(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】蓄電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20220512BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220512BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20220512BHJP
G05F 1/67 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
H02J7/35 B
H02J7/00 302C
H02J1/00 306K
H02J1/00 304H
G05F1/67 A
(21)【出願番号】P 2017210037
(22)【出願日】2017-10-31
【審査請求日】2020-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】321002112
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ インフラシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【氏名又は名称】堀 城之
(72)【発明者】
【氏名】松本 剛幸
【審査官】山本 香奈絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-154435(JP,A)
【文献】特開2006-288162(JP,A)
【文献】特開2015-192566(JP,A)
【文献】特開2013-143892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/35
H02J 7/00
H02J 1/00
G05F 1/67
H02J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池によって発電された直流電力を蓄電する蓄電池が接続された蓄電装置を基本単位とし、複数の前記蓄電装置を分散設置し、前記蓄電装置間の電力融通を実施する蓄電システムであって、
3以上の前記蓄電装置が環状に
接続されて電力融通の方向が1方向に限定され、
前記蓄電装置は、
それぞれ、
接続された前記蓄電池の蓄電量を電力要求信号として
出力する信号出力端子と、
前記電力要求信号に基づく電力を受電する、電力融通受電端子又はPV接続端子と、
他の蓄電装置からの電力要求信号が入力される信号入力端子と、
前記電力要求信号に基づく前記他の蓄電装置への電力を送電する電力融通送電端子と、を備えることを特徴とする蓄電システム。
【請求項2】
前記蓄電装置は、
前記信号入力端子から入力された前記電力要求信号によって、
前記他の蓄電装置に接続された前記蓄電池の蓄電量が第1閾値未満であることを通知されると、接続された前記蓄電池の蓄電量が
前記第1閾値以上であることを条件に
、前記他の蓄電装置に電力融通を実施することを特徴とする請求項1記載の蓄電システム。
【請求項3】
前記蓄電装置は、
前記信号入力端子から入力された前記電力要求信号によって、
前記他の蓄電装置に接続された前記蓄電池の蓄電量が前記第1閾値以上で前記第1閾値より大きい第2閾値未満であることを通知されると、接続された前記蓄電池の蓄電量が前記第2閾値以上であることを条件に
、前記他の蓄電装置に電力融通を実施することを特徴とする請求項2記載の蓄電システム。
【請求項4】
前記蓄電装置は、
前記信号入力端子から入力された前記電力要求信号によって通知される前記
他の蓄電装置に接続された前記蓄電池の蓄電量よりも、接続された前記蓄電池の蓄電量が上回っていることを条件に
、前記他の蓄電装置に電力融通を実施することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の蓄電システム。
【請求項5】
前記蓄電装置は、
前記信号入力端子から入力された前記電力要求信号によって通知される前記
他の蓄電装置に接続された前記蓄電池の蓄電量
と、接続された前記蓄電池の蓄電量とが同じ値になるまで
、前記他の蓄電装置に電力融通を実施することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の蓄電システム。
【請求項6】
前記蓄電装置は、
前記PV接続端子に接続された前記太陽電池によって発電された直流電力を受電する最大電力点追従方式のMPPTDC/DCコンバータと、
前記蓄電池を充放電する双方向DC/DCコンバータと、
前記MPPTDC/DCコンバータと前記双方向DC/DCコンバータとを接続するDCリンクと、
前記DCリンクの直流電圧を前記太陽電池の電圧電流特性を有する直流電力に変換して前記
電力融通送電端子から送電するPV擬似DC/DCコンバータとを具備し、
