(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】マイコバクテリア感染症の処置のためのヘテロアリールトリフルオロボレート化合物
(51)【国際特許分類】
C07F 5/02 20060101AFI20220512BHJP
A61K 31/69 20060101ALI20220512BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220512BHJP
A61P 31/06 20060101ALI20220512BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220512BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20220512BHJP
A61K 31/439 20060101ALI20220512BHJP
A61K 31/4409 20060101ALI20220512BHJP
A61K 31/7036 20060101ALI20220512BHJP
A61K 31/498 20060101ALI20220512BHJP
A61K 31/42 20060101ALI20220512BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220512BHJP
A61K 38/12 20060101ALI20220512BHJP
A61K 31/133 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
C07F5/02 B CSP
A61K31/69
A61P31/04
A61P31/06
A61P43/00 121
A61K31/496
A61K31/439
A61K31/4409
A61K31/7036
A61K31/498
A61K31/42
A61K45/00
A61K38/12
A61K31/133
(21)【出願番号】P 2019518022
(86)(22)【出願日】2017-10-05
(86)【国際出願番号】 US2017055230
(87)【国際公開番号】W WO2018067762
(87)【国際公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-08-31
(32)【優先日】2016-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518015402
【氏名又は名称】ザ グローバル アライアンス フォー ティービー ドラッグ デベロップメント, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】金子 卓史
(72)【発明者】
【氏名】フトゥヒ, ナデル
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0026196(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0082255(KR,A)
【文献】特表2016-500645(JP,A)
【文献】国際公開第2015/085909(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/097013(WO,A1)
【文献】特表2010-533674(JP,A)
【文献】特表2014-521622(JP,A)
【文献】FONTAINE, F. et al.,First Identification of Boronic Species as Novel Potential Inhibitors of the Staphylococcus aureus NorA Efflux Pump,Journal of Medicinal Chemistry,米国,2014年,57(6),pp. 2536-2548
【文献】MOLANDER, G. A. et al.,Palladium-Catalyzed Suzuki-Miyaura Cross-Coupling Reactions of Potassium Aryl- and Heteroaryltrifluoroborates,Journal of Organic Chemistry,米国,2003年,68(11),pp. 4302-4314
【文献】WILSON, P. G. et al.,Suzuki-Miyaura Coupling Reactions of Iodo(difluoroenol) Derivatives, Fluorinated Building Blocks Accessible at Near-Ambient Temperatures,Journal of Organic Chemistry,米国,2012年,77(15),pp. 6384-6393
【文献】SCHIMLER, S. D. et al.,Copper-Mediated Functionalization of Aryl Trifluoroborates,Synlett,2016年,27(15),pp. 2279-2284
【文献】NOREEN, M. et al.,Arylation and Heteroarylation of Thienylsulfonamides with Organotrifluoroborates,Journal of Organic Chemistry,2014年,79(15),pp. 7243-7249
【文献】MOLANDER, G. et al.,Scope of the Suzuki-Miyaura Cross-Coupling Reactions of Potassium Heteroaryltrifluoroborates,Journal of Organic Chemistry ,2009年,74(3),pp. 973-980
【文献】MOLANDER, G. A. et al.,Oxidation of Organotrifluoroborates via Oxone,Journal of Organic Chemistry,2011年,76(2),pp. 623-630
【文献】MOLANDER, G. A. et al.,Nitrosation of Aryl and Heteroaryltrifluoroborates with Nitrosonium Tetrafluoroborate,Journal of Organic Chemistry,2012年,77(9),pp. 4402-4413
【文献】MOLANDER, G. A. et al.,Metal-Free Chlorodeboronation of Organotrifluoroborates,Journal of Organic Chemistry,2011年,76(17),pp. 7195-7203
【文献】REGISTRY(STN)[online],Entered STN: 11 Oct 2010,検索日:2021年6月9日,CAS登録番号1245906-68-6
【文献】BATEY, R. A. et al.,Synthesis and cross-coupling reactions of tetraalkylammonium organotrifluoroborate salts,Tetrahedron Letters,2001年,42(52),pp. 9099-9103
【文献】SAURAT, T. et al.,Design, Synthesis, and Biological Activity of Pyridopyrimidine Scaffolds as Novel PI3K/mTOR Dual Inhibitors,Journal of Medicinal Chemistry ,2014年,57(3),pp. 613-631
【文献】REN, W. et al.,Palladium-catalyzed Suzuki-Miyaura cross-coupling reaction of potassium 2-pyridyl trifluoroborate with aryl (heteroaryl) halides,Tetrahedron,2012年,68(5),pp. 1351-1358
【文献】REGISTRY(STN)[online],Entered STN: 05 Jun 2012以前,検索日:2021年6月7日,CAS登録番号1375328-10-1, 1333326-03-6, 1245906-67-5, 1245906-65-3, 1245906-64-2, 1245906-63-1, 1150654-92-4, 1150654-88-8, 1150654-85-5, 1150654-69-5, 1150654-62-8, 1073468-31-1
【文献】GIOVINE, A. et al.,Synthesis of Functionalized Arylaziridines as Potential Antimicrobial Agents,Molecules,2014年,19(8),pp. 11505-11519
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C07F
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化73】
[式中、
XおよびYは、
それぞれ、N
であり
、
Mは、Ca、Cs、K、Li、Mg、Naまたはテトラアルキルアンモニウムイオン(R
3)
4N
+であり、
R
1は、出現するごとに個々に、水素、ハロゲン、アルコキシ、ハロ-アルコキシ、低級アルキル、ハロ-低級アルキル、CN、-(CH
2)
tCN、-NR
3R
4、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、
R
2は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ハロ-アルコキシ、低級アルキル、ハロ-低級アルキル、CN、-(CH
2)
tCN、-NR
3R
4、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、
R
3およびR
4は、互いに独立に、水素もしくは低級アルキルであり、またはR
3およびR
4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4~7員環を形成し、
nは、
2であり、
pは、1または2であり、
qは、1または2であり、
tは、1、2、3または4であ
り、
低級アルキルは、1~9個の炭素原子の分岐または直鎖のアルキルラジカルを示す]。
【請求項2】
Mが、K、LiまたはNaである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
1が、出現するごとに個々に、水素、ハロゲン、アルコキシ、ハロ-アルコキシ、低級アルキルまたはハロ-低級アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R
1が、出現するごとに個々に、-CH
2CN、-NR
3R
4またはシアノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R
1が、出現するごとに個々に、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R
2が、水素またはハロゲンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R
2が、アルコキシ、ハロ-アルコキシ、低級アルキルまたはハロ-低級アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
R
3およびR
4が、互いに独立に、水素または低級アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
R
3およびR
4が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4~7員環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
pが、1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
qが、1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
前記化合物は、
【化74】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
【化76】
からなる群より選択される化合物。
【請求項14】
前記化合物は、
【化77】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物、ならびに1つまたは複数の薬学的に許容される担体および/または添加物質を含む医薬組成物。
【請求項16】
1つまたは複数の追加の抗感染症剤をさらに含む、請求項
15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記追加の抗感染症剤が、リファンピシン、リファブチン、リファペンテン、イソニアジド、エタンブトール、カナマイシン、アミカシン、カプレオマイシン、クロファジミン、サイクロセリン、パラ-アミノサリチル酸、リネゾリド、ステゾリド、ベダキリン、デラマニド、プレトマニド、モキシフロキサシンもしくはレボフロキサシン、またはそれらの組合せである、請求項
16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物を含む、マイコバクテリア感染症を処置するための組成物。
【請求項19】
前記マイコバクテリア感染症が、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium avium、Mycobacterium kansasii、Mycobacterium abscessusまたはMycobacterium chelonaeによって引き起こされる、請求項
18に記載の組成物。
【請求項20】
前記マイコバクテリア感染症が、Mycobacterium tuberculosisによって引き起こされる、請求項
18に記載の組成物。
【請求項21】
式(II)の化合物
【化78】
[式中、
XおよびYは、互いに個々に、C、N、OまたはSであり、ただし、XおよびYは、両方がCとなることはなく、nが2である場合、XおよびYは、両方がOまたはSとなることはなく、そして、nが1である場合、Xは、OまたはSであり、Yは、Nであり、
R
1は、[(R
3)
3N
+]-または[(R
3)
3N
+(CH
2)
s]-であり、ただし、nが1である場合、R
1は、[(R
3)
3N
+]-ではなく、
R
2は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ハロ-アルコキシ、低級アルキルまたはハロ-低級アルキルであり、
各R
3は、独立に、低級アルキルであり、または2つのR
3は、それらが結合する窒素と一緒になって、4~7員環を形成し、
nは、1または2であり、
pは、1または2であり、
sは、1、2、3、4、5または6であ
り、
低級アルキルは、1~9個の炭素原子の分岐または直鎖のアルキルラジカルを示す]。
【請求項22】
R
1が、
