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▶ エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】スルホニルピリジルTRP阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20220512BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220512BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220512BHJP
   A61P 29/02 20060101ALI20220512BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20220512BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20220512BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20220512BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220512BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20220512BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220512BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20220512BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220512BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20220512BHJP
   C07D 491/048 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61P11/00
A61P43/00 111
A61P29/02
A61P25/02 101
A61P25/04
A61P17/04
A61P29/00
A61P27/16
A61P1/04
A61P13/02
A61P25/00
A61K31/506
C07D491/048
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019507744
(86)(22)【出願日】2017-08-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2017070261
(87)【国際公開番号】W WO2018029288
(87)【国際公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-07-27
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2016/094836
(32)【優先日】2016-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーマ,ヴィシャル
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルグラフ,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】フウ,バイフア
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/052264(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/115507(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/141805(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/108857(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/098098(WO,A1)
【文献】特表2015-535836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/14
A61P 11/00
A61P 43/00
A61P 29/02
A61P 25/02
A61P 25/04
A61P 17/04
A61P 29/00
A61P 27/16
A61P 1/04
A61P 13/02
A61P 25/00
A61K 31/506
C07D 491/048
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化104】

(式中、
Bは、B、B、及びBから選択され;
は、環内に2個の窒素原子を含む5員ヘテロアリールであり、各5員ヘテロアリールは、非置換であるか又は独立してハロゲン、CN、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、O(C1-6)アルキル、及びO(C1-6)ハロアルキルから選択される1個以上の基で置換されており;
は、フェニルであり、各フェニルは、非置換であるか又は独立してハロゲン、CN、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、O(C1-6)アルキル、及びO(C1-6)ハロアルキルから選択される1個以上の基で置換されており;
は、6員ヘテロアリールであり、各6員ヘテロアリールは、非置換であるか又は独立してハロゲン、CN、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、O(C1-6)アルキル、O(C1-6)ハロアルキル、5若しくは6員のヘテロアリール、(C3-7)シクロアルキル、及び4、5、6、若しくは7員のヘテロシクリルから選択される1個以上の基で置換されており、前記5若しくは6員のヘテロアリール、(C3-7)シクロアルキル、又は4、5、6、若しくは7員のヘテロシクリルの基のいずれかは、非置換であるか又は独立してハロゲン、CN、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、O(C1-6)アルキル、及びO(C1-6)ハロアルキルから選択される1個以上の基で置換されており;
は、
【化105】

からなる群から選択され;
は、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、(C3-7)シクロアルキル、及び(C1-6)アルキル-(C3-7)シクロアルキルから選択され、(C1-6)アルキルは、場合によりO(C1-6)アルキルで置換されており;
は、H若しくは(C1-6)アルキルであるか、又はR及びRは、これらが結合している原子と共に(C)シクロアルキルを形成し;
は、H、F、及びCNから選択され;
は、H若しくは(C1-6)アルキルであるか、又はR及びRのうちの一方とR及びRのうちの一方とが、これらが結合している原子と共に(C)シクロアルキルを形成し;
は、フェニル、(C3-7)シクロアルキル、5若しくは6員のヘテロアリール、又は4、5、6、若しくは7員の複素環であり、Rの任意のフェニル、(C3-7)シクロアルキル、5若しくは6員のヘテロアリール、又は4、5、6、若しくは7員の複素環は、場合により、独立してハロゲン、CN、SF、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、O(C1-6)アルキル、及びO(C1-6)ハロアルキルから選択される1個以上の基で置換されているか、あるいはRは、O-CH-Rであり;
は、(C1-6)アルキル、4、5、6、若しくは7員の複素環、(C3-7)シクロアルキル、又は6員ヘテロアリールであり、任意の(C1-6)アルキル、4、5、6、若しくは7員の複素環、(C3-7)シクロアルキル、又は6員ヘテロアリールは、場合により、独立してハロゲン、CN、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、O(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、及びO(C1-6)ハロアルキルから選択される1個以上の基で置換されている)
又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項2】
が、非置換であるか又は任意で
【化111】

から選択される置換されたピラゾリルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が、
【化112】

から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
が、
【化113】




から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Bが、
【化114】

から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
が、
(i)任意でCH、CHCH、及びC(CHから選択される(C1-6)アルキル;
(ii)(C1-6)ハロアルキル、任意でC(CF
(iii)CHOCH;並びに
(iv)シクロプロピル
から選択される、請求項1~のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
及びRが、これらが結合している原子と共に(C)シクロアルキル又はスピロシクロプロピルを形成する、請求項1~のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
がHであり;RがH、F、又はCNであり;そして、RがHである、請求項1~のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
【化116】

が、
【化117】

から選択される、請求項1~のいずれか一項記載の化合物。
【請求項10】
(i)Rが、任意で
【化118】

の構造の置換若しくは非置換の5員ヘテロアリールであるか;又は
(ii)Rが、任意で
(a)任意で
【化119】

から選択されるピリジニル
(b)任意で
【化120】

の構造のピリミジニル、及び
(c)任意で
【化121】

の構造のピラジニル
から選択される置換又は非置換の6員ヘテロアリールである、請求項1~のいずれか一項記載の化合物。
【請求項11】
が、
(i)任意で
【化122】

の構造の置換又は非置換の4員複素環、
(ii)置換又は非置換の5員複素環、
(iii)任意で
【化123】

から選択される置換又は非置換の6員複素環、並びに
(iv)置換又は非置換の7員複素環
から選択される、請求項1~のいずれか一項記載の化合物。
【請求項12】
が、
(i)任意で
【化124】

の構造の置換又は非置換の(C3-7)シクロアルキル、
(ii)任意で
【化125】

の構造の置換又は非置換フェニル、及び
(iii)
【化126】

の構造から選択される、請求項1~のいずれか一項記載の化合物。
【請求項13】
がCHであり、RがHであり、RがFであり、RがHであり、そして、Rが、
【化127】

であり、
が、
【化128】

から選択され;そして
Bが、
【化129】

から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
【化130】


から選択される化合物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩と、薬学的に許容し得る担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項16】
呼吸器疾患の治療又は予防において使用するための、請求項15記載の医薬組成物。
【請求項17】
喘息の治療又は予防において使用するための、請求項15記載の医薬組成物。
【請求項18】
呼吸器疾患の治療又は予防において使用するための、請求項1~14のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項19】
喘息の治療又は予防において使用するための、請求項1~14のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、全体が本明細書に組み入れられる2016年8月12日出願の国際出願第PCT/CN2016/094836号の優先権の利益を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は、スルホニルピリジル化合物、その製造、それを含有する医薬組成物、及び一過性受容器電位(TRP)チャネルアンタゴニストとしてのその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
TRPチャネルは、種々のヒト(及び他の動物)細胞タイプの細胞膜上に見いだされるイオンチャネルの一クラスである。少なくとも28個の公知のヒトTRPチャネルがあり、これらは、配列相同性及び機能に基づいて多数のファミリー又はグループに分けられる。TRPA1は、ナトリウム、カリウム及びカルシウムの流動を介して膜電位を調節する、非選択的カチオン透過チャネルである。TRPA1は、ヒトの後根神経節ニューロン及び末梢感覚神経において高度に発現されることが示されている。ヒトでは、TRPA1は、多数の反応性化合物(例えば、アクロレイン、アリルイソチオシアネート、オゾン)並びに非反応性化合物(例えば、ニコチン及びメントール)によって活性化され、従って、「化学センサー」として作用すると考えられている。
【0004】
公知のTRPA1作動薬の多くは、ヒト及び他の動物において、疼痛、刺激及び神経性炎症を引き起こす刺激物である。そのため、TRPA1チャネル活性化因子の生物学的効果を遮断するTRPA1拮抗薬又は薬剤は、喘息及びその増悪、慢性咳嗽並びに関連疾病のような疾患の処置において有用であろうし、さらには急性及び慢性疼痛の処置にも有用であろうと期待されている。最近、組織損傷及び酸化ストレスの産物、例えば、4-ヒドロキシノネナール及び関連化合物が、TRPA1チャネルを活性化することも知られている。この知見は、組織損傷、酸化ストレス及び気管支平滑筋収縮に関連する疾患、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、職業性喘息及びウイルス誘導性肺炎症の処置における、小分子TRPA1拮抗薬の有用性についてのさらなる理論的根拠を提供する。さらに、最近の知見は、TRPA1チャネルの活性を増加した痛覚と関連付けており(Kosugi et al., J.Neurosci 27, (2007) 4443-4451; Kremayer et al., Neuron 66 (2010) 671-680; Wei et al., Pain 152 (2011) 582-591); Wei et al., Neurosci Lett 479 (2010) 253-256))、このことは、疼痛障害の処置における低分子TRPA1阻害剤の有用性についての追加の理論的根拠を提供する。
【0005】
発明の簡単な説明
幾つかの実施態様では、以下の式Iの化合物又はその薬学的に許容し得る塩が提供される。
【化1】

Bは、B、B、及びBから選択される。Bは、環内に2個の窒素原子を含む5員ヘテロアリールであり、各5員ヘテロアリールは、非置換であるか又は独立してハロゲン、CN、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、O(C1-6)アルキル、及びO(C1-6)ハロアルキルから選択される1個以上の基で置換されている。Bは、フェニルであり、各フェニルは、非置換であるか又は独立してハロゲン、CN、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、O(C1-6)アルキル、及びO(C1-6)ハロアルキルから選択される1個以上の基で置換されている。Bは、6員ヘテロアリールであり、各6員ヘテロアリールは、非置換であるか又は独立してハロゲン、CN、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、O(C1-6)アルキル、O(C1-6)ハロアルキル、5若しくは6員のヘテロアリール、(C3-7)シクロアルキル、及び4、5、6、若しくは7員のヘテロシクリルから選択される1個以上の基で置換されており、該5若しくは6員のヘテロアリール、(C3-7)シクロアルキル、又は4、5、6、若しくは7員のヘテロシクリルの基のいずれかは、非置換であるか又は独立してハロゲン、CN、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、O(C1-6)アルキル、及びO(C1-6)ハロアルキルから選択される1個以上の基で置換されている。
は、
(i)
【化2】

から選択される非置換ピリジル、
(ii)
【化3】

から選択されるピリジルであって、
該ピリジルは、独立してハロゲン、CN、(C1-6)アルキル、及び(C1-6)ハロアルキルから選択される1個以上の基で置換されており、該ピリジルが、
【化4】

であり、
(a)且つ該ピリジルがフッ素で置換されているとき、置換されたピリジルが、
【化5】

から選択され、
(b)且つ該ピリジルが塩素で置換されているとき、置換されたピリジルが、
【化6】

から選択され、
(c)且つ該ピリジルがシアノで置換されているとき、置換されたピリジルが、
【化7】

から選択されるピリジル、並びに
(iii)2-ピリジル、3-ピリジル、又は4-ピリジルの環と、4~6個の原子並びに独立してN、O、及びSから選択される1又は2個のヘテロ原子を有する飽和、部分飽和、又は不飽和の縮合環とを含む縮合二環式環系であって、非置換であるか又は独立してハロゲン、CN、(C1-6)アルキルから選択される1個以上の基で置換されている二環式環系
からなる群から選択される。
は、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、(C3-7)シクロアルキル、及び(C1-6)アルキル-(C3-7)シクロアルキルから選択され、(C1-6)アルキルは、場合によりO(C1-6)アルキルで置換されている。
は、H若しくは(C1-6)アルキルであるか、又はR及びRは、これらが結合している原子と共に(C)シクロアルキルを形成する。
は、H、F、及びCNから選択される。
は、H若しくは(C1-6)アルキルであるか、又はR及びRのうちの一方とR及びRのうちの一方とが、これらが結合している原子と共に(C)シクロアルキルを形成する。
は、フェニル、(C3-7)シクロアルキル、5若しくは6員のヘテロアリール、又は4、5、6、若しくは7員の複素環であり、Rの任意のフェニル、(C3-7)シクロアルキル、5若しくは6員のヘテロアリール、又は4、5、6、若しくは7員の複素環は、場合により、独立してハロゲン、CN、SF、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、O(C1-6)アルキル、及びO(C1-6)ハロアルキルから選択される1個以上の基で置換されているか、あるいはRは、O-CH-Rである。
は、(C1-6)アルキル、4、5、6、若しくは7員の複素環、(C3-7)シクロアルキル、又は6員ヘテロアリールであり、任意の(C1-6)アルキル、4、5、6、若しくは7員の複素環、(C3-7)シクロアルキル、又は6員ヘテロアリールは、場合により、独立してハロゲン、CN、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、O(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、及びO(C1-6)ハロアルキルから選択される1個以上の基で置換されている。
【0006】
他の実施態様では、以下の化合物又はその薬学的に許容し得る塩が提供される。
【化8】


【0007】
幾つかの他の実施態様は、上記の化合物又はその薬学的に許容し得る塩と、薬学的に許容し得る担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0008】
幾つかの他の実施態様は、医学療法において使用するための、上記の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0009】
幾つかの他の実施態様は、呼吸器疾患を治療又は予防するための、上記の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0010】
幾つかの他の実施態様は、呼吸器疾患を治療又は予防するための医薬を調製するための、上記の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0011】
幾つかの他の実施態様は、上記の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を哺乳類に投与することを含む、哺乳類における呼吸器疾患を処置する方法を提供する。
【0012】
幾つかの他の実施態様は、TRPA1活性を調節するための、上記の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0013】
幾つかの他の実施態様は、TRPA1活性によって媒介される疾患又は病態を治療又は予防するための、上記の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0014】
幾つかの他の実施態様は、TRPA1活性によって媒介される疾患又は病態を治療又は予防するための医薬を調製するための、上記の化合物又はその薬学的に許容し得る塩の使用を提供する。
【0015】
幾つかの他の実施態様は、TRPA1を上記の化合物又はその薬学的に許容し得る塩と接触させることを含む、TRPA1活性を調節する方法を提供する。
【0016】
幾つかの他の実施態様は、上記の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を哺乳類に投与することを含む、哺乳類におけるTRPA1活性によって媒介される疾患又は病態を処置する方法を提供する。
【0017】
発明の詳細な説明
定義
特に指示のない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用される以下の特定の用語及び表現は、次のように定義される:
【0018】
用語「部分」は、別の原子又は分子に1以上の化学結合によって連結されることによって分子の一部を形成する、ある原子又は化学的に結合された原子群を指す。例えば、式Iの可変部R~Rは、式Iの核構造に共有結合によって連結された部分を指す。
【0019】
1個又は複数の水素原子を有する特定の部分に関して、用語「置換されている」は、その部分の水素原子の少なくとも1個が別の置換基又は部分に置き換わっていることを指す。例えば、用語「ハロゲンによって置換されている低級アルキル」は、低級アルキル(以下に定義される)の1個又は複数の水素原子が1個又は複数のハロゲン原子に置き換わっていることを指す(例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、クロロメチルなど)。
【0020】
用語「アルキル」は、1~20個の炭素原子を有する、脂肪族の直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素部分を指す。特定の実施態様において、アルキルは、1~10個の炭素原子を有する。特定の実施態様において、アルキルは、1~6個の炭素原子を有する。
【0021】
用語「アルコキシ」は、式-O-R’(式中、R’は、アルキル基である)の基を意味する。アルコキシ部分の例は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、及びtert-ブトキシを含む。
【0022】
「アリール」とは、6~16個の炭素環原子の単環式、二環式、又は三環式の芳香環を有する環状芳香族炭化水素部分を意味する。アリール基は、場合により、本明細書に定義されるとおり置換されていてもよい。アリール部分の例は、フェニル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、インデニル、ペンタレニル、アズレニル等を含むが、これらに限定されない。また、用語「アリール」は、環状芳香族炭化水素部分の少なくとも1個の環が芳香族であり、それぞれが場合により置換されている限り、環状芳香族炭化水素部分の部分水素化誘導体も含む。一実施態様では、アリールは、6~14個の炭素環原子を有する(すなわち、(C-C14)アリール)。別の実施態様では、アリールは、6~10個の炭素環原子を有する(すなわち、(C-C10)アリール)。
【0023】
用語「ヘテロアリール」とは、N、O、及びSから選択される1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、5~12個の環原子の芳香族複素環式単環式又は二環式の環系を意味する。ヘテロアリール部分の例は、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、イソオキサゾリル、ベンゾフラニル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、イソベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、又はキノキサリニルを含む。
【0024】
用語「ピリジル」及び「ピリジニル」は、本明細書で使用するとき、互換的に、1個の窒素原子を含む環に6個の原子を有する飽和複素環式部分を指す。
【0025】
用語「ハロ」、「ハロゲン」、及び「ハロゲン化物」は、互換的に用いてよく、置換基フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを指す。
【0026】
用語「ハロアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの1個以上が同じ又は異なるハロゲン原子、特にフルオロ原子によって置換されているアルキル基を意味する。ハロアルキルの例は、モノフルオロ-、ジフルオロ-、又はトリフルオロ-メチル、-エチル、又は-プロピル、例えば、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、フルオロメチル、又はトリフルオロメチルを含む。
【0027】
「シクロアルキル」とは、単環式又は二環式(架橋二環式を含む)の環及び該環内に3~10個の炭素原子を有する飽和又は部分不飽和の炭素環式部分を意味する。シクロアルキル部分は、場合により、1個以上の置換基で置換されていてもよい。特定の実施態様では、シクロアルキルは、3~8個の炭素原子を含有する(すなわち、(C3-C8)シクロアルキル)。他の特定の実施態様では、シクロアルキルは、3~6個の炭素原子を含有する(すなわち、(C3-C6)シクロアルキル)。シクロアルキル部分の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びこれらの部分不飽和(シクロアルケニル)誘導体(例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、及びシクロヘプテニル)を含むが、これらに限定されない。シクロアルキル部分は、「スピロシクロプロピル」:
【化9】

