(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】電子線殺菌方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/08 20060101AFI20220512BHJP
G21K 5/04 20060101ALI20220512BHJP
G21K 5/02 20060101ALI20220512BHJP
G21K 1/04 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
A61L2/08 108
G21K5/04 E
G21K5/02 X
G21K1/04 R
(21)【出願番号】P 2019021998
(22)【出願日】2019-02-08
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【氏名又は名称】酒井 正己
(74)【代理人】
【識別番号】100179844
【氏名又は名称】須田 芳國
(72)【発明者】
【氏名】野田 秀作
【審査官】越本 秀幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-504918(JP,A)
【文献】特開平08-151021(JP,A)
【文献】特表2001-524056(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0039353(KR,A)
【文献】特開2001-238969(JP,A)
【文献】特開2005-037214(JP,A)
【文献】特表2017-512106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00-2/12
G21K 5/04
G21K 5/02
G21K 1/04
B65B 55/00-55/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子線を遮蔽する遮蔽材を配置した領域SAと、前記遮蔽材を配置しない領域SBと
、を有する照射線量調整板を電子線照射装置の電子線取出窓と前記被照射物との間に配置し、
前記照射線量調整板を介して電子線を被照射物
に対して少なくとも二方向から照射して 前記被照射物の殺菌または滅菌を行う電子線殺菌方法であって、
前記照射線量調整板が、前記遮蔽材としての複数の金属球と、前記金属球を通過させない網目を有する篩とからなり、前記複数の金属球を前記篩の網目に配置した領域を前記領域SAとし、前記金属球を配置しない領域を前記領域SBとした照射線量調整板である、ことを特徴とする電子線殺菌方法。
【請求項2】
前記被照射物に対して、二方向から電子線を照射するようにした、請求項1に記載の電子線殺菌方法。
【請求項3】
前記照射線量調整板が前記被照射物又は前記被照射物を収容した容器の電子線が照射される面上に載置される、請求項1
又は2に記載の電子線殺菌方法。
【請求項4】
電子線照射装置の電子線取出窓と前記被照射物との間で前記照射線量調整板を支持し、前記被照射物の搬送速度と同じ速度で前記照射線量調整板を搬送する照射線量調整板支持搬送手段を用いる、請求項1~
3のいずれか1項に記載の電子線殺菌方法。
【請求項5】
電子線を前記被照射物に照射する前に、前記被照射物にX線照射することによってイメージングし、得られた情報に基づいて前記照射線量調整板における前記遮蔽材の配置を決定する、請求項1~
4のいずれか1項に記載の電子線殺菌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、医療用品等に電子線を照射して殺菌・滅菌するための電子線殺菌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガンマ線、X線、電子線といった放射線を食品や医療用品等に照射することにより、食品や医療用品等を殺菌・滅菌処理することが行われている。
上記の放射線は透過力を有しているために対象となる食品や医療用品等の被照射対象物を包装してから殺菌処理することができる。このため、一般に、放射線の照射を受ける被照射対象物は段ボール箱やコンテナ等の容器に収容された出荷状態で放射線殺菌される。
