(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】複合製品および該製品を製造するプロセス
(51)【国際特許分類】
C08J 9/02 20060101AFI20220512BHJP
【FI】
C08J9/02 CEP
(21)【出願番号】P 2018534202
(86)(22)【出願日】2016-09-20
(86)【国際出願番号】 IB2016055604
(87)【国際公開番号】W WO2017051310
(87)【国際公開日】2017-03-30
【審査請求日】2019-09-17
(32)【優先日】2015-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501239516
【氏名又は名称】ストラ エンソ オーワイジェイ
(73)【特許権者】
【識別番号】514260549
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ メイン システム ボード オブ トラスティズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メイエス、ダンカン
(72)【発明者】
【氏名】ピンネーネン、ヤンネ
(72)【発明者】
【氏名】ウエスト、クリストファー エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ガードナー、ダグラス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ユースー
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特表平08-502933(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0181207(US,A1)
【文献】国際公開第2012/035192(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00-9/42
C08L
C08K
B29C 44/00-44/60
B29B 11/16,15/08-15/14
C08J 5/04-5/10,5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを含む、発泡セルロース繊維-熱可塑性複合体物品を製造する方法:
A)以下を含むコポリマー組成物を提供するステップ:
i)以下を含む混合物を重合することによって形成される少なくとも約20重量%のコポリマー:
a)約51重量%~約99.9重量%の1つ又は2つ以上の第1モノマー、
b)約0.1重量%~約49重量%の1つ又は2つ以上の無水物含有モノマー;および
c)任意には、約1重量%~約25重量%の1つ又は2つ以上の他の重合可能なモノマー;および
ii)コポリマーの重量に基づいて、任意には約0.1重量%~約30重量%の1つ又は2つ以上のエラストマーポリマー;
B)コポリマー組成物の約30重量%~約99.9重量%を、組み合わせの重量に基づいて約0.01重量%~約70重量%の1つ又は2つ以上のセルロース繊維と組み合わせるステップ;
C)ある量の熱を加え、以下を提供するのに十分なエネルギーおよび圧力を混合するステップ:
i)コポリマー組成物およびセルロース繊維との混合;
ii)コポリマー中の無水物基とセルロース繊維中のヒドロキシル基との反応;および
iii)ii)における反応の副生成物として発泡剤を生成してコポリマー組成物およびセルロース繊維の発泡性混合物を提供すること;および
D)成形または押出操作で発泡性混合物を置くことによって発泡体を形成するステップ;
ここで、発泡体は、構造化発泡部分を囲む構造化発泡中心部分および微小発泡外側部分を有し、中心部分よりも高い密度を有し;および
マイクロ発泡外側部分は、物品の全体の厚さの約5~約22パーセントを含み
;
該セルロース繊維は、160~250℃の温度で大気圧で、または120℃超えの温度で、加圧下で、熱処理することによって、熱変性されていて、
少なくとも30%の前記セルロース繊維はコポリマー組成物と組み合わされる前に熱変性されていて、該熱変性されたセルロース繊維は、コポリマー組成物と組み合わされる前に非熱変性セルロース繊維と混合されることを特徴とする。
【請求項2】
少なくとも50%のセルロース繊維が、コポリマー組成物と組み合わされる前に熱変性されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
発泡体が、1.3g/cm
3以下の密度を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
第1モノマーが、スチレンモノマーおよびオレフィンモノマーおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
スチレンモノマーが、スチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、tert-ブチルスチレン、ジメチルスチレン、それらの核臭素化または塩素化誘導体およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、オレフィン性モノマーは、エチレン;プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン;2-ブテン;2-ペンテン;2-ヘキセン;2-オクテン;およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
無水物含有モノマーが、式IおよびIIに記載の1つ又は2つ以上のモノマーを含み:式中R
1、R
2およびR
4は、それぞれ独立してHまたはC
1-C
8直鎖状、分枝状または環状アルキルまたはアルケニル基であり、R
3は、C
1-C
8直鎖状または分枝状アルキル基である、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【化1】
【化2】
【請求項7】
他のモノマーが、ジビニルベンゼン;共役ジエン;マレイン酸、ギ酸およびイタコン酸のC
1-C
12直鎖状、分枝状または環状アルキルモノまたはジエステル;アクリル酸のC
1-C
12直鎖状、分枝状または環状エステル、メタクリン酸のC
1-C
12直鎖状、分枝状または環状アルキルエステル;アクロニトリル;メタクリロニトリル;およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は2つ以上である、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
コポリマーの重量平均分子量は、約20,000~約1,000,000である、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
エラストマーポリマーが、ブタジエンまたはイソプレンのホモポリマー;スチレンモノマーおよび/またはアクロニトリルとの共役ジエンのランダム、ブロック、ABジブロック、またはABAトリブロックコポリマー;ABS;(メタ)アクリル酸のC
1-C
12直鎖状、分枝状または環状オレフィンのコポリマーまたは環状アルキルエステル、スチレン-ブタジエン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-イソプレン、スチレン-イソプレン-スチレン、部分的に水素化されたスチレン-イソプレン-スチレンおよびそれらの組み合わせのジブロックおよびトリブロックからなる群から選択される、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
セルロース繊維が、少なくとも0.1μmの直径を有する、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
発泡性混合物が、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、染料、顔料;抗ブロッキング剤;スリップ剤;潤滑剤;着色剤;抗酸化剤;紫外線吸収剤;フィラー;帯電防止剤;衝撃改質剤、抗菌剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は2つ以上の添加剤を含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
コポリマーおよびエラストマーコポリマーが、溶融ブレンドによって組み合わされる、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
コポリマー組成物およびセルロース繊維が、溶融ブレンドによって組み合わされる、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
コポリマー、セルロース繊維および任意のエラストマーポリマーおよび/または任意の他の添加剤が、ドライブレンドされ、押出機に加えられる、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
コポリマーおよび任意にエラストマーポリマーを第1の押出機に加え、次に第2の押出機でセルロース繊維および任意の他の添加剤と組み合わせる、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
コポリマー組成物およびセルロース繊維の組み合わせが、コポリマーが流動し押出機ダイを通して1回以上押出すのに十分な温度で溶融混合することによって押出される、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
押出操作が、1つ又は2つ以上の一軸スクリュー押出機および/または二軸スクリュー押出機を含む、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
押出操作が、発泡剤が発泡性混合物から逃れるのを防ぐために1つ又は2つ以上の押出機に十分な圧力を維持することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
副生成物発泡剤が、水蒸気、二酸化炭素またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
押出操作が、発泡性混合物を押出機からダイまたは発泡性混合物を膨張させて所望の形および/または寸法を有する発泡体を形成する他の成形装置に排出することを含む、請求項1~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
成形操作が、
A)発泡性混合物を押出機に供給してペレットを形成するステップ;
B)発泡体の所望の形状に対応する型内にペレットを置くステップ;および
C)金型およびペレットを加熱して膨張させ、溶融させて発泡体を形成させるステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
発泡体が、約0.6~約1.3g/cm
3の密度を有するマイクロ発泡部分を含む、請求項1~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
発泡体が、約0.45~約0.80g/cm
3の密度を有する構造化発泡部分を含む、請求項1~21のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
マイクロ発泡部分は、約0.6~約1.3g/cm
3の密度を有し、構造化発泡部分は、約0.45~約0.80g/cm
3の密度を有する、請求項1~21のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
セルロース繊維-熱可塑性複合材が、1つ又は2つ以上の他のポリマーと配合されるか、さもなければブレンドされてセルロース繊維-熱可塑性複合体ブレンドを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
コポリマー組成物の約30重量%~約99.9重量%が、組み合わせの重量に基づいて約25重量%~約70重量%の1つ又は2つ以上のセルロース繊維と組み合わされ;コポリマー組成物と組み合わされる前に熱変性されているセルロースを特徴とする、請求項1~25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
セルロース繊維の熱変性が、180℃~250℃の温度で、大気圧で、または120℃~230℃の温度で、大気圧より高い圧力で加熱することによって実施される、請求項1~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
熱変性が、200℃~250℃の温度で加熱することによって実施される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
熱変性が、本質的に酸素を含まない環境で行われる、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
請求項1~29のいずれかに記載の方法に従って製造された複合品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡セルロース繊維-熱可塑性複合品(composite article)の製造方法に関する。この方法は、コポリマー組成物を提供するステップと、コポリマー組成物およびセルロース繊維を組み合わせるステップと、熱を加えるステップ、エネルギーと圧力を混合して発泡性混合物を形成するステップと、並びに成形および押出操作で発泡性物品を形成するステップとを含む。この方法は、セルロース繊維の少なくとも10%が、コポリマー組成物と組み合わされる前に熱変性されていることを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
伝統的には、フェンス、デッキ、ドア、窓、クラッディングおよびサイディングは、頑丈な木材から作られた部品でできている。これらの製品は、例えば、金属フェンスまたはセメントブロックの壁またはデッキなど、金属またはセメントで作られたものよりも美的に魅力的であると考えられている。しかしながら、しばらくすると、頑丈な木製品は、気象の暴露および生物の侵入から自然に破壊され始め得る。木材を広範囲に耐候性のコーティング、塗料、ワニス、仕上げ剤などで処理することによってこの劣化を緩和することができることが知られている。しかしながら、残念なことに、そのような処理された製品が部分的または完全な交換を必要とするようになるまでには、しばらく時間がかかるだけである。フェンシング、デッキ、窓およびドアに適した多くの頑丈な木材は、高価である。また、木材の自然な変化のために、個々の構成要素の交換は、製品に一貫性のない不均一な外観をもたらし得る。
【0003】
デッキ、公園の歩道、子供の遊び場、座席およびベンチなどの半構造的な屋外用途において、多くの製品、技術およびアイディアが、押出成形または成形熱可塑性樹脂を製造するために使用されている。最も広く使用されている熱可塑性樹脂は、ポリエチレンであり、典型的には、HDPE、LDPE&LLDPEミルクボトル、フィルムなどのリサイクル製品である。他の熱可塑性樹脂は、ポリエチレン、耐衝撃性ポリエチレン、PVCおよびポリプロピレンが広く使用される。多くのシステムは、熱可塑性樹脂に配合されたセルロース系充填剤、典型的には木材または他の天然繊維を使用して、特性を向上させ、化合物をそれを置き換える木材の厚板のように見せる。これらのシステムは、長期間の耐久性およびメンテナンスの欠場の利点を有するデッキにおいて、市場での受諾を急速に受けている。それらは、屋外用のために木材を処理するために使用される化学物質および防腐剤および耐久性硬材の欠乏を考慮して、最近の健康上の懸念から追加の利点を有する。
