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  • 特許-トルクセンサのステータ取付具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】トルクセンサのステータ取付具
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20220512BHJP
   B62D 1/16 20060101ALI20220512BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
G01L3/10 305
B62D1/16
B62D5/04
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018098096
(22)【出願日】2018-05-22
(65)【公開番号】P2018197750
(43)【公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-04-21
(31)【優先権主張番号】10 2017 111 305.3
(32)【優先日】2017-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2017 118 456.2
(32)【優先日】2017-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505441524
【氏名又は名称】ボーンズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】特許業務法人河崎・橋本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルナー,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】カノ,ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】シュモッツ,ハンス
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0214648(US,A1)
【文献】特許第5183036(JP,B2)
【文献】特許第6214444(JP,B2)
【文献】特許第6160214(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L3
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(8)周りの周方向において位置によって変化する磁場を案内するステータ(18)であって、
回転軸(8)の周りで回転する第1のステータリング(18’)と、
回転軸(8)の周りで回転し、第1のステータリング(18’)と同軸上に配置された第2のステータリング(18’’)と、を備え、
第1および第2のステータリング(18’,18’’)はそれぞれ、第1および第2の軸面上に互いに離間して、かつ回転軸(8)の周りの周方向に配置され、
第1の爪部(40)は、第1のステータリング(18’)から軸方向に第2のステータリング(18’’)に向かって延び、回転軸(8)周りの周方向に沿って、第1の爪間ギャップ(39)から離間して配置され、第2のステータリング(18’’)の回転軸(8)周りの周方向に沿って配置された第2の爪部(43)の間に形成された第2の爪間ギャップ(42)で噛み合い、第2の爪間ギャップ(42)から離間して軸方向に第1のステータリング(18’)に向かって突出し、
第1および第2の爪部(40,43)は、第1および第2のステータリング(18’,18’’)に対して軸方向に対向する面に爪頭(45)を有し、
第1および第2の爪間ギャップ(39,42)のそれぞれで噛み合う爪頭(45)に対向する少なくとも1つの第1の爪間ギャップ(39)および第2の爪間ギャップ(42)において、第1および第2のステータリング(18’,18’’)を固定するためのキャリア(29)の上に配置されたステータ固定手段(44)を備え
ステータ固定手段(44)は、キャリア(29)上に配置されたキャリア連結部品(31)が軸方向に噛み合い、
ステータ固定手段(44)は、回転軸(8)に向かって半径方向に延びるヨーク部である、ステータ。
【請求項2】
前記ヨーク部は、半径方向内側が開放したU字状になっている、請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
