(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】センサ
(51)【国際特許分類】
G01F 23/26 20220101AFI20220512BHJP
G01F 23/24 20060101ALI20220512BHJP
G01N 27/06 20060101ALI20220512BHJP
G01N 27/22 20060101ALI20220512BHJP
G01R 27/22 20060101ALI20220512BHJP
G01R 27/26 20060101ALI20220512BHJP
H01H 35/18 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
G01F23/26 A
G01F23/24 N
G01N27/06 A
G01N27/22 B
G01R27/22 Z
G01R27/26 H
H01H35/18 H
(21)【出願番号】P 2018091567
(22)【出願日】2018-05-10
【審査請求日】2021-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】591258635
【氏名又は名称】山本電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】谷澤 明
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第4116409(JP,B2)
【文献】特公昭53-34065(JP,B2)
【文献】特公平4-16724(JP,B2)
【文献】特許第3972228(JP,B2)
【文献】米国特許第6380750(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F
G01N
G01R
H01H
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の導体からなる第1電極と、
前記第1電極の軸心の軸方向に沿う先端側において前記第1電極に対し絶縁物を介して前記軸心と同軸心上に支持される第2電極と、
前記第1電極の径方向内側に挿通され、前記第1電極の前記先端側において前記第2電極と電気的に接続される第1導体と、
前記第1電極及び前記第1導体と絶縁され、前記第1導体に沿って前記第1電極の径方向内側に挿通される第2導体と、
を備え
、
前記軸方向に沿う方向視で、前記第2電極は、前記第2導体の外径よりも大きい外径を有するセンサ。
【請求項2】
前記第2電極は、前記第1電極の先端側の軸方向端面において
、前記第2電極の軸方向端面のみが露出する状態で設けられて
おり、
前記第2電極の前記軸方向端面と前記第1電極の先端側の前記軸方向端面とが面一になっている請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記第2導体は筒状の導体であって、径方向内側に前記第1導体が挿通されるように設けられる請求項1又は2に記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に貯留された物質の貯留レベル等を検出・計測するセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器に貯留された物質の貯留レベルの検出にセンサが利用されてきた。この種のセンサに係る技術として例えば下記に出典を示す特許文献1-3に記載のものがある。
【0003】
特許文献1には、主センサと当該主センサの検出結果を補正するリファレンスセンサとを備えた静電容量式液面レベルセンサに関して記載されている。この静電容量式液面レベルセンサは、リファレンスセンサの長さが主センサの長さよりも短く構成されている。
【0004】
特許文献2には、メインセンサと当該メインセンサの一端側に設けられたリファレンスセンサとを備えた液面レベルセンサに関して記載されている。この液面レベルセンサは、リファレンスセンサの出力に基づいて液体の比誘電率を求め、この結果とメインセンサの出力とに基づき液面レベルを求めている。
【0005】
特許文献3には、メインセンサと当該メインセンサの一端側に設けられたリファレンスセンサとを備えた液面レベルセンサに関して記載されている。この液面レベルセンサは、メインセンサの電圧印加電極及び接地電極が同軸で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-298361号公報
