(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】スタッカクレーン
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20220512BHJP
B65G 1/14 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
B65G1/04 541
B65G1/14 D
(21)【出願番号】P 2018022593
(22)【出願日】2018-02-10
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】中野 勝
(72)【発明者】
【氏名】井上 宗敬
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-024512(JP,A)
【文献】実開昭61-176200(JP,U)
【文献】特開平05-024607(JP,A)
【文献】特開昭56-136710(JP,A)
【文献】特開平06-115430(JP,A)
【文献】特開平09-208007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 - 1/133
B65G 1/14 - 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受け棒を備える棚および入出庫ステーションの少なくとも一方への/からのロール物品の搬入および搬出の少なくとも一方を行うスタッカクレーンであって、
前記ロール物品を載置して移動させる支持部材と、
前記支持部材をX軸、Y軸およびZ軸に移動させる駆動制御部と、
第1移動量、第2移動量および補正量を記憶する記憶部と、
前記補正量を計測する計測部と、を備え、
前記第1移動量は、前記受け棒の基準位置から第1位置までの、前記支持部材の前記Y軸上での移動量であり、
前記第2移動量は、第2位置から最終位置までの、前記支持部材の前記Y軸上での移動量であり、
前記補正量は、前記第1位置から前記第2位置までの、前記支持部材の前記Y軸上での移動量であり、
前記支持部材は、前記ロール物品を載置した状態を検出する検出部を有し、
前記支持部材が前記ロール物品を載置した状態として検出される位置が、前記第2位置であり、
前記計測部は、前記検出部の検出結果および前記支持部材の前記Y軸上での移動量に基づいて、前記補正量を計測し、
前記駆動制御部は、所定の受け棒を基準として、前記第1移動量、前記第2移動量および前記補正量に基づいて、前記ロール物品の受け棒への搬入および前記受け棒からの搬出を行い、
前記支持部材は、第1端部から略中央に向けて下がる第1斜面と、前記第1端部と逆側の第2端部から略中央に向けて下がる第2斜面とを有し、
前記検出部は、
前記第1端部から前記略中央にむけて光を照射する第1照射部と、前記第1照射部からの光を受光する第1受光部と、
前記第2端部から前記略中央に向けて光を照射する第2照射部と、前記第2照射部からの光を受光する第2受光部と、を備える、スタッカクレーン。
【請求項2】
前記基準位置は、前記受け棒の上端の位置であり、
前記X軸は、前記棚の平面に沿った方向軸であり、
前記Y軸は、前記棚の上下方向に沿った方向軸であり、
前記Z軸は、前記受け棒に沿った方向軸であり、
前記X軸、前記Y軸および前記Z軸は相互に直交する、請求項1記載のスタッカクレーン。
【請求項3】
前記ロール物品は、略中心軸に芯孔を有し、
前記受け棒が、前記芯孔に挿入されることで、前記ロール物品は前記受け棒に搬入され、
前記受け棒から、前記芯孔が抜かれることで、前記ロール物品は、前記受け棒から搬出される、請求項1または2記載のスタッカクレーン。
【請求項4】
前記複数の受け棒の内、搬出対象となる搬出ロール物品が保管されている対象となる搬出受け棒から前記ロール物品を搬出する場合においては、
前記駆動制御部は、
(ステップ1)前記記憶部から、前記第1移動量を読み出し、
(ステップ2)前記支持部材を、前記搬出受け棒の前記基準位置から前記第1移動量だけ下方である前記第1位置に移動させ、
(ステップ3)前記支持部材を、前記Z軸に移動させて、前記搬出ロール物品の下方に位置させ、
(ステップ4)前記支持部材を、前記検出部が前記搬出ロール物品を載置した状態を検出する前記第2位置まで上昇させ、
(ステップ5)前記記憶部から、前記第2移動量を読み出し、
(ステップ6)前記支持部材を、前記第2移動量に基づいて、前記第2位置から前記最終位置まで上昇させ、
(ステップ7)前記支持部材を、前記Z軸であって前記ステップ3とは逆側に移動させて、
前記支持部材は、前記搬出ロール物品を、前記搬出受け棒から引き抜いて搬出する、請求項3記載のスタッカクレーン。
【請求項5】
前記ステップ4において、前記計測部は、前記補正量を計測して、前記記憶部に前記補正量を出力し、
前記記憶部は、前記補正量を記憶する、請求項4記載のスタッカクレーン。
【請求項6】
前記複数の受け棒の内、搬入対象となる搬入ロール物品を搬入する対象となる搬入受け棒に前記搬入ロール物品を搬入する場合においては、
前記駆動制御部は、
(ステップ11)前記記憶部から、前記搬入ロール物品および前記搬入受け棒に関する、前記第1移動量、前記第2移動量および前記補正量を読み出し、
(ステップ12)前記支持部材を、「前記搬入受け棒の基準位置 - 前記第1移動量 + 前記第2移動量 + 前記補正量」となる受け位置に移動させ、
(ステップ13)前記支持部材を、前記受け位置に移動させることで、前記搬入ロール物品を載置させ、
(ステップ14)前記支持部材を、前記Z軸方向に移動させることで、前記搬入受け棒を、前記搬入ロール物品の前記芯孔に挿入させ、
(ステップ15)前記支持部材を、前記第1位置まで下降させ、
(ステップ16)前記支持部材を、前記Z軸であって前記ステップ14と逆方向に移動させ、
前記支持部材は、前記搬入受け棒に前記搬入ロール物品を残して離隔して搬入する、請求項4から5のいずれか記載のスタッカクレーン。
【請求項7】
前記ステップ11で読み出される前記補正量は、前記搬入ロール物品が、前記搬出受け棒から搬出される際に、前記ステップ4において計測されている、請求項6記載のスタッカクレーン。
【請求項8】
前記棚もしくは前記入出庫ステーションは、前記スタッカクレーンの前記Z軸方向の第1側面に複数の第1受け棒群と、前記第1側面と逆側の第2側面に複数の第2受け棒群を備え、
前記支持部材は、前記第1受け棒および前記第2受け棒のいずれに対しても、前記ロール物品の所定搬入手順での搬入および所定搬出手順での搬出を行える、請求項6記載のスタッカクレーン。
【請求項9】
前記所定搬出手順は、前記ステップ1から前記ステップ7を含み、
前記所定搬入手順は、前記ステップ11から前記ステップ16を含む、請求項8記載のスタッカクレーン。
【請求項10】
前記検出部は、前記第1斜面および前記第2斜面に、前記ロール物品が載って、前記第1受光部および前記第2受光部の両方が、受光を遮蔽された場合に、前記ロール物品が、前記支持部材に載置された状態であると、検出する、請求項1記載のスタッカクレーン。
【請求項11】
前記検出部は、前記第1受光部および前記第2受光部の両方が、受光を遮蔽された場合に、前記ロール物品が、前記第1斜面および前記第2斜面の交差底に載置されていると判断する、請求項10記載のスタッカクレーン。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか記載のスタッカクレーンと、
前記スタッカクレーンに対応して設けられる棚と、
前記棚に設けられる複数の受け棒と、
前記棚に対応して前記スタッカクレーンが走行する走行路と、を備える、自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状である受け棒に対して、ロール状のロール物品を搬入あるいは搬出するスタッカクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