【化79】
である、請求項
21に記載の化合物。
【請求項23】
式(IIa)を有する、請求項
21に記載の化合物
【化80】
[式中、各R
3は、独立に、メチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピルであり、または2つのR
3は、それらが結合する窒素と一緒になって、3~5員環を形成する]。
【請求項24】
式(IIb)を有する、請求項
21に記載の化合物
【化81】
[式中、各R
3は、独立に、メチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピルであり、または2つのR
3は、それらが結合する窒素と一緒になって、3~5員環を形成する]。
【請求項25】
式(IIc)を有する、請求項
21に記載の化合物
【化82】
[式中、
各R
3は、独立に、メチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピルであり、または2つのR
3は、それらが結合する窒素と一緒になって、3~5員環を形成し、
sは、1、2、3または4である]。
【請求項26】
式(IId)を有する、請求項
21に記載の化合物
【化83】
[式中、
各R
3は、独立に、メチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピルであり、または2つのR
3は、それらが結合する窒素と一緒になって、3~5員環を形成し、
sは、1、2、3または4である]。
【請求項27】
式(IIe)を有する、請求項
21に記載の化合物
【化84】
[式中、
各R
3は、独立に、メチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピルであり、または2つのR
3は、それらが結合する窒素と一緒になって、3~5員環を形成し、
sは、1、2、3または4である]。
【請求項28】
請求項
21~27のいずれか一項に記載の化合物、ならびに1つまたは複数の薬学的に許容される担体および/または添加物質を含む医薬組成物。
【請求項29】
1つまたは複数の追加の抗感染症剤をさらに含む、請求項
28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記追加の抗感染症剤が、リファンピシン、リファブチン、リファペンテン、イソニアジド、エタンブトール、カナマイシン、アミカシン、カプレオマイシン、クロファジミン、サイクロセリン、パラ-アミノサリチル酸、リネゾリド、ステゾリド、ベダキリン、デラマニド、プレトマニド、モキシフロキサシンもしくはレボフロキサシン、またはそれらの組合せである、請求項
29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
請求項
21~27のいずれか一項に記載の化合物を含む、マイコバクテリア感染症を処置するための組成物。
【請求項32】
前記マイコバクテリア感染症が、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium avium、Mycobacterium kansasii、Mycobacterium abscessusまたはMycobacterium chelonaeによって引き起こされる、請求項
31に記載の組成物。
【請求項33】
前記マイコバクテリア感染症が、Mycobacterium tuberculosisによって引き起こされる、請求項
31に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、例えば、式(I)の化合物
【化1】
およびその化合物を含む医薬組成物を対象とする。本明細書に開示される化合物および組成物は、抗菌薬であり、結核および他のマイコバクテリア感染症の処置に有用である。
【0002】
以下に引用され、または利用されるあらゆる書類は、参照によって本明細書に明確に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
Mycobacterium tuberculosis(「Mtb」)は、甚大な被害をもたらす感染性疾患である結核(「TB」)の原因病原体である。毎年、世界的に約200万人のTB患者が死亡していると推定される。結核を適切に処置できないと、Mtbの薬物耐性が世界的に引き起こされ、したがって、一部の医薬品が効かなくなってしまう。
【0004】
ピラジナミド(PZA)は、現在、第一選択となっている4つのTB薬物の1つである。PZAが1970年および1980年代に導入されたことにより、TB処置を9~12カ月から6カ月に短縮することができた。PZAの機序は、その重要性にもかかわらず、十分には理解されていない。しかし、PZAは、Mtbにおいてピラジンアミダーゼ(PncA)によって活性形態のピラジン酸(POA)に変換されるプロドラッグであることが、一般に認められている。Mtbに対するPZAの最小阻害濃度は、標準培養条件下で高く(>200μM)、培養培地のpHが約5である場合、活性を現す。POAは、Mtbの細胞質を酸性化し、Mtbの膜電位を撹乱し、かつ/またはパントテン酸およびCoA合成に影響を及ぼすことが理論付けられている(Y. Zhang、W. Shi、W. Zhang、D. Mitchison、2014年、Microbiol Spectr. 2巻(4号):MGM2-0023-2013)。PZAの特色は、急速に成長するMtbよりも持続的Mtbに対して有効であるということである。PZAのその他の特徴的な特色は、リファンピシンまたはベダキリンによって最も劇的に示される通り、PZAが、他のTB薬物と相乗的に働くということである。
【0005】
しかし、PZAの有効性は、耐性の発生によって低下してきた。すべてのTB症例の16.2%が、PZAに耐性を示す一方、多剤耐性TB症例では、その数は60.5%に上ると推定される(M. G. Whitfield、H. M. Soeters、R. M. Warren、T. York、S. L. Sampson、E. M. Streicher、P. D. van Helden、A. van Rie、2015年、PLoS One. 10巻(7号):e0133869)。PZA耐性の大部分は、PZAをPOAに変換する酵素であるPncAの変異が原因とされる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Y. Zhang、W. Shi、W. Zhang、D. Mitchison、2014年、Microbiol Spectr. 2巻(4号):MGM2-0023-2013
【文献】M. G. Whitfield、H. M. Soeters、R. M. Warren、T. York、S. L. Sampson、E. M. Streicher、P. D. van Helden、A. van Rie、2015年、PLoS One. 10巻(7号):e0133869
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって当技術分野では、依然として、POAのように機能することができ、PZA耐性を克服することもできる新しい化学実体を同定することが必要である。さらに、このような薬剤は、高められた安全域および/またはPOAと比較してより好ましいPKプロファイルを有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要旨
本発明は、式(I)の化合物を対象とする
【化2】
[式中、
XおよびYは、互いに個々に、C、N、OまたはSであり、ただし、XおよびYは、両方がCとなることはなく、nが2である場合、XおよびYは、両方がOまたはSとなることはなく、そして、nが1である場合、Xは、OまたはSであり、Yは、Nであり、
Mは、Ca、Cs、K、Li、Mg、Naまたはテトラアルキルアンモニウムイオン(R
3)
4N
+であり、
R
1は、出現するごとに個々に、水素、ハロゲン、アルコキシ、ハロ-アルコキシ、低級アルキル、ハロ-低級アルキル、CN、-(CH
2)
tCN、-NR
3R
4、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、
R
2は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ハロ-アルコキシ、低級アルキル、ハロ-低級アルキル、CN、-(CH
2)
tCN、-NR
3R
4、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、
R
3およびR
4は、互いに独立に、水素もしくは低級アルキルであり、またはR
3およびR
4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4~7員環を形成し、
nは、1または2であり、
pは、1または2であり、
qは、1または2であり、
tは、1、2、3または4である]。
【0009】
本発明はまた、式IIの化合物を対象とする
【化3】
[式中、
XおよびYは、互いに個々に、C、N、OまたはSであり、ただし、XおよびYは、両方がCとなることはなく、nが2である場合、XおよびYは、両方がOまたはSとなることはなく、そして、nが1である場合、Xは、OまたはSであり、Yは、Nであり、
R
1は、[(R
3)
3N
+]-または[(R
3)
3N
+(CH
2)
s]-であり、ただし、nが1である場合、R
1は、[(R
3)
3N
+]-ではなく、
R
2は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ハロ-アルコキシ、低級アルキルまたはハロ-低級アルキルであり、
各R
3は、独立に、低級アルキルであり、または2つのR
3は、それらが結合する窒素と一緒になって、4~7員環を形成し、
nは、1または2であり、
pは、1または2であり、
sは、1、2、3、4、5または6である]。
【0010】
本発明はまた、前述の化合物を含有する医薬組成物、および結核などの微生物感染症を処置する方法を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、PZAで処置した場合のMtbの内部pHの変化を示す図である。
【
図2】
図2は、化合物1-4で処置した場合のMtbの内部pHの変化を示す図である。
【
図3】
図3は、イソニアジド(INH、陰性対照化合物)で処置した場合のMtbの内部pHの変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明する目的のものであり、制限することを意図しないことを理解されたい。さらに、本明細書に記載されるものに同様のまたは等価な任意の方法、デバイスおよび材料を、本発明の実施または試験において使用することができるが、ここでは、ある特定の方法、デバイスおよび材料を記載する。
【0013】
本発明は、単独でまたは他の抗TB剤と併用して、結核および他のマイコバクテリア感染症を処置するための、新規なヘテロアリールトリフルオロホウ酸塩、それらの調製物、および薬物としてのそれらの使用に関する。抗TB剤には、リファンピシン、リファブチン、リファペンテン(rifapentene)、イソニアジド、エタンブトール、カナマイシン、アミカシン、カプレオマイシン、クロファジミン、サイクロセリン、パラ-アミノサリチル酸、リネゾリド、ステゾリド、ベダキリン、デラマニド、プレトマニド、モキシフロキサシン、およびレボフロキサシンが含まれるが、それらに限定されない。
【0014】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、単独でまたは他の基との組合せで、1~20個の炭素原子、好ましくは1~16個の炭素原子、より好ましくは1~10個の炭素原子の分岐または直鎖の一価の飽和脂肪族炭化水素ラジカルを指す。
【0015】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、単独でまたは他の基との組合せで、オレフィン結合を有する直鎖または分岐の炭化水素残基を指す。
【0016】
「シクロアルキル」という用語は、3~10個、好ましくは3~6個の炭素原子の一価の単環式または多環式炭素環ラジカルを指す。この用語はさらに、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニル、アダマンチル、インダニルなどのラジカルによってさらに例示される。好ましい一実施形態では、「シクロアルキル」部分は、1つ、2つ、3つまたは4つの置換基により任意選択で置換されていてよい。各置換基は、独立に、具体的に示されない限り、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシルまたは酸素であり得る。シクロアルキル部分の例として、任意選択で置換されているシクロプロピル、任意選択で置換されているシクロブチル、任意選択で置換されているシクロペンチル、任意選択で置換されているシクロペンテニル、任意選択で置換されているシクロヘキシル、任意選択で置換されているシクロヘキシレン、任意選択で置換されているシクロヘプチルなど、または本明細書に具体的に例示されているものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0017】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、炭素環原子の1つ、2つまたは3つが、N、OまたはSなどのヘテロ原子によって置き換えられている、単環式または多環式アルキル環を示す。ヘテロシクロアルキル基の例として、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1,3-ジオキサニルなどが挙げられるが、それらに限定されない。ヘテロシクロアルキル基は、非置換であってよく、または置換されていてよく、結合は、適切な場合にはそれらの炭素の骨組みを介して、またはそれらのヘテロ原子(複数可)を介して生じ得る。
【0018】
「低級アルキル」という用語は、単独でまたは他の基との組合せで、1~9個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子の分岐または直鎖のアルキルラジカルを指す。この用語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、2-エチルブチルなどのラジカルによってさらに例示される。
【0019】
「アリール」という用語は、少なくとも1つの芳香環を有する6~12個の炭素原子の芳香族の単環式または多環式炭素環ラジカルを指す。このような基の例として、フェニル、ナフチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、1,2-ジヒドロナフチル、インダニル、1H-インデニルなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0020】