【0004】
セルロース/ポリマー複合体のような多くの複合体は、全天然木、パーティクルボード、ウェーハボード、および他の同様の材料の代替物として使用される。例えば、米国特許第3,908,902号;第4,091,153号;第4,686,251号;第4,708,623号;第5,002,713号;第5,087,400号;第5,151,238号;第5,417,904号;第5,948,524号;第6,280,667号;第6,827,995号および第6,936,200号は、木材代替製品の製造方法に関する。
【0005】
スチレン-無水マレイン酸および木材ベースの充填剤の固体複合体(composite)は、米国特許第3,765,934号;第3,894,975号および第3,958,069号;カナダ公開特許出願第2,626,992 A1号および“Properties of Styrene-Maleic Anhydride Copolymers Containing Wood-Based Fillers(木材ベースの充填剤を含有するスチレン-無水マレイン酸コポリマーの特性)”, Simonsenら、Forest Products Journal, Vol. 48, No. 1, 89-92頁, 1998年1月に開示される。
【0006】
天然木と比較して、セルロース/ポリマー複合体は、耐摩耗性に優れている。特に、セルロース/ポリマー複合体は、耐湿性に対する耐性が向上している。実際には、水分の保持は、天然木の反り、裂け、および変色の主な原因であることがよく知られている。さらに、セルロース/ポリマー複合体は、天然木の外観を有し、それらは、天然木と同様の方法で、鋸引き、砂仕上げ、成形、旋削、締め付けおよび仕上げをされ得る。その結果、セルロース/ポリマー複合体は、内装および外装の装飾品、写真フレーム、家具、玄関デッキ、デッキの手すり、窓のモールディング、窓の構成要素、ドアの構成要素、屋根の構造、建物のサイディング、および他の適切な屋内および屋外構成要素などの適用に通常使用される。
【0007】
当業者は、合成木材組成物中の過剰な水分含量は、品質の悪い最終製品をもたらし得ることを認識している。特に、合成木材組成物中の過剰な水分含量は、ひびわれ、膨れ、および外観の悪化の影響を受けやすい末端成分をもたらし得る。結果として、合成木材組成物に導入する前に、任意のセルロース系材料を所定のレベルまで乾燥させる必要があり得る。セルロース材料が乾燥した後でさえ、環境から湿気を再吸収する自然な傾向を有する。結果として、合成木材組成物に添加される前に、セルロース材料が追加の水分を再吸収するのを防止するために、水分制御された環境で乾燥セルロース材料を保存することが必要でありも得る。これらの考慮事項に照らして、異なる場所の間に輸送する間、乾燥セルロース材料を十分に維持することは困難でありコストがかかり得る。
【0008】
プラスチックフェンスコンポーネントは、伝統的な天然の木フェンスの代替物または捕捉物として開発されている。例えば、米国特許第5,100,109号は、間隔をあけて配置されたフェンスポストに展開して固定することができる、可撓性のあるプラスチックの転動可能なフェンスボードを提供することによってフェンスを構成する方法を記載する。フレキシブルフェンスボードは、標準的な木製ボードをシミュレートし、350フィート以上の長さの高さと幅の寸法で作られる。この特許によれば、フェンスボードは、可撓性熱可塑性材料の連続押出プロセスで形成される。
【0009】
米国特許第5,404,685号は、発泡ポリスチレンプラスチック構成要素、より具体的には、プラスチック製の柱およびパネルの一部に作られた壁またはフェンスを記載する。この特許によるフェンスの構築は、複数のステップが必要である。例えば、壁またはフェンスの安定性は、柱が地面に固定された後ポリスチレンプラスチック製の柱の中空にコンクリートなどの補強用充填材料を注ぐことによって達成される。フェンスの硬化した外面は、フェンスが構築された後にフェンスまたは壁にスタッコまたは特殊外装塗料などの外装仕上げを施すことによって達成される。
【0010】
しかしながら、上記の合成木材または木材複合製品は、それらの機械的特性、特に強度および剛性が、それらが置き換える木材と比較される場合、典型的には、不利な点を有する。さらに、上記の木材/セルロース複合体は、連続的な負荷および/または高い周囲温度に供されたときにクリープを起こしやすい。加えて、これらの材料は、熱に長時間曝露された後に反る傾向がある。これらの構造上の制限のために、上記の合成木材製品の使用は、しばしば構造用途の制限が少ない。例えば、デッキにおいて、それらは、デッキボードに使用されるが、典型的には、構造全体の荷重を受ける垂直ポストや梁には使用されることができない。
【0011】
さらに、上記の合成木材製品の多くは、水よりも密度が高く、海洋および関連用途に使用するのに好ましくない材料になっている。
【0012】
標準的な木質繊維ポリマー複合体(WPC)では、一般的な問題は、繊維、熱可塑性樹脂および添加剤に基づく材料の高い重量および熱可塑性の両方に起因するクリープである。クリープは、重量、熱および湿気の両方を引き起こすことがあり、より長いスパンが必要とされ、製品が、クラッドまたはファサードボードなどのそれらの自重を運ぶ必要があるより詳細で困難な用途で使用されていることから標準的な木質繊維ポリマー複合体の使用を制限する。
【0013】
米国特許第8,221,663号は、1.3g/cm3以下の密度を有する発泡物品の製造方法を記載する。
【0014】
ポリマー-木材組成物の調製方法に関する1つの問題は、溶接性のような所望の特性を有する物品が達成されることができるような条件であることを確実にすることである。いくつかの態様において、詳細および特定のプロファイルおよび形状を有する対称的な物品を得ることができることが重要である。さらなる問題は、十分に高い割合のセルロース繊維が使用されることができることを補償することに関連するが、所望の特性を有する物品をもたらす。
【0015】
したがって、当該技術分野において、上記問題を克服するポリマー-木材複合製品、並びにそのようなポリマー-木材複合材料の製造方法を提供する必要がある。
【0016】
本発明は、発泡セルロース繊維-熱可塑性樹脂複合品の製造方法に関する。この方法は、コポリマー組成物を提供するステップと、コポリマー組成物およびセルロース繊維を組み合わせるステップと、熱を加えるステップと、エネルギーおよび圧力をコポリマー組成物およびセルロース繊維混合物に混合して発泡性混合物を形成するステップと、成形または押出操作において発泡性混合物を置くことによって発泡成形物を形成するステップを含む。
【0017】
この方法は、少なくとも10%のセルロース繊維が、コポリマー組成物と組み合わされる前に熱変性されていることを特徴とする。熱変性されたセルロース繊維を使用することにより、所望の特性を有する物品をより容易に得ることができるように方法における発泡を制御することができる。熱変性されたセルロース繊維を使用して、繊維のより高い割合を使用することができ、製造された製品が所望の特性を有することが保証されることもわかっている。
【0018】
コポリマー組成物は、i)コポリマーの重量に基づいて、a)約51重量%~約99.9重量%の1種以上の第1のモノマー、b)約0.1重量%~約49重量%の1種以上の無水物含有モノマー、およびc)任意には、約1重量~約25重量%の1種以上の他の重合可能なモノマー;および任意には、約0.1重量%~約30重量%の1種以上のエラストマーポリマーを含有する混合物を重合化することによって形成されたコポリマーを含む。
【0019】
約30重量%~約99.99重量%のコポリマー組成物は、組み合わせの重量に基づいて、約0.01重量%~約70重量%の1種以上のセルロース繊維と組み合わされる。
【0020】
熱、混合エネルギーおよび圧力は、i)コポリマー組成物およびセルロース繊維との混合;ii)コポリマー中の無水基のセルロース繊維中のヒドロキシル基との反応;およびiii)コポリマー組成物およびセルロース繊維の発泡性混合物を提供するために、ii)の反応の複生成物としての発泡剤の製造を提供する。
【0021】
発明の詳細な説明
本明細書中で使用される場合、用語「エラストマーポリマー」は、天然または合成ポリマー、ゴム、またはゴム材料を指し、これは、力の影響したで変形を受け、力が除去されると、元の形状に戻る能力を有する。
【0022】
本明細書中で使用される場合、用語「包囲された正弦波発泡構造」は、物品の外側断面を包囲する外側ケーシングと、外側ケーシングよりも低い密度を有する発泡した部分とを含む押出物品を指し、中間点からのピーク偏差が外側ケーシングの内側部分に接触して融合している物品の中間点の周りで振動する、押出方向の波状構造を有する
【0023】
本明細書中で使用される場合、用語「発泡」または「発泡化」は、ガスを含む固体内に分散した空隙、ポケット、セル、細胞構造および/または気泡との本明細書中に記載されたセルロース繊維-熱可塑性複合体を含み、これは、非限定的な例として、空気、二酸化炭素、水蒸気、およびそれらの組み合わせを含むことができる。
【0024】
本明細書中で使用される場合、用語「亜麻繊維」は、アマ科(Linaceae)ファミリーのアマ(Linum)属のメンバーである、アマニ油(linseed)と呼ばれる植物由来のセルロース繊維を指す。
【0025】
本明細書中で使用される場合、用語「硬材繊維」は、広葉樹由来のセルロース繊維を指し、非限定的な例は、オーク、ユーカリおよびバーチを含み、針葉樹と比較して比較的高い密度および硬度を有する。
【0026】
本明細書中で使用される場合、用語「黄麻」は、コウチョウ(Corchorus)属、アオイ科(Malvaceae)ファミリーの植物から生産された長く、柔らかく、光沢のある食物繊維を指す。
【0027】
本明細書中で使用される場合、用語「ケナフ繊維」は、南アジア原産のハイビスカス(Hibiscus)の種であるケナフ(Kenaf)(ハイビスカスケナフ(Hibiscus cannabinus))由来のセルロース繊維を指す。
【0028】
本明細書中で使用される場合、用語「硬材パルプ」は、粉砕機で粉砕された高圧および高温で蒸気を使用する精錬機を粉砕された硬材繊維、化学的に粉砕された硬材繊維、または軟質の無形塊を製造するための方法の組み合わせを指す。
【0029】
本明細書中で使用される場合、用語「麻繊維」は、アサ(Cannabis)属に属する植物由来のセルロース繊維を指す。
【0030】
本明細書中で使用される場合、用語「(メタ)アクリル」および「(メタ)アクリレート」は、アクリル酸およびメタアクリル酸誘導体の両方、例えば、アクリル酸および(メタ)アクリレートとしてしばしば言及される対応するアルキルエステルを含み、用語「(メタ)アクリレート」は、包含することを意味する。
【0031】
特記しない限り、全ての分子量値は、適切なポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して決定される。他に示されない限り、本明細書中に示される分子量値は、重量平均分子量(Mw)である。
【0032】
本明細書中で使用される場合、用語「ポリマー」は、ホモポリマー、コポリマーおよびグラフトコポリマーを含むが、これらに限定されないことを意味する。
【0033】
本明細書中で使用される場合、用語「ラミー繊維」は、東アジア原産のイクラサ(nettle)イクラサ(Urticaceae)科における顕花植物に由来するセルロース繊維を指す。
【0034】
本明細書中で使用される場合、用語「針葉樹繊維」は、脈管組織を有する円錐状の種子植物に由来するセルロース繊維を指し、非限定的な例は、シーダー、糸杉、ダグラスファー、モミ、ジュニパー、カウリマツ、カラマツ、マツ、アメリカツガ、アメリカスギ、トウヒ、およびイチイを含む。
【0035】
本明細書中で使用される場合、用語「針葉樹パルプ」は、粉砕機で粉砕された針葉樹繊維、高圧および高温で上記を使用して精錬機で粉砕され、化学的に分解された針葉樹繊維、または軟質の無定形塊を製造する方法の組み合わせを指す。
【0036】
本明細書中で使用される場合、用語「木粉」は、一般的には、マツまたはもみなどの枯れた針葉樹から、またはいくつかの場合には、広葉樹から作られた細かく粉砕された木材を指す。
【0037】
本発明において、無水物官能基を含むコポリマーを含む発泡セルロース繊維-熱可塑性複合体を含む物品であって、押出機中で加圧下、繊維および熱可塑性樹脂とを組み合わせることによって、自己発泡複合体を押出して発泡物品を形成することによって製造されることができる。
【0038】
本発明の1つの態様において、製造される物品は、ドアまたは窓部材、クラッドまたはサイディングボードまたは支持トリムボードである。
【0039】
本発明において、セルロース繊維の少なくとも10%は、コポリマー組成物と組み合わされる前に、熱処理されたものとも呼ばれ、熱変性されている。1つの態様において、セルロース繊維の少なくとも10%は、コポリマー組成物と組み合わされる前に熱変性されている。1つの態様において、使用されるセルロース繊維の少なくとも20%または少なくとも30%または少なくとも40%または少なくとも50%または少なくとも60%または少なくとも70%または少なくとも80%または少なくとも90%または少なくとも95%または少なくとも98%または少なくとも99%は、コポリマー組成物と組み合わさられる前に、熱変性されている。
【0040】
熱変性ステップは、本質的には無酸素環境で行うことができる。これは、木材が高温で容易に発火するので、高温が使用される場合に有利であることができるが、酸素の非存在は、その危険性が排除されるだろう。
【0041】
熱変性ステップの間、木材またはセルロース繊維は、160℃~250℃の温度で大気圧で、または120℃~230℃の温度で大気圧よりも高い圧力で加熱される。1つの態様において、温度は、大気圧で200℃~250℃である。
【0042】
熱変性ステップに必要な時間は、使用される木材またはセルロース繊維に依存するが、一般的には、30秒~5時間、例えば約2時間~4時間の範囲である。木材またはセルロース繊維の熱変性のために選択されるプロセルパラメータは、使用される木材またはセルロース繊維に依存する。得られた繊維は、EMC(平均含水量)の40~50%の低減、木材破壊菌に対するかなり改善された生物学的耐性などの永続的に改変された特性を有する。熱変性の間、抽出剤が蒸発し、熱変性セルロース繊維は、熱変性されていないセルロース繊維よりも少ない揮発性化合物を含む。したがって、熱変性されたセルロース繊維はまた、熱変性されていないセルロース繊維よりも難燃性である。熱変性はまた、本発明の態様において有利であり得る、繊維の形態学的特性およびサイズ特性を変化させ得る。さらに、熱変性セルロース繊維は、非熱変性セルロース繊維よりも低い熱伝導性を有する。
【0043】
1つの態様において、温度勾配が、熱変性ステップの間に使用される。この態様において、木材またはセルロース繊維は、まず木片又は木材またはセルロース繊維の横断面に全体にわたって一貫した温度に加熱され、続いて急速冷却されて温度勾配を生じ、それによって、繊維の木材のコアが表面よりも高い温度を有する。
【0044】
熱変性ステップ中に使用される圧力は、大気圧であり得るが、熱変性はまた、1.5~13バールなどの高圧下で実施されることができる。
【0045】
本発明の1つの態様において、熱変性されたセルロース繊維は、コポリマー組成物と組み合わされる前のプレミックスステップにおいて、規則的な鋸屑のような熱変性されていないセルロース繊維と混合されることができる。本発明の1つの態様において、熱変性および非熱変性セルロース繊維の混合物は、コポリマー組成物と組み合わされる前にペレットに圧縮される。
