(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20220512BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H05K7/20 H
(21)【出願番号】P 2017095234
(22)【出願日】2017-05-12
【審査請求日】2020-04-13
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】仲田 敏幸
【合議体】
【審判長】篠原 功一
【審判官】山澤 宏
【審判官】金子 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-103874(JP,A)
【文献】特開2001-238334(JP,A)
【文献】特開2005-303015(JP,A)
【文献】特開2005-273589(JP,A)
【文献】米国特許第5407324(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42- 7/98
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換装置本体部と、
前記電力変換装置本体部の収納部に配置される冷却ファンと、
前記冷却ファンに取り付けられ、前記冷却ファンを前記電力変換装置本体部の前記収納部に取り付けるため
の取付部を含む取付部材と、
前記取付部材
の端部に取り付けられるとともに、前記電力変換装置本体部の前記収納部内に
おいて前記冷却ファンよりも奥側に延びるように配置され、前記冷却ファンのリード線を前記冷却ファンの羽根部から保護するための保護部材と、を備え
、
前記冷却ファンよりも奥側に延びるように配置される前記保護部材は、骨組み形状を有し、骨組みの間に複数の通風穴が設けられている、電力変換装置。
【請求項2】
前記保護部材には、前記冷却ファンの前記リード線のコネクタ部を固定する固定部が設けられている、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記コネクタ部には、第1係合部が設けられ、
前記固定部には、前記コネクタ部の前記第1係合部が係合する第2係合部が設けられている、請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記固定部の前記第2係合部の近傍には、前記固定部に固定された前記コネクタ部に係合して、前記固定部から前記コネクタ部が脱落するのを防止するための脱落防止用係合部が設けられている、請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記コネクタ部の前記第1係合部は、第1凸部を含み、
前記固定部の前記第2係合部は、前記第1凸部がスライド移動されることにより係合される溝部を含む、請求項3または4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記保護部材には、前記リード線を前記保護部材に巻き付けるための第1凹部が設けられている、請求項2~5のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記保護部材の先端部には、前記冷却ファンに電力を供給する電力供給線を前記保護部材に引っ掛けるための第2凹部が設けられている、請求項2~6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記保護部材は、前記冷却ファンが前記取付部材により前記電力変換装置本体部の前記収納部に取り付けられた状態で、前記収納部の内面に沿うように前記取付部材に設けられており、
前記固定部は、前記保護部材の前記収納部の前記内面側に設けられている、請求項2~7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記冷却ファンは、複数設けられ、
前記保護部材は、複数の前記冷却ファンの各々に対応するように複数設けられ、
複数の前記保護部材は、前記冷却ファンが前記取付部材により前記電力変換装置本体部の前記収納部に取り付けられた状態で、前記収納部の内面に沿うように設けられている、請求項1~8のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力変換装置に関し、特に、冷却ファンを備える電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却ファンを備える電力変換装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、冷却ファンを備えるインバータ装置が開示されている。このインバータ装置は、インバータ本体と、冷却ファンと、冷却ファンをインバータ本体に取り付けるための取付部材とを備えている。取付部材は、冷却ファンの前面および側面を覆うように構成されている。そして、取付部材に保持された状態の冷却ファンを、インバータ本体の開口部からインバータ本体の内部に挿入する。これにより、取付部材のスナップフィット構造を有する保持部が、インバータ本体の溝穴に係合することにより、取付部材に保持された状態の冷却ファンがインバータ本体に取り付けられる。