ステータ固定手段(44)は、第1および第2のステータリング(18’,18’’)と一体に成形された、請求項1または2記載のステータ。
【請求項4】
ステータ固定手段(44)は、隣接する2つの爪部の間の半径方向ギャップに配置される、請求項1~のいずれか1項に記載のステータ。
【請求項5】
ステータ固定手段(44)は、隣接する2つの爪部の間の半径方向ギャップ(49)の中心に配置される、請求項に記載のステータ。
【請求項6】
第1および第2のステータリング(18’,18’’)のそれぞれは、軸方向に折り曲げられた第1および第2の爪部(40,43)を有する打抜き加工部品(54)である、請求項1~のいずれか1項に記載のステータ。
【請求項7】
トーションバー(10)を介して連結された第1のシャフト(7)と第2のシャフト(11)の間のトルクを検出するセンサ(9)であって、
キャリア連結部品(31)が設けられた2つの対向する端面(30)を有する円筒状キャリア(29)と、
請求項1~のいずれか1項に記載の第1のシャフト(7)に固定可能なステータ(18)であって、そのステータリング(18’,18’’)がキャリア(29)の端面(30)上に配置され、キャリア連結部品(31)およびステータ固定手段(44)を介してキャリア(29)に固定されたステータと、
第2のシャフト(11)に固定可能であって、回転軸(8)と同軸上に配置され、磁場を生成し、ステータ(18)に供給する磁気トランスデューサ(16)と、
ステータ(18)を通り、磁気トランスデューサ(16)からの磁場を検出する磁気センサと、を備えたセンサ。
【請求項8】
キャリア連結部品(31)は、ステータ固定手段(44)を用いて加締められるスピゴットである、請求項に記載のセンサ(9)。
【請求項9】
連結コラム(48)は、キャリア(29)の一方の端面(30)の上に配置され、第1のシャフト(7)のキャリア(29)上に保持部材(46)を有する、請求項またはに記載のセンサ(9)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸周りの周方向において位置によって変化する(location-dependent)磁場を案内するステータ(固定子)に関する。
【背景技術】
【0002】
有効なクレーム1のプレアンブルに係るステータは、欧州特許第1870684号に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許第1870684号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ステータを改良することを課題とする。
【0005】
この課題は、独立請求項の特徴によって実現される。好適な実施形態は、従属請求項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、ステータ取付具は、有効なクレーム1のブレアンブルに係るステータ内に配置され、少なくとも1つの第1の爪間ギャップおよび第2の爪間ギャップにおいて、対応する爪頭に対して、第1および第2のステータリングをキャリアの上に固定するようにステータ内に配置される。
【0007】
前記ステータは、ステータリングに貫通孔の形態を有する固定部品からなる。したがって前記ステータにおいて、ステータリングを介して、磁束を測定センサに誘導するコレクタシートを配置することは不可能である。そのため、磁束コレクタは、前記ステータは半径方向の外側に周方向に配置される。しかしながら、この構成は、外部からの干渉磁場が磁束コレクタを妨害し、干渉磁場をもたらすものであるため、電磁的な干渉が生じるため、最適なものではない。
【0008】
ステータリングを用い、磁束コレクタをステータリングの間に軸方向に配置された場合、外部からの干渉磁場は各なくとも減衰させることができる。しかしながら、固定具は、ステータと干渉するため、前記ステータは可能ではない。このため、前記ステータの固定具は、ステータリングの半径方向内側の爪間ギャップに配置される。このように、磁束コレクタは、ステータリングの間に軸方向に干渉しないように配置することができる。
【0009】
前記ステータの実施形態において、ステータ取付具は、周方向に作用するステータ固定部品であり、キャリア上に配置されたキャリア固定部品は、軸方向に噛み合うことができる。このように、ステータは、キャリア上により簡便に配置し、実装することができる。
【0010】
