(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】バッグ接続装置およびバッグ接続方法ならびに接続用バッグ
(51)【国際特許分類】
A61L 2/26 20060101AFI20220512BHJP
【FI】
A61L2/26
(21)【出願番号】P 2018035292
(22)【出願日】2018-02-28
【審査請求日】2021-01-29
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業」ヒト多能性幹細胞由来の再生医療製品製造システムの開発(心筋・神経・網膜色素上皮・幹細胞)委託研究開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】西村 哲也
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/028821(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/1053610(US,A1)
【文献】特開2007-192558(JP,A)
【文献】国際公開第2002/080990(WO,A1)
【文献】特開2000-190919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空間を有するアイソレータの接続部に結合
離脱可能な結合部材と、当該結合部材に装着される柔軟なバッグとを備え、上記結合部材を介してバッグをアイソレータの接続部に接続させるバッグ接続装置において、
上記結合部材は上記アイソレータの接続部が有する外部開口を取り囲む
筒状部を備えて環状に形成され、
上記接続部には、上記外部開口を囲繞してシール部材を設けるとともに、上記
筒状部の先端部を当該シール部材に押圧させて
上記結合部材を接続部に結合させる結合手段を設け、
上記バッグは、開放された端部を上記
筒状部の末端から内側を通して上記シール部材に押圧される
先端部で外側に折り返して
、当該筒状部の外周面にゴムベルトで固定され、当該バッグが装着された結合部材を上記バッグが折り返された上記
筒状部の先端部を上記シール部材に押圧させて、上記結合手段によって接続部に結合させることを特徴とするバッグ接続装置。
【請求項2】
上記接続部は、上記アイソレータの外部に突出する筒状部材と、当該筒状部材のアイソレータの内部に向けた内部開口を閉鎖する閉鎖部材と、当該筒状部材のアイソレータの外部に向けた外部開口を囲繞して設けた上記シール部材とを備えて構成され、
上記筒状部材の内側の空間に面する箇所を除染する除染手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のバッグ接続装置。
【請求項3】
内部に空間を有するアイソレータの接続部に結合
離脱可能な結合部材と、当該結合部材に装着される柔軟なバッグとを備え、上記結合部材を介してバッグをアイソレータの接続部に接続させるバッグ接続装置のバッグ接続方法において、
上記結合部材は上記アイソレータの接続部が有する外部開口を取り囲む
筒状部を備えて環状に形成され、
上記バッグは、開放された端部を上記
筒状部の末端から内側を通して
先端部で外側に折り返し、
当該筒状部の外周面に固定して結合部材に装着し、当該バッグが折り返された
筒状部の先端部を、上記接続部の外部開口を囲繞して設けたシール部材に押圧させて、
上記結合部材を接続部に結合させることを特徴とするバッグ接続装置のバッグ接続方法。
【請求項4】
内部に空間を有するアイソレータの接続部に結合
離脱可能な環状の結合部材に装着されて、当該結合部材を介して上記接続部に接続される接続用バッグにおいて、
上記バッグは、両端が開放された筒状の本体部と、この本体部の内部空間を一端側と他端側とに分断する膜とを備え、
上記一端側を物品を収容して端部を密封する収容部とし、上記他端側を上記環状の結合部材
が備える筒状部の末端から内側を通して
先端部で外側へ折り返して
筒状部の外周面に固定
