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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20220512BHJP
   G08B 29/06 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
G08B17/00 C
G08B29/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018141230
(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公開番号】P2020017188
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】岡 あかね
(72)【発明者】
【氏名】橋口 重彦
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-241086(JP,A)
【文献】特開2019-198640(JP,A)
【文献】実開平05-002294(JP,U)
【文献】特開2015-088880(JP,A)
【文献】特開2000-244373(JP,A)
【文献】特開平08-063691(JP,A)
【文献】特開平11-250368(JP,A)
【文献】米国特許第4528610(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00-17/12
G08B 19/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中継装置を管理する管理システムであって、
前記中継装置は、
防災受信機側からの電力又は電気信号が入力される複数の入力手段と、
前記複数の入力手段に入力された電力又は電気信号を出力する複数の出力手段であって、防災設備が電気的に接続される複数の出力手段と、
電気的に開閉する複数の開閉手段と、を備え、
前記複数の入力手段各々と前記複数の出力手段各々とは、前記複数の開閉手段各々を介して相互に電気的に接続されており、
前記複数の開閉手段は、自己よりも下流側で異常が発生していない場合に、閉じて電気的に接続し、自己よりも下流側で異常が発生した場合に、開いて電気的に遮断し、
前記管理システムは、
前記複数の開閉手段のうちの少なくとも一部の開閉手段について、開閉状態を判定する開閉判定手段と、
前記開閉判定手段の判定結果を出力する判定結果出力手段と、を備える、
管理システム。
【請求項2】
前記中継装置には、当該中継装置を一意に特定する第1アドレスが設定されており、
前記複数の開閉手段各々には、前記第1アドレスが設定されている前記中継装置内で前記複数の開閉手段各々を一意に特定する第2アドレスが設定されており、
前記開閉判定手段は、前記第1アドレス及び前記第2アドレスに基づいて、前記複数の開閉手段の開閉状態を判定する、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記防災設備には、当該防災設備を一意に特定する防災設備アドレスが設定されている設備であるアドレス設定防災設備が含まれており、
前記開閉判定手段は、前記アドレス設定防災設備と前記管理システムとの間の通信状態及び前記防災設備アドレスに基づいて、前記複数の開閉手段のうちの前記アドレス設定防災設備に電気的に接続されている開閉手段の開閉状態を判定する、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項4】
前記判定結果出力手段は、前記中継装置側にて前記開閉判定手段の判定結果を出力する、
請求項1から3の何れか一項に記載の管理システム。
【請求項5】
前記開閉判定手段の判定結果に基づいて、前記複数の開閉手段よりも下流側で異常が発生している位置を出力する異常発生位置出力手段、を備える、
請求項1から4の何れか一項に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視領域を管理する機器としてR型防災受信機が知られていた(例えば、特許文献1参照)。このR型防災受信機は、一般的には、ベル装置や防火戸装置の如き防災設備に電気的に接続されており、当該防災設備側に電力を供給し、また、電気信号を送信することにより、防災設備を制御していた。
【0003】
しかしながら、R型防災受信機には幹線配線が接続されており、当該幹線配線の分岐点から分岐する分岐配線が1つの幹線配線に対して複数設けられており、この複数の分岐配線各々に防災設備が接続されるように構成されていたので、1つの分岐配線にて短絡が発生した場合、短絡の悪影響が当該1つの分岐配線に接続されている配線全てに波及してしまう可能性があった。
【0004】
そこで、分岐配線の途中(つまり、例えば、幹線配線の分岐点と防災設備との間)に接続される短絡切離用中継器が提案されていた。この短絡切離用中継器は、自己よりも下流側で短絡が発生した場合に、分岐配線を電気的に遮断することにより、短絡の悪影響が配線全てに波及することを防止していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-040685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の短絡切離用中継器においては、例えば、各防災設備毎に設ける必要があったので、多数必要になり防災システムの設置スペースが増大してしまったり、あるいは、防災システムのコストが嵩んでしまったりする可能性があった。特に、短絡の悪影響をより効果的に防止する観点からは、短絡切離用中継器については、電力を電気的に遮断するものと、電気信号を電気的に遮断するものの2種類設ける必要があったので、防災システムの設置スペースが更に増大してしまったり、あるいは、防災システムのコストが更に嵩んでしまったりする可能性があった。
【0007】
そこで、本願発明者は、従来の短絡切離用中継器を複数個集約して集約化短絡切離用中継器を製造して利用する概念に想到したが、この概念に基づいて集約化短絡切離用中継器を製造して利用した場合、運用の手間が増大する可能性があった。
【0008】
すなわち、従来の短絡切離用中継器においては、電気的に遮断しているか否かを知る術がなかったので、電気的に遮断した短絡切替用中継器を特定するためには、ユーザは、所定の計測器(例えば、ハンドテスター等)にて配線の電圧状態を確認等する必要があり、手間となっていが、集約化短絡切離用中継器を利用する場合、所定の計測器での電圧状態の確認箇所が増大してしまい、運用の手間が増大する可能性があった。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、中継装置の運用の手間を削減することが可能な管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の管理システムは、中継装置を管理する管理システムであって、前記中継装置は、防災受信機側からの電力又は電気信号が入力される複数の入力手段と、前記複数の入力手段に入力された電力又は電気信号を出力する複数の出力手段であって、防災設備が電気的に接続される複数の出力手段と、電気的に開閉する複数の開閉手段と、を備え、前記複数の入力手段各々と前記複数の出力手段各々とは、前記複数の開閉手段各々を介して相互に電気的に接続されており、前記複数の開閉手段は、自己よりも下流側で異常が発生していない場合に、閉じて電気的に接続し、自己よりも下流側で異常が発生した場合に、開いて電気的に遮断し、前記管理システムは、前記複数の開閉手段のうちの少なくとも一部の開閉手段について、開閉状態を判定する開閉判定手段と、前記開閉判定手段の判定結果を出力する判定結果出力手段と、を備える。
【0011】
また、請求項2に記載の管理システムは、請求項1に記載の管理システムにおいて、前記中継装置には、当該中継装置を一意に特定する第1アドレスが設定されており、前記複数の開閉手段各々には、前記第1アドレスが設定されている前記中継装置内で前記複数の開閉手段各々を一意に特定する第2アドレスが設定されており、前記開閉判定手段は、前記第1アドレス及び前記第2アドレスに基づいて、前記複数の開閉手段の開閉状態を判定する。
【0012】
また、請求項3に記載の管理システムは、請求項1に記載の管理システムにおいて、前記防災設備には、当該防災設備を一意に特定する防災設備アドレスが設定されている設備であるアドレス設定防災設備が含まれており、前記開閉判定手段は、前記アドレス設定防災設備と前記管理システムとの間の通信状態及び前記防災設備アドレスに基づいて、前記複数の開閉手段のうちの前記アドレス設定防災設備に電気的に接続されている開閉手段の開閉状態を判定する。
【0013】
また、請求項4に記載の管理システムは、請求項1から3の何れか一項に記載の管理システムにおいて、前記判定結果出力手段は、前記中継装置側にて前記開閉判定手段の判定結果を出力する。