工場、事業場あるいは配送や流通を担う場所においては、様々な物品や商品(以下、「物品」という)を、多くの格納室に収納する棚が、設置されていることが多い。この棚には、様々な物品が置かれている。必要に応じて、この棚に置かれている様々な物品は、棚から取り出されて別の場所に搬送される。あるいは、別の場所から搬送されてきた物品が、棚のある位置に配置される。
【0003】
この棚を備える設備を自動倉庫とよび、自動倉庫が備える棚への物品の搬入や物品の搬出を行うスタッカクレーンが使用されることがある。このような棚を備える自動倉庫に対しては、スタッカクレーンは、この棚に対して物品を搬入したり、棚から物品を搬出したりする。
【0004】
しかしながら、工場や配送センターなどの構成や取扱物品の種類によっては、棚ではない倉庫が使用されることがある。例えば、長大な紙をロール状に巻き付けたロール物品の保管(保管前の搬入と保管後の搬出を含めて)を行うことが必要となる工場や配送センターも存在する。これらの工場や配送センターなどの施設において、ロール物品を製造や配送の対象物とすることがあるからである。
【0005】
このようなロール物品の保管においては、上述したような棚を備える倉庫よりも、ロールの芯の貫通孔に挿し込まれる棒状の受け棒が並んでいる倉庫が用いられる。ロール物品は、貫通孔を有する芯を有している。例えば、この貫通孔に受け棒が挿し込まれればロール物品は適切に保管され、ロール物品が受け棒から抜かれれば、ロール物品を次の工程などに移動させることができる。
【0006】
棚を有する自動倉庫にロール物品を保管することは、安定性の面からも好ましくなく、搬入や搬出も煩雑となるからである。あるいは、棚を有する自動倉庫にロール物品を保管することは、ロール物品の様々な大きさのバリエーションに対応することが難しい側面もあるからである。
【0007】
このような理由もあり、棚を有する自動倉庫を用いるよりも、ロール物品の貫通孔に挿し込まれる受け棒を有する自動倉庫が望ましい。このような受け棒を有する自動倉庫であれば、保管における安定性も高い。また、保管できるロール物品の数の効率性も高まる。
【0008】
このように、芯に貫通孔を有するロール物品の保管において、受け棒が備わる自動倉庫が使用されることがある。複数の受け棒が備わる自動倉庫において、この受け棒にロール物品を搬入し、あるいは受け棒からロール物品を搬出するスタッカクレーンが必要となる。
【0009】
棚を有する自動倉庫でのロール物品の搬入あるいは搬出での工夫についての技術や、受け棒を備える自動倉庫にロール物品を搬入あるいは搬出するスタッカクレーンについての技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開平5-24607号公報
【文献】特開平6-24512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、ロール物品を搬入、搬出するスタッカクレーンは、予め定められた定量の座標に移動する。スタッカクレーンには、ロール物品を搬入あるいは搬出する位置である受け棒もしくは棚の位置が、座標値として記憶されている。この記憶されている座標値に従ってスタッカクレーンは動作して、座標値に対応する受け棒あるいは棚に、ロール物品を搬入などする。
【0012】
このため、ロール物品の外径の大きさが一定でない場合には、記憶された座標値のみで移動すると、ロール物品を受け棒や棚のそれぞれに正確に移動させることができない問題がある。
【0013】
一方で、ロール物品は、例えば芯の外周にシート状の部材が巻き付けられたものであることが多く、仕様や種類によって、その外径が異なることも多い。すなわち、外径の異なるロール物品に対応することは、スタッカクレーンには必須要素として求められる。
【0014】
特許文献1は、外形寸法が互いに異なる空芯のコイルを保管する任意の高さに設定された保管棚と、コイルの中心部に挿入しうるフォークをもって当該コイルを搬送するスタッカクレーンとを有する立体自動倉庫において、コイルの入庫完了時点におけるフォークの昇降位置を測定すると共に該昇降位置データを記憶しておき、その昇降位置データに基づいて当該コイルを出庫する際のフォークの昇降位置決め制御を行うフォーク昇降位置の制御方法を開示する。
【0015】
特許文献1の技術は、スタッカクレーンの左右のいずれかに棚を備える自動倉庫を対象とする。外部からこの棚にロール物品を搬入し、この棚から外部にロール物品を搬出する構成である。このとき、外部からロール物品を搬入する際の位置データを基に外部への搬出を行う。
【0016】
特に、スタッカクレーンに旋回機構が無いので、片側の棚のみへの搬入あるいは同じ片側の棚からの搬出しかできないことでの、保管効率の悪さの問題もある。
【0017】
加えて、特許文献1のスタッカクレーンは、棚にロール物品を搬入する際の昇降移動量(昇降位置)を記憶しておき、この記憶している値に基づいて、棚に保管されているロール物品を外部に搬出する。すなわち、スタッカクレーンは、棚に搬入したすべてのロール物品の搬入の際の昇降移動量を記憶しておかなければならない問題もある。
【0018】
このため、記憶量の問題や、記憶している昇降位置と実際の動作とのエラーが生じかねない問題がある。もちろん、上述したように、棚の片側しか使えない問題があり、収納効率も悪い。
【0019】
すなわち、特許文献1の技術は、搬入時の昇降移動量のデータが揃っていないと、異なる外径のロール物品に対応して搬入や搬出を行えない問題があった。
【0020】
特許文献2は、水平方向にスライド可能なスライドフォークは、ロール品の貫通孔を各支持ロッドに挿入させ、ロールを支持ロッドに着脱可能に支持させる。スライドフォークはリフタにより昇降台に昇降可能に支持される。リフタによるスライドフォークの昇降量は、ロール品の外径によって異なる。これにより、ロール品の着脱時における昇降台の昇降量は、ロール品の外径に係らず一定である自動倉庫を開示する。
【0021】
特許文献2のクレーンは、昇降台の上にリフタを備える2段構成となっている。外径の異なるロール物品の外径の違いを、リフタの昇降距離によって吸収する構成である。
【0022】
しかしながら、特許文献2の技術は、ロール外径の違いに、昇降台の上に更にリフタを備えることで対応している。このため、ロール物品を載せて搬出や搬入する部材として、昇降台とリフタの2段構成を必要とする。このため、ロール物品を載せることのできる空間が小さくなり、余分な空間を必要とする問題がある。いわゆる物品を載置することのできないリフタ用のデッドスペースが生じてしまう問題がある。
【0023】
また、ロール物品は、昇降台とリフタの2段構成の上にしか載置ができないことで、ロール物品の外径に比較して、受け棒同士の間により多くの間隔が必要となる。あるいは、昇降台にリフタを加えた高さが必要であるので、一番下の受け棒や棚の位置を上げざるを得ない。これらのために、自動倉庫の収納効率が下がる問題がある。
【0024】
また、特許文献2のリフタは、リミットスイッチを用いてロール物品の外径を検知してロール物品を昇降させるが、リミットスイッチの故障によって正しい位置にロール物品を合わせることができなくなることもあり得る。
【0025】
また、ロール物品は、昇降台ではなくリフタの上に載置される。このため、ロール物品の外径によってはリフタの上に載置できない問題もある。リフタによって、対応できるロール物品の外径が制限される問題もある(リフタの大きさや昇降量によって、対応できるロール物品の外径に制限が生じる問題がある)。
【0026】
本発明は、これらの課題に鑑み、ロール物品の外径が変化しても受け棒からの搬出と搬入を可能とする、スタッカクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記課題に鑑み、本発明のスタッカクレーンは、複数の受け棒を備える棚および入出庫ステーションの少なくとも一方への/からのロール物品の搬入および搬出の少なくとも一方を行うスタッカクレーンであって、
