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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】作業車両管理システム
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20220512BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
A01B69/00 301
F02M37/00 301R
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018244051
(22)【出願日】2018-12-27
(65)【公開番号】P2020103104
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2020-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100200942
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 高史
(72)【発明者】
【氏名】笹倉 裕真
(72)【発明者】
【氏名】澤木 拓人
(72)【発明者】
【氏名】楫野 豊
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-088822(JP,A)
【文献】特開2003-030551(JP,A)
【文献】特開2018-164423(JP,A)
【文献】特開2008-234084(JP,A)
【文献】特開2007-179239(JP,A)
【文献】特開2017-211815(JP,A)
【文献】特開2017-117256(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0117636(US,A1)
【文献】特表2018-525700(JP,A)
【文献】国際公開第2016/176411(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/200522(WO,A1)
【文献】特開2006-023937(JP,A)
【文献】特開2015-094749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00 -) 69/12
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網を介して情報を送受可能な通信部と、燃料タンク内の燃料残量を検出するように構成された燃料残量センサとを備えて燃料残量情報を送信可能に構成された複数の作業車両と、
前記複数の作業車両が送信した前記燃料残量情報を、通信網を介して取得可能に構成された遠隔管理装置とを備え、
前記遠隔管理装置は、取得した前記燃料残量情報から前記複数の作業車両のそれぞれの燃料残量を判断し、燃料残量が所定の閾値を下回った作業車両が複数存在する場合に、燃料残量が少ない作業車両から順に警告を報知する報知手段を備えて構成され
前記複数の作業車両は、それぞれ、
現在位置を測定する位置情報取得部と、前記位置情報取得部により現在位置を測定しながら圃場の外周経路を走行することにより、前記外周経路の経路情報及び圃場の地形情報を作成してデータベースに記録する地形情報記録手段と、前記地形情報記録手段によって記録された前記外周経路の経路情報及び圃場の地形情報を前記データベースから取得する圃場形状取得手段と、前記作業車両の走行経路を算定する経路算定部と、所定条件により走行経路を切り替えて作業走行から退避させる退避手段とを備え、
前記経路算定部は、取得した前記圃場の地形情報及び前記作業車両にそれぞれ設定された作業幅の情報に基づき、圃場を作業走行するための経路であって圃場端を示す複数の圃場端点を通過するように設計された予定走行経路と、前記作業車両の現在位置から前記予定走行経路の終端地点と前記外周経路とを経由して圃場の出入り口まで走行するための経路である残余経路と、前記作業車両の現在位置から最も近い未通過の前記圃場端点と前記外周経路とを経由して圃場の出入り口まで走行するための経路である退避経路とを算定するよう構成され、
前記退避手段は、作業走行中、算定された前記残余経路の走行で消費される燃料量を計算し、前記燃料残量センサが取得した燃料残量が計算された燃料量を下回ると、走行経路を、算定された前記退避経路に切り替えて作業走行から退避させ、圃場の出入り口で前記作業車両を待機状態とすることを特徴とする作業車両管理システム。
【請求項2】
通信網を介して情報を送受可能な通信部と、燃料タンク内の燃料残量を検出するように構成された燃料残量センサとを備えて燃料残量情報を送信可能に構成された複数の作業車両と、前記複数の作業車両が送信した前記燃料残量情報を、通信網を介して取得可能に構成された遠隔管理装置とを備え、
前記遠隔管理装置は、自己の位置情報を測定して取得可能な測位装置と、複数の圃場の位置情報が記録された記録装置と、前記複数の作業車両が作業している圃場を作業車両ごとに特定する圃場特定手段を備え、
前記自己の位置情報及び前記圃場の位置情報から、現在位置から圃場到達までにかかる移動時間を前記複数の圃場毎に算出し、さらに、取得した前記燃料残量情報から作業車両毎に作業可能な残り作業可能時間を算出するとともに、前記圃場特定手段によって作業車両ごとに作業中の圃場を特定し、作業車両ごとに前記残り作業可能時間と前記作業中の圃場までの前記移動時間との差を算出し、この差が所定の閾値を下回ると警告を報知するように構成され、
