後、該搬送手段によって搬送される容器内にプリン等の食品が充填され、次にシール装置によって容器の開口部にシール部材が装着されるようになっている。
従来、容器供給装置として、容器を積層収納するマガジンと、上記容器を搬送する搬送手段と、上記容器を保持する保持ヘッドとを備え、上記保持ヘッドは、上記マガジンに積層されている容器を保持して取り出す容器保持位置と、保持した容器を反転させて該容器を上記搬送手段に受け渡す容器解放位置とに移動されるようになっているものが知られている(特許文献1)。
上記特許文献1においては、保持ヘッドの昇降と回転とをそれぞれサーボモータを用いて制御するようになっており、保持ヘッドを鉛直上方に向けた状態でマガジンに積層された容器を保持したら、該保持ヘッドを降下させてマガジンに積層された容器を取り出し、次に容器を保持した保持ヘッドを鉛直下方に向けた位置まで回転させて容器を反転させたら、該保持ヘッドを降下させて保持した容器を搬送手段に供給するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の容器供給装置においては、保持ヘッドをマガジンや搬送手段に向き合わせた状態で昇降させているので、マガジンからの容器の取り出しや搬送手段への容器の受け渡しを確実に行うことができるが、そのために搬送手段として間欠搬送手段が採用されており、該搬送手段は容器を保持ヘッドから受け取る毎に該容器を間欠的に搬送させるようになっていた。
そのため、容器供給装置の高速化に限界があった。
本発明は、従来に比較して高速対応可能な容器供給装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、容器を積層収納するマガジンと、上記容器を搬送する搬送手段と、上記容器を保持する保持ヘッドとを備え、上記保持ヘッドは、上記マガジンに積層されている容器を保持して取り出す容器保持位置と、保持した容器を反転させて該容器を上記搬送手段に受け渡す容器解放位置とに移動される容器供給装置において、
水平方向に伸びる回転軸を中心に回転する回転体と、回転体に対して揺動可能に設けた揺動部材と、揺動部材に回転体の半径方向に進退動可能に設けた容器保持部材と、容器保持部材に設けた上記保持ヘッドと、上記容器保持部材に連動し、該容器保持部材を回転体の円周方向に揺動させるとともに半径方向に進退動させる位置制御手段とを設け、
上記位置制御手段は、回転体に回転自在に設けられた揺動軸と、該揺動軸に固定されるとともに先端が容器保持部材に連結された揺動レバーと、上記揺動軸を正転または逆転させる駆動手段とを備え、
上記駆動手段が上記揺動軸を正転または逆転させると、上記揺動レバーが揺動部材を揺動させて上記容器保持部材を回転体の回転方向前後に揺動させるとともに、上記容器保持部材を上記揺動部材に沿って回転体の半径方向に進退動させるようになっており、
上記位置制御手段は、回転体の回転に伴って保持ヘッドが容器保持位置と容器解放位置とに近接する際に、上記容器保持部材を回転体の回転方向前方に位置させるとともに半径方向内方に位置させ、また保持ヘッドが容器保持位置と容器解放位置とになった際に、上記容器保持部材を揺動範囲の中央部に位置させるとともに半径方向外方に位置させ、さらに保持ヘッドが容器保持位置と容器解放位置とから離隔する際に、上記容器保持部材を回転体の回転方向後方に位置させるとともに半径方向内方に位置させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明においては、上記回転体に上記揺動部材および容器保持部材を介して保持ヘッドが設けられているため、該保持ヘッドは回転体の回転に伴って回転移送されることになる。そしてその回転移送により保持ヘッドを設けた容器保持部材が容器保持位置に近接する際には、上記位置制御手段は、上記容器保持部材を回転体の回転方向前方に位置させるとともに半径方向内方に位置させ、また保持ヘッドが容器保持位置と容器解放位置とになった際に、上記容器保持部材を揺動範囲の中央部に位置させるとともに半径方向外方に位置させる。
その結果、保持ヘッドは、回転体の回転に先行して予めマガジンに近接した位置に移動されてから、その位置に保持された状態でマガジンに向けて移動されるようになり、それによってマガジンの容器を円滑に保持することが可能となる。