【0046】
押出機の条件下で、コポリマー中の無水物基は、反応してセルロース繊維中のヒドロキシル基に結合して、熱可塑性樹脂およびセルロースのより強い配合マトリックスをもたらすことができる。このコポリマー-セルロース反応は、従来技術の材料と比較して他の優れた物理的特性に加えて優れた引張特性を有する複合体をもたらす。
【0047】
コポリマー中の無水物基とセルロース繊維中のヒドロキシル基の間の反応の側面は、水および/または二酸化炭素を含むことができる。押出条件下で、水および/または二酸化炭素は、発泡剤として作用し、これは、押出成形品の横断面の少なくとも一部に気泡構造または発泡体を生じる。発泡または気泡構造は、押出成形品の密度をより低くし、しばしば水よりも密度が低くなり、本発明に従って製造されたセルロース繊維-熱可塑性複合体品の独特な特性の多くを提供する。
【0048】
本発明の態様において、コポリマーおよびセルロースの混合物は、少なくとも180℃、いくつかの場合において少なくとも185℃、他の場合において少なくとも190℃、いくつかの例において少なくとも195℃、および他の例において少なくとも200℃の押出温度に曝露される。正確な押出機の温度は、コポリマーの温度、溶融温度および/またはガラス転移温度(Tg)、および本明細書中に記載されるように反応させるために特定のコポリマー-セルロースの組み合わせに必要な活性温度での時間の長さに基づいて変化するだろう。コポリマーおよびセルロースの混合物は、240℃までの、いくつかの場合において237℃まで、他の場合において233℃まで、いくつかの例において229℃まで、および他の例において225℃までの押出温度に曝露される。正確な最大押出温度は、使用されるコポリマーおよびセルロース材料から予想される熱分解に基づいて変化するだろう。最大温度は、コポリマーおよびセルロース材料の熱分解を最小限に抑えるように選択される。コポリマーおよびセルロース材料がそれらの間の反応を促進するために曝露される押出機温度は、いずれかの温度または上記温度のいずれかの間の範囲であることができる。
【0049】
本発明の態様において、コポリマーおよびセルロースの混合物は、少なくとも1psi(6.9KPa)、いくつかの場合において少なくとも5psi(34.5KPa)、および他の場合において少なくとも10psi(69KPa)の押出機圧力に曝露される。さらに、コポリマーとセルロースの混合物は、2000psi(13,790KPa)まで、いくつかの場合において1000psi(6895KPa)まで、他の場合において500psi(3447KPa)まで、いくつかの例において250psi(1724KPa)まで、および他の例において150psi(1034KPa)までの押出機圧力に曝露される。正確な押出機の圧力は、使用される特定のコポリマー-セルロースの組み合わせおよび本明細書中に記載される反応から所望される発泡の量およびタイプに基づいて変化するだろう。コポリマーおよびセルロース材料がコポリマーとセルロース材料との間の発泡反応を可能にするために曝露される押出機圧力は、いずれかの圧力または上記圧力のいずれかの間の範囲であることができる。
【0050】
本発明の特定の態様において、本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合品の横断面の中心部分は発泡し、本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合品の縁の周りの部分または周囲は、最小発泡されるか、または全く発泡されない。
【0051】
この態様の発泡セルロース繊維-熱可塑性複合品の全体としての密度は、1.1g/cm3未満、多くの場合において1g/cm3未満であり、0.97g/cm3未満、いくつかの場合において0.9g/cm3未満、他の場合において0.85g/cm3未満、およびいくつかの例において、0.8g/cm3未満であることができる。発泡セルロース繊維-熱可塑性複合品の密度は、コポリマーの組成、セルロース材料の量およびタイプ、存在する水分量、並びに特定の処理条件に依存するだろう。本発明の特定の側面において、使用され得る任意のさらなる充填剤に依存して、微小発泡材料の密度は、1.3g/cm3まで、いくつかの場合において1.2g/cm3までであることができる。
【0052】
本明細書中で使用される場合、用語「マイクロ発泡」は、セルロース繊維がよく、多くの場合均質にコポリマーと共に分散され、小さな空隙、典型的には50μm未満が、材料全体に分散される材料を指す。
【0053】
本明細書中で使用される場合、用語「構造化発泡」は、セルロース繊維がよく、多くの場合において均質にコポリマーと共に分散され、大きな空隙、典型的には50μm超えが、材料全体に配置され、壁によって分けられ、50μm~10mmの厚さとすることができる材料を指す。いくつかの場合、大きな空隙のサイズ分布が大きいことができる。
【0054】
本発明の態様において、押出物品は、均一に微小発泡されることができる。そのように、セルロース繊維はよく、多くの場合、均質で、コポリマーと共に分散され、小さな空隙、典型的には50μmが、材料全体に分散される。
【0055】
したがって、本発明の重要な側面は、発泡した物品(微小発泡されたまたは構造発泡)の性質、発泡体の密度並びに最終的に製造された発泡セルロース繊維-熱可塑性樹脂複合体の形状を制御している。
【0056】
セルロース繊維-熱可塑性複合体中のコポリマーの量は、本明細書に記載されている意図された用途および物品において所望される物理的特性に依存して変化するだろう。そのように、セルロース繊維-熱可塑性複合体は、セルロース繊維-熱可塑性複合体の少なくとも約10重量%、いくつかの場合には少なくとも約15重量%、他の場合には少なくとも約20重量%、いくつかの例において少なくとも25重量%、他の例において少なくとも約30重量%、およびいくつかの状況において少なくとも約35重量%のレベルでコポリマーを含むだろう。また、コポリマーは、セルロース繊維-熱可塑性複合体の約94.9重量%まで、いくつかの場合において約92.5重量%まで、他の場合において約90重量%まで、いくつかの例において約85重量%まで、いくつかの例において約80重量%まで、他の例において約70重量%までで存在することができる。セルロース繊維-熱可塑性複合体中のコポリマーの量は、任意の値または上記の値のいずれかの間の範囲であることができる。
【0057】
セルロース繊維-熱可塑性複合体中のセルロース繊維の量は、本明細書中に記載される意図された用途、所望の発泡の量およびタイプ、および物品において所望される物理的性質に依存して変化するだろう。そのように、セルロース繊維-熱可塑性複合体中のセルロース繊維の量は、セルロース繊維-熱可塑性複合体の少なくとも約0.01重量%、いくつかの状況において少なくとも約0.1重量%、他の状況において少なくとも約1重量%、特定の状況において少なくとも約5重量、いくつかの場合において少なくとも約10重量%、他の場合において少なくとも約15重量%、およびいくつかの例において少なくとも約20重量%であることができる。また、セルロース繊維-熱可塑性複合体中のセルロース繊維の量は、セルロース繊維-熱可塑性複合材料の約70重量%まで、いくつかの状況において約65重量%まで、他の状況において約60重量%まで、いくつかの場合において約55重量%まで、他の場合において約50重量%まで、いくつかの例において約45重量%まで、および他の例において約40重量%までであることができる。セルロース繊維-熱可塑性複合体中のセルロース繊維の量は、任意の値または上記の値のいずれかの間の範囲であることができる。
【0058】
セルロース繊維-熱可塑性複合体に使用されるコポリマーは、従来技術の木材またはセルロース充填成形ポリオレフィン熱可塑性樹脂と比較して改善された強度および剛性を提供する。特に、本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体に使用されるコポリマーは、連続的な負荷および/または高い周囲温度にさらされたときにクリープおよび/または反りを受けにくい。本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体のISO-75-2に従って荷重たわみ温度(DTUL)によって測定される熱安定性もまた、従来技術の木材またはセルロース充填成形熱可塑性樹脂と比較して改善される。
【0059】
セルロース繊維-熱可塑性複合体に使用されるコポリマーは、1種以上の第1モノマー、1種以上の無水物含有モノマー、および任意には、1種以上の他の重合可能なモノマーを含む混合物を重合することによって形成される残留物を含む。
【0060】
第1モノマーは、スチレンモノマーおよびオレフィンモノマーおよびそれらの組み合わせから選択される。
【0061】
本発明のコポリマー中の第1モノマー残留物の量は、製造される物品において所望される物理的性質、使用されるセルロース繊維の量およびタイプ、および使用されるエラストマーポリマーのタイプおよび量に依存する。典型的には、コポリマー中に存在する第1モノマー残留物の量は、コポリマーの重量に基づいて少なくとも約51%、いくつかの場合少なくとも55重量%および他の場合において少なくとも60%である。また、コポリマー中に存在する第1モノマー残留物は、コポリマーの約99.9重量%まで、いくつかの状況において約99重量%まで、他の状況において約95重量%まで、いくつかの場合において約90重量%まで、他の場合において約85重量%まで、いくつかの例において約80重量%まで、および他の例において約75重量%までであることができる。コポリマー中の第1モノマー残留物の量およびタイプは、任意の値または上記の値のいずれかの間の範囲であることができる。
【0062】
任意の適切なスチレンモノマーは、本発明で第1モノマーの1つ又は2つ以上として使用されることができる。適切なスチレンモノマーは、本明細書中に記載されるような本発明の物品において望ましい特性を提供するものである。適切なスチレンモノマーの非限定的な例は、スチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、第三級ブチルスチレン、ジメチルスチレン、それらの核臭素化または塩素化誘導体およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0063】
任意の適切なオレフィンモノマーは、本発明における第1モノマーの1つ又は2つ以上として使用されることができる。適切なオレフィンモノマーは、本明細書中に記載された本発明の物品において望ましい特性を提供するものである。適切なオレフィンモノマーの非限定的な例には、エチレン;プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンおよび1-ドデセンなどのα-オレフィン;2-ブテン;2-ペンテン;2-ヘキセン;2-オクテン;およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0064】
本発明のコポリマーに存在する無水物含有モノマー残留物の量は、製造される物品において所望される物理的性質および使用されるセルロース繊維の量およびタイプに依存する。典型的には、コポリマーに存在する無水物含有モノマー残留物の量は、コポリマーの重量に基づいて少なくとも約0.1%、いくつかの例において少なくとも約1%、他の例において少なくとも約5%、いくつかの場合において少なくとも10%、および他の場合において少なくとも15%である。また、コポリマー中に存在する無水物含有モノマー残留物の量は、コポリマーの約49重量%まで、いくつかの場合において約45重量%まで、他の場合において約40重量%まで、およびいくつかの例において約35重量%までであることができる。無水物含有モノマー残留物の量は、任意の値または上記の値のいずれかの間の範囲であることができる。
【0065】
任意の適切な無水物含有モノマーは、本発明で使用されることができる。適切な無水物含有モノマーは、本明細書中に記載される本発明の物品において望ましい特性を提供するものであり、式IおよびIIに対応するものに限定されず:
【化1】
【化2】
式中、R
1、R
2およびR
4は、独立してHまたはC
1~C
8直鎖状、分枝状または環状アルキルまたはアルケニル基であり、R
3は、C
1~C
8直鎖状または分枝状アルキル基である。
【0066】
非限定的な例として、式Iに係る適切な無水物含有モノマーは、無水マレイン酸であり、式IIに係る適切な無水物含有モノマーは、無水イタコン酸である。
【0067】
本発明のコポリマー中の他のモノマー残留物の量およびタイプは、製造される物品において所望される物理的性質、使用されるセルロース繊維の量およびタイプ、並びに使用されるエラストマーポリマーの量およびタイプに依存する。含まれる場合、コポリマー中に存在する任意の他のモノマー残留物の量は、コポリマーの重量に基づいて少なくとも約1%、いくつかの場合において少なくとも5%、および他の場合において少なくとも10%である。また、コポリマー中に存在する他のモノマー残留物の量は、コポリマーの約25重量%まで、いくつかの場合において約20重量%まで、および他の場合において約15重量%までであることができる。コポリマー中の他のモノマー残留物の量は、任意の値または上記の値のいずれかの間の範囲であることができる。
【0068】
任意の適切な重合可能なモノマーは、本明細書中に記載の「他のモノマー」として含めることができる。適切な他のモノマーは、本明細書中に記載の本発明の物品の望ましい特性を提供するものであり、ジビニルベンゼン、共役ジエン、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸のC1~C12直鎖状、分枝状または環状アルキルモノまたはジエステル;アクリル酸のC1~C12直鎖状、分枝状または環状エステルおよびメタルリン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0069】
上記モノマーを重合することによって形成された得られたコポリマーは、少なくとも20,000、いくつかの場合においては少なくとも35,000、および他の場合においては少なくとも50,000の平均分子量(M2、ポリスチレン標準を用いてGPCを使用して測定)を有することができる。また、得られるコポリマーのMwは、1,000,000まで、いくつかの場合において750,000まで、他の場合において500,000までであることができる。コポリマーのMwは、任意の値または上記の値のいずれかの間の任意の範囲あることができる。
【0070】
非限定的な例として、本発明で使用されることができる適切なコポリマーは、オランダのPolyscopeから入手可能なスチレン/無水マレイン酸コポリマーを含む。
【0071】
任意には、および本発明のいくつかの態様において、1つ又は2つ以上のエラストマーポリマーは、セルロース繊維-熱可塑性複合体に含まれて、ゴム変性セルロース繊維充填熱可塑性複合体を提供することができる。
【0072】