【0003】
特許文献1には、食品を包装材内に収容して包装材を介して食品に放射線を照射する殺菌方法が記載されており、放射線を照射しても臭気が発生しにくい放射線照射用包装材についての開示がある。
【0004】
また、特許文献2には、食品を収容する容器に電子線を照射することにより容器を滅菌する方法であって、照射線量の割合が大きい容器の部分に電子線を部分的に遮蔽する遮蔽手段を設けて前記遮蔽手段の上から前記電子線を照射することにより容器に略均一な線量を照射する方法が開示されている。
【0005】
特許文献3には、放射線照射方向の断層像を撮影し被照射物の密度分布を取得する断層撮影手段と、前記密度分布に基づいて前記被照射物中での照射放射線の線量分布の変動を所定の基準幅以下に抑制するように照射条件を定める照射条件決定手段とを有し、放射線照射手段を制御して前記照射条件に応じた放射線照射を実施するようにした放射線照射装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-159398号公報
【文献】特開平8-151021号公報
【文献】特開2000-167029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
放射線照射を行う際には、一般に照射線量及び照射時間を調整して要求される吸収線量を被照射物に付与する必要がある。被照射物の物質密度が均一でない場合、被照射物内の吸収線量が不均一となり、均一な殺菌・滅菌の効果が得られない。
この問題は、ガンマ線やX線と比較して、透過率が低い電子線照射の場合に顕著となる。照射のばらつきが大きくなると、被照射物について指定されている最大線量を超過したり、最小線量を下回ったりする。最大線量を超えて付与すると放射線による劣化が生じ、最小線量を下回ると期待した殺菌・滅菌の効果が得られない。
また、電子線は物質透過性を有しているがその透過力が弱く、透過距離は短い。このため厚みのある被照射物に一方向から電子線を照射すると、被照射物内の吸収線量が不均一になる。
上記特許文献3に記載の方法は、装置が大がかりとなり簡便な方法ではない。
【0008】
従来は、厚みのある被照射物については上下面など向かい合う二面に対して電子線を照射することにより、被照射物内の吸収線量を均一化している。
しかしながら、
図10に示すように容器2内において被照射物のかさ密度が高い領域Bがある場合、このかさ密度が高い領域Bに十分な吸収線量を付与しようとすると、かさ密度が低い領域Aには許容される最大線量を超過して電子線が付与され、好ましくない。
また、容器2内に電子線の照射を避けたい領域Cがある場合、上下面など向かい合う二面に対して電子線を照射する方法では、この領域Cへの電子線の照射を減じることは難しい。
【0009】
本発明は、被照射物内の吸収線量を均一化する電子線殺菌方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明は、以下に記載する通りの電子線殺菌方法である。
電子線を被照射物に照射して殺菌又は滅菌を行う電子線殺菌方法であって、
電子線を被照射物に対して少なくとも二方向から照射するようにし、
電子線を遮蔽する遮蔽材を配置した領域SAと、前記遮蔽材を配置しない領域SBとを有する照射線量調整板を電子線照射装置の電子線取出窓と前記被照射物との間に配置し、
前記照射線量調整板を介して電子線を被照射物に照射することを特徴とする、電子線殺菌方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電子線殺菌方法を採用することにより、被照射物内の吸収線量を均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の電子線殺菌方法における被照射物の一例を示す図である。
【
図2】
図1に示した被照射物を電子線で殺菌する方法の一例を示す図である。
【
図3】本発明における照射線量調整板の1つの実施形態を示す図である。
【
図4】本発明における照射線量調整板の他の実施形態を示す図である。
【
図5】本発明における照射線量調整板の他の実施形態を示す図である。