することのできる長さと開口径を有する装着部としたことを特徴とする接続用バッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバッグ接続装置およびバッグ接続方法ならびに接続用バッグに関し、より詳しくは、内部に空間を有するアイソレータの接続部に、結合部材を介して柔軟なバッグを接続させるバッグ接続装置およびバッグ接続方法ならびに接続用バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部に空間を有するアイソレータの接続部に、結合部材を介して柔軟なバッグを接続させて、アイソレータ内部の空間に物品を搬入する技術として、特許文献1が公知である。すなわち、特許文献1においては、アイソレータの接続部に相当するチャンバの移送ポートに結合部材に相当するカラーを結合させて、カラー面を切り開くか取り除くことによりバッグに収容された物品としての製品をチャンバ内へ引き込むようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の構成では、バッグはカラーを介して移送ポートに接続されるようになっており、カラーはバッグと一体化されて再使用できず使用後はバッグとともに廃棄している。カラーは移送ポートに適合した専用品であって使用毎に準備する必要があり、バッグを頻繁に接続させる場合はコスト高となり不経済であるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、請求項1に記載した本発明は、内部に空間を有するアイソレータの接続部に結合離脱可能な結合部材と、当該結合部材に装着される柔軟なバッグとを備え、上記結合部材を介してバッグをアイソレータの接続部に接続させるバッグ接続装置において、
上記結合部材は上記アイソレータの接続部が有する外部開口を取り囲む筒状部を備えて環状に形成され、
上記接続部には、上記外部開口を囲繞してシール部材を設けるとともに、上記筒状部の先端部を当該シール部材に押圧させて上記結合部材を接続部に結合させる結合手段を設け、
上記バッグは、開放された端部を上記筒状部の末端から内側を通して上記シール部材に押圧される先端部で外側に折り返して、当該筒状部の外周面にゴムベルトで固定され、当該バッグが装着された結合部材を上記バッグが折り返された上記筒状部の先端部を上記シール部材に押圧させて、上記結合手段によって接続部に結合させることを特徴とするである。
また、請求項3に記載した本発明は、内部に空間を有するアイソレータの接続部に結合離脱可能な結合部材と、当該結合部材に装着される柔軟なバッグとを備え、上記結合部材を介してバッグをアイソレータの接続部に接続させるバッグ接続装置のバッグ接続方法において、
上記結合部材は上記アイソレータの接続部が有する外部開口を取り囲む筒状部を備えて環状に形成され、
上記バッグは、開放された端部を上記筒状部の末端から内側を通して先端部で外側に折り返し、当該筒状部の外周面に固定して結合部材に装着し、当該バッグが折り返された筒状部の先端部を、上記接続部の外部開口を囲繞して設けたシール部材に押圧させて、上記結合部材を接続部に結合させることを特徴とするものである。
さらに、請求項4に記載した本発明は、内部に空間を有するアイソレータの接続部に結合離脱可能な環状の結合部材に装着されて、当該結合部材を介して上記接続部に接続される接続用バッグにおいて、
上記バッグは、両端が開放された筒状の本体部と、この本体部の内部空間を一端側と他端側とに分断する膜とを備え、
上記一端側を物品を収容して端部を密封する収容部とし、上記他端側を上記環状の結合部材が備える筒状部の末端から内側を通して先端部で外側へ折り返して筒状部の外周面に固定することのできる長さと開口径を有する装着部としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、柔軟なバッグをアイソレータの接続部に接続させる結合部材を再利用することができ経済的であり、結合部材へのバッグの装着は容易でありながら、確実にバッグを接続部に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係るバッグ接続装置を備えたアイソレータシステムの構成図。
