(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】ポリマー粉末およびそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/314 20170101AFI20220512BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20220512BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220512BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20220512BHJP
【FI】
B29C64/314
B29C64/153
B33Y10/00
B33Y70/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018082144
(22)【出願日】2018-04-23
【審査請求日】2021-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】518143602
【氏名又は名称】ヘクセル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スコット デフェリーチェ
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー デカーマイン
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/116885(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0183918(US,A1)
【文献】特表2007-535585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00、70/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SLSに使用するためのPEKK粉末を調製する方法であって、
原料非粉末PEKK材料を提供する工程と、
前記提供工程後、前記原料PEKKを加熱処理して前記原料PEKK中の少なくとも実質的に全ての液体溶媒を蒸発させ、前記原料PEKKの少なくとも実質的に全てを不規則な形状の粒子の形態にする工程と、
前記熱処理工程後、前記原料PEKKを冷却する工程と、
前記冷却工程後、前記原料PEKKを粉砕してPEKK粉末を形成する工程とを含
み、
この粉砕工程の後に加熱処理を行わない、方法。
【請求項2】
前記PEKK粉末をふるい分けして30~150μmの範囲外のサイズを有する粒子を除去する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱処理工程前に、前記原料PEKKがゲルまたはゲル状の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記原料PEKKの温度が前記熱処理工程の間に250℃を超えない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記熱処理工程が、(i)前記原料PEKKの温度を室温から約200℃まで上昇させる少なくとも1時間の持続時間を有する第1の加熱期間と、(ii)前記原料PEKKの温度が約200℃の温度に保持される数時間の持続時間を有する第2の加熱期間とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記熱処理工程が、(i)前記原料PEKKの温度を約200℃から約225℃まで上昇させる第3の加熱期間と、(ii)前記原料PEKKの温度が約225℃の温度に保持される少なくとも1時間の持続時間を有する第4の加熱期間とをさらに含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記熱処理工程が、(i)前記原料PEKKの温度を約225℃から約250℃まで上昇させる第5の加熱期間と、(ii)前記原料PEKKの温度が約250℃の温度に保持される少なくとも1時間の持続時間を有する第6の加熱期間とをさらに含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記熱処理工程が、(i)前記原料PEKKの温度を室温から約200℃まで上昇させる1時間の持続時間を有する第1の加熱期間と、(ii)前記原料PEKKの温度が約200℃の温度に保持される7時間の持続期間を有する第2の加熱期間と、(iii)前記原料PEKKの温度を約200℃から約225℃まで上昇させる0.5時間の持続期間を有する第3の加熱期間と、(ii)前記原料PEKKの温度が約225℃の温度に保持される1.5時間の持続時間を有する第4の加熱期間と、(i)前記原料PEKKの温度を約225℃から約250℃まで上昇させる0.5時間の持続時間を有する第5の加熱期間と、(ii)前記原料PEKKの温度が約250℃の温度に保持される2時間の持続時間を有する第6の加熱期間とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記熱処理工程が、(i)前記原料PEKKの温度を室温から約200℃まで上昇させる0.5時間の持続時間を有する第1の加熱期間と、(ii)前記原料PEKKの温度が約200℃の温度に保持される4時間の持続時間