前記PV接続端子によって電力を受電することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散設置された複数の電力蓄電装置間で電力融通を行う蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然エネルギーの利用方法として、系統連系ではなく自己消費(自家消費)システムへのシフトが予想されている。自己消費システムとしては、例えば、防災拠点において、太陽電池装置で発電された電力を蓄電する蓄電装置が考えられる。また、EV(Electric Vehicle)やPHV(Plugin Hybrid Vehicle)の普及により、充電ステーションの拡充が行われているが、これらのエネルギー源として太陽電池装置付カーポート等で発電された電力を蓄電する蓄電装置の普及も考えられる。
【0003】
さらに、これらの蓄電装置を分散設置した自立分散型電力ネットワークも研究され、各蓄電装置間で電力の融通制御を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、需要家集団内で需要家間の電力融通制御を集中管理している。従って、電力融通制御を集中管理しているコントローラのダウンによりシステム全体の電力融通制御ができなくなるため、システム効率、リスク管理の面で問題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、従来技術の上記問題を解決し、システム効率を向上させ、リスクを低減することができる蓄電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の蓄電システムは、太陽電池によって発電された直流電力を蓄電する蓄電池が接続された蓄電装置を基本単位とし、複数の前記蓄電装置を分散設置し、前記蓄電装置間の電力融通を実施する蓄電システムであって、3以上の前記蓄電装置が環状に接続されて電力融通の方向が1方向に限定され、前記蓄電装置は、それぞれ、接続された前記蓄電池の蓄電量を電力要求信号として出力する信号出力端子と、前記電力要求信号に基づく電力を受電する、電力融通受電端子又はPV接続端子と、他の蓄電装置からの電力要求信号が入力される信号入力端子と、前記電力要求信号に基づく前記他の蓄電装置への電力を送電する電力融通送電端子と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電力融通制御の集中管理を行う必要がなく、隣接する蓄電装置1間で個別に電力融通を実施するため、システム効率を向上させ、リスクを低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る蓄電システムの第1の実施の形態の構成例を示す構成図である。
【
図3】
図1に示す蓄電装置による電力融通動作を説明する説明図である。
【
図4】本発明に係る蓄電システムの第2の実施の形態の他の構成例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施の形態において、同様の機能を示す構成には、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0011】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態は、
図1を参照すると、太陽電池2と、太陽電池2によって発電された直流電力を蓄電する蓄電池3と、負荷4とが接続された蓄電装置1を1つの基本単位とし、蓄電装置1を環状に分散設置し、蓄電池3の充電量に応じて蓄電装置1間の電力融通を実施する蓄電システムである。
図1には、3台の蓄電装置1を環状に分散設置した例が示されているが、環状に分散設置するのであれば、蓄電装置1の台数に制限はない。
【0012】
各蓄電装置1は、信号入力端子T1と、電力融通送電端子T2と、信号出力端子T3と、電力融通受電端子T4と、PV接続端子T5と、蓄電地接続端子T6と、負荷接続端子T7とをそれぞれ備えている。
【0013】
信号入力端子T1は、隣接する一方の蓄電装置1からの電力要求信号が入力される端子であり、隣接する一方の蓄電装置1の信号出力端子T3と信号線6によって接続されている。また、信号出力端子T3は、隣接する他方の蓄電装置1に電力要求信号を出力する端子であり、隣接する他方の蓄電装置1の信号入力端子T1と信号線6によって接続されている。
【0014】
電力融通送電端子T2は、隣接する一方の蓄電装置1に直流電力を送電する端子であり、隣接する一方の蓄電装置1の電力融通受電端子T4とDC接続線5によって接続されている。電力融通受電端子T4は、隣接する他方の蓄電装置1から送電された直流電力を受電する端子であり、隣接する他方の蓄電装置1の電力融通送電端子T2とDC接続線5によって接続されている。
【0015】