アルキル、低級アルキルおよびアリール基は、置換または非置換であってよい。置換されている場合、一般に、例えば1~4個の置換基が存在する。これらの置換基は、任意選択で、それらが連結しているアルキル、低級アルキルまたはアリール基と共に環を形成することができる。置換基には、例えば、炭素含有基、例えばアルキル、アリール、アリールアルキル(例えば、置換および非置換フェニル、置換および非置換ベンジル);ハロゲン原子およびハロゲン含有基、例えばハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル);酸素含有基、例えばアルコール(例えば、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アリール(ヒドロキシル)アルキル)、エーテル(例えば、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、より好ましくは、例えば、メトキシおよびエトキシ)、アルデヒド(例えば、カルボキシアルデヒド)、ケトン(例えば、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルアルキル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アリールカルボニルアルキル(arycarbonylalkyl))、酸(例えば、カルボキシ、カルボキシアルキル)、酸誘導体、例えばエステル(例えば、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルカルボニルオキシアルキル)、アミド(例えば、アミノカルボニル、モノ-またはジ-アルキルアミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、モノ-またはジ-アルキルアミノカルボニルアルキル、アリールアミノカルボニル)、カルバメート(例えば、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、モノ-またはジ-アルキルアミノカルボニルオキシ、アリールアミノカルボニルオキシ(arylminocarbonloxy))および尿素(例えば、モノ-またはジ-アルキルアミノカルボニルアミノまたはアリールアミノカルボニルアミノ);窒素含有基、例えばアミン(例えば、アミノ、モノ-またはジ-アルキルアミノ、アミノアルキル、モノ-またはジ-アルキルアミノアルキル)、アジド、ニトリル(例えば、シアノ、シアノアルキル)、ニトロ;硫黄含有基、例えばチオール、チオエーテル、スルホキシドおよびスルホン(例えば、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルチオアルキル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、アリールチオ、アリールスルフィニル(arysulfinyl)、アリールスルホニル(arysulfonyl)、アリールチオアルキル(arythioalkyl)、アリールスルフィニルアルキル、アリールスルホニルアルキル);ならびに1つまたは複数のヘテロ原子を含有する複素環式基(例えばチエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピラニル、ピロニル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピペリジル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、モルホリニル、チアナフチル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、インドリル、オキシインドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリニル、7-アザインドリル、ベンゾピラニル、クマリニル、イソクマリニル、キノリニル、イソキノリニル、ナフトリジニル(naphthridinyl)、シンノリニル、キナゾリニル、ピリドピリジル、ベンゾオキサジニル、キノキサリニル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、フタラジニルおよびカルボリニル)が含まれ得る。
【0021】
「ヘテロアリール」という用語は、N、O、およびSから選択される1つ、2つ、または3つの環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子がCである少なくとも1つの芳香環を有する、5~12個の原子の芳香族の単環式または多環式ラジカルを指す。このような基の例として、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、1,2,3-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、オキサゾリル、チアゾリルなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0022】
前述のヘテロアリール基は、1つ、2つ、または3つの置換基で独立に置換されていてよい。置換基には、例えば、炭素含有基、例えばアルキル、アリール、アリールアルキル(例えば、置換および非置換フェニル、置換および非置換ベンジル);ハロゲン原子およびハロゲン含有基、例えばハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル);酸素含有基、例えばアルコール(例えば、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アリール(ヒドロキシル)アルキル)、エーテル(例えば、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル)、アルデヒド(例えば、カルボキシアルデヒド)、ケトン(例えば、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルアルキル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アリールカルボニルアルキル(arycarbonylalkyl))、酸(例えば、カルボキシ、カルボキシアルキル)、酸誘導体、例えばエステル(例えば、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルカルボニルオキシアルキル)、アミド(例えば、アミノカルボニル、モノ-またはジ-アルキルアミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、モノ-またはジ-アルキルアミノカルボニルアルキル、アリールアミノカルボニル)、カルバメート(例えば、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、モノ-またはジ-アルキルアミノカルボニルオキシ、アリールアミノカルボニルオキシ(arylminocarbonloxy))および尿素(例えば、モノ-またはジ-アルキルアミノカルボニルアミノまたはアリールアミノカルボニルアミノ);窒素含有基、例えばアミン(例えば、アミノ、モノ-またはジ-アルキルアミノ、アミノアルキル、モノ-またはジ-アルキルアミノアルキル)、アジド、ニトリル(例えば、シアノ、シアノアルキル)、ニトロ;硫黄含有基、例えばチオール、チオエーテル、スルホキシドおよびスルホン(例えば、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルチオアルキル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、アリールチオ、アリールスルフィニル(arysulfinyl)、アリールスルホニル(arysulfonyl)、アリールチオアルキル(arythioalkyl)、アリールスルフィニルアルキル、アリールスルホニルアルキル);ならびに1つまたは複数のヘテロ原子を含有する複素環式基(例えばチエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピラニル、ピロニル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピペリジル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、モルホリニル、チアナフチル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、インドリル、オキシインドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリニル、7-アザインドリル、ベンゾピラニル、クマリニル、イソクマリニル、キノリニル、イソキノリニル、ナフトリジニル、シンノリニル、キナゾリニル、ピリドピリジル、ベンゾオキサジニル、キノキサリニル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、フタラジニル、ベンゾチアゾイルおよびカルボリニル)が含まれ得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、アルキル-O--を意味し、「アルコイル(alkoyl)」は、アルキル-CO--を意味する。アルコキシ置換基またはアルコキシ含有置換基は、例えば、1つまたは複数のアルキルまたはハロ基によって置換されていてよい。
【0024】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素ラジカル、好ましくはフッ素、塩素または臭素ラジカルを意味する。
【0025】
式Iの化合物は、1つまたは複数の不斉炭素原子を有することができ、光学的に純粋なエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、例えばラセミ体、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオマーラセミ体またはジアステレオマーラセミ体の混合物などの形態で存在することができる。光学的に活性な形態は、例えば、ラセミ体の分割によって、不斉合成または不斉クロマトグラフィー(キラル吸着剤または溶離液を用いるクロマトグラフィー)によって得ることができる。本発明は、これらの形態のすべてを包含する。
【0026】
本発明の方法の実施において、有効量の本発明の化合物のいずれか1つまたは本発明の化合物のいずれかの組合せは、当技術分野で公知の通常の許容される方法のいずれかを介して、単独でまたは組合せのいずれかで投与される。したがって、化合物または組成物は、例えば、眼内投与、経口(例えば、頬側口腔)投与、舌下投与、非経口(例えば、筋肉内、静脈内、または皮下)投与、直腸内(例えば、坐剤または洗浄剤によって)投与、経皮(例えば、皮膚エレクトロポレーション)投与され得るか、または吸入(例えば、エアロゾルによって)によって、そして固体、液体または気体の投与形態(錠剤および懸濁剤を含む)で投与され得る。投与は、適宜、単回単位お剤形で連続治療により、または単回投与治療で実施され得る。治療組成物はまた、パモ酸などの親油性の塩と合わされた油状エマルションもしくは分散液の形態であってよく、または皮下もしくは筋肉内投与のための生分解性の徐放組成物の形態であってよい。
【0027】
本発明の組成物の調製に有用な医薬担体は、固体、液体または気体であってよい。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、坐剤、散剤、腸溶コーティング製剤または他の保護製剤(例えば、イオン交換樹脂に結合しているか、または脂質-タンパク質小胞に封入されている)、徐放製剤、溶液剤、懸濁液剤、エリキシル剤、エアロゾル剤などの形態をとることができる。担体は、石油、動物、植物または合成起源の油、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などを含めた様々な油から選択することができる。水、生理食塩水、デキストロース水溶液、およびグリコールは、特に(血液と等張である場合)注射可能な溶液のための代表的な液体担体である。例えば、静脈内投与のための製剤は、固体活性成分(複数可)を水に溶解させて水溶液を生成し、その溶液を滅菌することによって調製される、活性成分(複数可)の滅菌水溶液剤を含む。適切な医薬添加剤には、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、タルク、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどが含まれる。組成物には、従来の医薬添加物質、例えば防腐剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、浸透圧を調整するための塩、緩衝液などを添加することができる。適切な医薬担体およびそれらの製剤は、E. W. MartinによるRemington's Pharmaceutical Sciencesに記載されている。いずれにしても、このような組成物は、レシピエントに適切に投与するのに適した剤形を調製するために、有効量の活性化合物を適切な担体と一緒に含有する。
【0028】
本発明の化合物の用量は、例えば、投与方式、対象の年齢および体重、ならびに処置を受ける対象の状態などのいくつかの要因に応じて決まり、最終的には、担当医または獣医によって決定される。担当医または獣医によって決定される活性化合物のこのような量は、本明細書および特許請求の範囲において「治療有効量」と呼ばれる。例えば、本発明の化合物の用量は、典型的に、1日当たり約1~約1000mgの範囲である。一実施形態では、治療有効量は、1日当たり約10mg~約500mgの量である。
【0029】
本発明の一般式IおよびIIの化合物を、官能基で誘導体化して、in vivoで親化合物に戻るように変換することができる誘導体を提供できることを理解されよう。in vivoで一般式Iの親化合物を生成することができる、生理的に許容される代謝的に不安定な誘導体も、本発明の範囲に含まれる。
【0030】
本発明の化合物は、商業的に利用可能な出発材料を用いて出発し、当業者に公知の一般的な合成技術および手順を利用して調製することができる。化学物質は、例えば、Aldrich、Argonaut Technologies、VWRおよびLancasterなどの会社から購入することができる。クロマトグラフィー用品および装置は、例えば、AnaLogix,Inc、Burlington、Wis.;Biotage AB、Charlottesville、Va.;Analytical Sales and Services,Inc.、Pompton Plains、N.J.;Teledyne Isco、Lincoln、Nebr.;VWR International、Bridgeport、N.J.;Varian Inc.、Palo Alto、Calif.、およびMultigram II Mettler Toledo Instrument、Newark、Del.などの会社から購入することができる。Biotage、ISCOおよびAnalogixカラムは、標準クロマトグラフィーで使用されるプレパック済みシリカゲルカラムである。
【0031】
式Iの化合物は、以下のスキームに従って調製することができる。これらの有機トリフルオロホウ酸塩は、E. Vedejs、R. W. Chapman、S. C. Fields、S. Lin、およびM. R. Scrimpf、J. Org. Chem. 1995年、60巻、3020~3027頁の方法によって提示されているいくつかの標準的な方法によって調製することができるが、より好都合には、J. J. LennoxおよびG. C. Llyod-Jones、Angew. Chem. Int. Ed.、2012年、51巻、9385~9388頁の近年の方法によって調製することができる。