前記ステータの別の実施形態において、ステータ固定部品は、回転軸に向かって半径方向に延びるヨーク部である。これは、ステータの半径方向内側で開口し、センサの励起磁場の磁場誘導部材が、ステータと干渉することがなく、不要な磁気的短絡が生じない。
【0011】
前記ステータのさらに別の実施形態において、ヨーク部は、ステータリングと一体に成形される。このように前記ステータは、各ステータは、事前に成形または打抜加工して、ステータリング上に後に固定具を取り付ける必要がなく、効率的な製造方法により簡便に製造することができる。
【0012】
前記ステータのさらに別の実施形態において、ステータ固定具は、隣接する2つの爪部の間の半径方向ギャップに配置される。こうして、ステータ固定具は、爪半径方向に部のレベルに配置するとともに、ステータをキャリア上に実装するために、全体のアセンブリスペースを利用することができる。また、ステータ固定具は、爪部の上に半径方向に突出しないので、上述の短絡を効率的に回避することができる。
【0013】
前記ステータの特別の実施形態において、ステータ固定具は、隣接する2つの爪部の間の半径方向ギャップの中心に配置される。このようにして、ステータ固定具は、半径方向ギャップにおいて周方向に軸対称に配置され、ステータ部品を含むセンサの回転方向とは関係なく、常に均等に負荷が加わる。
【0014】
前記ステータの好適な実施形態において、ステータリングは、軸方向に折り曲げられた爪部を有する打抜き加工部品である。このように、個々のステータリングは、シートパックのように製造することができ、例えば深絞法を用いて折り曲げるだけでよい。
【0015】
本発明に係るさらに別の態様において、トーションバーを介して連結された第1のシャフトと第2のシャフトの間のトルクを検出するために、センサは、キャリア連結部品が設けられた2つの対向する端面を有する円筒状キャリアと、第1のシャフトに固定可能な前記ステータであって、そのステータリングがキャリアの端面上に配置され、キャリア連結部品およびステータ固定手段を介してキャリアに固定された前記ステータと、第2のシャフトに固定可能であって、回転軸と同軸上に配置され、磁場を生成し、ステータに供給する磁気トランスデューサと、ステータを通り、磁気トランスデューサからの磁場を検出する磁気センサと、を備える。
【0016】
前記ステータの1つの実施形態では、キャリア連結部品は、ステータ固定手段を用いて加締められるスピゴットである。加締め方法によれば、キャリアとステータとを互いに容易に連結することができる。
【0017】
別の実施形態において、連結コラムは、キャリアの一方の端面の上に配置され、第1のシャフトのキャリア上に保持部材を有する。連結コラムは、センサが回転するとき、十分な機械的強度を実現するのに十分に安定し、同時に、センサ部品を収容するために、2つのシャフトを軸方向に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
添付図面に詳細に図示された例示的な実施形態に関する以下の説明を参照すると、上述の本発明に係る特性、特徴ならびに利点、および本発明の実施態様が、より明確に理解される。
図1】ステアリングシステムを備えた車両の斜視図である。
図2a図1のステアリングシステムのためのトルクセンサの分解斜視図である。
図2b図2aのトルクセンサの概略的な断面斜視図である。
図3a図2aおよび図2bのトルクセンサのステータの斜視図である。
図3b図2aおよび図2bのトルクセンサのステータの斜視図である。
図3c図2aおよび図2bのトルクセンサのステータの斜視図である。
図4】打抜き加工部品として成形されたステータリングの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上記図面において、同一の技術的部品については、同一の参照符号を用いて、一度限り説明する。これらの図面は、純粋に概略的なものであり、特に、実際の幾何学的な相対比率を反映するものではない。
【0020】
ステアリングシステム2を備えた車両1の概略的な斜視図である図1を参照する。
【0021】
この例示的な実施形態において、車両1は、2つの前輪3および2つの後輪4によって支持されるシャーシ(車体)5を備える。ステアリングシステム4を用いて前輪3を操作することにより、車両1をカーブするように運転することができる。
【0022】