【文献】特開2008-26166号公報
【文献】特開2007-333728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術は、リファレンスセンサの長さが主センサの長さよりも短く構成されている。このため、測定対象物(以下「特定物」とする)の液面レベルがリファレンスセンサの位置まで達していない場合には、液体の比誘電率を求めることができない。したがって、特許文献1に記載の技術は、液面レベルを広い範囲に亘って測定することが容易ではない。また、特許文献2及び3に記載の技術は、メインセンサの一端側にリファレンスセンサが設けられ、メインセンサやリファレンスセンサと共に容器内の液体に浸漬される位置にターミナルアッシーが設けられている。このため、特許文献2及び3に記載の技術は、ターミナルアッシーのシール性を高める必要があり、コストアップの要因となる。また、メインセンサの下部にあるリファレンスセンサは、測定物の液面レベルを計測することができない不感帯が生じる可能性がある。更には、測定物が貯留されているタンクや容器に合わせて、形状面で自由度が大きいセンサ部を作製することが困難である。
【0008】
そこで、検出範囲が広く、低コストで実現可能であって、カスタマイズし易い形状のセンサが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るセンサの特徴構成は、筒状の導体からなる第1電極と、前記第1電極の軸心の軸方向に沿う先端側において前記第1電極に対し絶縁物を介して前記軸心と同軸心上に支持される第2電極と、前記第1電極の径方向内側に挿通され、前記第1電極の前記先端側において前記第2電極と電気的に接続される第1導体と、前記第1電極及び前記第1導体と絶縁され、前記第1導体に沿って前記第1電極の径方向内側に挿通される第2導体と、を備え、前記軸方向に沿う方向視で、前記第2電極は、前記第2導体の外径よりも大きい外径を有する点にある。
【0010】
このような特徴構成とすれば、第1電極が少なくとも一部が測定物に浸る場合には、常に第2電極を測定物に浸らせることができるので、検出範囲を広く設定することが可能となる。また、第2電極と接続する第1導体を、第1電極の根元側と先端側との間に亘って第1電極の径方向内側に挿通するため、センサをコンパクトに構成しつつ、安価にシール性を高めることができる。したがって、低コストでセンサを実現できる。また、第1電極の径方向内側に第1導体及び第2導体が挿通されるので、第1導体及び第2導体と共に第1電極の形状を変えることでセンサの形状を自由に変更することができる。したがって、センサの設置場所に合わせて形状をカスタマイズし易くすることが可能となる。
【0011】
また、前記第2電極は、前記第1電極の先端側の軸方向端面において、前記第2電極の軸方向端面のみが露出する状態で設けられており、前記第2電極の前記軸方向端面と前記第1電極の先端側の前記軸方向端面とが面一になっていると好適である。
【0012】
このような構成とすれば、第1電極の先端側の軸方向端面と第2電極の端面とを一致させることができるので、不感帯をなくすことが可能となる。
【0013】
また、前記第2導体は筒状の導体であって、径方向内側に前記第1導体が挿通されるように設けられると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、センサにおける第1電極及び第2電極で構成される検出部分を容器やタンクに合わせて、容易に設計及び作製をすることができる。また、例えば第1導体及び第2導体を含む検出部分をケーブル部材を用いて構成することで、フレキシブルに形状を変更することが可能となる。また、第1導体が第2導体の径方向内側に設けられるので、第1導体を第2導体でガードすることができ、第1導体に対する外乱の影響の低減効果を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るセンサは、貯留タンク内に貯留される貯留物の貯留レベル或いは貯留物の有無を精度良く検出できるように構成されている。また、不感帯が無く、検出範囲が広く、低コストで、センサ部がカスタマイズし易いように構成されている。以下、本実施形態のセンサ1について説明する。
【0017】