そして保持ヘッドが上記容器保持位置から離隔する際には、上記位置制御手段は上記容器保持部材を回転体の回転方向後方に位置させるとともに半径方向内方に位置させるので、保持ヘッドは、回転体の回転が進んでいるのにも拘らず、マガジンに近接した位置に保持された状態のままマガジンから離隔されるようになり、それによって保持ヘッドに吸着した容器を円滑にマガジンから引き出すことができるようになる。
そして上記保持ヘッドは回転体の回転に伴って回転移送されるので、搬送手段を連続搬送させても保持ヘッドに保持した容器を円滑に搬送手段の移動に追従させて受け渡すことが可能となり、それによって従来に比較して容器搬送装置の高速運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】位置制御手段35による容器保持部材30Aおよび保持ヘッド12の位置制御を説明する説明図
【
図6】
図5の位置に対して回転体15が30度回転した状態を示す説明図
【
図7】
図6の位置に対して回転体15が更に30度回転した状態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、
図1において、充填シールシステム1は、容器2を搬送手段3によって連続的に搬送しながら容器2内に内容物を充填し、次に容器2の開口部をシール部材Sによって密封し、最後に容器2に装着したシール部材Sの不要部分を切り揃えるようになっている。本実施例における容器2は合成樹脂からなり、かつ上部の開口部が拡開した浅い方形のカップ状となっている(
図8、
図9参照)。
上記充填シールシステム1は、開口部を上に向けた状態の容器2を保持して連続的に下流側へ搬送する上記搬送手段3と、該搬送手段3の搬送過程の上流端となる容器保持位置Aに配置されて開口部を下に向けた空の容器2を積層状態で保持するマガジン4と、該マガジン4内に積層された最下段の容器2を保持して取り出す本発明に係る容器供給装置5とを備えており、該容器供給装置5は保持した容器2を反転させて、上記容器保持位置Aの下方となる容器解放位置Bに供給される搬送手段3のポケットP(
図3参照)に供給することができるようになっている。上記ポケットPは、搬送手段3を構成するリテーナ6に設けられている。
さらに上記充填シールシステム1は、上記容器解放位置Bよりも下流側となる搬送手段3の搬送過程に順次設けられた従来公知の充填装置7、シール装置8及びトリミング装置9と、さらに上記搬送手段3や各装置5、7~9等の作動を制御する図示しない制御手段とを備えている。
【0009】
上記搬送手段3は、左右2組のスプロケット10、10に掛け渡した左右一対の無端状チェーン11(
図3参照)を備えており、それら左右の無端状チェーン11にわたって多数の板状をした上記リテーナ6を掛け渡して取り付けている。各リテーナ6に上記ポケットPがそれぞれ形成されており、各リテーナ6のポケットPによって、開口部を上方に向けた状態で容器2を保持できるようにしてある。
上記スプロケット10は、図示しないモータに連動して駆動されるようになっており、スプロケット10を駆動するためのモータは、上記制御手段によって制御されるようになっている。そして制御手段がモータを介して搬送手段3のスプロケット10を
図1の矢印方向に連続回転させることにより、容器解放位置Bに各リテーナ6が順次供給されるようになっている。
【0010】
本発明に係る上記容器供給装置5は、上記容器保持位置Aでマガジン4から最下段の容器2を取り出す保持ヘッド12を備えており、後に詳述するように、保持ヘッド12は回転体15に120度の等間隔位置で3組配置してある。本実施例では方形の容器2を取り出すために各組の保持ヘッド12は各4個設けられており、4つの保持ヘッド12によって方形の容器2の四隅を吸着保持できるようにしてある。
上記各保持ヘッド12は図示しない従来公知のロータリージョイントを介して負圧源に連通しており、回転体15の回転位置に応じて各組ごとの保持ヘッド12への負圧の給排作動を制御することで、各保持ヘッド12により容器2を吸着保持し、或いは保持状態を解放するようになっている。
上記マガジン4に積層保持された容器2は開口部を下方に向けた状態で保持されており、マガジン4内の最下部の容器2を上記保持ヘッド12により吸着保持して取り出してから下方へ反転させながら移送し、各容器2を容器解放位置Bに供給されるリテーナ6のポケットPに同期して供給できるようになっている。このとき、マガジン4から取り出された開口部を下方に向けた容器2は、回転体15の回転によって反転されるので、開口部を上方に向けた状態でポケットPに供給されるようになる。
