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特許7071934電解質および電極保護層としてのホウケイ酸リチウムガラス
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  • 特許-電解質および電極保護層としてのホウケイ酸リチウムガラス 図1
  • 特許-電解質および電極保護層としてのホウケイ酸リチウムガラス 図2
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  • 特許-電解質および電極保護層としてのホウケイ酸リチウムガラス 図4A
  • 特許-電解質および電極保護層としてのホウケイ酸リチウムガラス 図4B
  • 特許-電解質および電極保護層としてのホウケイ酸リチウムガラス 図5
  • 特許-電解質および電極保護層としてのホウケイ酸リチウムガラス 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】電解質および電極保護層としてのホウケイ酸リチウムガラス
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/131 20100101AFI20220512BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20220512BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20220512BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20220512BHJP
   H01M 4/1391 20100101ALI20220512BHJP
【FI】
H01M4/131
H01M10/052
H01M10/0566
H01M10/0585
H01M4/1391
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018565039
(86)(22)【出願日】2017-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-27
(86)【国際出願番号】 GB2017051705
(87)【国際公開番号】W WO2017216532
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-03-31
(31)【優先権主張番号】1610419.2
(32)【優先日】2016-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1615383.5
(32)【優先日】2016-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1618651.2
(32)【優先日】2016-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515189520
【氏名又は名称】イリカ テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100113376
【弁理士】
【氏名又は名称】南条 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100179394
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬田 あや子
(74)【代理人】
【識別番号】100185384
【弁理士】
【氏名又は名称】伊波 興一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100137811
【弁理士】
【氏名又は名称】原 秀貢人
(72)【発明者】
【氏名】ラフマン テイビッド マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リー クリストファー エドワード
(72)【発明者】
【氏名】パーキンス ローラ メアリー
(72)【発明者】
【氏名】ドミンゲス タロッソ ゴメス イザベル アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ハイデン ブライアン エリオット
【審査官】松岡 徹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/104538(WO,A1)
【文献】特表2002-513991(JP,A)
【文献】HALIL SAHAN,IMPROVEMENT OF THE ELECTROCHEMICAL PERFORMANCE OF LIMN2O4 CATHODE ACTIVE MATERIAL 以下備考,JOURNAL OF ALLOYS AND COMPOUNDS,スイス,2011年01月14日,VOL:509,PAGE(S):4235 - 4241,http://dx.doi.org/10.1016/j.jallcom.2011.01.054,BY LITHIUM BOROSILICATE (LBS) SURFACE COATING FOR LITHIUM-ION BATTERIES
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/13
H01M 10/052
H01M 10/0566
H01M 10/0585
H01M 4/139
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極、および、前記正極と前記負極との間の電解質を含む電池であって、
前記正極は、リチウムマンガン酸化物を含み、
前記正極の表面は、ホウケイ酸リチウム組成物によって改変されていて、
ここで前記電解質は、有機電解質、液体電解質、イオン液体、または室温溶融塩を含み、
ここで前記ホウケイ酸リチウム組成物は、酸化ケイ素および酸化ホウ素と組み合わせ酸化リチウムからなり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含み、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである、
電池。
【請求項2】
請求項1の電池であって、
ここで前記ホウケイ酸リチウム組成物は、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて71~76原子%のリチウムを含む、
電池。
【請求項3】
請求項1の電池であって、
ここで前記ホウケイ酸リチウム組成物は、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて79~83原子%のリチウムを含む、
電池。
【請求項4】
請求項3の電池であって、
ここで前記ホウケイ酸リチウム組成物は、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて81~83原子%のリチウムを含む、
電池。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項の電池であって、
ここで前記ホウケイ酸リチウム組成物は、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて1~25原子%のホウ素を含む、
電池。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項の電池であって、
ここで前記ホウケイ酸リチウム組成物は、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて7.5~15原子%のホウ素を含む、
電池。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項の電池であって、
ここで前記ホウケイ酸リチウム組成物は、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて1~25原子%のケイ素を含む、
電池。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項の電池であって、
ここで前記ホウケイ酸リチウム組成物は、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて6~17原子%のケイ素を含む、
電池。
【請求項9】
請求項1の電池であって、
前記ホウケイ酸リチウム組成物のmol%は、79.6mol%LiO-12.2mol%B-8.2mol%SiO;60.3mol%LiO-12.1mol%B-27.6mol%SiO;73.8mol%LiO-3.8mol%B-22.4mol%SiO;および62.2mol%LiO-15.6mol%B 22.2mol%SiOの間である、
電池。
【請求項10】
請求項1の電池であって、
前記負極の表面は、前記ホウケイ酸リチウム組成物によって改変されている、
電池。
【請求項11】
請求項1の電池であって、
前記正極は、LiMnPO 含む、
電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホウケイ酸リチウム電解質およびそれを含む電池に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、酸化ケイ素および/または酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になる、好ましくは、酸化リチウム、酸化ケイ素および酸化ホウ素の三成分系から本質的になる、ホウケイ酸リチウムガラス組成物に関する。Ren et al.(Journal of the American Ceramic Society,98[12](2015)3603-3623)は、固体電池において用いられる場合に電解質に関して要求される一連の特徴を定義する。電解質は、室温での高いリチウムイオン伝導性、ごくわずかな電子伝導性(1に近いリチウムイオン輸率)、広い電気化学ウインドウ、および、隣接電極に関する安定性を有するべきである。加えて、リチウムがアノードとして用いられる場合は、その結果、電解質は、リチウムに対して安定でなければならない。
【0003】
これらの特徴の一部を示す固体電解質の一例は、リチウムリン酸窒化物(LiPON)である。それは、リチウム金属と接触した場合に高い安定性を示し、十分に広い電気化学ウインドウ、および、ごくわずかな電子伝導性を有する。このことは、それが薄膜固体電池において成功的に用いられるのを可能にさせている。
【0004】
固体電池の開発における重大な挑戦は、LiPONの代わりに用いられ得る新規の固体電解質の同定となっている。要求される特徴を有する新規の電解質の同定は、単純でも予測可能でもない。加えて、所望の構造および固体電解質のイオン伝導性を有する材料が、固体電池装置において作動された場合に安定であるとは必ずしも証明され得ない。
【0005】
このことは、固体電池に関する新規の電解質材料の設計を制限して、材料設計に対して試行錯誤アプローチをもたらす。異なるクラスのリチウムイオン伝導体に存在する傾向およびメカニズムをよりよく理解して、発展したリチウムイオン伝導体の設計を促進するためには、さらなる試験が必要とされることが示唆されている(Bachman et al,Chemical Reviews,116(2016)140-162。
【0006】
組成Li0.780.11Si0.11およびLi0.770.18Si0.05を含むホウケイ酸リチウム化合物、および、Li0.780.06Si0.16の窒素ドープバージョンは、WO2015/104540(Vapour Deposition Method for Preparing Amorphous Lithium Containing Compounds)において開示されている。材料は、現在の開示の実施態様に従って合成された。イオン伝導性は3.2×10-6S/cmであり、材料は非晶質であることが示された。ホウケイ酸リチウム電解質 リチウムマンガン酸化物(LMO)カソードおよび酸化錫(SnO)アノードを備える固体電池が生産された。開示は、リチウムと接触した場合またはリチウムアノードを備える固体電池装置において作動した場合に、電位または電気化学的安定性および反応性の機能としての電気化学的安定性に関していかなる教示も提供しない。Bachman et alによって示唆されるように、ホウケイ酸リチウムの特定の組成物の挙動を、その構造およびイオン伝導性に基づいて予測することは不可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、電極活物質を含む電極が提供されて;前記電極の表面は、ホウケイ酸リチウム組成物によって改変されていて、ここでホウケイ酸リチウム組成物は、酸化ケイ素および酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含み、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、正極、負極、および、前記正極と前記負極との間の電解質を含む電池が提供されて、ここで正極および/または負極の表面は、ホウケイ酸リチウム組成物によって改変されていて、ここでホウケイ酸リチウム組成物は、酸化ケイ素および酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含み、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、正極、負極、および、前記正極と前記負極との間の電解質を含む電池が提供されて、ここで前記負極はリチウムを含み、ここで前記電解質はホウケイ酸リチウム組成物であり、ここでホウケイ酸リチウム組成物は、酸化ケイ素および酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含み、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである。
【0010】
本発明の第4の態様によれば、正極、負極、および、前記正極と前記負極との間の電解質を含む電池が提供されて、ここで前記電解質はホウケイ酸リチウム組成物であり、ここでホウケイ酸リチウム組成物は、酸化ケイ素および酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含み、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスであり、ここで前記電池は、0.5μAh未満の満充電容量を有する。
【0011】