本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体に含まれる場合、セルロース繊維-熱可塑性複合体中のエラストマーポリマーの量は、本明細書中に記載されるようなその意図された使用および物品において所望される物理的性質に依存して変化するだろう。そのように、セルロース繊維-熱可塑性樹脂複合体中のエラストマーポリマーの量は、セルロース繊維-熱可塑性樹脂複合体の少なくとも約0.1重量%、いくつかの場合において少なくとも約0.25重量%、他の場合において少なくとも約0.5重量%、いくつかの例において少なくとも約1%、他の例において少なくとも約2.5重量%、およびいくつかの状況において少なくとも約5重量%であることができる。また、セルロース繊維-熱可塑性樹脂複合体中のエラストマーポリマーの量は、セルロース繊維-熱可塑性樹脂複合体の約30重量%まで、いくつかの場合において約25重量%まで、および他の場合において約20重量%までであることができる。セルロース繊維-熱可塑性複合体中のエラストマーポリマーの量は、任意の値または上記の値のいずれかの範囲であることができる。
【0073】
エラストマーポリマーは、コポリマーとのブレンドまたは混合することにより、またはエラストマーポリマーを重合の前または間にモノマーと組み合わせることによって組み合わされることができる。
【0074】
任意の適切なエラストマーポリマーは、本発明において使用されることができる。本発明のいくつかの態様において、エラストマーポリマーの組み合わせは、所望の特性を達成するために使用される。適切なエラストマーポリマーは、本明細書中に記載される本発明の物品において望ましい特性を提供するものであり、望ましくは、変形後にそれらの形状を再開することができる。
【0075】
本発明の1つの態様において、エラストマーポリマーは、ブタジエンまたはイソプレンまたは他の共役ジエンのホモポリマー、および上記で定義したスチレンモノマーおよび/またはアクロニトリルとの共役ジエンのランダム、ブロック、ABジブロック、またはABAトリブロクコポリマー(非限定的な例は、ブタジエンおよび/またはイソプレンである)を含むが、これらに限定されない。本発明の特定の態様において、エラストマーポリマーは、アクロニトリル-ブタジエン-スチレン-コポリマー(ABS)を含む。
【0076】
本発明の特定の態様において、エラストマーポリマーは、スチレン-ブタジエン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-イソプレン、スチレン-イソプレン-スチレン、部分的に水素化されたスチレン-イソプレン-スチレンおよびそれらの組み合わせのジブロックおよびトリブロックコポリマーから選択される1つ又は2つ以上のブロックコポリマーを含む。
【0077】
本明細書中で使用される場合、ブタジエンは、1,3-ブタジエンを指し、重合化される場合、ポリマー鎖に従って得られる繰り返し単位の1,4-シス、1,4-トランスおよび1,2-ビニル型をとる繰り返し単位を指す。
【0078】
本発明のいくつかの態様において、エラストマーポリマーは、ジエン型モノマーを含まない。これらの例において、エラストマーポリマーは、(メタ)アクリル酸、スチレンモノマー、および/または(メタ)アクロニトリルのC1~C12直鎖状、分枝状または環状オレフィン、C1~C12直鎖状、分枝状または環状アルキルエステルを含むことができる。このタイプのエラストマーポリマーの非限定的な例は、E. I. Dupont de Nemours and Company, Wilmington, Delから入手可能な合成樹脂のELVALOY(登録商標)改善剤である。
【0079】
本発明の態様において、エラストマーポリマーは、6,000超え、いくつかの場合において8,000超え、および他の場合において10,000超えの数平均分子量(Mn)並びに少なくとも25,000、いくつかの場合において約50,000以上、および他の場合において75,000以上の重量平均分子量(Mw)を有し、Mwは、500,000まで、いくつかの場合において400,000まで、および他の場合において300,000までである。エラストマーポリマーの重量平均分子量は、任意の値であることができるか、または上記の値のいずれかの間の範囲であることができる。
【0080】
本発明で使用されることができる適切なブロックコポリマーの非限定的な例は、Firestone Tire and Rubber Company, Akron, Ohioから入手可能なSTEREON(登録商標)ブロックコポリマー;Asahi Kasei Chemicals Corporation、東京、日本から入手可能なASAPRENE(商標)ブロックコポリマー;Kraton Polymers, Houston, Tex. から入手可能なKRATON(登録商標);およびDexco Polymers LP, Houston, Tex. から入手可能なVECTOR(登録商標)を含む。
【0081】
任意の適切なセルロース繊維は、本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体で使用されることができる。適切なセルロース繊維は、コポリマーおよび任意のエラストマーポリマーと共に、本明細書中に記載される物品における所望の特性を提供するものを含む。
【0082】
セルロース繊維-熱可塑性複合体は、木材から誘導されるセルロース材料並びに木材から誘導されないもの(すなわち、木粉、繊維、またはパルプ等以外)を含み、木材由来の材料に加えてか、または代わりのいずれかで使用されることができる。したがって、セルロース繊維は、限定されない例として、木粉、木材パルプ、小麦繊維、もみ穀、ケナフ、亜麻、麻、硬材繊維、ケナフ繊維、小麦繊維、もみ穀、麻繊維、黄麻繊維、亜麻繊維、ラミー繊維、軟材繊維、硬材パルプ、軟材パルプ、木粉およびそれらの組み合わせを含む、多くの形態のいずれかでセルロースを含むことができる。多くの場合、木質繊維または亜粉末が使用され、任意の市販されている種類が、本発明に係る使用に一般的に適している。
【0083】
セルロース繊維は、高アスペクト比材料、低アスペクト比材料、およびそれぞれの組み合わせを含むことができる。高アスペクト比の繊維は、セルロース繊維-熱可塑性複合体中の同じレベルの繊維含量に対してより高い強度および弾性率であるという利点を提供する。セルロース繊維材料の使用は、いくつか理由について有利である。セルロース繊維は、一般的には、比較的低コストで得られることができる。セルロース繊維は比較的軽量であり、高強度の熱力学的ミキサーで処理した後、高強度アスペクト比を維持することができ、低い研磨特性を示し、したがって、機械寿命を延ばす。
【0084】
本発明の態様において、高アスペクト比セルロース繊維は、10より大きい、いくつかの場合において少なくとも約15、および他の場合において少なくとも約20のアスペクト比を有し、約1,000まで、いくつかの場合において約750まで、他の場合において約500まで、および他の場合において約250までのアスペクト比を有する。本発明の特定の態様において、高アスペクト比のセルロース繊維は、50より大きい、いくつかの場合において100より大きい、他の場合において200より大きい、およびいくつかの例において500より大きいアスペクト比を有する。高アスペクト比のセルロース繊維のアスペクト比は、任意の値または上記の値のいずれかの範囲であることができる。
【0085】
本発明の態様において、低アスペクト比のセルロースセ繊維は、少なくとも約1、いくつかの場合において少なくとも1.25、および他の場合において少なくとも1.5のアスペクト比を有し、10まで、いくつかの場合において約7.5まで、他の場合において約5まで、およびいくつかの例において約2.5までのアスペクト比を有することができる。低アスペクト比のセルロース繊維のアスペクト比は、任意の値または上記の値のいずれかの範囲であることができる。
【0086】
本発明の態様において、セルロース繊維は、少なくとも約1、いくつかの場合において少なくとも約2.5、および他の場合において少なくとも約5μmの直径を有し、約500まで、いくつかの場合において約400まで、他の場合において約300まで、いくつかの例において約250μmまでの直径を有することができる。低アスペクト比のセルロース繊維の直径は、任意の値または上記の値のいずれかの範囲であることができる。
【0087】
本発明のいくつかの態様において、木粉は、10メッシュ以下、いくつかの場合において20メッシュ以下、他の場合において30メッシュ以下、およびいくつかの例において40メッシュ以下、他の例において、50メッシュ以下、およびいくつかの状況において60メッシュ以下の粒径を有する。木粉は、10重量%以下、いくつかの場合において9重量%以下、他の場合において8重量%以下、いくつかの例において7重量%以下、いくつかの状況において6重量%以下、および他の例において5重量%以下の含水量を有することができる。しかしながら、あらゆる種類の硬材または軟材は、使用されることができ、通常は、製造業者の場所に依存する。
【0088】
特定のセルロース繊維がもはや木粉とみなされなくなり、代わりに木質繊維とみなされる間の線を決定するための明確な境界は存在しないことに留意すべきである。そのように、本発明によれば、木粉は、いくつかの木質繊維を含み、木質繊維には、ある程度の量の木粉を含む場合がしばしばあるだろう。
【0089】
本発明のいくつかの態様において、セルロース繊維は、再生紙を含むことができ、特定の態様において、ペレット化再生紙を含むことができる。
【0090】
本発明の態様において、セルロース繊維-熱可塑性複合体は、1つ又は2つ以上の他のポリマーと配合するか、または他の方法でブレンドして、セルロース繊維-熱可塑性複合体ブレンドを形成することができる。セルロース繊維-熱可塑性複合体とブレンドされるか、または配合されることができる適切な他のポリマーは、結晶ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、ポリフェニレンオキサイド、スチレンおよび無水マレイン酸のコポリマーおよび/またはC1-C12直鎖状、分枝状または環状アルキル(メタ)アクリル酸、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、PETなど)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、およびエチレン-プロピレンコポリマーなど)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、フッ化ポリビニリデン、アクロニトリル/(メタ)アクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、ポリオキしメチレン、酢酸コポリマー、エチレンビニルアルコールコポリマー、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0091】
特に、本発明の態様において、配合されたブレンドは、ポリメチレン(POMまたはアセタール)を含み、これは、非限定的な例として、E.I. DuPont De Nemours and Company, Wilmington, Delから商品名DELRIN(登録商標)で利用できる。
【0092】
セルロース繊維-熱可塑性複合体ブレンドを使用する場合、ブレンドは、本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体に基づいて、典型的には、少なくとも1重量%、いくつかの例において少なくとも5重量%、他の例において少なくとも10重量%、いくつかの場合少なくとも25重量%、他の場合において少なくとも35重量%および99重量%まで、いくつかの例において95重量%まで、他の例において90重量%まで、いくつかの場合75重量%まで、他の場合65重量%までを含むだろう。また、ブレンドは、他のポリマーブレンドに基づいて、典型的には少なくとも1重量%、いくつかの例において少なくとも5重量%、および他の例において少なくとも10重量%、およびいくつかの例において少なくとも25重量%、および他の場合において少なくとも35重量%および99重量%まで、いくつかの例において95重量%まで、他の例において90重量%まで、いくつかの場合75重量%まで、および他の場合65重量%までを含むだろう。ブレンド中の本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体および他のポリマーの量は、ブレンド組成物を使用して製造される物品における所望の特性に基づいて決定される。ブレンド中の本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体および他のポリマーの量は、任意の値または上記の値のいずれかの間の範囲であることができる。
【0093】
本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体は、当該技術分野において公知の1つ又は2つ以上の添加剤を含むことができる。適切な添加剤は、熱安定材、光安定剤、酸化防止剤;可塑剤、繊維、顔料;抗ブロッキング剤;スリップ剤;潤滑剤;着色剤;紫外線吸収剤;充填剤;帯電防止剤;衝撃性改質剤;抗菌剤、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。他に示されない限り、添加剤のそれぞれは、セルロース繊維-熱可塑性複合体に基づいて、約5重量%未満、いくつかの場合において約4重量%未満、他の場合において約3重量%未満、およびいくつかの例において2重量%未満の量で含まれることができる。典型的には、セルロース繊維-熱可塑性複合体の添加剤の総量は、セルロース繊維-熱可塑性複合体に基づいて、約12重量%未満、いくつかの場合において約10重量%未満、および他の場合において約8重量%未満であるだろう。
【0094】
本発明で使用することができる熱安定化剤としては、ホスファイトまたはホスホナイト安定化剤およびヒンダードフェノールを含むがこれらに限定されず、非限定的な例は、Ciba Specialty Chemicalsから入手可能なIRGANOX(登録商標)安定化剤および抗酸化剤である。
【0095】
一般的には、当該技術分野で公知の従来の紫外線(UV)安定剤は、本発明で利用されることができる。UV安定化剤の非限定的な例は、2-ヒドロキシ-4-(オクチロキシ)-ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-(オクチルオキシ)-フェニルフェニル-メタノン、2-(2’-ヒドロキシ3,5’ジ-テラミルフェニル)ベンゾトリアゾール、およびCiba Specialty Chemicals Co., Tarrytown, N.Y.から入手可能なTINUVIN(登録商標)下で利用可能なUV安定化剤のファミリーを含む。
【0096】
本発明で使用されることができる適切な可塑剤は、クマロン-インデン樹脂、テルペン樹脂、および油を含むが、これらに限定されない。
【0097】
本明細書中で使用する場合、「顔料および/または染料」は、任意の適切な無機または有機顔料または有機染料を指す。適切な顔料および/または染料は、物品の望ましい物理的特性に悪影響を及ぼさないものである。無機顔料の非限定的な例は、二酸化チタン、酸化鉄、クロム酸亜鉛、硫化カドミウム、酸化クロムおよびケイ酸アルミニウムナトリウム錯体を含む。有機タイプ顔料の非限定例は、アゾ及びジアゾ顔料、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、イソインドリノン、アントラキノン、チオインジゴおよび溶剤染料を含む。顔料は、白色または任意の他の色であることができる。顔料は、使用される白色顔料により、白色または任意の他の色であることができる。白色顔料は、0.1~20重量%の量で、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カドミウム、塩化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等、またはそれらの任意の組み合わせの存在によって製造されることができ、使用される白色顔料に依存する。着色顔料は、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、コンゴレッド、チタンイエローまたは例として、印刷業界で知られている、任意の他の着色剤によって製造されることができる。