【0014】
また、請求項5に記載の管理システムは、請求項1から4の何れか一項に記載の管理システムにおいて、前記開閉判定手段の判定結果に基づいて、前記複数の開閉手段よりも下流側で異常が発生している位置を出力する異常発生位置出力手段、を備える。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の管理システムによれば、開閉状態を判定し判定結果を出力することにより、例えば、ユーザは、所定の計測器(例えば、ハンドテスター等)にて配線の電圧状態を確認等すること無く開閉状態を把握することができるので、中継装置の運用の手間を削減することが可能となる。
【0016】
請求項2に記載の管理システムによれば、第1アドレス及び第2アドレスに基づいて、複数の開閉手段の開閉状態を判定することにより、例えば、中継装置に対して開閉状態を問い合わせることができるので、開閉状態を確実に把握することが可能となる。特に、第1アドレスに加えて第2アドレスを用いることにより、例えば、各開閉手段単位で開閉状態を判定することが可能となるので、ユーザが意図した開閉手段のみの最新の開閉状態を判定して出力することが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の管理システムによれば、アドレス設定防災設備と管理システムとの間の通信状態及び防災設備アドレスに基づいて、開閉手段の開閉状態を判定することにより、例えば、中継装置にアドレスを設定する必要がないので、中継装置を含む防災システム内で利用できるアドレスの個数に制限がある場合、利用するアドレスの個数を節約することが可能となる。
【0018】
請求項4に記載の管理システムによれば、中継装置側にて開閉判定手段の判定結果を出力することにより、例えば、中継装置のメンテナンス作業を行う場合に、中継装置の周囲にて開閉状態を迅速に把握することができるので、メンテナンス作業の効率化を図ることが可能となる。
【0019】
請求項5に記載の管理システムによれば、異常が発生している位置を出力することにより、例えば、異常の発生位置を把握し易くすることができるので、異常の復旧を迅速に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施の形態に係る防災システムの接続図である。
図2】受信機のブロック図である。
図3】設置場所情報を例示した図である。
図4】開閉状態アドレス情報を例示した図である。
図5】切離用中継装置を示す回路図である。
図6】切離用中継装置を示すブロック図である。
図7】切離処理のフローチャートである。
図8】短絡位置を示す防災システムの接続図である。
図9】開閉管理処理のフローチャートである。
図10】警報画面の表示例である。
図11】開閉状態表示画面の表示例である。
図12】変形例の防災システムの接続図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る管理システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0022】
〔実施の形態の基本的概念〕
まずは、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、管理システムに関するものである。
【0023】
「管理システム」とは、中継装置を管理するシステムであり、具体的には、中継装置の複数の開閉手段の開閉状態を管理するシステムであり、例えば、中継装置を管理する専用システム、防災のために用いられる公知の装置(例えば、中継装置自身、あるいは、防災受信機等)に対して中継装置を管理する機能を実装することにより実現されるシステム、あるいは、汎用的に用いられるコンピュータ(一例としては、パーソナルコンピュータ、携帯端末等)に対して中継装置を管理する機能を実装することにより実現されるシステム等を含む概念である。この管理システムは、例えば、開閉判定手段、及び判定結果出力手段を備える。
【0024】
また、「中継装置」とは、防災受信機と防災設備との間で中継する装置であり、具体的には、防災受信機と防災設備との間に電気的に接続されるものであり、例えば、防災受信機と防災設備との間を電気的に接続したり電気的に遮断したりするものである。この中継装置は、例えば、少なくとも複数の入力手段、複数の出力手段、及び複数の開閉手段を備えるものである。
【0025】
また、「防災受信機」とは、監視領域を管理する機器であり、具体的には、火災、又はガス漏れ等の防災を行うものであって、例えば、防災設備を制御することにより防災を行うものであり、一例としては、R型受信機又はP型受信機等含む概念である。「R型受信機」とは、感知器と間で伝送を行うことにより防災を行う機器であり、また、「P型受信機」とは、感知器との間で個々に配線されて防災を行う機器である。
【0026】
また、「感知器」とは、監視領域の火災又はガス漏れ等を検出する機器であって、防災受信機に対して電気的に接続される機器であり、例えば、煙感知器、熱感知器、火災感知器及びガス感知器等を含む概念である。「監視領域」とは、防災受信機による管理の対象となっている領域であり、具体的には、一定の広がりを持った空間であり、例えば、建築物(建物)のフロア(例えば、1階部分、2階部分等)、建築物の部屋(例えば、1階の部屋A、1階の部屋B、2階の部屋C等)、廊下、階段等を含む概念である。
【0027】
また、「防災設備」は、防災のために用いられる設備であって、具体的には、中継装置を介して防災受信機と電気的に接続されるものであり、例えば、ベル装置、防火戸装置、前述の感知器、ガス漏れ検知器、排煙ダンパー装置、発信機、及び中継器等を含む概念である。「ベル装置」とは、例えば、火災発生時に非常ベルを鳴動する公知の装置であり、また、「防火戸装置」とは、例えば、火災発生時に閉じて火災が広がることを防止する公知の装置であり、また、「ガス漏れ検知器」とは、例えば、ガス漏れを検知する公知の装置であり、また、「排煙ダンパー装置」とは、例えば、煙を排出する公知の装置であり、また、「発信機」とは、例えば、押下することにより火災を報知したり断定したりするための公知の装置である。なお、ここでの「ガス漏れ検知器」及び前述の「ガス漏れ感知器」については、相互に同様な概念であるものと解してもよいが、ここでは、例えば、壁に設けられるものが「ガス漏れ検知器」であり、天井に設けられるものが「ガス漏れ感知器」であることとして、説明する。また、「中継器」とは、防災受信機と防災設備との間で中継する装置であり、具体的には、防災受信機と防災設備との間に電気的に接続されるものであり、例えば、前述の中継装置とは異なる公知の装置であって、防災受信機と防災設備との間を電気的に接続したり電気的に遮断したりする機能を有していない公知の装置である。
【0028】
また、「複数の入力手段」とは、防災受信機側からの電力又は電気信号が入力される手段であり、例えば、防災受信機側からの電力のみが入力される手段、防災受信機側からの電気信号のみが入力される手段、及び防災受信機側からの電力及び電気信号の両方が入力される手段を含む概念である。また、「複数の出力手段」とは、複数の入力手段に入力された電力又は電気信号を出力する手段であって、防災設備が電気的に接続される手段であり、例えば、電力のみを出力する手段、電気信号のみを出力する手段、及び電力及び電気信号の両方を出力する手段を含む概念である。また、この複数の入力手段各々と複数の出力手段各々とは、後述する複数の開閉手段各々を介して相互に電気的に接続されている。また、この入力手段及び出力手段の個数は2個以上である限りにおいて任意であり、例えば、3個、4個、5個以上等に対応する。
【0029】
また、「電気信号」とは、電気的な信号であり、例えば、防災設備を制御するための命令の信号であり、一例としては、任意の規格のデジタル信号である。また、「電力」とは、防災設備を動作させるための電力であり、例えば、所定値の(例えば、24V等)の動作電力である。
【0030】
また、「複数の開閉手段」とは、電気的に開閉する手段あり、具体的には、自己よりも下流側で異常が発生していない場合に、閉じて電気的に接続し、自己よりも下流側で異常が発生した場合に、開いて電気的に遮断するものであり、例えば、電力開閉手段、又は電気信号開閉手段を含む概念である。「電力開閉手段」とは、電力について開閉する手段であり、また、「電気信号開閉手段」とは、電気信号について開閉する手段である。「下流側」とは、例えば、防災受信機側と反対側であって、防災設備側である。
【0031】
また、「開閉判定手段」とは、複数の開閉手段のうちの少なくとも一部の開閉手段について、開閉状態を判定する手段であり、「判定結果出力手段」とは、開閉判定手段の判定結果を出力する手段である。なお、「開閉状態」とは、開閉手段の状態であり、例えば、開閉手段が開いている状態、及び開閉手段が閉じている状態を含む概念である。
【0032】