【
図5】本発明に係る接続用バッグの構成を示す図で、(a)は物品を収容する前の状態を示し、(b)は物品を収容した状態を示す。
【
図8】接続部へのバッグの接続状態を示す要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、
図1において、アイソレータシステム1は、内部に無菌状態に維持される作業空間Wを有するアイソレータ2と、このアイソレータ2に連設されてアイソレータ2内の作業空間Wに、外部から作業に使用する資材や容器等を除染して搬入するためのパスボックス3とから構成されており、アイソレータ2内の作業空間Wで再生医療に使用する細胞や組織を取り扱うようになっている。
アイソレータ2の正面には透明な窓2Aが設けられており、この窓2Aに外部から内部の作業空間Wで作業を行うためのグローブ4が配置されている。同様にパスボックス3の正面も透明な窓3Aとなっていてグローブ4が配置されており、側壁3Bには外部に開放されるドア5が設けられている。アイソレータ2とパスボックス3の間は、図示しないが内部空間が内壁で区画されており、この内壁に設けたドアを開放して資材や容器等を受け渡すことができるようになっている。
また、アイソレータシステム1には過酸化水素蒸気等の除染ガスからなる除染媒体を発生させる除染装置6が備えられ、パスボックス3で外部から搬入される資材や容器等を除染するとともに、アイソレータシステム1の使用前や使用後にアイソレータ2やパスボックス3の内部を除染することができるようになっている。
【0009】
アイソレータ2の側壁2Bには、外部とアイソレータ2の内部を連通させる開口が形成された接続部7が設けられ、この接続部7に結合部材8を介して柔軟なバッグ9を接続することができるようになっている。また、バッグ9にはアイソレータ2内に搬入する物品10が収容され、バッグ9は載置台としての台車11により支持されており、バッグ9を接続部7に接続させる際および接続させた後で、物品10の重みでバッグ9が垂れ下がることを防止している。このような台車11は、バッグ9の大きさや接続部7の位置に応じて、載置高さを調節するよう構成することができる。
さらに、接続部7には除染装置6から供給配管6Aが接続されて除染ガスが供給されるとともに、回収配管6Bが接続されて除染ガスを排気できるようになっており、供給配管6Aには開閉弁として電磁弁V1が設けられ、回収配管6Bには電磁弁V2が設けられている。
【0010】
接続部7は
図2および
図3に示すように、四隅が円弧状になった角筒状の筒状部材12を備え、この筒状部材12がアイソレータ2の内部(作業空間W)側から側壁2Bの開口部2Baに気密を保持して嵌着されて、アイソレータ2の外部に突出して設けられている。
筒状部材12の内部開口12Aの周囲面12Aaには、内部開口12Aを囲繞する環状の内部シール部材13が埋設されており、この内部シール部材13の外側に丁番14が設けられて内部ドア15が開閉自在に取り付けられている。内部ドア15にはアイソレータ2の内部で操作可能な回動レバー15Aが設けられており、この回動レバー15Aと係合するレバー受け16が内部シール部材13の外側に設けられている。内部ドア15を閉鎖させると周縁部15Bが内部シール部材13に当接し、回動レバー15Aをレバー受け16に係合させることで、周縁部15Bが内部シール部材13に押圧されて、筒状部材12の内部開口12Aを密閉するようになっている。
【0011】
筒状部材12の外部開口12Bの周囲面12Baには、中央に方形の開口を有する板状の開口部材17が取り付けられ、この開口部材17の開口縁17A(
図7参照)に沿って環状のシール保持部材18が取り付けられており、これにより外部シール部材18Aが設けられている。また、シール保持部材18の外側の開口部材17には、接続部7に結合部材8を結合させる結合手段19を構成する一対のカムレバー20が、環状のシール保持部材18を挟んだ対向位置にそれぞれ設けられている。