本発明の第5の態様によれば、正極、負極、および、前記正極と前記負極との間の電解質を含む電池が提供されて、ここで前記正極は、LiCoPO、LiNi0.5Mn1.5、LiMnPO、LiCoO、LiNi1/3Mn1/3Co1/3、LiFePO、LiNiPO、LiNiPOF、LiCoPOF、LiMnPOF、LiCoSiO、LiMnSiO、FeF、LiMn0.8Fe0.1Ni0.1PO、Li1-xVOPO、および、LiFePOFからなる群より選択される正極活物質を含み、ここで前記電解質は、ホウケイ酸リチウム組成物であり、ここでホウケイ酸リチウム組成物は、酸化ケイ素および酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含み、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである。
【0012】
本発明の第6の態様によれば、正極層、負極層、前記正極層と前記負極層との間の電解質層、および、前記正極層と前記電解質層との間および/または前記負極層と前記電解質層との間のホウケイ酸リチウム組成物の層を備える電池が提供されて、ここでホウケイ酸リチウム組成物は、酸化ケイ素および酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含み、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである。
【0013】
本発明の第7の態様によれば、正極活物質の粒子を含む複合正極層、負極層、前記正極層と前記負極層との間の電解質層、および、前記の正極活物質の粒子および/または前記負極層と前記電解質層との間をコーティングするホウケイ酸リチウム組成物の層を備える電池が提供されて、ここでホウケイ酸リチウム組成物は、酸化ケイ素および酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含み、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである。
【0014】
本発明の第8の態様によれば、酸化ケイ素および酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になるホウケイ酸リチウム組成物が提供されて、ここで前記ホウケイ酸リチウム組成物は、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて81~83原子%のリチウムを含み、ここで前記ホウケイ酸リチウム組成物は、ガラスである。
【0015】
本発明の第9の態様によれば、本発明の第8の態様に係るホウケイ酸リチウム組成物を作製する方法が提供されて、ここでホウケイ酸リチウム組成物は、真空蒸着処理によって形成されて、当該方法は、
ホウケイ酸リチウムガラスのそれぞれの成分元素のための個別の蒸発源を提供するステップ(ここで蒸発源は、リチウム源、酸素源、ホウ素源、および、ケイ素源を含む);および、
それらの個別の蒸発源由来の成分元素を、加熱された基板上に共蒸着するステップ(ここで成分元素は、基板上で反応してホウケイ酸リチウム組成物を形成する)を含む。
【0016】
本発明の第10の態様によれば、真空蒸着処理によって本発明の第1の態様に係る電極を作製する方法が提供されて、当該方法は、
a)電極のそれぞれの成分元素のための第1の個別の蒸発源を提供するステップ;および、
それらの個別の蒸発源由来の成分元素を、加熱された基板上に共蒸着するステップ(ここで成分元素は、加熱された基板上で反応して電極を形成する);および、
b)ホウケイ酸リチウム組成物のそれぞれの成分元素のための第2の個別の蒸発源を提供するステップ(ここで第2の蒸発源は、リチウム源、酸素源、ホウ素源、および、ケイ素源を含む);および
c)第2の個別の蒸発源由来の成分元素を、a)の電極上に共蒸着するステップ(ここで成分元素は、電極上で反応してホウケイ酸リチウム組成物を形成する)を含む。
【0017】
本発明の第11の態様によれば、本発明の第3~第5の態様のいずれか1つに係る電池を作製する方法が提供されて、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、真空蒸着処理によって形成されて、当該方法は、
第1の電極層を対象とした化合物のそれぞれの成分元素の個別の蒸発源を含む第1の蒸発源を提供するステップ、ホウケイ酸リチウムガラス電解質層を対象とした化合物のそれぞれの成分元素の個別の蒸発源を含む第2の蒸発源を提供するステップ、および、第2の電極層を対象とした化合物のそれぞれの成分元素の個別の蒸発源を含む第3の蒸発源を提供するステップ;
基板を第1の温度まで加熱して、前記の第1の蒸発源由来の成分元素を基板上に共蒸着するステップ(ここで成分元素は、反応して第1の電極層を形成する);
基板を第2の温度まで加熱して、前記の第2の蒸発源由来の成分元素を第1の電極層上に共蒸着するステップ(ここで成分元素は、反応してホウケイ酸リチウムガラス電解質層を形成する);および
基板を第3の温度まで加熱して、第3の個別の蒸発源由来の成分元素をホウケイ酸リチウムガラス電解質層上に共蒸着するステップ(ここで成分元素は、反応して第2の電極層を形成する)、を含む。
【0018】
本発明の第12の態様によれば、本発明の第2の態様に係る電池を作製する方法が提供されて、ここで、ホウケイ酸リチウムによって表面が改変された電極は、気相蒸着処理によって形成されて、当該方法は、
ホウケイ酸リチウムガラスのそれぞれの成分元素のための個別の蒸発源を提供するステップ(ここで蒸発源は、リチウム源、酸素源、ホウ素源、および、ケイ素源を含む);および、
それらの個別の蒸発源由来の成分元素を、加熱された基板上に共蒸着するステップ(ここで成分元素は、基板上で反応してホウケイ酸リチウム組成物を形成する)を含む。
【0019】
本発明の第13の態様によれば、電池における電極保護剤としての本明細書において定義されるホウケイ酸リチウム組成物の使用が提供される。
【0020】
本明細書において用いられる用語「電池」は、用語「セル」と同義であるとされて、化学反応から電気エネルギーを発生すること、または電気エネルギーの導入によって化学反応を促進することが可能な装置である。
【0021】
ホウケイ酸リチウム組成物
本明細書において、ホウケイ酸リチウム組成物が説明されて、ここで、前記ホウケイ酸リチウムは、酸化ケイ素および/または酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含む。典型的に、前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである。好ましくは、ホウケイ酸リチウム組成物は、酸化ケイ素および酸化ホウ素と組み合わせた酸化リチウムの系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含み、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである。
【0022】
また、本明細書において、酸化ケイ素および/または酸化ホウ素と組み合わせた酸化リチウムの系として定義されるホウケイ酸リチウムガラスも説明されて、ここで前記ホウケイ酸リチウムガラスのmol%は、70.9mol%LiO-0.0mol%B-29.1mol%SiO;53.8mol%LiO-0.0mol%B-46.2mol%SiO;83.0mol%LiO-17.0mol%B-0.0mol%SiO;および70.0mol%LiO-30.0mol%B-0.0mol%SiOの間である。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラスは、79.6mol%LiO-12.2mol%B-8.2mol%SiO;60.3mol%LiO-12.1mol%B-27.6mol%SiO;73.8mol%LiO-3.8mol%B-22.4mol%SiO;および62.2mol%LiO-15.6mol%B22.2mol%SiOの間である。別の実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラスは、70.9mol%LiO-0.0mol%B-29.1mol%SiO;66.7mol%LiO-0.0mol%B-33.3mol%SiO;83.0mol%LiO-17.0mol%B-0.0mol%SiO;および75.0mol%LiO-25.0mol%B 0.0mol%SiOの間である。
【0023】
一態様では、本発明は、ホウケイ酸リチウム組成物に関し、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、酸化リチウム、酸化ケイ素および酸化ホウ素の系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含む。典型的に、前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである。一実施態様では、本発明は、ホウケイ酸リチウム組成物に関し、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、酸化リチウム、酸化ケイ素および酸化ホウ素の系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて81~83原子%のリチウムを含む。
【0024】
一態様では、本発明は、ホウケイ酸リチウム組成物に関し、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、酸化リチウム、酸化ケイ素および酸化ホウ素の三成分系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含む。典型的に、前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである。一実施態様では、本発明は、ホウケイ酸リチウム組成物に関し、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、酸化リチウム、酸化ケイ素および酸化ホウ素の三成分系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて81~83原子%のリチウムを含む。
【0025】
少量の他の原子が、そのような量の他の原子がホウケイ酸リチウム材料の特性に影響を及ぼさない限り、本発明に係るホウケイ酸リチウム材料中に存在し得ることが理解されよう。そのようなほんの少量の他の原子は、Li、B、Oおよび/またはSiのいずれか、好ましくはBおよび/またはSiの代わりとなってよい。
【0026】
ホウケイ酸リチウム材料の構造における、Li、B、Oおよび/またはSi(好ましくはBおよび/またはSi)の代わりとなり得る原子の典型的な例は、N、S、Ge、Al、P、Ti、V、Zr、Pb、Ga、As、Sn、In、Sb、Bi、Nb、TaおよびWを含む。ホウケイ酸リチウム材料の構造における、Li、B、Oおよび/またはSi(好ましくはBおよび/またはSi)の代わりとなり得る原子の好ましい例は、Al、Ti、Ge、P、V、W、SおよびNを含む。
【0027】
この点について、用語「酸化ケイ素および/または酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になる」は、材料中の酸素以外の原子の合計量のモルパーセンテージとして表された、ホウケイ酸リチウム材料中のリチウム、ホウ素およびケイ素原子の合計量が、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%、さらにより好ましくは少なくとも99.5%、さらにより好ましくは少なくとも99.7%、さらにより好ましくは少なくとも99.8%、さらにより好ましくは少なくとも99.9%、さらにより好ましくは少なくとも99.95%、さらにより好ましくは少なくとも99.97%、さらにより好ましくは少なくとも99.98%、さらにより好ましくは少なくとも99.99%、さらにより好ましくは少なくとも99.995%、さらにより好ましくは少なくとも99.997%、さらにより好ましくは少なくとも99.998%、さらにより好ましくは少なくとも99.999%、さらにより好ましくは少なくとも99.9995%、さらにより好ましくは少なくとも99.9997%、さらにより好ましくは少なくとも99.9998%、さらにより好ましくは少なくとも99.9999%、最も好ましくは100%であることを意味する。
【0028】
一実施態様では、本発明は、ホウケイ酸リチウム組成物に関し、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、酸化リチウム、酸化ケイ素および酸化ホウ素の三成分系からなり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて81~83原子%のリチウムを含む。典型的に、前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである。
【0029】
驚くべきことに、本明細書に記載のホウケイ酸リチウムガラスは、高いイオン伝導性を示す一方で、より低い電子伝導性も示すことが、本発明者によって見いだされた。驚くべきことに、本明細書に記載のホウケイ酸リチウムガラスは、特に高電圧で、リチウムとの接触において特に安定であることも見いだされた。これらの驚くべきことに改善された特性は、ホウケイ酸リチウムガラス組成物を、電極のための、特に、アノード上のコーティングとしての組成物を含む電池のアノード上の保護剤として、特に適切にさせる。このことは、当該技術からは予測され得なかった。
【0030】
驚くべきことに、本明細書に記載のホウケイ酸リチウムガラスは、リチウムとの接触において化学的/電気化学的に安定であることが、本発明者によってさらに見いだされた。これらの驚くべきことに改善された特性は、ホウケイ酸リチウムガラス組成物を、リチウム金属と接触する電解質として、特に適切にさせる。このことは、当該技術からは予測され得なかった。
【0031】
驚くべきことに、本明細書に記載のホウケイ酸リチウムガラスは、幅広い範囲の電位に供された場合に電気化学的安定性を有することが、本発明者によってさらに見いだされた。特に、ホウケイ酸リチウム電解質は、高電圧での作動が可能である。このことは、当該技術からは予測され得なかった。
【0032】
一実施態様では、本発明は、Li/Liに対して3.6~8.5Vの電位で正カソード活物質と接触されるホウケイ酸リチウムガラスを提供し、ここで前記ホウケイ酸リチウムガラスは、電気化学的に安定である。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラスは、Li/Liに対して5~8.5Vの電位で正カソード活物質と接触されて、ここで前記ホウケイ酸リチウムガラスは、電気化学的に安定である。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラスは、Li/Liに対して5.5Vよりも大きな電位で正カソード活物質と接触されて、ここで前記ホウケイ酸リチウムガラスは、電気化学的に安定である。
【0033】