そして、以下の実施形態では、「管理システム」が防災のために用いられる公知の装置である防災受信機に対して中継装置を管理する機能を実装することにより実現されるシステムであり、また、「防災受信機」がR型受信機である場合について説明する。
【0033】
[実施の形態の具体的内容]
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
(構成)
まず、本実施の形態に係る防災システムの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る防災システムの接続図である。なお、受信機5には、監視領域の規模等に応じて任意の数の各幹線が接続されるが、ここでは、図1に示すように、伝送幹線L11、第1制御幹線L12、第2制御幹線L13、第3制御幹線L14を相互に同じ系統に用いられる幹線として図示して、これらの各幹線に着目して説明する。なお、「系統」とは、防災システム100に含まれる防災設備の任意のグループであり、例えば、建物のフロア単位で分けられるグループ等を含む概念である。なお、本明細書における「第1」、「第2」、「第3」等の記載は、単に説明の便宜上付しているものである。
【0034】
防災システム100は、監視領域の防災を行うシステムであり、例えば、受信機5、第1機器群91、及び第2機器群92を備える。なお、第1機器群91及び第2機器群92は、相互に同様な構成であることとし、また、防災システム100には、この第1機器群91及び第2機器群92と同様な機器群が他にも設けられるが、ここでは、第1機器群91に着目して説明し、第2機器群92及び他の機器群の説明は適宜省略する。
【0035】
(構成-受信機)
図2は、受信機のブロック図である。受信機5は、管理システムであって、前述のR型受信機であり、例えば、通信部51、電力供給部52、操作部53、表示部54、記録部55、及び制御部56を備える。
【0036】
(構成-受信機-通信部)
通信部51は、自己以外の機器との間で伝送通信するための通信手段である。この通信部51の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、伝送幹線L11等を介して通信を行う公知の通信回路等を用いて構成することができる。
【0037】
なお、伝送幹線L11は、電気信号の伝送を行うための伝送手段であって、具体的には、図1に示すよう、伝送支線L21を含む複数の伝送支線が分岐している配線であり、例えば、接続されている防災設備の種類を問わずに共通に設けられているものである。伝送支線L21は、伝送幹線L11とベル用中継器31、防排煙用中継器32、及びガス用中継器33とを、切離用中継装置1を介して電気的に接続する配線である。
【0038】
(構成-受信機-電力供給部)
電力供給部52は、自己以外の機器に対して電力を供給する電力供給手段である。この電力供給部52の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、第1制御幹線L12、第2制御幹線L13、及び第3制御幹線L14(以下、「第1制御幹線L12、第2制御幹線L13、及び第3制御幹線L14」を単に「制御幹線」とも総称する)等を介して電力を供給する公知の電力供給回路等を用いて構成することができる。なお、前述の伝送幹線L11、第1制御幹線L12、第2制御幹線L13、及び第3制御幹線L14は、任意の配線(公知の配線を含む配線)を用いることができるが、ここでは、例えば、説明の便宜上、実線で図示している。また、これらの各幹線に直接的に又は間接的に接続される各支線も同様である。特に、各支線としての前述の伝送支線L21、後述の第1制御支線L22、第2制御支線L23、及び第3制御支線L24については、例えば、一対の線、対線等による配線を用いることとして説明する。
【0039】
なお、防災システム100の各制御幹線は、制御を行うために動作電力を供給するための供給手段であり、具体的には、第1制御支線L22、第2制御支線L23、及び第3制御支線L24各々を含む複数の制御支線が各々分岐している配線であり、例えば、接続されている防災設備の種類毎に設けられているものであって、第1制御幹線L12、第2制御幹線L13、及び第3制御幹線L14を備える。
【0040】
第1制御幹線L12は、ベル用中継器31を含む複数のベル用中継器に電力を供給するものであり、また、第2制御幹線L13は、防排煙用中継器32を含む複数の防排煙用中継器に電力を供給するものであり、また、第3制御幹線L14は、ガス用中継器33を含む複数のガス用中継器に電力を供給するものである。
【0041】
第1制御支線L22は、第1制御幹線L12とベル用中継器31とを、切離用中継装置1を介して電気的に接続する配線であり、また、第2制御支線L23は、第2制御幹線L13と防排煙用中継器32とを、切離用中継装置1を介して電気的に接続する配線であり、また、第3制御支線L24は、第3制御幹線L14とガス用中継器33とを、切離用中継装置1を介して電気的に接続する配線である。
【0042】
(構成-受信機-操作部)
操作部53は、ユーザから各種操作入力を受け付ける操作手段である。この操作部53の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、ユーザの指等で押圧されることにより、当該ユーザから各種操作入力を受け付けるタッチパッド等を用いて構成することができる。
【0043】
(構成-受信機-表示部)
表示部54は、制御部56の制御に基づいて情報を表示する表示手段である。この表示部54の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイ等を用いて構成することができる。なお、操作部53のタッチパッドと表示部54のディスプレイとを相互に重畳してタッチパネルとして一体形成することもできる。
【0044】
(構成-受信機-記録部)
記録部55は、受信機5の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる(他の装置も同様とする)。
【0045】
この記録部55には、例えば、地図情報、設置場所情報、機器情報、及び開閉状態アドレス情報が格納されている。
【0046】
「地図情報」とは、防災システム100が防災を行っている監視領域の地図を特定する情報であり、例えば、監視領域の建物の間取りの情報等を含む概念である。そして、このような地図情報の格納手法は任意であるが、例えば、防災システム100の管理者が受信機5の操作部53の操作により入力したり、あるいは、通信部51を介して入力したりすることにより格納されることとする(設置場所情報、及び機器情報も同様とする)。
【0047】
「設置場所情報」とは、防災システム100の装置が設置されている場所を特定する情報である。図3は、設置場所情報を例示した図である。図3に示すように、設置場所情報は、項目「装置ID」、及び項目「場所情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。ここで、項目「装置ID」に対応する情報は、防災システム100の装置を一意に識別する装置識別情報(以下、識別情報を「ID」と称する)である(図3では、図1の切離用中継装置1の装置IDである「ID1」、ガス漏れ検知器23の装置IDである「ID23」、ガス用中継器33の装置IDである「ID33」、及び切離用中継装置4の装置IDである「ID4」等)。また、項目「場所情報」に対応する情報は、防災システム100の装置が設置されている場所を特定する場所情報である(図3では、建物の階数及び通り芯に戻づく座標であり、「1階(1,D)」等)。
【0048】
「機器情報」とは、防災システム100の装置を特定する情報であり、例えば、防災システム100全体の接続図(例えば、図1に図示する接続図)、防災システム100の各機器の仕様情報(例えば、切離用中継装置1の端子や内部配線等を特定する情報等)等を含む概念である。
【0049】
「開閉状態アドレス情報」とは、防災システム100の切離用中継装置のアドレス及び開閉状態を特定する情報である。図4は、開閉状態アドレス情報を例示した図である。図4に示すように、開閉状態アドレス情報は、項目「装置ID」、項目「機器アドレス情報」、項目「スイッチアドレス情報」、及び項目「開閉情報」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。なお、項目「装置ID」に対応する情報は、図3の同一名称の項目の情報と共通である。
【0050】
ここで、項目「機器アドレス情報」に対応する情報は、機器アドレスを特定する機器アドレス情報である(図4では、切離用中継装置1に設定されている機器アドレス情報である「Ad1」、及び切離用中継装置4に設定されている機器アドレス情報である「Ad4」等)。なお、「機器アドレス」とは、第1アドレスであり、具体的には、防災システム100の切離用中継装置を特定する情報であり、例えば、防災システム100内で一意に特定する情報である。