PV接続端子T5には、接続箱21を介して接続された太陽電池2によって発電された直流電力を受電する端子である。蓄電地接続端子T6は、接続された蓄電池3の充放電用の端子である。負荷接続端子T7は、接続された負荷4に電力を供給する端子である。
【0016】
蓄電装置1は、
図2を参照すると、MPPTDC/DCコンバータ11と、双方向DC/DCコンバータ12と、PCS13と、受電用DC/DCコンバータ14と、送電用DC/DCコンバータ15と、電流センサー16と、充電量検出部17と、融通制御部18とを備えている。MPPTDC/DCコンバータ11、双方向DC/DCコンバータ12、PCS13、受電用DC/DCコンバータ14及び送電用DC/DCコンバータ15は、DCリンク10を介して接続されている。なお、C1は、DCリンク10の直流電圧を平滑化するために設けられたDCリンクコンデンサである。
【0017】
MPPTDC/DCコンバータ11は、PV接続端子T5とDCリンク10との間に接続され、太陽電池2によって発電された直流電力を受電する最大電力点追従方式(MPPT:Maximum Power Point Tracking)のDC/DCコンバータである。MPPTDC/DCコンバータ11は、太陽電池2から受電した直流電力をDCリンク10に出力する。
【0018】
双方向DC/DCコンバータ12は、蓄電地接続端子T6とDCリンク10との間に接続され、蓄電池3を充放電する充放電器である。双方向DC/DCコンバータ12は、蓄電池3を充電する際、DCリンク10の直流電圧を蓄電池3の充電に適した電圧に変換して蓄電池3への充電を行う。また、双方向DC/DCコンバータ12は、蓄電池3から放電する際、蓄電池3の直流電圧をDCリンク10の直流電圧に変換して蓄電池3からの放電を行う。
【0019】
PCS13は、負荷接続端子T7とDCリンク10との間に接続され、DCリンク10の直流電圧を負荷4に適した電力に変換して負荷4に供給するパワーコンディショナシステムである。
【0020】
受電用DC/DCコンバータ14は、電力融通受電端子T4とDCリンク10との間に接続され、隣接する他方の蓄電装置1からの直流電力をDCリンク10の直流電圧に変換してDCリンク10に出力する。
【0021】
送電用DC/DCコンバータ15は、電力融通送電端子T2とDCリンク10との間に接続され、DCリンク10の直流電圧を送電利用の直流電圧に変換して隣接する一方の蓄電装置1に送電する。
【0022】
電流センサ16は、蓄電池3が充放電される際、蓄電池3に流れる充放電電流を検出し、充電量検出部17に出力する。
【0023】
充電量検出部17は、蓄電池3の充電量レベルとして、電流センサ16によって検出された蓄電池3の充放電電流に基づいて、蓄電池3のSOC(State of charge)を算出する。充電量検出部17は、蓄電池3の充電電流と、放電電流とそれぞれ積算し、その差分値に基づいてSOCを算出する。なお、SOCの算出は、蓄電池3の端子電圧等に基づいて算出しても良く、蓄電値マネジメントコントローラで監視された情報を入手しても良い。
【0024】
融通制御部18は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータ等の情報処理部である。ROMには蓄電装置1(MPPTDC/DCコンバータ11、双方向DC/DCコンバータ12、PCS13、受電用DC/DCコンバータ14及び送電用DC/DCコンバータ15)の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。融通制御部18は、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、指示情報に応じて装置全体の制御を行う。
【0025】
融通制御部18は、充電量検出部17によって算出されたSOCに基づく電力要求信号を信号出力端子T3から隣接する他方の蓄電装置1に出力する。電力要求信号は、蓄電池3の充電量を表す信号であり、融通制御部18は、SOCが第1閾値未満の第1状態である場合、電力要求信号も第1状態に設定し、SOCが第1閾値以上で第1閾値より大きい第2閾値未満の第2状態である場合、電力要求信号も第2状態に設定し、SOCが第2閾値以上の第3状態である場合、電力要求信号も第3状態に設定する。なお、第1閾値は、接続されている負荷4への電力供給がおぼつかなくなってしまう虞がある値、例えば、20~30%に設定されている。また、第2閾値は、接続されている負荷4への電力供給に余裕がある値、例えば、70~80%に設定されている。
【0026】
また、融通制御部18は、信号入力端子T1に隣接する一方の蓄電装置1から入力される電力要求信号と、充電量検出部17によって算出されたSOCとに基づいて、隣接する一方の蓄電装置1に電力を融通するか否かを判断する。
【0027】
以下、蓄電装置1による電力融通動作について
図3を参照して詳細に説明する。なお、