ロール物品を載置して移動させる支持部材と、
支持部材をX軸、Y軸およびZ軸の少なくとも一方に移動させる駆動制御部と、
第1移動量、第2移動量および補正量を記憶する記憶部と、
補正量を計測する計測部と、を備え、
第1移動量は、受け棒の基準位置から第1位置までの、支持部材のY軸上での移動量であり、
第2移動量は、第2位置から最終位置までの、支持部材のY軸上での移動量であり、
補正量は、第1位置から第2位置までの、支持部材のY軸上での移動量であり、
支持部材は、ロール物品を載置した状態を検出する検出部を有し、
支持部材がロール物品を載置した状態として検出される位置が、第2位置であり、
計測部は、検出部の検出結果および支持部材のY軸上での移動量に基づいて、補正量を計測し、
駆動制御部は、所定の受け棒を基準として、第1移動量、第2移動量および補正量に基づいて、ロール物品の受け棒への搬入および受け棒からの搬出を行い、
前記支持部材は、第1端部から略中央に向けて下がる第1斜面と、前記第1端部と逆側の第2端部から略中央に向けて下がる第2斜面とを有し、
前記検出部は、
前記第1端部から前記略中央にむけて光を照射する第1照射部と、前記第1照射部からの光を受光する第1受光部と、
前記第2端部から前記略中央に向けて光を照射する第2照射部と、前記第2照射部からの光を受光する第2受光部と、を備える。
【発明の効果】
【0028】
本発明のスタッカクレーンは、外径の異なるロール物品に対応して、自動倉庫の受け棒への搬入と搬出を実現できる。このとき、支持部材のみでロール物品を受けて昇降させることができるので、ロール物品の収納効率を上げることができる。
【0029】
また、受け棒への搬入あるいは搬出のそれぞれにおいて、外径を考慮した位置検出と位置合わせを行うので、受け棒に搬入したロール物品のそれぞれに対応する位置情報をすべて記憶しておく必要が無い。
【0030】
また、位置合わせにおける機構が簡易であることで故障や誤動作が少ないメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明のスタッカクレーンが用いられる棚を示す正面図である。
【
図2】本発明の入出庫ステーションと棚とを示す正面図である。
【
図3】本発明の実施の形態1におけるスタッカクレーンの正面図である。
【
図4】本発明の実施の形態1におけるスタッカクレーンの側面図である。
【
図5】本発明の実施の形態1におけるロール物品と受け棒との関係を示す模式図である。
【
図6】本発明の実施の形態1における、支持部材の移動を説明する模式図である。
【
図7】本発明の実施の形態1における、支持部材の移動を説明する模式図である。
【
図8】本発明の実施の形態1における、支持部材の移動を説明する模式図である。
【
図9】本発明の実施の形態1における受け棒からの搬出動作を示すフロー図である。
【
図10】本発明の実施の形態1における受け棒からの搬出動作の動作フロー図である。
【
図11】本発明の実施の形態1における受け棒への搬入動作を説明するフロー図である。
【
図12】本発明の実施の形態1における受け棒への搬入動作をZ軸方向で示すフロー図である。
【
図13】本発明の実施の形態2におけるロール物品の載置を検出する支持部材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の第1の発明に係るスタッカクレーンは、複数の受け棒を備える棚および入出庫ステーションの少なくとも一方への/からのロール物品の搬入および搬出の少なくとも一方を行うスタッカクレーンであって、
ロール物品を載置して移動させる支持部材と、
支持部材をX軸、Y軸およびZ軸の少なくとも一方に移動させる駆動制御部と、
第1移動量、第2移動量および補正量を記憶する記憶部と、
補正量を計測する計測部と、を備え、
第1移動量は、受け棒の基準位置から第1位置までの、支持部材のY軸上での移動量であり、
第2移動量は、第2位置から最終位置までの、支持部材のY軸上での移動量であり、
補正量は、第1位置から第2位置までの、支持部材のY軸上での移動量であり、
支持部材は、ロール物品を載置した状態を検出する検出部を有し、
支持部材がロール物品を載置した状態として検出される位置が、第2位置であり、
計測部は、検出部の検出結果および支持部材のY軸上での移動量に基づいて、補正量を計測し、
駆動制御部は、所定の受け棒を基準として、第1移動量、第2移動量および補正量に基づいて、ロール物品の受け棒への搬入および受け棒からの搬出を行う。
【0033】
この構成により、厚みの相違するロール物品であっても、その厚みの違いに対応して、受け棒への搬入や受け棒からの搬出を可能とする。
【0034】
本発明の第2の発明に係るスタッカクレーンでは、第1の発明に加えて、基準位置は、受け棒の上端の位置であり、
X軸は、棚の平面に沿った方向軸であり、
Y軸は、棚の上下方向に沿った方向軸であり、
Z軸は、受け棒に沿った方向軸であり、
X軸、Y軸およびZ軸は相互に直交する。
【0035】
この構成により、受け棒の上端を基準としてから、ロール物品の位置を調整できる。結果として、ロール物品の芯孔と受け棒との位置を正確に合わせることができる。
【0036】
本発明の第3の発明に係るスタッカクレーンでは、第1または第2の発明に加えて、ロール物品は、略中心軸に芯孔を有し、
受け棒が、芯孔に挿入されることで、ロール物品は受け棒に搬入され、
受け棒から、芯孔が抜かれることで、ロール物品は、受け棒から搬出される。
【0037】
この構成により、ロール物品が受け棒に搬入されて保管されるようになる。あるいは、保管されているロール物品を受け棒から抜くことで搬出ができる。
【0038】
本発明の第4の発明に係るスタッカクレーンでは、第3の発明に加えて、複数の受け棒の内、搬出対象となる搬出ロール物品が保管されている対象となる搬出受け棒からロール物品を搬出する場合においては、
駆動制御部は、
(ステップ1)記憶部から、第1移動量を読み出し、
(ステップ2)支持部材を、搬出受け棒の基準位置から第1移動量だけ下方である第1位置に移動させ、
(ステップ3)支持部材を、Z軸に移動させて、搬出ロール物品の下方に位置させ、
(ステップ4)支持部材を、検出部が搬出ロール物品を載置した状態を検出する第2位置まで上昇させ、
(ステップ5)記憶部から、第2移動量を読み出し、
(ステップ6)支持部材を、第2移動量に基づいて、第2位置から最終位置まで上昇させ、
(ステップ7)支持部材を、Z軸であってステップ3とは逆側に移動させて、
支持部材は、搬出ロール物品を、搬出受け棒から引き抜いて搬出する。
【0039】
この構成により、厚みの異なるロール物品であっても、受け棒に引っ掛けて残したり、受け棒から抜けないなどの問題も無く、確実に受け棒から抜き取って搬出できる。
【0040】
本発明の第5の発明に係るスタッカクレーンでは、第4の発明に加えて、ステップ4において、計測部は、補正量を計測して、記憶部に補正量を出力し、記憶部は、補正量を記憶する。
【0041】
この構成により、ロール物品の厚みによって変わりうる補正量を正確に計測できる。特に、第1移動量と第2移動量は、受け棒同士の間隔によって予め設定されればよい。これに対して、補正量は、ロール物品毎に相違しうる。このため、ロール物品毎に補正量が計測されることで、最終的に受け棒と芯孔とのY軸上での位置を合わせることができる。
【0042】
本発明の第6の発明に係るスタッカクレーンでは、第4または第5の発明に加えて、複数の受け棒の内、搬入対象となる搬入ロール物品を搬入する対象となる搬入受け棒に搬入ロール物品を搬入する場合においては、
駆動制御部は、
(ステップ11)記憶部から、搬入ロール物品および搬入受け棒に関する、第1移動量、第2移動量および補正量を読み出し、