別の実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラスは、0~10Vの電位でプラチナおよびプラチナ電極の間に構成されて、ここで前記ホウケイ酸リチウムガラスは、電気化学的に安定である。
【0034】
さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラスは、0~5Vの電位でプラチナおよびニッケル電極の間に構成されて、ここで前記ホウケイ酸リチウムガラスは、電気化学的に安定である。
【0035】
別の実施態様では、は、ホウケイ酸リチウムガラスは、25℃で少なくとも1.0×10-6S/cmであるイオン伝導性を有する。
【0036】
別の実施態様では、本発明は、低い電子伝導性を有するホウケイ酸リチウム電解質に関する。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラスは、25℃で2.0×10-13S/cm未満である電子伝導性を有する。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラスは、25℃で8.5×10-14S/cm未満である電子伝導性を有する。
【0037】
別の実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラスは薄膜である。さらなる実施態様では、薄膜は、40nm~15マイクロメートルの厚さである。
【0038】
ホウケイ酸リチウム組成物によって改変された電極表面
本発明の第1の態様は、電極活物質を含む電極を提供し;前記電極の表面は、ホウケイ酸リチウム組成物によって改変されていて、ここでホウケイ酸リチウム組成物は、酸化ケイ素および/または酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含み、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである。好ましくは、ホウケイ酸リチウム組成物は、酸化ケイ素および酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含み、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである。LiBSiOによって表面が改変された電極は、特に、排他的ではないが、隣接液相電解質材料の存在下で作動した場合に、改変されていない電極よりも改善された安定性および/または改善されたサイクリングを有する。一実施態様では、LiBSiOによって表面が改変された電極は、LiBSiOによって表面が改変された負極である。別の実施態様では、LiBSiOによって表面が改変された電極は、LiBSiOによって表面が改変された正極である。
【0039】
ホウケイ酸リチウムによって表面が改変された電極を備える電池
本発明の第2の態様は、正極、負極、および、前記正極と前記負極との間の電解質を含む電池に関し、正極および/または負極の表面は、本発明のLiBSiO組成物によって改変されている。
【0040】
一実施態様では、本発明は、正極、負極、および、前記正極と前記負極との間の電解質を含む電池に関し、正極および/または負極は、本発明のLiBSiO組成物の層によってコーティングされている。
【0041】
一実施態様では、電池は、LiBSiOによって表面が改変された負極を備える。別の実施態様では、電池は、LiBSiOによって表面が改変された正極を備える。
【0042】
本発明に係るLiBSiOによって表面が改変された電極を備える電池、特に、排他的ではないが、負極は、本発明によれば、特に有利であることが見いだされた。理論によって拘束されることを望まずに、本明細書に記載のLiBSiO組成物の特性は、組成物が、そのような電池、特にリチウムイオン電池、特に液体または高分子電解質を含むリチウムイオン電池の、電極上の特に効果的な電極保護層として機能するのを可能にすると考えられる。
【0043】
一実施態様では、本発明の本態様は、正集電体、正極、電解質、負極、および、負集電体を備える電池に関し、正極および/または負極の表面は、本発明のLiBSiO組成物によって改変されている。一実施態様では、電池は、LiBSiOによって表面が改変された負極を備える。別の実施態様では、電池は、LiBSiOによって表面が改変された正極を備える。さらなる実施態様では、電池は、リチウムイオン二次電池である。別の実施態様では、リチウムイオン二次電池は、薄膜電池である。
【0044】
ホウケイ酸リチウム電解質およびリチウムを含む負極を備える電池
本発明の第3の態様は、正極、負極(ここで前記負極は、リチウムを含む)、および、前記正極と前記負極との間の電解質を含む電池に関し、ここで前記電解質は、ホウケイ酸リチウム組成物であり、ここでホウケイ酸リチウム組成物は、酸化ケイ素および/または酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含み、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである。好ましくは、ホウケイ酸リチウム組成物は、酸化ケイ素および酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含み、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである。
【0045】
一実施態様では、電池は、リチウムイオン二次電池である。本明細書において、リチウムイオン二次電池は、その活物質内に含まれる化学エネルギーを、電解質を横切るそれらの輸送を伴う負極および正極からのリチウムイオンの可逆的な除去および挿入を介して電気エネルギーに直接転換して、一方で、関係がある電子は外部回路を通る装置として定義される。電解質との界面を含んでリチウムが負集電体の表面上にめっきされているので、前記負極は、電気化学的サイクリングの前または電池の最初の充電中の電池構造の不可欠なコンポーネントとして認識され得る。別の実施態様では、電池の正極は、LiCoPO、LiNi0.5Mn1.5、LiMnPO、LiMn、LiCoO、LiNi1/3Mn1/3Co1/3、LiFePO、LiNiPO、LiNiPOF、LiCoPOF、LiMnPOF、LiCoSiO、LiMnSiO、FeF、LiMn0.8Fe0.1Ni0.1PO、LiVOPO、LiFePOFの群から選択される正極活物質を含む。
【0046】
別の実施態様では、電池は、負極集電体および正極集電体をさらに備える。別の実施態様では、負極集電体は、Pt、Ni、Mo、Cu、TiN、Al、Auおよびステンレススチールからなる群より選択される負極集電体材料を含む。別の実施態様では、正極集電体材料は、Pt、Ni、Mo、Al、Au、ステンレススチール、インジウムドープ化酸化錫(ITO)および他の電気的に伝導する金属酸化物からなる群より選択される。
【0047】
別の実施態様では、電池は固体電池である。さらなる実施態様では、固体電池は、基板層;正集電体層;正極層;負極層;負集電体層;および、前記正極層と前記負極層との間のホウケイ酸リチウムガラス電解質層を備える。
【0048】
別の実施態様では、電池は、基板と集電体との間にパッシベーション層(例えば、Si)および/接着層(例えば、TiO)をさらに備える。
【0049】
別の実施態様では、電池は、カプセル化層を備える。さらなる実施態様では、カプセル化層は、AlN、Si、SiO、Al、Al、Cu、ポリ(p-キシリレン)ポリマー(パリレン(商標))、ポリイミド、または共重合体ポリ(エチレン-コ-メタクリル酸(SURLYN(登録商標))を含む。
【0050】
別の実施態様では、電池は、AlOPt(サファイア/TiO/Pt)、SSTOP(Si/SiO/TiO/Pt)、Si、SiO、Si、雲母、およびフロートガラスからなる群より選択される基板材料を含む。
【0051】
別の実施態様では、電池は、薄膜電池である。さらなる実施態様では、正極は、1~10ミクロンの厚さ、好ましくは2~8ミクロンの厚さである。さらなる実施態様では、負極は、50nm~5ミクロンの厚さ、好ましくは0.15~3ミクロンの厚さである。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質層は、40nm~15ミクロンの厚さ、好ましくは0.4~5ミクロンの厚さである。
【0052】
別の実施態様では、電池は、充電状態で1.0~8.5Vの開路電圧を有する。さらなる実施態様では、電池は、充電状態で3.6~8.5Vの開路電圧を有する。さらなる実施態様では、電池は、充電状態で5.5~8.5Vの開路電圧を有する。
【0053】
別の実施態様では、本発明は、高いイオン伝導性を有するホウケイ酸リチウム電解質を含む電池に関する。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、25℃で少なくとも1.0×10-6S/cmのイオン伝導性を有する。
【0054】
別の実施態様では、本発明は、低い電子伝導性を有するホウケイ酸リチウム電解質を含む電池に関する。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、25℃で2.0×10-13S/cm未満である電子伝導性を有する。
【0055】
別の実施態様では、本発明は、高いイオン伝導性および低い電子伝導性を有するホウケイ酸リチウム電解質を含む電池に関する。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、25℃で少なくとも1.0×10-6S/cmのイオン伝導性および2.0×10-13S/cm未満である電子伝導性を有する。
【0056】
別の実施態様では、本発明は、リチウムに対して電気化学的に安定であるホウケイ酸リチウム電解質を含む電池に関する。さらなる実施態様では、本発明は、ホウケイ酸リチウム電解質およびリチウムアノードを備える電池に関する。さらなる実施態様では、本発明は、ホウケイ酸リチウム電解質を含むリチウムフリーの電池に関する。
【0057】
別の実施態様では、本発明は、高電圧での作動が可能な、ホウケイ酸リチウム電解質を含む電池に関する。別の実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、0~10Vの全ての電位において電気化学的に安定である。別の実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、0~8Vの全ての電位において電気化学的に安定である。
【0058】
別の実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、Li/Liに対して3.6~8.5Vの全ての電位において電気化学的に安定である。
【0059】
別の実施態様では、電池は、0.04~5.0μAhの満充電容量を有する。さらなる実施態様では、電池は、0.5μAh未満の満充電容量を有する。さらなる実施態様では、電池は、0.1μAh未満の満充電容量を有する。別の実施態様では、電池は、2.0μAh/cm~300μAh/cmの満充電容量を有する。さらなる実施態様では、2μAh/cm~200μAh/cmの満充電容量である。さらなる実施態様では、2μAh/cm~100μAh/cmの満充電容量である。さらなる実施態様では、2μAh/cm~50μAh/cmの満充電容量である。さらなる実施態様では、100μAh/cm~300μAh/cmの満充電容量である。別の実施態様では、電池は、3.25μAh/cm~650μAh/cmの満充電容量を有し、LiBSiOの厚さは、21μm~2.7nmである。別の実施態様では、電池は、3.25μAh/cm~32.5μAh/cmの満充電容量を有し、LiBSiOの厚さは、21μm~55nmである。別の実施態様では、電池は、32.5μAh/cm~65μAh/cmの満充電容量を有し、LiBSiOの厚さは、2.1μm~27nmである。別の実施態様では、電池は、65μAh/cm~650μAh/cmの満充電容量を有し、LiBSiOの厚さは、1.3μm~2.7nmである。
【0060】
別の実施態様は、少なくとも2つの本発明の電池を含む電池スタックを提供する。
【0061】
電池は、0.5μAh未満の満充電容量を有し、前記電池は、ホウケイ酸リチウム電解質を含む
【0062】
本発明の第4の態様は、正極、負極、および、前記正極と前記負極との間の電解質を含む電池に関し、ここで前記電解質は、ホウケイ酸リチウム組成物であり、ここでホウケイ酸リチウム組成物は、酸化ケイ素および/または酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含み、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスであり、ここで前記電池は、0.5μAh未満の満充電容量を有する。好ましくは、ホウケイ酸リチウム組成物は、酸化ケイ素および酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含み、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである。
【0063】
一実施態様では、電池は、リチウムイオン二次電池である。本明細書において、リチウムイオン二次電池は、その活物質内に含まれる化学エネルギーを、電解質を横切るそれらの輸送を伴う負極および正極からのリチウムイオンの可逆的な除去および挿入を介して電気エネルギーに直接転換して、一方で、関係がある電子は外部回路を通る装置として定義される。電解質との界面を含んでリチウムが負集電体の表面上にめっきされているので、前記負極は、電気化学的サイクリングの前または電池の最初の充電中の電池構造の不可欠なコンポーネントとして認識され得る。別の実施態様では、電池の正極は、LiCoPO、LiNi0.5Mn1.5、LiMnPO、LiMn、LiCoO、LiNi1/3Mn1/3Co1/3、LiFePO、LiNiPO、LiNiPOF、LiCoPOF、LiMnPOF、LiCoSiO、LiMnSiO、FeF、LiMn0.8Fe0.1Ni0.1PO、LiVOPO、LiFePOFの群から選択される正極活物質を含む。別の実施態様では、電池の負極は、リチウム、ケイ素、スズ、マグネシウム、アルミニウム、アンチモン、インジウム、チタン、ニッケル、コバルト、クロム、ゲルマニウム、亜鉛、酸素、炭素、バナジウム、ニオビウム、ビスマス、タングステン、硫黄、および鉄の群から選択される負極活物質を含む。
【0064】
さらなる実施態様では、正極は、LiCoPO、LiNi0.5Mn1.5、LiMnPO、LiMn、LiCoO、LiNi1/3Mn1/3Co1/3、LiFePO、LiNiPO、LiNiPOF、LiCoPOF、LiMnPOF、LiCoSiO、LiMnSiO、FeF、LiMn0.8Fe0.1Ni0.1PO、LiVOPO、LiFePOFからなる群より選択される正極活物質を含み、負極は、リチウム、ケイ素、スズ、マグネシウム、アルミニウムからなる群より選択される負極活物質を含む。
【0065】