図1は測定物を貯留する容器として用いられる貯留タンク(以下「タンク」とする)2を概略的に示した図である。このようなタンク2は例えばプラントに備えられており、そのプラントにおいて利用される液体や粉体等(以下では「液体等」と総称する)が貯留される。タンク2は、液体等を貯留する貯留部3と、タンク2に貯留された液体等を貯留部3から吐出する吐出口4と、タンク2に液体等を投入する投入口5を備えて構成される。投入口5から液体等がタンク2に投入されると、タンク2に貯留される液体等の底面からの高さが高くなる。また、タンク2に貯留された液体等が吐出口4から吐出されると、タンク2に貯留される液体等の底面からの高さが低くなる。本実施形態のセンサ1はタンク2の上方から底面に向けて延出するように付設され、液体等の高さに応じた静電容量の変化に基づきタンク2内の貯留された液体等の高さを検出する。
【0018】
図2はセンサ1の側方断面図(部分断面図としている)である。本実施形態のセンサ1は、検出電極(第1電極の一例)10、リファレンス電極(第2電極の一例)20、第1導体31、第2導体32、被覆部材40、接続部材50、中間部材60を備えて構成される。
【0019】
検出電極10は筒状の導体で形成される。筒状とは径方向内側が中空であることをいう。このような筒状としては、検出電極10の軸心X(
図1参照)に沿う方向(以下、軸方向と称する)に直交する断面が円形状であっても良いし、多角形状であっても良い。本実施形態では、検出電極10は、軸方向に直交する断面が円形状の筒状体で形成され、軸方向両側が開口状態で構成される。検出電極10は、例えばステンレス等の導体を用いて構成することが可能である。もちろん、他の導体を用いて構成することも可能である。なお、
図1に示したようにセンサ1はタンク2の深さ方向に沿って付設される。そこで、検出電極10は、タンク2の深さに合わせて軸方向長さを設定すると良い。また、検出電極10は、後述するように径方向内側に第1導体31及び第2導体32を挿通することができるように、検出電極10の内径を設定すると良い。検出電極10の肉厚は、例えばセンサ1に要求される強度に応じて設定すると好適である。
【0020】
リファレンス電極20は検出電極10の軸心Xの軸方向に沿う先端側において検出電極10に対し絶縁物70を介して検出電極10の軸心Xと同軸心上に支持される。検出電極10の軸心Xの軸方向に沿う先端側とは、検出電極10の軸方向両側のうち、タンク2にセンサ1を付設した際にタンク2の底面側に位置する側である。
【0021】
ここで、検出電極10の先端側には環状の絶縁物70が設けられる。絶縁物70は筒状体で形成される。絶縁物70は、筒状体の軸方向一方側の外周面に係止部73が設けられ、検出電極10の先端側から挿入された状態で、係止部73が検出電極10の内周面に形成された溝部11に係止し、絶縁物70が検出電極10と同軸心上に支持される。絶縁物70は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylen)で構成することが可能である。
【0022】
本実施形態では、リファレンス電極20は柱状体で形成され、検出電極10の先端側の軸方向端面において露出する状態で、絶縁物70に挿入して設けられる。したがって、リファレンス電極20は検出電極10の先端側の端部と同様に、タンク2の底面に近くに配置される。特に、本実施形態ではリファレンス電極20は検出電極10における軸方向端面のみにおいて露出するように設けられる。これにより、センサ1により検出する液位の高さ方向に沿ったリファレンス電極20の高さを最小限にすることが可能となる(露出する面のみを貯留物の検出に利用することが可能となる)。リファレンス電極20は、柱状体の軸方向一方側の外周面に係止部21が設けられ、絶縁物70に挿入された状態で、係止部21が絶縁物70の内周面に形成された溝部71に係止し、リファレンス電極20が絶縁物70と同軸心上に支持される。リファレンス電極20は、検出電極10と同様に、例えばステンレス等の導体を用いて構成することが可能である。もちろん、他の導体を用いて構成することも可能である。なお、上述した絶縁物70の形状は一例であり、他の形状で構成することも可能である。いずれにしても、検出電極10とリファレンス電極20とが互いに絶縁されていれば良い。
【0023】
検出電極10は、導電性材料を用いて筒状に構成される中間部材60と根元側において電気的に接続される(導通される)。中間部材60は、径方向内側に接続部材50が挿入される。接続部材50は、径方向外側に生じる付勢力に基づき電気的に接続するよう構成される。本実施形態では、接続部材50は導電性の材料からなる径方向内側が中空状の所謂バナナプラグを用いて構成され、中間部材60に挿入される。これにより、接続部材50が中間部材60を介して検出電極10と電気的に接続される。