【0098】
適切な抗ブロッキング剤、スリップ剤または潤滑剤は、シリコーン油、流動パラフィン、合成パラフィン、鉱油、ペトロラタム、石油ワックス、ポリエチレンワックス、水素化ブチテン、高級脂肪酸およびその金属塩、線状脂肪アルコール、グリセリン、ソルビトール、ポリプロピレングリコール、モノヒドロキシまたはポリヒドロキシアルコールの脂肪酸エステル、フタレート、水素化ひまし油、蜜蝋、アセチル化モノグリセリド、水素化精油、エチレンビス脂肪酸エステル、および高級脂肪酸アミドを含むが、これらに限定されない。適切な潤滑油は、グリセロールタイプ、ポリマー複合エステル、酸化ポリエチレンタイプエステルワックス等などのエステルワックス、バリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛およびステアリン酸アルミニウムのような金属ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸の塩、12-ヒドロキシステアリン酸のアミド、ポリエチレングリコールのステアリン酸エステル、ヒマシ油、エチレン-ビス-ステアラミド、エチレンビスコカミド、エチレンビスラウラミド、ペンタエリスリトールアジペートステレートおよびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0099】
本発明で使用することができる適切な紫外線吸収剤は、2-(2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、例えば、市販のヒドロキシフェニル-2H-ベンゾトリアゾールおよびベンゾトリアゾールヒドロキシベンゾフェノン、アクリレート、マロネート、立体障害アミン安定剤、ヒドロキシ置換アルコキシ基によってN原子上で置換された立体障害アミン、オキサミド、トリス-アリール-o-ヒドロキシフェニル-s-トリアジン、置換および非置換安息香酸のエステル、ニッケル化合物、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0100】
適切な充填剤は、物品の望ましい物理的特性に悪影響を及ぼさず、いくつかの場合において向上させるものである。適切な充填剤は、粉砕および沈殿された形態の炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、ガラス、カリオンおよびモンモリットなどの粘土、マイカ、シリカ、アルミナ、金属粉末、ガラス球、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、珪藻土、ガラス繊維、ガラスファイバーおよびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。充填剤の量は、多くの場合、セルロース繊維-熱可塑性複合体の全重量の10%未満である。
【0101】
適切な帯電防止剤の例は、グリセリン脂肪酸、エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、クエン酸ステアリル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステルを含むが、これらに限定されない。
【0102】
適切な衝撃改質剤の例は、高衝撃ポリエチレン(HIPS)、スチレン/ブタジエンブロックコポリマー、ABS、C1-C12直鎖状、分枝状または環状オレフィンのコポリマー、(メタ)アクリル酸のC1-C12直鎖状、分枝状または環状アルキルエステル、スチレンモノマー、スチレン/エチレン/-ブテン/スチレン、ブロックコポリマー、スチレン/エチレンコポリマーを含むが、これらに限定されない。使用される衝撃改質剤の量は、典型的には、セルロース繊維-熱可塑性複合材の総重量の0.5~25重量%の範囲である。
【0103】
本発明で使用されることができる適切な抗菌剤の例は、1つ又は2つ以上の様々な殺菌剤、除草剤、殺虫剤および当該技術分野で公知の他のそのような材料を含む。非限定的な例として、抗菌剤は、全ての形態の炭酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物およびホウ酸塩のナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、銅、およびバリウム塩;カルボン酸亜鉛;ホウ酸;重クロム酸ナトリウム;銅クロム酸塩(CCA);クロメート銅ボレート(CBC);アンモニア性銅ヒ酸塩(ACA);アンモニア性銅ヒ酸亜鉛(ACZA);銅クロムフルオライド(CFK);銅クロムフルオロボレート(CCFB);銅クロムリン(CCP);プロピコナゾールテブロナゾール;ペンタクロロフェノール(PCP)などの有機塩化物;第四級アンモニウム化合物(AAC);銅8-ヒドロキシキノリンまたは銅オキセン;トリ-n-ブチルスズオキシド(TBTO);トリ-n-ブチルスズナフテネート(TBTN);臭化ジデシルジメチルアンモニウム(DDAB);塩化ジデシルジメチルアンモニウム(DDAC);銀イオン、水銀イオン、カルバメート、イソチアゾロン、塩素化フェノキシおよびポリヘキサメチレンベグアニジド塩酸塩、およびそれらの組み合わせを含むことができる。
【0104】
本発明で使用されることができる他の抗菌剤は、例えば、Zenecaによって販売されているDemon TCの有効成分である1-[(6-クロロ-3-ピリジニル)メチル]-4,5-ジヒドロ-N-ニトロ-1H-イミダゾール-2-アミンおよび3-(2,2-ジクロロエテニル)-2,2-ジ-メチルシクロ-プロパンカルボン酸シアノ(3-フェノキシフェニル)-メチルエステル(シペルメトリン);例えば、Zenecaによって販売されているDragnet FTおよびTorpedoeの有効成分である3-(2,2-ジクロロ-エテニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸(3-フェノキシフェニル)メチルエステル(ペルメトリン);および例えば、Bayerによって販売されているPremiseの有効成分である1-[(6-クロロ-3-ピリジニル)メチル]-4,5-ジヒドロ-N-ニトロ-1H-イミダゾール-2-アミン(イミダクロプリド)を含むが、これらに限定されない。
【0105】
いくつかの特定の抗菌剤の非限定的な例は、バリウムメタボレート一水和物(Buckman Labsによって製造され商標Busan 11-M1として販売されている)、2-N-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オンVinyzene IT(DOWによって製造され商標Skane Morton1として販売されている)、オクチルイソチアゾロン、ジクロロ-オクチルイソチアゾロン、トリクロロ-フェノキシフェノール、トリクロサン、10,10’-オキシビスフェノシンVinyzene BP(Sangi Co. Ltd.によって製造され商標Apaciderとして販売されている)、2,3,5,6-テトラクロロ-4(メチルスルホニル)ピリジン(ICIによって製造され商標Densi Iとして販売されている)、2-(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール(Buckman Labsによって製造され商標Busan 1030として販売されている)、N-(トリクロロメトルチオ)-フタルイミド(Huelsによって製造され商標Fungitrol IIとして販売されている)、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート(Troy Chemicalによって製造され商標Polyphase AF-1として販売されている)を含むが、これらに限定されない。このリストは、決して網羅的ではなく、生分解プロセスを制御するために本発明に従って適用できるいくつかの代表を含む。
【0106】
使用されることができる他の抗菌剤は、非限定的な例として、PHMD、Triclosan、Irgansan DP300、MICROBAN(登録商標)製品、塩化フェノキシ5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩、CH3635、Ster-zac、5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-フェノール、クロロ-2-)2,4-ジクロロ)フェノール、クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール、Lexol 300、トリクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル、および関連部分が参照として本明細書中に取り込まれる以下の米国特許に記載される抗微生物剤を含む;米国特許第5,586,643号、第5,288,480号、第4,098,877号、第5,069,907号および第5,238,749号。これらの化合物の多くは、Microban Products Company, Huntsville, N.C.によって販売されている。既知の抗殺菌生物特性または生体静止特性を有する他の適切な化学成分は、本発明でも使用され得る。
【0107】
本発明で使用することができる天然抗菌剤の非限定的な例は、ティーツリー油、ミント油、レリュワ油、サンダルウッド油、クローブ油、ラベンダー油、二ゲラサティバ(Black cumin)油、タマネギおよびそれらの組み合わせなどの必須油を含むが、これらに限定されない。
【0108】
非限定的な例として、本発明の発泡性セルロース繊維-熱可塑性複合体品は、セルロース繊維-熱可塑性複合体のペレットを形成し、次にペレットを成形または押出して本発明の物品を形成することによって作製されることができるか、またはセルロース繊維-熱可塑性複合体組成物は、押出機内で形成され、直接押出されて本発明の物品を形成する。
【0109】
本発明の方法の態様において、いずれかの方法は、コポリマー、セルロース繊維および任意のエラストマーポリマーおよび/または任意の他の添加剤をドライブレンドし、続いてそれらを押出機に添加することを含むことができる。
【0110】
本発明の態様において、コポリマー、セルロース繊維および任意のエラストマーポリマーおよび/または任意の他の添加剤は、溶融ブレンドによって組み合わされることができる。
【0111】
本発明の方法の他の態様において、いずれかの方法は、コポリマーおよび任意にエラストマーポリマーを第1の押出機に添加し、次に第2の押出機においてそれらをセルロース繊維および任意の他の添加剤と組み合わせることを含むことができる。
【0112】
本発明の態様において、コポリマーおよび任意のエラストマーコポリマーは、溶融ブレンドによって組み合わされることができる。
【0113】
どの方法が使用されるかにかかわらず、ブレンドステップの間に、コポリマーおよびセルロース繊維は、典型的には、高剪断混合によって緊密に混合されて、コポリマー-セルロース繊維複合体を形成し、ここで、混合物は、連続コポリマー相およびセルロース繊維分離相を含み、いくつかの反応は、本明細書中に記載のコポリマーおよびセルロース繊維の間で起こる。分散したセルロース繊維は、コポリマー相全体に懸濁されるか、分散されることができる。連続コポリマー相内の分散した繊維相の製造は、実質的な機械的入力を必要とすることができる。そのような入力は、適切な程度の濡れ、緊密な接触および反応が達成されるまで、材料が高剪断の条件下で混合される押出機機構を含む種々の混合手段を使用して達成されることができる。
【0114】
押出および/またはペレット化プロセスの間、セルロース繊維、コポリマー、任意にエラストマーポリマー、および任意の添加剤を高温および高圧で密接に接触させて、セルロース繊維およびコポリマーが、コポリマーが、微視的には、セルロース繊維の細孔、空洞等に塗布されて、流れ込むことを確実にする。多くの場合、繊維は、実質的には、押出方向に押出プロセスによって配向される。そのような実質的な配向は、隣接する平行繊維の重なりおよび配向繊維のコーティングを引き起こし、改善された物理的性質を有する改良された構造部材の製造に有用な材料をもたらす。配向度(押出方向または機械方向に配向された繊維の割合)は、約20%、多くの場合、約45~50%であるランダム配向より約30%高いことができる。コポリマー中の無機物基とセルロース繊維中のヒドロキシル基の間の反応は、しばしば場所のこの配向性を「ロックし」、並びにそれが押出機から出るときに、組成物を発泡させるように作用する発泡剤を提供する。
【0115】
本発明の方法において、水分調節は、プロセスの重要な要素であることができる。使用される装置および処理条件に依存して、成分の含水量の制御は、制御された発泡特性を有する所望の物品を形成する上で重要であることができる。本明細書中に記載される処理ステップの間にセルロース繊維中の水分の量が高すぎるとき、押出された物品の内部に水蒸気泡が深く入り込んだ急速揮発の結果、水が新たに押出された物品の表面からフラッシュすることができ、これは、内部から熱い熱可塑性押出物を通過して、実質的な欠陥を残すことができる。同様にして、表面水は、泡立ち、押出物品に亀裂、気泡または他の表面欠陥を残すことができる。
【0116】
本発明の態様において、押出機を通気してセルロース材料から望ましくない水分を放出し、および/またはコポリマー-セルロース反応によって生じる押出機の過剰圧力を開放する。
【0117】
本発明の様々な態様において、セルロース繊維-熱可塑性複合体は、コポリマーを流動させ、押出機ダイを介して、1回以上本明細書中に開示されるセルロース繊維-熱可塑性複合体のいずれかを押出すのに十分な温度で溶融混合する。シングルパスまたはマルチパスの押出機の両方は、本発明において使用されることができる。
【0118】
本発明の様々な態様において、セルロース繊維-熱可塑性複合体は、Banburyミキサー、またはBrabenderミキサーおよび/または二軸スクリュー押出機を使用して形成されることができる。セルロース繊維-熱可塑性複合体は、最終製品の製造直前まで、当該技術分野で知られている方法を使用して、プロセスの任意の適切な段階で、ブレンドして混練されることができる。ブレンドは、タンブラー、ヘンシェルミキサー等の適切な混合機を使用するか、または成分材料の測定された量をフィーダーにより押出機ホッパーに供給し、それらを押出機中で混合するような種々の方法により行われることができる。混練はまた、単軸または二軸スクリュー押出機を使用するなどの適切な公知の方法によって達成され得る。
【0119】
本発明の多くの態様において、配合ステップは、一般的には、押出機を含む。押出機は、単軸または二軸スクリュー押出機であり得る。多くの場合において、押出機は、真空または圧力下で配合プロセスを実施されることができるものである。
【0120】
本発明の態様において、十分な圧力は、コポリマーおよびセルロース繊維は、水蒸気、二酸化炭素またはコポリマー並びにコポリマーおよびセルロース繊維混合物から逃げるコポリマーおよびセルロース繊維の反応からの他の進化した発泡剤を防止するために結合される押出機で維持される。
【0121】
セルロース繊維-熱可塑性複合体組成物が、押出機内で形成され、直接押出されて本発明の物品を形成する場合、コポリマーおよびセルロース繊維混合物に対する圧力は、混合が押出機から排出され、ダイまたは押出された混合物を膨張させて所望の形状および/または寸法を有する発泡物品を形成させる他の成形器に入った後に放出される。
