(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】窒化アルミニウムセラミック基板の表面改質方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/06 20060101AFI20220512BHJP
C23C 14/14 20060101ALI20220512BHJP
C23C 16/34 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
C23C14/06 N
C23C14/14 D
C23C14/06 A
C23C16/34
(21)【出願番号】P 2019201155
(22)【出願日】2019-11-06
【審査請求日】2019-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】514173696
【氏名又は名称】國家中山科學研究院
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 俊▲徳▼
(72)【発明者】
【氏名】郭 養國
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 宏庭
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104593861(CN,A)
【文献】特開2008-133180(JP,A)
【文献】特開2008-303136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/06
C23C 14/14
C23C 16/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化アルミニウムセラミック基板の表面改質方法であって、
(A)窒化アルミニウム多結晶基板を提供し、前記基板上でスパッタリング法によりチタン金属層を接着層として形成し;
(B)前記チタン金属層上でスパッタリング法により窒化アルミニウム緩衝層を形成し;
(C)前記窒化アルミニウム緩衝層上で有機金属気相成長法(MOCVD)により厚さが1μmよりも小さい窒化アルミニウム薄膜エピタキシャル層を形成し;及び
(D)プロセス温度を上げ、有機金属気相成長法(MOCVD)により前記窒化アルミニウム薄膜エピタキシャル層上で厚さが1μmよりも大きい窒化アルミニウム厚膜エピタキシャル層を形成するステップを含
み、
前記窒化アルミニウム薄膜エピタキシャル層及び前記窒化アルミニウム厚膜エピタキシャル層は、単結晶層である、表面改質方法。
【請求項2】
請求項1に記載の窒化アルミニウムセラミック基板の表面改質方法であって、
ステップ(A)では、チタン金属層の厚さが100nm~500nmである、表面改質方法。
【請求項3】
請求項1に記載の窒化アルミニウムセラミック基板の表面改質方法であって、
ステップ(A)では、チタンターゲットを用いてスパッタリングを行い、スパッタリングのガスがアルゴンである、表面改質方法。
【請求項4】
請求項1に記載の窒化アルミニウムセラミック基板の表面改質方法であって、
ステップ(B)では、窒化アルミニウム緩衝層の厚さが100nm~500nmである、表面改質方法。
【請求項5】
請求項1に記載の窒化アルミニウムセラミック基板の表面改質方法であって、
ステップ(B)では、アルミニウムターゲットを用いてスパッタリングを行い、スパッタリングのガスがアルゴン及び窒素ガスである、表面改質方法。
【請求項6】
請求項1に記載の窒化アルミニウムセラミック基板の表面改質方法であって、
ステップ(C)では、反応物がAl
2(CH
3)
6及びNH
3であり、エピタキシャル成長温度が950℃~1030℃の間にある、表面改質方法。
【請求項7】
請求項1に記載の窒化アルミニウムセラミック基板の表面改質方法であって、
ステップ(D)では、反応物がAl
2(CH
3)
6及びNH
3であり、エピタキシャル成長温度が1030℃~1160℃の間にある、表面改質方法。
【請求項8】
請求項1に記載の窒化アルミニウムセラミック基板の表面改質方法であって、
前記窒化アルミニウム薄膜エピタキシャル層の厚さが100nm~500nmである、表面改質方法。
【請求項9】
請求項1に記載の窒化アルミニウムセラミック基板の表面改質方法であって、
前記窒化アルミニウム厚膜エピタキシャル層の厚さが1μm~5μmである、表面改質方法。
【請求項10】
請求項1に記載の窒化アルミニウムセラミック基板の表面改質方法であって、