【0024】
接続部材50は基板81(基板81のランド84)と電気的に接続される。接続部材50と基板81との接続は、例えば接続部材50を補助基板90に電気的に接続した状態で固定し、当該補助基板90を導電性のビス91を用いてランド84と導通して形成された基板81のスルーホールに締結して行うと良い。これにより、補助基板90及びビス91を介して接続部材50と基板81(ランド84)とを電気的に接続することが可能となる。もちろん、他の方法により接続部材50と基板81とを接続することも可能である。
【0025】
また、基板81には接続部材50と絶縁された状態で、ランド82に固定金具80が半田付けされる。接続部材50は後述する第2導体32と電気的に接続される。
【0026】
第1導体31は、検出電極10の径方向内側に挿通される。すなわち、第1導体31は、検出電極10の根元側から先端側に向けて、或いは、検出電極10の根元側から先端側に向けて、検出電極10の径方向内側に挿通される。この時、第1導体31は、検出電極10を貫通するように挿通しても良いし、貫通しない状態で挿通しても良い。なお、第1導体31は絶縁性の被覆部30により被覆される。
【0027】
第1導体31は、検出電極10の先端側において上述した被覆部30を剥がした上で、一方の端部がリファレンス電極20と電気的に接続される。また、第1導体31の他方の端部は、中間部材60、接続部材50、固定金具80と絶縁され、基板81のランド83に半田付けされる。これにより、基板81とリファレンス電極20との電気的接続が実現される。なお、第1導体31の他方の端部とランド83との接続は、第1導体31の端部に接続端子を設け、当該接続端子をランド83に半田付けすることにより行っても良い。もちろん、他の方法により第1導体31の他方の端部とランド83との接続を行っても良い。第1導体31には、交流信号からなる検出用信号が印加される。上記構成により、第1導体31を介してリファレンス電極20に当該検出用信号が印加することが可能となる。
【0028】
第2導体32は、検出電極10及び第1導体31と絶縁され、第1導体31と同じく検出電極10の先端側のリファレンス電極20の直前まで伸びている。第2導体32は第1導体31に沿って検出電極10の径方向内側に挿通される。本実施形態では、検出電極10の径方向内側には第1導体31が挿通されるが、第2導体32は第1導体31に沿わせて設けられる。第2導体32は、検出電極10及び第1導体31とは電気的に接続しないで設けられる。例えば第2導体32は被覆部33で外周面が覆われるように構成すると良い。
【0029】
本実施形態では、第2導体32は固定金具80と接続される。なお、第2導体32と固定金具80との接続は半田付けであっても良いし、カシメによって接続しても良い。本実施形態では、第2導体32には第1導体31に印加される検出用信号と同じ波形がガード信号として印加される。これにより、第2導体32が第1導体31に対する外乱の影響を低減することが可能となる。なお、第2導体32は、検出電極10の根元側から第1導体31が露出される部分(検出電極10の先端側)まで延出して設けると良い。
【0030】
第2導体32は筒状の導体であって、径方向内側に第1導体31が挿通されるように設けると好適である。このような第1導体31及び第2導体32は、所謂同軸ケーブルを用いると好適である。係る場合、第1導体31は同軸ケーブルの内部導体を用い、第2導体32は同軸ケーブルの外部導体を用いると良い。第1導体31及び第2導体32は、同軸ケーブルに代えて、3層の円筒の構造(例えば細い金属管でも可能)にて形成しても良い。
【0031】
なお、上述したように第1導体31には検出用信号が印加され、第2導体32にはガード信号が印加されるとして説明したが、本実施形態の検出電極10には測定対象の貯留物に応じた周波数及び振幅の信号(交流信号)が印加される。
【0032】
被覆部材40は絶縁性の材料を用いて構成され、検出電極10及びリファレンス電極20の外表面を覆う。被覆部材40は、例えばフッ素樹脂を用いて構成すると良い。検出電極10及びリファレンス電極20の外表面とは、検出電極10に絶縁物70を介してリファレンス電極20を支持した状態において露出している面である。本実施形態では、検出電極10及びリファレンス電極20と共に、絶縁物70の外表面及び中間部材60の外表面の一部も被覆部材40により覆われる。なお、当該被覆部材40は、導電性の測定物を計測する場合に必要とするものであって、絶縁性の測定物を計測する場合には設けなくても良い。