(ステップ12)支持部材を、「搬入受け棒の基準位置 - 第1移動量 + 第2移動量 + 補正量」となる受け位置に移動させ、
(ステップ13)支持部材を、受け位置に移動させることで、搬入ロール物品を載置させ、
(ステップ14)支持部材を、Z軸方向に移動させることで、搬入受け棒を、搬入ロール物品の芯孔に挿入させ、
(ステップ15)支持部材を、第1位置まで下降させ、
(ステップ16)支持部材を、Z軸であってステップ14と逆方向に移動させ、
支持部材は、搬入受け棒に搬入ロール物品を残して離隔して搬入する。
【0043】
この構成により、対象となる受け棒に対して、芯孔を正確に通してロール物品を搬入できる。このとき、ロール物品の厚みが相違しても、ロール物品それぞれで計測されている補正量に基づいて位置合わせできるので、問題なく受け棒に挿入させて搬入が正確に行える。
【0044】
本発明の第7の発明に係るスタッカクレーンでは、第6の発明に加えて、ステップ11で読み出される補正量は、搬入ロール物品が、搬出受け棒から搬出される際に、ステップ4において計測されている。
【0045】
この構成により、厚みの異なるロール物品のそれぞれに確実に対応して、補正量によって正しい位置にロール物品の芯孔を合わせることができる。結果として、確実に搬入できる。
【0046】
本発明の第8の発明に係るスタッカクレーンでは、第6の発明に加えて、棚もしくは入出庫ステーションは、スタッカクレーンのZ軸方向の第1側面に複数の第1受け棒群と、第1側面と逆側の第2側面に複数の第2受け棒群を備え、
支持部材は、第1受け棒および第2受け棒のいずれに対しても、ロール物品の所定搬入手順での搬入および所定搬出手順での搬出を行える。
【0047】
この構成により、スタッカクレーンの両サイドを搬出および搬入対象として効率よく使用できる。結果として棚の保管効率が高まる。
【0048】
本発明の第9の発明に係るスタッカクレーンでは、第8の発明に加えて、所定搬出手順は、ステップ1からステップ7を含み、
所定搬入手順は、ステップ11からステップ16を含む。
【0049】
この構成により、両サイドの受け棒に対しても、搬出と搬入が可能である。もちろん、厚みの異なるロール物品でも正確に行える。
【0050】
本発明の第10の発明に係るスタッカクレーンでは、第1から第9のいずれかの発明に加えて、支持部材は、第1端部から略中央に向けて下がる第1斜面と、第1端部と逆側の第2端部から略中央に向けて下がる第2斜面とを有し、
検出部は、
第1端部から略中央にむけて光を照射する第1照射部と、第1照射部からの光を受光する第1受光部と、
第2端部から略中央に向けて光を照射する第2照射部と、第2照射部からの光を受光する第2受光部と、を備える。
【0051】
この構成により、載置状態を確実に検出できる。
【0052】
本発明の第11の発明に係るスタッカクレーンでは、第10の発明に加えて、検出部は、第1斜面および第2斜面に、ロール物品が載って、第1受光部および第2受光部の両方が、受光を遮蔽された場合に、ロール物品が、支持部材に載置された状態であると、検出する。
【0053】
この構成により、支持部材にロール物品が載置(接触した状態であって、持ち上げる前の状態)された状態を正確に検出できる。
【0054】
本発明の第12の発明に係るスタッカクレーンでは、第11の発明に加えて、検出部は、第1受光部および第2受光部の両方が、受光を遮蔽された場合に、ロール物品が、第1斜面および第2斜面の交差底に載置されていると判断する。
【0055】
この構成により、支持部材にロール物品が載置(接触した状態であって、持ち上げる前の状態)された状態を正確に検出できる。
【0056】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0057】
(実施の形態1)
【0058】
(自動倉庫と棚)
図1は、本発明のスタッカクレーンが用いられる棚を示す正面図である。棚100は、自動倉庫200の一部の要素である。また、
図1においては、棚100にスタッカクレーン1が組み合わされている状態が示されている。
【0059】
棚100は、複数の受け棒110を備えている。この受け棒110を有することで、棚100は、
図1に示すように、ロール物品300を収容できる。ロール物品300は、ロール状の物品であり、その略中心軸に芯孔310を有する。言い換えれば、この芯孔310の周りに、薄い部材が巻き付けられることで、ロール物品300が構成される。
【0060】
受け棒110が、この芯孔310に挿入されることで、ロール物品300が受け棒110に搬入される。逆に、受け棒110からこの芯孔310が抜かれることで、ロール物品300が、受け棒110から搬出される。このように、棚100は、受け棒110へのロール物品300の搬入と、受け棒110からのロール物品の搬出を行える。収容(保管)の際には、受け棒110に挿入されて、ロール物品300が受け棒110にセットされた状態となる。
図1においては、3つのロール物品300が受け棒110に搬入されて収容されている状態が示されている。
【0061】
棚100が複数の受け棒110を備えていることで、ロール物品300の搬入や搬出を可能とでき、必要に応じて、ロール物品300を保管できる。また、いわゆる区画された棚と異なり、棚100は、受け棒110を備えている構成である。このため、ロール物品300の芯孔310に受け棒110を挿入する態様で、ロール物品300を固定して保管できる。結果として、ロール物品300がぐらついたり動いたりして保管が不安定となることが防止できる。
【0062】
本発明のスタッカクレーン1は、このような複数の受け棒110を備える棚100へのロール物品300の搬入、棚100からのロール物品300の搬出を行う。また、棚100やスタッカクレーン1は、自動倉庫200を構成する要素である。
【0063】
図2は、本発明の入出庫ステーションと棚とを示す正面図である。
図1に基づいて、上述のように棚100へのロール物品300の搬入やロール物品300の搬出の構成に加えて、入出庫ステーション400が備わることもよい。入出庫ステーション400も受け棒110を備えている。この受け棒110にロール物品300が保管されることもよい。
【0064】
図2のような態様の場合には、ロール物品300が、棚100と入出庫ステーション400との間で搬入や搬出がなされてもよい。すなわち、入出庫ステーション400の受け棒110にロール物品300が保管されており、この入出庫ステーション400に保管されているロール物品300が搬出されて、棚100の受け棒110に搬入される態様がある。あるいは、棚100の受け棒110に保管されているロール物品300が搬出されて、入出庫ステーション400に搬入される態様がある。
【0065】
スタッカクレーン1は、
図1、
図2のそれぞれのように、棚100の受け棒110から別の場所への搬出、別の場所から棚100の受け棒110への搬入、棚100の受け棒110間での移動(搬出と搬入)、入出庫ステーション400と棚100との間での移動(搬出と搬入)の、それぞれを実行できる。
【0066】
このように、スタッカクレーン1は、棚100および入出庫ステーション400の少なくとも一方へのロール物品300の搬入、あるいは、棚100および入出庫ステーション400の少なくとも一方からのロール物品の搬出を実行する。このとき、棚100および入出庫ステーション400は、受け棒110を備えている。ロール物品300は、受け棒110と芯孔310との挿入、引き抜きの関係で、搬出と搬入を行える。
【0067】
なお、必要に応じて、入出庫ステーション400も自動倉庫200の構成要素となってもよい。
【0068】
(スタッカクレーンの全体概要)
スタッカクレーンの全体概要について説明する。
図3は、本発明の実施の形態1におけるスタッカクレーンの正面図である。
図4は、本発明の実施の形態1におけるスタッカクレーンの側面図である。
図3、