【0051】
また、項目「スイッチアドレス情報」に対応する情報は、スイッチアドレスを特定するスイッチアドレス情報である(図4では、「As1」等)。なお、この図4のスイッチアドレス情報である「As1」等の具体的な内容については後述する。また、「スイッチアドレス」とは、第2アドレスであり、例えば、機器アドレスが設定されている防災システム100の切離用中継装置内で複数の開閉スイッチ各々を一意に特定する情報である。なお、開閉スイッチについては、後述する。
【0052】
また、項目「開閉情報」とは、前述の開閉状態を特定する開閉情報である(図4では、閉じている状態を特定する「ON」、及び開いている状態を特定する「OFF」)。そして、このような開閉状態アドレス情報の格納手法は任意であるが、例えば、装置ID、機器アドレス情報、及び開閉情報については、防災システム100の管理者が受信機5の操作部53の操作により入力したり、あるいは、通信部51を介して入力したりすることにより格納されることとし、また、開閉情報については、後述の開閉管理処理にて格納される。
【0053】
(構成-受信機-制御部)
制御部56は、受信機5を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである(他の装置の制御部も同様とする)。特に、実施の形態に係る制御プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して受信機5にインストールされることで、制御部56の各部を実質的に構成する(他の装置の制御部も同様とする)。
【0054】
この制御部56は、機能概念的に、開閉判定部561、判定結果出力部562、及び異常発生位置出力部563を備える。開閉判定部561は、複数の開閉手段のうちの少なくとも一部の開閉手段について、開閉状態を判定する開閉判定手段である。判定結果出力部562は、開閉判定手段の判定結果を出力する判定結果出力手段である。異常発生位置出力部563は、開閉判定手段の判定結果に基づいて、複数の開閉手段よりも下流側で異常が発生している位置を出力する異常発生位置出力手段である。なお、この制御部56の各部により行われる処理については、後述する。
【0055】
(構成-第1機器群)
図1の第1機器群91は、例えば、切離用中継装置1、ベル装置21、防火戸装置22、ガス漏れ検知器23、ベル用中継器31、防排煙用中継器32、及びガス用中継器33を備える。
【0056】
(構成-第1機器群-ベル装置、防火戸装置、ガス漏れ検知器)
ベル装置21は、防災設備であり、前述したように火災発生時に非常ベルを鳴動する装置であり、例えば、ベル用回線L31を介してベル用中継器31に電気的に接続されているものである。なお、このベル装置21は、公知の構成を適用することができるので、詳細の説明については省略する(防火戸装置22、ガス漏れ検知器23、ベル用中継器31、防排煙用中継器32、及びガス用中継器33も同様とする)。
【0057】
防火戸装置22は、防災設備であり、前述したように火災発生時に閉じて火災が広がることを防止する装置であり、例えば、防排煙用回線L32を介して防排煙用中継器32に電気的に接続されているものである。
【0058】
ガス漏れ検知器23は、防災設備であり、前述したようにガス漏れを検知する公知の装置であり、例えば、ガス用回線L33を介してガス用中継器33に電気的に接続されているものである。
【0059】
(構成-第1機器群-ベル用中継器、防排煙用中継器、及びガス用中継器)
ベル用中継器31、防排煙用中継器32、及びガス用中継器33は、防災設備であって、中継器であり、伝送支線L21を介して受信機5に電気的に接続されているものである。また、ベル用中継器31は、第1制御支線L22を介して受信機5に電気的に接続されているものであり、また、防排煙用中継器32は、第2制御支線L23を介して受信機5に電気的に接続されているものであり、また、ガス用中継器33は、第3制御支線L24を介して受信機5に電気的に接続されているものである。
【0060】
(構成-第1機器群-切離用中継装置)
図5は、切離用中継装置を示す回路図であり、図6は、切離用中継装置を示すブロック図である。切離用中継装置1は、中継装置であり、例えば、図6の一次側端子群11、二次側端子群12、接点群13、記録部14、及び制御部15を備える。なお、切離用中継装置1は、不図示の筐体(ケース)を備えて構成されており、この筐体に一次側端子群11、二次側端子群12が設けられており、また、この筐体に接点群13、記録部14、及び制御部15を収容しているものとする。
【0061】
(構成-第1機器群-切離用中継装置-一次側端子群)
図6の一次側端子群11は、前述の複数の入力手段である。この一次側端子群11の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、図5の伝送用一次側端子Ti11、第1制御用一次側端子Ti12、第2制御用一次側端子Ti13、及び第3制御用一次側端子Ti14を備えて構成される。
【0062】
そして、伝送用一次側端子Ti11は、伝送支線L21の一部である一次側伝送支線L211が電気的に接続されており、当該一次側伝送支線L211を介して伝送幹線L11に電気的に接続されている。また、第1制御用一次側端子Ti12は、第1制御支線L22の一部である一次側第1制御支線L221が電気的に接続されており、当該一次側第1制御支線L221を介して第1制御幹線L12に電気的に接続されている。また、第2制御用一次側端子Ti13は、第2制御支線L23の一部である一次側第2制御支線L231が電気的に接続されており、当該一次側第2制御支線L231を介して第2制御幹線L13に電気的に接続されている。また、第3制御用一次側端子Ti14は、第3制御支線L24の一部である一次側第3制御支線L241が電気的に接続されており、当該一次側第3制御支線L241を介して第3制御幹線L14が電気的に接続されている。
【0063】
(構成-第1機器群-切離用中継装置-二次側端子群)
図6の二次側端子群12は、前述の複数の出力手段である。この二次側端子群12の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、図5の伝送用二次側端子To11、第1制御用二次側端子To12、第2制御用二次側端子To13、及び第3制御用二次側端子To14を備えて構成される。
【0064】
そして、伝送用二次側端子To11は、伝送支線L21の一部である二次側伝送支線L212が電気的に接続されており、当該二次側伝送支線L212を介して、ベル用中継器31、防排煙用中継器32、及びガス用中継器33に電気的に接続されている。また、第1制御用二次側端子To12は、第1制御支線L22の一部である二次側第1制御支線L222が電気的に接続されており、当該二次側第1制御支線L222を介してベル用中継器31に電気的に接続されている。また、第2制御用二次側端子To13は、第2制御支線L23の一部である二次側第2制御支線L232が電気的に接続されており、当該二次側第2制御支線L232を介して防排煙用中継器32に電気的に接続されている。また、第3制御用二次側端子To14は、第3制御支線L24の一部である二次側第3制御支線L242が電気的に接続されており、当該二次側第3制御支線L242を介してガス用中継器33に電気的に接続されている。
【0065】
(構成-第1機器群-切離用中継装置-接点群)
図6の接点群13は、前述の複数の開閉手段である。この接点群13の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、図5の伝送用開閉スイッチSw1、第1制御用開閉スイッチSw2、第2制御用開閉スイッチSw3、及び第3制御用開閉スイッチSw4を備えて構成される。
【0066】
(構成-第1機器群-切離用中継装置-接点群-伝送用開閉スイッチ)
伝送用開閉スイッチSw1は、前述の電気信号開閉手段であり、例えば、伝送用一次側端子Ti11と伝送用二次側端子To11との間にて電気的に接続されており、閉じて電気的に接続することにより電気信号を通電可能にしたり、開いて電気的に遮断することにより電気信号を通電不可能にしたりするものである。
【0067】
(構成-第1機器群-切離用中継装置-接点群-各制御用開閉スイッチ)
第1制御用開閉スイッチSw2は、前述の電力開閉手段であり、例えば、第1制御用一次側端子Ti12と第1制御用二次側端子To12との間に電気的に接続されており、閉じて電気的に接続することにより電力を通電可能にしたり、開いて電気的に遮断することにより電力を通電不可能にしたりするものである。また、第2制御用開閉スイッチSw3及び第3制御用開閉スイッチSw4は、前述の電力開閉手段であり、例えば、第1制御用開閉スイッチSw2と同様に構成されているものである。
【0068】
(構成-第1機器群-切離用中継装置-記録部)