【0033】
以上のようにセンサ1が構成される。次に、センサ1による測定について説明する。
図3は測定原理の説明図である。特に
図3の(1)にはタンク2が空である状態(空状態)が示され、
図3の(2)にはタンク2に液体等が貯留されている状態(貯留状態)が示される。
【0034】
まず、
図3の(1)に示されるように、タンク2の空状態でのリファレンス電極20による静電容量(リファレンス電極容量)の検出結果をCR0[pF]とし、検出電極10による静電容量(メイン電極容量)の検出結果をCM0[pF]として、メモリに記憶する。
【0035】
次に、
図3の(2)に示されるように、タンク2に液体等が貯留された時(リファレンス電極20の全体が液体等に浸った時)のリファレンス電極20による静電容量の検出結果をCR1[pF]とすると、CR1からCR0を減じることによりリファレンス電極20による静電容量の増加分を算出できる。ここでは、この算出結果を差分CdR[pF]とする。この差分CdR[pF]は検出電極10の長さLR[mm]の静電容量に相当する。
【0036】
差分CdR[pF]は、タンク2に貯留される液体等の種類、すなわち液体等の比誘電率の違いによって変化するが、検出電極10の長さLR[mm](液体等に浸っている長さ)相当は常に一定であるため、この値を単位長さの静電容量基準として現在の液位を決定する。
【0037】
液体等がリファレンス電極20の底部からLd[mm]の位置にまで貯留されているときの検出電極10のよる静電容量がCM1[pF]であった場合、検出電極10による静電容量の増加分CdM[pF]は、CM1からCM0を減じることにより算出できる。
【0038】
以上より、現在のリファレンス電極20の底部からの液位Ld[mm]は下記の(1)式で算出できる。
液位 Ld[mm]=(CdM/CdR)×LR+オフセット高さ ・・・(1)
なお、オフセット高さとは、センサ1により検出する液位の高さ方向に沿った検出電極10とリファレンス電極20との差異に相当する。すなわち、
図2や
図3に示されるように、検出電極10(先端部)とリファレンス電極20(検出面)との間で液位の高さ方向に沿った差異が無い場合にはオフセット高さはゼロで良い。一方、図示はしないが、リファレンス電極20が検出電極10の先端側から突出して設けられる場合には、リファレンス電極20と検出電極10とを互いに絶縁するために、リファレンス電極20と検出電極10との間に絶縁物70が設けられることになり、液位の高さ方向に沿ってリファレンス電極20と検出電極10との間で差異が生じることになる(高さを有することになる)。この場合には、絶縁物70の高さがオフセット高さになる。
【0039】
ここで、液体等の比誘電率が変わるとCdM及びCdRは変化するが、同じ液位での比率CdM/CdRは一定であるため、液体等の種類に依存しない測定が可能となる。
【0040】
これにより、スパン値を自動で計算することができるため、空状態のみリファレンス電極20による静電容量(リファレンス電極容量)の検出結果と、検出電極10による静電容量(メイン電極容量)の検出結果とを記憶すれば、実際にタンク2に液体等を貯留してゼロ値及びスパン値を設定する必要が無い。また、比誘電率が変化すると、リファレンス電極20による静電容量の検出結果も変化するため、自動的にスパン値が変化し、誤差を発生し難くできる。また、再設定の必要もない。更には、液体等の種類が変わった場合にはリファレンス電極20による静電容量の検出結果も変化するため、液体等の種類によって設定を変える必要が無い。
【0041】
このように本センサ1によれば、広い検出範囲を有するセンサを低コストで実現することができる。また、簡易的な部材で構成されているので、容器やタンク2の形状に合わせてカスタマイズすることができるので、設計と作製を容易に行うことが可能となる。
【0042】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、検出電極10の根元側に接続部材50が設けられるとして説明したが、接続部材50を設けずに構成することも可能である。
【0043】
上記実施形態では、接続部材50は、中間部材60を介して検出電極10と電気的に接続されているとして説明したが、接続部材50は中間部材60を介さず、検出電極10と直接、接続するように構成することも可能である。
【0044】