別の実施態様では、電池は、負極集電体および正極集電体をさらに備える。別の実施態様では、負極集電体は、Pt、Ni、Mo、Cu、TiN、Al、Auおよびステンレススチールからなる群より選択される負極集電体材料を含む。別の実施態様では、正極集電体材料は、Pt、Ni、Mo、Al、Au、ステンレススチール、インジウムドープ化酸化錫(ITO)および他の電気的に伝導する金属酸化物からなる群より選択される。
【0066】
別の実施態様では、電池は固体電池である。さらなる実施態様では、固体電池は、基板層;正集電体層;正極層;負極層;負集電体層;および、前記正極層と前記負極層との間のホウケイ酸リチウムガラス電解質層を備える。
【0067】
別の実施態様では、電池は、基板と集電体との間に、パッシベーション層(例えば、Si)および/接着層(例えば、TiO)をさらに備える。
【0068】
別の実施態様では、電池は、カプセル化層を備える。さらなる実施態様では、カプセル化層は、AlN、Si、SiO、Al、Al、Cu、ポリ(p-キシリレンポリマー(パリレン(商標))、ポリイミド、または、ポリ(エチレン-コ-メタクリル酸(SURLYN(登録商標))を含む。
【0069】
別の実施態様では、電池は、AlOPt(サファイア/TiO/Pt)、SSTOP(Si/SiO/TiO/Pt)、Si、SiO、Si、雲母、および、フロートガラスからなる群より選択される基板材料を含む。
【0070】
別の実施態様では、電池は薄膜電池である。さらなる実施態様では、正極は、1~10μmの厚さ、好ましくは2~8μmの厚さである。さらなる実施態様では、負極は、50nm~5μmの厚さ、好ましくは0.15~3μmの厚さである。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質層は、40nm~15μmの厚さ、好ましくは0.4~5μmの厚さである。
【0071】
別の実施態様では、電池は、充電状態で1.0~8.5Vの開路電圧を有する。さらなる実施態様では、電池は、充電状態で3.6~8.5Vの開路電圧を有する。さらなる実施態様では、電池は、充電状態で4.6~8.5Vの開路電圧を有する。さらなる実施態様では、電池は、充電状態で5.5~8.5Vの開路電圧を有する。
【0072】
別の実施態様では、本発明は、高いイオン伝導性を有するホウケイ酸リチウム電解質を含む電池に関する。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、25℃で少なくとも1.0×10-6S/cmのイオン伝導性を有する。
【0073】
別の実施態様では、本発明は、低い電子伝導性を有するホウケイ酸リチウム電解質を含む電池に関する。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、25℃で2.0×10-13S/cm未満の電子伝導性を有する。
【0074】
別の実施態様では、本発明は、高いイオン伝導性および低い電子伝導性を有するホウケイ酸リチウム電解質を含む電池に関する。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、25℃で少なくとも1.0×10-6S/cmのイオン伝導性および2.0×10-13S/cm未満の電子伝導性を有する。
【0075】
別の実施態様では、本発明は、リチウムに対して電気化学的に安定であるホウケイ酸リチウム電解質を含む電池に関する。さらなる実施態様では、本発明は、ホウケイ酸リチウム電解質およびリチウムアノードを備える電池に関する。さらなる実施態様では、本発明は、ホウケイ酸リチウム電解質を含むリチウムフリーの電池に関する。
【0076】
別の実施態様では、本発明は、高電圧での作動が可能な、ホウケイ酸リチウム電解質を含む電池に関する。別の実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、0~10Vの全ての電位において電気化学的に安定である。別の実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、0~8Vの全ての電位において電気化学的に安定である。
【0077】
別の実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、Li/Liに対して3.6~8.5Vの全ての電位において電気化学的に安定である。
【0078】
別の実施態様では、電池は、0.1μAh未満の満充電容量を有する。別の実施態様では、電池は、2.0μAh/cm~300μAh/cmの満充電容量を有する。さらなる実施態様では、満充電容量は、2μAh/cmおよび200μAh/cmである。さらなる実施態様では、満充電容量は、2μAh/cm~100μAh/cmである。さらなる実施態様では、満充電容量は、2μAh/cm~50μAh/cmである。さらなる実施態様では、満充電容量は、100μAh/cm~300μAh/cmである。
【0079】
別の実施態様は、少なくとも2つの本発明の電池を備える電池スタックを提供する。
【0080】
ホウケイ酸リチウム電解質および高電圧正極を含む電池
第5の態様は、正極、負極、および、前記正極と前記負極との間の電解質を含む電池に関し、ここで前記正極は、LiCoPO、LiNi0.5Mn1.5、LiMnPO、LiCoO、LiNi1/3Mn1/3Co1/3、LiFePO、LiNiPO、LiNiPOF、LiCoPOF、LiMnPOF、LiCoSiO、LiMnSiO、FeF、LiMn0.8Fe0.1Ni0.1PO、Li1-xVOPO、および、LiFePOFからなる群より選択される正極活物質を含み、ここで前記電解質は、ホウケイ酸リチウム組成物であり、ここでホウケイ酸リチウム組成物は、酸化ケイ素および/または酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含み、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである。好ましくは、ホウケイ酸リチウム組成物は、酸化ケイ素および酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含み、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである。
【0081】
一実施態様では、電池は、リチウムイオン二次電池である。本明細書において、リチウムイオン二次電池は、その活物質内に含まれる化学エネルギーを、電解質を横切るそれらの輸送を伴う負極および正極からのリチウムイオンの可逆的な除去および挿入を介して電気エネルギーに直接転換して、一方で、関係がある電子は外部回路を通る装置として定義される。電解質との界面を含んでリチウムが負集電体の表面上にめっきされているので、前記負極は、電気化学的サイクリングの前または電池の最初の充電中の電池構造の不可欠なコンポーネントとして認識され得る。別の実施態様では、電池の負極は、リチウム、ケイ素、スズ、マグネシウム、アルミニウム、アンチモン、インジウム、チタン、ニッケル、コバルト、クロム、ゲルマニウム、亜鉛、酸素、炭素、バナジウム、ニオビウム、ビスマス、タングステン、硫黄、および、鉄の群より選択される負極活物質を含む。
【0082】
さらなる実施態様では、正極は、LiCoPO、LiNi0.5Mn1.5、LiMnPO、LiCoO、LiNi1/3Mn1/3Co1/3、LiFePO、LiNiPO、LiNiPOF、LiCoPOF、LiMnPOF、LiCoSiO、LiMnSiO、FeF、LiMn0.8Fe0.1Ni0.1PO、LiVOPO、LiFePOFからなる群より選択される正極活物質を含み、負極は、リチウム、ケイ素、スズ、マグネシウム、アルミニウムからなる群より選択される負極活物質を含む。
【0083】
別の実施態様では、電池は、負極集電体および正極集電体をさらに備える。別の実施態様では、負極集電体は、Pt、Ni、Mo、Cu、TiN、Al、Auおよびステンレススチールからなる群より選択される負極集電体材料を含む。別の実施態様では、正極集電体材料は、Pt、Ni、Mo、Al、Au、ステンレススチール、インジウムドープ化酸化錫(ITO)および他の電気的に伝導する金属酸化物からなる群より選択される。
【0084】
別の実施態様では、電池は固体電池である。さらなる実施態様では、固体電池は、基板層;正集電体層;正極層;負極層;負集電体層;および、前記正極層と前記負極層との間のホウケイ酸リチウムガラス電解質層を備える。
【0085】
別の実施態様では、電池は、基板と集電体との間に、パッシベーション層(例えば、Si)および/接着層(例えば、TiO)をさらに備える。
【0086】
別の実施態様では、電池は、カプセル化層を備える。さらなる実施態様では、カプセル化層は、AlN、Si、SiO、Al、Al、Cu、ポリ(p-キシリレンポリマー(パリレン(商標))、ポリイミド、または、ポリ(エチレン-コ-メタクリル酸(SURLYN(商標))を含む。
【0087】
別の実施態様では、電池は、AlOPt(サファイア/TiO/Pt)、SSTOP(Si/SiO/TiO/Pt)、Si、SiO、Si、雲母、および、フロートガラスからなる群より選択される基板材料を含む。
【0088】
別の実施態様では、電池は薄膜電池である。さらなる実施態様では、正極は、1~10ミクロンの厚さ、好ましくは2~8ミクロンの厚さである。さらなる実施態様では、負極は、50nm~5ミクロンの厚さ、好ましくは0.15~3ミクロンの厚さである。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質層は、40nm~15ミクロンの厚さ、好ましくは0.4~5ミクロンの厚さである。
【0089】
別の実施態様では、電池は、充電状態で1.0~8.5Vの開路電圧を有する。さらなる実施態様では、電池は、充電状態で3.6~8.5Vの開路電圧を有する。さらなる実施態様では、電池は、充電状態で4.6~8.5Vの開路電圧を有する。さらなる実施態様では、電池は、充電状態で5.5~8.5Vの開路電圧を有する。
【0090】
別の実施態様では、本発明は、高いイオン伝導性を有するホウケイ酸リチウム電解質を含む電池に関する。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、25℃で少なくとも1.0×10-6S/cmのイオン伝導性を有する。
【0091】
別の実施態様では、本発明は、低い電子伝導性を有するホウケイ酸リチウム電解質を含む電池に関する。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、25℃で2.0×10-13S/cm未満の電子伝導性を有する。
【0092】
別の実施態様では、本発明は、高いイオン伝導性および低い電子伝導性を有するホウケイ酸リチウム電解質を含む電池に関する。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、25℃で少なくとも1.0×10-6S/cmのイオン伝導性および2.0×10-13S/cm未満の電子伝導性を有する。
【0093】
別の実施態様では、本発明は、リチウムに対して電気化学的に安定であるホウケイ酸リチウム電解質を含む電池に関する。さらなる実施態様では、本発明は、ホウケイ酸リチウム電解質およびリチウムアノードを備える電池に関する。さらなる実施態様では、本発明は、ホウケイ酸リチウム電解質を含むリチウムフリーの電池に関する。
【0094】
別の実施態様では、本発明は、高電圧での作動が可能な、ホウケイ酸リチウム電解質を含む電池に関する。別の実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、0~10Vの全ての電位において電気化学的に安定である。別の実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、0~8Vの全ての電位において電気化学的に安定である。
【0095】
別の実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、Li/Liに対して3.6~8.5Vの全ての電位において電気化学的に安定である。
【0096】
別の実施態様では、電池は、0.04~5.0μAhの満充電容量を有する。さらなる実施態様では、電池は、0.5μAh未満の満充電容量を有する。さらなる実施態様では、電池は、0.1μAh未満の満充電容量を有する。別の実施態様では、電池は、2.0μAh/cm~300μAh/cmの満充電容量を有する。さらなる実施態様では、満充電容量は、2μAh/cm~200μAh/cmである。さらなる実施態様では、満充電容量は、2μAh/cm~100μAh/cmである。さらなる実施態様では、満充電容量は、2μAh/cm~50μAh/cmである。さらなる実施態様では、満充電容量は、100μAh/cm~300μAh/cmである。
【0097】
別の実施態様は、少なくとも2つの本発明の電池を備える電池スタックを提供する。
【0098】
ホウケイ酸リチウム組成物を作製する方法
第9の態様は、本明細書において定義されるホウケイ酸リチウム組成物を作製する方法を提供する。一実施態様では、ホウケイ酸リチウム組成物は、真空蒸着処理によって形成される。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウム組成物は、物理的気相蒸着処理によって形成される。
【0099】
一実施態様では、本発明は、リチウムに対して電気化学的に安定であるホウケイ酸リチウム電解質を作製する方法に関する。さらなる実施態様では、電池は、リチウムアノードを備える。
【0100】
別の実施態様では、本発明は、高電圧での作動が可能なホウケイ酸リチウム電解質を作製する方法に関する。さらなる態様では、電池は、より長期のサイクリングに適切である。
【0101】
別の実施態様では、本発明は、低い電子伝導性を有するホウケイ酸リチウム電解質を作製する方法に関する。さらなる実施態様では、電池は、低容量である。
【0102】
ホウケイ酸リチウムによって表面が改変された電極を作製する方法
第10の態様は、LiBSiOによって表面が改変された電極を作製する方法を提供する。本発明のLiBSiOによって表面が改変された電極を作製する方法は、その方法が、安定性を改善または電極のサイクリングを改善する所望のLiBSiOによって表面が改変された電極を提供することが可能である限り、特に制限されない。その方法の例は、本明細書に記載のPVDを含む。一実施態様では、その方法は、LiBSiOによって表面が改変された負極を作製する方法である。別の実施態様では、その方法は、LiBSiOによって表面が改変された正極を作製する方法である。一実施態様では、LiBSiOコーティングは、物理的気相蒸着(PVD)によって生産される。
【0103】
ホウケイ酸リチウム電解質を含む電池を作製する方法
本発明の第11の態様は、ホウケイ酸リチウム電解質を含む電池を作製する方法に関する。
【0104】
一実施態様では、本発明は、リチウムに対して電気化学的に安定であるホウケイ酸リチウム電解質を含む電池を作製する方法に関する。さらなる実施態様では、電池は、リチウムアノードを備える。
【0105】