図6の記録部14は、切離用中継装置1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段である。そして、切離用中継装置1には、機器アドレスとして「Ad1」が設定されており、また、伝送用開閉スイッチSw1にはスイッチアドレスとして「As1」が設定されており、第1制御用開閉スイッチSw2にはスイッチアドレスとして「As2」が設定されており、第2制御用開閉スイッチSw3にはスイッチアドレスとして「As3」が設定されており、及び第3制御用開閉スイッチSw4にはスイッチアドレスとして「As4」が設定されていることとし、これらのアドレスが記録部14が格納されていることとする。
【0069】
なお、図1の切離用中継装置4には、機器アドレスとして「Ad4」が設定されており、また、切離用中継装置4の伝送用開閉スイッチ、第1制御用開閉スイッチ、第2制御用開閉スイッチ、及び第3制御用開閉スイッチには、スイッチアドレスとして「As1」、「As2」、「As3」、及び「As4」が設定されており、切離用中継装置4の記録部にはこれらの各アドレスが格納されていることとする。
【0070】
(構成-第1機器群-切離用中継装置-制御部)
図6の制御部15は、切離用中継装置1を制御する制御手段である。なお、この制御部15の各部により行われる処理については、後述する。
【0071】
(処理)
次に、このように構成される防災システム100によって実行される切離処理、及び開閉管理処理について説明する。
【0072】
(処理-切離処理)
まず、切離処理について説明する。図7は、切離処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。図8は、短絡位置を示す防災システムの接続図である。「切離処理」とは、概略的には、防災システム100の切離用中継装置によって実行される処理であり、具体的には、防災システム100の切離用中継装置の各開閉スイッチの下流側で異常が発生した場合に当該開閉スイッチを開いて電気的に遮断する処理である。なお、防災システム100の切離用中継装置各々で行われる切離処理については相互に同様であるので、ここでは、切離用中継装置1での処理について説明する。この切離処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、図5の切離用中継装置1の各一次側端子及び各二次側端子に各支線を電気的に接続した後に、切離用中継装置1の電源をオンした場合に実行を開始し、繰り返し実行するものとし、実行が開始されたところから説明する。なお、切離用中継装置1の各一次側端子及び各二次側端子に各支線を電気的に接続する手法は任意であるが、例えば、ユーザが、切離用中継装置1の配線接続図に基づいて配線することにより接続することとする。
【0073】
なお、「異常」とは、通常とは異なる状態であり、具体的には、利用し続けることにより同一系統内の他の機器の動作に対して悪影響を与える可能性がある状態であり、例えば、短絡等を含む概念である。ここでは、例えば、図8に示す切離用中継装置1の下流側の第2制御支線L23にて短絡が発生する場合を例示して説明する。また、切離用中継装置1の電源をオンした場合に、切離用中継装置1の各開閉スイッチは閉じて電気的に接続した状態になることとして、以下説明する。また、図1の受信機5が、伝送幹線L11を介して定期的に電気信号を繰り返し出力し、また、第1制御幹線L12、第2制御幹線L13、及び第3制御幹線L14を介して電力を連続的に供給していることとして説明する。
【0074】
図7のSA1において制御部15は、切離用中継装置1の各開閉スイッチの下流側で異常が発生したか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、異常である短絡が発生した場合に電圧が低下することに着目して判定したり、あるいは、過電流が流れることに着目して判定したりすることができるが、ここでは、例えば、電圧が低下することに着目して判定する場合について説明する。詳細には、切離用中継装置1に各開閉スイッチの上流側(受信機5側)及び下流側(各防災設備側)における各支線の電圧を測定する不図示の電圧計が設けられており、また、伝送支線L21について短絡が発生したか否かを判定するために電気信号の電圧値と比較される閾値である伝送支線用電圧閾値が記録部14に記録されており、また、第1制御支線L22、第2制御支線L23、及び第3制御支線L24について短絡が発生したか否かを判定するために電力の電圧値と比較される閾値である制御支線用電圧閾値が記録部14に記録されていることとし、以下のように処理を行う。
【0075】
まず、制御部15は、不図示の電圧計にアクセスして、切離用中継装置1の各開閉スイッチの下流側の電圧(以下、下流側電圧)を各支線毎に取得し、また、記録部14の伝送支線用電圧閾値及び制御支線用電圧閾値を取得した上で、取得した下流側電圧と、当該電圧の閾値である伝送支線用電圧閾値又は制御支線用電圧閾値とを比較し、比較結果に基づいて後述するようにして各支線毎に短絡の判定を行う。そして、何れの各支線でも切離用中継装置1の各開閉スイッチの下流側で短絡が発生していないものと判定した場合、異常が発生していないものと判定し(SA1のNO)、異常が発生したものと判定するまで、繰り返しSA1を実行する。また、各支線の何れかにおいて切離用中継装置1の各開閉スイッチの下流側で短絡が発生しているものと判定した場合、異常が発生したものと判定し(SA1のYES)、SA2に移行する。
【0076】
支線毎に短絡の判定について具体的には、まず、伝送支線L21については、不図示の電圧計にアクセスして、図5の二次側伝送支線L212の電気信号の電圧を下流側電圧として取得し、また、伝送支線用電圧閾値を取得した上で、取得した下流側電圧が伝送支線用電圧閾値以上である場合、伝送支線L21では短絡が発生していないものと判定する。一方、取得した下流側電圧が伝送支線用電圧閾値未満である場合、短絡した位置に接続されている部分の電圧は全体的に低下するので、伝送用開閉スイッチSw1の下流側での短絡により下流側電圧が低下したのか、伝送用開閉スイッチSw1の上流側での短絡により下流側電圧が低下したのかを切り分ける必要があるが、例えば、以下のようにして切り分ける。切り分けについて具体的には、短絡した位置を上流側から切り離した場合に、切り離された位置以外の電圧が上昇することに着目して、伝送用開閉スイッチSw1を開いて電気的に遮断した上で、不図示の電圧計に再度アクセスして、図5の一次側伝送支線L211の電気信号の電圧を上流側電圧として取得し、また、伝送支線用電圧閾値を取得した上で、取得した上流側電圧が伝送支線用電圧閾値以上である場合、前述の遮断により短絡された位置が切り離されたので、伝送支線L21における伝送用開閉スイッチSw1の下流側で短絡が発生しているものと判定し、伝送用開閉スイッチSw1を閉じて電気的に接続する。一方、取得した上流側電圧が伝送支線用電圧閾値未満である場合、前述の遮断により短絡された位置が切り離されたわけではないので、伝送支線L21における伝送用開閉スイッチSw1の下流側で短絡が発生していないものと判定し、伝送用開閉スイッチSw1を閉じて電気的に接続する。
【0077】
また、第1制御支線L22については、伝送支線L21の場合と同様であるが、不図示の電圧計にアクセスして、図2の二次側第1制御支線L222の電力の電圧を下流側電圧として取得し、また、制御支線用電圧閾値を取得した上で、取得した下流側電圧が制御支線用電圧閾値以上である場合、第1制御支線L22では短絡が発生していないものと判定する。一方、取得した下流側電圧が制御支線用電圧閾値未満である場合、第1制御用開閉スイッチSw2の下流側での短絡により下流側電圧が低下したのか、第1制御用開閉スイッチSw2の上流側での短絡により下流側電圧が低下したのかを切り分ける必要があるが、例えば、伝送支線L21の場合と同様にして切り分ける。切り分けについて具体的には、第1制御用開閉スイッチSw2を開いて電気的に遮断した上で、不図示の電圧計に再度アクセスして、図2の一次側第1制御支線L221の電力の電圧を上流側電圧として取得し、また、制御支線用電圧閾値を取得した上で、取得した上流側電圧が制御支線用電圧閾値以上である場合、第1制御支線L22における伝送用開閉スイッチSw1の下流側で短絡が発生しているものと判定し、第1制御用開閉スイッチSw2を閉じて電気的に接続する。一方、取得した上流側電圧が制御支線用電圧閾値未満である場合、前述の遮断により短絡された位置が切り離されたわけではないので、第1制御支線L22における第1制御用開閉スイッチSw2の下流側で短絡が発生していないものと判定し、第1制御用開閉スイッチSw2を閉じて電気的に接続する。なお、第2制御支線L23及び第3制御支線L24の短絡の判定も、第1制御支線L22の場合と同様にして行うことができるので、詳細の説明を省略する。そして、前述したように、このように支線毎に短絡の判定を行うことにより、切離用中継装置1の各開閉スイッチの下流側で異常が発生したか否かを判定する。
【0078】