ステアリングシステム2は、ステアリングホイール6を有し、ステアリングホイール6は第1のステアリングシャフト7に取り付けられ、第1のステアリングシャフト7は回転軸8の周りをピボット回転できるように取り付けられている。第1のステアリングシャフト7は、トルクセンサ9にガイドされ、図示しない手法で、トーション部品(捻れ部品)10に接続される。第2のステアリングシャフト11は、回転軸8上の第1のステアリングシャフト7とは反対側においてトーション部品10に接続され、ステアリングギア12に接続されている。ステアリングトルク(操舵トルク)13によって、ステアリングホイール6を回転させると、ステアリングトルクがステアリングギア12に伝達され、ステアリングギア12が前輪3を操舵し、ステアリング角(操舵角)14に応じてカーブするように運転することができる。
【0023】
ステアリング処理(操舵処理)が補助モータ15で支援され、補助モータ15は第2のステアリングシャフト11の回転をアシスト(補助)することができる。このため、トルクセンサ9は、ステアリングトルク13を検出する。そして補助モータ15が、とりわけ検出されたステアリングトルク13に呼応して、第2のステアリングシャフト11を駆動する。
【0024】
ステアリングトルク13を検出するために、トルクセンサ9は、第1のステアリングシャフト7に接続され、磁場17を誘導する磁気トランスデューサ部品16を有する。ステアリングトルクセンサ9は、第2のステアリングシャフト11に接続された磁場フィルタ18を有し、磁場フィルタ18は、第2のステアリングシャフト11に対する第1のステアリングシャフト7および磁気トランスデューサ部品16の相対的な角度位置に呼応して、磁気トランスデューサ部品16からの磁場を減衰させ、減衰させた磁場20を少なくとも1つの磁気センサ21に伝達する。こうしてセンサは、減衰させた磁場20を検出し、この検出された磁場に基づいて、2つのシャフト7,11の間の角度位置19を検出し、または角度位置19に基づく信号を生成する。この角度位置19または角度位置19に基づく信号は、検出すべきステアリングトルク13に直接的に呼応するため、補助モータは、この情報を迅速に処理することができる。
【0025】
以下の説明において、磁場フィルタ18は、ステータ18ともいう。それは、図2aおよび図2bを参照して以下説明すべきトルクセンサ9に関連して、ステータはより一般的な用語であるためである。
【0026】
トルクセンサ9は、回転軸8の周りにあるハウジング23を有し、ハウジング23はハウジング蓋22を用いて固定することができ、ハウジング蓋22は、保護部品24を用いて、車両1にねじ留め(ねじで固定)することができる。ハウジング23は、回転軸8に位置合わせされるが、第1のステアリングシャフト7を摩擦係合して取り付けるための第1のベアリングブッシュ25と、第2のステアリングシャフト11を摩擦係合して取り付けるための第2のベアリングブッシュ26とを有する。
【0027】
第1のベアリングブッシュ25は、接着剤等の接合部材27を用いて、磁気トランスデューサ部品16にしっかりと接合されるため、磁気トランスデューサ部品16は、第1のベアリングブッシュ25に圧入されたとき、第1のステアリングシャフト7に確実に保持される。
【0028】
第2のベアリングブッシュ26は、連結部品29(キャリアともいう。)のクランプ部材28にしっかりと保持され、クランプ部材28は、後述する手法を用いて、ステータ18を第2のベアリングブッシュ26に連結する。このため、連結部品29は、実質的な管状形状を有する。スピゴット(栓またはピン)31のような形状を有するキャリア取付部品は、連結部品29の2つの端面30から軸方向に突出するが、図面を分かりやすくするために、図2aは、すべてのキャリア取付部品に符号を付して図示していない。詳細後述するが、これらのスピゴット31は、ステータ18を連結部品29上の固定位置に保持する。また連結部品29は、スリーブ面に第1の軸方向支持部材32を有し、その上に連結部品29をハウジング23の支持リング33上に軸方向に取り付けることができる。ハウジング蓋22上に連結部品を軸方向に取り付けるために、小さい脚の形状を有する第2の軸方向支持部材34が、ハウジング蓋22に対向する連結部品29の端面30上に形成されている。
【0029】