接続部7はこのように構成されることで、筒状部材12の内部開口12Aが接続部7の内部開口7Aに該当し、外部開口7Bとしては環状のシール保持部材18で取り囲まれた内側部分18Bが該当する。この内側部分18Bからなる外部開口7Bを囲繞して、外部シール部材18Aが設けられている。
【0012】
接続部7に結合可能な結合部材8は、
図3および
図4に示すように、全体として環状のシール保持部材18の内側部分18Bを取り囲む方形の環状に形成されており、角筒状の筒状部8Aと、この筒状部8Aの末端から外方側へ張り出したフランジ部8Bと、このフランジ部8Bの背面側から左右両側に突出させて先端部がU字形となった固定片8Cとを備えている。筒状部8Aは外部シール部材18Aと形状を合わせた角形に形成されており、結合部材8を接続部7に結合させると、筒状部8Aの先端部8Aaが外部シール部材18Aを押圧するようになっている。
【0013】
結合部材8に装着される柔軟なバッグ9は、
図5(a)に示すように、両端が開放された筒状の本体部9Aと、この本体部9Aの内部空間を一端側と他端側に分断する膜9Bとを備えて形成され、一端側は
図5(b)に示すように、物品10を収容して端部が密封される収容部9Cとされ、その端部を閉鎖端9Caとしている。また、他端側は環状の結合部材8の内側を通して外側に折り返す装着部9Dとされ、その端部を開放端9Daとしている。
なお、収容部9Cに収容される物品10は、本実施例では資材や容器等を収容して密封し、内部を無菌状態に維持している包装袋である。
【0014】
バッグ9を結合部材8に装着するには、
図6(a)に示すように、バッグ9の装着部9Dの開放端9Daを、結合部材8のフランジ部8Bの背面側から筒状部8Aの内側に差し入れ、筒状部8Aの内側を通して先端部8Aaで折り返して筒状部8Aの外周面に重ねるようにする。この状態で
図6(b)に示すように、ゴムベルト21を折り返された装着部9Dに掛けて固定する。この状態では、折り返された装着部9Dが筒状部8Aの先端部8Aaを覆い、膜9Bが筒状部8Aの先端部8Aa側の開口を塞いでいる。このようにバッグ9の装着部9Dは、筒状部8Aで折り返すことができるだけの長さと開口径を有している。
【0015】
結合部材8を接続部7に結合させる結合手段19は、
図7に示すように、作業者が把持して回動させ結合部材8を固定させるカムレバー20と、カムレバー20の先端近くに回動自在に連結された連結棒22と、開口部材17に固定されて連結棒22を回動自在に支持し、連結棒22の回動を許容する切り欠きが中央に形成された略U字状の支持ブロック23と、連結棒22に遊嵌させたコンタクトプレート24およびコイルスプリング25とから構成されている。
連結棒22は、
図7(b)、(c)に示すように開口部材17に対して起立した状態と、
図7(a)に示すようにシール保持部材18とは反対側に傾倒した状態に回動自在であり、これに対してカムレバー20は、
図7(a)、(b)に示すように連結棒22に対して直線的な状態と、
図7(c)に示すように連結棒22に対して屈曲した状態に回動可能となっている。
コイルスプリング25は支持ブロック23の支持軸23Aとコンタクトプレート24の間に配置されて、コンタクトプレート24をカムレバー20側に付勢している。カムレバー20には、コンタクトプレート24が付勢される先端から屈曲方向側の側面にかけて、コンタクトプレート24と当接するカム面20Aが形成されている。このカム面20Aは、連結棒22を軸支する回動軸20Bからの距離が、連結棒22に対して直線的な状態で最も近く、90度程度屈曲した状態で最も遠く、さらに屈曲させてロックするような凸曲面に形成されており、
図7(b)の状態から(c)の状態へカムレバー20を連結棒22に対して90度以上屈曲させることで、コイルスプリング25の付勢力に抗してコンタクトプレート24を押し込み、この状態を維持できるようになっている。
このような構成により、
図7(b)に示すように、支持ブロック23の当接面23Bとコンタクトプレート24の間に、結合部材8の固定片8Cを差し入れて、U字形の二股部分の間に連結棒22とコイルスプリング25を位置させた状態で、