等の「スピロシクロアルキル」方式で結合し得る。
【0028】
「複素環」又は「ヘテロシクリル」とは、飽和又は部分不飽和であり、そして、環内に酸素、窒素、及び硫黄から選択される1個以上の(例えば、1、2、3、又は4個のヘテロ原子を有し、残りの環原子が炭素である、4、5、6、及び7員の単環式の又は7、8、9、及び10員の二環式(架橋二環式を含む)の複素環式部分を指す。特定の実施態様では、複素環又はヘテロシクリルとは、4、5、6、又は7員の複素環を指す。複素環の環原子に関して用いられる場合、窒素又は硫黄は、酸化形態であってもよく、そして、窒素は、1個以上の(C-C)アルキル又は基で置換されてもよい。複素環は、任意のヘテロ原子又は炭素原子においてそのペンダント基に結合し得、これにより安定な構造が得られ、そして、環原子のいずれかが場合により置換されていてもよい。このような飽和又は部分不飽和の複素環の例は、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピロリジニル、ピロリドニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル、及びキヌクリジニルを含むが、これらに限定されるわけではない。また、複素環という用語は、複素環が1個以上のアリール、ヘテロアリール、又はシクロアルキル環に縮合している基、例えば、インドリニル、3H-インドリル、クロマニル、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、オクタヒドロインドリル、又はテトラヒドロキノリニルも含む。
【0029】
に関連して本明細書で使用するとき、「縮合二環式」とは、以下のような縮合環系を指す。
【化10】

環Aは、原子X~Xのうちの1個がNであり、そして、残りの原子がCであるピリジルである。環Bは、飽和、部分的飽和、又は不飽和であり、nは、2~4であり、各Yは、独立して、C、N、O、又はSの原子であり、1又は2個のY原子は、独立して、N、O、又はSである。
【0030】
特に指示しない限り、用語「水素」又は「ヒドロ」とは、水素原子(-H)の部分を指し、そして、Hを指すものではない。
【0031】
用語「呼吸器疾患」は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、アレルギー性鼻炎、気管支痙攣、及び嚢胞性線維症を含む。
【0032】
特に指示のない限り、用語「式の化合物(a compound of the formula)」又は「式の化合物(a compound of formula)」又は「式の化合物(compounds of the formula)」又は「式の化合物(compounds of formula)」は、その式によって定義される化合物の属(genus)から選択される任意の化合物(特に指定のない場合は、任意のそのような化合物の任意の薬学的に許容し得る塩又はエステルを含む)を指す。
【0033】
用語「薬学的に許容し得る塩」は、遊離塩基又は遊離酸の生物学的効果及び特性を保持し、生物学的にも又はその他の点でも望ましくないことはない塩を指す。塩は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など、好ましくは塩酸)及び有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、サリチル酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、N-アセチルシステインなど)と形成され得る。加えて、塩は、遊離酸への無機塩基又は有機塩基の付加によっても調製され得る。無機塩基から誘導される塩は、特に限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウム塩などを含む。有機塩基から誘導される塩は、特に限定されないが、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リシン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂などの、第一級、第二級及び第三級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン並びに塩基性イオン交換樹脂の塩を含む。
【0034】
本発明の化合物は、薬学的に許容し得る塩の形態で存在し得る。別の実施態様は、式Iの化合物の薬学的に許容し得えない塩を提供し、これは、式Iの化合物を単離又は精製するための中間体として有用であり得る。また、本発明の化合物は、薬学的に許容し得るエステル(すなわち、プロドラッグとして用いられる、式Iの酸のメチル及びエチルのエステル)の形態でも存在し得る。また、本発明の化合物は、溶媒和、すなわち、水和していてもよい。溶媒和は、製造プロセスの過程で行われ得るか、又は、すなわち、式Iの最初は無水の化合物の吸湿特性の結果として生じ得る。
【0035】
同一の分子式を有するが、性質又は空間における原子の結合順序若しくは原子の配置が異なる化合物は、「異性体」と呼ばれる。それらの原子の空間的配列が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれる。ジアステレオマーは、1個又は複数のキラル中心に反対の立体配置を有する立体異性体であるが、エナンチオマーではない。互いに鏡像であるが重ね合わせることができない、1個又は複数の不斉中心を有する立体異性体は、「エナンチオマー」と呼ばれる。化合物が不斉中心を有するとき、例えば、炭素原子が4個の異なる基に結合している場合、1対のエナンチオマーが可能である。エナンチオマーは、その不斉中心(1個又は複数)の絶対配置によって特徴付けられ得、Cahn、Ingold及びPrelogのR及びS順位則によって又はその分子が偏光面を回転させる様式によって記載され、右旋性又は左旋性として(すなわち、それぞれ、(+)-異性体又は(-)-異性体として)表示される。キラル化合物は、個々のエナンチオマー又はそれらの混合物のいずれかとして存在することができる。エナンチオマーを同じ割合で含有する混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。
【0036】
特定の実施態様では、該化合物は、一方のジアステレオマー又は鏡像異性体が少なくとも約90重量%まで富化される。他の実施態様では、該化合物は、一方のジアステレオマー又は鏡像異性体が少なくとも約95重量%、98重量%、又は99重量%まで富化される。
【0037】
本発明の特定の化合物は、非対称炭素原子(光学中心)又は二重結合を有し;ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、位置異性体、及び個々の異性体(例えば、別個の鏡像異性体)は、全て本発明の範囲内に包含されることを意図する。
【0038】
本発明の化合物は、不斉又はキラル中心を含有し、そしてそれゆえ異なる立体異性体形態で存在してもよい。ジアステレオマー、エナンチオマー及びアトロプ異性体を非限定的に含む、本発明の化合物の全ての立体異性体形態、並びにラセミ混合物などのそれらの混合物は、本発明の一部を形成することが意図される。幾つかの場合において、立体化学は、決定されていないか、あるいは暫定的に指定されている。多くの有機化合物は、光学的活性型で存在する、すなわち、平面偏光の平面を回転させる能力を有する。光学活性な化合物を記載する際に、接頭文字のD及びL、又はR及びSが、そのキラル中心の周囲の分子の絶対配置を示すために用いられる。接頭文字d及びl又は(+)及び(-)は、化合物による平面偏光面の回転の符号を指すために用いられ、(-)又はlは、その化合物が左旋性であることを意味する。接頭文字(+)又はdが付けられた化合物は、右旋性である。所与の化学構造について、これら立体異性体は、互いの鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体は、エナンチオマーと称されてもよく、そしてこのような異性体の混合物は、エナンチオマー混合物と呼ばれることが多い。エナンチオマーの50:50混合物は、ラセミ混合物又はラセミ体と称され、これは化学的な反応又はプロセスにおいて立体選択又は立体特異性が存在しなかった場合に生じ得る。用語「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」は、光学活性を有しない、2つの鏡像異性体種の等モル混合物を指す。エナンチオマーは、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)などのキラル分離方法によってラセミ混合物から分離することができる。分離されたエナンチオマー中のキラル中心での立体配置の決定は仮であり、かつ例示目的で実施例1~17、18、19及び表1、2の構造中に示されることもできるが一方、立体化学は、例えばx線結晶学的データから決定的に確立される。
【0039】
化合物の用語「治療有効量」は、疾患の症状を予防、緩和又は改善するために、あるいは処置される被検体の生存期間を延長するために効果的な化合物の量を意味する。治療有効量の決定は、当技術分野における技能の範囲内である。本発明に係る化合物の治療有効量又は投与量は、広い範囲内で変えることができ、当技術分野において公知の様式で決定され得る。そのような投与量は、投与される特定の化合物(複数)、投与経路、処置される病態及び処置される患者を含む、それぞれの特定の症例における個別の要件に調整されるだろう。一般に、およそ70Kgの体重の成人への経口又は非経口投与の場合、約0.1mg~約5,000mg、1mg~約1,000mg又は1mg~100mgの一日投与量が適切であり得るが、必要であればその下限及び上限を超えてもよい。1日投与量は、単回用量としてか、又は分割した用量で投与することができるか、或いは非経口投与では、連続注入として与えてもよい。
【0040】
用語「薬学的に許容し得る担体」は、溶媒、分散媒体、被覆剤、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤を含む、薬剤の投与と適合性のある任意の及び全ての材料、並びに薬剤の投与と適合性のある他の材料及び化合物を含むことが意図される。任意の慣用の媒体又は薬剤が活性化合物と適合性でない場合を除いて、本発明の組成物におけるそれらの使用が考慮される。また、補助活性化合物を当該組成物中に組み込むこともできる。
【0041】
本発明の組成物の調製に有用な薬学的担体は、固体、液体又は気体であり得;従って、当該組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、坐剤、粉剤、腸溶性コーティング製剤又は他の保護製剤(例えば、イオン交換樹脂に結合しているか又は脂質-タンパク質小胞に封入されている)、徐放性製剤、液剤、懸濁剤、エリキシル剤、エアロゾル剤などの形態をとることができる。担体は、石油、動物、植物又は合成起源の油を含む様々な油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などから選択され得る。水、生理食塩水、デキストロース水溶液及びグリコールが、特に(血液と等張である場合)注射用液剤のための好ましい液体担体である。例えば、静脈内投与用の製剤は、固体活性成分(複数)を水に溶解させて水溶液を生成し、その溶液を滅菌することにより調製される、活性成分(複数)の無菌水性液剤を含む。好適な薬学的賦形剤は、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、乳糖、タルク、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどを含む。当該組成物には、例えば、防腐剤、安定化剤、湿潤又は乳化剤、浸透圧調整用の塩、緩衝剤などの慣用の薬学的添加剤が付与され得る。好適な薬学的担体及びそれらの製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences by E. W. Martin に記載されている。そのような組成物は、いずれにしても、レシピエントへ適切に投与するための適切な投与剤形を調製するために、有効量の活性化合物を好適な担体と共に含有するだろう。
【0042】
本発明の方法の実施において、有効量の本発明の化合物のいずれか1つ又は本発明の化合物のいずれかの組み合わせ又はその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルは、当技術分野において公知の通常の許容し得る方法のいずれかを介して、単独又は組み合わせのいずれかで投与される。従って、当該化合物又は組成物は、経口(例えば、口腔)、舌下、非経口(例えば、筋肉内、静脈内又は皮下)、直腸(例えば、坐剤又は洗浄剤によって)、経皮(例えば、皮膚エレクトロポレーション)又は吸入(例えば、エアロゾルによって)によって、錠剤及び懸濁剤を含む、固体、液体又は気体の投与剤形で投与され得る。投与は、適宜、持続的治療での単回の単位投与剤形で、又は単回投与治療で実施され得る。当該治療組成物はまた、パモ酸などの脂溶性の塩と併せた油乳剤又は分散剤の形態であっても、皮下又は筋肉内投与用の生物分解性の徐放性組成物の形態であってもよい。
【0043】
化合物
本発明の一実施態様は、式Iの化合物を提供する。
【化11】
【0044】
幾つかの実施態様では、Rは、
【化12】

から選択される非置換ピリジルである。
【0045】
幾つかの実施態様では、Rは、
【化13】

から選択されるピリジルであり、該ピリジルは、独立して、ハロゲン、CN、(C1-6)アルキル、及び(C1-6)ハロアルキルから選択される1個以上の基で置換されている。幾つかの特定の実施態様では、Rは、独立して、Br、Cl、F、CN、CH、CFH、及びCFから選択される1個以上の基で置換されている。幾つかの特定の実施態様では、Rは、F、Cl、又はCNで置換されている。このような実施態様では、該ピリジルは、
【化14】

であり、そして、フッ素で置換されており、そして、より具体的には単一のフッ素で置換されており、置換されたピリジルは、
【化15】

から選択される。このような実施態様では、該ピリジルは、
【化16】

であり、そして、塩素で置換されており、そして、より具体的には単一の塩素で置換されており、置換されたピリジルは、
【化17】

から選択される。このような実施態様では、該ピリジルは、
【化18】

であり、そして、シアノで置換されており、そして、より具体的には単一のシアノで置換されており、置換されたピリジルは、
【化19】

から選択される。
【0046】
幾つかの実施態様では、Rは、4~6個の原子及び独立してN、O、及びSから選択される1又は2個のヘテロ原子を有する飽和、部分飽和、又は不飽和の環と縮合している2-ピリジル、3-ピリジル、又は4-ピリジルの環を含む縮合二環式環系であって、非置換であるか又は独立してハロゲン、CN、(C1-6)アルキルから選択される1個以上の基で置換されている二環式環系である。
【0047】
幾つかの実施態様では、Rは、
【化20】

から選択される。
【0048】
幾つかの実施態様では、Rは、
【化21】

である。
【0049】
幾つかの実施態様では、Rは、
【化22】

である。
【0050】
幾つかの実施態様では、Rは、
【化23】

である。
【0051】
幾つかの実施態様では、Rは、
【化24】

である。
【0052】
幾つかの実施態様では、Rは、
【化25】

である。
【0053】
幾つかの実施態様では、Rは、
【化26】

である。
【0054】
幾つかの実施態様では、Rは、
【化27】

である。
【0055】
幾つかの実施態様では、Rは、
【化28】

である。
【0056】
幾つかの実施態様では、Rは、
【化29】

である。
【0057】
は、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、(C3-7)シクロアルキル、及び(C1-6)アルキル-(C3-7)シクロアルキルから選択され、(C1-6)アルキルは、場合によりO(C1-6)アルキルで置換されている。幾つかの実施態様では、Rは、(C1-6)アルキル、CH、CHCH、C(CH及びC(CF、CHOCH、並びに-シクロプロピルから選択される。幾つかの他の実施態様では、R及びRは、これらが結合している原子と共に(C)シクロアルキルを形成する。幾つかの他の実施態様では、R及びRは、これらが結合している原子と共にスピロシクロプロピルを形成する。
【0058】
幾つかの実施態様では、Rは、H又は(C1-6)アルキルである。幾つかの実施態様では、R及びRは、これらが結合している原子と共に(C)シクロアルキルを形成する。幾つかの実施態様では、Rは、Hである。
【0059】
は、H、F、及びCNから選択される。幾つかの実施態様では、Rは、Hである。幾つかの実施態様では、Rは、Fである。幾つかの実施態様では、Rは、CNである。
【0060】
は、H又は(C1-6)アルキルである。幾つかの実施態様では、Rは、H又はCHである。
【0061】
幾つかの実施態様では、R及びRのうちの一方とR及びR5のうちの一方とが、これらが結合している原子と共に(C)シクロアルキルを形成する。
【0062】
幾つかの実施態様では、基
【化30】

である。
【0063】
幾つかの実施態様では、基
【化31】

である。
【0064】
幾つかの実施態様では、基
【化32】

である。
【0065】
幾つかの実施態様では、基
【化33】

である。
【0066】
幾つかの実施態様では、基
【化34】

である。
【0067】
幾つかの実施態様では、基
【化35】

である。
【0068】
幾つかの実施態様では、基
【化36】

である。
【0069】
幾つかの実施態様では、基
【化37】

である。
【0070】
幾つかの実施態様では、基
【化38】

である。
【0071】
は、フェニル、(C3-7)シクロアルキル、5若しくは6員のヘテロアリール、又は4、5、6、若しくは7員の複素環であり、Rの任意のフェニル、(C3-7)シクロアルキル、5若しくは6員のヘテロアリール、又は4、5、6、若しくは7員の複素環は、場合により、独立してハロゲン、CN、SF、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、O(C1-6)アルキル、及びO(C1-6)ハロアルキルから選択される1個以上の基で置換されているか、あるいはRは、O-CH-Rである。
【0072】
幾つかの実施態様では、Rは、4、5、6、又は7員の複素環である。幾つかの実施態様では、Rは、4員複素環である。幾つかの実施態様では、Rは、5員複素環である。幾つかの実施態様では、Rは、6員複素環である。幾つかの実施態様では、Rは、7員複素環である。幾つかの実施態様では、Rは、5員ヘテロアリールである。幾つかの実施態様では、Rは、6員ヘテロアリールである。幾つかの実施態様では、Rは、(C3-7)シクロアルキルである。幾つかの実施態様では、Rは、(C)シクロアルキルである。
【0073】
幾つかの実施態様では、Rは、ピリジニルである。幾つかの実施態様では、Rは、ピリミジニルである。幾つかの実施態様では、Rは、ピラジニルである。幾つかの実施態様では、Rは、フェニルである。
【0074】
幾つかの実施態様では、Rは、以下:
【化39】


から選択される。
【0075】
は、(C1-6)アルキル、4、5、6、若しくは7員の複素環、(C3-7)シクロアルキル、又は6員ヘテロアリールであり、任意の(C1-6)アルキル、4、5、6、若しくは7員の複素環、(C3-7)シクロアルキル、又は6員ヘテロアリールは、場合により、独立してハロゲン、CN、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、O(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、及びO(C1-6)ハロアルキルから選択される1個以上の基で置換されている。幾つかの実施態様では、Rは、(C1-6)アルキルである。幾つかの実施態様では、Rは、(C3-7)シクロアルキルである。幾つかの実施態様では、Rは、(C)シクロアルキルである。
【0076】
Bは、本明細書の他の箇所に記載したとおりB、B、及びBから選択される。
【0077】
幾つかの実施態様では、前記化合物は式Iの塩である。
【0078】
一実施態様は、式IIの化合物を提供する:
【化40】
【0079】
このような実施態様では、Bは、環内に2個の窒素原子を含む5員ヘテロアリールであり、各5員ヘテロアリールは、非置換であるか又は独立してハロゲン、CN、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、O(C1-6)アルキル、及びO(C1-6)ハロアルキルから選択される1個以上の基で置換されている。
【0080】
幾つかのこのような実施態様では、Bは、非置換であるか又は置換されたピラゾリルである。
【0081】
幾つかのこのような実施態様では、Bは、
【化41】