【0011】
上記容器供給装置5は、
図2、
図3に示すように、固定フレーム16に立設した2本の支柱17を備えており、この支柱17に昇降フレーム18を昇降可能に設けている。
すなわち、上記2本の支柱17のそれぞれに上下方向にガイドレール19を固定してあり、両ガイドレール19に上記昇降フレーム18に固定したスライダ20を係合させることにより、固定フレーム16に対して昇降フレーム18を昇降可能に設けている。
そして上記固定フレーム16に昇降機構21を設けてあり、この昇降機構21によって昇降フレーム18を昇降させることができるようにしてある。
以下に述べるように、上記保持ヘッド12は昇降フレーム18側に設けてあり、異常時などの際には上記昇降機構21によって昇降フレーム18を上昇させることにより、保持ヘッド12等が搬送手段3のリテーナ6に干渉することがないようにしてある。
【0012】
上記昇降フレーム18には回転軸27を回転自在に設けるとともに該回転軸27を回転駆動するサーボモータ28を設けてある。上記回転軸27は、上記搬送手段3による容器の搬送方向と直交する水平方向に配説してあり、また上述した回転体15は回転軸27に固定されて、該回転軸27の回転に伴って鉛直面内で回転駆動されるようになっている。
上記回転軸27の先端部には軸方向に沿って順次3つの揺動部材29A、29B、29Cをそれぞれ回転可能に設けてあり、各揺動部材29A、29B、29Cに容器保持部材30A、30B、30Cをそれぞれ設けてある。各容器保持部材30A~30Cはそれぞれ2本の平行なガイドロッド31を備えており、各ガイドロッド31を上記各揺動部材29A~29Cにそれぞれ進退動自在に設けることによって、各容器保持部材30A~30Cを各揺動部材29A~29Cに対して、回転体15の半径方向に進退動可能に取り付けている。
そして
図3に示すように、各容器保持部材30A~30Cの左方側に上記保持ヘッド12を各組4つ設けてある。各組4つの保持ヘッド12は、後に詳述するように、各揺動部材29A~29Cの揺動により回転体15の直径方向位置からその前後に揺動可能となっており、かつ各容器保持部材30A~30Cの各揺動部材29A~29Cに対する進退動により、回転体15の半径方向に進退動可能となっている。
【0013】
上記各容器保持部材30A~30Cは、
図3に示すように、回転軸27の軸方向に伸びており、各容器保持部材30A~30Cの左方側に上記保持ヘッド12をそれぞれ設けてある。各保持ヘッド12の配置位置は、容器保持位置Aと容器解放位置Bとの垂直面内に配置して、各組の保持ヘッド12でマガジン4内の容器2を吸着保持して搬送手段3のリテーナ6に供給できるようにしてある。
他方、各容器保持部材30A~30Cの右方側に上記各組2本のガイドロッド31を設けてあるが、上記各揺動部材29A~29Cを回転軸27の軸方向に沿って順次配設してある関係で各容器保持部材30A~30Cの上記軸方向長さを異ならせ、それによって各ガイドロッド31と各揺動部材29A~29Cとの位置を合わせて各ガイドロッド31を各揺動部材29A~29Cにそれぞれ進退動自在に設けてある。
【0014】
上記各容器保持部材30A~30Cには、各容器保持部材30A~30Cの回転体15に対する位置を制御する位置制御手段35(
図3)を連動させてあり、該位置制御手段35によって各容器保持部材30A~30Cに設けた保持ヘッド12を、回転体15の回転に伴って一体的に回転させるのと同時に、上述したように各揺動部材29A~29Cの揺動に伴って回転体15の回転方向前後に揺動させ、さらに各ガイドロッド31の各揺動部材29A~29Cに対する進退動により、回転体の半径方向にも進退動させることができるようにしてある。
上記位置制御手段35による各容器保持部材30A~30Cの位置決め制御によって、各保持ヘッド12はマガジン4に対してほぼ真直ぐに近接して容器2を吸着保持するとともに、マガジン4に対してほぼ真直ぐに離隔して容器2をマガジン4から取り出し、また搬送手段3のリテーナ6に対してはリテーナ6の移動に追従しながら近接して容器2をリテーナ6のポケットPに供給するとともに、容器2をポケットP内に残して搬送手段3のリテーナ6から離隔することができるようになっている。
【0015】
図4に示すように、上記位置制御手段35は、上記回転軸27と平行に配置した3本の第1揺動軸36を備えており、各第1揺動軸36は120度の等間隔位置でそれぞれ回転体15に回転自在に軸支してある(
