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特許7071970非侵襲健康モニタリングデバイスを校正するためのデバイス、システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】非侵襲健康モニタリングデバイスを校正するためのデバイス、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1495 20060101AFI20220512BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
A61B5/1495
A61B5/1455
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019518309
(86)(22)【出願日】2017-10-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-28
(86)【国際出願番号】 IL2017051115
(87)【国際公開番号】W WO2018065981
(87)【国際公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】62/404,813
(32)【優先日】2016-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518231437
【氏名又は名称】ウェア2ビー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】バシャン オハド
(72)【発明者】
【氏名】バシャン オデド
(72)【発明者】
【氏名】クライン アハロン
(72)【発明者】
【氏名】デケル ベン ツィオン
(72)【発明者】
【氏名】バル-サカイ ジオラ
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-259967(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0097716(US,A1)
【文献】特表2003-507732(JP,A)
【文献】特表2008-524577(JP,A)
【文献】特開2016-150130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/03
A61B 5/06 - 5/22
G01N 21/00 -21/01
G01N 21/17 -21/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液中の物質濃度を測定するためのデバイスを校正するためのシステムであって、前記デバイスは、少なくとも1つの放射源と、放射源から放出され、被験体の皮膚組織中の血管を照射して反射する、血管からの反射を検出する少なくとも1つのセンサとを含み、前記システムは、
各セットが複数の校正要素を備える、校正要素の少なくとも2つのセットであって、
前記校正要素の各々は、
特定のヒト皮膚特性を模擬する第1の層、および、
特定の濃度の1つ以上の血液中物質からなる第2の層、
を備え、
ある1つのセット中のすべての校正要素において、前記第1の層は、同じヒト皮膚特性を模擬する同じ第1の層であり、校正要素の各セットは、異なる皮膚特性を模擬し、
校正要素のある1つのセット中の各校正要素は、異なる濃度の前記1つ以上の物質からなる異なる第2の層を備える、
校正要素の前記少なくとも2つのセットと、
コントローラであって、前記コントローラは、
物質濃度を測定するための前記デバイスが前記システムの各校正要素に取り付けられたときに前記デバイスから検出した照射強度を受信し、
前記受信された照射強度を前記デバイスが取り付けられた前記校正要素の前記特定の皮膚特性および前記特定の濃度と関連付けて、
前記特定の皮膚特性および前記特定の濃度と関連付けられた前記照射強度を、物質濃度を測定するための前記デバイスのメモリにおけるルックアップテーブルに記憶する、
ように構成された、前記コントローラと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記皮膚特性は、皮膚の厚さ、皮膚の色、皮膚の毛の密度、皮膚の色合い、皮膚の温度、皮膚の光学的特性および皮膚の毛の色のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記受信された照射強度は、様々な波長における照射強度を含み、前記記憶されたルックアップテーブルは、前記特定の皮膚特性、前記1つ以上の物質および前記特定の濃度と関連付けられた特定の波長の照射強度に関するルックアップテーブルを含む、請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
各校正要素は、
皮膚組織中の血管からの前記反射を模擬するための第3の層、
をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
血液中の物質濃度を測定するためのデバイスを校正するためのシステムであって、前記デバイスは、少なくとも1つの放射源と、放射源から放出され、被験体の皮膚組織中の血管を照射して反射する、血管からの反射を検出する少なくとも1つのセンサとを含み、前記システムは、