から選択される。
【0082】
一実施態様は、式IIIの化合物を提供する。
【化42】
【0083】
このような実施態様では、Bは、フェニルであり、各フェニルは、非置換であるか又は独立してハロゲン、CN、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、O(C1-6)アルキル、及びO(C1-6)ハロアルキルから選択される1個以上の基で置換されている。
【0084】
幾つかのこのような実施態様では、Bは、
【化43】

から選択される。
【0085】
一実施態様は、式IVの化合物を提供する。
【化44】
【0086】
このような実施態様では、Bは、6員ヘテロアリールであり、各6員ヘテロアリールは、非置換であるか又は独立してハロゲン、CN、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、O(C1-6)アルキル、O(C1-6)ハロアルキル、5若しくは6員のヘテロアリール、(C3-7)シクロアルキル、及び4、5、6、若しくは7員のヘテロシクリルから選択される1個以上の基で置換されており、そして、5若しくは6員のヘテロアリール、(C3-7)シクロアルキル、又は4、5、6、若しくは7員のヘテロシクリルの基のいずれかは、非置換であるか又は独立してハロゲン、CN、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、O(C1-6)アルキル、及びO(C1-6)ハロアルキルから選択される1個以上の基で置換されている。
【0087】
幾つかのこのような実施態様では、Bは、
【化45】




から選択される。
【0088】
本開示の幾つかの実施態様では、Bは、
【化46】

から選択される。
幾つかの実施態様では、RはCHであり、RはHであり、RはFであり、RはHであり、そして、Rは、
【化47】

である。
幾つかのこのような実施態様では、Rは、
【化48】

から選択される。
幾つかのこのような実施態様では、Bは、
【化49】

から選択される。
【0089】
本開示の幾つかの実施態様では、式Iは、
【化50】


から選択される化合物である。
【0090】
幾つかの特定の実施態様では、式Iは、
【化51】

から選択される化合物である。
【0091】
これに関して、以下の化合物は本開示の範囲から除外されることに留意すべきである。
【化52】
【0092】
今日までの実験的証拠に基づいて、本開示のスルホニルピリジルTRPA1阻害剤化合物は、例えば、ヒトタンパク質血漿結合の減少及び/又はクリアランスの減少と相関するヒト肝ミクロソームの安定性等の特定の薬物動態的利点を提供すると考えられる。
【0093】
本発明の別の実施態様では、式Iの化合物は、該化合物内の1個以上の原子を異なる原子量又は質量数を有する原子で置換することによって同位体標識されている。このような同位体標識(すなわち、放射標識)されている式Iの化合物は、本発明の範囲内であるとみなされる。式Iの化合物に取り込むことができる同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位体を含み、例えば、それぞれ、H、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、及び125I等であるが、これらに限定されない。これら同位体標識された化合物は、例えば、イオンチャネルにおける作用部位若しくは作用機序、又はイオンチャネル、特に、TRPA1における薬理学的に重要な作用部位に対する結合親和性を特徴付けることによって、該化合物の有効性の判定又は測定を支援するのに有用である。特定の同位体標識された式Iの化合物、例えば、放射性同位体を取り込むものは、薬物及び/又は基質の組織分布研究において有用である。放射性同位体トリチウム、すなわちH及び炭素-14、すなわち14Cは、取り込みが容易であり、そして、検出手段が準備されていることを考慮して、この目的のために特に有用である。例えば、式Iの化合物は、1、2、5、10、25、50、75、90、95、又は99パーセントの所与の同位体で富化され得る。
【0094】
ジュウテリウム、すなわちH等のより重い同位体で置換すると、より高い代謝安定性から得られる特定の処置上の利点、例えば、インビボにおける半減期の延長又は投与量要件の低減等を与えることができる。
【0095】
陽電子放出同位体、例えば、11C、18F、15O、及び13Nによる置換は、基質の受容体占有について調べるための陽電子放出断層撮影(PET)試験において有用であり得る。同位体標識された式Iの化合物は、一般的に、当業者に公知の従来の技術によって、又は既に使用されている標識されていない試薬の代わりに適切な同位体標識された試薬を用いて以下に記載する実施例に記載のプロセスと同様のプロセスによって調製することができる。
【0096】
別の実施態様では、本発明は、処置上有効な量の式Iに係る化合物と薬学的に許容できる担体、希釈剤、及び/又は賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0097】
塩形態に加えて、本発明は、プロドラッグ形態の化合物を提供する。本明細書で使用するとき、用語「プロドラッグ」は、生理学的条件下で容易に化学変化を受けて本発明の化合物を提供する化合物を指す。更に、プロドラッグは、エクスビボ環境において化学的又は生物学的方法によって本発明の化合物に変換され得る。例えば、プロドラッグは、好適な酵素又は化学試薬と共に経皮パッチリザーバに入れたとき、ゆっくりと本発明の化合物に変換され得る。
【0098】
本発明のプロドラッグは、プロリンの水素原子(N-H)のプロドラッグ部分による置換を含む。該プロドラッグ部分は、リン酸塩、リン酸エステル、アルキルリン酸塩、アルキルリン酸エステル、アシルエーテル、又は以下で論じる他のプロドラッグ部分を含み得る。幾つかの実施態様では、該プロドラッグ部分は、
【化53】