【0004】
ここで、一般的に、冷却ファンには、冷却ファンに電力を供給するためのリード線が設けられている。そして、リード線には、インバータ本体から電力を供給するための電力供給線が接続される。また、リード線と電力供給線とは、リード線の先端に取り付けられたコネクタ部と、電力供給線の先端に取り付けられたコネクタ部とが接続されることにより、電気的に接続される。そして、予め、リード線のコネクタ部と電力供給線のコネクタ部とが接続された状態で、取付部材に保持された状態の冷却ファンがインバータ本体に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のような従来のインバータ装置では、リード線のコネクタ部と電力供給線のコネクタ部とが接続されており、リード線および電力供給線が比較的長い場合には、冷却ファンがインバータ本体(電力変換装置本体部)に取り付けられた後に、リード線および電力供給線が撓んで、リード線が冷却ファンの羽根部に接触する場合があるという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、冷却ファンが電力変換装置本体部に取り付けられた後に、リード線が冷却ファンの羽根部に接触するのを抑制することが可能な電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による電力変換装置は、電力変換装置本体部と、電力変換装置本体部の収納部に配置される冷却ファンと、冷却ファンに取り付けられ、冷却ファンを電力変換装置本体部の収納部に取り付けるための取付部を含む取付部材と、取付部材の端部に取り付けられるとともに、電力変換装置本体部の収納部内において冷却ファンよりも奥側に延びるように配置され、冷却ファンのリード線を冷却ファンの羽根部から保護するための保護部材と、を備え、冷却ファンよりも奥側に延びるように配置される保護部材は、骨組み形状を有し、骨組みの間に複数の通風穴が設けられている。
【0009】
この発明の一の局面による電力変換装置では、上記のように、取付部材に取り付けられ、冷却ファンのリード線を冷却ファンの羽根部から保護するための保護部材を備える。これにより、冷却ファンが電力変換装置本体部に取り付けられた後に、保護部材により、冷却ファンの羽根部からリード線が保護されるので、リード線が冷却ファンの羽根部に接触するのを抑制することができる。その結果、リード線が冷却ファンによって切断されることや、リード線が冷却ファンに噛み込むなどに起因して、電力変換装置の品質(冷却性能)が劣化する(装置によって品質がばらつく)のを防止することができる。
【0010】
また、保護部材により冷却ファンのリード線が冷却ファンから保護されているので、冷却ファンを電力変換装置本体部に取り付ける際に、リード線が冷却ファンの羽根部に噛み込まれるのを抑制することができる。これにより、冷却ファンの取付作業性を向上させることができる。
また、保護部材が冷却ファンによって送風される風の妨げになるのを通風穴により抑制することができる。また、保護部材に通風穴を設けない場合と比べて、保護部材の重量を軽くすることができる。
【0011】
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、保護部材には、冷却ファンのリード線のコネクタ部を固定する固定部が設けられている。このように構成すれば、保護部材にリード線のコネクタ部が固定されるので、冷却ファンを電力変換装置本体部に取り付ける際に、リード線が電力変換装置本体部の収納部からはみ出すのを抑制することができるとともに、冷却ファンの羽根部にリード線が噛み込むことをより抑制することができる。これにより、作業者がリード線のはみ出しおよび噛み込みを抑制するように冷却ファンの取り付け作業を慎重に行う必要がないので、冷却ファンの取り付け作業の作業性を向上させることができる。また、リード線が固定されていない場合、作業者がリード線を把持(支持)した状態で、冷却ファンを電力変換装置本体部に取り付ける必要があるため、作業者がリード線を把持する工程(作業)の分、工程数が増加する(手間がかかる)。また、リード線が電力変換装置本体部と冷却ファン(取付部材)との間の隙間に挟み込まれた場合、挟み込まれたリード線を取り外す工程(作業)が必要になる。そこで、本発明では、保護部材にリード線を固定することによって、工程数(手間)が増加するのを抑制することができる。その結果、冷却ファンの取り付け時間を短縮することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、コネクタ部には、第1係合部が設けられ、固定部には、コネクタ部の第1係合部が係合する第2係合部が設けられている。このように構成すれば、固定部にコネクタ部を容易に固定(係合)することができる。