【0122】
本発明の多くの態様において、複合体が、その溶融温度および/またはそのTg未満に冷却されている間、所望のプロファイルを維持するために、反応/発泡コポリマー-セルロース複合体をダイを通して押出した後に、真空が適用される。
【0123】
本発明の態様において、押出および成形条件を調整して、完全に微小な発泡構造であるか、または上記の構造化発泡体と微小発泡体構造の組み合わせである材料を提供する。
【0124】
したがって、本発明の態様は、発泡セルロース繊維-熱可塑性複合品を直接製造する方法を提供する。該方法は、a)コポリマーおよび任意のエラストマーポリマーを組み合わせて、配合されたコポリマーを形成するステップ;b)セルロース繊維を配合したコポリマーと組み合わせて、セルロース配合ポリマーを形成するステップ;およびc)セルロース配合コポリマーを押出して、押出物品を形成するステップを含むことができる。
【0125】
本発明の態様において、プロファイル押出技術を使用して、物品を形成する。この態様において、セルロース繊維-熱可塑性複合体を加えて、上記の方法のいずれかを使用して押出機に加え、材料を加熱されたバレル内の回転スクリューによって連続的に前方に搬送し、摩擦および熱の両方によって軟化される。次に軟化したセルロース-熱可塑性複合体を、ダイを通して押出し、冷却されて物品を形成することができる。いくつかの態様において、軟化したセルロース繊維-熱可塑性複合体をダイに押し込み、直接冷水浴に供給し、そこでセルロース繊維-熱可塑性複合体を固化させて物品を形成する。
【0126】
本発明の態様において、真空較正ユニットを、プロファイル押出機とともに使用して、窓枠、フェンシングパネル、窓ブラインド用のスラットおよびデッキボードなどのセルロース繊維-熱可塑性複合体プロファイルをサイジングするためのプラットフォームを提供することができる。
【0127】
上記に示されるように、本発明の発泡セルロース繊維-熱可塑性複合品は、セルロース繊維-熱可塑性複合体のペレットを形成し、次に物品を形成するためにペレットを押出または成形することによって製造することができる。本発明のこれらの態様において、成分(セルロース繊維、コポリマー、任意のエラストマーポリマー、および任意の添加剤)を重力により押出機に供給し、均質な組成物のペレットを形成する第1パス法を使用することができる。
【0128】
いくつかの態様において、比較的均一なサイズの既に均質なペレットで始まる第2のパスを含めることが必要がある。不完全な混合による特性および出力速度の変動は、ペレットが溶融され、第2パスで再押出されるときに、ほとんど排除される。
【0129】
ペレット形態のセルロース繊維-熱可塑性複合体を利用する本発明の態様において、ペレットの製造は、上記のようなブレンドステップと、ペレット化ステップの2つのステップを含むことができる。
【0130】
本発明の態様において、コポリマーおよびセルロース繊維は、ブレンド装置に導入する前に適切な割合でドライブレンドされることができる。ブレンドステップは、別個の粉末ハンドリング装置で行うことができ、または適切な製品組成を保証するために、コポリマー繊維ストリームは、適切な供給比で混合ステーションに同時に導入されることができる。
【0131】
本発明のいくつかの態様において、セルロース繊維を重量または容量によって制御されたホッパーに入れて、ミキサー中に繊維を分配する。コポリマーを樹脂投入系に導入する。コポリマーおよび繊維の量は、複合体材料が、重量または体積基準で適切な割合を含むことを確実にするために調整されることができる。繊維は、混合セクション、輸送セクションおよび溶融セクションを混合することを含むことができる押出装置に導入することができる。各セクションは、典型的には、有用な製品を得る所望の熱プロファイルを有する。材料は、材料の約100~約1000ポンド/時の速度で押出機に導入することができ、コポリマーの効率的なメルトフローを維持することができる温度に最初に加熱することができる。コポリマーおよび繊維を効率的に組み合わせるための処理温度をプロファイルする多段階装置を使用することができる。押出の最終段階は、ヘッド部分を含むことができる。ヘッド部分は、10~500以上の円形分布(直径6~8インチ)、多くの場合、規則的な円筒形ペレットの製造につながる断面形状を有する20~250のオリフィスを含むことができる。材料がヘッドから押出されるにつれて、約100~400rpmの回転速度で二重端ナイフブレードで切断され、所望のペレット長が得られる。
【0132】
本発明のいくつかの態様において、いくつかの場合、形成中に部分的に発泡されるペレットは、金型に入れ、加熱してコポリマーとセルロース繊維の間の更なる反応を生じさせ、膨張したペレットの発現および溶解を生じさせて、金型の形状の発泡化た塊を形成することができる。
【0133】
本発明の他の態様において、ペレットは、上記のように押出機に入れられ、押出されて、本明細書中に記載の発泡体を形成することができる。
【0134】
本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体はまた、他の形成プロセス、すなわち射出構造発泡プロセス、射出成形、圧縮成形、共押出、およびフィルムまたはシートのためのブロー成形またはビア押出方法、および本明細書中に記載されているような部品を製造する熱成形で使用され得る。
【0135】
本発明の態様において、乾燥したセルロースは、木質ホッパーを介して二軸スクリュー押出機に供給され、これは、移送されながら繊維を温度に加熱する。コポリマーは、ポリマーホッパーを介して一軸スクリュー押出機に供給され、そこでコポリマーが溶融され、二軸スクリュー押出機に供給され、ここで溶融コポリマーおよびセルロース繊維が混合される。過剰な水蒸気をセルロース繊維-コポリマー混合物から除去することを可能にするために、ベントは、任意には、二軸スクリュー押出機に沿って含められることができる。混合物は、プロファイルダイを通じて二軸スクリュー押出機を出て、ここで混合物は、一般には、成形される。混合物は、プロファイルダイを出て、発泡して較正テーブルの成形セクションの寸法を充填し、真空を利用してセルロース繊維-コポリマー混合物が所望のプロファイル形状に発泡することを確実にすることができる。任意には、真空の適応を続けながら、較正テーブルの冷却セクションを、セルロース繊維-コポリマー混合物の温度が、その融点よりも低くなるような水浴または他の適切な冷却手段(冷媒、熱交換器等)に浸漬するので、セルロース構造は維持され、シンクまたは他の表面の不完全性の発生が最小限に抑えられる。較正テーブルを出た後、押出された発泡セルロース繊維-コポリマー混合物は、走行中のカットオフのこぎりを通って流出テーブルに引かれる。
【0136】
本発明の特定の態様において、本発明の方法で使用されることができる装置は、WT-94 WOODTRUDER(登録商標)システムを含むことができ、カップリングしたMark V(登録商標)75mmの一軸スクリュー押出機を有するGP94 94 mm逆回転平行二軸スクリュー押出機(28:1 L/D)を含むことができる。供給システムは、フラッドフィーディング(flood feeding)を介して75mm一軸スクリュー押出機に供給する3つの重力フィーダー(例えば、Colortronics Systems AG, Hunzenschwil、スイス)および飢餓フィーディング(starvation feeding)を介する94mm二軸スクリュー押出機を供給する3つの重力測定フィード(Colortronics)などを含むことができる。この系における溶融ポリマーの側部供給は、効率的な発泡機構を作り出すための利点を有する。第1に、発泡および細胞増殖を制御するのに好ましい比較的低い溶融温度および/またはTgは、細胞サイズ分布および細胞密度に影響を及ぼす。第2には、セルロース繊維およびコポリマー溶融物との熱混合後に、発泡の核形成は、押出バレルの出口で始まるので、押出機の中間部における早期発泡を防止することができる。
【0137】
本発明の態様において、コポリマーの溶融温度および/またはTgは、使用される特定のプロセスに従って約204℃~約260℃であることができる。本発明のいくつかの態様において、75mm一軸スクリュー押出機の連続バレルゾーン温度は、それぞれ250℃、240℃、220℃、210℃、および205℃に設定せれることができる。これらの条件の範囲内で、コポリマー溶融物を、良好な流動性を有する94mmの二軸スクリュー押出機に供給することができる。一軸スクリュー押出機から供給されるコポリマーの溶融温度および/またはTgは、約200℃~約205℃であることができる。発泡を制御するために、溶融温度は、典型的には、十分な溶融物の流れを保証する温度の範囲内で可能な限り低く保たれる。いくつかの態様において、コポリマー溶融温度は、約900psiの溶融圧力で204℃のように低く維持されることができる。セルロース繊維は、二軸スクリュー押出機に供給され、高温押出機バレルによって数分間約175℃まで加熱され、木粉からの水分を大気および真空通気ゾーンを通じて効率的に除去する。コポリマーとセルロース繊維の混合物の溶融温度は、約700psiの混合物の溶融圧力で約170℃~約185℃の範囲であることができる。
【0138】
本発明の態様において、二軸スクリュー押出機のバレル端部における溶融圧力は、約560psi~約760psiの範囲であることができる。多くの態様において、圧力は、押出機スクリューの回転サイクルに敏感であることができるので、一定に保たれない。
【0139】
本発明の態様において、押出の排出速度は、約152.5lbs/時間であることができ、これは、セルロース繊維の約90lbs/時間、コポリマーの55lbs/時間、および潤滑剤の約7.5lbs/時間を含むことができる。押出物の長い冷却時間を提供するために、排出速度を緩和することができる。排出速度が速すぎるとき、ライン速度が速くなり、押出物の冷却時間が短くなる。
【0140】
本発明の態様において、混合物を排出するために、真空が適用される。セルロース繊維中のいくらかの過剰な水分は、膨潤および開口部を有する貧弱な表面をもたらすことができる。多くの態様において、アクティブな発泡剤の量が真空の量によって制御されることができるので、真空通気は、発泡の程度を制御するために使用されることができる。
【0141】
本発明の態様において、プロファイルダイは、Celuka型ダイであることができ、これは、他の外側シェルおよび内側シェルを含む。ケーシングダイは、外側シェルの内側表面と内側シェルの外側表面の空間によって定義される。中央ダイは、内側シェルの内側表面によって形成される空間によって定義される。
【0142】
本発明の態様において、押出されたセルロース繊維-コポリマー混合物は、2つの流れでダイを出る。第1の流れは、ケーシングダイ介してダイを出て、外側ケーシングまたはシェルを形成し、これは、一般的には、上記のように微小発泡される。第2の流れは、中央ダイを出て、第1の流れによって包まれ、これは、本明細書中に記載されるような性質で構造化発泡である。
【0143】
本発明の態様において、第1の流れは、一般的には、いくらかの膨張を伴って直線的に進むが、第2の流れは、最終的には、外側のケーシングまたはシェル内の空間を満たすように膨張しながら正弦波状に進む。第2の流れの正弦曲線の側面において、発泡反応のために厚くなり得る。本発明の態様に特有の点は、第2の流れが、最終的には、中央発泡として外側ケーシングまたはシェル内の空間を充填するように発泡する一方、流れのパターンおよびセルロースコポリマー反応は、様々な方向に「ロックする」ことである。
【0144】
この態様において、得られた包まれた正弦波発泡構造は、押出物品の外側断面を包囲する外側ケーシングと、外側ケーシングよりも低い密度を有する内側部分としての中央発泡を含む。中央発泡体は、物品のほぼ中間点で振動する押出方向の波状構造を有する。中間点からのピーク偏差は、外側ケーシングの内側部分に接触し、融合される。
【0145】
外側ケーシングまたはシェル中のセルロース繊維は、一般的には、押出方向に向けられる。一方、中央発泡におけるセルロース繊維は、正弦波パターンに従う物品の波状構造に沿って変化する配向を有する。セルロース繊維の配向は、本明細書中に記載される熱可塑性複合体材料の多くの特性に寄与する。
【0146】
本発明の態様において、フリー発泡ダイを使用することができる。これらの態様の例として、押出機は、セルロース繊維をある方向に沿って輸送し、コポリマーと混合され、これは、ホッパーを介して押出機に添加される。コポリマー-セルロース繊維混合物は、ダイを通じて、較正管を含む温度制御されたサイジングスリープに通され、水を含む真空冷却タンク内に存在する。この態様において、ダイのランド厚は、典型的には、一定である。このフリー発泡態様において、コポリマー-セルロース繊維混合物の発泡は、ダイの終わりの後、または、すなわち、ダイの外側で始まる。この方法に従って製造された熱可塑性複合体材料は、可変膨張率を有し、一般的には、低密度であり、良好な外面を有する。
【0147】
本発明の態様において、Celuka型発泡ダイを使用することができる。この態様において、押出機は、セルロース繊維を輸送し、それは、コポリマーと混合され、これはホッパーを介して押出機に添加される。コポリマー-セルロース繊維混合物は、ダイの中心に固定された妨害を含むサイジングおよび冷却ダイを通過する。発泡したコポリマー-セルロース繊維混合物は、取り出しセクションで冷却される。この方法に従って製造された熱可塑性複合体材料は、二重層の存在に起因して固い外面、中密度、固定された膨張率および良好な強度を有する。
【0148】
本発明の特定の態様において、Celuka型発泡ダイは、内部発泡プロセスに使用される。この方法において、較正ユニットは、ダイに隣接して配置され、ダイと同じ寸法を有し、これは、発泡の膨張を制御するのに役立つ。このプロセスは、非常に急速な冷却を提供する。気泡形成は、生成物の表面で急冷され、固体の外皮が生成される。二重層の結果として、発泡押出物は、一般的には、良好な機械的特性を示す。フリー発泡と比較して、Celuka型プロセスは、異なる細胞構造および密度プロファイルを提供する。
【0149】
フリー発泡ダイを介して製造された材料は、各端部でより高い密度肌(約900~約1100kg/m3、いくつかの場合約950~1050kg/m3)を有し、その密度は約3~約20で、いくつかの場合より高い密度肌よりも低い密度を有する密度中央コア部に対する物品の全厚の約5~約15パーセント(約450~約650kg/m3、いくつかの場合約500~約600kg/m3)で、急速に低下する。
【0150】
Celuka型発泡ダイを介して製造された材料は、各端部でより高い密度を有し(約1200~約1600kg/m3、いくつかの場合約1300~約1500kg/m3)および密度は約5~約22で、いくつかの場合より高い密度肌よりも低い密度を有するより低い密度中央コア部分に対して物品の全厚さの約7~約18パーセントで(約250~400kg/m3、いくつかの場合において約300~400kg/m3)、急速に低下する。最も中央の部分(物品の縁から約35%~約70%、いくつかの場合約40%~約60%)は、物品の最も低い密度を有する(約100~約300kg/m3、いくつかの倍約150~約250kg/m3)。多くの場合、移行帯は、より高い密度層、より低い密度中央コア部分および最も中心部分の間に存在する。
【0151】