である。
【0099】
更なる種類のプロドラッグも包含される。例えば、アミノ酸残基、又は2個以上(例えば、2個、3個、又は4個)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖が、アミド結合又はエステル結合を通して本発明の化合物の遊離アミノ、ヒドロキシ、又はカルボン酸の基に共有結合している場合である。アミノ酸残基は、一般的に3文字の記号によって表される20種の天然アミノ酸を含むが、これらに限定されず、また、ホスホセリン、ホスホトレオニン、ホスホチロシン、4-ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、デモシン(demosine)、イソデモシン(isodemosine)、ガンマ-カルボキシグルタミン酸、馬尿酸、オクタヒドロインドール-2-カルボン酸、スタチン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、ペニシラミン、オルニチン、3-メチルヒスチジン、ノルバリン、ベータ-アラニン、ガンマ-アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、メチルアラニン、パラ-ベンゾイルフェニルアラニン、フェニルグリシン、プロパルギルグリシン、サルコシン、メチオニンスルホン、及びtert-ブチルグリシンも含む。
【0100】
更なる種類のプロドラッグも包含される。例えば、本発明の化合物の遊離カルボキシル基は、アミド又はアルキルエステルとして誘導体化され得る。別の例として、遊離ヒドロキシ基を含む本発明の化合物は、Fleisher, D. et al., (1996) Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs Advanced Drug Delivery Reviews, 19:115に概説されているとおり、リン酸エステル、ヘミコハク酸塩、アミノ酢酸ジメチル、又はホスホリルオキシメチルオキシカルボニルの基等であるがこれらに限定されない基にヒドロキシ基を変換することによって、プロドラッグとして誘導体化され得る。ヒドロキシ基の炭酸塩プロドラッグ、スルホン酸エステル、及び硫酸エステルのように、ヒドロキシル基及びアミノ基のカルバミン酸塩プロドラッグも含まれる。アシル基が、場合により、エーテル、アミン、及びカルボン酸の官能基を含むがこれらに限定されない基で置換されているアルキルエステルであり得るか、又はアシル基が、上記のとおりアミノ酸エステルである、(アシルオキシ)メチル及び(アシルオキシ)エチルエーテルとしてのヒドロキシ基の誘導体化も包含される。この種のプロドラッグは、J. Med. Chem., (1996), 39:10に記載されている。より具体的な例は、(C1-6)アルカノイルオキシメチル、1-((C1-6)アルカノイルオキシ)エチル、1-メチル-1-((C1-6)アルカノイルオキシ)エチル、(C1-6)アルコキシカルボニルオキシメチル、N-(C1-6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C1-6)アルカノイル、アルファ-アミノ(C1-4)アルカノイル、アリールアシル及びアルファ-アミノアシル、又はアルファ-アミノアシル-アルファ-アミノアシル等の基によるアルコール基の水素原子の置換を含み、各アルファ-アミノアシル基は、独立して、天然のL-アミノ酸、P(O)(OH)、-P(O)(O(C1-6)アルキル)、又はグリコシル(炭水化物のヘミアセタール形態のヒドロキシル基の除去によって得られるラジカル)から選択される。
【0101】
プロドラッグ誘導体の更なる例については、例えば、a)Design of Prodrugs, edited by H. Bundgaard, (Elsevier, 1985)及びMethods in Enzymology, Vol. 42, p. 309-396, edited by K. Widder, et al. (Academic Press, 1985);b)A Textbook of Drug Design and Development, edited by Krogsgaard-Larsen and H. Bundgaard, Chapter 5 "Design and Application of Prodrugs," by H. Bundgaard p. 113-191 (1991);c)H. Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews, 8:1-38 (1992);d)H. Bundgaard, et al., Journal of Pharmaceutical Sciences, 77:285 (1988);及びe)N. Kakeya, et al., Chem. Pharm. Bull., 32:692 (1984)を参照されたい。これらは、それぞれ、参照により具体的に本明細書に組み入れられる。
【0102】
更に、本発明は、本発明の化合物の代謝物を提供する。本明細書で使用するとき、「代謝物」とは、特定の化合物又はその塩の体内における代謝を通して生成された生成物を指す。このような生成物は、例えば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド化、エステル化、脱エステル化、酵素的切断等から得られ得る。
【0103】
代謝産物は、典型的に、本発明の化合物の放射標識された(例えば、14C又はH)同位体を調製し、それを、検出可能な用量(例えば、約0.5mg/kg超)でラット、マウス、モルモット、サル等の動物又はヒトに非経口的に投与し、代謝が生じるのに十分な時間(典型的に、約30秒間~30時間)放置し、そして、尿、血液、又は他の生体試料からその変換産物を単離することによって同定される。これら生成物は、標識されているので容易に単離される(他のものは、代謝物中に残存しているエピトープに結合することができる抗体の使用によって単離される)。代謝物の構造は、例えば、MS、LC/MS、又はNMRの分析等の従来の方法で決定される。一般に、代謝物の分析は、当業者に周知の従来の薬物代謝試験と同じ方法で行われる。代謝産物は、インビボで他にみられない限り、本発明の化合物の処置的投与についての診断アッセイにおいて有用である。
【0104】
本発明の特定の化合物は、非溶媒和形態に加えて、水和形態を含む溶媒和形態でも存在し得る。一般に、溶媒和形態は、非溶媒和形態と等価であり、そして、本発明の範囲内に包含されることを意図する。本発明の特定の化合物は、複数の結晶形態又は非晶形態で存在し得る。一般に、全ての物理的形態は、本発明によって想到される用途について等価であり、そして、本発明の範囲内であることを意図する。
【0105】
医薬組成物及び投与
【0106】
上に提供した化合物のうちの1つ以上(その立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝物、同位体、薬学的に許容し得る塩、又はプロドラッグを含む)に加えて、本発明は、式Iの化合物又はその実施態様と少なくとも1つの薬学的に許容し得る担体とを含む組成物及び医薬を提供する。本発明の組成物は、患者(例えば、ヒト)においてTRPA1を選択的に阻害するために用いることができる。
【0107】
用語「組成物」とは、本明細書で使用するとき、指定の成分を指定の量含む生成物に加えて、指定の量の指定の成分の組み合わせから直接又は間接的に得られる任意の生成物を包含することを意図する。「薬学的に許容し得る」とは、担体、希釈剤、又は賦形剤が、製剤の他の成分と適合しなければならず、そして、そのレシピエントにとって有害であってはならないことを意味する。
【0108】
一実施態様では、本発明は、式Iの化合物又はその実施態様、及びその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝物、同位体、これらの薬学的に許容し得る塩又はプロドラッグ)と、薬学的に許容し得る担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物又は医薬を提供する。別の実施態様では、本発明は、本発明の化合物を含む組成物(又は医薬)の調製を提供する。別の実施態様では、本発明は、式Iの化合物又はその実施態様、及び式Iの化合物又はその実施態様を含む組成物の、それを必要としている患者(例えば、ヒト患者)への投与を提供する。
【0109】
組成物は、良質の医療実施基準(good medical practice)に合致するように製剤化、調薬及び投与される。この状況において考慮すべき要因は、処置される具体的な障害、処置される具体的な哺乳類、個々の患者の臨床状態、障害の原因、剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医師に公知の他の要因を含む。投与される化合物の有効量は、このような考慮事項によって決定され、そして、例えば疼痛等の不所望の疾患又は障害を予防又は治療するために必要に応じてTRPA1活性を阻害するのに必要な最低量である。例えば、このような量は、正常細胞又は哺乳類全身に対して毒性のある量を下回り得る。
【0110】
一例では、1用量当たりの非経口的に投与される本発明の化合物の処置上有効な量は、1日当たり約0.01~100mg/kg(患者の体重)、あるいは、例えば約0.1~20mg/kgの範囲であり、用いられる化合物の典型的な初期範囲は0.3~15mg/kg/日である。日用量は、特定の実施態様では、単一の日用量として、又は1日に2~6回分割量で、又は徐放性形態で与えられる。70kgの成人の場合、合計日用量は、一般的に、約7mg~約1,400mgになる。この投与レジメンは、最適な処置応答を与えるために調整してよい。化合物は、1日当たり1~4回、好ましくは1日当たり1回又は2回のレジメンで投与してよい。
【0111】
本発明の化合物は、任意の簡便な投与形態、例えば、錠剤、粉剤、カプセル剤、液剤、分散剤、懸濁剤、シロップ剤、スプレー剤、坐剤、ゲル剤、乳剤、パッチ剤等で投与してよい。このような組成物は、医薬製剤で慣用の成分、例えば、希釈剤、担体、pH調整剤、甘味剤、増量剤、及び更なる活性剤を含有してよい。
【0112】
本発明の化合物は、経口、局所(頬側及び舌下を含む)、直腸内、膣内、経皮、非経口、皮下、腹腔内、肺内、皮内、くも膜下腔内及び硬膜外及び鼻腔内、並びに局所処置が望ましい場合、病巣内の投与を含む、任意の好適な手段によって投与してよい。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、脳内、眼球内、病巣内、又は皮下の投与を含む。
【0113】
式Iの化合物又はその実施態様を含む組成物は、通常、標準的な薬務に従って医薬組成物として製剤される。典型的な製剤は、本発明の化合物と、希釈剤、担体又は賦形剤とを混合することにより調製される。好適な希釈剤、担体及び賦形剤は、当業者に周知であり、そして、例えば、Ansel, Howard C., et al., Ansel's Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems. Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins, 2004;Gennaro, Alfonso R., et al. Remington: The Science and Practice of Pharmacy. Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins, 2000;及びRowe, Raymond C. Handbook of Pharmaceutical Excipients. Chicago, Pharmaceutical Press, 2005に詳細に記載されている。また、製剤は、薬物(すなわち、本発明の化合物又はその医薬組成物)を美しく見せるために、又は医薬品(すなわち、医薬)の製造を支援するために、1つ以上の緩衝剤、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、抗酸化剤、混濁剤(opaquing agent)、流動促進剤、加工助剤、着色剤、甘味剤、芳香剤、着香剤、希釈剤及び他の公知の添加剤を含んでいてもよい。好適な担体、希釈剤、及び賦形剤は、当業者に周知であり、そして、例えばリン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸等の緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;例えばメチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;例えば血清アルブミン、ゼラチン、又はイムノグロブリン等のタンパク質;例えばポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;例えばEDTA等のキレート剤;例えばスクロース、マンニトール、トレハロース、又はソルビトール等の糖類;例えばナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/又は例えば、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。また、本発明の活性医薬成分(例えば、式Iの化合物又はその実施態様)は、例えば、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子、及びナノカプセル)又はマクロエマルションにおいて、それぞれ、コアセルベーション技術によって又は界面重合によって調製されるマイクロカプセル、例えば、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルに封入してもよい。このような技術は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy: Remington the Science and Practice of Pharmacy (2005) 21st Edition, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, PAに開示されている。用いられる具体的な担体、希釈剤、又は賦形剤は、本発明の化合物が適用される手段及び目的に依存する。溶媒は、一般的に、哺乳類への投与が安全であると当業者によって認められている(GRAS)溶媒に基づいて選択される。一般に、安全な溶媒は、水等の非毒性水性溶媒及び水に可溶性又は混和性である他の非毒性溶媒である。好適な水性溶媒は、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400、PEG300)等、及びこれらの混合物を含む。許容し得る希釈剤、担体、賦形剤、及び安定剤は、使用する投与量及び濃度においてレシピエントに対して非毒性である。
【0114】
本発明の化合物(例えば、式Iの化合物又はその実施態様)の徐放性調製品を調製することができる。徐放性調製品の好適な例は、式Iの化合物又はその実施態様を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、該マトリクスは、例えば、フィルム又はマイクロカプセル等の成形物品の形態である。徐放性マトリクスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸とガンマ-エチル-L-グルタミン酸塩とのコポリマー(Sidman et al., Biopolymers 22:547, 1983)、非分解性エチレン-酢酸ビニル(Langer et al., J. Biomed. Mater. Res. 15:167, 1981)、例えばLUPRON DEPOT(商標)等の分解性乳酸-グリコール酸コポリマー(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドで構成される注入可能なミクロスフィア)、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸(欧州特許第133,988A号)を含む。また、徐放性組成物は、リポソームに封入された化合物も含み、これは、それ自体公知の方法によって調製することができる(Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 82:3688, 1985;Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 77:4030, 1980;米国特許第4,485,045号及び同第4,544,545号;並びに欧州特許第102,324A号)。通常、リポソームは、脂質含量が約30モル%超コレステロールである小さな(約200~800オングストローム)単層(unilamelar)型のものであり、選択される比率は、最適な療法に合わせて調整される。
【0115】
一例では、式Iの化合物又はその実施態様は、周囲温度、適切なpH、及び所望の純度で、生理学的に許容し得る担体、すなわち、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに対して非毒性である担体と混合することによって、ガレヌス投与形態に製剤化してよい。製剤のpHは、主に、具体的な用途及び化合物の濃度に依存するが、好ましくは、約3~約8の範囲のいずれかである。一例では、式Iの化合物(又はその実施態様)は、酢酸緩衝液中、pH5で製剤化される。別の実施態様では、式Iの化合物又はその実施態様は無菌である。該化合物は、例えば、固体又は非晶質組成物として、凍結乾燥製剤として、又は水溶液として保管してよい。
【0116】
経口投与に好適な本発明の化合物(例えば、式Iの化合物又はその実施態様)の製剤は、それぞれが所定の量の本発明の化合物を含有する、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、又は錠剤等の個別の単位として調製することができる。
【0117】
圧縮錠剤は、任意で結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、界面活性剤、又は分散剤と混合された粉末又は顆粒等の自由流動形態の活性成分を、好適な機械で圧縮することによって調製することができる。擦り込み錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状活性成分の混合物を好適な機械で成形することによって作製できる。錠剤は、任意でコーティングするか又は刻み目をつけてもよく、そして、任意で該錠剤から活性成分が持続放出又は制御放出されるように製剤化してもよい。
【0118】
経口使用のために、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ、水性又は油性の懸濁剤、分散性散剤、又は顆粒剤、乳剤、硬又は軟カプセル剤、例えば、ゼラチンカプセル剤、シロップ剤、又はエリキシル剤を調製することができる。経口使用を意図する本発明の化合物(例えば、式Iの化合物又はその実施態様)の製剤は、医薬組成物の製造について当技術分野において知られている任意の方法に従って調製することができ、そして、このような組成物は、美味な調製品を提供するために、甘味剤、着香剤、着色剤、及び保存剤を含む1種以上の剤を含有していてよい。錠剤の製造に好適な非毒性の薬学的に許容し得る賦形剤との混合物中に活性成分を含有する錠剤は、許容可能である。これら賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム又は炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム等の不活性希釈剤;トウモロコシデンプン又はアルギン酸等の造粒剤及び崩壊剤;デンプン、ゼラチン、又はアカシア等の結合剤;及びステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルク等の滑沢剤であってよい。錠剤は、コーティングしなくてもよく、消化管における崩壊及び吸収を遅延させてより長期間にわたって持続的に作用させるためにマイクロカプセル化を含む公知の技術によってコーティングしてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリル等の時間遅延材料を単独で又はワックスと共に使用してよい。
【0119】
好適な経口投与形態の例は、無水ラクトース 約90~30mg、クロスカルメロースナトリウム 約5~40mg、ポリビニルピロリドン(PVP)K30 約5~30mg、及びステアリン酸マグネシウム 約1~10mgが配合された、本発明の化合物 約1mg、5mg、10mg、25mg、30mg、50mg、80mg、100mg、150mg、250mg、300mg、及び500mgを含有する錠剤である。まず粉末状成分を混合し、次いで、PVPの溶液と混合する。得られた組成物を乾燥させ、造粒し、ステアリン酸マグネシウムと混合し、そして、従来の設備を用いて錠剤形態に圧縮してよい。エアゾール製剤の例は、例えば、本発明の化合物 5~400mgを好適な緩衝剤溶液、例えば、リン酸緩衝液に溶解させ、必要に応じて、等張化剤、例えば塩化ナトリウム等の塩を添加することによって調製することができる。該溶液を、例えば、0.2マイクロメートルのフィルタを用いて濾過して、不純物及び夾雑物を除去してよい。
【0120】
眼又は例えば口及び皮膚等の他の外部組織を処置する場合、製剤は、好ましくは、例えば0.075~20%w/wの量の活性成分を含有する局所用の軟膏剤又はクリーム剤として塗布される。軟膏剤に製剤化するとき、活性成分をパラフィン性又は水混和性の軟膏基剤のいずれかと共に使用してよい。あるいは、活性成分を水中油型クリーム基剤と共にクリーム剤に製剤化してよい。必要に応じて、クリーム基剤の水相は、多価アルコール、すなわち、プロピレングリコール、ブタン1,3-ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、及びポリエチレングリコール(PEG400を含む)、並びにこれらの混合物等の2個以上のヒドロキシル基を有するアルコールを含んでいてよい。局所製剤は、望ましくは、皮膚又は他の患部を通した活性成分の吸収又は透過を促進する化合物を含んでいてよい。このような皮膚透過促進剤の例は、ジメチルスルホキシド及び関連するアナログを含む。
【0121】
局所製剤については、処置される末梢ニューロンに隣接している、例えば、皮膚表面、粘膜等の標的領域に、有効な量の本発明に係る医薬組成物を投与することが望ましい。この量は、一般的に、処置される領域、診断、予防、又は治療のいずれに用いられるか、症状の重篤度、及び使用される局所ビヒクルの性質に依存して、塗布1回当たり本発明の化合物 約0.0001mg~約1gの範囲である。好ましい局所調製品は、軟膏基剤 1cc当たり活性成分 約0.001~約50mgを用いる軟膏である。医薬組成物は、経皮組成物又は経皮送達デバイス(「パッチ」)として製剤化してもよい。このような組成物は、例えば、裏材、活性化合物リザーバ、コントロール膜、リニア又はコンタクト型の接着剤を含む。このような経皮パッチは、必要に応じて、本発明の化合物の連続パルス送達又はオンデマンド送達を提供するために使用することができる。
【0122】
製剤は、例えば、密閉アンプル及びバイアル等の単位用量又は多用量用の容器にパッケージ化してよく、そして、使用直前に注射用に無菌液体担体、例えば水を添加するだけでよいフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管することができる。即時注射用の溶液及び懸濁液は、既に記載した種類の無菌の散剤、顆粒剤、及び錠剤から調製される。好ましい単位用量製剤は、本明細書に上記したとおりの日用量若しくは単位1日サブ用量、又はその適切な割合の活性成分を含有するものである。
【0123】
結合標的が脳内に位置する場合、本発明の特定の実施態様は、血液脳関門を通過するための式Iの化合物(又はその実施態様)を提供する。特定の神経変性疾患は、血液脳関門の透過性の増大に関連しているので、式Iの化合物(又はその実施態様)が容易に脳に導入され得る。血液脳関門が無傷のままである場合、物理的方法、脂質に基づく方法、並びに受容体及びチャネルに基づく方法を含むがこれらに限定されない、該血液脳関門を超えて分子を輸送するための当技術分野において公知のアプローチが幾つか存在する。
【0124】
血液脳関門を超えて式Iの化合物(又はその実施態様)を輸送する物理的方法は、血液脳関門全体を迂回するか、又は血液脳関門に開口部を作製することを含むが、これらに限定されない。
【0125】
迂回方法は、脳への直接注入(例えば、Papanastassiou et al., Gene Therapy 9:398-406, 2002を参照)、間質注入/対流促進送達(例えば、Bobo et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91 :2076-2080, 1994)、及び送達デバイスの脳への移植(例えば、Gill et al., Nature Med. 9:589-595, 2003;及びGliadel Wafers(商標), Guildfordを参照)を含むが、これらに限定されない。
【0126】
関門に開口部を作製する方法は、超音波(例えば、米国特許公開第2002/0038086号を参照)、浸透圧(例えば、高張マンニトールを投与することによって(Neuwelt, E. A., Implication of the Blood-Brain Barrier and its Manipulation, Volumes 1 and 2, Plenum Press, N.Y., 1989))、及び例えばブラジキニン又は透過化剤A-7による透過処理(例えば、米国特許第5,112,596号、同第5,268,164号、同第5,506,206号、及び同第5,686,416号を参照)を含むが、これらに限定されない。
【0127】
血液脳関門を超えて式Iの化合物(又はその実施態様)を輸送する脂質に基づく方法は、血液脳関門の血管内皮上の受容体に結合する抗体結合断片に結合するリポソームに式Iの化合物(又はその実施態様)を封入すること(例えば、米国特許公開第2002/0025313号を参照)、及び低密度リポタンパク質粒子(例えば、米国特許公開第2004/0204354号を参照)又はアポリポタンパク質E(例えば、米国特許公開第2004/0131692号を参照)で式Iの化合物(又はその実施態様)をコーティングすることを含むが、これらに限定されない。
【0128】
血液脳関門を超えて式Iの化合物(又はその実施態様)を輸送する受容体及びチャネルに基づく方法は、グルココルチコイド遮断剤を用いて血液脳関門の透過性を増大させること(例えば、米国特許公開第2002/0065259号、同第2003/0162695号、及び同第2005/0124533号を参照);カリウムチャネルを活性化させること(例えば、米国特許公開第2005/0089473号を参照)、ABC薬物輸送体を阻害すること(例えば、米国特許公開第2003/0073713号を参照);式Iの化合物(又はその実施態様)をトランスフェリンでコーティングし、そして、1つ以上のトランスフェリン受容体の活性を調節すること(例えば、米国特許公開第2003/0129186号を参照)、及び抗体をカチオン化すること(例えば、米国特許第5,004,697号を参照)を含むが、これらに限定されない。
【0129】
脳内で使用する場合、特定の実施態様では、該化合物は、CNSの液だめ部に注入することによって連続投与することができるが、ボーラス注入も許容可能である。阻害剤は、脳の脳室に投与してもよく、他の方法でCNS若しくは髄液に導入してもよい。投与は、留置カテーテル及びポンプ等の連続投与手段を用いることによって実施してもよく、又は例えば、徐放性ビヒクルの脳内移植等の移植によって投与してもよい。より具体的には、該阻害剤は、慢性埋め込みカニューレを通して注入してもよく、浸透圧ミニポンプを利用して慢性的に注入してもよい。脳室に小さなチューブを通してタンパク質を送達する皮下ポンプが利用可能である。高機能ポンプは、皮膚を通して補充することができ、そして、外科的介入なしでその送達速度を設定することができる。好適な投与プロトコール、及び皮下ポンプデバイス又は完全に埋め込まれた薬物送達系を通じた連続脳室内注入を含む送達系の例は、Harbaugh, J. Neural Transm. Suppl. 24:271, 1987及びDeYebenes et al., Mov. Disord. 2: 143, 1987に記載されているとおり、ドーパミン、ドーパミンアゴニスト、及びコリン作動性アゴニストをアルツハイマー病患者及びパーキンソン病の動物モデルに投与するために用いられるものである。