別の実施態様では、本発明は、高電圧での作動が可能なホウケイ酸リチウム電解質を含む電池を作製する方法に関する。さらなる態様では、電池は、より長期のサイクリングに適切である。
【0106】
別の実施態様では、本発明は、低い電子伝導性を有するホウケイ酸リチウム電解質を含む電池を作製する方法に関する。さらなる実施態様では、電池は、低容量である。
【0107】
ホウケイ酸リチウムによって表面が改変された電極を備える電池を作製する方法
さらなる態様は、電極を備える電池を作製する方法を提供し、その表面は、本発明のLiBSiO材料によって改変されている。一実施態様では、その方法は、LiBSiOによって表面が改変された負極を備える電池を作製する方法である。別の実施態様では、その方法は、LiBSiOによって表面が改変された正極を備える電池を作製する方法である。さらなる実施態様では、電池はリチウムイオン二次電池である。別の実施態様では、リチウムイオン二次電池は薄膜電池である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
図1】35分間、5秒ごとに測定されたLMO/LiBSiO/Liセルの開路電圧。
図2】15分間、最高充電(top of charge)でのOCVのモニタリング。
図3】AlOPt基板、LMOカソード、LiBSiO電解質、および、Li金属アノードからなる、固体セルのサイクリックボルタンメトリー。セルは、3.6~4.25Vで100回サイクルされた。最初の3サイクルは0.5mV/sであり、一方で、残りの97サイクルは、0.25mV/sのスキャンレートで行なわれた。
図4A-4B】AlOPt基板、LMOカソード、LiBSiO電解質、および、Li金属アノードからなる固体セルのインピーダンス。測定は、電池が0.1μAの電流値で3.8~4.25Vの10回の定電流サイクルに供された前後に、Li/Liに対して3.8Vの電位で行なわれた。測定に関する周波数範囲は、10年あたり7つのデータポイントで261.0156kHz~0.1Hz、および、10mVのac振幅であり、周波数あたりの10サイクルの平均を用いてそれぞれの周波数におけるポイントを生成した。図4Aは、実験範囲全体にわたるデータポイントを示す。図4Bは、40kΩよりも下のデータポイントを示す。
図5】リチウム含有量の関数としての、LiBSiOサンプルの電子伝導性(三角と点線)およびイオン伝導性(丸と実線)。
図6】LMO中のLi原子パーセント(X軸)の関数としての、コーティングされていない(塗りつぶされた四角)LMOカソードサンプルに対するLiBSiOコーティング(塗りつぶされていない丸)の1回目の放電の利用回数(Y軸)。
【発明を実施するための形態】
【0109】
電解質
電解質組成物
本明細書において、ホウケイ酸リチウム(LiBSiO)ガラス電解質が説明される。用語「ガラス」は、X線回折またはラマン分光法によって特徴付けられた場合に、長い範囲の構造秩序の証拠を示さない非結晶性または非晶質の固体を意味する。本明細書に記載のLiBSiOガラスは、好ましくは、酸化リチウム、酸化ケイ素および酸化ホウ素の三成分系である。
【0110】
本明細書において記載されるように、ホウケイ酸リチウムガラスは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて(すなわち酸素成分を除いて)70~83原子%のリチウムを含む。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラスは、Li、BおよびSiに基づいて70~76原子%のLiを含む。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラスは、71~76原子%のLi、73~76原子%のLi、72~75原子%のLi、73~75原子%のLi、または79~83原子%のLiを、それぞれLi、BおよびSiに基づいて含む。全ての場合において、酸素は、酸化物を形成して電荷的中性を維持する量で存在することが理解される。
【0111】
本明細書において説明されるように、ホウケイ酸リチウムガラスは、好ましくは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて(すなわち酸素成分を除いて)1~25原子%のホウ素を含む。好ましくは、ホウケイ酸リチウムガラスは、Li、BおよびSiに基づいて5~20原子%のBを含む。好ましくは、ホウケイ酸リチウムガラスは、Li、BおよびSiに基づいて7.5~15原子%のBを含む。全ての場合において、酸素は、酸化物を形成して電荷的中性を維持する量で存在することが理解される。
【0112】
本明細書において説明されるように、ホウケイ酸リチウムガラスは、好ましくは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて(すなわち酸素成分を除いて)1~25原子%のケイ素を含む。好ましくは、ホウケイ酸リチウムガラスは、Li、BおよびSiに基づいて5~20原子%のSiを含む。好ましくは、ホウケイ酸リチウムガラスは、Li、BおよびSiに基づいて6~17原子%のSiを含む。全ての場合において、酸素は、酸化物を形成して電荷的中性を維持する量で存在することが理解される。
【0113】
BおよびSiについて(As per)、B:Siの比は、1:1+/-0.15であってよい。成分Li、BおよびSiに基づいて、LiBSiO電解質は、74原子%のLi、14原子%のSi、および12原子%のBを含んでよい。
【0114】
本明細書において記載されるホウケイ酸リチウムガラスは、酸化ケイ素および/または酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系として定義されてもよく、ここで前記ホウケイ酸リチウムガラスのmol%は、70.9mol%LiO-0.0mol%B-29.1mol%SiO;53.8mol%LiO-0.0mol%B-46.2mol%SiO;83.0mol%LiO-17.0mol%B-0.0mol%SiO;および70.0mol%LiO-30.0mol%B-0.0mol%SiOの間である。
【0115】
好ましくは、ホウケイ酸リチウムガラスのmol%は、79.6mol%LiO-12.2mol%B-8.2mol%SiO;60.3mol%LiO-12.1mol%B-27.6mol%SiO;73.8mol%LiO-3.8mol%B-22.4mol%SiO;および62.2mol%LiO-15.6mol%B 22.2mol%SiOの間である。
【0116】
好ましくは、ホウケイ酸リチウムガラスのmol%は、70.9mol%LiO-0.0mol%B-29.1mol%SiO;66.7mol%LiO-0.0mol%B-33.3mol%SiO;83.0mol%LiO-17.0mol%B-0.0mol%SiO;および75.0mol%LiO-25.0mol%B 0.0mol%SiOの間である。
【0117】
リチウムに対する電気化学的安定性
本明細書において記載されるホウケイ酸リチウムガラスは、リチウムに対して安定であり、ここで安定性は、検出可能な反応または分解を示す証拠の不存在によって特徴付けられる。Bates et al.,Journal of the Electrochemical Society 144[2](1997)524-533。ホウケイ酸リチウムガラス電解質の安定性は、インピーダンス分光法および時間依存的開路電圧を用いて測定されている。インピーダンス分光法は、サイクリングに供された前後の電池の周波数依存性の応答の比較性を示すために用いられている。開路電圧は、延長された蒸着後保管の後およびサイクリングに供された後に測定されていて、電解質の完全性、および、前記正極と負極との間の非ゼロ電位を維持する不可能性をもたらす機械的または化学的失敗をもたらす検出可能な反応または分解を持続させずに、カソードとアノードとの間の電気化学電位差に耐える、その能力を示す。
【0118】
本発明者は、LiBSiO電解質およびリチウムアノードを備える薄膜電池が、LiBSiO電解質とアノード材料との間の有害反応の証拠を伴わずにサイクルされ得るという驚くべき知見をなした。さらに、同一の薄膜電池系の安定した開路電圧は、電池のサイクリングの前と後の両方で観察された。この知見の技術的効果は、蒸着されたリチウムアノードによって構成された固体電池内またはリチウムフリーのセル内のLiBSiO電解質の使用を促進することであり、それによって、リチウムアノードは、固体LiBSiO電解質とアノード集電体との間の界面において本来の場所で形成される。
【0119】
したがって、一実施態様では、LiBSiOガラスはリチウムと接触されて、電気化学的に安定である。
【0120】
別の実施態様では、LiBSiOガラスは、リチウムに対して安定であり、Li/Liに対して少なくとも+3.9V、Li/Liに対して少なくとも+4.5V、Li/Liに対して少なくとも+5.5V、または、Li/Liに対して少なくとも+6.0Vの電位に供されている正カソード活物質との接触において化学的に安定である。
【0121】
高電圧での電気化学的安定性
高電圧に対する電気化学的安定性を、2つの電圧制限間でサイクリックボルタンメトリーを用いて測定して、ここで、時間の関数として電位の一定の割合の変化がサンプル電極にわたって加えられる場合の電位の関数として電流応答を決定する。電気化学的安定性は、電位の増加または減少に伴って連続的に変化する電位範囲にわたる電流応答によって特徴付けられて、つまり、電位範囲内において、電流が電位値の変化とは独立に大きさが増加または減少するポイントはない。電気化学的不安定性に起因して、試験中の電解質の不足が、固定された電位値で連続的に増加する電流の大きさとして観察される。
【0122】
本発明者は、本明細書に記載のLiBSiO電解質は、0~10Vの範囲の電位間で、プラチナとプラチナとの間、またはプラチナとニッケルとの間に構成された場合に、電気化学的に安定であるというさらに驚くべき発見をした。この発見の技術的効果は、LiBSiO電解質が、非常に高い電圧で作動して高出力密度を伝達する電池において用いられ得ることである。
【0123】
したがって、別の実施態様では、本発明は、幅広い範囲の電位に供された場合に電気化学的安定性を有するLiBSiO電解質に関する。
【0124】
別の実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラスは、3.6~5Vの電位;さらなる実施態様では、4.5~5Vの電位;さらなる実施態様では、5.5~8.5Vの電位に供された正カソード活物質との接触において、電気化学的に安定である。別の実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラスは、リチウムに対して安定であり、そして、3.6~5Vの電位;さらなる実施態様では、4.5~5Vの電位;さらなる実施態様では、5.5~8.5Vの電位に供された正カソード活物質との接触において電気化学的に安定である。
【0125】
高いイオン伝導性および低い電子伝導性
本発明者は、本明細書に記載のLiBSiO電解質の電子伝導性は非常に低いが、一方で、イオン伝導性は高いというさらに驚くべき発見をした。この発見の技術的効果は、本明細書に記載のLiBSiO電解質の電子伝導性は十分に低いので、それらは、非常に低い電子伝導性特性(<2.0×10-13S/cm)に起因して充電状態を維持するそれらの能力に基づいて、非常に低い理論容量(<0.04μAh)を有する固体電池に用いられ得るということである。
【0126】
したがって、別の実施態様では、本発明は、高いイオン伝導性および低い電子伝導性を有するLiBSiO電解質に関する。さらなる実施態様では、LiBSiO電解質は、25°Cで6.0×10-14S/cm未満の電子伝導性および少なくとも1.0×10-6S/cmのイオン伝導性を有する。さらなる実施態様では、LiBSiO電解質は、25°Cで5.0×10-14S/cm未満の電子伝導性および少なくとも1.0×10-6S/cmのイオン伝導性を有する。さらなる実施態様では、LiBSiO電解質は、25°Cで4×10-14S/cm未満の電子伝導性および少なくとも1.0×10-6S/cmのイオン伝導性を有する。さらなる実施態様では、LiBSiO電解質は、25°Cで2.0×10-14S/cm未満の電子伝導性および少なくとも1.0×10-6S/cmのイオン伝導性を有する。
【0127】
さらなる実施態様では、LiBSiO電解質は、25°Cで6.0×10-14S/cm未満の電子伝導性および少なくとも3.0×10-6S/cmのイオン伝導性を有する。さらなる実施態様では、LiBSiO電解質は、25°Cで5.0×10-14S/cm未満の電子伝導性および少なくとも3.0×10-6S/cmのイオン伝導性を有する。さらなる実施態様では、LiBSiO電解質は、25°Cで4×10-14S/cm未満の電子伝導性および少なくとも3.0×10-6S/cmのイオン伝導性を有する。さらなる実施態様では、LiBSiO電解質は、25°Cで2.0×10-14S/cm未満の電子伝導性および少なくとも3.0×10-6S/cmのイオン伝導性を有する。
【0128】
さらなる実施態様では、LiBSiO電解質は、25°Cで6.0×10-14S/cm未満の電子伝導性および少なくとも5.0×10-6S/cmのイオン伝導性を有する。さらなる実施態様では、LiBSiO電解質は、25°Cで5.0×10-14S/cm未満の電子伝導性および少なくとも5.0×10-6S/cmのイオン伝導性を有する。さらなる実施態様では、LiBSiO電解質は、25°Cで4×10-14S/cm未満の電子伝導性および少なくとも5.0×10-6S/cmのイオン伝導性を有する。さらなる実施態様では、LiBSiO電解質は、25°Cで2.0×10-14S/cm未満の電子伝導性および少なくとも5.0×10-6S/cmのイオン伝導性を有する。
【0129】
別の実施態様では、上記のLiBSiO電解質は、リチウムに対して安定である。別の実施態様では、上記のLiBSiO電解質は、リチウムに対して電気化学的に安定であり、3.6~5Vの電位に供された正カソード活物質との接触において電気化学的に安定である。別の実施態様では、上記のLiBSiO電解質は、リチウムに対して電気化学的に安定であり、5.5~8.5Vの電位に供された正カソード活物質との接触において電気化学的に安定である。
【0130】
ホウケイ酸リチウムによって表面が改変された電極
電極活物質の分解は、電解質、電解質溶液または大気との反応によって;機械的ストレスによって;またはその他によって引き起こされ得る。例えば、リチウム金属は、非常に反応性である。反応は、溶媒の減少、活性種、または、電解質中の不純物に起因して、Li系電極を備える電池のサイクリング中に生じる。これらおよび他の反応は、電極の分解、電極容量の喪失、電解質および活物質の消費、および、終局の電池故障をもたらす。さらなる故障モードは、容量喪失をもたらし分離したリチウムの発生から生じるリチウムアノードの表面における樹枝状リチウムの拡張(表面欠陥によって与えられる非均一な電流密度に起因する)、および、電極のショートによるセル死(cell death)であり、そのプロセスは、リチウムと液体電解質との間の界面における固体電解質の配置によって軽減され得る。リチウムとの接触において安定であり電極のための保護コーティングとして用いられ得る、高いイオン伝導性、低い電子伝導性を有する材料に関する必要性がある。改善された安定性およびサイクリングを有する電極を備える電池に関する必要性がさらに存在する。