前記複数の作業車両は、それぞれ、
現在位置を測定する位置情報取得部と、前記位置情報取得部により現在位置を測定しながら圃場の外周経路を走行することにより、前記外周経路の経路情報及び圃場の地形情報を作成してデータベースに記録する地形情報記録手段と、前記地形情報記録手段によって記録された前記外周経路の経路情報及び圃場の地形情報を前記データベースから取得する圃場形状取得手段と、前記作業車両の走行経路を算定する経路算定部と、所定条件により走行経路を切り替えて作業走行から退避させる退避手段とを備え、
前記経路算定部は、取得した前記圃場の地形情報及び前記作業車両にそれぞれ設定された作業幅の情報に基づき、圃場を作業走行するための経路であって圃場端を示す複数の圃場端点を通過するように設計された予定走行経路と、前記作業車両の現在位置から前記予定走行経路の終端地点と前記外周経路とを経由して圃場の出入り口まで走行するための経路である残余経路と、前記作業車両の現在位置から最も近い未通過の前記圃場端点と前記外周経路とを経由して圃場の出入り口まで走行するための経路である退避経路とを算定するよう構成され、
前記退避手段は、作業走行中、算定された前記残余経路の走行で消費される燃料量を計算し、前記燃料残量センサが取得した燃料残量が計算された燃料量を下回ると、走行経路を、算定された前記退避経路に切り替えて作業走行から退避させ、圃場の出入り口で前記作業車両を待機状態とすることを特徴とする作業車両管理システム。
【請求項3】
前記遠隔管理装置は、取得した前記燃料残量情報から、前記複数の作業車両のそれぞれの燃料残量をゲージの長さで視覚的に示す燃料ゲージを表示するように構成され、
さらに、前記遠隔管理装置の現在位置を測定する測位装置と、前記測位装置から取得した現在位置の情報から、圃場の出入り口までの概算の移動時間を算出する移動時間算出手段と、取得した前記燃料残量情報から、単位時間当たりの燃料消費量である燃料消費率を算出し、算出された前記概算の移動時間と、算出された前記燃料消費率とから、前記概算の移動時間における前記作業車両の燃料消費量を算出し、前記燃料ゲージ上に表示される位置によって前記概算の移動時間内に消費される燃料量を視覚的に示す警告ラインを表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の作業車両管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場内を自律走行する農業用の作業車両を管理するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
圃場を自律走行する作業車両には、搭乗者がいないことにより燃料残量の確認がされず、走行中に燃料切れを起こすおそれがある。これに対し、作業車両が走行中に燃料切れを起こしそうになると、管理ユーザに警告を報知する作業車両管理システムが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-059349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、複数の作業車両を単一の管理ユーザが管理する場合、複数の作業車両が同時に、又は立て続けに燃料切れを起こしそうになると、最初に燃料切れの警告が出た作業車両に注意が集中することによって、後から他の作業車両に燃料切れの警告が出た場合、他の作業車両への対応が遅れて燃料切れを起こすおそれがあった。
【0005】
したがって、本発明は、複数の作業車両の燃料切れの可能性を事前に把握して、その旨を適切に報知する作業車両管理システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のかかる目的は、通信網を介して情報を送受可能な通信部を備えて燃料残量情報を送信可能に構成された複数の作業車両と、前記複数の作業車両が送信した前記燃料残量情報を、通信網を介して取得可能に構成された遠隔管理装置とを備え、前記遠隔管理装置は、取得した前記燃料残量情報から前記複数の作業車両のそれぞれの燃料残量を判断し、燃料残量が所定の閾値を下回った作業車両が複数存在する場合に、燃料残量が少ない作業車両から順に警告を報知する報知手段を備えて構成されていることを特徴とする作業車両管理システムによって達成される。
【0007】
本発明によれば、遠隔管理装置が各作業車両の燃料残量情報を取得し、燃料残量が所定の閾値を下回ったと判断された作業車両について、燃料切れの警告を報知するので、遠隔管理装置を所持している管理ユーザは、作業車両ごとに燃料切れが生じるタイミングを把握することができ、各作業車両について受けた警告の順番によって、先に燃料切れが生じる作業車両を把握することができる。
【0008】
また、本発明のかかる目的は、通信網を介して情報を送受可能な通信部を備えて燃料残量情報を送信可能に構成された複数の作業車両と、前記複数の作業車両が送信した前記燃料残量情報を、通信網を介して取得可能に構成された遠隔管理装置とを備え、前記遠隔管理装置は、自己の位置情報を測定して取得可能な測位装置と、複数の圃場の位置情報が記録された記録装置と、前記複数の作業車両が作業している圃場を作業車両ごとに特定する圃場特定手段を備え、前記自己の位置情報及び前記圃場の位置情報から、現在位置から圃場到達までにかかる移動時間を前記複数の圃場毎に算出し、さらに、取得した前記燃料残量情報から作業車両毎に作業可能な残り作業可能時間を算出するとともに、前記圃場特定手段によって作業車両ごとに作業中の圃場を特定し、作業車両ごとに前記残り作業可能時間と前記作業中の圃場までの前記移動時間との差を算出し、この差が所定の閾値を下回ると警告を報知するように構成されたことを特徴とする作業車両管理システムによっても達成される。