【0013】
上記コネクタ部に第1係合部が設けられる電力変換装置において、好ましくは、固定部の第2係合部の近傍には、固定部に固定されたコネクタ部に係合して、固定部からコネクタ部が脱落するのを防止するための脱落防止用係合部が設けられている。このように構成すれば、固定部に一旦固定されたコネクタ部が、固定部から脱落するのを脱落防止用係合部により防止することができるので、コネクタ部(リード線)が脱落することに起因する作業性の低下を抑制することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、コネクタ部の第1係合部は、第1凸部を含み、固定部の第2係合部は、第1凸部がスライド移動されることにより係合される溝部を含む。このように構成すれば、第1凸部をスライド移動させるだけで、容易に、第1凸部を溝部に係合させることができる。
【0015】
上記保護部材に固定部が設けられている電力変換装置において、好ましくは、保護部材には、リード線を保護部材に巻き付けるための第1凹部が設けられている。このように構成すれば、リード線が保護部材の第1凹部に巻き付けられるので、冷却ファンを電力変換装置本体部に取り付ける際に、リード線が電力変換装置本体部の収納部からはみ出すこと、および、冷却ファンの羽根部にリード線が噛み込むことを、より抑制することができる。
【0016】
上記保護部材に固定部が設けられている電力変換装置において、好ましくは、保護部材の先端部には、冷却ファンに電力を供給する電力供給線を保護部材に引っ掛けるための第2凹部が設けられている。このように構成すれば、冷却ファンを電力変換装置本体部の収納部に取り付ける際に保護部材の第2凹部に電力供給線が引っ掛けられるので、電力供給線が電力変換装置本体部の収納部からはみ出すことを抑制することができる。
【0017】
上記保護部材に固定部が設けられている電力変換装置において、好ましくは、保護部材は、冷却ファンが取付部材により電力変換装置本体部の収納部に取り付けられた状態で、収納部の内面に沿うように取付部材に設けられており、固定部は、保護部材の収納部の内面側に設けられている。このように構成すれば、リード線部のコネクタ部が、保護部材の冷却ファンとは反対側に配置されるので、リード線部のコネクタ部に接続される電力供給線が冷却ファンに噛み込まれるのを抑制することができる。
【0018】
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、冷却ファンは、複数設けられ、保護部材は、複数の冷却ファンの各々に対応するように複数設けられ、複数の保護部材は、冷却ファンが取付部材により電力変換装置本体部の収納部に取り付けられた状態で、収納部の内面に沿うように設けられている。このように構成すれば、保護部材が収納部の中央部に配置される場合と異なり、保護部材が冷却ファンによって送風される風の妨げになるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、冷却ファンが電力変換装置本体部に取り付けられた後に、リード線が冷却ファンの羽根部に接触するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態による電力変換装置の斜視図である。
【
図2】一実施形態による電力変換装置の斜視図(冷却ファンを取り付ける前の状態)である。
【
図3】一実施形態による電力変換装置の上面図である。
【
図4】冷却ファンを取付部材に取り付ける前の状態を示す図である。
【
図6】
図5の200-200線に沿った断面図である。
【
図8】冷却ファンが取付部材に取り付けられた状態を示す図である。
【
図9】リード線を保護部材に巻き付ける状態を示す図(1)である。
【
図10】リード線を保護部材に巻き付ける状態を示す図(2)である。
【
図11】コネクタ部を固定部に固定する状態を示す図である。
【
図12】コネクタ部が固定部に固定された状態を示す図である。
【
図13】冷却ファンを収納部に挿入する前の状態を示す図である。
【
図14】冷却ファンを収納部に挿入している状態を示す図である。
【
図15】一実施形態の変形例による電力変換装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1~
図14を参照して、本実施形態による電力変換装置1の構成について説明する。電力変換装置1は、たとえば、入力された交流の電力を設定された交流の電力に変換して出力するインバータ装置からなる。また、
図1~
図3では、上側筐体13の一部が取り除かれた状態を示している。
【0024】
(電力変換装置の全体構成)
図1に示すように、電力変換装置1は、電力変換装置本体部10を備えている。電力変換装置本体部10の内部には、電力変換素子(図示せず)を含む電力変換回路11(