図3において、蓄電装置1aから見て蓄電装置1bを隣接する一方の蓄電装置1とし、蓄電装置1bから見て蓄電装置1aを隣接する他方の蓄電装置1とする。
【0028】
図3(a)に示すように、蓄電装置1bに接続された蓄電池3が第1状態である場合、蓄電装置1bの融通制御部18は、電力要求信号も第1状態に設定する。蓄電装置1bから入力される電力要求信号が第1状態である場合、蓄電装置1aの融通制御部18は、蓄電装置1aに接続された蓄電池3が第2状態もしくは第3状態(SOCが第1閾値以上)であることを条件に、双方向DC/DCコンバータ12を放電方向に起動すると共に送電用DC/DCコンバータ15を起動し、蓄電池3から放電した直流電力を蓄電装置1bに融通する。
【0029】
また、蓄電装置1bに接続された蓄電池3が第1状態である場合、蓄電装置1bの融通制御部18は、受電用DC/DCコンバータ14を起動し、蓄電装置1aから受電を待機する。そして、受電用DC/DCコンバータ14によって蓄電装置1aから直流電力が受電されると、蓄電装置1bの融通制御部18は、双方向DC/DCコンバータ12を充電方向に起動し、蓄電装置1aから受電された直流電力を蓄電池3に充電する。これにより、蓄電装置1bに接続された蓄電地3の充電量が、接続されている負荷4への電力供給がおぼつかなくなってしまう虞があるSOC(第1閾値)を下回った場合、蓄電装置1aからの電力融通によって充電量を回復させることができる。
【0030】
図3(b)に示すように、蓄電装置1bに接続された蓄電池3が第2状態である場合、蓄電装置1bの融通制御部18は、電力要求信号も第2状態に設定する。蓄電装置1bから入力される電力要求信号が第2状態である場合、蓄電装置1aの融通制御部18は、蓄電装置1aに接続された蓄電池3が第3状態(SOCが第2閾値以上)であることを条件に、双方向DC/DCコンバータ12を放電方向に起動すると共に送電用DC/DCコンバータ15を起動し、蓄電池3から放電した直流電力を蓄電装置1bに融通する。
【0031】
また、蓄電装置1bに接続された蓄電池3が第2状態である場合、蓄電装置1bの融通制御部18は、受電用DC/DCコンバータ14を起動し、蓄電装置1aから受電を待機する。そして、受電用DC/DCコンバータ14によって蓄電装置1aから直流電力が受電されると、蓄電装置1bの融通制御部18は、双方向DC/DCコンバータ12を充電方向に起動し、蓄電装置1aから受電された直流電力を蓄電池3に充電する。これにより、蓄電装置1aに接続された蓄電地3の充電量が余裕のあるSOC(第2閾値)を上回った場合、電力融通によって蓄電装置1aの余剰電力を蓄電装置1bに吸収させることができる。
【0032】
蓄電装置1bに接続された蓄電池3が第3状態である場合、蓄電装置1bの融通制御部18は、電力要求信号も第3状態に設定する。蓄電装置1bから入力される電力要求信号が第3状態である場合、蓄電装置1aの融通制御部18は、蓄電装置1bへの電力融通を実行しない。
【0033】
また、日中、蓄電装置1aに接続された太陽電池2が発電状態である場合、蓄電装置1bへの電力融通に太陽電池2によって発電された直流電力を用いることもできる。
【0034】
さらに、本実施の形態では、蓄電池3の充電量を電力要求信号として第1~3状態に分けて通知するように構成したが、電力要求信号としてSOCの値自体を通知するようにしても良い。この場合には、電力要求信号が入力された蓄電装置1a側で、蓄電装置1bに接続された蓄電池3の充電量が第1~3状態のいずれであるかを判断する。
【0035】
さらに、電力要求信号としてSOCの値自体を通知する場合、SOCが同じ値になるまで、電力融通を実施するようにしても良い。この場合、電力要求信号が入力された蓄電装置1は、自装置に接続された蓄電池3のSOCが、電力要求信号のSOCを上回っている場合に、電力融通を実施すると良い。
【0036】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、
図4を参照すると、第1の実施の形態と同様に、太陽電池2と、太陽電池2によって発電された直流電力を蓄電する蓄電池3と、負荷4とが接続された蓄電装置1’を1つの基本単位とし、蓄電装置1を環状に分散設置し、蓄電池3の充電量に応じて蓄電装置1’間の電力融通を実施する蓄電システムである。
【0037】
蓄電装置1’には、電力融通受電端子T4が設けられておらず、PV接続端子T5が隣接する他方の蓄電装置1’の電力融通送電端子T2とDC接続線5によって接続されている。
【0038】
蓄電装置1’では、
図5を参照すると、送電用DC/DCコンバータ15の代わりに、PV擬似DC/DCコンバータ15aが電力融通送電端子T2とDCリンク10との間に接続されている。
【0039】