【0130】
適応症及び処置方法
本発明の例示的な化合物は、TRPA1活性を調節することが示されている。したがって、本発明の化合物は、TRPA1活性によって媒介される疾患及び病態を処置するために有用である。このような疾患及び病態は、疼痛(急性、慢性、炎症性、又は神経因性の疼痛);そう痒又は様々な炎症性疾患;内耳障害;発熱又は体温調節の別の障害;気管気管支又は横隔膜の機能不全;消化器又は尿路の障害;慢性閉塞性肺疾患;失禁;及びCNSへの血流低下又はCNSの低酸素状態に関連する障害を含むが、これらに限定されない。
【0131】
特定の実施態様では、本発明の化合物は、特に、神経因性及び炎症性の疼痛を含むがこれらに限定されない疼痛を処置するために医学療法として投与することができる。特定の種類の疼痛は、疾患又は障害と考えられ得るが、他の種類は、様々な疾患又は障害の症状と考えられ得、そして、疼痛は、様々な病因を含み得る。本発明に係るTRPA1調節剤で処置可能な疼痛の例示的な種類は、変形性関節症、回旋腱板障害、関節炎(例えば、関節リウマチ又は炎症性関節炎;Barton et al. Exp. Mol. Pathol. 2006, 81(2), 166-170を参照)、線維筋痛、偏頭痛、及び頭痛(例えば、群発性頭痛、副鼻腔炎性頭痛、又は緊張性頭痛;Goadsby Curr. Pain Headache Reports 2004, 8, 393を参照)、副鼻腔炎、口腔粘膜炎、歯痛、歯の外傷、抜歯、歯性感染、熱傷(Bolcskei et al., Pain 2005, 117(3), 368-376)、日焼け、皮膚炎、乾癬、湿疹、昆虫刺傷又は咬傷、筋骨格障害、骨折、靱帯のねんざ、足底筋膜炎、肋軟骨炎、腱炎、滑液包炎、テニス肘、ピッチャー肘、ジャンパー膝、反復性緊張外傷、筋筋膜症候群、筋挫傷、筋炎、顎関節障害、切断、腰痛、脊髄損傷、頸部痛、むち打ち症、膀胱痙攣、胃腸管障害、膀胱炎、間質性膀胱炎、胆嚢炎、尿路感染症、尿管仙痛、腎仙痛、咽頭炎、口唇ヘルペス、口内炎、外耳炎、中耳炎(Chan et al., Lancet, 2003, 361, 385)、口腔灼熱症候群、粘膜炎、食道痛、食道痙攣、腹部障害、胃食道逆流性疾患、膵炎、腸炎、過敏性腸疾患、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、結腸拡張、腹部収縮、憩室症、憩室炎、腸内ガス、痔、肛門裂傷、肛門直腸障害、前立腺炎、精巣上体炎、精巣痛、直腸炎、直腸痛、分娩、出産、子宮内膜症、月経痛、骨盤痛、外陰部痛、膣炎、口唇及び性器の感染症(例えば、単純ヘルペス)、胸膜炎、心膜炎、非心臓性胸痛、打撲傷、擦過傷、皮膚切開(Honore, P. et al., J Pharmacal Exp Ther., 2005, 314, 410-21)、術後痛、末梢性ニューロパシー、中枢性ニューロパシー、糖尿病性ニューロパシー、急性ヘルペス神経痛、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、舌咽神経痛、非定型顔面痛、神経根障害、HIV関連ニューロパシー、物理的神経損傷、灼熱痛、反射性交感神経性ジストロフィー、坐骨神経痛、頸部、胸部、又は腰髄の神経根症、腕神経叢障害、腰神経叢障害、神経変性障害、後頭神経痛、肋間神経痛、眼窩上神経痛、鼠径部神経痛、知覚異常性大腿神経痛、陰部大腿神経痛、手根管症候群、モートン神経腫、乳房切除後症候群、開胸術後症候群、ポリオ後症候群、ギラン・バレー症候群、レイノー症候群、冠動脈攣縮(プリンツメタル狭心症又は異型狭心症)、内臓痛覚過敏(Pomonis, J.D. et al. J. Pharmacal. Exp. Ther. 2003, 306, 387; Walker, K.M. et al., J. Pharmacal. Exp. Ther. 2003, 304(1), 56-62)、視床痛、癌(例えば、溶骨性肉腫を含む癌によって、放射線若しくは化学療法による癌の処置によって、又は癌に関連する神経若しくは骨の病変によって引き起こされる疼痛(Menendez, L. et al., Neurosci. Lett. 2005, 393 (1), 70-73; Asai, H. et al., Pain 2005, 117, 19-29を参照)、又は骨破壊痛(Ghilardi, J.R. et al., J. Neurosci. 2005, 25, 3126-31参照))、感染症、又は代謝性疾患に関連するか、由来するか、又は引き起こされる疼痛を含む。更に、該化合物は、内臓痛、眼痛、熱痛、歯痛、カプサイシン誘導性疼痛(並びに咳嗽、流涙、及び気管支痙攣等のカプサイシンによって誘導される他の症候性病態)等の疼痛適応症を処置するために用いてよい。
【0132】
別の特定の実施態様では、本発明の化合物は、皮膚科的又は炎症性の障害等の様々な原因に由来し得るそう痒を処置するために医学療法として投与してよい。
【0133】
別の特定の実施態様では、本発明の化合物は、腎疾患又は肝胆汁性疾患、免疫障害、薬物反応、及び未知の/特発性の病態からなる群から選択される障害を含む炎症性障害を処置するために医学療法として投与してよい。本発明の剤で処置可能な炎症性障害は、例えば、炎症性腸疾患(IBO)、クローン病、及び潰瘍性大腸炎(Geppetti, P. et al., Br. J. Pharmacal. 2004, 141, 1313-20; Yiangou, Y. et al., Lancet2001, 357, 1338-39; Kimball, E.S. etal., Neurogastroenterol. Motif., 2004,16, 811)、変形性関節炎(Szabo, A. et al., J. Pharmacal. Exp. Ther. 2005, 314, 111-119)、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、重症筋無力症、多発性硬化症、強皮症、糸球体腎炎、膵炎、炎症性肝炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー性鼻炎、ブドウ膜炎、並びにアテローム性動脈硬化症、心筋炎、心膜炎、及び脈管炎を含む炎症の心血管症状を含む。
【0134】
別の特定の実施態様では、本発明の化合物は、内耳障害を処置するために医学療法として投与してよい。このような障害は、例えば、聴覚過敏、耳鳴、前庭過敏、及び偶発性眩暈を含む。
【0135】
例えば、本発明の化合物は、例えば、喘息及びアレルギー関連免疫応答(Agopyan, N. et al., Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol. 2004, 286, L563-72;Agopyan, N. et al., Toxicol. Appl. Pharmacal. 2003, 192, 21-35)、咳嗽(例えば、急性若しくは慢性の咳嗽、又は胃食道逆流性疾患による刺激によって引き起こされる咳嗽;Lalloo, U.G. et al., J. Appl. Physiol. 1995, 79(4), 1082-7を参照)、気管支痙攣、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、肺気腫、及び吃逆(しゃっくり)を含む気管気管支及び横隔膜の機能不全を処置するために医学療法として投与してよい。
【0136】
別の特定の実施態様では、本発明の化合物は、例えば、膀胱の過活動、炎症性痛覚過敏、膀胱の内臓反射亢進、出血性膀胱炎(Dinis, P. et al., J Neurosci., 2004, 24, 11253-11263)、間質性膀胱炎(Sculptoreanu, A. et al., Neurosci Lett., 2005, 381, 42-46)、炎症性前立腺疾患、前立腺炎(Sanchez, M. et al., Eur J Pharmacal., 2005, 515, 20-27)、吐き気、嘔吐、腸痙攣、鼓腸、膀胱痙攣、尿意切迫、便意切迫、及び切迫性尿失禁等の消化器及び尿路の障害を処置するために医学療法として投与してよい。
【0137】
別の特定の実施態様では、本発明の化合物は、CNSへの血流低下又はCNSの低酸素状態に関連する障害を処置するために医学療法として投与してよい。このような障害は、例えば、頭部外傷、脊髄損傷、血栓塞栓性又は出血性の卒中、一過性脳虚血発作、脳血管攣縮、低血糖、心停止、てんかん重積、周産期仮死、アルツハイマー病、及びハンチントン病を含む。
【0138】
他の実施態様では、本発明の化合物は、TRPA1活性を通して媒介される他の疾患、障害、又は病態、例えば、不安;学習又は記憶の障害;眼関連障害(例えば、緑内障、視力喪失、眼圧上昇、及び結膜炎);禿頭症(例えば、発毛を刺激することによる);糖尿病(インスリン抵抗性糖尿病又はインスリンの感受性若しくは分泌によって媒介される糖尿病の病態を含む);肥満(例えば、食欲抑制を通して);消化不良;胆石仙痛;腎仙痛;膀胱痛症候群;食道の炎症;上気道疾患;尿失禁;急性膀胱炎;及び毒物注入(例えば、クラゲ、クモ、エイの毒物注入を含む、海産物、ヘビ、又は昆虫の刺傷又は咬傷)を処置するために医学療法として投与してよい。
【0139】
1つの特定の実施態様では、本発明の化合物は、疼痛(急性、慢性、神経因性、及び炎症性の疼痛を含むが、これらに限定されない)、炎症痛、そう痒、咳嗽、喘息、又は炎症性腸疾患を処置するために医学療法として投与される。
【0140】
別の実施態様では、本発明は、神経因性疼痛又は炎症痛を処置する方法であって、処置上有効な量の本明細書に記載される化合物を、それを必要としている被験体に投与する工程を含む方法を提供する。
【0141】
別の実施態様では、本発明は、TRPA1活性を調節するための、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0142】
別の実施態様では、本発明は、医学療法において使用するための、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0143】
別の実施態様では、本発明は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、アレルギー性鼻炎、及び気管支痙攣から選択される呼吸器疾患を処置する方法であって、処置上有効な量の本明細書に記載される化合物を、それを必要としている被験体に投与する工程を含む方法を提供する。
【0144】
別の実施態様では、本発明は、呼吸器疾患を治療又は予防するための、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0145】
別の実施態様では、本発明は、呼吸器疾患を治療又は予防するための医薬を調製するための、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容し得る塩の使用を提供する。
【0146】
別の実施態様では、本発明は、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容し得る塩を哺乳類に投与することを含む、哺乳類(例えば、ヒト)における呼吸器疾患を処置する方法を提供する。
【0147】
別の実施態様では、本発明は、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容し得る塩をTRPA1と接触させることを含む、TRPA1活性を調節する方法を提供する。
【0148】
別の実施態様では、本発明は、TRPA1活性によって媒介される疾患又は病態を治療又は予防するための、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。この実施態様の態様内において、該疾患又は病態は、疼痛(急性、慢性、神経因性、及び炎症性の疼痛を含むが、これらに限定されない)、そう痒、炎症性疾患、内耳障害、発熱又は体温調節の別の障害、気管気管支又は横隔膜の機能不全、消化器又は尿路の障害、慢性閉塞性肺疾患、失禁、又はCNSへの血流低下若しくはCNSの低酸素状態に関連する障害である。この実施態様の特定の態様内において、該疾患又は病態は、疼痛(急性、慢性、神経因性、及び炎症性の疼痛を含むが、これらに限定されない)、関節炎、そう痒、咳嗽、喘息、炎症性腸疾患、又は内耳障害である。
【0149】
別の実施態様では、本発明は、TRPA1活性によって媒介される疾患又は病態を治療又は予防するための医薬を調製するための、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容し得る塩の使用を提供する。この実施態様の態様内において、該疾患又は病態は、疼痛(急性、慢性、神経因性、及び炎症性の疼痛を含むが、これらに限定されない)、そう痒、炎症性疾患、内耳障害、発熱又は体温調節の別の障害、気管気管支又は横隔膜の機能不全、消化器又は尿路の障害、慢性閉塞性肺疾患、失禁、又はCNSへの血流低下若しくはCNSの低酸素状態に関連する障害である。この実施態様の態様内において、該疾患又は病態は、疼痛(急性、慢性、神経因性、及び炎症性の疼痛を含むが、これらに限定されない)、関節炎、そう痒、咳嗽、喘息、炎症性腸疾患、又は内耳障害である。
【0150】
別の実施態様では、本発明は、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容し得る塩を哺乳類に投与することを含む、哺乳類(例えば、ヒト)におけるTRPA1活性によって媒介される疾患又は病態を処置する方法を提供する。この実施態様の特定の態様内において、該疾患又は病態は、疼痛(急性、慢性、神経因性、及び炎症性の疼痛を含むが、これらに限定されない)、そう痒、炎症性疾患、内耳障害、発熱又は体温調節の別の障害、気管気管支又は横隔膜の機能不全、消化器又は尿路の障害、慢性閉塞性肺疾患、失禁、又はCNSへの血流低下若しくはCNSの低酸素状態に関連する障害である。この実施態様の特定の態様内において、該疾患又は病態は、疼痛(急性、慢性、神経因性、及び炎症性の疼痛を含むが、これらに限定されない)、関節炎、そう痒、咳嗽、喘息、炎症性腸疾患、又は内耳障害である。幾つかの実施態様では、該疾患又は病態は、喘息である。
【0151】
併用療法
本発明の化合物は、イオンチャネル媒介疾患及び病態の処置において、1つ以上の本発明の他の化合物若しくは1つ以上の他の処置剤、又はこれらの任意の組み合わせと有用に併用することができる。例えば、本発明の化合物は、以下を含むが、これらに限定されない他の処置剤と同時に、逐次、又は別個に併用投与してよい:
【0152】
麻薬性鎮痛剤、例えば、モルヒネ、ヘロイン、コカイン、オキシモルヒネ、レボルファノール、レバロルファン、オキシコドン、コデイン、ジヒドロコデイン、プロポキシフェン、ナルメフェン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、メリピジン(meripidine)、メタドン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、及びペンタゾシン。
【0153】
非麻薬性鎮痛剤、例えば、アセトメニフェン(acetomeniphen)及びサリチル酸エステル(例えば、アスピリン)。
【0154】
非ステロイド系抗炎症性薬(NSAID)、例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、セレコキシブ、ジクロフェナク、ジフルシナル(diflusinal)、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサル(flufenisal)、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、ニトロフルルビプロフェン、オルサラジン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スルファサラジン、スリンダク、トルメチン、及びゾメピラク。
【0155】
抗痙攣剤、例えば、カルバマゼピン、オキシカルバゼピン、ラモトリジン、バルプロアート、トピラマート、ガバペンチン、及びプレガバリン。
【0156】
三環系抗うつ薬等の抗うつ薬、例えば、アミトリプチリン、クロミプラミン、デスプラミン(despramine)、イミプラミン、及びノルトリプチリン。
【0157】
COX-2選択的阻害剤、例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ、バルデコキシブ、デラコキシブ、エトリコキシブ、及びルミラコキシブ。
【0158】
アルファ-アドレナリン、例えば、ドキサゾシン、タムスロシン、クロニジン、グアンファシン、デクスメタトミジン(dexmetatomidine)、モダフィニル、及び4-アミノ-6,7-ジメトキシ-2-(5-メタンスルホンアミド-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノル-2-イル)-5-(2-ピリジル)キナゾリン。
【0159】
バルビツール系鎮静剤、例えば、アモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール(butabital)、メフォバルビタール、メタルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルチタール(phenobartital)、セコバルビタール、タルブタール、テアミラール(theamylal)、及びチオペンタール。
【0160】
タキキニン(NK)アンタゴニスト、特に、NK-3、NK-2、又はNK-1のアンタゴニスト、例えば、(aR,9R)-7-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)]-8,9,10,11-テトラヒドロ-9-メチル-5-(4-メチルフェニル)-7H-[1,4]ジアゾシノ[2,1-g][1,7]-ナフチリジン-6-13-ジオン(TAK-637)、5-[[2R,3S)-2-[(1R)-1-[3,5-ビス(トリフルオロメチルフェニル]エトキシ-3-(4-フルオロフェニル)-4-モルホリニル]-メチル]-1,2-ジヒドロ-3H-1,2,4-トリアゾール-3-オン(MK-869)、アプレピタント、ラネピタント、ダピタント、又は3-[[2-メトキシ5-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-メチルアミノ]-2-フェニルピペリジン(2S,3S)。
【0161】
コールタール鎮痛剤、例えば、パラセタモール。
【0162】
セロトニン再取り込み阻害剤、例えば、パロキセチン、セルトラリン、ノルフルオキセチン(フルオキセチンデスメチル代謝物)、代謝物デメチルセルトラリン、'3フルボキサミン、パロキセチン、シタロプラム、シタロプラム代謝物デスメチルシタロプラム、エスシタロプラム、d,l-フェンフルラミン、フェモキセチン、イホキセチン、シアノドチエピン、リトキセチン、ダポキセチン、ネファゾドン、セリクラミン、トラゾドン、及びフルオキセチン。
【0163】
ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)再取り込み阻害剤、例えば、マプロチリン、ロフェプラミン、ミルタザピン、オキサプロチリン、フェゾラミン、トモキセチン、ミアンセリン、ブプロピオン、ブプロピオン代謝物ヒドロキシブプロピオン、ノミフェンシン、及びビロキサジン(Vivalan(登録商標))、特に、選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、例えば、レボキセチン、特に、(S,S)-レボキセチン、及びベンラファクシンデュロキセチン神経弛緩剤、鎮静剤/抗不安薬。
【0164】
二重セロトニン-ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、例えば、ベンラファクシン、ベンラファクシン代謝物O-デスメチルベンラファキシン、クロミプラミン、クロミプラミン代謝物デスメチルクロミプラミン、デュロキセチン、ミルナシプラン、及びイミプラミン。
【0165】
アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、例えば、ドネペジル。
【0166】
5-HT3アンタゴニスト、例えば、オンダンセトロン。
【0167】
代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)アンタゴニスト。
【0168】
局所麻酔薬、例えば、メキシレチン及びリドカイン。
【0169】
コルチコステロイド、例えば、デキサメタゾン。
【0170】
抗不整脈薬、例えば、メキシレチン及びフェニトイン。
【0171】
ムスカリンアンタゴニスト、例えば、トルテロジン、プロピベリン、塩化トロスピウム、ダリフェナシン、ソリフェナシン、テミベリン、及びイプラトロピウム。
【0172】
カンナビノイド。
【0173】
バニロイド受容体のアゴニスト(例えば、レシンフェラトキシン(resinferatoxin))又はアンタゴニスト(例えば、カプサゼピン)。
【0174】
鎮痛剤、例えば、グルテチミド、メプロバメート、メタカロン、及びジクロラルフェナゾン。
【0175】
抗不安薬、例えば、ベンゾジアゼピン系薬。
【0176】
抗うつ薬、例えば、ミルタザピン。
【0177】
局所薬、例えば、リドカイン、カプサシン(capsacin)、及びレシニフェロトキシン(resiniferotoxin)。
【0178】
筋弛緩薬、例えば、ベンゾジアゼピン、バクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メトカルバモール、及びオルフェナジン(orphrenadine)。
【0179】
抗ヒスタミン剤又はH1アンタゴニスト。
【0180】
NMDA受容体アンタゴニスト。
【0181】
5-HT受容体アゴニスト/アンタゴニスト。
【0182】
PDEV阻害剤。
【0183】
Tramadol(登録商標)。
【0184】
コリン作動性(ニコチン性(nicotinc))鎮痛剤。
【0185】
アルファ-2-デルタリガンド。
【0186】
プロスタグランジンE2サブタイプアンタゴニスト。
【0187】
ロイコトリエンB4アンタゴニスト。
【0188】
5-リポキシゲナーゼ阻害剤。
【0189】
5-HT3アンタゴニスト。
【0190】
本明細書で使用するとき、「併用」とは、本発明の1つ以上の化合物と本発明の1つ以上の他の化合物又は1つ以上の更なる処置剤との任意の混合又は交換を指す。特に明示しない限り、「併用」は、本発明の化合物を1つ以上の処置剤と同時に又は逐次送達することを含み得る。特に明示しない限り、「併用」は、本発明の化合物の剤形と別の処置剤の剤形との併用を含み得る。特に明示しない限り、「併用」は、本発明の化合物の投与経路と別の処置剤の投与経路との併用を含み得る。特に明示しない限り、「併用」は、本発明の化合物の製剤と別の処置剤の製剤との併用を含み得る。剤形、投与経路、及び医薬組成物は、本明細書に記載するものを含むが、これらに限定されない。
【0191】
実施例
式Iの化合物の一般的な調製
これら化合物の調製において用いられる出発物質及び試薬は、一般的に、Aldrich Chemical Co.等の商業的供給元から入手可能であるか、又は例えば、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis;Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-15;Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds, Elsevier Science Publishers, 1989, Volumes 1-5 and Supplementals;及びOrganic Reactions, Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-40等の参考文献に記載されている手順に従って当業者に公知の方法によって調製される。
【0192】
以下の合成反応スキームは、単に、本発明の化合物を合成することができる幾つかの方法を例示するものであり、そして、これら合成反応スキームの様々な変形例が作成され得、そして、本願に含まれる開示を参照する当業者に示唆される。
【0193】
合成反応スキームの出発物質及び中間体は、必要に応じて、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー等を含むがこれらに限定されない従来の技術を用いて単離及び精製してよい。このような物質は、物理定数及びスペクトルデータを含む従来の手段を用いて特徴付けることができる。
【0194】
逆の指定のない限り、本明細書に記載される反応は、好ましくは、約-78℃~約150℃、より好ましくは約0℃~約125℃、そして、最も好ましくはかつ簡便には、およそ室温(又は周囲温度)、例えば、約20℃の反応温度範囲で、周囲圧力にて、不活性雰囲気下で実施される。
【0195】
特定の例示的な実施態様について本明細書に叙述及び記載するが、本発明の化合物は、本明細書に概要が記載されている方法に従って及び/又は当業者が利用可能な方法によって、適切な出発物質を用いて調製することができる。
【0196】
中間体及び最終化合物は、フラッシュクロマトグラフィー、及び/又は逆相分取HPLC(高性能液体クロマトグラフィー)、及び/又は超臨界流体クロマトグラフィーによって精製した。特に記載しない限り、フラッシュクロマトグラフィーは、ISCO CombiFlash(登録商標)クロマトグラフィー装置(Teledyne Isco, Inc.製)において、ISCO又はSiliCycle製のプレパックシリカゲルカートリッジを用いて実行した。逆相分取HPLCは、(1)Polaris C-18 5μMカラム(50×21mm)、又は(2)XBridge Prep C-18 OBD 5μMカラム(19×150mm)を用いて実施した。超臨界流体クロマトグラフィーは、(1)4.6cm×5cm、3μM、(2)4.6cm×5cm、5μM、又は(3)15cm×21.2cm、5μM等のカラム寸法を有するChiral Technologies製の充填カラムChiralpak AD、Chiralpak AS、Chiralpak IA、Chiralpak IB、Chiralpak IC、Chiralcel OD、又はChiralcel OJを用いて実行した。
【0197】
質量分析(MS)は、(1)ES+モードのSciex 15質量分析計又は(2)ESI+モードのShimadzu LCMS 2020質量分析計を用いて実施した。質量スペクトルデータは、一般的に、特に指定しない限り、親イオンのみを示す。MS又はHRMSデータは、示されている特定の中間体又は化合物について提供する。
【0198】
核磁気共鳴分光分析(NMR)は、(1)Bruker AV III 300 NMR分光計、(2)Bruker AV III 400 NMR分光計、又は(3)Bruker AV III 500 NMR分光計を用いて実施し、そして、テトラメチルシランを基準として用いた。NMRデータは、示されている特定の中間体又は化合物について提供する。
【0199】
空気感受性試薬の関与する全ての反応は、不活性雰囲気下で実施した。特に指定しない限り、試薬は、商業的供給元から入手したまま用いた。
【0200】
実施例1: 中間体の調製
【0201】
調製1: (2S,4R,5S)-1-[(tert-ブトキシ)カルボニル]-4-フルオロ-5-メチルピロリジン-2-カルボン酸
全体的な調製1の反応スキームは、以下のとおりである:
【化54】
【0202】
調製1 工程1: 1-tert-ブチル 2-メチル (2S,4S)-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-5-オキソピロリジン-1,2-ジカルボキシラートの調製
【化55】