【0009】
本発明のこの他の実施態様によれば、異なる圃場で走行している作業車両について、作業車両ごとに、残り作業可能時間から、その作業車両が走行している圃場までの移動時間を引いた時間が所定の閾値を下回ったときに、遠隔管理装置が警告を報知することで、管理ユーザは、警告に応じて圃場へ燃料補給に向かうことで、警告のあった作業車両が燃料切れを起こす前に圃場に到着することができるので、作業車両が燃料切れの状態で放置されることを抑止することができる。
【0010】
また、複数の作業車両が同時に、又は立て続けに燃料切れを起こしそうな場合には、それらの作業車両が走行している圃場へ到着するまでの時間も考慮した、実質的な燃料切れのタイミングが近い作業車両から先に警告が発せられるため、優先して燃料補給すべき作業車両を適切に選択することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の作業車両の燃料切れの可能性を事前に把握して、その旨を適切に報知する作業車両管理システムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施態様に係る作業車両管理システムの作業車両の構成を示す略側面図である。
図2図2は、本発明の実施態様に係る作業車両管理システムの構成を示すブロック図である。
図3図3は、管理区域における、管理端末と複数の圃場との位置関係を示す模式図である。
図4図4は、図3の作業車両の燃料残量が表示された管理端末の模式図である。
図5図5は、作業車両の燃料切れ警告を報知するプロセスを示すフローチャートである。
図6図6は、作業車両の残り作業可能時間を報知するプロセスを示すフローチャートである。
図7図7は、圃場の外周経路を記録する作業車両の様子を示す模式図である。
図8図8は、圃場内を作業走行する作業車両の様子を示す略平面図である。
図9図9は、圃場内から残余経路に沿って圃場の出入り口まで移動する作業車両の様子を示す略平面図である。
図10図10は、圃場内から退避経路に沿って圃場の出入り口まで移動する作業車両の様子を示す略平面図である。
図11図11は、作業車両が燃料の減少に伴い圃場の出入り口に退避するプロセスを示すフローチャートである。
図12図12は、図1のエンジンに燃料を供給する燃料タンクの内部を示す模式図である。
図13図13は、図2の燃料残量センサの構成を示す説明図である。
図14図14は、作業車両の車体が傾斜した場合の燃料タンクの内部の様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照しつつ、詳細に説明を加える。
【0014】
図1は、本発明の実施態様に係る作業車両管理システムの作業車両100の構成を示す略側面図である。
図1に示されるように、作業車両100は、圃場13を走行可能な農作業用の車両であり、車体前部には、ボンネット107に覆われたエンジン105が配設され、このエンジン105の回転動力を複数の変速装置を介して前輪3及び後輪104に伝達することで走行できるように構成されている。また、エンジン105の後方には、操縦部106が設けられており、操縦部106後方の車体後部には圃場13を耕耘可能な作業機140が取り付けられている。
【0015】
操縦部106には、作業者が操作するステアリングハンドルと操縦席とを備えているキャビンが設けられている。また、キャビンの天井であるキャビンルーフ8にはGNSS受信機102が設けられており、人工衛星170から所定の時間間隔で電波を受信して作業車両1の位置を測定することができるように構成されている。
【0016】
作業車両100の車体後部には、上側にあるトップリンク145aと下側にある左右のロアリンク145bとからなる3点リンク機構145が設けられており、これに作業機40が連結されている。作業機140には、圃場の土を耕す耕耘爪416と、耕耘爪146の上方を覆うロータリカバー147と、ロータリカバー147の後部で上下動自在に支持されるリヤカバー148とが設けられるとともに、ロータリカバー147上にポテンショメータ式の耕深センサ149が設けられ、同センサ149によりロータリカバー147に対するリヤカバー48の回動角度を耕深度として検出可能に構成されている。
【0017】
3点リンク機構145のロアリンク45bには、リフトアーム42を介して作業機昇降シリンダ41が接続されており、作業機昇降シリンダ141を伸縮させることによりロアリンク145bを上下させることができるように構成されている。したがって、3点リンク機構145は、作業機昇降シリンダ141を伸縮させることにより、連結した作業機140を上下方向に移動させることができるので、圃場13を耕耘する作業時は作業機140を下ろして接地させる一方、非作業時は、作業機140を持ち上げて接地しないようにしておくことで、作業機140が不必要に地面と接触し、作業車両100の走行の妨げになることを防ぐことができる。
【0018】
以下、作業車両100が作業機140を下ろした状態で、圃場13の土を耕しながら走行することを作業走行と呼ぶ。
【0019】
