(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 17/10 20060101AFI20220512BHJP
B41J 17/36 20060101ALI20220512BHJP
B41J 2/325 20060101ALI20220512BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
B41J17/10
B41J17/36 B
B41J2/325 A
B41J11/42
(21)【出願番号】P 2018108632
(22)【出願日】2018-06-06
【審査請求日】2021-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【氏名又は名称】梅田 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】相原 裕一
【審査官】井出 元晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-100939(JP,A)
【文献】特開2015-221524(JP,A)
【文献】特開2014-233912(JP,A)
【文献】特開2004-130568(JP,A)
【文献】特開2013-000968(JP,A)
【文献】特開2002-103655(JP,A)
【文献】特開平04-241973(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0174421(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/00-3/54
B41J 29/00-29/70
B41J 2/315-2/48
B41J 17/00-17/42
B41J 11/00-11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の記録媒体の印刷に使用される領域が長手方向に連続してロール状に形成されたフィルム状媒体を使用して印刷を行う印刷装置であって、
前記フィルム状媒体の印刷未使用の領域の部分が巻回される供給部と、
前記フィルム状媒体の印刷使用後の領域の部分が巻回される巻取部と、
前記供給部と前記巻取部の間で前記フィルム状媒体を搬送する搬送手段と、
前記フィルム状媒体の情報を前記フィルム状媒体上に形成された所定のマークから検出するマーク検出手段と、
イニシャライズ
動作直後の印刷が記録媒体の片面のみに印刷するか否かの情報を取得する取得手段と、
前記搬送手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記イニシャライズ動作における前記マーク検出手段の検出結果に基づいて前記フィルム状媒体の種類および/またはエンプティを検出する際に、前記取得手段で取得した情報に応じて前記フィルム状媒体の搬送量を変化させることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記取得手段により記録媒体の片面のみに印刷すると取得された場合の前記フィルム状媒体の搬送量が、前記取得手段により記録媒体の両面に印刷すると判断された場合の前記フィルム状媒体の搬送量よりも少なくすることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記取得手段は記録媒体の片面のみを印刷するか否かを印刷モードから取得する手段により構成され、
前記制御手段は、前記取得手段により記録媒体の片面のみに印刷すると前記印刷モードから取得された場合の前記フィルム状媒体の搬送量が、前記取得手段により記録媒体の両面に印刷すると前記印刷モードから取得された場合の前記フィルム状媒体の搬送量よりも少なくすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記取得手段は記録媒体の片面のみを印刷するか否かを印刷データから取得する手段により構成され、
前記制御手段は、前記取得手段により記録媒体の片面のみに印刷すると前記印刷データから取得された場合の前記フィルム状媒体の搬送量が、前記取得手段により記録媒体の両面に印刷すると前記印刷データから取得された場合の前記フィルム状媒体の搬送量よりも少なくすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記取得手段は記録媒体の片面のみを印刷するか否かを前記マーク検出手段の検出結果から取得する手段により構成され、
前記制御手段は、前記取得手段により記録媒体の片面のみに印刷すると前記マーク検出手段の検出結果から取得された場合の前記フィルム状媒体の搬送量が、前記取得手段により記録媒体の両面に印刷すると前
記マーク検出手段の検出結果から取得された場合の前記フィルム状媒体の搬送量よりも少なくすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
【請求項6】
印刷開始後に次の記録媒体への印刷が行えるか前記フィルム状媒体のエンプティを検出する際に、
前記制御手段は、前記取得手段により記録媒体の片面のみに印刷すると取得された場合の前記フィルム状媒体の搬送量が、前記取得手段により記録媒体の両面に印刷すると判断された場合の前記フィルム状媒体の搬送量よりも少なくすることを特徴とする請求項1から請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
印刷開始後に次の記録媒体への印刷が行えるか前記フィルム状媒体のエンプティを検出する際に、