校正要素の第1のセット、
校正要素の第2のセット、
であって、
前記第1および第2のセット中の前記校正要素の各々は、
特定のヒト皮膚特性を模擬する第1の層、および、
特定の濃度の1つ以上の血液中物質からなる第2の層、
を備え、
校正要素の前記第1のセット中で前記第1の層が第1のヒト皮膚特性を模擬し、校正要素の前記第2のセット中では前記第1の層が、前記第1のヒト皮膚特性とは異なる、第2のヒト皮膚特性を模擬し、
前記第1のセット中の各校正要素は、異なる濃度の前記1つ以上の物質からなる異なる第2の層を備え、前記第2のセット中の各校正要素は、異なる濃度の前記1つ以上の物質からなる異なる第2の層を備える、
前記第1および第2のセットと、
コントローラであって、前記コントローラは、
物質濃度を測定するための前記デバイスが前記システムの各校正要素に取り付けられたときに前記デバイスから検出した照射強度を受信し、
前記受信された照射強度を前記デバイスが取り付けられた前記校正要素の前記特定の皮膚特性および前記第2の層における前記測定された1つ以上の物質の前記特定の濃度と関連付けて、
前記特定の皮膚の厚さおよび前記特定の濃度と関連付けられた前記照射強度を、物質濃度を測定するための前記デバイスのメモリに記憶する、
ように構成された、前記コントローラと、
を備える、システム。
【請求項6】
前記皮膚特性は、皮膚の厚さ、皮膚の色、皮膚の毛の密度、皮膚の光学的特性および皮膚の毛の色のうちの少なくとも1つである、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記受信された照射強度は、様々な波長における照射強度を含み、前記デバイスの前記メモリは、前記特定の皮膚特性、前記1つ以上の物質および前記特定の濃度と関連付けられた特定の波長の照射強度に関するルックアップテーブルを含む、請求項5または請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
各校正要素は、
皮膚組織中の血管からの照射・反射を模擬するための第3の層、
をさらに備える、請求項5~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
血液中の物質濃度を測定するためのデバイスを校正するための方法であって、前記デバイスは、少なくとも1つの放射源と、放射源から放出され、被験体の皮膚組織中の血管を照射して反射する、血管からの反射を検出する少なくとも1つのセンサとを含み、前記方法は、
物質濃度を測定するための前記デバイスを校正要素の2つ以上のセットのうちの1つに含まれた各校正要素に取り付けるステップであって、
前記校正要素の各々は、
特定のヒト皮膚特性を模擬する第1の層、および、
特定の濃度の1つ以上の物質からなる第2の層、
を備え、
ある1つのセット中のすべての校正要素において、前記第1の層は、同じヒト皮膚特性を模擬する同じ第1の層であり、校正要素の各セットは、異なる皮膚特性を模擬し、
校正要素のある1つのセット中の各校正要素は、異なる濃度の前記1つ以上の物質からなる異なる第2の層を備える、
前記取り付けるステップと、
物質濃度を測定するための前記デバイスが各校正要素に取り付けられたときに前記デバイスから検出した照射強度を、校正システムのコントローラによって、受信するステップと、
前記受信された照射強度を、前記特定の皮膚特性および前記デバイスが取り付けられた前記校正要素の前記第2の層における前記1つ以上の物質の前記特定の濃度と、前記コントローラによって、関連付けるステップと、
前記特定の皮膚特性および前記特定の濃度と関連付けられた前記照射強度を、物質濃度を測定するための前記デバイスのメモリに、前記コントローラによって、記録するステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記皮膚特性は、皮膚の厚さ、皮膚の色、皮膚の毛の密度、皮膚の光学的特性および皮膚の毛の色のうちの少なくとも1つである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
照射強度を受信するステップは、様々な波長において照射強度を受信するステップを含み、前記照射強度を記録するステップは、前記特定の皮膚特性および前記特定の濃度と関連付けられた特定の波長の照射強度に関するルックアップテーブルを作成するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非侵襲健康モニタリングデバイスを校正するためのデバイス、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非侵襲血液検査測定は、将来の血液測定である。非侵襲血液検査測定は、簡単、無害、無痛であり、検査室における時間を必要としない。非侵襲測定のためのいくつかの市販品が、現在、入手できる。しかしながら、これらのデバイスが適正に作動するためには、それらが、特定の患者に適合するように正確に校正されなければならない。
【0003】