を有する第2の加熱期間と、(iii)前記原料PEKKの温度を約200℃から約225℃まで上昇させる0.5時間の持続時間を有する第3の加熱期間と、(ii)前記原料PEKKの温度が約225℃の温度に保持される4時間の持続時間を有する第4の加熱期間と、(i)前記原料PEKKの温度を約225℃から約250℃まで上昇させる0.5時間の持続時間を有する第5の加熱期間と、(ii)前記原料PEKKの温度が約250℃の温度に保持される5時間の持続時間を有する第6の加熱期間とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記熱処理工程が、前記原料PEKKを蒸発皿に入れ、前記原料PEKKおよび前記蒸発皿の両方を対流オーブン内で加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記冷却工程が、前記原料PEKKを自然にのみ冷却することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記加熱工程が、前記原料PEKKの不規則形状の粒子の合体を引き起こす、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
LSに使用するためのPAEK粉末を調製する方法であって、
原料非粉末PAEK材料を提供する工程と、
前記提供工程後に、前記原料PAEKを加熱処理して前記原料PAEK中の少なくとも実質的に全ての液体溶媒を蒸発させて、前記原料PAEKの少なくとも実質的に全てを不規則な形状の粒子の形態にする工程と、
前記熱処理工程後、前記原料PAEKを冷却する工程と、
前記冷却工程後、前記原料PAEKを粉砕してPAEK粉末を形成する工程とを含
み、
この粉砕工程の後に加熱処理を行わない、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年1月15日に出願された米国仮特許出願第62/446,470号、2017年1月15日に出願された米国仮特許出願第62/446,460号、2017年1月15日に出願された米国仮特許出願第62/446,462号、および2017年1月15日に出願された米国仮特許出願第62/446,464号の利益を要求する。これらの先願の内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、概して、付加製造技術(additive manufacturing technology:積層造形技術)および方法に関し、より詳細には、選択的レーザ焼結(「SLS」または「LS」)に使用するためのポリエーテルエーテルケトン(「PEKK」)共重合体粉末、PEKK共重合体粉末(以下、「PEKK粉末」)を調製する方法、およびPEKK粉末を用いて目的物を付加的に(積層して)製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリマー粉末と共に付加製造技術および方法を使用して様々な産業(例えば、航空宇宙、工業、医療など)における用途を有する高性能製品を製造することが知られている。
【0004】
SLSは、レーザからの電磁放射を使用して粉末材料を所望の3次元物体に選択的に溶解させる付加製造方法である。レーザは、所望の物体の3Dデジタル記述から生成された断面層を粉末材料のベッド(bed:床)の最上層に走査することによって粉末材料を選択的に溶解する。断面層を走査した後、粉末ベッドをz軸方向に1層の厚みだけ下げ、粉末材料の新しい最上層を粉末ベッドに適用し、粉末ベッドを再走査する。このプロセスは、物体が完成するまで繰り返される。完成すると、物体は、未溶解粉末材料の「ケーキ」中に形成される。形成された物体はケーキから抜き出される。ケーキからの粉末材料は、回収され、ふるいにかけられ、未使用の粉末材料と組み合わされて、その後のSLSプロセスで使用され得る。
【0005】
PEKK粉末は、PEKK粉末から製造された物体が、難燃性、良好な生体適合性、並びに加水分解および放射線に対する高い耐性を特徴とするため、SLSプロセスにおいて特に関心を集めている。高められた温度での耐熱性および耐薬品性により、PEKK粉末は通常のプラスチック粉末とは区別される。
【0006】
SLS機械は、一般に、粉末ベッド上に配置されたPEKK粉末を、粉末の融点に近い温度に予熱する。PEKK粉末を予熱することにより、レーザがPEKK粉末の温度を融点まで上昇させることがより容易になり、冷却中に成形された物体の望ましくない歪みが抑制される。PEKK粉末の予熱方法は、例えば、2014年8月29日に出願された米国特許出願第14/472,817号で検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願第14/472,817号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
改善された強度(例えばz軸方向の改善された引張強さ)、改善された形状精度を有し、構造的欠陥(例えば、不適当に溶解する層に起因する欠陥)がより少ないまたはないPEKK粉末を使用してSLSによって物体を製造する必要性がますます高まっている。
【0009】