【
図6】本発明における照射線量調整板の他の実施形態を示す図である。
【
図7】本発明の殺菌方法の1つの実施形態を示す図である。
図7Aは電子線照射装置の正面図であり、
図7Bは電子線照射装置の側面図である。
【
図8】本発明の殺菌方法の他の実施形態を示す図である。
【
図9】
図8に示した実施形態における照射線量調整板支持搬送手段の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は下記(1)の電子線殺菌方法に関するものであるが、他の実施形態として下記(2)~(7)の実施形態を含むのでこれらについても以下説明する。
(1)電子線を被照射物に照射して殺菌又は滅菌を行う電子線殺菌方法であって、
電子線を被照射物に対して少なくとも二方向から照射するようにし、
電子線を遮蔽する遮蔽材を配置した領域SAと、前記遮蔽材を配置しない領域SBとを有する照射線量調整板を電子線照射装置の電子線取出窓と前記被照射物との間に配置し、
前記照射線量調整板を介して電子線を被照射物に照射する、電子線殺菌方法。
(2)前記被照射物に対して、二方向から電子線を照射するようにした、上記(1)に記載の電子線殺菌方法。
(3)前記照射線量調整板が、金属板から前記領域SBに対応する領域の金属材料を除去して、残部の金属材料によって前記領域SAを形成した照射線量調整板である、上記(1)または(2)に記載の電子線殺菌方法。
(4)前記照射線量調整板が、前記遮蔽材として複数の金属板を使用し、前記複数の金属板を配置した領域を前記領域SAとし、前記金属板を配置しない領域を前記領域SBとした照射線量調整板である、上記(1)または(2)に記載の電子線殺菌方法。
(5)前記照射線量調整板が、前記遮蔽材として複数個の金属タイルを使用し、前記複数の金属タイルを配置した領域を前記領域SAとし、前記金属タイルを配置しない領域を前記領域SBとした照射線量調整板である、上記(1)または(2)に記載の電子線殺菌方法。
(6)前記照射線量調整板が、前記遮蔽材としての複数の金属球と、前記金属球を通過させない網目を有する篩とからなり、前記複数の金属球を前記篩の網目に配置した領域を前記領域SAとし、前記金属球を配置しない領域を前記領域SBとした照射線量調整板である上記(1)又は(2)に記載の電子線殺菌方法。
(7)前記照射線量調整板が前記被照射物又は前記被照射物を収容した容器の電子線が照射される面上に載置される、上記(1)~(6)のいずれか1項に記載の電子線殺菌方法。
(8)前記電子線照射装置の電子線取出窓と前記被照射物との間で前記照射線量調整板を支持し、前記被照射物の搬送速度と同じ速度で前記照射線量調整板を搬送する照射線量調整板支持搬送手段を用いる、上記(1)~(6)のいずれか1項に記載の電子線殺菌方法。
(9)電子線を前記被照射物に照射する前に、前記被照射物にX線照射することによってイメージングし、得られた情報に基づいて前記照射線量調整板における前記遮蔽材の配置を決定する、上記(1)~(8)のいずれか1項に記載の電子線殺菌方法。
【0014】
まず、本発明の実施形態で使用することができる電子線照射装置の概要を
図7A及び
図7Bに基づいて説明する。
図7Aは電子線照射装置30の正面図であり、
図7Bは電子線照射装置30の側面図である。
電子線照射装置30は、被照射物1を収容した容器2に電子線Eを照射する装置本体11と、装置本体11の下方に配置された被照射物1を収容した容器2を搬送する搬送装置12とを含む。
装置本体11は、電子を発生する電子銃13と、電子銃13で発生した電子を下方に加速する加速管14と、加速管14からの電子線を水平面内で走査する電磁石15と、電磁石15で走査された電子線Eを下方に出射するスキャンホーン16とを備えている。スキャンホーン16の下部には、電子線Eを下方に取り出すための電子線取出窓17が設けられる。
【0015】
上記の電子線照射装置30を使用する場合、被照射物1の吸収線量を調整することが可能なパラメータは3つあり、そのパラメータは、被照射物1を搬送する搬送装置12のコンベアの移動速度、電子線のエネルギー及び電流値である。
しかしながら、これらのパラメータを調整するだけでは、被照射物の物質密度が均一でない場合には被照射物内の吸収線量が不均一となり、均一な殺菌・滅菌の効果が得られない。