ジクロロメタン(500mL)中のTBSCl(138g、915.59mmol、1.50当量)を、ジクロロメタン(1500mL)中の1-tert-ブチル 2-メチル(2S,4S)-4-ヒドロキシピロリジン-1,2-ジカルボキシラート(150g、611.57mmol、1.00当量)及び1H-イミダゾール(83g、1.22mol、2.00当量)の溶液内に室温で滴下した。室温で一晩撹拌した後、得られた混合物を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:10)で溶離するシリカゲルカラムにより精製した。これが、標記化合物(205g、93%)を無色の油状物としてもたらした。LCMS [M+H]360; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.48 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 4.30 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 3.79 (s, 3H), 2.62 - 2.55 (m, 1H), 2.04 - 1.97 (m, 1H), 1.58 - 1.26 (m, 11H), 0.90 (s, 9H), 0.18 (s, 3H), 0.14 (s, 3H)。
【0203】
調製1 工程2: 1-tert-ブチル 2-メチル(2S,4S)-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-5-オキソピロリジン-1,2-ジカルボキシラートの調製
【化56】

酢酸エチル(1.2L)/水(1.2L)中のNaIO(279g、1.30mol、4.00当量)、ルテニウム(iv)オキシド水和物(8.7g、57.58mmol、0.20当量)、及び1-tert-ブチル 2-メチル(2S,4S)-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]ピロリジン-1,2-ジカルボキシラート(117g、325.42mmol、1.00当量)の混合物を、室温で一晩撹拌した。混合物を分離し、有機物を飽和NaSO及びブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:10)で溶離するシリカゲルカラムにより精製した。これが、標記化合物(73g、60%)を無色の油状物としてもたらした。LCMS [M+H]374; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.50 - 4.46 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 4.32 - 4.38 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 3.78 (s, 3H), 2.62 - 2.55 (m, 1H), 2.04 - 1.97 (m, 1H), 1.52 (s, 9H), 0.90 (s, 9H), 0.18 (s, 3H), 0.14 (s, 3H)。
【0204】
調製1 工程3: 1-tert-ブチル 2-メチル(2S,4S)-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-5-メチリデンピロリジン-1,2-ジカルボキシラートの調製
【化57】

CHLi(510mL、ジエチルエーテル中1.6M、11.00当量)を、窒素下、-50℃で、エーテル(1L)中のビス(シクロペンタ-1,3-ジエン-1-イル)チタニウム二塩酸塩(100g、401.67mmol、5.00当量)の懸濁液内に滴下した。得られた溶液を0℃で80分間撹拌し、水(1L)で-50℃にてクエンチした。混合物を分離し、有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。得られた溶液をトルエン(500mL)で希釈した。ほとんどのジエチルエーテルを真空下で除去した。テトラヒドロフラン(100ml)中の1-tert-ブチル 2-メチル(2S,4S)-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-5-オキソピロリジン-1,2-ジカルボキシラート(30g、80.32mmol、1.00当量)及びピリジン(25g、316.06mmol、4.00当量)の溶液を、上記溶液に室温で加えた。70℃で3時間撹拌した後、得られた溶液を室温に冷やし、石油エーテル(1L)で希釈した。固体を濾過し、液体を真空下で濃縮した。残留物を、石油エーテル/酢酸エチル(20:1)で溶離するシリカゲルカラムにより精製した。これが、標記化合物(25g、84%)を黄色の油状物としてもたらした;LCMS [M+H]372。
【0205】
調製1 工程4: 1-tert-ブチル 2-メチル(2S,4S,5S)-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-5-メチルピロリジン-1,2-ジカルボキシラートの調製
【化58】

1-tert-ブチル 2-メチル(2S,4S)-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-5-メチリデンピロリジン-1,2-ジカルボキシラート(25g、67.29mmol、1.00当量)、メタノール(800mL)及びパラジウム担持炭素(2.5g)の混合物を、水素下、室温で3時間撹拌した。固体を濾過し、液体を真空下で濃縮した。これが、標記化合物(21g、84%)を無色の油状物としてもたらし、これをさらに精製することなく次の工程に用いた。LCMS [M+H]374; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 4.27 - 4.11 (m, 2H), 3.97 - 3.81 (t, 1H), 3.71 (s, 3H), 2.35 - 2.26 (m, 1H), 2.03 - 1.91 (m, 1H), 1.45 - 1.39 (m, 9H), 1.25 - 1.15 (m, 3H), 0.87 (s, 9H), 0.04 (s, 6H)。
【0206】
調製1 工程5: 1-tert-ブチル 2-メチル(2S,4S,5S)-4-ヒドロキシ-5-メチルピロリジン-1,2-ジカルボキシラートの調製
【化59】

テトラヒドロフラン(210mL)中の1-tert-ブチル 2-メチル(2S,4S,5S)-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-5-メチルピロリジン-1,2-ジカルボキシラート(21g、56.22mmol、1.00当量)とTBAF(67mL、THF中1M、1.20当量)との混合物を、室温で2時間撹拌した。得られた溶液を酢酸エチルで希釈し、ブライン/HCl水溶液(0.1%)/水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1/10)で溶離するシリカゲルカラムにより精製した。これが、標記化合物(14g、96%)を無色の油状物としてもたらした。LCMS [M+H]260。
【0207】
調製1 工程6: 1-tert-ブチル 2-メチル(2S,4R,5S)-4-フルオロ-5-メチルピロリジン-1,2-ジカルボキシラートの調製
【化60】

DAST(41g、254.36mmol、6.00当量)を、窒素下、-78℃で、ジクロロメタン(250mL)中の1-tert-ブチル 2-メチル(2S,4S,5S)-4-ヒドロキシ-5-メチルピロリジン-1,2-ジカルボキシラート(11g、42.42mmol、1.00当量)の溶液内に滴下した。得られた溶液を室温まで放温し、48時間撹拌した。混合物を飽和重炭酸ナトリウムで0℃にてクエンチし、混合物のpH値を9に調整した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1/10)で溶離するシリカゲルカラムにより精製した。これが、標記化合物(4.2g、38%)を淡黄色の油状物としてもたらした。LCMS [M+H]262; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 4.97 - 4.75 (d, J = 51.6Hz, 1H), 4.48 - 4.06 (m, 2H), 3.75 (s, 3H), 2.58 - 2.05 (m, 2H), 1.61 - 1.42 (m, 9H), 1.28 - 1.22 (m, 3H)。
【0208】
調製1 工程7: (2S,4R,5S)-1-[(tert-ブトキシ)カルボニル]-4-フルオロ-5-メチルピロリジン-2-カルボン酸の調製
【化61】

メタノール(100mL)/水(25mL)中の1-tert-ブチル 2-メチル(2S,4R,5S)-4-フルオロ-5-メチルピロリジン-1,2-ジカルボキシラート(2.4g、9.19mmol、1.00当量)とLiOH(441mg、18.42mmol、2.01当量)との混合物を、50℃で12時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮し、混合物を水に溶解した。塩化水素(1N)で水溶液のpH値を3~5に調整した。得られた溶液を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。これが、標記化合物(2g)を淡黄色の固体としてもたらし、これをさらに精製することなく次の工程に用いた。LCMS [M+H]148; 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 5.00 - 4.86 (d, J = 51.6 Hz, 1H), 4.36 - 4.29 (m, 1H), 4.14 - 4.07 (m, 1H), 2.61 - 2.51 (m, 1H), 2.32 - 2.17 (m, 1H), 1.51 - 1.46 (m, 9H), 1.24 - 1.22 (d, J = 7.2Hz, 3H)。
【0209】
調製2: (2S,4R,5S)-4-フルオロ-1-(4-フルオロフェニルスルホニル)-5-メチル-N-((5-(トリフルオロメチル)-2-(2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)ピリジン-4-イル)メチル)ピロリジン-2-カルボキサミド
全体的な調製2の反応スキームは、以下のとおりである:
【化62】
【0210】
調製2 工程1: (2-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メタノールの調製
【化63】

窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した250mLの3口丸底フラスコ内に、テトラヒドロフラン(40mL)中の2-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-カルボン酸(4.5g、19.95mmol、1.00当量)の溶液を入れ、続いてBH.THF(1M)(40mL、2.00当量)を撹拌しながら0℃で10分かけて滴下した。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、メタノール(10mL)で0℃にてクエンチし、真空下で濃縮し、そして酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:10)で溶離したシリカゲルカラムにより精製して、[2-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]メタノール3g(粗)を白色の固体として与えた。
【0211】
調製2 工程2: (5-(トリフルオロメチル)-2-(2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)ピリジン-4-イル)メタノールの調製
【化64】

窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した3Lの3口丸底フラスコ内に、[2-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]メタノール(75.6g、357.33mmol、1.00当量)、1,4-ジオキサン(1.5L)、5-(テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2-(トリフルオロメチル)ピリミジン(110g、401.39mmol、1.20当量)、KCO(148g、1.06mol、3.00当量)、及びPd(dppf)Cl(13g、17.77mmol、0.05当量)を入れた。得られた溶液を窒素雰囲気下で100℃にて6時間撹拌し、室温まで冷やし、そして濾過した。フィルターケーキをEA(2×300mL)で洗浄した。濾液を真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1/5-1/2)で溶離したシリカゲルカラム上に適用して、[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メタノール90g(78%)を白色の固体として与えた。
【0212】
調製2 工程3: 5-[4-(クロロメチル)-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリミジンの調製
【化65】

窒素の不活性雰囲気でパージし、維持した2Lの3口丸底フラスコ内に、テトラヒドロフラン(800mL)中の[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メタノール(80g、247.53mmol、1.00当量)の溶液を入れ、続いてLiHMDS(1mol/L)(322mL、1.30当量)を撹拌しながら0℃で滴下した。混合物を0℃で1時間撹拌した。この混合物に、4-メチルベンゼン-1-スルホニルクロリド(61.2g、321.01mmol、1.30当量)を窒素雰囲気下で0℃にて数回に分けて加えた。得られた溶液を0℃~25℃で24時間撹拌し、0℃まで冷却し、水(100mL)の添加によりクエンチし、酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1/10)で溶離したシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、5-[4-(クロロメチル)-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリミジン30g(35%)を淡黄色の固体として与えた。
【0213】
調製2 工程4: [5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メタンアミン塩酸塩の調製
【化66】

200mLの密閉管内に、メタノール/NH(140mL)中の5-[4-(クロロメチル)-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-2-(トリフルオロメチル)ピリミジン(20g、58.54mmol、1.00当量)の溶液を入れた。得られた溶液を、油浴中で80℃にて5時間撹拌した。この反応を2回繰り返した。反応混合物を室温まで冷やし、真空下で濃縮した。飽和重炭酸ナトリウム水溶液で水溶液のpH値を8に調整した。得られた溶液をジクロロメタン(3×300mL)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物を、石油エーテル中の10%~30%酢酸エチルで溶離したシリカゲルカラム上に適用して、5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メタンアミン33gを淡黄色の固体として与えた。残留物を酢酸エチル(800mL)に溶解した。生成物を酢酸エチル/HCl(g)の添加により沈殿した。得られた混合物を真空下で濃縮した。固体を濾過により集めた。フィルターケーキをエーテル(3×2500mL)で洗浄し、乾燥させて、[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メタンアミン塩酸塩31g(49.5%)を白色の固体として与えた。LCMS [M+H] 323。
【0214】
調製2 工程5: (2S,3R,5S)-tert-ブチル 3-フルオロ-2-メチル-5-((5-(トリフルオロメチル)-2-(2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)ピリジン-4-イル)メチルカルバモイル)ピロリジン-1-カルボキシラートの調製
【化67】

DMF(150mL)中の(2S,4R,5S)-1-[(tert-ブトキシ)カルボニル]-4-フルオロ-5-メチルピロリジン-2-カルボン酸(14g、56.62mmol、1.00当量)、HATU(32g、84.16mmol、1.51当量)、DIEA(22g、170.22mmol、3.05当量)、及び[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メタンアミン塩酸塩(20g、55.76mmol、1.00当量)の混合物を、室温で2時間撹拌した。得られた溶液を酢酸エチルで希釈し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1/1)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標記化合物(28g、91%)を白色の固体として与えた。LCMS [M+H] 552。
【0215】
調製2 工程6: (2S,4R,5S)-4-フルオロ-5-メチル-N-((5-(トリフルオロメチル)-2-(2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)ピリジン-4-イル)メチル)ピロリジン-2-カルボキサミド塩酸塩の調製
【化68】

1,4-ジオキサン(200mL)中のtert-ブチル(2S,3R,5S)-3-フルオロ-2-メチル-5-([[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メチル]カルバモイル)ピロリジン-1-カルボキシラート(28g、50.77mmol、1.00当量)と飽和HCl(g)との混合物を、室温で12時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮して、標記化合物(22g、89%)を白色の固体として与えた。LCMS [M+H] 452。
【0216】
実施例2
(2S,4R,5S)-4-フルオロ-1-[(5-フルオロ-2-ピリジル)スルホニル]-5-メチル-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]-4-ピリジル]メチル]ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
全体的な反応スキームは、以下のとおりである:
【化69】
【0217】
工程1: 5-フルオロピリジン-2-チオールの調製
【化70】

トルエン(20mL)中の2-ブロモ-5-フルオロピリジン(20g、113.65mmol)の溶液を、窒素下、-78℃で、トルエン(300mL)中のn-BuLi(50mL、ヘキサン中2.5M、125mmol)の溶液内に滴下した。反応物を-78℃で1時間撹拌した。これに、硫黄華(3.64g、113.52mmol)を加えた。得られた混合物を-78℃で30分間撹拌し、次に自然に室温まで温め、そして室温でさらに1時間撹拌した。次に、反応物を水の添加によりクエンチした。HCl水溶液(1mol/L)で溶液のpH値を3~5に調整した。得られた混合物をジクロロメタンで抽出し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。これが、標記化合物(11g、75%)を黄色の固体としてもたらした。LCMS [M+H] 533。
【0218】
工程2: 5-フルオロピリジン-2-スルホニルクロリドの調製
【化71】

濃HCl水溶液(30mL)を、5-フルオロピリジン-2-チオール(4.5g、34.84mmol)、ジクロロメタン(100mL)、及び水(50mL)の混合物内に撹拌しながら0℃で加えた。これに、次亜塩素酸ナトリウム(60mL、14.5%有効塩素)を撹拌しながら0℃で加えた。得られた混合物を0℃で30分間撹拌した。混合物を分離し、有機溶液を冷5% Na及び冷ブラインで洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これが、ジクロロメタン中の標記化合物の冷溶液をもたらし、これをさらにいかなる精製もすることなく次の工程に用いた。
【0219】
工程3: (2S,4R,5S)-4-フルオロ-1-[(5-フルオロ-2-ピリジル)スルホニル]-5-メチル-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]-4-ピリジル]メチル]ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
【化72】

ジクロロメタン(~0.3M、100mL 工程2から)中の粗5-フルオロピリジン-2-スルホニルクロリドの冷溶液を、(2S,4R,5S)-4-フルオロ-5-メチル-N-[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メチルピロリジン-2-カルボキサミド(1.5g、3.32mmol)、TEA(931mg、9.20mmol)及びジクロロメタン(100mL)の溶液内に滴下した。得られた溶液を室温で30分間撹拌し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1/1)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標記化合物(2.3145g、15.9%)を淡黄色の固体として与えた。LCMS [M+H] 591。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.68 (s, 2H), 9.00 (s, 1H), 8.58 (s, 1H), 8.35 (s, 1H), 8.12 - 8.07 (m, 1H), 7.69 - 7.63 (m, 1H), 7.53 - 7.49 (m, 1H), 5.22 - 4.99 (m, 2H), 4.71 - 4.56 (m, 2H), 4.26 - 4.17 (m, 1H), 2.68 - 2.57 (m, 1H), 2.49 - 2.27 (m, 1H), 1.34 (d, J = 7.0 Hz, 3H)。
【0220】
実施例3
(2S,4R,5S)-4-フルオロ-5-メチル-1-(3-ピリジルスルホニル)-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]-4-ピリジル]メチル]ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
全体的な反応スキームは、以下のとおりである:
【化73】

(2S,4R,5S)-4-フルオロ-5-メチル-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メチル]ピロリジン-2-カルボキサミド塩酸塩(100mg、0.21mmol)、ジクロロメタン(5mL)、トリエチルアミン(65mg、0.64mmol)、及びピリジン-3-スルホニルクロリド(60mg、0.34mmol)の混合物を、室温で1時間撹拌した。得られた混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(3:1)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標記化合物(45.1mg、37%)を白色の固体として与えた。LCMS [M+H] 593。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.71 (s, 2H), 9.38 (s, 1H), 9.02 (s, 1H), 8.95 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 8.38 (s, 1H), 8.32 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.68 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 5.08 (d, J = 18.5 Hz, 1H), 4.84 - 4.64 (m, 2H), 4.44 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 4.14 (dt, J = 21.0, 7.2 Hz, 1H), 2.63 - 2.53 (m, 1H), 2.35 (dt, J = 43.2, 11.7 Hz, 1H), 1.42 (s, 3H)。
【0221】
実施例4
(2S,4R,5S)-1-[(5-クロロ-3-ピリジル)スルホニル]-4-フルオロ-5-メチル-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]-4-ピリジル]メチル]ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
全体的な反応スキームは、以下のとおりである:
【化74】
【0222】
工程1: 5-クロロピリジン-3-スルホニルクロリドの調製
【化75】

塩化チオニル(2.4mL、33.08mmol)を、水(17mL)内に0℃で滴下した。次に、混合物を室温で12時間撹拌した。これに続いてCuCl(9mg、0.091mmol)を室温で加え、次に0℃まで冷却した。分離したフラスコ中の濃HCl(7.8mL)を、温度を30℃未満に維持して、5-クロロピリジン-3-アミン(1g、7.78mmol)内に滴下した。次に、混合物を-5℃に冷却した。水(2.3mL)中のNaNO(589mg、8.54mmol)の溶液を、反応混合物内に-5℃~0℃で滴下した。次に、反応物を-2℃で10分間撹拌した。この混合物を、CuCl混合物に-5℃で撹拌しながら滴下した。得られた混合物を-5~0℃で75分間撹拌した。沈殿物を濾過により集め、水で洗浄し、そして真空下で乾燥させた。これが、標記化合物(870mg、53%)を灰色の固体としてもたらし、これをさらにいかなる精製もすることなく次の工程に用いた。
【0223】
工程2: (2S,4R,5S)-1-[(5-クロロ-3-ピリジル)スルホニル]-4-フルオロ-5-メチル-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]-4-ピリジル]メチル]ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
【化76】