【化4】
【0032】
前述のスキームおよび以下の実施例に記載される方法によって作製された、本発明の代表的な化合物を提供する。
【化5】
【化6】
【実施例】
【0033】
本発明の代表的な化合物を調製するための合成方法を、以下の実施例に例示する。出発材料は、商業的に利用可能であり、または当技術分野で公知の手順に従って、もしくは本明細書に例示される通り作製することができる。以下の実施例は、本発明を例示する一助するものであり、本発明の範囲を制限することを意図するものではなく、またそのように構築されるべきではない。
【0034】
(実施例1)
[トリフルオロ(ピラジン-2-イル)-ボラニル]カリウム(1+)の合成
【化7】
[トリヒドロキシ(ピラジン-2-イル)-ボラニル]リチウム(1+)の合成
ステップ1.[トリイソプロポキシ(ピラジン-2-イル)-ボラニル]リチウム(1+)の合成
【化8】
【0035】
2-ブロモピラジン(10g、62.90mmol、1当量)およびホウ酸トリイソプロピル(13.28g、69.19mmol、16.23mL、純度98%、1.1当量)のTHF(200mL)溶液に、n-BuLi(n-ヘキサン中2.5M、26.42mL、1.05当量)を、-90℃においてN2下で滴下添加した。その最中、温度を-85℃未満に維持した。反応混合物を、-85℃で20分間、N2雰囲気下で撹拌した。TLC(石油エーテル/酢酸エチル=5:1)によって、出発材料が完全に消費されたことが示された。混合物を、次のステップで直接使用した。赤色-黒色の溶媒としてのTHF(200mL)中の粗製生成物である[トリイソプロポキシ(ピラジン-2-イル)-ボラニル]リチウム(1+)(17.24g、粗製物)を、さらなる精製なしに次のステップで使用した。
【0036】
ステップ2.6-メチル-2-(ピラジン-2-イル)-1,3,6,2-ジオキサザボロカン-4,8-ジオンの合成
【化9】
2-[カルボキシメチル(メチル)アミノ]酢酸(27.76g、188.70mmol、3当量)のDMSO(160mL)溶液に、[トリイソプロポキシ(ピラジン-2-イル)-ボラニル]リチウム(1+)(17.24g、62.90mmol、1当量)のTHF(200mL)溶液を120℃で添加した。混合物を、120℃で20分間撹拌した。TLCによって、反応物2が完全に消費され、多くの新しいスポットが形成されたことが示された。混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、カラムクロマトグラフィーによって精製した(SiO
2、石油エーテル/酢酸エチル/アセトニトリル=3/1/0~0/10/1)。残留物をEtOAc(30mL)で洗浄し、濾過した。濾過ケーキを乾燥させ、アセトニトリル(200mL×3)で洗浄し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、6-メチル-2-(ピラジン-2-イル)-1,3,6,2-ジオキサザボロカン-4,8-ジオン(14.2g)を白色の固体として得た。
1H NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 8.81 (d, J=1.8 Hz, 1H), 8.73 - 8.68 (m, 1H), 8.56 (d, J=2.6 Hz, 1H), 4.20 - 4.13 (m, 2H), 4.05 - 3.98 (m, 2H), 2.62 (s, 3H)
【0037】
ステップ3.トリフルオロ(ピラジン-2-イル)ホウ酸カリウムの合成
【化10】
6-メチル-2-ピラジン-2-イル-1,3,6,2-ジオキサザボロカン-4,8-ジオン(13.7g、58.30mmol、1当量)のMeCN(233mL)溶液に、KF(水中10M、23.32mL、4当量)、および酒石酸(17.94g、119.51mmol、2.05当量)のTHF(90mL)溶液を添加した。混合物を、25℃で12時間撹拌した。TLCによって、反応物3が完全に消費され、1つの新しいスポットが形成されたことが示された。混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をMeCN(50mL)で洗浄し、濾過した。濾過ケーキを乾燥させて、生成物を得た。化合物であるトリフルオロ(ピラジン-2-イル)ホウ酸カリウム(6g、32.26mmol、収率55.34%)を、白色の固体として得た。
【0038】
再結晶化:1-4
所望の生成物を、CH3CN(1g/40mL)で溶解させ、90℃で10分間加温した。次に、この加温した懸濁液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、CH3CNのほとんどを除去した。懸濁液を濾過し、濾過ケーキをCH3CN(10mL)で洗浄して、白色の固体を得た。良質な生成物が得られるまで、先の手順を数回反復した。
LCMS(ESI)m/z146.8[M-K]-
1H NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 9.16 (s, 1H), 8.92 (d, J=3.2 Hz, 1H), 8.53 (dd, J=1.3, 3.1 Hz, 1H)
19F NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) -145.6 (q, 3F)
11B NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 0.95 (q, 1B)
13C NMR (101MHz, アセトニトリル-d3) 152.92 (br s, 1C), 146.42, 132.86 (br s, 1C)
【0039】
(実施例2)
【化11】
ステップ1.2-ブロモ-6-メトキシ-ピラジンの合成
【化12】
2,6-ジブロモピラジン(67g、281.65mmol、1.00当量)のMeOH(670mL)溶液に、NaOMe(18.26g、337.99mmol、1.2当量)を添加した。混合物を、40℃で1時間撹拌した。LCMSによって、約99%の所望の化合物が示された。反応混合物を、飽和NH
4Cl(80mL)を添加することによってクエンチし、減圧下で濃縮して溶液(200mL)を得、次に200mLのH
2Oで希釈し、EtOAc(200mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物を、カラムクロマトグラフィーによって精製した(SiO
2、石油エーテル:酢酸エチル=1:0~20:1)。化合物である2-ブロモ-6-メトキシ-ピラジン(45g、214.27mmol、収率76.08%、純度90%)を、白色の固体として得た。
LCMS(ESI)m/z188.9[M+H]
+
1H NMR (400MHz, DMSO) 8.39 (s, 1H), 8.34 (s, 1H), 3.91 (s, 3H)
【0040】
ステップ2.[トリイソプロポキシ-(6-メトキシピラジン-2-イル)-ボラニル]リチウム(1+)の合成
【化13】
2-ブロモ-6-メトキシ-ピラジン(20g、105.81mmol、1.00当量)のTHF(200mL)溶液に、ホウ酸トリイソプロピル(23.88g、126.98mmol、29.19mL、1.20当量)、n-BuLi(n-ヘキサン中2.5M、50.79mL、1.2当量)を、-100℃においてN
2下で滴下添加した。混合物を、-100℃で1時間撹拌した。TLCによって、出発材料が完全に消費されたことが示された。THF(200mL)中の粗製生成物である[トリイソプロポキシ-(6-メトキシピラジン-2-イル)-ボラニル]リチウム(1+)(32g、粗製物)を、さらなる精製なしに次のステップで使用した。反応混合物1mLを、MeOH5mLに添加した。混合物を減圧下で濃縮した。
1H NMRによって、所望の生成物が示された。
1H NMR (400MHz, CD3CN) 8.15 (s, 1H), 7.88 (s, 1H), 3.90 (s, 3H)
【0041】
ステップ3.2-(6-メトキシピラジン-2-イル)-6-メチル-1,3,6,2-ジオキサザボロカン-4,8-ジオンの合成
【化14】
2-[カルボキシメチル(メチル)アミノ]酢酸(23.22g、157.83mmol、1.50当量)のDMSO(190mL)溶液に、[トリイソプロポキシ-(6-メトキシピラジン-2-イル)-ボラニル]リチウム(1+)(32g、105.22mmol、1当量)のTHF(200mL)溶液を120℃で滴下添加した。混合物を、120℃で1時間撹拌した。TLCによって、出発材料が完全に消費され、新しいスポットが形成されたことが示された。混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、カラムクロマトグラフィーによって精製した(SiO
2、石油エーテル:酢酸エチル=5:1~0:1、酢酸エチル:MeCN=5:1)。化合物である2-(6-メトキシピラジン-2-イル)-6-メチル-1,3,6,2-ジオキサザボロカン-4,8-ジオン(16g、57.35mmol、収率54.51%、純度95%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (400MHz, CD3CN) 8.33 (s, 1H), 8.17 (s, 1H), 4.16 - 4.10 (d, J=16.8 Hz, 2H), 4.04 - 3.98 (d, J=16.8 Hz, 2H), 3.89 (s, 3H), 2.65 (s, 3H)
【0042】
ステップ4.[トリフルオロ-(6-メトキシピラジン-2-イル)-ボラニル]カリウム(1+)の合成
【化15】
2-(6-メトキシピラジン-2-イル)-6-メチル-1,3,6,2-ジオキサザボロカン-4,8-ジオン(31g、116.97mmol、1当量)のMeCN(470mL)溶液に、KF(27.18g、467.87mmol、10.96mL、4当量)のH
2O(47mL)溶液、およびL-酒石酸(35.99g、239.78mmol、2.05当量)のTHF(176mL)溶液を添加した。混合物を、35℃で24時間撹拌した。TLCによって、出発材料が完全に消費されたことが示された。混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をMeCN(150mL)で希釈し、濾過した。濾過ケーキを減圧下で乾燥させて、生成物を得た。化合物である[トリフルオロ-(6-メトキシピラジン-2-イル)-ボラニル]カリウム(1+)(25g、粗製物)を、白色の固体として得た。
【0043】
再結晶化条件:
所望の生成物25gを、CH3CN(1000mL)で溶解させ、90℃で10分間加温した。次に、溶液混合物を、可能な限り急速に濾過した後、室温に冷却した。濾液を25℃に冷却すると、結晶が形成された。次に、沈殿物を濾過し、濾過ケーキを収集し、減圧下で乾燥させて、白色の結晶を得た。
LCMS(ESI)m/z159.0[M-KF+H+]+
1H NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 8.13 (s, 1H), 7.92 (s, 1H), 3.93 (s, 3H)
19F NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) -142.5 (q, 3F)
11B NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 2.45 (q, 1B)
【0044】
(実施例3)
【化16】
ステップ1.6-ブロモ-N,N-ジメチルピラジン-2-アミンの合成
【化17】
2,6-ジブロモピラジン(39.00g、163.95mmol、1.00当量)およびジメチルアミン(89.59g、655.80mmol、100.66mL、水中純度33%、4.00当量)の混合物を、20℃で3時間撹拌した。TLCによって、反応物1が完全に消費され、多くの新しいスポットが形成されたことが示された。混合物を水(200mL)で希釈し、DCM(150mL×3)で抽出した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した(ISCO(登録商標);120gのSepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、85mL/分において0~15%酢酸エチル/石油エーテル勾配の溶出剤)。化合物である6-ブロモ-N,N-ジメチル-ピラジン-2-アミン(33.00g、163.33mmol、収率99.62%)を、薄黄色の固体として得た。
1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) 7.88 (s, 1H), 7.85 (s, 1H), 3.12 (s, 6H)
【0045】
ステップ2.[6-(ジメチルアミノ)ピラジン-2-イル]ボロン酸;ヒドロキシリチウムの合成
【化18】
6-ブロモ-N,N-ジメチル-ピラジン-2-アミン(9.90g、49.00mmol、1.00当量)およびホウ酸トリイソプロピル(11.06g、58.80mmol、13.49mL、1.20当量)のTHF(100.00mL)溶液に、n-BuLi(n-ヘキサン中2.5M、23.52mL、1.20当量)を-100℃で滴下添加した。混合物を、-100℃で1時間撹拌した。TLCによって、反応物2が完全に消費されたことが示された。THF(100mL)中の粗製生成物である[6-(ジメチルアミノ)ピラジン-2-イル]ボロン酸;ヒドロキシリチウム(9.00g、47.14mmol、収率96.20%)を、さらなる精製なしに次のステップで使用した。混合物0.5mLを、MeOH(2mL)によってクエンチし、減圧下で濃縮し、それをHNMR(ES5002-247-P1A)によって確認した。
1H NMR (400MHz, 酸化重水素) 7.72 (s, 1H), 7.64 (s, 1H), 2.88 (s, 6H)
【0046】
ステップ3.2-(6-(ジメチルアミノ)ピラジン-2-イル)-6-メチル-1,3,6,2-ジオキサザボロカン-4,8-ジオンの合成
【化19】
2-[カルボキシメチル(メチル)アミノ]酢酸(10.75g、73.07mmol、1.50当量)のDMSO(100.00mL)溶液に、[6-(ジメチルアミノ)ピラジン-2-イル]ボロン酸エステル;ヒドロキシリチウム(9.30g、48.71mmol、1.00当量)のTHF(100mL)溶液を120℃で滴下添加した。混合物を、120℃で1時間撹拌した。TLCによって、反応物3が完全に消費されたことが示された。混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、カラムクロマトグラフィーによって精製した(SiO
2、酢酸エチル/MeCN=1/0~10/1)。化合物である2-[6-(ジメチルアミノ)ピラジン-2-イル]-6-メチル-1,3,6,2-ジオキサザボロカン-4,8-ジオン(6.50g、23.38mmol、収率47.99%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 8.07 (s, 1H), 7.98 (s, 1H), 4.12 (d, J=16.8 Hz, 2H), 4.01 (d, J=16.8 Hz, 2H), 3.07 (s, 6H), 2.67 (s, 3H)