図2は、本発明の好ましい実施態様に係る作業車両管理システム1の構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、作業車両100は、図1のGNSS受信装置102が受信した電波から自機の位置情報を取得する位置情報取得手段である位置情報取得部301と、車両の自律走行を制御する自動運転ECU302と、車両の走行及び作業機の操作を制御する車両ECU303とを備えており、車両ECU303は、通信網をなすクラウドCと相互に通信を行う通信部304と、車両の燃料残量を検出する燃料残量検出手段である燃料残量センサ305と、位置情報や地形情報から走行経路を算定する経路算定部306と、設定された走行経路の距離から消費する燃料の量を推定する消費燃料算定部307とを備えている。
【0020】
したがって、作業車両100は、位置情報取得部301により取得した自機の位置情報や、燃料残量センサ305により取得した燃料残量情報を、所定時間毎に、通信部304を介してクラウドCに送信して格納することができ、また、クラウドCに格納された情報を取得することができるように構成されている。
【0021】
遠隔管理装置200は、携帯可能な電子演算機器であり、管理ユーザにより操作可能な管理端末201によって構成されている。管理端末201は、クラウドCと相互に通信可能な通信機202と、人工衛星の測位情報から自己の位置情報、すなわち管理端末201の現在の位置情報を取得可能な測位装置203と、管理端末201を制御する端末制御部204とを備えている。したがって、管理ユーザは、管理端末201を所持することにより、通信機202を介してクラウドCと情報のやり取りをすることができ、測位装置203により取得した測位情報から現在の自己の位置情報を把握することができる。
【0022】
このように、作業車両100と遠隔管理装置200とがクラウドCを媒介して通信可能に構成されているので、管理ユーザは、遠隔管理装置200により、作業車両100の状態を監視したり、指令を送ったりすることができ、遠隔的に作業車両100を管理することが可能になる。
【0023】
クラウドCには管理サーバ320が設けられており、この管理サーバ320には作業車両100の燃料残量センサ305が取得した燃料残量情報を格納する燃料残量データベース321と圃場やその周辺の地形情報を格納する地形情報データベース322と、作業車両100および遠隔管理装置200の位置情報を格納する位置情報データベース323とが記録されている。したがって、管理ユーザは、管理サーバ320にアクセスし、燃料残量データベース321を参照することにより、作業車両100の燃料残量を確認することができ、地形情報データベース322および位置情報データベース323を参照することにより、作業車両100と圃場との位置関係、自分と圃場との位置関係を、それぞれ把握することができる。
【0024】
図3は、管理区域10における、管理端末201と、複数の圃場13との位置関係を示す模式図であり、図4は、図3の作業車両100の燃料残量が表示された管理端末201の模式図である。
図3に示されるように、管理区域10には複数の圃場13(A1~An)が設けられており、それぞれの圃場13で走行車両100(V1~Vn)が作業走行するように構成されている。各圃場13は管理通路12に接しており、出入口11から作業車両100が出入りできるように構成されている。
【0025】
管理端末201は、どの圃場13にどの作業車両100が作業しているかを特定する圃場特定手段を備えており、図2に示したクラウドCを介して管理サーバ320にアクセスし、地形情報データベース322に格納されている各圃場13(A1~An)の位置情報と、位置情報データベース323に格納されている作業車両100(V1~Vn)の位置情報とを比較参照することで、圃場13が位置する範囲に存在する作業車両100を特定し、作業車両Vx(x=1,2,・・・,n)と、その作業車両Vxが作業している圃場Ax(x=1,2,・・・,n)とを対応付けることができるように構成されている。
【0026】
図4に示されるように、管理端末201のディスプレイ205には、圃場13(A1~An)を作業走行している作業車両100(V1~Vn)を示す作業車両アイコン210と、その作業車両100の燃料残量を示す燃料ゲージ211が表示されている。燃料ゲージ211は、横に並べたブロック状のゲージランプ211aが点灯する個数と、その左に表示されている作業車両100の燃料残量とを対応させており、燃料が満タンのときはゲージランプ211aが全て点灯し、燃料が減ると右側からゲージランプ211aが消えていき、燃料がなくなると全てのゲージランプ211aが消灯するように構成されている。
【0027】
ここで、管理端末201において、端末制御部204は、内蔵している通信機202により、所定時間毎に、クラウドCを介して各作業車両100(V1~Vn)の燃料残量の最新の情報を取得して、燃料ゲージ211に、現在の作業車両100の燃料残量を表示するように構成されている。したがって、管理ユーザは、各作業車両100(V1~Vn)の現在の燃料残量を、目視により容易に把握することができる。
【0028】
また、端末制御部204は、各作業車両100(V1~Vn)について、ゲージランプ211aの点灯個数が1つだけになると、その作業車両100についてスピーカー220から燃料切れが生じる旨の警告を報知するように構成されている。
【0029】