非侵襲血液検査測定は、測定デバイスを患者の皮膚に取り付けることによって行われる。これらのデバイスは、通常、血管を標的として患者の皮膚を通して電磁信号(例えば、可視光、IR放射、RF放射など)を送信し、血管から受信された反射を読み取ることによって操作される。異なるヒト皮膚は、異なる特性、例えば、異なる皮膚層の異なる厚さ、異なる毛の量、異なる色素量などを有し、それゆえに、非侵襲測定デバイスから送信された電磁信号を異なって吸収しかねない。従って、異なる皮膚特性および異なる解剖学的形態をもつ患者について血液中の様々な物質の濃度を正確に測定するためには、各ユーザに対して特別に校正されてよい非侵襲血液測定デバイスが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のいくつかの態様は、血液中の物質濃度を測定するためのデバイスを校正するためのシステムに関する。システムは、校正要素の少なくとも2つのセットを含んでよく、各セットは、複数の校正要素を備える。いくつかの実施形態において、校正要素の各々は、特定のヒト皮膚特性を模擬する第1の層、および特定の濃度の1つ以上の血液中物質からなる第2の層を含んでよい。いくつかの実施形態では、ある1つのセット中のすべての校正要素において、第1の層は、校正要素の各セットが異なる皮膚特性を模擬するように同じヒト皮膚特性を模擬する同じ第1の層であってよい。いくつかの実施形態において、校正要素のある1つのセット中の各校正要素は、異なる濃度の1つ以上の物質からなる異なる第2の層を含んでよい。いくつかの実施形態において、システムは、コントローラをさらに含んでよく、コントローラは、物質濃度を測定するためのデバイスがシステムの各校正要素に取り付けられたときにそのデバイスから照射強度を受信し、受信された照射強度をデバイスが取り付けられた校正要素の特定の皮膚特性および特定の濃度と関連付けて、特定の皮膚特性および特定の濃度を関連付けられた照射強度を、物質濃度を測定するためのデバイスのメモリにおけるルックアップテーブルに記憶するように構成されてよい。
【0005】
いくつかの実施形態において、皮膚特性は、皮膚の厚さ、皮膚の色、皮膚の毛の密度、皮膚の色合い、皮膚の温度、皮膚の光学的特性および皮膚の毛の色のうちの少なくても1つであってよい。いくつかの実施形態において、受信される照射強度は、様々な波長における照射強度を含んでよく、記憶されるルックアップテーブルは、特定の皮膚特性、1つ以上の物質および特定の濃度と関連付けられた特定の波長の照射強度に関するルックアップテーブルを含む。いくつかの実施形態において、システムは、皮膚組織中の血管からの照射・反射を模擬するための第3の層をさらに含んでよい。
【0006】
本発明の他のいくつかの態様は、血液中の物質濃度を測定するためのデバイスを校正するためのシステムに関係してよい。システムは、校正要素の第1のセットおよび校正要素の第2のセットを含んでよい。いくつかの実施形態において、第1および第2のセット中の校正要素の各々は、校正要素の第1のセット中で第1の層が第1のヒト皮膚特性を模擬し、校正要素の第2のセット中では第1の層が、第1のヒト皮膚特性とは異なる、第2のヒト皮膚特性を模擬するように特定のヒト皮膚特性を模擬する第1の層、および特定の濃度の1つ以上の血液中物質からなる第2の層を含んでよい。いくつかの実施形態において、第1のセット中の各校正要素は、異なる濃度の1つ以上の物質からなる異なる第2の層を含んでよく、第2のセット中の各校正要素は、異なる濃度の1つ以上の物質からなる異なる第2の層を含んでよい。いくつかの実施形態において、システムは、コントローラをさらに含んでよく、コントローラは、物質濃度を測定するためのデバイスがシステムの各校正要素に取り付けられたときにそのデバイスから照射強度を受信し、受信された照射強度をデバイスが取り付けられた校正要素の特定の皮膚特性および第2の層において測定された1つ以上の物質の特定の濃度と関連付けて、特定の皮膚の厚さおよび特定の濃度と関連付けられた照射強度を、物質濃度を測定するためのデバイスのメモリに記憶するように構成されてよい。
【0007】
いくつかの実施形態において、皮膚特性は、皮膚の厚さ、皮膚の色、皮膚の毛の密度、皮膚の光学的特性、および皮膚の毛の色のうちの少なくとも1つである。
【0008】
本発明のいくつかの追加の態様は、血液中の物質濃度を測定するためのデバイスを校正する方法に関係してよい。方法は、物質濃度を測定するためのデバイスを校正要素の2つ以上のセットのうちの1つに含まれた各構成要素に取り付けるステップを含んでよい。いくつかの実施形態において、校正要素の各々は、特定のヒト皮膚特性を模擬する第1の層、および特定の濃度の1つ以上の物質からなる第2の層を含んでよい。いくつかの実施形態では、ある1つのセット中のすべての校正要素において、第1の層は、同じヒト皮膚特性を模擬する同じ第1の層であってよく、校正要素の各セットは、異なる皮膚特性を模擬し、構成要素のある1つのセット中の各校正要素は、異なる濃度の1つ以上の物質からなる異なる第2の層を含んでよい。いくつかの実施形態において、方法は、物質濃度を測定するためのデバイスが各校正要素に取り付けられたときにそのデバイスから照射強度を、校正システムのコントローラによって、受信するステップと、受信された照射強度を特定の皮膚特性およびデバイスが取り付けられた校正要素の第2の層における1つ以上の物質の特定の濃度と、コントローラによって、関連付けるステップと、特定の皮膚特性および特定の濃度と関連付けられた照射強度を、物質濃度を測定するためのデバイスのメモリに、コントローラによって、記録するステップと、をさらに含んでよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、照射強度を受信するステップは、様々な波長において照射強度を受信するステップを含んでよく、照射強度を記録するステップは、特定の皮膚特性および特定の濃度と関連付けられた特定の波長の照射強度に関するルックアップテーブルを作成するステップを含んでよい。