図2参照)や、電力変換回路11を冷却する冷却部12などが収納されている。具体的には、電力変換回路11は、電力変換装置本体部10の上側筐体13の内部に配置されている。また、冷却部12は、電力変換装置本体部10の下側筐体14の内部に配置されている。
【0025】
また、
図2に示すように、電力変換装置1は、電力変換装置本体部10の収納部15に配置される冷却ファン20を備えている。冷却ファン20は、冷却部12に通風することにより、電力変換回路11から発熱された熱を放熱するように構成されている。また、冷却ファン20は、複数(本実施形態では、2つ)設けられている。2つの冷却ファン20は、互いにX方向に隣接するように、下側筐体14(収納部15)に配置されている。また、2つの冷却ファン20と、冷却部12とは、Y方向に隣接するように配置されている。
【0026】
また、
図4に示すように、冷却ファン20には、冷却ファン20に電力を供給するためのリード線21が設けられている。また、リード線21の先端には、コネクタ部22が設けられている。コネクタ部22は、電力変換装置本体部10から延びる電力供給線16(
図3参照)のコネクタ部17(
図2参照)が接続されるように構成されている。なお、
図4および
図8~
図10では、コネクタ部22を簡略化して記載している。
【0027】
また、
図7に示すように、コネクタ部22は、電力供給線16のコネクタ部17が接続される角柱形状の本体部22aと、作業者が手で把持する滑り止めのローレットが形成された把持部22bとを有する。また、本実施形態では、コネクタ部22には、一対の凸部22cが設けられている。一対の凸部22cは、本体部22aの両側(
図12参照)に設けられている。なお、凸部22cは、特許請求の範囲の「第1凸部」および「第1係合部」の一例である。
【0028】
また、
図2に示すように、電力変換装置1は、冷却ファン20を電力変換装置本体部10の収納部15に取り付けるための取付部材30を備えている。取付部材30は、たとえば、樹脂などにより形成されている。また、取付部材30は、平板形状を有する。また、取付部材30には、通風穴31が設けられている。
【0029】
また、
図4に示すように、取付部材30には、複数の凸部32が設けられている。また、取付部材30には、複数の爪部33が設けられている。そして、取付部材30の凸部32に、冷却ファン20の穴部20bが挿入されるとともに、爪部33が冷却ファン20の表面20aに係合することにより、冷却ファン20が取付部材30に固定される。
【0030】
また、取付部材30には、通風穴31が設けられる平板形状の部分に交差するように、爪部34が設けられている。そして、爪部34が収納部15の係合部(図示せず)に係合することにより、冷却ファン20が収納部15に固定(
図14参照)される。
【0031】
ここで、本実施形態では、電力変換装置1は、冷却ファン20のリード線21を冷却ファン20の羽根部20cから保護するための保護部材40を備えている。保護部材40は、取付部材30に取り付けられている。
図5に示すように、保護部材40には、一対の爪部41が設けられている。そして、爪部41が取付部材30に係合することにより、保護部材40が取付部材30に取り付けられている。また、保護部材40は、たとえば、樹脂などにより形成されている。
【0032】
また、本実施形態では、
図2に示すように、保護部材40は、冷却ファン20が取付部材30により電力変換装置本体部10の収納部15に取り付けられた状態で、収納部15の内面15aに沿うように取付部材30に設けられている。また、保護部材40は、複数(本実施形態では2つ)の冷却ファン20の各々に対応するように複数(本実施形態では2つ)設けられている。2つの保護部材40(保護部材40aおよび40b)は、取付部材30のX方向の一方端と他方端とに設けられている。そして、2つの保護部材40aおよび40bは、冷却ファン20が取付部材30により電力変換装置本体部10の収納部15に取り付けられた状態で、収納部15の内面15aに沿うように設けられている。具体的には、保護部材40aは、収納部15の内側面18aに沿うように設けられ、保護部材40bは、収納部15の内側面18bに沿うように設けられている。
【0033】
また、本実施形態では、
図2に示すように、保護部材40には、冷却ファン20のリード線21のコネクタ部22を固定する固定部42が設けられている。また、固定部42は、保護部材40の収納部15の内面15a側に設けられている。つまり、固定部42は、保護部材40の冷却ファン20側とは反対側に設けられている。これにより、固定部42に固定されたコネクタ部22と冷却ファン20とは、保護部材40により仕切られる。
【0034】
また、本実施形態では、