トルクセンサ9の動作時、第1のステアリングシャフト7が回転して、回転力がトーション部品10を介して第2のステアリングシャフト11に伝わると、支持リング33上に支持された連結部品29およびハウジング蓋22は、ステータ18および磁気トランスデューサ部品16とともに、ハウジング23内で回転する。第1のステアリングシャフト7を回転させたとき、第2のステアリングシャフト11の慣性に起因して、第1のステアリングシャフト7を第2のステアリングシャフト11に対して捻ることができる。よって、第1のステアリングシャフト7を回転させたとき、磁気トランスデューサ部品16およびステータ18を互いに対して回転させることができる。トルクセンサ9は、基本的に、ステータ18がこの捻れに依存した磁場生成部品16からの磁場を受け、磁束伝達部品35を介してステータ18に接続された2つの磁気センサ21に伝達するように動作する。磁場センサ21は、ハウジング23の内部において、蓋36で覆われる回路基板37上で静止した状態で配置され、かつステアリング処理中に回転してはならないので、磁束伝達部品35は必要である。したがって、磁束伝達部品35は、回転するステータ18と摩擦係合するため、ステータ18によって減衰された磁場20を受け、静止した磁気センサ21に磁場を伝達する。
【0030】
磁気トランスデューサ部品16は、N極とS極(図示せず)を有し、N極とS極は、回転軸8の周りにおいて周方向に沿って交互に配置されている。ステータ18は、2つのステータ部品18’,18’’を有する。第1のステータ部品18’は、回転軸8を含む軸平面上に平坦に延びる第1のステータリング38を有する。複数の第1の爪部40は、第1のステータリング38の半径方向の内側面において、第1の爪間ギャップ39だけ互いに離間し、回転軸8の周方向において、第1のステータリング38から所定の軸方向距離だけ延びている。図面を分かりやすくするために、図2aは、すべての第1の爪間ギャップ39および第1の爪部40に符号を付して図示していない。第2のステータ部品18’’は、回転軸8に対して軸平面上(第1のステータリング38が延びる平面とは異なる)に平坦に延びる第2のステータリング41を有する。複数の第2の爪部43は、第2のステータリング41の半径方向の内側面において、第2の爪間ギャップ42だけ互いに離間し、回転軸8の周方向において、第2のステータリング41から所定の軸方向距離だけ延びている。図面を分かりやすくするために、図2aは、すべての第2の爪間ギャップ42および第2の爪部43に符号を付して図示していない。各爪部40,43は、それぞれのステータ部品18’,18’’の対向する端面に爪頭(爪先端部)45を有する。図面を分かりやすくするために、図2aは、すべての爪頭に符号を付して図示していない。
【0031】
組み立てられた状態において、第1の爪部40が第2の爪間ギャップ42に軸方向に対向し、第2の爪部43が第1の爪間ギャップ39に軸方向に対向する(噛み合う)ように、トルクセンサの2つのステータ部品18’,18’’は、回転軸上で互いに対して位置合わせされる。2つのステータ部品18’,18’’は、(U字状の)ヨーク部44の形状を有するステータ取付部品を用いて、連結部品29のスピゴット31上で保持される。その結果、2つのステータ部品18’,18’’は、互いに対して、回転軸の周りで周方向に捻ることができない。図面を分かりやすくするために、図2aは、すべてのヨーク部44に符号を付して図示していない。
【0032】
ゼロ位置において、第1のステアリングシャフト7が第2のステアリングシャフト11に対して捻られていない場合、磁気トランスデューサ部品16のN極およびS極の一方(例えばN極)が、第1のステータ部品18’の第1の爪部40の半径方向の内側面に対向する。対照的に、ゼロ位置において、磁気トランスデューサ部品16のN極およびS極の他方(例えばS極)が、第2のステータ部品18’’の第2の爪部43の半径方向の内側面に対向する。すなわちゼロ位置において、磁気トランスデューサ部品16の磁場17は、ほとんど完全に第1のステータ部品18’の第1の爪部40に作用し、ほとんど減衰されない磁場20として、磁束伝達部品35を介して磁気センサ21まで伝達される。
【0033】
しかし、2つのステアリングシャフト7,11が互いに対して捻られたとき、磁気トランスデューサ部品16のN極およびS極も同様に爪部40,43に対して周方向に変位する(位置がずれる)ため、磁場生成部品16のN極およびS極の両方が半径方向において各爪部40,43を覆う。このとき、磁気トランスデューサ部品16の磁場17の一部が爪部40,43で短絡するため、実質的に減衰した磁場20が磁気センサ21に作用する。2つのステアリングシャフト7,11の相対的な回転が大きくなるほど、磁気トランスデューサ部品16からのより大きな磁場17が爪部40,43に短絡する。すなわち減衰する磁場20は、2つのステアリングシャフト7,11の相対的な回転に直接的に依存する。