図4においては、スタッカクレーン1において、ロール物品300を載置する一つの支持部材2の2か所の位置にある状態のそれぞれを例示として示している。なお、支持部材2は、左右に移動可能であることも好適である。
【0069】
スタッカクレーン1は、支持部材2、駆動制御部3、記憶部4、計測部5を、備える。駆動制御部3、記憶部4、計測部5は、
図4に示されているが、これらの位置に備わることに限定されるのではなく、スタッカクレーン1を構成する他の部位に備わってもよい。また、記憶部4は、スタッカクレーン1と通信可能な状態で、離隔した場所に備わってもよい。
【0070】
また、スタッカクレーン1は、支持部材2を移動可能に取り付けると共に、駆動制御部3などとの連結を行うフレーム6を備える。フレーム6は、スタッカクレーン1の外形を構成することも行う。スタッカクレーン1は、棚100や入出庫ステーション400と共に用いられる。これらの受け棒110との間で、ロール物品300の搬出や搬入を行うからである。
【0071】
支持部材2は、ロール物品300を載置して移動させる。支持部材2は、受け皿のような形状を有しており、ロール物品300を下から受けるようにして載置できる。また、支持部材2は、相互に直交するX軸、Y軸、Z軸に沿って移動できる。この移動によって、受け棒110と芯孔310との位置調整を図りつつ、搬出や搬入を行える。
【0072】
また、支持部材2は、回動機構を有していることも好適である。回動機構を有していることで、棚100の一方側の受け棒110と他方側の受け棒110との間での、ロール物品の受け渡しを行える。なお、支持部材2が回動機構を有して回動することでは無くて、スタッカクレーン1そのものが回動可能であったり、その位置を移動させることができたりすることでもよい。
【0073】
駆動制御部3は、支持部材2を相互に直交するX軸、Y軸、Z軸に移動させることができる。この相互に直交するX軸、Y軸、Z軸に沿った移動によって、支持部材2は、ロール物品300の芯孔310と受け棒110との位置を、搬出あるいは搬入に合わせて移動させる必要がある。
【0074】
駆動制御部3は、相互に直交するX軸、Y軸、Z軸に沿って支持部材2を後述のようなアルゴリズムで移動させることで、芯孔310を受け棒110に合わせることができる。
【0075】
記憶部4は、後述する第1移動量と第2移動量および補正量を記憶する。計測部5は、補正量を計測する。
【0076】
ここで、記憶部4は、受け棒110にロール物品300を搬入させる場合、あるいは受け棒110からロール物品300を搬出させる場合のいずれにおいても、受け棒110の位置座標を記憶している。この記憶に基づいて、駆動制御部3は、支持部材2を移動させる。
【0077】
しかしながら、従来技術で説明した通り、ロール物品300の厚みは様々であり、受け棒110の位置座標のみで支持部材2を移動させても、芯孔310と受け棒110との位置をきっちりと合わせることが困難である。
【0078】
記憶部4は、計測部5が計測する補正量と合わせて第1移動量および第2移動量を記憶する。駆動制御部3は、これら第1移動量、第2移動量および補正量を用いて、芯孔310と受け棒110との位置を正確に合わせることができる。この結果、正確に、ロール物品300の搬出と搬入を行える。
【0079】
図5は、本発明の実施の形態1におけるロール物品と受け棒との関係を示す模式図である。
図5のように、駆動制御部3は、芯孔310と受け棒110との位置を、正確に合わせることができる。
【0080】
駆動制御部3は、支持部材2を、第1移動量、第2移動量および補正量をもって移動させることで、芯孔310と受け棒110との位置を正確に合わせることができる。ここで、第1移動量、第2移動量および補正量について、
図6~
図8を用いて説明する。
図6、
図7、
図8は、本発明の実施の形態1における、支持部材の移動を説明する模式図である。
【0081】
図6~
図8のそれぞれは、ロール物品300と受け棒110との位置関係を、ロール物品の芯孔310方向から見た状態を示している。芯孔310が受け棒110と正確に位置合わせできる状態を示している。
【0082】
図6は、支持部材と基準位置との関係を示している。基準位置は、支持部材2がロール物品300の搬出あるいは搬入を行おうとする対象となる対象受け棒110Aの上端の位置である。支持部材2は、この対象受け棒110Aへの搬出や搬入に対応して、対象受け棒110Aに対応する第1位置に移動する。
【0083】
ここで、基準位置から第1位置までの、支持部材2のY軸上での移動量が、第1移動量である。第1移動量は記憶部4に記憶されている。駆動制御部3は、記憶部4に記憶されている第1移動量に基づいて、対象受け棒110Aの基準位置に対する第1位置に、支持部材2を移動させることができる。
【0084】
言い換えれば、対象受け棒110Aの基準位置に対して、第1移動量相違する位置が第1位置である。駆動制御部3は、この第1移動量によって、対象受け棒110Aに対応する第1位置に、支持部材2を移動させることができる。
【0085】
図6は、この基準位置と第1位置、および第1移動量を示している。なお、後述するが、この第1位置に支持部材2があるときには、支持部材2とロール物品300とは離隔している。
【0086】
また、第1位置は、対象受け棒110Aの基準位置に対応して予め定められれば良いので、第1位置および第1移動量は、予め定められていればよい。予め設定された第1移動量が、記憶部4に記憶させられていればよい。これは受け棒110の間隔やロール物品300の様々な厚みに応じて、適宜定められる。もちろん、第1移動量は、事後的に変更されてもよいし、可変であってもよい。
【0087】
図7は、第1位置と第2位置、および補正量を示している。補正量は、第1位置から第2位置までのY軸上での移動量である。駆動制御部3は、支持部材2をY軸上で、ロール物品300に向けて移動させる。この移動において、支持部材2がロール物品300の載置状態を検出する。この載置した状態として検出される位置が、第2位置である。
図7では、この状態を示している。
【0088】
ここで、支持部材2は、載置状態を検出する検出部21を有する。この検出部21が載置状態を検出した位置が、第2位置である。
【0089】
この第1位置から第2位置までのY軸上での移動量が、補正量である。第1移動量は、受け棒110の間隔などに基づいて予め設定されているのに対し、検出部21によってロール物品300毎に検出される。ロール物品300の厚みによって、第2位置は変化しうる。第2位置は、ロール物品300の支持部材2への載置状態の検出位置が相違するからである。このため、補正量は、ロール物品300毎に異なる可能性があり、記憶部4は、ロール物品300毎に検出される補正量を、個々に記憶する。
【0090】
また、計測部5が、この検出部21の検出結果および支持部材2の第1位置から第2位置までの移動量に基づいて、補正量を計測する。第1位置から第2位置に向けて移動している最中に、検出部21が載置状態を検出すれば第2位置が決定する。この決定された第2位置までの移動量で、計測部5は、補正量を計測できる。
【0091】
図8は、最終位置と第2移動量を示している。支持部材2は、
図7の状態から更にY軸に移動することで、芯孔310と対象受け棒110Aとの位置を合わせる。
図7の状態では、対象受け棒110Aの上端と芯孔310の上端とが接触した状態である。この状態では、芯孔310と対象受け棒110Aが当たってしまい、搬出や搬入が適切に行えない可能性がある。
【0092】
このため、芯孔310の内壁と対象受け棒110Aとが当たらないような位置まで、支持部材2を移動させる必要がある。この移動の結果が、
図8の状態である。
図8では、第2位置から最終位置まで支持部材2がY軸上を移動している。
【0093】