図6に示すように、固定部42には、コネクタ部22の凸部22cが係合する溝部43が設けられている。溝部43は、一対の凸部22cに対応するように一対設けられている。そして、コネクタ部22の凸部22cがスライド移動されることにより溝部43に係合する。これにより、固定部42にコネクタ部22が固定される。なお、溝部43は、特許請求の範囲の「第2係合部」の一例である。
【0035】
また、本実施形態では、固定部42の溝部43の近傍には、固定部42に固定されたコネクタ部22に係合して、固定部42からコネクタ部22が脱落するのを防止するための凸部44が設けられている。具体的には、凸部44は、溝部43の近傍において、溝部43が延びるA方向と略直交する方向に突出するように形成されている。また、凸部44は、一対の溝部43のうちの一方側(溝部43b)の近傍にのみ設けられている。また、一対の溝部43のうちの凸部44が設けられない他方側の溝部43aの近傍の、コネクタ部22が挿入される側の入り口部分45は、溝部43が延びる方向(A方向)に交差するように、B方向に沿って傾斜するように形成されている。なお、溝部43aおよび43bは、特許請求の範囲の「第2係合部」の一例である。また、凸部44は、特許請求の範囲の「脱落防止用係合部」の一例である。
【0036】
そして、コネクタ部22を、溝部43対して交差するようにB方向に沿って溝部43に挿入した後、コネクタ部22は、溝部43が延びるA方向に沿って挿入される。その後、コネクタ部22の角柱形状の本体部22aの背面側(挿入方向と反対側)に凸部44が係合(
図12参照)する。これにより、固定部42に固定された後に、コネクタ部22が固定部42から脱落するのを防止することが可能になる。
【0037】
また、本実施形態では、
図5に示すように、保護部材40には、リード線21を保護部材40に巻き付けるための凹部46が設けられている。そして、コネクタ部22は、リード線21が保護部材40の凹部46に巻き付けられた状態で固定部42に固定(
図12参照)されている。具体的には、凹部46は、保護部材40の根元側(取付部材30に近い側)に設けられている。また、凹部46は、保護部材40の両側面にそれぞれ(凹部46a、凹部46b)設けられている。また、凹部46は、保護部材40の中央側に向かって窪むように形成されている。また、凹部46は、略V字形状を有する。また、凹部46bは、凹部46aよりも大きい。なお、凹部46、46aおよび46bは、特許請求の範囲の「第1凹部」の一例である。
【0038】
また、本実施形態では、保護部材40の先端部(冷却ファン20を収納部15に挿入するY方向側の端部)には、冷却ファン20を電力変換装置本体部10の収納部15に取り付ける際に、冷却ファン20に電力を供給する電力供給線16を保護部材40に引っ掛けるための凹部47が設けられている。具体的には、保護部材40の先端部には、冷却ファン20を収納部15に挿入するY方向側に向かって突出する一対の凸部48が設けられており、一対の凸部48の間に凹部47が形成されている。そして、一対の凸部48の間に、電力供給線16が引っ掛けられる(
図14参照)。また、凹部47は、略U字形状を有し、凸部48は、略台形形状を有する。なお、凹部47は、特許請求の範囲の「第2凹部」の一例である。
【0039】
また、本実施形態では、保護部材40には、冷却ファン20によって送風される風を通風するための通風穴49が設けられている。具体的には、保護部材40は、骨組み形状を有し、骨組みの間に複数の通風穴49が設けられている。また、通風穴49が設けられることにより、保護部材40が軽量化されている。
【0040】
次に、
図8~
図14を参照して、冷却ファン20の取り付け方法について説明する。
【0041】
図8に示すように、取付部材30に2つの冷却ファン20が取り付けられる。
【0042】
次に、
図9および
図10に示すように、冷却ファン20のリード線21が、保護部材40の外側(冷却ファン20側とは反対側)から内側に向かって、保護部材40の凹部46に巻き付けられる。
【0043】
そして、
図11に示すように、コネクタ部22が、溝部43が延びるA方向(
図6参照)に対して交差するように(B方向に沿うように)、入り口部分45から溝部43にスライド移動される。そして、
図12に示すように、コネクタ部22が固定部42のA方向側の端部に到達することにより、コネクタ部22の本体部22aの背面側に凸部44が係合する。これにより、コネクタ部22が固定部42に固定される。
【0044】
次に、
図13に示すように、固定部42に固定された状態のコネクタ部22に、電力変換装置本体部10から延びる電力供給線16のコネクタ部17が接続される。なお、ここまでの動作は、保護部材40aと保護部材40bとの両方において同様に行われる。
【0045】
次に、
図14に示すように、冷却ファン20のコネクタ部22に、電力供給線16のコネクタ部17が接続された状態で、冷却ファン20が電力変換装置本体部10の収納部15に挿入される。この際、保護部材40の凹部47に電力供給線16が引っ掛けられた状態で、冷却ファン20が収納部15に挿入される。これにより、電力供給線16が収納部15からはみ出すことが抑制されるので、作業者がはみ出した電力供給線16を収納部15内に戻す必要がない。