【0131】
したがって、本発明の第2の態様は、電極を提供して、その表面は、本明細書に記載のLiBSiO材料によって改変されている。LiBSiOによって表面が改変された電極は、非コーティング電極よりも改善された安定性および/または改善されたサイクリングを有する。一実施態様では、LiBSiOによって表面が改変された電極は、LiBSiOによって表面が改変された負極である。別の実施態様では、LiBSiOによって表面が改変された電極は、LiBSiOによって表面が改変された正極である。
【0132】
本明細書において用いられる用語「によって表面が改変された」および「によって改変された表面」は、電極の表面の少なくとも一部が、本明細書に記載のLiBSiO組成物と機械的または化学的に接触していることを意味する。
【0133】
電極の電極活物質は、その物質が、LiBSiOが表面をそれに付着させるのを可能にして、リチウムイオンを貯蔵および放出することが可能である限り、特に制限されない。電極活物質の例は、制限されないが、本明細書における他のどこかに説明されるものを含む。好ましい実施態様では、負極活物質は、リチウム金属である。
【0134】
一部の実施態様では、電極は、リチウムインターカレーション電極である。本明細書において用いられる用語「インターカレーション」は、層状構造を有する化合物中への分子またはイオンの可逆的な包含または挿入を指す。したがって、リチウムインターカレーション電極は、リチウムイオンが層状構造、例えばグラファイト中に可逆的に包含または挿入され得る電極であってよい。
【0135】
一部の実施態様では、電極は、本明細書に記載のLiBSiO材料の層によってコーティングされる。一部の実施態様では、本明細書に記載のホウケイ酸リチウム組成物は、電極の表面上の層として与えられる。
【0136】
一部の実施態様では、電極の表面は、本明細書に記載のLiBSiO材料の層によってコーティングされる。このコーティングは、集電体上に、電極活物質(および任意選択で、炭素添加剤、高分子バインダーおよび/または溶媒)を含む電極を最初に鋳造して(cast)、それから、電極を硬化および乾燥させることによって達成され得る。鋳造された電極の表面は、その結果、その上に蒸着されたLiBSiO材料の保護層を有し得る。一部の実施態様では、LiBSiOは、電極の表面を全体的にコーティングする。一部の実施態様では、LiBSiOは、電極の表面を部分的にカバーする。
【0137】
一部の実施態様では、電極は、電極活物質の粒子を含み、粒子は、本明細書に記載のLiBSiO材料の層によってコーティングされる。これは、活物質のそれぞれの粒子の全体を保護LiBSiO材料によってコーティングすることによって達成され得る。保護された粒子は、それから、任意選択で、炭素添加剤、高分子バインダーおよび/または溶媒とともに混合されて、スラリー中に形成されてもよい。スラリーは、それから、電子的に伝導する集電体上に鋳造され得る。
【0138】
LiBSiOコーティング層の厚さは、安定性を改善または電極のサイクリングを改善する限り、特に制限されない。一実施態様では、LiBSiOコーティング層の厚さは、2nm~100nmである。さらなる実施態様では、その範囲は2nm~50nmである。
【0139】
一実施態様では、LiBSiOによって表面が改変された電極は、電極の表面をコーティングするLiBSiOコーティング層を備え、それを通ってリチウムイオンが移動し得る。一実施態様では、電極表面は、LiBSiOによって全体的にコーティングされている。別の実施態様では、電解質(特に非固体電解質)と接触している電極表面は、LiBSiOによってコーティングされている。
【0140】
電池
本発明者は、本明細書に記載のホウケイ酸リチウムガラスが、1)低い電子伝導性と組み合わせて高いイオン伝導性を有し、2)金属リチウムアノードのような非常に還元する電極、および、Li/Liに対して4.2Vで荷電されたLi0.5CoOカソードのような非常に酸化する電極との接触において、電気化学的に安定であり、3)高電圧で電気化学的に安定であるという、驚くべき発見をした。
【0141】
したがって、本発明の第3の態様は、正極、負極、および、前記正極と前記負極との間の電解質を含む電池に関し、ここで前記負極はリチウムを含み、ここで前記電解質は、本明細書に記載のホウケイ酸リチウム組成物である。したがって、本発明の第4の態様は、正極、負極、および、前記正極と前記負極との間の電解質を含む電池に関し、ここで前記電解質は、本明細書に記載のホウケイ酸リチウム組成物であり、ここで前記電池は、0.5μAh未満の満充電容量を有する。したがって、本発明の第5の態様は、正極、負極、および、前記正極と前記負極との間の電解質を含む電池に関し、ここで前記正極は、LiCoPO、LiNi0.5Mn1.5、LiMnPO、LiCoO、LiNi1/3Mn1/3Co1/3、LiFePO、LiNiPO、LiNiPOF、LiCoPOF、LiMnPOF、LiCoSiO、LiMnSiO、FeF、LiMn0.8Fe0.1Ni0.1PO、Li1-xVOPO、および、LiFePOFからなる群より選択される正極活物質を含み、ここで前記電解質は、本明細書に記載のホウケイ酸リチウム組成物である。
【0142】
さらなる実施態様では、電池は、正極集電体および負極集電体をさらに備える。さらなる実施態様では、電池は、基板をさらに備える。さらなる実施態様では、電池は、さらにカプセル化されている。
【0143】
一実施態様では、電池は、リチウムイオン電池である。さらなる実施態様では、電池は、リチウムイオン二次電池である。さらなる実施態様では、薄膜電池は、全-固体電池である。さらなる実施態様では、電池は、正極、電解質、および、負極を備える薄膜電池である。
【0144】
一実施態様では、電池は、スタックのように、多数の正極および多数の負極を備える。電極と接触している電解質は、反対の極性の電極間のセパレーターを通してイオン伝導性を提供する。電池は一般に、負極および正極とそれぞれ関係がある集電体を備える。それらの関係がある集電体およびセパレーターを備える電極のスタックは、一般に、ホウケイ酸リチウム電解質を含むコンテナー内に置かれる。
【0145】
一実施態様では、電池は、負極、正極、およびホウケイ酸リチウム電解質を備える改善されたリチウムイオン電池であり、正極は、Li/Liに対して少なくとも3.5V;Li/Liに対して少なくとも4.0V;Li/Liに対して少なくとも4.5V;Li/Liに対して少なくとも5.5V;または、Li/Liに対して6.0~8.5Vの電気化学電位を有する高電圧の正活物質(positive active material)を含む。
【0146】
本明細書に記載のホウケイ酸リチウム電解質および高電圧正極を備えるLiイオン電池は、高エネルギー/パワー密度Liイオン電池の開発を可能にする。さらに、本明細書に記載のホウケイ酸リチウム電解質は、非常に高いイオン伝導性、および低い電気伝導性を有し、したがって、より高いパワーおよびエネルギーならびに安定した低容量のような、改善された性能を提供し得る。高電圧作動のために、電解質特性の別の重要な態様は、還元および酸化安定性である。改善された還元および酸化安定性は、本発明の電池の寿命およびサイクリング性能を改善する。
【0147】
改善された電池システムは、高エネルギーおよび高パワーLiイオン電池を生産するために用いられ得るホウケイ酸リチウム電解質および高電圧正極が備えられている。Li/Liに対して約3.6~8.5Vの範囲の電位で正極活物質(カソード材料)を有する正極は、LiBSiO電解質とともに優れた性能を提供する。
【0148】
負極
負極活物質は、正極に関する対電極として用いられる。正極活物質および負極活物質の組成物は、放電中の電池の電位を決定して、それは、それぞれの半反応の電位間の違いである。
【0149】
本発明の電池において用いられる負極活物質は、LiTi12、Si、Ge、Sn、Sb、Al、Mg、Bi、Si-M(M=Mg、Al、Sn、Zn、Ag、Fe、Ni、Mn)、InSb、金属酸化物、以下を含む;TiO、バナジウムおよびモリブデン酸化物、Ti、Nb酸化物(MgTi、TiNb)、SnO、SnO、Sb酸化物、またはゲルマネートから選択され得る。
【0150】
本発明の電池において用いられる負極活物質は、リチウムまたはリチウム化遷移金属酸化物、例えば、酸化チタンリチウムであってよい。負極活物質は、LiSi、LiSbまたはLiGeを含むリチウム金属合金であってよい。負極活物質は、リチウムイオンを可逆的にインターカレートすることが可能な炭素含有材料(例えば活性炭)、スズ含有材料、ケイ素含有材料、または他の材料であってもよい。
【0151】
負極活物質は、グラファイト、合成グラファイト、コークス、フラーレン類、五酸化ニオビウム、スズ合金、ケイ素(非晶質ケイ素を含む)、酸化チタン、酸化錫、および酸化チタンリチウムをさらに含む。
【0152】
元素状炭素材料を含む負極活物質は、グラファイト、合成グラファイト、コークス、フラーレン類、炭素ナノチューブ、他の黒鉛状炭素およびそれらの組み合わせを含む。黒鉛状炭素は、グラフェンシートの実質的なドメインを含む任意の元素状炭素材料を指す。
【0153】
一実施態様では、負極活物質は、リチウム金属、またはその合金を含み、電池は、再充電可能な(二次)リチウムイオン電池である。さらなる実施態様では、負極は、リチウム金属、またはリチウム-アルミニウム合金の層を備えてよい。別の実施態様では、負極は、リチウムである。別の実施態様では、負極は、リチウムフリーのアノードである。別の実施態様では、負極は、リチウム空気アノードである。
【0154】
一部の実施態様では、電極は、リチウムインターカレーション電極である。本明細書において用いられる用語「インターカレーション」は、層状構造を有する化合物中への分子またはイオンの可逆的な包含または挿入を指す。したがって、リチウムインターカレーション電極は、リチウムイオンが層状構造、例えばグラファイト中に可逆的に包含または挿入され得る電極であってよい。
【0155】
正極
正極活物質は、負極に関する対電極において用いられる。正極は、一部の実施態様では、Li/Liに対して3.6Vよりも大きな電位を有する正活物質を含んでよい。
【0156】
本発明の電池の正極活物質は、リチウム化遷移金属化合物、例えば、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルバナジウム酸化物、リチウムコバルトバナジウム酸化物、またはリチウムコバルトリン酸、例えばLiNiMn、LiNiVO、LiCoVO、LiCoPOなどを含む。他の例は、リチウムニッケルリン酸、リチウムニッケルフルオロリン酸、およびリチウムコバルトフルオロリン酸;すなわちLiNiPO、LiNiPOF、LiCoPOFなどを含む。リチウム含有量は、典型的に、電池の充電の状態に応じて変化する。正活物質は、他の酸素含有材料材料、例えば、酸化物、マンガン酸、ニッケル酸、バナジン酸、リン酸、またはフルオロリン酸を含んでよい。正活物質は、式LiOを有してよく、ここでMは、Ni、Mn、V、およびCoからなる群より選択されて、Nは、Mとは異なるヘテロ原子種、例えば、Ni、Mn、V、Co、またはPである。Nは、省略されてよい。正活物質は、例えばフルオロリン酸として、フッ素化されてもよい。
【0157】
一実施態様では、本発明の電池の正極活物質は、LiCoO、FeS、LiCoPO、LiFePO、LiFeS、LiFeSiO、LiMn、LiMnPO、LiNiPO、LiV、LiV13、LiVOPO、LiVOPOF、Li(PO、MnO、MoS、S、TiS、TiS、V、V13、LiNi0.5Mn1.5、およびLiMnNiCoAIOからなる群より選択される。
【0158】
別の実施態様では、本発明の電池の正極活物質は、高電圧の正極活物質である。さらなる実施態様では、高電圧の正極活物質は、LiCoPO、LiNi0.5Mn1.5、LiMnPO、LiMn、LiCoO、LiNi1/3Mn1/3Co1/3、LiFePO、LiNiPO、LiNiPOF、LiCoPOF、LiMnPOF、LiCoSiO、LiMnSiO、FeF、LiMn0.8Fe0.1Ni0.1PO、Li1-xVOPO、および、LiFePOFからなる群より選択される。
【0159】
別の実施態様では、正極は、化学式:
Li1-(d+t+q+r)(XO
を有する正極活物質を含み、
ここで:
Mは、Fe、Mn、Co、Ti、Niまたはそれらの混合物からなる群より選択される金属のカチオンであり;
Dは、Mg2+、Ni2+、Co2+、Zn2+、Cu2+、およびTi2+からなる群より選択される+2酸化状態を有する金属であり;
Tは、Al3+、Ti3+、Cr3+、Fe3+、Mn3+、Ga3+、Zn3+、およびV3+からなる群より選択される+3酸化状態を有する金属であり;
Qは、Ti4+;Ge4+;Sn4+、およびV4+からなる群より選択される+4酸化状態を有する金属であり;
Rは、V5+;Nb5+、およびTa5+からなる群より選択される+5酸化状態を有する金属であり;
Xは、Si、S、P、Vまたはそれらの混合物を含み;
0≦x≦1であり;および
0≦d、t、q、r≦1であり、ここでd、t、q、およびrの少なくとも1つは0でない。
【0160】
別の実施態様では、正極活物質は、LiFePO、LiMnPO、LiCoPO、LiNiPO、混合遷移金属化合物、例えば、Li1-2xFe1-xTiPOまたはLiFe1-xMnPO(0<x<1)から選択される正しく並べられたかんらん石電極化合物、または、一般式LiMPOおよび正しく並べられたかんらん石構造を有する他の化合物を含む。
【0161】
一般に、「等電荷置換(isocharge substitution)」は、所定の結晶学的部位上の1つの元素の、同様の電荷を有する元素との置換を指す。例えば、Mg2は、Fe2+と同様の等電荷であると考えられ、V5+は、P5+と同様の等電荷である。同様に、PO 3-四面体は、VO 3-四面体と置換され得る。「異原子価置換」は、所定の結晶学的部位上の1つの元素の、異なる原子価または電荷の元素との置換を指す。異原子価置換の一例は、Fe2+部位に対するCr3+またはTi4+である。別の例は、Fe2+部位に対するLiである。これらの正極活物質は、一般に、鉄またはマンガン誘導体に基づくかんらん石構造を有し、その一般式は:
【0162】
Lix+y1-(y+d+t+q+r)[PO1-(p+s+v)[SO[SiO[VO
であり、
ここで
Mは、Fe2+またはMn2+またはそれらの混合物であってよく;
Dは、+2酸化状態の金属、好ましくはMg2+、Ni2+、Co2+、Zn2+、Cu2+、またはTi2+であってよく;