また、端末制御部204は、測位装置203により、現在の管理端末201の位置情報を取得することができ、クラウドCを介して図2に示した地形情報データベース322から管理区域10の管理通路12と、圃場13(A1~An)とのそれぞれの地形情報を取得することができる。さらに、管理端末201の現在位置から管理通路12を通って圃場13の出入り口11の位置に達する経路(L1~Ln)を算出して、これらの経路(L1~Ln)の距離から、所定の速度における圃場13(A1~An)への移動時間T(T1~Tn)を算出可能に構成されている。
【0030】
さらに、端末制御部204は、作業車両100の作業時の単位時間当たりの燃料消費量である燃料消費率と、圃場13(A1~An)における作業車両100(V1~Vn)の現在の燃料残量から、各作業車両100(V1~Vn)の残り作業可能時間R(R1~Rn)を算出し、所定の猶予時間τをとって、R-T<τ(R1-T1<τ,R2-T2<τ,・・・,Rn-Tn<τ)となった作業車両100(V1~Vn)について、対応する作業車両アイコン210の横に警告アイコン212を表示させるとともに、スピーカー220から、圃場までに移動時間T(T1~Tn)かかり、残り作業可能時間R(R1~Rn)(+猶予時間τ)後に作業車両100(V1~Vn)の燃料切れが生じる旨の警告を報知するように構成されている。
【0031】
そして、端末制御部204は、作業車両100の作業時の燃料消費率から、圃場13への移動時間T内に作業車両100により消費される燃料の量を算出するとともに、燃料ゲージ211上に、移動時間T内に消費される燃料の量に相当する位置に警告ライン213を表示させるように構成されている。燃料ゲージ211に、警告ライン213が表示されることで、管理端末201を所持している管理ユーザは、現在の位置からどの作業車両から燃料切れへの対処をすればよいかを視認することができ、あらかじめ優先して燃料補給すべき作業車両100を把握することができる。
図5は、作業車両100の燃料切れ警告を報知するプロセスを示すフローチャートである。
図5に示されるように、まず、管理端末201の端末制御部204が、通信機202によりクラウドCにアクセスして管理サーバ320の燃料残量データベース321から各作業車両100(V1~Vn)の燃料残量情報を取得すると(S101)、管理端末201のディスプレイ205の各作業車両100(V1~Vn)に対応する燃料ゲージ211に、取得した燃料残量に応じた個数だけゲージランプ211aを点灯させる(S102)。このとき、ある作業車両100が燃料切れ寸前で、ゲージランプ211aを1つ点灯させる程度の量である場合(S103)、端末制御部204は、その作業車両100について燃料切れが生じる旨の警告をスピーカー220により報知する(S104)。
【0032】
このように、管理端末201の端末制御部204が、燃料残量が所定の閾値を下回ったと判断した作業車両について、燃料切れの警告を報知するので、管理端末201を所持している管理ユーザは、作業車両100(V1~Vn)ごとに燃料切れが生じるタイミングを把握することができ、警告を受けた作業車両100(V1~Vn)の順番によって、先に燃料切れが生じる作業車両100(V1~Vn)を把握することができる。
【0033】
図6は、作業車両100の残り作業可能時間を報知するプロセスを示すフローチャートである。
図6に示されるように、まず、端末制御部204は、通信機202によりクラウドCを介して管理サーバ320の地形情報データベース322から管理区域10の管理通路12と、圃場13(A1~An)とのそれぞれの地形情報を取得する(S201)とともに、位置情報データベース323から各作業車両100(V1~Vn)の位置情報を取得し(S202)、さらに、各作業車両100(V1~Vn)について、各圃場13(A1~An)の地形情報から、ある作業車両100の位置情報を含む地形情報を有する圃場13を抽出して、どの作業車両100がどの圃場13を走行しているかを特定する(V1→A1,V2→A2,・・・,Vn→Anと対応付ける)(S203)。また、測位装置203により、管理端末201の現在の位置情報を取得する(S204)。
【0034】
次に、端末制御部204は、取得したこれらの情報に基づいて、圃場13(A1~An)ごとに、管理端末201の現在位置から管理通路12を通って圃場13の出入り口11の位置に達する経路L(L1~Ln)を算出して(S205)、経路L(L1~Ln)の距離から、管理端末201の現在位置から圃場13(A1~An)までの、所定の速度における移動時間T(T1~Tn)を算出する(S206)。
【0035】
さらに、端末制御部204は、通信機202によりクラウドCを介して管理サーバ320の燃料残量データベース321から各作業車両100(V1~Vn)の燃料残量情報を取得して(S207)、作業車両100の燃料消費率から、各作業車両100(V1~Vn)の残り作業可能時間R(R1~Rn)を算出し(S208)、各作業車両100(V1~Vn)について、R-T<τ(R1-T1<τ,R2-T2<τ,・・・,Rn-Tn<τ)となっているかを判定する(S209)。
【0036】
そして、ある作業車両Vx(x=1,2,・・・,n)の移動時間Txと残り作業可能時間Rxとの関係がRx-Tx<τとなっていれば、端末制御部204は、管理端末201のディスプレイ205の、作業車両Vxに対応する作業車両アイコン210の横に警告アイコン212を表示させるとともに(S210)、スピーカー220から、作業車両Vxが作業している圃場Axまで移動時間Txがかかり、残り作業可能時間Rx(+猶予時間τ)後に作業車両100の燃料切れが生じる旨の警告を報知する(S211)。一方、R-T<τとなっている作業車両100がなければ、S204に戻る。
【0037】