本発明の諸態様は、これらおよび他の課題を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の諸態様は、上記の課題の1つまたは複数が、本技術分野で通常行われるようにPEKK粉末を予熱するのではなく、原料PEKK共重合体材料(以下、「原料PEKK」)を熱処理することによって克服することができるという発見に関する。熱処理された原料PEKK共重合体材料は、続いて粉砕されてPEKK粉末を形成する。PEKK粉末の粒子は、上記のように予熱された従来技術のPEKK粉末の球形粒子と比較して不規則な形状である。
【0011】
不規則形状のPEKK粉末粒子は、従来技術の球形PEKK粉末粒子よりも堅固に充填する。ベッド充填のより高い安定性により、一般的により良好な形状精度、場合によってはさもなければ製造された物体にひずみを生じさせる機械過渡現象(machine transients)に対するより大きな抵抗性につながると考えられる。不規則形状のPEKK粉末粒子によって生成された空隙の形状(例えば、サイズ、形状分布)は、球形PEKK粉末粒子のものと対比して異なる形態の連結をもたらし、性能の一貫性を高め、場合により性能の向上をもたらすとも考えられる。
【0012】
本発明の一態様によれば、SLSに使用するためのPEKK粉末を調製する方法は、原料非粉末PEKK材料を提供(準備)する工程と、原料PEKKを加熱処理して原料PEKK中の少なくとも実質的に全ての液体溶媒を蒸発させ、原料PEKKの少なくとも実質的に全てを不規則な形状の粒子の形態にする工程と、原料PEKKを冷却する工程と、原料PEKKを粉砕してPEKK粉末を形成する工程とを含む。
【0013】
本発明の別の態様によれば、原料非粉末PEKK材料を提供する工程と、提供工程後に、原料PEKKを加熱処理して原料PEKK中の少なくとも実質的に全ての液体溶媒を蒸発させて、原料PEKKの少なくとも実質的に全てを不規則な形状の粒子の形態にする工程と、熱処理工程後、原料PEKKを冷却する工程と、冷却工程後、原料PEKKを粉砕してPEKK粉末を形成する工程とを含む方法に従って製造されたPEKK粉末が提供される。
【0014】
本発明の別の態様によれば、LSに使用するためのPAEK粉末を調製する方法は、原料非粉末PAEK材料を提供する工程と、原料PAEKを加熱処理して原料PAEK中の少なくとも実質的に全ての液体溶媒を蒸発させて、原料PAEKの少なくとも実質的に全てを不規則な形状の粒子の形態にする工程と、原料PAEKを冷却する工程と、原料PAEKを粉砕してPAEK粉末を形成する工程とを含む。
【0015】
上述した特徴の1つまたは複数に加えて、またはその代わりに、本発明のさらなる態様は、以下の特徴の1つまたは複数を個別にまたは組み合わせて含むことができる:
・本方法は、PEKK粉末をふるい分けして30~150μmの範囲外のサイズを有する粒子を除去する工程をさらに含む;
・原料PEKKの不規則な形状の粒子が、150μmより数桁大きい粒径を有する;
・熱処理工程前に、原料PEKKがゲルまたはゲル状の形態である;
・原料PEKKの温度が熱処理工程の間に250℃を超えない:
・熱処理工程が、(i)原料PEKKの温度を室温から約200℃まで上昇させる少なくとも1時間の持続時間を有する第1の加熱期間と、(ii)原料PEKKの温度が約200℃の温度に保持される数時間の持続時間を有する第2の加熱期間とを含む;
・熱処理工程が、(i)原料PEKKの温度を約200℃から約225℃まで上昇させる第3の加熱期間と、(ii)原料PEKKの温度が約225℃の温度に保持される少なくとも1時間の持続時間を有する第4の加熱期間とをさらに含む;
・熱処理工程が、(i)原料PEKKの温度を約225℃から約250℃まで上昇させる第5の加熱期間と、(ii)原料PEKKの温度が約250℃の温度に保持される少なくとも1時間の持続時間を有する第6の加熱期間とをさらに含む;
・熱処理工程が、(i)原料PEKKの温度を室温から約200℃まで上昇させる1時間の持続時間を有する第1の加熱期間と、(ii)原料PEKKの温度が約200℃の温度に保持される7時間の持続期間を有する第2の加熱期間と、(iii)原料PEKKの温度を約200℃から約225℃まで上昇させる0.5時間の持続期間を有する第3の加熱期間と、(ii)原料PEKKの温度が約225℃の温度に保持される1.5時間の持続時間を有する第4の加熱期間と、(i)原料PEKKの温度を約225℃から約250℃まで上昇させる0.5時間の持続時間を有する第5の加熱期間と、(ii)原料PEKKの温度が約250℃の温度に保持される2時間の持続時間を有する第6の加熱期間とを含む;
・熱処理工程が、(i)原料PEKKの温度を室温から約200℃まで上昇させる0.5時間の持続時間を有する第1の加熱期間と、(ii)原料PEKKの温度が約200℃の温度に保持される4時間の持続時間を有する第2の加熱期間と、(iii)原料PEKKの温度を約200℃から約225℃まで上昇させる0.5時間の持続時間を有する第3の加熱期間と、(ii)原料PEKKの温度が約225℃の温度に保持される4時間の持続時間を有する第4の加熱期間と、(i)原料PEKKの温度を約225℃から約250℃まで上昇させる0.5時間の持続時間を有する第5の加熱期間と、(ii)原料PEKKの温度が約250℃の温度に保持される5時間の持続時間を有する第6の加熱期間とを含む;
・熱処理工程が、原料PEKKを蒸発皿(pan:パン)に入れ、原料PEKKおよび蒸発皿の両方を対流オーブン内で加熱することを含む;
・冷却工程が、原料PEKKを自然にのみ冷却することによって行われる;
・加熱工程が、原料PEKKの不規則形状の粒子の合体(coalescence)を引き起こす:
・PEKK粉末の少なくとも実質的に全ての粒子が、原料PEKKの少なくとも実質的に全ての粒子より少なくとも数桁小さい。
【0016】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下に示す図面および詳細な説明に照らして明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】
図2は、原料PEKKフレークの拡大図を示す画像である。
【
図3】
図3は、本方法の一実施形態の加熱および冷却ステップ中の温度を時間の関数としてプロットしたものである。
【
図4】
図4は、本方法の別の実施形態の加熱および冷却ステップ中の温度を時間の関数としてプロットしたものである。
【
図5】
図5は、本方法の粉砕工程後の複数のPEKK粒子の拡大図である。
【
図6】
図6は、炭素繊維を除いたPEKK粉末組成物のデータを示す表である。
【
図7】
図7は、炭素繊維を含むPEKK粉末組成物のデータを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一態様は、SLSまたはLSのためのポリマー粉末を調製する方法を含む。
【0019】
ポリマー粉末の1つの種類は、ポリアリールエーテルケトン(「PAEK」)ポリマーである。PAEKは、SLSプロセスにおいて興味深く、その理由は、PAEK粉末またはPAEK粒から製造された部品は、難燃性、良好な生体適合性、並びに加水分解および放射線に対する高い耐性を特徴とするからである。高められた温度における耐熱性および耐薬品性により、PAEK粉末は、通常のプラスチック粉末とは区別される。PAEKポリマー粉末は、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」)、ポリエーテルケトンケトン(「PEKK」)、ポリエーテルケトン(「PEK」)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(「PEEKK」)、またはポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(「PEKEKK」)からなる群からの粉末とすることができる。
【0020】
より具体的には、方法は、LSでの使用のためのPEKKポリマー粉末を調製するのに有用である。PEKKは当該技術分野において公知であり、以下の特許に記載されている方法を含む任意の適切な重合方法を用いて調製することができ、各特許は、全ての目的のために全体が引用により本明細書に組み込まれている。米国特許第3,065,205号、米国特許第3,441,538号明細書、米国特許第3,442,857号明細書、米国特許第3,516,966号明細書、米国特許第4,704,448号、米国特許第4,816,556号明細書、および米国特許第6,177,518号明細書。PEKKポリマーは、多くの場合、繰り返し単位として、ケトン-ケトン型の2つの異なる異性体を含む点で、一般的な分類のPAEKポリマー類と異なる。これらの繰り返し単位は、以下の式IおよびIIによって表すことができ、
-A-C(=O)-B-C(=O)- I
-A-C(=O)-D-C(=O)- II
ここで、Aがp,p’-Ph-O-Ph基であり、Phがフェニレン基であり、Bがp-フェニレンであり、Dがm-フェニレンである。PEKKにおけるT:I比と一般に呼ばれる式I:式II異性体の比は、ポリマーの全体の結晶性を変えるように選択される。T:I比は、一般に50:50から90:10まで、一部の実施形態においては60:40から80:20まで変化する。例えば60:40のように小さなT:I比と比較すると、例えば80:20のようにT:I比が大きいほど高い結晶化度が得られる。
【0021】
PEKKの結晶構造、同質異像(polymorphism)、およびホモポリマー形態は、例えば、Cheng、Z.D.らの「Polymorphism and crystal structure identification in poly(aryl ether ketone ketone)s(ポリ(アリールエーテルケトンケトン)内の同質異像および結晶構造同定)」Macromol.Chem.Phys.197、185~213頁(1996年)で研究および報告されており、この開示内容全体は引用により本明細書に組み込まれている。この論文では、全てのパラフェニレン結合[PEKK(T)]、1つのメタフェニレン結合[PEKK(I)]、または交番TおよびI異性体(alternating T and I isomers)[PEKK(T/I)]を有するPEKKホモポリマーが研究されている。PEKK(T)およびPEKK(T/I)は、結晶化条件および方法に応じて結晶性同質異像を示す。
【0022】
PEKK(T)において、2つの結晶形態、形態IおよびIIが観察される。形態Iは、試料が低過冷時に溶融から結晶化する場合に生成することができ、一方、形態IIは、一般に、溶媒誘起結晶化によってまたは比較的高い過冷時にガラス状態からの低温結晶化により見られる。PEKK(I)は、PEKK(T)の形態I構造と同じ分類に属する1つの結晶単位セルのみを有する。単位セルのc軸寸法は、ジグザグ構造を有する3つのフェニレンとして決定され、メタフェニレンが主鎖平面上にある。PEKK(T/I)は、(PEKK(T)の場合と同様に)結晶形態IおよびIIを示し、また、特定の条件では形態IIIを示す。
【0023】