図5参照)。各第1揺動軸36の左端部にはそれぞれ揺動レバー37の基部を固定してあり、各揺動レバー37の先端部に設けた連結ピン38を上記各容器保持部材30A~30Cの右端部に回転可能に連結してある。
したがって各第1揺動軸36をそれぞれ正転又は逆転させることにより、上記各揺動レバー37の先端部に設けた連結ピン38を回転体15の直径方向に対してその前後位置に揺動させることができる。より詳細には、
図5で示すように、各揺動部材29A~29Cの回転中心である回転軸27の中心と、各第1揺動軸36の中心と、各連結ピン38の中心とを結ぶ直線が一直線となった状態が、連結ピン38の回転体15に対する直径方向位置となり、この状態から各第1揺動軸36をそれぞれ正転又は逆転させることにより、上記各揺動レバー37の先端部に設けた連結ピン38を、各第1揺動軸36を中心として、回転体15の直径方向位置からその前後位置に揺動させることができる。
【0016】
そしてこの際、連結ピン38を上記回転体15に対する直径方向位置に位置させることにより、連結ピン38と回転軸27との距離を最大とすることができ、これにより各連結ピン38に連動する容器保持部材30A~30Cを回転軸27から最も遠い突出位置に位置させることができる。
これに対し、連結ピン38を上記直径方向位置からその前後位置に揺動させることにより、連結ピン38と回転軸27との距離を縮めることができ、これにより各連結ピン38に連動する容器保持部材30A~30Cを上記突出位置から退没した退没位置に位置させることができる。
このように、各揺動レバー37の揺動に伴って各容器保持部材30A~30Cの位置を、したがって保持ヘッド12の位置を制御することができるようになっている。
【0017】
図4に示すように、上記各第1揺動軸36の右端部には、それぞれの第1揺動軸36を正転又は逆転させる駆動手段41を連動させてある。この駆動手段41としてはそれぞれの第1揺動軸36を正転又は逆転させるサーボモータを用いることができるが、本実施例ではカム機構41を用いている。
すなわち上記各第1揺動軸36の右端部には第1ギヤ42をそれぞれ固定してあり、各第1ギヤ42のそれぞれに第2ギヤ43を噛合させている。各第2ギヤ43は上記回転体15に120度の等間隔位置で回転自在に設けた第2揺動軸44に固定してあり、各第2揺動軸44のそれぞれにカムレバー45を固定して、各カムレバー45に設けたカムフォロワ46を上記昇降フレーム18に設けた固定カム47に係合させている。本実施例では、固定カム47としてカム溝47を採用してあり、上記カムフォロワ46はカム溝47を転動することができるようになっている。
上記回転体15が回転されると、これと一体に第1揺動軸36および第2揺動軸44が回転され、第2揺動軸44が回転されるとそれに伴ってカムフォロワ46がカム溝47内を移動される。カム溝47は回転軸27の中心に対して偏心させて形成してあるので(
図5参照)、カムフォロワ46がカム溝47内を移動されるのに伴ってカムレバー45が揺動され、カムレバー45が往復揺動されると第2揺動軸44および第2ギヤ43が往復回転される。
そして第2ギヤ43が往復回転されるとこれと噛合する第1ギヤ43が往復回転され、これにより第1揺動軸36を介して揺動レバー37が揺動されるので、上述したように保持ヘッド12の位置を制御することができる。
【0018】
さらに本実施例においては、
図8、
図9に示すように、マガジン4の下方の容器2と係合して該容器2を下方へ移動させる容器移動手段51を設けてあり、上記保持ヘッド12が最下段の容器2を吸着保持して下降させる際に、該容器移動手段51によって最下段の容器2を保持ヘッド12の下降に同期して下降させることにより確実に吸着ヘッド12で最下段の容器2をマガジン4から取り出せるようにしてある。
上記容器移動手段51としては従来公知の種々の構成のものを採用することができるが、本実施例では4本のスクリュー52を用いた容器移動手段51を用いている。
すなわち上記容器移動手段51は、マガジン4の下方にそれぞれ鉛直下方に向けて配置した4本のスクリュー52を備えており、各スクリュー52に設けた螺旋溝52aに容器2の開口部周囲に形成した鍔部2aを係合させることができるようにしてある。各スクリュー52に設けた螺旋溝52aは各スクリュー52の上端面と下端面とに開口しており、上記容器2の鍔部2aは4本の螺旋溝52aに同時に係合できるようになっている。