【0046】
最後に、取付部材30の爪部34が収納部15の係合部(図示せず)に係合することにより、冷却ファン20が収納部15に取り付けられる。
【0047】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0048】
本実施形態では、上記のように、取付部材30に取り付けられ、冷却ファン20のリード線21を冷却ファン20の羽根部20cから保護するための保護部材40を備える。これにより、冷却ファン20が電力変換装置本体部10に取り付けられた後に、保護部材40により、冷却ファン20の羽根部20cからリード線21が保護されるので、リード線21が冷却ファン20の羽根部20cに接触するのを抑制することができる。その結果、リード線21が冷却ファン20によって切断されることや、リード線21が冷却ファン20に噛み込むなどに起因して、電力変換装置1の品質(冷却性能)が劣化する(装置によって品質がばらつく)のを防止することができる。
【0049】
また、保護部材40により冷却ファン20のリード線21が冷却ファン20から保護されているので、冷却ファン20を電力変換装置本体部10に取り付ける際に、リード線21が冷却ファン20の羽根部20cに噛み込まれるのを抑制することができる。これにより、冷却ファン20の取付作業性を向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態では、上記のように、保護部材40には、冷却ファン20のリード線21のコネクタ部22を固定する固定部42が設けられている。これにより、保護部材40にリード線21のコネクタ部22が固定されるので、冷却ファン20を電力変換装置本体部10に取り付ける際に、リード線21が電力変換装置本体部10の収納部15からはみ出すのを抑制することができるとともに、冷却ファン20の羽根部20cにリード線21が噛み込むことをより抑制することができる。その結果、作業者がリード線21のはみ出しおよび噛み込みを抑制するように冷却ファン20の取り付け作業を慎重に行う必要がないので、冷却ファン20の取り付け作業の作業性を向上させることができる。また、リード線21が固定されていない場合、作業者がリード線21を把持(支持)した状態で、冷却ファン20を電力変換装置本体部10に取り付ける必要があるため、作業者がリード線21を把持する工程(作業)の分、工程数が増加する(手間がかかる)。また、リード線21が電力変換装置本体部10と冷却ファン20(取付部材30)との間の隙間に挟み込まれた場合、挟み込まれたリード線21を取り外す工程(作業)が必要になる。そこで、本実施形態では、保護部材40にリード線21を固定することによって、工程数(手間)が増加するのを抑制することができる。その結果、冷却ファン20の取り付け時間を短縮することができる。
【0051】
また、本実施形態では、上記のように、コネクタ部22には、凸部22cが設けられ、固定部42には、コネクタ部22の凸部22cが係合する溝部43が設けられている。これにより、固定部42にコネクタ部22を容易に固定(係合)することができる。
【0052】
また、本実施形態では、上記のように、固定部42の溝部43の近傍には、固定部42に固定されたコネクタ部22に係合して、固定部42からコネクタ部22が脱落するのを防止するための凸部44が設けられている。これにより、固定部42に一旦固定されたコネクタ部22が、固定部42から脱落するのを凸部44により防止することができるので、コネクタ部22(リード線21)が脱落することに起因する作業性の低下を抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、上記のように、固定部42は、凸部22cがスライド移動されることにより係合される溝部43を含む。これにより、凸部22cをスライド移動させるだけで、容易に、凸部22cを溝部43に係合させることができる。
【0054】
また、本実施形態では、上記のように、保護部材40には、リード線21を保護部材40に巻き付けるための凹部46が設けられている。これにより、リード線21が保護部材40の凹部46に巻き付けられるので、冷却ファン20を電力変換装置本体部10に取り付ける際に、リード線21が電力変換装置本体部10の収納部15からはみ出すこと、および、冷却ファン20の羽根部20cにリード線21が噛み込むことを、より抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態では、上記のように、保護部材40の先端部には、冷却ファン20に電力を供給する電力供給線16を保護部材40に引っ掛けるための凹部47が設けられている。