【0034】
図3aおよび図3bを参照して、連結部品29に対するステータ18の取付具について、より詳細に以下説明する。
【0035】
ステータ18を連結部品29に取り付けるために、2つのステータ部品18’,18’’を回転軸8と同軸上に配置し、互いに位置合わせされた爪部40,43に位置合わせする。回転軸8の周方向断面で見たとき、第1のステータリング18’の第1の爪部40が、第2のステータリング18’’の第2の爪間ギャップ42を指向し、同様に、第2のステータリング18’’の第2の爪部43が第1のステータリング18’の第1の爪間ギャップ39を指向する。回転軸8の周方向断面で見たとき、端面30上のスピゴット31が、各端面30に対して軸方向に対向する各ステータリング18’,18’’のヨーク部44に位置合わせされるように、連結部品29は、回転軸8と同軸上に、かつ2つのステータリング18’,18’’の間に配置される。この状態を図3aに示す。
【0036】
ここで、爪部40,43が管状の連結部品29内で軸方向にかみ合うように、2つのステータ部品18’,18’’を互いに向かって移動させる。その際、ステータ部品18’,18’’が連結部品29のそれぞれの端面30に当接するまで、ヨーク部44をスピゴット31の上方から軸方向に押し下げる。この状態を図3bに示す。
【0037】
次に、個々のスピゴット31を加締める。そのために、それぞれの端面30から突出しているスピゴット31の軸端部を加熱して、スピゴット31の構成材料を軟化させる。このとき、回転軸8の方向から見たとき、軟化した構成材料をステータ部品18’,18’’に押圧して、軟化した構成材料を軸方向に圧延(展開)させる。こうして、加締められたスピゴット31とヨーク部44との間に閉口部が形成され、閉口部は、軸方向に動作し、連結部品29の上でステータ部品18’,18’’を確実に固定する。
【0038】
第1のステアリングシャフト7または第2のステアリングシャフト11を連結部品29に固定するために、連結部品は、保持リング46の形態を有し、対応するステアリングシャフト7,11を軸方向に挿入可能な固定部品を有する。この保持リング46は、圧入嵌め(プレスフィッティング)を介して、ステアリングシャフト7,11に連結することができる。
【0039】
保持リング46は、端面30から軸方向に延びる数多くのコラム(柱状物)48を介して、連結部品29の一方の端面に保持される。図3a~図3cでは、複数のコラムのうちいくつかのコラムのみが図示されている。これらのコラム48は、爪部40,43から見て、各ステータリング18’,18’’内で半径方向外側に延びる半径方向ギャップ49に受容される。図面を分かりやすくするために、図中、すべての半径方向ギャップに符号を付しているわけではない。
【0040】
軸周りの周方向断面で見たとき、コラム48は、常に、ステータリング18’の爪部40の間に挿入することができ、上述のように組み立てられたとき、このステータリングは、コラム48およびヨーク部44とともに端面30の上に設置される。最適な安定性を保証するために、ステアリングシャフト7,11が回転する方向に関係なく、トルクセンサ9の動作時、個々のコラム48は同一の軸方向断面を有する。このため、上述の爪部40とヨーク部44の間の周方向の間隔50が一定となり、周方向断面で見たとき、すべてのヨーク部44は半径方向ギャップの中央に配置される。図面を分かりやすくするために、図中、すべての個々の周方向間隔50に符号を付しているわけではない。
【0041】
機械的強度を補強するために、コラム48は、ヨーク部44の領域においてブリッジ部52を組み合わされ、保持リング46とともに一体のものとして設計/構成することができる。図面を分かりやすくするために、図中、すべてのブリッジ部52に符号を付しているわけではない。
【0042】
結論として、第1のステータリング18’および図4に基づいて、ステータリング18’,18’’の突起部について説明する。
【0043】
第1に、第1のステータリング18’は、打抜き加工部品54として一枚の金属シートから成形される。打抜き加工部品54は、第1のステータリング18の基本的な形態をすでに有している。ただし、打抜き加工部品54の第1の爪部40は、半径方向内側に延びている。
【0044】
打抜き加工後、第1の爪部40は、折り曲げ線56のそれぞれに沿って軸方向に折り曲げられる。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図4