前記窒化アルミニウム薄膜エピタキシャル層及び前記窒化アルミニウム厚膜エピタキシャル層は、(101)の窒化アルミニウム単結晶の結晶面を有する、表面改質方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化アルミニウムセラミック基板の表面改質方法に関し、特に、窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面改質方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子素子の体積の縮小、パフォーマンスの向上、及び環境の保護と省エネのニーズに応じて、高密度、高パワー及び高周波数又は高耐熱性の高エネルギー電子素子の放熱流束が既に100W/cm2以上に達しており、例えば、LED街灯、MOSFET、IGBT、レーザーなどの素子は、関連分野において主な開発対象となっている。しかし、密集配列及び長時間作動による熱エネルギーが有限な放熱空間内に閉じ込まれるため、タイムリーに放熱しなければ、接面温度の上昇が原因で、素子のパフォーマンス及び使用寿命の低下、且つ材料間の高温熱応力の累積を来し、素子の信頼性の問題が生じ得るので、優れた放熱設計及び高熱伝導材料によりこのような問題を解消する必要がある。
【0003】
従来技術における発光ダイオード、堆積型メモリ、堆積型集積回路などに用いるセラミック基板について言えば、多くの場合、シリコン(Si)材料及び酸化アルミニウム(Al2O3)セラミック材料を放熱基板とする。窒化アルミニウムが近年、電子応用材料として注目されるようになり、何故なら、それが、熱伝導率が高く(170~230W/mKであり、炭化シリコン及び酸化ベリリウムに近く、酸化アルミニウムの5~7倍である)、誘電率及び誘電損失が低く、電気絶縁性が良く、熱膨張係数がシリコン(4.2×10-6/℃)及びヒ化ガリウム(5.7×10-6/℃)に近く、酸化ベリリウムの毒性が無く、生産コストが比較的低いなどの利点を有するからである。よって、窒化アルミニウムは、応用範囲がかなり広く、例えば、半導体とマイクロ電子回路のパッケージ基板、高輝度LEDウエハーの載置基板、車載電子及び照明素子、高パワー電子素子の放熱材料などに適用することができ、これからは、他のセラミック基板材料の代わりになる可能性が高い。
【0004】
既知の市販窒化アルミニウム単結晶セラミック基板の熱伝導係数が約200~240W/mkであり、窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の熱伝導係数が約170~180W/mkである。今のところ、市販の窒化アルミニウム多結晶セラミック基板が主とされ、その価格が窒化アルミニウム単結晶セラミック基板よりも遥かに低い。しかし、窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の結晶相の種類が窒化アルミニウム単結晶セラミック基板よりも多いので、このような窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面は、発光ダイオード、堆積型メモリ、堆積型集積回路などの素子の後続のプロセス技術の応用に不利である。
【0005】
また、窒化アルミニウム多結晶セラミック基板は、一般的に、次のように形成され、即ち、先ず、窒化アルミニウム粉体に対して金型油圧成形、CIP緻密化、接着剤除去、高温焼結などのプロセスを行い、その後、精密切断及び研磨ポリッシングを行うことで、表面が平坦な窒化アルミニウム多結晶セラミック基板を取得する。しかし、研磨ポリッシングを行うときに、多結晶窒化アルミニウム粉体の剥離が生じやすいため、窒化アルミニウム多結晶セラミック基板に孔が現れ、窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面粗さが大きくなる恐れがある。
【0006】
さらに、窒化アルミニウム基板の最も魅力的な応用は、紫外線(UV)LEDの開発への応用であり、UV LEDは、生物医療分野で大きな商業的価値を有する。今のところ、UV LEDに最も一般的に使用される基板が依然としてサファイアである。しかし、サファイアと窒化アルミニウムとの間に13%の格子差があるので、サファイア基板上で単結晶窒化アルミニウム又は高アルミニウム含量の窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を成長させることが困難である。これも、UV LEDの波長が300nmよりも低くなると、発光効率が急激に低下する原因の1つである。今まで、サファイア基板の代わりに窒化アルミニウム単結晶基板を用いてこのような問題を解決する方法が提案されているが、窒化アルミニウム単結晶基板の価格がかなり高いので、サファイア基板を取り換えることが難しい。そこで、窒化アルミニウム多結晶基板上で、MOCVDにより、品質が許容できるモノライク結晶の窒化アルミニウム薄膜を成長させることができれば、UV LEDの開発にとって有利である。