Tは、+3酸化状態の金属、好ましくはAl3+、Ti3+、Cr3+、Fe3+、Mn3+、Ga3+、Zn3+、またはV3+であってよく;
Qは、+4酸化状態の金属、好ましくはTi4+、Ge4+、Sn4+、またはV4+であってよく;
Rは、+5酸化状態の金属、好ましくはV5+、Nb5+、またはTa5+であってよい;
【0163】
このさらなる実施態様では、M、D、T、QおよびRは、八面体部位に存在する。さらなる係数は以下のとおりに定義され得る:xは、電極材料の作動中のインターカレーション度を表わし;yは、最初のFe2+部位上のリチウムイオンの分率を表わし;dは、最初のFe2+部位上の二価イオン(Dと示される)の分率を表わし;tは、最初のFe2+部位上の三価イオン(Tと示される)の分率を表わし;qは、最初のFe2+部位上の四価イオン(Qと示される)の分率を表わし;rは、最初のFe2+部位上の五価イオン(Rと示される)の分率を表わし;pは、最初のp5+部位上の六価硫黄(別個のSO 2-四面体として)の分率を表わし;sは、最初のP5+部位上の四価ケイ素(別個のSiO 2-四面体として)の分率を表わし;vは、最初のP5+部位上の五価バナジウムイオンの分率を表わす。
【0164】
部位の占有および電気的中性に関する状態は、以下を含意する:
0≦x≦1;
y+d+t+q+r≦1;
P+s+v<1;および
3+s-p=x-y+t+2q+3r
【0165】
x、y、d、t、q、r、p、s、およびvは、0(ぜろ)~1(いち)であってよく、y、d、t、q、r、p、s、またはvの少なくとも1つは0ではない。好ましい実施態様では、y、d、t、q、r、およびvは、0(ぜろ)および0.2({分数(2/10)})の間で変化してよく、rおよびsは、0(ぜろ)および0.5(1/2)の間で変化してよい。一部の実施態様では、電極は、リチウムインターカレーション電極である。本明細書において用いられる用語「インターカレーション」は、層状構造を有する化合物中への分子またはイオンの可逆的な包含または挿入を指す。したがって、リチウムインターカレーション電極は、リチウムイオンが層状構造、例えばグラファイト中に可逆的に包含または挿入され得る電極であってよい。
【0166】
本発明の電池は、記載されたLix+y1-(y+d+t+q+r)[PO1-(p+s+v)[SO[SiO[VO材料を含む、正極において迅速な拡散カイネティクスを有するインターカレーション材料を含んでよい。語句「迅速な拡散カイネティクス」は、当該分野において、作動温度で容量の80%を超える利用率で、材料のグラムあたり少なくとも10mAの特定の電流を維持することが可能な材料を指すことが一般に理解される。好ましくは、迅速な拡散カイネティクスを有するインターカレーション材料は、層状二カルコゲン化物、バナジウム酸化物VO(2.1≦x≦2.5)であってよく、または、NASICON関連材料、例えば、LiFe(POまたはLi3-xFe2-xTi(POであってよく、ここで、xは、Ti4+によるFe3+の置換度を表わす。
【0167】
本明細書に記載の正極活物質は、8.5ボルトから1ボルトに放電された場合に、室温で10回目の放電サイクルでC/3の放電率で少なくとも約50mAh/gの特定の放電容量を有し得る。
【0168】
集電体
集電体(電子コレクタ)は、金属、伝導性重合体、または他の伝導性材料を含む伝導性部材であってよい。本発明の電池に関する集電体は、Cu、Pt、Au、Al、Ni、Fe、Ti、Mo、ステンレススチールのような金属、または他の金属または合金を含んでよい。電子コレクタは、腐食を減少させるためのさらなる層、例えば、タングステン(W)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、炭化チタン(TiC)、炭化タンタル(TaC)、酸化チタン(例えば、TiOまたはTi)、リン化銅(Cu)、リン化ニッケル(Ni)、リン化鉄(FeP)などを含むさらなる層を有してよく、または、そのような材料の粒子を含んでよい。
【0169】
電気化学的安定性
より高い容量を提供するため、および/または、より大きなパワー出力を提供するために、高電圧で電池を作動することが望ましくあり得る。本明細書に記載の改善されたホウケイ酸リチウムガラス電解質によって、高電圧電池の特性は、著しく改善され得る。例えば、電池は、より長いサイクルの寿命を有し得る。
【0170】
高電圧作動のために、電解質の別の重要な態様は、還元および酸化安定性である。改善された還元および酸化安定性は、対応する電池のサイクリング性能を改善する。本明細書に記載のホウケイ酸リチウムガラス電解質は、電池の作動電圧で最終的に反応(還元または酸化)しない。ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、例えば、リチウムまたは元素状炭素負極活物質に対して、高電圧で作動する能力を有する。本明細書に記載の改善された電解質は、4.45Vよりも上の高電荷電圧での作動におけるリチウムイオン電池のサイクリング性能を改善するのに効果的であり得る。
【0171】
したがって、別の実施態様では、本発明は、高電圧での作動が可能なホウケイ酸リチウムガラス電解質を含む電池に関する。さらなる実施態様では、高電圧電池は、4.45Vまで、少なくとも5V、少なくとも5.5V、少なくとも6V、少なくとも7V、少なくとも8V、少なくとも9V、または少なくとも10Vの作動が可能なホウケイ酸リチウムガラス電解質を含む。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、25℃で1.0×10-6S/cmよりも大きなイオン伝導性を有する。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、リチウムに対して安定である。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、0.05~15ミクロンの厚さ、0.3~4ミクロンの厚さ、または、2~4ミクロンの厚さである。さらなる実施態様では、電池は、リチウムアノードを備え、または、リチウムフリーの電池である。
【0172】
高いイオンおよび低い電子伝導性
別の実施態様では、本発明は、高いイオン伝導性および低い電子伝導性を有するホウケイ酸リチウムガラス電解質を含む電池を提供する。一実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質は、1.0×10-6S/cmよりも大きなイオン伝導性および8.6×10-14S/cm未満の電子伝導性を有する。さらなる実施態様では、電池は、1.0×10-6S/cmよりも大きなイオン伝導性および8.6×10-14S/cm未満の電子伝導性を有し、4.45Vまで、少なくとも5V、少なくとも5.5V、少なくとも6V、少なくとも7V、少なくとも8V、少なくとも9V、または少なくとも10Vの作動が可能である。さらなる実施態様では、電池は、1.0×10-6S/cmよりも大きなイオン伝導性および8.6×10-14S/cm未満の電子伝導性を有し、4.45Vまでの作動が可能であり、リチウムアノードを備え、または、リチウムフリーの電池である。さらなる実施態様では、電池は、全固体、薄膜、リチウムイオン電池である。
【0173】
別の実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラス電解質を含む電池は、1.0×10-6S/cmよりも大きなイオン伝導性および8.6×10-14S/cm未満の電子伝導性を有し、0.04~5μAhの満充電容量を有する。さらなる実施態様では、電池は、0.5μAh未満の満充電容量を有する。さらなる実施態様では、電池は、0.1μAh未満の満充電容量を有する。
【0174】
ホウケイ酸リチウムによって表面が改変された電極を備える電池
本発明の一態様は、正極、負極、および、前記正極と前記負極との間の電解質を含む電池に関し、ここで正極および/または負極の表面は、本明細書に記載のLiBSiO組成物によって改変されている。LiBSiO組成物は、酸化ケイ素および/または酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になってよく、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含み、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである。好ましくは、ホウケイ酸リチウム組成物は、酸化ケイ素および酸化ホウ素と組み合わせて酸化リチウムの系から本質的になり、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、リチウム、ホウ素およびケイ素の組み合わせた原子パーセンテージに基づいて70~83原子%のリチウムを含み、ここで前記ホウケイ酸リチウムは、ガラスである。一実施態様では、電池は、LiBSiOによって表面が改変された負極を備える。別の実施態様では、電池は、LiBSiOによって表面が改変された正極を備える。
【0175】
一実施態様では、電池は、正極、負極、および、前記正極と前記負極との間の電解質を備え、ここで正極および/または負極は、本発明のLiBSiO組成物の層でコーティングされている。
【0176】
一実施態様では、本発明は、正集電体、正極活物質を含む正極、電解質、負極活物質を含む負極、および、負集電体を備える電池を提供し、正極および/または負極の表面は、本明細書に記載のLiBSiO材料によって改変されている。一実施態様では、電池は、LiBSiOによって表面が改変された負極を備える。別の実施態様では、電池は、LiBSiOによって表面が改変された正極を備える。別の実施態様では、電池は、LiBSiOによって表面が改変された負極およびLiBSiOによって表面が改変された正極を備える。さらなる実施態様では、電池は、リチウムイオン二次電池である。別の実施態様では、リチウムイオン二次電池は、薄膜電池である。
【0177】
一実施態様では、本発明は、正集電体、正極活物質を含む正極、電解質、負極活物質を含む負極、および、負集電体を備える電池を提供し、正極および/または負極は、本発明の、例えば第1の態様に係るLiBSiO材料によってコーティングされている。一実施態様では、電池は、LiBSiOによってコーティングされた負極を備える。別の実施態様では、電池は、LiBSiOによってコーティングされた正極を備える。別の実施態様では、電池は、LiBSiOによってコーティングされた負極およびLiBSiOによってコーティングされた正極を備える。さらなる実施態様では、電池は、リチウムイオン二次電池である。別の実施態様では、リチウムイオン二次電池は、薄膜電池である。
【0178】
電解質は、有機電解質、液体電解質、イオン液体、ゲル電解質、室温溶融塩、または、固体電解質を含んでよい。電解質が液体またはゲルである場合は、好ましくは、非水性電解質である。一実施態様では、電解質は、有機電解質である。別の実施態様では、電解質は、液体電解質である。さらなる実施態様では、液体電解質は、非水性電解質である。別の実施態様では、電解質は、ゲル電解質である。別の実施態様では、電解質は、溶融塩電解質である。別の実施態様では、電解質は、固体電解質である。
【0179】
さらなる実施態様では、液体の非水性電解質は、リチウム塩および非水性溶媒を含む。リチウム塩の例は、LiPF、LiBF、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(LiTFSA、LiN(CFSO)、LiCFSO、LiCSO、LiC(CFSO、LiClO、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiBOB)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI)、ビス(フルオロスルホニル)アミドリチウム(LiFSA、LiN(SOF))、およびLiCFCOを含む。非水性溶媒は、リチウム塩を溶解することが可能である。非水性溶媒の例は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ニトロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ビニレンカーボネート、およびγ-ブチロラクトンを含む。
【0180】
一部の実施態様では、電解質は、添加剤を含む。電解質添加剤は、電極と電解質の界面を容易かつ経済的に改変し得る。一部の実施態様では、電解質は、4-(トリフルオロメチル)-1,3-ジオキソラン-2-オン(TFM-EC)、トリス(ヘキサフルオロ-イソ-プロピル)リン酸(HFip)、3-ヘキシルチオフェン、LiDFOB、トリス(トリメチルシリル)リン酸(TMSP)、トリス(トリメチルシリル)ホウ酸(TMSB)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される添加剤を含む。
【0181】
ホウケイ酸リチウムを作製する方法
第9の態様は、本明細書に記載のホウケイ酸リチウムガラスを作製する方法を提供する。一実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラスは、真空蒸着処理によって形成される。さらなる実施態様では、ホウケイ酸リチウムガラスは、物理的気相蒸着処理によって形成される。
【0182】
物理的な気相蒸着処理は、一般に、当業者に公知である。本発明では、その処理は、典型的に、成分元素Li、B、SiおよびOを含む蒸気を産生するための物理的処理(加熱など)の使用を含み、それから、基板上に蒸着される。一実施態様では、物理的気相蒸着処理は、100~400℃、好ましくは150~300℃、より好ましくは200~250℃の温度で行なわれる。
【0183】
一実施態様では、物理的気相蒸着処理は、4.0×10-4および6.7×10-3Pa(3×10-6および5×10-5Torr)、好ましくは2.7×10-3および4.7×10-3Pa(2×10-5および3.5×10-5Torr)の間の圧力で行なわれる。
【0184】
一実施態様では、酸素源は、酸素のオゾン源、酸素の原子源または酸素の分子源であってよい。
【0185】
一実施態様では、本発明は、リチウムに対して電気化学的に安定であるホウケイ酸リチウム電解質を作製する方法に関する。さらなる実施態様では、電池は、リチウムアノードを備える。
【0186】
別の実施態様では、本発明は、高電圧での作動が可能なホウケイ酸リチウム電解質を作製する方法に関する。さらなる態様では、電池は、より長期のサイクリングに適切である。
【0187】
別の実施態様では、本発明は、低い電子伝導性を有するホウケイ酸リチウム電解質を作製する方法に関する。さらなる実施態様では、電池は、低容量である。
【0188】
ホウケイ酸リチウムによってコーティングされた電極を作製する方法