本発明の特定の態様において、Celuka型発泡ダイは、Futuresoft Technologies Inc., Manalapan, N.J.によって製造される発泡ダイであることができる。この態様において、ダイ壁および中心マンドレルに位置する3つのノズルユニットがある。異なるノズルからの3つのメルトフローがダイで結合し、圧力降下が発泡を開始する。冷たい水チャネルを備えたサイジングダイであり得るキャリブレータユニットによる冷却の効果によってポリマー溶融物が再結晶されるまで、発泡細胞は、急速に成長する。より高い密度の外側部分またはスキン層は、ダイ壁およびキャリブレータユニットと直接接触する押出物表面の比較的高い冷却速度のために押出物の縁または外面に形成されることができる。
【0152】
さらなる態様において、押出機は、セルロース繊維を一緒に搬送し、ホッパーを介して押出機に加えられるコポリマーと混合される。コポリマー-セルロース繊維混合物は、圧力降下を最大にするノズルを含む発泡ダイを通過する。フリー発泡態様とは対象的に、この態様において、コポリマー-セルロース繊維混合物の発泡は、典型的には、上記のように微小発泡様式で、ダイの内部で開始する。発泡したコポリマー-セルロース繊維混合物は、キャリブレーターに入り、そこでは、テイクオフのためにサイズおよび冷却される。この態様による方法は、より高い細胞密度およびより大きい発泡倍率を有する熱可塑性複合体材料を提供する。
【0153】
ノズル発泡ダイシステムは、一般的には、マイクロセル発泡機構を提供する。ノズルは、多くの発泡ダイより比較的薄く、溶融圧力を可能な限り高く保つことを意味し、ノズルの端部で大きな圧力降下をもたらす。この態様のシステムは、良好な核生成開始を提供し、細胞密度(単位体積当たりの細胞数)を増加させる。
【0154】
本発明の態様において、製品の安定した寸法が達成されるまで、押出物冷却を維持するための較正ユニットの後に水冷却タンクのシステムを配置することができる。水タンクのシステムは、厚いエポキシ側壁、上部窓、および水循環パイプを有するステンレス鋼プレートを含むことができる。
【0155】
本発明の特定の態様において、水冷却タンクは、長さ約48インチ、幅24インチおよび深さ13.5インチであることができる。
【0156】
較正ユニットの長さまたは数は、所望の冷却速度に基づいて変化することに留意されたい。一般的に、木材プラスチック複合体製造のためには、3つの較正ユニットが、効率的な押出出力速度のために必要とされ得る。
【0157】
本発明の態様において、押出物を、水タンク内で冷却することができ、さらなる冷却のために水スプレータンクに導入されることができる。水スプレータンクの端部で、エアーナイフを用いて押出物表面から水滴を除去することができ、引っ張り機であるプラーが、有意なスリップを起こさず押出物を効率的に運ぶことができる。
【0158】
プラーでの押出物の運搬速度は、発泡押出物の膨張を制御するために使用され、流線系の滑らかな押出を提供することを助ける。
【0159】
本発明の態様において、プラーは、Royal Machine Manufacture Ltd.から市販されているものであることができる。
【0160】
押出され、成形され、形成された後、物品は、少なくとも約0.1cm、いくつかの例において少なくとも約0.15cm、他の例において少なくとも約0.25cm、いくつかの場合において少なくとも0.5cm、および他の場合において少なくとも約1cmの厚さを有することができ、約35cmまで、いくつかの例において約30cmまで、他の例において約25cmまで、いくつかの状況において約20cmまで、他の状況において約15cmまで、いくつかの場合において約12cmまで、および他の場合において約10cmまでの厚さを有することができる。物品の厚さは、任意の値または上記の値のいずれかの間の範囲であることができる。
【0161】
微小発泡材量における小さな空隙は、少なくとも0.01μm、いくつかの場合において少なくとも0.1μm、および他の場合において少なくとも1μmの直径を有することができ、50μm未満、いくつかの場合において49μmまで、他の場合において45μmまで、いくつかの例において40μmまで、他の例において35μmまで、いくつかの状況において30μmまで、および他の状況において25μmまでであることができる。微小発泡材料の小さな空隙のサイズは、コポリマーの組成、セルロースのタイプおよび使用される特定の押出条件に基づいて変化するだろう。微小発泡材料の小さな空隙のサイズは、任意の値または上記の値のいずれかの間の範囲であることができる。
【0162】
本発明の態様において、微小発泡材料の密度は、少なくとも0.5g/cm3、いくつかの場合において少なくとも0.64g/cm3および他の場合において少なくとも0.68g/cm3であることができ、1.1g/cm3まで、いくつかの場合において1.06g/cm3までおよび他の場合において1.02g/cm3までであることができる。本発明の特定の側面において、および使用され得る任意の追加の充填剤に依存して、微小発泡材料の密度は、1.3g/cm3まで、いくつかの場合1.2g/cm3であることができる。微小発泡材料の密度は、コポリマーの組成、セルロースのタイプ、充填材のタイプおよび使用される特定の押出条件に基づいて変化するだろう。微小発泡材料の密度は、任意の値または上記の値のいずれかの間の範囲であることができる。
【0163】
構造化発泡材料の大きな空隙は、少なくとも50μm、いくつかの場合において少なくとも55μm、および他の場合において少なくとも60μmの直径を有することができ、2,500μmまで、いくつかの場合において2,000μmまで、他の場合において1,500μmまで、いくつかの例において1,000μmまで、他の例において500μmまで、いくつかの状況において400μmまで、および他の状況において250μmまでであることができる。構造化発泡材料中の大きな空隙のサイズは、コポリマーの組成、セルロースのタイプおよび使用される特定の押出条件に基づいて変化するだろう。構造化発泡材料の大きな空隙のサイズは、任意の値または上記の値のいずれかの間の範囲であることができる。
【0164】
本発明の態様において、構造化発泡材料の密度は、微小発泡材料の密度よりも小さい。この態様の側面において、構造化発泡材料は、少なくとも0.45g/cm3、いくつかの場合において少なくとも0.50g/cm3、および他の場合において少なくとも0.55g/cm3であることができ、0.80g/cm3まで、いくつかの場合において0.75g/cm3まで、および他の場合において0.7g/cm3までであることができる。構造化発泡材料の密度は、コポリマーの組成、セルロースのタイプおよび使用される特定の押出条件に基づいて変化するだろう。構造化発泡材料の密度は、任意の値または上記の値のいずれかの間の範囲であることができる。
【0165】
セルロース繊維-熱可塑性複合体の特定の利点は、本発明の優れた引張りおよび熱可塑性複合体の熱特性である。
【0166】
本発明の態様において、ISO527-2に従って決定される本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体の引張り弾性率は、2,000MPaより大きい、いくつかの場合において2,500MPaより大きい、および他の場合において3,000MPaより大きく、特定の熱可塑性および使用されるセルロース繊維に依存する。
【0167】
本発明のさらなる態様において、セルロース繊維-熱可塑性複合体のISO527-2に従って決定される引張強度は、少なくとも約25MPa、いくつかの場合において少なくとも約30MPa、他の場合において少なくとも約35MPa、およびいくつかの例において少なくとも約40MPaであることができ、特定の熱可塑性および使用されるセルロース繊維に依存する。
【0168】
本発明の特定の態様において、本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体は、ISO527-2に従って決定された、セルロース繊維およびポリプロピレンを含む同様に構成された材料の引張り強度よりも少なくとも1.5倍である、いくつかの場合において少なくとも1.75、および他の場合において少なくとも2倍大きい引張弾性率を有する。この態様に加えて、本発明のセルロース繊維-熱可塑性組成物は、ISO527-2に従って決定された、セルロース繊維およびポリプロピレンを含む同様に構成された材料の引張強度よりも少なくとも1.5倍である、いくつかの場合において少なくとも1.75倍、および他の場合において少なくとも2倍より大きい引張強度を有する。
【0169】
本発明の他の態様において、セルロース繊維-熱可塑性樹脂複合体の、ISO-75-2に従って決定される1.82MPaでの荷重たわみ温度(DTUL)は、少なくとも約85℃である。
【0170】
本発明の態様において、本発明のセルロース-熱可塑性複合体材料の曲げ特性は、材料の破断弾性率によって特徴付けられることができる。この態様によれば、ASTM D790に従って決定される破断係数は、750psiより大きく、いくつかの場合、900psiより大きく、および他の場合において少なくとも1,000psiであり、使用される特定の熱可塑性およびセルロース繊維に依存する。
【0171】
本発明の態様において、本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体材料の曲げ特性は、材料の弾性率によって特徴付けられることができる。この態様によれば、ASTM D790によって決定される弾性率は、75,000psiより大きい;いくつかの場合において90,000psiより大きい、および他の場合において少なくとも100,000psiであり、特定の熱可塑性および使用されるセルロース繊維に依存する。
【0172】
本発明の態様において、本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体材料の曲げ特性は、材料の破断弾性率によって特徴付けられることができる。この態様によれば、ASTM D790に従って決定された破断係数は、750psiより大きく、いくつかの場合において900psiより大きく、および他の場合において少なくとも1,000psiであり、いくつかの場合において20,000psiまでであることができ、特定の熱可塑性および使用されるセルロース繊維に依存する。
【0173】
本発明の態様において、本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体材料の曲げ特性は、材料の弾性率によって特徴付けられることができる。この態様によれば、ASTM D790に従って決定される弾性率は、75,000psiより大きく;いくつかの場合において90,000psiより大きく、他の場合において少なくとも100,000psi、およびいくつかの場合において1,000,000psiまでであることができ、特定の熱可塑性および使用されるセルロース繊維に依存する。
【0174】
本発明の態様において、本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体材料の引張特性は、材料の破断係数によって特徴付けられることができる。この態様によれば、ASTM D638に従って決定された破断係数は、500psiより大きく、いくつかの場合において650psiより大きく、他の場合において少なくとも750psiであり、いくつかの場合において20,000psiまでであることができ、特定の熱可塑性および使用されるセルロース繊維に依存する。
【0175】
本発明の態様において、本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体材料の引張特性は、材料の弾性率によって特徴付けられることができる。この態様によれば、ASTM D638に従って決定される弾性率は、100,000psiより大きく;いくつかの場合において125,000psiより大きく、他の場合において少なくとも150,00psiであり、およびいくつかの場合において1,500,000psiまでであることができ、特定の熱可塑性および使用されるセルロース繊維に依存する。
【0176】
本発明の態様において、本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体材料の衝撃特性は、材料のアイゾッド衝撃抵抗性によって特徴付けられることができる。この態様によれば、アイゾット衝撃抵抗性は、ASTM D256に従って決定され、80J/M未満であり、いくつかの例において60J/M未満、他の例において50J/M未満、いくつかの状況において40J/M未満、他の状況において30J/M未満、いくつかの場合において25J/M未満、および他の場合において他の場合において22J/M以下、いくつかの場合において1J/M程度に低くなることができ、特定の熱可塑性および使用されるセルロース繊維に依存する。
【0177】
本発明の態様において、本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体材料の微小発泡部分の曲げ特性は、ASTM D790に従って決定される材料の破断係数によって特徴付けられる構造化発泡部分の曲げ特性よりも大きい。本発明のこの態様において、構造化発泡部分は、750psiより大きく、いくつかの場合において900psiより大きく、他の場合において少なくとも1,000psiである破断係数を有することができ、10,000psiまでであることができ、特定の熱可塑性および使用されるセルロース繊維に依存する。この態様において、微小発泡部分は、1,000psiより大きい、いくつかの場合1,150psiより大きい、および他の場合において少なくとも1,300psiである破断係数を有することができ、20,000psiまでであることができ、特定の熱可塑性および使用されるセルロース繊維に依存する。
【0178】
本発明の態様において、本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体材料の曲げ特性は、ASTM D790に従って決定される材料の弾性率によって特徴付けられるように構造化発泡部分の曲げ特性よりも大きい。本発明のこの態様において、構造化発泡部分は、75,000psiより大きい破断係数を有することができ;いくつかの場合90,000psiより大きく、および他の場合において少なくとも100,000psiであり、700,000psiまでであることができ、特定の熱可塑性および使用されるセルロース繊維に依存する。この態様において、微小発泡部分は、100,000psiより大きい弾性率を有し、いくつかの場合において125,00psiより大きい、および他の場合において少なくとも150,000psiであり、および750,000psiまでであることができ、特定の熱可塑性および使用されるセルロース繊維に依存する。
【0179】
本発明の態様において、本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体材料の微小発泡部分の引張特性は、材料の破断係数によって特徴付けられる構造化発泡部分のものより大きい。本発明のこの態様において、構造化発泡部分は、ASTM D638に従って決定される破断係数を有することができ、これは500psiより大きく、いくつかの場合において650psiより大きく、および他の場合において少なくとも750psi、およびいくつかの場合において10,000psiまでであることができ、特定の熱可塑性および使用されるセルロース繊維に依存する。この態様において、微小発泡体部分は、1,000psiより大きい破断係数を有することができ、いくつかの場合において1,250psiより大きく、他の場合において少なくとも1,500psiであり、20,000psiまでであることができ、特定の熱可塑性および使用されるセルロース繊維に依存する。