【0010】
本発明と見なされる主題は、本明細書の結論部分において特に指摘され、明確に請求される。本発明は、しかしながら、オペレーションの構成および方法のいずれについても、それらの目的、特徴、および利点と併せて、添付図面とともに読まれたときに、以下の詳細な記載への参照により、最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のいくつかの実施形態による血液中の物質濃度を測定するためのデバイスを校正するためのシステムの図表示である。
図2】本発明のいくつかの実施形態による測定デバイスの説明図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態による校正要素の説明図である。
図4】本発明のいくつかの実施形態による血液中の物質濃度を測定するためのデバイスを校正する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
説明を簡潔かつ明確にするために、図に示された要素は、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことが理解されよう。例えば、明確にするために、いくつかの要素の寸法が他の要素と比較して誇張されることがある。さらに、適切と考えられるところでは、対応または類似する要素を示すために複数の図の間で参照数字が繰り返されることがある。
【0013】
以下の詳細な記載では、本発明の十分な理解を与えるために多くの具体的な詳細が提示される。しかしながら、これらの具体的な詳細なしに本発明が実施されてよいことを当業者は理解するであろう。他の事例では、よく知られた方法、手順、およびコンポーネント、モジュール、ユニットおよび/または回路は、本発明を曖昧にしないために詳細には記載されなかった。1つの実施形態に関して記載されたいくつかの特徴または要素は、他の実施形態に関して記載されたいくつかの特徴または要素と組み合わされてよい。明確にするために、同じかもしくは同様の特徴または要素の詳解は、繰り返されないことがある。
【0014】
本発明の実施形態は、この点について限定されないが、例えば、「処理する(processing)」、「計算する(computing)」、「算出する(calculating)」、「判定する(determining)」、「確立する(establishing)」、「分析する(analyzing)」、「チェックする(checking)」などのような用語を利用した議論は、コンピュータのレジスタおよび/またはメモリ内に物理(例えば、電子的な)量として表現されたデータを、コンピュータのレジスタおよび/またはメモリ、あるいは、オペレーションおよび/または処理を行うための命令を記憶してよい他の情報非一時的記憶媒体内に物理量として同様に表現された他のデータへ、操作および/または変換するコンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム、または他の電気コンピューティングデバイスのオペレーション(単数または複数)および/または処理(単数または複数)に言及してよい。本発明の実施形態は、この点について限定されないが、「複数(plurality」)および「複数(a plurality」)という用語は、本明細書では、例えば、「多数の(muliple)」または「2つ以上の(two or more)」を含んでよい。「複数(plurality」)または「複数(a plurality」)という用語は、2つ以上のコンポーネント、デバイス、要素、ユニット、パラメータ、または同様のものを記述するために本明細書全体にわたって用いられてよい。セット(set)という用語は、本明細書で用いられるときに、1つ以上の項目を含んでよい。明示的に述べられない限り、本明細書に記載される方法の実施形態は、特定の順序またはシーケンスに制約されない。加えて、記載される方法の実施形態のいくつかまたはそれらの要素は、同時に、同じ時点で、または一斉に発生するかまたは行われることが可能である。
【0015】
次に、本発明のいくつかの実施形態による血液中の物質濃度を測定するためのデバイスを校正するためのシステムの図表示である図1が参照される。システム100は、校正要素105a~105dおよび106a~106dの少なくとも2つのセット105および106を含んでよい。いくつかの実施形態において、システム100は、追加のセット、例えば、校正素子107a~107dのセット107を含んでよい。校正要素の詳細な記述は、図3に関して与えられる。システム100は、コントローラ110、記憶ユニット120、ユーザインターフェース130および通信ユニット140をさらに含んでよい。通信ユニット140は、血液中の物質濃度を測定するためのデバイス10からの情報を送信および受信するように構成されてよい。
【0016】