ここでは、例えば、図8に示すように、第2制御用開閉スイッチSw3の下流側の第2制御支線L23にて短絡が発生した場合、二次側第2制御支線L232の電力の電圧が制御支線用電圧閾値未満となり、切り分けのために、第2制御用開閉スイッチSw3を開いて電気的に遮断する。この場合、第2制御支線L23における短絡している部分が切り離されることになるので、一次側第2制御支線L231の電力の電圧が上昇して制御支線用電圧閾値以上となるので、第2制御用開閉スイッチSw3の下流側の第2制御支線L23で短絡が発生したものと判定し、異常が発生したものと判定する(SA1のYES)。
【0079】
図7のSA2において制御部15は、切り離しを行う。具体的には任意であるが、例えば、SA1で短絡が発生しているものと判定した各支線を特定し、各支線に電気的に接続されている切離用中継装置1の各開閉スイッチを開いて電気的に遮断する。ここでは、例えば、第2制御支線L23を特定し、第2制御支線L23に電気的に接続されている第2制御用開閉スイッチSw3を開いて電気的に遮断する。このような処理を行うことにより、短絡された位置が切離されるので、第2制御用開閉スイッチSw3よりも上流側の第2制御幹線L13の電力を正常な状態に維持することができるので、第2制御支線L23での短絡の悪影響が同一系統内の他の機器(例えば、第2機器群92側の機器等)に広がることを防止できる。これにて、切離処理を終了する。
【0080】
(処理-開閉管理処理)
次に、開閉管理処理について説明する。図9は、開閉管理処理のフローチャートである。「開閉管理処理」とは、概略的には、防災システム100の切離用中継装置及び受信機5によって実行される処理であり、具体的には、防災システム100の切離用中継装置における各開閉スイッチの開閉状態を管理する処理である。なお、防災システム100の切離用中継装置各々で行われる開閉管理処理については相互に同様であるので、ここでは、切離用中継装置1での処理について説明する。この切離処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、防災システム100の各装置の電源をオンした場合に実行を開始し、比較的短い時間間隔(例えば、5分~10分等)で繰り返し実行するものとし、実行が開始されたところから説明する。ここでは、例えば、図8の短絡が発生した場合を例示して説明する。
【0081】
図9のSB1において受信機5の開閉判定部561は、開閉状態を示す応答連絡を要求する要求信号を送信する。具体的には任意であるが、例えば、通信部51、伝送幹線L11、及び伝送支線L21を介して、要求信号を切離用中継装置1に送信する。
【0082】
一方、図9のSC1において切離用中継装置1の制御部15は、要求信号を受信する。具体的には任意であるが、例えば、図5の伝送用一次側端子Ti11を介して要求信号を受信する。
【0083】
図9のSC2において切離用中継装置1の制御部15は、要求信号の要求に応じて各開閉スイッチの開閉状態を確認する。具体的には任意であるが、例えば、開閉スイッチの開閉状態を確認するための不図示の確認回路が設けられていることとし、この確認回路にアクセスして確認する。ここでは、例えば、図8の短絡が発生した場合、前述のように、伝送用開閉スイッチSw1=「閉」、第1制御用開閉スイッチSw2=「閉」、第2制御用開閉スイッチSw3=「開」、及び第3制御用開閉スイッチSw4=「閉」となっているが、このよ開閉状態を特定した確認する。
【0084】
図9のSC3において切離用中継装置1の制御部15は、要求信号の要求に応じて開閉状態の応答を行う応答信号を送信する。具体的には任意であるが、例えば、まず、記録部14から機器アドレス及び各スイッチアドレスを取得し、また、SC2の確認結果を取得した後に、取得した各スイッチアドレスと取得した確認結果とを相互に関連付けけた上で、この関連付けた各スイッチアドレス及び確認結果と、前述の機器アドレスとを含む応答信号を生成する。次に、生成した応答信号を、伝送用一次側端子Ti11、伝送支線L21、及び伝送幹線L11を介して受信機5に送信する。ここでは、例えば、記録部14から機器アドレスとしての「Ad1」及びスイッチアドレスとしての「As1」~「As4」を取得し、また、確認結果として「閉」、「閉」、「開」、「閉」を取得した上で、「Ad1-As1:閉-As2:閉-As3:開-As4:閉」を含む応答信号を生成して送信する。
【0085】
一方、図9のSB2において受信機5の開閉判定部561は、応答信号を受信する。具体的には任意であるが、例えば、通信部51を介して応答信号を受信する。ここでは、例えば、「Ad1-As1:閉-As2:閉-As3:開-As4:閉」を含む応答信号を受信する。
【0086】
図9のSB3において受信機5の開閉判定部561は、開閉状態を判定する。具体的には任意であるが、例えば、図2の機器情報の仕様情報、及び図4の開閉状態アドレス情報(具体的には、装置ID、機器アドレス情報、及びスイッチアドレス情報)を取得し、また、SB2で受信した応答信号に含まれている情報を取得し、これらの取得した情報に基づいて、各開閉スイッチでの開閉状態を判定する。ここでは、例えば、切離用中継装置1について、伝送用開閉スイッチSw1=「閉」、第1制御用開閉スイッチSw2=「閉」、第2制御用開閉スイッチSw3=「開」、及び第3制御用開閉スイッチSw4=「閉」を判定する。
【0087】
図9のSB4において受信機5の開閉判定部561は、開閉情報を格納する。具体的には任意であるが、例えば、SB3の判定結果を取得し、取得した判定結果が反映されるように、図4の開閉情報を格納する。ここでは、例えば、図4の開閉情報における「Ad1」に対応する「ON」、「ON」、「OFF」、「ON」を格納する。
【0088】
図9のSB5において受信機5の制御部56は、異常警報を行うか否かを判定する。なお、「異常警報」とは、前述の異常が発生したことを報知する警報であり、例えば、短絡が発生したことを報知する警報である。SB5については具体的には任意であるが、例えば、SB4で格納した開閉情報を取得し、取得した開閉情報に基づいて判定する。そして、開閉情報に「OFF」が含まれていない場合(つまり、全て「ON」である場合)、異常警報を行わないものと判定し(SB5のNO)、SB8に移行する。また、開閉情報に「OFF」が含まれている場合(つまり、全て「ON」というわけではない場合)、異常警報を行うものと判定し(SB5のYES)、SB6に移行する。ここでは、例えば、SB4で格納した図4の開閉情報に「OFF」が含まれているので、異常警報を行うものと判定する。
【0089】
図9のSB6において受信機5の異常発生位置出力部563は、異常が発生した位置である異常位置を特定する。具体的には任意であるが、切離用中継装置1の各開閉スイッチについては、自己の下流側で異常である短絡が発生した場合に開くことに着目して、SB3の判定結果を取得し、また、図2の機器情報の接続図を取得し、これらの取得した情報に基づいて、開いている開閉スイッチの下流側を異常位置として特定する。ここでは、例えば、図8の第2制御支線L23における短絡位置の目印が付されている部分(つまり、第2制御支線L23における切離用中継装置1と防排煙用中継器32との間の部分)を異常位置として特定する。
【0090】
図9のSB7において受信機5の制御部56は、異常警報を行う。図10は、警報画面の表示例である。具体的には任意であるが、例えば、異常発生位置出力部563が、SB6の特定結果及び図2の機器情報の接続図を取得し、これらの取得した情報に基づいて異常位置を表示する警報画面の一部を生成し、また、判定結果出力部562が、SB3の判定結果を取得し、前述の生成した一部の警報画面に当該判定結果を重畳して警報画面を完成する。次に、制御部56が、このようにして完成した警報画面を、表示部54に表示することにより異常警報を行う。なお、「警報画面」とは、異常警報を行う画面であり、例えば、異常位置及び開閉状態を特定する情報を表示する画面である。ここでは、例えば、図10の警報画面を生成して表示する。詳細には、異常発生位置出力部563が、接続図を特定する接続図画像G1を生成して表示し、また、異常位置を示す異常位置画像G2(例えば、強調表示の画像等)を生成して表示し、また、異常が発生したことを示す異常報知画像G3(例えば、メッセージ画像と異常位置を指し示す矢印画像等)を生成して表示し、また、判定結果出力部562が、開閉状態を特定する開閉状態画像G4(例えば、各開閉スイッチに対応する位置において開いていることを示す「開」又は閉じていることを示す「閉」を示す画像等)を生成して表示する。
【0091】