【0180】
本発明のこの態様において、本発明のセルロース繊維-熱可塑性複合体材料の微小発泡部分の引張特性は、材料の弾性率によって特徴付けられる構造化発泡体部分のものよりも大きい。本発明のこの態様において、構造化発泡体部分は、ASTM D638に従って決定された100,000psiより大きい弾性率を有することができ;いくつかの場合において125,000psよりも大きく、および他の場合において少なくとも150,000psiであり、およびいくつかの場合において1,500,000psiまでであることができ、特定の熱可塑性および使用されるセルロース繊維に依存する。この態様において、微小発泡体部分は、200,000psiより大きい弾性率を有し、いくつかの場合において225,000psiより大きく、および他の場合において少なくとも250,000psiであり、および2,000,000psiまでであることができ、特定の熱可塑性および使用されるセルロース繊維に依存する。
【0181】
本発明の態様において、本発明のセルロース繊維-熱可塑性樹脂複合体材料の微小発泡部分のアイゾット衝撃特性は、材料のアイゾット衝撃抵抗によって特徴付けられる構造化発泡部分のものよりも高い。本発明のこの態様において、構造化発泡体部分は、30J/M未満であるASTM D256に従って決定されるより低いアイゾット衝撃抵抗性を有し、いくつかの場合において25J/M未満、他の場合において22J/M以下、いくつかの場合において1J/Mと低いことができ、特定の熱可塑性および使用されるセルロース繊維に依存する。本発明のこの態様において、微小発泡体部分は、50J/M未満であるASTM D256に従って決定されるアイゾット衝撃抵抗性を有することができ、いくつかの場合において40J/M未満、他の場合において35J/M以下、いくつかの場合において1J/Mと低くあることができ、特定の熱可塑性および使用されるセルロース繊維に依存する。
【0182】
本発明の1つの態様において、押出物品は、合成ボードであることができ、これは、コポリマーおよびエラストマーポリマー、セルロース繊維-熱可塑性複合体を形成するためのブレンドと配合された複数のセルロース繊維のブレンドを含むことができる。ボードは、幅、厚さ、および側面を有する。ボードは、デッキコンポーネントまたは任意の他の適切な建材として使用されることができる。例えば、ボードは、デッキボード、レール、手すりのポスト、窓構成要素、ドア構成要素、クラッディング構成要素、サイディング構成要素、および/またはデッキングビームとして使用されることができる。別の例において、ボードは、家、歩道、シェルター、および/または他の望ましい構造の任意の部分を構築するために使用されることができる。
【0183】
ボードの幅は、少なくとも約1cm、いくつかの場合において少なくとも約2cm、および他の場合において少なくとも約4cmであることができ、約250cmまで、いくつかの場合において約244cmまで、他の場合において約215cmまで、いくつかの例において約185cmまで、および他の例において約125cmまでであることができる。幅3は、任意の値または上記の値の任意の間の範囲であることができる。
【0184】
ボードの厚さは、少なくとも1cm、いくつかの場合において少なくとも2cm、および他の場合において少なくとも約4cmであることができ、約12cmまで、いくつかの場合において約11cmまで、および他の場合において約10cmまでであることができる。ボードの厚さは、任意の値または上記の値のいずれかの間の範囲であることができる。
【0185】
ボードの側面は、任意の所望の長さに押出されることができる。本発明の態様において、ボードは、ボードの側面の商業的に有用な長さに押出され、これは、少なくとも約5cm、いくつかの場合において少なくとも10cm、他の場合において少なくとも約20cm、およびいくつかの例において少なくとも約25cmの長さであることができ、約1,000cmまで、いくつかの場合において約625cmまで、他の場合において約475cmまで、および他の例において約375cmまでであることができる。ボードの側面の長さは、任意の値または上記の値のいずれかの間の範囲であることができる。
【0186】
本発明の態様において、セルロース繊維-熱可塑性複合体ボードは、パネルタイプの寸法を有し、非限定的な例として、約2~約8フィートの幅、約6~約12フィートの長さおよび約0.5~約4インチの厚さである。この態様において、セルロース繊維-熱可塑性複合体パネルは、スタッドまたは梁に取り付けられて、壁、床または屋根のための表面を形成することができる。
【0187】
本発明の側面において、セルロース繊維-熱可塑性複合体物品の密度は、1g/cm3未満であり、物品は、海洋用途に有用である。本発明の物品は、それらの密度が水の密度よりも低く、所望の浮力を提供し、並びに微生物の攻撃に対して非常に耐性のある材料を提供するので、海洋用途に特に適している。
【0188】
本発明は、以下の例を参照して、さらに説明する。以下の例は、本発明の単なる例示であり、限定を意図するものではない。他に示されない限り、全てのパーセンテージは、他に特定されない限り重量による。
【実施例】
【0189】
例
熱変性木質(HTW)繊維は、スチレンマレイン酸無水物コポリマー(SMA)を用いた現場反応押出プロセスを使用して発泡に対するそれらの反応性について評価した。評価は、発泡性押出ダイを介して押出物の膨張率を測定するために行った。サンプルの比重を測定し、非発泡SMAポリマーサンプルと比較した。
【0190】
材料
SMAのグレード(PolyscopeからのXIRAN(登録商標)SE700)を発泡性の適切なコポリマー処方として選択した。それは、ゴム衝撃性改良剤および無水マレイン酸を約10%含む。熱変性木質(HTW)繊維を使用した。繊維は、マツからの削りくずであり、3時間212℃に加熱することによって熱変性され、続いてハンマーミルで粉砕され、メッシュに通した。潤滑添加剤(TPW 113)をStruktol, USAから購入した。全ての材料を、押出実験前に、80℃で少なくとも3時間調整した。表1は、処方の詳細を示す。
【表1】
【0191】
SMA:スチレン無水マレイン酸コポリマー
HTW:熱変性木質繊維
Lub:潤滑剤
30%HTW:熱変性木質繊維(30%)および未処理マツ(70%)の混合物
50%HTW:熱変性木質繊維(50%)および未処理マツ(50%)の混合物
【0192】
方法
反応性発泡押出。実験室規模の押出システム(AEWC#955)を使用して、HTW繊維を有するSMA-WPCを製造した。この研究で使用した発泡ダイは、内径0.36インチ(9.1mm)の円筒型ダイであった。発泡機構は、較正および強制冷却なしで自由発泡であった。押出物を空気室温で冷却した。材料の適切な混合を達成するために押出スクリューのRPMを40に設定した。材料の供給速度は、全ての実験について固定された速度で常に維持された。材料の押出滞留時間は、スクリューRPMおよび材料の低いかさ密度に基づいて15~20分であった。押出加工中に測定された変数は、押出トルク、単位時間(120秒)当たりの排出速度、および全ての18の処方の押し出しバレルの末端における溶融圧力であった。押出によって製造された全ての押出物の比重は、ASTM標準に従って決定された。表2は、押出パラメータを詳細に示す。
【表2】
【0193】
ヒドロキシル価決定。粒子材料のヒドロキシル価分析を、ASTM D4274-11標準に従って実施した。分析の前に、セルロース材料を、一晩、105℃で、オーブンで乾燥させた。セルロース繊維のアセチル化は、2時間98±2℃でピリジン中の無水酢酸の溶液を使用して実施した。過剰の試薬を、水で加水分解し、サンプル溶液を標準水酸化ナトリウム溶液を使用して酢酸で滴定した。同じアセチル化および滴定手順を、木材粒子材料を含まないブランク溶液で行った。試料1g当たりの等価KOHのmgで表されるヒドロキシル価(H)を、ブランクとサンプル溶液の間の滴定値の差から計算した:
H = 56.1 (B-A)N/W
式中
A:試料溶液の滴定のために必要なNaOH(ml単位)
B:ブランク溶液の滴定のために必要なNaOH(ml単位)
N:NaOH溶液の正常性
W:セルロース材料のオーブン乾燥重量(g)
式は、KOHの分子量(56.1g/mol)で正規化される。
【0194】
結果
押出変数。表3は、発泡実験中の押出の変数を示す。変数に有意な傾向はなかった。HTW繊維は、2つの材料の間の界面特性が非熱的変性セルロース繊維と異なり得ることを示唆し得る押出トルクを減少させることに留意されたい。通常のマツ木材およびHTW繊維の両方のサンプルで潤滑剤の効果は、明らかにされなかった。
【表3】
【0195】
SG:比重
マツw/o Lub:潤滑剤を含まない通常のマツ木質繊維で作られたSMA-WPCサンプル
マツw/Lub:5%の潤滑剤を含む通常のマツ木質繊維で作られたSMA-WPCサンプル
HTW w/o Lub:潤滑剤を含まない熱変性木質繊維(HTW)で作られたSMA-WPCサンプル
HTW w/Lub:潤滑剤を含む熱変性木質繊維(HTW)で作られたSMA-WPCサンプル
30%HTW:熱変性木質繊維(30%)および未処理マツ(70%)の混合物で作られたSMA-WPCサンプルを30%木材部分に使用した。
30%HTW:熱変性木質繊維(50%)および未処理マツ(50%)の混合物で作られたSMA-WPCサンプルを30%木材部分に使用した。
COV:変動係数
【0196】
比重。対照サンプルおよび潤滑剤を含むか、または含まないHTW-SMA-WPCサンプルの間で、比重の有意差はなかった。しかしながら、HTWおよびマツ木材の混合物を有するサンプルは、より大きな直径を有する膨張を示した。HTW繊維の発泡性は、熱変性処理の結果としての粗い表面トポロジーのために、ヒドロキシル官能性の欠如またはヒドロキシルへの乏しい接近可能性によって制限され得る。
【0197】
ヒドロキシル価。2つの木粉(未処理および熱変性)に関するヒドロキシル価分析を、ASTM D4274-11に従って実施した。分析の前に、2つのサンプルを105℃のオーブンで一晩乾燥させた。2つのサンプルについて得られたヒドロキシル価を、表4に示す。HTW繊維は、マツに比べてヒドロキシル価の20%減少を示した。純粋なセルロース繊維のヒドロキシル価は、比較目的のために提供される。
【表4】
【0198】
HTW:熱変性木材
MCC:微結晶性セルロース
NFC:ナノフィブリル化セルロース
【0199】
結論
HTW繊維で充填された複合体サンプルのヒドロキシル価および比重を決定することによって、熱変性木質(HTW)繊維の発泡性について評価を行った。結果は、SMA-WPC中のHTW繊維の発泡性が、繊維表面上に利用可能なヒドロキシル基の欠如により、通常の木材と比べて減少したことを示した。
【0200】
押出トルクおよびメルトフロー圧力に対する熱変性繊維および通常のマツ繊維との組み合わせの影響
HTW-SMA-WPCサンプルの発泡および押出プロセスにおけるパラメータに対する熱変性木質繊維(HTW)の影響を評価した。以下の結果が得られた:
【表5】
【表6】
【0201】
得られた結果を以下に説明する:
・熱変性繊維は、通常のマツ木材と比較して、押出トルクおよび溶融圧力を低下させた。結果として、有益であろう潤滑の必要性が低減されることが期待されるだろう。さらに、より低いトルクは、押出中のエネルギー消費が低減されることを意味する。
・熱変性繊維は、熱変性繊維を含有することによって得られる発泡の低減のために、通常のマツ材と比較して、複合体サンプルの密度の低下に与える影響は小さかった。
・熱変性繊維は、SMA-WPC(木製品複合体)押出においてマツ木材の少量と組み合わせて使用された場合、マツの発泡性がより高いために、密度の低下に影響を与えた。
【0202】
結果は、マツのわずかな割合(5%程度)を処方中に導入することにより、発泡量、メルトフローおよびトルクの量を調整することが可能であり、したがって、マツに対する熱変性繊維の比率を変更することによって、密度、強度および発泡のレベルを最適化する可能性があることを示す。熱変性繊維は、利用可能なヒドロキシル基の量がより少ないという事実のために、グラフトされたSMAとの反応が起こりにくく、したがって、発泡剤がより少なくなるが、低レベルのマツの導入によって、これを増やすことができるが、依然として熱変性繊維の構造上の利点を達成することができる。これらの結果は、制御不能なレベルの発泡を伴わずに処理および正確な形状形成を非常に困難にすることなく、組成物中の有機繊維の全体的な占有率を40~50%に近づけて増加させる可能性を示している。
【0203】
SMAコポリマーと混合した場合の熱変性繊維とマツ繊維の発泡速度の比較
以下のサンプルを調製した:
サンプル1:70%SMA(SE700)、30%マツ
サンプル2:80%SMA(SE700)、20% HTW
サンプル3:70%SMA(SE700)、30% HTW
サンプル4:60%SMA(SE700)、40% HTW
【0204】
実験室押出システムの仕様は、次の通りであった:
・メーカー:Brabender
・スクリュータイプ:平行回転する2軸スクリュー
・スクリューサイズ:28mm
・供給システム:マルチサイド供給のオプションを備えた双子容積フィーダー
【0205】
押出トルクおよび溶融圧力を決定した。この値は、溶融圧力および押出トルクが押出中に一定でないため、押出時間全体から平均したものであり、これは、非常に一般的である。トルクおよび溶融圧力の変化は、熱変性繊維の充填レベルが増加したきに、増加の傾向を示した:
【表7】
【0206】
上に示したように、多量の熱変性繊維の使用でさえ、トルクに大きな影響を及ぼさず、したがって、ベースポリマーの押出の場合と同様のエネルギー消費を維持する。
【0207】
上記の4つの押出物サンプルを、それらの膨張寸法(押出物サンプルの単位時間および直径による重量/長さ)および比重(ASTM D2395に従って算出)について測定した。
【表8】
【0208】
結果は、熱変性繊維を使用することにより、押出された重量の体積が、通常のマツに比べて増加することを示す。これは、熱変性繊維のより微細な粒子サイズおよび圧縮挙動の結果である。熱変性繊維を使用することは、所定の速度で処理量が増し、これは、単位長が長くなり、単位重量が増加するが、平均直径の差が限定され、通常のマツに比べて、減少した発泡を示すことも示される。
【0209】
全ての4つのサンプルは、それらのメルトフローインデックス(MFI)についても測定した。サンプルを240℃で10分間加熱し、2.16kg重量下で圧縮した。押出物を単位時間(10分)で秤量のために集めた。結果を下の表に示す。通常のマツおよび熱変性繊維との複合体サンプルのMFIは、対照(SMA、SE700)よりもはるかに低い。熱変性繊維(30%および40%)のより高い含有量では、MFIは、有意に変化しない。
【表9】
【0210】
非発泡HTW SMA-WPCの機械的特性
非発泡HTW SMA-WPCの引張試験片を製造し、その引張係数および強度について試験した。4つのサンプルを、実験室規模の反応押出によって製造された発泡ロッドの顆粒を使用して射出成形により製造した。注入は、213℃(バレル)および217℃(ノズル)で行った。圧力は60MPaであった。結果は、鋼性強化のための添加剤としてHTWの潜在的な機能を示唆し得る。表10および11は、HTWの繊維およびポリマーマトリックスの特性の効果を示す。
【表10】
【0211】
【0212】
本発明の上記の詳細な説明を考慮して、他の修飾および変更は、当業者に明らかになるだろう。しかしながら、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、そのような他の変更および変形を行うことができることは明らかである。