いくつかの実施形態において、コントローラ110は、例えば、中央処理装置(CPU:central processing unit)、チップもしくは任意の適切なコンピューティングまたはコンピュテーショナルデバイスであってよいプロセッサ112、オペレーティングシステム114およびメモリ116を含んでよい。システム100は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、メインフレームコンピュータまたは同様のものを含んでよい。プロセッサ112は、本発明の実施形態による方法を、例えば、メモリ116のようなメモリに記憶された命令を実行することによって実施するように構成されてよい。
【0017】
オペレーティングシステム114は、コントローラ110の調整、スケジューリング、調停、監督、制御または別の状況では管理オペレーションを伴う、例えば、プログラムの実行をスケジュールするなどの、タスクを行うように設計および/または構成された任意のコードセグメントであってよく、あるいはそれを含んでよい。オペレーティングシステム114は、市販のオペレーティングシステムであってよい。メモリ116は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、リードオンリメモリ(ROM:read only memory)、ダイナミックRAM(DRAM:Dynamic RAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM:Synchronous DRAM)、ダブルデータレート(DDR:double data rate)メモリチップ、フラッシュメモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、キャッシュメモリ、バッファ、短期メモリユニット、長期メモリユニット、または他の適切なメモリユニットあるいは記憶ユニットであってよく、あるいはそれらを含んでよい。メモリ116は、複数の、場合によっては異なるメモリユニットであってよく、あるいはそれらを含んでよい。
【0018】
メモリ116は、任意の実行可能なコード、例えば、アプリケーション、プログラム、プロセス、タスクまたはスクリプトを記憶してよい。実行可能なコードは、血液中の物質濃度を測定するためのデバイスを校正するためのコード、または本発明の実施形態による方法を実行するための任意の他のコードもしくは命令を含んでよい。実行可能なコードは、プロセッサ112によって、場合によってはオペレーティングシステム114の制御の下で実行されてよい。
【0019】
記憶装置120は、例えば、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、コンパクトディスク(CD:Compact Disk)ドライブ、追記型CD(CD-R:CD-Recordable)ドライブ、ユニバーサルシリアルバス(USB:universal serial bus)デバイス、もしくは他の適切なリムーバブルおよび/または固定記憶ユニットであってよく、あるいはそれらを含んでよい。コンテンツは、記憶装置120に記憶されてよく、記憶装置120からメモリ116へ読み込まれてよく、そこでプロセッサ112によって処理されてよい。例えば、記憶装置120は、血液中の物質濃度の測定に関係する参照データ、例えば、血糖値、LDL(低密度リポタンパク質:low density lipoprotein)、血液中のHDL(高密度リポタンパク質:high density lipoprotein)レベル、血液中のコレステロールレベル、血液中のTG(トリグリセリド:Tri Glyceride)レベル、血液中のアルブミンレベル、血液中のヘモグロビンレベル、心拍数、心拍信号強度、皮膚温の変化速度(skin temp rate)、体の動きまたは動きの欠如、水平位の異なる方向における体の加速度、皮膚の厚さ、皮膚の色素沈着を表す、異なる波長における反射IR光の振幅を含んでよい。
【0020】
ユーザインターフェース130は、スクリーン、ポインティングデバイス、オーディオデバイス、またはユーザが命令および/または情報をコントローラ110へ送信し、情報をコントローラ110から受信することを許容してよい任意の他のデバイスであってよく、あるいはそれらを含んでよい。例えば、ユーザインターフェース130は、マウス、タッチスクリーンまたはパッド、キーボード、マイクロフォン、スピーカおよび同様のものを含んでよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、システム100は、血液中の物質濃度を測定するための少なくとも1つのデバイス10との通信のための通信ユニット140をさらに含んでよい。通信ユニット140は、コントローラ110とデバイス10とを接続するための任意の適用可能な入力/出力(I/O)デバイス、例えば、有線または無線ネットワークインターフェースカード(NIC:network interface card)、モデム、ユニバーサルシリアルバス(USB:universal serial bus)デバイスまたは外部ハードドライブおよび同様のものを含んでよい。
【0022】
本発明の実施形態は、コンピュータもしくはプロセッサ非一時的可読媒体などの物品、あるいは、プロセッサまたはコントローラによって実行されたときに、本明細書に開示される方法を実施する命令、例えば、コンピュータ実行可能命令をコードする、含むかまたは記憶する、メモリ、ディスクドライブ、もしくはUSBフラッシュメモリのような、コンピュータもしくはプロセッサ非一時的可読媒体を含んでよい。
【0023】
