(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】棚
(51)【国際特許分類】
A47B 96/02 20060101AFI20220512BHJP
A47B 96/14 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
A47B96/02 G
A47B96/02 C
A47B96/14 E
(21)【出願番号】P 2018100311
(22)【出願日】2018-05-25
【審査請求日】2020-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【氏名又は名称】宮田 信道
(72)【発明者】
【氏名】面谷 智久
(72)【発明者】
【氏名】保坂 純平
(72)【発明者】
【氏名】若松 英司
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 勝也
(72)【発明者】
【氏名】山口 洋平
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05433152(US,A)
【文献】特開2008-012061(JP,A)
【文献】特開2004-211526(JP,A)
【文献】特開2000-079029(JP,A)
【文献】特開2006-181115(JP,A)
【文献】特開2005-296554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 96/02
A47B 96/14
A47B 13/02
A47B 77/02
E04H 1/12
E04H 17/00-17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横材と、横バーと、棚板を備え、
横バーは、横材の室内側に隙間を空けて配置されており、
棚板は、横バーに載置したときに横バーに係合する係合凹部と、隙間に嵌まり込
んで横材に当接する当接部と
、横バーの下面に当接する外れ止め金具を有し
ており、
棚板が横バーの任意の位置に取り付け及び取り外し自在であると共に、外れ止め金具で横バーからの脱落を防止してあることを特徴とする棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テラス囲い等の簡易構造物の室内に取り付け可能な棚に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テラス囲い等の内部に取り付け可能な棚は固定式で、移動できないものであった。そのため、テラス囲い等の内部で洗濯物を干す際に、洗濯はさみ等の小物を置く棚を任意の位置に設置したいといった要望があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記課題に鑑み、テラス囲い等の内部の任意の位置に設置可能な棚を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の棚は、横材と、横バーと、棚板を備え、横バーは、横材の室内側に隙間を空けて配置されており、棚板は、横バーに載置したときに横バーに係合する係合凹部と、隙間に嵌まり込んで横材に当接する当接部と、横バーの下面に当接する外れ止め金具を有しており、棚板が横バーの任意の位置に取り付け及び取り外し自在であると共に、外れ止め金具で横バーからの脱落を防止してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、棚板は無目に当接していることで横バーを軸とする回動を規制されているので、棚板が回動したり横バーから落下したりすることなく安定して設置可能である。したがって、横バーの任意の位置に棚板を載置し、係合凹部を横バーに係合させるだけで棚を設置可能であるので、テラス囲い等の内部で洗濯物を干す際に、棚板を所望の場所へ移動自在であり、また、棚を使わないときには棚板を容易に外すことができるので、利便性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】本発明の棚を備える簡易構造物の(a)は側面図、(b)は正面図である。
【
図3】本発明の棚を備える簡易構造物の内観の一部を示す概略図である。
【
図4】棚板の(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の棚の使用場所は特に限定されるものではないが、ここでは建物の外壁に沿って設置されるテラス囲いの室内側に取り付けてある場合を示す。簡易構造物Yは、建物の外壁Xに沿って設置されるテラス囲いである。なお、以下の説明において左右方向とは
図5における左右方向を示し、前後とは
図5における奥側及び手前側を示すものとする。本簡易構造物Yは、
図1乃至及び
図7に示すように、建物の外壁Xに左右一対の躯体方立11,11が取り付けられ、屋外側に2本の柱12,12が地面から立設され、柱12,12の上端に桁13が架設してあり、躯体方立11と桁13の間に腕木14が取り付けてある。左右の柱12,12間及び、柱12と躯体方立11の間には、下端部において図示せぬベース材がそれぞれ取り付けられている。なお、本実施形態の簡易構造物Yは土間仕様であるが、床材を用いたデッキ仕様であってもよい。
【0008】