【0007】
よって、上述のような問題を解決するために、今のところ、コストが低く且つ表面粗さが小さい窒化アルミニウム単結晶セラミック基板を開発することで、発光ダイオード、堆積型メモリ、堆積型集積回路など素子を、後続のプロセス技術が用いられるように提供し得ることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のような従来技術の欠点に鑑み、本発明は、スパッタリング法及び有機金属気相成長法(MOCVD)を採用して窒化アルミニウムセラミック基板の表面改質を行い、まず、窒化アルミニウム基板上でスパッタリング法によりチタン金属を接着層として形成し、そして、スパッタリング法で窒化アルミニウム薄膜をエピタキシャル層と基板との間の緩衝層として形成し、それから、MOCVD法で温度を2段階に分けて窒化アルミニウム層をエピタキシャル成長させ、このようにして、基板の温度を上げることで結晶核の横方向成長を加速することにより、各自独立した結晶を接続して単一のエピタキシャル層を成すことができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明の一側面によれば、窒化アルミニウムセラミック基板の表面改質方法が提供され、それは、次のようなステップを含み、即ち、(A)窒化アルミニウム多結晶基板を提供し、該基板上でスパッタリング法によりチタン金属層を形成し;(B)該チタン金属層上でスパッタリング法により窒化アルミニウム緩衝層を形成し;(C)該窒化アルミニウム緩衝層上で有機金属気相成長法(MOCVD)により厚さが1μmよりも小さい窒化アルミニウム薄膜エピタキシャル層を形成し;及び、(D)プロセス温度を上げ、持続的に有機金属気相成長法(MOCVD)により該窒化アルミニウム薄膜エピタキシャル層上で厚さが1μmよりも大きい窒化アルミニウム厚膜エピタキシャル層を形成するステップである。
【0010】
上述では、ステップ(A)におけるチタン金属層の厚さが100nm~500nmであっても良い。
【0011】
上述では、ステップ(A)においてチタンターゲットを用いてスパッタリングを行っても良く、スパッタリングのガスがアルゴンである。
【0012】
上述では、ステップ(B)における窒化アルミニウム緩衝層の厚さが100nm~500nmであって良い。
【0013】
上述では、ステップ(B)においてアルミニウムターゲットを用いてスパッタリングを行っても良く、スパッタリングのガスがアルゴン及び窒素ガスである。
【0014】
上述では、ステップ(C)における反応物がAl2(CH3)6及びNH3であっても良く、エピタキシャル成長温度が950℃~1030℃の間にある。
【0015】
上述では、ステップ(D)における反応物がAl2(CH3)6及びNH3であっても良く、エピタキシャル成長温度が1030℃~1160℃の間にある。
【0016】
上述では、前記窒化アルミニウム緩衝層の結晶相が、(002)の結晶相であって、その回折角2θが35.5°~36.5°の間にあるもの;(102)の結晶相であって、その回折角2θが49.5°~50.5°の間にあるもの;及び、(103)の結晶相であって、その回折角2θが65.5°~66.5°の間にあるものを含んでも良い。
【0017】
上述では、前記窒化アルミニウム薄膜エピタキシャル層の厚さが100nm~500nmであっても良く、前記窒化アルミニウム厚膜エピタキシャル層の厚さが1μm~5μmであっても良い。前記窒化アルミニウム薄膜エピタキシャル層及び前記窒化アルミニウム厚膜エピタキシャル層は、さらに、(101)の窒化アルミニウム単結晶の結晶面を有しても良い。
【0018】
本発明は、窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面にモノライク結晶の窒化アルミニウム材料の結晶相を形成することで、窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面粗さを小さくすることができ、また、エピタキシャル面が分布均一で且つピラミッド状の角錐の形状を有し、角錐の側面がc‐plane(即ち、基板表面に平行な面)と62°を成し、(101)の結晶面であり、これは、UV LEDの発光効率の向上に有利であり、光束の素子内での全反射の発生確率を大幅に低減し、LEDの発光効率を有効に向上させることができる。
【0019】
本発明の上述の特徴及びび利点をより明らかにするために、以下、実施例を挙げ、添付した図面を参照することにより、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による窒化アルミニウムセラミック基板の表面改質方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例における窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面改質後の断面の様子を示す図である。