このように、作業車両管理システム1によれば、圃場13で走行している作業車両100の残り作業可能時間(R)から、その圃場13までの移動時間(T)を引いた時間が所定の猶予時間(τ)を下回ったとき(R-T<τ)に、管理端末201が、時間R後に作業車両100の燃料切れが生じる旨の警告を報知することにより、管理端末201を所持している管理ユーザは、警告後所定の猶予時間(τ)内に圃場13に燃料補給に向かうことで、作業車両100が燃料切れを起こす前に圃場に到着することができるので、作業車両100が燃料切れの状態で放置されることを抑止することができる。
【0038】
また、複数の作業車両100が同時に、又は立て続けに燃料切れを起こしそうな場合には、それらの作業車両100が走行している圃場13へ到着するまでの時間も考慮した、実質的な燃料切れのタイミングが近い作業車両100から先に警告が発せられるため、優先して燃料補給すべき作業車両100を適切に選択することができる。
【0039】
図7は、圃場13の外周経路を記録する作業車両100の様子を示す模式図であり、図8は、圃場13内を作業走行する作業車両100の様子を示す略平面図である。
【0040】
図7に示されるよう、圃場13は、畦15と枕地14に囲まれており、管理通路12に対し、出入口11によって走行車両100が出入り可能に構成されている。枕地14は、走行車両100が走行可能であり、圃場13の外を周回するための外周経路22となっている。
【0041】
作業車両100は、圃場の形状を示す地形情報を取得する圃場形状取得手段を備えている。その前提として、作業車両100は、あらかじめ、図2の位置情報取得部301で現在位置を測定しながら外周経路22を走行し、図2の経路算定部306が走行した経路の位置情報をつなげることにより、外周経路22の経路情報を作成し、かつ、外周経路22の経路情報において走行した経路が囲む範囲を計算して圃場13の地形情報(圃場の位置座標、面積および縦横の長さ)を作成し、これらの情報を、クラウドCを介して、地形情報データベース322に記録する地形情報記録モードを備えている。そして、作業車両100は、圃場形状取得手段によって、地形情報記録モードによって地形情報データベース322に記録された外周経路22の経路情報及び圃場13の地形情報を取得することができるように構成されている。なお、地形情報記録モードは、作業車両100が備える操作スイッチ(図示省略)により、選択可能となっている。
【0042】
地形情報記録モードにより作業車両100が作成した外周経路22の経路情報と圃場13の地形情報とは、クラウドCを介して管理サーバ320に送信され、外周経路22の経路情報と圃場13の地形情報とを受け取った管理サーバ320は、その情報を地形情報データベース322に記録する。これにより、作業車両100は、クラウドCを介して管理サーバ320にアクセスすることで、任意のタイミングで外周経路22の経路情報と圃場13の地形情報とを取得することができる。作業車両100は、例えば、エンジンを起動した際に、圃場形状取得手段によって、外周経路22の経路情報及び圃場13の地形情報を取得する。
【0043】
このように、作業車両100が地形情報記録モードを備えていることにより、あらかじめ圃場13を測量して地形情報を取得しておく必要がなく、任意の圃場13での作業車両100に作業走行をさせるために必要な手間を軽減することができる。
【0044】
図8に示されるように、作業車両100は、圃場13内を作業走行するにあたり、図2に示した経路算定部306により圃場13の地形情報と作業車両100の作業幅Wとに基づいて圃場13を作業走行するための経路である予定走行経路20を算定する。圃場13を万遍なく耕耘するように作業走行するには、圃場13の幅を作業幅Wで割った数の分だけ圃場13を直進すればよいので(図6では8回)、予定走行経路20は、圃場13上を直進する直進経路と、圃場13を出て枕地14で旋回し圃場13に戻る旋回経路とにより、圃場13を計4回往復するように算定される。以下、予定走行経路20が圃場13の端と交差する点を圃場端点21a(P1~P8)、21b(Q1~Q8)と呼ぶ。
【0045】
予定走行経路20が算定されると、作業車両100は、自律走行により、予定走行経路20に沿って、圃場13の一端から他の一端まで往復しながら、圃場全体を作業走行で通過するように構成されている。
【0046】
具体的には、作業車両100は、圃場13の隅にある圃場端点21a(P1)から圃場13に進入すると、対向する位置にある圃場端点21b(Q1)まで直進して、一旦、圃場13を出てから枕地14で右旋回し、隣接する圃場端点21b(Q2)から再度、圃場13に進入する。その後、対向する位置にある圃場端点21a(P2)まで直進し、圃場13を出てから枕地14で左旋回し、隣接する圃場端点21a(P3)から再度、圃場13に進入する。作業車両100は、このような走行を圃場端点21a(P8)に着くまで繰り返すことで、圃場全体を万遍なく耕耘することができる。
【0047】
図9は、圃場13内から残余経路23に沿って圃場13の出入り口11まで移動する作業車両100の様子を示す略平面図であり、図10は、圃場13内から退避経路24に沿って圃場13の出入り口11まで移動する作業車両100の様子を示す略平面図である。
【0048】