PV擬似DC/DCコンバータ15aは、電力融通に際し、DCリンク10の直流電圧を太陽電池2の電圧電流特性を有する直流電力に変換して電力融通送電端子T2から出力する。これにより、電力融通を受ける側の蓄電装置1’では、MPPTDC/DCコンバータ11によって受電することができる。なお、MPPTDC/DCコンバータ11としては、太陽電池2の出力定格とPV擬似DC/DCコンバータ15aの出力定格とを加算したよりも大きい入力定格を有するものを用いる。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態によれば、太陽電池2によって発電された直流電力を蓄電する蓄電池3が接続された蓄電装置1を基本単位とし、複数の蓄電装置1を分散設置し、蓄電装置1間の電力融通を実施する蓄電システムであって、3以上の蓄電装置1が環状に分散設置され、蓄電装置1は、接続された蓄電地3の蓄電量を電力要求信号として隣接する他方の蓄電装置1に通知すると共に、隣接する一方の蓄電装置1から通知された電力要求信号に基づいて、隣接する一方の蓄電装置1への電力融通を実施する。
この構成により、電力融通制御の集中管理を行う必要がなく、隣接する蓄電装置1間で個別に電力融通を実施するため、システム効率を向上させ、リスクを低減することができる。また、蓄電装置1を環状に分散設置し、電力融通の方向を1方向に限定しているため、基本単位である蓄電装置1を同一構成とすることができ、蓄電装置1の増設や撤去を簡単に行うことができる。そして、蓄電装置1の増設や撤去の際には、隣接する蓄電装置1間にDC接続線5及び信号線6を結線するだけで良いため、設置コストもしくは撤去コストを低減することができる。
【0041】
さらに、本実施の形態は、蓄電装置1は、電力要求信号によって、隣接する一方の蓄電装置1に接続された蓄電地3の蓄電量が第1閾値未満であることを通知されると、接続された蓄電地3の蓄電量が第1閾値以上であることを条件に電力融通を実施する。
この構成により、接続された蓄電地3の充電量が、接続されている負荷4への電力供給がおぼつかなくなってなってしまう虞があるSOC(第1閾値)を下回った場合、電力融通によって充電量を回復させることができる。
【0042】
さらに、本実施の形態は、蓄電装置1は、電力要求信号によって、隣接する一方の蓄電装置1に接続された蓄電地3の蓄電量が第1閾値以上で第1閾値より大きい第2閾値未満であることを通知されると、接続された蓄電地3の蓄電量が第2閾値以上であることを条件に電力融通を実施する。
この構成により、接続された蓄電地3の充電量が余裕のあるSOC(第2閾値)を上回った場合、電力融通によって余剰電力を隣接する蓄電装置1に吸収させることができる。
【0043】
さらに、本実施の形態は、蓄電装置1は、電力要求信号によって通知される蓄電地3の蓄電量よりも、接続された蓄電地3の蓄電量が上回っていることを条件に電力融通を実施する。
この構成により、各蓄電装置1に接続されたそれぞれの蓄電地3の蓄電量を均一化することができ、エネルギー効率を向上させることができる。
【0044】
さらに、本実施の形態は、蓄電装置1は、電力要求信号によって通知される蓄電地3の蓄電量、接続された蓄電地3の蓄電量とが同じ値になるまで電力融通を実施する。
この構成により、各蓄電装置1に接続されたそれぞれの蓄電地3の蓄電量をさらに均一化することができ、エネルギー効率を向上させることができる。
【0045】
さらに、本実施の形態は、蓄電装置1’は、太陽電池2によって発電された直流電力を受電する最大電力点追従方式のMPPTDC/DCコンバータ11と、蓄電地3を充放電する双方向DC/DCコンバータ12と、MPPTDC/DCコンバータと双方向DC/DCコンバータとを接続するDCリンク10と、DCリンクの直流電圧を太陽電池2の電圧電流特性を有する直流電力に変換するPV擬似DC/DCコンバータ15aとを具備し、PV擬似DC/DCコンバータ15aによって変換された直流電力を隣接する一方の蓄電装置1に電力融通すると共に、隣接する他方の蓄電装置1からの電力融通をMPPTDC/DCコンバータ11によって受電する。
この構成により、電力融通を受電する専用の端子とDC/DCコンバータとが必要なくなり、蓄電装置1’のコストを低減させることができる。
【0046】
以上、本発明を具体的な実施形態で説明したが、上記実施形態は一例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
1、1’、1a、1b 蓄電装置
2 太陽電池
3 蓄電池
4 負荷
5 DC接続線
6 信号線
10 DCリンク
11 MPPTDC/DCコンバータ
12 双方向DC/DCコンバータ
13 PCS
14 受電用DC/DCコンバータ
15 送電用DC/DCコンバータ
15a PV擬似DC/DCコンバータ
16 電流センサ
17 充電量検出部
18 融通制御部
21 接続箱
T1 信号入力端子
T2 電力融通送電端子
T3 信号出力端子
T4 電力融通受電端子
T5 PV接続端子
T6 蓄電地接続端子
T7 負荷接続端子