図7(c)に示すように、カムレバー20を連結棒22に対して屈曲させることにより、固定片8Cが支持ブロック23の当接面23Bとコンタクトプレート24により狭持されて、結合部材8が接続部7に結合された状態となる。
【0016】
以上のように本発明に係るバッグ接続装置ならびに接続用バッグが構成されており、以下においては本発明に係るバッグ接続方法について説明する。
バッグ9を使用して物品10をアイソレータ2に搬入する場合は、
図5(b)に示すように、事前にバッグ9の収容部9Cに物品10を収容し、熱圧着により閉鎖端9Caを密封した後、ガンマ線や電子線等の放射線滅菌により、バッグ9の外側から収容部9Cの内部と物品10の表面を滅菌しておく。この状態で
図6(a)に示すように、バッグ9の開口端9Daを結合部材8のフランジ部8Bおよび筒状部8Aの内側を通して先端部8Aaで折り返し、バッグ9の装着部9Dを筒状部8Aの外周面に重ねた状態として、
図6(b)に示すようにゴムバンド21を掛けて固定する。これにより、筒状部8Aの開口はバッグ9の膜9Bで覆われた状態となる。
このようにバッグ9が装着された結合部材8は、
図7(a)に示すように、筒状部8Aの先端部8Aaを覆うバッグ9の装着部9Dを、接続部7の外部シール部材18Aに当接もしくは接近させた状態で、左右両側のカムレバー20を
図7(b)に示すように起立状態として、結合部材8のU字形をした左右の固定片8Cの二股部分の間にそれぞれ連結棒22およびコイルスプリング25を差し入れ、その後、
図7(c)に示すように、カムレバー20を90度以上回動させて屈曲状態として接続部7に結合部材8を結合させる。
この状態においでは、
図8に示すように、結合部材8の先端部8Aaの全周が、バッグ9を介して環状の外部シール部材18Aに押し込まれる。これにより、先端部8Aaで折り返されたバッグ9は、隙間なく外部シール部材18Aに押し付けられて、接続部7の外部開口7b(環状のシール保持部材18の内側部分18B)が完全に密閉された状態となる。この場合、先端部8Aaの表面は滑らかな曲面として形成しているため、バッグ9を外部シール部材18Aに隙間なく密着させることができる。
【0017】
このように接続部7の外部開口7bが密閉された状態となると、接続部7の内部開口7A(筒状部材12の内部開口12A)を内部ドア15で密閉した状態で、供給配管6Aの電磁弁V1を開放させて筒状部材12の内側に除染ガスとして過酸化水素蒸気を供給する。
すなわち、結合部材8およびバッグ9により接続部7の外部開口7Bを閉鎖するまでは、内部ドア15が閉鎖されてアイソレータ2の内部と外部は遮断された状態となっており、内部ドア15の外部側表面や開口部材17を含む筒状部材12の内側面等は、外部雰囲気に露出された状態にあり無菌状態ではない。また、バッグ9の装着部9Dの内側面や膜9Bの装着部9D側の表面も外部雰囲気に曝されており無菌状態ではない。そこで、接続部7の外部開口7Bを密封することにより、筒状部材12の内側に密閉された接続空間Sを形成した上で、筒状部材12の内側に除染ガスを供給して接続空間Sに充満させて、接続空間Sに面する内部ドア15の外部側表面、開口部材17を含む筒状部材12の内側面、装着部9Dの内側面や膜9Bの装着部9D側の表面等の箇所を除染する。除染ガスを供給してから所定時間が経過すると、除染装置6から供給配管6Aを介して清浄空気を供給するとともに、回収配管6Bの電磁弁V2を開放して排気することにより、接続空間Sを換気して除染ガス成分を除去するエアレーションを行う。
このようにして筒状部材12の内側の接続空間Sの除染を行うが、筒状部材12の内部開口12A、シール保持部材18の内側部分18Bは、内部シール部材13、外部シール部材18Bにより確実に密封されているため、除染ガスがアイソレータ2の内部および外部に漏出することはなく、また、除染後に外部雰囲気が流入することもなく、接続空間Sの無菌状態を維持することができる。
【0018】
以上のようにして筒状部材12の内側の接続空間Sを無菌状態とした後、作業者がグローブ4を介してアイソレータ2の内部から内部ドア15を開放し、さらにカッター等を用いてバッグ9の膜9Bを切り開く。これにより、バッグ9の収容部9Cとアイソレータ2の内部が連通されて、収容部9Cに収容した物品10を、アイソレータ2の内部の無菌性を損なうことなくアイソレータ2の内部に搬入することができる。