前記取得手段により記録媒体の片面のみに印刷すると取得された場合は、印刷に必要な動作量の中でエンプティを検出することを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム状媒体を使用してカードなどの記録媒体に画像を印刷する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
厚紙やプラスチックカードなどの記録媒体上に顔写真、文字情報などの画像を形成する印刷装置として、一旦フィルム状の転写媒体に画像を形成し、当該転写媒体に形成された画像を記録媒体に転写印刷する装置が知られている。
【0003】
この種の印刷装置では、まずロール状の1又は複数色のインクが記録媒体のカード幅に対応した一定の間隔毎に塗布されたインクリボンを用いてロール状の転写フィルム上に画像を熱転写(一次転写)し、次に転写フィルムの画像を記録媒体に熱転写(二次転写)するようにしている。
【0004】
このロール状に形成されたインクリボンと転写フィルム(以下、これらを総称して「フィルム状媒体」という)は、供給スプールと巻取スプールに巻回されて両スプール間に架け渡された状態でカセットケースに収容されている。したがって、フィルム状媒体は、供給スプールから繰り出される方向と誤差(ずれ)を生じることなく同じ方向に移動していかないと、記録媒体の印刷表面と正対して画像を形成することができずに印刷品質が低下する。
【0005】
フィルム状媒体がインクリボンの場合は、インクリボンの基体であるフィルムの表面に昇華性のインクが塗布されており、印刷装置は、フィルム上のインクの未使用部分を供給スプールから取り出して、転写フィルムに重ねた状態でサーマルヘッドとプラテンローラとで挟持することにより、転写フィルムの表面にインクを昇華させて画像を印刷している。しかしながら、インクリボンは、常に取り出し方向に搬送されていくとは限らず、供給スプールに巻き取る方向で巻き戻しすることもある。例えば、通常サイズとハーフサイズの2種類の記録媒体に選択的に印刷する印刷装置にあっては、ハーフサイズの記録媒体の印刷時には、インクリボンにおいて一回の印刷で使用されインク塗布領域の半分はインク未使用の状態で巻き取られるために、次に、ハーフサイズの印刷動作となると、インク未使用部分のある領域を転写フィルムへの転写位置にまで巻き戻して使用する印刷装置が知られている(特許文献1を参照)。
【0006】
しかし、インクリボンを巻き戻して使用する際に巻き戻し量が多くなると巻きムラ等によって印刷時に印刷皺が発生しやすくなることから、特許文献1では、一定量以上の巻き戻しが必要な場合には、ハーフサイズの印刷動作時であっても巻き戻しせずに、そのとき転写フィルムへの転写位置にあるインクリボンの部分で印刷を行っている。以上はインクリボンの説明であるが、転写フィルムについても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、印刷装置は、電源投入時、フィルム状媒体の交換時、点検時、或いはリセットスイッチ等の操作によるリセット動作時においては、それぞれロール状に形成されたフィルム状媒体の巻き戻しと巻き取りとを行ってその種類やエンプティを検出するイニシャライズ(初期化動作)を行っている。
【0009】
しかし、フィルム状媒体は、巻取スプールの巻き取りにより移動するとき、搬送機構の構造やフィルム個々のバラツキなどで移動時にフィルムの長手方向での上辺と下辺に掛るテンションは厳密には一定ではなく、当初に供給スプールで巻回されていたように、先に巻回された部分に対して後続する部分が正確に重なるように整った状態では巻回されていかない。
【0010】
そして、フィルム状媒体が巻取スプールに不均一な状態で巻回されていると、フィルム状媒体を巻き戻ししたときには巻取スプールから斜行して繰り出されることになり、その姿勢が搬送移動時で進行方向からずれた状態、いわゆるスキューした状態となる。また、スキューした状態はフィルム状媒体の巻き戻しと巻き取りの搬送量が多ければ多いほど悪化する。
【0011】
よって、フィルム状媒体のイニシャライズ動作における種類やエンプティの検出は、記録媒体の両面に印刷することを前提とした搬送量となっており、記録媒体の片面のみに印刷するユーザにとっては過剰な搬送量っているため、スキューを悪化させていた。
【0012】
本発明は上記事案に鑑み、イニシャライズ時のフィルム状媒体の搬送量を少なくし、フィルム状媒体のスキューを抑え高印刷品質の印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、一枚の記録媒体の印刷に使用される領域が長手方向に連続してロール状に形成されたフィルム状媒体を使用して印刷を行う印刷装置であって、前記フィルム状媒体の印刷未使用の領域の部分が巻回される供給部と、前記フィルム状媒体の印刷使用後の領域の部分が巻回される巻取部と、前記供給部と前記巻取部の間で前記フィルム状媒体を搬送する搬送手段と、前記フィルム状媒体の情報を前記フィルム状媒体上に形成された所定のマークから検出するマーク検出手段と、イニシャライズ動作直後の印刷がカードの片面のみに印刷するか否かの情報を取得する取得手段と、前記搬送手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記イニシャライズ動作における前記マーク検出手段の検出結果に基づいて前記フィルム状媒体の種類および/またはエンプティを検出する際に、前記取得手段で取得した情報に応じて前記フィルム状媒体の搬送量を変化させることを特徴とする印刷装置を提供するものである。
【0014】
本発明において、取得手段は、イニシャライズ動作直後の印刷が記録媒体の片面のみを印刷するか否かの情報を印刷モード、印刷データ、前記フィルム状媒体のマーク情報の何れから取得し、制御手段は、取得結果に応じて、片面のみに印刷する場合のイニシャライズ動作の前記フィルム状媒体の搬送量が、両面に印刷する場合のイニシャライズ動作の前記フィルム状媒体の搬送量よりも少なくなるように搬送手段を制御する。