記憶媒体は、以下には限定されないが、フロッピーディスク、光ディスク、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM:compact disk read-only memory)、書換え可能型コンパクトディスク(CD-RW:rewritable compact disk)、および光磁気ディスクを含む任意のタイプのディスク、半導体デバイス、例えば、リードオンリメモリ(ROM)、ダイナミックRAM(DRAM)のようなランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM:erasable programmable read-only memory)、フラッシュメモリ、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM:erasable programmable read-only memory)、磁気もしくは光カード、またはプログラマブル記憶ユニットを含めて、電子命令を記憶するのに適した任意のタイプの媒体を含んでよい。
【0024】
本発明の実施形態によるシステムは、以下には限定されないが、複数の中央処理装置(CPU)あるいは任意の他の適切な多目的もしくは特定のプロセッサまたはコントローラ、複数の入力ユニット、複数の出力ユニット、複数のメモリユニット、および複数の記憶ユニットのようなコンポーネントを含んでよい。システムは、追加的に、他の適切なハードウェアコンポーネントおよび/またはソフトウェアコンポーネントを含んでよい。いくつかの実施形態において、システムは、例えば、パーソナルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、モバイルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、端末、ワークステーション、サーバコンピュータ、タブレットコンピュータ、ネットワークデバイス、または任意の他の適切なコンピューティングデバイスを含んでよく、あるいはそれらであってよい。明示的に述べられない限り、本明細書に記載される方法の実施形態は、特定の順序またはシーケンスに制約されない。加えて、記載される方法の実施形態のいくつかまたはそれらの要素は、同じ時点で発生するかまたは行われることが可能である。
【0025】
次に、本発明のいくつかの実施形態による血液中の物質濃度を測定するためのデバイスの説明図である図2が参照される。デバイス10は、ユーザの血液中のグルコース、アルブミン、インスリンおよび同様のもののような物質の濃度を測定するように構成されたウェアラブル・モニタリングデバイスであってよい。デバイス10は、測定ユニット200、プロセッサ230、通信ユニット240およびメモリ250を含んでよい。測定ユニット200は、少なくとも1つのセンサ210および少なくとも1つの発光源220を含んでよい。いくつかの実施形態において、測定ユニット200は、環境からのノイズを低減するために被験者の皮膚に隣接するかまたはそれと接触してよい。少なくとも1つの発光源220から放出された光を用いて、デバイス10は、市販の侵襲的とは対照的に非侵襲的で、最小限に侵襲的な解決法である光学的測定を行ってよいことに留意すべきである。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの発光源220から放出されたEM放射は、被験者の皮下組織から反射されて、次に、いくつかの実施形態によれば、赤外または近赤外(IR:Infra-Red)スペクトル内にあってよい、少なくとも1つのセンサ210によって検出されてよい。例えば、被験者の血液からの生理信号を測定するために短波長IR(SWIR:Short Wave IR)イメージングが利用される。SWIR波長帯は、900nmにおける近赤外領域の下縁から2500nmまで続き、被験者の体内の血管の検査のために利用されてよい。必要に応じて、SWIR波長帯の範囲が広げられてよいことに留意すべきである。
【0027】
デバイス10は、測定ユニット200を様々な構成で含んでよく、いくつかの実施形態では、単一のセンサ210が(例えば、図2に示されるように)複数の発光源220によって囲まれることに留意すべきである。他の構成は、複数のセンサ210および発光源を採用してもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、各発光源220、または発光源220のサブセット(例えば、対または3つ組)は、異なる所定の波長の光を放出してよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、各発光源220、または発光源220のサブセットは、すべての発光源220が同時には光を放出しないように、光を異なる時間におよび/または異なる周波数で放出してよい。これは、光ビームの放出の間の時間間隔が知られているときに、反射された組織に関する追加の情報を提供することができる。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、各発光源220による、または発光源220の各サブセットによるサンプリングの周波数は、測定される生理信号のナイキスト速度以上であってよい。
【0031】