【0016】
本実施形態においては、予め被照射物1のイメージングを実施して、被照射物1を構成する材料のかさ密度(充填度)に関する情報を取得する。イメージングは、被照射物1をX線でスキャンし、透過したX線の透過量から、被照射物1内のかさ密度の分布を把握する。そして、かさ密度が小さい領域に対しては電子線を少なく照射して低線量を付与し、かさ密度が大きい領域に対してはより多くの電子線を照射して、高線量を付与するようにする。
イメージングは、容器2内の被照射物1の形状、配置に応じて二次元イメージングを行っても良いし、三次元イメージングを行ってもよい。
なお、被照射物1の材料、容器2内での被照射物1の配置が分かっている場合にはイメージングを行う必要はない。
また、以下では、容器2内における、被照射物1のかさ密度が大きく高線量を付与する必要がある領域を重点照射領域Bといい、かさ密度が小さく低線量を付与する必要がある領域を非重点照射領域Aということがある。
【0017】
次いで、本実施形態においては非重点照射領域Aに対応する領域に遮蔽材を配置した照射線量調整板20を電子線照射装置30と被照射物1を収容する容器2との間に配置して、この照射線量調整板20を介して被照射物1に電子線照射を行う。
照射線量調整板20は被照射物1の非重点照射領域に対応する照射線量調整板の領域(「領域SA」という)に電子線を遮蔽する遮蔽材を配置する。これにより、照射線量調整板20における、被照射物1の重点照射領域Bに対応する照射線量調整板の領域(「領域SB」という)が形成される。
電子線Eの遮蔽材としては、アルミ板等の金属板やプラスチック板を用いることができる。
遮蔽材の材質や構造を選択・調整することにより電子線の一部を透過させることも、電子線を完全に遮断することも可能である。
【0018】
以下、本発明の電子線殺菌方法の実施形態を
図1及び
図2に基づいて説明する。
図1において容器2内に収容された被照射物は非重点照射領域Aと重点照射領域Bとを有している。重点照射領域Bは予め行ったイメージング処理により決定される。
図2は、容器2の面Faに対して電子線Eを照射し、また、容器2の面Fbに対して電子線Eを照射する様子を示した図である。
なお、二方向からの電子線Eは容器2に同時に照射する必要は無く、まず、一方向から電子線Eを容器2の面Faに照射した後、容器を90度回転させて容器2の面Fbを電子線によって照射すればよい。
また、重点照射領域Bに高線量が吸収され、非重点照射領域Aに低線量が吸収されるようにするため、本実施形態では、
図2に示すように、容器2の面Faに電子線Eが照射される際には、面Faの上に照射線量調整板20を配置し、容器2の面Fbに電子線Eが照射される際には面Fbの上に照射線量調整板20を配置する。
【0019】
次に、上記照射線量調整板20について説明する。
この照射線量調整板20は、非重点照射領域Aの照射線量を低減するための電子線遮蔽材である金属板3を有している。この金属板3は被照射物の非重点照射領域Aに対応する容器2の表面の領域に配置され、これにより、重点照射領域Bに対応する容器の表面には金属板3が配置されない開口部10が形成される。
これにより、電子線遮蔽材によって遮蔽されない電子線Eが開口部10を通って重点照射領域Bに二方向から照射されるため、重点照射領域Bにある被照射物には多くの吸収線量が付与される。一方、非重点照射領域Aには金属板3を透過した低線量の電子線Eが照射される。
また、
図2に示した高線量の電子線の照射を避けたい領域Cには、金属板3を透過した電子線と重点照射領域Bを通過した電子線とが二方向から照射されるので、その吸収線量は低くなる。また、
図2に示した高線量の電子線の照射を避けたい領域Dには金属板3を透過した電子線を二方向から照射されるので、その吸収線量は更に低くなる。
【0020】
次に、照射線量調整板20の実施形態について説明する。
図3Aは、容器2の中に被照射物1が収容された状態を示す図である。
図3Aにおける符号Aで示す部分が非重点照射領域であり、符号Bで示す部分が重点照射領域である。