【0047】
ステップ4.(6-(ジメチルアミノ)ピラジン-2-イル)トリフルオロホウ酸カリウムの合成
【化20】
2-[6-(ジメチルアミノ)ピラジン-2-イル]-6-メチル-1,3,6,2-ジオキサザボロカン-4,8-ジオン(6.00g、21.58mmol、1.00当量)のMeOH(60.00mL)溶液に、KHF
2(水中4.5M、8.63mL、1.80当量)を添加した。混合物を、30℃で12時間撹拌した。TLCによって、約10%の反応物4が残存し、極性がより高い1つの主要な新しいスポットが検出されたことが示された。混合物を濾過し、濾過ケーキを乾燥させて、生成物を得た。化合物であるカリウム;6-ジフルオロボラニル-N,N-ジメチル-ピラジン-2-アミン;フッ化物(3.40g、14.84mmol、収率68.79%)を、薄黄色の固体として得た。
LCMS(ESI)m/z172.1[M-KF+H]
+
1H NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 8.25 (s, 1H), 7.91 (s, 1H), 3.19 (s, 6H)
19F NMR (377MHz, アセトニトリル-d3) -144.47 (br dd, J=43.5, 87.0 Hz, 3F)
11B NMR (128MHz, アセトニトリル-d3) 2.10 - 0.40 (m, 1B)
【0048】
(実施例4)
【化21】
ステップ1.[トリフルオロ-(5-フルオロ-3-ピリジル)-ボラニル]カリウム(1+)の合成
【化22】
(5-フルオロ-3-ピリジル)ボロン酸(30g、212.90mmol、1当量)のCH
3CN(851mL)懸濁液に、H
2O(85.1mL)中のKF(49.48g、851.62mmol、4当量)を18℃で添加した。ボロン酸が完全に溶解するまで混合物を撹拌し、L-(+)-酒石酸(65.51g、436.45mmol、2.05当量)をTHF(319mL)に溶解させ、急速に撹拌させている二相性混合物に10分間にわたって滴下添加した。白色の沈殿物がすぐに形成され、それを2時間かけて凝結させた。TLCによって、出発材料が消費されたことが示された。混合物を直接濾過し、濾過ケーキをCH
3CN(100mL)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物を、CH
3CN(1g/10mL、1g/5mL、1g/2.5mL)で再結晶化させた。化合物である[トリフルオロ-(5-フルオロ-3-ピリジル)-ボラニル]カリウム(1+)(15g、72.68mmol、収率34.14%、純度98.35%)を、白色の固体として得た。
LCMS(ESI)m/z146.0[M-KF+H]
+
1H NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 8.43 - 8.36 (m, 1H), 8.20 (d, J=2.3 Hz, 1H), 7.51 (br d, J=8.4 Hz, 1H)
19F NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) -130.5 (s, 1F), -141.5~-143.0 (m, 3F)
11B NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 1.5~-3.5 (q, 1B)
【0049】
(実施例5)
【化23】
ステップ1.[トリフルオロ-(5-フルオロ-3-ピリジル)-ボラニル]カリウム(1+)ES5002-466-P1の合成
【化24】
(5-クロロ-3-ピリジル)ボロン酸(20g、127.09mmol、1当量)のCH
3CN(508mL)懸濁液に、H
2O(51mL)中のKF(29.54g、508.38mmol、4当量)を18℃で添加した。ボロン酸が完全に溶解するまで混合物を撹拌し、L-(+)-酒石酸(39.11g、260.54mmol、2.05当量)をTHF(190mL)に溶解させ、急速に撹拌させている二相性混合物に10分間にわたって滴下添加した。白色の沈殿物がすぐに形成され、それを2時間かけて凝結させた。TLCによって、出発材料が消費されたことが示された。混合物を直接濾過し、濾過ケーキをCH
3CN(100mL)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物を、CH
3CN(1g/10mL、1g/8mL、1g/6mL)で再結晶化させた。化合物である[(5-クロロ-3-ピリジル)-トリフルオロ-ボラニル]カリウム(1+)(10g、45.57mmol、収率35.86%、純度100%)を、白色の固体として得た。
LCMS(ESI)m/z162.0[M-KF+H]
+
1H NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 8.44 (s, 1H), 8.31 (s, 1H), 7.78 (s, 1H)
19F NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) -142.5 (q, 3F)
11B NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 1.5-4.5 (q, 1B)
【0050】
(実施例6)
スキーム
【化25】
ステップ1.トリフルオロ(チアゾール-5-イル)ホウ酸カリウムの合成
【化26】
5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)チアゾール(10.00g、47.37mmol、1.00当量)のMeOH(50.00mL)溶液に、KHF
2(水中4.5M、31.58mL、3.00当量)を添加した。混合物を25℃で3時間撹拌した。TLCによって、反応物1が完全に消費されたことが示された。混合物を減圧下で濃縮した。混合物をEtOAc(50mL)で洗浄し、濾過した。濾過ケーキを減圧下で乾燥させて、粗製生成物を得た。粗製生成物をMeOH(20mL)で洗浄し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、化合物トリフルオロ(チアゾール-5-イル)ホウ酸カリウム(2.95g、15.44mmol、収率32.60%、純度100%)を、白色の固体として得た。
MS(ESI)m/z134.0[M-KF+H]
+
1H NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 8.73 (s, 1H), 7.67 (s, 3H)
19F NMR (377MHz, アセトニトリル-d3) -135.88 (br dd, J=44.8, 90.6 Hz, 3F)
11B NMR (128MHz, アセトニトリル-d3) 1.86, 2.39 (q, J=45.9 Hz, 1B)
【0051】
(実施例7)
【化27】
ステップ1.2-ブロモ-6-ピロリジン-1-イル-ピラジンの合成
【化28】
2,6-ジブロモピラジン(2.00g、8.41mmol、1.00当量)のMeOH(20.00mL)溶液に、ピロリジン(1.79g、25.23mmol、2.11mL、3.00当量)を添加した。混合物を、15℃で3時間撹拌した。TLCによって、反応物1が完全に消費されたことが示された。混合物を水(50mL)でクエンチし、DCM(50mL×3)で抽出した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した(ISCO(登録商標);24gのSepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、35mL/分において0~15%酢酸エチル/石油エーテル勾配の溶出剤)。化合物である2-ブロモ-6-ピロリジン-1-イル-ピラジン(1.70g、7.45mmol、収率88.62%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 7.82 (s, 1H), 7.73 (s, 1H), 3.48 (br t, J=6.5 Hz, 4H), 2.08 - 1.98 (m, 4H)
【0052】
ステップ2.ヒドロキシリチウム;(6-ピロリジン-1-イルピラジン-2-イル)ボロン酸の合成
【化29】
2-ブロモ-6-ピロリジン-1-イル-ピラジン(1.90g、8.33mmol、1.00当量)およびホウ酸トリイソプロピル(1.88g、10.00mmol、2.29mL、1.20当量)のTHF(25.00mL)溶液に、n-BuLi(n-ヘキサン中2.5M、4.00mL、1.20当量)を-100℃で滴下添加した。混合物を、-100℃で1時間撹拌した。TLCによって、反応物2が完全に消費されたことが示された。THF(20mL)中の粗製生成物であるヒドロキシリチウム;(6-ピロリジン-1-イルピラジン-2-イル)ボロン酸(1.80g、8.30mmol、収率99.60%)を、さらなる精製なしに次のステップで使用した。混合物0.5mLを、MeOH(2mL)でクエンチし、減圧下で濃縮し、HNMRによって確認した。
1H NMR (400MHz, D
2O) 7.63 (s, 1H), 7.45 (s, 1H), 3.29 - 3.21 (m, 4H), 1.79 (br t, J=6.5 Hz, 4H)
【0053】
ステップ3.6-メチル-2-(6-ピロリジン-1-イルピラジン-2-イル)-1,3,6,2-ジオキサザボロカン-4,8-ジオンの合成
【化30】
【0054】
2-[カルボキシメチル(メチル)アミノ]酢酸エステル(1.83g、12.45mmol、1.50当量)のDMSO(20.00mL)溶液に、ヒドロキシリチウム;(6-ピロリジン-1-イルピラジン-2-イル)ボロン酸(1.80g、8.30mmol、1.00当量)のTHF(20mL)溶液を120℃で滴下添加した。混合物を、120℃で1時間撹拌した。TLCによって、反応物3が完全に消費されたことが示された。混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、カラムクロマトグラフィーによって精製した(SiO2、酢酸エチル/MeCN=1/0~10/1)。化合物である6-メチル-2-(6-ピロリジン-1-イルピラジン-2-イル)-1,3,6,2-ジオキサザボロカン-4,8-ジオン(1.60g、5.26mmol、収率63.39%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (400MHz, CD3CN) 7.96 (s, 1H), 7.89 (s, 1H), 4.11 (d, J=16.8 Hz, 2H), 4.03 (d, J=16.8 Hz, 2H), 3.48 - 3.42 (m, 4H), 2.70 (s, 3H), 2.04 -1.99 (m, 4H)
【0055】
ステップ4.カリウム;ジフルオロ-(6-ピロリジン-1-イルピラジン-2-イル)ボラン;フッ化物の合成
【化31】
6-メチル-2-(6-ピロリジン-1-イルピラジン-2-イル)-1,3,6,2-ジオキサザボロカン-4,8-ジオン(1.00g、3.29mmol、1.00当量)のMeOH(10.00mL)溶液に、KHF
2(水中4.5M、1.32mL、1.80当量)を添加した。混合物を、30℃で1時間撹拌した。TLCによって、約10%の反応物4が残存し、1つの主要な新しいスポットが検出されたことが示された。混合物を濾過し、濾過ケーキを乾燥させて、生成物を得た。生成物は精製しなかった。化合物であるカリウム;ジフルオロ-(6-ピロリジン-1-イルピラジン-2-イル)ボラン;フッ化物(300.00mg、1.18mmol、収率35.75%)を、白色の固体として得た。
LCMS(ESI)m/z198.1[M-KF+H]
+
1H NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 8.38 (s, 1H), 7.94 (s, 1H), 3.61 (br t, J=6.4 Hz, 4H), 2.12 - 2.06 (m, 4H)
19F NMR (377MHz, アセトニトリル-d3) -145.13 (br dd, J=41.2, 82.4 Hz, 3F)
11B NMR (128MHz, アセトニトリル-d3) 1.48 - 0.17 (m, 1B)
【0056】
(実施例8)
【化32】
ステップ1.ヒドロキシリチウム;(6-メチルピラジン-2-イル)ボロン酸ES5002-267-P1の合成
【化33】
2-ブロモ-6-メチル-ピラジン(3.10g、17.92mmol、1.00当量)およびホウ酸トリイソプロピル(4.04g、21.50mmol、4.93mL、1.20当量)のTHF(30.00mL)溶液に、n-BuLi(n-ヘキサン中2.5M、7.88mL、1.10当量)を-100℃で滴下添加した。混合物を、-100℃で1時間撹拌した。TLCによって、反応物1が完全に消費され、多くの新しいスポットが形成されたことが示された。THF(30mL)中の粗製生成物であるヒドロキシリチウム;(6-メチルピラジン-2-イル)ボロン酸(2.90g、粗製物)を、さらなる精製なしに次のステップで使用した。混合物0.5mLを、MeOH(3mL)によってクエンチし、HNMRによって確認した。
1H NMR (400MHz, D
2O) 8.26 (s, 1H), 7.98 (s, 1H), 2.30 (s, 3H)
1H NMR (400MHz, D
2O) δ = 8.26 (s, 1H), 7.98 (s, 1H), 2.30 (s, 3H).
【0057】
ステップ2.6-メチル-2-(6-メチルピラジン-2-イル)-1,3,6,2-ジオキサザボロカン-4,8-ジオンの合成
【化34】
2-[カルボキシメチル(メチル)アミノ]酢酸(3.95g、26.87mmol、1.50当量)のDMSO(35.00mL)溶液に、ヒドロキシリチウム;(6-メチルピラジン-2-イル)ボロン酸エステル(2.90g、17.91mmol、1.00当量)のTHF(30mL)溶液を120℃で滴下添加した。混合物を、120℃で1時間撹拌した。TLCによって、反応物2が完全に消費されたことが示された。混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、カラムクロマトグラフィーによって精製した(SiO
2、石油エーテル/酢酸エチル/アセトニトリル=2/1/0~0/10/1)。化合物である6-メチル-2-(6-メチルピラジン-2-イル)-1,3,6,2-ジオキサザボロカン-4,8-ジオン(1.10g、4.42mmol、収率24.66%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 8.58 (s, 1H), 8.44 (s, 1H), 4.19 - 4.10 (m, 2H), 4.06 - 3.97 (m, 2H), 2.62 (s, 3H), 2.54 (s, 3H)
【0058】
ステップ3.カリウム;ジフルオロ-(6-メチルピラジン-2-イル)ボラン;フッ化物ES5002-277-P1の合成
【化35】
6-メチル-2-(6-メチルピラジン-2-イル)-1,3,6,2-ジオキサザボロカン-4,8-ジオン(400.00mg、1.61mmol、1.00当量)のMeOH(4.00mL)溶液に、KHF