【
図3】本発明の実施例における窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面改質後のX線回折スペクトルである。
【
図4】本発明の実施例における窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面改質後のエピタキシャル層表面及び断面構造のSEM写真を示す図である。
【
図5】本発明の実施例における窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面及び表面改質後の表面のAFM写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
【0022】
図3は、本発明による窒化アルミニウムセラミック基板の表面改質方法フローチャートである。
図3に示すように、本発明による窒化アルミニウムセラミック基板の表面改質方法は、次のようなステップ、即ち、(A)窒化アルミニウム多結晶基板を提供し、該基板上でスパッタリング法によりチタン金属層を形成し(S101);(B)該チタン金属層上でスパッタリング法により窒化アルミニウム緩衝層を形成し(S102);(C)該窒化アルミニウム緩衝層上で有機金属気相成長法(MOCVD)により厚さが1μmよりも小さい窒化アルミニウム薄膜エピタキシャル層を形成し(S103);及び、(D)プロセス温度を上げ、持続的に有機金属気相成長法(MOCVD)により該窒化アルミニウム薄膜エピタキシャル層上で厚さが1μmよりも大きい窒化アルミニウム厚膜エピタキシャル層を形成する(S104)ステップを含む。
【0023】
<実施例>
本実施例では、まず、窒化アルミニウム多結晶基板を提供し、該窒化アルミニウム多結晶基板上でスパッタリング法(Tiターゲットを用い、スパッタリングパラメータ:パワー100W、時間30~150min、アルゴン流速8sccm、圧力5×10
-3torr)によりチタン金属(Ti)を接着層として形成し、次に、スパッタリング法(Alターゲットを用い、スパッタリングパラメータ:パワー100W、時間30~150min、アルゴン/窒素ガス流速8sccm、圧力5×10
-3torr)により窒化アルミニウム薄膜をエピタキシャル層と基板との間の緩衝層
(窒化アルミニウム緩衝層)として形成し、そして、有機金属気相成長法(MOCVD)により、TMAl及びNH
3を原料とし、2段階(第一階段におけるMOCVDパラメータ:温度950~1030℃、時間30min、TMAl流速10sccm/NH
3流速500sccm、圧力200mbar;第二階段におけるMOCVDパラメータ:温度1030~1160℃、時間60min、TMAl流速20sccm/NH
3流速1000sccm、圧力200mbar)に分けて
窒化アルミニウム薄膜エピタキシャル層及び
窒化アルミニウム厚膜エピタキシャル層をエピタキシャル成長させ、これにより、本発明による窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面改質を完成する。
図2は、本発明の実施例における窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面改質後の断面の様子を示す図である。
図2に示すように、その構造は、窒化アルミニウム多結晶セラミック基板、チタン金属薄膜、窒化アルミニウム薄膜及び窒化アルミニウムエピタキシャル層
(窒化アルミニウム薄膜エピタキシャル層及び窒化アルミニウム厚膜エピタキシャル層)を含む。
【0024】
図3は、本発明の実施例における窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面改質後のX線回折スペクトルである。X線回折装置を用いて結晶相の同定を行い、まず、窒化アルミニウム多結晶セラミック基板に対して結晶相の同定を行い、
図3(a)に示すように、窒化アルミニウム多結晶セラミック基板は、2θ=23.4°、25.4°、29.6°、30.7°、33.2°、34.3°、36.0°、37.9°、49.8°、59.4°、66.1°、69.7°、71.5°、72.7°のところで多結晶の窒化アルミニウム材料の回折ピークが現れていることが示されている。次に、スパッタリング法でチタン金属を接着層として窒化アルミニウム多結晶セラミック基板上で生成し、そして、スパッタリング法及び有機金属気相成長法(MOCVD)により窒化アルミニウム緩衝層及び窒化アルミニウムエピタキシャル層をチタン金属薄膜/窒化アルミニウム多結晶セラミック基板上で形成した後に、