【0015】
また、印刷開始後に次の記録媒体への印刷が行えるか前記フィルム状媒体のエンプティを検出する際に、制御手段は、記録媒体の片面のみに印刷すると取得された場合の前記フィルム状媒体の搬送量が、記録媒体の両面に印刷すると判断された場合の前記フィルム状媒体の搬送量よりも少なくなるようにし、かつ、記録媒体の片面のみに印刷すると取得された場合は、印刷に必要な動作量の中でエンプティを検出するように搬送手段を制御する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、片面のみに印刷を行うユーザに対して、フィルム状媒体の種類やエンプティを検出する際の転写フィルムの搬送量を少なくすることで、転写フィルムのスキューを防止でき、安定した印刷品質を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係わる印刷装置の一実施形態の全体構成図を示す。
【
図2】転写フィルム46の種類を検知マークの本数で判別する際の、転写フィルム46の構成を模式図で示す。
【
図3】転写フィルム46の種類を検知マークの本数で判別する際の、転写フィルム種類毎の検知マークM1と検知マークM2の本数をマトリクスにより示す。
【
図4】転写フィルム46の種類を検知マークの幅で判別する際の、転写フィルム46の構成を模式図で示す。
【
図5】転写フィルム46の種類を検知マークの幅で判別する際の、転写フィルム種類毎の検知マークM1と検知マークM2の幅をマトリクスにより示す。
【
図6】転写フィルム46上のエンプティマークMeの配置を模式図で示す。
【
図7】イニシャライズ直後の印刷が片面のみに印刷しない場合の、転写フィルム46の種類およびエンプティを検出するためのイニシャライズ動作量を模式図で示す。
【
図8】イニシャライズ直後の印刷が片面のみに印刷する場合の、転写フィルム46の種類およびエンプティを検出するためのイニシャライズ動作量を模式図で示す。
【
図9】イニシャライズ直後の印刷がカードの片面のみに印刷するか否かの情報を、第1取得方法および第2取得方法で取得する場合の、転写フィルム46のイニシャライズ動作における印刷装置の状態を模式的に示す説明図であり、(A)はその1、(B)はその2、(C)はその3、(D)はその4、(E)はその5、(F)はその6を示す。
【
図10】イニシャライズ直後の印刷がカードの片面のみに印刷するか否かの情報を、第3取得方法で取得する場合の、転写フィルム46のイニシャライズ動作における印刷装置の状態を模式的に示す説明図であり、(A)はその1、(B)はその2、(C)はその3、(D)はその4、(E)はその5、(F)はその6、(G)はその7を示す。
【
図11】印刷後の次のカードへ印刷するのに必要な転写フィルム46の印刷領域が残っているか確認する際の、転写フィルム46上のエンプティマークMeの配置を模式図で示す。
【
図12】印刷後の次のカードへ印刷するのに必要な転写フィルム46の印刷領域が両面印刷分残っているか確認する際の、転写フィルム46を一次転写開始位置へ搬送する動作における印刷装置の状態を模式的に示す説明図であり、(A)はその1、(B)はその2、(C)はその3、(D)はその4、(E)はその5を示す。
【
図13】印刷後の次のカードへ印刷するのに必要な転写フィルム46の印刷領域が片面印刷分残っているか確認する際の、転写フィルム46を一次転写開始位置へ搬送する動作における印刷装置の状態を模式的に示す説明図であり、(A)はその1、(B)はその2、(C)はその3、(D)はその4を示す。
【
図14】本発明が適用可能な実施の形態の印刷装置を含む印刷システムの外観図である。
【
図15】実施形態の印刷装置の制御部の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、好適な実施の形態に基づいて本発明を詳述する。
【0019】
1.構成
1-1.システム構成
図14および
図15に示すように、本実施形態の印刷装置1は印刷システム200の一部を構成している。すなわち、印刷システム200は、大別して、上位装置201(例えば、パーソナルコンピュータ等のホストコンピュータ)と、印刷装置1とで構成されている。
【0020】
印刷装置1は、図示を省略したインターフェースを介して、上位装置201に接続されており、上位装置201から印刷装置1に画像データや磁気的ないし電気的記録データ等を送信して、記録動作等を指示することが可能である。なお、印刷装置1は、オペパネ部(操作表示部)5を有しており(
図15参照)、上位装置201からの記録動作指示の他、オペパネ部5からの記録動作指示も可能である。
【0021】
上位装置201には、デジタルカメラやスキャナ等の画像入力装置204、上位装置201に命令やデータを入力するためのキーボードやマウス等の入力装置203、上位装置201によって生成されたデータ等の表示を行なう液晶ディスプレイ等のモニタ202が接続されている。
【0022】
1-2.印刷装置
図1は本発明に係わる印刷装置1の全体構成を示している。印刷装置1は、各種証明用のIDカード、商取引用のクレジットカードのような記録媒体(以下、「カード」と称す)に情報を記録するもので、ハウジング2には、情報記録部Aと画像形成部Bと媒体収容部Cと収容部Dとが設けられている。
【0023】
(1)情報記録部A
情報記録部Aは、非接触式IC記録部23と、磁気記録部24と、接触式IC記録部27とで構成される。
【0024】
(2)媒体収容部C
媒体収容部Cは、複数枚のカードを立位姿勢で整列して収納しており、その先端には分離開口7が設けられて、ピックアップローラ19にて最前列のカードから繰り出し供給するようになっている。なお、本実施形態では、横85.6mm、縦53.9mmの標準サイズのカードが用いられる。