2(水中4.5M、644.00uL、1.80当量)を添加した。混合物を、30℃で12時間撹拌した。TLCによって、約10%の反応物3が残存し、極性がより高い1つの主要な新しいスポットが検出されたことが示された。混合物を濾過し、濾過ケーキを乾燥させて、生成物を得た。化合物であるカリウム;ジフルオロ-(6-メチルピラジン-2-イル)ボラン;フッ化物(120.00mg、582.74umol、収率36.19%、純度97.128%)を、白色の固体として得た。
LCMS(ESI)m/z143.1[M-KF+H]
+
1H NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 9.11 (s, 1H), 8.95 (s, 1H), 2.71 (s, 3H)
19F NMR (377MHz, アセトニトリル-d3) -145.22 (br dd, J=40.1, 79.0 Hz, 3F)
11B NMR (128MHz, アセトニトリル-d3) 1.60 - -0.44 (m, 1B)
【0059】
(実施例9)
【化36】
ステップ1.[トリフルオロ-(2-メチルチアゾール-5-イル)-λ
5-ボラニル]カリウム(1+)の合成
【化37】
2-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)チアゾール(0.5g、2.22mmol、1当量)のMeOH(5mL)溶液に、KHF
2(水中4.5M、888.43uL、1.8当量)を添加した。混合物を、30℃で12時間撹拌した。TLCによって、反応物1が完全に消費されたことが示された。混合物を減圧下で濃縮した。残留物をMeCN(5mL×3)で洗浄し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残留物をEtOAc(10mL×3)で洗浄し、濾過した。濾過ケーキを乾燥させ、MeCN(5mL)から再結晶化させて、生成物を得た。化合物である[トリフルオロ-(2-メチルチアゾール-5-イル)-λ
5-ボラニル]カリウム(1+)(150mg、731.53umol、収率32.94%、純度100%)を、白色の固体として得た。
LCMS(ESI)m/z148.0[M-KF+H]
+
1H NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 7.36 (s, 1H), 3.00 (s, 3H)
19F NMR (377MHz, アセトニトリル-d3) -135.93 (br dd, J=44.6, 90.4 Hz, 3F)
11B NMR (128MHz, アセトニトリル-d3) 2.19 (br d, J=45.2 Hz, 1B)
【0060】
(実施例10)
【化38】
ステップ1.6-ブロモピラジン-2-アミンの合成
【化39】
2,6-ジブロモピラジン(20g、84.08mmol、1当量)およびNH
3.H
2O(36.83g、294.27mmol、40.47mL、3.5当量)の混合物を、封管中、100℃で12時間撹拌した。TLCによって、反応物1が完全に消費され、1つの新しいスポットが形成されたことが示された。混合物を濾過し、濾過ケーキを石油エーテル(200mL×2)で洗浄し、真空下で乾燥させて、生成物を得た。石油エーテル層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、反応物1を回収した。生成物を、さらなる精製なしに次のステップで直接使用した。化合物である6-ブロモピラジン-2-アミン(50g、287.36mmol、収率68.36%)を、薄い色の固体として得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 7.99 (s, 1H), 7.88 (s, 1H), 4.78 (br s, 2H)
【0061】
ステップ2.2-ブロモ-6-フルオロピラジンの合成
【化40】
6-ブロモピラジン-2-アミン(50g、287.36mmol、1当量)のHBF
4(500mL)溶液に、NaNO
2(39.65g、574.72mmol、2当量)を少量ずつ0℃で添加した。混合物を、20℃で2時間撹拌した。TLCによって、反応物2が完全に消費され、1つの新しいスポットが形成されたことが示された。混合物を水(500mL)でクエンチし、ペンタン(200mL×5)で抽出した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、蒸留によって濃縮して、ペンタンを除去した。生成物を、カラムクロマトグラフィーによってさらに精製した(SiO
2、n-ペンタン/酢酸エチル=1:0)。化合物である2-ブロモ-6-フルオロ-ピラジン(55.5g、282.24mmol、収率98.22%、純度90%)を、褐色の油として得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 8.65 (d, J=4.0 Hz, 1H), 8.40 (d, J=8.0 Hz, 1H)
【0062】
ステップ3.[(6-フルオロピラジン-2-イル)-トリイソプロポキシ-ボラニル]リチウム(1+)の合成
【化41】
2-ブロモ-6-フルオロ-ピラジン(37.7g、213.03mmol、1当量)およびホウ酸トリイソプロピル(44.97g、234.33mmol、54.97mL、純度98%、1.1当量)のTHF(400mL)溶液に、n-BuLi(n-ヘキサン中2.5M、89.47mL、1.05当量)を-90℃においてN
2下で滴下添加した。その最中、温度を-85℃未満に維持した。反応混合物を、-85℃で20分間、N
2雰囲気下で撹拌した。TLC(石油エーテル/酢酸エチル=5:1)によって、出発材料が完全に消費されたことが示された。混合物を、次のステップで直接使用した。赤色-黒色溶媒としてのTHF(400mL)中の粗製生成物である[(6-フルオロピラジン-2-イル)-トリイソプロポキシ-ボラニル]リチウム(1+)(62.22g、粗製物)を、さらなる精製なしに次のステップで使用した。
【0063】
ステップ4.2-(6-フルオロピラジン-2-イル)-6-メチル-1,3,6,2-ジオキサザボロカン-4,8-ジオンの合成
【化42】
2-[カルボキシメチル(メチル)アミノ]酢酸(93.99g、638.86mmol、3当量)のDMSO(300mL)溶液に、[(6-フルオロピラジン-2-イル)-トリイソプロポキシ-ボラニル]リチウム(1+)(62.2g、212.95mmol、1当量)のTHF(400mL)溶液を、80℃以上の温度を保ちながら添加した。添加後、混合物を、120℃で20分間撹拌した。TLCによって、反応物4が完全に消費され、多くの新しいスポットが形成されたことが示された。混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、カラムクロマトグラフィーによって精製して(SiO
2、石油エーテル/酢酸エチル/アセトニトリル=1/1/0~0/50/1)、粗製物を得た。粗製物をEtOAc(80mL)で洗浄し、濾過し、濾過ケーキを乾燥させて、生成物を得た。化合物である2-(6-フルオロピラジン-2-イル)-6-メチル-1,3,6,2-ジオキサザボロカン-4,8-ジオン(16.5g、65.22mmol、収率30.63%)を、ピンク色の固体として得た。
1H NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 8.76 (d, J=4.8 Hz, 1H), 8.48 (d, J=8.0 Hz, 1H), 4.17 (d, J=17.2 Hz, 2H), 4.01 (d, J=16.8 Hz, 2H), 2.67 (s, 3H)
【0064】
ステップ5.トリフルオロ(6-フルオロピラジン-2-イル)ホウ酸カリウムの合成
【化43】
2-(6-フルオロピラジン-2-イル)-6-メチル-1,3,6,2-ジオキサザボロカン-4,8-ジオン(34.5g、136.37mmol、1当量)のMeCN(545mL)溶液に、KF(10M、54.55mL、4当量)、および酒石酸(41.96g、279.55mmol、2.05当量)のTHF(204mL)溶液を添加した。混合物を、25℃で12時間撹拌した。TLCによって、反応物5が完全に消費され、1つの新しいスポットが形成されたことが示された。混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物を、MeCN(1.2L)から再結晶化させた。化合物であるトリフルオロ(6-フルオロピラジン-2-イル)ホウ酸カリウム(6g、29.42mmol、収率21.57%)を、薄い灰色の固体として得た。
LCMS(ESI)m/z164.7[M-K]
-
1HNMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 8.54 (d, J=6.0 Hz, 1H), 8.17 (d, J=8.3 Hz, 1H)
19FNMR (400MHz, アセトニトリル-d3) -84.37 (br s, 1F), -144.77 (br dd, J=45.8, 93.8 Hz, 3F)
11BNMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 2.42 - 0.68 (m, 1B)
【0065】
(実施例11)
【化44】
ステップ1.(5-シアノピリジン-3-イル)トリフルオロホウ酸カリウムの合成
【化45】
(5-シアノ-3-ピリジル)ボロン酸(50g、338.00mmol、1当量)のMeCN(1352mL)溶液に、KF(78.55g、1.35mol、31.67mL、4当量)のH
2O(135.2mL)溶液、および酒石酸(104.00g、692.91mmol、2.05当量)のTHF(507mL)溶液を添加した。混合物を、25℃で12時間撹拌した。TLCによって、反応物1が完全に消費され、1つの新しいスポットが形成されたことが示された。混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。化合物である[(5-シアノ-3-ピリジル)-トリフルオロ-ボラニル]カリウム(1+)(65g、309.52mmol、収率91.57%)を、白色の固体として得た。
【0066】
再結晶化条件:11-2
出発材料を、MeOH/CH3CN(1/2、1g/30mL)で溶解させた。生成物が大部分溶解するまで、懸濁液を80℃に加熱した。懸濁溶液を濾過した直後、室温に冷却した。濾液を20℃に冷却すると、次に、結晶が形成された。混合物を濾過し、濾過ケーキをCH3CN/MeOH(2/1、100mL)で洗浄し、濾過ケーキを減圧下で乾燥させて、白色の結晶を得た。
LCMS(ESI)m/z152.0[M-KF+H]+
1HNMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 8.76 (br s, 1H), 8.67 (br s, 1H), 8.10 (br s, 1H)
19FNMR (400MHz, アセトニトリル-d3) -142.15-142.56 (q, 3F)
11BNMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 3.0-2.05 (q, 1B)
13CNMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 156.04 (s, 1C), 149.37 (s, 1C), 141.64 (s, 1C), 118.15 (s, 1C), 99.68 (s, 1C)
【0067】
(実施例12)
【化46】
ステップ1.[5-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]ボロン酸の合成
【化47】
3-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン(100g、442.49mmol、1当量)およびホウ酸トリイソプロピル(99.86g、530.99mmol、122.08mL、1.2当量)のTHF(1000mL)溶液に、n-BuLi(n-ヘキサン中2.5M、194.70mL、1.1当量)を-78℃においてN
2雰囲気下で滴下添加した。混合物を、-78℃で1時間、N
2雰囲気下で撹拌した。TLCによって、反応物1が完全に消費されたことが示された。混合物を水(100mL)で-10℃においてクエンチし、HCl(1N)によってpH=5へと酸性化した。混合物をEtOAc(200mL×3)で抽出した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をEtOAc(100mL)で洗浄し、濾過した。濾過ケーキを乾燥させて、生成物を得た。化合物である[5-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]ボロン酸(50.8g、266.09mmol、収率60.13%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (400MHz, DMSO) 9.07 (s, 1H), 8.94 (s, 1H), 8.39 (s, 1H)
【0068】
ステップ2.(5-シアノピリジン-3-イル)トリフルオロホウ酸カリウムの合成
【化48】
[5-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]ボロン酸(50.8g、266.09mmol、1当量)のMeCN(1064mL)溶液に、KF(61.83g、1.06mol、24.93mL、4当量)のH
2O(106mL)溶液、および酒石酸(81.87g、545.48mmol、2.05当量)のTHF(400mL)溶液を添加した。混合物を、30℃で12時間撹拌した。TLCによって、反応物2が完全に消費され、1つの新しいスポットが形成されたことが示された。混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をMeOH(100mL)で洗浄し、濾過した。濾過ケーキを乾燥させて、生成物を得た。化合物である[トリフルオロ-[5-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]-ボラニル]カリウム(1+)(70g、粗製物)を、白色の固体として得た。
1H NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 8.82 (s, 1H), 8.67 (s, 1H), 8.01 (br s, 1H)
【0069】
再結晶化条件:
混合物をCH3OH(1g/20mL)で希釈し、80℃に加温し、1時間撹拌した。次に、加熱した場合、溶液を濾過し、濾過ケーキをCH3OH(100mL)で洗浄し、濾液を25℃に冷却すると、結晶が形成された。次に、懸濁液を濾過し、濾過ケーキを減圧下で乾燥させて、白色の結晶を得た。
LCMS(ESI)m/z214.0[M-K]-
1H NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 8.80 (s, 1H), 8.65 (s, 1H), 7.98 (br s, 1H)
19F NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) -57.58 (s, 3H), -137.5--138.5 (m, 3F)