また、図9のSB5の判定にて異常警報を行わないものと判定した(SB5のNO)後のSB8において受信機5の判定結果出力部562は、開閉情報を出力する。図11は、開閉状態表示画面の表示例である。具体的には任意であるが、例えば、図2の機器情報の接続図及びSB3の判定結果を取得し、開閉状態表示画面を生成して表示部54に表示することにより、開閉情報を出力する。なお、「開閉状態表示画面」とは、開閉判定部561の判定結果を出力する画面である。ここでは、例えば、図11の開閉状態表示画面を生成して表示する。詳細には、接続図画像G11を生成して表示し、また、正常であることを示す正常報知画像G13(例えば、メッセージ画像)を生成して表示し、また、開閉状態画像G14を生成して表示する。なお、ここでの接続図画像G11及び開閉状態画像G14は、図10の接続図画像G1及び開閉状態画像G4と同様であることとする。これにて、開閉管理処理を終了する。
【0092】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、開閉状態を判定し判定結果を出力することにより、例えば、ユーザは、所定の計測器(例えば、ハンドテスター等)にて配線の電圧状態を確認等すること無く開閉状態を把握することができるので、切離用中継装置1の運用の手間を削減することが可能となる。
【0093】
また、機器アドレス及びスイッチアドレスに基づいて、各開閉スイッチの開閉状態を判定することにより、例えば、切離用中継装置1に対して開閉状態を問い合わせることができるので、開閉状態を確実に把握することが可能となる。
【0094】
また、異常が発生している位置を出力することにより、例えば、異常の発生位置を把握し易くすることができるので、異常の復旧を迅速に行うことが可能となる。
【0095】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0096】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の詳細に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0097】
(分散や統合について)
また、上述した構成は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。
【0098】
(通信について)
また、上記実施の形態の図9の要求信号の送受信(SB1及びSC1)、及び応答信号の送受信(SC3及びSB2)に関連する、受信機5と切離用中継装置1との通信については、伝送幹線L11及び伝送支線L21を介して行うものと説明したが、これに限らない。例えば、伝送幹線L11及び伝送支線L21以外の伝送線を設けて、この伝送線を介して通信するように各装置の通信部を構成したり、あるいは、各装置間で無線通信を行うように通信部を構成することにより、この伝送線による有線通信、あるいは、無線通信を行うように構成してもよい。このように構成した場合、伝送幹線L11に接続された各伝送支線にて異常である短絡が発生した場合であっても、開閉管理処理を確実に行うことが可能となる。
【0099】
(切離用中継装置に接続される支線について)
また、上記実施の形態においては、2種類の支線が切離用中継装置1に接続される場合について説明したが、これに限らない。例えば、同種類の支線のみが接続するように構成してもよい。つまり、制御支線のみが4つ接続されるように構成してもよいし、また、伝送支線のみが4つ接続されるように構成してもよい。
【0100】
(異常位置の出力について)
また、上記実施の形態では、図10に示すように、異常位置を接続図にて表示出力する場合について説明したが、これに限らず、例えば、異常位置については、異常発生位置出力部563が、地図情報が特定する地図上にて図3の設置場所情報が特定する場所に各装置を表示した上で、接続図が示す配線を重畳し、この地図上に表示出力してもよいし、スピーカから音声出力してもよい。
【0101】
(異常の判定について)
また、上記実施の形態の異常の判定については、受信機5が電気信号を繰り返し出力し、また、電力を連続的に供給していることを前提に説明したが、これに限らず、例えば、切離用中継装置1が自己の下流側の支線に対して、短絡しているか否かを確認するための電圧を印加する電圧印加回路を備えていることとし、各開閉スイッチを開いた上で、この電圧印加回路から下流側の支線に任意の値の電圧を印加して、実施の形態で説明したように、下流側の支線の電圧と各閾値とを比較して、比較結果に基づいて判定してもよい。また、この場合、各開閉スイッチを閉じた状態で、電圧印加回路から下流側の支線に任意の値の電圧を印加して、当該支線の電圧が低下しており、短絡の可能性がある場合にのみ、各開閉スイッチを開いた上で、電圧印加回路から下流側の支線に再度電圧を印加して、下流側の支線の電圧と各閾値とを比較して、比較結果に基づいて短絡の確定を判定してもよい。このように処理する場合、開閉スイッチを開く頻度を減少させることが可能となる。
【0102】
(復旧について)
また、図7のSA2の後に、切離用中継装置1の制御部15が、復旧を判定してもよい。具体的には任意であるが、例えば、変形例の「(異常の判定について)」の場合と同様にして、電圧印加回路から下流側の支線に任意の値の電圧を印加して、下流側の支線の電圧と各閾値とを比較して、比較結果に基づいて判定復旧した否か(つまり、短絡が解消したか否か)を判定し、復旧したと判定した場合には、各開閉スイッチを閉じてもよい。
【0103】
(処理の省略について)
また、上記実施の形態の図7のSA1の判定にて各開閉スイッチを開閉しているが、例えば、短絡が発生しているものと判定した場合、閉じずに開いた状態を維持して、SA2の処理を省略してもよい。
【0104】
(開閉状態の出力について)
また、上記実施の形態では、図10又は図11に示すように、開閉判定部561の判定結果である開閉状態を接続図にて表示出力する場合について説明したが、これに限らず、例えば、開閉判定部561の判定結果については、判定結果出力部562が、防災システム100の各切離用中継装置側にて出力するように構成してもよい。具体的には、防災システム100の各切離用中継装置の不図示の筐体に、自己の開閉スイッチの状態を表示する表示灯(例えば、各開閉スイッチに対応する表示灯)を設けた上で、判定結果出力部562が、防災システム100の各切離用中継装置に各開閉スイッチの開閉状態を特定する情報を送信して各表示灯を開閉状態を特定できるように表示させることにより、開閉判定部561の判定結果を防災システム100の各切離用中継装置側にて出力してもよい。ここでは、例えば、切離用中継装置1の筐体に各開閉スイッチに対応する表示灯を合計4個設けた上で、閉じている場合に緑色を発光し、開いている場合に赤色を発光するように構成してもよい。このように構成した場合、切離用中継装置1側にて開閉判定部561の判定結果を出力することにより、例えば、切離用中継装置1のメンテナンス作業を行う場合に、切離用中継装置1の周囲にて開閉状態を迅速に把握することができるので、メンテナンス作業の効率化を図ることが可能となる。
【0105】
(切離用中継装置自身での開閉状態の出力について)
また、上記実施の形態の受信機5の少なくとも一部の機能を切離用中継装置1に設けた上で、前述の「(開閉状態の出力について)」の表示灯の技術を適用して、受信機5との通信を行わずに、切離用中継装置1側にみにて、開閉状態を判定して判定結果を表示灯にて表示するように構成してもよい。
【0106】
(開閉状態の個別的な問い合わせについて)
また、上記実施の形態では、受信機5が防災システム100の切離用中継装置単位で各開閉スイッチの開閉状態を問い合わせる場合について説明したが、例えば、機器アドレスとスイッチアドレスとを指定することにより、防災システム100の切離用中継装置における各開閉スイッチ単位で開閉状態を問い合わせてもよい。具体的には、例えば、受信機5が、「Ad1」及び「As1」を含む要求信号を送信することにより、切離用中継装置1が伝送用開閉スイッチSw1の開閉状態を示す応答信号を送信するように構成してもよい。このように構成した場合、特に、機器アドレスに加えてスイッチアドレスを用いることにより、例えば、各開閉スイッチ単位で開閉状態を判定することが可能となるので、ユーザが意図した開閉スイッチのみの最新の開閉状態を判定して出力することが可能となる。
【0107】
(開閉状態の出力について)
また、上記実施の形態では、防災システム100の切離用中継装置にアドレスが設定されており、図9のSB3において受信機5の開閉判定部561が、この切離用中継装置にアドレスを用いて開閉状態を判定する場合について説明したが、これに限られるものではなく、例えば、防災システム100の切離用中継装置以外の防災設備のアドレス(以下、防災設備アドレス)及び当該防災設備アドレスが設定されている防災設備と防災受信機との間の通信に基づいて、開閉状態を判定してもよい。図12は、変形例の防災システムの接続図である。ここでの概念は、任意の防災システムに適用することができるが、ここでは、例えば、図12の防災システム100aに適用する場合について説明する。防災システム100aの切離用中継装置1a、4aはアドレスが設定されていないものであり、また、伝送支線L21等に感知器61~63が接続されている。この感知器61~63は、防災設備であり、具体的には、自己を一意に特定する防災設備アドレスが設定されているアドレス設定防災設備である。この場合に、防災受信機である受信機5aの開閉判定部(開閉判定手段)は、感知器61~63と受信機5aとの間の通信状態及び感知器61~63の防災設備アドレスに基づいて、切離用中継装置1a、4aの各開閉スイッチのうち感知器61~63に電気的に接続されている開閉スイッチの開閉状態を判定する。