適切なPEKKは、様々な商品名で複数の商業的供給源から入手されうる。例えば、ポリエーテルケトンケトンは、OXPEKK(登録商標)-Cポリマー、OXPEKK(登録商標)-CEポリマー、OXPEKK(登録商標)-DポリマーおよびOXPEKK(登録商標)-SPポリマー、OXPEKK(登録商標)-Nポリマー、OXPEKK(登録商標)-ESDポリマーを含む、米国コネチカット州サウスウィンザー(South Windsor)のオックスフォードパフォーマンスマテリアルズ社(Oxford Performance Materials)から商標名OXPEKK(登録商標)ポリマーとして販売されている。ポリエーテルケトンケトンポリマーも、アルケマ社(Arkema)から製造および供給されている。特定のT:I比を有するポリマーを使用することに加えて、ポリエーテルケトンケトンの混合物を使用することができる。
【0024】
本開示は、PAEKポリマー、詳細にはPEKKポリマーを参照して示されるが、本開示はこれに限定されない。本開示に精通した当業者であれば、本発明が、LSで有用な他の形式のポリマーと共に、並びに限定されるものではないが金属およびセラミックを含むLSに有用な他の材料と共に使用できることを理解するであろう。
【0025】
図1を参照すると、LSシステム10の一例が例示され、LSシステム10は、内部に配置された作動可能なピストン24を有する第1のチャンバ20を含む。ベッド22が、ピストン24の端部に配置される。用語「ベッド」(bed:床)は、ピストン上に支持された物理構造体、またはピストン上に配置された粉末の最上層を意味することを理解されたい。ベッド22の温度は、ベッド22内および/またはベッド22の周りの加熱要素(図示せず)と通信するコントローラ60によって可変制御することができる。第2のチャンバ30は、第1のチャンバ20に隣接している。第2のチャンバ30は、内部に配置されたピストン34の端部上に配置されたテーブル面32を含む。LSシステム10で使用される粉末36は、焼結工程の前に第2のチャンバ30に貯蔵される。
【0026】
LSシステム10の作動中、スプレッダ40は、第1のチャンバ20の上面を横切って並進し、ベッド22の上面またはベッド22上に先に配置された材料の全体に粉末36の層を均一に分散させる。LSシステム10は、ベッド22上に配置された粉末材料36を粉末の融点に近い温度まで予熱する。一般に、粉末層は、125μmの厚みを有するように分散されるが、粉末層の厚みは、特定のLSプロセスに応じて、およびLSシステムの限界内で増減させることができる。
【0027】
レーザ50および走査装置54が、ベッド22の上方に配置される。レーザ50は、ビーム52を走査装置54に送り、次に、走査装置54は、造形データに従ってレーザビーム56をベッド22上に配置された粉末36の層を横切って分布させる。レーザは、粉末材料層が上に配置されているベッドの表面で、部品の3次元デジタル記述から生成された断面を走査することで粉末材料(例えば、本開示の方法に従って調製されたPEKK粉末)を選択的に溶融させる。レーザ50および走査装置54は、コントローラ60と通信する。断面を走査した後、ベッド22は、1層の厚み分だけ降下し(下向き矢印で示す)、スプレッダ40によって粉末材料の新しい層がベッド22上に配置され、ベッド22は、レーザにより再走査される。このプロセスは、造形物28が完成するまで繰り返される。このプロセス中、第2のチャンバ内のピストン34は漸進的に上昇し(上向き矢印で示す)、粉末36の十分な供給を保証するようになっている。
【0028】
次に、SLSに使用するためのPAEK粉末(例えば、PEKK粉末)を調製するための本方法の工程を説明する。
【0029】
まず、原料PEKKが提供される。原料PEKKは、米国ペンシルベニア州キング・オブ・プロシア(King of Prussia)のアルケマ社(Arkema)および米国ニュージャージー州ウッドランドパーク(Woodland Park)のサイテックインダストリーズ社(Cytec Industries Inc.)などの会社から市販されている。原料PEKKは、一般に、化学反応器から流され、次いで洗浄される。原料PEKKは非粉末材料である。すなわち、原料PEKKは粉末の形態ではない。
図2に示すように、原料PEKK200は、不規則な形状の粒子202(例えば、少し丸い、細長い、平坦な粒子など)の形態であり、Rice Krispies(登録商標)のシリアルと同様の外観を有する。原料PEKKの不規則な形状の粒子は、例えば、150μmより数桁大きい粒径を有する。原料PEKKの残りは、原料PEKKを製造するプロセスから残ったある量の液体溶媒(例えば、オルトジクロロベンゼン(ODCB))、他の溶媒および揮発性物質によって引き起こされるゲルまたはゲル状の形態であり得る。
【0030】
原料PEKKを提供する工程の後、原料PEKKを浅い蒸発皿に入れ、両方を対流オーブン内で加熱することを含む熱処理工程が行われる。温度を1時間かけて200℃まで上昇させる。温度は数時間(例えば、5または6時間)200℃に保持する。温度を二度目に225℃まで上昇させる。温度は225℃で最低1時間、好ましくは1~4時間保持する。次いで、温度を三度目に250℃まで上昇させる。温度は250℃で最低1時間、好ましくは1~4時間保持する。原料PEKKの温度は、熱処理工程の間に250℃を超えず、したがって原料PEKKの溶解温度より低いままである。
【0031】
熱処理工程は、残りの液体溶媒および他の不純物を蒸発させ、少なくとも実質的に全ての原料PEKKを不規則な形状の粒子の形態にする。熱処理工程は、また、不規則な形状の粒子の合体を引き起こす。しかし、熱処理工程後でも、原料PEKKの嵩密度は低いままである。