11B NMR (400MHz, アセトニトリル-d3) 3.32-2.15 (m, 1B)
13C NMR (101MHz, アセトニトリル-d3) 156.55 (br s, 1C), 143.86 (br s, 1C), 135.68 (br s, 1C), 126.4 - 123.7 (m, 1C), 125.10 (m, 1C)
【0070】
(実施例13)
スキーム
【化49】
化合物1(実施例5-2で調製した)を無水アセトニトリルに溶解させ、窒素下、氷浴で冷却する。メチルトリフルオロメタンスルホネート(1.1当量)のジクロロメタン溶液を滴下添加し、反応混合物を、ゆっくり室温に加温する。反応を、少量の水を添加することによってクエンチする。溶媒を減圧下で除去し、形成された沈殿物を濾過によって収集して、生成物13-2を得る。
【0071】
(実施例14)
スキーム
【化50】
ステップ1
【化51】
化合物1(N,N-ジメチル-5-(4,4,5,5)-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-ピリジンアミンは、商業的に利用可能である。化合物1のMeOH溶液に、KHF
2(3当量)を室温で添加する。溶液を室温で3時間撹拌する。混合物を減圧下で濃縮し、残留物をEtOAcで洗浄し、沈殿物を濾過によって収集して、化合物2を得る。
【0072】
ステップ2
【化52】
化合物2を無水アセトニトリルに溶解させ、窒素下、氷浴で冷却する。メチルトリフルオロメタンスルホネート(1.1当量)のジクロロメタン溶液を滴下添加し、反応混合物を、ゆっくり室温に加温する。反応を、少量の水を添加することによってクエンチする。溶媒を減圧下で除去し、形成された沈殿物を濾過によって収集して、生成物14-3を得る。
【0073】
(実施例15)
スキーム
【化53】
ステップ1
【化54】
化合物1である6-クロロ-N,N-ジメチル-2-ピラジンメタンアミンは、商業的に利用可能である。化合物1およびホウ酸トリイソプロピルのTHF溶液に、n-BuLi/ヘキサン溶液(1.2当量)を-100℃で滴下添加する。粗製生成物2を、次のステップで直接使用する。
【0074】
ステップ2
【化55】
2-[カルボキシメチル(メチル)アミノ]酢酸(1.5当量)のDMSO溶液に、化合物2のTHF溶液を120℃で滴下添加する。混合物を120℃で1時間撹拌し、混合物を減圧下で濃縮し、残留物を、カラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物3を得る。
【0075】
ステップ3
【化56】
化合物3のMeOH溶液に、水中でKHF
2(1.8当量)を添加する。混合物を30℃で12時間撹拌する。沈殿物を濾過によって収集し、乾燥させて、化合物4を得る。
【0076】
ステップ4
【化57】
化合物4を無水アセトニトリルに溶解させ、窒素下、氷浴で冷却する。メチルトリフルオロメタンスルホネート(1.1当量)のジクロロメタン溶液を滴下添加し、反応混合物を、ゆっくり室温に加温する。反応を、少量の水を添加することによってクエンチする。溶媒を減圧下で除去し、形成された沈殿物を濾過によって収集して、生成物15-5を得る。
【0077】
(実施例16)
スキーム
【化58】
ステップ1
【化59】
化合物1は、商業的に利用可能である。化合物1のMeOH溶液に、水中でKHF
2(1.8当量)を添加する。混合物を30℃で12時間撹拌する。沈殿物を濾過によって収集し、乾燥させて、化合物2を得る。
【0078】
ステップ2
【化60】
化合物2を無水アセトニトリルに溶解させ、窒素下、氷浴で冷却する。メチルトリフルオロメタンスルホネート(1.1当量)のジクロロメタン溶液を滴下添加し、反応混合物を、ゆっくり室温に加温する。反応を、少量の水を添加することによってクエンチする。溶媒を減圧下で除去し、形成された沈殿物を濾過によって収集して、生成物16-3を得る。
【0079】
(実施例16)
生物学的実験
抗結核薬物のMIC(最小阻害濃度)の決定
Mtb H37Rvに対する各化合物の抗結核活性を、緑色蛍光タンパク質レポーターアッセイによって測定した(L. A. Collins、M. N. Torrero、S. G. Franzblau、Antimicrob. Agents Chemother. 1998年、42巻、344~347頁)。簡潔には、化合物を、最初にジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、DMSOで2倍希釈物を作製した。化合物溶液の同量の各希釈物を、マイクロプレート中、7H9ブロスに添加した。Middlebrook 7H9培地で成長させた2×105CFU/mlのMtb H37Rv-GFPの初期接種物を、化合物に10日間曝露した。蛍光を、Fluostar Optimaマイクロプレート蛍光光度計(BMG Labtech、Germany)で測定し、MICを、細菌だけのウェルの蛍光と比較して蛍光を90%阻害した化合物の最少濃度と定義した。CFU=コロニー形成単位。
【0080】
以下の表1は、pH6.7および5.2における、Mtb H37Rv MtbH37Rv pncA-ノックアウト株(strians)に対する本発明の代表的な化合物および参照化合物であるピラジナミドの活性を示す。MIC6.7WTは、pH6.7における野生型Mtbに対するMICを意味し、MIC5.2WTは、pH5.2における野生型Mtbに対するMICを意味する。MIC6.7KOは、pH6.7におけるMtbのpncAノックアウト株に対するMICを意味し、MIC5.2KOは、pH5.2における同じノックアウト株に対するMICを意味する。この表は、調製した化合物が、PZAのようにpH5.2などのごく低いpHにおいてのみWTのMtbに対して活性であり、MtbのpncAノックアウト株に対して活性であることを示し、このことは、それらが、MtbのPZA耐性(pncAにおける突然変異に起因する)株に対して活性であることを示唆している。
【表1-1】
【表1-2】
【0081】
pH5.2におけるMIC
pH5.2におけるMtb H37Rvに対する各化合物の抗結核活性を、緑色蛍光タンパク質レポーターアッセイによって測定した(L. A. Collins、M. N. Torrero、S. G. Franzblau、Antimicrob. Agents Chemother. 1998年、42巻、344~347頁)。
【0082】
簡潔には、化合物を、最初にジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、DMSOで2倍希釈物を作製した。化合物溶液の同量の各希釈物を、マイクロプレート中、pHを調整した7H9ブロスに添加した。2×107CFU/mlのMtb H37Rv-GFPの初期接種物を、Middlebrook 7H9培地で成長させた。接種物を回収し、pHを調整した7H9ブロスに再懸濁させた。接種物を、化合物に10日間曝露した。蛍光を、Fluostar Optimaマイクロプレート蛍光光度計(BMG Labtech、Germany)で測定し、MICを、細菌だけのウェルの蛍光と比較して蛍光を80%阻害した化合物の最少濃度と定義した。
【0083】
哺乳動物の細胞毒性アッセイ
哺乳動物のVero細胞に対する化合物の細胞傷害性を、CellTiter 96(登録商標)非放射細胞増殖アッセイ(Promega)を使用して測定した。簡潔には、化合物を、最初にジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、DMSOで2倍希釈物を作製した。Vero細胞を、10%熱不活化ウシ胎児を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で48時間にわたって成長させた。細胞を計数し、細胞をDMEM培地中、最終濃度1×105/mlまで懸濁させた。細胞懸濁液50μl(5,000個の細胞)を、培地50μlであらかじめ満たしておいた96ウェルプレートのすべてのウェルに分注し、化合物の各希釈物2ulを添加した。プレートを、加湿5%CO2雰囲気中で37℃において72時間インキュベートする。あらかじめ混合された最適化された色素溶液を、96ウェルプレートの培養ウェルに添加することによって、アッセイを実施する。4時間後、次に可溶化/停止溶液を培養ウェルに添加して、ホルマザン生成物を可溶化し、570nmにおける吸光度を、96ウェルプレートリーダーを使用して記録する。IC50は、Vero細胞だけのウェルの吸光度と比較して吸光度を50%阻害した化合物の最少濃度と定義した。
【0084】
マイコバクテリウムにおける細胞内pH変化の測定
マイコバクテリウムの細胞内pHの変化を、pH感受性緑色蛍光タンパク質PH-GFPを発現したMtbを使用して測定した(O. H. Vandal、L. M. Pierini、D. Schnappinger、C. F. Nathan、S. Ehrt. Nat Med. 2008年、14巻、849~854頁)。簡潔には、化合物を、最初にジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、DMSOで2倍希釈物を作製した。化合物溶液の同量の各希釈物を、マイクロプレート中、pHを5.2に調整した7H9ブロスに添加した。2×107CFU/mlのMtb H37Rv-PH-GFPの初期接種物を、Middlebrook 7H9培地で成長させた。接種物を回収し、pHを調整した7H9ブロスに再懸濁させた。接種物を、化合物に4日間曝露した。蛍光を、Fluostar Optimaマイクロプレート蛍光光度計(BMG Labtech、Germany)で毎日測定し、395nmおよび475nmの吸光度で励起し、510nmの吸光度で発光を記録した。395:475吸光度比を計算し、記録した時間に対してプロットした。
【0085】
Mtbの内部pHに対する効果
PZAの特徴の1つは、酸性培地に入れた場合にMtbの内部pHを低下することである。内部pHは、修飾GFP(緑色蛍光タンパク質)によって測定することができ、PZAによる典型的な時間経過および用量応答を、
図1に示す。Mtbを化合物6で処理した場合の変化は、
図2に示されており、PZAで観測された変化と同様である。比較のために、内部pHに対して効果が全くない別のTB薬物であるイソニアジド(INH)のpH効果を、
図3に示す。
【0086】
PZAおよび化合物1-4の最小阻害濃度、ならびにpncAノックアウト株に対する活性
PZAは、pH5.2においてMtbに対して100~200μMのMICを示すが、pH6.7においてMICを示さない(MIC>400μM)。化合物6は、表2に示される通り、PZAと同様のパターンを示す。
【表2】
【0087】
PZAは、PncAがPOAに加水分解される必要があり、したがって、pncAがノックアウトされるMtb株に対して不活性である。化合物1-4は、PncAを必要とせず、したがって、Mtb pncA KO株に対して活性であると予測される。表2は、化合物1-4が、MtbのpncA KO株に対して活性であることを示す。
【0088】
本発明を、以下の番号付き段落によって、それらに限定することなくさらに記載する。 1.
式(I)の化合物
【化61】
[式中、
XおよびYは、互いに個々に、C、N、OまたはSであり、ただし、XおよびYは、両方がCとなることはなく、nが2である場合、XおよびYは、両方がOまたはSとなることはなく、そして、nが1である場合、Xは、OまたはSであり、Yは、Nであり、
Mは、Ca、Cs、K、Li、Mg、Naまたはテトラアルキルアンモニウムイオン(R
3)
4N
+であり、
R
1は、出現するごとに個々に、水素、ハロゲン、アルコキシ、ハロ-アルコキシ、低級アルキル、ハロ-低級アルキル、CN、-(CH
2)
tCN、-NR
3R
4、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、
R
2は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ハロ-アルコキシ、低級アルキル、ハロ-低級アルキル、CN、-(CH
2)
tCN、-NR
3R
4、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、
R
3およびR
4は、互いに独立に、水素もしくは低級アルキルであり、またはR
3およびR
4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4~7員環を形成し、
nは、1または2であり、
pは、1または2であり、
qは、1または2であり、
tは、1、2、3または4である]。
2.
nが、2であり、XおよびYが、共にNである、段落1に記載の化合物。
3.
nが、2であり、Xが、Cであり、Yが、Nである、段落1に記載の化合物。
4.
nが、2であり、Xが、Nであり、Yが、Cである、段落1に記載の化合物。
5.
nが、2であり、Mが、K、LiまたはNaである、段落1に記載の化合物。
6.
nが、1であり、Mが、MgまたはCaである、段落1に記載の化合物。
7.
R
1が、出現するごとに個々に、水素、ハロゲン、アルコキシ、ハロ-アルコキシ、低級アルキルまたはハロ-低級アルキルである、段落1に記載の化合物。
8.
R
1が、出現するごとに個々に、-CH
2CN、-NR
3R
4またはシアノである、段落1に記載の化合物。
9.
R
1が、出現するごとに個々に、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである、段落1に記載の化合物。
10.
R
2が、水素またはハロゲンである、段落1に記載の化合物。
11.
R
2が、アルコキシ、ハロ-アルコキシ、低級アルキルまたはハロ-低級アルキルである、段落1に記載の化合物。
12.
R
3およびR
4が、互いに独立に、水素または低級アルキルである、段落1に記載の化合物。
13.
R3およびR4が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4~7員環を形成する、段落1に記載の化合物。
14.
nが、1であり、Xが、Sであり、Yが、Nである、段落1に記載の化合物。
15.
nが、1であり、Xが、Nであり、Yが、Sである、段落1に記載の化合物。
16.
nが、1であり、Xが、Oであり、Yが、Nである、段落1に記載の化合物。
17.
nが、1であり、Xが、Nであり、Yが、Oである、段落1に記載の化合物。
18.
pが、1である、段落1に記載の化合物。
19.
qが、1である、段落1に記載の化合物。
20.
前記化合物は、
【化62】
である、段落1に記載の化合物。
21.
前記化合物は、
【化63】
である、段落1に記載の化合物。
22.
前記化合物は、
【化64】
である、段落1に記載の化合物。
23.
前記化合物は、
【化65】
である、段落1に記載の化合物。
24.
式Iの化合物、ならびに1つまたは複数の薬学的に許容される担体および/または添加物質を含む医薬組成物。
25.
1つまたは複数の追加の抗感染症剤をさらに含む、段落24に記載の医薬組成物。
26.
前記追加の抗感染症剤が、リファンピシン、リファブチン、リファペンテン、イソニアジド、エタンブトール、カナマイシン、アミカシン、カプレオマイシン、クロファジミン、サイクロセリン、パラ-アミノサリチル酸、リネゾリド、ステゾリド、ベダキリン、デラマニド、プレトマニド、モキシフロキサシンもしくはレボフロキサシン、またはそれらの組合せである、段落24に記載の医薬組成物。
27.