図9に示すように、2本のスクリュー52の螺旋溝52aは容器2の鍔部2aの左側に、他の2本のスクリュー52の螺旋溝52aは容器2の鍔部2aの右側にそれぞれ係合するようになっており、かつ各組2本のスクリュー52はそれぞれ逆方向に回転されるようになっている。すなわち各組2本のスクリュー52の螺旋溝52aはそれぞれ逆ネジの関係で形成されている。
【0019】
これにより4本のスクリュー52を同期して所定の方向に回転駆動すれば、各螺旋溝52aに係合した鍔部2aを介して容器2を水平に保ったまま下方に移動させることができ、最終的には各スクリュー52の下端面に開口した螺旋溝52aから容器2を下方に解放することができるようになっている。
本実施例では、図示しない制御手段によって、各スクリュー52を回転体15および搬送手段3と同期させて連続回転させており、
図8に示すように容器保持位置Aの直径方向位置に位置した保持ヘッド12の先端に、各螺旋溝52aから下方に解放される直前の容器2の鍔部2a下面が接触するように各スクリュー52を回転させている。
【0020】
以上の構成において、
図5は容器保持部材30Aに設けた保持ヘッド12が回転体15の真上の位置となってマガジン4から最下段の容器2を吸着保持する際の状態を示している。この状態では、容器保持部材30Aに連動した第1揺動軸36も回転体15に伴う回転軌跡上で真上の位置となり、また位置制御手段35によって位置制御される揺動レバー37の先端部の連結ピン38が回転体15の真上を向いて前述した直径方向位置に位置している。
したがって、容器保持部材30Aの保持ヘッド12の先端は回転軸27から最も遠い突出位置に位置制御される。また容器移動手段51の各スクリュー52も保持ヘッド12の先端が上記突出位置に位置する際に保持ヘッド12の先端とマガジン4に保持された最下段の容器2とが接触するように最下段の容器2を下降させる。該保持ヘッド12は、容器保持部材30Aが真上の位置となる寸前に図示しないロータリージョイントを介して負圧源に連通されており、それによって最下段の容器2を吸着保持するようになる。
この際、容器保持部材30Aはこれに設けたガイドロッド31が揺動部材29Aに対して前進端に位置することにより回転体15の真上の位置となっており、また容器保持部材30Aに設けた4つの保持ヘッド12の各先端面は、回転軸27と連結ピン38とを結ぶ直線と直交する同一水平面内に位置して、方形の容器2の四隅を吸着保持することにより、
図8に示すように各スクリュー52およびマガジン4とともに容器2を保持している。
【0021】
図6は回転体15が上記
図5に示す状態から時計方向に30度回転された状態を示したものである。この状態では、回転体15の回転と一体的に第1揺動軸36および第2揺動軸44も30度回転移動した位置に位置することになる。
上記第2揺動軸44が時計方向に回転移動されると、カムフォロワ46がカム溝47内を移動され、該カム溝47のカム曲線にしたがってカムレバー45が第2揺動軸44を時計方向に回転させる。これにより第2ギヤ43、第1ギヤ42、第1揺動軸36を介して揺動レバー37が反時計方向に揺動され、揺動レバー37が反時計方向に揺動されると、すなわち揺動レバー37の先端部が回転体15に対してその回転方向と逆方向に揺動されると、回転体15が時計方向に回転されても容器保持部材30Aは上記マガジン4に近接した状態のままに維持される。
そして上記揺動レバー37の先端部が回転体15に対してその回転方向と逆方向に揺動されると、揺動レバー37の先端部に設けた連結ピン38は回転体15の半径方向内方に移動される。つまり連結ピン38に連結された容器保持部材30Aが半径方向内方に移動され、これにより容器保持部材30Aに設けた保持ヘッド12も半径方向内方に移動されるので、保持ヘッド12に吸着された容器2がマガジン4から引き出されるようになる。
【0022】
この際、連結ピン38は、ほぼ
図5で示す元の連結ピン38と回転軸27とを結ぶ直線上を半径方向内方に移動されるようになり、また容器保持部材30Aはこれに設けたガイドロッド31が揺動部材29Aに対して後退することにより半径方向内方に移動され、かつ容器保持部材30Aに設けた4つの保持ヘッド12の各先端面は、回転軸27と連結ピン38とを結ぶ直線と直交する同一水平面内に位置するので、容器保持部材30Aの姿勢が大きく変化することはない。