簡易構造物Yは正面及び側面において開口部を有する。開口部にはFIX窓や引き違い戸等の開口部建材が取り付けられ、棚は開口部建材の室内側に取り付けられる。棚は正面又は側面のいずれの開口部建材に取り付けても良いが、ここでは、桁13とベース材と左右の柱12,12間の前側開口部に設けられた開口部建材Oに棚を取り付けた場合を説明する。本実施形態において開口部建材Oは無目(横材)15を有するFIX窓であって、左右の縦枠16,16と上下の横枠17,17によって枠組みされており、開口部建材Oの高さ方向略中間部は、無目15によって仕切ってあり、左右方向略中間部は方立18によって仕切ってある。開口部建材Oは、内周にガラスパネルを取り付けてある。
【0009】
無目(横材)15は、開口部建材Oの左右の縦枠16,16間の腰高さ位置に取り付けられていて、無目15の室内側には長手方向に亘って、横バー30が断面L字形状の取付材20を介して無目15との隙間Gを空けて取り付けてある。
【0010】
横バー30は、中空の略円筒形状であり、下面において長手方向に沿って溝31を有する。溝31は、断面が略凸字形状であり、凸字の底面において外周側へ向けて開口している。
【0011】
取付材20は、横バー30を無目15に取り付けるための、平板を折り曲げた形状の断面略L字状の部材であって、一端を無目15の室内側見付面に室内側からネジ止めされていて、他端を、横バー30の溝31に挿入された裏板40に、下からネジ止めされている。
【0012】
棚板50は、格子状の天板51と、隙間Gに嵌まり込む左右一対の前脚部52,52(当接部)と、左右一対の後脚部54,54を有していて、前脚部52の基部と後脚部54の基部との間に位置する係合凹部57は、棚板50を横バー30に載置したときに横バー30に係合する形状である。なお、棚板50は、横バー30に載置するだけで設置可能であるが、横バー30からの棚板50の外れ止めのために、外れ止め金具41を補助的に用いてもよい。外れ止め金具41は、本実施例では平板を折り曲げた形状の断面略L字状であるが、横バー30の下面に当接していれば良く、例えば平板状であってもよい。
以下、棚板50について詳説する。
棚板50の材質は問わないが、例えば重量のある鋳物等で形成すれば、棚板50が横バー30の長手方向にずれるのを防ぐことができる。
天板51は、平面視において略長方形と略半円形を連結した形状の平板状部材である。
左右一対の前脚部52は、天板51の下面から下方に伸びて形成されていて、前端面には長方形平板状の緩衝材53を有する。棚板50を横バー30に載置した際には、棚板50は緩衝材53の前面において無目15に当接し、前脚部52及び緩衝材53の下端は横バー30よりも下方に位置し、緩衝材53の上端は横バー30よりも上方に位置している。
左右一対の後脚部54は、天板51の下面から下方に伸びて形成されていて、外れ止め金具41をネジ止めするためのネジ孔55を有する。棚板50を横バー30に載置した際には、前脚部52の下端面は横バー30の下端面と略面一であり、一端を後脚部54に化粧ネジ56で固定された外れ止め金具41の他端が、横バー30の溝31の上端面及び横バー30の下端部に当接する。なお、化粧ネジ56及び外れ止め金具41は使用者によって容易に着脱可能である。
前脚部52及び後脚部54の基部は、両者間に位置する係合凹部57において下面略円弧状に連続していて、係合凹部57の下面は横バー30の上面に係合する形状である。
【0013】
次いで、本発明の棚の構成による作用および効果について説明する。
棚板50は、天板51と、隙間Gに嵌まり込む左右一対の前脚部52,52と、左右一対の後脚部54,54を有していて、前脚部52の基部と後脚部54の基部との間に位置する係合凹部57は、棚板50を横バー30に載置したときに横バー30に係合する形状であり、棚板50は緩衝材53を介して無目15に当接し、前脚部52及び緩衝材53の下端は横バー30よりも下方に位置し、緩衝材53の上端は横バー30よりも上方に位置している。このような構成であるので、棚板50には自重及び天板51上に載置した物の荷重によって、横バー30を軸とした回転荷重がかかるが、棚板50は緩衝材53において無目15に当接していることで横バー30を軸とする回動を規制されているので、棚板50が回動したり横バー30から落下したりすることなく安定して設置可能である。したがって本発明の棚は、腰高さの無目15の室内側に隙間Gを空けて取り付けた横バー30の任意の位置に棚板50を載置し、係合凹部57を横バー30に係合させるだけで設置可能であるので、例えばテラス囲い内での洗濯物干し等の作業の際に、かごや小物等を置くため棚板50を所望の位置へと移動自在であり、また、棚を使わないときには棚板50を容易に外すことができるので、利便性及び作業効率が良い。
【0014】
また、棚板50は、横バー30の下面に当接する外れ止め金具41を有しているので、人や荷物の接触によって下方からの外力が働いた際にも横バー30から脱落することがなく、より安定して設置可能である。
【0015】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。例えば、本発明は簡易構造物の前面開口部だけでなく側面開口部にも適用可能であり、横材は無目に限定されない。また、テラス囲いに限らず様々な構造物にも広く適用できる。また開口部に納まる窓種はFIX窓に限らず、引き違い窓等のあらゆる建具枠を適用可能である。
【符号の説明】
【0016】
15 無目(横材)
G 隙間
30 横バー
50 棚板
52 前脚部(当接部)
57 係合凹部