この第2位置から最終位置までの移動量が第2移動量である。第2移動量は、芯孔310の内壁と対象受け棒110Aとが触れ合わない状態である最終位置までの移動量である。このため、例えば、対象受け棒110Aの直径分の移動量など、予め設定されている移動量であればよい。このため、記憶部4は、第1移動量と同様に、予め設定されている値として、第2移動量を記憶すればよい。
【0094】
駆動制御部3は、記憶部4に記憶されている第2移動量を、第2位置から移動させることで、支持部材2を最終位置に移動させることができる。この最終位置まで到達すれば、支持部材2は、ロール物品300の搬出や搬入を適切に行うことができる。
【0095】
このように、記憶部4は、予め対象受け棒110Aに応じた第1移動量、第2移動量を記憶している。この状態に加えて、検出部21および計測部5によって計測される補正量を、記憶部4は記憶する。駆動制御部3は、これら第1移動量、第2移動量および補正量を用いることで、対処受け棒110Aと芯孔310を合わせることができる。このとき、ロール物品300の厚みに応じて、個別に補正量が計測される。
【0096】
この補正量を用いた駆動制御部3による支持部材2の移動によって、ロール物品300の厚みの違いがあっても、芯孔310を対象受け棒110Aに確実に合わせることができる。また、記憶部4は、搬出や搬入に必要となるロール物品300の補正量のみを記憶すればよいので、記憶部4における記憶すべきデータの煩雑性が低減できる。
【0097】
このように、基準位置は、対象受け棒110A(受け棒110)の上端の位置である。これを基準として、第1位置、第2位置、最終位置が定まる。またこの第1位置、第2位置、最終位置は、棚100や入出庫ステーション400の上下方向に沿ったY軸に基づく位置である。すなわち、Y軸は、スタッカクレーン1の上下方向の移動に沿った方向である。
【0098】
なお、第2移動量は、芯孔310の中央に受け棒110の中央が揃うように、受け棒110の半径分の移動量であってもよい。あるいは、受け棒110の直径分の移動量でもよい。あるいは、芯孔310の半径などを基準とした量でもよい。
【0099】
また、X軸は、棚100の平面に沿った方向である。複数の受け棒110が突出している正面から見た場合の、左右方向(横方向)が、X軸である。Z軸は、受け棒110に沿った方向である。すなわち、受け棒110にロール物品300を押し込む場合や、受け棒110からロール物品300を引き抜く場合の方向がZ軸である。
【0100】
これらのように、第1移動量、第2移動量および補正量によって、駆動制御部3は、支持部材2をロール物品300の搬出、搬入に対応させることができる。
【0101】
(搬出動作の説明)
スタッカクレーン1による、ロール物品300の受け棒110からの搬出動作について説明する。
図2に示すように、棚100に備わる受け棒110からの搬出動作であってもよいし、入出庫ステーション400に備わる受け棒110からの搬出動作であってもよい。
【0102】
図9は、本発明の実施の形態1における受け棒からの搬出動作を示すフロー図である。
【0103】
スタッカクレーン1は、複数の受け棒110の内、搬出対象となるロール物品300(搬出ロール物品300Xという)が保管されている受け棒110を、搬出受け棒110Xとして扱う。
図9では、この搬出受け棒110Xから搬出対象である搬出ロール物品であるロール物品300Xを取り出す状態を示している。
【0104】
なお、
図9は、支持部材2のY軸方向の移動を分かり易く図示しているので、搬出受け棒110Xから抜き出されるZ軸方向については、
図3、
図10を参照する。
図10のように、受け棒110に保管されているロール物品300(搬出ロール物品300X)を引き抜いて搬出する。このとき、Z軸方向に引き抜かれる。
【0105】
なお、搬出受け棒110Xは、
図6~
図8で説明した対象受け棒110Aが、搬出対象となる場合であり、対象受け棒110Aであることにも受け棒110であることにも物体としての違いはない。
【0106】
駆動制御部3は、この搬出動作において、つぎのように動作する。
【0107】
(ステップ1)駆動制御部3は、記憶部4から、第1移動量を読み出す。
【0108】
第1移動量は、複数の受け棒110同士の間隔や厚みの異なるロール物品300の大体の厚みなどに基づいて、予め設定されている。この予め設定されている第1移動量が、記憶部4に記憶されている。第1移動量は、対象受け棒110Aに対して、搬出動作を開始できる第1位置に移動できるための移動量である。このため、受け棒110同士の間隔などに基づいて、予め第1移動量が設定されることが可能である。
【0109】
(ステップ2)駆動制御部3は、支持部材2を、搬出受け棒110Xの基準位置から第1移動量だけ下方である第1位置に移動させる。
【0110】
ここで、基準位置や第1位置は、
図9に示される通りである。加えて、これらは、
図6~
図8を用いて説明したものと同じ定義である。このステップ2によって、支持部材2は、搬出受け棒110Xに対して、第1位置に位置する。これは、
図9の左側の状態である。
【0111】
(ステップ3)駆動制御部3は、支持部材2を、Z軸に移動させて、搬出ロール物品300Xの下方に位置させる。
【0112】
図9では、Z軸方向の動きを示すことができないが、支持部材2がZ軸方向に動いて、搬出受け棒110Xに保管されている搬出ロール物品300Xの下に位置する。この結果、支持部材2が、搬出ロール物品300Xを、下から受けることが可能な状態となる。なお、このステップ3の前には、支持部材2は、搬出ロール物品300Xの下ではなく、受け棒110とY軸方向で重複しない位置(受け棒110から手前に離れた位置)にある。
【0113】
(ステップ4)駆動制御部3は、支持部材2を、検出部21が搬出ロール物品300Xを載置した状態を検出する第2位置まで上昇させる。
【0114】
駆動制御部3は、支持部材2をY軸方向に上昇させる。この上昇においては、支持部材2の上に、搬出ロール物品300Xが存在している。このため、上昇をしていると、支持部材2の表面に、搬出ロール物品300Xが接触するようになる。この接触が、支持部材2が搬出ロール物品300Xを載置した状態である。これが第2位置である。検出部21は、これを検出する。加えて、この検出部21での検出により、第1位置から第2位置までの移動量を補正量として、計測部5が計測する。記憶部4は、この補正量を記憶する。
図9の中央は、この載置を検出して補正量を計測した状態を示している。
【0115】
(ステップ5)駆動制御部3は、記憶部4から、第2移動量を読み出す。
【0116】
(ステップ6)駆動制御部3は、支持部材2を、第2移動量に基づいて、第2位置から最終位置まで上昇させる。
【0117】
第2位置では、
図9の真ん中に示すように、芯孔310の上端と搬出受け棒110Xの上端とが接触している(あるいは極めて近接している)状態である。ここから、第2移動量を上昇させれば、芯孔310の内壁と接触しない程度に、支持部材2が移動できる。第2移動量は、例えば、受け棒110の直径分などのように定められておけばよい。これだけの量を移動すれば、
図9の右側の状態となって、芯孔310の内壁と搬出受け棒110Xが接触しない状態となる。
【0118】
(ステップ7)駆動生後部3は、支持部材2を、Z軸であってステップ3とは逆側に移動させる。
【0119】
つまり、支持部材2を搬出受け棒110Xから遠ざけるように引き抜く。このとき、支持部材2には、搬出ロール物品300Xが載っている。また、搬出ロール物品300Xの芯孔310の内壁は、搬出受け棒110Xと非接触である。このため、引き抜かれる際に、搬出ロール物品300Xが、搬出受け棒110Xに残るようなことが無い。
【0120】
これらのステップの結果、支持部材2は、搬出ロール物品300Xを、搬出受け棒110Xから引き抜いて搬出を完了できる。
図9の右側の状態である。
図9では、Z軸方向の移動が分かりにくいが、搬出受け棒110Xから支持部材2に、搬出ロール物品300Xが移動している状態となっている。
【0121】