【0025】
繰り出されたカードは、まず搬入ローラ22の回転で反転ユニットFに送られる。反転ユニットFは装置フレーム2に旋回動可能に軸受け支持された回転フレーム80と、このフレームに回転自在に支持される2つのローラ対20および21で構成される。上記した非接触式IC記録部23、磁気記録部24および接触式IC記録部27は、反転ユニットFが旋回する外周に配置されている。そして、ローラ対20および21によって形成される媒体搬入経路65は、反転ユニットFの回転によりこれらの情報記録部の何れにも接続可能であり、カードにはこれらの記録部において所与のデータを磁気的若しくは電気的に書き込むことができる。
【0026】
(3)画像形成部B
画像形成部Bは、カードの片面又は両面に顔写真、文字データなど画像を形成するもので、媒体搬入経路65の延長上にカードを移送する媒体搬送経路P1が設けられている。また、媒体搬送経路P1にはカードを搬送する搬送ローラ29、30が配置され、図示しない搬送モータに連結されている。そして、画像形成部Bは、モータMr2の駆動によって回転する巻取スプール48Aと供給スプール47Aとに装架されている転写フィルム46に対して、まずサーマルヘッド40とプラテンローラ45とにより画像を印刷する一次転写部B1と、続いてヒートローラ33とプラテンローラ31とによって媒体搬送経路P1にあるカードの表面に転写フィルム46に印刷された画像を印刷する二次転写部B2とを備えている。
【0027】
転写フィルム搬送ローラ49は、その周面に配置されるピンチローラ32aおよび32bとでニップして転写フィルム46を移送する駆動ローラであって、このローラ49の駆動を制御することで転写フィルム46の搬送量および搬送停止位置が決まる。ピンチローラ32aおよび32bは、転写フィルム搬送ローラ49に対して進出および退避するよう移動可能に構成されており、転写フィルム搬送ローラ49に進出して圧接することで転写フィルム46を転写フィルム搬送ローラ49に巻き付ける。
【0028】
インクリボン41は、モータMr1、Mr3の駆動によりカセット42内の回転する供給ロール43と巻取ロール44にそれぞれ巻き取りないし繰り出される。すなわち、カセット42内には、供給ロール43の中心に供給スプール43A、巻取ロール44の中心に巻取スプール44Aが配されており、供給スプール43Aには図示しないギアを介してモータMr3の回転駆動力が伝達され、巻取スプール44Aには図示しないギアを介してモータMr1の回転駆動力が伝達される。モータMr1およびモータMr3には正逆転可能なDCモータが用いられており、モータMr1、Mr3のモータ軸には出力軸側とは反対側の位置にこれらのモータの回転数をそれぞれ検出する不図示のエンコーダが設けられている。
【0029】
本実施形態で用いるインクリボン41は、合成樹脂等の帯状の材料からなるベースフィルム上に、矢印で示す移動方向に沿って、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各昇華性インクがそれぞれ塗布される4通りのパネルを有している。そして、一つのパネルは一枚のカードの長手方向の寸法と同じ長さに設定されており、転写フィルム46に一枚のカードに印刷する画像を転写する際には、この4通りのパネルを転写フィルム46に順次熱圧着させていく。したがって、C,M,Y,Kの4つのパネルで一枚のカードの印刷に使用される一つの領域を構成しており、インクリボン41には、この領域がベースフィルムの長手方向に沿って順次繰り返し配置されている。尚、印刷装置1が単色で印刷を行う場合には、インクリボン41の一つのパネルが一つの領域となる。
【0030】
そして、インクリボン41のC,M,Y,Kの各パネルの先頭には、それぞれのパネルの先頭を識別するために、センサーSe1によって検知される検知マークが設けられており、特に、Cパネルの先頭の検知マークは、当該領域の先頭として認識される。センサーSe1は、サーマルヘッド40とプラテンローラ45とによる印刷位置から所定距離だけ離れた位置に配設されているが、この距離は、例えば、ある領域のCパネルの先頭が印刷位置にあるとき、センサーSe1は、所定数の領域を置いた後段にある別の領域のCパネルの検知マークを検知するような関係で配置されている。
【0031】
転写フィルム46は、モータMr2、Mr4の駆動により転写フィルムカセット内の回転する供給ロール47と巻取ロール48にそれぞれ巻き取りないし繰り出される。すなわち、転写フィルムカセット内には、供給ロール47の中心に供給スプール47A、巻取ロール48の中心に巻取スプール48Aが配されており、供給スプール47Aには図示しないギアを介してモータMr2の回転駆動力が伝達され、巻取スプール48Aには図示しないギアを介してモータMr4の回転駆動力が伝達される。モータMr2およびモータMr4には正逆転可能なDCモータが用いられており、モータMr2、Mr4のモータ軸には出力軸側とは反対側の位置にこれらのモータの回転数をそれぞれ検出する不図示のエンコーダ(以下、モータMr2のエンコーダ、モータMr4のエンコーダという。)が設けられている。
【0032】
本実施形態では、転写処理前の転写フィルム46が供給スプール47Aに巻回されており、使用済み(二次転写部B2で転写処理された部分)の転写フィルム46が巻取スプール48Aに巻回されている。よって、転写フィルム46に対して画像形成処理および転写処理を行う際は、供給スプール47Aから転写フィルム46を巻き取スプール48A側に一旦繰出し、供給スプール47Aで転写フィルム46を巻き取りながら画像形成処理および転写処理を行う。
【0033】