【0032】
熱処理工程中の各加熱期間の持続時間および温度は、原料PEKKにおける予想される不純物量に基づいて選択することができる。熱処理工程の全持続時間は、原料PEKK中の不純物(例えば、液体溶媒)の量(または予想量)と直接相関する。
【0033】
図3を参照すると、原料PEKKがASTM E1868乾燥減量試験方法により約99.75%の純度であると決定された一実施形態では、熱処理工程は、1時間の持続時間を有する第1の加熱期間310を含み、その間に、原料PEKKの温度を、室温から約200℃まで上昇させる第1の加熱期間310と、(ii)原料PEKKの温度が約200℃の温度に保持される7時間の持続時間を有する第2の加熱期間312と、(iii)原料PEKKの温度を約200℃から約225℃まで上昇させる0.5時間の持続時間を有する第3の加熱期間314と、(ii)原料PEKKの温度が約225℃の温度に保持される1.5時間の持続時間を有する第4の加熱期間316と、(i)原料PEKKの温度を約225℃から約250℃まで上昇させる0.5時間の持続時間を有する第5の加熱期間318と、(ii)原料PEKKの温度が約250℃の温度に保持される2時間の持続時間を有する第6の加熱期間320とを含む。
【0034】
図4を参照すると、原料PEKKがASTM E1868乾燥減量試験方法により純度約99.5%であると決定された別の実施形態では、熱処理工程は、(i)原料PEKKの温度を室温から約200℃まで上昇させる0.5時間の持続時間を有する第1の加熱期間410と、(ii)原料PEKKの温度が約200℃の温度に保持される4時間の持続時間を有する第2の加熱期間412と、(iii)原料PEKKの温度を約200℃から約225℃まで上昇させる0.5時間の持続時間を有する第3の加熱時間414と、(ii)原料PEKKの温度が約225℃の温度に保持される4時間の持続時間を有する第4の加熱期間416と、(i)原料PEKKの温度を約225℃から約250℃まで上昇させる0.5時間の持続時間を有する第5の加熱期間418と、(ii)原料PEKKの温度が約250℃の温度に保持される5時間の持続時間を有する第6の加熱期間420とを含む。
【0035】
熱処理工程後、対流オーブンヒータの電源を切って原料PEKKを自然冷却させる冷却工程が行われる。
図3および
図4に示されているようないくつかの実施形態では、冷却工程は冷却期間22を含み、その間にオーブンヒータの温度を約250℃から75℃に0.5時間かけて低下させてから原料PEKKを自然冷却する。
【0036】
冷却工程の後、粉砕工程が行われ、粉砕工程は、原料PEKKを粉砕して、以下「PEKK粉末」と呼ばれるものを形成することを含む。粉砕工程は、米国ミネソタ州ウッドベリーのアベカ社(Aveka,Inc.)などの会社によって行われる公知の粉砕方法を用いて行うことができる。粉砕工程が完了すると、PEKK粉末の粒子は、原料PEKKの粒子よりもかなり小さい(すなわち、数桁小さい)。PEKK粉末の粒子は、原料PEKKの粒子と比較してより形状に一貫性があり、規則的である。しかし、PEKK粉末の粒子は、上記のように予熱された従来技術のPEKK粉末の球形粒子と比較して、依然として不規則な形状である。
図3を参照すると、上記プロセスによって製造された不規則な形状の粒子500の拡大画像が示されている。
【0037】
粉砕工程後、PEKK粉末をふるい分けまたはそれ以外の処理にかけてSLSに適した範囲(例えば、30~150μm)外のサイズを有する粒子を除去することを含む任意の処理工程が行われる。いくつかの実施形態では、LS組成物は、PEKK粉末および炭素繊維から形成される。
【0038】
上記粉砕プロセスおよび粉体調製プロセスは、ヘクセル社(Hexcel Corporation)による2018年1月16日に出願され、「Polymer Powder and Method of Preparing the Same(ポリマー粉末およびその調製方法)」という名称の同時係属中の米国特許出願第XX/XXX,XXX号の主題である。その参考文献の開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0039】
本発明の別の態様は、上記の方法に従って製造されたPEKK粉末である。
【0040】
いくつかの実施形態では、本方法は、EOSINT P 800などの独国のEOS GmbH Electro Optical Systems of Krailling製SLSマシンを使用して行うことができる。そのような実施形態では、PEKK粉末をオーバーヘッド重力供給ホッパーに入れ、次いでいくつかの段階的な棚状にカスケードダウン(すなわち流下)させて、PEKK粉末をまったく充填または詰められていない形態にする。次いで、PEKK粉末をリコータ(recoater)により供給し、PEKK粉末が平らな水平層に提供されるようにする。PEKK粉末が作業スペースに到達する前に意図的に加熱する必要はない。PEKK粉末が作業スペース(例えば、ホッパー、リコータなど)に到達する前にPEKK粉末を供給し投与するSLSマシンの構成要素は暖かくなることがあるが、これは意図的ではなく、そのような加熱の監視はしない。
【0041】
図6および