図3(b)に示すように、2θ=38.2°のところで金属チタン薄膜の回折ピークが出現しており、最後に、低グレージング角X線回折装置を用いて窒化アルミニウムエピタキシャル層/窒化アルミニウム緩衝層/チタン金属薄膜(接着層)/窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表層に対して結晶相の同定を行い、
図3(c)に示すように、2θ=35.9°のところで窒化アルミニウム薄膜の単一回折ピークが現れており、これは、該窒化アルミニウム多結晶セラミック基板について、このような基板表面改質技術を用いることで、確実に、窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面を多結晶から単結晶に変換し得ることを示している。
【0025】
図4は、本発明の実施例における窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面改質後のエピタキシャル層表面及び断面構造のSEM写真を示す図である。結果によれば、本発明による窒化アルミニウムエピタキシャル層の窒化アルミニウム結晶粒の形状が比較的規則的であり、エピタキシャル面が分布均一でピラミッド状の角錐の形状を有し、角錐の側面がc‐plane(即ち、基板表面に平行な面)と62°を成し、(101)の結晶面であり、また、SEM写真に現れるAlN結晶面の分布がXRDの検出結果と一致している。一般的に言えば、c‐planeに成長の量子井戸が極性(polar)量子井戸に属し、最大の分極(polarization)電場を有し、(101)の結晶面がUV LEDの発光効率の向上に有利であり、そのため、このピラミッド状の表面により、光束の素子内での全反射の発生確率を大幅に低減し、LEDの発光効率を有効に向上させることができる。本発明による表面改質方法により、より大きく且つより均一な窒化アルミニウム基材を安く(低コストで)製造することができ、高品質のGaNエピタキシャル基材としてUV LEDの応用市場を切り開くことができる。
【0026】
図5は、本発明の実施例における窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面及び表面改質後の表面のAFM写真を示す図である。測定により得られた表面粗さが表1に示されている。
図5(a)は、本発明による窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面の様子を示す図でであり、表1に示すように、窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面粗さが25.5nmであり、
図5(b)は、本発明による窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面改質後の表面の様子を示す図であり、表1に示すように、本発明による表面改質後の表面粗さが7.8nmであり、これは、該窒化アルミニウム多結晶セラミック基板について、この表面改質方法を用いることにより、有効に、窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面粗さを25.5nmから7.8nmに下げ得ることを示している。
【0027】
【0028】
本発明による窒化アルミニウムセラミック基板の表面改質方法では、スパッタリング法及びMOCVD法により窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面改質を行い、この方法により、窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面にモノライク結晶の窒化アルミニウム材料の結晶相を形成することができ、窒化アルミニウム多結晶セラミック基板の表面粗さを小さくすることができ、また、エピタキシャル面が分布均一でピラミッド状の角錐の形状を有し、そのため、高品質のGaNエピタキシャル基材としてUV LEDの開発に応用することができ、発光効率の向上に有利であり、光束の素子内での全反射の発生確率を大幅に低減し、LEDの発光効率を有効に向上させることができる。本発明による窒化アルミニウムセラミック基板の表面改質方法により、発光ダイオード、堆積型メモリ、堆積型集積回路などの素子を、後続のプロセス技術が用いられるように提供することができ、そのため、応用領域をより広くすることができる。
【0029】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されず、本発明の趣旨を離脱しない限り、本発明に対するあらゆる変更は本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0030】
S101~S104 ステップ