また、ステップ4において、計測部5が、補正量を計測して記憶部4に出力する。記憶部4は、この補正量を記憶する。この記憶部4が記憶する補正量は、この搬出ロール物品300Xが、受け棒110に搬入される際に使用される。
【0122】
以上のような動作で、棚100や入出庫ステーション400に設けられた受け棒110から、ロール物品300を搬出することができる。搬出されたロール物品300は、別の工程に引き渡すことができる。
【0123】
図10は、本発明の実施の形態1における受け棒からの搬出動作の動作フロー図である。
図10は、
図9の動作を、Z軸方向での移動状態を示している。ステップ1~7によって、搬出受け棒110Xに、支持部材2があてがわれてから、抜き出されるまでが示されている。
図9を用いて説明した動作によって、搬出ロール物品300Xが搬出される状態が示されている。
【0124】
なお、
図10の右側は、ステップ5~7の最終状態を示している。
図10の左側と真ん中の状態では、ロール物品300Xは、搬出受け棒110Xにぶら下がっているような状態であるので、
図10においてもこれを示している(
図9と対応している)。
【0125】
(搬入動作の説明)
【0126】
次に、
図11を用いて搬入動作について説明する。
図11は、本発明の実施の形態1における受け棒への搬入動作を説明するフロー図である。
図11では、右側から動作が進んでいくように示している。
【0127】
スタッカクレーン1は、棚100に備わる受け棒110、あるいは入出庫ステーション400に備わる受け棒110へ、対象となるロール物品300(以下、搬入ロール物品300Y)を、搬入する。外部からの搬入ロール物品300Yを受け棒110に搬入したり、入出庫ステーション400の受け棒110から搬出されたロール物品を、搬入ロール物品300Yとして、棚100の受け棒110に搬入したりする場合などがある。
【0128】
ここで、搬入対象となる受け棒110を、搬入受け棒110Yとして説明する。この搬入受け棒110Yに、搬入対象となる搬入ロール物品300Yを搬入する動作を説明する。
図11では、この搬入受け棒110Yに、搬入ロール物品300Yを搬入する動作を示している。
【0129】
なお、
図11は、支持部材2のY軸方向の移動を分かり易く図示しているので、搬出受け棒110Xから抜き出されるX軸方向については、
図12を参照する。
図12は、本発明の実施の形態1における受け棒への搬入動作をZ軸方向で示すフロー図である。
図12のように、受け棒110にロール物品300を搬入する。このとき、Z軸方向に芯孔310を受け棒110に挿入させることで、搬入動作が完了する。
【0130】
なお、搬入受け棒110Yは、
図6~
図8で説明した対象受け棒110Aが、搬入対象となる場合であり、対象受け棒110Aであることにも受け棒110であることにも物体としての違いはない。
【0131】
駆動制御部3は、この搬入動作において、次のように動作する。なお、搬入動作であるので、開始時点で、支持部材2は、搬入ロール物品300Yを載置している。この状態で、搬入受け棒110Yから離隔した位置に支持部材2が位置する。
【0132】
(ステップ11)駆動制御部3は、記憶部4から、搬入ロール物品300Yおよび搬入受け棒110Yに関する、第1移動量、第2移動量および補正量を読み出す。
【0133】
ここで、記憶部4は、搬出動作の際に対象となる搬出ロール物品300Xの補正量を記憶している。搬出動作の際に、補正量が計測されているからである。搬入の対象となる搬入ロール物品300Yは、搬出受け棒110Xから搬出された経緯を有している。このときの補正量は、搬入ロール物品300Yに対応して記憶されている。
【0134】
すなわち、ある特定のロール物品300は、搬出の際に搬出ロール物品300Xとして補正量が計測されている。この搬出ロール物品300Xは、搬入の際に、搬入ロール物品300Yとなる。これらは物体としては、同じロール物品300であり、搬出対象となっているか、搬入対象となっているかの違いである。
【0135】
このため、搬入ロール物品300Yは、搬出の際に計測された補正量を引き継いでいる。駆動制御部3は、記憶部4から、この計測されていた補正量を読み出せば、搬入ロール物品300Yに引き継がれた(対応する)補正量として取り扱うことができる。
【0136】
(ステップ12)駆動制御部3は、支持部材2を、「搬入受け棒110Yの基準位置 - 第1移動量 + 第2移動量 + 補正量」となる受け位置に移動させる。
【0137】
(ステップ13)駆動制御部3は、支持部材2を、受け位置に移動させることで、搬入ロール物品300Yを載置させた状態とする。
【0138】
図11の右側は、この状態を示している。ステップ12、13によって、駆動制御部3は、載置している搬入ロール物品300Yを、搬入受け棒110Yの位置に合わせることができる。
【0139】
すなわち、搬入ロール物品300Yの芯孔310と搬入受け棒110Yとの位置を合わせた状態とできている。このとき、搬入受け棒110YからはZ軸方向で離隔しており、搬入ロール物品300Yが、搬入受け棒110Yに挿し込まれる前の状態である。
【0140】
ステップ11~13までが終わった状態が、
図12の右側の状態である。
図12のようにZ軸方向で見ると、搬入受け棒110Yに対して、搬入ロール物品300Yが挿入できるように合わされている。
【0141】
(ステップ14)駆動制御部3は、支持部材2を、Z軸方向に移動させることで、搬入受け棒110Yを、搬入ロール物品300Yの芯孔310に挿入させる。
【0142】
ステップ13までにおいて、支持部材2に載置されている搬入ロール物品300Yの芯孔310は、搬入受け棒110Yに合されている。この状態から、支持部材2がZ軸方向に移動すれば(搬入受け棒110Yに向けて)、芯孔310に、搬入受け棒110Yが挿入されていく状態となる。
【0143】
このステップ14の後の状態が、
図12の真ん中に示されている。ステップ14の後で、搬入ロール物品300Yが搬入受け棒110Yに挿入される。
【0144】
(ステップ15)駆動制御部3は、支持部材2を、第1位置まで下降させる。
【0145】
記憶部4は、搬入受け棒110Yに対応する第1位置のための第1移動量を記憶している。駆動制御部3は、すでに第1移動量を記憶部4から読み出している。この結果、駆動制御部3は、支持部材2を第1位置まで下降させることができる。
【0146】
この状態となると、搬入ロール物品300Yの芯孔310の内壁の上部は、搬入受け棒110Yの上端と接触する。接触によって、搬入ロール物品300Yが、搬入受け棒110Yにぶら下がったような状態となる。
【0147】
図12の左側は、ステップ15の後の状態を示している。搬入ロール物品300Yは、その芯孔310の内壁の上部が搬入受け棒110Yにぶら下がった状態であるので、
図12の左側では、搬入ロール物品110Yの位置は、この状態を示している。
【0148】
(ステップ16)駆動制御部3は、支持部材2を、Z軸であってステップ14と逆方向に移動させる。なお、ステップ16によって、支持部材2が搬入ロール物品110Yから遠ざかるが、
図12の左側においては、その直前の状態までを示しているので、ステップ16は、この
図12の左側の後の状態となる。
図12の左側に示す水平方向の矢印は、ステップ16の動作を示している。
【0149】
この動作によって、支持部材2は、搬入受け棒110Yに搬入ロール物品300Yを残した状態として、搬入ロール物品300Yから離れていく。ステップ15によって、搬入ロール物品300Yが搬入受け棒110Yにぶら下がったような状態ができている。この状態から、支持部材2のみが搬入受け棒110Yから離隔していくことで、搬入ロール物品300Yのみが、搬入受け棒110Yに残った状態となる。
【0150】
残った状態により、搬入受け棒110Yに搬入ロール物品300Yが搬入完了となる。
【0151】