(2S,4R,5S)-4-フルオロ-5-メチル-N-[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メチルピロリジン-2-カルボキサミド塩酸塩(100mg、0.22mmol)、ジクロロメタン(10mL)、TEA(62mg、0.61mmol)、及び5-クロロピリジン-3-スルホニルクロリド(87mg、0.41mmol)の混合物を、室温で2時間撹拌した。得られた溶液を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(4:1)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標記化合物(62.2mg、24%)を白色の固体として与えた。LCMS[M+H] 627。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.72 (s, 2H), 9.05 (s, 1H), 9.01 - 8.95 (m, 1H), 8.86 (s, 1H), 8.32 (s, 1H), 8.17 (m, 1H), 7.35 - 7.29 (m, 1H), 5.20 - 5.14 (m, 1H), 4.88 - 4.74 (m, 1H), 4.67 - 4.61 (m, 1H), 4.38 - 4.34 (m, 1H), 4.38 - 4.11 (m, 1H), 2.69 - 2.63 (m, 1H), 2.45 - 2.30 (m, 1H), 1.42 (d, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0224】
実施例5
(2S,4R,5S)-1-(4-クロロフロ[3,2-c]ピリジン-2-イル)スルホニル-4-フルオロ-5-メチル-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]-4-ピリジル]メチル]ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
全体的な反応スキームは、以下のとおりである:
【化77】
【0225】
工程1: 4-クロロフロ[3,2-c]ピリジン-2-スルホニルクロリドの調製
【化78】

n-BuLi(6mL、63.70mmol)を、窒素下で、テトラヒドロフラン(50mL)中の4-クロロフロ[3,2-c]ピリジン(2g、13.02mmol)の溶液内に-40℃で撹拌しながら滴下した。得られた溶液を-40℃で1時間撹拌した。上記混合物に、二酸化硫黄(ガス)を30分間導入した。得られた溶液を室温で1.5時間撹拌した。生成物をヘキサンの添加により沈殿した。固体を濾過により集め、次にDCM(80mL)を用いて溶解した。上記溶液に、NCS(2.1g、15.73mmol)を加えた。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。混合物を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮して、標記化合物(2.3g、70%)を黄色の固体として与え、これをさらにいかなる精製もすることなく次の工程に用いた。
【0226】
工程2: (2S,4R,5S)-1-(4-クロロフロ[3,2-c]ピリジン-2-イル)スルホニル-4-フルオロ-5-メチル-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]-4-ピリジル]メチル]ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
【化79】

(2S,4R,5S)-4-フルオロ-5-メチル-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メチル]ピロリジン-2-カルボキサミド(100.00mg、0.22mmol)、ジクロロメタン(1.41mL)、TEA(67.26mg、0.67mmol)、及び4-クロロフロ[3,2-c]ピリジン-2-スルホニルクロリド(55.85mg、0.22mmol)の混合物を、室温で1時間撹拌した。得られた溶液を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:3)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標記化合物(100mg、68%)を白色の固体として与えた。LCMS [M+H] 667。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.66 (s, 2H), 9.02 (s, 1H), 8.48 (d, J = 5.9 Hz, 1H), 8.25 (s, 1H), 7.62 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 7.51 (dd, J = 5.8, 0.9 Hz, 1H), 7.23 - 7.20 (m, 1H), 5.15 (dd, J = 17.7, 7.6 Hz, 1H), 4.83 - 4.58 (m, 3H), 4.29 (dd, J = 20.6, 7.0 Hz, 1H), 2.84 - 2.63 (m, 1H), 2.50 - 2.34 (m, 1H), 1.42 (d, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0227】
実施例6
(2S,4R,5S)-4-フルオロ-1-フロ[3,2-c]ピリジン-2-イルスルホニル-5-メチル-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]-4-ピリジル]メチル]ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
全体的な反応スキームは、以下のとおりである:
【化80】

(2S,4R,5S)-1-[4-クロロフロ[3,2-c]ピリジン-2-スルホニル]-4-フルオロ-5-メチル-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メチル]ピロリジン-2-カルボキサミド(100.00mg、0.15mmol)、メタノール(5mL)及びパラジウム担持炭素(15.96mg、0.15mmol)の混合物を、室温で2時間撹拌した。固体を濾過した。この溶液を真空下で濃縮した。残留物を、DCM:MeOH(20:1)を用いたシリカゲルカラム上に適用して、標記化合物15.3mg(16%)を白色の固体として与えた。LCMS [M+H] 633。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.72 (s, 2H), 9.30 (s, 1H), 8.81 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 8.32 (s, 1H), 8.08 - 7.72 (m, 2H), 7.51 (s, 1H), 5.22 - 4.62 (m, 4H), 4.35 (dd, J = 20.4, 7.2 Hz, 1H), 2.81 - 2.22 (m, 2H), 1.47 (s, 3H)。
【0228】
実施例7
(2S,4R,5S)-1-[(5-クロロ-2-ピリジル)スルホニル]-4-フルオロ-5-メチル-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]-4-ピリジル]メチル]ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
全体的な反応スキームは、以下のとおりである:
【化81】
【0229】
工程1: 2-(ベンジルスルファニル)-5-クロロピリジンの調製
【化82】

5-クロロ-2-フルオロピリジン(2g、15.21mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(40mL)、フェニルメタンチオール(2g、16.10mmol)、及びCsCO(7.52g、23.08mmol)の混合物を、室温で16時間撹拌した。得られた溶液を60℃で6時間撹拌した。固体を濾過した。残留物を酢酸エチルに溶解し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:10)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標記化合物(3g、83.7%)を無色の油状物として与えた。LCMS[M+H] 236。
【0230】
工程2: 5-クロロピリジン-2-スルホニルクロリドの調製
【化83】

濃HCl水溶液(6mL)を、2-(ベンジルスルファニル)-5-クロロピリジン(1g、4.24mmol)、ジクロロメタン(30mL)、及び水(15mL)の混合物内に0℃で滴下した。これに、次亜塩素酸ナトリウム(12mL、14.5%有効塩素)を0℃で滴下した。得られた混合物を0℃で10分間撹拌した。ジクロロメタン層中の標記化合物の溶液を素早く分離し、さらにいかなる精製もすることなく次の工程にそのまま用いた。
【0231】
工程3: (2S,4R,5S)-1-[(5-クロロ-2-ピリジル)スルホニル]-4-フルオロ-5-メチル-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]-4-ピリジル]メチル]ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
【化84】

ジクロロメタン中の5-クロロピリジン-2-スルホニルクロリドの冷溶液を、(2S,4R,5S)-4-フルオロ-5-メチル-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メチル]ピロリジン-2-カルボキサミド(100mg、0.22mmol)、ジクロロメタン(10mL)、及びTEA(66.9mg、0.66mmol)の混合物内に滴下した。得られた溶液を、氷/塩浴中で0℃にて5分間撹拌した。次に、反応物を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/ヘキサン(1:3)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標記化合物(32mg、23%)を白色の固体として与えた。LCMS[M+H] 627。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.69 (s, 2H), 9.01 (s, 1H), 8.69 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 8.35 (s, 1H), 7.98 (dt, J = 8.4, 5.3 Hz, 2H), 7.54 (s, 1H), 5.20 - 5.02 (m, 2H), 4.71 (ddd, J = 34.4, 22.3, 3.8 Hz, 2H), 4.31 - 4.11 (m, 1H), 2.78 - 2.56 (m, 1H), 2.55 - 2.28 (m, 1H), 1.35 (d, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0232】
実施例8
(2S,4R,5S)-4-フルオロ-1-[(3-フルオロ-2-ピリジル)スルホニル]-5-メチル-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]-4-ピリジル]メチル]ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
全体的な反応スキームは、以下のとおりである:
【化85】
【0233】
工程1: 3-フルオロピリジン-2-チオールの調製
【化86】

トルエン中の2-ブロモ-3-フルオロピリジン(5g、28.41mmol)の溶液を、n-BuLi(12.5mL、2.5M、31.25mmol)とトルエン(80mL)との混合物内に-78℃で撹拌しながら滴下した。-78℃で30分かけて撹拌した後、硫黄(910mg、28.38mmol)を反応混合物に加えた。得られた溶液を-78℃で30分間、次に室温で1時間撹拌した。反応物を水でクエンチし、1M HCl水溶液で混合物のpH値を5に調整した。混合物をジクロロメタンで抽出し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮して、標記化合物(2.18g、59%)を黄色の固体として与えた。
【0234】
工程2: 3-フルオロピリジン-2-スルホニルクロリドの調製
【化87】

濃HCl水溶液(6mL)を、3-フルオロピリジン-2-チオール(1g、7.74mmol)、ジクロロメタン(30mL)、及び水(15mL)の混合物内に0℃で撹拌しながら滴下した。これに、次亜塩素酸ナトリウム(12mL、14.5%有効塩素)を0℃で撹拌しながら滴下した。得られた混合物を0℃で10分間撹拌した。ジクロロメタン層中の標記化合物の溶液を素早く分離し、さらにいかなる精製もすることなく次の工程にそのまま次の工程に用いた。
【0235】
工程3: (2S,4R,5S)-4-フルオロ-1-[(3-フルオロ-2-ピリジル)スルホニル]-5-メチル-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]-4-ピリジル]メチル]ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
【化88】

ジクロロメタン中の粗3-フルオロピリジン-2-スルホニルクロリドの冷溶液を、(2S,4R,5S)-4-フルオロ-5-メチル-N-[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メチルピロリジン-2-カルボキサミド塩酸塩(100mg、0.21mmol)、ジクロロメタン(10mL)、及びTEA(62mg、0.61mmol)の混合物内に滴下した。反応物を室温で2時間撹拌した。得られた溶液を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1/1)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標記化合物(29.7mg、12%)を白色の固体として与えた。LCMS [M+H] 611。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.73 (s, 2H), 9.01 (s, 1H), 8.60 (dt, J = 4.3, 1.5 Hz, 1H), 8.36 (s, 1H), 7.78 - 7.63 (m, 2H), 7.52 (s, 1H), 5.15 (dd, J = 17.8, 7.7 Hz, 1H), 4.93 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 4.82 (dd, J = 51.2, 3.3 Hz, 1H), 4.64 (dd, J = 17.6, 4.7 Hz, 1H), 4.48 - 4.36 (m, 1H), 2.75 - 2.60 (m, 1H), 2.55 - 2.33 (m, 1H), 1.39 (d, J = 7.0 Hz, 3H)。
【0236】
実施例9
(2S,4R,5S)-1-(5-シアノピリジン-2-イルスルホニル)-4-フルオロ-5-メチル-N-((5-(トリフルオロメチル)-2-(2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)ピリジン-4-イル)メチル)ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
全体的な反応スキームは、以下のとおりである:
【化89】
【0237】
工程1: 6-(ベンジルスルファニル)ピリジン-3-カルボニトリルの調製
【化90】

6-クロロピリジン-3-カルボニトリル(2.5g、18.04mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(40mL)、フェニルメタンチオール(2.23g、17.95mmol)、及びCsCO(7.08g、21.73mmol)の混合物を、室温で一晩撹拌した。温度を油浴中、60℃で維持しながら、得られた溶液をさらに6時間撹拌した。固体を濾過した。得られた溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:3)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標記化合物(3.8g、93%)を白色の固体として与えた。LCMS[M+H] 227。
【0238】
工程2: 5-シアノピリジン-2-スルホニルクロリドの調製
【化91】

濃HCl水溶液(6mL)を、6-(ベンジルスルファニル)ピリジン-3-カルボニトリル(1g、4.42mmol)、ジクロロメタン(30mL)、及び水(15mL)の混合物内に0℃で撹拌しながら滴下した。これに、次亜塩素酸ナトリウム(12mL、14.5%有効塩素)を0℃で撹拌しながら滴下した。得られた混合物を0℃で10分間撹拌した。ジクロロメタン層中の標記化合物の溶液を素早く分離し、さらにいかなる精製もすることなくそのまま次の工程に用いた。
【0239】
工程3: (2S,4R,5S)-1-(5-シアノピリジン-2-イルスルホニル)-4-フルオロ-5-メチル-N-((5-(トリフルオロメチル)-2-(2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)ピリジン-4-イル)メチル)ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
【化92】

ジクロロメタン中の粗5-シアノピリジン-2-スルホニルクロリドの冷溶液を、(2S,4R,5S)-4-フルオロ-5-メチル-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メチル]ピロリジン-2-カルボキサミド(100mg、0.21mmol)、ジクロロメタン(10mL)、及びTEA(64.88mg、0.641mmol)の混合物内に0℃で滴下した。得られた溶液を氷/塩浴中で0℃にて10分間撹拌した。次に、反応物を水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:1)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標記化合物(17.0mg、12.4%)を白色の固体として与えた。LCMS[M+H] 618。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.68 (s, 2H), 9.13 - 8.90 (m, 2H), 8.41 - 8.23 (m, 2H), 8.18 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 28.1 Hz, 1H), 5.11 (dd, J = 16.3, 7.6 Hz, 2H), 4.88 - 4.60 (m, 2H), 4.27 - 4.09 (m, 1H), 2.81 - 2.56 (m, 1H), 2.56 - 2.33 (m, 1H), 1.37 (d, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0240】
実施例10
(2S,4R,5S)-N-((5-クロロ-2-(2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)ピリジン-4-イル)メチル)-4-フルオロ-1-(5-フルオロピリジン-2-イルスルホニル)-5-メチルピロリジン-2-カルボキサミドの調製
全体的な反応スキームは、以下のとおりである:
【化93】

ジクロロメタン中の粗5-フルオロピリジン-2-スルホニルクロリド(~0.3M、5mL、実施例2、工程2に従って調製した)の冷溶液を、(2S,4R,5S)-N-([5-クロロ-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メチル)-4-フルオロ-5-メチルピロリジン-2-カルボキサミド塩酸塩(100mg、0.24mmol)、ジクロロメタン(10mL)、及びTEA(72mg、0.71mmol)の混合物内に0℃で滴下した。得られた溶液を、氷/塩浴中で0℃にて10分間撹拌した。次に、反応物を水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:1)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標記化合物(24.1mg、17%)を白色の固体として与えた。LCMS[M+H] 577。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.62 (s, 2H), 8.71 (s, 1H), 8.60 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.20 (s, 1H), 8.11 (dd, J = 8.6, 4.1 Hz, 1H), 7.75 - 7.60 (m, 1H), 7.54 (s, 1H), 5.10 - 4.92 (m, 2H), 4.76 (dd, J = 25.6, 3.2 Hz, 1H), 4.53 (dd, J = 17.9, 5.1 Hz, 1H), 4.23 (dd, J = 22.2, 6.9 Hz, 1H), 2.73 - 2.52 (m, 1H), 2.52 - 2.29 (m, 1H), 1.35 (d, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0241】
実施例11
(2S,4R,5S)-N-(2-シアノ-5-(2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)ベンジル)-4-フルオロ-1-(5-フルオロピリジン-2-イルスルホニル)-5-メチルピロリジン-2-カルボキサミドの調製
全体的な反応スキームは、以下のとおりである:
【化94】

ジクロロメタン中の粗5-フルオロピリジン-2-スルホニルクロリド(~0.3M、10mL、実施例2、工程2に従って調製した)の冷溶液を、(2S,4R,5S)-N-([2-シアノ-5-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]フェニル]メチル)-4-フルオロ-5-メチルピロリジン-2-カルボキサミド塩酸塩(230mg、0.57mmol)、ジクロロメタン(20mL)、及びTEA(171mg、1.69mmol)の混合物内に0℃で滴下した。得られた溶液を室温で1時間撹拌し、水で希釈し、ジクロロメタンで抽出し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/酢酸エチル(2/1)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標記化合物(82.2mg、26%)を白色の固体として与えた。LCMS [M+H] 567。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.22 (s, 2H), 8.59 (s, 1H), 8.12 - 8.01 (m, 2H), 7.87 (s, 1H), 7.70 - 7.61 (m, 2H), 7.57 (m, 1H), 5.12 - 5.06 (m, 1H), 5.00- 4.96 (m, 1H), 4.83 - 4.69 (m, 2H), 2.70 - 2.33 (m, 2H), 1.34 (d, J = 7.0 Hz, 3H)。
【0242】
実施例12
(2S,4R,5S)-4-フルオロ-1-(5-フルオロピリジン-2-イルスルホニル)-5-メチル-N-((5-(トリフルオロメトキシ)-2-(2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)ピリジン-4-イル)メチル)ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
全体的な反応スキームは、以下のとおりである:
【化95】

ジクロロメタン中の5-フルオロピリジン-2-スルホニルクロリド(~0.3M、5mL、実施例2、工程2に従って調製した)の冷溶液を、(2S,4R,5S)-4-フルオロ-5-メチル-N-[[5-(トリフルオロメトキシ)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メチル]ピロリジン-2-カルボキサミド塩酸塩(100mg、0.21mmol)、ジクロロメタン(10mL)、及びTEA(64.88mg、0.64mmol)の混合物内に0℃で滴下した。得られた溶液を、氷/塩浴中で0℃にて10分間撹拌した。次に、反応物を水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:1)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標記化合物(17.7mg、13%)を白色の固体として与えた。LCMS[M+H] 627。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.63 (s, 2H), 8.70 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 8.60 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.27 (s, 1H), 8.11 (dd, J = 8.7, 4.2 Hz, 1H), 7.74 - 7.62 (m, 1H), 7.51 - 7.41 (m, 1H), 5.11 - 4.95 (m, 2H), 4.76 (dd, J = 51.5, 3.1 Hz, 1H), 4.54 (dd, J = 17.7, 5.0 Hz, 1H), 4.30 - 4.14 (m, 1H), 2.74 - 2.56 (m, 1H), 2.52 - 2.27 (m, 1H), 1.35 (d, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0243】
実施例13
(2S,4R,5S)-4-フルオロ-N-((5-フルオロ-2-(2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)ピリジン-4-イル)メチル)-1-(5-フルオロピリジン-2-イルスルホニル)-5-メチルピロリジン-2-カルボキサミドの調製
全体的な反応スキームは、以下のとおりである:
【化96】