いくつかの非限定の実施形態において、光学的測定における精度を向上させるために偏光された光学的手段が利用されてよい。具体的には、所定の偏光をもつ光ビームを放出し、例として専用フィルタを用いて、実質的に異なる偏光をもつこれらのビームを受信するステップが、測定結果における信号対雑音比を改善してよい。さらに、かかる偏光するステップは、血管の反射ビームからの信号のみが測定される一方で、外側皮膚層からのノイズが低減されてよいので、光ビームの組織中への侵入について改善された指標を提供することもできる。
【0032】
いくつかの非限定の実施形態では、他のセンサも利用されてよい。例えば、音響・超音波センサ、ならびにテラヘルツセンサ、RFセンサ、マイクロ波センサおよび対応するエネルギー源。
【0033】
次に、本発明のいくつかの実施形態による校正要素の説明図である図3が参照される。校正要素300は、特定のヒト皮膚特性を模擬する第1の層310、および特定の濃度の1つ以上の血液中物質、例えば、グルコース、アルブミンおよびインスリンまたはそれらの組み合わせからなる第2の層320を含んでよい。いくつかの実施形態において、特定の濃度は、1つより多い物質、例えば、アルブミンおよびインスリンの特定の濃度を含んでよい。本発明の実施形態による皮膚特性は、皮膚の厚さ、皮膚の温度、皮膚の色、皮膚の毛の密度、皮膚の光学的特性、および皮膚の毛の色のうちの少なくとも1つを含んでよい。いくつかの実施形態において、皮膚の光学的特性は、EM放射、例えば、短波長赤外線を吸収、反射および/または散乱する皮膚の能力を含んでよい。皮膚の光学的特性は、散乱パラメータ(Sパラメータ)行列を含んでよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、校正要素300は、皮膚組織中の血管からの照射・反射を模擬するため、ならびにノイズおよび第2の層において測定された1つ以上の物質に関係しない反射からの要素を分離するために第3の層330をさらに含んでよい。校正要素300は、図1に示される校正要素105a~105d、106a~106dおよび107a~107bと実質的に同じタイプの層を含んでよい。いくつかの実施形態において、校正要素300、105a~105d、106a~106dおよび107a~107bは、外部光放射と送信されたEM放射および校正要素から読み取られたEM反射とが干渉しないように、デバイス10が、校正要素に取り付けられるのを許容するように構成されてよい。例えば、校正要素300、105a~105d、106a~106dおよび107a~107bは、ヒトの手首または腕の形状に倣うために円筒形を有してよい。他の形状が用いられてもよい。
【0035】
第1の層310は、ヒト皮膚のEM吸収特性を模擬してよい任意の物質を含んでよい。例えば、第1の層310は、メラニンクロモフォア、皮膚タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、水、血中脂質、ヘモグロビンを模擬する物質、または1つ以上の放出源220から放出されたEM放射に対するヒト皮膚の反応を模擬してよい他の血液成分を含んでよい。いくつかの校正要素300は、異なる皮膚特性を模擬する異なる第1の層を有してよい。いくつかの実施形態において、セット105、106および107は、模擬される厚さが相違してよく、例えば、要素105a~105dは、すべてが2mmの皮膚の厚さを模擬する同じ第1の層を有してよく、要素106a~106dは、すべてが3mmの皮膚の厚さを模擬する同じ第1の層を有してよく、要素107a~107dは、すべてが5mmの皮膚の厚さを模擬する同じ第1の層を有してよい。いくつかの実施形態において、図1のシステム100は、2、2.25、2.5、2.75、3、3.25、…、4.75および5mmの皮膚の厚さを有するセットを含んでよい。
【0036】
いくつかの実施形態において、校正要素のすくなくともいくつかのセットは、異なる皮膚の厚さに加えて異なる皮膚の色&色合いを模擬してよい。例えば、セット106およびセット107は、いずれも2.5mmの厚さであるが、異なる量の呈色色素、例えば、メラニンクロモフォア、ヘモグロビン、他の血液成分、皮膚タンパク質(エラスチン、コラーゲン)などをもつ皮膚を模擬してよい。
【0037】
第2の層320は、血液中で測定されることになる、特定の濃度の1つ以上の物質を備える液体または固溶体を含んでよい。例えば、第2の層320は、特定の濃度のアルブミンおよび/またはグルコースを含んでよい。いくつかの実施形態において、校正要素のある1つのセット中の各校正要素は、異なる濃度の1つ以上の物質を有する異なる第2の層を含んでよい。例えば、校正要素105aは、3.5g/dLのアルブミンを含んでよく、校正要素105bは、3.6g/dLのアルブミンを含んでよく、校正要素105cは、3.7g/dLのアルブミンを含んでよく、校正要素105dは、3.8g/dLのアルブミンを含んでよい。要素106a~106dおよび107a~107dには同様のまたは異なるアルブミン濃度が含まれてよい。さらに別の例では、要素106a~106dおよび107a~107dは、異なる濃度のアルブミンおよびグルコースを含んでよい。図1に示される例では、要素の各セット105、106、107が4つの校正要素を含むが、当然のことながら、任意の数の校正要素が各セットで用いられてよい。さらに、当然のことながら、いくつかの実施形態によれば、異なるセットは、異なる数の校正要素を有してよい。
【0038】