さらなる態様は、LiBSiOによって表面が改変された電極を作製する方法を提供する。本発明のLiBSiOによって表面が改変された電極を作製する方法は、その方法が、安定性を改善または電極のサイクリングを改善する所望のLiBSiOによって表面が改変された電極を提供することが可能である限り、特に制限されない。その方法の例は、本明細書に記載のPVDを含む。一実施態様では、その方法は、LiBSiOによって表面が改変された負極を作製する方法である。別の実施態様では、その方法は、LiBSiOによって表面が改変された正極を作製する方法である。一実施態様では、LiBSiOコーティングは、物理的気相蒸着(PVD)によって生産される。
【0189】
ホウケイ酸リチウムガラス電解質を含む電池を作製する方法
本発明のさらなる態様は、ホウケイ酸リチウムガラス電解質を含む電池を作製する方法に関する。
【0190】
別の実施態様では、薄膜電池は、全固体で成分の膜を連続して形成することによって生産される。
【0191】
ホウケイ酸リチウムによってコーティングされた電極を備える電池を作製する方法
さらなる態様は、電極を備える電池を作製する方法を提供し、その表面は、本明細書に記載のLiBSiO材料によって改変されている。一実施態様では、その方法は、LiBSiOによって表面が改変された負極を含む電池を作製する方法である。別の実施態様では、その方法は、LiBSiOによって表面が改変された正極を含む電池を作製する方法である。さらなる実施態様では、電池は、リチウムイオン二次電池である。別の実施態様では、リチウムイオン二次電池は、薄膜電池である。
【実施例
【0192】
実施例1-LiBSiO電解質の調製
本発明の実施態様に従って、ホウケイ酸リチウム材料を、「Vapour Deposition Method for Preparing Amorphous Lithium-Containing Compounds」と題されたWO2015/104540(その全体で参照により本明細書中に援用される)に開示される方法を用いて、成分元素リチウム、酸素および、2つのガラス形成元素、ホウ素およびケイ素から形成した。ホウケイ酸リチウムは、化合物のそれぞれの成分元素の蒸発源を与えて、2.7×10-3~4.3×10-3Pa(2×10-5~3.2×10-5Torr)の圧力で225℃に加熱された基板上に、蒸発源由来の成分元素を共蒸着することによって製造した。成分元素は、基板上で反応して非晶質ホウケイ酸リチウム化合物を形成した。生産された化合物は、以下の実施例5に記載の組成を有した。
【0193】
蒸着を、文献(Guerin,S.and Hayden,B.E.,Journal of Combinatorial Chemistry 8(2006)66-73)に以前に記載された物理的気相蒸着(PVD)システムにおいて行なった。全てのサンプルを、原子酸素源として酸素プラズマ源を用いて蒸着した。酸化物材料、ケイ酸リチウムおよびホウ酸リチウムは、ケイ素およびホウ素の両方の最も高い酸化状態(4+および3+それぞれ)を必要として、分子酸素よりむしろ原子酸素の使用は、したがって、Oを2Oに切断するために必要な解離ステップを除去して、非常に反応性の種を提供して、ケイ素およびホウ素を、材料LiSiOおよびLiBOにおいて必要とされるそれらの最も高い酸化状態に酸化する。リチウムは、クヌーセンセル源から蒸着した。ケイ素およびホウ素は、両方とも、電子銃(E-Gun)源から蒸着した。
【0194】
他の真空蒸着方法の使用は、カソード、アノード、集電体および第一のバリア層材料の製造に用いられ得る。これは、制限されないが、物理的気相蒸着、化学的気相蒸着(CVD)、RFスパッタリング、分子ビームエピタキシー固体反応、パルスレーザー蒸着(PLD)、ゾル-ゲル、および原子層蒸着(ALD)を含んでよい。
【0195】
本発明の場合では、電池は、適切な伝導性基板上への適切な化学物質の連続的な蒸着によって構成され得る。例えば、アノード層(例えば、Li蒸発源由来のLi金属)、電解質層(例えば、本明細書において開示される方法を用いて調製されるホウケイ酸リチウム)、カソード層(例えば、成分蒸発源由来のLMO)、および、伝導性の上部層の連続的な蒸着が行なわれ得て、薄膜電池の層状構造を提供する。
【0196】
実施例2-LiBSiO電解質の電気化学的安定性
プラチナカソード集電体、LiMnカソード、ホウケイ酸リチウムガラス電解質、および、Liアノードを備える薄膜電池を作製した。ホウケイ酸リチウムガラス電解質の安定性は、3つの方法で例証された。
【0197】
実施例3-リチウムアノードに対する安定性
第一に、0.5~0.25mV/sの速度で直線掃引ボルタンメトリーを用いて電池を3.6~4.25Vでサイクルして、それから、電解質とアノード材料との間の有害反応について観察した。100サイクル後、電解質とアノード材料との間の有害反応の存在を示唆する電位の関数としての電流のプロファイルに証拠はなかった。
【0198】
実施例4-安定したOCV
第二に、同一の薄膜電池システムの安定した開路電圧(OCV)を、前記電池のサイクリングの前と後の両方で観察した。LiBSiO固体電解質上のアノードの蒸着後40日に測定された寿命の初期の開路電圧は、Li/Liに対して2.36~2.92Vの範囲であると判定された。リチウムが固体電解質と持続的な様式で反応したならば、最終的には、アノードとカソードとの間の連続的なパスウェイの形成においてLiBSiOを消費して、0Vの測定OCVをもたらす。
【0199】
Li/Liに対して4.15Vの安定した寿命末期(EOL)OCVは、0.1μAの電流で3.8~4.25電圧の10回の定電流サイクル、サイクリックボルタンメトリーの12サイクル、および、0.2μAの電流で3.8~4.25Vの23回の定電流サイクルに供された後に観察された。
【0200】
LMO/LiBSiO/Liセルの開路電圧を、サイクリングの完了後に、35分間、5秒ごとに測定して(図1)、その最終段階は、15分間の最高充電(top of charge)におけるOCVのモニタリングであった(図2)。図の右のデータに見られる散乱は、外部摂動による測定の破壊に起因した。
【0201】
図3に示されるように、サイクリックボルタンメトリーは、AlOPt(サファイア、チタンまたはチタニア(20nm)、プラチナ(100nm))基板、LMOカソード、LiBSiO電解質、および、Li金属アノードからなる固体セル上で行なわれた。セルは、3.6~4.25Vで100回サイクルされた。最初の3サイクルは0.25mV/sであり、一方で、残りの97サイクルは0.5mV/sのスキャンレートで行なわれた。電位依存性の電流の特徴プロファイルは、サイクリングの始めから終わりまでの挙動を反映するデータのセット内において変化しない(does not change as within the set of data reflecting the behavior from beginning to the end of cycling)ことが見られ得る。電流の大きさの減少と関連する容量の低減は、電解質と電極との間の不一致に関連する不安定性または分解を暗示しないがサイクリングに関連する、老化効果の前兆となるが、適用されたサイクリング状態に供された場合、カソード材料の内因性の安定性に関連し得る。
【0202】
実施例5-インピーダンス
安定性の尺度としてのインピーダンスの適用は、Bates et al.,Journal of the Electrochemical Society,144[2](1997)524-533によって用いられて、ここで、プラチナ電極間または1つのリチウムおよび1つのプラチナ電極間に挟まれたLiPONのインピーダンス間の比較がなされた。
【0203】
Bates et al.に説明されるものと同様の方法で、3.8~4.25Vで、0.1μAでの10回の定電流サイクルの前後に、Li/Liに対して3.8Vの電位で、LiBSiO電解質 72.6mol%LiO-6.8mol%B-20.6mol%SiOサンプルに関してインピーダンスを測定した。ここで、10年あたり7つのデータポイントで261.0156kHz~0.1Hzの周波数範囲、および、10mVのAC振幅を用いた。図4AおよびBに示されるように、プロットの縦軸および横軸上の40kΩよりも下のデータポイント(図4B)によって与えられるデータセットの高周波数レジーム(図4A)におけるサイクリングの前後に集められたインピーダンススペクトル間には、ほとんど違いがない。データが、電解質および電解質と電極との間の界面による寄与を反映するのは、この周波数範囲である。したがって、サイクリング前後のデータの再現性は、LiBSiO固体電解質と隣接リチウムアノードとの間の界面の安定性を示す。
【0204】
第三に、インピーダンスは、サイクリングの前後に比較されて、電解質および電解質と隣接電極との間の界面による寄与を反映する周波数範囲は、大きく変化されないことが示された。
【0205】
この知見の技術的効果は、蒸着されたリチウムアノードとして一緒に構成された固体電池での、リチウムフリーのセル内での、本明細書に記載のホウケイ酸リチウムガラス組成物の使用を促進することであり、それにより、リチウムアノードは、固体ホウケイ酸リチウム電解質とアノード集電体との間の界面において本来の場所で形成される。
【0206】
実施例6-高電圧での電気化学的安定性
多くのホウケイ酸リチウム組成物を以下に示されるように作製した(Li、BおよびSiの値は、Li:B:Siに関する原子パーセントである)。
1.Li=80.9、B=7.56、Si=11.5
2.Li=79.6、B=13.7、Si=6.7
3.Li=78.5、B=9.6、Si=11.87
4.Li=77.73、B=10.07、Si=12.19
5.Li=76.89、B=10.55、Si=12.56
6.Li=76.14、B=10.98、Si=12.88
7.Li=75.30、B=11.46、Si=13.24
8.Li=74.54、B=11.89、Si=13.58
9.Li=73.16、B=12.62、Si=14.22
10.Li=71.86、B=13.31、Si=14.83
11.Li=70.41、B=14.07、Si=15.51
12.Li=69.12、B=14.76、Si=16.12;
酸素パーセントは、酸化物を形成して、電荷的中性を維持する量である。
【0207】
LiBSiO組成物は、プラチナによってコーティングされた基板の上部に蒸着された場合、0~5Vの範囲の電位にわたって電気化学的安定性を示し、底部電極として作用して、上部電極は、ホウケイ酸リチウム電解質の上部に蒸着されて、ニッケルまたはプラチナのいずれかで構成される。1つの代表的なサンプルが選択および試験されて、0~10Vの範囲の電位にわたって電気化学的安定性を示すことが見いだされた。
【0208】
この知見の技術的効果は、本明細書に記載のホウケイ酸リチウム組成物に関して、非常に高い電圧で作動して高出力密度を伝達する固体電池組成物において、材料を用いることが可能であり得ることである。
【0209】
実施例7-電子およびイオン伝導性
LiBSiO系における様々な組成物に関する電子およびイオン伝導性を、リチウム含有量の関数として測定した(成分Li、BおよびSiに基づいて約69~79%リチウム)。イオン伝導性の値は、1MHz~1Hzで、100mV ac電位、周波数あたり1秒インテグレーションを用いて、Solartron 1260周波数応答分析器を用いて行なわれたインピーダンス測定から決定して、10年あたり7つの周波数ポイントを測定した。伝導性の値は、ZViewソフトウェアプログラムにおいて構築された同等の回路モデルを用いて実験的データのフィッティングによって計算して、薄膜電解質と関連する耐性の実数部を決定して、それからそれを幾何学的因子と組み合わせて用いて、イオン伝導性を決定した。電子伝導性の値は、Keithley Series 2636 sourcemeterを用いて決定した。1VのDC電位を、定常電流、適用された電圧、および、電子伝導性の値を計算するために用いられた幾何学的因子とともに、65時間、サンプルの電極にわたって適用した。電子伝導性の値の測定は、ファラデーケージのエンクロージャにおいて行なった。電子伝導性は、1.84×10-14~4.40×10-14S/cmであり、イオン伝導性は、8.74×10-7~5.72×10-6S/cmであった。
【0210】
この知見の技術的効果は、電子伝導性が十分に低いので、LiBSiOガラス電解質が、非常に低い理論容量(<0.5μAh)を有する固体電池において用いられ得て、それらの能力に基づいて、非常に低い電子伝導性の特性(<7×10-14S/cm)に起因して充電状態を維持することである。
【0211】
実施例8-LiBSiOによってコーティングされたカソード材料の利用
図6は、LMOにおける原子パーセントLi(X軸)の関数としての、非コーティング(塗りつぶされた丸)LMOカソードサンプルに対するLiBSiOコーティング(塗りつぶされていない丸)の1回目の放電の利用回数(Y軸)を示す。それによるデータから、Pt電極の10×10アレイからプロットが生成されて、その上に、LMOフィルムのLiおよびMn成分から決定される18.38~48.43原子%リチウムのリチウム含有量を有するLMOの別個のフィールドを蒸着した。下にあるPt集電体上に蒸着されたLMO活性のカソード材料は、クヌーセンセル源から生じるリチウムおよびマンガンの流動、および、3.5sccmのO流速および500Wのパワーでのプラズマ源によって供給される酸素によって、450℃に維持された基板上に成分から蒸着された。個々のLMOサンプルフィールドのアレイを備える基板は、試験サンプル上のLiBSiOコーティングの蒸着の前に2時間、O下で550°Cまで処理された。LiBSiOフィルムは、10列のうち7つに蒸着されて、一方で、残りの3列のフィールドは、コーティングされないままであった。電極のアレイは、インハウスのポテンシオスタットを用いたサイクリックボルタンメトリーによる電気化学的試験に供された。電圧範囲は、0.104mV/secのスキャンレートで3.25V~4.75Vであった。反対の照合電極は、0.5mmの厚さのリチウムホイルのピースであり、電解質は、EC:DMC(1:1)中の1M LiPFで構成された。グラフを作成するために用いたデータは、サンプル上の全ての組成上同等の部位を最初に平均して(電極故障のせいで空値が存在しない限り、LiBSiOを含むものについて組成物あたり7つ、および、LiBSiOを含まない組成物あたり3つ)、それから、その平均の1つの標準偏差内に入る全ての値の平均をとることによって処理された。
【0212】
上記の明細書に述べられる全ての刊行物は、参照により本明細書中に援用される。本発明の記載される方法およびシステムの様々な改変および変動は、本発明の範囲および主旨を逸脱せずに当業者に明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施態様との関連で説明されているが、特許請求の範囲に記載される本発明は、そのような特定の実施態様に過度に制限されるべきでないことが理解されるべきである。実際に、化学および材料科学または関連する分野における当業者に明らかな、本発明を行なうための記載されるモードの様々な改変は、以下の特許請求の範囲内であることが意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6