以上のように、搬入受け棒110Yに対する搬入ロール物品300Yの搬入動作が行われる。上述した通り、搬入動作の際に読み出される補正量は、同じロール物品300が搬出される際に計測されているものである。第1移動量および第2移動量は、受け棒110の間隔などによってあらかじめ設定されておけばよく、補正量のみが、厚みの異なるロール物品300毎に計測されている。これらによって、記憶部4や計測部5の動作負担が、低減するメリットがある。
【0152】
(棚の構成)
棚100は、複数の受け棒110を備える。このとき、
図1のように、棚100は、スタッカクレーン1のZ軸方向の一方側(第1側面)に第1受け棒群と、逆側の第2側面に第2受け棒群とを、備えることも好適である。第1受け棒群と第2受け棒群のそれぞれは、複数の受け棒110を備える。
【0153】
また、入出庫ステーション400が、棚100と同じように、複数の受け棒を備える場合に、第1受け棒群と第2受け棒群を備えることもあってもよい。
【0154】
スタッカクレーン1は、第1受け棒群と第2受け棒群との間にある。スタッカクレーン1そのものが、この間で回動することも可能である。あるいは、スタッカクレーン1に備わる支持部材2が回動することも可能である。あるいは、スタッカクレーン1の第1側面と第2側面の両方に支持部材2が備わることも可能である。このような構成が採用されることがあってもよい。
【0155】
あるいは、支持部材が第1側面から第2側面において、Z軸方向で移動して、第1受け棒群と第2受け棒群のそれぞれに対向することができてもよい。
【0156】
これらの状態により、支持部材2は、第1受け棒群および第2受け棒群のいずれに対しても、ロール物品300の搬出もしくは搬入を行うことが可能である。この搬出においての搬出手順は、上述したステップ1~ステップ7を含む。搬入においての搬入手順は、上述したステップ11~15を含む。
【0157】
このように、スタッカクレーン1の両サイドの第1受け棒群と第2受け棒群のそれぞれに搬入や搬出を行えることで、棚100の収容効率が向上する。
【0158】
以上のように、実施の形態1におけるスタッカクレーン1は、厚みの異なるロール物品であっても、確実に対応して搬出や搬入を行える。また、支持部材2のみでロール物品300を載置しつつ位置調整するので、物理的空間の無駄遣いを低減できる。
【0159】
更に、ロール物品300毎に計測される補正量の記憶だけでよいので、記憶部4における負担やエラーなどが低減できる。また、支持部材2による位置調整は、第1移動量、第2移動量、補正量のみであるので、動作エラーが生じる懸念も減少して、動作精度の維持も図られる。
【0160】
(実施の形態2)
【0161】
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、支持部材2において、ロール物品300の載置を検出する詳細について説明する。
【0162】
実施の形態1で説明した通り、補正量を計測するために、支持部材2がロール物品300を載置した状態を検出する。支持部材2は、検出部21を備えており、検出部21が、ロール物品300の載置を検出する。
【0163】
図13は、本発明の実施の形態2におけるロール物品の載置を検出する支持部材の正面図である。
【0164】
支持部材2は、第1端部から略中央にむけて下がる第1斜面24Aと、第1端部と逆の第2端部から略中央に向けて下がる第2斜面24Bを備える。すなわち、支持部材2は、中央に向けて斜めに下がる傾斜面によって、ロール物品300を受ける。
【0165】
検出部21は、第1端部から略中央に向けて光を照射する第1照射部22A、第1照射部22Aからの光を受光する第1受光部23A、第2端部から略中央に向けて光を照射する第2照射部22B、第2照射部22Bからの光を受光する第2受光部23Bを、備える。
【0166】
【0167】
第1照射部22A、第2照射部22B、第1受光部23A、第2受光部23Bのそれぞれは、第1斜面24Aと第2斜面24Bとに合わせて設けられる。このため第1照射部22Aから第1受光部23Aまでの光は、第1斜面24Aの傾斜に沿って照射される。同様に、第2照射部22Bから第2受光部23Bまでの光は、第2斜面24Bの傾斜に沿って照射される。
【0168】
支持部材2にロール物品300が載置される前の状態では、第1照射部22Aからの光を、第1受光部23Aは受光できる。同様に、第2照射部22Bからの光を、第2受光部23Bは、受光できる。
【0169】
しかしながら、
図13のようにロール物品300が支持部材2に載置されると、第1照射部22Aからの光および第2照射部22Bからの光の少なくとも一方が、載置されたロール物品300によって遮られる。
図13に示されるように、ロール物品300が光の通り道を塞ぐからである。
【0170】
この結果、第1受光部23Aおよび第2受光部23Bの少なくとも一方が、光を受けることができない状態が生じる。この状態は、言い換えれば、ロール物品300が、第1斜面24Aおよび第2斜面24Bの少なくとも一方に載った状態を示している。
【0171】
これを利用して、検出部21は、ロール物品300の支持部材2への載置を検出する。
【0172】
検出部21は、第1斜面24Aおよび第2斜面24Bにおいて、ロール物品300の遮蔽によって、第1受光部23Aおよび第2受光部23Bの両方が受光を遮蔽された場合に、ロール物品300が支持部材2に載置された状態であるとして検出する。特に、ロール物品300が、第1斜面24Aおよび第2斜面24Bの交差底に到達して載置された状態であるとして検出する。
【0173】
この状態であれば、ロール物品300が、確実に支持部材2の受け面に載っていると判断できるからである。加えて、受光が遮蔽された時点を載置の時点とすることで、ロール物品300を載置(ロール物品に接触)した状態であって、ロール物品300を持ち上げている状態に至っていないところで、載置を判断できる。
【0174】
このような判断によって、補正量を正確に検出できる。
【0175】
また、支持部材2が、
図13のように、第1斜面24Aと第2斜面24Bを有することで、ロール物品300を載置したり、載置した状態で移動させたりすることが容易となる。特に安定性を高めることができる。
【0176】
加えて、第1斜面24Aと第2斜面24Bがあることで、それぞれ斜めに照射して受光する
図13の構成が実現できる。一つの照射と受光の対応が遮蔽されるだけでなく、角度をもった2つの照射と受光の対応が遮蔽されることで、ロール物品300の載置を、より正確に検出できる。
【0177】
(自動倉庫)
実施の形態1、2で説明したスタッカクレーン1と棚100とが備わることで、自動倉庫200が実現されてもよい。
図1、
図2はこの状態を示している。
図1のように、棚100までを自動倉庫200の範囲としてもよいし、
図2のように、入出庫ステーション400までを、自動倉庫200の範囲としてもよい。
【0178】
また、自動倉庫200は、スタッカクレーン1が棚100に対応して走行する走行路210を更に備える。走行路210が備わることで、スタッカクレーン1は、棚100の平面方向(X軸方向)に沿って、ロール物品300の搬出、搬入を行える。
【0179】
このように、スタッカクレーン1が備わることで、受け棒110を備える棚100や入出庫ステーション400において、厚みの異なるロール物品300の搬出、搬入を実施できる。
【0180】
なお、実施の形態1~2で説明されたスタッカクレーンは、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0181】
1 スタッカクレーン
2 支持部材
21 検出部
22A 第1照射部
22B 第2照射部
23A 第1受光部
23B 第2受光部
24A 第1斜面
24B 第2斜面
3 駆動制御部
4 記憶部
5 計測部
100 棚
110 受け棒
200 自動倉庫
300 ロール物品
400 入出庫ステーション