第3の層330は、1つ以上の放出源220から放出された電磁放射をヒト臓器/皮膚が行うであろうように分離して吸収するであろう任意の物質を含んでよい。例えば、第3の層330は、木、アルミニウム、金属、SWIR(短波長赤外線)不透明ポリマーおよび水を含んでよい。
【0039】
次に、本発明のいくつかの実施形態による血液中の物質濃度を測定するためのデバイスを校正する方法のフローチャートである、図4が参照される。図4の方法は、システム100のようなシステムを用いて行われてよい。オペレーション410において、実施形態は、物質濃度を測定するためのデバイスを校正要素の2つ以上のセットに含まれた各校正要素に取り付けるステップを含んでよい。デバイス10は、システム100の少なくともいくつかの校正要素に手動でまたは自動的に(例えば、ロボットシステムによって)取り付けられてよい。例えば、デバイス10は、最初にセット105の校正要素105a~105dの各々に取り付けられてよく、次にセット106の校正要素106a~106dの各々に取り付けられてよいなどである。
【0040】
いくつかの実施形態において、デバイス10が校正要素に取り付けられるたびに、1つ以上の発光源220がEM放射(例えば、光)を校正要素中に放出してよく、1つ以上のセンサ210は、校正要素から反射し返されたEM放射を読み取ってよい。プロセッサ230は、反射されたEM放射が1つ以上のセンサ210によって感知された強度(例えば、光学値)をメモリ250に記録してよい。いくつかの実施形態において、1つ以上の発光源220は、光をいくつかの波長、例えば、1100nmおよび1290nmで放出してよく、センサ210は、2つの異なる強度(例えば、異なる光学値)を各波長について感知してよい。いくつかの実施形態において、プロセッサ230は、記録された強度を通信ユニット240経由でコントローラ110へ送信するように構成されてよい。
【0041】
オペレーション420において、実施形態は、物質濃度を測定するためのデバイスが各校正要素に取り付けられたときにそのデバイスから照射強度を受信するステップを含んでよい。いくつかの実施形態において、照射強度は、少なくとも第1の層310および第2の層320の光学的特性によって影響されてよい。第2の層320から反射されるEM放射は、層320中の1つまたは複数の物質(例えば、アルブミンおよび/またはグルコース)がEM放射を吸収する能力、ならびに第1の層310の散乱、吸収および反射特性によって影響されてよい。プロセッサ110は、センサ210によって各校正要素について別々に感知された、感知された照射強度をデバイス10から、通信ユニット140経由で、受信してよい。プロセッサ110は、さらに、照射強度がどの校正要素から、どの波長で受信されたかに関する情報を受信してよい。いくつかの実施形態において、各校正要素は、機械可読タグ、例えば、RFIDタグ、バーコードまたは同様のものでマーク付けされてよい。いくつかの実施形態において、システム100は、機械可読タグに含まれた識別コードを読み取るように構成されてコントローラ110と通信を行うタグリーダをさらに含んでよい。
【0042】
従って、プロセッサ110は、オペレーション430において、受信された照射強度をデバイスが取り付けられた校正要素の特定の皮膚特性および特定の濃度と関連付けてよい。
【0043】
様々な校正要素について2つの波長で記録された強度(光学値)の例が表1に与えられる。表1の校正要素は、少なくとも2つの層、皮膚の厚さ(セット105について2mmおよびセット106について2.25mm)を模擬する第1の層、および3.5~3.7g/dLの濃度のアルブミンを備える第2の層を含む。
【0044】
【表1】
【0045】
プロセッサ110は、例えば、表1のようなルックアップテーブルを形成し、オペレーション440において、特定の皮膚特性および特定の濃度と関連付けられた照射強度を物質濃度を測定するためのデバイス(例えば、デバイス10)のメモリ(例えば、メモリ250)に記憶してよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、校正要素の少なくとも2つのセットからのいくつかのセットは、第1の量の呈色色素をもつヒト皮膚を模擬するステップを含んでよく、校正要素の少なくとも2つのセットからのいくつかのセットは、第2の量の呈色色素をもつヒト皮膚を模擬するステップを含んでよい。いくつかの実施形態において、受信された照射強度は、第1および第2の量の呈色色素をもつヒト皮膚を模擬する校正要素から受信された照射強度を含んでよい。従って、ルックアップテーブルは、特定の色(例えば、皮膚中の色素の量)を有する特定の皮膚の厚さと関連付けられた照射強度をさらに含んでよい。
【0047】
従って、デバイス10が既知の皮膚の厚さをもつヒトの皮膚(例えば、ヒトの手)に取り付けられたときには、既知の波長における照射後のセンサ210からの読み取り値を、メモリ250に記憶されたルックアップテーブルを用いて、1つ以上の血液中物質(例えば、アルブミンおよびグルコース)の濃度と正確に関連付けることができる。
【0048】
本発明のいくつかの特徴が本明細書に示され、記載されたが、多くの変更、置換、変化、および均等物が当業者に想起されるであろう。それゆえに、理解されるべきは、添付される請求項がすべてのかかる変更および変化を、本発明の真の趣旨の範囲内にあるものとして、カバーすることが意図されるということである。
図1
図2
図3
図4