図7に示す表を参照すると、本開示の方法に従って調製された、PEKK粉末から実質的になる第1の組成物と、PEKK粉末および炭素繊維から実質的になる第2の組成物とから形成された部品の比較が示されている。この粉末は、OXPEKK(登録商標)-NおよびOXPEKK(登録商標)-ESDの名称で販売されており、NはPEKK粉末を含み、ESDは炭素繊維を配合したPEKK粉末を含む。両方の場合において、LSサイクルは、粉末の物理的および化学的特性に影響を及ぼし、粉末から形成された部品の引張特性は後に続く作成ごとに向上する。この比較により、本開示の発明による炭素繊維を含めて作製された部品は、純粋なPEKK粉末から形成された部品より明らかに強固であることが確認される。両方の場合において、原料PEKKフレークは、提案された熱処理工程および粉砕工程に従って処理された。
【0042】
図6を参照すると、表1の600は、オックスフォードパフォーマンスマテリアルズ社(Oxford Performance Materials.Inc.)からブランド名OXPEKK(登録商標)-Nで販売されているPEKK粉末の特性を示す。左欄のケーキレベル(Cake Level)は、OXPEKK(登録商標)-N粉末が受けたLSサイクル数を示す。未処理は、LSプロセスを受けていない粉末を指し、ケーキAは1LSプロセスを受け、ケーキBは2LSプロセスを受けるなどである。各ケーキレベルは、x面内にテストロッドを製造するLS造形プロセスを受けた。引張特性は、ASTM D638に従って測定した。テストロッドは、EOS P 800焼結機で製造された。床(ベッド)温度は、国際特許出願WO第2015031758号明細書のMethod for Analytically Determining SLS Bed Temperature(SLSベッド温度を分析的に測定する方法)に記載された方法に従って測定された。
【0043】
図7を参照すると、表2の700は、オックスフォードパフォーマンスマテリアルズ社(Oxford Performance Materials.Inc.)からブランド名OXPEKK(登録商標)-ESDで販売されているESD PEKK粉末の特性を示す。この粉末を上記方法に従って製造した。具体的には、PEKK粉末と炭素繊維とから重量比85/15で本質的になる。粉末のD50は60μmと70μmの間であり、粉末のL50は70μmと80μmの間であった。粒子は実質的に非球形であり、炭素繊維は高強度混合によってPEKK粉末と混合され、繊維を粒子に部分的に埋め込んだ。
【0044】
左欄のケーキレベルは、OXPEKK(登録商標)-ESD粉末が受けたLSサイクル数を示す。未処理はLSプロセスを受けていない粉末を指し、ケーキAは1LSプロセスを受け、ケーキBは2LSプロセスを受けた。各ESDケーキレベルは、x平面内にテストロッドを製造するLS造形プロセスを受けた。引張特性は、ASTM D638に従って測定した。
【0045】
本方法は、PEKK粉末を調製するための従来技術の方法よりも顕著な利点をもたらす。先行技術で典型的に行われているようなPEKK粉末を予熱するのとは対照的に、原料PEKKを熱処理し、次いで粉砕工程を行ってPEKK粉末を形成することにより、本方法は、従来技術のPEKK粉末の球形粒子に比べて、不規則な形状の粒子を有するPEKK粉末を達成する。従来の見識とは対照的に、不規則な形状のPEKK粉末粒子は、従来技術の球形粒子よりも性能の向上された一貫性および向上された性能をもたらす。不規則形状のPEKK粉末粒子は、より堅固に一体化し、より大きな床(ベッド)安定性をもたらすとともに、一般により良好な形状精度を可能にする。また、不規則形状のPEKK粉末粒子は、不規則形状でない場合に製造された物体に歪みを生じさせる機械過渡現象(machine transients)に対するより高い抵抗をもたらすと考えられる。不規則形状のPEKK粉末粒子によって生成された空隙の形状(例えば、サイズ、形状分布)は、球形PEKK粉末粒子のものと対比して異なる形態の圧密化(連結)をもたらし、性能の一貫性を高め、場合により性能の向上をもたらすとも考えられる。
【0046】
本開示は、図面に示される例示的な実施形態を参照して、本発明の態様を説明するが、本発明の態様は、図面に示される例示的な実施形態に限定されない。本発明の態様がより多くの実施形態を含むことは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の態様は、図面に示される例示的な実施形態に照らして制限されるべきではない。本開示の真の範囲から逸脱することなく、変更および修正をなすことができることも当業者には明らかであろう。例えば、いくつかの例では、一実施形態に関連して開示される1つまたは複数の特徴は、単独で、あるいは、1つまたは複数の他の実施形態の1つまたは複数の特徴と組み合わせて使用され得る。
本発明に包含され得る諸態様または諸実施形態は、以下のとおり要約される。
[1].
SLSに使用するためのPEKK粉末を調製する方法であって、
原料非粉末PEKK材料を提供する工程と、
前記提供工程後、前記原料PEKKを加熱処理して前記原料PEKK中の少なくとも実質的に全ての液体溶媒を蒸発させ、前記原料PEKKの少なくとも実質的に全てを不規則な形状の粒子の形態にする工程と、
前記熱処理工程後、前記原料PEKKを冷却する工程と、
前記冷却工程後、前記原料PEKKを粉砕してPEKK粉末を形成する工程とを含む、方法。
[2].
前記PEKK粉末をふるい分けして30~150μmの範囲外のサイズを有する粒子を除去する工程をさらに含む、上記項目1に記載の方法。
[3].