その結果、各保持ヘッド12はマガジン4に対してほぼ真直ぐに離隔して容器2をマガジン4から取り出すようになる。
そしてこの際には、上記保持ヘッド12の最下段の容器2への接近と離隔とに同期して上記容器移動手段51が作動され、保持ヘッド12の離隔に伴って最下段の容器2を下方に移動させるので、保持ヘッド12が最下段の容器2と接触する時間が長くなり、保持ヘッド12による最下段の容器の吸着と取り出しとをより確実に行わせることができる。
【0023】
図7は回転体15が上記
図6に示す状態から時計方向に更に30度回転された状態を示したものである。この状態では、回転体15の回転と一体的に第1揺動軸36および第2揺動軸44も更に30度回転移動した位置に位置することになる。
この間、カムフォロワ46はカム溝47内を移動されるが、カムレバー45の回転体15に対する回転は実質的に零に保たれ、その結果、容器保持部材30Aの保持ヘッド12は
図6に示す状態を維持したまま、回転体15の回転に伴って回転され、マガジン4から取り出した容器2はマガジン4の直下位置から時計方向に回転体15の更に30度回転した位置に回転移送される。
【0024】
上述した
図5~
図7の動作は、容器保持部材30Aの保持ヘッド12がマガジン4内の容器2を吸着保持してから該容器2をマガジン4から取り出すまでの動作であるが、上記容器保持部材30Aの保持ヘッド12がマガジン4に近接して容器2を吸着保持するまでの動作は、図示しないが上述した動作を逆転させたものと略同一である。
すなわち容器保持部材30Aに連動する第1揺動軸36が
図5で示す位置より60度手前の位置となった際の状態は
図7で示す状態に類似しており、この状態では保持ヘッド12はマガジン4の直下位置から離れた位置に位置している。そしてこの状態から回転体15が時計方向に30度回転すると、
図6で示すのと同様に保持ヘッド12はマガジン4のほぼ直下位置に回転移動されるが、マガジン4の下端位置からは離隔した位置に位置している。
そして更に回転体15が30度回転されると、保持ヘッド12の先端面はマガジン4の直下位置に位置したまま上昇し、各スクリュー52によって下降される最下段の容器2に接触してこれを吸着保持するようになる。
その後の作動は、上記
図5~
図7の作動となる。
【0025】
このように、保持ヘッド12はマガジン4に対して、その真下からほぼ真直ぐに近接して該容器2を吸着保持し、またマガジン4に対して真下にほぼ真直ぐに離隔して該容器2をマガジン4から取り出すようになる。
また、保持ヘッド12が吸着保持する容器2を搬送手段3のリテーナ6のポケットPへ受け渡す際には、保持ヘッド12を連続移動するリテーナ6に追従して移動させつつ、容器解放位置Bの保持ヘッド12と回転軸27との距離が最大となる位置において、吸着保持する容器2をポケットPに供給し、該容器2をポケットP内に残して搬送手段3のリテーナ6から離隔するようになる。
なお保持ヘッド12が容器2をリテーナ6のポケットPに供給した際には、図示しないロータリージョイントにより負圧源との連通が遮断され、それによって容器2をリテーナ6に残して容器2から離隔されるようになる。
【0026】
なお、上記実施例では保持ヘッド12は吸着によって容器2をマガジン4から取り出すようになっているが、これに限定されるものではなく、容器を把持してマガジンから取り出すものであってもよい。
また上記実施例では搬送手段は3は容器2を連続搬送するようになっているが、容器を間欠的に搬送する搬送手段に本発明を適用してもよいことは勿論である。
さらに上記実施例では揺動部材29A~29Cの回転中心を回転軸27の回転中心に一致させているが、これに限定されるものではない。揺動部材29A~29Cを回転体15にそれぞれ揺動自在に設けてもよく、また揺動部材29A~29Cと容器保持部材30A~30Cの個数も3組に限らず、1組であっても複数組であってもよい。
【符号の説明】
【0027】
2 容器 2a 鍔部
3 搬送手段 4 マガジン
5 容器供給装置 6 リテーナ
15 回転体 27 回転軸
29A~29C 揺動部材 30A~30C 容器保持部材
31 ガイドロッド 35 位置制御手段
36 第1揺動軸 37 揺動レバー
38 連結ピン 41 駆動手段(カム機構)
42 第1ギヤ 43 第2ギヤ
44 第2揺動軸 45 カムレバー
46 カムフォロワ 47 固定カム(カム溝)
A 容器保持位置 B 容器解放位置
P ポケット