図9及び図10に示されるように、作業車両100は、圃場13を作業走行中に、図2に示した経路算定部306により、定期的に残余経路23と退避経路24とを算定するように構成されている。ここで、残余経路23とは、作業車両100の現在位置から予定走行経路20の終端地点である圃場端点21a(P8)までと、そこから枕地14に出て外周経路22を経由して出入り口11に戻るまでとを合わせた経路であり、退避経路24とは、作業車両100の現在位置から最も近い未通過の圃場端点(21aまたは21b)までと、そこから圃場13を出て外周経路22を経由して出入口11に戻るまでとを合わせた経路である。圃場端点(21aまたは21b)から外周経路22を通って出入口11に至る経路は2通り存在するが、退避経路24には、距離がより短い(燃料消費量の少ない)経路が選ばれる。
【0049】
作業車両100は、地形情報データベース322に記録された外周経路22の経路情報を取得し、取得した外周経路22の経路情報を基に退避経路24から圃場13の出入り口11までに至る走行経路を決定し、走行経路を残余経路23から退避経路24に切り替える退避手段を備えており、残余経路を算定するのに併せて、図2に示した消費燃料算定部307により、残余経路23で消費される燃料量を計算し、図2に示した燃料残量センサ305が取得した作業車両100の燃料残量が、残余経路23で消費される燃料量よりも少なくなると、作業車両100は作業走行を中断し、走行経路を退避経路24に切り替えて出入り口11にまで移動し、そこで待機するように構成されている。
【0050】
図11は、作業車両100が燃料の減少に伴い圃場13の出入り口11に退避するプロセスを示すフローチャートである。
図11に示されるように、作業車両100が自動運転ECU302の走行制御により圃場13を予定走行経路20に沿って作業走行している間(S301)、自動運転ECU302は、経路算定部306により残余経路23と退避経路24とを算定し(S302)、車両ECU303は、燃料残量センサ305により作業車両100の燃料残量情報を取得し(S303)、消費燃料算定部307により、残余経路23で消費される燃料量を計算する(S304)、車両ECU303が、消費燃料算定部307の計算結果に基づいて、燃料残量センサ305により取得した燃料残量情報が、残余経路23で消費される燃料量よりも少なくなったと判断すると(S305)、自動運転ECU302に出入り口11に向かうよう指令を出し、その旨の指令を受け取った自動運転ECU302は、作業走行を中断して(S306)、退避経路24を通って出入り口11にまで移動する(S307)。
【0051】
このように、作業車両100は、燃料の減少に対して圃場13からの退避手段を備えていることにより、圃場13の作業走行中に燃料が尽きそうになると、作業走行を中断して圃場13の出入り口11まで移動し、その位置で待機することができるので、圃場13の内部や端部で燃料が尽きて停止するということがなく、容易に作業車両100の燃料補給を行なうことができる。
【0052】
また、管理ユーザが圃場内に立ち入って燃料補給をする必要がないので、燃料補給のために圃場の既耕地を荒らすことがなく、作業車両100が圃場13の出入り口11まで移動する際に、一旦、枕地14に出て外周経路22を通るので、作業車両100の移動によっても圃場13の既耕地を荒らすことがない。
【0053】
図12は、図1のエンジン105に燃料410を供給する燃料タンク400の内部を示す模式図であり、図13は、図2の燃料残量センサ305の構成を示す説明である。
図12に示されるように、燃料タンク400内には、燃料410が充填されており、燃料410の残量を検出するフロート式燃料計420が設けられている。フロート式燃料計420は、燃料の液面に浮かぶフロート421と、フロート421が一端に取り付けられた軸部材であるフロートアーム422と、フロートアーム422の他端を回動可能に支持する抵抗器423と、抵抗器423を燃料タンク400の上面から吊下げるように支持するステー424とにより構成されている。
【0054】
フロート式燃料計420は、フロート421が燃料タンク400内の燃料410の液面の高さの変化に連動して上下することで、フロートアーム422が回動し、抵抗器423がフロートアーム422の回動位置に応じた電気抵抗値を出力するので、この電気抵抗値を読み取ることで、燃料タンク400内の燃料残量を検出できるように構成されている。
【0055】
一般に、フロート式燃料計420は、燃料410の液面が検出限界線430よりも下がると燃料残量の検出ができなくなるので、検出限界線430を便宜的に燃料残量が0の状態であると設定しているが、燃料410の液面が検出限界線430以下でも、作業車両100が所定時間、作業走行可能な程度の燃料残量が残されていることが多い。
【0056】
これに対し、図13に示されるように、車両ECU303の燃料残量センサ305は、燃料吐出量の積算値を計測可能な燃料吐出量センサ308と、フロート式燃料計420とから構成されており、フロート式燃料計420による燃料残量の検出値が0になると、車両ECU303の燃料吐出量センサ308が計測した燃料吐出量の積算値を取得することで、燃料残量を検出するように構成されている。したがって、燃料残量センサ305は、燃料410の液面が検出限界線430以下になっても燃料残量を検出することができるので、見かけの燃費と実際の燃費との間に乖離が生じることを抑止することができ、フロート式燃料計420のみで燃料残量を検出する場合に比べて、燃料補給のスパンを長くして、作業車両100の作業時間を向上させることができる。
【0057】