前記原料PEKKの不規則な形状の粒子が、150μmより数桁大きい粒径を有する、上記項目1に記載の方法。
[4].
前記熱処理工程前に、前記原料PEKKがゲルまたはゲル状の形態である、上記項目1に記載の方法。
[5].
前記原料PEKKの温度が前記熱処理工程の間に250℃を超えない、上記項目1に記載の方法。
[6].
前記熱処理工程が、(i)前記原料PEKKの温度を室温から約200℃まで上昇させる少なくとも1時間の持続時間を有する第1の加熱期間と、(ii)前記原料PEKKの温度が約200℃の温度に保持される数時間の持続時間を有する第2の加熱期間とを含む、上記項目1に記載の方法。
[7].
前記熱処理工程が、(i)前記原料PEKKの温度を約200℃から約225℃まで上昇させる第3の加熱期間と、(ii)前記原料PEKKの温度が約225℃の温度に保持される少なくとも1時間の持続時間を有する第4の加熱期間とをさらに含む、上記項目6に記載の方法。
[8].
前記熱処理工程が、(i)前記原料PEKKの温度を約225℃から約250℃まで上昇させる第5の加熱期間と、(ii)前記原料PEKKの温度が約250℃の温度に保持される少なくとも1時間の持続時間を有する第6の加熱期間とをさらに含む、上記項目7に記載の方法。
[9].
前記熱処理工程が、(i)前記原料PEKKの温度を室温から約200℃まで上昇させる1時間の持続時間を有する第1の加熱期間と、(ii)前記原料PEKKの温度が約200℃の温度に保持される7時間の持続期間を有する第2の加熱期間と、(iii)前記原料PEKKの温度を約200℃から約225℃まで上昇させる0.5時間の持続期間を有する第3の加熱期間と、(ii)前記原料PEKKの温度が約225℃の温度に保持される1.5時間の持続時間を有する第4の加熱期間と、(i)前記原料PEKKの温度を約225℃から約250℃まで上昇させる0.5時間の持続時間を有する第5の加熱期間と、(ii)前記原料PEKKの温度が約250℃の温度に保持される2時間の持続時間を有する第6の加熱期間とを含む、上記項目1に記載の方法。
[10].
前記熱処理工程が、(i)前記原料PEKKの温度を室温から約200℃まで上昇させる0.5時間の持続時間を有する第1の加熱期間と、(ii)前記原料PEKKの温度が約200℃の温度に保持される4時間の持続時間を有する第2の加熱期間と、(iii)前記原料PEKKの温度を約200℃から約225℃まで上昇させる0.5時間の持続時間を有する第3の加熱期間と、(ii)前記原料PEKKの温度が約225℃の温度に保持される4時間の持続時間を有する第4の加熱期間と、(i)前記原料PEKKの温度を約225℃から約250℃まで上昇させる0.5時間の持続時間を有する第5の加熱期間と、(ii)前記原料PEKKの温度が約250℃の温度に保持される5時間の持続時間を有する第6の加熱期間とを含む、上記項目1に記載の方法。
[11].
前記熱処理工程が、前記原料PEKKを蒸発皿に入れ、前記原料PEKKおよび前記蒸発皿の両方を対流オーブン内で加熱することを含む、上記項目1に記載の方法。
[12].
前記冷却工程が、前記原料PEKKを自然にのみ冷却することによって行われる、上記項目1に記載の方法。
[13].
前記加熱工程が、前記原料PEKKの不規則形状の粒子の合体を引き起こす、上記項目1に記載の方法。
[14].
前記PEKK粉末の少なくとも実質的に全ての粒子が、前記原料PEKKの少なくとも実質的に全ての粒子より少なくとも数桁小さい、上記項目1に記載の方法。
[15].
原料非粉末PEKK材料を提供する工程と、
前記提供工程後に、前記原料PEKKを加熱処理して前記原料PEKK中の少なくとも実質的に全ての液体溶媒を蒸発させて、前記原料PEKKの少なくとも実質的に全てを不規則な形状の粒子の形態にする工程と、
前記熱処理工程後、前記原料PEKKを冷却する工程と、
前記冷却工程後、前記原料PEKKを粉砕してPEKK粉末を形成する工程とを含む方法に従って製造されたPEKK粉末。
[16].
LSに使用するためのPAEK粉末を調製する方法であって、
原料非粉末PAEK材料を提供する工程と、
前記提供工程後に、前記原料PAEKを加熱処理して前記原料PAEK中の少なくとも実質的に全ての液体溶媒を蒸発させて、前記原料PAEKの少なくとも実質的に全てを不規則な形状の粒子の形態にする工程と、
前記熱処理工程後、前記原料PAEKを冷却する工程と、
前記冷却工程後、前記原料PAEKを粉砕してPAEK粉末を形成する工程とを含む、方法。