そして、転写フィルム46には、カードの長手方向の寸法に等しい間隔を置いて、センサーSe2およびSe3によって検知される検知マークが設けられている。転写フィルム46の場合には、隣り合ったこの検知マークどうしの間の部分がカード一面の印刷に使用される一つの領域となる。
【0034】
転写フィルム46は、
図2および
図4に示すように、検知マークM1およびM2の本数や幅に差異を持たすことで、カードの片面のみを印刷対象とする転写フィルムFaと、カードの片面または両面を印刷対象とする転写フィルムFbと、カードの両面のみを印刷対象とする転写フィルムFcとを識別できるようにしている。また、
図2および
図4に示す検知マークM3は、転写フィルム46の種類検出およびエンプティ検出の対象となるマークではない。
【0035】
さらに、転写フィルム46は、
図6に示すように、検知マークM1およびM2よりも十分広い幅のエンプティマークMeを配置することで、転写フィルム46のエンプティ(使用限界)を検出することを可能する構成となっている。
【0036】
(4)収容部D
画像形成部Bの下流側には、一組の搬送ローラ37および38によって搬送される媒体搬送経路P2が設けられて、印刷後のカードは、媒体搬送経路P2を通ってデカール機構36により熱転写により生じたカールが矯正されながら収容部Dへ導入される。収容部Dのカードを収容するスタッカ60は、昇降機構61によって上下方向に移動するように構成されている。
【0037】
1-3.制御部および電源部
次に、印刷装置1の制御部および電源部について説明する。
図15に示すように、印刷装置1は、印刷装置1全体の動作制御を行う制御部100と、商用交流電源から各機構部および制御部等を駆動/作動可能な直流電源に変換する電源部120とを有している。
【0038】
(1)制御部
図15に示すように、制御部100は、印刷装置1の全体の制御処理を行うマイクロコンピュータユニット(MCU)102(以下、MCU102と略称する。)を備えている。MCU102は、中央演算処理装置として高速クロックで作動するCPU、印刷装置1のプログラムやプログラムデータが記憶されたROM、CPUのワークエリアとして働くRAM、およびこれらを接続する内部バスで構成されている。
【0039】
MCU102には外部バスが接続されている。外部バスには、上位装置201との通信を行うための図示を省略したインターフェース、カードに画像を形成すべき印刷データやカードの磁気ストライプや収容ICに磁気的ないし電気的に記録すべき記録データ等を一時的に格納するメモリ101が接続されている。
【0040】
また、外部バスには、Se1~Se3の各種センサーや転写フィルム搬送モータMr5、モータMr2、Mr4のエンコーダからの信号を処理する信号処理部103、各モータに駆動パルスや駆動電力を供給するモータドライバ等を含むアクチュエータ制御部104、サーマルヘッド40を構成する発熱素子への熱エネルギを制御するためのサーマルヘッド制御部105、オペパネ部5を制御するための操作表示制御部106および上述した情報記録部Aが接続されている。
【0041】
(2)電源部
電源部120は、制御部100、サーマルヘッド40、ヒートローラ33、オペパネ部5および情報記録部A等に作動/駆動電源を供給している。
【0042】
2.動作
2-1.印刷動作
画像形成部Bの印刷動作について説明する。印刷装置1は、インクリボン41と転写フィルム46とを重ね合せてプラテンローラ45とサーマルヘッド40とで挟持し、ヘッドコントロールIC(図示せず)によって印刷する画像データに基づきサーマルヘッド40を加熱制御することで、一次転写動作を行なう。印刷開始時、印刷装置1は、センサーSe1およびSe2からの検知信号に基づいて、転写フィルム46の巻取スプール48Aとインクリボン41の巻取スプール44Aの駆動を制御して、転写フィルム46の転写する領域の先頭とインクリボン41のCパネルの先頭とを印刷位置で位置合わせしている。そして、位置合わせの状態から、印刷装置1は、インクリボン41と転写フィルム46とをサーマルヘッド40とプラテンローラ45とで挟持しながら、巻取スプール44Aよる巻取り動作と転写フィルム搬送ローラ49の回転動作を制御して、インクリボン41のCパネルと転写フィルム46の1領域分を同時に搬送することでシアンによる印刷を行った後、挟持を解除して転写フィルム46の印刷した1領域分を逆戻しする。
【0043】
こうして転写フィルム46を巻き戻したとき、印刷位置には逆戻した転写フィルム46の1領域分の先頭とインクリボン41のMパネルの先頭とが位置合わせされており、次に印刷装置1は、巻取スプール44Aと転写フィルム搬送ローラ49の回転動作を制御して、再びインクリボン41と転写フィルム46とをサーマルヘッド40とプラテンローラ45とで挟持しながら搬送することでマゼンタによる印刷を行う。そして、挟持を解除して転写フィルム46の1領域分を逆戻して、同じ動作でイエローによる印刷を行う。そして、ブラックによる印刷も同様に行って一次転写を終了する。
【0044】
一次転写後、印刷装置1は、転写フィルム46への印刷が終了したインクリボン41を剥離コロ25と剥離部材28とで転写フィルム46から引き剥がして、剥離されたインクリボン41をモータMr1の駆動にて巻取スプール44Aに巻き取る。そして、転写フィルム46は転写フィルム搬送ローラ49によってプラテンローラ31とヒートローラ33まで搬送されて、印刷装置1は、転写フィルム46をカードと共にヒートローラ33およびプラテンローラ31とで挟持して、ヒートローラ33を加熱することでて転写フィルム46上の画像をカード表面に二次転写して印刷を行う。
【0045】
2-2.イニシャライズ動作