また、燃料410の液面がエンスト警告線431よりも下がると、作業車両100が燃料切れによるエンストを起こすおそれが生じるので、車両ECU303は、燃料吐出量センサ308が計測した燃料吐出量の積算値から算出した燃料残量がエンスト警告線431を下回る量になったと判断すると、通信部304から図2に示したクラウドCを介して図2に示した管理端末201にエンストのおそれがある旨の警告を送るように構成されている。
【0058】
また、燃料残量センサ305は、フロート式燃料計420の検出値が所定の閾値を上回った場合は、燃料吐出量センサ308が計測した燃料吐出量の積算値をリセットするように構成されている。すなわち、燃料の補給をすることで、燃料410の液面が上昇してフロート式燃料計420の検出値が所定の閾値を上回ると、燃料吐出量センサ308が計測した燃料吐出量の積算値がリセットされるので、作業車両100が燃料410を消費して、燃料410の液面が再び検出限界線430以下になっても、以前の燃料吐出量が加算されて燃料残量の検出値に誤差が生じるということがない。
【0059】
また、車両ECU303は、燃料吐出量センサ308に異常が生じて、燃料吐出量の情報を取得できない場合には、燃料残量が取得できない旨の情報をクラウドCに送信するように構成されており、管理端末201はクラウドCを介してその旨の情報を受信すると、燃料残量が取得できない旨の警告を報知するように構成されている。したがって、管理端末201を所持する管理ユーザは、燃料吐出量センサ308が燃料吐出量の情報を取得できない状態であることを把握することができ、作業車両100が、燃料410が枯渇して燃料410の液面がエンスト警告線431よりも下がったことを検知できずにエンストするおそれがあることを把握することができる。
【0060】
図14は、作業車両100の車体が傾斜した場合の燃料タンク400内の様子を示す模式図である。
図14に示されるように、作業車両100は、車体の傾きを検出する傾斜センサ309を備えており、作業車両100の車体が傾斜すると、車両ECU303は、傾斜センサ309が検出した車体の傾斜(θ)から、傾斜による燃料410の液面の高さの変化(d)を算出し、残量フロート式燃料計420による検出値を、傾きがない場合の値に戻るように補正して取得するように構成されている。したがって、作業車両100は、車体が傾くことで生じる燃料410の液面の変化から、燃料切れを誤検知して警告を発することを防止することができる。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施態様につき説明を加えたが、本発明は、かかる実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0062】
例えば、本発明の好ましい実施態様においては、作業車両100は、自律走行の途中で燃料が尽きそうになると、圃場13の出入り口11まで退避するように構成されているが、燃料切れの前に退避する位置は作業車両100への燃料補給が容易であれば必ずしも圃場13の出入り口11である必要はなく、畦15からの燃料補給が容易であれば、畦15に隣接した外周経路22上の任意の位置を待機位置として、作業車両100を燃料切れの前にその待機位置に退避するようにしてもよい。
【0063】
また、本発明の好ましい実施態様においては、作業車両100の車両ECU303は、フロート式燃料計420による燃料残量の検出値が0になると、燃料吐出量センサ308が計測した燃料吐出量の積算値を取得することで、燃料残量を検出するようにするように構成されているが、車両ECU303を、エンジン105の負荷率と回転数と稼働時間を取得できるように構成し、フロート式燃料計420による燃料残量の検出値が0になると、エンジン105の負荷率と回転数と稼動時間とから消費燃料を計算して、燃料残量を算出するように構成してもよい。この場合、燃料残量センサ305は、フロート式燃料計420の検出値が所定の閾値を上回った場合は、燃料残量の算出に用いるエンジンの稼働時間をリセットするように構成するとよい。
【符号の説明】
【0064】
1 作業車両管理システム
10 管理区域
11 出入り口
12 管理通路
13 圃場
14 枕地
15 畦
20 走行予定経路
21a 圃場端点
21b 圃場端点
22 外周経路
23 残余経路
24 退避経路
100 作業車両
102 GNSS受信機
103 前輪
104 後輪
105 エンジン
106 操縦部
107 ボンネット
108 キャビンルーフ
140 作業機
141 作業機昇降シリンダ
142 リフトアーム
145 3点リンク機構
145a トップリンク
145b ロアリンク
146 耕耘爪
147 ロータリカバー
148 リヤカバー
149 耕深センサ
170 人工衛星
200 遠隔管理装置
201 管理端末
202 通信機
203 測位装置
204 端末制御部
205 ディスプレイ
210 作業車両アイコン
211 燃料ゲージ
211a ゲージランプ
212 警告アイコン
213 警告ライン
220 スピーカー
301 位置情報取得部
302 自動運転ECU
303 車両ECU
304 通信部
305 燃料残量センサ
306 経路算定部
307 消費燃料算定部
308 燃料吐出量センサ
309 傾斜センサ
320 管理サーバ
321 燃料残量データベース
322 地形情報データベース
323 位置情報データベース
400 燃料タンク
410 燃料
420 フロート式燃料計
421 フロート
422 フロートアーム
423 抵抗器
424 ステー
430 検出限界線
431 エンスト警告線
C クラウド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14