【0108】
詳細には、受信機5aの開閉判定部が、感知器61~63の防災設備アドレスを利用して感知器61~63との通信を試みて、通信を行えるか否かに基づいて判定する。具体的には任意であるが、例えば、感知器63との間で通信を行えない場合には、切離用中継装置4aの少なくとも伝送用開閉スイッチが開いていることを判定し、また、感知器63との間で通信を行える場合には、切離用中継装置4aの少なくとも伝送用開閉スイッチが閉じていることを判定する。また、例えば、感知器61、63との間で通信を行えない場合には、切離用中継装置1aの少なくとも伝送用開閉スイッチが開いていることを判定し、また、感知器61、63との間で通信を行える場合には、切離用中継装置1aの少なくとも伝送用開閉スイッチが閉じていることを判定する。このように構成した場合、アドレス設定防災設備である感知器61~63と管理システムである受信機5aとの間の通信状態及び防災設備アドレスに基づいて、各開閉スイッチの開閉状態を判定することにより、例えば、切離用中継装置1a、4aにアドレスを設定する必要がないので、切離用中継装置1a、4aを含む防災システム100a内で利用できるアドレスの個数に制限がある場合、利用するアドレスの個数を節約することが可能となる。
【0109】
なお、感知器61~63を、第1制御支線L22、第2制御支線L23、第3制御支線L24からの電力に基づいて動作させるように構成した上で、上述の技術を適用することにより、伝送用開閉スイッチの開閉状態のみならず、各制御用開閉スイッチの開閉状態も判定することが可能となる。また、ベル用中継器31、防排煙用中継器32、ガス用中継器33に対して防災設備アドレスを設定した上で、上述の技術を適用して開閉状態を判定してもよい。
【0110】
(その他の機能)
また、上記実施の形態の切離用中継装置1に対して、本体内蔵形式又はプラグイン形式にて、その他の機能を実装してもよく、例えば、避雷機能を実装してもよく、あるいは、MRIの電磁波によるノイズが上流側に伝達されることを防止するノイズ防止機能を実装してもよい。
【0111】
(異常について)
また、上記実施の形態においては、「異常」が短絡である場合を例示して説明したがこれに限らず、断線や当該断線に伴うノイズ、チャタリング等を「異常」であることとし、当該ノイズやチャタリング等の悪影響が広がることを防止するために、電気的に切り離しを行うように構成してもよい。
【0112】
(特徴について)
また、上記実施の形態の特徴及び変形例の特徴を任意に組合わせてもよい。
【0113】
(付記)
付記1の管理システムは、中継装置を管理する管理システムであって、前記中継装置は、防災受信機側からの電力又は電気信号が入力される複数の入力手段と、前記複数の入力手段に入力された電力又は電気信号を出力する複数の出力手段であって、防災設備が電気的に接続される複数の出力手段と、電気的に開閉する複数の開閉手段と、を備え、前記複数の入力手段各々と前記複数の出力手段各々とは、前記複数の開閉手段各々を介して相互に電気的に接続されており、前記複数の開閉手段は、自己よりも下流側で異常が発生していない場合に、閉じて電気的に接続し、自己よりも下流側で異常が発生した場合に、開いて電気的に遮断し、前記管理システムは、前記複数の開閉手段のうちの少なくとも一部の開閉手段について、開閉状態を判定する開閉判定手段と、前記開閉判定手段の判定結果を出力する判定結果出力手段と、を備える。
【0114】
付記2の管理システムは、付記1に記載の管理システムにおいて、前記中継装置には、当該中継装置を一意に特定する第1アドレスが設定されており、前記複数の開閉手段各々には、前記第1アドレスが設定されている前記中継装置内で前記複数の開閉手段各々を一意に特定する第2アドレスが設定されており、前記開閉判定手段は、前記第1アドレス及び前記第2アドレスに基づいて、前記複数の開閉手段の開閉状態を判定する。
【0115】
付記3の管理システムは、付記1に記載の管理システムにおいて、前記防災設備には、当該防災設備を一意に特定する防災設備アドレスが設定されている設備であるアドレス設定防災設備が含まれており、前記開閉判定手段は、前記アドレス設定防災設備と前記管理システムとの間の通信状態及び前記防災設備アドレスに基づいて、前記複数の開閉手段のうちの前記アドレス設定防災設備に電気的に接続されている開閉手段の開閉状態を判定する。
【0116】
付記4の管理システムは、付記1から3の何れか一項に記載の管理システムにおいて、前記判定結果出力手段は、前記中継装置側にて前記開閉判定手段の判定結果を出力する。
【0117】
付記5の管理システムは、付記1から4の何れか一項に記載の管理システムにおいて、前記開閉判定手段の判定結果に基づいて、前記複数の開閉手段よりも下流側で異常が発生している位置を出力する異常発生位置出力手段、を備える。
【0118】
(付記の効果)
付記1に記載の管理システムによれば、開閉状態を判定し判定結果を出力することにより、例えば、ユーザは、所定の計測器(例えば、ハンドテスター等)にて配線の電圧状態を確認等すること無く開閉状態を把握することができるので、中継装置の運用の手間を削減することが可能となる。
【0119】
付記2に記載の管理システムによれば、第1アドレス及び第2アドレスに基づいて、複数の開閉手段の開閉状態を判定することにより、例えば、中継装置に対して開閉状態を問い合わせることができるので、開閉状態を確実に把握することが可能となる。特に、第1アドレスに加えて第2アドレスを用いることにより、例えば、各開閉手段単位で開閉状態を判定することが可能となるので、ユーザが意図した開閉手段のみの最新の開閉状態を判定して出力することが可能となる。
【0120】
付記3に記載の管理システムによれば、アドレス設定防災設備と管理システムとの間の通信状態及び防災設備アドレスに基づいて、開閉手段の開閉状態を判定することにより、例えば、中継装置にアドレスを設定する必要がないので、中継装置を含む防災システム内で利用できるアドレスの個数に制限がある場合、利用するアドレスの個数を節約することが可能となる。
【0121】
付記4に記載の管理システムによれば、中継装置側にて開閉判定手段の判定結果を出力することにより、例えば、中継装置のメンテナンス作業を行う場合に、中継装置の周囲にて開閉状態を迅速に把握することができるので、メンテナンス作業の効率化を図ることが可能となる。
【0122】
付記5に記載の管理システムによれば、異常が発生している位置を出力することにより、例えば、異常の発生位置を把握し易くすることができるので、異常の復旧を迅速に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0123】
1 切離用中継装置
1a 切離用中継装置
4 切離用中継装置
4a 切離用中継装置
5 受信機
5a 受信機
11 一次側端子群
12 二次側端子群
13 接点群
14 記録部
15 制御部
21 ベル装置
22 防火戸装置
23 ガス漏れ検知器
31 ベル用中継器
32 防排煙用中継器
33 ガス用中継器
51 通信部
52 電力供給部
53 操作部
54 表示部
55 記録部
56 制御部
61 感知器
62 感知器
63 感知器
91 第1機器群
92 第2機器群
100 防災システム
100a 防災システム
561 開閉判定部
562 判定結果出力部
563 異常発生位置出力部
L11 伝送幹線
L12 第1制御幹線
L13 第2制御幹線
L14 第3制御幹線
L21 伝送支線
L22 第1制御支線
L23 第2制御支線
L24 第3制御支線
L31 ベル用回線
L32 防排煙用回線
L33 ガス用回線
L211 一次側伝送支線
L212 二次側伝送支線
L221 一次側第1制御支線
L222 二次側第1制御支線
L231 一次側第2制御支線
L232 二次側第2制御支線
L241 一次側第3制御支線
L242 二次側第3制御支線
Sw1 伝送用開閉スイッチ
Sw2 第1制御用開閉スイッチ
Sw3 第2制御用開閉スイッチ
Sw4 第3制御用開閉スイッチ
Ti11 伝送用一次側端子
Ti12 第1制御用一次側端子
Ti13 第2制御用一次側端子
Ti14 第3制御用一次側端子
To11 伝送用二次側端子
To12 第1制御用二次側端子
To13 第2制御用二次側端子
To14 第3制御用二次側端子
G1 接続図画像
G2 異常位置画像
G3 異常報知画像
G4 開閉状態画像
G11 接続図画像
G13 正常報知画像
G14 開閉状態画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12