図3Bは、照射線量調整板20を示す図である。この照射線量調整板20は、容器2内の非重点照射領域Aに対応する領域SAに複数の金属板3を配置し、容器2内の重点照射領域Bに対応する領域SBに開口が形成されるようにしたものである。
長さや幅の異なる複数の金属板を組み合わせることによって種々の形状の重点照射領域に対応する開口を形成することができる。
【0021】
図4Aは、金属板5から容器2内の重点照射領域Bに対応する領域SBの金属材料を除去して開口部10を形成し、残部の金属材料によって前記領域SAを形成した照射線量調整板20を示す。
図4Bは、容器2内の重点照射領域Bが間隔をおいて複数個存在する場合に用いる照射線量調整板20を示し、重点照射領域Bに対応する照射線量調整板20の領域SBに開口部10が形成されている。
開口部10に対応する重点照射領域Bには高線量が付与され、開口部10以外の部分に対応する非重点照射領域Aには低線量が付与される。
金属板5から部分的に金属材料を除去する方法としては、型抜による方法、エッチングによる方法等を採用することができる。
【0022】
図5は、遮蔽材として金属タイル6を用いた例を示す。
複数の金属タイル6を用いて、この金属タイル6を非重点照射領域Aに対応する枠体4内の領域SAに配置することによって、領域SBに対応する位置に開口部10を形成したものである。
同形状又は異なる形状の金属タイル6を組み合わせることによって重点照射領域Bの形状に追従する開口部10を形成することができる。
【0023】
図6は、遮蔽材として金属球7を用いた例を示す。
この金属球7は金属球7を通過させない網目を有する篩8によって保持される。
複数の金属球7を篩の網目に配置して領域SAを形成し、金属球7を配置しない領域を領域SBとする。金属球7は形状が小さいものを使用することにより、重点照射領域の形状に追従する開口部10を形成することができる。また、金属球7は容易に取り外しができるため、照射線量調整板20の作製も容易となる。
【0024】
図7に、本発明の電子線殺菌方法の一実施形態を示す。
本実施形態では、容器2の電子線が照射される面上に照射線量調整板20が載置される。容器2の電子線が照射される面上に照射線量調整板20を載置することによって照射線量調整板20の領域SAに対応する非重点照射領域Aには低線量が照射され、領域SBに対応する重点照射領域Bには高線量が照射されて、殺菌・滅菌処理が行われる。
また、被照射物1が容器2に収容されていない場合であって。被照射物1の電子線が照射される面上に照射線量調整版20を載置できる場合には、被照射物1の電子線が照射される面上に照射線量調整板20を載置しても良い。
【0025】
図8に本発明の電子線殺菌方法の他の実施形態を示す。
この実施形態では、照射線量調整板20を電子線照射装置30の電子線取出窓と容器2との間で照射線量調整板20を支持し、容器2の搬送速度と同じ速度で照射線量調整板20を搬送する照射線量調整板支持搬送手段21を用いる。
この、照射線量調整板支持搬送手段21は複数個の照射線量調整板20を間隔をおいて支持し、ループ経路に沿って照射線量調整板20を容器2の照射面に搬送し、容器2と同じ速度で移動させる。これにより、照射線量調整板20の領域SAを透過した低線量の電子線が被照射物の非重点照射領域Aに照射され、領域SBを通過した高線量の電子線が被照射物の重点照射領域Bに照射される。
【0026】
他の態様としては、
図9に示すように、照射線量調整板支持搬送手段21を電子線照射装置30の電子線照射領域の入口aと出口bとの間で往復動させ、aの位置で照射線量調整板20を容器2の上面を覆うよう配置し、容器2がbの位置に達したら、照射線量調整板20をaの位置に戻すようにしてもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 被照射物
2 容器
3、5 金属板
4 枠体
6 金属タイル
7 金属球
8 篩
10 開口部
11 電子線照射装置の装置本体
12 搬送装置
13 電子銃
14 加速管
15 電磁石
16 スキャンホーン
17 電子線取出窓
20 照射線量調整板
21 照射線量調整板支持搬送手段
30 電子線照射装置
E 電子線
A 非重点照射領域
B 重点照射領域
C、D 照射を避けたい領域
Fa、Fb 容器の面
SA 領域SA
SB 領域SB