これにより、冷却ファン20を電力変換装置本体部10の収納部15に取り付ける際に保護部材40の凹部47に電力供給線16が引っ掛けられるので、電力供給線16が電力変換装置本体部10の収納部15からはみ出すことを抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、保護部材40は、冷却ファン20が取付部材30により電力変換装置本体部10の収納部15に取り付けられた状態で、収納部15の内面15aに沿うように取付部材30に設けられており、固定部42は、保護部材40の収納部15の内面15a側に設けられている。これにより、リード線21のコネクタ部22が、保護部材40の冷却ファン20とは反対側に配置されるので、リード線21のコネクタ部22に接続される電力供給線16が冷却ファン20に噛み込まれるのを抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、複数の保護部材40は、冷却ファン20が取付部材30により電力変換装置本体部10の収納部15に取り付けられた状態で、収納部15の内面15aに沿うように設けられている。これにより、保護部材40が収納部15の中央部に配置される場合と異なり、保護部材40が冷却ファン20によって送風される風の妨げになるのを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、保護部材40には、通風穴49が設けられている。これにより、保護部材40が冷却ファン20によって送風される風の妨げになるのを通風穴49により抑制することができる。また、保護部材40に通風穴49を設けない場合と比べて、保護部材40の重量を軽くすることができる。
【0059】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0060】
たとえば、上記実施形態では、保護部材40に固定部42が設けられている例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、保護部材40に固定部42が設けられていなくてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、コネクタ部22に凸部22cが設けられ、固定部42に溝部43が設けられる例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、コネクタ部22に溝部が設けられ、固定部42に凸部が設けられていてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、凸部22cと溝部43とが係合することにより、コネクタ部22を固定部42に固定する例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、凸部22cおよび溝部43以外の構成によってコネクタ部22を固定部42に固定してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、固定部42に脱落防止用の凸部44が設けられる例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、固定部に脱落防止用の凹部を設けるとともに、この凹部に係合する凸部をコネクタ部に設けてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、冷却ファン20が2つ設けられる例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図15に示す変形例による電力変換装置100のように、冷却ファン20を2つ以上(たとえば、3つ)設けてもよい。この場合、保護部材140は、冷却ファン20の数に対応するように3つ設けられる。そして、3つの保護部材140a、140bおよび140cは、それぞれ、収納部15の内面15aに沿うように設けられる。具体的には、保護部材140aおよび140bは、それぞれ、収納部15の内側面18aおよび18bに沿うように設けられる。また、保護部材140cは、収納部15の内低面18c(または、内上面18d)に沿うように設けられる。
【0065】
また、上記実施形態では、取付部材30と保護部材40とが別体として設けられる例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、取付部材30と保護部材40とを一体的に形成してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1、100 電力変換装置
10 電力変換装置本体部
15 収納部
15a 内面
16 電力供給線
20 冷却ファン
20c 羽根部
21 リード線
22 コネクタ部
22c 凸部(第1凸部、第1係合部)
30 取付部材
40、40a、40b、140、140a、140b、140c 保護部材
42 固定部
43、43a、43b 溝部(第2係合部)
44 凸部(脱落防止用係合部)
46、46a、46b 凹部(第1凹部)
47 凹部(第2凹部)
49 通風穴