転写フィルム46のイニシャライズ動作について説明する。印刷装置1は、電源投入後、転写フィルム46の交換後、点検後、或いはリセットスイッチ等の操作によるリセット動作後において、1枚目の印刷動作前に転写フィルム46の巻き戻しと巻き取りを行い、その種類やエンプティの検出を行っている。
【0046】
ここからは、転写フィルム46の種類検出について説明する。巻取スプール48Aの方向へ転写フィルム46を巻き戻し、供給スプール47Aに巻回されている未使用の領域がセンサーSe3付近に到達した後にセンサーSe3を監視し、検知マークM1およびM2それぞれの本数や幅をモータMr2のエンコーダの出力クロック数によって計測する。まず、検知マークの本数で検出する例としては、検知マークM1が2本、検知マークM2が2本と計測された場合は、
図3のマトリクスに照らし合わせて転写フィルム種類をFbとする。次に、検知マークの幅で検出する例としては、検知マークM1が4mm、検知マークM2が6mmと計測された場合は、
図5のマトリクスに照らし合わせて転写フィルム種類をFcとなる。なお、本実施形態では、
図2および
図4に示す転写フィルムFaが片面印刷専用の転写フィルム、転写フィルムFbが片面印刷および両面印刷共用の転写フィルム、転写フィルムFcが両面印刷専用の転写フィルムとなっている。
【0047】
また、転写フィルム46のエンプティ検出は、転写フィルム46の種類検出動作を継続することで行われる。具体的には、種類検出動作においてセンサーSe3で検知マークM1を検出してから
図7に示す転写フィルム46の2パネル長である304mm動作し、この動作において検知マークM1およびM2よりも十分広い幅のエンプティマークMeをセンサーSe3で検出した場合にエンプティ状態と判断する。この動作により、転写フィルム46の未使用の領域が少なくとも2パネルあることを確認できるので、イニシャライズ後にカードの両面に印刷する残量があることを確認できる。
【0048】
最後に、転写フィルム46の種類検出およびエンプティ検出のための巻き戻し動作停止後、転写フィルム46の未使用の領域が供給スプール47Aに巻回させるまで、供給スプール47Aの方向へ転写フィルム46を巻き取る。これは、転写フィルム46の未使用の領域を供給スプール47Aに巻回されていない状態で保持していると、印刷装置1内の埃などが附着することで、印刷品位が悪化してしまうためである。
【0049】
以上が、転写フィルム46のイニシャライズ動作の説明であるが、転写フィルム46やインクリボン41のようなフィルム状媒体は、供給スプール47A(43A)から取り出された直後には、その長手方向での姿勢の向きと搬送される方向とは正確に一致しているが、巻取スプール48A(44A)と供給スプール47A(43A)間での巻き取りと巻き戻しによる往復移動を行うと、巻取スプール48A(44A)には不均一な状態で券回されているために、巻き戻し時には斜行して繰り出されてスキューするようになる。そして、スキューした状態で印刷が行われると、正確に印刷することができなくなる。
【0050】
また、従来はイニシャライズ直後の印刷がカードの片面のみに印刷するか否かによらず、両面印刷を想定し、イニシャライズ時の転写フィルム46のイニシャライズ動作を決めていたので、カードの片面のみに印刷を行うユーザに対しては、過剰な動作でありスキューに伴う印刷品位を損ねていた。
【0051】
よって、本発明に係る印刷装置1は、イニシャライズ直後の印刷がカードの片面のみに印刷するか否かの取得結果に応じて、片面のみに印刷する場合のイニシャライズ動作の転写フィルム46の搬送量が、両面に印刷する場合のイニシャライズ動作の転写フィルム46の搬送量よりも少なくすることで、片面のみに印刷する場合のスキュー状態を改善する。
以下、イニシャライズ直後の印刷がカードの片面のみに印刷するかの情報取得方法と、片面のみに印刷する場合の転写フィルム46のイニシャライズ動作を説明していく。
【0052】
3-1.片面のみに印刷するかの情報取得方法
イニシャライズ直後の印刷が片面のみに印刷するかの情報取得方法について、3つの方法を順に説明する。
【0053】
(1)第1取得方法
オペパネ部5からの入力や、上位装置201からの設定コマンドを受信することにより、片面のみに印刷するか否かの情報(機器設定)を取得する。他の取得方法に対して、片面印刷および両面印刷の機器設定を一度行うと、機器設定以外の印刷が出来なくなり、印刷面を変更するたびに機器設定を変更する必要がある。
【0054】
(2)第2取得方法
上位装置201から受信した印刷データが片面印刷の要求なのか、両面印刷の要求なのかにより、片面のみに印刷するか否かの情報を取得する。他の取得方法に対して、印刷データを受信するまで転写フィルム46のイニシャライズ動作を実行できないので、印刷データ受信から印刷終了までの時間が他の方法に対して要することとなる。
【0055】
(3)第3取得方法
まず、転写フィルム46のイニシャライズ動作を開始し、検知マークM1の本数または幅をセンサーSe3で測定し、測定結果が片面印刷専用の転写フィルムなのか否かにより、片面のみに印刷するか否かの情報を取得する。なお、本実施形態では、
図2および
図4に示す転写フィルムFaが片面印刷専用の転写フィルムとなっている。ここで、片面印刷専用の転写フィルムFaの検出条件を説明すると、
図2で示すマークの本数で転写フィルム種類を検出する場合は、
図3に示すマークM1の本数が1本の場合に、片面印刷専用の転写フィルムFaと検出する。次に、
図4で示すマークの幅で転写フィルム種類を検出する場合は、
図5に示すマークM1の幅が2mmの場合に、片面印刷専用の転写フィルムFaと検出する。
他の取得方法に対して、片面のみを印刷するか否かの情報取得を自動で行うことが出来るが、転写フィルム46のカードの片面または両面を印刷対象とする転写フィルムFbの場合は、片面のみに印刷するか否かの情報を取得できない。
【0056】