上記実施形態では、被覆部材40が、検出電極10及びリファレンス電極20と共に、絶縁物70の外表面及び中間部材60の外表面の一部を覆うとして説明したが、被覆部材40は、検出電極10及びリファレンス電極20と共に、中間部材60の外表面の一部を覆うように構成することも可能である。すなわち、絶縁物70が被覆部材40に対して露出するように構成しても良い。また、被覆部材40は検出電極10のみ、又は、リファレンス電極20のみを覆うように構成することも可能である。
【0045】
上記実施形態では、リファレンス電極20は、検出電極10の先端側の軸方向端面において露出する状態で設けられているとして説明したが、リファレンス電極20の一部が検出電極10の先端側の軸方向端面から突出して設けても良い。係る場合、リファレンス電極20の外周面が検出電極10の外周面と一致するように構成しても良い。なお、このときには、上述したように、リファレンス電極20と検出電極10とを互いに絶縁するために、リファレンス電極20と検出電極10との間に絶縁物70が設けられることになり、上記(1)式におけるオフセット高さとして絶縁物70の高さを考慮する必要がある。
【0046】
上記実施形態では、
図2において検出電極10を棒状の電極で示したが、検出電極10はフレキシブルに曲げることが可能な材料(例えばケーブル等)を用いて構成することも可能である。
【0047】
上記実施形態では、リファレンス電極20は誘電率の補正を行うために用いているが、誘電率の補正以外に、測定物の誘電率を計測することにより測定物の物性変化を監視及び計測する分析計として用いることも可能である。このような分析計のタンク2や容器への取り付けは、必ずしも鉛直方向に沿って取り付ける必要はなく、水平方向に取り付けても良いし、水平方向に対して交差するように取り付けても良い。
【0048】
上記実施形態では、検出電極10は測定物のレベルを連続的に計測している場合の例を挙げて説明したが、検出電極10は測定物の有無を検出するレベルスイッチのような検出器として用いることも可能である。その場合は、リファレンス電極20の計測結果によって検出電極10の検出方法や検出のための計算式を変更することで、多種にわたる測定物に対応することが可能となる。なお、レベルスイッチの場合はタンク2や容器への取り付けは、必ずしも鉛直方向に沿って取り付ける必要はなく、水平方向に取り付けても良いし、水平方向に対して交差するように取り付けても良い。
【0049】
上記実施形態では、センサ1は、第1電極を交流信号を印加する検出電極10として用い、第2電極を交流信号(検出用信号)を印加するリファレンス電極20として用いると説明した。例えばセンサ1は、第1電極を接地された接地電極として用い、第2電極を検出電極10として用いることも可能である。係る場合でも、第2電極には第1導体31を介して交流信号からなる検出用信号を印加し、第2導体32には検出用信号と同じ波形のガード信号を印加すると良い。上記構成とすれば、ベース容量が第1電極(接地電極)の長さに比例して大きくなることなく低容量化できる。また、第1導体31は、当該第1導体31に印加される検出用信号と同じ波形のガード信号が第2導体32に印加されているので、第1導体31(第1導体31に印加される検出用信号)が外乱の影響を受け難くすることができる。したがって、検出感度の優れたセンサ1を構成することが可能となる。なお、第1電極を接地するにあたり、上記実施形態のように接続部材50や中間部材60を介して接地しても良いし、接続部材50や中間部材60を用いずに第1電極を例えば基板81を収容するケースに接続して接地するように構成しても良い。
【0050】
上記実施形態では、リファレンス電極20の底部からの液位は、(1)式により算出できるとして説明したが、他の計算式を用いて算出するように構成することも可能である。また、(1)式は静電容量に基づき液位を算出するものであるが、抵抗値や電導度等を用いて算出するように構成することも可能である。いずれにしても、リファレンス電極20で検出した値を、補正値又は参考値として計算式で使用すれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、容器に貯留された物質の貯留レベル等を検出・計測するセンサに用いることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1:センサ
10:検出電極(第1電極)
20:リファレンス電極(第2電極)
31:第1導体
32:第2導体
70:絶縁物
X:軸心