ジクロロメタン中の粗5-フルオロピリジン-2-スルホニルクロリド(~0.3M、5mL、実施例2、工程2に従って調製した)の冷溶液を、(2S,4R,5S)-4-フルオロ-N-([5-フルオロ-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メチル)-5-メチルピロリジン-2-カルボキサミド塩酸塩(100mg、0.25mmol)、ジクロロメタン(20mL)、及びTEA(76mg、0.75mmol)の混合物内に0℃で滴下した。得られた溶液を室温で60分間撹拌した。得られた溶液を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(100/1)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標記化合物(38.5mg、28%)を白色の固体として与えた。LCMS[M+H] 561。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.58 (s, 2H), 8.59 (d, J = 3.4 Hz, 2H), 8.19 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 8.11 (dd, J = 8.6, 4.2 Hz, 1H), 7.67 (td, J = 8.3, 2.8 Hz, 1H), 7.49 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 5.09 - 4.93 (m, 2H), 4.76 (dd, J = 52, 2.8 Hz, 1H), 4.55 (dd, J= 17.4, 5.0 Hz, 1H), 4.23 (dt, J= 20.6, 7.2 Hz, 1H), 2.71 - 2.56 (m, 1H), 2.52 - 2.31 (m, 1H), 1.34 (d, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0244】
実施例14
(2S,4R,5S)-N-((5-シアノ-2-(2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)ピリジン-4-イル)メチル)-4-フルオロ-1-(5-フルオロピリジン-2-イルスルホニル)-5-メチルピロリジン-2-カルボキサミドの調製
全体的な反応スキームは、以下のとおりである:
【化97】

ジクロロメタン中の粗5-フルオロピリジン-2-スルホニルクロリド(~0.3M、5mL、実施例2、工程2に従って調製した)の冷溶液を、(2S,4R,5S)-N-([5-シアノ-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メチル)-4-フルオロ-5-メチルピロリジン-2-カルボキサミド塩酸塩(200mg、0.49mmol)、ジクロロメタン(20mL)、及びTEA(136mg、1.34mmol)の混合物内に0℃で滴下した。得られた溶液を室温で30分間撹拌した。得られた溶液を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/酢酸エチル(1/1)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標記化合物(65.7mg、24%)を白色の固体として与えた。LCMS[M+H] 568。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.69 (s, 2H), 8.99 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 8.61 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 8.36 (s, 1H), 8.12 (dd, J = 8.6, 4.1 Hz, 1H), 7.69 (ddd, J = 8.7, 7.7, 2.8 Hz, 1H), 7.57 (t, J = 6.3 Hz, 1H), 5.21 - 5.01 (m, 2H), 4.78 (dd, J= 51.3, 3.3 Hz, 1H), 4.69 - 4.59 (m, 1H), 4.27 - 4.15 (m, 1H), 2.67 (td, J = 18.0, 16.7, 8.1 Hz, 1H), 2.50 - 2.27 (m, 1H), 1.37 (d, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0245】
実施例15
(2S,4R,5S)-N-((2-(ジフルオロメチル)-5-(2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)ピリジン-3-イル)メチル)-4-フルオロ-1-(5-フルオロピリジン-2-イルスルホニル)-5-メチルピロリジン-2-カルボキサミドの調製
全体的な反応スキームは、以下のとおりであった:
【化98】

ジクロロメタン中の粗5-フルオロピリジン-2-スルホニルクロリド(~0.3M、5mL、実施例2、工程2に従って調製した)の冷溶液を、(2S,4R,5S)-N-[2-(ジフルオロメチル)-5-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-3-イル]メチル-4-フルオロ-5-メチルピロリジン-2-カルボキサミド塩酸塩(90mg、0.21mmol)、ジクロロメタン(20mL)、及びTEA(63mg、0.62mmol)の混合物内に0℃で滴下した。得られた溶液を室温で0.5時間撹拌した。得られた溶液を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1/1)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標記化合物(59.5mg、24%)を白色の固体として与えた。LCMS[M+H] 593。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.25 (s, 2H), 8.82 - 8.76 (m, 1H), 8.57 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.43 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 8.07 (dd, J = 8.7, 4.2 Hz, 1H), 7.65 (ddd, J = 8.7, 7.7, 2.8 Hz, 1H), 7.48 (t, J = 6.5 Hz, 1H), 6.85 (t, J = 54.4 Hz, 1H), 5.16 (dd, J = 16.8, 7.7 Hz, 1H), 4.97 (dd, J = 9.4, 8.2 Hz, 1H), 4.81 (t, J = 3.7 Hz, 1H), 4.73 (dd, J = 31.7, 4.1 Hz, 1H), 4.21 (dq, J = 20.7, 7.0 Hz, 1H), 2.70 - 2.54 (m, 1H), 2.48 - 2.30 (m, 1H), 1.33 (d, J= 7.1 Hz, 3H)。
【0246】
実施例16
(2S,4R,5S)-4-フルオロ-1-(5-フルオロピリジン-2-イルスルホニル)-5-メチル-N-((2-(トリフルオロメチル)-5-(2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)ピリジン-3-イル)メチル)ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
全体的な反応スキームは、以下のとおりである:
【化99】

ジクロロメタン中の粗5-フルオロピリジン-2-スルホニルクロリド(~0.3M、5mL、実施例2、工程2に従って調製した)の冷溶液を、(2S,4R,5S)-4-フルオロ-5-メチル-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メチル]ピロリジン-2-カルボキサミド(100mg、0.21mmol)、ジクロロメタン(10mL)、及びTEA(64.88mg、0.64mmol)の混合物内に0℃で滴下した。得られた溶液を、氷/塩浴中で0℃にて10分間撹拌した。次に、反応物を水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:1)で溶離するシリカゲルカラムにより精製した。これが、標記化合物(22.9mg、16.9%)を白色の固体としてもたらした。LCMS [M+H] 611。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.27 (s, 2H), 8.87 (d, J= 2.1 Hz, 1H), 8.58 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.50 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 8.08 (dd, J = 8.6, 4.2 Hz, 1H), 7.66 (ddd, J = 8.7, 7.7, 2.8 Hz, 1H), 7.49 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 5.14 (dd, J = 17.0, 7.6 Hz, 1H), 5.01 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 4.77 (dd, J = 42.8, 4.1 Hz, 1H), 4.68 (dd, J = 8.3, 4.2 Hz, 1H), 4.27 - 4.15 (m, 1H), 2.71 - 2.55 (m, 1H), 2.51 - 2.29 (m, 1H), 1.33 (d, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0247】
実施例17
(2S,4R,5S)-4-フルオロ-1-(6-フルオロピリジン-3-イルスルホニル)-5-メチル-N-((5-(トリフルオロメチル)-2-(2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)ピリジン-4-イル)メチル)ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
全体的な反応スキームは、以下のとおりである:
【化100】
【0248】
工程1: 5-(ベンジルスルファニル)-2-フルオロピリジンの調製
【化101】

5-ブロモ-2-フルオロピリジン(3g、17.05mmol)、トルエン(30mL)、DIEA(6.57g、50.83mmol)、フェニルメタンチオール(2.32g、18.68mmol)、XantPhos(1.5g、2.59mmol)、及びPd2(dba)(880mg、0.96mmol)の混合物を、窒素下、油浴中で110℃にて3時間撹拌した。得られた混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:10)で溶離するシリカゲルカラムにより精製して、標記化合物(2.6g、70%)を黄色の油状物として与えた。
【0249】
工程2: 6-フルオロピリジン-3-スルホニルクロリドの調製
【化102】

濃塩化水素(6mL)を、5-(ベンジルスルファニル)-2-フルオロピリジン(1g、4.56mmol)、ジクロロメタン(30mL、471.90mmol)、及び水(15mL、832.63mmol)の混合物内に0℃で撹拌しながら滴下した。この溶液に、次亜塩素酸ナトリウム(12mL、14.5%有効塩素)を0℃で撹拌しながら滴下した。得られた混合物を0℃で30分間撹拌した。混合物を分離し、有機溶液を冷5% Na及び冷ブラインで洗浄し、そして無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これが、ジクロロメタン中の標記化合物の冷溶液をもたらし、これをさらにいかなる精製もすることなく次の工程に用いた。
【0250】
工程3: (2S,4R,5S)-4-フルオロ-1-(6-フルオロピリジン-3-イルスルホニル)-5-メチル-N-((5-(トリフルオロメチル)-2-(2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル)ピリジン-4-イル)メチル)ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
【化103】

ジクロロメタン中の粗6-フルオロピリジン-3-スルホニルクロリド(~0.15M、10mL、工程2から調製した)の冷溶液を、(2S,4R,5S)-4-フルオロ-5-メチル-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-イル]ピリジン-4-イル]メチル]ピロリジン-2-カルボキサミド塩酸塩(100mg、0.21mmol)、ジクロロメタン(10mL)、及びTEA(64.88mg、0.64mmol)の混合物内に0℃で滴下した。得られた溶液を、氷/塩浴中で0℃にて10分間撹拌した。次に、反応物を水の添加でクエンチし、ジクロロメタンで抽出し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:1)で溶離するシリカゲルカラムにより精製した。これが、標記化合物(17.0mg、12.4%)を白色の固体としてもたらした。LCMS [M+H] 611。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.68 (s, 2H), 9.06 - 9.00 (m, 1H), 8.82 - 8.76 (m, 1H), 8.34 - 8.26 (m, 2H), 7.34 - 7.31(m, 1H), 7.18 (dd, J = 8.6, 2.8 Hz, 1H), 5.19 (dd, J = 17.7, 8.1 Hz, 1H), 4.81 (dd, J= 51.1, 3.0 Hz, 1H), 4.61 (dd, J= 17.6, 4.8 Hz, 1H), 4.32 (dd, J= 9.9, 7.9 Hz, 1H), 4.19 - 4.07 (m, 1H), 2.73 - 2.62 (m, 1H), 2.34 (dddd, J = 43.5, 15.0, 9.9, 3.2 Hz, 1H), 1.42 (d, J = 7.0 Hz, 3H)。
【0251】
実施例18
例示した化合物のIC50の決定
ヒト及びラットのTRPA1チャネルに対する化合物のIC50(有効濃度)を、FLIPR Tetra装置を用いて決定した。TRPA1を発現しているCHO細胞を384ウェルプレートにプレーティングし、37℃で一晩インキュベートし、そして、37℃で1時間、続いて室温で15分間、BDカルシウム指示色素をロードした。アッセイバッファは、0.02% BSAと共に20mM HEPES(pHを7.4に再調整)を含有するハンクス平衡塩類溶液(HBSS)であった。
【0252】
色素をロードし、そして、プレートを冷却した後、FLIPR Tetraを用いて化合物を細胞に添加した。次いで、プレートを化合物と共に室温で20分間インキュベートした後、アゴニストを添加した。このインキュベート後、約EC80濃度の桂皮アルデヒド(ヒトTRPA1については75μM及びラットTRPA1については45μM)を添加してチャネルを活性化し、そして、桂皮アルデヒド誘導性のカルシウム流入のブロックを測定した。
【0253】
ヒル係数(n)を1.5に固定しながら、IC50の結果を標準的なヒル関数に当てはめた。ヒル係数の固定は、一般的に、IC50決定のばらつきを低減する。IC50を個々に調べて、最低点及び最高点が正確に設定されていることを確認した後、結果を検証した。
【0254】
本開示の化合物のIC50(hTRPA1 IC50(マイクロモラー))、プロトンNMRのデータ、及びLCMSの結果を以下の表1に示し、表中、「hTRPA1」はhTRPA1 CHO Ca2+ AUC EVO(IC50)を指す。
【0255】
【表1】



【0256】
実施例19:比較薬物動態
本開示のスルホニルピリジル化合物について特定の薬物動態属性を評価した。結果を以下の表3に示し、表中、「hTRPA1」は、IC50(nM)を指し;「hPPB」は、ヒトタンパク質血漿結合(パーセント)を指し;「補正されたIC50」は、hPPBに対して補正されたhTRPA1値を指し;「HLM-CLhep」は、ヒト肝ミクロソームのクリアランス(mL/分/kg)を指し;「K.Sol」は、推定水溶解度(μM)を指し;そして、「NR」は、未実施を指す。表4は、表3の化合物と対応する構造との間の対応関係の表である。
【0257】
ヒトタンパク質血漿結合は、Banker et al., "Plasma / Serum Protein Binding Determinations," Current Drug Metabolism (2008), 9, 854-859及びKariv et al., "Development of a high throughput equilibrium dialysis method," J. Pharm Sci. (2001) May;90(5):580-87に記載の方法に従って、更にWyatt、Cerep、Cyprotex及びその他によって市販されているアッセイキットを使用して測定することができる。
【0258】
補正されたhTRPA1 IC50(nM)を以下の式を用いて計算した:
(hTRPA1 IC50)/(100-hPPB/100)。
例えば、hTRPA1が7.9nMであり、そして、hPPBが95.1%である場合、補正されたIC50 161nMは、以下のとおり計算される:(7.9)/(100-95.1/100)=161。
【0259】
ヒト肝ミクロソームのクリアランス(mL/分/kg)は、Ackley et al, "Metabolic Stability Assessed by Liver Microsomes and Hepatocytes", in "Optimization in Drug Discovery" in the "Methods in Pharmacology and Toxicology" series (ISSN 1557-2153), pp. 151-162 (Yan, Ed., Print ISBN 978-1-58829-332-9, Springer (2004)に記載の方法に従って、更に、Cerep、Cyprotex、Bd Bioscience及びその他によって市販されているアッセイキットを使用して測定することができる。
【0260】
水溶解度は、Alsenz et al., "High throughput solubility measurement in drug discovery and development," Advanced Drug Delivery Reviews (2007) 59, 546-568及びKibbey et al., "An Integrated Process for Measuring the Physicochemical Properties of Drug Candidates in a Preclinical Discovery Environment," J. Pharmaceutical Sci. (2001) 90(8), 1164-1175によって報告されている手順を使用して求めることができる。
【0261】
【表2】
【0262】
【表3】
【0263】
実施例20
比較薬物動態
本開示の範囲外の4つのスルホニルピリジル化合物(以下の化合物3~6に対する本開示の2つのスルホニルピリジル化合物(以下の化合物1及び2)の特定の薬物動態変数を評価した。結果を以下の表5に示し、表中、「h Ca2+ Max」は、ヒトCA2+ MAX IC50(μM)を指し;「HLM」は、ヒト肝ミクロソームの安定性(mL/分/kg)を指し;「GSHトラッピング」は、グルタチオントラッピングを指し;そして、「NR」は、未実施を指す。表6は、表5の化合物と対応する構造との間の対応関係の表である。
【0264】
ヒトCa2+ MAX IC50は、Molecular Devices、Abcam、Bio-Rad、Biovision、Enzo Lifesciences、Abnova、Sigma-Aldrich、又はその他によって提供されている市販のカルシウムアッセイキットのうちの1つを用いて測定することができる。
【0265】
ヒト肝ミクロソームHLMの安定性は、上記のとおりAckleyらの手順を使用して測定することができる。
【0266】
薬物有害反応を引き起こす可能性について反応性代謝物をスクリーニングするための方法におけるGSHトラッピング。反応性代謝物は、薬物化合物の生体内活性化又はタンパク質の不活化を通じた臨床毒性に関与し得る。あるこのような評価は、トラッピング試薬としてグルタチオン(GSH)を含むインビトロインキュベーションを利用する。LC/MSは、Yan et al., "Stable Isotope Trapping and High Throughput Screenings of Reactive Metabolites Using the Active MS Signature," Anal. Chem. (2004), 76, 6835-6847に記載のとおり、トラップされたグルタチオン付加物によって示される反応性中間体の形成を検出及び特性評価するために使用することができる。
【0267】
【表4】

【0268】
化合物1及び2と比べて、化合物3は、比較的高いHLMクリアランスによって示されるとおり不安定である。
【0269】
化合物1及び2と比べて、化合物4は、ヒトTRPA1に対して低い親和性を有する。
【0270】
化合物1及び2と比べて、化合物6は、ヒトTRPA1に対して低い親和性を有し、そして、比較的高いHLMクリアランスによって示されるとおり比較的不安定である。
【0271】
実施例21
例えば、ヒト、サル(例えば、カニクイザル)、ラット、及び/又はマウス等の動物実験に基づいて、上記のとおり測定された血漿タンパク質結合は、98%未満、95%未満、90%未満、又は85%未満、約80%~約98%、約80%~約95%、約80%~約90%、約98%、約95%、約90%、約85%、又は約80%であろうと考えられる。
【0272】
この記載された明細書は、最良の形態を含む本発明を開示するために実施例を使用し、そして、任意の当業者が、任意の装置又はシステムを作製及び使用すること、並びに任意の組み込まれている方法を実施することを含む本発明を実施できるようにする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定され、そして、当業者が思いつく他の例も含み得る。このような他の例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造的要素を有する場合、又は特許請求の範囲の文言とわずかな差を有する等価な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内であることを意図する。