3-2.片面のみに印刷する場合のイニシャライズ動作
ここまでに説明した3つの取得方法における、転写フィルム46のイニシャライズ動作は2通りとなる。第1取得方法および第2取得方法の場合はイニシャライズ動作前に情報を取得するので同じ動作となり、第3取得方法はイニシャライズ動作開始後に情報を取得するので他の取得方法の場合と異なる動作となる。但し、異なるのは動作フローのみであり、動作量に差異はないので、転写フィルム46のスキューに対する効果は同等となる。
【0057】
(1)第1取得方法および第2取得方法で取得する場合
図9(A)は、印刷装置1が待機ポジションにある状態を示したものである。このとき、転写フィルム46の未使用の領域と使用済みの領域の境界を示す検知マークM1が剥離ピン79と供給ロール47との間に位置しており、転写フィルム46の未使用の領域および検知マークM2は供給ロール47に巻かれた状態に位置付けられている。つまり、この状態で露出している(スプールに巻かれていない)転写フィルム46は全て使用済みの状態である。
【0058】
図9(B)は、
図9(A)に示した待機ポジションにおいて、モータMr2およびモータMr4を駆動させて、検知マークM1がセンサーSe3付近に到達した後にセンサーSe3を監視することでフィルム種類検出およびエンプティ検出を開始する状態を示したものである。このフィルム種類検出およびエンプティ検出を行う動作量が、第1取得方法および第2取得方法で取得したイニシャライズ後の印刷がカードの片面のみに印刷するか否かの情報に応じて異なることになる。
【0059】
図9(C)は、カードの片面のみに印刷するか否かの情報が両面印刷であった場合の、
図9(B)に示した状態から、フィルム種類検出およびエンプティ検出を終える状態を示したものである。片面のみでない場合、フィルム種類検出およびエンプティ検出を行う動作量は、
図7に示す転写フィルム46の2パネル長である304mmとなる。また、
図9(E)は、この304mmの動作の中で、エンプティマークMeを検出した状態を示している。
【0060】
図9(D)は、カードの片面のみに印刷するか否かの情報が片面印刷であった場合の、
図9(B)に示した状態から、フィルム種類検出およびエンプティ検出を終える状態を示したものである。片面のみの場合、フィルム種類検出およびエンプティ検出を行う動作量は、
図8に示す転写フィルム46の1パネル長である152mmとなる。よって、片面のみでない場合に対して、152mm動作量が削減されることになる。また、
図9(F)は、この152mmの動作の中で、エンプティマークMeを検出した状態を示している。
【0061】
フィルム種類検出およびエンプティ検出を終えると、
図9(A)に示した待機ポジションへモータMr2およびモータMr4を駆動させて移動し、イニシャライズ動作は終了となる。この動作量も、
図9(D)に示す状態から
図9(A)に示す状態への動作量が、
図9(C)に示す状態から
図9(A)に示す状態への動作量よりも152mm削減されることになる。
【0062】
(2)第3取得方法で取得する場合
図10(A)は、印刷装置1が待機ポジションにある状態を示したものである。このとき、転写フィルム46の未使用の領域と使用済みの領域の境界を示す検知マークM1が剥離ピン79と供給ロール47との間に位置しており、転写フィルム46の未使用の領域および検知マークM2は供給ロール47に巻かれた状態に位置付けられている。つまり、この状態で露出している(スプールに巻かれていない)転写フィルム46は全て使用済みの状態である。
【0063】
図10(B)は、
図10(A)に示した待機ポジションにおいて、モータMr2およびモータMr4を駆動させて、検知マークM1がセンサーSe3付近に到達した後にセンサーSe3を監視することでカードの片面のみに印刷するか否かの情報取得を開始する状態を示したものである。
【0064】
図10(C)は、
図10(B)に示した動作に続いて、センサーSe3で検知マークM1を検出し、カードの片面のみに印刷するか否かの情報、つまり片面専用フィルムなのかの情報を取得する状態を示したものである。この取得結果によって、続いて動作するフィルム種類検出およびエンプティ検出の動作量が異なることになる。
【0065】
図10(D)は、カードの片面のみに印刷するか否かの情報が片面専用フィルムでなかった場合の、
図10(C)に示した状態から、フィルム種類検出およびエンプティ検出を終える状態を示したものである。片面専用フィルムでなかった場合、フィルム種類検出およびエンプティ検出を行う動作量は、
図7に示す転写フィルム46の2パネル長である304mmとなる。また、
図10(F)は、この304mmの動作の中で、エンプティマークMeを検出した状態を示している。
【0066】
図10(E)は、カードの片面のみに印刷するか否かの情報が片面専用フィルムであった場合の、
図10(C)に示した状態から、フィルム種類検出およびエンプティ検出を終える状態を示したものである。片面専用フィルムの場合、フィルム種類検出およびエンプティ検出を行う動作量は、
図8に示す転写フィルム46の1パネル長である152mmとなる。よって、片面専用フィルムでなかった場合に対して、152mm動作量が削減されることになる。また、
図10(G)は、この152mmの動作の中で、エンプティマークMeを検出した状態を示している。
【0067】
フィルム種類検出およびエンプティ検出を終えると、
図10(A)に示した待機ポジションへモータMr2およびモータMr4を駆動させて移動し、イニシャライズ動作は終了となる。この動作量も、
図10(E)に示す状態から
図10(A)に示す状態への動作量が、
図10(D)に示す状態から
図10(A)に示す状態への動作量よりも152mm削減されることになる。
【0068】
3-3.片面のみに印刷する場合の印刷動作