なお、物品10の搬入後において、引き続きアイソレータ2の接続部7に接続されているバッグ9に、アイソレータ2の内部から物品10を収容させて内部ドア15を閉鎖させることにより、アイソレータ2内部の無菌性を損なうことなく物品10を外部に搬出させることが可能である。この際に、アイソレータ2の内部で行われる作業によっては、アイソレータ2の内部雰囲気の外部への漏洩を防止しなければならない場合があり、その場合には、内部ドア15を閉鎖した後で、搬入時と同様の工程により除染装置6によって筒状部材12の内側に除染ガスを供給して、接続空間Sおよびこれと連通するバッグ9の収容部9Cの内部および搬出する物品10の表面を除染する。
その後、エアレーションを含む除染工程が終了すると、接続時と逆の動作でカムレバー20を屈曲状態から起立させ、連結棒22を傾倒させて固定片8Cから外すことで、容易にバッグ9を接続部7から離脱させることができる。また、ゴムベルト21を外して結合部材8とバッグ9を容易に分離することが可能であり、バッグ9は破棄し結合部材8を再利用することができる。なお、接続部7から離脱後もバッグ9の収容部9C内の無菌状態を維持させたい場合は、カムレバー20を操作してバッグ9を離脱させる前に、収容した物品10を密封するように、外部から収容部9Cの部分を熱圧着したり、ゴムバンド等で封をするようにする。
【0019】
以上においては、バッグ9に膜9Bを形成した本発明の接続用バッグを用いた場合における物品10の搬入方法について説明したが、本発明のバッグ接続装置およびバッグ接続方法によれば、膜9Bを形成していない柔軟なバッグを用いて、アイソレータ2内部の無菌性を損なうことなく物品10を搬入することも可能である。なお、以下の説明においては、膜9Bを備えたバッグ9と区別しバッグ9’と表記する。
膜9Bを備えないバッグ9’についてもバッグ9と同様にして、結合部材8に装着して接続部7に接続することができる。この場合、バッグ9’は一端が閉鎖され他端が開放された形態であり、バッグ9’の内部および収容された物品10の表面は除染されてはいない。このようなバッグ9’についても、開放された端部9’aを結合部材8の内側を通して先端部8Aaで外側に折り返して結合部材8に装着することができ、バッグ9’が装着された結合部材8を接続部7に結合させることで、バッグ9’をバッグ9と同様に接続部7に接続させることができる。
これにより、接続部7の外部開口7Bをバッグ9’で密閉した状態で、筒状部材12の内側に除染ガスを供給することにより、内部ドア15の外部側表面、開口部材17を含む筒状部材12の内側面に加え、バッグ9’の内部にも除染ガスが行き渡り、バッグ9’の内面および物品10の表面が除染される。この後、バッグ9’の内部を含めてエアレーションを行い、内部ドア15を開放することで、アイソレータ2の内部の無菌性を損なうことなく物品10を搬入することができる。
【0020】
図9は、台車11に代えて接続部2の下方に載置台26を設けた場合を示している。これによれば、台車11に載置させる場合と同様に、載置台26にバッグ9を載置させた状態で結合部材8を接続部7に結合させてバッグ9を接続させ、その後もバッグ9を支持をすることができる。
また、
図10は結合部材8に載置部8Dを設けた場合を示しており、バッグ9を結合部材8に装着する際に、この載置部8Dにバッグ9を載置させるようにする。これによれば台車11や載置台26を備えなくても、収容する物品10の重みでバッグ9が垂れ下がることを防止することができ、その状態のまま結合部材8を接続部7に結合させてバッグ9を接続部7に接続させることができる。
【符号の説明】
【0021】
2‥アイソレータ 7‥接続部
7A‥内部開口 7B‥外部開口
8‥結合部材 9‥バッグ
9A‥本体部 9B‥膜
9C‥収容部 9D‥装着部
9Da‥開放端 12‥筒状部材
15‥内部ドア(閉鎖部材) 18‥シール保持部材
18A‥外部シール部材(シール部材) 19‥結合手段