マイコバクテリア感染症を処置する方法であって、治療有効量の式Iの化合物を、前記処置を必要とする患者に投与するステップを含む、方法。
28.
前記マイコバクテリア感染症が、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium avium、Mycobacterium kansasii、Mycobacterium abscessusまたはMycobacterium chelonaeによって引き起こされる、段落27に記載の方法。
29.
前記マイコバクテリア感染症が、Mycobacterium tuberculosisによって引き起こされる、段落27に記載の方法。
30.
式(II)の化合物
【化66】
[式中、
XおよびYは、互いに個々に、C、N、OまたはSであり、ただし、XおよびYは、両方がCとなることはなく、nが2である場合、XおよびYは、両方がOまたはSとなることはなく、そして、nが1である場合、Xは、OまたはSであり、Yは、Nであり、
R
1は、[(R
3)
3N
+]-または[(R
3)
3N
+(CH
2)
s]-であり、ただし、nが1である場合、R
1は、[(R
3)
3N
+]-ではなく、
R
2は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ハロ-アルコキシ、低級アルキルまたはハロ-低級アルキルであり、
各R
3は、独立に、低級アルキルであり、または2つのR
3は、それらが結合する窒素と一緒になって、4~7員環を形成し、
nは、1または2であり、
pは、1または2であり、
sは、1、2、3、4、5または6である]。
31.
R
1が、
【化67】
である、段落30に記載の化合物。
32.
式(IIa)を有する、段落30に記載の化合物
【化68】
[式中、各R
3は、独立に、メチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピルであり、または2つのR
3は、それらが結合する窒素と一緒になって、3~5員環を形成する]。
33.
式(IIb)を有する、段落30に記載の化合物
【化69】
[式中、各R
3は、独立に、メチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピルであり、または2つのR
3は、それらが結合する窒素と一緒になって、3~5員環を形成する]。
34.
式(IIc)を有する、段落30に記載の化合物
【化70】
[式中、
各R
3は、独立に、メチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピルであり、または2つのR
3は、それらが結合する窒素と一緒になって、3~5員環を形成し、
sは、1、2、3または4である]。
35.
式(IId)を有する、段落30に記載の化合物
【化71】
[式中、
各R
3は、独立に、メチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピルであり、または2つのR
3は、それらが結合する窒素と一緒になって、3~5員環を形成し、
sは、1、2、3または4である]。
36.
式(IIe)を有する、段落30に記載の化合物
【化72】
[式中、
各R
3は、独立に、メチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピルであり、または2つのR
3は、それらが結合する窒素と一緒になって、3~5員環を形成し、
sは、1、2、3または4である]。
37.
段落30に記載の化合物、ならびに1つまたは複数の薬学的に許容される担体および/または添加物質を含む医薬組成物。
38.
1つまたは複数の追加の抗感染症剤をさらに含む、段落37に記載の医薬組成物。
39.
前記追加の抗感染症剤が、リファンピシン、リファブチン、リファペンテン、イソニアジド、エタンブトール、カナマイシン、アミカシン、カプレオマイシン、クロファジミン、サイクロセリン、パラ-アミノサリチル酸、リネゾリド、ステゾリド、ベダキリン、デラマニド、プレトマニド、モキシフロキサシンもしくはレボフロキサシン、またはそれらの組合せである、段落36に記載の医薬組成物。
40.
マイコバクテリア感染症を処置する方法であって、治療有効量の段落30に記載の化合物を、前記処置を必要とする患者に投与するステップを含む、方法。
41.
前記マイコバクテリア感染症が、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium avium、Mycobacterium kansasii、Mycobacterium abscessusまたはMycobacterium chelonaeによって引き起こされる、段落40に記載の方法。
42.
前記マイコバクテリア感染症が、Mycobacterium tuberculosisによって引き起こされる、段落40に記載の方法。
【0089】
特定の実施形態の変更を加えることができ、それらの変更が依然、添付の特許請求の範囲内に含まれ得る通り、本発明は、前述の本発明の特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
式(I)の化合物
【化73】
[式中、
XおよびYは、互いに個々に、C、N、OまたはSであり、ただし、XおよびYは、両方がCとなることはなく、nが2である場合、XおよびYは、両方がOまたはSとなることはなく、そして、nが1である場合、Xは、OまたはSであり、Yは、Nであり、
Mは、Ca、Cs、K、Li、Mg、Naまたはテトラアルキルアンモニウムイオン(R
3
)
4
N
+
であり、
R
1
は、出現するごとに個々に、水素、ハロゲン、アルコキシ、ハロ-アルコキシ、低級アルキル、ハロ-低級アルキル、CN、-(CH
2
)
t
CN、-NR
3
R
4
、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、
R
2
は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ハロ-アルコキシ、低級アルキル、ハロ-低級アルキル、CN、-(CH
2
)
t
CN、-NR
3
R
4
、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、
R
3
およびR
4
は、互いに独立に、水素もしくは低級アルキルであり、またはR
3
およびR
4
は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4~7員環を形成し、
nは、1または2であり、
pは、1または2であり、
qは、1または2であり、
tは、1、2、3または4である]。
(項目2)
nが、2であり、XおよびYが、共にNである、項目1に記載の化合物。
(項目3)
nが、2であり、Xが、Cであり、Yが、Nである、項目1に記載の化合物。
(項目4)
nが、2であり、Xが、Nであり、Yが、Cである、項目1に記載の化合物。
(項目5)
nが、2であり、Mが、K、LiまたはNaである、項目1に記載の化合物。
(項目6)
nが、1であり、Mが、MgまたはCaである、項目1に記載の化合物。
(項目7)
R
1
が、出現するごとに個々に、水素、ハロゲン、アルコキシ、ハロ-アルコキシ、低級アルキルまたはハロ-低級アルキルである、項目1に記載の化合物。
(項目8)
R
1
が、出現するごとに個々に、-CH
2
CN、-NR
3
R
4
またはシアノである、項目1に記載の化合物。
(項目9)
R
1
が、出現するごとに個々に、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである、項目1に記載の化合物。
(項目10)
R
2
が、水素またはハロゲンである、項目1に記載の化合物。
(項目11)
R
2
が、アルコキシ、ハロ-アルコキシ、低級アルキルまたはハロ-低級アルキルである、項目1に記載の化合物。
(項目12)
R
3
およびR
4
が、互いに独立に、水素または低級アルキルである、項目1に記載の化合物。
(項目13)
R3およびR4が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4~7員環を形成する、項目1に記載の化合物。
(項目14)
nが、1であり、Xが、Sであり、Yが、Nである、項目1に記載の化合物。
(項目15)
nが、1であり、Xが、Nであり、Yが、Sである、項目1に記載の化合物。
(項目16)
nが、1であり、Xが、Oであり、Yが、Nである、項目1に記載の化合物。
(項目17)
nが、1であり、Xが、Nであり、Yが、Oである、項目1に記載の化合物。
(項目18)
pが、1である、項目1に記載の化合物。
(項目19)
qが、1である、項目1に記載の化合物。
(項目20)
前記化合物は、
【化74】
である、項目1に記載の化合物。
(項目21)
前記化合物は、
【化75】
である、項目1に記載の化合物。
(項目22)
前記化合物は、
【化76】
である、項目1に記載の化合物。
(項目23)
前記化合物は、
【化77】
である、項目1に記載の化合物。
(項目24)
式Iの化合物、ならびに1つまたは複数の薬学的に許容される担体および/または添加物質を含む医薬組成物。
(項目25)
1つまたは複数の追加の抗感染症剤をさらに含む、項目24に記載の医薬組成物。
(項目26)
前記追加の抗感染症剤が、リファンピシン、リファブチン、リファペンテン、イソニアジド、エタンブトール、カナマイシン、アミカシン、カプレオマイシン、クロファジミン、サイクロセリン、パラ-アミノサリチル酸、リネゾリド、ステゾリド、ベダキリン、デラマニド、プレトマニド、モキシフロキサシンもしくはレボフロキサシン、またはそれらの組合せである、項目24に記載の医薬組成物。
(項目27)
マイコバクテリア感染症を処置する方法であって、治療有効量の式Iの化合物を、前記処置を必要とする患者に投与するステップを含む、方法。
(項目28)
前記マイコバクテリア感染症が、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium avium、Mycobacterium kansasii、Mycobacterium abscessusまたはMycobacterium chelonaeによって引き起こされる、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記マイコバクテリア感染症が、Mycobacterium tuberculosisによって引き起こされる、項目27に記載の方法。
(項目30)
式(II)の化合物
【化78】
[式中、
XおよびYは、互いに個々に、C、N、OまたはSであり、ただし、XおよびYは、両方がCとなることはなく、nが2である場合、XおよびYは、両方がOまたはSとなることはなく、そして、nが1である場合、Xは、OまたはSであり、Yは、Nであり、
R
1
は、[(R
3
)
3
N
+
]-または[(R
3
)
3
N
+
(CH
2
)
s
]-であり、ただし、nが1である場合、R
1
は、[(R
3
)
3
N
+
]-ではなく、
R
2
は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ハロ-アルコキシ、低級アルキルまたはハロ-低級アルキルであり、
各R
3
は、独立に、低級アルキルであり、または2つのR
3
は、それらが結合する窒素と一緒になって、4~7員環を形成し、
nは、1または2であり、
pは、1または2であり、
sは、1、2、3、4、5または6である]。
(項目31)
R
1
が、
【化79】
である、項目30に記載の化合物。
(項目32)
式(IIa)を有する、項目30に記載の化合物
【化80】
[式中、各R
3
は、独立に、メチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピルであり、または2つのR
3
は、それらが結合する窒素と一緒になって、3~5員環を形成する]。
(項目33)
式(IIb)を有する、項目30に記載の化合物
【化81】
[式中、各R
3
は、独立に、メチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピルであり、または2つのR
3
は、それらが結合する窒素と一緒になって、3~5員環を形成する]。
(項目34)
式(IIc)を有する、項目30に記載の化合物
【化82】
[式中、
各R
3
は、独立に、メチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピルであり、または2つのR
3
は、それらが結合する窒素と一緒になって、3~5員環を形成し、
sは、1、2、3または4である]。
(項目35)
式(IId)を有する、項目30に記載の化合物
【化83】
[式中、
各R
3
は、独立に、メチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピルであり、または2つのR
3
は、それらが結合する窒素と一緒になって、3~5員環を形成し、
sは、1、2、3または4である]。
(項目36)
式(IIe)を有する、項目30に記載の化合物
【化84】
[式中、
各R
3
は、独立に、メチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピルであり、または2つのR
3
は、それらが結合する窒素と一緒になって、3~5員環を形成し、
sは、1、2、3または4である]。
(項目37)
項目30に記載の化合物、ならびに1つまたは複数の薬学的に許容される担体および/または添加物質を含む医薬組成物。
(項目38)
1つまたは複数の追加の抗感染症剤をさらに含む、項目37に記載の医薬組成物。
(項目39)
前記追加の抗感染症剤が、リファンピシン、リファブチン、リファペンテン、イソニアジド、エタンブトール、カナマイシン、アミカシン、カプレオマイシン、クロファジミン、サイクロセリン、パラ-アミノサリチル酸、リネゾリド、ステゾリド、ベダキリン、デラマニド、プレトマニド、モキシフロキサシンもしくはレボフロキサシン、またはそれらの組合せである、項目36に記載の医薬組成物。
(項目40)
マイコバクテリア感染症を処置する方法であって、治療有効量の項目30に記載の化合物を、前記処置を必要とする患者に投与するステップを含む、方法。
(項目41)
前記マイコバクテリア感染症が、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium avium、Mycobacterium kansasii、Mycobacterium abscessusまたはMycobacterium chelonaeによって引き起こされる、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記マイコバクテリア感染症が、Mycobacterium tuberculosisによって引き起こされる、項目40に記載の方法。