次に、印刷後の次のカードへの印刷が片面のみに印刷する場合の、転写フィルム46の印刷動作における一次転写開始位置への搬送動作について説明する。また、片面のみに印刷するか否かの情報を取得する方法が3つの取得方法いずれであっても、本動作の動作フローは共通となる。
【0069】
まず、印刷動作におけるエンプティマークMeの検出について説明する。転写フィルム46の印刷動作における一次転写開始位置への搬送動作において、印刷後の次のカードへ印刷するのに必要な転写フィルム46の印刷領域が残っているか確認するため、エンプティマークMeの検出を行う必要がある。
図11(A)の印刷領域R1は、本印刷動作で印刷を行う転写フィルム46の領域、
図11(A)の印刷領域R2およびR3は、本印刷後の次のカードへ印刷を行う転写フィルム46の領域を示している。本印刷後の次のカードへの印刷が片面のみでない場合、つまり両面印刷の場合は、
図11(A)に示す印刷領域R2およびR3が印刷可能か確認する必要があり、
図11(B)に示す印刷領域R3、および
図11(C)示す印刷領域R2の領域にエンプティマークMeがある場合はエンプティを検出する。次に、本印刷後の次のカードへの印刷が片面のみの場合、つまり片面印刷の場合は、
図11(A)に示す印刷領域R2が印刷可能か確認する必要があり、
図11(C)示す印刷領域R2の領域にエンプティマークMeがある場合はエンプティを検出する。
【0070】
(1)次のカードへの印刷が片面のみでない場合
次のカードへの印刷が片面のみでない場合、つまり両面印刷の場合の動作について説明する。
図12(A)は、印刷装置1が待機ポジションにある状態を示したものである。このとき、転写フィルム46の未使用の領域と使用済みの領域の境界を示す検知マークM1が剥離ピン79と供給ロール47との間に位置しており、転写フィルム46の未使用の領域および検知マークM2は供給ロール47に巻かれた状態に位置付けられている。この状態はイニシャライズ動作終了時と同じ状態であり、印刷動作終了時も転写フィルム46を本待機ポジションへ移動させて印刷動作を終了する。
【0071】
図12(B)は、
図12(A)に示した待機ポジションにおいて、モータMr2およびモータMr4を駆動させて、検知マークM2から供給スプール47A側にある印刷領域R2、および検知マークM3から供給スプール47A側にある印刷領域R3にエンプティマークMeがあるか否かをSe3で検出するため、検出対象領域がSe3を通過するまで移動した状態を示したものである。また、
図12(D)は、本動作でエンプティマークMeを検出した状態を示している。
【0072】
図12(C)は、
図12(B)に示した状態から、モータMr2およびモータMr4を駆動させて、一次転写開始位置へ移動した状態を示している。
【0073】
図12(E)は、
図12(C)に示した状態から、プラテンローラ45とサーマルヘッド40とで挟持し、一次転写動作を開始する状態を示している。この後、一次転写動作および二次転写動作を終えると、転写フィルム46を
図12(A)に示した待機ポジションへ移動させて印刷動作を終了する。
【0074】
(2)次のカードへの印刷が片面のみの場合
次のカードへの印刷が片面のみの場合、つまり片面印刷の場合の動作について説明する。
図13(A)は、印刷装置1が待機ポジションにある状態を示したものである。このとき、転写フィルム46の未使用の領域と使用済みの領域の境界を示す検知マークM1が剥離ピン79と供給ロール47との間に位置しており、転写フィルム46の未使用の領域および検知マークM2は供給ロール47に巻かれた状態に位置付けられている。この状態はイニシャライズ動作終了時と同じ状態であり、印刷動作終了時も転写フィルム46を本待機ポジションへ移動させて印刷動作を終了する。
【0075】
図13(B)は、
図13(A)に示した待機ポジションにおいて、モータMr2およびモータMr4を駆動させて、一次転写開始位置へ移動した状態を示している。この動作の中で、検知マークM2から供給スプール47A側にある印刷領域R2にエンプティマークMeがあるか否かをSe3で検出可能であり、(1)次のカードへの印刷が片面のみでない場合よりも、転写フィルム46の搬送量を少なくし、かつ印刷に最低限必要な動作の中で検出できる。
図13(C)は、本動作でエンプティマークMeを検出した状態を示している。
【0076】
図13(D)は、
図13(B)に示した状態から、プラテンローラ45とサーマルヘッド40とで挟持し、一次転写動作を開始する状態を示している。この後、一次転写動作および二次転写動作を終えると、転写フィルム46を
図13(A)に示した待機ポジションへ移動させて印刷動作を終了する。
【0077】
上記説明は転写フィルム46で説明したが、インクリボン41の場合も同様であり、イニシャライズ後の印刷がカードの片面のみに印刷するか否かの情報に従い、イニシャライズにおけるインクリボン41の搬送量を少なくすることで、印刷品質の低下を阻止できる。
【0078】
また、本実施形態では、転写フィルム46の検知マークM1およびM2の本数や幅に差異を持たせることで、フィルム種類を判別する説明をしたが、検知マークM1とM2の距離に差異を持たせることで、フィルム種類を判別してもよい。
【0079】
さらに、本実施形態では、転写フィルム46の種類やエンプティをセンサーSe3で検出する例を示したが、センサーSe2などフィルム状媒体の搬送パス上に配置されたセンサーで検出してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、フィルム状媒体を使用してカードなどの記録媒体に画像を印刷する印刷装置に関し、フィルム状媒体を過剰に搬送することでスキューし印刷品質が低下するのを防止するものであり、産業上の利用可能性を有する。